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1960-02-12 第34回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十二日(金曜日)各会派割当数変更後の本委員は、次の通りである。    委員長 鈴木 正吾君    理事 井原 岸高君 理事 押谷 富三君    理事 鹿野 彦吉君 理事 田中 彰治君    理事 馬橋 禎一君 理事 小川 豊明君    理事 高田 富之君 理事 田中幾三郎君      大久保留次郎君    大倉 三郎君       高碕達之助君    千葉 三郎君       堤 康次郎君    平塚常次郎君       増田甲子七君    保岡 武久君      山口喜久一郎君    淡谷 悠藏君       久保 三郎君    坂本 泰良君       森本  靖君    山田 長司君       西尾 末廣君 ————————————————————— 昭和三十五年二月十二日(金曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 鈴木 正吾君    理事 井原 岸高君 理事 押谷 富三君    理事 鹿野 彦吉君 理事 田中 彰治君    理事 小川 豊明君 理事 高田 富之君       大倉 三郎君    高碕達之助君       保岡 武久君    淡谷 悠藏君       久保 三郎君    山田 長司君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 植竹 春彦君  出席政府委員         通商産業事務官         (公益事業局         長)      小室 恒夫君         郵政事務官         (郵政局長)  荘   宏君         郵政事務官         (郵政局長)  板野  覺君         郵政事務官         (貯金局長)  山本 圭二君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      大塚  茂君         郵政事務官         (経理局長)  西村 尚治君         労働政務次官  赤澤 正道君         労働事務官         (大臣官房会計         課長)     和田 勝美君  委員外出席者         通商産業事務官         (公益事業局経         理参事官)   吉岡  格君         労働事務官         (職業安定局職         業訓練部長)  有馬 元治君         会計検査院事務         官         (第二局長)  保岡  豊君         会計検査院事務         官         (第三局長)  白木 康進君         日本開発銀行理         事       安永 一雄君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月十二日  委員上林與市郎辞任につき、その補欠として  山田長司君が議長の指名委員に選任された。 同 日  理事神近市子君同月四日委員辞任につき、その  補欠として高田富之君が理事に当選した。 同 日  田中幾三郎君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十二年度政府関係機関決算書  昭和三十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十二年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十二年度物品増減及び現在額総計算書      ————◇—————
  2. 鈴木正吾

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  昭和三十二年度決算外三件を議題とし、審査を進めます。  この際、田中委員より発言を求められておりますので、これを許します。田中彰治君。
  3. 田中彰治

    田中(彰)委員 公益局長はまだお見えになっておりませんね。——それでは開銀の方に、九州電力の件について資料要求をしたいと思います。そこで、私の方の今調べておる数字につきましてちょっとお尋ねしたいのですが、九州電力には、開発銀行資金世界銀行から借り入れた国家の保証した資金が、現在どのくらいいっておりますか、それをお尋ねしてから申し上げたいと思います。
  4. 安永一雄

    安永説明員 ただいまお尋ねの、九州電力に対します開発銀行融資金額であります。国内の貸付といたしまして合計三百三十億、それから世銀から私どもが借りまして転貸いたしております金額が、円で申し上げますけれども、三十一億八千万、これは世銀からであります。それから保証関係であります。これも円で申し上げますが、六十億、こまかく申し上げますと、六十億一千万であります。
  5. 田中彰治

    田中(彰)委員 合計幾らになりますか。
  6. 安永一雄

    安永説明員 合計いたしまして四百二十二億でありますか、ただいまのは、昨年の十二月末現在のでございます。
  7. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこでもちろん、九州電力公益事業ではございますが、国民税金及び国民保証した大切な政府資金が、四百二十二億もいっておる。であるから、こういう金を借りて事業をしておる九州電力というものは、非常に公正なものであり、そして責任のある仕事であり、その社長及び重役には重大な責任を持って仕事をしてもらわなければならぬのだ、こういう工合に私は考えておるのです。あなたは、これに対して私と違った考えを持っておられますか、その通りだと考えておられますか。
  8. 安永一雄

    安永説明員 ただいまおっしゃった通りだと思っております。
  9. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこで九州電力が、昭和三十一年にここの委員会で問題になったのですが、上椎葉ダムというものを作った。そのときの請負金額が、鹿島建設が一番大きな仕事をしたのですが、十一億七千四百七十四万三千一円、これで請け負いした。今度この十一億七千四百七十四万三千円の基礎となる請負金額増加した金額が、二十二億八千四百四十三万三千円、増加額の方は、倍以上の増加をした。その他にも多少熊谷、間、それから奥村組等増額しておりますが、これはほとんど請負金額と同額のものは増額してない。その請負金額が一千万に対して一千万の増額をするなんということはもちろん間違っているけれども、その鹿島に対しては、二十二億八千四百四十三万三千円という増額をしておる。ところが、このダムが漏った。それだけ増額してやったにもかかわらず、このダムが漏って、そうしてこれはダムが切れて人に非常な被害を及ぼして、会計検査院から指摘されて、これは問題になっている。われわれは、この決算委員会でこれを調査するつもりでおりましたが、いろいろな関係でこれを調査しなかった。そこでそのままにしておくと、今度は、皆さんのところにも大がいいっているはずですが、非常な怪文書というものが出て、そのときの二十二億幾ら増額したものの中から、鹿島及び当時の会長麻生君その他に何億という政治資金が流れて、それで佐藤社長外国に行くときにも、七千万も金をもらっていったということが、あれあれしくいろいろな文書にも出ている。ここにも——この間投書になったのにも書いてありますが、そういうものが出ておる。それが週刊雑誌にもいろいろ書かれたのですが、私はそれを全部本気に信ずるわけでもないし、また、それを基礎として資料要求するわけでもないのですが、その後、今度は九州電力が大きな火力電気をやった。これも、随意契約同様に、やはり鹿島でやらして、これからも政治資金がたくさん流れた。しかも、件藤社長が一ヵ月に二百万程度に及ぶような交際費を堂々として使っておるというようなことが、いろいろ文書になってわれわれの決算委員会投書されている。これも、私たちは、投書なんというものはいろいろなことでやるのだからというので聞き流しにしておったのですが、今度は聞き流しにできないものは、現実に行なわれたこの問題なんです。ここで資料要求するのですが、この間、宮崎県の耳川水系というのですか、これより十八万キロの発電施設をするということについて、開発銀行世界銀行からも金を借りていただきたい。それから開発銀行の、今度は政府から割当になった、もちろんそれからも金を借りるのですが、これについて、日本の金にして八十一億七千二百万、これだけの金を世界銀行に申し込んだ。開発銀行から世界銀行べいろいろ交渉したのですが、現在の電力料金では、この金がなかなか返すのに困難だ、そういう見込みがないというので、一応これがけられたようになっておる、こういう工合に聞いておるのですが、これがまとまったのですか。やはりけられたような格好になっておるのですか。一体どうなんですか。ちょっとお尋ねします。
  10. 安永一雄

    安永説明員 ただいまのお尋ねは、多分一ツ瀬のお話じゃないかと思います。私がただいままで仄聞いたしておりますところでは、この一ツ瀬に新しくダムを作りまして、世銀の借款もしたいという希望で、世銀の方にも一時申し入れをしたわけでございますが、肝銀で技術関係の人が一応の調べをしまして、その結論といいますか、世銀としての結論ではないかもしれませたが、むしろ火力の方がいいんじゃないかというような意見を持っておったようでございます。ただいま、その火止の方がいいか、水力の方がいいか、結局、ピークをとる電力としてはどちらがいいかということで、九州電力世銀との間に折衝を重ねておる最中だといております。従って、世銀の方で、いけないとかあるいはいいとか、そういう結論まではまだ達していないように聞いております。
  11. 田中彰治

    田中(彰)委員 これは非常にあなたの調査が不十分で、お答えに非常に食い違いがあるのですが、この一ツ瀬ダムは、四、五日前に入札を終えてしまったのです、火力はやらないのです。そこで私の調べたところによると、今の電力料金では将来の元利金の返済に支障を来たすとの理由のもとに一応断わられたが、目下また交渉中だということを、私の調査に対してあなたの方で答えていられるのです。火力発電はもうやらないで、水力発電の方に入札をしたのです。そこでもう一つお聞きしたいのは、今度あなたの方でもって九電力会社に金を貸したいとして政府出資方要求をされているのは、電力関係については三百四十億を要求されたが、結局これの査定されたものが二百五億なんです。二百五億が査定されましたが、この予算のうちから、今の一ツ瀬ダム幾らくらいやるとか、幾らくらいどうするということはさまっているのですか。
  12. 安永一雄

    安永説明員 三十五年度の予算としまして、おっしゃる通り、大体二百下億ということで提出されるんじゃないかと思います。かりにそういう予算がこの議会で通過いたしましても、そわから私どもの方の三十五年度の融資方針を検討いたすつもりでおります。それまでに、むろん通産の方のお考えあるいは方針というものがきまるわけであります。それによりまして、冬電力会社工事地点、私どもの方の対象工事として取り上げていいかどうかという工事地点を査定いたしまして、それぞれの工事地点にどのくらいの融資金額がやれるかということになるわけでございます。ですから、今のところは、二百五億を九電力のどの会社にどれだけとか、どの地点にどれだけとか、そういうことはまだ出ておらないのでございます。
  13. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこで、きょうは資料要求ですから、詳しいことにはまだ入りませんが、九電が一ツ瀬ダム入札して、佐藤社長がきのうですかおとといですか、世銀に行った。そこで、予算もない、世銀にも断わられている状態で、そんなダムを作るのはどうなんだと言ったら、彼のいわく、これは某政治家の口ききで、開銀の二百五億、これを、私の方の一ツ瀬世銀で借りられない場合に融資してもらうということに内定している。通産省の方も運動してあるんだ。それだから、これは入札さしたのだ。さもなければ、入札できないはずです。これは公益局長がどんな許可をしたか聞きたいと思うのだが、彼がそうやって入札さして、世銀には自分みずからあなたの方で、許可されたのかされないのか、これをお尋ねするのだが、あなの方で、世銀に行ってこいと紹介されたか、行った方がいいとお勧めになったか知りませんが、行った。そういえことをしながらこの入札は非常におかしいのです。入札内容を申し上げますと、池田さんは鹿島組を紹介してやっている。松永安左衛門前田津設を紹介してやっている。総理は知らないが、総理の名前をかたって——僕は椎名官房長官でないかと思う。これは熊谷組に添書を書いた。そうしてこの三人が指名入札者になったのですね。そこで、これだけの紹介で、これだけの人ですから、落ちればだれでもみんな工事を完了できる、信用のある一流業者だと思う。そうして入札さしてみたところが、前田建設が一番安く入れた。その次は鹿島が入れた。その次は熊谷が入れた。そこで信用のある三社ですから——人から金を借りなればならないのであるから、もちろん、落ちたならば相当りっぱな仕事をする請負者でなければ、指名できないわけです。また、これはそういう体験のある人です。この三人が入れたんだから、本来ならば、一番安い前田に落ちなければならないやつを、入札したら、その晩に重役が二、三人寄って、内緒で入札をあけてみて、そうしてどうしたらいいかということを協議した結果、下の前田にはやれない、また上の熊谷にもやれない、鹿島にやるのにはどういう工合に線を引いたがいいかということを相談して、そうして鹿島を呼んで、高いという理由書類を作れということで書類を作らして、それを鹿島に落としたために、前田熊谷鹿島が非常に争いをして、熊谷は談合で済んだらしいが、前田とは非常争いをして、お互いに悪口を言い合いして、出版物をまいたりいろいろしている。こういうことは、佐藤に言わせると、おれの勝手なんだ、開発銀行通産省も、みんなおれの配下みたいなもので、おれが言えば何でもできるんだというような豪語をして、これをやっておる。本来から言うと、人から金を借りてやるのだから、安い請負者にやらせなければならぬ。しかも、請負者は、だれに落ちても、これだけの信用のある者を選んだんだから、それをしなくちゃならぬ。この入札はそういうことをしない。こういう入札方法をやっているわけです。あなた方これに対して——あなたは開発銀行理事の方か知らないが、開発銀行の金は、あなたの金ではありません。開発銀行の総裁の金でもないのです。国民が働いて、つめの上に火をともすようにして、そうしてもうけた金を税金として納めた金なんです。国民税金です。世銀から金を借りても、もしそれが倒れたりなにかすれば、国民の負担になる。国民税金で払わなければなりません。そういう重大な金を何百億も貸して、国民の金で仕事をしながら、社長がそれを横暴に  そういう開銀連絡がある、通産省連絡がある、政治家連絡があるということで——しかも、今度ダムを落としたことで二億の献金をされておる。これもこの次調べて出します。そういうようなことを開発銀行が許すか許さないか。それでいいのですか。それを一つお聞きしておきたい。
  14. 安永一雄

    安永説明員 こういう入札の仕方と同時に、その結果がいいか悪いかというお尋ねだと思いますが、私どもの常識では、当然安いところに落ちるのがほんとうだと思いますが、その辺の事情は私もさっぱり見当がつきません。私ども融資の金が使われる方法としては、一番効果的に、そして少なくて済むように使われるのが、一番望ましいと思っております。
  15. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこでお願いしておくのは、この入札事情、それから入札契約書、そういうものを一つこの決算委員会に出していただきたい。入札前の契約書があるはずだ。入札に対するいろいろの説明資料の写しを、資料として出してもらいたい。これを委員長要求します。  それからもう一つ、あなたが安い方にしたいとおっしゃったことは、われわれもやはりその通りです。同時に、ここに会計検査院の方もおられるが、十一億幾ら上椎葉の問題をやらして、それに二十二億も増し金をして、そのダムが漏って、付近の人がずいぶん迷惑され、会計検査院で指摘されて問題が起きたのに、いろいろの事情でやらなかった。そしてまたそういう問題に引き続いて、今度火力電気随意契約みたいなことでやらした。そうして火力電気をやらして、六千五百万円よこしたとかなんとかいう問題を起こして、告発騒ぎまで起こしていながら、また今度一ツ瀬ダムにこういう契約をして、こういうことをやっている。彼に言わせると、通産省はおれの子分なんだ。それはそうだろう。池田からいえば子分かもしれない。そこにおる公益事業局長は、子分かもしれない。開発銀行はおれの言う通りになるんだということで、そういうことをやって、その金が何かというと、全部が政府保証資金、あるいは開発銀行資金だ。われわれがたといビルディング一つ建てるにも、それを建てるにはどこから金を出すか、これが大きな問題だ。これは、世銀から金を借りてくる。世銀の金が借りられなかったら、今の二百億の中の金をもらってやるというのでなければだめだ。予算もないのに入札をされて、献金をやって、そして外国へ金を借りに行くというのだから、決算委員会として、賛成する人も反対する人もあるだろうが、これを決議して、世界銀行佐藤の行っているところに、全部書類を集めて、こういうことなんだから、そんなものを相手にしてくれては困るという書類を送るかもしれない。その他の電力会社にも、今後影響するかもしれないけれども、仕方がない。それにはまだいろいろ調べなければならぬから、資料として、九州電力に対する開発銀行からの貸付金の現況。それから九州電力資金の借り入れについて、開発銀行保証しているのはどんな状態か。九州電力宮崎県下において目下計画中の発電所施設について世銀交渉中の趣であるが、開発銀行はこれを保証することを承認しているのかいないのか。佐藤社長はこれが交渉に昨日渡米した趣であるが、開発銀行はこれに対して了解を与えているのか。了解していないとすれば、これが保証について、社長世界銀行にこのような条件をもって交渉しているとすれば、これに対してあなた方はどう思うか。世界銀行に、できなければ保証してあげますと言っておらないのに、保証してくれることがきまっているのだという形で佐藤がもし交渉したとしたならば、これは一体どうなるのか。それから入札契約書入札内容状態、これをあなたの方は国民の金を使っているのだから、ここへ一つ出していただきたい。これは委員長に出しておきます。私があなたの方に御要求するのはそれだけです。  それから公益事業局長お尋ねしますが、あなたさっきおいでになりませんでしたから、ちょっと話が重複しますけれども九州電力会社の副社長がやめてから、非常な暗闘のあることは、あなたの方あたりでもいろいろな文書なんかで行っておるし、われわれの方にも来ております。また、世間でも批評しております。これがうそであるかほんとうであるか、実態がどうであるかということは別として、あることは事実です。そこで、九州電力に対して、決算委員会は非常に好意を持ってきたと私は思う。ここに会計検査院の方がおいでになりますから、調べてもらえばわかるが、昭和三十一年九月にここの委員会で問題になったのは、あなた御存じ御存じでないか知りませんが、上椎葉の問題であります。上椎葉ダム鹿島が請け負った。その請負が十一億七千四百七十四万三千円、ところが、これじゃできないというので、この請負増加したものが二十二億八千四百四十三万三千円、そうすると、請負金額の倍ですね。十億で請け負ったのに二十億ふえた。それでもいいですが、その増加したダムが漏って、民家に迷惑をかけて、大騒ぎになったということで問題になった。ところが、われわれは忙しくて調査に行かなかった。会計検査院から指摘されたけれども、それで済ましてしまった。あのとき、決算委員会が非常に忙しかったので、それで済ました。そうしますと、これだけのものが問題になっているのを、反省するというので済ましたのだから、この次の請負をするときには、二十億円ぬぐわなければいけない。ところが、これが済むと、今度は大きな火力電気施設を作りました。それも随意契約にひとしいことをやって、鹿島にやらしている。おかしいなと思っていると、あの怪文書が出た。麻生太賀吉及び池田に対しては、幾ら資金を流した。佐藤が、鹿島組から資金を流して、二号からなんかまで金は全部持っているのだという怪文書、全く聞くにたえないような怪文書が散らばって、そうして副社長がやめるとかやめないとかいう暗闘があった、それはいいです。人の投書とかなんとかいうことは、私たちはあれいたしません。それで、佐藤に、注意して下さい、決算委員会にも投書が来ました。それを送ってやって、こういうことは取り扱わないから、注意して下さいといった。そこで、今度は宮崎県の一ツ瀬ダムの問題が出てきた。あなたは一体開発銀行から金を借りているのか、この金を借りることになっているのか。いや、今世銀交渉中だ。世銀にけられたら、今度はほかの金を借りるのか。二百五億割当がある、これは大てい借りられるように運動した。今聞いてみると、まだこれはさまっておらない。そこで、あなたの方で、資金関係は別としまして、このダム許可をされたか、一ツ瀬ダム工事許可とかの許可を全部されたのですか。
  16. 小室恒夫

    小室政府委員 電源開発調整審議会で、一ツ瀬発電所を開発することについては、政府として承認しております。ですから、こまかいいろいろな許可は別にございますけれども、開発するという方向については、これは適当だということになっております。
  17. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこで、そういう大きな何十億もかかるものを、しかも、公益事業的なものを許可されるのに、資金関係についてはどう考え許可されたのですか。
  18. 小室恒夫

    小室政府委員 電気事業は、水力火力も相当莫大な金を要しまして、その点については開発銀行からも第一次に相当巨額な金を今までも投じておりますが、その他の社債であるとか、あるいは市中銀行、生保などから、毎年二千数百億の金を調達してきております。そういう実績もありますし、その見通しもあるものですから、一ツ瀬発電所についても、大体資金は確保できるという見込みのもとに、そういう方向承認されたわけです。
  19. 田中彰治

    田中(彰)委員 しかし、今私が水力電気を願って、開発するから、どこかから金を借りてくるから、というだけでは許可にならぬ。その許可をされるものに対しては、幾らかかって、どこからどれだけの金というように、必ず書き込んであるだろう。ですから、その許可された書類資料として提出して下さい。提出できますか。
  20. 小室恒夫

    小室政府委員 何月何日に、電源開発調整審議会に、こういう理由で付議をして承認を得たということは、何でもないことであります。出します。
  21. 田中彰治

    田中(彰)委員 それには、資金関係を明細にうたってあるでしょうね。
  22. 小室恒夫

    小室政府委員 これは、向こう五カ年間の九電力会社資金がどの程度要るだろう、また大体の目安はこうであろうという予測はつきますけれども、その審議会承認いたしますのは、ツ瀬発電所というものをやるということが適当であるということの承認でありまして、直ちに資金幾ら幾らというふうに、そういうつながりはございません。
  23. 田中彰治

    田中(彰)委員 それはおかしいですね。資金の裏づけがない。世界銀行べも九電が一ツ瀬ダムをやりたいから金を貸してくれといって申し込んでいる。金額がちゃんとうたってある。そのときに、お前のところに金を貸すのは、政府保証として金を貸すことはいいが、電力料金を値上げしなければ、これは払えないから貸せられないと断わっている。電力料を値上げする、しないはあなたの監督範囲内だ。そういうことをあなたの方で何もお考えにならず、ただ審議会がやっていいというならば、それですぐ許可をして、ダムをすぐに入札させるのですか。そういう組織なんですか。
  24. 小室恒夫

    小室政府委員 世銀から、九州電力の値上げをしなければならぬとか、そういうふうな話は全く聞いておりません。ただ、電力料金制度をできるだけ早く合理化してもらいたいという一般的な要望は、世銀から聞いております。値上げということは、聞いておりません。それから資金については、一ツ瀬発電所だけではなくて、ほかの火力でも水力でも、みな一つ一つ発電所審議会における承認決定をいたします際に、それに開発銀行幾らつけるとか、あるいは外資を幾らつけるとか、市中銀行幾らたよるとか、そういうことはやはり予測の問題になりまして、そのときはっきり見通しがっきませんし、また、大体の見通しを聞いておいても狂うことになりますので、それは一々そこではつけておりません。ただ、開銀なり、あるいは世銀という場合もありましょうが、その他相当の資金がその年度につかなければ、かりに電源開発調整審議会承認されても、実際には着手が困難であるとか、繰り延べるとか、そういう事態が起こってくると思います。
  25. 田中彰治

    田中(彰)委員 それはおかしいですね。少なくとも、開発銀行が私の方の調査にこういう工合に答えている。宮崎耳川水系より十八万キロの発電施設のため、開発銀行を通じて世界銀行へ借款の申し込みは二千二百七十万ドル、邦貨にして八十一億七千二百万円であるけれども世界銀行側では、現在の電力料金では将来の元利の返還に支障を来たすとの理由のもとに、一応断わられたのであるが、なおまた交渉中である、しかし、その条件である、これらの施設する経費のために、現在の電力料金を引き上げるようなことは、国民に及ぼす影響が大であって、十分に考えなければならぬということを、開発銀行でさえ言っておる。あなたは、その監督官庁におられて、しかも、これを監督される方が、おれは水力電気を起こしてこれだけのことをやるのだ、これを許可してくれ、あなたも審議会に入っておられると思うが、審議会というものは、予算も何もなくて、それはお前が願いを出したから許可する、金は開発銀行からでも、電力料金の値上げでもして、どこからでも持ってこい、そういう簡単なことで許可されるとするならば、今後水力電気というものは、権利もあることだから、だれでも水力電気を願って、公益事業みたいなものを作って、そしてどんどんやったら、全部許可しなければならぬ。そこにやはり資金の裏づけがあるか、電気料金とのにらみ合わせがあるか、また、元利金の返還ができるか、できないかということの見通しを持ってされるのが当然だと思う。そこが、私は非常に軽率であると思う。もう一つは、あなたが今おっしゃる通り、そういうものは予測もつかぬものだから、一応審議会が通っても、資金関係がなければ、あなたの方で、それをやってはいかぬ、待てとかなんとか言わなければならぬのに、もう入札しているのです。これは御存じですか、御存じではありませんか。
  26. 小室恒夫

    小室政府委員 先ほど申しましたのは、田中委員がおっしゃったように、資金の見通しはむろん大づかみにはついておらなければならぬ、それがなしに、一ツ瀬なら一ツ瀬承認するということはございませんけれども、今後五年なら五年にこのくらいの開発資金が要る、それについては大体目安があるということで承認しているわけでございます。それから、そういう承認を受けましてから、各電力会社がそれぞれ準備を進めるわけでございますけれども、私どもといたしましては、入札をして工事にかかり、またあとでもって決算監査ということは十分いたしますけれども、あまりこまかな一つ一つの業務について立ち入った指図はいたしておりません。
  27. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうすると、これは審議会で通されるときに、資金関係の見通しについては書類に書いてありますね、どこからどういう見通しであるということ。どうですか。
  28. 小室恒夫

    小室政府委員 おっしゃる意味が、一ツ瀬発電所を作るお金が、開銀から幾らとか世銀から幾らとか、そういう意味であれば、個々の発電所にはそういう裏づけはありません。全体にこの程度の規模をまかなうに足る資金の見通しはあるということでやっております。
  29. 田中彰治

    田中(彰)委員 全体というのは、一体発電所を幾つ作るのですか。火力発電所を幾つ作るのです。今度許可になったのは、水力発電一つでしょう。全体というのは、これに対する資金関係でなくて、どこの資金関係ですか。あなたの言うのはおかしいじゃないですか。
  30. 小室恒夫

    小室政府委員 御承知のように、電源開発は、今、火力発電所でも二年から二年半くらい普通のもので建設にかかります。大きなものになりますと、四年かかるのがあります。水力発電所になると、四年から五年かかりますので、今後五カ年にどのくらいの規模の開発をやっていくべきか、またそれに対応する資金の計画は大体どの程度か、こういうことについては、審議会で十分検討いたしまして、毎度申すように、開発地点を決定する際に、一つ発電所資金の内訳というものを電源開発調整審議会では、特に決定の事項に入れておりません。
  31. 田中彰治

    田中(彰)委員 どうもあなたのお答えは——そうすると、九州電力は、一体何と何を開発すると申し出ているのですか、それで許可をとっているのですか。これ一つだ。それから、今度佐藤さんが向こうへ金を借りにいくときに、何か具申されましたか。あなたの方で指示でもされたのか。これ一つということはないというのだから、許可を受けるときに、何と何と、どれだけのものを開発するということが書いてあったのか。同時に五年なら五年にどこから資金幾ら、どこから幾ら、概略こうだということがうたってなければ、許可にならぬ、これをはっきりしてもらうことと、今度佐藤さんが世銀に金を借りにアメリカへ行った。それに対してあなたの方で——もちろんいろいろな外貨なんかの許可というようなものもあるでしょうが、そういうものに対して、あなたは何か相談を受けられましたか。
  32. 小室恒夫

    小室政府委員 九州電力発電所に対する世銀の借款は、前から懸案でございました。政府としてはできるだけこれを成立させるように努力したいと考えておりましたから、できるだけ成功するようにと考えました。特別のこまかい指示はいたしておりません。
  33. 田中彰治

    田中(彰)委員 成功するようにと言われた。しかし、断われているのだが、あなたの言うのはおかしいじゃないですか。世銀から一応断わられて、電気の値上げができれば貸すということになった。開発が言っていたから、そういうものを監督されるあなたが、こういう事情を知っておいでになる。知っておいでになって、あなたが、向こうに佐藤さんをやられるのには、電気の値上げをしていいんだ、してやるんだということを指示されるか、あるいは何かそれをされなければ、ただ佐藤さんが、金を借りに行くからさようならと言ったわけじゃないでしょう。どういう指示をされたんですか。これは重大問題ですよ。あなたは、公益事業局長としての答弁じゃないです。これは、国民が何十億という金を保証しなければならぬ。また、電気料金の値上げをされれば、これは国民の家庭にすぐ響いてくる。これは一つだけじゃない。全国の事業会社がやるのだから、公益事業局長に簡単に池田君が命令したとか、岸君が命令したとか、そういうことじゃありませんよ。これは重大な問題ですよ。あなたはそういう観点に立って正直に一つ答弁して下さい。
  34. 小室恒夫

    小室政府委員 九州電力世銀からの電力借款については、できるだけ早期に成立させることが好ましいという、前からの立場でございますから、そういう立場で佐藤さんと話はいたしました。
  35. 田中彰治

    田中(彰)委員 おかしいじゃないですか。世銀では電気料金を値上げしなければ、元利金はだめだから、貸されないと断わっているのに、あなたはそれをできる限り成功させたいというのは、電気料金の値上げの保障でもされたのですか。
  36. 小室恒夫

    小室政府委員 私は、世銀当局からそういうふうに直接に、料金を値上げしなければこれを認めないとか、そういう話を聞いたことはありません。むろん、金を貸す立場からいえば、会社の経理内容はよろしい方がむろんいいと思いますけれども、そういう希望はあるだろうということは推測されますけれども、私どもは、何月に値上げをすればいいという、そういう直接の話は聞いておりません。
  37. 田中彰治

    田中(彰)委員 それは不思議ですね。さっきあなたは、電力の組織に対していろいろ改良しなければいかぬと言われた。組織の改良ということは、一体どんなものか。それからあなたは、これを成功させるように努力すると言われるが、努力するとは、一体どういう努力をされたのですか。どういうものを観点に努力されたのですか。
  38. 小室恒夫

    小室政府委員 これは、世界銀行の当局者が来日しました際には、こういう事情で、九州の電力事情から見て電源を開発することが望ましいし、また、資金源その他から見ても、一ツ瀬に限りませんけれども、外資を入れることが好ましい、ぜひやってもらいたいというふうに申しております。
  39. 田中彰治

    田中(彰)委員 だれが申したのですか。
  40. 小室恒夫

    小室政府委員 これは政府当局、みなそういう立場で申しております。
  41. 田中彰治

    田中(彰)委員 おかしいですね。それで向こうでは、電気料金を値上げしないからだめだと言って断わっているやつを、あなたがそうやって成功させるということになれば、あなたの腹に電気料金の値上げを可なりとあなたが推測されないから、応援されない。推測していないと言われるならば、今度は佐藤が行くときに、あなたはどういう応援をされたのですか。どういう言葉の応援をされたのですか。どういうものを書かれたのですか。
  42. 小室恒夫

    小室政府委員 まあ当事者であり、最高責任者である社長が渡米して、十分実情を説明して、借款を早期に成立させるようにというふうに言ったわけであります。
  43. 田中彰治

    田中(彰)委員 おかしい。どういう工合に成立させる。ただ、今あなたが言われるようなことでは、成立されないのじゃないですか。どういう工合に御指示されたのですか。あなたの御指示がなければいかぬ。隠さぬでもいいじゃないか。値上げをするならするでよろしい。
  44. 小室恒夫

    小室政府委員 一言も隠しておりません。事実そのままを申しております。
  45. 田中彰治

    田中(彰)委員 どういうことだ。
  46. 小室恒夫

    小室政府委員 ただいま申し上げた通りであります。
  47. 田中彰治

    田中(彰)委員 どういうただいまだ。あなたは佐藤が向こうに行くのに、この借款を成功することが好ましいと、これだけ言われたのですか。それじゃ、指示じゃない、援助じゃないじゃないですか。どうなんです。
  48. 小室恒夫

    小室政府委員 指示とか援助という言葉は的確じゃございませんが、私はそういうふうにお話し合いいたしました。
  49. 田中彰治

    田中(彰)委員 どういう話をされたか。あなたは、佐藤が行くのに、お前の借款を成功するのは好ましいと言われた。それだけなんですか。何かお書きになったのですか。あるいはそのほかに御指示されたのですか。だれが聞いたって、おかしいじゃないですか。幼稚園の生徒が聞いたらなるほど、おかしくないかもしれないが、少なくとも小学校を出ている者には、あなたの今の答弁を聞いたって、わからない。あなたは好ましい。好ましいというのは、世銀は、目下交渉中だから、向こうでやはり電気料金の値上げは可能か不可能かと質問されるのにきまっている。それに対して、どういう返答をしろとか、これはどうだとか、何か指示されなければ、応援にはならぬ。開発銀行理事なんか、ちゃんと言っている。これはむずかしいことだと言っている。あなたは、監督官庁として、どうなんです、許可されることについてはおかしいじゃないですか。
  50. 小室恒夫

    小室政府委員 これは前々から一貫して、世銀の借款が成立するようにわれわれは努力してきております。これは九州の電力事情から見ても、水火力電力の大規模なものを開発していくことは必要であり、資金事情から見ても、世銀からぜひ入れたい。これは九州電力だけじゃございません。御承知のように、ほかの電力会社も借款をとっておりますから、それと同じような意味で、九州電力の借款についても早期に成立させたいということで、従来からも世銀当局には話をしてきております。一貫した態度でありまして、ちっともおかしいことじゃございません。
  51. 小川豊明

    小川(豊)委員 僕は、資料要求だというから、資料要求で済むかと思ったが、今資料要求する前提としてお聞きしたいのは、世銀の金を借りにいくのには、借りられる条件というものが私は必要だと思う。採算の合わないものは、これは貸すはずはないんで、採算がとれるから貸すということで、九州電力事情が必要だということと、金を貸すということは、これは別なんです。だから、そこで、今田中委員が言われているように、あなたの方では、これが成功することが望ましいことだということは、条件を整えるということでなければ、これは借りられないと思う。そこで、今田中委員のお聞きしているのは、その条件を整えてやるには、結局、電気料金を値上げしなければ、条件というものは整わないから、その電気料金を値上げすることに対して、あなたは内諾を与えたのか、了解しているのか。そういうことを含まなければ、佐藤さんという、これは社長だそうだが、そういう人がわざわざアメリカまで行ったって、役に立たない。条件が整わないものは、貸すはずはありません。その条件を整えるためのどういう示唆をあなたは与えたかということが、田中委員の質問だと思う。あなたは、それに答えるべきですよ。それでなければ、借りられない。借りられないのにわざわざ行く必要はない。そうでしょう。
  52. 小室恒夫

    小室政府委員 料金値上げをしなければ金を貸さないという、直接の話は、私は聞いておりません。料金値上げについての何らかの指示がなければ、向こうに行って話はできないだろうとおっしゃる御推測は、それはごもっともな点もありますけれども、私どもとしては、そういうふうに考えておりません。
  53. 田中彰治

    田中(彰)委員 どうもあなたはおかしいですね。そうすると、佐藤さんがいいですか、われわれも知っているのです。世銀から断わられたことは知ってるのですよ。あなたは、監督官庁であるなら、佐藤さんがアメリカに行くのに、世銀関係の借款はどうなったと言えば、佐藤さんは、実はあれは断わられておるけれども、何とかこれは成功させたい。一応断わられた。その断わられた理由は何だと言えば、電気料金の値上げだということを、佐藤さんがあなたに言わなければならぬ。佐藤さんは、その断わられたことを平気でおりました。どうしておったかというと、もう通産省開銀もみんなちゃんと握って通してあるから、必ず目的を達しますと言っておる。普通なら、断わられたら困ったということを言うのに、困ったということを言われなかった。だから、あなたは佐藤さんが行くときに、君、世銀に金申し込んだのは一体どうなっておるのですか、どんなことになっておるのだということをお聞きにならないで、借款の成立することに骨折るなんというのは、幾ら頭がパアでも、そんなことは通りません。ですから、そういうことをお聞きになれば、佐藤が行ったときの事情を知っているから、電気の値上げは現在では私はする気はない。それだから、あきらめた方がいいから、この二百五億の割当を使った方がいいから、世銀の方はやめろ、行ったって効果がない。あるいはそれは行ってこい、公然とは発表できないけれでも、電気の値上げは引き受けた、どうせお前のところとおれはつながっているからいい。そういうどっちか一つでなければ、これはできないはずじゃないですか。どうですか。
  54. 小室恒夫

    小室政府委員 世銀の借款の交渉が相当長引いていることは事実でありますけれども、断わられたということは私は聞いておりません。それは、今までもずいぶん難航した交渉がございます。その間、水力がいいとか火力がいいとか、設置点の問題とか、いろいろな専門的な問題もあると思いますが、断わられた、それは電気料金の値上げを今しないからだとか、そういう話は、私は聞いておりません。
  55. 田中彰治

    田中(彰)委員 それじゃ、佐藤があるいはあなたをだました。開銀にはそう言っておる。開銀にわれわれも行って調査してきておる。あなたは佐藤になめられたのですな。金を借りるためにあなたのところにあいさつに来るのに、世銀の借款が断わられた、電気料金の値上げをしないと元利金がだめだからといって断わられた。あなたはそれをお聞きにならないのなら、それはなめられているんだ。それはあなたがなめられたわけですね。さもなければ、何か裏につながっておるか、この二つしか受け取れぬと思う。これは、この次の資料の提出があってから、私の方ももっとよく調べてやりましょう。  それからあなたは、一ツ瀬ダム入札の状況を佐藤からお聞きになりましたか。
  56. 小室恒夫

    小室政府委員 先ほど申しましたように、一ツ瀬ダム入札の状況については、私どもは介入することは適当でないと思っております。特別の問題でもあって、また御質問でもあれば調べますけれども……。
  57. 田中彰治

    田中(彰)委員 おかしいですね。このダムの借款で彼が行くのに、世銀へ行ったら、ダムはこれ、それから隧道はこれ、発電所はこれということにきまっているけれども、一応ダム入札いたしました結果はこうでございますということで、入札をあけぬでは行けないということは、電力界の九電力社長及び重役、電発もそれをちゃんと見ている。あけぬでは行かれない。私がビルを建てるのに金を借りに行って、だれに入札されるかわからぬというのでは行けない。実はあけたらこれこれで、入札をしたらこういう工合になって、これとこれでけっこうだと思うとなっていなければ行けない。その入札がそのまま済んでいればいい。九州でビラをまいたり、何か演説会をやっているようなもめた入札なんです。あなたに入札のことを何も言わぬということも、おかしいじゃないですか。また、あなたも監督官庁として、この入札にごたごたのあるくらいのことはお聞きになっていると思う。われわれのところでさえも、こんなことを言ってきているのだから。先ほどあなたに言ったときに、いろいろ書類が来たりいろいろな怪文書が回ったということをあなたはお認めになった。それから、その入札のことでもめているのだが、それを一つもお聞きにならない。また、世界銀行から、電力の値上げをしなければいけないといって断わられた事情もお聞きにならない。ただ、お前行ってこい、おれも十分骨を折ってやるから、こういう工合に簡単にお考えになってやられたのか。これはおかしいじゃないですか。どうあなたお考えになりますか。
  58. 小室恒夫

    小室政府委員 お役所の監督をどういう程度にとどめるべきかということは、なかなかむずかしい問題でございます。公益事業でございますから、役所が全面的に監督しているということにはなりますけれども、ただいまでも水力でも、火力でも、方々にたくさんの発電所が建設の過程にあるわけでありまして、その入札一つ一つについて、あまり立ち入ったことを私どもとしてやらないのが普通でございます。
  59. 田中彰治

    田中(彰)委員 私は、あなたに入札の指揮をしろとか、入札に介入しろということを言っているのじゃなのです。入札をあけた結果がもめておる。発表もできぬで行くのだから、それをお聞きになったかということを聞いておる。  それからもう一つ、あなたが公益事業の監督をしておって、そういういろいろのことをお聞きにならないで平気でおられますが、四百二十億なんという金を使っておる。これは国民の金ですよ。あなたの金でもなければ、私の金でもない。岸の金でもなければ、池田の金でもない。開銀の総裁の金でもない。国民が納めないと、差し押えを食って、それでも納めないと競売をされて、脱税すれば刑務所に入れられる。こういう強制権によって取り上げられた税金を使っておるのです。四百二十億。しかも、安い金だ。そうしてそういう金を政府が出すからというので、市中銀行もどんどんいろいろな便宜をはかっているわけです。だから、入札には関係をしろと私は言うのじゃない。入札はやったが、もめたといった事情をお聞きになったか。あなたはこれを御存じで白ばくれておられるのだから、私はみんなの前で言っておく。この入札は、鹿島を紹介したのはあなたのところのおやじの池田だ。前田を紹介したのは松永安左衛門熊谷を紹介したのは椎名が言ったか、岸が言ったか知らぬけれども、岸系からいっておる。この三人が、いろいろな紹介もあり、相当な体験者であるから、この三人にダム入札指名したわけです。これはまた、だれが見ても一流の請負師だ。だれが見てもできる人だ。ところが、入札をあけたら、前田が一番安かった。その次だいぶ離れて鹿島だ。ちょっと離れて熊谷だ。そこで、入札をやらせたが、そういう心配があるので、夜中に三人でその入札をないしょであけてみた。あけたら、そういうことだから、これは困ったものだといって、前田を押えたら、前田が承知しない。そこでいろいろ考えた結果、お前がこれだけ高くなったことの説明書を出せというので、九州電力の技術屋を総動員して、こういう理由で高いのだということの説明書、約八寸五分くらいのものを作らせた。これはほかの理由は言わない。そうして上の線と下の線を引いて、それを鹿島に落とした。そこで、そんなばかなことがあるかというので、ビラをまいたりなんか、いろいろこういう問題が起きておる。そういういきさつはあなたが御存じのはずだ。それからまた、これはあけぬで行くだろうという評判だった。佐藤がないしょで見た。これをあけないで渡米するだろうという評判だったが、あけないでは渡米できない。少なくとも、金を借りに行くのに、入札をあけないで行くはずがない、きっとあけるに違いないと予測しておったら、全くその通りあけた。これは電力界の予測が当たっておった。一専門家の予測が当たっておった。だから、あなたにもそういうことがちらっと入っていると思う。もめたことも入っていると思う。私は、名前は言わない。だれが中に入って、どんなことをしたかということは言わない。それから社長が渡米するときには、世銀の問題を話し、入札の問題も一応こうなりましたという話をして行っていると思うのです。それをあなたお聞きになって、それに対して何か指示を与えて、応援されたと思うから、私はお聞きしておる。どうですか。
  60. 小室恒夫

    小室政府委員 入札については、一言も話を聞いておりません。
  61. 田中彰治

    田中(彰)委員 それじゃ、これは重大ですから、入札契約書、それから入札の高いとか、安いとか、いういろいろないきさつの書類があるはずです。これは開発銀行にも要求しましたが、監督官庁であるあなたの方から提出してもらいたい。それでけっこうです。
  62. 鈴木正吾

    鈴木委員長 小室君、提出できますか。
  63. 小室恒夫

    小室政府委員 私は、今、具体的な事情を承知しませんけれども、提出できるものであれば、提出しましょう。
  64. 鈴木正吾

    鈴木委員長 小室君に対する資料要求はそれだけですか。
  65. 田中彰治

    田中(彰)委員 審議会のそれを決裁した書類、写し。
  66. 鈴木正吾

    鈴木委員長 これは出せますか。
  67. 小室恒夫

    小室政府委員 そっちの方は問題ありません。
  68. 小川豊明

    小川(豊)委員 私は今田中発言を聞いておって、ちょっとメモしたんだが、大へんな問題が出てくるものですね。たとえば開発銀行での開発全体の資金が五百七十億、これに対して電力関係が三百四十億要求したけれども、二百五億に査定されたということが、答弁でわかった。そうすると、二百五億というものが日本全体の電力関係に使われる金だと思ったが、それがこの場合、話を聞いていると、どうも九州電力べみな行ってしまうような印象を与えるのだが、この二百五億というものは、各電力会社にどれだけずつ割り当てられたかということを一つ出してもらいたい。  次に、これはここで問題にしていいかどうかわからぬけれども田中委員が現にここで発言して速記録にとどまっておるのは、献金が二億もされているということであります。これは非常に重大な政治問題だ。このことは、あなたの方で資料を出せるとは思わないから、資料要求しませんが、政治家が介入して、何建設にはだれ、何建設にはだれと、みなこういうふうにそれぞれ関係して、バツクして、そういうふうになったというが、そこまでは表面へ出ていないだろうと思うけれども、今聞いていると、三者が入札をして、最も安いところへ行かずに、高い方へ落札された。それから、その落札された工事が不正というのか、不良というのか、とにかくそれが水が漏ったりなんかして、大へんよくないものであったとすると、これは当然監督する立場にあるあなた方も関心を持たれなければならぬことだと私は思う。その工事幾らで、三者がどれだけの入札を入れて、そうしてどうして高い方へ行ったのか、その経過と、それからそういう工事に不正というか、不良の工事があったのかないのかということは、あなたの方でおわかりになっておると思うから、これも出せると思う。こういう点について、公益事業局長から、その資料を一応委員会へ出してほしい。
  69. 小室恒夫

    小室政府委員 開発銀行の二百五億の融資予定額は、三十五年度の予算の見積りでありますが、これはまだ配分はきまっておりませんから、幾ら幾らということを申し上げるわけには参りません。  それから今の入札関係書類でございますが、先ほどできるものなら提出いたしましょうと申したのは、これは各競争会社がいろいろと数字を出しておる、そういうこまかいものを一切出すということは、いろいろな立場もありましょうし、私どもはそれについて具体的な事情を承知しませんから、もう一ぺん検討した上で、何分の御返事をいたします。
  70. 小川豊明

    小川(豊)委員 そういう資金というのは、国の資金を使って開発されていくものです。そうすると、あなたの方では、それぞれの会社にいろいろ関係があるだろうから、会社関係をおもんばかるのもけっこうだが、国民の立場もおもんぱかっていただきたい。そこで、そういう資金がどういうふうに使われたか、なぜそういうような関係を生じたか、これは当然出すべきじゃないか。あなたの方でわからなければ、開発銀行でわかるだろうから、それを出していただきたい。会社関係ばかりおもんばからず、やはり国民関係もおもんぱかって、当然出すべきだ。そうでないと、この問題は、非常に重要な発言が幾つか田中委員によってなされた。従って、今後これを審議し、究明していくとしても、そういう資料がなければできないのだから、ぜひ出していただきたい。出せないということはないでしょう。
  71. 小室恒夫

    小室政府委員 調査した上でお答えいたします。
  72. 鈴木正吾

    鈴木委員長 資料提出の要求は、これにて終わりました。  田中君及び小川君の発言の趣旨については、委員長より適当に処置いたします。……。
  73. 鈴木正吾

    鈴木委員長 次に、昭和三十二年度決算外三件中、郵政省及び労働省所管を順次議題とし、審査を進めます。  まず、郵政省所管について、会計検査院当局の説明を求めます。保岡第二局長
  74. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 郵政省の部を説明いたします。百二十二ページから記述してございますが、郵政事業特別会計の三十二年度業務経費は千百三十一億三千五百余万円の決算でありまして、人件費、物件費の増加によって前年度より百八億増加していますが、一方収入も前年度より九十九億増加いたしまして、当年度も七億の利益を計上しております。郵政事業特別会計で業務などを行なっております他会計からの受入額の過不足につきましては、郵便貯金特別会計からの受け入れ不足、簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの受け入れ過剰、双方とも前年度より増加しております。  次に、郵便貯金特別会計について申しますが、三十二年度に九百八十一億増加いたしまして、総額七千四百六億の郵便貯金があります。資金コストは、利子率四・一九%、経費率二・四九%、計六・六八%で、〇・五九%の逆ざやではありますが、前年度に比べ〇・三一%好転しております。これは主として平均預託高の増加割合が多く、経費率が前年度に比べ〇・三四彩低下したことによるものであります。しかし、本年度も四十億の欠損で、繰り越し欠損金を加えますと、欠損金総額は、二百八十七億になっております。  簡易生命保険につきましては、付加損が二%で、前年度より一・三%減少しています。これは、主として収入保険料の増加による事業費率の減少によるものであります。当年度は、保険約款の改正によりまして、準備金編入額が八百六十七億ありまして、二十九億の損失を計上しております。  次に、不当事項として、不正行為は五十万円以上十一件、二千六百余万円、その態様は外務員、内務員、特定郵便局長の受け入れ報告をしないで領得したものなどで、依然として多額の報告をいたしますことは、遺憾に存じます。  以上で概略の説明を終わります。
  75. 鈴木正吾

    鈴木委員長 郵政省当局より発言を求められておりますので、これを許します。植竹郵政大臣。
  76. 植竹春彦

    ○植竹国務大臣 郵政事業特別会計、郵便貯金特別会計、並びに簡易生命保険及び郵便年金特別会計の昭和三十二年度決算の概要と、会計検査院から御指摘のありました事項について申し上げます。  郵政事業特別会計の本年度の事業損益について見ますと、収益総額は千百五十億八千余万円でありまして、損失総額千百四十三億五千二百余万円との差額七億二千七百余万円が、当期利益金となっております。この利益金は、前年度と同様、既往年度からの繰り越し欠損金二十五億千余万円を減額いたしました。  次に、その内容を申し上げますと、事業内収入は千百四十七億九百余万円で、前年度の千四十七億四千余万円に比べ九十九億六千八百余万円の増加となっておりますが、この増収の内訳は、業務収入におきまして四十五億七千五百余万円、郵便貯金特別会計、簡易生命保険及び郵便年金特別会計、日本電信電話公社等の他会計からの受け入れ増加四十九億五千六百余万円、雑収入四億三千七百余万円であります。  一方、支出の面におきましては、業務費が千亘二十一億三千五百余万円で、前年度の千二十二億八千余万円に比べて百八億四千八百余万円増加しておりますが、これは主として職員の俸給、職員の特別手当、集配運送費等の増加に基づくものであります。  なお、会計検査院から、他会計業務及び各種受け払い事務取り扱いに要した経費とその経費所要額として受け入れている他会計からの繰入額との間に過不足を来たしている事態につきまして御指摘がありましたが、これは、郵政事業特別会計が総合経理の建前をとっている結果によるものでありまして、今後経費所要額の算定につきましては、一そう慎重にいたします。  郵便貯金特別会計の三十二年度の歳入歳出の金額は四百六十一億五千七百余万円でありまして、これを損益計算上から見ますと、四十億八千百余万円の損失となり、前年度と同様、損失の繰り越しとして整理いたしました。  簡易生命保険及び郵便年金特別会計のうち、保険勘定につきましては、歳入額千二百三十億三千九百余万円に対し、歳出額は三百九十二億三千四百余万円でありまして、その差額八百三十八億四百余万円は積立金として積み立てました。  また、年金勘定におきましても、歳入額二十億八千八百余万円と、歳出額六億八千四百余万円との差額十四億三百余万円の歳入超過額は、積立金に組み入れました。  次に、会計検査院から御指摘のありました事項について申し上げます。昭和三十二年度におきましては、不正事項として十一件の指摘事項がありました。  郵政省といたしましては、不正行為の未然防止と早期発見を特に重点として業務考査および会計監査を強力に実施して、また、監督者に対しましては自治監査を厳重に行うよう指導しておるのでありますけれども、なおこの種の犯罪が跡を絶たないことは、まことに遺憾に存じます。  今後は、引き続き郵政監察官及び郵政監察官補等による業務監察及び会計監査を強力に実施するほか、監督者の管理体制を特別に考査し、その責任観念と防犯意識の高揚を期し、この種の犯罪の絶滅に努力する所存でございます。
  77. 鈴木正吾

    鈴木委員長 続いて質疑に入ります。山田長司君。
  78. 山田長司

    山田(長)委員 会計検査院の指摘事項のあったことについて、ただいま大臣から、強力にこれが監督をして、厳にこれをなからしむるように努力をするというお話があったわけですが、電電公社が急速に仕事をしなければならない事態の中に、郵政省の局長クラスの前歴の人が入って下請の会社をやっているということです。私は、こういう事態では、実際に不正を撲滅しようとしても、なかなか撲滅し切れないものがあるのではないかという気が実はするのです。そこで私も二、三知ってはいますが、電電公社等の下請機関の会社には、どんな会社がありますか。会社の名前等を、大臣でなくてもいいですから、伺いたいと思います。
  79. 植竹春彦

    ○植竹国務大臣 実は、本日電電公社から来ておりませんものですから、的確にお答、え申し上げることはできませんで、まことに申しわけないのですが、この次には電電公社も帯同いたしまして出席いたします。なお、私といたしましても、これまた詳細に調査いたしてお答え申し上げたいと思います。
  80. 山田長司

    山田(長)委員 あとの機会に電電公社があることを承知していて、私は今質問しているのです。それはなぜ私が伺っておくかというと、きょう指摘されている事項は、ほかの省から比較いたしますと、まことに金額的には僅少です。それから件数におきましても、前年度よりも減少しておるというようなことで、喜ばしい結果なのでありますが、下請機関に郵政省の局長クラスの人がたくさん入っているという問題について、いろいろ世間で問題があります。そういう会社局長クラスの人が入るということは、どう考えてみても、情実で仕事がなされるという危険があると思うので、将来、局長クラスの人で会社べ入った者が電電公社の仕事をするということについて、何か特別な規定等でも設けて取り締まる方法がなければ、やはり民間の実際にやられる企業が圧迫されるばかりでなしに、それによる不正が大きな金額で起こってくるのではないかという危険が感じられるのです。きょうは電電公社のものを扱うときでないので、それらの不正と目される問題についての質問を避けるわけですけれども局長クラスの傍系関係会社べの入社等については、何か特別な措置を講ずる必要があると思われるが、この点について、大臣はどういうお考えを持っておられるか、お聞きしたいのです。
  81. 植竹春彦

    ○植竹国務大臣 電電公社関係につきましては、今ちょっと経理局長ともだれだろうかと耳打ちをしたのですが、心当たりがないものですから、この次までに十分調査をいたして、お答え申し上げます。大体におきまして、郵政省関係から電電公社の下請に入っているのは、局長級ではないのじゃなかろうか。あってもごくまれじゃなかろうか。そこで、あるいは電電公社出身で電電公社の下請に入っている者がございますかどうか、それもあわせて調査してお答えいたしたいと思いますが、入社、採用等につきましては、役所としては特にこれに介入はいたしませんが、人事院方面で十分そういう点を注意しておるということは聞いておるのでございますが、いずれにいたしましても、この次に的確な御答弁を申し上げたいと存じます。
  82. 山田長司

    山田(長)委員 次会に的確な御答弁があるというなら、私はそれ以上は伺いませんが、局長クラスの人は相当数入っております。これは私ははっきり知っておりますから、次会にもしあなたの方と名前を照合する場合があれば、それはしたいと思うのです。それでは、公社のときに、もう一度これらのことについて大臣の出席が願えれば幸いだと思います。その点は差し控えます。  次に、今大きな問題になっているのは、駐留軍の中波の問題です。今の不当事項に入っているわけじゃないのですが、今駐留軍が中波を離したことによって、それが監督の衝にある郵政省では、どこかにその中波の波を引き継がせなければならない状態になると思うのです。同時に、全国に駐留軍が持っている放送局というものを、どこかべ払い下げることになると思うのです。これは不正事項の中に入っている筋合いのものじゃないのですけれども、この機会に、大臣のこれについての所見を伺っておきたいと思います。
  83. 植竹春彦

    ○植竹国務大臣 この問題につきましては、実は日本国内におきます電波に対する需要が非常に旺盛だものですから、何とかして波を返してほしいということをしばしばアメリカ当局に申し入れておるのでございますが、大体におきまして、アメリカの方でもこの点は一生懸命に協力してくれまして、たとえば、高い方の部類から順次返してくれている。七百五十KCというのを千五百KCに高めまして、アメリカ軍はそっちの方を使用して、位の低い波を日本の方に順次返してくれてはおります。関西方面のごときはことにそういうふうに返してくれておりますが、まだ関東方面の波は返してもらえないでおるのが実情でございまして、私も、何とかしてすみやかに返してもらいたいという折衝はいたしておるような実情でございます。もしこれが返って参りますときには、この波をどういうふうに割り当てていこうかということにつきましては、公正に、いささかも偏することなく、割当の行政を考えていく決意でございます。
  84. 山田長司

    山田(長)委員 公正であることはむろんであるし、そうなければならないわけですが、現在これが申し出ておるものの数というものも相当あるようですけれども、そうしますと、まだ、これについていかなる方途でこの波の配分をすべきかという原案的なものは、できていないのですね。
  85. 植竹春彦

    ○植竹国務大臣 まだできておりません。百三十幾つですか、ちょっと数字がしまいの方が不明確ですが、非常に希望がたくさん出ております。
  86. 小川豊明

    小川(豊)委員 御質問しますが、三十年、三十一年、三十二年と見てくると、不正行為の件数もすっと減ってきておる。これは皆さんの御努力だと思いますが、しかし、ここに三十一年度の会計検査院の決算報告にはこういうことを言われております。「不正行為の防止については、当局においても相当意を用いているにもかかわらず、なお前記のように多額の国損が発生しており、ことに、局内職員の監督の任にある特定郵便局長が多額の現金を領得している事実の発生していることは遺憾である。今後さらに監督を厳にし、事故防止のための施策を徹底する要がある。」ということが付記されているわけで、同時に十二月二十三日ですか、参議院の決算委員会では、防衛庁と農林省と郵政省に対しては、警告決議というのをやっているわけなんです。そういうわけで減っていると言い条、三十二年度には、まだ十一件というものを持っている。しかも、この中にわれわれが憂慮しなければならないのは、監督する立場にある人たち、監督する責任のある人たちが不正行為をやっているという事実があるということは、これは非常に重大であり、この点について、あなたの方で十分な考慮を払わなければならないのじゃないか。そこで、郵政当局として、さっきも大臣はいろいろ要員をふやして動員し、督励してそういうことをなからしめると言っておりますが、ここに東京郵政局の郵便局を会計検査院が検査したところが、切手の売りさばきでもって百万からも領得しておる者があった。しかも、郵政省では、月例検査期間というのを設けて何回か検査していながら、自分の方ではわからないで、会計検査院にこれが発見されたということは、今あなたが述べられたこの検査機構というか、査察機構というか、あなたは今そうおっしゃるけれどもほんとうにそこまで充実していないのじゃないかという点が心配されるのですが、これに対するあなたの方の御答弁も月並みでなく、こういうふうにするということを出してもらいたい。
  87. 植竹春彦

    ○植竹国務大臣 この会計検査院の御指摘を受けます前に発見して、すでにもう犯罪となってしまっておりますものも、検査院の方へ遺憾ながら御報告せざるを得なかったような件数のございましたのも実情でございますし、会計検査院から御指摘を受けましたのもあるような次第で、まことに遺憾に存じますが、私は、管内を自分で視察いたしました結果の御報告を兼ねて、監察制度について申し上げますと、まず、こういう犯罪が跡を断たないのは、まことに監督者の私としても遺憾に存じます。ただ、数がだんだんに減ったという事実は監察官補制度を最近作りまして以来、非常に成績が上がりました。監察官補と申しますと、年が若いので、非常に行動力と行動半径が敏活に参りますので、非常に予防に役に立ちました。この制度をさらに持続いたしまして——もっとも、定員の関係でその要員が十分には得られないのでありますが、監察官補制度をさらに強化していったならば、未然に防ぎまして、犯罪に至らないうちに予防するということになりますと、罪に陥れないでも済みますし、しかも、悪いことが少なくて済む。これをさらに活用していく必要があるし、全国的にまだ拡充していく必要がある、かように考えます。  もう一つは、ただいま小川委員の御指摘の、監督者でありながら犯罪を犯すということにつきましては、私は、二つの防止方法があろうと思います。一つは、インターナル・チェッキングのシステム、内部監査制度と申しますか、これをもっと強力に押し進めるべきことと、もう一つには、月例の監査と申しますが、この度数をふやすことである。それには、監察官といったような統括者が一々参ることができませんので——また話が循環いたしますが、監察官補を派遣いたしまして、これを押えていく。内部監査制度につきましては、私たちいかなる事業をいたしましても、経理を扱います者が、たとえば伝票を書く者とお金を実際支払う者とが同じ人間がやりますと、非常に間違いのもとになる。悪意でなくとも、そろばんの違いというのはしょっちゅうあることでございます。ましてそこに悪意が入りました場合には、なおさら思いももうけぬ不慮の御迷惑を、預金者ばかりでなく、一般大衆に及ぼすことになるから、どうにかして内部監査を厳重にしなければいけない。そうすると、無集配郵便局で郵便貯金を取り扱う、あるいは簡保を取り扱いますところでは、内部監査をいたしますにしては、あまりに従事する者の人数が少ないことが指摘されます。ことに同じ家庭の者がお互いに制止していく、監督し合うということは、内部監査制度としては非常にどうかと思われる、考えなければならない節があろうと思いますが、これを防止いたしますためにも、やはり外部から監査に行かなければならない。そこで私の視察いたしました結論は、最初申し上げました監察官補制度を大いに活用して参ることが、当面の犯罪をさらに少なくする方法であろうということを御報告申し上げる次第でございます。
  88. 小川豊明

    小川(豊)委員 私が今、年々逐次減ってきておると言ったのは、三十二年度までをいうと逐次減ってきているのです。今大臣が御答弁になったように、そういう制度を活用したから減ってきているということもいえるが、遺憾ながらこれはまだ問題にはならないけれども、三十三年度の決算を見ると、十一件が十八件にふえ、金額では約三倍近くはね上がっている。これだけの不正事件が出てきているので、従って、制度をどうしたらいいかという結論はきょうは持っていませんが、そういう制度を作り、それを励行していっても、こういう事実が出てきているのだから、これはよほどあなたの方でしっかりしてその制度を活用しないと——私は、三十二年度まではずっと上がってきたやつを確保してきているから、非常にけっこうだと思っていますけれども、まだ議題になっていない三十三年度になると、ぴんとはね上がっている。これは非常に遺憾なことで、参議院では警告決議までされているということは、名誉な話ではない。これをなからしめるように、この点についてはぜひ万全の御努力を願っておきたい。月並みでなく、ぜひそういうようにしていただきたい。こういう点を申し上げて、あとは具体的な問題を一、二お聞きして、時間の関係もありますから、本日はやめます。  郵政関係の特別会計の中で、昭和二十七年以降に赤字を続けている郵便貯金特別会計というのがあるわけです。この赤字の原因は、もちろん特殊な性質のものであることはわかります。この貯金は、資金運用部に預託されるわけですが、利子は六分だとわれわれは承知しているわけです。この預託利子の収入の増加が少ないということが、この赤字の一つの原因じゃないかと思うわけですが、二十六年度以降三十三年度までで約三百五十億の赤字が出ているわけです。この赤字の解消については、どういうふうにお考えになるか、どう処理なさるつもりか、さらにこの点について、大蔵省当局とあなたの方の話し合いというものが当然なされてしかるべきものではないかと思うのですが、そういう交渉をなされたかどうか、この点をお尋ねしたいわけです。
  89. 植竹春彦

    ○植竹国務大臣 その点は全く御指摘の通りの実情でございまして、私たちも非常に苦慮いたしておりますが、この逆ざやの解消につきましては、ただいまのところは、御案内のように、一般会計からの補てんということでございます。また、他方におきまして、貯金もだんだん実績が上がりまして金額がふえて参りますと、それだけ経費が節減いたされますが、逆ざやが少なくなっていく他方におきまして預託利子の方もだんだんに上がってきておりますので、だんだん逆ざや解消の線に向かってはおりますけれども、私たち責任者の立場といたしましては、もっと迅速に解消するような工夫をしていかなければならない。これは貯金もそうでございますが、どうも利回りがいかにも低くて、何しろ、簡保にいたしましても、余裕金を入れますと三十億までは無利息で、あとは年二分九厘二分九厘と申しますと、日歩八厘でございますか、今の経済常識で考えますと、いかにも安過ぎることになっております。これは、何とか大蔵省と十分折衝いたしまして、その理解と協力を得まして、この問題は解決していきたい。もっとも、政府全体から見ますれば、どこにどうお金が滞留いたしますとも、また、どう流用がいたされますとも、結局、全体の会計としては同じございましょうけれども、経理組織がこうやって各省別になっておりまする以上は、郵政省は郵政省としての自主的な経理を立てていくのが当然の財政方針でなければならない。さように考、えますと、全く御指摘の通り、利回り問題、資金運用の問題につきましては、預託利子の利上げの問題、さらに資金の運用の相手方を——どういう有価証券を保有していいか悪いかという問題も起こって参ろうと思います。その運用面においても十分考慮していかなければならない、そういうふうなことで、実はこれは絶えずという言葉を使って御答弁申し上げたいほど、機会あるごとに折衝を重ねております。さらに、この問題は一気呵成に乗り切れませんければ、漸進的なりとも、何としてでもそろばんのとれるように、これを単に一般会計から埋め合わせてもらうことでなく処理して、御指摘の目的を達成して参りたい、さような所存でございます。
  90. 小川豊明

    小川(豊)委員 御答弁よくわかるのです。国の財政からいえば、安く預金してしまうのだから赤字が出る、赤字は一般会計から出してもらえばいいということはわかりますが、しかし、あなたは郵政大臣なのです。郵政省のことも十分考えるべきであり、その点からいって、郵政省は、自主財源を持つことによって郵政事業の発展ということもなし得るのだから、この点での考慮というものは十分払うべきじゃないか。こういう預金部資金へ行った金は、この前ここで議論になって、あるいは開発銀行に回る、あるいはどこへ使われているか、事業会社等の利益を得るのに大いに寄与しているのだから、この点からも、国民の零細な金なんだから、これに対して利子を上げるということが国の財政計画にどう影響するかということも考えなければならぬのは十分であるけれども、低過ぎる。従って、これは郵政省がもっと自主財源を持つためには、この点についての考慮を払うべきだ。  いま一つは、お説のように、残高を上昇させていくことで、これは内と外との関係、うらはらの関係なんで、この点についても、これはあなたの方で十分にお考えはしておるでしょうけれども、この点の努力を払っていくことによって——たくさんの金を安く預金して、赤字を出して、大蔵省にぺこぺこおじぎをしてまた一般会計から出してもらうなどということは、郵政省としてはそつのあり過ぎることで、もっとそつのないようにしていくべきでないか、こういうように考えるわけですが、これは御答弁はいただかなくとも、大体私の申し上げることと大臣の考えておることと一致するだろうと思うが、この点は十分に御努力願いたい。  次に簡易保険、郵便年金の特別会計の事業ですが、熱海とか別府とか小樽とかに老人ホームが設置されているし、さらにこれがいろいろ希望が多いので、大阪にも設置するというようなことも聞いているのですけれども、これに対する資金運用面はどういうふうになっていますか。
  91. 大塚茂

    ○大塚政府委員 老人ホームの設置の経費は、建設勘定から支出をいたしております。それから運営に要します経費は、事業費として支出をし、また、それに対しまして、利用料金が一部事業収入として入ってくるという仕組みになっておりまして、これは積立金の運用として運用をしておるわけではございません。
  92. 小川豊明

    小川(豊)委員 この利用料金というのは、いろいろケースがあって違うだろうと思うが、一体どういうふうな算出で利用料金というのは計算され、徴収しているわけですか。
  93. 大塚茂

    ○大塚政府委員 国の施設でございますし、もともと被保険者の福祉施設ということで経営いたしておりますので、大体民間その他で経営されておるものよりも安くという考えで料金をきめております。従って、現在ただ運営経費だけを見ましても、収支償ってはおりません。赤字になっておるという状況でございます。
  94. 小川豊明

    小川(豊)委員 時間がありませんから、もう少しこの点を掘り下げたいと思うが、先に進みます。  特定局という制度があって、この設置状況ですが、設置を希望する数というものはたくさんあるが、設置基準というものがあって、これはなかなかそう要望にくっつくわけにいかない、これはわかるんですが、こういう特定局設置要求に対する予算の措置というのは、一体どうなっているのか。それから、郵便局舎の改善の八カ年であったか、六カ年計画であったか、そういう計画が郵政省では樹立されたということをわれわれは承知しているんだが、その計画は、その計画のように今日進んでいるかどうか、この点。  それからこれもあわせて聞きますが、特定局の局舎は、借り上げしているんじゃないですか。大体地方における特定局は、借り上げしている、こう私は聞いているわけだが、こういう制度は廃止すべきだということは、当然議論として定説になっているわけだが、そこで直営の局舎を建てる計画というものは、どういうふうに今進められているか、いないか。いるとすれば、どういうふうにこれが進行しているか、この点。  それから、簡易郵便局は、役場、農協等で、これは公衆の便益をはかるために作られているわけでしょうが、ところが、この業務担当者というものは、一定の担当者はあるけれども、これがほんとうの職員として完全に職員の訓練等は経ていない。同時に、これでもって切手売りさばきや貯金等を扱っているわけだが、それではまかないきれないので、わずかに月三、四千円の手当みたいなものでこういう仕事をさしているところがかなりあるというが、それではいけないから、こういうことをやめるというんじゃなくて、これは便宜のために作ったのだからいいと思うが、さっき言ったいろいろな事件が起こってくるのも、こういう安い、給料にもならないようなもので使っている場合にはやはり事故は起こりがちになるのではないか。幸いに、ここに事故があまりないようだけれども、こういうものの対策というものは十分に立てるべきではないか。これに対する御見解、この点を承りたいと思います。
  95. 植竹春彦

    ○植竹国務大臣 まず計画に対する御質問にお答え申し上げますが、三十三年度予算の編成当時は、緊急を要します無集配特定局が五百カ所あったのでありまして、これを三カ年に解消して要求に満たしていきたい、さように考えておりましたところが、予算の方は二百局の増置しか認められなかったのでありますが、その後、設置の要望が全国に広がりまして、七百カ所ばかり特定局を作ってくれという要望がございました。そこで三十四年度、本年度におきましては、三百局増加要求をしたのでございますが、また、三十四年度、本年度も二百局に決定されました。その予算の範囲内で新しい無集配特定局の設置を実施しておりまして、本年度のは、大体局の配分が決定いたしました。以上のことをまとめて申し上げますと、三十年度から三十四年の秋までに、配分の局数の五百五十の配分がきまったわけでございます。そのうち、三百二十五局はすでに完成いたしまして、残りの二百二十五局につきましても、大体もうでき上がる、あるいはすでに建築に着手したような次第でございます。そうしてこの建物につきましては、借り上げの場合もございまするし、また、役所の方で建設費を出して建てる場合もございまして、その土地の状況、また置局を希望いたしますものの実情を勘案いたしまして、そういったようにあるいは個人で持っておりますものを借り上げて使っておる場合と、両方あるわけでございます。むろん、これは全部役所の方で持ちますのが建前土はけっこうなのでございますが、財政的になかなか全部は予算が獲得できないので、こういったような状態でございます。  簡易郵便局につきましては、これは大体農協とか役場とかが経営いたしておりますので、その役場の方で実際仕事をする者に対する手当が、あるいは安い手当でもってやらしておるのがある場合もあろうかと想像されますけれども、その訓練につきましては、やはり郵政局といたしまして、所定の業務訓練を行なっておるのでございます。なお、詳細は、郵務局長がただいま出席いたしておりますので、郵務局長からお答えさせていただきます。
  96. 板野覺

    ○板野政府委員 ただいま御質問にございましたように、大体簡易郵便局が、現在千二百六十九局でございますか、設置されておりまするが、大体その平均の手数料が、三千二百五十円くらいになっております。それで、これは少し安過ぎるのではないか、こういうお話でございますが、元来、この簡易郵便局は、非常に経済的に、能率的に、へんぴな地域までに郵便局を設置いたしたい、なるべくその負担が郵政特別会計にかからないように、こういう趣旨から、市町村あるいは農協とかその他の御協力も得て、御希望の向きにこれを設置する、本来の考え方がそういうことでございましたので、つまり平均手数料は非常に安いわけでございます。しかし、その半面、市町村の職員といたしまして、これが給料なり月給なりを受けておられることと私どもは想像しております。しかし、実態を調査いたしますると、やはり市町村の名義でそういう簡易局をやっておられるというようなところもあるように、私ども見ております。従いまして、私どもといたしましては、その実態に即したような方法でこの簡易郵便局制度を改善いたしまして、その手数料もそれに従って上げていきたいというように、現在のところ考えておる次第でございます。
  97. 小川豊明

    小川(豊)委員 私は、簡易郵便局の制度というのは、なかなか妙味があると思う。別にこの問題についてどうということではなくて、またもとに返るが、一方においては巨額の金を安く預金しておきながら、自主財源がないためにこういうことをやらなければならないということで、郵政業務としてこれはもっと考えていいのじゃないか。     〔委員長退席、鹿野委員長代理着席〕 充実し、拡充していくということも考えるべきじゃないか。そういう点からも、冒頭に申し上げた預託金というものは、あなたの方で十分に考える必要があるじゃないか。金が非常に必要な状態になっていながら、一方においては、それはいろいろ問題はあるだろうが、あなたの方で活用すれば十分得られるにもかかわらず、それがそのままになっている。これがいいか悪いかは議論があるが、これは当然考えるべきじゃないかということであります。  そこで、最後に具体的に一、二点あげますが、この百二十五ページから百二十八ページにわたるいわゆる不正行為により国に損害を与えたものというのは、これは今お聞きしたからいいです。ただ問題は、件数や金額が問題ではなくて、これがぽこつとやられたのでなくて、長期にわたってやられていて、そうして発見がおそかったというところに、郵政当局として考えなければならぬ点があるわけです。これに対する対策は、先ほどの御答弁でもややわかるけれども、これに対して、どういうわけでこんなに長い間やっていられてわからなかったのか、ということについての反省はなさるべきだと思う。  それからもう一つ、これは、この前の国会でも、収入印紙の売り払いで大へん問題になった。そうしてあなたの方では、この封筒というか、印紙を入れて渡してあるものは、外から見てわかるように透明なものにして犯罪を防止する、こういう措置をとったということを答弁されているのです。その結果として、これは効果があったのかなかったのか。透明だけれども、ある局では、あなたの方で検査に行ってみれば、ちゃんと密封してあるんだから、これで何枚入ってるとやってきた。ところが、うしろから抜いてしまって売っていたという事実があったでしょう。そうすると、透明だけではいけないわけなんだが、しかし、それでもやらないよりはいいことなんで、その効果はあったかどうかということ。  それから、終わりだからもう一点つけ加えてお聞きすると、半田局の問題なんだ。これを見て、僕らも大へんなことをやったものだと驚いているのですが、ここでは、印紙売り払いから見て、そこへそんなにたくさん保管させておく必要はないと僕らは思う。そういうところに、監察官制度を置いた、査察制度を作ったというけれども、何か僕のふに落ちないのは、三百万か四百万あれば十分足りるものを、一千万も一千五百万もあるというのは、どんどん届けていくからこういうことになった。すでにそんなに残高があるということに対して、不審を感じなければならないはずなのです。ところが、それを感じずに送っているところに、これはむしろ現場よりも、もっと上のところに、そういう注意の足りなさというものが考えられる、こう思うのです。これに対して、あなたの方ではどういう措置をこれからおとりになるつもりか。おかしな話ですよ。三百万かそこらあれば十分足りるものを、そんなにたくさん送り届けなければならないところにさっき大臣は査察制度を完備する、完備するといっているけれども、もう要るというと、上では幾らでもかまわない、送っているというところに、こういう問題が出ると思う。これはどういうふうになさるつもりです。
  98. 西村尚治

    ○西村(尚)政府委員 ただいま御質問の半田郵便局の件でございますが、なぜそんなに何千万もの保有量を持っているのかという御指摘は、まことにごもっともだと思うのであります。これは実は、切手や収入印紙の配給ルートを簡単に申し上げますと、本省の資材部で印刷局に発注いたしまして作るのでありますが、全国には、郵便局の数が津々浦々に普及しておりまして、無数にございますので、それを一々本省で配給するわけに参りませんので、全国の主要郵便局を指定いたしまして、それを主任配給局ということに今呼んでいるわけでございますが、そこに一応ストックを持たしておくわけであります。そうして、半田郵便局がたまたまその主任配給局に該当しておったわけでございます。そこでは、その近辺の群小の郵便局から要求がありましたときに、そこが中心になって配給するという主任配給局に当たっておったわけでございます。それで、若干潤沢目に在庫を持たしておったと思うわけでありますけれども、これが過大に在庫を持っているということが、今の御指摘の犯罪事故を誘発するもとになるという点にかんがみまして、この事故が起きましてから、さっそくその配給ルートを再検討いたしまして——従来は、その主任配給局から本省に対しましては、年数回にわたりまして、そのときの在庫保有高と、それから近い将来の必要量というものを記入した準備要求書を提出する。それをそのままというわけでもございますまいけれども、不足になったら困るというような気持も手伝いましてやや潤沢目に無制限に送っておったが、ところが、それではいけないというので、今後は、過去三カ年間の実績というものを本省におきまして徴して、厳密に年間の所要量というものを査定いたしまして、定期配給をいたしまして、過大な在庫を持たせないように、そうして臨時の要求がございますときには、なぜそういう必要が起こったかということを一々たんねんにチェックさせるというシステムに切りかえて、そうした事故の防止を配慮することになったわけであります。  それから、先ほど御指摘がございました切手や収入印紙の包み紙を、従来は不透明なものであったのでありますが、ポリエチレン製の透明な包装に変えたわけでございますが、これの効果はどうかというお話でございましたけれども、これも、半田郵便局で起こりました事故を契機として、昨年から実施いたしましたばかりでございまして、その効果がはたしてあったかどうか、具体的にはまだちょっとあげるわけに参らないのでございますけれども、従来は、こういう大型の封筒に包みまして、印刷局の方で封緘の部分に印を押しまして、これを在庫として積み重ねておったわけでございます。この中身を抜き取りましても、月例検査その他で員数検査をやるわけでございますけれども、非常にうず高く積まれたものを一々たんねんにやるわけにいきません。半田の場合は、実に巧妙に中身をすり取ったわけでございます。それで員数検査も、中身を一々当たらないで、ただ封をしてあって、印刷局の検印がありますれば、大丈夫だろうということで、実は封包だけで検査をした、そういう傾向があったようでございます。それを、今度は封筒の横を透かしにいたしまして、中身がはっきり見えるのと同時に、こちらの側でも、中身の耳がちゃんとそろっているかどうか、事故を犯した形跡がないかどうかということが、簡単に明瞭に見えるようになっておりますので、必ずや効果は上るのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  99. 小川豊明

    小川(豊)委員 印紙がこういうふうにしてあるから大丈夫だというのじゃなくて、それはそのあと取りかえたっていい。検査するんなら、一たん出して、一応調べて、また封をしてくればいいと思う。そういうふうに、制度は作られている。制度としては私いいと思うんです。制度は作られるけれども、制度が活用されてないところに、こういう問題が出てくるんで、このことは、もう参議院の決算委員会でああいう警告が出ているんだから、僕の方ではここでとやかく言わないが、そういう点について、今後十分に事故をなからしめるようにして、郵政省の信用と名誉を十分取り返してもらいたいということをつけ加えておいて、私の質問を終わります。
  100. 鹿野彦吉

    鹿野委員長代理 郵政省所管については、この程度にとどめておきます。      ————◇—————
  101. 鹿野彦吉

    鹿野委員長代理 次に、労働省所管について、会計検査院当局より説明を求めます。白木第三局長
  102. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 決算報告について、概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計の方から申し上げますが、一般会計におきましては、例年、決算額の約半ばを占めておりまする失業対策事業に対する補助金を重点的に検査をしておりまして、ここに掲げておりますのも、その関係でございます。ここ数年来、私どもといたしましても、失業対策事業を、経理の面あるいは事業効果の面から、重点的に、地方公共団体について相当こまかい広範囲な実地検査もやっておりますが、制度自体がきわめて問題の多い関係から、種々の指摘事項がございます。  まず、経理面から申し上げますと、その大部分は、補助基本額に算入してならない経費を含めておるという事態でございまして、具体的に申しますと、労働省において年末年始の対策として認めております、日数以上に就労しない者に賃金を払っておるとか、あるいは半日就労しておる者に一日分の賃金を払っておるとかいうものが、大部分であります。その他、監督のために特に地方公共団体に補助金を交付して、監督要員であるとか事務補助員とかいうようなものを設けておりますが、これらの職員が予定通りに充足されておらないのに補助金を支払っておるという事態でございます。  そのほかに、失業対策事業も、その実質においては一般の公共事業と同じものでございますので、失業者の吸収のほか、さらに事業効果というような面も要請されるところでございますが、この面が必ずしも十分でないという観点に立って検査をいたしました結果が、ここにあげております三件でございます。  長くなりますので、ごく概略だけを申し上げますが、たとえば、北海道の留萌市の失業対策事業について申しますと、これは直接海洋に面した海岸道路でございますのに、から石積みで施行したため、これが崩壊いたしまして、その復旧においても、海岸道路としての十分の根入れがされていないという関係から、再度崩壊をしておるという事案でございます。これは失対事業における資材費の関係、その他いろいろ問題もあると思いますが、やはり事業として施行する以上は、一般の公共事業と同じような効果を確保すべきであるという観点から、指摘しておるわけでございます。  次の青森県の分は、これは多少地域的な制約もございますが、普通の失対事業として、砕石の製造をやっておるという事案でございます。その結果は、非常に高い砕石についておりまして、一般の市販の砕石を購入した場合の倍以上になっておる。ほかに適当な事業がなければ、場合によってやむを得ない面もございましょうし、また、冬季等におきましては、青森等ではやむを得ない面もあるかと思いますが、その他の場合には、道路整備事業その他適当な事業が相当ございます。現に、労働省の承認を受けてなお未施行のものもあるような状況でございますので、こういう不経済なことをしないで、砂利は普通の砂利を買って、ほかの有効な事業に回した方がいいのじゃないか、こういうのでございます。  次の高知県の大方町の海面埋立工事でございますが、これは地元事業主体の失対事業就労者の発生が非常に少ない、それから仕事自体に相当の技術あるいは経験を要するといった関係から、本来失対事業としてはやや無理な仕事ではなかったかというような観点から、指摘しておるわけでございます。現在ごく一部を着工しただけでありまして、失業労務者の不足その他のために、そのまま放置されて現在に至っておるものでございます。  なおこのほかに、失対事業につきましては、一般的に公共事業に比べまして、能率が非常に悪い。これは専門の労務者ではございませんので、ある程度能率の低いことは当然でございますけれども、概説のところにもちょっと触れておりますように、三倍以上、はなはだしいものは二十二倍というような点も見受けられます。この点については、労働省におかれましても、能率向上のためのいろいろな措置を講じておられますが、やはり失対事業の基本的な問題であるかと考えております。  次に、特別会計について申し上げます。労働省で所管いたしております、労働者災害補償保険特別会計及び失業保険特別会計の給付及び保険料の徴収の関係でございます。  まず、労災保険の関係から申しますと、保険給付の点につきましては、主として休業補償を中心に検査をいたしております。これは、被災労務者が、休業期間中に事業主から賃金の支払いを受けておるのに、保険金を支払っておる、あるいは休業日数が所定の日数に満たない短期間の場合にも給付しておるというようなものにつきまして、労働基準監督署におきまして、人手の不足その他の関係から、あまり実査が行なわれていない、そういう関係から、相当こういった不正支給が行なわれているということでございます。なお、この点につきましては、基準局に給付調査官という制度が設けられまして、その後の私どもの検査では、著しく改善されておるように見受けております。  次に、保険料の収納の関係でございますが、これは、次に申し上げます失業保険の保険料の場合と同様に、保険料算定の基礎となりますところの賃金総額について、事業主が事実と相違した報告をしておるものを、実際に調査しないでそのまま徴収しておる。従って、徴収不足になっておるのでございます。この点については、私どもの検査では、県の失業保険の担当課で同じような賃金総額の調査をやっておりまして、これは事業主について具体的に調査をしたものでございますが、こういったものを労働基準監督署でも労災保険の保険料に活用されれば、私どもが指摘しましたような徴収不足は相当防止できる、こういう観点から掲げておるわけでございます。  次に、失業保険特別会計の給付と保険料の徴収の関係でございますが、失業保険の給付の面につきましては、失業者が再就職しておるのに、引き続き公共職業安定所で保険金を支払っておるという事態でございます。この種の事態は、従来からもたびたび指摘されております関係から、三十二年度についても、この点を中心にやったわけでございますが、従来と異なります点は、適当に各安定所を選ぶという方法でなくて、失業保険金の受給者の多い都市の大きな安定所について実施したわけでございます。その結果、やはり従来と同様に、相当数のこの種の不正受給の事実を指摘しております。なお、この点につきましては、再就職の事実、あるいは失業保険の受給資格の不足というような点を、近接した各安定所間で適当に通報いたしまして、調査を綿密にやれば、相当数この種の事故は防止できるというものでございます。なお、労働省におかれましても、失業保険給付調査官を活用されまして、その防止に努力されておる点は、私どもでも十分にその成果を認めておるわけでございます。  最後に、失業保険の保険料でございますが、これも、普通は大体労災保険の場合と同様でございまして、やはり賃金総額が間違ったままで徴収決定がなされておる、そのために保険料及び追徴金の徴収不足が相当多数見受けられる、こういう事態でございます。  簡単でございますが、以上をもちまして御説明を終わります。
  103. 鹿野彦吉

    鹿野委員長代理 次に、労働省当局より発言を求められておりますので、これを許します。赤澤労働政務次官
  104. 赤澤正道

    赤澤政府委員 昭和三十二年度決算検査報告におきまして、労働省が御指摘を受けました事項は、一般会計におきましては、失業対策事業費補助金にかかる経理が当を得ないこと、及び事業計画が適正を欠いていることについてであります。これらは、いずれも会計検査院の御指摘の通りでありまして、まことに遺憾に存ずる次第であります。補助金の効率的使用、適正な経理及び作業能率の向上等につきましては、常に留意し、鋭意これが改善に努力いたしているところであります。従いまして、指摘事項の改善諸施策の一環といたしまして、昭和三十二年度におきましては、補助金等にかかる予算の執行の適正化に関する法律に基づき、市町村が事業主体となる補助事業につきまして、補助金の申請書及び実績報比量易書類審査、及び立ち入り検査等の事務を都道府県知事に委任して、事業の適正な運営に実効をあげ得るよう措置いたしました。  なおまた、従来より実施いたして、おります中央及び地方の失業対策事業監察官による事業主体に対する監査及び指導を今後も一そう強化して、御指摘のような事例を生ずることがないよう努力いたす所存であります。  次に、労働者災害補償保険特別会計並びに失業保険特別会計における保険給付の適正を欠いたこと、及び保険料の徴収不足について御指摘を受けました。保険金についての不適正給付の防止につきましては、不正受給調査機構の充実をはかり、極力実地調査を励行しておりますが、今後も実地調査の対象選定等に工夫を加え、一そう給付の適正化を期する次第であります。また、保険料の徴収不足につきましては、職員の不足等により、実地調査が行き届かず、一部に徴収不足を来たす結果となったことは、まことに遺憾でありまして、今後とも保険料の算定の基礎である賃金総額の把握に努め、事業主に対する指導、及び合理的かつ効果的な実地調査を励行し、また、国税庁等関係機関との連絡を密にして、保険料の徴収の適正化に努力いたす所存であります。
  105. 鹿野彦吉

    鹿野委員長代理 質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。小川豊明君。
  106. 小川豊明

    小川(豊)委員 この労働省所管の問題は、失業対策事業の比重が一番大きいわけなんです。ところがわれわれの立場、考え方というのは、こういう失業対策事業というのは、もっとどんどん拡充していかなければならない。法律は、重箱のすみをほじるということはある。法律は仕方がないが、政治としては、そんなにほじってしまったら、やりようがなくなるのではないか。こういうことも一応考えてみるべきで、極度にこれを、それがどうだ、これがどうだと言ってしまったら、やりようがなくなる。しかしながら、こういう制度は信頼を得ていくということも大切だから、やはり適正は期さなければならぬということも考えて、一、二お聞きするわけです。  先ほど申し上げましたように、労働省所管では、失業対策事業が一番多い。やはり補助金の経理が一番問題点になってくるわけです。これで拾ってみると、事業主体が個人、民間ならまだしも、都道府県、市町村という地方自治体かやっているのが多い。この点は私が昨年度にも一応指摘したわけですが、こういう官庁が、例年やはり同じ誤りを繰り返しておる傾向があるけれども、これは指導等において欠けるところがあるのじゃないか。これをもっと徹底させる必要があるのではないか、この一点。  それから事務費が三分の二ばかりと、資材費が三分のこういうように画一的に補助金が給付されておって、残りは当該自治体が持つわけですが、この点も労働省としては考えなければならぬ点が出てくるのではないか。この区分を見ると、大半が労力費でありますが、失対事業の意義が自治体に十分に理解されないで、何とかして補助金をとってやれば喜ぶだろうというような、安易な形で取り扱われているのじゃないか。従って、こういう点について、もっと失対事業の意義を労働省自体が各地方自治団体に徹底させる必要があるのじゃないかということが、この報告の中から看取されるのですが、これに対する御意見を承りたい。
  107. 赤澤正道

    赤澤政府委員 小川委員の申さるる通りでありましてただいま労働省の考え方から政府の意見を申しましたが、会計検査院を前に置いて言うのはおかしいですけれども、やはり私どもといたしましては、気の毒な失業の立場にある人たちを救済して、それでもって生活を立てさせる趣旨のことでありますから、ほんとうはゆるやかな態度で臨みたいと思うのですが、何と申しましても、これは国費でございますから、労働省といたしまして、今申しましたような決意は実は持っておるわけでございます。もちろん、賃上げもしなければなりませんし、就労日数もふやしたいという気持を持っておりますけれども、なかなか予算が十分とれないものですから、現在の状態であるわけでございます。  ただいま労力費、資材費等のことがいろいろお話に出ました。事業によって、労力費、資材費の比率は違っております。失対事業からいいますと、ほんとうは、出した金のほとんど大部分が労力費になって、働いた人たちのふところに入れば一番いいのですけれども、しかし、そういう事業が案外少なくて、やはり土地の買収費が相当かかるとか、あるいはセメントその他の資材費が要るとか、こういうものが加わってきませんと、なかなかいい仕事川できぬような状態であります。もちろん、これは画一的ではありませんので、事業によっていろいろこまかく違ってはおりますけれども、しかし、冒頭申しましたような趣旨の事業であますから、今小川委員の言われたような、御期待に沿うような予算のつけ方をいたしたいと考えている次第であります。
  108. 小川豊明

    小川(豊)委員 次に、もう一点問題があるのです。失業対策事業は、道路工事とかその他の土木工事というようなもので行なわれていくわけでありますが、施行していくのに、この失対事業工事では、効率というか、そういうのが非常に低いといわれているのです。事実そうらしい。これは想像もできる。わからないわけでもない。しかし、これはやはり効率を高めていくようにしないと、せっかく政府が手を入れている失対事業仕事の伸びがないわけだから、この効率を高めることは、やはりあなたの方で十分に考えて、手を打たなければならない点だろうと思う。この効率を高める措置といいますか、こういう点はお考えになっておられますか。お考えになっておられるとすれば、どういう計画なりをしておられるか、この点をお尋ねしたいわけです。
  109. 赤澤正道

    赤澤政府委員 これは普通の民間でやっている土木工事と違って、俗に切り投げとか部分請負とかいっておりますが、能率本位のやり方ではやれないわけです。従って、残された方法としては、指導・監督を綿密にする。これは一番大事なことは、事業主体が計画を立てますときに、十分効率の発揮できるような立て方をしなければやれないわけですから、そこでその指導・監督を強化する意味におきましては、労働省としていろいろな措置を講じておる次第でございます。
  110. 小川豊明

    小川(豊)委員 ことに、これは熟練した人でもなければ、技術のある人でもない人たちが就職しているのだから、労働効率が落ちていくことは言うまでもないということはわかるでしょう。しかし、これは、今後そういう効率を高めるためには、技術指導をするとかなんとかいう措置をとってやっていかないと、失対というのは、何か食いものみたいなものに考えられたのでは困ると思う。やはり考え方としては、精神の高い考え方の上に立てられた制度であるということを、地方自治体の側にも認識してもらい、一般の人にも認識してもらうために、この技術指導というようなことは考えるべきではないかと思うのですが、こういうことについてお考えになりませんか。手の打ち方というものはないわけでしょうか。
  111. 赤澤正道

    赤澤政府委員 ただいまここへ労働省の訓練部長が来ておりますが、言うまでもなく、職業訓練を施して、技能を身につけて、そうして多少とも安定性のある職業につかせたいという考え方もありますし、もちろん、土木関係の方でもそういったことをやっておるわけでございます。それから資材、器材等の費用も、逐次予算的には増していっておるわけでございます。それで今度石炭でできました緊急就労だとか、あるいは特別失対、こういう方面と違って、いわゆる一番広い一般失対、これはもうここにやってくる人たちの平均年令は、非常に高いわけです。ほとんど五十才が平均年令になっておりますので、今さら訓練して云々というようなことは、なかなか困難の面もありますけれども、にもかかわらず、われわれの方としては、そういう機会は与えてあるわけでございます。
  112. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは平均年令が高いし、技術も何も身につけてないから、当然あり得ることですが、やはり今後失業者というものは、決して低下していかないでふえていくのです。だから、この措置も講じていく必要があるのではないか、これは意見ですけれども……。  次に、これは小さい問題ですが、やはり失業対策の一つだろうと思うが、この間、東京都だと思うが、道路で緑の旗を持って交通整理をしておる。あれは失業対策でやっているのだと聞いておる。これは緑の旗のおばさんということで、言葉は美しいが、別に交通整理の訓練はないから、何か事故を起こして、三人か死亡者を出した。こういう点で、これは問題は大した問題じゃないが、失業対策としてこういう方面に使うということ、就職をさせるということは、よほど考えなければならぬのではないか。交通整理ならば、やはり交通巡査でないと整理する権限がないわけですから、こういう事故が起こってくるので、失業対策というのは、こういう方面にはやらないで、ほかの方面にやる必要があるのではないかということを考えたわけですけれども、これはあまり小さい問題ですから、どうということはないが、事故を起こして人を死なせていますから、こういう方面に使うのは考うべきではないか。
  113. 有馬元治

    ○有馬説明員 きょうは、失対部長の代理で参りました。今、小川先生の御指摘の交通整理のおばさんの問題でございますが、これは都費負担でもって、全国では試験的に始めたわけであります。始めるにつきましては、交通整理に関するいろいろな予備知識、作業訓練を多少施して現場に出したわけでございますが、御指摘のような事故もありまして、このやり方を全国的に推し進めていこうという考え方は、現在のところとっておらないのでございます。
  114. 鹿野彦吉

    鹿野委員長代理 労働省所管についてはこの程度にとどめます。      ————◇—————
  115. 鹿野彦吉

    鹿野委員長代理 この際理事の選任についてお諮りいたしたいと思います。去る十日の議院運営委員会理事会の決定により、理事の員数及び各会派割当基準は、当委員会におきましては、自由民主党五名、社会党二名、民主社会党一名の八名となっております。  ついては、当委員会といたしましては、理事二名の選任を必要といたしますので、この選任を行ないたいと存じます。これは、先例によりまして委員長において御指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 鹿野彦吉

    鹿野委員長代理 御異議なしと認めます。よって、委員長は、高田富之君及び田中幾三郎君を理事に御指名いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後一時十二分散会