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石川委員 科学技術の
必要性といいますか、このごろ特に真剣に取り上げられまして、今度の
予算の
要求では
台風防災科学技術、
宇宙科学、
基礎電子工学、
核融合、
海洋科学技術、対
ガン科学技術というような六つの重点を特に取り上げて、特筆してということにして、その
促進の
費用が一億円、それから
宇宙科学の
関係には二億三千五百万円という
予算をとることに非常に当局が
努力された。そのことについては一応の敬意を払うわけでございますけれども、しかし、何といってもこの
基礎科学の
充実ということこそが、大前提としてどうしても必要なことではないかというふうにわれわれは考えております。特に最近の
科学技術の
進歩に伴って非常に細分化され、そして専門的になっていっているという
状態、しかも、それを総合していかなければならぬという
必要性が特に強調されておるのが最近の
状態でありますけれども、そのためには、どうしても
官立研究所の
充実が必要だということを感じております。同時に、これらの
研究に対しては、相当の決意をもって
充実をはからなければならぬのではないかというふうに考えておるわけでございますけれども、最近の
新聞によりますと、
通産省所管の
研究機関に対してたった一名しか
志望者がないというふうなことも出ております。さらには、三分の一とか四分の一
程度の
志願者しかないということで、
官立の
研究所では人を整備することそれ
自体に非常にきゅうきゅうとしているというのが最近の
状態であるということが
新聞にも報道されておる。それと同時に、これはちょっと話がそれますけれども、最近、
外資導入というふうな機運も相当出て参っております。そのこと
自体は、ここの
委員会の論議の
対象外でありますけれども、それに伴ってたとえば
RCAあたりでは、
日本に
研究所を作って
日本の優秀な
頭脳をそこに吸収するというふうなことも真剣に検討しておるということも聞いております。そうなりますと、たとえばアメリカ、ソビエトの相当優秀な
進歩した
科学の
成果というものが、いろいろ各国の最優秀の
頭脳の総合的な
成果だというふうなことがいわれておりますが、
日本の
科学者の
待遇から見ますと、
科学には国境がないとはいいますものの、正しい
意味での、
日本の
科学を
進歩させるという
意味でのナショナリズムというものは、私はどうしても確立されなければならないというふうに考えられるわけであります。そういう
意味で、特に
官立系の
研究機関でまず
技術者を優遇して、
技術の
内容を
充実するというモデルにする、そうして、そういうことを通じて、
民間の
研究機関の方に
官立機関の方から逃避する、あるいは大きくいいますと、
日本の優秀な
頭脳が
外国に逃避するというふうなことを回避するということを真剣に考えなければならない
段階にきておるのではないかということを私は痛感いたしております。御
承知のように、
日本の
技術というのは、結果だけは早く取り入れて、すぐに追いつく、それだけの
才能といいますか、
技術は持っておりますけれども、その過程における非常にこまかい資料だとか、その苦労だとかいうものがないために、それ以上一歩も出られない。いわゆる
基礎科学が
充実しておらないことが
日本の
科学の非常な
欠点だということがいわれておる。それやこれや考えますと、まず、
大臣に
所信を伺いたいわけでございますけれども、
外国へどんどん
技術者が逃避するという
危険性がそろそろ始まるのじゃないかということを私は真剣に考えておるわけです。それに対して、セクショナリズムということでなくて、正しい
意味での
日本の
科学、とにかく
外国におんぶしない、
日本の独自の
科学というものを確立させていくための基本的な
所信というか、具体的な
対策があれば一つ伺いたいと思います。