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1960-03-29 第34回国会 衆議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十九日(火曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君    理事 川野 芳滿君 理事 關谷 勝利君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 土井 直作君       宇田 國榮君    原 健三郎君       村瀬 宣親君    島口重次郎君       下平 正一君    館  俊三君       正木  清君    内海  清君  出席政府委員         運輸政務次官  前田  郁君         運輸事務官         (海運局長)  朝田 静夫君  委員外出席者         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月十九日  東海道新幹線変更に関する請願外一件(飛鳥田  一雄君紹介)(第一四七八号) 同月二十六日  信越線改良及び電化による輸送力強化に関する  請願小川平二紹介)(第一六二八号)  信越、小海、中央東三線を結ぶディーゼルカー  運転に関する請願小川平二紹介)(第一六  二九号)  飯田線設備改良及び急行運転に関する請願(小  川平二君紹介)(第一六三〇号)  中央東西線ディーゼルカー運転に関する請  願(小川平二紹介)(第一六三一号)  下呂線敷設促進に関する請願小川平二君紹  介)(第一六三三号)  個人タクシー大幅免許に関する請願山口好一  君紹介)(第一六三四号)  同外二件(中村三之丞紹介)(第一七三六  号)  同(島上善五郎紹介)(第一八六六号)  同外六件(菊池義郎紹介)(第一八六七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一  部を改正する法律案内閣提出第九六号)      ————◇—————
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。  内海清君。
  3. 内海清

    内海(清)委員 私はこの利子補給法の問題につきましてお尋ねしたいと思うのでありますが、まず最初にお伺いいたしたいと思いますことは、御承知のように最近海運市況はだんだんと好転しておる。これに伴いまして、海運会社業績も漸次改善されつつあるといわれておるのでありますが、こういうふうな際に、この利子補給を実施するということについて、予算折衝過程におきましていろいろ論議があったように実は承っておるのであります。ことに新聞等にもいろいろ報道されておるのでありますが、この間につきましての政府所見をまず第一に承りたいと思うのであります。
  4. 朝田静夫

    朝田政府委員 ただいま御質問海運市況が少し上向いて参ったときに利子補給をすることはどうかという問題は、御指摘通り予算折衝過程におきまして、大蔵省と私どもの方との間で議論になった点でございます。そこで私ども海運市況の見方というものを折衝の際にも説明をしたのでございまして、昨年一ぱいの不定期船運賃状況といいますのはまことに悪いことは御承知通りでありまするが、ことに三十三年度、三十四年度を通じまして、世界最大不況、こういうようにもいわれておったわけであります。ただ昨年の十月にやっと世界不定期船運賃指数が八〇・四というふうに八十台に乗せたということから、今のような議論が出て参ったのでございます。この世界不定期船運賃指数と申しますのは、昭和二十七年を一〇〇といたして、それに対する指数でございまするので、八〇・四といっても必ずしもいいわけではありません。しかし三十三年度以降非常に不況が続いたときに、六十台から七十あるいは八十と、やっと八十台に乗せたということによって、そういう議論が起こってきたのであります。その後の推移は、十一月は八三・一、十二月は八二・五というように少し落ちまして、ことしの二月になりますと、再び七七・一というふう六下がって参っておるのでございます。最初利子補給制度を実施いたしました昭和二十八年初頭の七九・三ないし八五・六という指数と比較いたしましても、決して格段に好転しているわけではございません。また、世界の経済が今後好調を持続するから、海運も著しい好況には恵まれなくても、漸次好転するのじゃないかというような予算折衝のときの大蔵省見通しであったわけでございますが、私どもは、他の産業は好調でも、世界海運船腹需給、あるいは世界的な係船の量といったようなものもあわせて考えでみますというと、決して海運市況が根本的に改善されるとは考えられないということを印しておったのでありますが、はたして二月になりますと七七・一というふうに下落をして参っておるということでございます。何人といえども将来を予測することは困難でございますが、今申し上げましたなお千二百万トンからの世界係船があり、二千五百万トンからの新造船手持分がございます。これをあわせて考えますと、今後海運市況の急激な上昇を望むことはむずかしい、私どもはこういうふうに考えておったわけでございます。この点につきまして、政・府部内においてもそういった考え方というものが是認されて、今度の利子補給復活ということになった次第でございます。
  5. 内海清

    内海(清)委員 海運市況の最近の状況といえば、必ずしも好転していないということでありますが、最近におきまする海運市況推移あるいはまたその見通しというものについて、もう少し詳しくお伺いいたしたいと思います。
  6. 朝田静夫

    朝田政府委員 ただいま申し上げましたように、昭和三十三年度は年平均六七・一、三十四年度は七一・九というように世界不定期船運賃指数はなっておるのでございますが、先ほど申し上げましたように、昨年の秋に八十台に乗せたものが、本年の二月に入りまして七七・一と下がって参っておりますが、これを少し詳しく申し上げますと、定期航路部門におきましては、特に最近の海運企業業績も少しは改善されておるという一つ原因になっておるのでございますが、定期航路部門におきましても好況が持続するかどうかという問題でございますけれども、その背後には、御承知のような、最近問題になっておりますニューヨーク定期航路の安定の上におきまして非常に暗い影が出てきているのでございますが、同盟の不安定なところに混乱のきざしが出て参っておりまするし、また米国のマリナー型の進出とか、あるいは日本造船所で作りまして、昨年年初に問題になりましたフィリピンの高速定期船の十二隻が一挙にこの秋ごろからニューヨーク航路に投入されるといったようなことが予想せられますので、決して定期航路の上におきましても楽観を許さないというふうに私ども考えておるのでございます。また先ほど申し上げましたように、世界係船量は千二百万トンもあり、毎年八百万トンからの新造船が投入されるというような事態考えてみますと、世界の海上の荷動き量船腹需給から考えまして、根本的に市況改善されるという事態になるのはなかなかむずかしいというふうに考えておるのでございます。
  7. 内海清

    内海(清)委員 そういたしますと、大体最近における業績のある程度の向上というものは主として定期航空経営改善ということであるようでありますが、ところが今お話しのような、わが国優秀船のほとんどを投入しておりますニューヨーク定期航路、これに多少混乱の兆があるというふうなことであります。その間の経過はどういうふうなことであるか、これを具体的に一つ承りたいと思うのであります。
  8. 朝田静夫

    朝田政府委員 今御指摘のように、ニューヨーク航路は、私どもが見ましても、あるいは海運の方から、あるいは貿易の方から見ましても、非常に重要な航路でございますが、このニューヨーク航路が最近安定を欠くような現象が起こって参ったということにつきましては、同盟に対しまして盟外船すなわちアウトサイダーというものが現われて参った。これはギリシャ系のマルチェシーニというアメリカ船主でございますが、同盟の決定いたしております運賃率よりもさらに下回る割引した運賃でもって盟外船配船をして参る。それに対しまして、欧州系同盟のメンバーでありますところのハーバー・ウィルヘルムセンという会社が、こういったアウトサイダーに対して制裁のできないような、いわゆる同盟に加入することも脱退することも自由であるような——オープン・コンファレンスと呼んでおりますが、こういった本質上弱い同盟に対してあきたらずという感じを持ちまして、こういう同盟にとどまっておっても仕方がないということでもって脱退の通告をして参ったのでございます。そこで、こういったようやく安定して、先ほども申し上げますような海運企業の中軸を叫なしますところの定期航路業績が漸次好転して参ったやさきに、貿易の面から見ましても海運の面から見ましても、最も重要な航路であると考えられますニューヨーク航路に再び昭和二十八年当時のような混乱が起きないようにということを、私ども念願をいたして参っておるのでありますが、こういう混乱をできるだけ回避して、同盟なりあるいは航路の安定をはかるということは、今申しまするように何よりも必要でありますので、これに対する対策といたしましては、同盟自体考えるべき問題であろうかとは思うのでございますが、従いまして、政府としては、各国とも同盟不干渉主義というものを堅持いたしております。わが日本政府といたしましても、こういった同盟商業活動に対しましては干渉をする意思も毛頭ないのでございますけれども、今申し上げますように、貿易海運の両面からながめて、非常に重要な問題でありますので、政府は重大な関心を持っておるのだということを公にいたしまして、日本船主に対しても、自粛外船船主との協調を要請いたしまして、航路の安定に努力をしてもらいたいということを過日運輸大臣から、ニューヨーク定期航路に従事いたしております九社の社長を呼んで、そのことを強く要請いたしたのでございます。また外国船主に対しましても、日本船主に対しましてはこういうことを申し伝えたので、その意のあるところを了として、内外船主ともに協力して航路の安定に努力してもらいたいということもあわせて申し入れておいたような次第でございます。
  9. 内海清

    内海(清)委員 今承りまして、先ほど申しましたように、ニューヨーク航路にはわが国優秀船のほとんど全部が投入されておる。で、御承知のようにその関係航路も合わせますと、全定期運賃収入の四六%は大体ニューヨーク航路であげておると思うのであります。こういう航路混乱が起こると、海運に対しまする打撃が大きいことはもちろんでありますけれども、現在伸びつつありますわが国の対米輸出の将来にも甚大な影響があると思うのであります。これに対しましては、一つ政府といたしましても確たる安定対策を立てて対処していただきたい。同時にこのことが、またわが国海運界のいわゆる国際競争力強化することにも相関連してくると思うのであります。  次にお尋ねいたしたいと思いますことは、最近いろいろ問題になっておりますことは、国内船輸出船に対する利子負担の問題が論議されておるのであります。この問題に対しましては、私どもはきわめて冷静に対処しなければならぬ問題である、かように考えておるのでございます。すなわち、今後特に貿易自由化の問題に関連しまして、一そうわが国海運界国際競争力強化培養しなければならぬ、そうして貿易振興外貨獲得をはからなければならぬことは言うまでもないことであります。ところがまた一面から申しますと、これもすでに御承知通りに、昭和三十二年以来単一品目といたしましては常に輸出のトップを続けております、しかも世界一の造船技術を持っておりますわが国におきまして、さらに外貨獲得の面におきましては最も貢献しておるわが国輸出船の問題、これもまた軽視するわけにはいかない問題である、こう考えるのであります。  そこでこの際、ごく簡単に造船界の問題に触れてみたいと思うのでありますけれどもロイド船級協会の集計によりますと、昭和三十四年の国内船輸出船を合わせた造船高は、日本が百七十一万総トンを進水しておりまして、イギリス、西独を押えて世界首位に立っておるのであります。まさに世界一の造船国といわれておるわけであります。また昭和三十四年のわが国におきまする輸出通関実績によりますと、この船舶だけで約三億六千七百七十三万ドル、こういう輸出をいたしております。これもまた、先ほど申し上げましたように輸出品日中の第一位でありまして、実に一〇・六%、第二位の綿織物が八・四%、第三位の鋼材が七・三%でありまして、これらをはるかに凌駕しておる状況であります。しかも昭和三十二年以来常に首位を歩み続けておるのであります。また特に一九五八年におきましては、世界各国造船所完工順位を調べてみますと、世界の十五位までをとってみまして、わが国が実に第一位、第二位、第六位、第八位、第十一位、第十二位と、わが国の六造船所がここに入っておるのであります。ところがわが国造船業も、これまた御承知のように、海運界に次ぎまして最近市況の低迷の脅威にさらされておるのであります。今日世界造船界は、三十四年以来実質的にはわずかながら持ち直したといっておりますけれども、引き合いもきわめて少ないのでありまして、最も激しい競争が行なわれておるのであります。特にわが国の、年間百八十万総トンといわれております造船能力現状から考え、さらに世界に誇りますこの造船技術を持ちながら、きわめて脆弱な基盤の上に立っておるのが造船界現状であります。わが国造船業育成強化することも、これまたきわめて重要なことであると思うのであります。これに対しましても政府はすみやかに確固たる安定対策を確立することが最も喫緊の百要務と考えるのであります。もしこれを怠る、かようなことがありますならば、御承知のように造船界は今日までもきわめて起伏の多い業種でありまして、これをいよいよ困窮のどん底に追い込むことと相なると思うのであります。しかも、これはわが国輸出能力の上に、さらにまた国際収支の上に重大な影響を与えますことは言うまでもないことであります。さらに造船所従業員は今日約十四万人といわれております。これは下請も含んでおるわけでありますが約十四万人、関連産業を加えますと約三十万人、家族を含めますと百万人に相なろうと思うのでありますが、これらの生活を脅かすきわめて深刻な事態の発生が懸念されるのであります。私はこういう造船の問題につきましては、いずれ機会を得まして十分に論議をいたしたいと考えておるのでありますが、こういうふうな観点から見ましても、わが国におきます最も重要な地位を占める、いわば車の両輪のような関係にありますこの二大産業、すなわち日本海運国際競争力強化という問題と輸出造船との問題の間におきまして今日までいろいろ論議されておるような問題がもし今後深刻に出てくるといたしますれば、これは非常な問題であると思うのであります。そういうことが起きるということは、これは一に各種産業に対します政府総合施策が欠除した、こういうことに相なると思うのでありまして、いわば政治の貧困というふうなことが言われるだろうと思うのであります。  そこで私は、この際強く政府に申し入れたいと思いますことは、この両者の間に立ちまして政府は十分な調整をはかるべきじゃないか、これが最も必要なことであると思うのであります。政府のなすべき重大な仕事であると思うのであります。これに対します政府所見はどうでありますか、一つとくと承りたいと思うのであります。
  10. 朝田静夫

    朝田政府委員 ただいま日本産業のみならず、世界的にも非常な重要性を持っておる日本造船、特に輸出船という問題についての御所見はその通りであると思うのでございますが、最近問題として起こって参りました事例が、すでに御指摘のような政策の矛盾をつかれておるというようなことでございます。御承知のように鉄鋼会社で、日本造船所外国船主から発注させまして、それを日本鉄鋼会社長期用船なりあるいは連続航海でもって外貨運賃を支払う、こういったことの方が鉄鋼合理化の上から見ましても非常にコスト・ダウンになるということから問題が現実に起こって参っておるのは御承知通りであります。私ども考えといたしましては、これは今御指摘になりましたように、日本造船というものが過去の実績におきましてもイギリス、ドイツをしのいで世界第一位にある、こういった重要な産業であり、国内的に見ましても輸出の第一位を占めております。こういった実勢を持続していかなければならぬというふうに考えておるのでございますが、今申し上げましたように日本で作りました、しかも輸出入銀行輸出金融を利用して作った船が日本海運との競争において非常に有利な立場になる、こういったことは一体どこの海運を助長、保護、育成しておるのかというようなきわめてむずかしい問題に逢着しておるのでございますが、私ども考え方結論を申し上げますというと、輸出船日本国内で建造いたします国内造船とが同じベースでそういった措置がなされなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。従いまして、スタートラインを同じところに置くということが最も基本的な考え方として妥当ではないかというふうに考えるのでございまして、日本海運国際競争力の上から見ましても、同じ政府関係機関輸出入銀行開発銀行金利の問題、あるいは市中銀行金利は御承知のように九分五厘、九分四厘九毛というような高率な、世界国際水準から見ても高率な利子の問題に結局は焦点が合わされなければならぬ、こういうふうに考えておるのでございまして、輸出船に対する手当国内船におきますところの手当というものを同じスタートラインに置いてもらいたいということが私ども結論でございます。
  11. 内海清

    内海(清)委員 先ほど申し上げました政府の、海運国際競争力強化ということ、造船育成強化ということ、これの基本的な考え方につきましては私は全く同感であります。この点を強く政府に推進していただかなければこの問題は解決しない、かように思うのであります。ことに先ほど申し上げましたように、海運造船というものは、これは車の両輪のような関係にあるもので、これが国内的に十分調整されなければ将来大きい問題を残すのじゃないかということを私は大へん懸念しているのであります。かような観点からいたしまして、今回の利子補給法案も、政府がこの問題に強く意を注がれた点もうなずけるのであります。従って私はこの利子補給法案の問題について若干お尋ねいたしたいと思うのでありますが、今回の法案を見ますと、従来ございました開銀に対する利子補給あるいは損失補償制度を廃止いたしまして、従前の制度よりも内容的にはむしろシビアになっておる、圧縮されておる、こういうふうに私は思うのでございます。さきに述べましたような輸出船金利問題あるいは貿易自由化に伴います競争激化等、こういう観点からいたしまして来年度の予算として約九億五千万が計上されておるのでありますが、この利子補給国際競争海運は対処できるのかどうか、また各国補助政策動向等から見まして、さらに徹底した措置が必要なのではないか、こういうふうにも私は考えるのであります。これに対しまする政府所見をお伺いいたしたいと思います。
  12. 朝田静夫

    朝田政府委員 ただいまの御意見の通り、今度の利子補給法改正法案として提出いたしておりまする点をお考えいただきますというと、非常に圧縮した感じを与えておることは仰せ通りだと思うのでございますが、開発銀行に対する利子補給規定も廃止をしたということの点にお触れになりましたけれども、これは従来開発銀行は御承知のように、一種の政府関係機関でございまして、その利益金は国庫に納付することになっておりますので、開発銀行に対しまして一般会計から利子補給をするということは不自然であるようにも考えまするし、また同行に対します。支払い利息軽減措置といったようなものは一般会計から利子補給をしないで他の方法で行なうのが適当かとも考えられるのでございます。このような考え方からいたしまして、従来開発銀行に対する利子補給補助金等臨時特例等に関する法律によりまして、開銀に対する利子補給を適用しないということにしておったのでございます。今回利子補給法改正が行なわれます際に、開銀金利の引き下げにつきましては、別途しかるべき手段を検討することといたしまして、法令の整備の意味をもちまして、こういった規定を削除いたしたのでございます。  そこで、第二の問題としてお述べになりました九億五千万円程度利子補給程度では、諸外国との国際競争において十分であるのかどうかという御質問のように承りましたが、この点につきましては、世界各国船舶を建造いたします際には、日本のように全部借金で船を作るというようなことはございませんので、御承知のように社内留保金とか、あるいは長期社債とか、あるいは株式の方法というようなものによって船舶を建造しておるのが通例でございます。しかも、こういったときの金利が大体各国とも五分ないし五分以下というような資金コストでございますので、こういう資金コストで作られた船と、利子補給をいたしましても、市中金利は七分五厘ということでございますから、十分国際競争に耐えていけると私どもは断言できないのでございます。従いまして、こういったお説のごとく、十分であるかどうかということに対しましては、私どもはこれで十分であるとは考えておらないのでございます。しかしながら、財政負担の限度もございまするし、わが国海運業におきましては、他国以上に企業努力をすることにいたしまして、また固有の優秀性を発揮いたしましのでございます。
  13. 内海清

    内海(清)委員 ただいまのお話によりますというと、これではなお十分でない、しかし、業者に対しても十分なる自粛企業努力を、両々相待ってこれをやりたいということでありますが、この点に関しましては、将来政府において十分なる確固たる安定対策を立てられなければ、再びこういう問題かやかましく論議されなければならないことになる、かように考えるのであります。  そこで次にお尋ねいたしたいと思いますことは、IMF統計によりますと、アメリカ、それからイギリス、あるいはノルウエー、スエーデン、オランダ、こういうふうな主要海運国は、いずれも海運収支におきまして相当の黒字を示しておりまして、国際収支に大きな寄与をしておると思うのであります。ところが、一方わが国におきましては、戦前すなわち昭和十一年におきましては、六千万ドルの海運収支黒字を出しておったにもかかわらず、今日においては常に赤字になっておるのであります。そこで現在のような赤字状態を脱して、海運による国際収支改善をはかる必要があると思うのでありますが、これに対しまする政府の方策をお伺いいたしたいと思うのであります。
  14. 朝田静夫

    朝田政府委員 今のお話のように、戦前日本海運貿易赤字を補って、十分日本海運としての国際収支貢献をして参ったということでございますが、最近の昭和三十一年、二年度あたりの海運だけの国際収支をながめてみますというと、今仰せになりましたIMF方式によりまする国際収支のバランスは、一億六千万ドルくらいの赤字運賃だけでもなっておったのでございます。そういったことがずっと続きまして、戦前のような、国際収支貢献をして余りがあるというような形になっておりません原因の大きな一つは、やはり貿易の伸びに対応して船腹が伸びていない、従いまして、日本船によりますところの積み取り比率が向上していないというところから出てくるのでございます。鉱工業生産指数が二五〇くらいになっておるにもかかわらず、現在わが国船腹は、内外航合わせましても五百八十万トン、こういうようなことで、戦前六百三十万トンを擁しておりました商船隊の戦前のレベルにもまだ総トン数において達しておらぬということから考えましても、鉱工業生産指数は二倍半以上にもなっておるというようなことからいたしまするというと、物の量と船腹の量の需給の、バランスからいいまして、日本船の積み取り比率が向上しないということが、国際収支におきますバランスを悪化させておる大きな原因でございます。従いまして、こういった貿易の成長と対応して、調和のとれた商船隊の整備ということも、国民経済の上から見て、なお今後とも続けていかなければならぬというふうにまず考えられるのでございます。  次に、こういった国際収支改善につきましては、企業努力ももちろんでございますが、主要な海運国におきましては、第三国の輸送に非常なウエートを置いておるわけでございます。イギリス、ノルウエーにおきましては五〇%以上もこのために船腹をさいておるようなことでございまするし、将来国際収支の面からいいますと三国輸送の奨励といったようなこともなお続けて参らなければならぬ。私どもは昨年三国輸送の航海助成の予算をお認め願ったわけでございますが、今後ともこういった幅の広い航権の伸張ということも考えて参らなければならぬ、こういうふうに考えておるのでございます。
  15. 内海清

    内海(清)委員 ただいまのお話によりますと、やはりこの問題につきましては第三国間の輸送の増強、こういうことが非常に必要である。このことは私どもさように考えるのでありますが、それによって十分赤字をなくしていくという方策を立てなければならぬと考えるのでありますが、現実に三十五年度におきまして三国間のこの輸送増強の問題、三国間の輸送の助成の問題につきましては、具体的にどういうふうに処理されておるか、これを一つ承りたいと思います。
  16. 朝田静夫

    朝田政府委員 三十四年度の三国間の航海助成の配分につきましては、過去の運賃収入実績を基礎といたしまして配分方法を決定したのでございます。来年度におきましても過去の収入実績と収入見込みを基礎として積算をしておる次第でございます。若干最近におきましては三国間の輸送量が減って参っておりますけれども、定期船とタンカーにつきましては横ばいの状態でございますし、不定期船におきまして日本周辺の貨物量の動きが活発になって参りましたので、幾分かそういった方面に船腹がさかれました関係上、少し減って参っておるような傾向でございますが、基準年次を上回りましたものの二分の一に対しまして大体五%ぐらいの率でもって補助金の交付ができる見込みであるというふうに考えておるのでございます。
  17. 内海清

    内海(清)委員 大体了解いたしたのでありますが、いずれにいたしましても今日わが国海運界の問題を考えますときに、そういうふうなただ単に利子補給というふうな面のみならず、三国間の輸送の助成であるとか、あらゆる方面の総合的な施策ができまして初めてわが国海運国際競争力強化することに相なると思うのであります。かような観点からいたしまして、今後さらにそういうふうな総合的な施策につきまして政府の十分なる徹底いたしました処置を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  18. 平井義一

  19. 島口重次郎

    ○島口委員 私の質問は事務当局でなくて、大臣にお尋ねしたいのでありますけれども、どうなっているのでしょうか。
  20. 平井義一

    平井委員長 大臣はもうしばらくしたら来ます。——それではあしたにしてくれませんか。あすは必ず呼びますから……。  次会は明三十日午前十時二十分より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午前十一時三十五分散会