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石田参考人 名古屋市の
石田であります。
名古屋市の
交通事情について申し六」げますが、大部市の
交通の
一般問題に関しましては
大阪の
交通局長さんから申し上げましたので、私は主として
名古屋の
特殊事情について申し上げてみたいと思います。
お
手元に差しあげてあります「
事業の概要」というのをごらん願いたいと思います。
名古屋市におきましては
市営として
路面電車、
バス、
高速鉄道を
経営いたしております。
名古屋市内の
大衆的交通機関といたしましては、ほとんど
市営が主でありまして、
民間鉄道として
名古屋鉄道、近鉄がごく一部
都市交通を扱っております。なお
郊外の
バスが
名古屋駅まで入ってきておりますが、それはいわゆるクローズド・ドアでありまして、入るときはおりる人である。
郊外に出るときは乗る人だけ扱っておるのであります。従って
名古屋市内の
大衆交通機関としては、
市営の
路面電車、
バス、
高速鉄道がおもなものでございます。
事業の
規模といたしましては、
路面電車が
車両数四百十五両、
バスが七百三十五両、
高速鉄道が十六両という
状況でありまして扱っておる
お客の数は、
路面電車が一日約六十万、
バスが五十五万、
高速鉄道が三万五千、全体で一日約百二十万人の
お客を扱っておる
状況であります。
路面電車、
バスの
状況でありますが、その一五ページのところにこういうグラフが出ております。
路面電車は
昭和三十年を境といたしまして
お客の数がずっと毎年減っております。
収入の方は、三十年の暮れに
料金値上げをいたしましたので、三十一年を頂点といたしまして
下降線をたどっております。ところが
バスの方は毎年非常な
増加をいたしまして、もう現在では、ほとんど
バスの
お客と
路面電車の
お客とが同じくらいになっておるかと思いますが、
収入の方は
バスの方は非常にふえておるという
状況でありまして、ことに広小路から
名古屋駅にかけましてもうこれ以上
バスが人り切れないことになっておりまして、実は
交通取り締まりの警察の方から、何とかできないかという御注意を受けておる
状況であります。これが
解決策としては、どうしても
地下鉄網の
完成によって
路上火通を緩和する以外に方法はないと考えております。
高速度鉄道の
建設工事費の問題でありますが、
名古屋市の
高速度鉄道は、ただいまお
手元に差し上げてありますこの図面にありますように、
名古屋駅から栄町まで開業いたしております。これが二キロ半であります。これが延びまして
池トまで参りますのが、ことしの六月でございますが、これが池下まで参りますと六キロになります。
名古屋駅—栄町間を第一期
工事、栄町—池下間を第二期、
工事と考えておりまして、
資料の二ページに一期
工事と二期
工事の
工事費、財源が記入してございますが、一期
工事の
工事費と
起債元利その他を入れまして二十六億五千万円、それの財源といたしまして、
起債によって二十一億一千万円、自己財源が五億四千万円、二期
工事の方が、
工事費、
起債元利その他を入れまして三十六億七千万円、財源が、
起債が三十六億四千万円、自己財源が三千三百万円、合計三十六億七千万円、一期、二期合わせまして、
工事費、
起債元利その他が六十三億二千九百万円、財源が、
起債が五十七億五千万円、自己財源が五億七千九百万円、こういうことになっておりまして、池下まで開業いたしますと、引き続いて池下から先の方に延長して三期
工事をすることになっております。
この
資料の三ページをごらん願いますと、
高速度鉄道の営業
収支概算表がございますが、これは池下から先に東山というところがありまして、それから先にさらに星ヶ丘というところがあります。そこまで延長いたしますのは大体三十八年末か三十九年かと思いますが、そういうように考えまして、一応ずっと初期の
収支を勘定いたしてみますと、この表にあります通りに三十七年度までは一億五、六千万円の
赤字、三十八年度以降一億二、三千万円の
赤字で、さらに漸次少なくなりまして、四十五年で二千万円の
赤字、こういうことになっております。この
赤字のおもな原因は、ここにもあります通れ
起債の
利子の
関係で、一番多いときで三十八年の七億七千五百万円というように、非常に大きく
起債の
利子がかさみまして、これが大きな原因になって、こういう大きな
赤字を生ずるのであります。従って私
どもこの
地下鉄を促進するためには、どうしても
利子の
補給について何とかお考えを願いたい、かように考えておる次第であります。
交通局自体の
経済だけでやっていくためには、
建設が進むに従って
利子の支払いに非常に困難を来たすという現況でございます。
それから御
参考に「
名古屋市
交通事業常業
収支概算表」というのをその次に掲げてございますが、これは
路面電車、
バス、
高速度鉄道を一緒にいたしまして、将来の
収支概算表を掲げてみたのでございます。
それから
名古屋市の
高速度鉄道網でありますが、お
手元に差し上げてありますこの図面は、終戦後、戦災復興の
計画に
高速度鉄道を取り上げましてその
計画の一環として
都市計画事業を
計画して載せたのがこの網でありまして、これが三十五年の一月に決定されております。ところが、その後の
都市の
発展状況に照らし合わせまして、どうもこの網では不適当であるというので、これが改訂を考えておったところ、たまたま
都市交通審議会が
名古屋の問題を取り上げられました。ただいま検討されておりますが、
都市交通審議会におかれましては
昭和六十年を目途にして、そのときの人口が、名白魔の現在の市域内で二百六十万、そのときはさらに周辺の合併が行なわれるだろうから、大体
昭和六十年に人口三百万を目途にいたしまして、そのときには
路面電車がおおむね撤廃されるだろうということの条件で、
高速度鉄道はいかにあるべきかということでただいま審議中でございましておそらくお
手元に差し上げてありますこの
計画は、その審議の結果変わるかと存じます。その審議の内容をただいま申し上げるのはどうかと思いますが、大体こういう格好で今論議がかわされておるという
状況でございます。このまわりの方の
状況はずっと変わりまして、
都心部に周辺から入ってくる、それから外側に大きな外回り線を考える、こういう
考え方で今審議が進められております。この
考え方でいきますと、全体で九十八キロということになります。
資金問題いろいろからみ合わせまして、これがどの
程度取り上げられますか、その決定に従って
都市計画の方も変更になるものと私
ども考えております。ただ変わらないのは、名古廃駅から東山までの東西線と、市役所裏から金山に、至る南北線、これは変わらないものと考えております。そういうわけでありますので、今全体の
計画としての詳しいことが申し上げられないのをまことに遺憾といたします。
それから
名古屋市の
高速度鉄道の
建設にあたりまして、その準拠法規の問題でございます。お
手元に差し上げてあります「
建設省と運輸省との折衝の経過について」という冊子がございますが、この中に詳しく書いてございます。大体
高速度鉄道を
建設するのに準拠法規として、軌道法と地方
鉄道法とあります。
大阪においては軌道法に準拠し、
東京においては地方
鉄道法に準拠されておるのでございます。
名古屋においては、一番最初に、そのいずれによるべきかということについて、
政府で話し合いをした結果示してもらいたいということを申し入れたのでございますが、なかなかその結論が示されませんので、
名古屋市におきましては、最初の
計画は、
郊外鉄道が
都心内に乗り入れするという
計画でありましたので、地方
鉄道が乗り入れするということで、地方
鉄道法によりまして免許をもらったのであります。それに対しまして
建設省は、地方
鉄道法ではいけないのだということで、
建設省と運輸省と論議がかわされたのであります。この冊子の三ページに
参考として、軌道法の第二条「軌道ハ特別ノ事由アル場合ヲ除クノ外之ヲ
道路二敷設スヘシ」、四ページに地方
鉄道法の第四条「地方
鉄道ハ之ヲ
道路ニ敷設スルコトヲ得ス但シ已ムコトヲ得サル場合ニ於テ主務大臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ布ラス」こういうことになっておりまして、名古儀においては一期
工事、二期
工事とも地方
鉄道法によってこれをやっておりますが、この第四条によって
道路に
関係するところは
建設大臣の許可が必要でありますので、第四条による手続をいたしましたところ、
建設省におきましては、元来軌道法によるべきであるけれ
ども、今これを軌道法にするということは行政上混乱を来たすので、この場合に限り許可する、これは将来の前例にならないのだという書面がつきまして第四条の許可をもらって
工事をいたしておる
状況でございます。そこでいろいろ両省の問で話をいたしましたが、結局最後の方、別紙2というのにありますが、
建設省の
道路局長と運輸省の
鉄道監督
局長の間で覚書がかわされました。この覚書を読んでみますと、「
道路下に敷設する
地下鉄道に関する準拠法規の問題に関しては今なほ
意見の一致を見ない点があるので、今後の取扱方について次のとおり申し合せ、ここに覚書を交換する。1、
道路下に敷設する
地下鉄道の準拠法規の問題に関しては従来各般にわたる交渉の経緯を勘案して相互に充分検討を加え、できるだけ速かに解決するものとする。2、右決定までは
道路下に敷設する新たな
地下鉄道の準拠法規に関しては申請の都度連絡打合せするものとする。
昭和三十年十二月二十六日、
建設省
道路局長富樫凱一、運輸省
鉄道監督
局長柏田純一」こういう覚書がかわされたのでございます。これは、三十年の十二月二十六日に覚書がかわされておりまして、三十一年の二月八日に「地方
鉄道を
道路に敷設する許可について」ということで、
建設省の
道路局長から書面が参りまして、結局一期
工事、二期
工事の許可が参ったのでありますが、その後三十一年の二月九日に
建設事務次官から「
道路に敷設する
地下鉄道及び
高架鉄道の取扱について」という書面が参りました。この書面を読んでみますと、「近時
都市の
発展に伴う
一般交通量の激増に加うるに、
自動車交通の発達による
道路交通のふくそうは、
都市における
交通供給がひっぱくするに至っており、かかる
事態に対応すべく各
都市内において
道路に
地下鉄又は
高架鉄道を敷設して
交通供給の増大を図る
計画を策定中の向もあることと思料されるが、従来より
道路に敷設する
地下鉄道及び
高架鉄道については、その性格において
道路面上に敷設する軌道と全く同一であり、その準拠法に関しても、
道路面上に敷設する軌道とその取扱を異にすべき何らの意義を認め難いと考えられるので、これらを
道路に敷設する場合において、軌道法による主務大臣の特許を受けることが必要である。なほ地方
鉄道法による免許を受けて地方
鉄道を敷設しようとする場合における同法第四条但書の運用については、
道路の敷地外に適当な余地がないため、やむを得ず局部的例外的に
道路面下又は
道路の上空を占用する必要がある場合等に限り、「已ムコトヲ得サル場合」に該当するものとして同条但書の許可を与える方針であるので、同条但書の許可申請の進達にあたっては、右の趣旨を申請者に徹底せしめ、その申請に過誤なからしめるよう指導し、その取扱に万全を期せられたく通牒する。」こういう書面が
建設事務次官から
名古屋市長あてに参りました。
さらに三十一年の四月二十日に運輸事務次官から
名古屋市長あてに「
地下鉄道及び
高架鉄道の取扱に関する
建設省の通達に対する申入について」「本年二月九日
建設事務次官から都道府県知事及び五大市長に対し別紙1による通達が発せられているが、この通達に対して本年四月二十日運輸事務次官から
建設事務次官に対する申入を別紙2のとおり行ったので、この旨を御
参考までに御連絡する。なほ
道路下に敷設する
地下鉄道に関する準拠法規の問題について、
昭和三十年十二月二十六日
建設省
道路局長と運輸省
鉄道監督
局長との間で交換された覚書を御
参考として添附する。」運輸事務次官から
建設事務次官にあてました書類は、要するに
道路局長と監督
局長の間で申し合わせがあるのにかかわらず、かような書面を市長なり各府県知事に出したことはけしからぬじゃないかといった
意味であります。
要するに、われわれといたしましては、
建設省の言い分を聞いた方がいいか、運輸省の言い分を聞いた方がいいか、どちらが正しいのか実は迷っておるのであります。こういったことは
事業をするものとして非常に迷惑でありまして、これが解決について一つ国会方面におかれても何らかの御尽力を願って扱いの統一をぜひお願い申し上げたい、かように考えておる次第であります。