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1960-05-06 第34回国会 衆議院 議院運営委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月六日(金曜日)     午後零時五十四分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 菅家 喜六君 理事 佐々木盛雄君    理事 長谷川 峻君 理事 松澤 雄藏君    理事 三和 精一君 理事 柳田 秀一君    理事 下平 正一君 理事 池田 禎治君       天野 公義君    藏内 修治君       竹下  登君    古川 丈吉君       毛利 松平君    小林  進君       阪上安太郎君    八木  昇君  委員外出席者         議     長 清瀬 一郎君         副  議  長 中村 高一君         議     員 佐々木盛雄君         議     員 長谷川 峻君         事 務 総 長 鈴木 隆夫君         衆議院参事         (警務部長)  山野 雄吉君     ————————————— 四月二十七日  委員久野忠治君、高石幸三郎君及び二階堂進君  辞任につき、その補欠として長谷川四郎君、天  野光晴君及び椎熊三郎君が議長指名委員に  選任された。 同月二十八日  委員小沢貞孝辞任につき、その補欠として木  下哲君が議長指名委員に選任された。 五月六日  委員椎熊三郎君、長谷川四郎君及び木下哲君辞  任につき、その補欠として藏内修治君、竹下登  君及び小澤貞孝君が議長指名委員に選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国会審議権確保のための秩序保持に関する  法律案(第三十三回国会衆法第二二号)(参議  院送付)  議員吉田茂君及び同北澤直吉請暇の件  原子力委員会設置法の一部を改正する法律案の  回付案の取扱に関する件  国会法第五十六条の二による本会議における議  案の趣旨説明聴取の件  公聴会開会承認要求の件  故小西寅松君に対する追悼演説の件  日本電信電話公社経営委員会委員任命につき同  意を求めるの件  電波監理審議会委員任命につき同意を求めるの  件  庶務小委員長報告  国会職員給与等に関する規程の一部改正の件  国会議員秘書給料等に関する法律の一部を  改正する法律案起草の件  本日の本会議議事等に関する件      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより会議を開きます。  まず、議員請暇の件についてでありますが、議員吉田茂君及び同北澤直吉石から、日米修好百年祭に出席並びに木国及び西欧各国政治事情視察のため、五月十二日から本会期請暇申し出があります。  本件は、先ほどの理事会における話し合い通り、いずれもこれを許可することとし、本日の本会議においてこれを決定することに御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  4. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、回付案の取り扱いに関する件についてでありますが、内閣提出にかかる、原子力委員会設置法の一部を改正する法律案が、参議院において修正され、本院に回付されて参っております。  回付案の内容について、事務総長から説明を願います。
  5. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 本案は、本年四月一日から施行することになっておりましたものを、この期日はすでに経過いたしておりますので、公布の日に改めるものでございます。
  6. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 それでは、本回付案は、先ほどの理事会における話し合い通り、本日の本会議において議題とすることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  8. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、本会議において趣旨説明聴取する議案についてでありますが、内閣提出にかかる、農地法の一部を改正する法律案、及び農業協同組合法の一部を改正する法律案について、日本社会党及び民主社会党から、本会議において趣旨説明聴取旧いたしたいとの申し出があります。  右両法律案は、先ほどの理事会において話し合い通り、本日の本会議において趣旨説明を疎取し、これに対する質疑を行なうこととするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、農地法の一部を改正する法律栗、及び農業協同組合法の一部を改正する法律案趣旨説明は、菅野国務大臣が行なうことになっております。右の趣旨説明に対し、日本社会党出村関一君、民主社会党小沢貞孝君ひら、質疑申し出があります。質疑時間は、先ほどの理事会における話し合い通り、おのおの十五分程度とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしましん。  なお、西村君の要求大臣は、総理大臣農林大臣及び大蔵大臣であります。また、小澤君の要求大臣は、総理大臣及び農林大臣であります。
  11. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、公聴会開会承認要求の件についてでありますが、去る四日、日米安全保障条約等特別委員会から、日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約締結について承認を求めるの件、日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の締結について承認を求めるの件、日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約寿締結に伴う関係法令整理に関する法律案について、公聴会を開会いたしたいとの申し出があります。本件につきましては、先ほどの理事去における話し合い通り、これを承略すべきものと答申するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしましん。  なお、本公聴会は、来たる十三日及け十四日の両日開会する予定とのことじあります。
  13. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、故小西寅松君に刑する追悼演説の件についてでありますが、先般の委員会において、同君に刈する追悼演説は、御遺族の都合もあり、適当の日の本会議において、民主社会党西村榮一君が行なうことになっておりましたが、右追悼演説は、先ほどの理事会における話し合い通り、本日の本会議において行なうこととするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  15. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、各種委員任命につき同意を求めるの件についてでありますが、電波監理審議会委員秋山龍君及び丹羽保次郎君を再任し、日本電信電話公社経営委員会委員大和田悌二君及び中山素平君を再任することについて、内閣から本院の同意を求めて参っております。  右各件は、先ほどの理事会における話し合い通り、いずれもこれに同意を与うることとし、本日の本会議において議題とするに御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  17. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、庶務小委員長から、報告のため発言を求められております。これを許します。三和精一君。
  18. 三和精一

    三和委員 本日の庶務小委員会で協議決定した案件について御報告いたします。  その第一は、国会職員給与等に関する規程の一部を改正する規程案でありまして、一般職職員給与に関する法律及び特別職職員給与に関する法律の一部改正案に準じ、中級職員給料月額増額改訂と、給料表に所要の調整を行なうとともに、従来から、議会開会中勤労著しい職員に支給しておりました議会手当が、三十五年度から予算に国会特別手当として正規に組み入れられましたので、その規定整理を行なったものであります。  第二は、国会議員秘書給料等に関する法律の一部を改正する法律案でありまして、これも一般職職員給与改訂に伴い、国会議員秘書給料月額を、月額千百円増額し、現在の二万三千三百円を二万四千四百円に改め、昭和三十五年四月一日から適用することができるように改正するものであります。  右、御報告いたします。
  19. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ただいまの庶務小委員長報告に対し、何か御発言はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 それでは、ただいま庶務小委員長から報告のありました国会職員給与等に関する規程の一部改正の件につきましては、お手元配付の案の通り改正することを議長に答申することとし、国会議員秘書給料等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元配付の案を委員会の成案として決定し、これを委員会提出法律案とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、本改正規程は、内閣提出にかかる、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案による給与改正に伴うものでありますので、右案が両院において議決されましたならば、議長において改正規程を決定されるようお取り運び願うことにいたしたいと思いますから、さよう御了承願います。  なお、国会議員秘書給料等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、委員長から内閣の意見を聴取することに御一任を願いたいと思います。御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、本法律案は、本日の本会議緊急上程することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  24. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、本日の本会議議事の順序について、事務総長から説明願います。
  25. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 まず最初に、請暇の件をお諮りいたしまして、それから、人事の同意を求める件として、日本電信電話公社経営委員会委員任命につき同意を求めるの件をお諮りいたしまして、次に、電波監理審議会委員任命につき同意を求めるの件をお諮りいたします。それが終わりまして追悼演説にお入りいただいて、それが終わりまして回付案議題といたしまして、それが終わって日程に入りまして、日程第一から第三までは一括いたしまして、これは大蔵委員長の植木さんが御報告に相なります。これは各案とも全会一致でございます。それから、日程第四と第五を一括いたしまして、これは運輸委員長の平井さんが御報告に相なりますが、これも各案とも全会一致でございます。それから、日程第六から第八までを一括いたしまして、これは内閣委員会理事の高橋さんが御報告に相なります。これは三案とも社会党反対でございますので、起立採決をお願いいたします。それから、日程第九は、逓信委員長の佐藤さんが御報告に相なりまして、これも社会党反対でございますから、起立採決をお願いいたします。それから、日程第十は、社労委員長の永山さんが御報告に相なりまして、これは全会一致でございます。それが終わりまして、緊急上程といたしまして、ただいま御議決いただきました秘書給料に関する法律案議題といたしまして、それが終わりまして趣旨説明に入ります。  以上でございます。
  26. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 それでは、本日の本会議は、三時二十分予鈴、三時三十分から開会することといたします。  この際、本委員会を一たん休憩とし、国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案審議は、第八委員室において、午後二時より本委員会を再開の上、これを行なうことといたします。  この際、暫時休憩いたします。     午後一時十分休憩寺     午後二時十五分開議
  27. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案議題といたします。  前会に引き続き質疑を続行いたします。八木昇君。
  28. 八木昇

    八木(昇)委員 今度の法律案の原案の各条項の具体的中身についての詳細には今回はできるだけ触れないようにいたしまして、一般的な事項を二、三質問いたしたいと思います。  実は私どもが非常に疑問に思います点は、この新しい法律案が出される前提としまして、現在まだこの法律は成立を見ておりませんから、現在の状態のもとにおける衆議院議長警察権というものについて、特にその範囲について私ども二、三疑問に感ずる点があるわけであります。  そこで、第一にお伺いをいたしたい点は、本日議長がお見えになっておれば、議長に伺いたいと思ったのですが、おられませんので、これは事務総長でもけっこうでございますから、最初に次のことを伺いたいと思います。といいますのは、先月の二十三日の日に、例の学連のデモがございました。その際に、議長職権をもって、衆議院議長警察官派遣要請というのをされたと聞いておるわけでありますが、まず最初に伺いたい点は、どの法律のどの条文にのっとってやられたのか、それから御説明いただきたい。
  29. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 お答えいたします。  国会法の第百十五条に「各議院において必要とする警察官は、議長要求により内閣がこれを派出し、議長指揮を受ける。」とございますが、これによりまして、議長警察官派遣要請したわけでございます。
  30. 八木昇

    八木(昇)委員 そこで、その際に派遣をせられた警察官は、実際にはどういう任務を持って、そうしてどういつた場所に配置について、どういう仕事をしたのか、そういったことをちょっと御説明いただきたい。
  31. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 これを一般的に申し上げますと、規則の二百八条に「議長は、衛視及び警察官指揮して議院内部警察権を行う。」こうございます。そうして二百九条には「警察官は、議事堂外警察を行う。但し、議長において特に必要と認めるときは、警察官をして議事堂内の警察を行わせることができる。」こうございます。そうございますので、一応はみな議事堂外警備に当たっておるわけでございます。従いまして、先般の場合は、全学連構内侵入を防ぐ意味をもちまして、外部情報と合わせまして、議事堂外の、しかも構内警備に当たったわけでございます。
  32. 八木昇

    八木(昇)委員 今の御説明のあとの方がちょっとよくわからなかったのですが、どういった事態が起こることを予測して、そうしてその予測された事態が発生したときに、どういうことをその警察官をしてやらしめようとしたのか、そういう具体的な事態が起きた場合に、議長は、その要請をした警官隊に対して、どういった——指揮権といいますか、監督権というのか何かよく知りませんが、どういったことを発動するのか、その辺もちょっと説明して下さいませんか。
  33. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 第一の任務といたしましては、外部からの侵入を防ぐという目的で要請したわけでございますから、それに対処して、外部からのいろんな情報に応じて、たとえば、正門の方に集会があるということになれば、正門の方に配置いたしましょうし、あるいはまた、南門とか、その他の通用門ということであれば、その方にも配備せられると思いますが、そういう一々のことにつきましては、議長といたしましては、警務部長に、現地のあれに従いまして第一線の指揮を委任しているわけでございます。
  34. 八木昇

    八木(昇)委員 そこで、私がちょっと疑問に思います点は、先ほど御説明がありました国会法の第百十四条、それから百十五条、ここに衆議院紀律及び警察に関して書いてございます。そこで、議長議院警察権を握っておるわけでありますから、議長が握っておる警察権範囲、これは一体どこからどこまででしょうか。院内は、もちろん、これは当然あると思うのです。議事堂建物外部もあるのですか、その辺の限界は一体どうなっておるか、それは法律のどの条文のどれに基づいて解釈が下されておるか、そこを説明して下さい。
  35. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 ただいま申し上げましたように、議院警察権は、百十四条によりまして院内警察を行なうということになっておるわけでございます。「各議院」と、こう書いてございますから、従いまして、院内であれば、その院内というものは、議事堂の存する建物のほかに、構内でございます。さくといいますか、外部との境界が定めてございますが、その境界内が、議長警察権の執行できる範囲と心得ております。
  36. 八木昇

    八木(昇)委員 そういうような解釈は、法のどれに基づいてなされたのでしょうか。
  37. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 議院内部警察権を行なうという、今の百十四条に、議院内部とございますので、一体議院内部とはどういうところをいうかということが問題になりますが、議院というのは、衆議院範囲内、こういうことだと考えております。
  38. 八木昇

    八木(昇)委員 この百十四条には、「国会の会期中各議院紀律を保持するため、内部警察の権は、」云々と書いてあるのですね。そこで、「内部警察の権」と表現してあるだけで、具体的に内部警察権の及ぶ地理的範囲、こういうものについて必ずしも明確に書いてないのですが、その辺ちょっと説明して下さい。
  39. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 これは、その具体的のものになりますと、先ほど申し上げましたように、衆議院規則の二百八条に「衛視及び警察官指揮して議院内部警察権を行う。」とありまして、二百九条には「衛視は、議院内部警察を行う。」と書いてございますが、「警察官は、議事堂外警察を行う。」として、その「議事堂外」というのは、議事堂というものは一つ建物でございますが、建物外部を普通やる、しかし、内部にも及ぶということを見ますと、「議院内部」というのは、議事堂の内外をあわせて行なうものだということがこれから推測ができるということは、御承知かと思います。
  40. 八木昇

    八木(昇)委員 その辺の解釈がどうもまだ釈然としないのです。そこで、議長院内警察権を行なうということは明瞭です。それはあくまでも議事堂内の警察権をやるのであって、そうして議事堂外警察は、二百九条に「警察官は、議事堂外警察を行う。」こう書いてありますから、そういうふうに、議事堂外については警察職務権限というふうにも解されるわけですが、そうは解されないわけですか。
  41. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 そういうお説に従いますと、院内派遣されておりましても、議事堂外警察権警察庁が行なうというふうにならざるを得ないと思うのです。私らとしましては、そういうことでなしに、やはり指揮は、「警察官指揮して」とございますから、議長範囲だ、こう考えているわけです。もしそうでなければ、院内というものをほんとうの建物内と解するならば、派遣要請した警察官は、一方においては議事堂外、いわゆる建物の外をやれといっておりまして、矛盾がそこに起こるではないか、こう考えております。
  42. 八木昇

    八木(昇)委員 その解釈はやはりまだ議論があるところだと思いますが——もしそういう事務総長の考えだとすれば、議事堂外であって、議事堂建物の外ではあるが、しかし、衆議院警察権によっていろいろな秩序保持をやらなければいかぬというものの範囲については、これはさく内という解釈には必ずしもならないと思う。もし事務総長の見解でしたら、たとえば、議員会館のごときは、衆議院議員事務所ですから……。それからこの議事堂建物の外にも、たとえば委員会庁舎みたいなものがありましたですね。そういうことになってきますと、国会警察権衆議院議長が握っておるというのは、必ずしも議事堂建物内だけに限定されていないのであって、その周囲、すなわち、国会審議に影響を及ぼすであろう周囲にも議長警察権が及ぶという事務総長の考え方ならば、議員会館やその他についても当然入ってくるというふうに感ずるわけです。すなわち、議長警察権の及ぶ範囲の、エリアといいますか、そういうものについて明確な規定はないじゃないですか。
  43. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 それは当然合理的に考えていただく以外にはございませんが、憲法に、たとえば各ハウスは懲罰権を持っておりますが、その懲罰は、五十八条の第二項に「院内秩序をみだした議員懲罰することができる。」とございます。院内警察議院内部警察権とございますが、その場合の内部警察権というときは、院内同意義だと私たちは解しております。院内というのは、この建物ばかりではなくて、それ以外の外部にも及んでいる。それでは、議員宿舎なり、こっちが管轄権なりいろいろなものを持っているところ、たとえば今の尾崎記念会館があるところもこっちの管轄には属しておりますが、あそこで議員さんたちがなぐり合いをした場合に懲罰対象になるかといえば、それはやはり院内とは考えられないんじゃないかと思うわけです。それで、懲罰対象になる範囲が、やはり議長警察権の行使される対象範囲とお考えいただけば、おわかりのことと思います。
  44. 八木昇

    八木(昇)委員 今の説明では、ようわからぬですな。懲罰の及ぶ範囲内が、議長権限の及ぶ範囲内ということであれば、そこの広場と、それから議員会館事務所の中と、どっちが重要性があるかというと、事務所の方です。そこで、あの事務所は、戦前そういった事務所がなかったから、建物の一応の外ワクになっていますね。しかし、もうあそこが議員仕事をするところです。そうしてしょっちゅう議会に行き来したりする、そうして議員会館とこの議会建物との間の通行に関して妨害が起ごるようなことがあり得るから、この法を作ろうなどと言っておるほど、これは不即不離、一体をなしております。すなわち、警察権は、この議事堂の昔からある建物範囲内だけに限らず、その周囲にも及ぶと言っておりながら、それをこの形式的なさく内というふうにした根拠というものは、明瞭じゃありません。
  45. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 それはこの新館といいますか、新しい議事堂に移って参りましたときに、いろいろ皆さんの間に御議論がございまして、一体院内とはどこをいうか、また、警察権の及ぶ範囲はどこかということで、議運なり交渉会で昔きまったわけでございますが、議院警察というものは、行政警察権に対してある程度独立的な警察でございますので、やはりなるべく小範囲にとどめて運用していくのが妥当じゃないか、それをどこまでも広げて、院内と自分らがきめれば、どこでも及ぶんだということでなしに、やはり最小限度に、行政警察から独立するためには一定の限度があろうかと考えております。その限度というものは、議運でも、新国会になりましたときにきめられて、大体このさく内、それで、会館とか宿舎は及ばないというふうに一応きまっていると解釈いたしておるわけでございます。
  46. 八木昇

    八木(昇)委員 法律上その点の明確な規定はない、私は、事務総長の先ほど来の答弁からしても、そうとしか考えられませんけれども、もちろん、宿舎にまで及ぼすということは、それは問題があろうと思います。宿舎はずいぶん遠距離のところに散在しておりますからね。  そこで、今の点は疑問点として残しておくわけでありますが、さらに具体的に御質問をいたします。その場合、四月二十三日の場合なども警官の出動を議長要請されたわけですが、議長要請に基づいて派遣をされた警官は、大体どの辺に位置をして、そうして具体的にどういう任務を持っておるか。それからもう一つ議長要請によらずして、当然の仕事として、東京都公安委員会指揮下にある警視庁警官隊もやはり出ておる。この人たち任務は何であって、そしてどういうところに位置をしたか、この両者の関係はどういうことになるか、そこいら辺をちょっと御説明願います。
  47. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 具体的にその当日はどこにどういう行動をとったか、一々私は承知いたしませんので、そういう点については警務部長からお答えさせることにいたしまして、概説的に申し上げますが、外部警察官は警視総監が指揮いたすのでございまして、このさく内、構内派遣された者は議長指揮に入るのでございますので、昨年の暮れのときにおきましても、警視庁から派遣された者——派遣と言っては語弊がございますが、議長要請した警察官は、当日は、議長の命によって実力を行使しないようにという命を達してございましたので、当日は御承知のように少しも実力を行使いたしておらないはずでございます。ところが、警視庁外部のものであれば、警視庁としては、なるべく構内に入れないために、あらゆる実力行使をすべきでございますので、もしその場合に何の抵抗もしないで、入る者をそのまま入れるということになれば、そこにいろいろな問題が起きょうかと思うのでございますが、そういうふうに、外部警察官と、内部派遣されました警察官とでは、指揮命令が全然異なっておりますので、そういう点が著しい相違だと考えております。そしてその具体的なものは、警務部長議長の委任を受けておりますので、どういうふうに行動するかは、警務部長指揮に従うこととなります。
  48. 八木昇

    八木(昇)委員 ちょっと具体的に両者の関係について説明して下さい。
  49. 山野雄吉

    ○山野参事 外部のことにつきましては、ただいま総長から申しましたように、警視総監の指揮によっておりますので、私存じません。内部要請しました警察官最高限二千五百名となっておりますが、二十三日には、いいあんばいに、全学連構内に入ってくるといったようなことがございませんでしたので、ごく少数の警察官が中に入っておっただけでございます。
  50. 八木昇

    八木(昇)委員 それで私は具体的な場合を伺っておるわけですが、これはどちらでもけっこうであります。けれども、たとえば、さく内には議長要請した警官隊がずっとおる、そうして、さく外にはずっと警視庁派遣警官隊がおるというお話ですな。それで、デモ隊が来て、たとえば、衆議院一つの門のところで、警官隊とやっさもっさ押し合いべし合いをやった、そうしてさく内になだれ込むというような事態が現実に起こった、こういう場合には、さく外の警官隊は、さく内には一歩も入れないのですか。それから今度は、さく内部に配置してある警官隊は、さく外部には一歩も出ないのですか。そういうことは具体的にどういう処置をされるのですか。
  51. 山野雄吉

    ○山野参事 先ほども申しました通り、二十三日のことで申しますれば、最高限二千五百名という意味で要請をしておるわけでございます。ただいま仰せになりましたのは、二十三日のときにはそういうことはなかったが、もし現実に全学連あるいはその他の群衆が構内に入ってきた場合に、さく外にある警察官と、要請した警察官との警察作用の区分いかんというお尋ねだと存じますが、最高限二千五百名の範囲内においては、さく外の警察官も中に入ってこれるわけでございます。     〔委員長退席、松澤委員長代理着席〕 しかし、要請しているのが二千五百名でございますから、二千五百名以上の警察官が入ってくるというわけには参りません。その場合に、もしそれでは侵入した者を排除するに足りないと判断されます場合には、さらに多数の警察官の派出要請議長としてはされねばならぬと存じます。その場合、法規的には、何人を限るということはないわけでございますから、その場合さらに足りなければ、具体的には、私から総長を通じて議長にお話しをして、さらに要請をするということになろうかと存じます。それから、さく内の警察官さく外に出ていって行動ができるかという仰せでございますが、今仮説のような場合には、中が手一ぱいのことでございますから、さようなことはなかろうかと存じます。
  52. 八木昇

    八木(昇)委員 どうもその辺のところがまださっぱりぴんと来ないのですが、しかし、さく外におる警官隊警視庁警察ですね。それから、さく内に議長要請によって配置される警察官も、やはり警視庁警察官でしょう。そこで、さく外の警官隊と、さく内の警官隊は、非常の事態が起きた場合には、当然相互に緊密な連携をとってそして作戦行動をしなければ、機能を発揮できないことは、自明の理ですね。そうなりますと、議長仕事をこの場合には警務部長が委任をされて代行されるとするならば、警務部長と、それからさく外の派遣された警官隊の最高責任者の両者は、やはりそこに当然統一的な一つ話し合いの上での指揮命令というようなものを発する、行動を指導する、こういうことになるわけですか。
  53. 山野雄吉

    ○山野参事 仰せの通りであります。
  54. 八木昇

    八木(昇)委員 そういうことになるとすれば、結局、実際の権限というものは、議会のこの建物の中以外の場合には、実質上は、やはり警視庁といいますか、こういうふうなのが中心になって、いわゆるデモ隊というか、暴徒というか、こういうふうなものの対策をやるという“大体そういう解釈でありますか。
  55. 山野雄吉

    ○山野参事 実際の場合は仰せの通りの場合が多かろうかと存じますが、法律的には、いやしくもさく内におきましては議長警察権の作用でありますから、かりに侵入してきた者がありました場合に、さくを乗り越えて外部警察官が追跡してきて逮捕するといったようなことはできないわけでありまして、内部におきます限りは、あくまでも議長警察権の作用として私が代行をいたしております。
  56. 八木昇

    八木(昇)委員 そこで、次に、衆議院と参議院との関係について、これは事務総長に伺いますが、衆議院議長警察権の及ぶ範囲と、参議院議長警察権の及ぶ範囲、これをちょっと説明をして下さい。そうして今度は具体的に、両議長は、非常の事態が予測される場合に、どういった連携を保って、具体的にどうされるかというような事情を説明して下さい。
  57. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 院内警察権を行なうのは、院内という、その境界がどこかということでありますが、これはやはり、先ほども申し上げましたように、懲罰権対象院内ということでございますので、その線と大体——大体というよりも、全く同じでなければならぬわけでございます。しかし、その具体的な取りきめはどうしてきめられたかということでございますならば、これは一応この議事堂の管理権と申しますか、そういうものの範囲を取りきめる両院の間に取りきめがございまして、それによって一応取りきまっておる、こういうことであります。そしてなお、具体的にその警察権を行なう場合には、両院の関係はどういうことであるかということでございますが、それは両院の警務部長が、事前あるいはそのときどきの必要に応じてお互いに協議してやっておることと存じます。
  58. 八木昇

    八木(昇)委員 私が伺いたかった点は、議事堂の中の管轄範囲ではなくて、さく内ですな、さく内であって、議事堂内ではない部分、そういうところの両者の管轄権……。
  59. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 それは警察権の及ぶはんいでございますので、警察電覺と申しますか、衛視の守衛必携の中に、取りきめられた境界線を明示してあります。今ここに具体的に申し上げられませんが、大体、中央の石段の一番衆議院寄りを端にいたしまして、あのまるく出ておりますところのとっぱなから線を引いて、そうして中央玄関のまん中のところから中央正門のちょうど中央部までになっておりますし、うしろの方も大体そのようになっておると承知いたしております。
  60. 八木昇

    八木(昇)委員 さらに伺いたいと思いますが、そこで、先ほど来の事務総長説明によりますと、議長警察権というものは議事堂建物内だけに限定をされるのではなくて、そう極度に広げることはできないけれども、しかし、まあさく内程度ぐらいのところまでは議長警察権権限内にあると思う、それをむやみと広げることはやはりいろいろと問題があると思う、こういう説明でありました。そこで、今度の新しいこの法律案ですが、これは、今のように議長警察権の及ぶ範囲議事堂のまわりのワク内程度ではどうも不安だから、もう少しく範囲を広げて、そうしてさく外の警察官について直接指揮というところまでは別としまして、議長警察権の及ぶ範囲をさらにある程度拡大したい、こういう考え方のものでしょうか。これは提案者に説明を願います。
  61. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)議員 そういうものではございません。
  62. 八木昇

    八木(昇)委員 それじゃ、どういうものでしょうか。
  63. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)議員 先刻来事務総長説明をいたしておりますように、議長警察権議院内部に限られておるわけでありまして、しからば、院内と院外とがどこで区画されておるかという問題でありますが、これは御指摘のように、法規上、院の内外を具体的に明確にしたところはないと思います。ただ、従来の慣行上と申しますか、議院運営委員会議事録等におきまして一は、すでに院内外の画定は明確になっておると承知いたしております。私はここに、院内部と院外部との関係を速記録より抜粋いたしたものを持っておりますが、それにおきましても、第五国会におきまして、議院運営委員会で大池事務総長から、「議院内議院外の区別を一応きめておいていただきたいという問題があります。それは、今度できた議員会館が議院内に入るか議院外になるかという点でございます。」ということから説き起こしまして、最後には、「今度できます新聞記者会館も議院内か、その他附近の建物のどの範囲まで議院内とするか、その区別をしなければならぬことになります。規則の方を見ますと、衆議院規則二百九条の議長警察権の方は、衛視議事堂内、警察官吏は議事堂外警察権を行なうことになっておりますので、議事堂というものの範囲をどうとるかというときに、従来は議事堂構内ということになっておったわけであります。」それから、これに対して土井君が発言を求められておるのを見ましても、「棚内ならば議院内、棚外ならば議院外です。」それから、石田博英君の「議員宿舎国会図書館は議院外ですか。」というのに対しましても、大池事務総長は「当然議院外です。」ということで、この問題の決定を当時の大村委員長は次の議運委員会にゆだねたわけであります。これを受けての次の議院運営委員会における決定を見ますと……。
  64. 八木昇

    八木(昇)委員 それは大体わかっておりますから………。
  65. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)議員 そういうわけでありまして、ここに詳しいことを書いたのがあるわけでありますが、相当長いので省略いたします。要するに、議院運営委員会におきましては、慣行として、さく内を院内さく外を院外とし、従って、議長警察権の及ぶ範囲さく内ということにいたしておったわけであります。  私たちが今度本法を提案するにあたりましては、議長警察権は、今申しますように、さく内にとどまるべきものであって、さく外にこれを及ぼそうという意向は少しも持っておりません。ただ、国会周辺の秩序を保持するために、具体的に申しますならば、国会議員の登院と国政の審議確保するというための事前抑制上必要な措置として、院外の秩序を保持するために、公安委員会あるいは警視総監に対して、元来公安委員会や警視総監の持ってお  る機能の発動を要請するにすぎないわけでありまして議長警察権議長  の指揮権が外部に及ぶというものではございません。
  66. 八木昇

    八木(昇)委員 私が今まで四十分ばかりの時間にわたって、くどくどしく、回りくどくなぜこんな質問をしたかといいますと、要するに、事務総長解釈をせられるように、議長警察権は、議事堂内だけに限られておるのではなくて、議事堂周辺のさくのところまでは及ぶという解釈であり、実際デモ隊なんかがやってきて不測の事態が起きた場合には、衆議院警務部長によって指縄をされた警官隊と、警視総監の指揮下にある警官隊とが緊密に連携をとって、あなたたちの言う暴徒の不法行為を鎮圧するというようなことであるとするならば、そうしてそのように今日までも緊密な両者の連携のもとにこれが行なわれてきたとするならば、一体何のためにこういう新しい法律が必要なのか、必要ないじゃないか、こういうことを言いたいためなんですよ。  そこでこの点は事務総長にお答え願いたいが、過去において今までの法律のままでは非常に因ったということがあったかどうか、この見解を伺いたい。  それから、現状のもとにおいて今のように緊密にやられておるのに、なおかっこういう法律を出そうという以上は、やはり議長警察権というようなものがさく内にとどまっていたのでは工合が悪いので、やはりさく外の暴徒と称する連中についても何らかの規制をしたい。それは、さく外の警官隊についても議長が直轄揮権を持つということは、この提案の趣旨には入っていないけれども、しかし、さく外でデモを行なおうとするこういう集団に対して何らかの規制を施したい、こういう考えが入っていないとするなら、一体何のためにこういう法案を出すのかさっぱりわれわれにわからぬ。矛盾しておる。その辺の見解を提案者から明らかにしていただきたい。
  67. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 お答えいたしますが、やはり従来の通りでは審議権の公正な行使というものを確保できない、あるいは逐次こういうものが非常に盛んになってきますと、従いまして、議員の登院もある場合には妨げられるおそれもあるということによって、こういう法案の記草が行なわれたものと考えます。
  68. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)議員 今の御質問の御趣旨は、現行法規でも十分ではないかということに尽きるのではなかろうかと思います。東京都の公安条例の違反であるとか、あるいは道路交通取締法の違反であるとか、公務執行妨害あるいは住居侵入等にもしそのデモ行為が該当いたしますれば、それらの法規によって処罰されることは当然のことであります。しかし、この法律は、特に国会議員の登院と国会審議権の公正な行使を確保するための措置として、必要な事前措置を講じようというものでありますから、私たちといたしましては、最近の諸般の情勢等にかんがみて、この種の立法というものは必要でなかろうかと思います。具体的に申しますと、東京都公安条例との関係について見ますなれば、公安条例四条による警察の職権というものは、条例の規定に違反して行なわれた違法なデモの場合に限ってこれは発動されるわけでありますが、これだけでは、私たちが本法において考えております目的を達成するための措置としては不十分であると考えます。それから道路交通取締法との関係を見ますと、申すまでもなく、道路交通取締法というものは1今、道路交通法に改正審議中でありますが、いずれにいたしましても、これらの法律というものは、集団示威運動等を対象として、その場で直接強制の手段によって制止することが直接の目的ではございません。つまり、交通の安全とか危険の防止ということが道路法規の目的でありますので、本法に考えておりますような、集団示威運動等を対象として、しかもそれをその場で直接強制の手段によって制止するということはできないわけでございます。さらに刑法との関係について見ますなれば、集団示威運動等が行われた場合におきまして、個々の事件につきましては、公務執行妨害とか、住居侵入等に該当いたしますれば、刑法の罪によって処理されることもあるわけでありますが、本法は、必要最小限度の行政的措置によって国会審議権の公正な行使を確保しようとするものでありまして、刑法のような処置を目的とするものではないのでありますから、本法の目的が根本から異なっておるようなわけでありまするし、また、国会法規について見ますならば、議院内部における面会人や集会、陳情の行動を規制したり、院内警察権によって構内における必要な取り締まりを行なう、とはできましても、院外における行動につきましては何らの対策を講ずることができないわけであります。従って、国会議事堂周辺の静穏を保つことによって国会審議権確保するという目的を達成することができない、これが特に本法を必要とする理由でございます。
  69. 八木昇

    八木(昇)委員 本会議関係で、あと十四、五分くらいで終わるという約束ですから、あまりあとの方は質問ができない。それで残った分は次会に繰り越したいと思うのです。  そこで、今の提案者の御説明によりますと、私がいろいろ質問をしたために、デモ隊がいよいよやってきてから先の処置については、衆議院警務部長と、それから警視庁から派遣された警官隊派遣隊長と両者が緊密に連携して現行法のもとにおいて万遺漏なくやり得るということが明らかになった。そこで提案者は答弁の筋をそらしまして、この法律案のねらいは今のその点にあるのじゃないのだ、そういうようなことにならないようにあらかじめデモ隊を予防しようとするところに、本法律案の提案の主たる目的があるんだというふうに、答弁をすりかえられたように思うのですが、それならば伺いたい。そうだとするなら、今の東京都公安条例においても、公共の安寧秩序を保持する上に直接危険を及ぼすというふうに認められた場合には、デモを許可しないことになっておるわけです。東京都公安条例においてぴしっとそういうことがきまっておる。それに加えて、なおかっこういう法律案を出そうとすることについて、一体どこにねらいがあるのかということについてやはり疑問が起きてくる。そこで、具体的に提案者に伺いますが、最近半年間くらい、国会周辺でデモを行なうことを東京都公安委員会は実際に許可をしておりますか。
  70. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)議員 許可をしている場合もあり、許可をしていない場合もあるようでありますが、それは、正確を期する意味におきましても、東京都の公安委員会について御質問を願いたいと思います。私は、ただいまのところ、率直に申して、あまり詳しいことを知っておりません。
  71. 八木昇

    八木(昇)委員 これは次の機会でよろしゅうございますから、最近、申請が幾ら出て、そうしてどれだけ許可されたか、あるいは許可されなかったか、どういう条件を付して許可されたか、こういうのを、事務当局でもけっこうでございますから、お取り寄せ願いたいと思うのですが、私の承知しておる範囲では、これは全然許可されておりません。もし、いつ幾日のこの場合に許可がなされて、実際にたとえば国会正門付近でデモが行なわれたとかなんとかいうような事例があれば、おあげ願いたいと思います。この許可をしないこと自身私は不当だと思いますけれども、東京都公安条例にのっとって現実には許可をしないのですね。そういうふうに大体理解しておりますが、どうでしょう。
  72. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)議員 先ほど申したように、実際公安委員会がいかなる措置をとっているかということにつきましては、私は公安委員会の当局でありませんので、詳しくは知っておりませんが、私たちの承知いたしております限りにおきましては、全学連並びにこれに類するようなグループにおきましては一公安条例そのものが憲法違反であるという前提に立って、正すでに、届出をする必要もないのだという立場に立っている。従って、そういう手続をせずして無届のデモをやっているわけで、届け出て認可されなかったという場合もあるかもわかりませんが、最近の十一月二十七日の事件のときもそうでありましたし、また、今回の四月二十三日の場合におきましても、いずれもこれは無届のデモであったと考えております。
  73. 八木昇

    八木(昇)委員 そういった事情は私もあったように聞き及んでおりますけれども、それに至るまでの間は、チャペル・センター前あたりで集会を開くこと等については、何回申請をしても許可をしないのですね。許可をするならば、当然許可申請をして行なわれたであろうけれども、そういうような事態が積み重なってああいうふうな事態になっているわけでございます。法律上は、当然、東京都公安条例において、そういった議事堂周辺のデモやその他については、公共の安寧を保持する上に危険を及ぼすおそれがあるというような場合には許可をしないように明確になっているわけです。そういう点を私としては指摘をしたかったわけですが、時間がありませんから、あと一点だけ質問をしてきょうは終わりますが、今までのところで、国会の周辺でデモが行なわれて、デモ隊員が、たとえば国会議員を取り囲んでつるし上げる等のことをやったり、通行する議員の前に立ちふさがったりというようなことをやって、そうして議事堂に入ることが妨害されたというような事例が過去においてあったかどうか、これは事務総長警務部長からお答え願いたい。
  74. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 具体的な事例はわかりませんけれども、先般のデモ隊を見ておりますと、やはり道路にすわり込みましたり、いろいろしておりますので、通れない。国会正門のところは、御承知のように、車も通れないような状態でございますから、あれは直接でなくても、間接的には登院を妨害されておったと考えます。
  75. 八木昇

    八木(昇)委員 きょうはこれで終わります。
  76. 松澤雄藏

    ○松澤委員長代理 本日はこの程度にとどめ、残余の質疑は次会に譲ることといたします。     —————————————
  77. 松澤雄藏

    ○松澤委員長代理 次に、次回の本会議及び委員会は、公報をもってお知らせすることといたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時九分散会