○佐々木(盛)
議員 今の御質問の御
趣旨は、現行法規でも十分ではないかということに尽きるのではなかろうかと思います。東京都の公安条例の違反であるとか、あるいは道路交通取締法の違反であるとか、公務執行妨害あるいは住居
侵入等にもしそのデモ行為が該当いたしますれば、それらの法規によって処罰されることは当然のことであります。しかし、この
法律は、特に
国会議員の登院と
国会審議権の公正な行使を
確保するための措置として、必要な事前措置を講じようというものでありますから、私
たちといたしましては、最近の諸般の情勢等にかんがみて、この種の立法というものは必要でなかろうかと思います。具体的に申しますと、東京都公安条例との
関係について見ますなれば、公安条例四条による
警察の職権というものは、条例の
規定に違反して行なわれた違法なデモの場合に限ってこれは発動されるわけでありますが、これだけでは、私
たちが本法において考えております目的を達成するための措置としては不十分であると考えます。それから道路交通取締法との
関係を見ますと、申すまでもなく、道路交通取締法というものは1今、道路交通法に
改正を
審議中でありますが、いずれにいたしましても、これらの
法律というものは、集団示威運動等を
対象として、その場で直接強制の手段によって制止することが直接の目的ではございません。つまり、交通の安全とか危険の防止ということが道路法規の目的でありますので、本法に考えておりますような、集団示威運動等を
対象として、しかもそれをその場で直接強制の手段によって制止するということはできないわけでございます。さらに刑法との
関係について見ますなれば、集団示威運動等が行われた場合におきまして、個々の事件につきましては、公務執行妨害とか、住居
侵入等に該当いたしますれば、刑法の罪によって処理されることもあるわけでありますが、本法は、必要
最小限度の行政的措置によって
国会の
審議権の公正な行使を
確保しようとするものでありまして、刑法のような処置を目的とするものではないのでありますから、本法の目的が根本から異なっておるようなわけでありまするし、また、
国会法規について見ますならば、
議院内部における面会人や集会、陳情の行動を規制したり、
院内警察権によって
構内における必要な取り締まりを行なう、とはできましても、院外における行動につきましては何らの対策を講ずることができないわけであります。従って、
国会議事堂周辺の静穏を保つことによって
国会の
審議権を
確保するという目的を達成することができない、これが特に本法を必要とする理由でございます。