○三田村
委員 大体当局の御方針はわかりましたが、
運輸大臣冒頭に御所見をお述べになりました、私もその
通りだと思いますが、この問題は大臣も御苦労になっておられます
通り、地元としては非常にめんどうなのであります。ただ私は、大臣が、すでに岐阜県に駅を
一つ置くということは自分が決定したのだ、決裁したのだとおっしゃいましたから、岐阜県に駅を置くということについては多くを申し上げません。ただ私たち最初に、東海道の輸送運輸量が非常に多くなってきて、現在の東海道線では困るのだ、もう
一つ作ろうじゃないかという話が出たときに、東京—大阪間の高速超
特急の新しい路線を敷くんだ、その場合停車駅は
名古屋だけだというような話を聞いておったのです。そこへ今
お話のように、一応の構想を伺いますと、だんだん駅がふえてきたのか、初めからそういう御
計画であったのか、とにかく現在の急行が停車する駅はほとんどとまるということになりますと、東京を出て大阪までの間、各通過していく県で駅のないのは岐阜県だけ、こういうことになるので、これは大臣も御
承知の
通り、岐阜県としてはおさまらないのが当然でございます。何も大臣がおっしゃるように、政治的な圧力に屈するということでなしに、岐阜県に駅を置くということは当然の要望、要求であり、新しい幹線を作る
目的からいっても、私は当然のことだと思うのでございます。ただこの場合、駅の位置をどこにするかということは問題であります。大臣
お話の
通り、羽島駅という言葉はこれはマスコミがつけたんじゃないかと私は思います。そういうことでなくて、岐阜県に駅を
一つ置くのならばどこが一番適切妥当であるかということ、これはもちろん大臣
お話の中にもありましたが、地盤の
関係も十分技術的に御調査なさらなければならぬことでありますし、同時に一体駅というものは何のために作るのか、新しい幹線を何のために作るのかということに
考え至りますならば、一番経済効果の高い——国鉄は国鉄のためにあるんじゃなくて、国民のためにある機関でありますから、どこが一番経済効果が高いか、どこが一番妥当か、これは岐阜市の運動とか大垣市の運動とかいうことでなしに、将来長い間の問題でありますから、その点を十分お
考え願いたいということでございます。これは先ほど申し上げましたように、いろいろ問題が波紋を描くことをおそれて、われわれは、表面、これは外でも内でもなるべく口にしないようにしておりました。大臣
お話しのように、少々雑音が入ってきて、地元としても非常に困っておるのでありますが、知事が出しました県側の要望、
要請と申しますか、これは大臣も国鉄当局もよく御存じであろうと思いますから、私は多くを申しません。ただ一、二点申し上げて大臣及び大石総
局長の結論的な御所見を伺っておきたいと思うのでございます。
第一に、これはもちろんきまっておることではないのでありますが、一応われわれが了解いたしました国鉄新幹線の予定路線とでもいいますか、それによりますと、だいぶ下の方に寄るようであります。新しい駅の予定地が下の方に寄るようであります。岐阜県でいうとずっと南部であります。ところがこの南部地帯というものは、これは国鉄当局も御調査の結果十分御
承知と思いますが、非常に低湿、かつ常習冠水地帯でありまして、条件の悪いところでございます。これはすでに十分御
承知でございましょうが、雨季になりますと、常時
機械排水をやらなければならぬ地域でございまして、実際大工事のできる地域ではないのであります。私も地元におりましてよく知っておりますが、地盤がきわめて脆弱でありまして、昭和十九年の東海地震、二十一年の南海地震で、非常に地盤沈下をいたしております。こういう地点でございまして、ことに昨年の伊勢湾台風の際の災害というものは、この南部地帯の低湿、地盤の脆弱な地域に非常に災害が多かった。長期冠水地帯ができまして、昔から長いこと、いわゆる輪中生活をやっていた地域でございまして、工事の上においてもなかなか困難な地点でございます。もちろん御調査の結果こういうところは避けられることは、当然そうあるべきだと私は思っております。この点どうぞ
一つ十分御勘案願いたいと思います。県でも地盤沈下対策として、ここ数年の間に八億ないし十億くらいの金をつぎ込んで対策をやっているところで、こういうところはお避けになることとは思いますが、この点を十分御考慮願いたいと思います。これは私がひとり県民の
立場から申し上げるだけでなくて、冒頭に申しましたように、新しい国鉄幹線を作るならば、十分経済効果的に、あるいはまた工事の点においても、より効果的な地点を御勘案願いたいという趣旨にほかなりません。
それから第二の問題といたしましては、最近の集中豪雨、ことに、何べんも申し上げますが、昨年の大災害をこうむりました伊勢湾台風において立証されたのでありますが、あの地帯は揖斐川、長良川の下流でございまして、堤防がいまだ脆弱でございます。昨年決壊したところは一、二カ所でございますが、決壊寸前の危険地帯が相当ございました。こういうところでございまして、建設省においても抜本的な治水防災対策をやるために、せっかく目下全力をあげて対策を進めておる地域でございます。そういう点を私はぜひ避けていただきたいと思う。これは特に技術的に御調査の上御検討願いたいと思うのでございます。
そこで、
一つつけ加えて申し上げたいのは、これは私は実際にその設計工事の内容を伺ったわけではございませんが、御
承知のように、今建設省の方で名神国道というものに着工いたしております。これは
名古屋を起点にいたしまして、神戸まで行くのであります。これも大体三メートル五十から四メートル五十くらい高い道路にして走るのであります。
一つの大きな人工築堤ができるわけであります。そこに今度国鉄新幹線ができますと、もう一本人工築堤ができる、相当高いものができるのであります。先ほど申し上げましたように、この辺は輪中地帯でございまして、耕地というものは
機械排水をしなければならぬ地帯でございます。もちろんその中に立体交差、いろいろな
施設があると思いますが、大量に揖斐川、長良川がはんらんして参りますと、縦の輪中を
二つ作るような
格好になって、今のままの
状態で名神国道とそれから国鉄新幹線が二本並行し、交錯して参りますと、建設省は建設省の
考え、
運輸省は
運輸省の
考え、国鉄は国鉄だけの
考えからお
考えになりますと、不慮の災害を誘発する、惨状目をおおうような災害も、私は必ずしもないとは保証しがたいと思うのでございます。民生の安定の見地から
考えても、こういう点は十分
一つこの際御勘案願いたいと思うのでございます。
それからもう一点特に申し上げておきたいのは、今予定線になっておったはずでございますが、揖斐川と、揖斐川の下流の牧田地区を通っていく。これはどうしても避けなければいけない。この牧田川という川は、伊吹山峰を源流とした養老山系全体の雨量を吐き出すいわば鉄砲川と呼ばれる川でございまして、この川のために、昨年の台風では、牧田の下流と揖斐川の下流合流点千メートルぐらいのところが二度決壊いたしました。やかましい問題になりました例の多芸輪中の決壊三千町歩、六十日間完全冠水、屋根の上まで水浸しになった、こういう地点であります。これは今申しました名神国道によって、牧田川の片面は予定地をきめてしまいまして、山も刈ってしまってあります。今度通るといたしますと、残された片面を通るだけでありまして、川をはさんで両面、片面名神国道、片面新東海道線、こういうことになりますと、耕地は全部なくなりますし、住宅地もなくなります。それだけでなくて、私は非常に危険だと思う。こういう点も——私、専門家でございませんが、長く自分たちの住んでいる地域ですので、よく頭に入っております。
一つお
考え願いたいと思うのでございます。大体知事の申請した条件の中に入っておるはずでございますが、どうぞこういう点は十分お
考え願いたい。
それから、時間の
関係もありますから多くは申しませんが、私は、さっき大臣がおっしゃいましたように、岐阜市に駅を持っていけとか、あるいは大垣市寄りにしろとか申しているのではないのですが、御案内のように、最近広域といいますか、
日本の国内で広域なんという言葉は当てはまりませんが、少なくとも中部においては、愛知、三重、岐阜三県を一体にした中部経済圏総合
計画というものがあるわけです。これは自然にそういう方向に参っているのでありまして、これの産業振興、経済開発の動脈になるものは、やはり輸送機関であります。道路であり、鉄道であります。従いまして、三県を
一つにして見目した中部経済圏総合開発振興
計画というものを頭に描きますと、やはり岐阜ではありませんが、今の羽島駅か桑名駅か知りませんが、それよりもだいぶ上にきてその位置をお
考え願いませんと、知事の言うような位置くらいせめて
考えていただきませんと、
意味をなさなくなるのではないか。
一つ一つ私は岐阜駅と比較した乗客、乗降数などは申しませんが、ちょっとこの間岐阜駅に行って調べただけでも、相当な乗降客がある。急行、準急行乗降客を調べてみますと、去年の二月からことしの一月、ちょうど一カ年間統計をとってみますと、急行、準急行で毎日平均約三千、岐阜駅で乗降客がございます。ことに御案内のように、観光
日本という言葉が今はやり言葉になっておりますが、岐阜は観光地帯として非常に恵まれた条件を持っておりまして、外人客の来訪も相当ひんぱんになっております。こういう点も
考え合わしてみますと、やはり冒頭に申しましたように、一番経済価値の高いところに置いてもらいたい。また北陸方面との経済交流の面、あるいは冨山、石川、高山線、こういった方面との経済交流の面、こういうことを勘案して、やはり一番便利なところは知事の申請した案くらいではないかと私は思います。
いま
一つ、特にこの機会に申し上げて御検討願いたいことは、今県でも道路整備
計画をやっているのです。この十六日建設大臣も参りまして、岐阜から大垣の間の新幹線道路の起工式をやることになっておるのでございますが、全体の道路整備
計画の
関係から見ても、やはりもう少し上寄りでないと工合が悪いということは県民全体の要望でございます。どうぞ
一つ今申し上げたことを念頭に置いていただいて、私は率直に結論として申し上げることは、大臣が冒頭に言われました政治的の雑音なんかどうでもいいのですが、そうでなくて、県全体、県民全体の
立場から、
関係地域一帯の要望、要求というものを十分参酌して、本省、中央、国鉄に出しておりますいわゆる知事の申請なるものを尊重していただいて、この知事の
要請、要望というものを御検討の上、できるだけ早く御決定願いたいということでございます。これだけを申し上げて、
運輸大臣と大石総
局長の御見解なり御所信をこの機会に伺っておきたいと思います。