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藤山国務大臣 釜山の
抑留漁船員の
方々の
送還問題につきましては、われわれとしても
留守家族の
方々の心情を思いますと、まことにお気の毒なわけでありまして、ただいま
お話のように
日韓会談が大局的にまとまるならば、
自分たちもできるだけがまんしようという心持ちを持っていただいていることも私
ども承知いたしておりますので、なおさらその問題については十分
努力して、一日も早く解決しなければならぬと思っておるわけであります。
御
承知の
通り、昨年の八月に
日韓会談を無
条件再開いたしますときに、
前提条件として
大村の
収容所におります人と
相互釈放ということで、九月の二日に
日本側としては
大村収容所の
収容者の
名簿を
向こうに渡しました。越えて九月の五日に
向こうから
釜山の
収容者の
名簿を提出して参りましたので、それから
話し合いを進めて参りまして、十月末もしくは十一月にはその
処置がとれると考えておりましたが、たまたま
北鮮帰還の第一船が十二月十四日に出るということがきまりまして、
韓国側は
態度を豹変して参りまして、そうしてこの問題が停頓することに相なったわけであります。その後われわれとしては、
韓国側に
北鮮帰還の問題と
日韓間の
関係というものは全く別個の問題であって、
北鮮帰還は
人道上の
立場から
日本がこれをとり行なっておるわけであるという十分な
説明もいたしたわけでありますが、容易に
韓国側としては
抑留船員の
方々の
釈放について言を左右にしておったわけであります。たまたま二月の初めから
韓国側は
経済関係を確立したい、それについては
韓国から米も買ってもらいたいし、
日本から
物資を入れたいという話もありましたので、われわれとしてはそうした
話し合いを進めることは、
釜山の
抑留漁船員の
方々の
帰還が実現した後でなければ、実際にはわれわれは承諾できないということを申したのでありまして、
向こう側としてはそういうことを
自分の方でもできるだけ
努力してやるから、もしそういうことが可能になった場合には、
あとの問題として米、のりその他
物資を買ってもらいたいし、また
日本側からも買おう、こういう話で進んで参ったわけであります。並行してそういう話があり、その
あとの
処置として
物資の
交流の
問題等がきておりますから、米について五万トンなりを要求して参りましたけれ
ども、
日本側としては三万トン程度しか買えないということで、ほぼそれらについては
話し合いが別途にできております。しかしわれわれとしては、何としてもそういう話を確定いたします前に、
漁船員帰還という問題できちんと話をつけ、日付を確定いたさなければ、今回の問題はできないわけであります。そこで
日本側といたしましてその点を強調いたして
交渉をいたしたわけであります。
韓国側におきましても、それらの
日本側の
意向を組み入れまして、そうしてある
一定の日時に帰すことにして、現在刑期を終わった者については、
全員一定の期日に
送還をする。なお今後は刑を終わった者は、逐次そのつど帰していくというようなことでありまして、われわれとしては何らかの形で今度はそれを文書で取りつけるという
交渉を実はしておったのであります。たまたまそういうことで進めて参りました
状況下におきまして、一方ではそういうことが終わりまして経済的な
交渉をするというので、側面でやっておりました
経済談義の中で玄米と白米との
関係の問題も出てきたようなわけであります。今日ではわれわれとしてそれについて最善の
努力をいたしておりますが、先般
柳大使が二月の二十八日でありましたか、帰国をいたしまして、
日本側のそれらの
意向を体して
京城におきます意見をまとめて打診して帰ってくるということでありまして、昨日夜、
柳大使は
日本に帰任されたわけであります。本日の午前十一時から
アジア局長との
会談をいたすことにいたしておりますので、その結果によりましてどういう話が
向こうから出ますかは、まだはっきりいたしておりません。若干
京城における
新聞談話等もございますけれ
ども、はたしてどれだけ信憑し得るものかどうかわからないものでありますから、私
どもといたしましても、きょうの
会談を待っておるようなわけでありまして、われわれとしては何といたしましてもすべての
日韓会談の
前提として
抑留漁船員の
即時帰還日の確定、実行ということを主張しておりますので、若干長引きましてもこれができるようには
努力はして参りたいと思いますけれ
ども、どうしてもこれができない、困難であるという
見通しがついて参りますれば、
日韓間の調整についてはさらにわれわれとして新たな
構想を持っていかなければならぬのではないか、というようなところに立っているということを私自身も認識いたしておるわけでありまして、今後それらの問題についてどう
処置して参るかということは、今申し上げかねますけれ
ども、そういうような
立場にあることを御了承願いたいと思います。