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1960-04-15 第34回国会 衆議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十五日(金曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 川野 芳滿君    理事 關谷 勝利君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 土井 直作君       高橋清一郎君    塚原 俊郎君       長谷川 峻君    原 健三郎君       福家 俊一君    三池  信君       島口重次郎君    館  俊三君       正木  清君    山花 秀雄君       内海  清君    菊川 君子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 楢橋  渡君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 細田 吉藏君         運 輸 技 官         (船舶局長)  水品 政雄君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道常         務理事     中村  卓君         日本国有鉄道常         務理事     滝山  養君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 四月十四日  委員木原津與志君辞任につき、その補欠として  淺沼稻次郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七八号)(参議院送付)  道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第六四号)  日本国有鉄道の経営に関する件      ————◇—————
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案議題とし、審査を行ないます。  この際、水品船舶局長より、本案について補足説明を聴取いたしたいと存じます。水品船舶局長
  3. 水品政雄

    水品政府委員 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案提案理由についての補足説明をさせていただきます。  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案提案理由につきましては、先般大臣から御説明申し上げた通りでありますが、なお、この法案について御理解をいただく上におきまして必要と存じますので、現行臨時船舶建造調整法制定理由とその内容、それに今回その存続期間延長いたしますことの必要性等について補足的に述べさせていただきます。  提案理由説明にもありますように、現行法は、昭和三十八年に制定されたものであります。当時わが国海運はいまだ復興途上にありまして、その急速な整備拡充は、経済自立達成の上において欠くことのできないものでありましたので、特に当時の海運市況の悪化にかんがみまして、財政資金融資比率増加利子補給及び損失補償制度確立等の諸施策が講じられたのでありますが、このように、国が商船隊の再建について深い関心を持っております以上、建造される船舶が真に国民経済の要請に適合したものであるよう、政府が、建造については、何らかの調整機能を留保することが望ましいことであります。そして、これは同時にまた、貴重な資金の有効かつ合理的な使用という見地からいたしましても、開銀を初めとする金融機関融資決定に対する政府の助言と協力体制としての機能を発揮し得ることになるのであります。このような判断に立って、この法律は制定されたのであります。  次に、この法律内容について簡単に申し上げますと、まず、造船事業者外航船建造し、またはその重要な改造をいたします場合には、着工前に運輸大臣許可を受けなければならないこと、また、運輸大臣は右の許可をいたします場合には、一定の基準に従ってこれをなすことを要すること等が規定されておるのであります。   ここに許可の対象となる船舶と申しますのは、まず、総トン数で五百トン以上、または長さ五十メートル以上の船舶近海区域以遠に就航し得るもの、すなわち、外航に従事し得るものであるのであります。これを船舶の種類の別から申しますと、旅客船、貨客船、貨物船油槽船等一般商船のほかに、貨物の運搬を主たる業務とすることができる構造を有するものが広く含まれておりまして、漁獲物運搬船母船式漁業に従事する母船もまた一般商船に準ずる機能を有するものとして本法の適用を受けることになっておるのであります。  しからば、どのような基準許可が与えられるかと申しますと、第一に、その船舶建造によってわが国国際海運の健全な発展支障を及ぼすおそれがないかどうか、第二に、その船舶建造する造船事業者が、その船舶建造に必要な技術及び設備を有しておるかどうかの二点であります。  以上が現行法制定理由とその内容概要であります。  次にこの法律に基づく許可実績はどうかと申しますと、昭和二十八年八月以降昨年十二月末までの許可件数は、建造で千七十二隻、千百三十七万総トンの多きに達しておるのであります。  以上概要を申し上げましたが、要するにこの法律のねらいといたしますのは、国家がまだ当分財政資金投入等によりまして商船隊建造し、わが国海運強化をはかっていこうという方針を続ける限り、この目的支障となるような船舶建造、たとえば同じ航路に非常にたくさんの船が投入さるべく計画され、過当競争を起こすようなおそれのある場合、あるいはわが国商船隊海外活動に著しい不利益をもたらすような船舶建造されるような場合、また造船所が十分の技術能力も有しておりませんのに、それにもかかわらず船舶受注建造計画するというような場合、そういうような場合を抑えておるのでありまして、現在までの実績によりますと、実はこの法律建造を不許可にしたという例はないのでございます。しかしながら今申しましたような計画はなかったのではないのでございまして、たとえば、外国の商社から、実際の契約があったかどうか、いまだによくわかりませんが、あるような形で、日本のいろいろな関係業界から資材の購入を計画した。そういう段階建造許可内容をうかがってきたというような場合、これを不許可にしたということではありませんが、行政指導で実際に取りやめておる例もございますし、そのほか、これはたとえばでございますが、現在ではラワン輸送が非常によいというようなことになりますと、非常にラワン輸送船計画は多いのでございますが、こういうものにつきましても、非常に船腹の過剰になるというようなことで、行政指導をするというケースがあるのでございます。さっき申しましたように、財政資金を投入し、また利子補給その他の方法わが国海運発展をはかっていこうというのに著しい支障になるような船舶建造を押えるというのが、本法目的でございます。  それから、これを本年から五カ年間延長をお願いしておるのでございますが、その期間につきましても、大体そのくらいの期間は、財政投資その他の方法で国が海運助成施策をやって、その健全な基盤の強化をはかっていかなければならない期間として常識的に考えられますので、一応ことしから五カ年といたしております。また現行法は来年の三月まで有効期間があるのでございますが、今回お願いいたしますのは、ことしの終わりころになりますと、普通商船建造に関する契約は、半年くらい着工より前に契約する場合が多いのでございまして、ことしの後半期になりますと、この法律の影響がないと考えて、非常に業界混乱を起こすということも考えられますので、今国会延長をお願いしたのでございます。  非常に簡単でありますが、これで終わります。
  4. 平井義一

    平井委員長 本案に対する質疑次会に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 平井義一

    平井委員長 次に、道路運送法の一部を改正する法律案議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  6. 久保三郎

    久保委員 質問に入る前に、今の船舶局長補足説明ですが、これは従来の慣例によりますれば、前もってプリントを配付するようになっておりますので、至急配付を願いたい、こういうふうに思います。
  7. 平井義一

    平井委員長 わかりました。さよう取り計らいます。
  8. 久保三郎

    久保委員 それでは、道路運送法の一部改正についてお尋ねしたいのであります。  今度の改正の中で一番大きいのは、輸送秩序を乱したものについての規制、これを罰則強化とその他の方法によって規制をしていく、こういうことでありまして、今日の陸上運送に対しての、いわゆる混乱に対する消極的な方策強化だ、こういうふうに考えておるわけであります。ところが、現在における輸送混乱というのは、そういう問題はどこから出てきたのかというと、言うまでもなく需要供給アンバランスが一番問題ではなかろうか。それをさらにさかのぼって考えますれば、戦後における日本産業構成というものが大きく変貌した。変貌したにもかかわらず、陸運行政は、なるほど昭和二十六年かに道路運送法ができて、この運送に対する民主化ということが一つはできたけれども、こういう大きな産業構成変化に応ずるような陸運行政ではない、よってそこに混乱ができた、こう見るわけであります。言うまでもなく、従来というか、戦前における産業構成というもの、それから関連する輸送構造というか、そういうものは、内面的なものよりは、むしろ外面に向かった傾向が強かった。最近における産業構成一つとってみても、そういう構成から大きく逆転している。逆転というか変化している。いわゆる内向的な方向にふくれ上がっている、こういうことが一つには言われるのであります。これは直ちに国内における運送業の拡大を要請されるような方向に向いておる。たとえば、この産業構成変化一つで、特に終戦後多くなった顕著な例は、第三次産業というものが非常に増加した。第三次産業というのは、言うまでもなく商品のいわゆる売買というか、こういうことでありますから、当然輸送を伴う、こういうような一つの特徴的なものが現われていると思う。ところが、現在やっている陸運行政の主たる任務は、免許可の問題、これは消極的な方向であって、この需要供給に対する輸送調整が、新免あるいは拡張、こういうものに対する免許抑制、こういう方向に強い方向が打ち出されておると思うのであります。もちろん法の精神はそうでなくても、実際の仕事のやり方、こういうところから見ますと、そういうのが強く出ておる。これは現実とは合わない。そのための混乱が、ちまたには白ナンバーが出る、共済タクシーが出る、やみトラックが出る、こういうことで輸送混乱していると思う。今回ハイ・タクあるいは白タクあるいはやみトラック、いわゆる類似行為に対するところ規制を強めていこうということでありますが、問題の本質を解決しないで、そうして消極的な面だけの強化をはかっていくことが、はたして日本陸上輸送に対する方策であるのかどうか、こういう問題については、運輸大臣はどのように考えられておるか、一つ御答弁いただきたい・かように思います。
  9. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今、久保委員がおっしゃいましたように、確かに戦後における経済構造変化に対して、これに即応する自動車行政というものがなされておらなかったということは、実は私御指摘通りだと思うのでございます。私が運輸大臣になりましてからしばしば言明をいたしましたことは、自動車の急激なる激増によって、一方には自動車行政陸運行政その他のものは埋没といいますか、溺死しておるという表現をしている。従って、これに対する一つの構想としていろいろ考えておったのでございますが、とりあえず陸運局強化をやるということで、今回も、今まで定員増をやらないといっておったものを、百何十名の定員増をやったのであります。これは三百名くらい要求しておったのでありますが、いろいろ委員諸君の御援助等もありまして、その限度で解決したのであります。しこうして、今度御審議を願っております自動車審議会等にこの対策をかけまして——これは一カ年という限定でやっておりますが、これによって、各般の人々を集めていただいて、この問題を取り上げてみたいと思うのであります。今御指摘のように、一方においてハイ・タク等のばっこは、やはり需要供給アンバランス根本原因である。同時にやはり法的にこれを規制し得る強力な体制ができておらない。こういうことから、今度法の改正等も与えており、かつまたそのアンバランスを克服するために、東京におきまして二千八百台の問題を今審査いたしております。これは間もなく、来月あるいは六月までには解決をしますが、おっつけ増車の問題を、私、その方の会長である岸道三氏とこの間話し合いをして、当局に対しましても急速に増車するような手配をさせておるような次第であります。詳細なことにつきましては、局長から御答弁いたさせます。
  10. 久保三郎

    久保委員 大臣の、人員の増加はよくわかりましたが、私の言いたいのは、今度は自動車審議会をお作りになることになり、そこで今までのような消極面強化、いわゆる取り締まり強化だけでなくこの問題を処理しようという今度の提案に対しては、私は違うだろうということを言いたいのです。たとえば自家用トラックが激増しているという現象、これは今日の路線トラック、あるいは区域一般といいますか、そういうものの自動車運送事業の正常な発展ができないから、やむを得ず能率の悪い自家用車がどんどんふえていく。自家用車は、いわゆる類似行為は今日ただいまでは原則としてできません。そうなりますれば、当然片荷なりあるいは少量の貨物を大きい自動車で運ぶとか、非能率きわまりない問題が各所に出てくる。その問題は、今日審議中の道路交通法案にも出てくる。いわゆる路面交通の問題にも当然出てくる。単に自動車がふえることを表面的に見たのではいけないのであって、内面的にこれを分析してみた場合に、そういう矛盾がある。国民経済上からいってもむだなことをやっている。これは一にかかって陸運行政が今日までのいわゆる官僚統制というか、そういう抑制の趣、はっきり言えば既存業者に対するところ一つの思惑というか、そういうものもありはしないか。こういうものを本直に反省する時代に今日当面している。よって、ここで単に道路運送法の一部を改正して取り締まり強化しても、それは抜本的な解決策にはならないだろう、こういうふうにわれわれは思うのであります。これはどういうふうに考えておられるか、一つ國友局長から御答弁をいただきたい。
  11. 國友弘康

    國友政府委員 自動車行政抜本的改善と申しますか、これにつきましては、道路運送法等につきましても、ここ二年ほど全体的な改正も考慮してその方にも着手しておったのでありますが、これはやはり相当大きな改正になりますので、実はこの国会には間に合わなかったのでございますけれども白タクあるいはもぐりトラック取り締まりというものは焦眉の急を要しますので、本国会におきましては、白タクもぐりトラック取り締まりを主といたしました道路運送法改正提案いたしたのでありまして、私どももこれをもって十分とは考えておりません。これらの点につきましては、最も急を要する改正についてだけ本国会で御審議を願いまして、次の段階といたしましては、先ほど大臣からもお話のございました自動車審議会等の設置もお認めいただくことができると思いますので、この自動車審議会等において今、久保先生のおっしゃいましたような、自動車運送事業の根本的な合理化というようなもの、あるいは道路運送法あるいは道路運送車両法の根本的な改訂というようなものにつきましても御審議を願いまして、自動車行政全般についての抜本的な方針を立てて参りたいと思っております。これは先ほど大臣からもお話のありましたように、一年の期限を切った審議会でございますので、この一年間に大馬力をかけてそれらの方向づけをいたしたい、こう考えておるのでございます。
  12. 久保三郎

    久保委員 自動車局は大へん忙しいところでありますから、大綱なぞを考えて施策の上に反映するというのはなかなかむずかしいと同情はしているのであります。同情をしているというのは、反面、一つの例をとれば、新免許あるいは増車という場合には、とうていしろうとではそういう申請書類なぞ書けるはずのないようなものを要求しているのが一つであります。この書類は、全部はどうかわかりませんが、おそらく専門家でなければ書けない、こういうところにも一つ問題があります。こういうことの事務簡素化というか、そういうこともやはり考えていただかなければならぬだろうと思うし、それから、今日道路運送法の中に「自動車運送取扱事業」というようなものがございます。これと運送事業者関係、こういうものも、同じ運送をやる人間として取り扱い業者事業者区別がついている形がございます。平等の立場でない。一般鉄道等中心にした陸運関係ではこういう区別はないようにわれわれは考えているのでありますが、こういう問題も考えるべきではないかと思うが、どうでしょうか。  さらには、積み合わせ輸送というものもございます。今日自動車効率的輸送を考えればこういう積み合わせ事業も当然やらせるべきではないか。というのは、最近の商品では、大量の貨物というのはごく限定されたものだけになっている。こういうふうに輸送機関が発達しますれば、さらに最近のように信用取引の発達した今日では、貨物の量というようなものはだんだん小さくなっていく傾向が多いのであります。その場合に道路運送法の中で積み合わせ輸送を限定しているというようなことも時代に合わないではないか、こういうふうにわれわれは思うのであります。そういう点についてはいかように考えられるか。
  13. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今、久保さんがおっしゃいました問題、こまかいことは局長が答えますが、自動車審議会というものを今回設けました趣旨は、在来自動車行政のようなワクにはまったものではなかなかさばき切れないので、高い立場から各方面協力を得て抜本的に自動車行政の柱を立てようということで、私が大臣になりましてからこれを設けることにいたしたのであります。その審議会を活用いたしまして、合、久保さんがおっしゃいましたような問題はもちろんのこと、各方面自動車行政の遺憾なきを期するために、かつまた、この道路運送に基づく自動車の持つ経済的な役割をどういうふうにして十分に発揮さしたらいいかということで、在来ネックになっていた問題をみな取り上げてここで新しい角度からやらせていただきたい、そうしてこれを打破したいということで、しかも期限を一年ということで切ってここに全力を集中する。予算ははなはだちっぽけで十九万円でありますけれども、これは金はあまり要らない。そういうことを取り上げてやろうということでやっておりますから、一つよい知恵があったら貸してもらいたい、こういうふうに思うのです。
  14. 國友弘康

    國友政府委員 久保先生からお話のございましたものは道路運送法の領域で規定されるような形態のものでございますが、道路運送法改正につきましても、先ほど申し上げましたように今後全般的に改訂の検討を進めていきたいと思っておりますが、先ほど具体的に久保先生がおっしゃいました点につきまして申し上げますと、申請書類等につきましても、これはできるだけ簡単にすることがもちろん望ましいのではございますが、ただ、運輸省あるいは陸運局といたしましては、その申請をしております発起人なりその人々免許をされました暁にその事業を経営していく能力とかあるいはその他の要件が十分備わっておるかどうかというようなことを見なければなりませんので、それらの点に必要な書類だけはやはりとる必要がございますので現在のような形態をとっておりますが、これらについてももろちん検討いたしたいと思いますし、自動車運送取扱事業者運送事業者との関係におきましては、これは昨年自動車ターミナル法が制定されましてから、特にこのターミナル中心といたしまして運送事業者運送取扱事業者との関係というのを究明しなければなりませんので、これらにつきまして現在いかに調整するかということで関係各所で検討いたしておりますので、もちろんこれらの点は今度の大きな改正のテーマとして取り上ぐべき問題であろうと考えております。  それから積み合わせ運送等につきましては、これも先生がおっしゃいますような傾向が現存出ておりますので、積み合わせ運送問題等につきましてはもちろん大きな問題点としてこれらをどう処理するかということを取り上げていかなければならないと考えております。
  15. 久保三郎

    久保委員 大臣今行っちゃったが、自動車審議会の方は局長に聞けということだから、自動車審議会を作って各方面意見を聞くと大臣が言うなら、その自動車審議会メンバーはどのように考えていますか。
  16. 國友弘康

    國友政府委員 自動車審議会につきましては自動車審議会令で規定いたすことにいたしておりますが、委員は二十人以内の委員で、学識経験者のうちから運輸大臣が選任をして非常勤、このような考え方でおりますので、相当いわゆる産業構造その他について学識経験を持っていらっしゃる方、相当と申しましても具体的に自動車運送事業とかなんとかということだけの専門家ではなくて、経済全般についての見通しのもとに御審議が願えるような方々をお願いしたい、こう考えておるのでございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 この審議会メンバーは、もちろん政令でいろいろおきめになるのでしょうが、今の最後の言葉のように、経済の全般的な見通しの上に立っての意見が出せる人ということになりますと、これはそうはなかなかおらないのではないか。もちろんそういう必要はあると思う。ただしその中でもやはり学識経験者というのはある程度の、この事業なら事業に対して専門家が必要だと私は思うのです。そこで端的にお伺いしますが、そういうときにえてして、官庁の審議会メンバーの中にはその事業を実際に運営する、働く者の代表というか、そういう者の立場意見が通らない場合が多いのであります。よって私はお尋ねしたいのですが、そういう者の意見を聞くためにこういうメンバーに入れる配慮を考えておるかどうか、こういう点について伺いたい。
  18. 國友弘康

    國友政府委員 ただいま委員の具体的な人選についてはまだ人選をいたしておりませんのですが、経済その他社会事象全般についてお見通しを立てていただけるような方をお願いしたいと思っておりますので、それにふさわしい方に入っていただくように考えますのでありますが、ただこの際私どもの当面の考え方を申し上げますと、たとえば具体的な自動車運送事業者とかいうような、単にトラックならトラック自動車運送事業者というような方はこの際人数の関係もありましてむしろ遠慮していただいて、もっと先ほど申し上げましたような高い、高いと申しますとはなはだ失礼なんですが、広い見地から見ていただく方に入っていただこうと思っておりますので、それらの点については社会的な問題、経済的な問題、法律的な問題もございましょうし、労働の問題もございましょうし、そのほかいろいろな問題があると思いますが、それらについて十分御見解を披瀝願える方に入っていただこうと思っております。
  19. 久保三郎

    久保委員 だいぶ高いところをねらっているようですが、えてして審議会などというものはなかなかまとまりにくいというか、そういう意見が出るのでありますから、あまりバランスのとれないような形でおやりにならぬように前もって要望しておきます。  ところ最後一つだけお尋ねしますが、今度の法の改正に基づいて、百二十八条の二のうち無資格者運転ですね、これの罰則は今度は「六月以下の懲役若しくは二十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」ということになっておりますが、同じ無資格者運転罰則でも道路交通法案にはこれとはだいぶ違う形が出ておるのですが、同じ無資格者運転でありながら道路運送法の場合と道路交通法の場合は違う罰則というのは、これはいいのかどうか。
  20. 國友弘康

    國友政府委員 この罰則につきましては道路交通法につきましてはその乗って運転した人を罰するのでありまして、道路運送法、こちらの法律につきましてはそういう者を乗せてはいけない、むしろ乗せた人、事業者なら事業者についての罰則をこちらで規定しておるのでございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 いや、局長、道路交通法の罰則をお読みになっているのでしょうか。私はきょうそれは持って参りませんけれども、道路交通法では無資格で運転した人はもちろんだが、乗せた人もこれは罰則があると思う。これはあなたのおっしゃるのには、百二十八条の二の罰則は乗せた人を罰則で取り締まると言うが、この罰則も中身が違うのであります。中身が違う理由は、こういう同じ無資格者を乗せたその事実は同じなんだ。法律の建前が違うのであって、事実は同じに対してこの罰則が違うという理由はどこから出てくるかということなんです。
  22. 國友弘康

    國友政府委員 道交法で規定いたしておりますのは、むしろ具体的に乗せた人を罰する。で、道路運送法の方で規定いたしますのは運送事業者を罰するということで、むしろ道路交通法の方は具体的に乗せることを指示した人でありますが、道路運送法の方では全体的に自動車運送事業全体の面から見てこれを規定しておるということでございます。
  23. 久保三郎

    久保委員 あなたがおっしゃりたいのは、たとえば道交法では運行管理者ということでありましょうが、連行管理者がない事業所がございましょう。そうすると、國友局長がおっしゃるのは主としてこれは事業者なんですね。同じですよ、そういう場合は……。そうでしょう、同じでしょう。同じの場合に罰則が違うというのはどうもおかしいじゃないですか。
  24. 國友弘康

    國友政府委員 それは確かに運行管理者のありますところは運行管理者でございまするし、道交法にねらっておりますのは運行管理者でありまするし、ないところにおきましてもその運転手に乗ることを具体的に指示したものが入るのでございますが、小さい事業者においては一緒のこともあると思います。道路運送法の方は、自動申運送事業の的確な運営ということを目標といたしておりますので、これにつきまして、自動車運送事業者について規定をし、むしろ道交法よりは重い規定、重い罰則になっておるのでございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 これはどういうことなんです。どうも説明だけでは……。そうしますと、どちらの法律からいっても、無資格者運転をさせた場合は違反なんですね。そういう場合は、どちらの罰則をとるのですか。道交法でもひっかかる、道路運送法でもひっかかった場合はどうなるのですか。
  26. 國友弘康

    國友政府委員 これはいずれの法律ででも、同じ事態を罰することができます。ただ道路運送法及び道路交通法違反で起訴なら起訴をされました場合には、重きに従って処断するのでありまして、両方の法上の理由で起訴なり何なりはすることができます。
  27. 久保三郎

    久保委員 ちょっとわからぬ。はっきり二つの法律違反ということになった場合に、無資格者運転ですから、当然そうなります。両方をやった場合に、結局罰則はどっちが重点なんですか。二つともやるのですか。
  28. 國友弘康

    國友政府委員 道路運送法と道路交通法と両方の違反で起訴されました場合に、同一の行為でありますが、それを精査いたしまして処罰の段階になりますと、重きに従って処罰するのでありまして、もし道路運送法が重い刑罰を課しておりますれば、道路運送法で処断する、こういうことになるわけであります。
  29. 久保三郎

    久保委員 そういう法律の規定はございますか。例として、同一行為に対して法律によって罰則が違うというのはございますか。
  30. 國友弘康

    國友政府委員 刑法の五十四条に、「観念的競合」という条項があるのでございますが、この刑法五十四条を読み上げてみます。「一個ノ行為ニシテ数個ノ罪名ニ触レ又ハ犯罪ノ手段若クハ結果タル行為ニシテ他ノ罪名ニ触ルルトキハ其最モ重キ刑ヲ以テ処断ス」ということに書いてございますので、今ちょうど久保先生のおっしゃいます例でございますが、一つの行為が道路交通法と道路運送法の違反に問われました場合には、その罪名はいろいろございます。道路運送法違反と道路交通法違反とございますが、その最も重き刑の法律をもって処断するということになりますので、道路運送法が重ければ道路運送法で処断する、こういうことになるのでございます。
  31. 久保三郎

    久保委員 その法律はまだよく理解していませんからわかりませんが、時間をせっつかれますから、いずれにしても、建前上そういうことが常識的に言えるのかどうかということだけ聞きましょう。
  32. 國友弘康

    國友政府委員 これは刑法の観念かう申しますと、重きに従って処断するということは刑法の大原則でありますので、この点は常識に合うことと思いますし、道路運送法につきましては、自動車運送事業者に対しまして規定をしておりますので、これは自動車運送事業という面から見ており、道路交通法の方は全般的な面から見ておりますので、これらにつきましては常識にも合うし、均衡もとれると私どもは考えております。
  33. 久保三郎

    久保委員 ただ不思議なのは、何らの連絡もなくこういう罰則をお作りになったんじゃなかろうかと、大へん失礼だが、お察し申し上げます。というのは、先ほど来、私の質問が始まってから初めてお調べになっておられるようでありますから、これは次会にはよく調べてきてもらいたいと思いますが、いずれにしてもちょっと変じゃないかと思います。      ————◇—————
  34. 平井義一

    平井委員長 次に、日本国有鉄道の経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。長谷川峻君。
  35. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 国鉄総裁にお尋ねしたいと思います。総裁は、ゆうべは七十七才のお祝いで、非常にお元気で、百才まで生きて、日本の交通行政を今から一生懸命におやりになるというお話で、非常にけっこうであります。そこでお尋ねしたいのは、去る八日の総裁談話で、二百二十五線区のうち赤字の多い五十線だけ、鉄道をはずしてバス路線に変えるという談話を発表されております。私はこの真意をお伺いしたいのです。なぜなうば、この新聞記事が全国に出ましてから、遠くは北海道から鹿児島まで、みな大騒ぎをしております。しかもこういう問題は、御承知の通り鉄道を待望して作って、今バスが流行であるからただバスに簡単に変えるというふうな思いつきから、各支社が五十線を選んだとするならば、これは私は非常に不合理だと思う。貨物輸送のこともありますし、さらにまた地方の方々が長い間葉っておった鉄道が、国鉄のただ思いつきみたいにして、五十線もみな、全部路線をはずされるということになりますと、地方人心に与える影響は非常に大きいと思います。しかも、その次の日あたりには、鉄道建設審議会で、十一線の新たに着工するものの予算の配分もきめておるわけです。こういうふうにしますと、私は今の交通行政というものが乱れているんじゃないか、一元化されないものがあるんじゃないか。ここは一つ総裁に、非常にお元気でやってもらうためには、一元化のはっきりした態度を、この委員会を通じて表明していただきたい。委員会においていろいろ論議されておる間に、片一方においては、われわれ国会議員として運輸行政に関係しておる者の気持に全然そぐわないようなことが片っ端から発表されていくことになるならば、非常に困る問題だと思いますので、総裁の的確な御所信を表明していただきたい。
  36. 十河信二

    ○十河説明員 今御指摘の新聞記事は多少誤解があるんじゃないかと思います。今お話のありましたように、今日二百二十五線のうち、相当赤字線が多いのであります。これをいろいろな面から今検討をいたしておるところでありまして、今日まだ、国鉄部内で何ら決定した意見はきまっておりません。あるいは国民経済上の観点から、あるいは利用者の利害という観点から、あるいは旅客あるいは貨物輸送の観点から、あるいはまた国鉄の経営上の観点から、いろいろな観点から今検討中でありまして、このことは建設審議会においても、今日までいろいろと問題になっております。建設する際に、これくらい旅客があるだろう、これくらい貨物が出るであろうというふうな予想をいたして建設するのであります。ところが、建設してから後に、非常に輸送量がふえる場合もありますし、また予期に反してあまり輸送量がないという場合もあります。そういう場合にどうしたらいいかということを、いろいろな方面から目下検討中であります。何らきまったものはありません。国鉄で大よそ見当がつきましたら、それぞれ関係方面の御意見を伺って、適当に善処いたしたい、こう考えておるところであります。
  37. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 従来バス路線について成功したというのは白棚線一つですね。それから思いつかれて、新聞の報道が聞違ったかどうか知りませんけれども、それは全国一斉に出ておるのですよ。そうしてある場合にはアドバルーンを上げた。しかしこれは今検討中であるとするならば、発表されたといわれるものは全然誤報であった、今から研究、検討するというふうに了解してよろしゅうございますか。
  38. 十河信二

    ○十河説明員 国鉄の検討の中で、これこれのものは総原価で赤字になっておる、これこれの線区は直接費で赤字になっておる、直接費で赤字になっておるものはこれだけあるということ、これは事実ですから発表いたしております。それをつかまえてこの分支線区はこうされるというふうに解釈したんではないかと思う。それだけではきまらないのであります。その他さっき申し上げましたいろいろな方面を検討して、各方面の検討を総合して、どういうふうにしたらいいか、どういうふうにすれば一番国民経済上有利であるとか、利用者に便利であるとかいうことを考えて決定いたしたい、こう考えております。
  39. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 だんだんわかってきましたが、そうしますと今から先検討する、せんだっての話は、五十線の場合には全然間違いであるというふうに私は了解いたします。それでかまいませんか。
  40. 十河信二

    ○十河説明員 決定したと書いてあるのは間違いなんです。まだ決定しておりません。
  41. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 そうしますと、その五十線の中に入っているもので、ことし予算がついて、今から建設線として予算が配分されたものもあります。ですからそれはその話とは別にどんどん建設するというふうに了解してよろしゅうございますか。
  42. 十河信二

    ○十河説明員 その通りであります。
  43. 正木清

    ○正木委員 総裁にこの機会に一言だけ意見をかねて要望申し上げておきたいと思うのです。総裁は赤字線はこれこれである、従って路線をはずして自動車を運行するということになればあらためて十分審議をするんだ、こういうことでございますが、北海道ではすでに支社長談話をもって公式にこれが発表になっておるのです。あなたは目を通したか通さないかはわかりませんが、実は今同僚の長谷川君が指摘したことも全国各紙に載っておるのですね。ですから今総裁がここで御答弁下さったことと新聞に載っていることでは非常に実情の相違があるわけです。私が指摘したように、北海道支社では支社長の談話をもってこれが発表になりまして、北海道の地域住民の間で非常に大きく問題化していることも間違いございません。そこでこの機会にあなたに要望しておきたいことは、国鉄としては端的に申し上げますと、財政的に非常に重大な段階にきておりますから、独立採算制の建前からいって、この際思い切って赤字線区は整理をする、それから貨物の集約駅も設ける、いろいろの考えはあろうかと存じますが、これことごとく地域住民に直接関係を持つ事柄なんですね。あなたがほんとうに独立採算制一本、こういう営業の建前を堅持するならば、あなた自身が腹をきめて、運輸大臣だけの権限で運賃その他は処理されるように考えるべき時機がきているんじゃないか。現実の法律規定はそうではないでしょう。事運賃その他についても国会の議を経ることになっていますね。従って今の国鉄というものがコーポレーションである限り、地域住民、言いかえるならば国民を無視した鉄道営業というものはないわけですから、私は目の前に現われてくるそのことだけにとらわれて、部下の諸君が最高方針の決定を見ない前に思いのままに不用意に新聞発表をなさることは、国の御主人公である国民に対して大きな迷惑を与えるのではないか、国鉄としてほんとうに国鉄の営業のあり方はかくあるべきものだというあなた自身にかたい決意、何人に問われても断じて一歩もあとに引かないところの権威ある基本方針が打ち立った後、初めて議会を通して国民の前に明らかにする、こういうふうに持っていっていただきたい、こう思うのです。今あなたの御答弁を聞いていると、われわれが心配するほどのことではありませんけれども、現実には各支社の責任者は支社の責任者として発表しているわけですから、こういう点私は強く要望いたしておきます。
  44. 川野芳滿

    ○川野委員 実は私も、この重大問題については次回の運輸委員会で質問いたしたいと考えておったのでありますが、同僚長谷川委員から質問がございましたので、一言だけ私も要御望を申し上げておきたいと思うのであります。  鉄道を廃止するとかあるいはまた自動車路線に変えるとか、こういうような問題は、国民に非常な関係を有する問題でございます。従ってこういう問題を検討する場合には、慎重に検討してもらわなければならないことは私が言うまでもございません。ところが、昨年の十月でございましたか、全国赤字路線を自動車道に変えるとかいうことを発表されたことがございます。もちろん本社では発表なかったのでございますが、支社が発表している。支社が材料を出している。そこで全国の路線廃止の住民が急速東京に上京して反対運動を行ないましたことは御承知の通りであります。それにこのたびまた新聞に発表になっている。九州においても発表になっております。総裁は知らぬということでございますが、支社長が発表したものと私は考えるのであります。こういう重大な問題を総裁が知らないのに支社長が発表するということは、まことに総裁を無視した発表ではないかと私は思うのであります。総裁はただいまそういうことはまだ検討中であるということでございますから、一つ支社長に厳命してよく訓示してもらいたい。支社長が鉄道を廃止するとかしないとか言う権限は私はないと思います。そういう権限がない支社長が発表しても、地方民はまことに重大な関係を持っておりますから非常に驚きまして、もう路線が廃止されるのではなかろうか、こう言って騒いでおりますのが現状でございますから、こういう問題は慎重に取り扱うように支社長にも一つ厳命していただきたいと思います。  なお、こういう問題は思いつきばったりでやっていただかないように、慎重の上にも慎重を加えてやられるよう切に希望いたします。
  45. 關谷勝利

    ○關谷委員 関連して。これは発表しただけで今まであれだけ騒いでおるのですが、実際奈良県の五新鉄道というのは、駅長が勧誘に行って、あなた方鉄道をつけてもらうよりはバスを走らす方がいいのだから、それに賛成しろ、そうして、そういうようにやるのだから納得しろと言って実際に動いておるのですよ。これは発表だけではない。事実やっているんですよ。あなたの知らぬことをやっておる。そういうふうな間違ったととをやっている人は早くとめなければなりませんから、よく御調査を願います。
  46. 平井義一

    平井委員長 次会は来たる二十日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時散会