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1960-05-11 第34回国会 衆議院 運輸委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十一日(水曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君    理事 川野 芳滿君 理事 關谷 勝利君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君       宇田 國榮君    高橋清一郎君       竹内 俊吉君    長谷川 峻君       三池  信君    村瀬 宣親君       島口重次郎君    館  俊三君       正木  清君    山花 秀雄君       菊川 君子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 楢橋  渡君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 佐藤 一郎君         運輸政務次官  前田  郁君         運輸事務官         (大臣官房長) 細田 吉藏君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  広瀬 真一君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     中村  卓君         日本国有鉄道常         務理事     磯崎  叡君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 五月六日  道路運送法の一部を改正する法律案反対に関す  る請願外三件(赤松勇紹介)(第三一六九  号)  国鉄自動車営業係臨時雇用員定員化に関する  請願外五件(辻原弘市君紹介)(第三二六二  号) 同月十一日  本吉田尻線鉄道敷設促進に関する請願愛知揆  一君紹介)(第三三九八号)  長野県の観光施設に対する融資順位の引上げに  関する請願羽田武嗣郎紹介)(第三四三三  号)  観光事業に対する財政措置に関する請願羽田  武嗣郎紹介)(第三四三四号)  大糸線の輸送改善に関する請願羽田武嗣郎君  紹介)(第三四四〇号)  国鉄長野、新潟間の各駅停車ディーゼルカー導  入に関する請願羽田武嗣郎紹介)(第三四  四一号)  小海線の輸送力増強等に関する請願羽田武嗣  郎君紹介)(第三四四二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月六日  名古屋空港における自衛隊使用区分明確化に  関する陳情書(第  七二二号)  名古屋空港等安全確保に関する陳情書  (第七二三号)  甘木線運輸区の設置反対に関する陳情書  (第七二四号)  国鉄仁保貨物取扱存続に関する陳情書  (第七二五号)  国鉄札沼線撤去反対に関する陳情書  (第八七四号)  札幌市内における中間駅貨物取扱業務存続に関  する陳情書(第八  七五号)  国鉄貨物運賃公共政策割引制度恒久化に関す  る陳情書(第七八  九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一二三号)  日本国有鉄道の経営に関する件      ――――◇―――――
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  この際当局より発言を求められておりますので、これを許します。山内鉄監局長
  3. 山内公猷

    山内(公)政府委員 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内容につきまして御説明申し上げます。  まず、第二条関係について申し上げます。  本条改正は、旅客運賃等級についてであります。現在旅客運賃等級は、一、三等の三等級制となっております。しかし、現実には、一等車特急つばめ」「はと」の二往復に連結されているにすぎません。しかもこれらの特急も本年六月には電車化され、新しい設備になりますので、この際旅客運賃等級を二等級制にすることにいたしました。  なお、この場合の呼称でありますが、従来通り一等、二等と呼ぶこととし、現在の二等を一等に、三等を二等に改めることといたしました。  次に、第三条関係について申し上げます。  本条改正は、普通旅客運賃賃率についてであります。現在普通旅客運賃の三等賃率は、営業キロ一キロメートルごとに百五十キロメートルまでは二円四十銭、百五十キロメートルをこえ五百キロメートルまでは一円六十五銭、五百キロメートルをこえ一千キロメートルまでは八十五銭、一千キロメートルをこえる部分は五十五銭の四地帯制となっており、相当大幅な遠距離逓減制を採用しております。このため、たとえば東京—鹿児島運賃は、東京—沼津運賃に比較してキロ当たり約五割五分も割り引きされている結果となっております。従って、この際このような大幅な遠距離逓減制原価主義によってある程度修正し、運賃負担の公平をはかることといたしました。すなわち、営業キロ一キロメートルごとに三百キロメートルまでの部分については二円四十銭、三百キロメートルをこえる部分については一円二十銭の二地帯制といたしました。  なお改訂一等賃率は、従来通り改訂二等の賃率の二倍といたしました。  なお、この改正に伴う遠距離旅客負担増急行等料金の引き下げによって緩和し、従来とほとんど変わらないよう措置する方針であります。  次に、第五条関係について申し上げます。  本条第二項の改正は、さきに申し上げたような旅客運賃等級改正に伴って、三等を二等と改めたものであります。  次に、第六条並びに第九条の二関係について申し上げます。  第六条並びに第九条の二の改正は、これまで法定事項であった特別急行料金急行料金及び準急行料金運輸大臣認可事項とすることについてであります。近年わが国の国内輸送の分野におきましては、自動車、航空機の発達が著しく、国鉄としてもこの情勢に対処していくためには、輸送の実情に応じた弾力性を持ったサービスを向上させる必要がありますので、これらの料金は本来付帯料金のことでもあり、この際運輸大臣認可事項といたした次第であります。  なお、急行等料金は、これを引き下げて急行列車を利用しやすくするとともに、遠距離逓減制是正による旅客負担増を緩和し、旅客負担においては、従来とほとんど変わらないよう措置する方針であります。  次に、第七条関係について申し上げます。  本条第二項の改正は、貨物等級制度改訂に伴う法律別表改正についてであります。現在の貨物普通等級は十二等級に分かれておりますが、高度の負担力主義を採用している結果、等級の最も高い貨物に対しては、等級の最も低い貨物に比べて二・六倍の高い賃率が適用されております。このため、高級貨物は続々他の輸送機関に転移し、国鉄には割安な貨物だけが集中し、国鉄収支は年々悪化しております。そこでこの際、普通等級の数を現行の十二等級から十等級に圧縮して、現在の負担力に重点を置く貨物等級原価主義を加味しようとしたものであります。  最後に附則関係についてであります。  附則改正は、さきに申し上げたような旅客運賃等級改正に伴って、民事訴訟費用法刑事訴訟費用法通行税法公職選挙法及び国家公務員等の旅費に関する法律中に規定された「三等」を「二等」に、「二等」を「一等」に改めたものであります。  以上が、本法律案内容であります。     —————————————
  4. 平井義一

    平井委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。島口重次郎君。
  5. 島口重次郎

    島口委員 今度提案されました運賃法内容を見ますと原価主義でありまして、総体におきましては不増収、不減収の原則を貫いておる、こういう説明でありますけれども、私どもの考えるところによりますると値上げのような性格が多分にあるのであります。従いまして従来年々国鉄赤字が出て参りまして、借金が増額をする。それらを改善いたしまする体質改善の面から出てきたものでないか、こう懸念するのであります。従って国鉄の出しましたねらいがどこにあるか、それとも原価主義というものの理論といいますか、原理といいますかは、どの点においてのものであるかということをお尋ねしたいと思います。     〔委員長退席川野委員長代理着席
  6. 山内公猷

    山内(公)政府委員 今回の運賃法の一部を改正する法律案の趣旨といたしましては、御指摘のございましたように、不増収、不減収ということで運賃あり方を基準にして検討いたしたものでございます。これは増収をねらうというのではなくて、国鉄におきまして原安三郎さんを委員長といたしました鉄道運賃制度調査会というものが二年余に及びまして国鉄運賃あり方というものを検討いたしたのがその骨子になっておるわけでありまして、旅客運賃につきましてはただいま逐条説明におきまして御説明申し上げましたように、国鉄の一般の基本賃率と、それから急行準急特急というものの差が、戦前に比べまして非常に急行料金が安くなり、それから遠距離逓減がひどくなったということがあるわけでございまして、元来旅客運賃につきましては距離比例ということが運賃論において最も公平な運賃制度であるということをいわれておるわけでございますが、一挙にそこまで達することはむずかしいのでございまして、大体お客さんの大宗を占める三百キロぐらいまでのところは据え置きまして、その以後につきまして一歩とは申しませんが、半歩距離比例制に近づくという制度をとったわけでございます。そうしますと幾分旅客増収が起こりますので、その分を、最近とみに長距離旅客におきましては需要が多くなった急行準急というものが、運賃の体系からいいまして基本運賃に比べまして非常に高いので、その方を減らすとともに、その急行準急料金制度というものを簡素化しまして国民需要をしやすいというようなふうにいたしたわけでございます。貨物運賃につきましては、御承知のように国鉄が従来ありました地位が非常にゆらいで参りまして、現在の国鉄運賃制度といいますものは、国鉄が興りましてから長い歴史を持って参ったものでございますが、これは国鉄陸上輸送における独占性を持っておる時代に築かれ、それが延々続いておるわけでございます。そこで現在の運賃制度といいますものは負担力主義というものが非常に強く打ち出ておるわけでございまして、これは国鉄独占性を持ち、需要というものを考えないで、政策的な運賃制度を作る場合にはこれでもやっていけるわけでございますが、御承知のように船、飛行機、自動車、その中でも特に自動車発達というものが目ざましくなって参りまして、御承知のように最近の輸送量伸びを見ましても、国鉄輸送というものはそうふえておりませんが、自動車伸びというものは非常にふえてきております。そういう対抗機関関係もございまして、また国鉄運賃というものが値段の高い荷物につきましては高い運賃を取るという制度でありますために、そういう品物はどんどんトラックに行ってしまう。それから安いものは国鉄に残っておる。国鉄運賃制度といいますものが、御承知のように現在でありますと、改正前の現在の等級でございますが七等級、例を申しますと石炭でございますが、これがプラスマイナス原価ではゼロである。それから六等級になり五等級になるところでもうかって、それからだんだんその下の方において損をして、結局プラスマイナス・ゼロという格好になるわけでございますが、このもうかる貨物が減って赤字を出す貨物がふえるという情勢では、どうしても、国鉄貨物がふえても、いかに努力しても国鉄運賃面からにおける体制というものはよくならない。そこでこれを急激に自動車運賃のように直すということは困難でありますので、わずかに修正をしたということでございます。こういう修正は理論的にはもっと大幅にやるべきであるという御意見がありますが、やはり産業の基本でありますところの国鉄運賃でございますから漸を追って修正していかなければならないのではないかと思いまして、物価の影響がほとんどないと思われる程度まで修正をいたした次第でございます。
  7. 島口重次郎

    島口委員 完全な原価主義に近づこうとする努力の現われである、こういう説明でありますけれども、ただいまの国鉄の状況を見ますると例の公共負担負担額相当あるわけであります。国鉄の発表した数字によりましても、学割、通勤割引で約三百億余になり、さらに新聞雑誌等におきましては八十八億、さらに貨物特別等級による割引が約八十三億である。さらに貨物暫定割引では二十億計算されまして、この面だけで五百億あり、さらに新線建設の方では毎年百億の負担をしておる。さらに赤字線区を持っておりますから、これらに対する年間五十億内外の赤字負担しておるという計算をいたしますと約六百五十億の公共負担をしておるわけであります。その面における負担というもの、矛盾というものを未解決のままで、ただ運賃是正だけでこの問題を解決をする、具体的に申し上げますると、矛盾をそのままにして原価主義というものはどういう点から割り出されるかという問題であります。ほんとうの原価主義であるならば、これらの赤字の問題を、公共負担の問題を解決をいたしましてその後に原価計算をして原価主義をとるならば最も適正妥当な原価主義といえまするけれども、ただいまのようにかかる矛盾の前提をそのままにしておいて原価主義とは、どうも納得いかぬのでありますが、その点はどうですか。
  8. 山内公猷

    山内(公)政府委員 ただいまの御質問国鉄財政面に関する御質問でございますが、御指摘通り国鉄財政というものにつきましてはいろいろ問題があります。ただこの運賃問題といたしましては、そういう赤字ということでなくて、国鉄運賃はどういう運賃制度であるべきかという理論的な部分相当多いわけでございます。うちを建てる場合でございますと、まず土台をしっかりとするということに関するわけでございまして、ただいま先生のおっしゃいましたように、その上に建てるうち——現在建っておるうちの建てかえもございましょうが、それをどうするかということは非常に大きな問題でございます。御指摘のようにいろいろの面におきまして国鉄公共負担を負っておるわけでございます。われわれ運輸省といたしましては、公共負担を負うということは国鉄公共企業体であるために当然の責務であると考えておりますが、ただ国鉄はまた一方におきましてコーポレーションでございまして、独立採算制も希望されておりますので、この両者をどういうふうに符合させるか、適合させるかということは大きな問題であろうと思います。ところが現在の国鉄財政が非常に不如意でございますので、こういう公共負担を、一体どういうような面で国鉄赤字を解消させていけるか、いかなければならないということを運輸省当局におきましても頭を痛めておるわけでございますが、この運賃制度改正というものも、御指摘のように、体質改善でございまして、これもまずその中の一つであり、そのほかの公共負担の問題も、逐次解決をしていくべき問題であって、これをもって全部であるというふうに考えておるわけではございません。
  9. 島口重次郎

    島口委員 運賃改正赤字を解消いたしまする一つの策ではあるけれども、全体ではない、こういう御答弁でありますけれども、私らの考えるには、運賃改正が確かに一部ではあるけれども、根ざす原因というものは、出て参りました理由というのは、当然政府負担しなければならない公共負担を、政府の責任においてやらずして、運賃改正制度において、増収をはかるという考えであろうと思っているのであります。そういう面から、先ほど鉄監局長説明によりますと、増収にはならない、こう言っておりますけれども、内部を検討いたしますると、増収にはなると思います。具体的な例をあげますと、急行券を引き下げまして普通料金を引き上げいたします、こういうけれども、必ずしも国民全部が急行を利用するわけではないのであります。国鉄の出しておりまする計数から見ましても、二・四%が鈍行利用者である。しかもこれは五百キロ以上の場合でありまして、四百キロ、三百キロ以下におきましては、鈍行利用者の方がむしろ多いといわなければならない。そういう面から考えますれば、相当増収になるのであります。今年度の国鉄の予算から見ますと、二千三十一億の旅客運賃収入になっておりまするが、五百キロ以上で二・四%の鈍行利用者があるといたしますと、それだけでも五十億の増収であります。さらに、ただいま申し上げました通り、四百キロ、三百キロ以下の路線におきまして鈍行利用者が多いのでありますから、概算いたしましても、百億くらいの増収は、旅客運賃だけで、見られると思います。そういう面から、原価主義でありまして増収ではないというけれども、増収になるという必然性を持っていると思います。そういう面から、ただいま申し上げましたように、国鉄全体の財政問題とこの改正とは別個の問題である、こう申されますけれども、別個ではなくて、当然政府財政負担において解決をしなければならない。こういう矛盾性を、運賃改正という名称に便乗いたしまして、運賃値上げいたしまして国民負担に転嫁せんとするのが、この法案の内容のように思われるのであります。この点どうであるか、お尋ねしたいと思います。
  10. 山内公猷

    山内(公)政府委員 旅客の面におきましては、国鉄当局計算によりますと、五千万円増収するであろうということをいっております。こまかい数字的な話につきましては、後ほど国鉄当局から御説明願いたいと思うわけでありますが、ただ、ただいまの御意見ごもっともだと思うわけでございますが、本年すぐにこの旅客運賃改正の効果が現われるかということは、そう急にはなかなか出てこないのではないか。先ほどから申し上げておりますように、体質を改善していくためでございまして、これは遠い将来にわたっての運賃制度の基礎を作るという意味で、われわれは非常に重要な事項であろうと考えておるわけでございます。それで、ただいま御指摘がございましたが、鈍行利用者相当多いのではないか——数字的にはそういう格好になっておりますが、百五十キロまでは、大体今までの運賃を据え置いております。百五十キロ以上につきましては、賃率の変更がありますので、その面における増収はあるわけであります。ところが、一方そのふえる部分につきましては、急行料金準急料金特急料金というものを値下げをいたしております。値下げをすることによる需要があるのではないかという御意見もまたあると思いますが、それは幾分見込めると思いますが、だんだん、そのためには、急行列車なり、特急なり、準急なりというものを、相当増発しなければならないことになるわけでありまして、これは国民需要を満たしますために、できるだけ増発するという努力はすると思うわけでございますが、そうなかなか急にふやすわけにもいかないのでございまして、それが相当普通列車にとってかわって、需要が実際あって、かわっていけば、御指摘のような収益は上がると思いますが、本年度の見込みといたしましては、国鉄においては、約五千万円ぐらい、この面で、旅客収支プラスマイナスいたしまして、ただいま言った百五十キロ以上の値上げの分と、それから準急急行特急値下げの分というものを相殺いたしまして、五千万円ぐらいの増収があるであろうということを言っておるわけでございまして、内容の詳細につきましては、国鉄当局の御説明を願いたいと思います。
  11. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまのお話の中の旅客運賃計算の問題でございます。私の方で、昭和三十三年度の実績によりまして詳細に計算いたしますと、三十三年度の距離別旅客あるいは三十三年度の急行種別ごと利用者ということによりまして詳細に検討いたしますと、旅客運賃におきましては、三十億五千万円の増収になります。この内訳は、先生が先ほどおっしゃいました遠距離逓減修正によりまして、三十五億四千万、その反面、往復割引を、千キロ以上につきまして、旅客負担を減らすために作りまして、往復割引の減が約四億五千万、それから一等運賃がなくなりますことによりまして三千百万円、これらを加減して計算いたしますと、旅客定期外運賃におきまして三十億五千万円の増収でございます。それからさらに急行料金につきましては、ただいま政府委員から申されましたように、特急普通急行等において値下げを行ないますので、その値下げの額が全体で三十億五千万円ということになります。さらに一等を廃止いたしました結果、「つばめ」「はと」「こだま」に特別の車をつけます。その特別座席料金が約五千万円ぐらいの収入になるわけであります。     〔川野委員長代理退席委員長着席〕 そういたしますと、全体を差引いたしますと、五千五百万円ぐらいの増収になるということになります。ただ全般的に申しますと、私の方の千七、八百億の旅客収入のうち、九〇%以上は百五十キロ未満旅客でございます。従って百五十キロ未満旅客につきましては、今回全然運賃に変動がございませんので、全体の九割ぐらいの旅客について、旅客収入の面につきましても収入の増減がないというふうに考えられるんじゃないかというふうに考えております。
  12. 島口重次郎

    島口委員 従来遠距離で損失をいたしましたが、近距離相当利益が上がっているのではないか。利益の上がっておる近距離の方は一つもいじらないで、長距離だけを値上げをいたしまして、それを急行料金で調整をする、こう言いまするけれども、ただいま私が申し上げました通り鈍行利用者がある限りにおきましては、ただいま鉄監局長から説明がありましたように、直ちに成果は上がらない、こう見ましても、従来の国鉄急行鈍行を利用いたしております比率から見ましても、増収になるのではないか、こう考えるのであります。従いまして近距離の場合、二円四十銭の運賃であるようでありますけれども、しからば輸送原価が短距離の場合一キロ幾らになっているのか、それをお尋ねしたいと思います。
  13. 磯崎叡

    磯崎説明員 お手元に、ごらん願っております資料の中に付属資料の三という資料がございますので、ちょっとそれを——今の先生お話に必ずしも数字的にぴったり合った資料ではございませんが、大体傾向を表わす資料といたしまして、黄色い表紙の付属資料の三というのがございます。その付属資料の三の十五ページには、原価実額は入れてございませんが、運送原価とそれから現行運賃との距離別の比較の表を出しておるわけでございます。現在の一キロから八十キロまでの、これは昭和十一年が八十キロで切れておりましたので、八十キロになっておりますが、現在は青線でございますので百五十キロまで横に引いてございます。そういたしますと、現行運賃ごらん通り距離によりまして、ずっと各距離におけるキロ当たり運賃が下がっているわけであります。たとえば千キロのところに参りますとその表でごらん通り五七、千二百五十キロのところで五〇、千五百キロのところで四六というふうに下がっております。それに対しまして、昭和三十三年度におきます輸送原価を算定いたしますと、これは発着、ことに発駅におきましては、たとえば乗車券を売る手数だとか、あるいは改札掛費用だとかいうことかございますので、相当高くなっておりますが、それがキロ別にずっと按分いたしますとごらん通りの形になります。それからそのほかに、たとえば列車を据え付ける費用だとか、構内で入れかえする費用だとかいろいろございますので、近距離におきましては高くなっておりますが、徐徐にごらん通り原価も下がっております。しかしながら、下がり方は千二百五十キロのところにおきましては、この指数ごらん通り九四という指数を示しております。従いまして、原価運賃との開きは、距離が大きくなるに従って大きくなる、こういうことが計算上出ておるわけでございます。ただいま先生の御質問に数字的にぴったり合っているかどうかちょっとあれでございますが、一応原価運賃とを比較いたしますとこの表のような形になるわけであります。
  14. 島口重次郎

    島口委員 これは旅客の方の原価計算だけですか、それとも貨物の方の各品目別の原価計算等があるのでありますか。
  15. 磯崎叡

    磯崎説明員 今御説明いたしましたのは、旅客だけでございます。貨物につきましては二十七ページ、二十九ページでございますが、二十七ページは現在の運賃とそれから平均の運賃、各等級ごと運賃と比較を書いたもでございます。先ほど政府委員から申されましたように、この二十七ページの表でごらん下さいますと、ちょうどまん中に七級の石炭、塩というところがございます。昭和三十二年に現在の貨物運賃を作りましたときには、この七級の九五というところでもって原価運賃とがつり合うという計算をいたしまして、この九五に対する賃率を作ったわけでございます。ごらん通り一級から六級までは九五をオーバーいたしております。逆に八級から十二級まで、それから特別等級の二十一級から二十三級まで、この八つの等級におきましては九五を割っているわけでございます。従いまして、この三十二年度の貨物運賃を制定いたしましたときには、一級から六級までの貨物でもうけまして、そして八級から二十三級までの貨物で損をする。そして赤い部分と九五をオーバーした青い部分とが数量的にこれをかけ合わせますとちょうどとんとんになる、こういう計算をいたしまして、九五という指数に対する賃率をきめたわけであります。
  16. 島口重次郎

    島口委員 これは具体的な問題は本年度やってみなければわからないけれども、ただいまの説明によりますと、全く増収がない、こう理解してよろしいですか。
  17. 山内公猷

    山内(公)政府委員 数量的な面が変わればその面の増収ということがあるのは当然でございますが、この運賃面からいう増収原価に対する、何といいますか、先ほど申し上げましたような意味の増収は、旅客におきまして五千五百万円、ただいま国鉄理事が言われましたように見込んでおるわけであります。また別途貨物の方では一億五千万円の減を見込んでおりますので、合計におきまして一億円の減ということでございます。
  18. 島口重次郎

    島口委員 そういたしますと、勢い問題が先ほど申し上げました例の国鉄財政関係の問題になりますけれども、この問題が解決しない限り、再び運賃改正の名に便乗いたしまして、運賃の引き上げが近き将来にあるということが予想されますが、その点はどうですか。
  19. 山内公猷

    山内(公)政府委員 今回御審議いただいております運賃法の一部を改正する法律におきます運賃というものは、運賃そのものではないわけでございます。運賃制度の変更をお願いしているというのが趣旨でございます。もちろん上がるところもあり下がるところもありますので、不増収、不減収ということをモットーにやっているわけでありますが、国鉄財政面から見ましては、できるだけプラスマイナス・ゼロの結果を考えまして制度そのものを合理化しようというのが趣旨でございます。その意味からいいますと、現在の国鉄の置かれております財政難をこれによって解決するということは直接には考えられないことでございますが、これによりまして将来の国鉄あり方につきまして大きな利益が出てくるのではないか。このままほおっておきますと、どんどんトラックにもうかる貨物が逃げていってしまいまして、もうからない貨物だけを輸送しなければならない。ただいま申し上げました七級以下の貨物ばかりが残ってくるという可能性が強くなります。そこで、貨物等級を今度是正することによりまして、ある程度逃げていく貨物をとどめようということでございます。そういう目的からいいますと、現在の改正でも十全ではないわけでございまして、まず半歩を進めたと新聞などでも批評しているようでありますが、その程度のことでございます。それで国鉄財政の問題につきましては、先般も当委員会におきましていろいろ非常に御心配をいただきました。われわれといたしましては非常に感謝する御質問を受けたわけでございまして、この問題については、いろいろな方面からさらに運輸省におきまして検討をして、国鉄の今後のあり方というものと国鉄財政というものをどういうふうに立て直していくかということは、さらに残された問題といたしまして慎重に検討して参らなければならないと考えております。
  20. 島口重次郎

    島口委員 私の考えでは、今度の改正はあるいは政府当局説明する通り、全くの適正なる運賃体系を確立するという点のものであることも考えております。ただそれだけでは国鉄本来の機構運営というものは確立しないのであります。そういう面から、次にくる何かが予感されるのであります。次にくるものと称するのは、ただいまこの通り運賃改正法を出しておきまして、これを足場にして、第一の段階では値上げをしてくるのではないか、こう考えられるのであります。もしそうでないとするならば、年々赤字が出てくる、さらに借金が増額してくる、そのために国鉄の将来がどうなるかということの問題を根本的に解決しない限りは、この運賃の問題でよろしいということにはならぬと思います。そういう面からいろいろ当委員会におきまして楢橋運輸大臣にお尋ねしておりますけれども、大臣は大蔵省の方にいろいろ折衝しているけれども思う通りには一ならぬ、こういうお話でありますが、政府が公共政策の建前から学割をする、あるいは通勤割引をする、あるいは農産物の割引をするとするならば、それぞれの主管庁におきまして負担をするような態勢をとらなければ、国鉄赤字が解消されない、健全なる財政が確立しない、こう考えておるのであります。従いまして、運輸大臣努力をしている、こう言明しておりますので、額面通りわれわれもそれを了承するのでありますけれども、単に努力をしているだけでは解決がされないのであります。従いまして、運輸大臣といたしましてはどういう考えを持っておられるのか。経理の面から考えまして、国鉄がほんとうに危機が迫りつつある、切迫をしておるという現状をどう認識しておるのか。あるいは同時に主計局長さんにお尋ねをしたいけれども、国鉄独立採算制という立場から経営をしておりまして、公共性、公益性というものを何ら考えなければ十分やっていけると思います。公益性の立場から公共負担割引政府から強制されて危機を伝えられるような経営状態なのであります。そういう面から、国民のため、政府のために公共負担しておるとするならば、大蔵省といたしましても、当然政府の責任におきまして財政措置をしなければならない、こう考えておりますが、大蔵省当局はどう考えておられるか、お尋ねしたいと思います。
  21. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 ただいま島口さんのおっしゃいましたことはごもっともでありまして、私といたしましても、運輸大臣となりましてから国鉄の現状が重大なる危機に追い込まれておる。その原因は今御指摘になりましたような公共性という立場から五百億近くの割引を国家は要請しながら、これに対する負担を国で考えておらないという点に一面あるのでありますが、一方に原価主義という立場から運賃改訂というようなことをかりに独立企業体として考えるという問題が起こりますと、運賃の問題はすでに原委員長から審議会において答申がありましたように、相当に大きな影響を経済的にも与えるという状況にありますので、一方に運賃の問題がそういうような非常な広範な日本の経済にまたがって影響力を与えるという点、しかし一面からいえば、はたして今の国鉄運賃が妥当であるかどうかということも十分に検討して、その合理性を認めて。国民にも納得してもらわなければならぬ点も多々あると思うのであります。従って、私がこの委員会において申し上げましたことは、やはりこの問題は内閣で少なくとも国鉄というものをどうするんだということを根本的に取り上げさせなければ、一運輸大臣と大蔵大臣とでいろいろやっていましても、その国鉄を利用する広範なるあるいは通産省、農林省その他全国民にまたがる問題でもありますので、また問題が非常に大きい問題でありますので、今までのような単に国鉄だけにまかせ、運輸省だけにまかせておくということではなかなか解決がつかないという考え方から、今諸般の準備をせしめまして、近々内閣に向かってこの国鉄をどうするかという問題について提案をする。まず第一に経済閣僚懇談会にこの問題を一応持ち出して討議したいということで準備せしめておるような次第であります。
  22. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 大蔵省から答弁申し上げます。  かねがねこの問題が非常に議論になっておることはわれわれは存じておるのでありますが、大蔵省のただいまとっております考え方でございますけれども、国鉄がいわゆる公共企業体、公社の組織をとっておる。その公共企業体としての本質といいますか、それは当然一方に企業体としては独立採算制を建前として堅持する、すなわち総体としては国鉄を利用するところの利用者が当然それを負担する。それからまた一方にしかし企業体であると同時に公共性の高い企業体でありますからして、国の広い意味の機関の一部といたしまして、当然公共政策的な見地からしてある程度の割引その他が行なわれる、これを要求されるということも当然であろう、こう考えております。その場合に国鉄赤字とかが云々されておりますが、御承知のように、ただいまのところ国鉄はずっと黒字でございます。従って、国鉄の経理全体として将来どうなるかという問題はまた別にあろうと思いますけれども、ただいまのところは第一に黒字である、その中であるものを割り引いておるというような状態だろうと思います。あるいは一部の線が不採算線として赤字になっておる。しかし、いずれにしても国鉄全体としては現在やはり黒字を出しておるということは事実でございます。それで私どもは今申し上げましたように、公企体としてある程度の公共政策的な方針をとるということはある程度やむを得ない、しかも現状においては黒字でもあるというようなことでありますから、これに対して財政負担をするということは全然考えておらないわけであります。
  23. 島口重次郎

    島口委員 大臣にはただいま答弁のあった通り内閣の問題として取り上げてもらいまして、近き将来に解決をすて方向に万全の努力をしてもらいたいと思います。  ただいま主計局次長さんの御答弁によりますと、ただいまは黒字である、こういうような御答弁に聞いたのでありますが、その黒字と称するのは公共負担を入れて黒字であるか、外に置いて黒字という解釈なのであるか、お尋ねしたいと思います。
  24. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 むろんただいま公共的な割引をしておるわけであります。その現状において黒字が出ておるわけであります。そこで私どもは、現在黒字でもあるということも事実でございますし、それから建前といたしまして、全体としてはやはり利用者負担する問題である、全然利用者と直接関係のない国民から出てきたところの税金をもってこの赤字を補てんするということは、原則としては認めるべきではないだろうという考え方を持っております。
  25. 島口重次郎

    島口委員 黒字であるというのは、単に収支の損益計算から申しますと黒字であるかもわからぬが、国鉄の五カ年建設計画をやらなければならない仕事をやらないというような状況から総合的に検討いたしてみますと、五カ年計画で金額にいたしまして約七百億の工事が遅延しておるのであります。確かに国鉄の会計といたしましては一般の政府予算と違いまして、収入が少なくなれば支出も少なくするという面からしりを合わせておると思いますけれども、単に損益計算から見ますと黒字であるかもわかりませんけれども、国鉄の計画をしております建設事業を検討いたしますと、三十二年度から五カ年建設計画を立てまして七百億がおくれておるということは、それだけの結果を見ますと赤字になっておる、こう解釈するのでありまして、黒字であるという議論はちょっと承服できないのでありますが、その点を明確にしてもらいたいと思います。  もう一点は、政府の財源から補充いたしますと国民の税金であるからどうかと思う、そういう面から負担するという考えはないというように理解いたしたのでありますが、これは議論になりますけれども、たとえば本年度における運輸予算におきまして、外航船舶の利子補給を九億五千万やっております。これでも国民の血税から補給しておるのであるが、私どもの考えから申し上げますと、海運業界がいかに不況でありましても、国際競争の過程におきましては補充しなければならないという現実の姿はわかるといたしましても、これは資本主義制度における私有財産制度から申しますと営利会社であります、逆に国鉄の機構を考えますと、公企体といたしまして、人間のからだにたとえるならばまさに血を運ぶ動脈でありまして、あるいは手であり足であるが、そういう面から日本国民あげて要請しておるような国鉄赤字に対しましては、当然国民の税金であろうとも補充するような考え方が正しいのではないかと考えますが、大蔵省はどう考えておられるかをお尋ねしたいと思います。
  26. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 最初の点でございますが、もちろん黒字、赤字と申しますのは、損益勘定における黒字、赤字の議論としての黒字と申し上げておるのであります。いわゆる建設勘定、これは当然財産として残るものでございまして、それは資金繰りの問題といたしまして、現在国鉄は、東海道の新幹線その他五カ年計画の遂行で非常に建設投資の面におきまして資金が要ることは御存じの通りであります。従って、ただいま申し上げました損益勘定で生じたところの黒字はすべてこれを建設のために振り向けておりますし、さらにその不足するところは財政資金をもって政府ができるだけの援助をしておるという状況でございます。それで、いわゆる企業が赤字であるか黒字であるかということは、もちろん損益勘定で黒であるか赤であるかということで議論すれば十分であると思います。それで、建設勘定に多額な資金が要ることは確かでございますけれども、これはもちろん国鉄の財産として将来残る。また投資でございまするから、それは資金繰りの問題として議論すべき問題ではないか、こう考えております。  それから第二点でございますが、公共割引というのは実は最近急に始まったことではなくして、もうずいぶん長い沿革を持っているわけであります。私鉄においてさえやはり割引という制度はやっておるわけであります。これらはこういう公共的に運輸事業というものの性格から見て、ある程度社会的に当然要請されて今日まできたろうというふうに考えていいんではないかというふうに考えております。でありますからして、国鉄だけが割引をやったから税金で穴埋めをしていくというのは、少し議論としては筋が違うように実は感じております。  それから、ただいま海運の問題が出たのでございますが、御承知のように、いわゆる税金の中から各種の産業に対して補助金が出ておりまして、ひとり海運だけではございません。国の政策の遂行上必要な場合におきましては、相当各種の補助金が出ておることは御存じの通りであります。今回海運につきましてああいう特別の補給が行なわれるというようなことになりましたのは、御存じのように、海運はいわゆる国内の運輸機関と違いまして、海外との競争を行なわなければならぬ。そうしてこれは日本国民としての貿易収支にも重大な関係のある問題でございます。幾らコストがかかったからそれだけ海上運賃値上げしようとしても、これは利用者が言うことを聞かない問題でございまして、いかんともしがたい点があるわけでございます。で、現在の海運の状況は、御存じのように、相当造船の利子等に経費として莫大なものを出しておるわけであります。大体外国との金利の比較において日本の金利がとかく高過ぎるというような議論もございまして、そういうことから特別に海運対策として利子補給をいたしたわけであります。もちろん個々の企業が、個々の海運会社が赤字であるか黒字であるかということを別に取り上げて補給をするという思想ではございません。全体の立場から見て、海運の造船利子負担というものを軽減するためにとられた特別の対策でございまするからして、いわゆる特定の企業の赤字を救済するというような思想とはやや違うという観点で取り上げたのであります。
  27. 島口重次郎

    島口委員 先ほどの山内鉄監局長の答弁によりますと、この改正による増収は見ておらない、こういう答弁であります。直接的にはそういうことが言えますけれども、やはり合理的な適正運賃が施行されることによりまして、トラックやらバス等にのがれましたお客さんが帰ってくるということで、間接的に増収の期待し得るものまで計算しておるではないか、こう考えるのであります。しからばそのお客さんが再び国鉄に帰ってくるという段階において考えなければならぬことは、最近の国鉄輸送状況を見ますと、お客さんがふえ、荷物がふえましても、輸送力が伴なわないではないか。この例は、最近におきましては、中央集権と申しますか、中央の住民には東海道の新幹線等におきまして相当の力を入れておりますけれども、各後進地域における幹線におきましては輸送力が限界であります。日本全国の状況から見ましても、託送申請いたしましても一カ月か二カ月しなければ配車をもらえないという状況であります。特に私らの方の東北、北海道におきましては、雪の降る積雪地帯であるが、そういう面から、冬季間におきましてはバス、トラック等が一切停止をされて、国鉄だけに依存している度合いが非常に強いのであります。ところが、その冬季間におきまして、託送を申請いたしましてから長いものは二カ月か三カ月も配車がないという状況である。そういう面から考えますと、日本国民国鉄に要望いたします輸送の使命ということに対して役割を果たしておらぬではないかと考えます。三十四年度におきましても、新潟あるいは東北地帯から米を送りますと、他のものが送れない。一般物資を送りますと米が送れない、あるいはリンゴが送れないという状況である。また、人と物との関係におきましては、旅客輸送を重点にすると荷物が送れないというような状況が随所に展開されておる。そういう面から、単に運賃が適正であるからお客さんがふえる、それによりまして増収が期待できるということは不可能だと考える。そういう面から、単なる運賃改正によりまして国鉄の使命を達成するということではなくて、むしろ輸送力の強化こそが先決問題であろう、こう考えるのでありますけれども、これに対する大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
  28. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 輸送力の強化も、もちろん、今おっしゃいましたように、現在日本の経済の拡大発展といいますか、急速に経済的な発展を来たしておるために、これの動脈をなすべき、ことに私鉄がまだついていけないというような状況下にあることは、至るところ今日貨物の停滞等により露呈しておるのであります。国鉄といたしましても、その点について根本的な解決策というわけで、あらゆる路線の整備、スピード化、貨車の増車問題等を今取り上げてやっておるのでありまして、今おっしゃいますように、輸送力の強化という点ももちろんこれは緊喫の問題としてやらなければならぬのでありますけれども、国鉄が従来持っておりましたような独占性を失って、今日トラックその他自動車等によって圧迫を受けておる。それが依然として古い体系のもとにやるということについては、どうしてもこの機会に運賃法の一部を改正いたしまして、さいぜん島口さんもおっしゃいますような体質改善をし、その基盤をやはり近代的な客観的な情勢にマッチするような体制に置こうということで、今回の運賃法の一部改正が提案されておるのでありまして、おそらくこの改正法案が通りましても、今申したように合理的な線にいきますれば、現状より一歩前進して国鉄というものが改善されることは間違いない。ひいてそれが国鉄全体の輸送の強化にもなると思うのでありまして、従って、輸送力の強化の上からいっても、国有鉄道の運賃法の今出しておりますこの法案の改正は絶対的に必要であると思うので、そういう点を申し上げまして御了承を得たいと思います。
  29. 島口重次郎

    島口委員 運賃改正国鉄を強化する一つの具体策であるということは認めますけれども、ただいま私が申し上げました通り運賃改正が合理化されればお客さんが増大するといいましても、輸送力がなければその期待ができないのであります。そういう面からいいますると、本年度の予算で七千両の新車の建設計画がありますけれども、これだけでは解決する問題ではないと思います。特に公益性の使命を持っておる国鉄といたしましては、後進地域である北海道あるいは東北、九州、四国等におきましても、根本的に輸送力の解決がなくして、当面しておる国鉄矛盾というものは解決されないと思います。そういう面から五カ年計画におきましても各幹線の複線化の問題があり、電化の問題がありますけれども、それが遅々として進んでおらぬのであります。単なる国鉄の事務的な操作によりましては、この問題は解決されないと思います。政治的な高所大所から解決をされなければならない問題でありますから、単に運賃改正法によりまして国鉄が若干強化される、それが先決問題であると、こう答弁いたしましても、次にくるものは輸送力の問題であります。この輸送力に対する政府の運輸交通政策が明確な路線を決定しておらなければ、われわれといたしては納得いかないのでありますけれども、政府の後進地域における幹線の運輸交通政策を具体的にお示ししてもらいたいと思います。
  30. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 国鉄から答弁いたさせます。
  31. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま先生からお話しの通り、昨年の暮れ以来全国的に割合出荷が強調になって参りました。昨年の暮れからことしにかけまして、ことに東北方面には非常な御迷惑をかけましたことは大へん申しわけないと思います。私どもといたしましても、極力、車の運用効率を上げるという努力をいたしておりますが、それと同時に徐々には進んでおりますが、東北線の複線化の問題あるいは電化の問題等も、これが旅客輸送だけでなしに貨物輸送にも非常に大きな影響を及ぼすものというふうに考えております。たとえば仙台までの電化が大体来年度には完成いたす予定でございますが、そういたしますと旅客列車貨物列車との速度がそろいますので、全般として輸送力がふえるというようなことがございますし、また複線化による当然線路容量の増加ということもございます。と同時に今先生おっしゃいました通りに、三十五年度は約七千両の貨車を作りまして全国的にこれを使用いたす予定ではございますが、極力各地々々の模様に応じまして、ことに秋冬季になりますと、東北地方におきましては農産物、水産物が非常に競合いたしますが、そういったもの以外の季節に関係のない貨物を先送りしてもらうといった輸送上のやりくりも考えていかなければいけないというふうにも考えております。しかし、いずれにいたしましても、根本はやはり線路の増強であり、あるいは電化の進捗であるということでございますので、私どもといたしましても極力おくれました五カ年計画の回復をぜひやらなければいけないという強い要望に今国鉄全体が努力をいたしておるわけでございます。
  32. 正木清

    ○正木委員 関連。せっかく大蔵省の方からお見えになりましたから一言大蔵省にお伺いしたいのですが、今同僚の質問に対して国鉄の損益勘定は毎年黒字である、お説の通りだと思います。三十五年度の予算面での予想でも若干ながらも黒字の数字が出ておる。そこで私はあなたにお尋ねしたいのは、この予算の編成技術としては黒字になっておるけれども、こういう事実があるのではないか、その事実は何だかというと、あなたのところにありまする国債整理基金でございますね。これには国鉄が実は巨額に上る借金をしておる。当然本年度においてはこの借金の中からこれまた巨額に上る返済期限がきておる。これが事務的に完全にその通り整理されたかどうか。あなた、そのことがおわかりであれば具体的にここでそれを明らかにしてもらいたい。
  33. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただいまお話がございましたように、国鉄が特別会計時代国の一般会計に借金がございまして、それの整理ということは一つの問題でございます。私の方といたしましては、国鉄に対して国鉄の経理の許す範囲内で徐々に返してもらうという実は考え方で今日まで臨んできておるわけであります。もちろん国鉄が現在黒字であるということを申し上げましたけれども、非常に黒字、赤字の問題が大きく取り上げられましたが一言、最初に誤解をお持ちいただくと困りますが……。
  34. 正木清

    ○正木委員 いや、事務的に答弁さえしてもらえばいいのです。あるのか、ないのか。
  35. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 それはございます。
  36. 正木清

    ○正木委員 あるとすれば、その具体的数字はどうなのか。
  37. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 今総額をちょっと資料に当たらしておりますが、本年は十二億、その分を返済するように組んでございます。
  38. 正木清

    ○正木委員 あなたにもう一度お尋ねしますが、僕はあなたの答弁では納得できないのです。ということは、私の資料では少なくとも三十五年度では二百九十六億近く、これの返済期限がきておるのです。それを予算面で見ますと十二億を御返済する、こういうことになっておるわけですね。このことを認めますか、数字上の若干の違いはあるかもしれませんが。
  39. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 承知いたしております。
  40. 正木清

    ○正木委員 その理由は一体どこからきているのか。二百数十億の返済をあなたの方は今年度は十二億で認めた。その理由は一体どこからきているのか。
  41. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 国鉄は、先ほど申し上げましたように、政府が一兆円以上の出資をしておるところの政府機関でございます。一兆二千億の出資をいわば無利子で出しているようなところでございますからして、政府機関として国が当然密接な関係を持っておるわけであります。でありますからして、従来からも経理の状況というものをにらんで、そうして一ぺんに国鉄の経理に大きな衝撃を与えないように、この旧債の整理を考慮してやるということはこれは当然ではないかと思っております。なおそのほかにもいろいろたとえば政府としては国鉄に対して援助はいたしておるわけでありますから、そういうような意味で特別な関係があるわけであります。
  42. 正木清

    ○正木委員 大へんに御親切な御答弁ですが、せんじ詰めると、国鉄全体の財政が詰まってきて、もしあなたの方としては当然支払い期限のきた、償還期限のきたこの旧債を今年度一挙に整理すれば、損益計算面で国鉄相当赤字が出るのだ、こういう前提が結果的には十二億の償還で一応来年度に書きかえをしたというのが真相ではありませんか。いかがです。
  43. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただいま申し上げましたように、政府としてできるだけの援助は、一方においては惜しまない。これは当然のことだろうと思います。
  44. 正木清

    ○正木委員 そこに大蔵当局として、全体として考える余地がないか。あなたの方から言わせると、政府が一兆円からの出資をしているんだからと、政府国鉄に大した恩恵を与えているように、恩を売っているような御発言が再々あるのですが、私は政府から恩恵をちょうだいしているとは考えていない。私はなぜそれを考えていないかというと、それは事業資金で相当財政投融資を借りております。借りておりますが、それは当然あなたの方でおきめになった六分五厘なら六分五厘の利子は払っております。支払い期限がくれば、払うものは払っておりますし、短期借り入れの分については期限を待たずして、払うものは払っておりますから、何も恩恵を受けてはいない。ただ三十五年度の国鉄全体の予算を詳細に調べてくると、こういう事実が発見されてきた。これを私は前回のこの委員会でも言ったが、財政上の違反ではないが、国鉄財政が苦しくなったから、こういうやりくりをしなければ国鉄の損益決算の帳じりが合わない。そこにあなたの方と国鉄運輸省の事務当局としての事務上の操作が出てきたんだ。だから、なぜこういうことをしなければならぬか、せんじ詰めれば国鉄財政が苦しくなっているからなんですね。ですからそういう点は大蔵当局も十分考える余地があるのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  45. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 今御存じのようにその債務は、公社が発足する以前の特別会計の時代の昔の借金でございます。でありますから、現在の公社の立場からいたしますと、昔の古い借金を一ぺんに取り立てられるということは、きつい話だろうと思います。そういう意味で、この借金がそういう特別の性質でもある関係もございまして、私どもの方としては徐々に返してもらおうという実は考え方を持っておるわけでございます。
  46. 正木清

    ○正木委員 最後に、あなたの答弁では、これは古い借金だ、あなたのおっしゃるように鉄道院時代からの借金が積もり積もって、途中でしかも利子が大幅にふえているのです。このこと自体が、あなたの言葉から言うとおかしな話である。三分五厘が六分五厘に上がってきた、このこと自体がおかしい。まあこのことはこのこととして、あなたのおっしゃるように、徐々に返すことをあなたは今ここでお認めになったわけですね。現実にお認めになった。だから三十六年度の予算の編成期にあたっても、来年は五億か六億程度というようにこれはずっと長期にわたって返す。国鉄ではどう考えるか知りませんが、私個人の考え方としては、五億ないし十億を最高程度にしてずっと返していく、この原則は、今徐々にという言葉を使ったのですから、認めますね。
  47. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 もちろん来年以降のことでございますから、今私か一存でどうなるということは申し上げかねますが、今までそういう考え方もあって、一ぺんにとるということは無理じゃないかということでとってきたということだと思います。
  48. 平井義一

    平井委員長 本案に対する質疑は一時中止いたします。      ————◇—————
  49. 平井義一

    平井委員長 この際、館俊三君より発言を求められておりますので、これを許します。館俊三君。
  50. 館俊三

    ○館委員 国鉄経営の問題なり、運賃の問題の審議の途中で、はなはだ失礼でございますが、委員長一つ提案をしたいと思っております。それは国土総合開発特別委員会と本委員会とが、連合審査をしていただきたいということでございます。委員長から一つ御提案を願いたいと思います。  国土総合開発特別委員会とどうして連合審査をするかということなんですが、去年の国会から今年の国会にかけて、国土総合開発特別委員会で問題になっておる法律案があるのです。それは臨海地域開発促進法が今審議されていて、なかなかはかがいかないのであります。この臨海地域開発促進法でありますが、日本の主要臨海地帯における工業発達、産業基盤の開発のための臨海地域開発の促進法が出ておるのであります。これについては私も国土総合開発をやっておった時分に非常な関心を持っておったのですが、この臨海地域の開発については、運輸省は港湾局を主体として従来いろいろやって参っておりまして、あるいは通産省、あるいは建設省、農林省あたりでも、これについて個々的に相当の開発促進法はやっておったに違いない。そういうことで論議が非常にむずかしくなっておるのでありますが、運輸委員会としては、従来臨海地帯の開発については、促進法と名をつけないでも、この委員会でいろいろ審議をして参った建前上、この法案に対して非常に関心を持たなければならないと私は思うのです。そういう意味で国土総合開発特別委員会にどういうふうに法案が出されているか、またその成り行きについて運輸委員会として非常に関心を持たざるを得ない。そういう意味で委員長から一つ国土総合開発特別委員会に対して、連合審査の提案をしていただきたいということを、ここに提案する次第です。
  51. 平井義一

    平井委員長 お諮りいたします。目下国土総合開発特別委員会において審議中の臨海地域開発促進法案は、臨海地域における工業その他の用に供する土地の造成、利用等に関する計画を策定し、その実施を促進するという趣旨の法律案でありますが、本委員会といたしましても、港湾等の問題に密接な関係がありますので、この際国土総合開発特別委員会に連合審査会開会の申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  53. 平井義一

    平井委員長 それでは再び国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。島口重次郎君。
  54. 島口重次郎

    島口委員 主計局の次長さんのお話では、資本勘定の方に繰り入れいたしまして、これが財産として残るからよろしいじゃないか、こういう御答弁のように理解いたしますけれども、工事が完成をする、事業を施行いたしましても、黒字にならないというような見通しが、ただいまの国鉄の状態だと思います。現在約二千三、四百億の借金がありまして、今度東海道線を建設いたしますと約四千四、五百億の借入金になると思います。そういう状況で、普通の会社のように、建設をした、直ちに財産が残る、収益が上がるというような性格のものではないと考えます。こういう面に対する見通しをどう理解しておられるかという点をお尋ねしたいと思います。  それから、先ほどの海運会社に対する利子補給の問題でありますけれども、これが決して企業体が赤字であるから補給をするというような考え方なり思想ではない、こう言うけれども、結論的には営利会社である海運会社に対する利子補給であります。そういう面から考えますと、絶対悪いというのではないけれども、国鉄のような企業体にやることを優先的に考えまして、営利会社のようなものは第二義的に考えることが正しいのではないか、こういうのが私の質問の趣旨であります。その二点をお尋ねしたいと思います。
  55. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただいま御質問国鉄の将来の見通しということになりますと、大へんにむずかしい問題だと存じます。おっしゃいますように、建設投資にここ当分追われることと思います。そのための資金繰りが非常に苦しいということで、これは主としていわゆる財政投融資の問題として、今後その建設資金をどうやって捻出していくかということが問題になっていくと思うのであります。こういう見地から、今後その必要な資金をできるだけ確保するように、政府全体として大いに考慮していく必要があろうかというふうに考えております。しかしながら、いわゆる損益収支の問題は、その建設資金の膨大な要求による資金繰りの問題とは別個の問題だと存じております。損益収支がどういうことになりますか、これは、今後の日本経済の全体の発展、輸送の状況、あるいはまた他の競争輸送機関との関連というようなこともございますから、私も今一がいにどうということをここで申し上げかねます。結局経理の全体を見て対処していく必要があろうかと思うのであります。たとえば不採算線の整備にいたしましても、それからまた公共割引制度にいたしましても、大蔵省として全面的にこれに賛成しているというわけでは決してございません。経理の状況等もにらみ合わせて、できるだけ経済界の納得を得ながら、逐次割引制度で整理すべきものは整理していくという方向に向かっていくことが国鉄の経理の健全化に役立つことであろうということは、われわれも全く同感でございます。ただ、ただいまやっておる割引政策は、御存じのように、ずっと前からのものでございますし、また私鉄等でも実際問題としてやっておることでございます。それで、国鉄の経理が多少苦しいというだけで、直ちに税金からこれを補てんするということは、財政上の問題としてもなかなかそう簡単には参らない問題であるというふうに感じておるわけであります。
  56. 島口重次郎

    島口委員 ただいまの御答弁によりまして、直ちに財政投融資をいたしましてこの赤字を解消するというわけには参らぬことは一応了承いたしますけれども、あらゆる公共割引というものは、単に国鉄がすき好んでやっているということではなくて、日本の政策上ぜひともやらなければならないという観点からいろいろ討議をされまして行なわれているのであります。またそれぞれの割引によりまして性格が違いますけれども、暫定割引にいたしましても、毎年切るというようなお話がありますけれども、切るというお話がありましてからすでに五、六年になっております。その通り因果関係がありまして割引が施行されているのでありますから、簡単に打ち切るというような考え方にはわれわれは反対であります。むしろそれも国民経済の面から見てなければならない制度でありますから、どう穴埋めをするかということが真剣に考えらるべき問題ではないか、こう考えるのであります。そういう面から後段における答弁がなかったけれども、海運業界が国際海運業界との競争の上から利子補給をしなければならないということもわかると思いますけれども、優先順位といたしましては、むしろ公共企業体である、国民経済の基盤をなしておる国鉄の方に優先的に協力的な態度をとってもらいたいということが質問であります。  さらに財政投融資の面でめんどうを見るというお話でありますけれども、本年度東海道建設線におきましても、やはり大蔵省だけではなくて、世界銀行からも融資を受けなければどうにもならないというような状況であります。そういう面から見ますと、あなたの御答弁にある通り政府が一兆二千億というような膨大な財政投資をしておりますから、政府の財産を保護する意味におきましても、正しく管理する面におきましても、むしろ国鉄の方に優先的にやることが当然な帰結ではないか、こう考えておるのでありますが、いろいろ質問申し上げましても、あなたの考えと私の考えとは相当距離があるようでありますから、これ以上質問いたしませんけれども、公共割引に対して大蔵省が最大限の協力をいたすように努力をしてもらいたい、努力する考えがあるかどうかをお尋ねしたいと思います。
  57. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 今の公共割引に対して、協力と申しますか、努力といいますか、こういうお話でございましたが、公共割引にも今お話がありましたようにいろいろのものがございます。長い間続いてきた沿革的なものの中で、現在の実情から見てもう必要の薄くなったものもあるだろう、そういうものはできるだけ整理していく方向にいっていいのではないか、そういう意味では国鉄当局とも意見が一致しております。その穴埋めを税金でやるかどうかということになりますと財政上の大問題でありまして、決して軽々に申し上げるわけにもいかぬわけでありますが、大蔵省は、建前といたしまして、財政資金を低利でもって供給するとかいうような面でできるだけのことは御協力申し上げますけれども、しかし、企業体というものの建前からして、いわゆる赤字を税金で補てんする、これを容認することは無理じゃないかというその考え方の基本は、ほかへの各種の影響等も考え、また現在の財政上の実情から申しましてもそう言わざるを得ないというのが実情でございます。
  58. 島口重次郎

    島口委員 もう一度お尋ねいたしますが、赤字補てんに充当するような財政投資はできない、こういう御答弁だと思いますけれども、それならば、外航船舶のように、利子補給をするようなお考えはないのですか。
  59. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 外航船舶における利子補給も、御存じのように開発銀行が相当部分計画造船に低利で金を出し、その不足部分を市中が金融しておりますが、その市中金融の利子を外国の競争等も考えて低めてやろうということで考えておるわけであります。そういう意味からいたしますと、国鉄に対しましても先ほど申し上げましたように、国は一兆円以上の無利子の金を出しておりますし、金といいますか、現物で出しておりますし、毎年財政投資で低利資金を極力建設投資のために少ない中からお出しするという努力をいたしておるつもりであります。そういう意味におきましても海運だけにやっておるというわけではございませんので、国鉄の投資に対しましてもできるだけのことをいたしたいという考えであります。
  60. 島口重次郎

    島口委員 国鉄に一兆二千億の金を出しておると申しておりますけれども、この問題はそれだから国鉄に協力しなくてもよろしいというような印象に響きますけれども、固定資産を出しておるのとこれから国鉄を堅実に経営するという経理の現状の問題とは同一に議論ができないのではないかと思います。基礎的な資本というものがあってこそ、海運であろうと国鉄であろうと運営されていくのであって、やはり海運会社の方といたしましては、会社の例をとりますならば、資本金というものがあって、それを基礎にして運営をしていくのだ、もし国鉄に一兆二千億の金を出しておるというのであるならば、海運会社の資本金の方にも政府が投資をしておるというような議論だと妥当だと思いますけれども、資本金というようなものを出しておるから、一切経営管理の面におきましてはめんどうを見なくてもよろしいのだ、こういうことは別個な問題だと思いますが、いかがでしょう。
  61. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ちょっと私の申し上げようが悪かったかもしれませんが、御承知のように、毎年財政投融資から相当金が出ております。それはやはり一般の金利から申しますと、相当低い金利の金を毎年出しておるわけであります。そういう意味で、国鉄に対しても海運と同じような形の財政投融資の面からの協力はいたしておるということが第一点でございます。  それから今たまたまお話がありましたけれども、やはり一兆二千億なら一兆二千億という財産は、これが動かされて収益を生んでおるわけであります。これは民間の会社でありますれば、当然配当を株主から要求されるわけでありますが、もちろん政府としてそういうことを今国鉄に要求するわけのものでもございませんし、いわばそれらの財産が全体として収益力を持っておるわけでありますから、そういう意味におきましては、何といっても国鉄の経営というものは政府と密接につながり、かつまたその公共的な性格から見て当然ではありますが、政府としてもそういう基本的な意味の公共企業体としての基礎を十分に与えておる、こういうことを申し上げたわけです。それであるから一切ほかのことはかまわないという意味では決してございません。毎年財政投融資でも、今申し上げましたようにできるだけ財政資金を捻出したいというふうに考えておるわけであります。
  62. 島口重次郎

    島口委員 今大蔵省の方へ質問を申し上げましたけれども、公共負担の問題では大蔵省の方にはほとんど期待ができないということが明確になったわけであります。あと残る問題は運輸大臣が政治力でどういうような構想をもって実現するかというような問題に帰着すると思いますけれども、この問題にしても簡単にきまらぬであろうと考えます。そういう面から考えますと、どうも国鉄を運営いたしますには、次にくるものは値上げの問題が出てくる可能性が濃厚である。特に今度の改正法によりまして、急行料金などの場合は運輸大臣の認可をとりまして値上げをすることができるようになっているようでありますけれども、この運賃改正法が通りますと、遠からず急行運賃値上げをする可能性があるのではないか、こう考えますが、どうでしょう。
  63. 山内公猷

    山内(公)政府委員 急行料金法定事項から運輸大臣認可事項にいたしましたことは、御説明申し上げた通り輸送需要の実態に適合した輸送を提供したいということでありまして、たとえば今度の改正によりますと、特急料金は一キロ幾らというような運賃ではなくて、どことどこの駅が幾らかというふうになっております。それで非常に合理的な運賃を作ったつもりでございますので、そういう趣旨で改正をしたのであります。それから急行準急特急料金が基準運賃に対して高過ぎるということもありまして下げたわけでございまして、この急行料金だけを操作して増収をはかるということは考えておりません。
  64. 島口重次郎

    島口委員 どうですか、遠からず運賃値上げをすることはないと言明できますか。
  65. 山内公猷

    山内(公)政府委員 国鉄財政問題が今非常に大きく取り上げられているわけでありますが、大蔵当局からも申し上げましたように、収益勘定においては黒字を出しております。ただ収益勘定の黒字といいますものが、減価償却を上回って建設勘定に繰り入れられているということでございまして、本年度の予算におきましては五百九十九億建設勘定に繰り入れているわけでございます。ただ問題は改良建設費が相当多額に上っております。それはただいま大蔵当局から御説明がございましたように、国の借入金によってまかなっていくという状態であるわけであります。そこで将来の問題といたしましては、国鉄の工事が生産会社のように、投資をいたしましてそれが利益を生む仕事であれば問題はないわけでございますが、先生指摘通り利益を生まない投資が非常に多い。たとえば通勤、通学輸送の改善でございますとか、あるいは線路増設、停車場改良というような、直接には利益を生んでこない工事も相当やらなければならない。そういたしますと、今後の経済発展の期間におきまして、将来五年なり十年なりを見通して、一体国鉄輸送投資にどのくらい資金を投入しなければならないのか、その資金の投入が利益を生む工事と利益を生まない工事とあるわけでございまして、そういうものを詳細に検討した上において将来の国鉄財政あり方というものも考えなければならないわけであります。また一方国鉄財政を見ますと、固定費と称しますところの人件費、利子、償却費というものは年々相当増大しております。特に人件費は、ここ数年来増員をいたしませんので、非常に年をとった高給の人が多くなって参りまして近い将来におきますところの退職資金というものは目立って増大する傾向にあるわけでございます。そういう将来の財政あり方を十分検討した上において、国鉄財政をどうしたらいいかということを運輸当局としては考えなければならないわけでございまして、大臣の命令によりましてそういう将来の見通し、工事のあり方を現在検討しているわけでございます。それによりまして国鉄財政をどういう面から立て直すかということも十分検討しなければならないわけでございまして、運賃改正もその一つの方法であろうかと思いますが、直ちに運賃改正ということは問題もむずかしく、経済界の影響というものも考えなければなりませんので、いろいろな方法を十分検討した上において国鉄あり方とマッチした財政政策を立てていかなければならないと考えております。
  66. 島口重次郎

    島口委員 それは答弁になりませんね。私は遠からず運賃値上げをするかしないかということを聞いているのでありまして、内容の話ではないのであります。
  67. 山内公猷

    山内(公)政府委員 ただいま国鉄財政あり方に関連をいたして御答弁申し上げたわけでございます。そういう点を含めまして今後十分検討をいたしていくわけでございます。
  68. 島口重次郎

    島口委員 検討するということは、値上げをすることもあり得ると解釈していいのですか。あり得ないと考えていいのですか。
  69. 山内公猷

    山内(公)政府委員 場合によってはそういうことも考えなければならないかもしれませんが、そういう点につきましては慎重に考慮してきめるべき問題であるというふうに御答弁申し上げているわけであります。
  70. 島口重次郎

    島口委員 どうもわかったようでわからない。少なくともここ二、三年はやらぬ考えなんでしょうね。
  71. 山内公猷

    山内(公)政府委員 ただいま繰り返して申し上げておりますように、ただいまの情勢におきましてそういう確定的な御答弁をまだ申し上げる段階になっておりません。十分国鉄のそういった点を調査いたしまして、運輸省といたしまして結論を出したいということでございます。
  72. 島口重次郎

    島口委員 どうもこれはあり得るということも含まなければ解釈できないようですけれども、私らといたしましては、質問の劈頭に申し上げた通り、今度の運賃改正法と称するものは、これ限りで見ますとあるいは値上げでないかもしれないけれども。次にくるものは値上げではないかということで、相当慎重に審議をしなければならない問題だと考えるのであります。  それから、磯崎理事さんにお尋ねいたしますけれども、先ほど仙台まで複線ですか、電化が今年度中に完成されるという話でありますけれども、仙台までできましても、日本全体の面からいいますとごく一部なのであります。青森までやらなければならぬということも当然でありますけれども、裏日本のことも考えてもらわなければならぬ。特に新潟、山形、秋田は日本における穀倉地帯であります。この米を毎年都会に送りまするためにどれだけ苦労しておるかは、磯崎常務さんはつとに御承知だと思います。ことに秋冬繁忙期におきましては、青森のリンゴがあり、わら工品があり、冬期間中いずれかの輸送物資が犠牲となっておるのであります。こういう面から見ますると、単に仙台までやるのではなくて、先ほど大臣に御質問申し上げました通り政府の交通運輸政策というものを明確に出してもらわなければ、われわれといたしましては了承できないのであります。そういう面から大臣から一つ御答弁願いたいと思います。
  73. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 特に東北地区は積雪地帯でもありますから、どうしてもやはり国鉄というものを重視しなければならぬ。これはたとえば貨物の集配等の問題におきましても、北海道とか東北というのはやはり特殊な立場であるから、暖かいところよりも十分に国鉄の持っておる公共性を考慮すべきであるということを、私も国鉄に指示しておるような次第でありまして、ただいまお尋ねになりました東北地方における輸送力の強化という問題は、十分にその点を勘案いたしまして努力いたしたい、こういうように思います。
  74. 島口重次郎

    島口委員 どうも答弁が月並み的で、努力するということではちょっと物足らぬですね。そういう面から政府としては、やはり最高交通政策を立てるべきだと考えるのです。たとえば北海道と内地とつなぎまする海底トンネルにいたしましても、洞爺丸のような問題が出てくるとやらなければならないというので騒ぎ出しますけれども、月日がたちますると同時に、いつの間にやらもうすでにその問題が冷却をしておるというような状態であります。そういう面から、たとい若干の事情があろうとも、大方針を立て、このためにはあらゆる犠牲を忍んでもやるのだという政府の交通政策がなければならないものだ。そのときどきに無定見的なことでやるのであっては困ると思います。この前に例の東海道新幹線の場合にも質問申し上げましたけれども、五カ年建設計画の中には何ら入っておらないで、入っておるものすら未完了であるにかかわらず東海道線の建設をやるというような、無定見的な場当たり的なやり方ではならないと考えるのであります。そういう面からわれわれの要望いたしまするのは、日本全国的に一つ重大方針を立てまして、その方針で一路邁進するというような態度で処理してもらいたいと考えるのであります。
  75. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 青函線の問題は、本年は画期的な措置をとるべく、実際上も着手してやっておるわけであります。  それから今申されました交通の政策というものは、さいぜんから局長が答えますように、根本的な国鉄の近代化と、主として今の社会情勢にこたえ得るような体質の改善ということに邁進をしておるのであります。東北地方において具体的にどういうようなことをやっておるかということについては、国鉄の責任者がここにおりますから、それから答弁させたいと思います。
  76. 磯崎叡

    磯崎説明員 東北地方の、ことに貨物輸送の改善につきましては、何といいましても東北線の非常に弱いということが一番の問題でございます。従いまして、御承知のように東北線の線増につきましては、ここ数年来相当な金をつぎ込んでおります。またことしも区間々々ごとに、一番困っている区間から線増いたしまして、少なくとも仙台までは電化、盛岡まではほとんど複線に近い工事をなるべく早い機会のうちにやってしまいたい。同時にやはり東北線の救済といたしまして今まで上越線を相当使っております。上越線につきましては、先生の御指摘通り秋冬繁忙期になりますと米及びリンゴ等が競合いたしますので、上越線の一部の信号所増設あるいは線路増設等をいたしまして、多少なりとも上越線の輸送力を救済する、それによって東北地方の物資輸送を円滑にいたしたい。同時に常磐線につきましてもやはり極力常磐線を利用することによりまして東北本線の東京に近いのど首のところの輸送を緩和するということによって、東北地方全体の輸送を緩和いたしたい。しかし問題は北海道から関東地方へ参ります物資と東北の物資との競合の問題が相当あります。最近北海道の開発も非常に進みまして、北海道から内地向けの物資がやはり相当ふえてきております。そのために、現在でも十万トン程度の在貨を持っておりますが、それらと東北の物資とが競合いたしますために、結局青森と仙台間では、細い東北線の輸送力の奪い合いになるわけであります。これらにつきましても、東北地方と北海道地方との輸送力の配分につきましては十分意を用いますと同時に、先ほどちょっと申し上げましたように、秋冬繁忙期以前に送れるもの、ことに夏場の、輸送力に多少余裕の生ずる場合に極力荷主に慫慂いたしまして、輸送の先送りをいたしたい、こういうことなどをやることによりまして、全面的に東北地方の輸送の改善をいたしたいというように考えております。      ————◇—————
  77. 平井義一

    平井委員長 次に、国鉄の経営に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  78. 久保三郎

    ○久保委員 簡単に運輸大臣並びに副総裁にお尋ねするのでありますが、昨日でありますか、仲裁裁定が出まして、両方とも受けることになったと思います。そこで、大体八百円から八百五十円平均になるということでありますが、この原資の扱い方でございます。けさの新聞等を見ますと、政府筋は、大体郵政関係には補正を組まねばならぬだろう、あとは企業内努力というか、やりくりでやってもらう、こういう報道があるわけなんです。今も国鉄経営全体について島口委員からお話があった通りでございまして、特に三十五年度の予算は、経営費については早くいえば極端な切り詰め方をしているということでございます。そうなりますと、このベース・アップの問題は、われわれは国鉄経営内でやりくりできるものとはあまり思っていない。そういう観点からするならば、政府筋が考えているようないわゆる流用、そういうもので予算内でやっていくという筋合いではなさそうに見えるわけなんですが、仲裁裁定を受けて、この原資についてどういうふうに処置しようとするのか、それをお尋ねしたい、かように思っております。
  79. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 仲裁裁定の実施につきましては、約七十億円の資金を要する見込みでありまして、国鉄の現在の財政等においてはたして可能であるかどうかということは目下検討しておる状態であります。仲裁裁定を尊重すべきであるということについては異議はありませんが、財政等の面について十分検討しなければならない段階になっておるので、それに基づきまして一つ善処したいと思っておるのであります。
  80. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄当局といたしましては、仲裁裁定の当事者として当然裁定に拘束されます。裁定は必ず実施するということで考えておりますが、財源の問題につきましては、御指摘通り国鉄財政事情というものは非常にむずかしい状況にありますので、目下この裁定実施についての処置をどうするかということについていろいろ検討をいたしておる段階でございます。政府当局ともよく御相談申し上げまして善処いたしたいと考えております。
  81. 久保三郎

    ○久保委員 この財源措置について今検討中であるということでありますが、なるほどこまかい検討もしなければならぬと思いますから、直ちにどうしなければならぬという結論にはならぬかと思いますが、大ざっぱに見て、七十億という金は国鉄の経営費から見れば大きい金でありますし、しかも三十五年度の予算は運輸省の中でも国鉄の予算が一番お粗末であります。あとは運輸大臣の政治力によって大へん増額しております。残念ながら先ほどの利子補給も削られ、新幹線の百億出資も削られ、一文もそういう財源を与えてはもらえなかった。なるほど大蔵省の先ほどの御答弁によりますれば、財政投融資でやっているじゃないか、こういうふうな御意見もありますが、財政投融資をもらうとこれは利息が高くなって、去年から比べれば三十五年度は相当多額な利子を支払わなければならぬ、これはこれからどんどんふえていくと思う。そういうこともあるので、そこで大蔵省の主計局次長にお伺いしたいのですが、これはもちろん今のような国鉄当局並びに運輸大臣お話では、今結論はまだ得てないということでありますが、われわれの考え方からいえば、別にこれは国鉄に肩を持つわけではありませんが、経営費は御案内の通りあなたの方で御査定を最後には仕上げたと思うのであります。経営費は苦しい、こうわれわれは予算審議の際見ておるわけでございます。まず第一にお尋ねしたいのは、ことしの経営費について苦しいとわれわれは見ているのだが、これはどういうふうにお考えになっておられるか、これを一つお伺いしたいと思います。
  82. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 国鉄の経理が非常に苦しいかどうかというお話でございますが、これはむずかしい御質問だと思います。まあ将来のこともあわせて考えてみまして、決して楽な会計ではないということは率直に申し上げられると思います。
  83. 久保三郎

    ○久保委員 特にその中でも三十五年度の経営費をあの程度におきめになったのでありますが、これは苦しくないか、大体やれそうか、あるいはこの仲裁裁定の実施についてはどういうふうに今日大蔵省としてはごらんになっているか、その点あわせて一つ伺いたいと思います。
  84. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 国鉄の経理全体の今最初の御質問でしたが、三十五年度ということになりますと、もちろん国鉄当局とも現在の財源を前提にいたしまして極力検討いたした結果でございますから、十分やっていけるものというふうに感じております。  裁定の措置につきましては、ただいまお話がございましたように、国鉄並びに運輸省の方の御検討をいただきまして、それを待って私どももそれに応じてどういうふうに対処すべきか、これから検討して参りたい、こう思っております。
  85. 久保三郎

    ○久保委員 これはまだ結論を得てないということでありますから、これ以上お尋ねするのも無理かと思うので、これは運輸大臣に要望しておきますが、とにもかくにも七十億の財源を既定予算の中でやりくりをしろといっても、これは非常に無理なことではないだろうか、こういうふうにわれわれは見ているわけです。これを無理にやらせるということになりますと、先ほど御質問のような、これが大体通るのを見て、この間仲裁裁定を七十億実施した、そういうこともある、あるいは三十五年度では非常にくびれた、これを修正五カ年計画を近く出すだろうから、それをやるのにはとうていまかないきれないということで、今度は定期運賃値上げということがまずねらってくるところであろう、こういうふうに思うわけです。私は別に予測して申し上げませんが、大体そういうことが定石ではなかろうか、こう思うのです。よって、少なくとも七十億の財源は、新規財源としてこれは工夫をすべきだと思うのでありますが、運輸大臣いかがでしょう。
  86. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 国鉄財政等よく見た上で、それはなにしたいと思いますが、今度金曜日の閣議におきまして、当然仲裁裁定が問題になると思う。御承知のように、今度は益谷副総理が給与担当の大臣になられまして、先般益谷さんから私に話がありまして、仲裁裁定等の問題について一つよく相談をして、根本的にいろいろ方針をきめようじゃないかというような相談も受けておるので、これは私も益谷さん、大蔵大臣等ともよく御相談を申し上げて、やはり仲裁裁定というものが下された以上は、これに対してどう誠意を持ってやるかということ、財政上の関係もありますけれども、そういうことは真剣に考えて善処したい、こういうふうに実は私は思っております。
  87. 平井義一

    平井委員長 次会は来たる十三日金曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十六分散会