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1960-04-08 第34回国会 衆議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月八日(金曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君    理事 關谷 勝利君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君       宇田 國榮君    原 健三郎君       福家 俊一君    三池  信君       島口重次郎君    館  俊三君       正木  清君    山花 秀雄君       菊川 君子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 楢橋  渡君         建 設 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 細田 吉藏君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 康弘君  委員外出席者         建設事務官         (計画局都市計         画課長)    吉兼 三郎君         建設事務官         (道路局次長) 前田 光嘉君         建設事務官         (道路局路政課         長)      青木 義雄君         日本国有鉄道常         務理事     大石 重成君         日本国有鉄道常         務理事     中村  卓君         日本国有鉄道参         与         (自動車局長) 高倉 一雄君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 四月七日  個人タクシー大幅免許に関する請願柏正男君  紹介)(第一九八五号)  同外三件(菊川君子紹介)(第二〇一五号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第二〇三六号)  同(松前重義紹介)(第二一三四号)  同外十一件(新井京太紹介)(第二一三五  号)  同外一件(本島百合子紹介)(第二一七三  号)  名古屋空港国際商業空港化に関する請願(江  崎真澄紹介)(第二〇三五号)  磐城常葉駅、浪江間に国営バス運行請願(山  下春江君紹介)(第二一三七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  日本国有鉄道経営に関する件      ————◇—————
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  陸運に関する件について、特に踏み切り問題について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。生田宏一君。
  3. 生田宏一

    生田委員 お尋ねをしたいと思いますのは、国鉄並びに私鉄踏み切りにおける事故が毎年累増しておりまして、放置しがたい状態にあると思いますが、これは当局のお出しになりました資料を見てみましても、事故件数昭和二十四年には三万八千三百七十五、昭和三十三年には三万五千八百二十四、運転事故によるものはそういうような数字が出ております。また、これに対する死んだ者といたしましても、二十四年には一万四百七十六、また三十三年には九千百五十九、こういうように多少減ったような趣でございます。しかしながら踏み切り事故になりますと、昭和二十四年には千六百七と出ておりますが、それが昭和三十三年には逆に三千四百十八と死傷者が出ておる。この方は三倍に累増しておるわけでございます。累年これはふえております。そこでこの問題は運輸省におきましても建設省におきましても放置しがたいというので、事故対策につきましては内閣にも交通事故防止対策本部があって研究をいたしておる。また運輸省においてもそのようにされておるのであろうと思うのですが、今もって具体的にその対策が立てられておりませんことは、はなはだ残念なことでございます。  そこでお尋ねしたいのですが、運輸省の方としては従来どのような経緯をたどって今日まできておるか、その対策はどういうことが考えられておるか、その経過一つ説明願いたいと思います—。
  4. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 鉄道道路との交差に関する問題の、運輸省建設省両省意見の今日までの経過等を申し上げますと、運輸省としてはここ三、四年来、鉄道道路との交差に関する立法必要性を痛感いたして、その準備に着手していましたが、内閣に設置されました交通事故防止対策本部踏切部会ができましてこの問題が取り上げられ、昭和三十二年に踏切事故防止対策要綱が策定せられました。そこで運輸省としては、同要綱趣旨に沿いまして法律案を作成しまして、建設省と折衝を開始しておりますが、踏み切り保安設備に関する費用負担に関して意見調整ができずに今日に至っておるのであります。最近においても交通事故防止対策本部に対しましてあっせんを依頼する等、種々努力を重ねているような次第でありますが、いまだ両省意見が一致を見るに至っていないのであります。運輸省意見といたしましては、交通保安の確保の上から、踏み切り保安設備の整備は緊急の要務でありまするし、踏み切り事故の累増のおもな原因道路交通量の増加にあるということから見て、踏み切り保安設備に関する費用をすべて鉄道事業者の一方的負担にするということはあまり酷である、道路管理者も分担しても、いたいということを考えております。一方、建設省意見としましては、踏み切り保安設備鉄道施設であるから、道路との兼用工作物である踏み切り等とは峻別すべきものであるということで、踏み切り保安設備に関する費用鉄道事業者負担にすべきものであるという主張をされておるようでありまして、さいぜん申し上げましたように、いまだ意見調整を見ていない次第であります。西ドイツ等においては、踏み切り改善費用は大部分は国の方で負担するというようなことをやっているのでありますが、現状はそういうことになっております。
  5. 生田宏一

    生田委員 ただいまのお話によりますと、踏み切り事故が累増しております原因交通量増大にあるということでございますが、そうすると踏み切り施設改善あるいは立体交差等をする場合に建設省がその費用負担考えるのが当然である、このように思うのですが、その点について建設省では御異論があるようでございます。それはどういうわけでございますか。
  6. 村上勇

    村上国務大臣 これはなかなかむずかしい問題でして、今ここですぐ私がはっきりした御返事はいたしかねると思います。たとい従来の慣例であっても、いいことならそう改めればいいし、悪いことでしたら廃止する必要がありますが、しかし鉄道通行優先権を持っているようなことからも、踏み切りについてのすべての支配権とでも申しますか、それを持っているところが費用負担はすべきものじゃないか、私どもはこう考えております。しかし研究してみて非常に不合理なものであればまた考えなければなりませんが、今までのところから長い間の一つの常例みたいになっていることは、通行優先権を持つものが負担するというようにわれわれは解釈いたしております。
  7. 生田宏一

    生田委員 建設省の御意見も、建設省としては理由があるお考えのようでございますが、例をとって申しますと、新しく道路を開設して鉄道交差する場合には、私鉄並びに国鉄は必然的に踏み切りをこしらえさせられる義務を持っているわけであります。ですからあながち建設大臣の言われるように占有権があるということで、この問題をそういうような一般的な考え方で律するのはおかしいじゃないか、やはり踏み切りをこしらえる、あるいは踏み切りを整備する、またそういうことをしなければならなくなった原因というのが建設省にあれば建設省の方でお持ちになる、また、運輸省の方あるいは国鉄の方にあれば、それは国鉄が持つ、私鉄がそういう原因を作っておれば私鉄がこれを持つ、こういうのが正しいことだと思うのですが、これについては、すでに建設省運輸省との間には、御意見の交換があって、大臣お答えではありますけれども両省の間では了解に達しておると私は聞いておるのですが、どうもその辺、少し大臣お答えは、だいぶ以前のお話を承るような、最近のお話を承るように思わぬのですが、どうでございましょうか。
  8. 村上勇

    村上国務大臣 まだ、生田委員の御指摘のような結論に到達していないそうであります。でありますから、もう少しこれは——私も突然で、踏み切りの問題につきましては、できる限りもう国道は、二級国道一級国道にしても、重要道路については、絶対にこれはもう立体交差にしなければいかぬというので、北海道なんかでも、相当な費用をかけて、立体交差にして、平面交差をほとんどなくするというぐらいに、この踏み切りは、道路交通のためにも、また鉄道輸送のためにも、また一般の国民の、こういう御指摘になったような非常に犠牲者が多い、被害者が多いというようなことから、できる限りこれをなくしたいということが、建設省の一貫した考え方であります。が、さて費用の問題になってきますと、それぞれみなその立場々々があって、みな都合のいい主張をするでありましょう。しかし、今、生田委員の御指摘になりましたように、新しく道路を切った場合にはどうだというようなことになりますと、私どもも相当いろいろな点を考慮してみなければならぬと思います。まあ、突然のことでありますから、今ここでまだ両省間に協議のできていないことを、私が思いつきでごきげんをうかがうようなことを申し上げても、かえってこれはあとで混乱と申しますか、物議をかもすことになりますので、一応御意見を拝聴いたしましたから、十分建設省建設省としての考え方を検討してみたいと思います。その上で、運輸省とよく相談いたしまして、通行者に危険のないようにいたしたい、かように思っております。
  9. 生田宏一

    生田委員 踏み切り事故が起きました場合には、警察が必ずこれを取り調べをして、そして事故内容判然としておるものでございますが、その警察の統計を調べてみますと、踏み切り事故原因につきましては、警手の責任に帰すべきもの、これは一%強でございます。九九%弱というものは、通行者責任に帰すべきもの、こうなっておるわけです。そうしますと、これは、鉄道を専用しておる鉄道側責任というものは、百分の一にすぎない。通行者が九九%責任を持たねばならない事故だといたしますと、これはやはり建設省の方で、交通量増大に伴った道路施設の完備ということは、これはお考えにならなければならないことになる、こう思うのです。これはもう理屈の上でそのようになろうと思うのです。ですから私は、もちろん大臣に対しては、政府と党の間でございますから、理屈を言うつもりはございませんけれども、やはりそういうことは、ものの考え方基礎になろうかと、こう思うのでございます。  それから、たとえば国鉄で見てみますと、国鉄事故件数というものは、昭和二十四年には三万一千百九十八ですが、三十三年度には一万七千百二十六と、事故を減してきております。運転事故というのは約二分の一に減っておるのであるが、踏み切り事故になりますと千六十四が二千五百四十三というふうに約倍の数字を表わしておる。その点私鉄になりますともっとひどいのですが、運転事故が減っておるにかかわらず踏み切り事故が減らないという事実は、踏み切り施設に対する手当が不行き届きである、これはもう判然とした事実であります。  そこで私はお尋ねしたいのですが、建設省運輸省の間で、たとえば立体交差をする場合に、建設省国鉄との間ではどのような話し合いになっておるか。また警報機をつける場合、あるいは遮断機をつける場合、こういうような場合には国鉄建設省との間ではどういう話し合いになっておるか。あるいはまたその場合に私鉄建設省との間ではどうなっておるか。これは一がいに同じようには、おそらく交渉の内容がなっていないと思うのですが、それは、そういう点についてお話を伺えば、両省の間でなぜ話がつかないかということがわかろうかと思うので、それを二つお話し願いたいと思うのです。
  10. 山内公猷

    山内(公)政府委員 建設省国鉄の間には、建設省国鉄との全般的な協定がございまして、それにのっとって踏み切り改善立体交差その他をやっております。それから私鉄との間には格別に——具体的な問題が起こりましたつど、道路側私鉄協議をいたしましてきめておるわけでございます。それでわれわれが立法化考えましたのは、国鉄建設省といいますと、非常に大きな間柄でございまして、話も割合にスムーズに協議がいつもできるわけでございますが、御承知のように、私鉄になりますと非常に千差万別でございまして、現在の経営すらなかなかできないという会社もありまして、そういったものを一律にやるわけにいきませんので、われわれの考えておりますのは、やはり現状基礎といたしまして、道路側にも費用負担をしていただいて、具体的に、そういう踏み切り改善の措置をするという法律的な考え方をいたしておったわけでございます。現在あるものを一応法律的に書き表わして、はっきりさせようというのが、今回建設省お話をいたしております趣旨でございますが、その場合に保安施設維持管理費用をどうするかということが、両省間の意見がなかなかまとまらないという経過になっております。
  11. 生田宏一

    生田委員 建設省の方の何か御意見一つ……。
  12. 前田光嘉

    前田説明員 踏み切りに関します問題につきましては、先年来運輸省から御相談を受けております。ただいま御説明がございましたように、建設省におきましても、法律によりまして一定基準を設けて、踏み切り事故を少なくする、あるいは踏み切り施設を整備するという考え方賛成でございますので、その根本趣旨においては両省とも一致しております。ただその規定の仕方につきまして、現在すでに道路法にも規定がございますし、あるいは元来は、これは道路管理者鉄道側——国鉄及び私鉄を含めての鉄道側協議してきめることでございますので、どの程度法律に明定すべきであるか。たとえば道路管理者におきましても、東京都のような大きな団体もございます、同時に一山村に行きますと、ほんとうに経費の少ない弱小町村もございます。そこに一定の大きな企業体であるところの鉄道会社が行くという場合に、その費用負担を一律にぴしゃりときめるということがはたしていいかどうかということについて、いろいろな問題がございますので、われわれの方では、なるべく画一的にすべき方向はいいと思いますけれども、それを法律上明定することがいいかどうかということにつきましては疑問に思っております。そういう点につきましても、協議基準という程度のことも、できるならばこれはけっこうでございますけれども運輸省の御提案のように、一定事項に全部きめるということが法律事項としていいかどうかということも、実は検討いたしております。  それから、ただいま大臣が言われましたように、踏み切り保安施設につきましては、これは鉄道側におきましても相当御負担かもしれませんけれども道路交通のふえたことをすべて道路管理者責任において処理しなければならぬという理屈も見出しがたいと思いますので、道路側といたしましては、道路側において負担すべき正当な理由のあるもの、たとえば踏み切り設備改善するとか、そういう面につきましては、できるだけの御協力はいたしたい。しかし信号機その他の保安施設につきましては、これは元来鉄道側施設考えるべきでございますので、鉄道側において御負担願って、そして交通事故をなくすることが、両方お互い踏み切り施設における交通事故をなくしていくことになるのではないかと思うのでありまして、最近の交通事故の多いのを全部道路管理者側負担にしなければならぬという考え方に対しましては、まだ納得できないところであります。
  13. 生田宏一

    生田委員 大体御意見もわかりましたが、それは確かに踏み切りを整備するに必要なそういう原因があるけれども、その原因が必ずしも道路管理者の責めに期すべきものばかりではない、それは私もわかりますから、それは生じた原因によってどちらが負担をするかをきめればいいのであって、おそらくその点では建設省運輸省も異議あるまじきものと私は思うのです。それは原因によってどちらが負担するか、鉄道負担するか、あるいは建設省負担するかということをきめればいいことだと思うのであります。そのことは私が聞いてとおる限りでは、運輸省の方も別に議論がないように聞いております。それよりも、今お話しになった、たとえば小さい農村に大きな鉄道会社ができたときに、その踏み切り負担分をどうするかということは、その地方公共団体が非常に困るというお話がありましたが、それは私も困ろうと思います。しかしその反面に非常に経営規模の小さい、赤字に悩んでおるような私鉄会社都市の周辺にあって、それが大きな立体交差をするためにその負担分をお前の方にかけるぞといってもこれもやはりむずかしい問題になってくる。その費用負担の問題については、私鉄会社の方にも困る場合があるだろし、また地方公共団体道路管理者の方に困る場合があろうかと思います。そこで道路法などによる道路建設一定基準によるような負担をかけるということになれば、双方に無理が生じて、実際行なえなくなりはしないか、そう逆に私は心配するわけです。ですからそういう場合には特別立法としてその負担区分をきめていく方が穏当でないか、そういうふうに私は思うのですが、運輸省なり建設省の御見解はどうですか。
  14. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 現実にやはり事故が起こってこういう悲劇を見つつあるのですし、両省の間で費用負担の問題でごたごたやってそのままそういう現象を見のがしていくということは、政治の上からいっても妥当でないと思うのであります。従って鉄道道路との交差に関する法律についても、今御指摘のありましたような諸点、あるいは当然に道路管理者一つの受益によって負担すべき、そういう立場から起こってくる現象というものは、これは村上大臣と私との間でこの問題を一つよく研究して、至急打開するようにしないと、実は内閣における交通事故防止対策本部も、両方主張が対立しておってお手上げになっておるというようなことを今聞いておるものですから、ちょうど今、生田さんからもそういうような御質問があり、私もあっちこっちでそういう建設省運輸省の間に話がつかなくて中途半端にほったらかしてあるのを見て、実は恥ずかしく思っているような次第でありますが、村上大臣もなかなか政治力旺盛だから、一つ話をつけまして、何とか打開することをやりましょう。
  15. 村上勇

    村上国務大臣 私もその原因をまず追及して、あくまでも踏み切りにおける事故のないようにということを一番重点に考えなければならぬと思います。先ほど生田委員の御質疑の中で、鉄道としては考えていないところへ新しい道路を切らなければならぬ、その踏み切りについてはどうするかということを言われた際に、私は全くそうだな、こう考えました。自分の方の都合によって道路を切る、従来道路のあるところへ鉄道がきたのじゃなくて、鉄道のあるところへ道路を新しく切る、その場合踏み切り鉄道で持てとかやれとかいうようなことは、私も常識判断からいっても、なるほどあなたの言われることがごもっともだ、こう考えたものですから、それで十分検討してみましょうということで、私としても、もしそういうことがあるならば建設省がやらなくちゃならぬ、かように思っておったのであります。ところが今事務当局から聞けば、新線道路については建設省負担してやっておるそうでございますから、この点は一応解決ですか、お答えができると思います。今、楢橋さんのお話のように、私も少しでも犠牲者を少なくするようにということについては同感でありますので、犠牲者を少なくするということについて、いかにすればいいか十分考えてみたいと思います。一応これは両省だけでなく、企画庁なりあるいはその他、私も建設省の金を出して——建設省費用を出せばどうというのではなくて、やはり国全体のことから、建設省が出すべきものであればこれはもう当然出して参りますし、しかしそうでない場合は、やはりいろいろな面からこういう問題がありますから、そのときにはまた御相談もいたしたいと思います。
  16. 生田宏一

    生田委員 大体御意見わかりましたが、私、建設大臣に特に一言申し上げておきたいと思いますのは、行政を筋を立てて行なうことは私も賛成でございます。両省の間で筋を立てることは賛成でございますが、しかしこの問題は、私が知ってからでも三年も前から運輸省建設省の間では御相談になっているのです。そうして今もって何一つ片づいていない。しかも毎年三千人以上の死傷者ができるという人命のあやまちを目の前に見ておって、行政の筋を通すということだけで、問題を解決せずに遷延しておるのは、私たちはがまんのできないことであります。お役人の方々が、自分行政の問題を筋を通して考えて、建設省建設省建前運輸省運輸省建前をおのおの固執するということも、これは限度のあることでございます。私は社会政策上黙視できぬと思う。私は一例を申し上げますと、中央線の桐ケ谷の踏み切りですか、これは新聞に出ておりましたが、一時間に三十回遮断機をおろすのです。かりに一回が二分とすれば、一時間全部ぶっ通しで、人間が通るひまがありませんから、一分か一分半くらいで遮断機をおろしておるらしい。三十回おろすと四十五分、一時間の間にあと十五分しか人間の通る時間はありません。その間に千二百六十台の自動車が通る、そうすると、遮断機が上がらない先から人間自動車も押しかけるし、それからまだ遮断機が上がらないのに動き出す、そういうことでございます。これでは事故をなくしようと思っても、人間が死なないのが不思議でございます。こういう現実を都内においても見ておるような状況であります。これは、今も私が申しました通りに、役所のセクトの考え方をこの問題だけは少し皆さんが自粛していただいて、そして早く解決していただく、そうしなければ私ども議員立法をいたします。これは運輸大臣建設大臣がどうお考えになりましょうとも、私たちは政調を説きつけて、議員立法をいたします。それがまた正しい立法府の建前だと私たち承知しております。それが御承知なら、すみやかに政府部内、両省の間でおきめ下さってけっこうでございますが、そのようにやっていただきたいと思います。そのことを特に申し添えておきます。
  17. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今申されたように、鉄道道路との交差に関しまして、やはり抜本的な法体系を一貫して、予算その他においても相当大きな予算等も要りますから、そういうような問題をなにするということについて、最近のように非常に大きな事故が起こってきて、ますますそれが激増するのですから、至急対策を立てるように、両省の間で法律作成について——しかも今踏み切り保安設備負担問題などにおいてごたごたしてこれができないということは遺憾でありますから、至急そういうふうに推進をいたしたいと思うのであります。交通部会建設部会等もありますし、また内閣総務長官とも、企画庁とも話をして、村上さんと私とでできるだけ推進したいと思います。
  18. 平井義一

  19. 久保三郎

    久保委員 せっかく両大臣おいでになりましたので、踏み切り問題、今もお話がありましたから簡単に申し上げます。  大体両大臣とも政治力の旺盛な方でありますから、結論を言えば、今会期中には法案が出てくると思うのでありますが、出てこなければわれわれの方も両党共同議員立法したい、そういうことで大体成案に近いものをそれぞれ持っていますから、いつでも出す用意がございます。これを前提にしてお話を申し上げます。  そこで、三年越しの問題でありまして、この問題が起きたのは、大体交通事故の頻発ということで、先ほどお話のありましたように、内閣のもとに交通事故防止対策本部というようなものができて、これからの話だと思う。そこで、三十二年の十月に踏切事故防止対策要綱というものが出てきました。そこでお尋ねしたいのですが、この踏切事故防止対策要綱というのは、いかなる性格のものであるか、私はしろうとでよくわかりませんが、というのは、今両者の間で三年越しも結論がつかぬ。こういう内閣のもとに対策本部を作って、そこで踏切事故防止対策要綱を作りながら、結論が出ないということを私は非常に不思議に思っているのです。もう一つは、政党政治のもとで今日政治が行なわれて、いわゆる一党の政治であります。今日岸内閣、自民党の内閣でやっているわけです。ところがその中で、どうも今までの御説明を聞いていると、費用負担区分の問題だけではなくて、むしろそれより以前の問題が今日の問題をこんなにこんがらかしているのではないかと思うのです。というのは、同省のいわゆる一つのなわ張り根性、セクショナリズムが、今日この問題を三年越しに解決しないということだと思う。これは責任ある政党政治のもとでは許さるべき筋合いのものでは絶対ないと私は思うのです。このことをまず一つお聞きする。  時間がありませんから続けて御質問申し上げます。この踏切事故防止対策要綱は、両大臣とも忙しいのでしさいに御検討をいただいていないのではなかろうかと思いますので、私は手元にありますから要点だけを一応念のために申し上げたいと思っております。それはまず第一に、踏切道通行に関する措置として、その中でおもなものは、「踏切警手の教育並びに素質の向上を図るとともに、踏切警手に踏切道通行に関する禁止、制限の法的権限を附与すべく検討する。」こういうのが一つございます。これは先ほども桐ヶ谷ですかの踏み切りの問題が出ましたが、非常にたくさんの交通量に対して、非常に短い時間でさばくということは、今日の踏切警手の職責ではできない。これは通行指示権というか、そういうものをやはり法的に付与しなければ今日さばき切れない。交通整理を踏切警手がやらなければならない現実です。ところが人間の配置についても法的な基準がない。だから先般ありました亀有のような電車とトラックの衝突事故などがたまたまあるわけであります。これは踏切撃手の問題であります。次には、「踏切の所在をあきらかにするため、予告標の設置を推進する。」これは道路法施行令によって、道路標識はおそらく地方の公安委員会あるいは道路管理者においてつけることになっておりますが、これが必ずしも完全ではない。よって、これを統一し、これを規制するということがここでいわれております。おもなるものはこの項では二つ。次には、「交差施設の整備改善に関する措置」として、交差施設の構造基準を法定しろ、こう書いてあります。この基準は現在の道路法その他に若干はございます。しかしながら、これは不完全であります。だからこれを法定しろということであります。それから、その中に特にいわれていることは、そういうものの基準をやると同時に、今日踏み切りの設置基準、こういうものが時代の趨勢に合わぬものがある。もちろん今まで運輸省あるいは国鉄等にそれぞれ設置基準はございますが、これは一方的なものであって、道路管理者その他についての規制をするものではない。よって、設置基準についてはどうしてもはっきりした法的根拠を与えてこの整備をはからなければならぬ、こういうことであります。こういうのがこの中になる。それからもう一つ、この中にあるのは、「交差施設の新改築、維持の管理区分、費用負担等を立法措置により明確に規定する。」これは先ほど道路局の次長でございますか、御答弁がありましたが、明確にすることは運輸省から言ってきたがどうもいやだというか、むずかしい、こういうことを言っておりますが、内容はともかくとしても、法的に明確にしろということがここで打ち出されている。これを拒否する筋合いのものは何もないと私は思います。きめようは別でございます。きめようはいろいろ立場上もございましょう。少なくとも、明確に法的な基準を与えろ、こうなっている。これを今日までやっておらぬということであります。それから、一番最後にこういうのがあります。「現在の踏切施設の構造基準、設置基準に適合させるため、踏切道の緊急整備計画を作成し、これが実施推進に必要な立法措置、助成措置を講ずる。」これは今日の政府の怠慢であります。いろいろな問題があります。道路管理者である市町村が非常に貧困な場合、あるいはそこにある鉄道事業者の事業が非常に貧困である場合、負担には耐えられないというお話がございますが、この踏切事故防止対策要綱には、そういうものに対しての助成措置を講ずるということになっております。ところが一つもやっておらぬ。三十二年の十月にこういう要綱をこの内閣は作りながら今日まで何もやっておらぬ。もちろんそれぞれ台閣に列する諸君は一生懸命にやろうとしているのだが、今日の様子を見ると、その下に連なるところの官僚がこれを阻害しているということだと私は思います。これは不届き千万だと私は思う。われわれははっきり申し上げたいが、もう今までの御答弁でよくわかるわけでありますが、とにもかくにも、この会期中にこの法案を出す意思があるかどうか、いろいろな問題はあろうとも、あらゆる困難を乗り越えてこれをやる意思かあるかどうか、これを両大臣にお尋ねしたい。
  20. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 要綱久保さんがどういうことかということをよく説明されたから、もう申し上げませんが、やはりこういう事故が起こっておるという現実をとらえて、これに対する対策を急速に抜本的に立てるというのが政治であると実は思うのでありまして、さいぜんから御答弁申し上げておりますように、ことに建設省との間において、端的にいえば末梢的なような問題において、お互いに、なわ張り争いとは申しませんが、意見の相違によって停頓しておるということは、はなはだ遺憾でありますので、急速に村上大臣とも、事務当局等を督励いたしまして、御趣旨に沿うようなことに力を尽くしたい、こういうふうに思っております。
  21. 村上勇

    村上国務大臣 運輸大臣の御答弁と同じであります。
  22. 久保三郎

    久保委員 それでは事務当局に言っておきますが、あなたの説明の中で信号機警報機の設置の場合等については、それは鉄道で必要なので、だからそれは鉄道負担するのがほんとうだとか、道路管理者負担する必要がないようなお話大臣かあなたがしましたね。これは小さいことと思いますが、そういうものの考え方が、実際いって私はおかしいと思う。踏み切り通行することが主体であって、通行しないものは主体ではない。通らなければならない。だから、そういうことからいけば、鉄道も通らなければならぬ、人間も車も通らなければいけない。両方が通るわけなんです。そのために必要とあらば、話の結着はおのずからつくはずです。だからこれは道路であるのかないのか、踏み切りというのは道路でないのか、こういう解釈がしろうとでわかりませんから、説明して下さい。
  23. 前田光嘉

    前田説明員 踏み切り施設道路と兼用しておりますので、その意味におきまして踏み切り施設道路とも考えております。しかし、今御指摘保安施設信号機その他につきましては、われわれの方といたしましては道路施設とは考えておりません。
  24. 山内公猷

    山内(公)政府委員 その辺が今一番議論をしておるところでございまして、われわれも踏み切りを前から作ろうと努力いたしておりますのは、法律を作りまして、ただいま先生の御指摘になりました踏み切り保安施設基準というものをはっきりきめまして、交通量がこのくらいになりましたら第一種の踏み切りにしなければいけない、あるいは第二種の踏み切りにしなければいけないという格上げの問題が、事故を防ぐ非常に大きな問題になるわけでございます。そうしますと、費用の分担ということが多くなるわけでありまして、遺憾ながら、年々この踏み切りに対する補助金というものも予算要求いたしておりますが、通っておりません。それで、このままで法定をいたしましてもよくなるという可能性があまりないわけでありまして、鉄道だけではなくて、何らかほかからの努力によりまして踏み切りの格上げというものをやらなければならないというところに問題があるわけでございます。従来は、一ぺん作りました踏み切りにつきましては、鉄道側が持っておりました。これは道路側におきまして従来通りでいいじゃないかということでございますが、大体世界の情勢を見てみましても、世界のどこの国でも鉄道側だけでは持ち切れないという情勢でございまして、先ほど大臣が御説明をいたしましたように、西ドイツにおきましては、現在ある踏み切りを格上げをするという場合には、道路側鉄道側で半分ずつ負担をするということをはっきりいたしております。それから新設の場合には新設者が負担をし、新設後の費用は新設者が負担をするということにもドイツではなっております。またフランスにおきましては、もっとはっきりいたしておりまして、踏み切り設備費の六〇%は国家が負担をしております。それから踏み切り看手費——踏切番でございますが、この六〇%も国が負担をいたしておる。アメリカにおきましても、平面交差をいたしております場合に自動式の警報装置をつける、保安装置をつけるという場合には、鉄道側はその工事費の一〇%を負担するということになっておりまして、大体各国とも大同小異の状態でございます。イギリスにおきましては、御承知のように運営委員会というものがありまして、これが運営いたしておりまして踏み切りをつけておるわけでございますが、最近イギリスの鉄道も非常に赤字がかさんで参りまして、この踏み切り遮断機を、どう費用を分担するかということが今非常に問題化しておるという状態であります。大体世界各国そういう状態でございまして、日本におきましても、いわゆる道路建設費用は、ほとんどガソリン税によってまかなわれておるわけであり、踏み切りの死傷というものも、そのガソリン税を払っておる人たちが大きな、何といいますか、危険にさらされておるので、われわれといたしましては、理屈はともあれ、そういうものからもやはり費用を分担してもらって、現在踏み切り事故が非常にふえるのでこれを一日も早く防止いたしたいというので、運輸省が盛んに今建設省に要請をいたしておる段階でございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 この問題は、費用の分担をいずれにするかというよりも、一つ政治がこの問題を解決するかどうかということだと私は思うのです。だから、三十二年の十月に踏切事故防止対策要綱を作ったときに、振り出しに戻って、あらためて考え直して、両方とも、建設省がいいとか運輸省がいいとかいうのじゃなくて、これは一つ政治として解決する必要があると思う。そこで、大へん言いづらいことでありますが、すべてが道路法で吸収してやれるものというお考えも、あるいは建設省事務当局にはおありかと思うのでありますけれども、しかし道路法は、御案内の通り道路の構築ということが主体でございます。今日のたとえば道路交通については、道路交通法というものの改正も今日国会に提出されておるということでありますし、それから先ほど言っておった踏切保安人を含めて、それから今日の交通量に応じた踏み切りの設置基準あるいは施設基準、こういうものも考えますと、やはり単独立法をしてここで規制していく。これは言うまでもなく、踏み切り等におけるところの通行を円滑化するということに持っていくべきであると思うのであります。もちろんそう言っても、両省の面子といっては語弊がありますが、立場、そういうものもおありかと思うのであります。考えることは十分考えてほしいとは思いますが、考え過ぎて、だんだんだんだん先に送って、今日の事態に合わぬようなことでは、これは大へんなことになるので、先ほど申し上げたように、われわれ自身といたしましては、自民党の皆さんとも御協議いただいて——今会期中に政府から提案なさらぬということになりますれば、われわれの方から議員立法の形で持っていきたい、こう思っておりますので、相なるべくは、これは政府責任でまず第一にやるべき筋合いだと思いますから、どうぞ両大臣におかれては、早急にこの対策を講ぜられて、今会期中にはぜひ出していただきたい、こういうふうに要望しておきます。以上です。      ————◇—————
  26. 平井義一

    平井委員長 次に国鉄経営に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  27. 久保三郎

    久保委員 二つだけお伺いしたいのでありますが、一つ最初に簡単なものからお伺いしたいと思います。  それは、去る三月二十六日、常磐線の末続—広野間というところで、列車の脱線転覆事故がございました。これに関連してお尋ねしたいのであります。この事故の概要についてはすでにおわかりだと思いますが、当日二十時五十八分ごろの事故でございます。これは末続トンネルというのがございまして、その出口約百メートル行ったところで、山側の切り取りが崩壊して、これに機関車が乗り上げ、機関車と続く炭水車が脱線転覆、続く二両の客車が脱線、よって機関士が右手首切断、三カ月の重傷を負ったという事故でございます。この切り取りの工事でございますが、これは旧トンネルがこれからの輸送施設には適合しないし、古いというので、新しいトンネルを掘りました。このいわゆる新線の施工は三十四年の四月から六月ころまでやりまして、十一月から使用開始しているそうであります。当日どういうことかというと、雨が降ったそうでありますが、雨も大量ではございません、三十六ミリ程度だそうであります。ところがこの山側の切り取り、これが列車の通過寸前に崩壊したということであるのでありますが、この切り取り部面の土質は、いわゆるもろい岩石のようであった。普通でもぱらぱら上から少量のものが崩壊してくるということであったそうです。これは早く言えば、この事故のあった原因は、この切り取りののり面勾配が非常にこの岩石、土質、そういうものに合わなかったのではないか、こういうふうにわれわれは考えておる。この事故原因については、当局はどういうふうにお調べになっておるか、その点をまず第一にお聞きしたい。
  28. 大石重成

    ○大石説明員 ただいま御質問のございました末続付近の土砂崩壊並びに列車の脱線転覆の事故の付近の地質の状態を申し上げます。  あの付近はいわゆる水成岩の岩質でございまして、しかも非常に砂の質を含みました、地質的に申し上げますと砂質頁岩というような名前で呼んでおりますが、粘盤岩に非常に砂分を含んだ地質でございまして、これは太古におきまして海底においてできましたものが、その後地殻の変動によりまして地上に上がった地質でございます。これはわれわれの今までの体験からいたしまして、大きな崩壊はない。ことに水成岩というものは、風化というものも、表面が風化しているという程度でございまして、火成岩に比べまして大きな崩壊というものはあまりないというのが、今までやって参った実績でございます。  それで、のり勾配その他の御質問がございましたが、これも特にこの辺は、風雪の風化によりまして表面がぼろぼろと落ちてくるというようなことを考慮いたしまして、約七分の勾配と申しまして、岩質といたしましては相当ゆるい勾配をとった切り取りをやったのであります。しかも、これは土工が完成いたしましたのは昭和三十三年十月でございまして、列車を通しましたのが三十四年十一月ということでございまして、この間一カ年間放置をいたしまして、その後の変化をしさいに調査をしたのであります。そうして十分大丈夫であろうというような結論を得ましたので、新線に列車を切りかえまして運転をしたのでございます。しかしながら、ただいま先生の御質問にございましたように、当日は約三十六ミリ程度の雨量でございましたので、あまり大きな雨ではなく、小雨程度の雨が降った。これが大きな原因であったというふうにも考えられません。またその事故当日には、あの付近に相当地震がございまして、地盤の震動というものもございましたけれども、これもまた激震といったようなものではなかったのでありますが、残念ながら、ただいま御指摘のように土砂の崩壊がございまして、これに機関車が乗り上げてしまった。事故の結果を見ますると、崩壊いたしましたところの、えぐれました一番深いところが、約二メートル半程度の大きな穴があきまして、土砂が落ちてきた。しかもその下を見ますると、そこには全く表面から見ますと予期のできなかったような、一つの地質の腐れた面と申しますか、何か原因ははっきりいたしませんが、一つ粘土をかんでおりまして、その面から雨がわずかではございましたけれどもしみ込みまして、その面からすべり落ちたのではなかろうかと想像されるような面がございましたが、何といたしましても、切り取りの表面には何らそういうようなことが想像されるような原因が見えない。しかし地下二メートル五十センチのところに大きなそういう欠陥がありましたということで、まことに申しわけのない事故を起こしてしまったのでありますが、原因といたしましては、その面が、わずかではありまするけれども、雨の結果水を含みまして、一つのすべり面ができまして、それからすべり落ちたということではないかというふうに私たち考えております。
  29. 久保三郎

    久保委員 これは今お話しのように、長いこと工事をやったあと雨水が浸入して、岩石の内部に滑動面ができたということだと思うのでありますが、そこでちょっとお尋ねしたいのは、こういう岩石というか土質は、十分調査されて施工というか設計というか、そういうものをおやりになると思うのでありますが、ただ表面から見て、水成岩で、表面だけぼろぼろしているが中は大丈夫だということで、そういうように簡単におやりになるものですか、いかがです。
  30. 大石重成

    ○大石説明員 これは表面だけから見るわけではございません。地質の調査をいたしまして、できるだけ内部の診断をいたしました。この付近におきましても、私たちも、これは結果的に見ますると、ここにこういう欠陥があるということが発見できなかったということはまことに申しわけのないことでございますけれども、この切り取り付近におきましても十分注意はいたしましたつもりで、これも少し専門的になりますけれども、セメントの注入をいたしましたり、ただいまの技術といたしましてはでき得る限りの岩質を固める操作をいたしまして、大きく抜けることはないということで、御承知のように、そういう操作をしたために、線路の防護といたしましても、大きく抜けてくるということではなくて、表面がわずかずつ剥脱してくるというものを防ぎますために、下に、なおその上に金網をつけまして線路の防護をしていることと、先ほど申し上げましたように、でき上がりましても、一年間風雪にさらしまして、その後の変化というものを十分調査をして、大丈夫だというふうに考えたのでありますが、結果といたしましては、まことに申しわけのない結果になった次第でございます。
  31. 久保三郎

    久保委員 これは請負工事でございますか。
  32. 大石重成

    ○大石説明員 これは請負工事で、請負者は佐藤工業という請負業者の施工でございます。
  33. 久保三郎

    久保委員 これは設計通り施工されておったんでしょうか。
  34. 大石重成

    ○大石説明員 設計通りの施工でございます。
  35. 久保三郎

    久保委員 これは新橋工事局が監督設計だと思うのでありますが、水戸鉄道監理局に引き継ぎの場合に問題はなかったですか。
  36. 大石重成

    ○大石説明員 特に工事局から鉄道監理局に引き継ぎますときに問題として指摘されたことを聞いておりません。
  37. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、起きたことだから、やむを得ない、遺憾でございましたということになるのだろうと思いますが、貴重な金を使って、しかもこういう事故ができるということ自体については、われわれは何だかどうも割り切れない気持が一ぱいであります。  そこで申し上げたいのは、こういう工事は、えてしてどうも業者のやりやすいような工事になりがちだと思うのであります。これはひがみかもしれません。でありますから、特にこれは厳重に今後はやってほしいし、それからこれに対する今後の措置はどうするのか、これはどういうふうになるのか、これだけお尋ねしておきます。
  38. 大石重成

    ○大石説明員 最初に、今後の措置について御説明申し上げます。  先ほども申し上げましたように、われわれといたしまして考えられますところには、セメントの注入と申しまして、セメントを水に溶かしまして、水溶液のような形にいたしまして、これを細い管で岩石の中に穴をあけて注入いたします。なおそれに圧力をかけまして、こまかい割れ目までセメントの溶液がしみ渡るような操作をいたします。そうして徐々に岩全体を固めてしまうというような操作があるのでございます。これをこの付近におきましてもやっておったのでありますが、こういうような事故がございましたので、なお一そうこの事故個所を中心にいたしまして、広範にセメントの注入をいたしまして、岩石を固めていく。なおこの付近だけでなく、そのような地質というものに対して、今までわれわれが予期しませんでした事故現実に起こしたのでございますので、一そう注意をいたしまして、セメントの注入ということを、まず落ちてきたものを防ぐというよりも、落ちてこないようにするというようなことに重点を置きまして、作業をする考えでございます。  それから前半の業界に対しまする御批判でございまするが、これは私たちといたしましては、ただいまのような御批判をいただきましたことは、まことに残念であります。決してさようなことは考えませんが、さようなお言葉が出てくるということは、われわれのやり方につきまして、なお一そう努力し、注意しなければならぬということを考えますので、一そう現場におきましても、さようなお言葉のないように注意をするようにしたい、こう存じます。
  39. 久保三郎

    久保委員 この問題はそれだけにして、一つだけ資料といいますか、時間もありませんから、あとから書いたものをいただきたいのでありますが、契約の内容ですね、契約の内容というと、請負金額等を入れて、どういうふうになっていたのか。それから、これは公開競争入札というのか、そういうものでやったのかどうか、そういう要点を書いて出していただきたい、こうお願いいたします。  続いて、国鉄自動車の問題でお尋ねしたいのであります。これは自動車の関係は、中村常務理事でございますか。
  40. 中村卓

    ○中村説明員 私は要員の関係で、あと自動車局長が来ております。
  41. 久保三郎

    久保委員 これは運輸省自動車局長にも一つお尋ねしたいことでございますけれども、その前に、本来ならば、副総裁か総裁にでもということでありましたが、きょうはお見えになりませんから、国鉄の最高幹部を代表して、中村常務理事から御答弁をいただきたいと思うのであります。国鉄自動車経営方針というのは、三十二年かと思うのでありますが、国鉄経営調査会からそれぞれ答申があったと思います。この内容について、今どういうふうに考えておられるか、これを一つ御答弁願いたい。
  42. 中村卓

    ○中村説明員 国鉄自動車経営方針につきましては、以前から先行、代行あるいは短絡、培養というような原則でやっていくということが一応きまっているわけでございます。最近におきましては、いわゆる企業界における鉄道の独占的な地位がだいぶ弱まって参りましたので、それに関連いたしまして、われわれの方も、国鉄自動車につきましても、ある程度鉄道の補完的な仕事もやってもらうというようなことで、先ほど申し上げました方針に若干色がついたと申しますか、そういうつもりで経営をやっております。
  43. 久保三郎

    久保委員 国鉄自動車の企業方針というものが、鉄道の先行、代行、短絡、培養という四原則であるようでありますが、そのほかに、ただいま中村常務理事からお話があったように、鉄道の独占的な地位も薄らいできたというので、これに応じたものをやらなければいかぬ。その中で、たしかこの調査会から答申がある前提は、国鉄もそういう時代だから、国鉄自動車そのものも、鉄道の自衛手段としてやるべきではないか、進出さすべきではないかという前提があったと思うのであります。そうだとすれば、運輸省自動車局長はこういう問題について今日までどう考えておられるか、これをお尋ねしたい。
  44. 國友康弘

    國友政府委員 国鉄自動車に関しましては、鉄道事業に関連する自動車運送事業という概念で、日本国有鉄道法に規定されております概念で、今道路運送法上承認を受けておるわけでありますが、国有鉄道鉄道事業運営自体の防衛という意味で国鉄バスを運行するということにつきましても、われわれとして検討を加えてはおりますが、要しまするに、バスの事案につきましては、個々の具体的な事案々々によって検討を加えておりますので、あらゆるいろいろな状況に関しまして検討を加えました結果、防衛的なものにつきましても免許される場合もございますが、これは国有鉄道事業に関連いたしまして国鉄バスを許していいかどうかというようなことを判定いたしまして、運輸審議会に諮問して措置をしておるという状況でございます。
  45. 久保三郎

    久保委員 この経営調査会の答申によりますれば、今のような性格変更によって、貨物の路線運行の方は民間に移管するというか移譲する、こういう建前がいいだろう、ただし旅客路線については、中距離運転あるいは急行バスの設定、こういうようなことをやって、鉄道自動車の機能を結合するという観点からそういうものをやれ、こういう方針が出ている。特に、その中で自動車高速道路の建設、こういうものにからんでは、特にその路線に対しては国家的な企業である国鉄バスが中核となってやるべきであろう、こういう答申が出ているのでありますが、運輸省自動車局長としてはどういうふうに受け取られておるか、これを一つ
  46. 國友康弘

    國友政府委員 国鉄バスの運営につきましては、いろいろな問題があるわけでございますが、私の考えといたしましては、たとえば東京—大阪間に高速自動車国道が建設されるというような場合に、現在の国鉄鉄道事業との関連も考えますと、このような場所におきまして国鉄自動車を運行させるというようなことに関しましては、当然考慮すべき点だと考えておりますが、その他の中距離バス等に関しましては、やはり先ほど申し上げましたように、個々の具体的な場合々々に応じまして判断をしなければならないと思いますので、ここでどういうものについてはこういう措置をするとかいうようなことを申し上げるまでの方針には立ち至っておりません。
  47. 久保三郎

    久保委員 それでは、その問題について国鉄当局はどういうふうに考えられておるか、お伺いしたい。
  48. 中村卓

    ○中村説明員 高速専用自動車道路というようなものにつきましても、国鉄バスの経営方針につきましては、われわれといたしましては、ただいま先生からもお話がございましたように、事情が許せばぜひやっていきたいというような方針でございまして、たとえば関門国道ができましたときにもそういうことをお願いして、あそこでは国鉄バスも民間バスと一緒に動いておるわけであります。将来の問題といたしましては、国鉄バスの重要な行き方の一つといたしまして、ぜひそういうふうに考えていきたいと思っております。
  49. 久保三郎

    久保委員 ところが、現実には、国鉄自動車というのは、今日の国鉄経営合理化のしわ寄せがみんなきている。しかも、国鉄自動車は、国鉄の中でも独算制でやられておる。そのために相当生産性向上がなされていることも事実であります。ところが、今、中村常務理事お話しのような方向ではあまりないようです。たとえば今の国鉄経営を合理化する。特にレールの合理化の片棒をかつぐ、いわゆる代行というものが主体になって、なるほどその面では国鉄経営改善にもある程度役に立つかもしれない。今日の国鉄バスを独算制の中に閉じ込めておいて、そういうことをやらせること自体、国鉄バスの犠牲の上において、国鉄、いわゆるレール側の経営合理化をはかるという方向が最近は強いと思うのであります。たとえば非採算線区のレール撤廃問題、あるいは集約輸送の問題、こういう問題は、なるほどレールそのものの合理化には若干の利益があるかもしれないが、それはすべて国鉄バスの犠牲において築かれているのではなかろうかと思うのであります。今日、もちろん、国鉄バスの経営自体を見れば、約十億前後の赤字が毎年あるということでありますが、その赤字を節減しろといっても、国鉄自体が伸びるところがない。しかも、レールの合理化のために犠牲になっているということが重点では、残念ながら、国鉄バスの経営の合理化というか、好転はとても困難だとわれわれは思うのであります。こういう方針は理事会できめるのでありましょうから、理事会では国鉄バスはどうしようとするのか、明確な御答弁をいただきたい。
  50. 中村卓

    ○中村説明員 ただいま御質問のありました点につきましては、実は最後的な結論はまだ理事会としては出てないわけでございますが、大体議論いたしましたこと、それから今先生が御質問になりましたことに対する見解と申しますか、そういうことについて申し上げてみますと、確かにバスは相当独算制を、特に鉄道よりも早くから施行いたしまして、かなり努力はして参っておりますが、そのせいか、今先生からもお話がございましたように、生産性も上がっております。しかしながら、残念ながら、一方において赤字が出ていることも事実でございます。ただ国鉄自動車の方にその合理化のしわ寄せがいくという見方については、われわれとしては必ずしもそう考えてないわけでございます。たとえば代行のような場合にも、それはただいま建設線の自動車代行ということをもちろん考えておりますが、これは白棚線でレールを撤去したかわりにバスをやったという事例があっただけで、あとはまだ研究の段階でありますが、それにしましても、何もバスの方をいじめて鉄道が楽をしようというような考え方ではございませんので、国鉄バスと鉄道とどっちをやった場合に一番鉄道として合理的な運営ができるかというような方向で考えておるわけであります。なお、私の記憶では、間違いがなければ、大都市付近における荷物電車とか、小口貨物やなんかの集約輸送につきましては、国鉄自動車の方も原価計算から見ましても損をしていないというふうに記憶しております。いずれにいたしましても、バスはバス、国鉄自動車国鉄自動車で、そのワクの中でできるだけ合理化をやるということはもちろんでありますが、国鉄といたしましては、鉄道自動車も含めまして、全体として合理化を進めていくという方針で、何とか国鉄経営の健全化をはかっていきたいという方向で考えておるのであります。
  51. 久保三郎

    久保委員 なるほどあまり損はかけていないということでありますが、損はかけていないということと、もうけさせないということとは別だと思うのです。というのは、先ほど私が申し上げて、あなたもその通りということで御同意になった、いわゆる発展策というものは一つ考えられていない。なるほど荷物電車の代行ということでは、原価を割るようないわゆる悪いものはやっていないと思うのです。これは当然だと思うのですが、しかし、それだけでは国鉄ハス全体を考えた場合におかしいじゃないか。そのために車両なり人間なりがそっちにとられて、片方の発展するような策については運輸省もあまり固定した話はしていないが、国鉄自体もあまりはっきりしていないということで、国鉄バスはどこへ行くということになると思うのです。だから、この際むしろ、国鉄バスの実態はどうなんだ、しかもどうしたら発展させられるのか、経営を好転させられるのか——単なる経営合理化でやっても限度がある。経営合理化を私はてっぺんから反対しませんけれども、発展策そのものを考えないで合理化をやってもどうにもならぬと思うのです。これは国鉄全体にも言える言葉ですが、これについてどうなんでしょう。
  52. 中村卓

    ○中村説明員 先ほど若干説明が足らなかった点もありましたので、ただいまの御質問と同時にお答えいたしたいと思います。  国鉄自動車、特にバスにつきまして発展策があるかないかというお話でありますが、これにつきましてはいろいろと中で、最終的な結論ではございませんけれども、相当有利なところヘバスとしても伸びていくべきじゃないかというような議論は相当やっております。特に民間バスとの競合問題がありますので、実際問題としてはなかなかむずかしい問題のようであります。いわゆる都心乗り入れというようなことをやっておるところは、ほとんど国鉄バスはございませんので、その点につきましても、運輸省の方にもお願いして、できたらやっていきたい。それからまた団体貸し切りというようなものにつきましても、いろいろ国鉄バスの性格上の問題があるようでございますけれども、これにつきましてはもう少しり自由にやって、経営活動をフリー・ハンドでやらせてもらいたいというような気持を持っております。そういう面において大いに新しい方向を考えると同時に、片一方において経営の合理化ということを考えて、両方相まって国鉄バスの経営の安定というような方向へ持っていきたいように考えておる次第であります。
  53. 久保三郎

    久保委員 國友局長にお尋ねしますが、貨物の共同輸送というのを東北線等でやっておりますが、これも非常に制約があるので問題が多いと思うのであります。なぜこういう制約をつけたのか、これについて一つお答えいただきたいと思います。
  54. 國友康弘

    國友政府委員 東北線の共同輸送に関しましては、国鉄鉄道事業の方の経営合理化という見地から、国鉄のトラックにある程度の仕事を分担させるという形で考えられたわけでございますが、これにつきましては、既存の東北の道路を走っております路線トラック事業者とのいろいろな業務の上においての関係等も考慮いたしまして、ことに運賃といたしましては鉄道のレール運賃を取っておりますので、鉄道によって運ばれる荷物を運ぶという建前をとったわけであります。
  55. 久保三郎

    久保委員 鉄道によって運ばれるべきものをトラックで運ぶということであるから制約したということでありますが、それ以上を制約しておるということではないのです。その中で制約しておる。たとえば、同一路線の中で中間駅から中間駅への荷物も、これは制約されている。これは既存業者に何らの影響を与えるものではないのです。そういうことをやることによって、既存業者は利益が与えられている。実際は損はしないですね。だから、本来ならばそういう制約は、あまりにも何というか、国鉄だ、いわゆる国営企業だということで、民間企業にあまりにも卑屈になった形ではないかとわれわれは考えております。公正な競争というのは、同じ立場に置かれねばならぬと思う。民営企業であろうが、国営企業であろうが、同一レベルにおいて公正な競争をさせるのが建前だと思う。国営なるがゆえに不利な立場に置かれるというのは、今日の情勢には合わぬと思う。先ほどお話しのように鉄道の独占性がなくなってきたというときにおいては、これは当然考えられてしかるべきだと思うのですが、どうでしょう。こういうものは改善すべきだと思うのですが、いかがでしょう。小さな問題ですが……。
  56. 國友康弘

    國友政府委員 現在東北線で行なわれておりまする共同輸送に関しましては、これは一般の路線トラック事業とは違いまして、先ほど申し上げましたように、鉄道によって輸送された荷物を輸送するという制約があるわけでございます。これらの点に関しましては、今、久保先生、公正競争ということもおっしゃったのでございますが、路線トラックと対等の立場において国鉄が路線トラック事業を経営するということではございませんで、この場合は、補助的な手段として国鉄のトラックが鉄道で輸送された貨物を輸送するという形をとっておりまして、私ども、この制度を実施いたしますときに、運賃の面等でも計算をしてみたのでございますが、今、久保先生が例に引かれました中間駅から中間駅へのトラック輸送等におきましては、これは純然たる路線トラック事業の方が運賃が安いのでありまして、むしろこれらのものに関しましては、常識的に申しますれば、路線トラック事業の方に移るはずのものなのでございまして、われわれは、そういう面におきまして、その数量は、あっても僅少なものであるということを考えまして、やはり路線トラック事業と、国鉄の行ないまする共同輸送のこの事業との間に、分界をつけたという点なのでございます。
  57. 久保三郎

    久保委員 運賃が安いということならば、制約は少なくても、お客は安い方へ流れますから、ことさらに制約をつける必要は、実際においてないのではないか。それから、鉄道の代行というか、そういう形でありますから、鉄道の窓口に持ってきた貨物は鉄道で運んでやって、それでしかるべきだと思います。安い高いはお客さんが選定すべきであって、運輸省なり何なりが免許基準に制約を加えるべきではないと私は思うのであります。これは小さな問題でありますが、いずれにしても、もう少し広い視野から考えてもらう必要があると同時に、これは國友局長にも後刻御提出をいただきたいのでありますが、国鉄自動車というものの今後の方針はいかがあるべきかということについて、一つ論文を出していただきたいと思うのであります。これは国鉄当局にも一つ出していただきたい。よろしゅうございますか。  それから次には、国鉄バスの経営について、最近五カ年計画といいますか、三十三年からおやりになっていると思うのでありますが、これはあとでけっこうですから、資料を出していただきたい。三十二年に策定して三十三年からおやりになっていると思うのでありますが、整備計画というか、そういうものがあると思うのであります。それを出していただきたい。  そこで、三十五年度の国鉄バスの業務計画というものが最近発表されているようでありますが、これはまことに、先ほど中村常務理事に私から申し上げた苦悩がここに出ておると思う。こういう苦悩について、どういうふうに考えておられるか、これも一つお尋ねしたいのでありますが、時間もございませんから、これは後刻こういうものとつけて、文書で一つ御提出をいただきたいと思う。  そこで、具体的な問題を一つだけお伺いしたいのでありますが、最近われわれの方といいますか、国会の方へもだいぶ陳情というか請願がございますのは、国鉄自動車の乗務員の中で、臨時雇用員というものがたくさんおる。臨時雇用員というものは、これは今までの常識あるいはその他のきまりからいけば、当然季節的な雇用員であろう、それから単純労務者であろう、こういうふうに考えておったわけです。もちろん臨時雇用員は、国鉄全体で相当な数がおるわけです。一国鉄のバスだけじゃないのですが、ただ、今われわれの方に、国会に請願が出ておるものを見ますと、いわゆる乗務員に臨時雇用員がある。もちろん十和田線のように、半年ぐらいしか運行しないで、半年休止というところのものは、これはまた別だと思うのでありますが、二年あるいは三年も臨時雇用員のままで、責任ある仕事をしておられるというのが多いという話であります。これは国鉄全体の予算定員というか、そういうものもありましょうから、なかなか困難な問題だと思うが、少なくも、監督者から離れて第一線で働く乗務員が、臨時雇用員の立場では、完全な仕事をやらせるわけには参らぬではないか、同時に、それはあまりにも過酷であろうということが言えるわけなんです。これに対してはどういう措置をとろうとしておられるのか、一つ中村常務理事からお答えをいただきたいと思います。
  58. 中村卓

    ○中村説明員 国鉄自動車が使っております臨時雇用員につきましては、大体ただいま久保先生からお話があった通りでありまして、もともと、発生いたしましたのは、十和田線のような、季節的な運行をやるという必要上から発生したわけでありますが、その後だいぶこれが固定化いたしまして、現在相当な数に上っておるということは事実でございます。これにつきましては、われわれの方といたしましては、年々いわゆる国鉄職員化という方針できたのでありますが、たまたま昨年度は、権限を下へおろしてしまったというようなこともございまして、それがスムーズにいかなかったということもございまして、われわれとしても非常に遺憾に存じておるわけでございますが、とりあえずの問題といたしまして、この間の特別退職の補充ということもございますので、ある程度まとまった数を近々に職員化いたしまして、相当古い、三年も長い間雇用員であった方は、全部職員になっていただくような方向で考えていきたいというふうに考えております。
  59. 久保三郎

    久保委員 近々のうちに古い者から採用していくということでありますが、大体今の要員配当の権限というか、そういうものにも問題がありはしないか、こう思うのです。今も中村さんおっしゃるように、支社長にそういうもののワクは全部おろしてしまったということでありますが、支社単位になりますと、残念ながら国鉄バスというものは非常に小さい存在になる。まあまあ本社の中であれば、一局をなしておるから、相当な発言権もあるだろうけれども、支社の場合は、これは事務所ですか、そういうものが一つでしょう、おそらく。そうなると、なかなかこれはむずかしい問題でありまして、要員の権限といいますか、そういうものも、いわゆるトップの方でコントロールしてもらうほかないだろう、そういう用意があるかどうか、あるいは今のままでうまくコントロールできるのか、これはどういうふうにお考えになりますか。
  60. 中村卓

    ○中村説明員 これにつきましては、支社長に権限をおろしましたけれども、この問題につきましては、非常に特典な問題でありますので、一応本社でコントロールしたい、こういうふうに考えております。
  61. 正木清

    ○正木委員 関連質問。中村さんにこれをお尋ねしていいかどうかわかりませんが、今、久保君が質問している臨時雇用員の問題ですね。実は私のところに、三日前に、北海道から大挙して出てきたわけです。会ってみますと、北海道の国鉄自動車関係の乗務員——車掌さんですね、職名は。これは札幌鉄道教習所を出ている職員です。よろしゅうございますか。この札幌鉄道教習所に入所したときのそこの所長さんのあいさつは、一口に言うと、君たちはこの教習所を出て職場につくと、直ちに本採用になる、将来は国鉄の中堅幹部として働いていただかなければならない諸君なんだ、だから入所中はみっちり規律正しく勉強を十分して、世の模範になってもらわなければ困る、こういうことだったそうです。そうして教習所を卒業し、職場についたのが三十三年だそうであります。三十三年について、いまだに職員に採用していただかれない、一口に言うと、こういうのです。その人数は、北海道で臨時雇用という形で、いまだに車掌で本採用にならない諸君が二百九名あるそうです。そのうち十六名だけはこの教習所を出ておらないそうでありますが、あとの者は全部出ておる。何とかいっときも早く国鉄の本採用にしてもらいたい、北海道の例を引くと、こうであります。全国では千名ほどおるそうであります。私はこういうことが現実国鉄の内部であろうなどとは、正直なところをいって今まで夢にも知りませんでした。そこでこの機会にどういう考え方を持っているのか、一言お聞かせを願いたい。
  62. 中村卓

    ○中村説明員 ただいまの正木先生の御質問につきましてお答えいたしますが、確かに三十二年から——ただいま先生のお話では三十三年でございますが、私の方の資料では北海道は三十二年はございませんけれども、ほかの支社には三十二年の分もまだ残っているのがございます。     〔委員長退席、天野(公)委員長代   理着席〕 それでいろいろいきさつは過去においてありましたのですが、特に先ほど申し上げましたように、昨年度は部内的な事情もございまして、大体毎年三百人から四百人くらいずつ本職員に採用していたわけでございますけれども、昨年はそれがだいぶ減りまして、百を切ったというようなことで、よけい問題が深刻になってきたと存じておるのでございますが、本年は先ほども申し上げましたように、全部が全部一ぺんにというわけには参りませんけれども、相当の数は考えて職員化していきたいというふうに考えておる次第でございます。従いまして、おそらく先ほど申し上げました三十二年採用と申しますか、三十二年から働いてでいただいている方々は一応全部職員になると思いますが、三十三年から働いていただいている方々は、全部が全部ということは、ちょっとただいまここでは申し上げかねる。もう少しそういうワクがふくらみませんと、三十三年の採用の方は全部が全部それはできないという段階でございます。
  63. 正木清

    ○正木委員 それでは重ねてお聞きしますが、あなたの今のお答えは、三十二年度に採用した者は本年度は全部本採用になる、そうしてさらに三十三年度の一部も本採用になる、漸次この問題は本採用に持っていって問題を解決するのだ、こう考えてよろしゅうございますか。
  64. 中村卓

    ○中村説明員 大体そういうふうに考えておりますが、ただ問題は、さらにその裏に、職員化する場合に、職員としてやめていく方の補充の採用という形で採用する場合もございます。そういたしますと、今までの現有勢力で仕事をやっていくという建前に立ちましても、やはりまた新しく職員を採用しなければいけないという問題が起こってくるわけです。たとえば全部で車掌が四千人のうち、五十人なら五十人年度末にやめた。そうしますとその五十人は当然今まで使っている臨時人夫の車掌の中から職員にする。その点からある程度職員化しなければいけないということで先ほど御答弁申し上げたわけですけれども、どちらにいたしましても、そのやめた五十人につきましては、やはり新しく臨時人夫として採用していくというので、中身はどんどんと申しますか、ある程度職員化して参りますが、当分の間臨時人夫、国鉄バスにおける臨時人夫というものは解消はしないということだと思います。
  65. 久保三郎

    久保委員 解消しないというのは、年間を通じて。使わなければならぬ人間が臨時雇用員としてあるわけですね。それが解消しないという意味ですか、それとも季節的なものはあるということですか、どちらです。
  66. 中村卓

    ○中村説明員 季節的なものはもちろんこれからもずっと恒久的にやっていきたいと思っております。年間通じて働いていただく臨時人夫の方々も、一ぺんに先ほど申し上げたように全部解消するということはなかなか困難なので、とりあえずの問題といたしましては解消しにくいという意味で申し上げたわけでございます。
  67. 久保三郎

    久保委員 これは一般に言われておったことでありますが、ただ単位が小さいので、国鉄バスは特に窮屈だ。それからもう一つは、仕事の性質上ほかの臨時人夫とこれは全然性格が違うという二つの面があろうかと思います。そこに大きな問題がある。そこで国鉄の大幹部に申し上げておきたいことは、最近の傾向は、どこのセクションでも、業務量が増加しても、人間だけはお前の方の現有勢力でまかなえるならいいぞ、これは列車の増発にしてもしかり、バスの増発にしてもしかり、こういうことを言っているわけですね。これは少し考えなければいかぬ。というのは、業務量が増加すれば人間がふえるのはあたりまえです。合理化といっても限度がありますからね。そこで、押えていくというのは非常にこそくなやり方だと私は思うのです。人件費はこういうふうにあまりふえません、業務量がこんなにふえました、なるほどそれから割り出すと生産生は非常に向上しておるわけです。しかし実際は、人件費の外の人件費というのがございますね。だからあからさまに経営をつかむのには、臨時雇用員という存在はあるべき筋合いではない。季節的なものは別ですよ。常時使わなければならないものです。一台の車両に一人の営業掛は当然乗せなければならぬ。実際は臨時雇用員ではないのです。そういうものを切っておくということに、国鉄経営者は自分経営を何か世間から隠蔽しているように思うのです。もう今日の時代は、そういうこそくな千段を使って、成績が上がったの下がったのという時代ではなくて、むしろこういう実態だということを、世間にも内部にもさらけ出すのがほんとうだと思うのです。そういう意味で、先ほど正木さんからもお話がありましたが、今日の、特に国鉄バスの営業が主体だそうでありますが、臨時雇用員は早急に解消すべきだと思うのです。現在、大体大まかに言って約九百名ほどあるそうですが、この九百名を本雇といいますか、正規の職員に登用するのには、大よそどのくらいかかる予定なんですか。
  68. 中村卓

    ○中村説明員 現在の状況で考えてみますと、二年ないし三年くらいかかるのじゃないかと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、あと新しい車掌を採用していくので、全部完全に解消するということはなかなかむずかしい。これは国鉄の職員全般の増員の問題でございます。これにつきましては、毎年度予算の編成のときに、関係御当局にいろいろお願いするわけでございますけれども、三十五年度につきましては、新幹線の関係の要員増が千三百五十ですか、認められただけでございまして、一方その他のいわゆる業務量の増に対する要員増ということは、予算的にもお認め願えなかったという段階なので、全般の中から、できるだけ仕事を合理化しながら、ある程度こういうものを考えていかなければならないという段階なので、一ぺんに全部解消させるということは相当むずかしい段階である、そういう状況でございます。
  69. 久保三郎

    久保委員 当局にお願いしたのに、どうも言うことを聞いていただけなかったということで、大へん残念だと思うのですが、御案内の通り国家公務員あるいは五現業、そういうものも今定員法を撤廃しようという気運が——来年からか、ことしからか知りませんが、そういう気運がある今日でありますから、国鉄はもう少しふんばるべきだと私は思うのです。臨時雇用員を採用するというのが基本方針になりますか。あとまでまだ残りますというのですが、基本方針を聞きたいのです。臨時雇用員をまたどんどんあとから雇っていく、そういう形を存続するという御方針なのですか、それはいかがでしょう。
  70. 中村卓

    ○中村説明員 方針と申しますと、ちょっと語弊があるかと思いますけれども、片方におきまして、先ほど申し上げましたように、できるだけ業務量に応じた予算定員なり何なりを獲得するように努力いたします。こういう変則な、特に恒久的に臨時人夫を使うということは、われわれとしても決して望んでおるわけではございません。できるだけ解消する方向で努力したいと考えておりますが、一、二年のうちに全部が全部なくなるということは、ちょっと責任を持ってお答えできないという段階であります。
  71. 井岡大治

    ○井岡委員 今のお話は、結局臨時雇用制度というものを解消するという建前でなくて、依然として存置しておくという建前なんです、あなたの言うことは。ということは、事業の絶対量を確保していかなければいけないのでしょう。ですから、事業の絶対量を確保していく、さらに拡大をしていくわけですね。従って、その拡大に伴ってやはり人員を採用していかなければいけないわけです。ところが、現在の定員というものはあまりふくれない。だから今の考え方というものは、その補充程度をやっていくという考え方なんでしょう。ここにやはり問題が残るのです。あなたがこういう重要な仕事をしておるのだから臨時雇用制度を廃止するという建前をとるならば、なるほど本年においては増員を認められなかったから多くは期待することはできない。しかし、臨時雇用制度というものはいけないんだ、だから年度別に当然こういう計画をして、そうしてこれだけを入れるというかまえをあなたがここで言わない限り、依然としてやはり臨時雇用員というものは何ぼでもふくれていくというのです。欠員を補充するということだけです。
  72. 中村卓

    ○中村説明員 私が申し上げたのは、必ずしもそういう結果になるということを予想して申し上げたのではないのでございまして、方針といたしましてはやめたいということなのでございますけれども、それがたまたま来年度、たとえば五百なら五百必ず職員化するということをここでお約束申し上げますと、これはまた相当ほかの方面に影響がございます。場合によりましてはすでに開業しているバス路線をやめなくちゃいけないというような問題にもなりかねませんので、方針といたしましては、少なくとも漸減していく方針でございますけれども、一ぺんにこれはできないのだということを申し上げているわけです。
  73. 井岡大治

    ○井岡委員 私はここで来年度五百にするとか千にするとかいう言明をいただこうとは思わないのです。思わないのですけれども、現在のような自動車行政、しかも、雇用の際には何か下の方にまかしてしまって、お前のところで採用するなら勝手に採用せよという方針でやっておられるでしょう。人件費はふやせない、押えられているでしょう。こういう制度でなくて、自動車というものを将来伸ばさなければならないのだということになると、まず自動車を伸ばすためにどれだけの人間が要るということをきめるべきだ、こう思うのです。そうして、きめて、何年の間に逐次これは必ず本採用にするのだという年次計画を立てない限りいけない。私はきょうあすに五百名とか千名とかいう要求をあなたにしているのではない。年次計画を立てて、一年なら一年、半年なら半年臨時でやってもらうけれども、それ以後は必ず本採用するのだという計画を立てなければだめだというのです。いずれの場合でも、臨時雇用制度を廃止して本採用制度にしようとするならば、その年次計画を立てるべきだと思うので、あなたの方でお立てになるかと言っているのです。立てておやりになる御意思があるかどうかというのです。そうでないと、臨時雇用制度というものはいつまでたってもなくならないのです。
  74. 中村卓

    ○中村説明員 ただいまの御質問でございますが、もちろん私の方では計画を立てる意思はございます。それから、今の先生のお話でも、一年なり半年なりやはり本採用を前提としての臨時雇用員というものは残ることになると思うのでございますけれども……。
  75. 井岡大治

    ○井岡委員 いや、私は、こういう面接運輸に携わっている者の臨時雇用制度というものはいけないのだ、こういう一つの基本的の考えを持っているのです。しかも、私はいろいろなところでそういう話をし、またそういうようにやってきた。だけれども、今のあなたのところの事情を知ったならば直ちにそうもいかないだろうから、私はそれを言っているだけです。だから、あなたの方で年次計画を立てる、こう言われるなら、あなたの方で立ててもらったものをわれわれにお示しいただいてまた検討するということにし、またわれわれが組合と十分相談してもよい、こう思うのです。しかし、その年次計画を立ててやるところまで踏み切らない限りこの問題は解決しない、こう言っているのです。この点はどうかというのです。
  76. 中村卓

    ○中村説明員 その点はお説の通りでございまして、先ほど申し上げましたように立てます。
  77. 久保三郎

    久保委員 ここで最終的結着を出そうといってもそれは無理だと思うのでありますけれども、今各委員から言われますように、特殊な形態をやはり先に考えないと問題が間違うと思うのであります。予算がなければ先に延ばしておいてもよいというような仕事なら臨時雇用員制度もよいのでありますが、しかし、先に延ばせない、もう一つは、さっき言ったバスの発展策を考えるならば当然業務量を多くしなければならぬ。多くすればその裏づけになる人間考えなければならぬ。こういう問題をからめて考えてもらわぬといかぬのでありまして、ここ二、三年国会の焦点に立っているのはレールである。だからレールさえよくなればあとはジリ貧でよいというようにとれる面もあるのです。これは残念ながら理事会というか、トップ・クラスで考え直してもらわぬと因るのです。だから、さっき言ったようなことになります。職員問題ばかりでなく、全体的にそういう傾向がある。ところが、先ほどお話があったように、昭和二十四年ごろから独算制を強行してきている。独算制を強行している裏は、この職場を守らなければならぬということで、一つの営業所単位で、管理者側といい、あるいは職員側といい、そんなものは取っ払って今日までやってきたのです。ところが、最近になると、どうも国鉄は全体から見てレールの方に焦点がいって、バスの方には冷たい風がそよそよと吹いてくるというようにとれるのがこの臨時雇用員の問題ではなかろうか、こういうふうに従業員諸君はとっているではないだろうか。それであっては大へんだということで皆さんからもお話があるのでありますから、臨時雇用員制度をこの際全部やめろということも無理でしょうが、現在臨時雇用員が長期にわたっていること自体問題だということでありますから、これは早急に解決していただきたい。ここで数字をどうのこうのということはできないでありましょうが、そういう職員の立場を十分考えながら要望にこたえられるようにやってほしいと思うのです。どうもそうではなくて、先ほど言ったように、業務量をお前の方が勝手にふやしたのだから人間も勝手にお前の方でまかなえ、それじゃ臨時雇用員だというような安易なことが積もり積もってこの九百名ということになっていると思うのです。やはりこういうものを解決してほしいと思うが、解決するというのですからあと別に文句を言う筋合いもありませんのでこの辺でやめますが、国鉄バスの報告書を出して下さい。片すみに追いやってしまってわからぬということで、どういう経営になっているのか、どういう実態なのか、今後の方針はどうあるべきか、こういう問題について中村さんの方から一つ白書を提出していただきたい。あと関連してまだ続いて正木さんがやるそうですから……。
  78. 正木清

    ○正木委員 今、久保さんからるる臨時雇用制度の職員の心の持ち方、それから国鉄本社の営業上のあり方で御意見があったわけですが、これは中村さんよく聞いてもらいたいことが一つあるのです。私は陳情団が来て事の意外に驚きました。なぜそういう事実があるのであれば早く私のところに来てくれなかったんだ、こういうような話をしたことがあるのです。それは大石常務があるいは北海道においでになったときか、あなたがおいでにならない前だったか、私は記憶ないのですが、こういう珍事があったのです。北海道に中央バスという一番大きなバス会社があるのですが、そこの女の車掌、それは女の子供です。それがお客さんが手荷物を持ってきて、手荷物を車内に持ち込むとき料金を取るそうですよ。料金を取って車内に持ち込んだその女の子が運転台のそばに置いた。それが爆発した。それは中身が何だというとなまフィルムだった。ですから先に車内に乗り込んでいったお客さんが二十何名であったと記憶しておりますが、これは車内でまる焼けになった珍事が起きたわけです。私、偶然にもそのとき札幌駅におりまして、その現場へ飛んでいって、事の意外に驚いたのですが、私はやはり機関車の乗務員であろうと、バスの乗務員であろうと、やはり精神上の問題というものは、これは十分考えてやらなければいけない。私、この話を陳情に来た諸君にしたのですが、先生、それは心配要りません、そういう危険物はもともと持ち込んではいけないことになっているのですから、われわれはそういう点については十分注意しておりますから、その点だけは御安心を願いたい。さてこそさすがは教習所を出ただけあるなと思って内心私は安心をしたのですが、やはりそういう点も考え合わせてみると、やはり鉄道教習所にあなた方は入所さして特別教育をしているのです。その若い諸君を三年も臨時でほっておく。それは心ではないのだ。大蔵当局が定員増を認めないのだ。これでは中村さん、人を使えないと思うのだ。あなたは最高の常務理事になったからそれでいいかもしらぬが、一生国鉄で奉職しよう、しかも教習所に入所して特別教育を施して、三年も臨時でほっておく、今後もどうなるかわからぬというようなことでは、私は人を使えないと思う。国を治めたり、人を使うという人は、やはり使われる者の考えの上に常に心を配らなければだめですよ。ちょっとあやまって、あるいは不心得者があってなまフィルムとかその他の危険物を、本人は注意したつもりであっても相手方が不注意で持ち込んで事故を起こしたらどうなりますか。現実に札幌にあったのです。それがやはり十六、七の女の子ですよ。裁判の結果は、結論から言うとどういうことになったか。持ち込んだ者の責任じゃなくて、その料金を取って持ち込ました会社側の責任だ、こういう結論になったわけです。私、こういう点も心配するわけです。しかし御安心を願いたいことは、私のところへ来たその子供たちは、それは先生、心配しないでいいのだ、もともとそういう危険物は持ち込んでいけない規則なんだ、私どもも注意しますから。どうです。あなたのところの部下は、そこまで精神ははっきりしている。していないのは上の方だけなんです。ですから、この点はあなた十分考えてもらいたい。
  79. 久保三郎

    久保委員 だめ押しするわけではありませんが、先ほど正木さんの御質問に対して三十二年のものは全部やるが、三十三年のものは全部というわけには参らぬというようなお話ですが、そうですか。
  80. 中村卓

    ○中村説明員 大体三十二年度の採用の方々は全部予定でございますが、とりあえずは三十三年度は大半はやるつもりでございますけれども、全部が全部というわけにはちょっと参りかねると思います。
  81. 久保三郎

    久保委員 そういうこまかいことをここでお聞きするのは非常にうまくないかと思うのでありますが、いずれにしてもそれを了解するわけではございませんが、先ほどから正木さん、井岡さんからもお話があった通りですから、基本方針により近い線で、それは両方お互い協議という場所もございましょう。円満に協議をして、この問題を早急に片づけてほしいと思うのでありますが、時期はいつのことになりましょうか。
  82. 中村卓

    ○中村説明員 ただいまできれば今月一ばいくらいに話をつけたいと思います。
  83. 天野公義

    ○天野(公)委員長代理 次会は、委員長の指定によりまして、来たる十三日水曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十七分散会