○川島
説明員 御
説明申し上げます。ここに書いてございますだけではおわかりにくいかと思いますので、概略この
戦災復興事業について御
説明申し上げますと、御承知のように、終戦によりましてわが国の都市の相当部分が焦土に化したわけでございます。その面積は、当時一億六千万坪
程度と推定されておりますが、これにまわりの焼け残りの
土地も含めまして、一億八千万坪、これを戦災復興
土地区画
事業として区画整理を行なおうということが、
昭和二十年十二月に閣議で決定をされたわけでございます。
ところが、全国の百十四都市におきまして区画整理
事業を実施することになったのでありますが、その後、
経済情勢の激変とか、あるいは都市の復興が意外に早いために、区画整理が意のごとく
進捗いたしません。また、一方相次く
災害のために、
戦災復興事業が、当時は八割の
国庫補助で行なわれたわけでございますが、
予算が思うようにっきませんので、
事業の
計画通りの実施が困難になって参りました。そこで、
昭和二十四年に、この戦災復興の都市
計画を再検討をすることにいたしまして、当初一億八千万坪実施する予定でございましたものを、約半分に縮小いたしまして、八千五百万坪
程度の戦災復興
土地区画整理事業を実施することになったわけでございます。ところが、この
土地区画整理を実施いたします場合に、個人の所有地をいろいろに整理統合いたしまして公共
施設等を生み出すわけでございますが、そのために、個人の宅地はどうしても何割か減るわけでございます。当時は、大体一割五分
程度減ることは、それによります宅地の値上がりによってがまんしていただく。しかし、それ以上減る場合には、これは個人に非常に苦痛を与えるということになりますので、それは金を清算金として差し上げよう、こういう方針をきめたわけでございます。ところが、やはり宅地の交換分合を行なうわけでございますが、あまりに過小な宅地が出ると、その後の宅地の
利用に困ることにもなりますので、清算金の交付にかえまして、一部
土地で差し上げるということを考えたわけでございます。そのために、各都市におきましては、あらかじめゴボウ抜き買収と称しまして、宅地を買い上げまして、それを
土地の交換によりまして宅地が著しく減ったものに一部差し上げる、清算金のかわりに
土地で差し上げる、こういう方式を考えて、そのための用地を買収しておったわけでございます。ところが、当時の一億八千万坪か、四年ばかりたちますと、八千五百万坪という半分に減って参りましたので、そのかえ地に充てますための買収用地の一部は、不用になって参ったわけでございます。当時、全体の面積から申しますと、
補償金にかえて交付するための用地として買い上げましたものは、全国で約七十六万坪ばかりございまして、戦災復興
土地区画整理事業の縮小によりまして不用になりました用地が、約十三万五千坪ばかり出て参ったわけでございます。
今回
指摘を受けました
東京都の分について申し上げますと、全体で十四万二千坪ばかり買い上げたのでございますが、当初の三千万坪の
計画が、最終的には五百五十五万五千坪になりましたので、不用になりました用地は、面積は約八万七千坪
程度出て参ったわけでございます。今回
指摘を受けました件は、この八万七千坪の不用になった用地の代金をすみやかに
国庫に返済すべきではないかということでございます。
この
戦災復興事業につきましては、以上のような経緯でございますが、実は私
どもは、この
戦災復興事業は、
経済的ないろいろな事情から縮小を余儀なくされましたが、縮小しつぱなしで足るとは考えておりませんで、できれば、第一次の
計画が終わりましてから、第二次の
計画で戦災復興の区画整理を引き続いて実施する予定でおりました。ところが、これがいろいろな
関係から実現を見ませんで、
昭和三十二年からは、この
戦災復興事業にかわりまして、いわゆる都市改造
事業と称しまする区画整理
事業を新たに起こすことになったわけでございます。そこで、この不用になりました用地につきましては、これは早急に処分をいたしまして、相当額を
国庫に
返納させるということが必要になって参りましたので、その後、この不用になりました用地の
国庫補助相当分は
国庫に
返納するという手続を進めておりまして、
指摘を受けました
東京都の分につきましては、すでに
収納済みであることは、先ほど官房長から答弁があったところでございますが、そのほかの都市につきましても、すでに神戸市、川崎市につきましては、
返納は終わっておりまして、その他の
返納の済んでおらない都市、これはまだ用地の処分が済んでおらないという都市もあるわけでございますが、これについても、すみやかに処分を完了して、
国庫補助相当分を
返還するように手続を進めておるところでございます。
なお、先ほどお話がありましたように、実際に買いましたときの価格と、それから売却をいたしましたときの価格では、
土地の値上がりによりまして相当開きが出ておりますが、この差額につきましては、実は
返納という手続はとらせませんで、その差額については、今後の
土地区画整理事業に、あらためて市の単独
経費として計上して、
事業を促進するようにという指導をして参っておる次第でございます。