○生田
委員 私のところに送って参りました徳島新聞に載っております記事は、総裁は鳴門といわず明石といわず、そのほか瀬戸内海に三種の横断橋を作るのである、こういう
お話をされたといわれますが、私はまさか総裁がそういうことをおっしゃるはずはないと思うのです。四国に二百万の観光客がある、その観光客を千万人に開拓するという計画をあなたがお持ちになっておっても、今の国鉄の現況で、
日本の財政で、一個所一千億以上かかる橋梁をあなたの在職中に三つも四つもかけるということがはたして可能であろうか。私たち政治家なり、また無
責任な人間が夢を語るというのならよろしゅうございますが、しかし国鉄の一番の
責任者である総裁が、自分はそういう
考えを持っているといって地元に行って御演説なさった場合に、地元は何と
考えるでしょう。十河さんは郷里へ帰られて大ふろしきを広げたとしか有識者は
考えないでしょう。もしあなたが実際そういうことをお
考えになっているとするならば、私は
お尋ねしたいのですが、明石、鳴門海峡以外に国鉄が三つも四つもと言いましても、過去の
運輸省なり国鉄の
仕事の中に、何か具体的に調査した路線とかあるいは具体的に構想がまとまったとか、そういうものがおありになるかどうか、私はないだろうと思います。何も根拠がないものを、あなたが三つも四つも瀬戸内海に橋をかけたらいいだろうと言ったって、はたしてそれが技術的にかかるかどうかわかりません。総裁はむしろそういう問題については消極的に、手がたくやられるものだと
考えておりましたところが、四国へ行かれてそういう話をされた、物議をかもすのは当然でございます。明石、鳴門の人たちから言いますならば、国鉄は
ほんとうにやる気があるのかどうか疑わしく
考えるでありましょうし、またその他の、かりによくとった人でも、不可能だと思われた瀬戸内海の架橋ができるというのだろうか、もしできるということになったら、みなおのおの思惑を持って参ります。何も
運輸省なり国鉄だけでなしに、建設省も思惑を持ってくる。地域的にも二、三のところが思惑を持ってくるのです。そのときに、具体化したものが何もないのに、あなたが三つなり四つなり橋をかけようというようなことを公式の席上で言明なさったということは、すでに
一つのまとまった構想が
運輸省としてできた、こういうようにとらざるを得ないでありましょう。ところが、私たちが聞いてみるとそんなものは
一つもない、これは総裁が失言なさったのだろう、こういうことになるのです。ところが、そうおっしゃって参られたものを私たちがそうではないと言いってみたところで、これは始まらぬ話であります。私がきょうここで
お尋ねしますのは、公式にあなたがおっしゃったことですから、公式に
運輸省は明石、鳴門両海峡以外は今のところは計画を持っておらぬ、もし三、四の候補地が出てくるならば、それは今後検討すべき問題である、こういうお答えが私はされるべきだと思うのですが、いかがでございましょう。