○塩崎
説明員 御
承知の
通りにOEECと申しますか、
ヨーロッパ共同市場のお話しが先ほど出ておりましたが、
租税条約の型をOEECが統一しようというような運動はございます。ところが現在御存じの
通りに
租税条約は二国間の
租税条約となっておりまして、相手方によりましておのおの型が違っております。私どものカテゴリーを見ますと、先ほど申し上げましたように
アメリカが
一つの型、もう
一つは北欧三国に対しますのが
一つの型、もう
一つはパキスタンとの間の今まで
締結いたしました
一つの型でございまして、約三つあると考えられておるわけでございますが、今度
締結いたしました目印間の
租税条約は、この三つのいずれとも異なった型を示しておると
一般的に言えると思います。なおその中でももちろん教授、教員の交換とか学生とか研修生とか短期滞在者とか、そのあたりの
規定はもう同じでございますが、日印
租税条約の一番の特色といたしましては、
経済交流
関係を促進するための
租税条約の
規定が、今までの
締結いたしました他の三つの
租税条約の型と根本的に違っておるのでございます。その点を申し上げますと、御存じの
通りに、
インドでは五カ年計画とか種々の
経済開発計画をもちまして、自国の資本のみならず、外国の資本まで導入いたしまして
経済開発を進めておるわけでございます。そのために
インド国内税法には、それに対しまして誘因と申しますか、インセンティブを与えるような
国内税法に基づきますところの特別措置があるわけでございます。たとえば一例を申し上げますと、外国の金融機関あるいは外国政府から
インドの生産的事業が借り入れました借入金に対しますところの利子、あるいは
インドの生産的事業が、たとえば
日本の生産会社からプラントを輸入いたしましたときの延べ払いの利子、これらにつきまして政府の
承認を受けますれば免税ということが
インド国内税法にございます。こういう税法がございまして、
インドは
国内開発計画を税の面から進めているわけでございます。ところが御存じの
通り、
世界各国租税条約がない場合には、
各国におきまして外国におきます投資に対しましても当然
課税が行なわれておる、これはもう当然の税法の本質的な生命でございまして、どこの国に投資いたしましても、その投資から上がりますところの
所得は
日本で総合いたしまして
課税するというのが
国内税法の建前でございます。従いまして、
インドで先ほどの
規定によりまして、
インドにプラントを輸出いたします。そうして
日本の生産会社がそのプラント輸出に対しましてとる利子が、
インドで今の
規定によりまして免税されます。しかしながら日印
租税条約がない場合には、
日本では向こうで免税されておりましても、それが免税なかりしものとして三八%の法人税を
課税するわけでございます。
インドの非居住者に対しますところの法人
税率は六三%でございますが、六三%が
インドの
国内税法では政府の
承認を受けますと全く無税となりまして、たとえば百万円の利子は百万円で
日本に返って参ります。
日本ではこれに三八%とるわけでございます。そういたしますと、
インド政府に言わせますれば、せっかく
国内経済開発のために外国資本にまで誘因を与えた、恩恵を与えたものが、
日本政府の税法によってまた取り返されるではないか、これでは誘因にならないというわけで、
インドの結びますところの
租税条約の型は、ほんの
経済交流促進の手段と考えまして、
インドで免税いたしますれば、
日本政府ではその免税によりますところの
利益を取り返せないような方法を作ってくれというのが
インドの態度でございます。それで今の
考え方では、
インドの税金が
日本の
税率よりも高いものでございますから、六三%を免除したならば六三%かかったものとして、
インド政府ではそういう特例がないものとして
日本では受け入れてくれ。そういたしますと、
日本では
国内税法に税額控除の制度がありますから、六三%と三八%を比較いたしまして、六三%が高いものですから、これはもう二度ととらない、こういうふうなことになっておりますが、そういうふうに見てくれないか。かりにこれを、
インドの
税率が
日本の三八%の法人税より低くて二五%であったということになりますれば、二五%はかかったものとしてみてくれ。二五%かかったものとして百万円のものを七十五万円で、まず手取り額で参りますが、百万円で
日本でみまして、二十五万円だけは
インドで払ったと見まして、残りの十三万円だけ
——三八%の三十八万円、マイナス二十五万円の十三万円だけ
日本政府で納めるようにしてもらいたい。これが最近の傾向といたしまして、
後進国が
先進国と結びますところのタックス・スペアリングといっておる型でございますが、この型を要望いたしまして、私どももその型に従いまして日印
租税条約はその型ででき上がっておるわけでございます。この型は何も
日本だけが
インドと結びました特例ではございません。
アメリカが結びました特例もこういう型に従っております。
ドイツそれから
スウェーデン、これもそういう型で、若干表現は違っておりますけれども同じような型で、タックス・スペアリングの型で
租税条約を結んでおります。パキスタンとの間にはそういう
関係はございません。しかし最近利子条項につきまして私どもと話が行なわれました際は、そういう形で
日本の貸付金の投資というものを奨励するならばタックス・スペアリングを認めてくれ、こういうふうなことを言われております、それが大きな特色でございます。