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1960-02-17 第34回国会 衆議院 運輸委員会都市交通に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十七日(水曜日)     午後二時十八分開議  出席小委員    小委員長 川野 芳滿君       天野 公義君    生田 宏一君       關谷 勝利君    久保 三郎君  出席政府委員         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君  小委員外出席者         運 輸 委 員 高橋清一郎君         運 輸 委 員 下平 正一君         参  考  人         (東京交通局         長)      人見 捨蔵君         参  考  人         (東京交通局         総務部長)   斎藤達次郎君         参  考  人         (東京都財務局         主計部長)   林  五郎君         参  考  人         (帝都高速度交         通営団総裁)  鈴木 清秀君         参  考  人         (帝都高速度交         通営団理事)  高井 軍一君         参  考  人         (帝都高速度交         通営団理事)  水谷 当起君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  都市交通に関する件      ————◇—————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより運輸委員会都市交通に関する小委員会を開会いたします。  本日は都市交通の諸問題について参考人より意見を聴取いたしたいと存じます。  この際、一言小委員会を代表いたしまして私よりごあいさつを申し上げます。参考人の方には、本日は御多忙の中にもかかわりませず御出席下さいまして、まことにありがとうございます。本問題につきましては最近における東京地区人口増加に伴い、都市交通混雑は日を追ってその激しさを加えて参りましたが、運輸委員会においても、本問題には特に小委員会を設置し、今後これらの諸問題を調査いたすことになった次第でございます。幸い本日は参考人各位の御出席を得まして御意見を承ることができますことは、小委員会調査の上におきましても多大の参考になることと存じます。  なお本日お呼びいたした参考人は、お手元に配付した名簿の方々でございます。議事の都合上、初めに東京都側より人見参考人、次に地下鉄営団側より鈴木参考人から御意見を承り、御意見の開陳が終わった後、小委員各位より各参考人方々に対し質疑を行ないたいと存じます。  それでは、まず人見参考人の御意見を承りたいと存じます。
  3. 人見捨蔵

    人見参考人 お許しを得まして、東京交通のごく概略と、交通局のただいまやっております仕事を御説明いたしたいと思います。  御承知のように、東京人口は非常にふえて参りております。なおそのふえ方が、都心部よりは周辺部に非常にふえてきておるのでございます。従いまして、交通の量もふえますと同時に、交通距離も非常に延びてきております。なお年間の一人当たりの乗車回数等におきましても、非常にふえて参っておりますので、その結果、非常な混雑を来たしまして、各種の交通機関はいろいろと手を尽くしておりますが、追いつかない状態でございます。なおこのほかに、路面交通も、路上混雑はもう皆様方毎日御体験の通りでございまして、最近の情勢によりますと、東京自動車は五十万台を数えるという状態でありまして、そのふえ方が非常な急ピッチ増加いたしております。昨年の半ばごろは、月に五千台くらいずつ車がふえるという状態でございましたが、去年の十一月になりますると、一万台足らず、もう少しで一万台になるというようなふえ方で、十二月になりまして一万台を突破するという状況でございまして、この勢いで進んで参りますると、都の建設局で一応推定いたしました数字は、昭和四十年になりますると八十万の自動車東京に出るという推定でございますが、最近の専門家の御推定によりますると、昭和四十年には二百万台になるであろう、そういうふうな急ピッチでふえつつありまして、路上混雑というものは、実に耐えられない状態でございまして、自動車自身があまり十分役に立たなくなっている場合も時々ある。何かの拍子でどこかに交通滞留場所ができますと、都心部におきましては、一キロ走るのに一時間もかかったというような例が出ておるのでございます。今の東京道路状態におきましては、とうてい二百万台というような数字は収容できないと考えられますが、いわゆる八十万台というものが、四十年にならない先に、ここ一、二年のうちにそれくらいの数に達するんじゃないかというような心配もされるのでございます。  交通機関の中の混雑は、先ほど申しましたように、人口の増と輸送距離増加によりまして非常に混雑いたして参っておりますと同時に、路上混雑がこういう状態になっておりまして、交通機関混雑を緩和いたそうと思いますれば、バスをふやすとか電車をふやすとかいうことをしなければならないのでございますが、一面から、路上混雑を緩和いたそうという場合には、路上交通機関を減らさなければならないという状態に立ち至っておるのでございます。  そこで、東京都といたしまして主としてやっております事業は、電車バス、トロリー、バス、もっぱら路面交通をつかさどっておるのでございますが、こういうふうな状態になって参りますると、自由に都心部の運行ができないというような関係上、非常に時間を要する。しかもなお、電車バス等はおもに通勤通学者あるいは低所得者がもっぱら利用しておりますものでございまして、この交通機関は何とか確保していかなければならないのでございますが、今のような状態でございますので、その使命をだんだんと果たしがたくなって参っております。  そういう状態はここ数年来予想されたことでございまして、東京都といたしましても、これを解決するためには、どうしても路上混雑に災いされないで通勤通学者をお運びする機関建設しなければならないというところから、従来は帝都高速度交通営団におかれまして東京地下鉄建設しておられたのでありますが、一昨年から東京都におきまして、営団から路線を一部譲り受けをいたしまして——これは京成電車の押上から馬込に至ります約十七キロの路線でございますが、これをお譲りを受けまして、この建設に一昨年の八月から手をつけてきておるのでございます。三十八年の三月までには是が非でも完成したいという心組みを持って、現在努力をいたしておるのであります。  ところが、この建設につきましては非常に莫大な資金を必要といたしますので、一方、路面電車バス等は、先ほど申し上げましたように、路上混雑に災いされまして思うような能率を上げ得ないというような関係からいたしまして、その事業経済を維持していくことがようやくでございまして、この事業から地下鉄建設の方へ資金を回すという余裕は全然ないのでございます。従いまして、もっぱら他の方法によらなければならないという状態でございまして、三十五年度におきましては八十五億の予算を計上いたしておるのでございますが、そのうち七十五億は起債に仰いでおる、残り十億を自己資金をもって補てんをするというふうな来年度計画になっております。  かような状態で、全線開通いたしますのには、約三百五、六十億あるいは四百億近い資金を要するのでございますが、大体その一割程度自己資金、他は起債に仰ぐという状況でございます。起債の面につきましては、関係官庁方面の非常な御理解をいただきまして、かなり程度起債をいただいております。ことしも七十五億の要求に対しまして、当初に五十五億の起債額を御承認願っておるのであります。なお事業の進捗につれて起債をつけようというような大体の御了解を得ておる次第でございます。  しかしながら、これをかような資金構成をもって建設いたしました場合の収支はどうなるだろうかということを大体推定いたしてみますと、三十八年に全線開通いたしましたときを基礎として考えますと、年間収支におきまして約十五億程度の赤が出る、かような状態でございます。それで漸次乗客はふえることはふえますが、一方にまた経費等もふえて参ると存じますので、このまま続けて参りますと、ずっと十五億という赤が毎年出ていくというような状況でございます。それで一応この十五億というものを何らかの方法補てんをいたすことができますれば漸次赤字が減って参りまして、十五年くらいたてばどうにか収支とんとんになるんではないかというような状態になっております。しかし、これはお客の数字とか、いろいろなものについてかなり推定が入っておるのでございますが、なおまだ甘いような感じがする推定でございまして、かような面から考えます場合に、今のような資金構成建設をいたしました場合には相当な困難な問題が出てくる、かように考えるのであります。  それで交通局といたしましても、今の計画をいたし建設をいたしております路線今一路線計画いたしておりますが、やはり将来といいますか、緊急に地下鉄建設していくというようなことにつきましてはさらに一つ営団に御協力申し上げて、東京自身地下鉄は掘っていきたい。建設陣容等におきましても相当の陣容を備えておりますので、今後この一線にとどまらず、必要なる路線について建設をぜひ行なっていかなければならない、できるだけ早くこれは建設したい。極端に申しますと、ほんとうに焦眉の急であるというような考え方がいたしますので、今やっておりますようなやり方ではとうてい需要に応じ切れないということが危惧されますから、これらにつきましても早急に建設を進めていきたいという考え方を持っておりますが、何分にいたしましても非常に莫大な建設費を要する事業でございます。同時にそれが収支におきまして計算上の赤が出るというふうなことが予想されますので、非常に都といたしましても苦慮いたしておる状態でございます。かような状況につきまして皆様方の御支援、御援助を何らかの形においてちょうだいできれば非常にしあわせだと思っております。  ごくあらましでございますが、東京交通状況東京都が考えておりますことは大体以上のようなものでございます。よろしくお願いいたします。
  4. 川野芳滿

    川野委員長 次は鈴木参考人の御意見を承りたいと存じます。
  5. 鈴木清秀

    鈴木参考人 私は営団鈴木でございますが、地下鉄建設の実際を申し上げることが非常に御参考になると思いますので、多少自画自賛だというきらいがあるかもしれませんが、遠慮なくここで申し上げますからお聞き取りを願いたいと思います。おもに建設を主とした実際を申し上げます。  まず銀座線でありますが、浅草—渋谷間、これはもうとうからできておる線でありますが、戦争中の修理は大体自己保有金でやりまして、他の会社のごとく外部の金をとらないで完成いたしたのでございます。ただ銀座線輸送量が非常にふえますので——ところが御存じのごとく浅草新橋は六両ホームでありますが、五島さんの作られた渋谷—新橋間は三両ホームであります。これを改良しながら六両運転できるホームに改築いたしまして、それであとで述べまする新線開通の三十六年三月を目がけて全部が六両編成運転をいたすために車両変電と、今申しましたホームの拡張をいたしました。これに要しました金が二十九億ばかりでありますが、これはいわゆる財政投資外の金でわれわれは支弁したのであります。ただいま約四十一万人を運んで五両編成でラッシュをやっております。  次には丸ノ内線でありますが、これは池袋—新宿間の十六キロで、ただいまのところ三十八万人ばかりであります。赤坂見附で連絡できてから非常な便利を都民に与えておると思いますが、三十六年の三月より少し前に新宿池袋の本駅ができ上がりまして、東西の両方から入れることになると思います。そういうような状態でありますが、この丸ノ内線建設概要について申しますと、最初は対日見返り資金交通債券でまかなっていこうと思ったのでありますが、着手いたしまするときに資金運用部の法律が出ましたので、これの資金を受ける適格者となれるような方法をとったのでございます。  資金面の詳細な数字にわたりますが、御参考に差し上げておりまするこのガリ版の二ぺ一ジをごらんおき願います。この二ぺ一ジを見ますと、昭和二十六年度は十三億五千万円であります。これから始めたのでありまするが、その前に一億ありますが、これは二十五年の暮れあたりから鋼材が非常に値上がりいたしましたので、前もって私は鋼材を買うたのであります。これは非常によかったので、このときはトン二万円でありましたが、工事に着手いたしますときになりますと、トン五万四千円になり、さらに上昇して参っております。かくして昨年の三月池袋—新宿間を開通しましたが、その投下建設費は二百七十八億であります。そうしますと、一キロ十六億四千四百万円であります。しかしこれは安いのでありまして、実際の区間別に見ますると、池袋—御茶ノ水間は地上線がありますので、一キロが七億八千五百万円であります。しかしこれは当時営団がゆとりがありましたので、建設利子営業収入で負担しました金が五億ばかりありますので、実際は八億八千万円くらいであります。御茶ノ水—西銀座間は一キロが二十億七千二百万円、西銀座—新宿間は二十二億五千五百万円、これは御存じのごとくケーソンを施工し国会のそばはシールド工法を採用したからであります。それならば工法によってどのくらいの経費が要るかというと、開さく式の、地上からいわゆるオープンカットでやりますと、土かぶり五メートルで一メートル約六十六万円、ケーソンでやりますと、帝国ホテルのところは一メール八十六万円、山王下のところが百三万円でオープンカットから約五割増しであります。シールドに至りますと一メートル百五十万円で約二倍くらいの工費が要るのであります。こういうふうにして建設されたのでありますが、昭和二十五年度から三十三年度までに調達いたしました建設費ガリ版資料の2にありますように二百四十五億であります。前に申しましたところの二百七十八億に対して資金の狂いのありますのは、車両を一部三十三両信託して信託会社に預けてありますのと、池袋—新宿の本駅の支出が三十四年度以後になっておるからであります。かくして二百四十五億は片一方の参考資料にあると思いますが、預金部資金が百二十八億、見返り資金が二億五千万円、公募公債が七十七億三千四百万円、増資が二十三億一千六百万円、ほか十四億は借入金その他であります。預金部資金から約六割を借り公募から約三割を借りております。  このように資金を得ましたが日本経済の伸展とともに資金も多く集まり、建設規模も拡大されたのでありまして、このガリ版をごらん下さればわかりますように、大体三十年度あたりまでは財政投融資公募とまぜて三十億程度であったのでありますが、三十一年度からは財政投融資をまぜて四十四億になり、三十二年度は五十億になり、三十三年度は六十二億となって建設速度を高めたのであります。預金部からのお金は、預金部において交通債券引き受けて下さるのを預金部から金を貸してくれるのと、いわゆる貸付公債と両建になっております。さらに一般の公募の金は全く日本経済金融事情によって消化されることが年によって違いますので、このガリ版でごらん下さればわかりますように、昭和三十二年のごときは公募公債が七億きり、七億という金は銀行の協力によりまして借り入れてわれわれは建設して参つったのであります。なお本年度三十四年度は大体七十五億を調達して予定のごとく工事ができると思います。  ここで少し申し上げておきますが、われわれが地下鉄建設する根本の考え方と思っておりますことは、規模がいたずらに大きくないように、将来の輸送量を勘案してあまり大きくならないように、しかしながら輸送安全性ということをはかるためには当時の最高技術を使う、それから建設資金を寝かさないために工事の効用が発揮する時期をつかまえて請負工事にかける、こういうことを方針としてやっております。それで工事に対しましては請負者鋼材となまコンとを支給しております。これは、鋼材は時によって価格の値上がりが激しいので、自分の責任においてやるということを考えております。しかも土木工事工費の大体五三%でありますが、その中の約一割一分ぐらいが鋼材に当たりますので、われわれは鋼材について非常に注意しております。なまコン地下鉄建設によって初めて大々的に使用されるようになりました。それまで道路に使用されておりましたが、わずかのものでありました。それから安全の速度を高めるためにウエスティングハウスの特別な制御装置日本で初めて採用しました。これはその後私鉄及び国鉄の電車にも採用せられるようになったのであります。また軌道についてもゴムのプレ—トを使うようにいたしました。今度作ります二号線は東武の郊外電車と連結いたしますから、今までの安全装置でなくて、日本で初めて高周波によって電車を自動的にとめる方法速度コントロールする方法を採用するつもりであります。これは世界においてはソビエトが使っておるのであります。そういうように技術的には最高水準技術を使うよう心がけております。  それで丸ノ内線開通いたしましたので、丸ノ内線開通後の営業成績を申しますと、ガリ版の三ページをごらん下さい。三十三年度の末に新宿まで開通いたしましたが、ごらんの通り収入の合計が三十四億六千九百万円、減価償却を七億六千三百万円やりましてとんとんであるのであります。ところが、これが新宿線開通で、いわゆる建設費勘定のものが固定資産になって利子を支払うようになりますと、収入が四十三億八百万円でありまして、減価償却を七億六千三百万円やりましたと同等の方法、大体において七三%の償却率でありますが、それをしますと、十三億五千七百万円になりまして、十二億四千九百万円の赤になります。先ほど人見さんが、全線に対して十三億と言われましたが、十二億四千九百万円の赤になります、それは建設利子の十七億という利子が非常に大きなファクターとして、ここに現われておるからであります。これを線別に見ますと、丸ノ内線において見ますと、丸ノ内線収入が二十億八百万円、これに対する利子が十六億五千九百万円であります。今までの償却方法をそのまま適用すると、十七億二千万円の赤になるのであります。この赤のあるものが、銀座線の利益でカバーされましたので、先ほど申しますごとく、十二億四千九百万円の赤となるのであります。それは丸ノ内線におきましては、この利子収入の八〇%に当たります。営団全体から見れば利子は四〇%でありますが、新しい建設をしたものから見ますと八〇%に当たるのであります。こういう点をお考え下さいまして新線利子補給という問題を御考慮願いたいと考えるわけであります。  次に、資料の4の工程表によって御説明を申し上げますが、池袋駅と新宿本駅は、先ほど申し上げましたごとく三十六年の三月に——これは少しそれより前に完成いたします。それから新宿から南中野及び分岐線の本町通三丁目と富士見町間は、これも三十六年の三月に開通いたしまして、この期間に丸ノ内線の現在四両編成を五両編成運転いたします。その先の荻窪までは、約一年おくれて開通させるつもりであります。その際において池袋—新宿間は六両運転を実行いたす予定でおります。この各線の工費は、建設費総額のところに書いておりますので、省略させていただきます。  それから、ただいまもう一つ建設いたしております北千住—目黒間の二号線でありますが、そのうち南千住—仲御徒町は、同じ三十六年の三月に開通させます。それからあとは、北千住南千住間、仲御徒町人形町間は約一年おくれ、そして人形町—中目黒間は三十八年度中に完成するつもりであります。総額は省かしていただきます。  こういうような建設をやっていきますにあたって、三十五年度以降の資金は、この4のガリ版の下に書いてありますが、三十五年度は、今度百十五億の財政計画を受けたのでありますが、営団としてはなお十億の金を必要とするのであります。それから第五号線の中野—東陽町及び大手町—下板橋間でありますが、これに対するところの準備調査は完了いたしまして、本年度より本格の設計に入るところであります。それで資金手当ができれば、三十六年度中から着手したいと思っております。ただこの五号線というものは、路線そのものについて、交通計画上研究すべきものがあると思いますので、その点もこの際研究してみたいと考えております。池袋—向原間は、これはほとんど同時にできます。  ここで新線建設上の問題点を申し上げると、地下鉄には建設上の困難と、建設後の運営の困難と二つがあるのであります。建設上の困難は、技術はもとよりでありますが、第一は用地買収及び地下の埋蔵物の処理であります。この用地買収かなり工事の時期をいろいろずらせますので、これに対して何らかもっといい方法はないか、御研究を願いたいと思うのです。  次は官庁に対する認可であります。一つの工区は大体二年半、あるいは三年かかりますが、そのうち一年半くらいは官庁認可事項対外折衝であります。ことに、いろいろの河川あるいは公園、そういうものの計画との関係から認可事項が非常におくれがちであります。これは何とか認可事項を早くやっていただくことをお互いに考えなければならぬと思うのであります。  次には膨大なる建設費の調達であります。これは財政投融資計画がきまりましたので、非常にこの点においては政府補助政策が完成しておると思うのでありますが、この額をふやしていただきたい。  次に運営上に及ぼす問題は建設費の負担でありますが、ニューヨークのバーマンという高速度地下鉄の技師が発表したところによりますと、地下鉄は陸上の二十倍、高架は三十倍だといっておりますが、大体その程度であります。ここで運営上においては一つは適正な運賃を施行することを認めていただきたい。  第二は固定資産税であります。地方税法三百四十八条によりまして、新線トンネルだけの税金は無税であります。三百四十九条の三によって変電所その他は五年間三分の二免除され、あとは三分の一免除されるのですが、この固定資産都民の幸福をはかるためで、また地方公共団体に入る金でありますので、この税金は免除するようにお願いいたしたい。  それからもう一つ利率であります。今預金部から借りておる利率は、貸付は七分三厘であるが、債券引き受けは七分五厘であります。これを考えていただきたい。もう一つは、先ほど申しました預金部から借りるものは、貸付交通債券と両建になっておる。貸付の方が有利なのであります。その両建を、預金部資金から借りる金が、大体半々に、半分は貸付でくる、半分は債券引き受けでやる。この方を貸付にやっていただきたい、こういうことがわれわれの考える念願であります。  くだくだと申し上げましたが、失礼な点はお許しを願いまして、建設上の実情を申し上げました。
  6. 川野芳滿

    川野委員長 これより質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。天野公義君。
  7. 天野公義

    天野(公)小委員 いろいろな基本問題についてはほかの方から御質疑があると思いますし、鈴木総裁もお時間お急ぎのようでありますので、簡単に一、二、あるいは表面的な問題かもしれませんけれども、お伺いしたいと思います。  それはただいま最後の方でおっしゃいました五号線のことに関連してでございます。五号線につきましては、前に都の交通局の方では、私の方でやりたいという御意向を明らかに示されたこともございます。いずれにいたしましても、私の方の立場としてはできるだけ早くやっていただきたい。特にオリンピックという問題もありますから、やる以上はオリンピックまでに間に合わせていただければ非常に幸いだ、このように考えております。つきましては、今のお話にありましたように、五号線については交通計画上考えなければならない問題があるということをおっしゃられておりましたが、そういう点は一体どういう点であるか。それから五号線については営団にすでに免許がおりているのでありまして、営団の方としてはその既定計画に基づいて進まれると思いますけれども、オリンピックまでに間に合わせるようにやる意思でおられるのかどうか、そういう点についてちょっとお尋ねしたいと思います。
  8. 鈴木清秀

    鈴木参考人 路線そのものについての考慮と申しますのは、あの線は中野から東陽町、ところが一つは板橋から来て、大手町でぶつかっておる。このままでいいかということなんです。東京の将来を考えると、このままでは考えるべき点があるのじゃないかということで、自分の方はひたすら研究しておる。ただ図面の上に線を引くことは容易でありますが、実際上の建造物、地質を考えて、将来のあれを考えた路線網を一応考えるべきだということを私は申しておるのであります。着手するには、何も今の路線だって着手してもいいわけです。  それから第二には、やれるかというお話でありますが、これはやれます。ただ期間が短いにしても、三十六年度から予算をとっていただきますれば、それは金だけの問題でございまして、やれます。少なくともその路線の大体の効用を発する域までには達する。しかも地下鉄道の困難なるものは車庫なんです。これに対しても目星がつきつつあります。やれると考えております。
  9. 天野公義

    天野(公)小委員 東京都の方でもやりたいという御意思を、いつか私的におっしゃっていたようでありますが、営団の方でやるといえば、東京都の方は問題ないわけですね。
  10. 人見捨蔵

    人見参考人 五号線の問題につきましては、実は昨年の四月ごろと記憶いたしておりますが、自民党さんの七役会議において、今後の地下鉄建設を促進する意味において、その仕事の分量等を勘案されたと存じますが、現在営団さんが手をつけて、御計画中のものが約三十九キロございます。そうして私の方で現在やっております一号線、それからたまたま五号線が問題になりましたので、それを調べてみますと、それを合わしますと、やはり約四十キロになるわけであります。両方の力を結集して、並列に進みますれば、工事は早く進行する、そういうふうに考えますし、一方、そういうふうな方面の御指示もございました。お許しをいただければ、これらについてもやらしていただきたいという希望を持っております。なお、やりました場合には、オリンピックまでには必ず間に合わせるという確信は持っております。
  11. 天野公義

    天野(公)小委員 東京都の交通局側では、オリンピックまでに間に合わせるようにやりたいとおっしゃっておる。営団側も、金の都合さえつけばやるんだとおっしゃっているのでありますが、これはどういうことになるのでありましょうか。免許を持っておる営団側で責任を持っておやりになるというならば、問題はないわけですけれども、いろいろそこに支障があって、東京の方でもやりたいということになると、そこにいろいろ問題が起こりかねないとも思うのですが、そういう点についてちょっとお伺いしたい。
  12. 鈴木清秀

    鈴木参考人 東京都内の地下鉄営団で設置すべきものだということで、国の方針がきめられてある。たまたま東京地下鉄道の完成を早くするためにどうするかということで、この前いろいろ議論されたのでありまして、やはり一本でやることが望ましいんだと思ったのでありますが、あの際におきましては、あと残っていた路線が、一号線と二号線と五号線と三つ残っておる。あと新宿から先がありますけれども、今になってみますと、もう四号線も残って、あとは同じく、東京都が一号線をやり、私の方が三号線をやり、あとは五号線を私の方がやる。事情が非常に違っておる。  それから、やれるかやれないかということになりますれば、政府の方で資金をお貸し下さいますれば、これはやれるということであります。私の方も、まだどこからも、その路線についてどうこうしてくれという話は受けていない。ただ早期完成してくれという陳情は受けておりますが、それ以上のなにはありません。
  13. 天野公義

    天野(公)小委員 そういたしますと、これは交通局側と営団側と、やりたい、やりたいということで、営団側の方がおやりになることになると、若干東京都の方もお手すきになって、新しい線も考えなくちゃならないじゃないかというようなこともあるのではないでしょうか、どうでしょうか。
  14. 人見捨蔵

    人見参考人 先ほどもちょっと触れたのでございますが、交通局といたしましても、建設のスタッフは全部そろっております。これをただ一本を完成しただけで、あと役に立たせないということは非常にもったいないことだと考えますし、なるべく早く地下鉄建設するということにつきましては、私どもの方としても、営団と御協力の上で、一刻も早くこの路線網の完成を期したいと考えております。これは実はそういう御決定が去年の四月にございまして、それを私ども承知いたしたのでございます。これもまた別段にどこからも、どうしろという御指示はまだいただいておりません。いずれにいたしましても、こういう問題については、営団さんとよく御協議の上、仕事の分担をさしていただいて、帝都交通を早く完成するということになりますれば、その方がベターではないか、かように考える次第であります。
  15. 天野公義

    天野(公)小委員 交通局側と営団側とよく御連絡をとりまして、円満に、しかも早急に、地下鉄網の整備に向かって邁進していただきたいと思います。
  16. 關谷勝利

    ○關谷小委員 私は、次に海運に関する私の中心の委員会がありますから失礼しますので、ちょっと簡単に一点だけお尋ねをしてみたいと思います。  この都市交通路面交通が、もうこういうふうになっては、いろいろの緩和の方法はありますが、重点は地下鉄の整備に置かなければならぬということはよくわかりますし、なお地下鉄の整備につきましては、先ほど鈴木総裁からお話がありまして、認可の点とか資金の問題、固定資産税の問題、利率の問題、利子補給の問題等が関連して起こってくるわけでありますが、それらがわれわれがこれから審議いたします上に、いろいろ逆算等をいたしますために非常に必要になってくるのであります。利子補給も何もないし、今の状態のままで、営団の方で予定いたしております路線を全部完成をいたしました暁に、採算のとれる運賃というものは大体どの程度になりますか。この点計算するのはちょっとむずかしいのでないかと思いますが、概略でけっこうでございます。
  17. 鈴木清秀

    鈴木参考人 これは実にむずかしい問題なんですが、われわれは二十五円のあれとして計算しております。それから荻窪の方に路線が行ったときには運賃のアジャストができるものとしますと大体において、いわゆる償却率は減るのでございますが、現行の償却程度の金は押えていける。しかしながら、その時間的のズレによって、ある年によって非常な赤字が出てくることもありますが、大体において、たとえば丸ノ内線の赤は四十年くらいのときにおさまります。そうすると、二号線及びほかの赤を銀座線その他において償っていくというような状態でいきますので、現行の償却くらいのところは何とか維持していける。しかしながら、現行の償却程度の額では困るので、それはどうしても補給とかなんとのかの方法を講じていただかなければならぬ、その方が便利である、こう考えております。
  18. 關谷勝利

    ○關谷小委員 今、地下鉄の値上げの件が出ておりますが、それは私たちはよくわかりますので、早急にやらなければならぬということで今努力しております。近くこれも決定すると思いますが、そういうふうに償却を少なくするとかなんとかいうことでなくして、償却は定額償却であるのか定率償却であるのか知りませんが、そういう償却は遅滞なくやって、そして工事費等は非常に高くつきますが、それを原価計算から割り出してみました場合の運賃が五十八円につくとか五十九円につくというようなこともちょっと聞いたことがあるのですが、それがどの程度になりますのか、そういうことがわかりますと、利率の面ではどうしなければならぬとか、固定資産税をどうしろとか、全面的に利子補給をやらなければならぬとか、いろいろな議論が生まれて参りますので、その償却もいたしますし、赤字を出さない経営をやるということになりますと、それは運賃をどの程度にすればいいのだということになりますか。この点は都の交通局営団とは多少違って参ります。営団の方が古いのでありますから、それだけ安くなるはずですし、交通局の方は高くなると思いますが、これは総裁にお尋ねして、あと交通局長の方からも伺ってみたいと思っております。
  19. 高井軍一

    ○高井参考人 丸ノ内線は現在完成しておるのでございますが、これは理屈を言うと非常にむずかしいのですけれども、収入と支出を限度一ぱいにして参りました場合、営団で経営いたしますと、収入に対する支出の比率が二一一%くらいになるという試算をいたしております。もちろんこのときには現在の運賃で考えるわけであります。
  20. 關谷勝利

    ○關谷小委員 その運賃をどうすればいいということになるのでありますか。
  21. 高井軍一

    ○高井参考人 だから、この線だけでやるときには、結局現在二十円でございますものを、定期外の方を四十二円程度にすればとんとんになるということになります。もちろん配当ということは考えておりません。
  22. 人見捨蔵

    人見参考人 先ほど申しました収支の基礎は、三十八年から二十五円という基礎料金で考えておるのであります。これは周囲の料金との関係がありまして、約倍くらいの料金になります。これはごく概略でございます。
  23. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御発言はありませんか。——それではこの際お諮りいたします。運輸委員の下平正一君より小委員外の発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでありますから、発言を許します。下平正一君。
  25. 下平正一

    ○下平議員 三つ四つこの際お尋ねをいたしたいと思うのです。  その一つは首都の交通問題だけではなくて、全般的に、交通機関の発達あるいは人口増加、産業構造の変化等で、交通政策というものがそれに対応して長期に立てられなければならぬと思うのですが、残念ながら今日の日本には、そういった長期の交通政策が欠けておるような気がするわけであります。そこで、その全般的な輸送交通計画は別といたしまして、さしあたって首都の人口増加その他で、首都の交通が大へん大きな問題になっております。個々の営団に対する補助をどうしようとか、あるいは建設資金をどうしようとかいうことも一つ問題点ではありましょうけれども、制度上、政策上、国として、あるいはわれわれ運輸委員会、立法機関としてどう対処していかなければならぬかということが、大きな基本的な問題になると思うのであります。そういう点で現実に東京都の交通を担当され、特に地下鉄その他新しい方向の部面を担当しておられる方々がお見えでありますので、今、都市交通を担当されておる皆さん方が、制度上、政策上、一体どういうことを国会に対して望んでおるかという点を、お二方からお伺いをいたしたいと思うわけであります。
  26. 人見捨蔵

    人見参考人 ただいまのお尋ねでございますが、東京交通状況は、先ほど申し上げました通り交通機関内の混雑路上混雑と両面ありまして、交通機関内の混雑を緩和するためには、交通機関をたくさん設置する必要がございますし、路上混雑を緩和するためには、交通機関を減らさなければならないという矛盾した格好になっておるのでございます。しかしながら、一方、自動車の製造工業というものは政府としては助成をされておりまして、年々相当の数が作られておりまして、それでもなお日本自動車工業は立ちおくれておるといわれておりますので、これは何としてもふえていくものと考えなければなりません。将来の問題といたしましては、路上交通機関、しかも大衆の交通機関は、路上にわずらわされない地下または高架に持っていくということがぜひ必要なことであると存じますが、現在の路面交通をどう緩和していくかというような問題になりますと、先ほど御指摘のありましたような、いわゆる制度上の問題にも触れてくるかと考えるのでございますが、交通関係につきまして考えますと、いわゆる輸送をするという面につきましては運輸省が担当いたしておられます。また道路の区面につきましては建設省の御担当であります。なお道路上における輸送機関をどういう工合に処理をして、どういう工合に進め、動かし、事故のないようにしていくかというような問題につきましては、警察庁の御担当でございます。これらにつきまして、少しそこは入り組んでおりまして、なかなか連絡と申しますか、調子がとれないというような格好にございまするので、何としてもこういう三者を、同時に三問題を、総合的にこういう委員会等におかれまして、御検討いただきまして、その間の調整をしていただくことが現在の問題として非常に大切な問題じゃないか、かように考えるわけでございます。
  27. 鈴木清秀

    鈴木参考人 ちょっと逆にお尋ねいたしますが、いわゆる都市の交通政策を樹立するについてどう国会に要望するかということでありますか、あるいはただいま問題になっておりました、東京に限らず都市の地下鉄建設についていかなることを国会に要望するか、こういうこととどちらですか。
  28. 下平正一

    ○下平議員 先の方です。
  29. 鈴木清秀

    鈴木参考人 この一番大きい問題は、東京なら東京都内の交通機関がいろいろの企業者によって経営されておりますが、これをどういう方向に持っていくかということを真剣に研究せられることがいいのではないかと思います。しかしながら、ただいま地下鉄建設という工事が進捗しておる際におきましては、この制度をいたずらに混乱させることは困るのであります。ということは、金融機関は企業形態の変わることを知りますと非常に金融を手控える、また今後の工事におきましても、企業体が変わると、非常に速度はゆるみ、保守は悪くなる。これは鉄道を買収する場合及び電力統制の場合等において苦い経験をわれわれは持っております。将来の東京都内の、人見さんの言われた三者合体の方法を考えるのが大いにいいと思いますし、研究すべきでありますが、時期は非常に慎重に扱っていただきたい。それまでにおきましては、いわゆる道路面交通及び専用軌道等の交通、そういうようなものを各省別の区画をなるべく除去して政策を立てられることが望ましい、こう思っております。
  30. 下平正一

    ○下平議員 時間もあまりないようですから、ほかの問題に移りますが、実は、私、昨年非常に都市交通が困難を来たしているといわれるニューヨークで都市交通の問題等をちょっと見学してきたわけであります。その際に感じましたことは、単なるニューヨークの市の問題としてではなくて、州全体の問題として州の立法機関でやっているという点を実に感心して見てきたわけです。たとえてみると、バス・ターミナルを作るにいたしましても、地下鉄を引くにいたしましても、土地建物の撤去とか、所要の敷地の確保等々に大へんな困難が私はあると思うのです。実はニューヨークでこの国会議事堂の三分の一くらいのビルディングを爆薬でこわしておりますので、一体何じゃと聞いてみましたところが、この交通困難を緩和するために州の政策としてバス・ターミナルを作るんだ、その所要の土地を確保するためにこわすんだ——およそわれわれではちょっと考えられないようなことが、ニューヨーク州では行なわれていたわけです。そういう点等についても、実は具体的な困難な状態等もお伺いしたり、何か単なる東京都の問題という観点ではなくて、国の問題としてやはり国会で取り上げる必要がありはせぬか、そういう観点からお伺いしたわけですが、時間もありませんので、この問題はまた後日何らかの機会にお伺いをすることにいたしまして、先ほど東京都の交通局長さんですか、御説明を聞いていて、いろいろ不審に感ずる点があるわけなんですが、建設資金に約四百億円という莫大な資金がかかると伺いました、十七キロですか建設するのに。その資金構成が非常に悪いと聞いたんですが、この資金構成というものは、もっと具体的に言うと自己資金をなんぼか出すと言いましたが、自己資金を出すというだけの余裕というものが交通局にあるのですか、その点をちょっとお伺いしたいのですが……。
  31. 人見捨蔵

    人見参考人 先ほど自己資金と申し上げましたのは東京都としてのことでございまして、交通局といたしましては全然その余力を持っておりません。昨年三十年度は都庁一般経済から二億三千万の繰り出しを受けておりました。三十五年度の予算におきましては十億の繰り出し基金を受けるということになっておるわけであります。なおその資金構成について非常に困るということを申し上げましたのは、実はやはり金利の問題が非常に大きいのでございまして、三十三年度におきまして二十三億の資金公募政府資金と両方仰いだのでございますが、公募が十七億、政府資金が六億、こういうような状態でございまして、比率から言いますと公募が七四%、政府資金が二六%、初めの話では政府資金が六割、公募が四割というようなことになっておったのでございますが、いろいろと財政投融資計画の面から制限を受けまして、ただいま申し上げましたような率になっております。公募の場合には大体利率が七分五厘、政府資金は六分五厘でございます。公募につきましては手数料その他等が入りますので、かりに政府資金六割・公募資金を四割と見ましても、平均七分三厘程度になっておるというふうな状態でございまして、かような金利の負担には非常につらいのでございまして、三十八年度に完成いたしました場合に、利息を計算してみますると、利息だけで二十三億何がしというものを払わなければならぬという状態でございますので、私どもお願いしたいと思いますことは、政府資金をふやしていただくということと同時に、利子補給をしていただく。あるいはさらに進んでは、地下鉄建設というものは道路に準ずるものとお考えいただきまして、助成金等についても御心配いただければ非常にありがたい、かように考えておる次第でございます。
  32. 下平正一

    ○下平議員 さっき高速度営団鈴木さんの方の建設状態のお話の中に、公募の中の政府資金は大体半分くらいある……。
  33. 鈴木清秀

    鈴木参考人 半分以上になっております。今まで大体半分……。
  34. 下平正一

    ○下平議員 そういう話を聞きましたが、一般公募だと七分五厘で相当手数料もこれは入りますので、政府資金がくるのと一般公募という形では、将来の問題に大へん影響があると思うのです。今都の方は、実際は、四分六という形が全然公募の方が多くて、政府資金は大蔵省で削られてしまって大へん困っている、こう言っておりますが、高速度営団の方は今交通局長が言われたような点についてどんなお考え方を持っていますか。
  35. 鈴木清秀

    鈴木参考人 私の方は、やはり公募というものは財界、金融の状態によって非常に不安定なものなのです。いわゆる計画として五十億なら五十億公募と載せられても、金融状態の危ぶみによって五十億消化できない場合がある。政府はまた五十億について責任を負うわけではないのであります。従って、われわれは銀行業者その他から短期の金を借りなければならない。それでありますから、われわれとしては建設資金財政投融資のいわゆる運用部資金でまかなわれることが一番望ましいのであります。そういう点においてはそうでありますが、しかし実際面としては、そう全部が全部財政投融資の運用資金にいくわけにいきませんので、公募もある点においてやむを得ないと思いますが、それをふやしていただきたい。  それからもう一つは、先ほど申しましたように、預金部の金は貸付交通債券引き受けとになっております。交通債券引き受けであるとすれば、ほかの債券と同じ利率になる貸付利率をかえることができますので、現在においてはもう貸付は七分三厘に下がった。そういうようなこと、一つは、額面通りに片一方はくる。片一方は額面を割ってくる。いわゆる応募者利回りから非常に違う。それから償還期限が違う。そういうようなことから、貸付でいただく方が引き受ける方は非常に楽なのであります。そういう点においてできるだけ貸付でもらう、また、たとい貸付でやる場合においても、七分三厘というのはこういう公共事業では高いのであります。従ってこれを下げてもらいたい。これはロンドンが——ほかの国もそうでありますが、地下鉄建設されてあれほどまでいくに至りましたときには、会社が五分利公債を発行しておる際に、政府は三分を負担したのであります。二分が会社持ちであります。そういういろいろの補助政策というものがロンドンの地下鉄を発達させた。ニューヨーク及びパリにおいても、これとは異なりますが、ある補助政策を、行なって現在の完成を見ておるのであります。今日東京においては、建設資金の金額の調達だけのめんどうは見る、しかしながら、それに対する金利その他の運営上に対する補助政策はまだ行なわれていないということは遺憾だと思います。
  36. 下平正一

    ○下平議員 これでやめます。先ほど交通局長さんの、三十八年三月完成の収支見込みの大略の話がありまして、ちょっと聞き漏らしたかもしれませんが、年間十五億くらいの赤字になると、推計百億も二百億もの赤字になる、こう言っておりました。ペイする運賃は倍だ、二十五円の倍の五十円、これは勘違いかもしれませんが、そういうことを言っておりましたが、完成をされた後にそれだけの赤字というものをかかえていくということは、きわめて不自然な形だと思うのです。これは一つの企業でありますから、一体どういう形でそれをペイする、あるいは赤字がなくなるという形を考えておられるのですか。まさかそういう計算の上で自分だけが背負い切れるもでのはないと思うのです。だからどういう形でそういう赤字その他の解消ということを考えておられるか。あるいは解消について国あるいは政府等に要求をするのかどうか。そういう将来の運営について、たとえば建設費のかかった点等も加えて、どういうお考え方を持っておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  37. 人見捨蔵

    人見参考人 実は非常に痛い御質問をいただいたのでございますが、建設はどうしてもやらなければならないというところから、公共的立場から建設の着手をいたしておるのでございます。この赤字をどうするかという問題につきましては、実は今都庁方面ともいろいろ相談もいたしておりますが、なにいたしましても、かような赤字を背負っていくわけには参りませんので、何とかの方法をもって政府の助成を仰ぐ、これ以外にいい方法はない、簡単な結論で申しわけないのでありますが、それ以外に方法はないというふうに考えているわけでございます。
  38. 天野公義

    天野(公)小委員 二、三点人見さんにお伺いしたいと思います。今度、営団でもやっておりますが、東京都の方でも地下鉄ができるということになりますと、路面電車との競合線が非常にふえてくる。路面電車については交通事故の原因になるようなこともありますし、いろいろ問題が起っているわけでありますが、競合線に対する路面電車の措置をどうするかという問題と、それからバスとの関係もありますので、将来路面電車をどのようにお考えになっているか、お伺いしたい。
  39. 人見捨蔵

    人見参考人 実は東京都におきまして地下鉄を直接に建設を始めました動機は、やはり路面電車の問題が一番大きな問題でありまして、今の姿でこのままでいったならば、その機能を発揮することができなくなります。そのためにどうしても地下もしくは高架にこれを置きかえていかなければならぬ、そういう見地から、地下鉄建設を始めたのであります。建設いたしました上において、交通量を勘案いたしまして、撤去し得るものについては撤去し、あるいは迂回し得るようなものは迂回をさせるというようなことで、やはり路面電車というものは路上から逐次姿を消さしていきたいというふうに考えている次第であります。
  40. 天野公義

    天野(公)小委員 地下もしくは高架というお話でございます。地下の方は着々やっておられますが、高架の方の構想はいかがでございましょうか。
  41. 人見捨蔵

    人見参考人 高架と申しましても、地下鉄のごく一部に高架がある場合がございます。私が考えております高架と申しましたのは、国有鉄道の電車線の拡充というようなことを考えているわけであります。昭和三十年でございましたか、山手線と京浜東北線の分離をされまして、その前田端と品川間でございますか、その間最高の一番短いヘッドで車を動かしておって、これを分離いたしますれば、その倍は算術的には動かせる、従いまして、その輸送力はそれだけふえるわけであります。これらにつきましても国有鉄道御当局で十分御考慮願ったことと承っております。高架というのは、そういう意味で申し上げた次第であります。
  42. 天野公義

    天野(公)小委員 参考までに、人見さんも鈴木さんも都市交通の非常な権威であられますので、この際御意見を承りたいと思うのであります。最近の自動車の輻湊ぶりというものは非常なものがあり、大へんなことでございます。そこで非常に自動車の錯綜するところの交差点というところは、もう路面の横断歩道を禁止したらいいのではないか、かりに銀座四丁目をとれば、あそこの路上を横断するのを全部禁止して、地下道をもぐってもらう、それから地下鉄でああいう施設のないところには横断歩道にトンネルを作って、安全確実に人間が通れる、こういう方向を考えていただく必要があるのではないか、このように思います。そういう点の御意見と、それからもう一つは、自動車のはんらんに対する措置といたしまして、自動車を持つ者は大都市において一定区間を区切って必ず車庫を持たなければならない、こういう規定を置きますと、出先の車の放置は、車がとまらなければ仕事ができないのでありますから、しようがないといたしまして、いわゆる路上放置の問題、また車の制限の問題、こういう点も相当規制されると思うのであります。そういうような、車を持つ者は必ず一定区間内には車庫を持たなければならないという方向に踏み切る時期にきているというふうに感ずるのでありますが、都市交通の権威のお二方からこの二点について伺いたい。
  43. 人見捨蔵

    人見参考人 交差点のただいまのお話、自動車の車庫の問題、全く同感でございます。
  44. 鈴木清秀

    鈴木参考人 今、先生が申された通り、交差点はできるだけ地下にするということはいいことだと思います。ことにわれわれも、そういうことも考えまして新宿のごときは、新宿地上を緩和するために、私どもとしてする必要もなかったのでありますが、新宿—伊勢丹間を全部坑道のようにしました。また国鉄の指示もありまして、池袋の今度の本駅も東西の通路は坑道になっております。それらの費用をわれわれは負担している。新宿においては全部負担し、池袋においては各社において出している。そういうわけで、今地下における施設を考え合わせております。  自動車の問題については、私は自動車はあまり専門でありませんので、車庫のない者には許さないという実情に今あるのかどうか、交通の面から見れば、それは禁止すればいいが、そういう実情にあるのかがどうか、私はあまりそういう方面に知識がありませんので、お答え申し上げかねますが、考え方としては、ごもっともだと思います。
  45. 天野公義

    天野(公)小委員 最後に一点お伺いしたいことは、東京都の財政当局がお見えでありますから、東京都の交通政策をやっていく上におきまして、財政当局の御意見を承っておきたいと思います。
  46. 林五郎

    ○林参考人 今までいろいろお話が出ておりましたように、ひとり東京都のみならず、大都市の交通困難の問題は、これは非常に大きな問題であると思います。現在も交通難緩和の一助として、地下鉄はもちろんのこと、在来道路の拡幅の問題でございますとか、あるいはまた路線の新設の問題、また立体交差の問題でございますとか、すでに御案内の通り高速道路の八路線建設の問題等、きわめて大きな財政需要を包蔵しております点、問題を持っておるのであります。これらの問題の解決につきましては、われわれ財政当局といたしましても、国の補助を得ながら、また適債事業につきましては起債を得ながら、それに都費を相当投入いたしまして、重点的な一つの施策といたしまして、この推進に大きな力を注ぎたいと考えておるわけであります。また、この都市交通全般の問題といたしましても、あるいは道路建設の面におきまして、あるいは高速道路の面におきまして、その地取り締まりの面におきまして、それぞれの分野におきましていろいろ検討をしておったのでございますが、先ほど来御意見がございましたように、総合的に一つの問題を検討いたしまして、その基本線に立ちまして、国の援助を受けるべきものは国の援助をお願いしながら、その施策を進めて参るような、そうした全般的な総合対策を審議いたしまする特別の機関の設置等も必要であろうと考えておるわけであります。
  47. 生田宏一

    ○生田小委員 路面電車東京都が投資した施設費というのは幾らでございますか。
  48. 斎藤達次郎

    ○斎藤参考人 路面だけではなくて、全体のバスその他を含めましてのものでございますが、一応二百三十七億円となっております。しかし大部分、七割ないし八割が路面電車の費用でございます。
  49. 生田宏一

    ○生田小委員 そうすると、現在負債になっているものがどれくらいになっておりますか。
  50. 斎藤達次郎

    ○斎藤参考人 これも路面だけではございませんで、一般のものを含めまして負債が十九億円、企業債が八十八億円、自己資本が百三十七億円であります。
  51. 生田宏一

    ○生田小委員 企業債は八十八億円……。
  52. 斎藤達次郎

    ○斎藤参考人 これは主として地下鉄であります。
  53. 生田宏一

    ○生田小委員 そうすると、将来路面電車を撤廃することになりますと、こういうような資産関係とか、そんなものは東京都の大きな負担になりはしませんですか。
  54. 人見捨蔵

    人見参考人 路面電車を撤廃いたしました場合に、営業補償ということも考えなければならない、かように考えておる次第でございます。
  55. 生田宏一

    ○生田小委員 現在八十八億円もの企業債を出しているというのです。それから、ともかく撤廃したならば、資材として売れるものは、おそらくレールだとか車の少量のもの、それを換金すればわずかな額になろうと思うのです。そうしてあとは、ほとんどわずかな石材が残ることになろうと思いますが、そういうものは路面電車を撤廃すればほとんど価値がない。退職金とかそんなものにほとんど使われるに違いない。そうすると、東京都は路面電車をやめれば、財政上の負担はよほどになると思うのですが、思い切って、それくらいの負担はよろしいということで、東京都の財政というものは路面電車を廃止されるようなことができるかどうか、そういう点らよろしゅうございますか。
  56. 人見捨蔵

    人見参考人 路面電車の撤廃の問題は、これは実は東京都の交通局といたしましては、それが自分の商売なんです。それをただその姿のみにおいて、交通局の責任のみにおいて路面電車を撤廃するということはできない、かように考えております。やはり国あるいはその他の方面において総合的な交通政策の点からこうするんだ、という大きなふところの中においてでなければ、自分の商売を自分だけでやめてしまうというような姿はなし得ないので、御説の通り大きな問題が残るのでございます。
  57. 生田宏一

    ○生田小委員 今、同僚の議員からいろいろお話が出ていましたが、都市の交通を何とかうまく総合対策を立てなければならぬという、そこまでは皆さん同じような御意見のようでございます。その中にも、たとえば通勤など郊外から乗り入れてくるような幹線の整備でありますとか、あるいはそういう問題は別に考えるといたしましても、ともかく常時見るにたえない都心部の雑踏というものを緩和する方法だけでもやってもらえればいいのではないかと思うのですが、それについて、やるべきだ、やるべきだということではなしに、具体的に言うと、どういうことが考えられておって、そのうちのどこから順を追って着手したいのだ、こういうことでなければ——これは政府東京都もそうでございますが、そういうことについては、具体的にあなたの方が実施機関ですから、お考えあるいは御計画があれば、ちょっとお知らせいただきたいと思うのです。
  58. 人見捨蔵

    人見参考人 ただいまのお話は、結局交通の規制という問題になると思うのでございます。実はこの問題は、東京都におきましてはその権能を持っておりません。やはり警察関係の責任事項なんでございます。そういう関係から考えましても、当面の交通問題を解決するためには、輸送する当局と警察当局、そういうところで緊密なる連絡をとり、総合的な計画を立てなければならぬと思うのでございます。これは私の私見でございますけれども、都心部の駐車の禁止ということも一つ方法じゃないか。これは最近新聞で承知したのでございますが、ロンドンでは、東京にいたしますと中央、千代田、港に相当するような、面積の大小は別といたしますが、その中心部の駐車禁止を昨年のクリスマスごろから一月の十五日ごろまでの間、試験的にやりました。その駐車禁止区域の回りの公園とか広場とか、あらゆるものを自動車の駐車に使いまして、都心部にはバスあるいは地下鉄というようなもので入れる。それをいたしますには非常な英断が必要だったそうでありますが、各方面が一致して実施し、非常にいい結果が得られたということを承っております。そのほかこまかい問題になれば、車の種類によりまして通行の道路をきめる、あるいは道路上のUターンを禁止する、あるいは貨物自動車の荷の積みおろしについては夜間を利用するというような、いろいろな方法があると思います。この問題については、東京におきましては警視庁が非常な関心を払い、非常な努力をいたしておるわけでありますが、まだ都心部の駐車禁止というふうな大英断までには至っておらぬようであります。大体以上であります。
  59. 生田宏一

    ○生田小委員 お話がありましたことで、われわれの知っていることもございますし、たとえば駐車禁止のことなんですが、東京都内にタクシーが大へん多いという御議論が出ましたときに、業界の人あたりから、この雑踏をどうするかというのが唯一の増車反対の意見だったようでございます。けれども、国力の増進、経済の発展につれて交通機関が増量されることは当然でございますから、増車しないということは時代逆行の話で、当然増車すべきでございます。けれども、都心部の雑踏をそのままにしておいたということは、確かに運輸省にしましても、東京都にしましても、手抜かりであった。それがわずかに駐車制限ということで一時の多少の緩和ができた。それだけでも、少数ですけれども、タクシーの増車というものが実現したことになるわけで、これは大へんけっこうであります。そういうようなことがございますが、私も東京都内をときどき歩いてみて非常に気にかかるのは、バスの幅の倍もないような細い道幅のところを非常に大きなバスが通っている。あれを許可しているのは運輸省の陸運局でございましょう。それは私の承知する限りでは、確かに都の方への御相談はしてあるのではないか、そして両方がオーケーと言ったから許可をしているのじゃないかと思いますが、あるいは制度上違うかもしれませんが、バスを通す必要があるという、その交通機関を求めている市民の声はそうでございましょう。しかし道路交通の面で、役所側で道路整備をするとかしないとか、そういうことは確かに立ちおくれている。これも確かに直してもらわなければならぬと思うのであります。  それから、今の東京都内は全部といっていいくらい平面交差でございます。高架とか地下とか、東京都内の特に都心部の立体交差というものはできるのかできぬのか、これは疑問を持っておりますのでお尋ねいたしますが、高速度営団地下鉄が通るというようなことは別としまして、自家用車、トラックあるいはバスというようなものが通る立体交差というものは、はたしてできるのであるか、できないのであるか。これは東京都のお仕事だろうと思うのですが、今日になると私はそういうことは非常にむずかしいのではないか、戦争直後の状態ならできたかもしれぬと思いますけれども、今はむずかしいのではないか、そういうことについて皆さん方の方で考えがおありになるかどうだろうか、しようというのじゃなく、どことどこは立体交差にすべき地点であるとか、そういうお考えが必ずあるはずだと思うのでありますが、いかがでございますか。
  60. 人見捨蔵

    人見参考人 実は道路の問題については専門外でありますので、的確なお答えは申し上げにくいと思いますが、先ほどお話のございました横断歩道を地下に入れるというふうなことは比較的楽に行なえるのではないかと思います。東京都内の道路上におきまして平面のものを下へ入れる、あるいは一方を高くするということは、一番高いところのすその方が道路を非常に阻害する、穴を掘るとか、さもなければ山を作るということになりますので、はなはだ困難ではないか。場所によって地下道を作るとか高架の道路を作るとかいうことをいたしまして混雑を緩和するというようなことは可能であろうと思います。
  61. 川野芳滿

    川野委員長 ちょっと皆さんにお諮りいたしますが、鈴木参考人には午後四時から他用があるそうですから……。
  62. 生田宏一

    ○生田小委員 けっこうです。——そこで、お話の程度であろうと私は思っているのですが、その程度でございますと、都市の交通網、都心部の雑踏といいますか、それはおそらく緩和することはできないであろう。横断歩道だけ地下にする、それだけでも、できればけっこうでありますが、しかしそれだけでやれるかどうか、それだけで、すべてがうまくいくだろうかということは、むずかしいのではないかと思うのです。これは仕方がないことですけれども、確かにこの道路政策は立ちおくれました。そこで、できることをいろいろ私たちも考えてみるのですが、駐車制限をなさいましたね。駐車制限をなさったのですが、制限ではなくて、一そう路面というものを活用するために、制限を必要最小限度にとどめて、あとは全部駐車をさせないように、駐車には特別の処置をしたらどうですか。たしか先進国はやっておると思いますが、駐車場といいますか、地下の駐車場も路側駐車場も日本くらいこんなにないところはないのでございますが、いかがでございます、一つ思い切って東京の中心部だけでも全面的に駐車を廃止する方法を考えたらどうか。そのためには設備が必要でございますから、幾ら金がかかってもその駐車場を作るという工合に方法を変えたらどうかと思うのです。金のかかる仕事でございますが、いかがでございますか。東京都がやろうと思えば私はできると思うのです。というのは公共用の土地を持っておられますから、東京都ならできると思います。どうでございますか。
  63. 人見捨蔵

    人見参考人 実は、その道路という問題については、私専門でございませんので、よくわからないのでございますが、駐車禁止ということの中には、路上の駐車を禁止すると同時に、この場所については路上の駐車をしてよろしいという場所をきめておるわけであります。そのきめ方につきましても、都心部路上に駐車場を作ることはよくないという意見も出ております。それから、なお都心部路上駐車場を作った場合には、その料金をうんと高くしろ、少し安過ぎるというような議論も出ております。それで東京都として今あの路上駐車場を設置しておりますのは、あれによって上がった収益をもって路外の駐車場を作るということを、将来の終局の目的として現在やっておる、かように実は聞いております。
  64. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質問ございませんか。——ほかに質疑もないようでございますので、この際一言参考人方々にお礼を申し上げたいと存じます。  本日は、まことに御多用中のところお出かけいただきまして、いろいろと貴重なる御意見をお述べ下され、また質疑等に対しましても、懇切にお答えいただきましたことを厚く御礼申し上げる次第でございます。     —————————————
  65. 川野芳滿

    川野委員長 次に、本問題について、政府当局より自動車関係について説明を聴取いたしたいと存じます。國友自動車局長
  66. 國友弘康

    國友政府委員 都市交通自動車輸送の問題につきまして、東京都を中心として御説明を申し上げたいと存じます。  資料として、せんだってお配り申し上げましたのですが、「都市交通における自動車の諸問題」という資料がございますが、この資料の一ぺ—ジ、二ページ、三ページに概要が書いてございます。しかしこの資料を離れて、一応簡単に概要を申し上げたいと存じます。  東京都内におきまする自動車の台数につきましては、前回も鉄道監督局から説明いたしました通り、急速な伸びを示しております。昭和二十八年を一〇〇といたしますと、昭和三十三年は二一六、または台数は四十万台に達しておりまして、特に自家用自動車の伸びが著しくなっております。これらの自動車は、それぞれその必要性、利便性から使用されておるのでありますが、都市交通という問題を、人の輸送、つまり旅客輸送ということに限定して取り上げまするときには、公共用交通機関として、バス輸送のありかたがまず第一に問題になるものと思われます。バス輸送のあり方につきましては、将来の長期計画と、さしあたっての問題とに分けて考えて御説明したいと思います。  長期の問題といたしましては、将来の東京都のバスが高速道路に乗る急行バスと、街路を走る緩速バスに分かれます。ここに地図がつけてございます。この二枚の地図でありますが、これは先ほど生田先生からもちょっと御質問がございましたことにも関連すると思うのでありますが、東京都におきましては、首都高速道路公団の手によりまして、この図面にありますような八路線建設が行なわれることになっております。この黒い太い線でずっと書いてありますのがその道路でございます。それからまるが書いてありますのが自動車バスターミナルを設置する予定の所の概略図でございます。この高速道路が完成いたしました暁には、郊外からこの高速道路に乗って都心まで直通するバスを運行することが適当と思われます。この高速道路に数多くのバス・ストップを設けることは、技術的に困難でありますので、ちようど中央線の急行電車のような急行運転となるものと思われます。高速道路を走るバスは、都心部で街路におりると、一般の道路交通を阻害いたしますので、高速道路を直結して、都心にバスターミナルを作りまして、これから出入りすることが適当と思われます。また、そうすることによりまして、街路やバスとは別の大型車両を用いることによりまして、輸送力の増強サービスの向上をはかることができると考えます。このバスの出現によりまして、現在の都心乗り入れの直通旅客がこれに転移するほか、新しい旅客の需要の誘発ということが期待されます。こうして、高速鉄道の補助交通機関としての使命を持たせ得るものと思われます。このバスを動かすためには、都心部周辺部バスターミナルを置き、また中間にはバス・ストップを道路のわきに少数置く必要があると思いますので、これらの点につきまして検討中でございます。  バスターミナルにつきましては、別添の資料の四ページ以降に書いてございますが、これは昨年十二月都市交通審議会路面交通部会の中間的な結論をいただいております。これにつけてございます。また首都圏整備審議会でも、一月二十九日に同趣旨の決定をされまして、近く首都圏の基本計画に織り込まれることになっております。このうちでも特に緊急を要する都心ターミナルにつきましては、その具体的位置とかその他の点につきまして、関係当局と技術的に検討を進めております。資料の四枚目以下にこの予算要求のときの資料が作成してつけてございますが、その後国鉄の新幹線のターミナルが東京駅に決定いたしましたので、ある程度計画を変更しなければならない、その方面の打ち合わせが必要である、こう考えております。自動車ターミナルの設備に対する助成につきましては、自動車ターミナル法制定の際の衆議院、参議院両院の附帯決議をいただいておりますので、今後ともその助成につきまして努力したいと思っております。  次に、高速道路が完成しました場合の街路バスの使命につきまして考えてみますと、市内部及び郊外部におきまして、高速鉄道及び高速バスの接続としまして旅客を集散する輸送と、それから市内部におきまする短距離輸送、これが街路バスの使命になると思います。高速鉄道は駅間距離も長く、系統も一定しており、また高速鉄道網は密度におきましては、おのずから限度がありますから、短距離輸送やショート・カットのためにバスは利用されるものと考えます。これらの旅客の足の長さは短くなりますが、輸送需要は、人口増加及び路面電車の撤去を想定いたしますれば、かりに地下鉄路線が完成したとしましても相当増加して、輸送力の点では、昭和五十年で都心部では一・八倍、たとえば渋谷地区では二・四倍が必要となるものと思われます。これだけの輸送力をつけるためには、車両の投入だけで事足りるのではなくて、車両が運行し得る条件として、道路容量を積極的に増大するために、街路の拡幅のほかに、先ほどもお話がございました路上駐車の制限、バス優先通行等の交通規制の強化が必要でございますが、これらの措置にはやはりおのずから限度があると思います。そこで、既計画地下鉄の早急建設、新路線の追加によりまして、輸送需要の地下への大幅な吸収を行なわなければならないものと思われます。  地下鉄の増強までのさしあたっての方策といたしましては、路面輸送需要は、都電が横ばいであるのに対しまして、バス増加の一途をたどっております。輸送人員で見てみますと、昭和二十八年を一〇〇といたしますと、昭和三十三年には二一二%となっております。二倍ちょっとになっております。一方街路におきまして、自動車交通がすでに飽和点に達しておるところが多くありまして、バスの台数増加は困難な状態となっております。車キロの点で比較してみますと、昭和二十八年を一〇〇といたしますと、昭和三十三年は一二四%、二割四分の車キロの増加をいたしております。  そこで私どもといたしましては、乗用車に比しまして一人当たり街路占用面積の経済的なバスの優先通行について検討いたしましたが、今回の道路交通法、これは警察当局で担当いたしておりますが、道路交通法にある程度その点が盛り込まれることになりましたので、今後は警察当局と連絡を密にいたしまして、バス輸送の円滑化をはかりたいと考えております。従いまして、現在の段階におきましては、都電を撤廃してこの旅客を全部バスで負担せよということは、とても困難と思われますので、都電の撤去には地下鉄の増強が先決であることは言うまでもありません。  次に、タクシーにつきましてはこの資料に記載してございますが、その大衆化によりまして公共的使命も増大しておる現状にかんがみまして、輸送力の増強をはかるとともに、道路交通混雑緩和のための諸方策に協力させる必要があるものと考えます。  一般自動車増加による道路交通混雑につきましては、根本的には、先ほども申し上げましたように、道路の整備、路外駐車施設の完備という点に待つべきことは言うまでもありませんが、自動車によります貨物輸送の重要性にかんがみまして、当省といたしましては、路面交通の円滑化と貨物輸送の円滑化との調整のため、東京の周辺地区にトラックターミナルをもちまして、大重貨物の積みおろしはそのターミナルで行なわせるということによりまして、都心部における貨物の集配を合理化するよう、あわせて道路混雑の緩和をはかるよう、事業指導をいたしたいと考えております。  最後に、自家用自動車につきましては、駐車施設が最も問題の中心であろうと思います。将来は都心の路外駐車施設の増強とともに、路側駐車を全廃いたしまして、先ほどもお話が出ましたが、ニューヨークやロンドンのように都心部隣接地区の駐車施設を整備するということが必要ではないだろうかと考えております。  以上、簡単にわれわれが現在の都市交通問題に関しまして自動車輸送の観点から見ましての見解を申し上げたわけでございますが、今後これらの点について十分な御審議をわずらわしたいと考えます。
  67. 川野芳滿

    川野委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時十六分散会