運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-05-06 第34回国会 衆議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月六日(金曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君    理事 川野 芳滿君 理事 關谷 勝利君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 土井 直作君       宇田 國榮君    高橋清一郎君       塚原 俊郎君    長谷川 峻君       三池  信君    村瀬 宣親君       山田 彌一君    五島 虎雄君       島口重次郎君    下平 正一君       館  俊三君    正木  清君       山花 秀雄君    内海  清君       菊川 君子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 楢橋  渡君  出席政府委員         法制局参事官         (第一部長)  山内 一夫君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  坂根 哲夫君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      木村 行藏君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         運輸事務官         (観光局長)  岡本  悟君  委員外出席者         議     員 板川 正吾君         厚 生 技 官         (大臣官房国立         公園部計画課         長)      池ノ上 容君         建設事務官         (道路局次長) 前田 光嘉君         建 設 技 官         (道路局高速道         路課長)    斎藤 義治君         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 五月六日  委員淺沼稻次郎辞任につき、その補欠として  五島虎雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員五島虎雄辞任につき、その補欠として淺  沼稻次郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月六日  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二三号)  陸運に関する件      ————◇—————
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  この際お知らせいたします。来たる十日火曜日、道路交通法案について、地方行政委員会連合審査会が行なわれますので、委員の方は御出席下さいますよう、お願いいたします。      ————◇—————
  3. 平井義一

    平井委員長 次に、陸運に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。菊川君子君。
  4. 菊川君子

    菊川委員 私は、本委員会箱根自動車道を四月二十八日に視察をしたその成果に基づいて御質問を申し上げたいと思います。  運輸省は近日中に伊豆箱根鉄道株式会社に対しまして箱根一般自動車道事業限定免許を行なうといううわさを聞くのですけれど、これが事実かどうかをまず伺いたいと思います。
  5. 國友弘康

    國友政府委員 自動車道事業免許の点に関しましては、建設省と目下打ち合わせ中でございまして、その打ち合わせの結果成案を得ましたら処理をいたすという段階であります。現在打ち合わせ中ということを申し上げたいと思います。
  6. 菊川君子

    菊川委員 今までもそうなんですけれども免許する前の日までは、その線はただいま慎重に検討中、こういうようなことを、ほかの場合にでもよくいわれるのですけれど、限定免許する方針がきまったかどうか、その方向だけでも明らかにしていただけないものでしょうか。
  7. 國友弘康

    國友政府委員 一般的に自動車道事業免許に関しまして、自動車範囲を限定して免許をする方法につきましては、限定免許をし得るという建前で、ただいままでに箱根駒ガ岳線高知交通につきまして限定免許をいたしましたが、その他の申請に関しましては具体的にそのおのおのの事情に関しまして目下検討中でございます。その検討成果運輸省建設省とで持ち寄りまして、現在打ち合わせをしておるところでございます。具体的な路線に関しましてはまだ具体的に申し上げる段階に参っておりませんが、免許をすべき路線もございますし、さらに検討を要する路線もあると考えております。
  8. 菊川君子

    菊川委員 ところで運輸省が作成した「目でみる運輸白書」これの三十五年版、これの二十一ページに「自動車輸送旅客貨物ともに毎年著しい発展を遂げ、両方とも昭和三三年度には五年前の昭和二八年度に比べて約二倍となった。今後、高速自動車国道が発達すると、旅客貨物長距離輸送が急増し、輸送機関のうちで自動車が占める地位は一段と重要度を加えてゆくであろう。」というふうに解説しております。特に最近は国民所得増加に伴いまして、個人の消費水準と申しますか、それが上昇しまして、観光それからレクリエーション、こういうものが多くなって参りまして、観光バス利用度が急激にふえていると私は考えております。政府はこの観光バス増加についてどのような見通しを持っておられるのか、それをお聞きしたいと思います。  それから特に東京周辺の最大の観光地である箱根観光バス増加についての見通しをあわせて伺いたいと思います。
  9. 國友弘康

    國友政府委員 観光バスにつきましては確かに最近増加傾向がございまして、ことに国民所得及び消費水準増加に伴いまして観光バス需要もふえて参りました。最近東京都内におきましても観光バス免許した事例がございますが、今後具体的な申請を待ちまして、各所に必要に応じまして観光バス増加していくということになると考えております。  箱根地域等に関しましては、むしろ東京とかあるいは横浜とかそういうところ、あるいは関西の方からも参りますが、そこに発生しました旅客需要観光バスをチャーターして箱根観光に来るということでございますので、むしろ箱根観光バスに関しましては、箱根地域を通る観光バスは今後ますます増加していくと考えておりますが、箱根地域自体における観光バスの点につきましては、まだ具体的な申請を待って考えなければならないと考えております。
  10. 菊川君子

    菊川委員 四月二十八日の箱根現地調査の際に、一般自動車道独占弊害、これについて、いらっしゃった各委員方々皆さんお聞きになったわけでございますが、そのうちの一つに、本年の四月二十五日に、世田谷区の東大原小学校生徒箱根に遠足をいたしました。そのときに伊豆箱根早雲山駅で急に雨に降り込められてしまいましたので、バス手配を依頼したのだそうでございます。ところが船を利用してもらわないと——これはバスと同じ経営者の船という意味なんですが、その船を利用してもらわないとバスは出せませんということで断わられた事実があるわけなんです。ところがこの方々は、ほかの通し切符を持っていたので、非常に困ったそうでございます。これはその小学校の大沢さんという教頭の方がはっきりとおっしゃっていらっしゃるわけなんです。このように独占経営が生むところの弊害、これをどのようにして抑えるか。また今後利用者がふえることが明らかな自動車道において、独占を許すことがいいか悪いか、これについて慎重に検討すべきじゃないかと思うのですが、この点をちょっと伺いたいと思います。
  11. 國友弘康

    國友政府委員 ただいまのお話につきましては、たとえば船の乗船券につきましてあらかじめ手配をして購入しておる事態について、急に観光バスを申し込んだという事例だと思いますが、箱根の場合におきましても、これは私よく調査してみなければはっきりしたお答えはできないのでございます、けれども観光バスにつきましては、一社ではなくてたしか二社あると思います。それらの点に関しましては、急の場合ですと一社のみならず他の会社にも申し込みをしていただくということを考えていただかなければなりませんが、ただ観光バスがそこに予約もなくてあります場合に、申し込みがあった場合には当然そちらに振り向けることが必要であろうと思いますので、それらの点に関しましては十分調査いたしまして、遺憾のないような指導をいたしたいと思っております。
  12. 菊川君子

    菊川委員 その学校の生徒さん方で、帰ってきてかぜを引いて今休んでいる子がだいぶいるということを聞いておりますから、どうぞ十分調査していただきたいと思います。  次は公取委の方に伺いたいのですが、坂根公取委員会事務局長が、四月十三日の商工委員会で、独禁法第二十一条の「自然的独占に固有な行為」の規定によるものは、道路運送法関係での適用除外だと言われておりますけれども道路運送法第四十七条の三項の限定免許事項は限定して行なうことができるという規定であって、独禁法にいうところの自然的、本来的な独占行為ではないと思うのですが、この点はいかがでございましょう。
  13. 坂根哲夫

    坂根政府委員 四月の商工委員会で私が質問を受けましたのは、道路運送法独禁法との関係でございまして、道路運送法の中には二十一条で運輸に関する協定、それから三十三条の事項適用除外しておる、それから今御質問のように、独禁法二十一条で固有事業に伴う正当な行為には適用除外しておると申し上げました。その限定免許することが独占禁止法適用になるかならぬか、こういう問題は非常にむずかしい問題であると思いますが、その限定免許内容独占禁止法がねらっております目的からはなはだしく逸脱するというようなことであれば、独占禁止法から見ておもしろくない。しかしこれが直ちに独占禁止法当該事業者が違反になるかどうか、これはまた別な問題でございます。従って、その限定免許内容としては、私はその商工委員会のときもたしか申し上げたと思いますが、道路運送法一条の目的から免許なさるのが行政官庁としては至当ではないか、こう申し上げた次第であります。
  14. 菊川君子

    菊川委員 公取委員会百貨店経営不当行為に対しまして、百貨店業における特定の不公正な取引方法という特殊指定を行なったのと同じように、バス事業についてもこのような特殊指定を考慮すべき立場にあるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  15. 坂根哲夫

    坂根政府委員 百貨店の場合は、もちろん私ども特殊指定いたしましたあと百貨店業法ができましたけれども道路運送法の場合には、道路運送法で十分な監督規定があると思いますから、今お尋ねの問題が直ちに必要があるとは私は考えません。しかし過当競争その他でバス事業者自体がお困りになって、こういう方法をやっておっては共倒れになる、従ってあまり公正にわたらざる競争方法でやることはお互いに自粛したいという気持ができまして、そういうことを私どももまた認めた場合には、あるいはそういう方向考えられるかと考えております。
  16. 菊川君子

    菊川委員 今度は公安委員会の方に伺うのですが、四月二十八日の箱根現地視察のときに、伊豆箱根鉄道、これが自動車道石がきを築きまして、そうして大型バス安全運行ができないようにしてあるわけでございます。しかも、これは自社の所有地の法的な防御のためという名目で行なっておるわけであります。こういうように故意に近路の道幅を狭くするような行為、これは道路交通取締法第二十五条の「道路において交通の妨害となり又は交通の危険を生ぜしめるような行為命令で定めるものは、これをしてはならない。」この命令に入りませんか。  それからもう一つ道路交通取締法施行令第六院八条の十三号に該当するものではないかと思うのですが、この点ちょっと伺いたいのです。
  17. 前田光嘉

    前田説明員 ただいまお話ございました石がきが道路上でなくして、道路の沿道にある民有地における築造物のように聞いておりますので、それである限りにおきましては、道路の側といたしましては、それを特に排除することはできないと考えております。
  18. 菊川君子

    菊川委員 道路についておるのですよ。
  19. 前田光嘉

    前田説明員 われわれ知っておりますのは、その築造物道路敷地の外にあるように聞いております。ただその道路敷地範囲につきましては、県及び所有者におきまして争いがあるように聞いておりますが、一応まだ確定をいたしておりませんので、確実に道路敷地にあるというふうにはわれわれは考えておりません。——ただいま申し上げましたように、道路の幅員につきまして争いがある関係もございまして、明確に当該築造物があるところが県道敷地であるかどうかにつきましては、県の方でも、実は明確なことをわれわれの方に申してきておりませんので、あらためて県の方に照会したいと思いますが、現在のところわれわれの方には、県の方から、争いはあるけれども、一応築造物民有地にあるというふうに解しておるように聞いております。
  20. 菊川君子

    菊川委員 もう一つ、十国峠に富士見茶屋という茶庭がございますが、それが道路に面した側に枯れ木でバリケードを築いておるわけですね。ちょっと見ると森ができたみたいなふうに道路をふさいでいるわけです。このバリケード伊豆箱根鉄道が作ったというふうに聞いておりますけれど、こういうふうなことが許される法的な根拠を伺いたいと思うのです。
  21. 國友弘康

    國友政府委員 見晴らし茶屋の地点におきまして、木を植えまして、あまりよく富士山の方が見えないようにバリケードができておりますことはその通りでございますが、これに関しましては、あの土地伊豆箱根鉄道株式会社所有地になっておりますので、所有地内にあのようなものを建てることは法的には禁止できないのではないかと考えております。
  22. 菊川君子

    菊川委員 國友自動車局長おわかりになっていらっしゃるはずなんですかれども自分土地だからということであっても、生活権を奪うことになってしまうのではないでしょうか、ああいうふうに全然出入口をふさいでしまわれては。私はそういうところに大きな問題があると思うのです。きょうはあまり深く突っ込まないことになっておりますのであれですけれど……。箱根地区のようにこれから観光客がどんどんふえるような場所で自動車限定免許を与えるということは、結局こういうふうないろいろな弊害が出てくると思うのです。先に私が指摘しましたし、それから本委員会がこの間視察しました通り弊害が現に現われてきているわけです。従って運輸省は、限定免許のいかんにかかわらず、伊豆箱根鉄道に対して厳重な監督を行なうべきじゃないかと私は考えるのでございますが、それを伺いたいと思います。
  23. 國友弘康

    國友政府委員 自動車道事業及びバス事業を経営いたしております伊豆箱根鉄道株式会社に対しましては、法規に基づきまして監督をいたしておりますが、これらの点に関しましてはできるだけ指導をし監督を十分にいたしまして、公正な、適切な事業運営というものができますようにわれわれとしては努力をいたしていきたいと考えております。
  24. 菊川君子

    菊川委員 私、最後に、箱根地区の最近の観光バス交通回数、それから一般乗合バス交通回数、それと一般乗用車、トラックの交通回数について、昭和三十一年以来の資料をお願いしたいと思います。本委員会はそういう具体的な事実とそれから将来への傾向に基づきまして、箱根限定免許問題をさらに慎重に検討しなければならないというふうに私は考えるわけでございます。いずれまた資料を拝見した上で次の委員会ででも御質問申し上げることになるかもしれないと思いますが、きょうはこれでおしまいにいたします。
  25. 平井義一

  26. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 大体箱根山の問題については、前に限定免許に対する法制局解釈、その当時この委員会において二、三議論されたのでありますが、何しろ天下の耳目を沸かしておる箱根山でもありますし、委員会として何かしゃべると、やれ西武側だの東急側だのというふうに、正しい政治家の発言がゆがめられて解釈され、そうしてわれわれが二十八日に神奈川県、さらにまた運輸常任委員会の方のあっせん現地視察したつもりであるけれども、やはり今日は資本主義世の中でありますから、両方会社から昼飯を食うところに大ぜい来ておって、陳情あるいは名刺交換などを自然せざるを得ない。そうしてそのあと帰ってみますと、国会議員視察したこと自体が何か大きな疑惑の中に包まれているということが、私はまず本日箱根の問題について視察報告委員公にするにあたって、一番先に申し上げたい不愉快なことであります。これというのも、運輸委員会決定事項を出すわけでもなければ何でもなくて、要するに従来行政官庁がはっきりした信念で法規に基づいてやれるものをやらないでおって、それが箱根山一帯に暗雲を低迷さして、いかにも悪資本が踊っているような姿を出している。そこに、ただいま菊川委員が言われたように、バスの問題あるいは学童の乗車拒否問題等がある。私は、せんだって行った模様について簡単に一つ見解を申し上げながら、将来の善処をお願いしたいと思うのです。  まず私は、ずっと歩いてみまして、一体自動車局、どうですか、ああいう天下観光地切符が一枚で通用しないということがあり得ますか。小田原の駅に行ったら、両方会社がお客さんを奪い合いをしている。こんなばかなことはない。しかも、それがところどころで切れておって、自分会社切符でほかのバスや船に乗れないというふうなことが考えられるかどうか。行政指導をしておるあなた方としては非常に怠慢じゃないか、これをまず私は思うのであります。  その次には、しろうと論でありますけれども、とにかく限定免許か、有料道路か、あるいは自分で作った自動車道路か知らぬけれども、そこを歩いていった瞬間に、国会議員は全部この悪路に驚いた。こちらかと思うと、一方の会社の方では自分の方の所有地であるということを麗々しく立て看板に掲げておる。あの自動車道路が、今まで限定免許になっており、これから先されようとするようなあの一般的な自動車道路がああいう悪路で放置されておってよかろうか。そうして、それを一社で持っているという話であるが、一体それを認可したのはいつであるか。今日の道路行政からいたしますと、有料道路でさえも二十年、三十年、ペイしたあとでは一般にただで公開されるときに、何かしら割り切れざるものを感じている。こういう常識論について皆さん方はどういうふうに解釈してわれわれに御答弁をされるか。私はその場で聞いた、一体一年間にここでどれだけ金が上がってくるか。保存費はどれだけかかっているか。あなた方に原則的にお尋ねしたいのは、今日バス免許可ということをやっている理由のものは、一般公衆に対して、公益事業を許可し、しこうして公益事業をやっている方々が今度は自分の私益もはからなければいかぬという今の世の中である。そうして、その道路採算がとれるということのためにいろいろ特権を与えているとするならば、一体今までの収支決算がどうなっているかということを第一に疑問に思って、並みいる国会議員方々にこれを申し上げたのであります。さらにもう一つ、その根本といたしまして、山県神奈川県知事白根静岡県知事から、できて免許になったときの三十年の期限を付した命令書がありますが、一体この効力はどうなっているか。官選知事時代であったけれども、そういう法律が生きているとするならば、これなども将来道路の問題について判定を下す大きな材料になると思う。政府当局はそのあったことを認められて、こういうことについてわずかに運輸委員会だけでなく、地方行政委員会などとも相談される必要があるのではないか。これは三十年の期限が過ぎたら無効になるというふうな書類のように私は調べて参りました。これが一体どうなっているか。さらにまた、今、菊川さんが申し上げたような例がたくさんありますが、原則としまして、箱根の山というものは国立公園で、今から大きく開発しなければならぬ。今のままでは私は伸びないと思う。たとえばスカイライン、ドライブ・ウエーという話もあるし、東海道本線有料道路ができてそちらを回って大きくこれを取り囲むというふうな計画など、すでに免許もされ工事に着手されている部面もある。しかし、その間に限定免許の線があるとするならばこれはどうにもならぬ。大きな円の中に一つだけがはっきりしているということになるならば交通が途絶される。そういう大きな政治問題について一体どういうふうにお考えになっているか。自動車道を作った場合に、投下資本がある程度採算がとれるように考えてやらなければならない。そのために限定免許をしてバス事業独占させるというのが今までの御主張のようであるが、それなら採算がとれた場合にどうなる。実を言うと、一緒に行った運輸省方々にその場で認可して以来今日までの採算関係などについてもお伺いしたのであります。さらに県道の問題でありますが、湖尻桃源台の間の県道はすばらしい道路だ。しかしそこに一社が無料バスを出しておる。切符両方で争奪しておるというふうな醜態をさらしておる。しかも今菊川君が言われたように、県道の幅は十二尺でなくてはならぬと委員長があの場で発言されたが、それが今日まで九尺のままに放置されておる。これは一般県道の用をなしていない。また県の土木部長の話であれば、神奈川県としては、そういうふうな紛争をなくするために、これを買収してでも何か明朗なものにしたいという交渉などをされておるやにわれわれは報告を聞いたのでありますが、こういうことについても、あなた方が問題の根本的解決のために、それらに対してどういうふうに協力し、どういうふうにして指導していくかということなどもお尋ねしたいと思うのであります。  さらに、見た最後の印象といたしますと、私は今までの事業というものは、日本のありとあらゆる資本主義の発達というものは、一人々々が奮闘したことによって発展した。最近の電気機械にいたしましても、このようにして、それが日本の産業になったりなんかする。そういう先進者の先駆的な御苦労は私は認めます。しかし、これはまた公共事業の場合には、またいろいろ考えがあるんじゃないか、こういう問題に対する見解はどうなのか。たとえば、昨年国際会館を、京都と近江であれだけ猛烈な誘致運動を始めた。私は当時陳情書をもらいながら、実を言うと、日本において国際会館などという国際的事業をやる場合にには、これは公平に見て、箱根の方がよろしい。なぜかなれば、外国から来た諸君が、一時間か二時間くらいで自動車で飛べる箱根に行って、そうして外国から来た諸君であるから不安がある、東京に大使館、領事館があるならば、すぐかけつけて、何かの場合に相談に乗ってもらえる。こういうときに、あそこの山全体かもめておるということが、いかにあの土地全体の将来の大きな発展の阻害を来たしておるか。そういうことからいたしましても、私は行政官庁が、従来、今まで法制局のこの限定免許に対する解釈の問題をめぐり、さらにまた最近は高知県あたりの限定免許早雲山限定免許等々から、いろいろ新しい話題を提供しておる今日においては、この国際観光時代において、どうしてもこれは行政官庁にしっかりした態度を願わなければならない。たとえばその一つの例は、宮沢運輸大臣が、昭和三十二年七月九日に、両方会社諸君を呼んで、いろいろあっせん案調停案を出した。その間において、いろいろまた話が進んでおり、また有力なる方々もその間に関係しておる。しかしながら、こういうことが全然御破算になって、依然としてもめ続けておる。であるから、私はこの際に、一つ楢橋運輸大臣に、大臣在職中に、今まではタクシーの問題で白星を上げたから、こういう大きな問題について、公平無私に、将来に悔いを残さざるような大きな行政上の効果を上げていただきたい。私はせんだって二十八日に、法制局運輸省建設省あるいは神奈川県の諸君の御案内をいただいて、現地視察して、そのいただいた地図などを拝見しながら、将来の発展のためには、何とかこの際に一つ御奮発を願わなければ、いつまでたっても、この運輸行政の中に悪資本主義の花がいつでも咲いているような格好で、このために運輸省も迷惑でしょう、あるいは建設省も迷惑でしょう、あるいは神奈川県も迷惑でしょう、大臣、諸君も迷惑なはずです。こういうことから、私は一つ公平な公正な裁断というものを下されんことを心からお願い申しまして、私のせんだっての視察、さらにまたそれに対する政府委員の御所見をお伺いして、ここで皆さんに解明していただければ、私は非常に問題の討議の参考になると思う次第であります。
  27. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 箱根の山のごたごたも、これは露骨に言えばもう非常な永年にわたる天下の醜態でありまして、今、長谷川さんが言われましたような、私が運輸大臣になりましてからこの間まで、両方の主張をつぶさに両方を呼んで聞いておりました。また法律的にも、一般自動車道のあれを建設した者、道路に犠牲を払った者に対する保護と、一方には、これに対してバスを通すというつまり公共性という問題、並びにそれらの自動車道をかりに独占するとしても、おのずから償却その他の一つの点からいって、限界線があるというような諸問題等につきまして、いろいろと法律的にも実は研究をいたしておるのでありまして、大体双方の言い分等も十分に先般来調査をいたしておりまして、当委員会におき場ましても、いろいろと委員諸君がやはり公共性の立場から御心配になって御質問等も受けておりますので、この際諸般の情勢等を十分に掘り下げて研究した上、この問題を善処いたしたいと思うのでありまして、ただいま長谷川さんが言われましたこまかいことは、局長から説明させたいと思います。
  28. 國友弘康

    國友政府委員 箱根観光に行きます旅客が、一枚の切符で回遊して、その観光目的を果たすことができるようにすべきであるということは、私ども当然そう考えることでございますが、これらの点につきましては、従来そのような方向に行くように指導したのでございますが、いまだ実現しないのでありまして、これらの点は、われわれといたしましても、一枚の切符観光客が通過できるように、今後も指導に努力いたしたいと思っております。  道路の点等に関しましては、たとえば小涌谷から早雲山通りまして大涌谷を通って湖尻に出ます一般自動車道等につきましては、舗装されておらない部分が相当あるわけでございますが、これらの点は、私どもとしては舗装されることが望ましいと思うわけでございますが、事業計画の面から申しますと、砂利道で免許されておる部分もありますので、これらの点に関しましては、今後改良をしていくように指導いたしたいと思っております。  この収支の面でありますが、ただいまの状況におきましては、伊豆箱根鉄道一般自動車道に関しまして三線ございますが、三線につきまして現在の状況におきましては収支が償っております。ただこの場合改良計画がございまして、改良をいたしました場合には赤になる路線がございます。そういう状況でありまして、それらをにらみ合わせて今後指導していきたいと思っております。  さらに、一番最初の自動車道の静岡県及び神奈川県両知事の——このときは許可でありましたが、許可という名目で大体昭和五年前後に許可されたわけでございますが、これに関しましては、その命令書の中に、許可年限は昭和三十五年六月一日とかあるいは大体三十年の期限を限って許可年限をつけておりますが、これらの点に関しましては、私どもの現在の解釈では、自動車交通事業法が制定されましてその後にこの自動車道の確認をいたしました場合に、自動車交通事業法の考え方からいたしまして、この許可期限は無期限になったという解釈を現在はとっておるのでございます。  以上でございますが、これらの限定免許等の問題に関しましては、その収益性あるいは交通系絡とかいったようなものを十分に検討して措置をしなければならないと考えますので、それらの点に対しましては、大臣から御答弁のありましたように、十分慎重に検討した上で措置をいたしたいと思っております。
  29. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 その大臣の御決意はわかりました。そこで今の自動車局長、今度は、当面の責任者として非常に重大な責任があると思います。たとえば第三十六条、自動車道事業規則の免許申請書の進達、箱根のようにどんどん大きくルートが開かれる場合においては、御承知のように、「附近における道路の現況、新設及び改築の計画並びにその交通状態」、しかも第四項には、「(未開業のものを含む。)に及ぼす影響」というようなことがあるのですね。これは今ある限定免許だけじゃなくして、将来大きく伸びようとする伊豆、箱根山の問題については、やはりこういう法律的なものをお考えいただいて行政されれば問題は薄くなっていくのではないか。そして、大臣も言われたように、何といっても天下の醜態であるということが、ここ十年間くらい繰り返されておるのですから、これは一人の政治家、一人の実力者の力によっては片づかぬ問題である。幸いに運輸委員会において、各党の運輸委員諸君が、ここで私を離れ、党を離れて、運輸委員の立場から堂々と論ぜられたこういう機会に、その世論を背景として、大きく箱根山の開発のために、交通行政本来のあるべき姿というものを打ち出されんことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  30. 平井義一

    平井委員長 久保三郎君。
  31. 久保三郎

    ○久保委員 私は、ただいま長谷川委員からも御指摘がありましたように、単に交通運輸行政面からでなくて、自然公園としての立場から御質問をしたいと思います。  調べてありませんので、さしあたり、箱根の山は国立公園であって、当該地区は自然公園法に基づく特別地域に推定されている部面があるか、この点まず承りたい。
  32. 池ノ上容

    ○池ノ上説明員 箱根は富士箱根伊豆国立公園の一部でございまして、たしか昭和十年だったと思いますが、指定をされております。そういたしまして、そのうちの一部が国立公園法の特別地域の指定を受けております。
  33. 久保三郎

    ○久保委員 その一部とは、現在話題になっている地域でありますか。私は現地を見ておりませんのでわかりませんが……。
  34. 池ノ上容

    ○池ノ上説明員 今話題になっている地域は、私ちょっとおくれて参りましてはっきりいたしませんが、今までのお話の様子を伺っておりますと、大体入っております。
  35. 久保三郎

    ○久保委員 そうだとすれば、この特別地域の保護並びに規制の条項、これは第十七条だと思うのでありますが、たとえば、今各委員から御指摘になりました、さくを道路のわきに作って富士の景観を阻害している。あるいは先ほどのお話のように、県道のわきに石がきを築いているというような問題は、この条項には当てはまらぬのでありますか。
  36. 池ノ上容

    ○池ノ上説明員 特別地域におきましては、自然公園法によりましていろいろ行為が規制されております。しかし、別に、ささいな行為につきましては緩和してございまして、省令によりまして不要許可行為といたしております。たとえば宅地内に囲障を作りますようなことは——先ほど御質問のありました富士見茶屋付近のこれは、木を植栽いたしております。この植栽をすることは公園法上の規制を受けておりませんが、これについて、公園の利用上からは適当でないと思いますので、私どもも何とかこういったことをやめるように指導はいたしておりますが、法律的にはこれを規制する方法はないと思いとよす。
  37. 久保三郎

    ○久保委員 石がきはどうですか。
  38. 池ノ上容

    ○池ノ上説明員 石がきにつきましては、あの辺一帯が、土地の所有権に基づつきまして、たしか国土計画か管理をいたしておると思いますが、その囲障と考えられるものだと思っております。
  39. 久保三郎

    ○久保委員 私は、大へん不勉強で、自然公園法は今読んでいるところですが、この特別地域に指定された部面に新たな構築物を作るときは、これは制限があるのでしょう。そうだとすれば、あの公園の景観なりあるいは大衆の利便を阻害する部面があれば、この法律に基づいて規制するのが立場じゃないでしょうか。あなたのおっしゃることはどうもふに落ちない。これはどうなんですか。こういう法律があってもなくても同じですか。たとえば風致地区の指定がありますね。そういう場合に、自分所有地であろうが、そこに建物を建ててはいかぬという規制もありますが、風致地区の指定でさえそうです。倒立公園の特別地域にどんな建築物を建ててもいいという話はないでしょう。私はこの法律をもう少し勉強して、この次やることにしますが、いずれにしても——たとえば客引きをします。今お話のように客引きをやっておる。その場合、この法律によれば一万円以下の罰金ですよ。客引きをやって大衆に迷惑をかけている。こういう法律は、ここで死んでいるのです。私はここで、どの自動車を、専用道まがいに一社に限定免許がいいか悪いかという問題以前の問題だと思う。自然公園法に基づいて——あるいは内閣には観光事実審議会というのがある。自然公園法に基づけば、国立公園の開発計画そのものは、厚生大臣がこれをやることになっているでしょう。一つの営利会社の開発計画にやらせるのじゃなくて、これから開発しよう、あるいは整備しようという公園は、国自体が公園計画を持って、その中で一部、ある都道府県にやらせる場合もある。しかし都道府県じゃなくて、ある事業会社にやらせる場合もあるだろう。それは全体計画の中でやらせる。ところが今日まで、この箱根の山一つとってみても、そういう全体計画の中で規制しているようなことはないですね。あるとすれば、一つここで発表してほしい。箱根の国立公国はいかなる開発計画を持っておるのか。どういう観点からどういう自動車道を作るべきか、あるいは県道の改修は、どうあるべきか、国道はどうあるべきか、そういう通路に関係がありますから、まずそういう計画が立っているのですか。立っている中の一部として、現在紛争の的になっている自動車道があるのか、これをお尋ねしたい。
  40. 池ノ上容

    ○池ノ上説明員 ただいま御質問ございました国立公園計画の問題でございますが、自然公国法に基づきまして公園計画を厚生省では決定いたしております。その中で特別地域などの風致の方の計画等もございますけれども、利用の計画といたしまして利用の施設に関する計画があるわけでございます。たとえば自動車道路につきましても、昭和十年当時と思いますが、箱根自動車道路につきましては一応計画が定められております。その計画に基づきまして、自動車道路の整備開発が行なわれているということでございまして、一部は民間事業免許によってやっているところもあるわけでございます。
  41. 久保三郎

    ○久保委員 計画の詳細は後刻文書によって提出してほしい。それから言いますが、計画の一部として現在ある自動車道免許しているというか、これを作らした、その整備についてはいかなる指導をしているか、今お話を聞くと、これは自動車道路にはふさわしくないような道路だというようなお話もあったようです。これはどうなんです。
  42. 國友弘康

    國友政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、砂利道である部分もございますが、これに関しましては舗装をして快適な自動車交通ができるようにいたすべきでだと考えておりまして、この自動車事業指導の面につきましては、運輸省の方でいたしておりまして、今後も指導をいたしていきたいと思っております。
  43. 久保三郎

    ○久保委員 先ほど長谷川委員も申したようでありますが、最近、流行と言っては語弊がありますが、特定な観光開発を特定の業者が独占している傾向が非常に多い。これは国民一般のレクリエーション熱といいますか、そういうものと並行していると思います。たとえば最近の週刊誌を見ますと、大島にも一つ何か独占しようという記事がある。独占とはあえていってないですが、そういう傾向がある。それから自動車道路の問題に関連して万座の問題がある。この根本は、自動車道限定免許にするかどうかということでなくして、公園開発全体の計画をどうすべきであるかということ、これについて観光局長はどういうふうに考えておられるか。
  44. 岡本悟

    ○岡本政府委員 御指摘のように、最近観光事業というものが非常に盛んになって参りまして、しかも新しい観光地というものを開発するということが非常に大きな問題になっていることは御承知の通りでございます。そこでどういうふうに開発していくかということでございますが、開発の方法としては、やはり思いつきの開発でなくて、国なりあるいは都道府県なり、そういったものが音頭をとりまして、計画的な開発をやる必要があると思います。と申しますのは、無計画な開発をやりますと、新しい観光地というものがどんどん荒廃していくという傾向にあるわけです。しかし、さればといって開発主体ということになりますと、これは必ずしも画一的なものが必要なわけではないのでありまして、あるいは私企業で開発される場合もあるし、あるいは都道府県が主体になりまして開発される場合もございますし、あるいは都道府県が出資した観光開発公社といったようなもので開発されておる場合言もございます。これについて政府がいろいろ干渉すべきではないと思うのですが、開発の仕方につきましてはあくまでそういうふうな荒廃しない、正しい健全な観光地として開発されるように指導する必要があると思うのでございます。ただいま御指摘のように、独占されるかどうかという問題でございますが、この問題については遺憾ながら政府が干渉し得るところの立場には必ずしもないと思うのです。それぞれの法規に基づいて処理されるべきでございまして、わが観光局といたしましては、それは独占されてはいけないとか、そういうことは申し上げるべきではないと思います。あくまで正しく開発されることを希望し、またそのように、場合によっては指導する、こういうことでございます。
  45. 久保三郎

    ○久保委員 独占という言葉はちょっと当たらぬかもしれませんが、営利的独占ということにいえば、営利が主体である独占ですね、開発を独占するんじゃなくて、営利を主体にした独占、こういう傾向があるということを私は言いたい。そうしますと、結局箱根一つとりましても、自然公園でありながら自然が破壊されていくという面がある。一つは、たとえば今のさくを立てるということによって富士の景観が阻害される、あるいは必要以外に営利のためには、そこは徒歩で歩いた方がい  いというところにバスを通す。騒音がはなはだしい。そこは静寂が必要であるというところが騒音が出てくる。こういう部面がたくさん出てくると思います。結局金を取ればいいのだという観点からのみの、いわゆる観光開発という傾向が強くなってきていると思うのです。そこに問題が、この問題もあると思う。これを規制し、これを指導するのは政府の責任だと私は思うのです。自然公国を一つ——先ほど御答弁がありませんが、切符の客引きですな、こんなものは即刻やめなさい。ふんまんにたえない。法律を持っていながらこういうものを便々とやらせる。自動車の問題以前の問題だ。こういう法律はあっても、ちっともやっておらぬ。こういうことを規制し、指導するのが政府の責任ではないか。しかも開発する場合に、これからの一般大衆の入り込みはどの程度になるかという観点から輸送力は作るべきである。一社にするか二社にするかの問題はその次の問題です。しかも今不便であるか利便であるか、その観点からこれは考えなければいかぬ。ところがだれが作ったか、地主はだれだ、その投資が返るまでは限定にする。不届き千万だと思う。そういうものを規制し、きちっときめてかからぬと、今まで論争があったように何か反対すれば東急か、賛成すれば西武とか、こういう問題が出てくる。われわれは公園自体の開発、国民大衆のものであるという観点からこれは処理するのであって、自動車道一つとってもそうですよ。これは業者の問題ではなくて、そこを通る人間、車、そういう問題から規制してかからぬとだめです。私はもう、あとありますし、よく勉強しておりませんのでいずれ……。ここでつけ加えておきますが、箱根の問題のみならず国立公園の指定されたところの計画は全部出して下さい。これから勉強しますから、いずれにしても要望しておきます。運輸大臣、要望しておきますが、自動車観光もあなたの所管事項でありますが、これは今ある法律自体もあまり適切に運営されていないようにわれわれは見ている。さらに最近の観光開発というものは営利的観光開発が多い。だから独占ということはとりましても、そういう観点からの開発には相当の国家としての規制をし、計画を立てるべきだ、こういうふうに思いますが、一つ御所見を最後に承りたい。
  46. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今、久保さんが言われるように観光を私的営業によって独占して、公的なレクリエーションその他を阻害するというような傾向は、これは当然是正すべきであると思うのでありまして、従って一方にまた観光を国が開発しないのに個人のといいますか、一つの私的会社によってこれを開発するという行き方は全部いけないというわけにもいかないので、やはりそれも正しく指導して開発さすべきものである。たとえば、今日まで関西に行きましてもどこへ行きましても、多くの開発は鉄道会社その他私鉄会社等が相当に犠牲を払って開発し、それがよろしきを得れば一般大衆に対して非常な余沢を与えておるということも見のがすことができないのでありますが、今おっしゃいましたように観光の全体的な総合的な観点からこれを見るということについては、やや私は欠けたところがあると御指摘の通り思うのでありまして、これは厚生省の国立公園あるいは運輸省のこれに対する交通上の問題あるいは建設省道路の問題、その他自治庁等の問題と総合的に、やはり高い観点から、観光地、特に重要な観光地というものは、公的な立場を相当に加味して、全体を総合的に規制する必要があるということは、今御指摘の通りでありまして、この点は十分に今後とも勘案して一つ善処いたしたい、こういうように考えます。
  47. 天野公義

    ○天野(公)委員 関連で一点、道路のことについてお伺いしたいと思います。それは、先ほどから問題になっております湖畔線に並行している県道にさくがあるということでありますが、あの開発が非常におくれておるというか、全然やられておらない。長尾峠から仙石原を通りましてあの湖畔に至ります県道は、きちんと整備されている。砂利道もありますが、一応大きなバスも自由に通れる。ところが、あそこに参りますと、とたんに砂利道になってだめになってしまう、まして幅員の問題でも、一間半であるとか、また二間であるとか、いろいろ論争があるようでございますが、放置をされておる。これは道路政策上からいきましても、どうもおもしろくないし、自動車の問題からいってもおもしろくないし、また観光の問題からいきましても、どうにもしようがない。でありますから、あそこまで参りますと、いやでもおうでも、金を払って上の有料道路を通らなければならない。下の方は、県道であっても、一般のものはほとんど利用ができないというような状況になっておる。それから、十国の方に参りますと、十国の有料道路に沿いまして、やはり県道というものがれっきとしてあるわけであります。ところが、その県道もほとんど放置をされておって、自動車も通れないような状況である。これもやっぱり自動車行政もしくは道路行政上、非常におもしろくない面の一つである、かように考えられるわけでございます。政府といたしましては、総合的な観点からいたしまして、こういうような県道の処理の問題につきまして、観光開発ということと同時に、これは地方公共団体の管理する道路でありますし、一般のものが自由に利用できる道路の問題でもございますので、早急に対策を立てて、予算もつけていかなければならないのではないか、かように思うのでございますが、こういう点は、どういうふうにお考えになりますか。
  48. 前田光嘉

    前田説明員 箱根地区におきます県道につきましては、現在県において管理をし、修理をしております。ただいま御指摘になりましたところの湖畔の道路につきましても、すでに県におきまして、一般自動車道路が存在いたしますけれども県道といたしましても整備する必要を認めまして、一部整備を開始しております。ただ、同じ個所に二つの道路が並行して走ることは、経済上あるいはその他の道路との優先の関係の点も考えられまして、聞くところによりますと、県におきましては、現在有料道路で経営しておる民間の自動車道路を買収して整理したいというふうなことで折衝しているように聞いておりますが、それらも勘案いたしまして、県におきましては観光開発、特に箱根という点に重点を置きまして開発を進めておるようでございまして、国におきましても、観光上必要な道路につきましては、県の計画を十分検討した上で、できるだけ助成いたしたいと思います。
  49. 天野公義

    ○天野(公)委員 そうすると、買い上げを決定するまでは、下の方の県道はそのまま放置をする。このような方針なんでありますか、それとも並行して考えておるのですか。
  50. 前田光嘉

    前田説明員 ただいま県におきましては、並行する県道の一部を、すでに改修を始めておるようでありますが、根本的にどうするかにつきましては、買収問題と並んで検討をしておるようであります。しかもその問題も、近く結論を出したいというふうに知事が考えておるようでございますので、その結果を十分聞いた上で……。
  51. 平井義一

    平井委員長 井岡大治君。
  52. 井岡大治

    ○井岡委員 私は、もうほとんど同僚の議員がお尋ねになったことだろうと思いますが、二、三質問をお許しいただきたいと思うのです。もう一度、私は道路運送法についてお尋ねをするわけです。これは自動車局長とそれから法制局の方、来ておいでになりますか。——道路運送法では、いわゆる自動車事業免許する場合には、かなりきつい制限を付して免許をしておるわけですね。これはどういう理由でこういうきつい制限を付しているのか、もう一度聞きたいと思います。これはもう何回か言い古されたことですが、限定免許等のことを考えてみると、ここにもう一度振り出上に戻ってみる必要があるんじゃないか、こう思いますので、これは両方から御答弁を願いたいと思います。
  53. 國友弘康

    國友政府委員 お尋ねの件に関しましては、自動車道事業免許に関しましていろいろな審査基準があって、それを相当重視して検討しておるのではないか、こういうことだと思うのでありますが、この点に関しましては、自動車道というものが相当な資本を擁して施設を作って事業を経営するというものでもございますので、それらの点に関しましては、一般道路との関係、あるいは資力、信用の関係、さらには公衆の利便の増進の関係、そのような点を十分に考慮した上で、その自動車道事業がその会社によって経営し得るかどうかという確信を得た上で免許をいたしておりますので、それらの点につきましては、相当厳重な審査をいたしておるわけでございます。
  54. 山内公猷

    山内(一)政府委員 自動車道事業免許基準につきましては、今、國友自動車局長が申し上げた通りに私ども考えております。
  55. 井岡大治

    ○井岡委員 大きな犠牲を払っておるから、やはりそれが成り立つようにしなければいけない。これはまあその通りだろうと思うのです。現実にそれが成り立っておった場合はどうなるのですか。
  56. 山内公猷

    山内(一)政府委員 当該の自動車道の経営が、通行する自動車の数が相当ありまして、それが採算がとれておりますれば、特に限定免許をするという合理性は私はないんじゃないか、かように思っておるわけであります。
  57. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、採算がとれておれば限定免許というものはする必要がない、こういうことになるのですね。その採算というものは、どういう基準で採算基準を出すのですか。投資した額と償却と、これらをあわせてやられるのですか。これらの点の基準というものはどういうことですか。
  58. 山内公猷

    山内(一)政府委員 私、その点は、普通の企業会計の原則に従って考えるべきだと思っておるわけであります。企業会計の中身というものは、私、財政上の知識がないからよくわかりませんが、大体税法その他によって確立された原則があるのではないかと思っております。
  59. 關谷勝利

    ○關谷委員 ちょっと関連して。先ほど、開発に一つ会社が犠牲を払ってやっておる場合等もある、こういうふうなことでありますが、私はそういうふうなことはあり得ぬことだと思うのですが、自動車道事業に限りましては、これはやはり採算というふうなものを最初見て、免許の基準にそういうふうなことがはっきりあるのですよ。そうして料金はそれから算定して出してくる。そうして収支が出合う、しかも公共の福祉にはこれが合致するのだ、そうして長期経営の能力があるのだ、そういうふうな見通しのあるものと、あらゆる観点からやるので、開発の犠牲になりたい人は日本の国のどこのすみにありましたか。そんな者があったら——大臣は先ほど犠牲を払って開発したのだから、それに報いるために限定というふうな、ちょっと私はそういうふうな意味にとれましたが、許可をする際には、事業が成り立たぬものは許可いたしません。もしそれをやったということなら、それは不当な許可ということになってくるのであります。そういうふうなことは取り消さなければなりません。そういうようなことがここで議論せられ、そして今法制局は、採算がとれれば限定免許はする必要はない、こういうことでありますが、限定免許があってはならぬのです。犠牲を払ってやっておるということはあるはずがありませんから、そういうふうなことは、限定免許ということがあって、その自動車道事業者が路線の名において許可を持たなければならぬということはあり得ぬことだということを、これは國友局長が一番よくわかるかと思いますから、御答弁願いたい。
  60. 國友弘康

    國友政府委員 犠牲を払ってやっておるというふうなことは、実は私ども別に申し上げていないのであります。關谷先生のおっしゃいますように、自動車運送事業免許すべきかどうかということに関しましては、その自動車道事業としての経営が成り立つかどうかということを検討いたしました上で免許いたしますので、その事業採算性が成り立つというふうな見通しを立てた上でわれわれとしては免許しているわけであります。その場合の採算性の問題については、またこれは実態の問題でありまして、そういう見通しを立てた上で免許いたしました結果が、やはり赤字になることもございますわけで、そういうことは別でございますが、免許の場合には、十分企業が成り立つということを見通し免許をする形でやっております。
  61. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ちょっと關谷委員は、何か私の犠牲を払ったということについて、自動車道について犠牲を払ったというふうにとって、えらいいきり立っているが、そうではない。私が久保さんに言っているのは、総合的な開発、たとえばああいうような開発について、国際観光的な大きな総合的な問題について独占性があるという議論があって、そこでその点について、たとえば自動車関係あるいは建設省関係あるいは厚生省関係、そういうものが総合的に一つのものを立つべきであるということを私は述べたのだが、たとえば関西の小林一三が地方を開発する、鉄道を敷いて開発をする、もちろん採算が合うから開発するのでしょうけれども、少なくともそういうことを、資本を投下し、企画し、危険を負担してやるという、それらのやっている行動というものを、それ自体を否定するわけにはいかない。それはやはり、常に公益性という制約のもとにそれが初めて肯定されるべきものであるということを言っておるのであって、何もこの自動車道に限って私がそういうことを言っているのではないのですから、それは御了承願いたい。
  62. 宇田國榮

    ○宇田委員 関連。この問題は、さきに同僚菅家君からも質問があり、そして当局の見解を待つということになっておった。私は外国事例を説くけれども外国においては、観光事業というものはやはり私設会社なりあるいは個人の会社にも許し、それが非常に成功している。そこでただ指導観光という観点から、大きな見地からスケールを大きく指導していかなければならぬ。箱根の山がこういう工合に両資本家によっていつも紛糾錯綜しているということはまことに遺憾にたえぬのである。そこで、われわれは、当局がこれに対して善処されるように今日の段階においては祈る次第であって、きょうお互いにここに意見を開陳したのであるが、最後の断は何といっても運輸当局が下さなければならぬ。それにはよく調査もされ、研究もされ、万全を期せられるようにこの際お願いしておきます。
  63. 五島虎雄

    五島委員 関連して。菊川君や長谷川君その他多くの同僚委員からこの問題について質問があり、そして何かこの委員会で聞いておりますと、四月二十八日に理事会が現地視察されて、そしてこの問題についてはいよいよ最後段階にきたような印象を受けます。ところが菊川君の質問に対しまして自動車局長は、目下検討中であるけれども、具体的な条件に応じて限定免許というものはなさるべきであるというようなことを言われたわけであります。従って、道路の上に定期バス路線等々を設定し、そして特定のバス業者に限定した免許を与えるというようなことは、日本国じゅうの道路の上に事業が成り立つわけですから非常に重大な問題である。従いまして、当委員会において多くの人々の要望が付されたわけでありまして、運輸大臣は慎重にこれを検討して処理すべきである。箱根の問題は天下の険ではなくて、天下の恥だ、こういうようなことを言われたわけでありますが、今までの政府当局の説明から疑念が出ましたので、ここに関連して若干質問をしておきたいと思うわけです。  採算性の問題が出ました。なぜ採算性の問題が出るか、一般道路業者は採算が合わなければ非常に経営が困難である、従って、それを保護する立場においてどうするかということは、政府としても考えていかなければならぬわけですけれども、これは一般的な理屈になるのじゃないかと思う。ところがこの箱根の問題につきましては、いろいろ雑誌あるいは所々方々でずいぶん問題になっておりますので、私たちとしてもこれはただ単に他山の石として無視するわけにはいかない。従って、この問題についてはかねて非常に注目しているわけであります。ところが運輸省は、三十四年に法制局に対して、一体こういうような法律解釈をどうすればいいかというようなことについて質問されました。これはこの前の当委員会において菊川委員質問されたことでございますけれども、なぜ運輸省法制局に対して法解釈を聞かなければならなかったかということが、問題の重要性をはらんでいるものじゃないかと私かねて思っているわけであります。ところが、今採算性云々が出ましたけれども採算が合わない場合には、限定免許をしてでもその採算をうまく合わせることがすなわち自動車道事業を保護するということになるのだというような印象を受けるわけであります。私は「政界ジープ」を読んだのですが、この「政界ジープ」の地図を見ますと、早雲山とか、あるいは大涌谷—湖尻とか、あるいは元箱根路線あるいは十国峠が黒い線で書いてある。そしてそこには今度新しくできるであろうところのスカイラインの路線とかバイパス路線あるいはスカイライン・パークウエー等々りっぱな道路ができるように聞いているわけであります。ところが、それを寸断するのに、十国峠の路線がある、あるいは箱根早雲山線がある、こういうところに限定免許をやるということは、長谷川委員が言われましたように、寸断することによって道路の公共性を阻害するのじゃなかろうかというような疑念がわくわけです。ところが、運輸省の法解釈法制局から回答が行なわれたことについては、限定免許もあり得るというような解釈をされておるわけです。ところが、われわれが解釈するのに、限定免許があり得るということはレア・ケースであって、必ずしも全般的にこれを適用するということにはならないんじゃないかというふうに私は法制局の法の解釈考え方の基本的な問題をそういうように拝察するわけです。レア・ケースとしてのみこれは解釈されることであって、特に一般道路の業者がどうしても採算に合わない、どんなことがあってもなかなか採算に合わないから、これを保護するのに料金を上げるか、あるいはその路線のみを走る、路線の業者であるところのバス路線だけを限定することによって道路事業を保護しようというレア・ケースの立場からのみ考えられることじゃないか。これを一般的に解釈するなら、道路行政運輸行政上非常に混乱を与える問題であろうと思いますけれども、この点について法制局の方の解釈根本を聞いてみたいと思います。
  64. 山内公猷

    山内(一)政府委員 実は私は今先生の御指摘の通り考えておるわけでございまして、道路運送法の四十七条を見ましても、自動車道事業としては無限定であるというのが原則でございまして、三項で「通行する自動車範囲を限定して行うことができる。」この建前から見ましても、限定免許は例外であるということは私はそう思っておるわけでございます。私ども法制局の意見を述べましたものは、一般論で言いましたわけなんで、そういう場合も法理上はあり得る、こういうことを申し上げておるわけです。今申し上げたのは例外でございますから、箱根の山の自動車道を限定にするかどうかということは、運輸省建設省の方は全然考えてはいないわけであります。
  65. 五島虎雄

    五島委員 非常にレア・ケースであるということになると、關谷さんが自動車局長質問された、さいぜん私が申し上げましたバス路線はすでにことしあるいは来年三十年の期限が切れる。期限を設定するためには、運輸省建設省がこの一般道路事業を許可されるには、やはり三十年あるいは二十年あるいは三十五年というように期限を付して、ペイということを考慮に入れて許可されているわけです。しかも箱根路線というものは、われわれしろうとから見れば、非常にいい路線ではなかろうかというように考えられるわけです。そうすると、もうすでに三十年の期限が切れようとするときにあたって、現実にこの路線一般道路事業として採算が成り立っているのかどうかというようなことについて、運輸省自身はこのことについてお調べになっておるのですか。
  66. 國友弘康

    國友政府委員 許可でございますから神奈川県知事と静岡県知事とが許可しました場合の期限等につきましては、先ほど長谷川委員の御質問に対して申し上げましたように、戦前の自動車交通事業法に移り変わりますときに、この条項に関しましてはなくなったというふうに解釈いたしておりますが、採算の面につきましては各路線ごとについてほぼ検討いたしておりますが、現状におきまして現在のままの状況で経営をいたしておりますならばこれは採算がとれております。ただ先ほども申し上げましたように、改良をしなければならない部面があるということで事業者の方でその計画を出しておりますので、それらの点を改良を始めますと各路線ごとの計算では赤字になる路線がある、こういうことでございます。
  67. 五島虎雄

    五島委員 現在は採算がとれておる、将来にわたって改良する場合は赤字になる、こういうようなことですけれども、そうすると三十年の期限というのは、三十年という期限が切れて、無期限道路事業一般に許可された実例があるのですか、道路事業法として……。
  68. 國友弘康

    國友政府委員 一般自動車道事業として免許いたしております事例につきましては、これは原則的に無期限でございまして、今まで期限をつけた例はございません。
  69. 五島虎雄

    五島委員 今法制局の方からの答弁ではこれは例外である、従って一般道路事業者を保護しなければならない立場もあるでしょう。そうするとその中に単に特定の定期バス業者の限定したところの免許というようなものについて、やはりそれを保護の立場から考えられるわけでありまして、その点についていろいろ具体的に慎重に検討されておるということになっているわけですか。
  70. 國友弘康

    國友政府委員 これは自動車道事業としての採算性を見ておるのでございますが、その場合にバス事業のことも関連を持たして、今おっしゃいましたような自動車道事業の方と申しますか、バス事業の方と申しますか、そういう点も考えに入れておりますが、先生のおっしゃるような状況その通りでございます。
  71. 五島虎雄

    五島委員 そうするとこれから改良をする場合には新しく資本を投下する、金を入れるわけですから、その面については赤字になるでしょうけれども、その面についてだけたとえば金が一千万円なら一千万円かかったら、一千万円だけ赤字というような計算にはならないと思う。赤字というような解釈の中に、それは従来の一般道路事業を経営すれば、これまた何年間でこれをペイするものなりというように業者自身もよく考えた末にコストの計算等をした上で改良に費用を注入するわけです。長谷川さんの説によると、非常に見る影もない道路である、こういうように言われました。そうして三十年これが放置されておった。しかもこの場所は箱根の最も重要なる地区を占めるところの道路である。そうすると赤字というような保護の立場から解釈するとき、どういうような程度で赤字になった場合、このレア・ケースというその法の解釈適用されるものかどうかというようなことについては、今後慎重に検討していただきたいと思うわけです。  もう一つは、その限定免許があり得るというような場合に、その路線道路を経営する、その道路事業を起こす場合に顕著な貢献があったというような場合に、その顕著な貢献というのは一体どういうものを顕著な貢献と解釈されるのですか。これは自動車局長に聞いておきたいと思います。
  72. 國友弘康

    國友政府委員 改良等の費用を投入いたしました場合の計算等に関しましては、直接経費はもちろんでございますが、その投入した経費の減価償却の額、それから利子等、これらを計算いたしまして、赤かどうかということを計算するわけであります。それから寄与が顕著であるかどうかというような点に関しましては、その限定をすることが自動車道の建設なり維持管理なりに十分に貢献する、すなわち限定免許をすることによって、建設で例を引きますと、その自動車道の建設が促進されるということが眼目だと思うのであります。それにつきましては、たとえば資金の投入に関しまして、多額の資金をその自動車道の建設に投入するというような場合、すなわちその自動車道がそういうことをすることによって建設しやすくなるというような場合に、貢献が顕著であるということがいえると思うのであります。
  73. 平井義一

    平井委員長 お諮りいたします。議員板川正吾君より委員外の発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 平井義一

    平井委員長 御異議ないと認め、板川正吾君。
  75. 板川正吾

    ○板川議員 あとの議事もつまっておるようでありますが、私は一つだけ自動車局長にお伺いします。  ただいまの五島委員質問に関連してでありますが、御承知のように、限定免許をする基準として、法制局では、自動車道の建設または維持管理に顕著な寄与をしておるときは、限定免許をしてよろしい、こういう解釈を出しておるのです。先ほどの法制局の説明ですと、これは一般論であって、箱根の山にどういうふうにこれが適用されるかどうかは、運輸省の決定によるほかはない。こういうことですから自動車局長にお伺いしたいのですが、例の問題の箱根自動車道は、その建設に非常に寄与したという土地の割合が、数字が多少違っているかしりませんが、国有地が四四%、それから西武系で出しておる土地が三二%とかといっております。それから箱根登山ですか、小田急系で出しておる土地が一五%程度、数字は多少違うかはしりませんが、出しております。現地をごらんになれば、ここからここまでは箱根登山の土地であるという表示まで出ておるようですから、間違いないと思うのですが、こういうように特定の一社だけという場合には、私は顕著な寄与ということはわかると思うのです。しかし、こういう箱根の場合には、限定免許をされるとシャット・アウトを食う定期路線バス会社土地を相当に出資しておるのですね。提供しておるのですね。こういう場合に、私はいわゆる法制局のいう限定免許の線で、一社独占、他社を排するということが妥当かどうか。どうお考えになっておるか。建設または維持管理に著しく寄与しておる場合はいいと言っておる。しかし西武系でなくて、箱根登山系では一五%程度出しておるのですね。顕著な寄与じゃないかもしれないけれども、相当な寄与をしておる。こういう場合に、限定免許をもって、相当な寄与をしておる会社の定期バス路線を廃止するということは、私は法制局の趣旨と合わぬじゃないか、こう考えるのですが、自動車局長はいかがお考えですか。
  76. 國友弘康

    國友政府委員 寄与が顕著である場合に限定免許をなし得るという点でございますが、この点はたとえば土地の問題についてだけ議論をするという問題ではないと思うのでありまして、要するに、その寄与が顕著であるかどうかということは全般的にも考えなければなりませんし、土地の問題から申しますと、たとえばこの比率につきましては、私も確実にこうだとはちょっと申し上げる資料を持っておらないのでありますが、相当部分をたとえば自動車事業者が持っておるという場合、それは寄与が顕著であるということがその部面においてはあるいは言い得るかもしらぬと思うのであります。しかしその他の部面、たとえば交通系絡の面とか、その他いろいろな面がございますので、われわれが具体的な事案を判断いたします場合には、それら全部を判断して免許をするか、却下をするかということをきめるのでありまして、単に土地の問題だけで申し上げることはできないと思うのでございます。
  77. 板川正吾

    ○板川議員 建設には資金がかかるから、土地の問題だけで一がいに言えないかもしれないが、しかし土地がなければ自動車道はできないのですから、他のバス会社土地を提供するということは、少なくとも自分バスを通してもらいたいという期待があるから土地を出したと私は思うのです。そういう期待にこたえず、その後の建設に比較的金を出したというだけで相当な寄与をしておるところを排除するということは、私は法制局解釈に合わないと思う。法制局解釈をいいとしても合わないのじゃないかと考える。この点もう一ぺん……。
  78. 國友弘康

    國友政府委員 私の先ほど申し上げましたのは、寄与が顕著であるかどうかということを、具体的に申請をしておるその会社についてどうかという場合に、相当な土地を提供しておれば、他の土地が入っておっても、その部面においてはあるいは寄与が顕著であると言い得るかもしれないと思いますが、今申しました他の会社土地を提供しておるとか、あるいはそのほかの理由があるとか、あるいは二社通す必要があるとかいうようなことに関しましては、それはまた別途の観点から見るべきものでございまして、それらの点はわれわれとしてはいろいろな観点から十分に調査をしなければならない、そう考えておるのでございます。
  79. 五島虎雄

    五島委員 時間がないようですから、私はこれ一つで終わります。今も板川さんが質問をされましたように、顕著なる寄与あるいは顕著なる貢献といいますか、そのバス自動車道を建設するにあたって顕著なるということは、創設者は顕著と解釈されるでしょう。しかし、それに協力するような数個の顕著なる功労者があるという場合、たとえばそのウエートの差はそれぞれ違うかもしれません。しかしその場合、その数個がやはり定期バス路線等々の事業を行なっている、そういうような場合の限定免許は一社に限定されていいのかどうかというような疑問も生ずるわけでありまするが、そういう場合一社に限定するということはどうでしょう。  それからもう一つ、時間がございませんから一緒に言ってしまいますが、さいぜん私が申しましたように、伊豆箱根道路の問題について、スカイラインあるいはバイパスあるいはスカイライン・パークウエーというようなりっぱな道路がどんどん建設される。それは天下の、世界の観光地であるからでしょう。そうしてこれらは有料にしてかつペイする可能性があればこそ、こういうような日本全国非常にでこぼこ道の多い中に、多額の金をそこに投入して、りっぱな道路ができる。それは観光用としてこれができるわけです。ところが、スカイライン・パークウエーから箱根に至らんとするときは、十国峠の道路がある。それからまたバイパスから芦ノ湖を自動車で通行しようとする場合は県道があり、そうしてまたこの路線がある。こういうような場合、県道はさいぜんのように大型バスはどうしても運行ができないというような状態にある。しかもこれは、会社と県庁との間に、何というか、非常に問題になっているというようにさいぜん説明があった。そうすると、定期バス路線というのは県道あるいは公道、民用の道路を通じて、そうして公益性を確保せんがための交通上の使命がある。使命があるにもかかわらず、これをもしも限定するというようなことがあるならば、これは寸断されるということになって、交通の公益性とバス企業の公益性というように寸断される。問題が矛盾、対立をしてくるだろうと考えるわけです。従って、法制局がその一般的な法解釈をされるとき、例外であり、これは箱根の十国峠の問題とかあるいは箱根早雲山路線の問題というようなことではなくてこういうような法解釈もあり得るのじゃないかという解釈であるが、こういうように公益性と一自動車事業の保護の立場の矛盾、対立というものをどういうように解釈されるのか、公益性を優先的に考えられるかどうか。しかも、ペイは十分行なわれている。こういうような立場の中に、公益性との解釈について聞いておきたいと思うのです。以上二点。
  80. 國友弘康

    國友政府委員 今の御質問のございました公益性あるいは公共性というような問題、これは先ほどから申し上げておりますように、交通系絡とかあるいは旅客、公衆の利便とか、そういうことを十分にわれわれとしては考慮しなければいけないと思っております。そういう面でいろいろ条件を限定して御説明しなければいけないのですが、収支が償っておるかというような点に関しましては、先ほど申し上げましたように、現在ではペイしておるが、将来改良すればペイしないというような要素がありまして、これらは一々分けて考えなければいけませんが、そういう公共性の問題、公益性の問題、それから事業者の保護の問題、これらの各要素を十分に考慮しなければならないことはわれわれとしても考えておりますので、免許か却下かをきめます場合は、それらあらゆる点について十分考慮して措置をするつもりでございます。
  81. 五島虎雄

    五島委員 それでは、今の解釈について質問の要旨が分明でなかったかもしれませんけれども法制局見解を聞いておきたいと思います。
  82. 山内公猷

    山内(一)政府委員 自動車事業は、われわれの方の回答でも申し上げておりますように、特許企業ということだと考えておるわけですが、特許企業は、公共の福祉に適合するという立場から免許を取り扱っているのは当然でございます。その公共の福祉という一つの要素の中に、今先生がおっしゃった交通系絡の連続ということは私ども当然考えているわけであります。限定免許採算性の問題に置くということも、実は不当な独占的な利益を得させようという考え方ではございませんので、やはり自動車道がみんな通りやすくなるという意味で、それは公共の福祉の中の一つの要素として考えているわけですから、その土台において公共の福祉に適合するように免許を行なうのは当然でございます。重ねて申し上げれば、今の交通系絡の連続というものは当然公共の福祉の観点の中に入っている、かように思っているわけであります。
  83. 井岡大治

    ○井岡委員 自動車道採算性という問題、こういうことですが、先ほどのお話を聞いておりますと、一般会計方式による、こういうことだそうです。会計方式によって、自動車道免許をする場合、無期限免許をする、こういうことだそうですが、それと採算性ということは若干違ってくるではないか。いわゆる採算というものは減価償却が伴なわない限り採算がとれるということにはならないではないか、こう思うのですが、無期限免許するということは減価償却はしなくてもよいということになるのですか。それとこれとの関係はどうなるのですか。
  84. 國友弘康

    國友政府委員 無期限免許をするということにつきましては、従来申請者もそういう意図で出してきておりまして、申請については期限をつけずに免許をしておったのでありますが、しかし、これは減価償却をしないでよいということではありませんので、やはり法定の減価償却は当然すべきであります。それに関しまして、最後は残存価値が残るわけでありまして、その計算通りにやって収支を見ておるので、さっき現在においてはペイしているというように申し上げました場合でも、やはり減価償却とかあるいは支払い利子とかいうようなものは計算に入れてペイしているかどうかということを見ているわけであります。
  85. 井岡大治

    ○井岡委員 ですから、先ほど關谷さんが言われたように、それらの問題は免許をするときに採算の問題を考慮されてやられた、こういうふうになるわけですね。しかもそれが無期限だ、こういうことになると、現実には限定免許などということはやれないのではないか、こう思うのですが、その点はどうなんです。
  86. 國友弘康

    國友政府委員 これは採算問題も当然考え免許か却下かをきめますけれども、その免許をいたします場合に、たとえばそこを乗合バス事業に関しまして独占をさせることがその自動車道事業——建設に限定して申し上げますが、建設することに非常に力になるということがわれわれとして認められます場合には、実は私どもとしては限定免許はなし得るのではないか、こう考えておるわけであります。
  87. 井岡大治

    ○井岡委員 それは専用の道路をお作りになればいいことであって、一般自動車道としてえる場合は、今の國友局長の御答弁では、先ほどの答弁などを総合してみて少し食い違いを来たしているのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  88. 國友弘康

    國友政府委員 専用自動車道一般自動道とございますが、専用自動車道バス事業者一社の自動車を進行させるために作る、その一社の自動車だけを通す道路でございまして、その建設された例は多々ございますけれども、これ以外に、さらに専用の自動車道ができました場合に、他にここを通る道路がなくて、その専用自動車道のそばに、たとえば旅客がたくさん行きたいような場所がある場合に、その専用自助車道を通らなければ行けない、ところがその専用自動車道は、その一社の自動車だけしか通さないというようなことでは、道路ができておって、しかし通れないというのはいかにも不合理ではないかという議論も起こり得るわけであります。そういう場合に、やはり一般自動車道として、その会社自動車だけではなくて、他の会社自動車を通していいんじゃないか、あるいは個人の自動車も通していいんじゃないかというようなことが、この限定自動車道というものを認めてもいいんじゃないかというような根拠になって、おるわけでありまして、われわれの解釈としましては——専用自動車道以外のものが一般自動車道でありますので、その一般自動車道の中に、そういうふうに原則的には全部を通すのが一般自動車道でありますが、やはり通る自動車の車種なりあるいは使用者なりが限定されたものがあり得るのではないか、こういうふうに考えておるのでございます。
  89. 井岡大治

    ○井岡委員 観光局長にお尋ねしますが、これは皆さんがお尋ねになったかと思うのですが、箱根観光開発というもの。これは非常に大事で、各事業者がかなり開発をされておるわけであります。しかし、事業者だけでの開発でなくて、天然のやはり観光というものがあるわけですね。それをそこなっている個所があるように思われるのです。この間自動車に乗って視察をしてみますと、十国峠のところは、ずっと木が植えてある。たまたまこの間は天気が非常に悪かったから富士山は見えなかったけれども、やはり箱根へ行ってあの十国峠のところで富士山を見るのは、これはもうだれしもが考えることであるし、やはり国の観光としては富士山というものを高く評価していいんじゃないか。それがどうも見えないような措置が講じてあるわけですね。あれなんかは観光局としてはどういうように解釈されているか。
  90. 岡本悟

    ○岡本政府委員 私も十国峠は実は通った経験がございますが、紛争になりましてから、今写真で見せていただいておりますが、こういったものができておるということは現実には見ておりません。しかし一般的に申し上げまして、国際的にも有名になっておりますこの箱根観光地において、先生おっしゃるように、雄大なる富士の景観を阻害するものとすれば、私としては非常に遺憾なことであるというふうに考えております。日本の国民のみならず、一般外国人にとりまして、富士箱根の景観は非常に魅力的なものになっておるのでございますので、できるだけこういった景観を阻害するものがないことは、当然望まれるべきであると考えております。
  91. 井岡大治

    ○井岡委員 ないことが望ましいのに現実にある場合、観光局としては、これは指導ができないのですか、この点をお尋ねをいたします。
  92. 岡本悟

    ○岡本政府委員 先ほど厚生省のお話がございましたように、やはり法規的に阻止する場合には、運輸省観光局としては、現在のところ法がございませんので、そういうことを要望するという、いわば指導行政的な観点からのみ取り上げることのできる問題でございますので、厚生省ともまたよく御相談しまして、こういった見苦しいものがいち早く取り除かれるように善処してみたいと考えております。
  93. 井岡大治

    ○井岡委員 私は、自動車の問題でかりに紛争が起こったからといって、日本の大事な観光資源を全く阻害をするようなことが公然と行なわれるということになると、何のためにわれわれが観光のことを言っておるのかわからなくなってくる、こう思うのです。ですから、法規的とかどうとかいうようなものでなくて、国の方針として、観光局まもっと打ち出すべきではないか。そうでないと、これは法規的にどうであるとかこうであるとかいっておったのではどうにもならなくなってくると思うのです。だからこういう点は、もう少し強力な指導なり措置なりをとっていただいて、みんなが富士を楽しめるようにしていただかないと、自動車の道の問題で富士山まで巻き添えを食わすというのは、これはどう考えても理屈に合いませんから、この点一つ考えていただきたいと思います。
  94. 平井義一

    平井委員長 それでは暫時休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ————◇—————     午後一時十一分開議
  95. 平井義一

    平井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際お諮りいたします。ただいま本委員会に付託になりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたしたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認めます。     —————————————
  97. 平井義一

    平井委員長 それでは、まず本案について政府当局より提案理由の説明を聴取いたします。楢橋運輸大臣。
  98. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ただいま議題となりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  近年わが国の国内輸送の分野におきましては、自動車、航空機等の発達に伴いまして、国鉄の占めてきた地位は著しく変貌し、総輸送量に占める国鉄輸送量の比重は年々低下の一途をたどっておりますが、国鉄の運賃制度は、国鉄が陸上輸送において独占的地位を保っていた当時のままであるため、多くの不合理を生じております。  すなわちこのような事態に対処するためには、旅客輸送の分野におきましては、近代的車両を使用した優秀列車を極力増発する等、輸送の質的改善をはかる必要があります。このため本法律案におきましては、まず、現在の一等、二等、三等の三等級制を一等、二等の二等級制に改めることにいたしました。また普通旅客運賃の賃率につきましては、現在の四地帯制を二地帯制に改め、現行の大幅な遠距離逓減制をある程度是正することにいたしました。しかし、反面急行等の料金は、これを引き下げまして、急行列車等を利用しやすくするとともに、遠距離逓減の是正による旅客の負担増を緩和し、旅客の負担においては、従来とほとんど変わらないようにいたしたいと考えております。なお、これら急行等の料金は、本来付帯料金の性格を持っており、これに輸送の実情に応じた弾力性を持たせる方がサービスの向上に資するものと思われますので、この際これを運輸大臣の認可事項といたしました。  次に、貨物運賃の分配におきましては、原価主義をとる他の輸送機関が著しく発達したため、原価に比べて割高な運賃を課せられた貨物は、他に転移し、国鉄には運賃の割安な貨物が集中する傾向があり、このままでは貨物輸送の面の赤字は年々増大する一方でありますので、これに対処するため、本法律案におきましては、普通等級の数を現行の十二等級から十等級に圧縮いたしまして、現在の大幅な負担力主義を原価主義で幾分修正することにいたしました。  このように、本法律案は、現在の運賃制度の不合理な点を是正することを主眼とするものでありまして、不増収、不減収を建前といたしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  99. 平井義一

    平井委員長 本案に対する質疑は次会に譲ることといたします。  次会は来たる十一日水曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十四分散会