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内海(清)
委員 今承りまして、先ほど申しましたように、
ニューヨーク航路には
わが国の
優秀船のほとんど全部が投入されておる。で、御
承知のようにその
関係航路も合わせますと、全
定期運賃収入の四六%は大体
ニューヨーク航路であげておると思うのであります。こういう
航路に
混乱が起こると、
海運に対しまする打撃が大きいことはもちろんでありますけれ
ども、現在伸びつつあります
わが国の対
米輸出の将来にも甚大な
影響があると思うのであります。これに対しましては、
一つ政府といたしましても確たる
安定対策を立てて対処していただきたい。同時にこのことが、また
わが国の
海運界のいわゆる
国際競争力を
強化することにも相関連してくると思うのであります。
次にお尋ねいたしたいと思いますことは、最近いろいろ問題になっておりますことは、
国内船と
輸出船に対する
利子負担の問題が
論議されておるのであります。この問題に対しましては、私
どもはきわめて冷静に対処しなければならぬ問題である、かように
考えておるのでございます。すなわち、今後特に
貿易の
自由化の問題に関連しまして、一そう
わが国海運界の
国際競争力を
強化培養しなければならぬ、そうして
貿易振興と
外貨の
獲得をはからなければならぬことは言うまでもないことであります。ところがまた一面から申しますと、これもすでに御
承知の
通りに、
昭和三十二年以来
単一品目といたしましては常に
輸出のトップを続けております、しかも
世界一の
造船技術を持っております
わが国におきまして、さらに
外貨獲得の面におきましては最も
貢献しておる
わが国の
輸出船の問題、これもまた軽視するわけにはいかない問題である、こう
考えるのであります。
そこでこの際、ごく簡単に
造船界の問題に触れてみたいと思うのでありますけれ
ども、
ロイド船級協会の集計によりますと、
昭和三十四年の
国内船、
輸出船を合わせた
造船高は、
日本が百七十一万総
トンを進水しておりまして、
イギリス、西独を押えて
世界の
首位に立っておるのであります。まさに
世界一の
造船国といわれておるわけであります。また
昭和三十四年の
わが国におきまする
輸出の
通関実績によりますと、この
船舶だけで約三億六千七百七十三万ドル、こういう
輸出をいたしております。これもまた、先ほど申し上げましたように
輸出品日中の第一位でありまして、実に一〇・六%、第二位の綿織物が八・四%、第三位の鋼材が七・三%でありまして、これらをはるかに凌駕しておる
状況であります。しかも
昭和三十二年以来常に
首位を歩み続けておるのであります。また特に一九五八年におきましては、
世界の
各国の
造船所の
完工順位を調べてみますと、
世界の十五位までをとってみまして、
わが国が実に第一位、第二位、第六位、第八位、第十一位、第十二位と、
わが国の六
造船所がここに入っておるのであります。ところが
わが国の
造船業も、これまた御
承知のように、
海運界に次ぎまして最近
市況の低迷の脅威にさらされておるのであります。今日
世界の
造船界は、三十四年以来実質的にはわずかながら持ち直したといっておりますけれ
ども、引き合いもきわめて少ないのでありまして、最も激しい
競争が行なわれておるのであります。特に
わが国の、年間百八十万総
トンといわれております
造船能力の
現状から
考え、さらに
世界に誇りますこの
造船技術を持ちながら、きわめて脆弱な基盤の上に立っておるのが
造船界の
現状であります。
わが国の
造船業を
育成強化することも、これまたきわめて重要なことであると思うのであります。これに対しましても
政府はすみやかに確固たる
安定対策を確立することが最も喫緊の百要務と
考えるのであります。もしこれを怠る、かようなことがありますならば、御
承知のように
造船界は今日までもきわめて起伏の多い業種でありまして、これをいよいよ困窮のどん底に追い込むことと相なると思うのであります。しかも、これは
わが国の
輸出能力の上に、さらにまた
国際収支の上に重大な
影響を与えますことは言うまでもないことであります。さらに
造船所の
従業員は今日約十四万人といわれております。これは下請も含んでおるわけでありますが約十四万人、
関連産業を加えますと約三十万人、家族を含めますと百万人に相なろうと思うのでありますが、これらの生活を脅かすきわめて深刻な
事態の発生が懸念されるのであります。私はこういう
造船の問題につきましては、いずれ機会を得まして十分に
論議をいたしたいと
考えておるのでありますが、こういうふうな
観点から見ましても、
わが国におきます最も重要な地位を占める、いわば車の
両輪のような
関係にありますこの二大
産業、すなわち
日本海運の
国際競争力の
強化という問題と
輸出造船との問題の間におきまして今日までいろいろ
論議されておるような問題がもし今後深刻に出てくるといたしますれば、これは非常な問題であると思うのであります。そういうことが起きるということは、これは一に
各種産業に対します
政府の
総合施策が欠除した、こういうことに相なると思うのでありまして、いわば政治の貧困というふうなことが言われるだろうと思うのであります。
そこで私は、この際強く
政府に申し入れたいと思いますことは、この両者の間に立ちまして
政府は十分な調整をはかるべきじゃないか、これが最も必要なことであると思うのであります。
政府のなすべき重大な仕事であると思うのであります。これに対します
政府の
所見はどうでありますか、
一つとくと承りたいと思うのであります。