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牛場政府委員 日本とチェッコスロバキア国との間の
通商条約につきましては、この
条約は先年の十二月十五日にすでに署名されまして、チェッコ側におきましては、本年の五月二十五日に国内手続を終わりました。つまり国民議会というものを通過いたしまして、大統領がいつでも批准できる態勢になっております。先般わが方に対しましても、
日本側の手続はどうなっておるかということを催促かたがた問い合わせがあった次第でございます。チェッコは御
承知の通り、共産圏の間では一番工業的に発達いたしておりまして、従来は、
日本からの貿易は非常に少なかったのでありますが、この
条約ができますれば、相当な発展が期待できるのではないかと思います。先方からのいろいろな引き合いなんかも、最近は活発になってきておりますので、相手方の手続が済んでおることでもありますし、できるだけ私どもの方といたしましても、早くこれを批准するので適当ではないかと考えております。その意味におきまして御
審議をお願いいたしたいと思います。
それから
日本国とマラヤ国との間の
通商協定につきましては、これは
締結は五月の十日でございまして、比較的最近でございますが、実質的な意義は相当大きな
協定であると思っております。第一、ただいま
日本とマラヤとの間の貿易関係は、わが方は相当巨額な入超になっております。しかしながら額としましては、毎年増加しつつありまして、非常に前途有望な様相を呈しております。またマラヤ自体も
国際収支の点から見ましても、東南アジアの低開発国の中では一番よろしい、むしろ低開発国の域を脱しつつあるような状況であります。これに対して
わが国が従来
最恵国待遇を受けておらなかったということは非常に遺憾なことでありまして、一日も早くこの状況を直さなければならないと思ってこの
協定の
交渉を急いだ次第でございます。現在先方の輸入手続におきまして
わが国が差別待遇を受けております程度はそれほど大きくはないのであります。しかし
条約の基礎がありませんと、先方といたしましては、いつでも必要に応じて差別待遇をとれるということになっております。この点が相当大きな障害と見られます。
それからまた
わが国の国民の先方におきまする入国、居住、滞在、それからさらに進みましては、
事業活動等につきましても従来何ら
条約の基礎がありません。それにもかかわらず相当程度の仕事が
日本側とマラヤ側との合弁で起こりつつありますけれども、これもはなはだ不安定な状況にあるわけであります。これに対して一日も早く
条約上の基礎を与えて、安心して
わが国国民が先方に行って仕事をできるようにしたいと思う次第であります。
それからもう一つ大きなことは先ほど御説明申し上げましたように、この
協定ができますと、マラヤはガットの三十五条の援用を撤回すると確約をいたしております。わが方といたしましては、もちろんマラヤとの間にガット関係を作ることも大事でありますけれども、同時にこれを先例といたしまして、今なお
わが国に対しましてガット三十五条の援用をいたしております諸国と一そう
交渉を
促進いたしたいと思っております。この
協定の批准が済みますれば、いつでも向こうは撤回すると言っております。この点は一日も早く実現をしたいと思う次第でございます。先方の国内手続といたしましては、
マラヤ連邦はイギリス流の議会制度をとっておりますので、
条約につきましては、国会の
承認を要するという
事態ではございません。しかしながら
条約を国会に提出いたしまして、そうして討議されるということになっております。この手続は、先方は毎週二回ずつ国会を開いておりますので、いつでもとれるようなことになっております。従いましてわが方の批准手続が済みますれば、先方としても批准手続をすぐとってくれまして、先方の国王の裁可ということになるわけであります。これはいつでもわが方の手続とにらみ合わせて進めてくれることになっておりますので、その意味におきまして、ぜひ一つこの
協定の御
審議の
促進をお願いいたしたいと思う次第であります。