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1959-11-20 第33回国会 参議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月二十日(金曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————   委員の異動 本日委員木暮武太夫君、阿具根登君、 田上松衞君及び加藤正人君辞任につ き、その補欠として村山道雄君、大和 与一君、村尾重雄君及び奥むめお君を 議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            大谷藤之助君            佐藤 芳男君            館  哲二君            西田 信一君            秋山 長造君            亀田 得治君            鈴木  強君            千田  正君            杉山 昌作君    委員            青田源太郎君            泉山 三六君            太田 正孝君            金丸 冨夫君            小林 武治君            斎藤  昇君            下條 康麿君            杉原 荒太君            手島  栄君            苫米地英俊君            一松 定吉君            堀木 鎌三君            武藤 常介君            村松 久義君            村山 道雄君            湯澤三千男君            吉江 勝保君            米田 正文君            占部 秀男君            木村禧八郎君            小林 孝平君            佐多 忠隆君            永岡 光治君            松澤 兼人君            松永 忠二君            大和 与一君            辻  政信君            原島 宏治君            東   隆君            村尾 重雄君            奥 むめお君            岩間 正男君   国務大臣    法 務 大 臣 井野 碩哉君    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君    文 部 大 臣 松田竹千代君    農 林 大 臣 福田 赳夫君    通商産業大臣  池田 勇人君    運 輸 大 臣 楢橋  渡君    建 設 大 臣 村上  勇君    国 務 大 臣 石原幹市郎君    国 務 大 臣 中曽根康弘君    国 務 大 臣 益谷 秀次君   政府委員    自治庁財政局長 奥野 誠亮君    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    科学技術政務次    官       横山 フク君    科学技術庁原子    力局長     佐々木義武君    科学技術庁原子    力局次長    法貴 四郎君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省理財局長 西原 直廉君    大蔵省為替局長 酒井 俊彦君    文部大臣官房長 斎藤  正君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    公正取引委員会    委員長     佐藤  基君    通商産業省軽工    業局長     秋山 武夫君    運輸省航空局長 辻  章男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十四年度一般会計予算補正  (第2号)(内閣提出、衆議院送  付) ○昭和三十四年度特別会計予算補正  (特第1号)(内閣提出、衆議院送  付) ○昭和三十四年度政府関係機関予算補  正(機第1号)(内閣提出、衆議院  送付)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) ただいまから委員会を開会いたします。  まず、委員の移動について御報告を申し上げます。十一月二十日付をもちまして委員田上松衞君が辞任され、その補欠といたしまして村尾重雄君が委員に選任せられました。   —————————————
  3. 小林英三

    委員長小林英三君) これより、昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)、同じく特別会計予算補正(特第1号)、同じく政府関係機関予算補正(機第1号)を一括して議題といたします。  本日より一般質問に入ります。
  4. 松澤兼人

    松澤兼人君 現在この委員会におきまして審議の対象になっておりますものは、言うまでもなく三十四年度補正予算でありますが、しかしわれわれといたしましては、三十四年度の当初予算補正予算とを加えたもの、これが三十五年度になりましてどういう伸び方をしていくのか、あるいはその財政規模がどうなるのかということから、いろいろと質疑をいたしていきたいと考えるのでございます。新聞によりますと、党の中におきましても、そろそろ来年度予算編成方針等が固まってきているようでございますけれども、もちろん現在の事態におきまして、大蔵大臣に、この問題につきましても明確な方針というものは、お答えできないかもわかりませんけれども、少なくとも三十四年度予算の上にこの災害関係予算を加えたもの、そうしてその基礎の上に来年度予算というものがどういう大きさで発展していくかということはお答え願えるのじゃないか、こう思いますので、まず第一点、この点から御質問申し上げるわけであります。
  5. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。来年度予算規模、これがどうなるかという基本的なお尋ねでございますが、これは、ただいま御意見にもございましたように、ただいま政府与党いろいろ編成方針等を協議する段階でございます。まだしておる段階ではございません。新聞等に出ておりますように、明日あたり経済閣僚と党の三役等で少し相談してみようということを申しておりますが、その程度段階でございますので、もちろん、ただいま申し上げる段階でございません。ただ経済状況は、三十四年の上昇率はやや鈍化する、成長率は鈍化するとは思いますが、依然として三十五年度相当伸び計画し得るように思います。これは先月でしたか、経済企画庁中心になりまして、今後の経済見通しというものを立てておりますが、これが骨子になるものでございますが、私どももその意味では相当年度伸びは見込み得るのではないか、かように考えておりますが、ただ歳入の面で、毎回申し上げるのですが、剰余金が大幅に減る、あるいはたな上げ資金がなくなる、こういうことでございますので、相当の税の自然増収がありましても、とにかく来年度予算編成あたりましては、非常に困難な事態に当面するであろうということは、これはただいまからも実は考えられるのであります。  そこで、ただいま御指摘になりました災害復旧予算、これは一体どうなるのか、本年わずか五ヵ月分として計上いたしましたものも相当多額に上っております。これは初年度でございますが、来年度になりますと十二ヵ月フルのものであり、同時に、来年度におきまして災害復旧の大部分を完成するということに目標を置かなければならない、かように考えて参りますと、この増額なども、ただいまどのくらいの額になるか、はっきり申し上げかねますが、まあとにかく数百億増加するだろうということは容易に想像がつくのでございます。そこで税の自然増収、そうして経済が活発になってくる、また一面、支出の面では当然増もございますが、それだけをまかなうのでなしに、やはり予算となりますると新しいものも計画をして参らなければなりませんし、そこで歳入歳出がどういうような規模になるだろうか、それをつかむことが、ただいまの最大の基本的な問題として私どもが検討している最中でございます。はっきりいたしたことを申し上げませんで、大へん申しわけございませんが、ただいまちょうどこの問題と取り組んでおる最中でございまするから、御了承をいただきたいと思います。
  6. 松澤兼人

    松澤兼人君 現在の段階におきまして、おそらくそういった御答弁だろうということは考えていたわけでありますが、しかし大蔵大臣といたしましては、やはり自民党なりあるいは政府なりという立場から、来年度予算性格と申しますか、あるいは重点施策というものはどういう点に置くかという構想は、あってしかるべきものじゃないかと思うのであります。たとえば、積極的な健全財政であるとか、あるいは所得倍増構想に基いた編成方針だとか、あるいはまたは治山治水中心とした編成方針、あるいはまたは科学技術振興というようなこと、一応は党内においてもそういう意向が固まっているのではないかと思いますし、また政府部内におきましても、すでに来年度経済見通しというものはできているわけでありますから、もし実質の成長率が六・六というような成長を期待しているとするならば、やはりそれに沿った編成方針というものはおのずから出てきやしないか、こう思うのであります。そこで、もう少し予算性格とか、あるいはこうありたいと考えられる方針についてお話し願いたいと思うのであります。
  7. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今後の経済見通しといたしまして、大体、ただいま御指摘になりましたように、三十五年度は三十四年度に比べて六・六の成長率というものが一応見込まれるのじゃないか、これは三十五年度は三十四年度に対してのそういう関係でございますが、これを長期的に見ますと、三十四年、三十五年を通じて見ますと、大体その前に比べまして、成長率は大体八%程度に上るだろう、かように私どもは予想いたすのであります。そこで、一面この所得倍増計画、これを党としても予算にその基本的なものを織り込むようにという強い要望が出ております。政府といたしましては、この委員会でお答えいたしましたように、経済審議会等にかけるものがございますし、また、具体的な数字等はさらに検討を要するのでございますので、時期的には少しおくれると思います。しかしながら、ただいま総体の経済成長率が六・六%、かように予想されて参りますと、これで貿易あるいは国内経済活動状況などは、およそ見当がつくわけでございます。そこで、一面にわが党の多年の主張でございます新しい、ただいま御指摘になりました科学技術振興であるとか、あるいは経済基盤を強化するとか、また、当面しております災害復旧重点を置くとか、あるいは長期の治山治水計画を設けるとか、こういうような事柄は、もちろん今ばくとして考えておるところでございますが、やはり基本といたしましては、私ども健全財政の線を堅持したい。これはぜひとも堅持して参りまして、経済基礎自身に大きな変化のないように、そうして安定した経済の上に計画を進めていく、予算も編成していく、新しい施策もその強固な安定した基盤の上に新しい政策を採用していくと、こういうことを念願したいと、かように考えております。従いまして、財政的な面から種々の施策等が、ある程度の制約を受けることは、これまたやむを得ないことではないか、かように実は考えております。お尋ねになります点が、あるいはどういう意味でございましたか、私のこの程度説明で不十分でございますれば、重ねてお尋ねをいただきたいと思います。
  8. 松澤兼人

    松澤兼人君 今、大蔵大臣が御答えになったことは、私が先に前提として御質問申し上げたようなことでございまして、これでは、大蔵大臣の来年度予算あるいは経済見通しに対する確固たる信念というものを伺うことができないのであります。    〔委員長退席理事館哲二君着席〕  第一に、先ほどお話がありました本年度災害予算というものを十二カ月に伸ばしていった場合、これはもう歴然として規模の大きくなる要素であることは疑いないのであります。従って、事務的に申しましても、この程度計算というものは当然できるわけでありますし、さらに、来年度防衛計画相当に増大するといううわさがあるのであります。こういう防衛計画防衛庁考えている方針に従って、これを政府としてのむのであるかどうかというような個別的な問題になってくれば、おのずからそうであるとかないとかいう見当が出てきはしないか、こう考えるのでありまして、私たちはその防衛計画伸びやあるいは災害関係伸びというものを考えて、はたして大蔵省として望ましい予算性格なり規模なりというものがどういうものであるかということをお示し願いたい、こういうことを質問しているわけであります。
  9. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 災害対策の問題は、先ほど申しましたように、これが来年度予算編成一つの大きな柱になりますことは、毎回委員会あるいは本会議を通じて申し上げた通りでございます。また、防衛関係の費目、金額等につきまして、最近次期戦闘機等を決定した、こういう意味から防衛予算が非常に増額されるのではないか、そういうような懸念を一部しておられるやに見受けますが、政府といたしましては、防衛費を激増さす考え方は持っておりません。これは、はっきり申し上げ得るところでございます。同時に、これに関連いたしまして、新聞等で伝えております防衛第二次計画ということがしばしば言われておりますが、この防衛第二次計画というものは、まだもちろん防衛会議議題にもなっておりませんし、大蔵省自身防衛庁から相談を受けておるような段階ではございません。この点は、毎回申し上げておりますように、防衛庁自身第一次の防衛計画最終年度に近づいておりますので、そういう意味から、引き続いてのいろいろ検討しておることは、これは当然だろうと思います。いろいろ検討しておる内容はあるに違いないと思いますが、しかし、ただいま申し上げるように、予算あるいは予算折衝段階にまでなっていないということを、実は申し上げるわけでございます。私ども、この際に防衛関係の費用を激増さすということはいたさないつもりでございます。
  10. 松澤兼人

    松澤兼人君 次にお伺いいたしたいことは、昨日あたり新聞を見ますというと、大蔵省証券発行して一時政府資金を造成するという話が出ておりますが、このことは新聞紙上におきましてはそれほど大きく取り上げていないのでありますけれども大蔵省証券発行するということは近年ないことでありまして、それはたとえ短期のものでありましても、このことの持つ意味というものは相当重大ではないかと考えるのであります。従いまして、政府が現在省議としてきめております大蔵省証券発行条件なりあるいはまたはその返済の期日なりあるいはまた金額なりということはどのように考えているのか。
  11. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今まであまり例のないことだと言われますが、政府資金的都合によりましては、きわめて短期大蔵省証券を出すことができるようになっておりまして、最近の資金需給関係から必要だと実は考えておるわけでありまして、大体金額的には三百億程度今日予定いたしております。その条件等につきましては、なお未定と申しますか、心づもりは持っておるようですが、はっきりまだいたしておりません。これなども、まだいつ発行するとはっきりきめておるわけではございません。最近の資金需給から見まして、短期証券発行することはやむを得ないかと、実はかように考えておる次第であります。
  12. 松澤兼人

    松澤兼人君 珍しいことではないというのでありますけれども、おそらく十年このかた大蔵省証券発行したという事例がないと思うのでありますが、こういう事態になりますには、何かやはりよほどの理由がなければならないと思います。なぜこういう事態になったかということについて御説明願いたいと思います。
  13. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま御指摘になりますように、ここ十年ばかりこういう例はない、大体十年ぶりだろうかと言っておるわけでございますが、年度末の資金需給関係でございます。年度末にこれを必要とするということでございます。
  14. 松澤兼人

    松澤兼人君 ここ十年間年度末にこういう事例がなかったのでありまして、なぜこういう事態になったかということは、一応は御説明いただいてもけっこうじゃないかと思う。
  15. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまのは、年度末じゃない、年末だそうです。年末の払いの問題と、税その他の入り方と、これは年度全体を通じますれば計画のそごはございませんが、時期的にその支払い上必要だということでございます。
  16. 松澤兼人

    松澤兼人君 年末の資金繰りのために短期証券発行して、手持国庫余裕金欠乏を何とかして補いたいと、こういう趣旨だろうと思うのであります。累年こういうことがないのに今年こういうことになったということには、手持資金が出ていったという関係や、あるいはまたは予想していた財政収入が入ってこなかったという、何かそういう理由がなければならないわけでありまして、ただ年末の資金繰りのために発行するというのでは、その理由が明らかになっておりません。どういう計算でそういうことになったかということを御説明願いたい。
  17. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ことしは、御承知のように災害予算等ございますし、また、税の入ってくる時期等が、計画のズレと申しますか、予想しない支出がことしはかさんでおりますから、そういう意味で、ただいまの短期証券発行によりまして年末の所要資金を補うという考え方でございます。
  18. 松澤兼人

    松澤兼人君 大体私もそういうことじゃないかと想像はしていたわけなんですが、私はこういう国庫余裕金底つきと申しますか、あるいは欠乏というものは、日本財政に必ずしも赤信号を揚げたものであるとは考えません。年度を通じて考えますならば、それは必ず短期証券返済ができるというふうには考えます。しかし、今まで類例がない、こういうことは。災害ということがあるにいたしましても、何か一方では大へん景気のいい経済の推移が見られるのに、国庫の手元ではこういうことになったということは、私は一つの憂慮すべき事態ではないかということを考えるわけでありまして、この点、私は年度を通ずれば別段不安はないにいたしましても、年度の途中でこうなったということに対しましては、政府思惑違い等に対しまして、大蔵大臣としても相当にこれは考えていただかなければならない問題ではないかと思うのであります。
  19. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大体年末の支払いも今必要ですから、期間的には二カ月ぐらいの短期証券、かように考えます。年度末といいますか、会計年度としての歳入上のバランスは十分とっておるつもりでございます。ただ、先ほど来申しますように、一番大きいものは一般会計支払いの面でございます。かように考えまするので、時期的にこういうことが生ずることはどうかというのですが、ことしの三十四年度予算は、御承知のように出し切りの予算をいたしておりますし、ほとんど年度内の歳入をあげて一切それに組んでおるというわけでございますので、当初予算編成のときからあるいは時期的に短期証券発行せざるを得ないかなという懸念はあったのでございます。しかし、こう時期が早く来るとは思わなかった。それは、ただいま申しまする災害対策が主たる原因であるわけであります。
  20. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと期間は大体二ヵ月、金額は大体三百億というようなお話でありますが、見返りはどうですか。
  21. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 性質上、見返りはございません。
  22. 松澤兼人

    松澤兼人君 それでは、何か予定している税収入等があるわけですか、そういう点はいかがですか。
  23. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは全体の歳入がもちろん予定されておることでございます。ただ、先ほど来申し上げますように、一時的な金繰りの都合でこれは出すだけでございますから、歳入としての欠陥を生じているというわけじゃございません。時期的に問題を生じておるというだけでございます。
  24. 松澤兼人

    松澤兼人君 二ヵ月ぐらいすれば何か税の収入があるから、そのときには余裕ができるから全額返済するということだろうと思うのでありますが、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  25. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) その通りでございます。
  26. 松澤兼人

    松澤兼人君 先日、山際日銀総裁が関西の方へ行かれまして、帰ってきてから記者会見をいたしまして、現在いろいろと物価が上がりぎみになっているけれども、この点についてはしばらく状態を見て、措置すべき必要があれば措置するというふうに考えているという話でありますけれども大蔵大臣は現在の物価騰勢につきましては、これはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  27. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 一般物価動向につきましては、私ども絶えず気をつけておるところでございますが、最近の伊勢湾台風によりまして、特殊物資についてやや強調ぎみというものは見受けられますが、非常な騰勢物価高を現出した、かようには考えておりません。また、国際物価動向等を見ましても大体横ばい傾向、もちろん一部の強含みはございます。これはもう大体景気がいい際には物価そのものが強含みであるということは、これは普通に想像のつくことでございます。しかし、過去におきまして物価の変動で非常に私ども心配いたしたのは、需給関係に隘路を生じた、そういうことが原因物価が非常な騰勢——物価高を招来する、こういうようなことがありますと、これはよほど経済的にも変調を来たす危険がございましょうから、気をつけなければならないと思いますが、ただ、景気上昇の結果、一般物価強調ぎみであるということ、もちろんこれも警戒を要する点ではございますが、非常に心配状況というのは、これは私ども賛成しかねるのであります。ただいまの物資供給状況等から見ますと、供給の面で特殊の面に険路を生じているということはないようでありますから、こういう点で私どもまだ物価そのもの横ばい状況で推移することができるのじゃないかというような考え方をいたしております。しかし、今回の災害対策等から見ましても、財政資金相当多数出て参りますし、また、民間の需要もそういう面ではなかなか活発なものがございます。従いまして、油断ができないということで、この金融のあり方また物価の動きというものに絶えず注意しているというのが、ただいまの段階でございます。
  28. 松澤兼人

    松澤兼人君 現在の状況からいたしますと、必ずしもインフレぎみというふうに申すことはできないかもわかりません。しかし、大体物価は上昇している。横ばいというよりはどうしても上がりぎみである。来年度予算におきましても相当予算規模が増大するし、また散布超過になることはわれわれも容易に想像ができるのでございます。こういう事態になりますというと、やはり何と申しましてもインフレ心配がある。しかも政府は、来年度予算は健全であるけれども、なお積極的な予算を編成するということになりますというと、いよいよそういうインフレ拍車をかけるのではないか。あるいは物価騰勢拍車をかけていって、インフレ的な経済状態がもたらされるのじゃないかということを心配するわけでありますが、本年度災害予算と来年度の増大した予算規模から考えまして、なおインフレ懸念はないとお考えでございますか。
  29. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 現在の状況自身から見まして、インフレ的な傾向として心配することは私はないように思っております。ことに財政規模あるいは収支の関係等におきまして、健全性が維持されますならば、ただいまの国際経済情勢と相待ちまして、日本国内だけが特別な変調を来たすということは考えられないと思っております。しかし、もちろん経済のことでございますから、これは油断のできることではございません。過日の山際日銀総裁話なぞも、やはり金利そのもの経済調節の作用があるということを実は指摘した発言だと思うのでございまして、ただ、新聞その他で伝えられるところをもっていたしますと、もう直ちに金利自身に変更を来たすかのような発言にとられたということから、私どもが後に大蔵当局意見を明確にいたしたようなわけでございます。ただいま御指摘になりましたように、来年の経済あり方にいたしましても、もちろん適宜な措置をとらないでおきますれば、いろんな危険は包蔵することだと思います。そういう点で、私ども絶えず注意を怠らない。先ほど申しました資金的な需要の出題であるとか、物価の動きであるとか、あるいは国際的物価の趨勢であるとか、こういうことを十分考えまして、そうしてそれに対しましては、予算規模なり、予算性格もさることでございましょうし、また財政投融資計画あるいは金利の問題なり、それらを全部加味して、やはり経済健全性を維持していくという努力をして参らなければならないと、かように私は考えております。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して。ただいまの松澤委員の御質問は非常に重要だと思います。特に大蔵省証券は、ここ十年来、短期にしてもそういうことはしなかった。ところが今度年末の一時的な金繰りのためとはいえ、これを発行するということは、ドッジ・ラインのときに、短期といえどもやはりそれはインフレ要因になると、そこで御承知のようにインベントリー・ファイナンスをやらした、資産見合いのファイナンスをやらせる、それでドッジ・ライン以来、大蔵省証券発行させなかった。それを今度発行することになる。ところが松澤委員が今御指摘のように、最近物価は値上がりぎみになっている。そういうところへ、短期といえどもインフレ要因——これは赤字公債ですよ、短期的な。そうなりますと、政府のこれまでの財政金融政策に一つの非常な大きな転換を示すものとして注目しなければならぬ。短期的なインフレ要因だけではなく、これから来年度にかけて災害予算も大きくなる。そうなりますと、今度は長期的な赤字公債を発行する一つのステップになるのではないか。そういうことに踏み切ったのかどうか。来年度予算では増税か赤字公債か問題になるし——問題になるやに思われておりますけれども、それと関連して、今の大蔵省証券発行は、もう物価が上がりぎみになっているときに、短期といえどもこういうものを発行するということは、これは健全財政の建前からいっても非常におかしいと思うのですね。この点非常に重要ですから、その影響ですね。それから今後もずっとこれを例としておやりになるのか。そういう点について伺っておきたい。
  31. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今回の短期証券発行は、先ほどその必要を申し上げた通りでございます。それがいろいろの観点から批判を受けるだろうということは、一応私ども考えなければならない点だと思います。しかし、この問題は幾ら短期的にしろ、それが赤字だという意味においてその批判があろうかと思いますが、問題は、やはり政府支払いといたしまして、時期的な繁閑があると申しますか、これだけは了承がいただけるだろうと思いますし、十分それに対する措置ができるという状況でございますれば、いわゆる赤字ということで、赤字公債の議論で同じには実は言えないのじゃないか。これは理屈を申せば、幾ら赤字公債でも、長い目で見ればそれは必ず埋められるのじゃないかというような議論もあろうかと思いますが、問題は、非常な、わずか一、二カ月というような短期である点に、この特殊性を認めていただきたいと思います。  こういう事柄が、将来公債発行になるのじゃないかという御議論があると思いますが、ただいま一部におきまして公債の発行論が出ておることは、私ども耳にするところでございます。しかし、この公債発行論そのものの内容等につきましても各自各様の意見を出しておられるようでございまして、実体は私どもなかなかつかみかねております。今回の短期証券発行は、一部で言われております公債発行論と全然関係のない措置である、これだけは観念的にもまた実際の扱い方にも、これは区別して私どもが今回扱っておること、それを御了承願いたい、かように考えます。
  32. 松澤兼人

    松澤兼人君 やはり現在の経済分析をやる専門家の中には、いろいろと心配されておりました景気の過熱あるいは過剰投資の心配があるという意見を持っておられる人があるのであります。この点は経済の推移とともに、最終的には適当な結論が出ると思いますが、一部にそういう意見のあることは否定できないと考えるわけであります。現在のような状態におきまして、現在は、なるほど景気過剰でもないし、あるいはまた景気過熱でもないし、また過剰投資でもない、けれどもこういう趨勢を続けていくならば、そしてまた来年の財政規模というものが相当大きくなるということを考えるならば、そういう一部の景気過熱という少なくとも立場をとる人たちの予想が的中しないとも限らないのであります。これこそほんとうに健全財政を破局に導き、あるいは通貨価値の下落をもたらすという、現在の政府が一番心配しておられるような結果が現われてくるのじゃないかというふうに考えるのでありますが、いわゆる景気の過熱あるいは過剰投資の点につきましては、どのようにお考えでございますか。
  33. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 一部にこの過熱を警戒する発言のあることも絶えず私どもの耳にも入っております。私どもも過熱を避けなければならない、これは当然でございますから、そういう意味におきましての資金の働きなど十分注意をいたしておるわけでございますが、ただいま一部で言われておりますような心配は、私どもはないように実は思っております。ただ問題は、この経済の問題は数字が基礎の問題ではございまするが、同時に経済心理とでも申しますか、そういうものも絶えず私ども気をつけなければならない点だと、かように考えますので、一般経済動向——その数字以外の動向というものに対しましても十分私ども注意をいたしまして、いわゆる過熱の状態を起こさないようにいたしたいものだと、かように考えております。  ただいまの経済の点で、先ほど一言言ったのですが、供給の面、これが比較的円滑にいっておる、相当操業度が高まっておりますが、まだいわゆる隘路というものを生じておらない、そういう意味物価が強調含みではあるが、アンバランスを生じておらないということを、一つ申し上げたのでございます。同時にまた、相当の操業度に上っておりますので、設備投資もなかなか旺盛でございます。この設備投資も非常に旺盛でございますが、経済の発展から見まして、今日の程度の設備投資の旺盛である点は、今特にこれにブレーキをかけなければならない、そうまで心配しなくてもいい状況じゃないかというように私どもは見ておるのであります。絶えずこれらの点も注意もしなければなりませんし、また一般的な心理的な動向、これも見逃せない、かように考えまして、ときには私ども窮屈な思いをするようなことも考える。そこで先ほど来から日銀総裁の問題が出ておりますが、やはり経済調節機能というか、金融の面からの経済調節機能、これも一つの大きな点であろうと思います。また、政府自身といたしましては、やはり自由主義的な、自由経済の立場に立っておりますから、動きそのものについての注意はいたしておりますが、積極的に、特に政府施策を通じてこれに制約を加えるあるいはこれに刺激を与えるとかいうことは、なるべく避けたいものだというように実は考えております。しかし、必要があれば、もちろんその一部を手放しにできるものではございませんから、必要な処置はとりますが、ただいまの段階では、そこまで私どもが積極的な施策をやらなければならない、そういう状況ではないように考えております。
  34. 松澤兼人

    松澤兼人君 先ほど大臣がお触れになりましたように、党内には公債発行論というものは必ずしもないわけではない。もちろん、政府としましては、赤字公債の発行には絶対に反対である、しかしながら、建設公債というような形のものであるならば、必ずしもそれは否定すべきではないという意思が党内には相当強くあったと思うわけであります。そこで自民党は、来年度予算編成等にあたりましては、やはり治山治水という、いわゆる公共的な事業につきましては、これを特別会計にして、特別会計自身が治山治水公債といいますか、あるいは建設公債、そういうものを発行しても、それは政府のいわゆる公債不発行方針に必ずしももとらないのではないか、資金を確保して、完全な治山治水災害対策を根本的にやる場合にはそれは、十分に意味があるのではないかというような意見があるように聞いているのであります。たとえ特別会計にいたしましても、治山治水等のいわゆる建設的な事業に用うる公債の発行については、どうお考えでございますか。
  35. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) なかなかむずかしい問題でございます。と申しますのは、政府は、御承知のように、過去におきましても、予算を編成するにあたりまして、財政投融資計画を立てておりますが、財政投融資計画の一環としてただいま言われますようなものを考えた場合、一体どういう結果になるか、これを十分検討しなければならない、かように思います。赤字公債についての議論は別といたしまして、いわゆる公社債等の消化状況その他を見ましても、なかなか公社債の消化など、計画通りに時期的にもいかない面がございますから、同時にまた、これらの金額一般民間資金需給に非常な関係を持つこと、それらを考えますと、簡単な結論はなかなか出しかねるのじゃないか。ことにその規模等の観点に立ちまして、十分に検討する必要がある。従いまして、簡単な結論は出てこないということでございます。
  36. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、いわゆる建設公債あるいは治山治水公債というような形のものが、出るということには必ずしも反対はしないし、あるいは賛成しないというふうに了解してよろしゅうございますか。
  37. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私の今の発言をどういうふうにお取りになりましたかは別といたしまして、私は、あまり進んでいない気持ではございます。ただいま申し上げますように、一般民間資金と特殊な資金とが、やはり割合など十分考えなければ、経済そのものの活動に非常な影響を及ぼすものだという点を特に私指摘いたしているわけであります。
  38. 松澤兼人

    松澤兼人君 大蔵大臣がおっしゃったのは、一般財政投融資、そのワクの中における公社債等の発行、そういうことを言われたと思うのでありますが、私は、自民党の中において取り上げようとしている、あるいはそういう考えがあるという、その来年度予算に関する問題といたしまして、治山治水公債なり、あるいはまた災害復旧公債なり、そういう形のものを大蔵大臣としてどういうふうにお考えになるかということをお尋ねしたのであります。今の答弁でよろしゅうございますか。
  39. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまのお尋ねが、特別会計を作って、特別会計が特殊の財源を持たないで、これを公債によるんだと、かような御意見でございますれば、私は賛成しかねております。
  40. 松澤兼人

    松澤兼人君 それでは、別の問題に、ついてお尋ねいたしたいと思いますが、自民党の中には、来年度は減税を取りやめる、一切減税をしない、国税、地方税を通じて減税をしないという方針をおとりになっているようでありますが、これは、大蔵省としてもそうでございますか。つまり政府としても……。もし全然減税をやらないということであるならば、それはどういう理由に基づくものでありますか。
  41. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 与党内の税制調査会におきましても、減税を一切取りやめると、こうはっきり言っておられるのではございません。いろいろ減税と申しますか、税制の適正化をはかる、こういう意味で、与党内の税制調査会も絶えず研究を続けておられるやに伺っておりますし、また政府自身は、御承知のように、税制調査会を設けまして、そうして今後の税のあり方等について基本的な考究をいたしております。ただいま御指摘になりますように、長期的な出題として見まして、やはり国民負担を軽減していくという方向、あるいは最近の経済状態から見て、企業課税のあり方をどうしたらいいかとか、あるいは中央、地方の税源基本的な問題、これはもう絶えず検討を続けておるものでございます。ただ、時期的な問題といたしまして、来年度は、災害復旧なりあるいはその他の面で必要な資金相当多額に上るのではないか。そういう際に、はたして減税が可能かどうか、こういうような意味で、党の方は、税制調査会が、この際は減税よりも積極的に災害復旧あるいは治山治水の財源を確保すべしだと、こういう方向に傾いているのではないか、私、かように理解をいたしております。
  42. 松澤兼人

    松澤兼人君 税制全般の問題としましては一応わかるのでありますけれども、たとえば、各種の不均衡などが存在いたしまして、絶えず要請を続けております農家の専従者控除というような問題は、これは当然話題に上ってこなければならないと思うのでありますが、こういう点も、やはり同じく、お考えにならないというおつもりでございますか。
  43. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん、いろいろ研究されておるものはあるだろうと思います。こまかな具体的な問題につきまして、私その賛否についての御意見は申し上げませんが、ただ、来年度予算の編成にあたって、特に積極的に必要なのは、災害復旧なり治山治水等に対して積極的にこれを遂行していく、そのためには財源が要るだろう、こういう意味の、その方の支出の面を特に強調されておるのが現在の税制調査会なり、党の税制審議会なりの御意向だと、かように私は理解をいたしております。
  44. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうすると、全般的な減税も、あるいはまたは不均衝の是正も何もやらないで、とにかく支出が多いんだから収入を確保しなければならないということが、大蔵大臣の御方針と聞いてよろしゅうございますか。
  45. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私、具体的には申し上げませんが、片一方の支出の増あるいは税の軽減、こういうものの緊要度なりその重要度なり、これを十分勘案して処置すべきじゃないか、かように私は考えております。
  46. 松澤兼人

    松澤兼人君 次の問題に移りますが、ガット総会は、本日をもって終了することになっているわけであります。で、今回のガット総会の成果につきまして、経済企画庁長官あるいは通産大臣としてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  47. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 第十五回ガット総会が日本において催されたことは、非常にいいことでございます。ガット総会がジュネーブ以外であったことは、今回が初めてでございまして、われわれとしては、非常に喜ばしい、また、日本の実情を各国の代表者が見て行かれれば、わが国のいわゆる将来の貿易発展その他に非常に裨益するところがあると思われます。  総会において議論されたことは、いつもと同じように、自由貿易の拡大ということでございます。先般ドイツが輸入制限はやめるべし、また今回、イタリアの輸入制限はやめて、自由な姿にすべしという決議に基づきまして、イタリアの今後の方針を早く出せということにきまったのが一つの成果でございます。そうして、わが国に関係していることは、やはり対米、対ドル関係の早急な自由化、そうして日本の輸入制限をできるだけ緩和すべしという強い要望がございました。われわれはこれに対して、先ほど来発表いたしましたごとく、対ドル差別待遇はできるだけ早い機会にやめる、また、貿易全体を自由主義に持っていくということをガットにおいて政府の代表より申しておるのであります。別に日本といたしましては、三十五条の援用につきまして強く萩原大使より申し、また昨日は、対米につきましての日本品の輸入制限につきまして警告を発したというようなことでございます。ガット三十五条の問題も、今十四カ国ほどこれを援用いたしておりますが、相当日本に対して理解が深まって、私は、一度にとは申しませんが、ごく最近の機会に、わが国の立場を了解して援用しないことになるのではないかと期待しております。しかし、いずれにいたしましても、日本状態をよく知って、将来日本の世界貿易における地位がだんだんよくなっていくということが、今回のガット総会の成果であると考えております。
  48. 松澤兼人

    松澤兼人君 三十五条の問題につきましては、岸総理が、イギリスに行かれたときに、イギリスの首相と話し合いをいたしまして、この問題については、両国間で近く話し合いをするということがあったと思うのであります。イギリス以外に、対日三十五条の援用の問題について、これを撤廃するように話し合いをしようという国々はどういう国々でございますか。
  49. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 十四カ国各国ともやっております。しこうして、主たるところはやはり英連邦が入っておるのでございます。御承知のように、豪州とは、これはもう両方で協定いたしまして、来年くらいから向こうも援用しないということになると思うのであります。なお一、二カ国ございまするが、まだ話し中でございますので、ここでどの国ということは遠慮いたしたいと思います。
  50. 松澤兼人

    松澤兼人君 何と申しましても、やはり三十五条の援用の問題は、日本の国際貿易の問題については非常に重要でありまして、このガット総会において多少の希望が出てきたということは、喜ぶべきことでありますけれども、しかし今、通産大臣がお答えになりましたような状態でありますならば、実際の両国間の話し合いというようなことになると、なお多大の困難があるのではないか。つまり手放しでこの総会の成果を喜ぶことができないのではないか。こう考えるのでありますが、この点の見通しはいかがでございますか。
  51. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 手放しで楽観して喜んでおるわけじゃないのでございます。御承知通り日本の貿易は、他国のそれに比しまして、非常に輸出が伸びておるのでございます。しかるに、日本の貿易のうち、AA制をとっておる自由な品目が全体の三割程度であるわけでございます。これを欧州諸国の八、九割というところに比較しますと、非常に日本は不自由国のいわゆる非難を受けておるわけでございます。そればかりでございません。たとえばチープ・レーバーという名目のもとに、日本の商品が一時にだっと流れ込むという事例もなきにしもあらずでございます。だから、われわれとして、外国に対して三十五条の撤廃を要求すると同時に、われわれ自身も、各国が日本に要望しているいわゆる貿易の自由化に、もっと熱意を持って進んでいかなければならぬ。これはお互いの問題であると思います。ことに、一部商品のなだれ込みというようなことに対しまして、輸出入取引法等によりまして自粛していかなければならぬと考えておるのでございます。いずれにいたしましても、日本をもっと自由化して、もっと正常な貿易をする国だという信用を得ることが必要でございます。と同時に、外国に対しても、日本を信用するように進めていくよりほかにないと思います。
  52. 松澤兼人

    松澤兼人君 いわゆる低価格の商品を海外に輸出するという、外国から見ますというと、日本のチープ・レーバーといいますか、あるいはソーシャル・ダンピング、こういう懸念が外国の貿易業者の中にはあるのでございますが、国内においてこれを規制すると申しますか、あるいは労働条件を向上せしめ、しかも一方におきましては、生産コストを引き上げるということに対する通産大臣としてのお考えはいかがでございますか。
  53. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) チープ・レーバーという問題は、今度のガットでいろいろ議論せられましたが、これも、実際一人当たり賃金がどうかということで私は結論を出すのは早いので、物価の問題あるいは生活様式との問題等々から考えなきゃならぬと考えます。御承知通りアメリカの賃金に対しまして、イギリスなんかの賃金は半分でございます。ドイツはそれの三分の一程度で、日本はそれの七、八分の一と、こういうふうな、それによって日本のチープ・レーバーだと、それならば、アメリカとドイツと比べたら、ドイツの方がまたチープ・レーバーになるわけで、これは、私はよく言っておりまするが、やはりもっと掘り下げて検討しなければならぬと思います。また、このチープ・レーバーということよりは、私は、もっと大衆の所得をふやすようにしていく経済政策をとる、外国がチープ・レーバーだと言うことにかかわらず、日本自体がもっと貧富の差を少なく、もっと俸給の差を少なく、すなわち、低所得者のどんどん所得を伸ばしていくことが、政治経済の一番の目標だと考えておるのでございます。私は、こういう意味におきまして今後経済政策をやっていこうと考えております。
  54. 松澤兼人

    松澤兼人君 月給二倍論にだんだん近づいてきたようでありまするけれども、実際の問題といたしまして、これは必ずしも通産大臣の所管ではないかもわかりませんが、低所得者の所得を増加していくという方策はどういうことですか。
  55. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私は、生産効率を上げて、しかも、物をたくさん作る、そしてその間に賃金がだんだん上がっていく、これがほんとのやり方だと思います。わが国の十年の歩んできた道を考えましても、私はそういうことが如実に現われておると考えております。
  56. 松澤兼人

    松澤兼人君 時間がだんだん迫って参りましたが、通産大臣にお尋ねいたしたいんでありますが、先ほども、物他の問題でいろいろとお尋ねしたんでありますが、当面の問題といたしましては、ガス料金の値上げの問題、それから電力料金の三割頭打ち解除の問題、これが差し迫った問題となってくる。特にガスの問題につきましては、東京、大阪、東邦などから申請が出ていると聞いているのでありますが、これはどういうふうになりますか、通産省としてのお考えを伺いたいと思います。
  57. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 電気の三割頭打ちの問題は、十月一日より解決いたしました。  ガス料金の問題につきましては、従来、御承知通り、東京、大阪、名古屋の大都市を除きます都市におけるガス料金を随時上げてきたのであります。しかし、この三大都市につきましては、昭和二十七年以来上げておりません。しこうして片一方では、五カ年計画等によりまして、ガスの設備拡張が非常に行なわれておるのであります。設備の償却、また、その資金の利子等から考えまして、非常に三都市のガス会社の経営内容は悪化してきておるのであります。私は、この際、ガスの値上げはある程度やむを得ないんじゃないかという気持を持っておりましたところ、先般東京、大阪、名古屋から値上げの申請が参りました。名古屋は、御承知通り災害でございまするから一度申請いたしましたが、しばらくの間取り下げるということで取り下げて、今、東京、大阪につきまして、ガス会社の申請につきまして検討を加えております。中請の引き上げの分は一割九分程度でございます。しかし、申請通りにいたしますると、低額使用者がかなり上がり工合が多いようでございますので、私は、もし上げなくてはならないという結論が出ましても、低額と申しますか、少量の消費者の上がり方につきましては十分考慮いたしたいと、今せっかく上げるか上げないか、上げるとすればどの程度、しかも、少量の使用者をどうするかということは、今検討いたしておる次第でございます。
  58. 松澤兼人

    松澤兼人君 そういたしますと、東京が三円値上げ、それから大阪が三円八銭値上げ、こういう申請が出ていると思うんですが、必ずしも金額はその通りに認めない、あるいはまたは、料企の計算の内容等において考慮するということでございますか。あるいは、この三円なり三円八銭なんという、そういう申請を認めようとするお考えでありますか。
  59. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 今の三円とか三円八銭というのは、一割九分あるいは一割九分二厘のことだと思いまするが、この割合につきましては、十分検討した上で決定いたしたいと思います。
  60. 松澤兼人

    松澤兼人君 先ほどお話し申し上げております物価騰勢ということ、しかも、この場合におきましては、電力にいたしましてもガスにいたしましても、いわば公共的な性質があるにいたしましても、独占事業でありますので、どうしてもそのガス会社のガスを使用しなければならないのであります。従って、消費者といたしましては、この問題には重大な関心を持っておりまして、先ほど問題となりました新聞のような問題、あるいはまたは、この電力あるいはガス料金の問題等は、これは不可避的に消費者の家計にかぶさってくるということを非常に心配しているのでありまして、この点、ガス料金の値上げの問題については、反対の意思表示をしていることは御承知通りであります。従いまして、われわれといたしましても、これに対しましては賛成することはできないのでありますけれども、もしこの申請について認可を与えるといたしますと、いつごろその結論が出て参りますか。
  61. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 電気の方は、電気の基本料金算定についてという問題について調査会の答申がございまして、これは基本料金算定の基準をきめるものでございます。いずれ近いうちに、通産大臣として認可をしようと思いますが、これは、さしあたり電気料金の値上げという問題とは関係いたしません。ガス料金の分は、実は九月ごろ申請が出ておるのであります。しこうして公聴会も、十月初めに大阪、東京でやりました。研究も相当進んでおります。しかし、いつ結論が出るかということは、まだこれははっきり申し上げられませんが、今年内にはなかなかむずかしい。結論が出ましても、やはり施行は来年一月ぐらいからではないかと思っております。しかし、まだ結論が出ておりませんので、いついつと、はっきり申し上げるわけには参りません。
  62. 松澤兼人

    松澤兼人君 次の問題は、むしろ値上げと反対の問題でありますが、先ほど小売商業調整特別措置法ができまして、小売業者あるいは市場あるいは購買会、消費生活協同組合、こういう関係のある程度の規制ができるということになったわけであります。ところが、最近各都市において目立って参りましたのは、スーパー・マーケットの問題であります。スーパー・マーケットは、それ自体これを定義づけることは非常に困難でございまして、私自身も、何がスーパー・マーケットであるかということをよくわかっていないのでありますけれども、スーパー・マーケットという、そういう一つの概念から考えて、これが廉売をして、この廉売は不当と見ることはできないかもわかりませんけれども、小売商業者に与える影響というものはかなり甚大なものがあると思うんであります。どうも私は、小売商業調整特別措置法という法律から見まして、このスーパー・マーケットといわれる店で売っておる商品の価格もしくはその売り方等については、特別措置法をもっては規制することが非常に困難ではないか、こう考えるのであります。しかも小売商は、百貨店からあるいはその他の団体から、いろいろと不利な影響を受けている。その上にまたスーパー・マーケットの問題が起こってきているんだ。これに対しましては、通産省といたしましても、いろいろとお考えのあることと思うんでありますが、これをどういうふうにお考えになっているか、あるいはどうしたらいいとお考えでありますか、お話し願いたいと思います。
  63. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 最近アメリカにおきまするスーパー・マーケットの制度と申しますか、現象がわが国にも現われまして、今、われわれの調査では、大体法人組織あるいは個人、組合等で八十程度全国にあると思っております。これは、お話しの通り、あの措置法によってやることは困難でございまして、いかなる措置をするかにつきましては、今、実態を調査して考慮いたしておるのであります。中小企業の小売業者が、片一方はデパート、片一方はまた最新式のスーパー・マーケットに押されておることにつきましては、非常に関心を持って今検討いたしておりまするが、どうするかという結論は、しばらく一つお待ちいただきたいと思います。
  64. 松澤兼人

    松澤兼人君 私も、この問題については、どうしたらいいという意見は持っておりませんし、また、法律的に申しまして、法律のどの条項に当てはまるからというふうに申し上げるわけにいかないのであります。しかし、今、通産大臣も八十余りというお話でありますけれども、私は、もっと多いんじゃないかと思います。その与える影響というものが非常に甚大であるということ、町のまん中に一つできる程度であれば別ですけれども、場末の商店街の中にぽかんと一つできるということによりまして、あるいは薬品、化粧品、それから一般の食料品というものが非常に安く売られているのであります。このこと自体が悪いというわけではありませんけれども、ただ、その小売市業者との連関において、それに与える影響というものは相当甚大なものがあるし、これまで法律が幾つか作られ、その法律によってどうも規制できないというような形のものが見えているようでありますが、これは、何とかして早く小売業者との関係を調整をする必要がある、こう考えるのでありまして、この点、一つ善処を要望したいと思います。  それから、自治庁長官にお伺いいたしたい。先ほど国の財政の問題につきまして、いろいろ大蔵大臣にお伺いしたのでありますが、来年度地方財政規模、つまり本年度を来年に延ばした場合、あるいはまたその災害の事後処理、そういう問題につきましては、相当財政規模が大きくなりはしないかというふうに考えるのでありますが、来年の地方財政見通しについてお答えを願いたいと思います。
  65. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 地方財政の来年の増大の額につきましては、まだここで確たるお話を申し上げることはできないのでありますが、しかし、御案内のごとく、給与費等も非常に増大してきて参っております。人事院の勧告等もございまするので、まあ国がやれば地方もやらなければならない。それから、場合によれば恩給制度を共済年金式に切りかえたいというような問題もございます。公共事業費その他が非常に伸びてきておりまするので、それに伴う地方の負担も非常に増大してくるのであろう、あれこれ、また今回の災害に伴いまする災害関係の費用も相当大きくなってくるであろう、それからまた一方、住民税の減税ということが、来年これは始めなければならぬと思いまするが、そういうふうに、一方また減ってくる面もありまするので、かれこれ勘案いたしまして、千二百億ぐらいの地方財政としての不足が考えられるのじゃないか。しかし、一方自然増あるいは交付税の伸び等もまたある程度考えられるのでありまして、ある程度の減収、足らないものが生じるということも必然的と考えられまするので、まあこれらの穴埋め、補てん等につきまして、三十五年度の地方財政計画の策定にあたりましては、まあこれから相当検討を加えていかなければならない問題であると考えておる次第であります。
  66. 松澤兼人

    松澤兼人君 それでは、二、三の点について御質問申し上げますので、その点、お答えを願いたいと思います。  先ほど国税の減税の問題についてお尋ねいたしましたが、地方税の減税の問題につきましては、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。本年の通り一切の減税を行なわないという方針であるかどうか。  それから、先ほどちょっと長官がお答えになりました地方公務員の退職年金の問題につきましては、それが来年予算がふえるというお話でありましたが、一方では、この新制度切りかえに要する費用が百億ほど必要であるから、これは、来年四月一日から実施することは取りやめて、しばらく延期したらどうかという意見があるようでありますが、この点はいかがでございますか。  それから、第三の問題としましては、何と申しましても、災害を受けた地方団体は財政上の圧迫を受けるわけでありまして、自然そういう問題につきましては、地方公務員にしわ寄せが出てくるんじゃないか。あるいは昇給昇格停止、あるいはまたは期末手当の棚上げというようなことから、さらに首切り等の問題が起こってくるのではないかということをいろいろと心配している向きがある。こういうことは絶対に行なわない、行なわせないという指導をおとりになりますかどうですか。  それから第四点は、昨日も占部委員の質問がありまして、大蔵大臣といたしましては、交付税の税率の引き上げは必ずしも賛成でないというお話があったのでありますが、自治庁としましては、交付税の税率の引き上げについて、どういうふうにお考えでございますか。  以上、四点についてお答え願いたいと思います。
  67. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 第一点の減税の問題でございまするが、先ほどもちょっと申し上げましたように、住民税の減税は、これは、昨年の七百億減税の一環としてこれは行なうという形になっておるので、現に所得税の方は減税になっておるのでありますから、それらとのつり合いから考えましても、住民税の減税は、新しい減税という意味でなく、すでに行なわれた減税の一環としてやはり考えていかなければならない問題ではないかと思っております。その他の減税につきましては、先ほど大蔵大臣がお答えになりましたように、地方税関係におきましても、本年度災害その他いろいろな事態から考え合わせまして、ただいまのところ減税は考えたくない、消極的であるということを申し上げておきたいと思います。  退職年金の問題につきましては、今御指摘のありまするように、これを実施するとなれば、百億前後ばかりの地方費の増になるのでありますが、しかし、退職年金の問題は、私から申し上げるまでもなく、地方一般職員に通ずる一つの福祉向上と申しまするか、社会保障制度の一環としてやはり充実のようなことにも考えられるのでありまして、さしあたりは負担の増になりまするけれども、これが平年度化していくというと、かえって減というような方向にも向き得るかと思うのでありまして、地方財政の全体の費目の関係から、いろいろまだ考究しなければならない問題もありますけれども、やはり地方公務員の福祉向上の点から、これはでき得る限りやっていきたいと、かように考えておる次第でございます。  災害関係の経費の増加から地方職員にしわ寄せになりはしないか。これは私はたびたびここで申し上げましたように今年度災害等につきましても、これは地方財政に大きなしわが寄らないように、特例法であるとか交付税の増額であるとか、起債のワクの増であるとか、いろいろな措置を講じて参りまして、地方財政にはこのために大きなしわが寄らないようにあらゆる努力をし、三十五年度の地方財政計画の策定にあたりましての努力をするつもりでございまして、災害関係の経費のために、地方関係職員の給与がふやせないとか、あるいは首切りしなければならぬとか、そんなことがないように指導をして参りたいと思います。  交付税の増率の問題につきましては、先ほどから申し上げておりますように、地方財政計画のまだ全体の締めくくりができないのであります。財政計画上つじつまの合わないどうしても欠陥がありますれば、最後は、その面はやはり交付税の増率等で埋めてもらわなければならないという問題が生ずるものと思いますが、ただいまの段階におきましては、いろいろの問題によってまた補てんする財源も考えられる点もあるであろうと思います。原則的にこれをどうするという結論にはまだ達しておりません。
  68. 松澤兼人

    松澤兼人君 次の問題に移りますが、原子力発電会社が英国からコールダーホール改良型を輸入しようという計画がありまして、その安全性につきましてはいろいろと検討中であるのであります。そこで先般八木報告というものが出まして、まずまず安全といいますか、あるいは条件付で安全と申しますか、一応の安全性というものが報告されたわけでありますが、ところが必ずしも全会一致でもなかったように聞いておりますし、また、八木報告とそれから学術会議との間には、釈然としないものがあるように聞いているのであります。この点はどういうことでございましょうか。
  69. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 八木報告は、権威者が集まりまして約百十回にわたりまた二千六百マンアワーですか、それぐらいの時間をかけて審査をいたしましたものでありまして、それは一応権威のあるものと考えております。しかし、原子力委員会といたしましては、さらに高度の立場から審査しなければならないと思いまして、目下審査中であります。  それから坂田委員のお考え等の問題でありますが、坂田委員は、去る九日の最後の部会におきまして御欠席なすって、速達便をもって手紙をお送りになったのであります。そしてその内容は、学術会議に事前に協議してほしい。それがまだできていない。それから申請書を公表してくれ。それから原子炉の安全評価についての基本的態度、具体的には事故時の一般人に対する緊急線量の限界がまだ確定していない。そういう理由で自分は責任を持てないという意思の御表明があったのでございますが、しかし、学術会議との事前協議という問題は、安全審査部会というのは専門家が集まりまして、専門的見地でこれを検討するというので、ほかの団体と横に連絡をとって協議する性格はないのであります。そういう考えから、出席者二十名全員その必要なしと判決を下しました。  それから申請書の公表の問題は、これは商業上の秘密に属することがございまして、日本だけで単独で公表するわけには参らないのでございます。従って交渉の相手である英国の原子力公社と折衝を重ねておりまして、きょうほとんど大部分の内容を、公表することにいたしました。    〔理事館哲二君退席、委員長着席〕  従ってそのときには間に合わないのはやむを得なかったのであります。  それから事故時の緊急紋屋の問題については、国際的にもこれはまだ確定はしておりません。ただ、国際放射線防御委員会の勧告とか、またそれを基準にいたしまして科学技術庁の告示とか、それから原子力委員会の安全基準審査委員会方針というのがございまして、それを中心にこのコールダーホール型の日本で今行なおうとするものの設計はできておりまして、そのいずれの基準、特にイギリスやアメリカがとっている基準よりはるかに下回る厳重な要件でこの設計ができておるのであります。そういう観点からいたしまして、基準のとり方については誤りはないとわれわれも考えておるのであります。  以上の観点から坂田さんの御所感というものは、審査部会におきましては一応聞くけれども、審査部会は出席者各自の意見できめるべきであるということで、二十人全員一致で安全であるという答申を出してきたのでありまして、大体坂田さんのお考えの趣旨は、手続問題が多いようであります。そこで、炉の本体が危険であるかどうかという問題については、御発言はないのであります。そういう観点からいたしましても、私は審査報告書というのは権威あるものとして一応受け取っておるのでございます。  それから飛行場の問題、爆撃地の問題がございました。この点につきましても、審査部会におきましては模擬爆弾の落下状況等を審査いたしまして、現状が続くならば安全であるということを判定いたしまして、そのように結論づけました。模擬弾落下の状況は最近は去年おととしぐらいは年に四件ぐらいであった。しかし、三十年から三十一年ごろはかなり多かったようでありますが、そうして最近はその実施の方法についても相当な規制を行なっておりまして、その規制が確実に実行されるならば安全であると見られております。われわれといたしましても、この問題は国民の非常に懸念しておるところでありますので、使用方法について、原子力施設を安全確保できるように、アメリカの当局に対しましても文書をもちまして正式に意思を交換しておいて、安全確保の万全を期した上で、われわれの最終的な態度をきめたいと思っております。
  70. 松澤兼人

    松澤兼人君 八木報告によりますと、今、原子力委員長お話しになりました演習場の問題につきましても、ただ現状においては原子炉の安全性に支障はないという答申、報告であるようであります。この問題につきましては、衆議院において飛鳥旧議長と中曽根委員長との問に相当詳細にわたる質疑応答があったように考えるのであります。実弾を投下する、射撃することができるという、そういう内容を持っているとするならば相当危険ではないかということが最後に残った問題でありまして、この問題につきましては、中曽根委員長も多少危惧を持っておられるのではないかとこう考えるのでありますが、この点はいかがでございますか。
  71. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 実弾は過去において投下しておりませんし、将来も投下しないように規制いたしたいと思っております。なお、模擬弾に関する審査の状況を申し上げますと、安全審査部会におきまして大体今まで落下しておりましたのは三ポンドないし二十五ポンド、それから大きい場合が百ポンド程度でございまして、そして件数から申しますと三十四年が四件、三十三年四件、三十二年三十一件、三十一年が四十二件、三十年三十四件、つまり三十年から三十二年ぐらいまでが割合多かったのでありますが、最近は規制をいたしまして、特に海上に標的を移しましてからは、模擬弾の落下が非常に少なくなってきているのであります。もし万一落下した場合は、投下率も解析いたしまして、御存じのように原子炉の本体は八センチ五ミリの厚い鋼板でおおわれている。その上を三メートルの厚い重コンクリートのシールドで囲まれているわけです。そうしてそのまわりに熱交換機が四つございまして、そこヘガスが入ってくるようなダクトがあるわけです。そういうところへ百ポンド、あるいはもっと大きい二百ポンド、二百五十ポンド、あるいは二十五ポンド、さまざまな模擬弾が当たったといった場合に、いかなる様相を呈するかという解析をみんな行なってみました。そのいずれの場合におきましても、現在設計しております最悪の地震の場合よりも安全である。そういう判定になっております。地震に対する最悪の場合というのは、関東大震災の三倍程度の地震が来ても安全である、そういう基準になっておりまして、模擬弾の場合はそれよりも軽いケースに入るようであります。飛行機の問題につきましても、今二十二トンのものがあの辺で演習をしておるのでございますが、その場合につきましても、いろいろ解析をいたしまして、ただ飛行機の場合はすべてどういう態様で——落ちる態様を全部解析し尽くすことは、科学的にもなかなかむずかしいのだそうであります。それで大体考えられる平均価で解析してみまして、それで安全であるという結論になったようであります。そういう観点からいたしまして、実際の解析の結果、もし万一当たった場合でも安全である、こういう結論でありますので、われわれはさらにそれをもう一回検討してみますが、一応その報告は了承していいのではないかと思っております。
  72. 松澤兼人

    松澤兼人君 この問題に対する公聴会では、いろいろとやはり万一の場合ということを心配されているようであります。この問題は、単に日本に限った問題ではなかろうと思うのでありますけれども、万々一の危険ということに対しましては、やはり地方の住民に対してこれを十分に納得していただくだけの措置を講じなければならないと思うのでありますが、それにつきましては、コンテナーは必要でないという意見が多いようでありますけれども、将来原子炉を建設する、発電灯を建設する場合におきましては、コンテナーを設備するのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  73. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) アメリカの濃縮ウラン系統の炉とイギリスの天然ウラン系統の炉は、構造が違っておりまして、アメリカ系統の炉は非常に高濃縮で容器も小さいのです。これにはコンテナーをつけている例が多うございます。しかしイギリスタイプの炉は、練瓦のような黒鉛を積み上げていくかなり大きな炉でございまして、コンテナーは必要ないという結論であります。専門部会の意見では、かりにコンテナーのようなものをつけた場合には、地震のときにかえってコンテナーが害をするという考えもございましたり、またそういうコンテナーに金をかけるよりも自動停止装置とか、緊急冷却装置、そういう非常時の措置にもっと金をかけた方がコンテナーよりも有利であろうという考え方もございまして、コンテナーは必要ないという結果でございます。
  74. 松澤兼人

    松澤兼人君 公聴会におきましては、コンテナーをつけてもらいたいという意見相当に多いようでありますが、このことは戸曽根委員長も十分に御承知のことと考えるのであります。この問題はこの問題といたしまして、将来とも十分に御検討をいただきたいと考えるのであります。  先ほどお話のありました実弾は使用しないように今後折衝していくということでありますけれども、これは行政協定の建前から、必ず実弾は使用しないという約束の取りつけができるものかどうか、この点。
  75. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 現在の使用条件は、合同委員会の協議で原子力施設ができる前に作られたもののようでございますが、その中には百ポンドの、GP爆弾と申しますが、ゼネラル・パーパス・バンブというのだそうです。これは橋梁を爆破したりするような程度のものだそうでございます。それは使えば使える可能性はあるようになっておるようです。しかし、米軍としては今まで一回も使ったことはありません。今のところは必要ないのだそうであります。なぜそういうことになっておるのか、われわれの想像でございますが、当時といたしましては、いろいろ極東の事態その他を考えて、万一の際にはそういう練習もできるように権限を確保しておく気持があったのではないかと想像しております。しかし、原子力施設の安全ということがわれわれにとっては第一でありますから、将来ともそういう爆弾あるいは非常に大きなロケット、爆発性の高性能のロケット等は使わないように規制をいたしたいと思っております。
  76. 松澤兼人

    松澤兼人君 そういう規制をなさることはまことにけっこうでございますけれども、それよりももう一つ先に国家的な必要からあすこに原子発電炉を作るということになりました以上は、その周辺にある米軍の射撃場を返してもらいたいという、こういうお話はできないものでございますか、その点交渉されたことがありますかどうですか。
  77. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 原子力地帯の安全をさらにベターにするためには、ないにこした方がいいと思っておりまして、私もそういう点につきまして防衛庁当局に対しまして、そういう方面に持っていくことができないものかと相談をかけたりしたことはございます。しかし現在の原子力施設の状況それから今後設置されるもの等を見てみますと、絶対にのかなければならぬというものではないのであります。従いまして、現在の使用状況を厳重に規制することによりまして原子力施設の安全を保とうと考えております。将来のことは今後の演習の態様等また客観情勢の変化等も考えまして、別途そのときになって考えてみたいと思っております。当面の問題といたしましては、今のような使用方法の規制ということで参りたいと思っております。
  78. 松澤兼人

    松澤兼人君 まあ危険がないというふうにお考えになっていらっしゃるようでありますけれども、私はむしろやはり国家的な必要性があって、あすこに原研というものがあり、また、原子力発電炉ができるということであれば、それは十分に射撃場の返還ということは要請できるのではないかと、こう考えております。むしろそれは当然そうすべきじゃないかというふうに考えておるのであります。  それからさらにもう一つ、万一の場合にその災害を及ぼすかもしれないということから、原子関係のいわゆる災害補償の問題につきまして、一般公衆に対する災害補償の問題につきましては、やはり地元としては非常に心配をし、そのことについては強く原子力委員会に要望があるようでございますが、この点はいかがでございますか。
  79. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 地元におきましてそういう御要望があることはよく承知しております。現在原子力委員会災害補償部会におきまして、部会長は我妻東大名誉教授でございますが、非常に熱心にこの問題の論議をしていただいておりまして、月末から来月の初めぐらいまでには、大体その法案の大綱ができる予定であります。災害補償の問題も非常に大事な問題でありますので、極力これを促進いたしまして関係住民に心配ないように措置をいたしたいと思っております。
  80. 松澤兼人

    松澤兼人君 私も一度原研の視察に参ったことがあるのでありますけれども、今度のできます原子力発電炉は、原研からはるかに海岸寄りに予定されているようであります。これは今回のような、たとえば伊勢湾台風のような、そういう高潮あるいは高浪というような危険に対しては安全でございますか。たとえば私の記憶しておりますあの方面における水害というものは、三陸の津浪ということがあったようでありますが、こういう事態が万一起こらないとも限らないのであります。こういう水害、高潮あるいは津浪等に対する安全性の問題は、いろいろ報告などを読んでみましてもないようでございますけれども、絶対に安全でございますか。
  81. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 地震、津浪等の問題も検討いたしまして、設置地点は海面したしか八メーターのところにあるのでございます。高潮の場合は湾がある場合に高潮が起こるのでありまして、太平洋に直接洗われているあの場所には、大きな高潮が起こる可能性はまずないという判定でありまして、八メーターの高さであれば大丈夫であろうということであります。また地震につきましても、これは非常に大きな問題でありますので、武藤教授を英国にも派遣いたしまして、かなりの改良をこのために加えました。それで設計におきましては、水平面の地岸に対しては地震度〇・六、それから水直面に対して〇・三という、先ほど申し上げましたように関東大長災の三倍ぐらいに耐え得る強度の設計は厳重にできております。それから地盤の構造その他のボーリングをしてみまして非常に安全な地盤になっておるようでありまして、地震、津浪、高潮等に対しても安全であると考えられております。
  82. 松澤兼人

    松澤兼人君 耐震性の問題につきまして私は四年ほど前に、一部の人たちから耐震性の問題について弱点があるのじゃないかというお話を聞きました。その後耐震性の問題では、相当に補強改良が行なわれまして、この点はまず安全ということになったようであります。で、まあ太洋に面しておりますところは高潮が絶対にないというお話しでございますけれども、三陸等に津浪が押し寄せたということもあるわけであります。この点はあまり報告等にないのでありますけれども、なお今後も検討をしていただきまして、津波、高潮等に対しても安全性があるかどうかということについての御検討をいただきたいと考えます。
  83. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この審査報告によりますと、高潮及び高波に対する検討の個所もございまして、かなりこれも慎重に調べたようであります。しかし不慮の災害ということを考えなければなりませんので、今後審査にあたりましては十分気をつけて参りたいと思います。
  84. 鈴木強

    ○鈴木強君 ちょっと関連して。原子力が非常に発達をして、これが軍事的な方面に使われておるわけでありますが、それと同時に、平和的な利用の方向にいっていることは非常に喜ばしいと思うのでありますが、そういう場合にどうしても放射能の洗礼を受けた日本の場合ですと、そういう人的な影響をなくするような方法を積極的にとらなきゃならぬと思うわけです。実は今度この原子炉が入ってくるということになりますと、有事の場合は、いろいろな問題がありますから、できるならばヨーロツパあたりでもある国ではもうすでにちょうどキリスト教の人たちが十字架をかけているように、首に放射能防止の何か標式をつけておるのですね。そして放射能が、原爆が爆裂したような場合には安全だというようなそういう措置をしている国もあるわけです。ですから日本でも私は有事の際にそういうような方法もまず国としてやるべきだと思うのですが、これはまあ一つさておいて、具体的に東海村に持ち込まれるようでありますが、その周辺の方々が松澤委員の言われているように、やはり万一の場合に非常にそういうことを心配していると思うのです。これは地震がくるか、津波がくるか、あるいは爆弾が落ちてくるか、いろいろなことがあると思うのですが、そういう場合にまずその周辺の人たちは、人体に対しての放射能の防御ということをやはり国策として私はやる必要があると思うのです。そういう点は万全にしておけばまず安心だということでおられると思うのですが、そういう根本政策をやはりお考えになっておくことが一番大事だと思うのです。ですからそういう点については長官はどういうふうにお考えになりますか。
  85. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) お説の通りであると思います。そこで、現在すでに原研でも実施しておりますが、あの周辺にモニタリング・ステーションというのを置きまして、自動検知器を常に置いているわけです。それによりまして放射能の度合を常に朝昼晩と見て回りまして、異常がないか確かめております。それから原子力施設周辺地帯整備法案というような法律を実は作ろうと思いまして、それによりましてただいまのところは、モニタリング・ステーションを必ず設置して安全を確保しなければならぬとか、あるいは一定のエーリアの住民に対しては、つねに健康診断をして、場合によっては無料でやるようにいたしたい。それから緑地帯を一定地区に設けるとか、ある程度都市計画的にも考慮して、そういう地帯における排水の整備とか、あるいは公共施設の位置とか、そういう点も地元の意向を十分酌みながら調整していくことが必要であるように思っておるのであります。そういう意図をもちまして現在われわれの方の原子力委員会の専門の懇談会を設けまして、法案作成に努力中でございます。これはぜひ早期に実現するようにいたしたいと思っております。
  86. 鈴木強

    ○鈴木強君 通常国会でやれますか。
  87. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 通常国会に出すように今検討しておるのでありますが、なかなかこの新しい都市計画法みたいなものでありますので、特異事項が非常に多いのです。従いまして各省の意見も非常にありまして、できるだけ出すように努力はしておりますが、必ず出すというところまでまだ参っておりません。できるだけ努力はいたします。
  88. 松澤兼人

    松澤兼人君 これは原子炉の問題ではないのでありますけれども、原研の職員の中には、いろいろ現在の待遇について不満を持っておられる人が多いのであります。なるほど、まことに原子力研究というこれまでになかった学問に従事し、しかもまた絶えず放射能の危険にさらされているという方々は、いろいろと自分の生命をあるいは将来において御心配なさることは当然であろうと思うのであります。ところが、どうも政府考え方、あるいは科学技術庁あるいは原子力委員会がこれらの人たちの立場というものを十分に考えていないのじゃないか。始終やはり当局とそれから職員との間に紛糾が起こっているという事態は、せっかく自分の意思で選んで、そうして危険であるが、まことに崇高な仕事に従事しておられる職員の立場というものを理解されない向きがあるのではないか、こう考えるのであります。一般科学技術の研究に従事しておられる日本の職員が、外国に比べてその待遇がはなはだ低いといわれるところでありますけれども、特に原子力研究等に従事しておられる職員の立場というものはあらゆる保護なり、あるいはまたは助長なりをしてあげてこそ、当然それらの人たちの労苦に報いる道ではないか、こう考えるのでありますが、この点原子力委員長なり科学技術庁長官としての御意見を承りたいと存じます。
  89. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 原子力研究所を作りますときに、これを国立研究所にするか、あるいは民間の研究所的なものにするか大へん議論がございました。しかし、国立的なものにすると、給与の関係その他で優秀な人材が集まらない。そういうことで電発に近い形にして公社よあらゆるめよう、そういうことで現在の特殊財団的な原子力研究所になっているわけであります。これを作りますときに、大体給与の基準といたしまして、事務系統は国立のものより二割高、技術系統は三割高、この基準を維持しようというので発足いたしまして、大体その基準は維持されているのでありますが、しかし建設の早期におきましては、非常に激しい仕事をやりましたので、いろいろ臨時的な給与を与えたり、操作をいたしまして、やや給与体系がアンバランスになっているところもあります。それからもう一つは、建設の当初でございましたので、物理学者や化学の学者が建設業務にまでに入らなくちゃならぬというような忙しさもありまして、研究が十分できないという不満もありました。そういう管理上の欠陥もございまして、いろいろ考えました結果、原子力研究所は新しい時代に入るべきだという観点から、理事長、副理事長も今回交代いたしまして、内部の充実刷新を今やっている最中であります。給与の問題その他研究態勢の問題につきましても、改革すべきところは文革いたしたいと思いますが、しかし、当初考えましたその線を基準にいたしまして、できるだけ研究者を優遇する措置を講じていきたいと思っております。
  90. 松澤兼人

    松澤兼人君 公取の関係で、せっかく関係者の方に出ていただいていたのでありますが、ちょうど時間が参りましたので、後刻あらためて御質問することにいたしまして、これで私の質問を終わります。
  91. 小林英三

    委員長小林英三君) 松江兼人君の質疑は終了いたしました。   —————————————
  92. 小林英三

    委員長小林英三君) この際、委員の異動について御報告申し上げます。木暮武太夫君、加藤正人君が辞任し、その補欠といたしまして村山道雄君、奥むめお君がそれぞれ選任せられました。  午後は一時五十分より再開することにいたしまして、暫時休憩をいたします。    午後零時四十九カ休憩    —————・—————    午後二時二十三分開会
  93. 小林英三

    委員長小林英三君) これより委員会を再開いたします。  午前に引き続き、一般質問に入ります。
  94. 武藤常介

    ○武藤常介君 私はただいまより、災害関連事項その他教育に関した方面について、二、三の質問をいたしたいと存じます。  本年の台風被害は例年より非常に回数が多うございまして、あるいは山間部、あるいは海岸等、ことに伊勢湾の被害などはまことに惨たんたるものがありまして、いずれも人命死傷も多数、産業上に及ぼしました被害も大きく、まことに見るに忍びない惨害でありました。これに対しまして、政府は、あるいは見舞いとか、あるいは慰問とか、こういうことで相当努力せられましたので、その地方の被害者は相当政府に対しましても感謝しておるようであります。従って、その感謝は、つまり将来政府が復旧あるいは救済に万全の努力を払われるものと思いまして感謝しておることと存ずるのでありまするが、従って、今後復旧に際しまして、政府のとるべき方策に対しましては、十分なる研究を要することと私は思うのであります。いよいよ今度この災害の復旧に当たりましては、実際に実施するに当たりましては、過去の災害復旧の跡を見るというと、あるいは非常に喜んだところがある、あるいはまた意外にどうも十分なことができなかったというので不平のところもある。復旧と簡単に申しまするが、復旧も、御承知のように、あるいは改良を加えたり、あるいはこれはとうてい将来復旧しても意味のないというような復旧もありましょう、これらを十分に調査をして、しこうして万遺憾なきを期されることを私は切望してやまないのでありまするが、すでに政府においては十分研究中とは存じまするが、主として建設大臣にこの方面の御意見を伺いたいと思います。
  95. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) お答えいたします。最近の災害復旧につきましては、御承知のように、その必要部分につきましては改良を取り入れてやっておりますが、寺に今回の伊勢湾台風のような、従来の工法ではとうてい大台風の際に耐え得られないようなこともありますので、今回は、たびたびお答えいたしておりますが、各関係省との間に高潮等の対策審議会を設けまして、各省それぞれ有能な技術官が出まして、その堤防の高さとか、あるいは構造、またその強度等につきましては、十分検討いたしまして、なおその上に民間の学識経験者等にも相諮りまして、今後再びそのようなことの起きないような抜本的な海岸堤防を作るということに相なっておりまして、従来の災害復旧の場合には、まあ改良復旧の部分はたとえば八%程度であったのでありますが、今回の伊勢湾台風のごときは、私はむしろこれはもう非常な、そういう従来のパーセンテージというものははるかにオーバーしまして、ほとんど原形に復旧すると同じくらいな改良事業をやらなければ、完全な海岸堤防の施工だとは言い得ないのじゃなかろうか、かように思っておりまして、あくまで、将来再びかようなことのないように、十分改良を加えた災害復旧をいたしたいと思っております。
  96. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいまの建設大臣の御説明で大体了承いたしましたが、これに関連いたしまして、私はお伺いいたしたいことは、実は二番せんじになっておりますが、この治水の五カ年計画の問題でございまするが、ちょうど昨年の通常国会において、どうも国は河川の費用というものに対しては、何だか忘れたような感があるが、大臣はどういうふうに考えるかというので、遠藤建設大臣に伺ったことがあります。ところが、遠藤建設大臣も、同感である、私はこれは五カ年計画によりましてこの問題を解消しようと思うと、こういうことで、非常な熱意を持たれまして答弁されましたので、私は、まことにわが意を得たるものである、大臣のその熱意には大いに私は共鳴するが、しかしながら、ややもすれば画餅に帰することが応々にしてあるが、そういうことのないようにしっかり一つ願いたい、こういうことを申したところが、遠藤大臣は、今度こそは必ずこれを実現させると、こういうことで、その後再三党とも打ち合わせ、あるいはずいぶん研究も進められたらしいのでありますが、再三閣議にも上ったような話も聞いておりましたが、その当時の状態によりまするというと、大体、大蔵省考えからいうと、二千五百億くらいならばできょう、あるいは建設省では三千五百億だというので、その差がだいぶありまして、再三折衝いたしたようでありましたが、最後には、御承知のように、まあ五カ年の特別会計もよろしいが、その特別会計の財源、すなわち将来填補の見込みがないから、どうも特別会計の本旨に沿わないと、こういうようなことから、昨年は、まあ一年間その財源の捻出を研究するから、ことしは待ってくれというので、私は待ったように承知いたすのでありますが、これから考えまして、本年はしからばそういう財源がはたしてできたかどうかということもきわめて疑問であるが、御承知のように、今度の災害で非常なまた財源がその方に使われる。  もっとも、この五カ年計画と今度の災害復旧とは相一致するところもあろうかと思いますが、とにもかくにも、わが日本の国は、御承知のように、非常に災害の大きい国である。あの沼津の海岸に行くというと、碑が立っておる。「幾山河越えさりゆかば悲しみのはてなむ国ぞけふも旅ゆく」若山牧水の歌が、(「寂しさの」と呼ぶ者あり)多少違っておるかもわかりませんが、ちょつと読んだことがありましたが、そういうふうな国でありますので、災害がなかなか尽きないと思うのでありますが、しかしながら、まことに遺憾なことには、災害は忘れたころ来ると昔は言ったのですが、近ごろは忘れないうちに来る。二十八年にあった、また三十三年、三十四年にあった、こういうふうに来るのでありまするから、この五カ年計画はむしろ非常に計画を立ててやることが経済なのだ。災害を受けてからその復旧をするということは、復旧以外に国民の不安、あるいは国民の経済に非常な影響を及ぼすのでありまするから、多少のことは忍んでも、この五カ年計画の治水、その他治山、こういう方面の計画は、これは実施した方がいいのではないかと私は実は痛感いたしておるのでありまするが、先ほど松澤委員がすでに質問して、二番せんじで、また大蔵大臣にお伺いするのもおかしなようでありますが、これに対しては一つ何とか再考を願いたいと、かように私は存ずる次第でございます。
  97. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。御承知のように、わが国は連年風水害によって大惨害を引き起こしております。治山治水の大事であることは、この災害からだけではなく、申すまでもないところでありまして、ことに大災害の起きました後におきまして、特に国土防護という観点に立っての治山治水計画、これが中心にいろいろ論議されるのでありまして、過去の、わが国の明治以来の経過等を考えてみましても、しばしば災害を受けました後にこの種の議論が出ている。また、近く戦後におきましても、治山治水の共本的長期計画を立てろという御議論がしばしば論ぜられて参っております。ところが、それがいつも竜頭蛇尾とでも申しますか、その計画が実現を見ておらない。申すまでもなく、この点はこの計画遂行のための十分の財政的裏づけがない、こういうことからこういう計画が実施を見ておらない、かように私は考えるのでございます。  そこで、ただいま言われます長期対策樹立ということが、もうことしは、今度こそはほうっておけないという気持に、ただいま各方面ともなっていることだと思います。そういう意味で、この長期治山治水計画にいたしましても、いかなる規模によるべきか、これがまず論議されるだろうと思います。もうすでに、建設省は建設省、あるいは農林省、あるいは運輸省、それぞれの関係省におきまして、それぞれの計画を検討中でございます。ところで、これらの治山治水あるいは海岸等を含めての防災計画を実施するという場合の財政的な計画、これをいかに結びつけていくか、これが来年度予算編成の大きな問題であると、これは毎回申し上げている通りでございます。ところで、政府自身におきましても、内部におきまして関係閣僚の懇談会を設けて、この長期計画をできるだけ早く樹立しようということでございますし、この計画が樹立されますならば、当然これに対する財政的な計画をやはり立ててもらわなければならないと思います。今日まで、あるいは一部増税論が出たり、あるいは特殊な財源を個々に求めるというような議論が出たり、あるいはまた、今朝来も松澤君からも取り上げられましたように、公債論が論議されたりいたしているのも、せっかくの長期計画に、これを実施に移すための財政的裏づけが必要だという意味のいろいろの研究の結果だろうと私考えるのでございます。  ところで、私どもが今日この計画実施に当たりまして考えて参りますことは、何と申しましても、経済自身の健全性をそこなうようなことがあってはならない。これは、もしもその健全性をそこなうというようなことがございますれば、その計画遂行上に非常に支障を来たすということを考えますと、やはり安定した、また健全な経済の上に立って初めてこの長期計画は実施し得るものだ、こういうことを私ども考えるので、この点は何といたしましても守り抜きたいものだと考えるのであります。同時にまた、しばしば制度としての特別会計の議論が出ております。特別な財源を持ち、そうしてしかもその事業自体がある程度事業的な内容を持つような事業でございますれば、特別会計というような制度も考えられるかと思いますが、一般財源からにのみたよるような特別会計でありますと、これはあまり特別会計としての意味がないのじゃないかということも、実は考えざるを得ないのであります。  いずれにいたしましても、治山治水計画の重要であること、これはだれも見のがすことはできないことであるし、同時にまた、三十五年度予算編成に際しまして、災害復旧予算と同時に、基本的な長期計画、これをいかに取り入れるかということが、三十五年度予算編成における大きな柱の一つである。これは申すまでもないところでございますが、ただいま申し上げましたように、これらの財源の確保なり、あるいは制度の問題といたしましては、簡単に結論が出て参らない。十分慎重に考えまして、そうして治山治水の大事なこと、災害からこの国を救うことの大事なこと、これもよくわかるのでございますが、同時に、この経済自身の健全性を保っていく、この二つのものを調整していく、ここに私どもの苦心をただいま集中しておる、こういう段階でございます。いろいろ、けさほどの松澤委員の質問にも、私お答えいたしたつもりでございますが、ただいま申し上げたような観点にたって、この問題と取り組んで参る所存でございます。
  98. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいま大蔵大臣の御説明でよくわかりましたが、今度特別会計を作ったらその財源がどこから出るかということが問題でありますが、御承知通り、この事業は生産事業とは違いますので、さっそくその財源が填補されるということはありませんが、間接的にはやはり相当の利益がありまして、これはそう簡単に見捨てるべきものではないと私は考えるのであります。しかしながら、何回伺っても同じですから、ただ、この問題は非常に昨年からの問題でありまして、重要な問題でありますので、現在の村上建設大臣のこれに対する御信念を一つ伺っておきたいと思います。
  99. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) ただいま大蔵大臣からお答え申し上げましたが、私も、大蔵大臣の御答弁に対して、決してこれが納得がいかないわけではございません。十分納得は参っておりますが、しかし、われわれは、少なくとも五年間に三千五百億円の事業費を投じますれば、一年間に一千億程度災害を軽減することができる。と申しますのは、戦後十年間の災害被害額というものは大体二千四百億程度毎年あるのであります。これを一ぺんに二千四百億全部被害をなくするということは、これは口では申しましても、とうてい不可能なことでありますから、せめて五カ年計画によってこの三千五百億の投資によって、毎年千億ぐらいの被害を軽減したい、これがいわゆる治水事業の五カ年計画の基本的なものであります。私は、少なくとも民主主義の基本的なものは基本人権の尊重である。基本人権の尊重の最たるものは何か、それは人を殺さないことである。一つの台風で少なくとも何千人とか、あるいは何百人とかいうような犠牲者が出るということは、これは私は文化国家としてと申しますか、最も好ましくないことである。従いまして、ただいま均衡財政といういろいろと財政お話がありましたが、どちらが先に行くべきかという点については、これは十分治水事業閣僚懇談会等によって検討する必要があろうかと思いますが、建設省としての私の立場から申しますならば、何といっても、この五カ年計画を実施することによって、少なくとも年々歳々の、この大地を打つつちははずれても日本に襲来する台風はこれは免れないのでありますから、これに対しては緊要度の高いところから、あくまで計画的に事業を実施いたしまして、これの防除に当たりたい、かように思っておる次第であります。しかも、その被害をこうむる人たちが比較的力の弱い人たちに限られておるということから考えましても、私どもはどこまでも、国の財政まことに困難なときではありますけれども、ある程度のこの実施によってわれわれがねらっておるいわゆる一千億程度の被害を減少させたい、かように思っておる次第であります。
  100. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいま建設大臣の御答弁がありましたが、所管大臣としてはさもあるべきであろうと思いまして、私は河川の改修につきましては三十年近くの経験を実は持っておるのでありますが、本年で、ある河川の期成同盟会長をやりまして二十七年になりますが、その、ちょうど昭和十三年に着工いたしたのでありますが、始まったのは昭和八年からの運動でありましたが、その当時、その地方の河川はどういうふうであったかというと、全くの人工を加えないところの自然の川でありまして、洪水が来るというと、どんどん家が流れるのでありましたが、幸いにして、河川工事をやりましてからは、その家の流れるような災害はありませんで、地方民は非常に喜んでおります。今年で二十七年になりますが、その当時の政府計画は十五年間でできるということでありましたが、二十七年かかりましても大体工事は半分であります。かような次第で、どうも河川工事は非常に重要な問題であるが、なかなか進捗しない、こういうことを平素私は痛切に感じておりますので、どこに一体台風がやってくるかわかりませんのでありまするからして、どうか政府におかれましても、この問題は十分にお考えおきを願いたいと申し上げる次第であります。  次に、問題を変えまして、教育の問題で二、三お伺いいたしたいと思うのであります。御承知のように、わが日本の国は普通教育の徹底については世界に類のない国であるということになっておりまするが、御承知のように、町村の合併から、あるいは中学校の統合であるとかいろいろありましたが、その当時の国が約束した通りの補助なりあるいは起債なりが、なかなか許可がない。こういうふうなことで地方でも相当困難いたしておるようでありまするが、まず第一に、義務教育諸学校の危険校舎の改築費、この国庫補助はどういうふうになっておりますか、これを一つ、まず大臣にお伺いしたいと思います。
  101. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 危険校舎の改増築にあたりまして、国の補助の問題でございますが、現行法では何分、旧危険校舎改築促進臨時措置法というものをそのまま受け継いだという沿革などから申しまして、小中学校ともに全般にその補助率を三分の一ということになっておるのであります。ところが、現在いわゆるすし詰め教室とかあるいは不正常な姿で教育をやらなければならぬというような学校もありまして、これらの学校を改増築するにあたりましては、中学校に対して二分の一ということになっております。この学校全般に義務教育という建前からいたしましても、もう昔から義務教育に対しては全額国庫が負担すべしという議論もずいぶん古い昔からあったわけであります。ところが、そういうわけでありまするから、全部の学校を改築するにあたっては二分の一にすべきであるという陳情も私ども聞きまするし、また、これも確かに一つの見方でございます。ところで現在は御承知のように、いわゆるベビー・ブームと申しますか、一時に子供がたくさんでき、それがちょうど中学校に進学していくというような時期になっておりまして、三年間くらいは著しく中学校の増設をやらなければならぬというような状態になっております。そういうわけでありまして、この点もあわせてこの際申し上げておきたいと思うのでありますが、これに対する巨額の費用も要るわけでありまして、現在直ちに二分の一の補助率に引き上げるということは、見通しとしてなかなか困難である、かように考えておるわけでございます。
  102. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいま文部大臣の御答弁ありましたが、中等学校は二分の一になっておるが、小学校が三分の一補助されているらしいのでありますが、やはり地方の町村の情勢から見て、どうしても小学校の方も二分の一の補助までどうしても三十五年からは引き上げてもらいたいと切なる要望がありますので、大臣の御意見をお伺いしたいのですが、次の問題も一緒にお願いいたします。  次は温暖地の屋内体操場の問題でありますが、これは五カ年計画でやっておるようですが、中等学校がにわかに生徒数がふえて参りました。どうも五カ年計画でやっておったのでは、どうも授業上に非常な支障を来たす、だからこの五カ年計画を変えて、そして何とか三十五年度あたりからはこの方面に特に力を入れてもらいたい、こういうふうな要望が非常に多いのでありまするが、大臣としては、これを何とか五カ年計画を繰り上げるような考えはございませんですか。この二点を一つあわせてお伺いしたいと思います。
  103. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 屋体、岳内運動場、これは必ずしも温暖地とそうでない地域とを区別しているわけではございません。これはいずれもやはり努力して参りたいと思いますけれども、何分にも陳情が非常に多いのでありまして、屋体も必要でございますけども、さらに不正常な教室を正常に戻していくということがどうしても先にくるのではないか、かように思う次第であります。従って、五カ年計画をもってすし詰め教室等を解消していくということについては最大の努力を払っておるわけであります。これをさらにお説のように縮めて、明年度からはもっと中学校の何もどんどん進めていくようにというお話しでございます。私どももできる限りの手段でもって、そういう方向に進みたいと考えており、また、そうせざれば、現実に社会の要請に見合うようなことにして教育を進めていくというわけには参らぬのでありまして、この点につきましては、極力お説のように努力したいと考えておる次第であります。
  104. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいまの問題は、ぜひ御努力を願いたいと存ずるのでありますが、次に、技術教育の設備の点でありますが、これは中学校一校で、どうしても百五十万くらいの経費がなければ、技術教授の徹底ができない。こういうので非常に困っておるらしいのですが、現在は一年に二十五万ぐらいの金が支給される、こういうことではいかに技術教授をやれと、こういうことを奨励をしましても、これは十分なことはいかない。御承知のように、ソ連のごときは非常に技術方面は発達した。日本の方はどうもそういかないというので、東西非常な変な形になっておりますので、やはり今後はどうしても技術の方面に力を入れる必要がある。科学の方面を非常に力を入れると同町にそういう方面の教室の設備を力を入れないならば、日本の教育というものもどうも上滑りになってしまう、こういうふうに考えるのですが、この方面の経費を文部省は何とか支給するような方法はないでしょうか。これを一つお伺いしたい。
  105. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 科学技術の方にどうしても力を入れなければならぬということは、今日の私は課題になっておると思うのであります。ひとり上層部の学校のみならず、小中学校からこれを始めていかなければならぬということも、われわれはどうしても考えなければならぬと思っております。従いまして、産業教育、技術教育の方面に対する学校の設備の整備ということが、その衝に当たっておる人々からは実に切実な要望もありまして、私どももしばしばこれを伺って、何とかしたいという考えを持っておるわけであります。  ところで、まず現在でも幾らかの設備があるわけでございまして、また、一般の教材費の補助という方面からも多少まかなうことができまするし、そこで一応まあ二十五万円ということにそれだけはまあ出し得るということになっておる。これではむろん十分とはもちろん言えません。従って、この点についても十分力を入れていきたいと思います。そばには大蔵大臣お聞きになっておるのでありまするから、一つ極力この方面に大蔵省とも折衝いたしまして、推進したいと、かように思っておる次第であります。(「大蔵大臣にちょっと聞こうよ」と呼ぶ者あり)
  106. 武藤常介

    ○武藤常介君 時間がないから、大蔵大臣もお聞きになっているのですから、特に御答弁を伺わぬでもよろしいと思います。(「大事なところだ」と呼ぶ者あり)時間がないようですから、次にまた譲ります。  この研究指定校というのが県あるいは文部省にあるのでしょうが、この実際はどういうふうになっておりますか。この助成金などはどういうふうになっておりますか伺いたいのです。
  107. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 研究指定校というのはございます。これは全国で九百から千近くと思っておりまするが、これに対してはごく金額としてはわずかでございます。けれども、それぞれ補助をいたしております。産業課程学校におきましては、一校当たりに十五万円、また特にわずかな金でありまするけれども、同和教育、特殊教育、そういったような方面も、あるいは二万五千円、あるいは五千円とかの少額でありまするが、出しておるわけであります。
  108. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいま文部大臣の御答弁によりまするというと、助成金が行っているらしいのですが、それは文部省の指定校なのでしょうか。県の指定校などでは何ら行っていないらしいので、研究指定校になっていろんなことをやりましても、何ら助成金がなくては張り合いがないというのでだいぶこぼされているのに私は会ったのですが、これは県の関係でしょうかね。どうなんでしょう。
  109. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 国の方から出ているわけであります。さらにこまかい点を確認いたしております。各研究指定校に対しましては、国庫補助金として支出いたしておりまするのは、産業教育一校当たり十五万円、同和教育二万五千円、特殊教育五千円、僻地教育一万五千円、こういうことになっております。
  110. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいま文部大臣の御説明によりますると、文部省関係はあるらしいのですが、県関係でしような、これはないというので、非常に悲鳴をあげておりましたが、やはり県指定校においても研究させるということになれば、やはり奨励した方が効果が上がるだろう。だいぶ教育問題では他にいろいろな問題がありますが、まじめにこういう方面に指定し、研究されている学校に対しては、やはり国も県も——県を通じて相当奨励助成することが必要であろうと、かように考える次第なんですが、時間もないようですから、同じことを何回繰り返しても同じですから、私の質問はこれで打ち切ります。
  111. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連して。  ただいま教育予算の問題の中で、ことに老朽校舎の改築問題が出されたわけでありますが、その中で小学校の補助が三分の一というような形で、その結果はどういうことになるかというと、これは地方財政に非常にしわ寄せされます。さらにそれだけで間に合わないで、これは父兄の負担という形で非常にこれは大衆に重い負担をかけることになっております。こういう現状について、これは文相知っていられると思う。しかし、蔵相は知っているかどうか。こういう点でなぜこういう問題を率直に取り上げて解決される努力をされないのかどうか。  この問題と、もう一つ今度の災害、ことに伊勢湾台風の中で非常に校舎がやられております。なぜやられておるか。むろん台風の度合いが非常に激しかったことにもあるけれども、しかし、危険校舎がやはり残されているということが一つ原因になっている。こういう中で、今、急速にこれは文教政策の立場からこの復旧のために努力をしなければならないということが起こっているわけです。しかし、災害考え、それから今の建築の基準から考えまして、これは鉄筋の耐久の建築をしたい、こういうのが今被害を受けた人たちの世論になっているわけです。ところが、これでは今までの補助率ではとてもこれをまかなうことができない、従って、補助率をもっと多くしてもらいたい、一坪当たりの単価をふやしてもらいたい、このような切実な要求が災害地から出されておるわけです。従って、このような問題をもっと急速に取り上げて、文教政策の面でことに災害対策は非常におくれている、取り残されている。これが一つ災害対策の中の島国になっております。これじゃ非常にまずいと思う。この点で文相はどのように努力をされるのか。文相は今まで大蔵省とどのような折衝をしたのか。さらにこれに対して大蔵大臣はどのような打開策を考えておるか。この点を明らかにしてもらいたい。この点は当然武藤議員が質問されると思ったのですが、この点されないものですから、それで私はかわってさらにやっているわけであります。
  112. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 義務教育でありまするから、しょせんは国でやるにしても、地方でやるにしても、これは全額負担していかなきゃならぬという基本的な考えは、私どもも全くあなたと同じ考えであります。特に強調ぜられたように、災害地方面における学校の改築にあたりましては、危険校舎は、これはそういう地方に限らず、急速にその改築をやらなきゃならぬということもまた当然のことと思います。しかし、何分にも一気にこれらのものをすべて改築していくということは、なかなかそういうふうにも事実上、国の財政上できない点も了承しなければならないことは、これまた当然のことであると考えます。ただできるならば、むろん私どもは、教育の問題に対しましては極力わが国の国民の熱意とともに、それに十分にマッチするように進めていかなきゃならぬと、かように考えておるのであります。で、まあ今回は災害地の学校の復旧に対しましても、従来よりは相当程度私は堅牢な改良復旧に進むことができる、そういう措置ができておると、かように考えておる。むろんお話のように、完璧にすべてを新しいものにしていくということはできませんけれども相当の進捗を見せるのではないかと、かように信じておる次第であります。
  113. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどお尋ねのありましたのは、ただいま実施いたしております危険校舎の改築費の補助に関する問題であったと思いますが、この点はすでに御承知のように、二十八年度からこの補助制度を設けまして、危険校舎改築促進臨時措置法、この措置法で処理いたしております。この臨時措置法で処理いたしておりますのが三分の一補助でございます。で、これは申すまでもなく、現在あります校舎の改築についての補助でありますから、これを三分の一にいたしております。六三制の普及であるとか、あるいは市町村の統合等促進のためだとか、こういうような場合には、この制度上の問題といたしましては二分の一にこれが上がるわけでございますが、改築であるからということでこれを三分の一にしている。で、この点について父兄の税外負担が相当あるという問題を御指摘になりましたが、この税外負担の問題については、ひとりこれだけの問題ではないと思います。いろいろ税外負担の内容等についてもいろいろ議論のあるところだと思います。そこで、地方財政の面においての国と地方との関係等におきましては、本来税外収入がなくっても、これが税外負担がなくっても処理できるという実は考え方のもとに、交付税等の措置を勘案いたしておるのであります。しかし、むしろ地方議会等の問題として十分御検討願いたいものだと思います。  また今回の災害復旧につきましては、今回の災害の復旧の緊要性にかんがみまして、在来の補助率ではございません。普通の場合におきまして、これは三分の二の補助であったと思います。被害激甚地におきましては、さらに補助率を高めまして、四分の三にいたしておるはずでございます。そうしてただいま御指摘になりましたように、木造の建物、これをやはり恒久堅牢な建物にする、いわゆる鉄筋化する、こういうことにやはり工夫していかなければなりませんので、一般老朽校舎の改築の場合の鉄筋化の比率を、今回は災害に際しまして特に引き上げて、鉄筋化が多くなるような工夫をいたしております。全壊の場合と、あるいは半壊の場合とで区分はございますが、この率も非常に高まっております。そうして今の要望にこたえるという措置をとっておる次第でございます。
  114. 小林英三

    委員長小林英三君) 武藤君の質疑は終了いたしました。   —————————————
  115. 小林英三

    委員長小林英三君) この際、委員の異動がございましたから御報告いたします。阿具根登君が辞任せられまして、大和与一君が選任せられました。   —————————————
  116. 小林英三

    委員長小林英三君) 次に千日君。
  117. 千田正

    ○千田正君 私は、まず第一に、大蔵大臣お尋ねいたしたいと思います。幸いにきょう農林大臣、建設大臣がおみえになっておりますから、関連してお尋ねしたいのですが、われわれの手元に届いておりますところの資料によりますると、今回の補正予算における既定経費の節約額調というのが届いております。これを見ますると、六十九億という膨大な額が節約されておる。しかも、現業であるところの、特に建設省あるいは農林省、こういう面におけるところの予算相当大幅に節約されておるということは、われわれが非常に危惧をぜざるを得ないのは、現在工事施行中のものがある程度ペンディングになるか、あるいは来年度予算においてこれを含んださらに大きい意味予算を組みかえるのか、その辺のことがはっきりしないというと、工事建設中、あるいは増産対策その他の施設中のものが、このままストップということになると、非常に大きなこれは生産に、あるいはその他の問題に影響がある。この点については、どういうために節約し、また節約しても差しつかえないという何か根拠があられるのかどうか、その辺をはっきり御答弁いただきたいと思います。
  118. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今回の予算編成に当たりまして、財源をいろいろ工夫し、やむを得ない財源不足分につきまして、私どもは各省既配賦の予算に節約をお願いいたしたのであります。ところで、農林あるいは建設等の、これはもう相当多額の節約をお願いいたしました。その点で、本来の既配賦の予算それぞれがりっぱな目的を持ち、その一部等におきましては、当然災害にも関係があるような工事さえも、場合によりましては節約を願いたい、私の方で指定はいたしませんが、一応予定されます金額を明示いたしまして、各省におきまして、現在施行しておられる工事について、その重要度なり、あるいは緊要度なり等を勘案されまして、所要の金額を生み出すことに御協力願ったわけであります。しかして、私の考え方でございますが、おそらく各省とも苦しいことであったに違いないと思いますけれども、ただいま施行しておる工事その他には一応支障を来たさないで、繰り延べし得るというような意味において、節約に協力された、かように私考えます。ただいまのところでは、大部分は繰り延べの形だろう、かように私は考えております。
  119. 千田正

    ○千田正君 建設大臣、今の大蔵大臣の御答弁であなたの方は納得いくのですか。三十九億三千四百万という膨大な金額がこの際一応見送られる、こうなるというと、非常にこれは支障を来たすのではないかとわれわれは考える。また農林大臣の方にいたしましても、十三億四千七百万、これまたいろいろな面において相当支障を来たすおそれがある、こういう点については差しつかえない、かように考えておるのですか。
  120. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) ただいま大蔵大臣がお答えしたことと大体同じであります。建設省におきましては、今回の災害地と関連して、どうしてもこの事業が災害のためにやれないという部分、それからまた用地問題等によってダム等が着工できないで、どうしても繰り延べになる、繰り越しになるというような、こういうところが大部分でありまして、今回の既定予算の節減によって支障を来たすようなことはないように思っております。
  121. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 大蔵大臣からお答え申し上げた通りでございますが、苦しいことは苦しいわけでございます。しかしながら、災害予算に協力するという建前から、節約ということをやった次第でございます。大体十三億という額の見当は、毎年ここ数年、翌年度に繰り越されている額があるのです。それがそのくらいの額になりますので、それを見当に、節約をいたしたわけであります。また来年度予算において、これを復元しなければならぬというふうに考えております。
  122. 千田正

    ○千田正君 私以外からおそらくこういう問題のお尋ねがあると思いますが、私はさらに大蔵大臣に、これは安保条約と同様に、非常に五大な問題でありますから、お尋ねいたすのですが、ガリオアの問題であります。十月三日、ワシントンで、佐藤蔵相とアンダーソン米財務長官との間に、ガリオア返済についての御会談をなさったようであります。このガリオアの問題は、従来われわれ日本人の感情からいえば、あの終戦後の非常な困窮の場合、アメリカ側の援助だというような意味で、日本側にあらゆる手を差し伸べた、返済をするのか、将来返済しなければならないのか、あるいは、ある程度これは援助としてちょうだいしたのか。むしろ、ちょうだいしたという方の観念が国民の方は強いのであります。しかし、最近に至りまして、アメリカ側からは、相当膨大な返済を要望しておるということを聞いておるのでありますが、大蔵大臣の折衝の経過並びにアメリカ側の要求はどれだけなのか、そういう面について一応お尋ねいたします。
  123. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ガリオア、イロアの問題につきましては、アメリカ側といたしましては、これを早期に解決しようという——これはここ一、二年の問題ではなく、かねてからしばしば政府に対しても要望しておったところであります。政府自身といたしましても、ただいま千田さんの言われるように、ガリオアの性質等についても、いろいろ検討を加えました結果、過去におきましては、しばしば債務——と、かように明確に申したことはございませんが、債務と心得るというような表現をいたしておりまして、今日まで推移いたしております。そこで、二十九年まで、しばしばこのガリオアの返済問題につきまして、日米間で交渉を持ったようでございますが、二十九年の会談以来、日本といたしましては、賠償問題等、日本の債務としてサンフランシスコ条約に基づいて結末をつける問題がある、その問題の見通しがつかないうちに、このガリオア、イロアの問題と取り組むわけにいかないという主張をいたしまして、それではしばらくそういう事態——その賠償等が片づくことを一応待とうというような話し合いになりまして、その間にここ数年——二十九年以来数年たったわけであります。そこで、ただいま御審議をいただいておりますベトナム賠償問題等が片づくことになりますると、いわゆる東南アジア諸地域に対する賠償の問題は一応これで終結するというような事態になるわけでありますし、また、それ以外にも日イ間の問題だとか、あるいは外債の処理だとか、その他の関係のもの、あるいはまた、タイの特別円の問題がございますが、金額等きまっておりますが、そういうような問題によりましてわが国債務の総額というものが大体見当がついた。そうなって参りますと、かねてから問題になっておるガリオアの結末をつけたい、これをまた最近になりましてアメリカ側から督促をされておる状況であります。私、昨年大蔵大臣に就任いたしましたその当初にも一度、この解決の督促方を受けたのであります。当時はただいま申すように、賠償問題がまだついておらないという状態でありますので遷延してきた。で、ことしになりまして相当見通しがはっきりして参りましたから、今回私がIMFに出かけるについては、この問題をぜひ解決しようではないか、西独の方はすでに解決しておる、また、ソ連等に対する武器援助の関係も、これも片がついてきている、そうすると日本に対するガリオア、イロアの問題、これもいつまでもそのままにしておけないんだ、こういうような話で、来た機会にぜひとも日本政府考え方一つ明確にしてもらいたいという申し出がありまして、そこで、私、参りますに際して、日本側の意向として、この問題はわれわれの方としては債務と心得ているから、これの支払い考えてもいいことだけれども、しかし、なおわれわれが確認しなきゃならない点が相当あるから、そういう意味でこれから事務的な折衝を始めようじゃないかということで実は別れて帰っておるのであります。また、最近ジロン国務次官が参りました際も、これについての督促方を申しておりますが、まだ事務的の実際の交渉は始まっておりません。しかし、基本的に申しまして、わが方といたしましては、これより以上遷延ができないような形になってきておる、従って、交渉を持つことが、まあこれから先でございますが、始めなきゃならぬだろう、かように実は考えています。ただ、そういう場合に、私どものこれをどういうように処理していくつもりかという点がもちろんあるわけでありますが、日本政府といたしましては、わが国の国民感情、これも十分尊重しなければなりませんし、また、この問題を解決することが日米友好関係をさらに進めるというような効果がなくちゃならない、そういうような意味においてこの問題の折衝に入るつもりでおります。従いまして、ただいまのところ、もちろん全額がきまっておるわけではありませんし、また、支払い方法がきまっておるわけではございませんし、また、支払ったものをいかように使うかというような点がまだ論議されておるわけではございません。問題はこれから折衝を始めようかどうかという段階でございます。
  124. 千田正

    ○千田正君 これは、最近アメリカのドルの手持ちがだいぶアメリカの内部において相当問題になってきておる——いわゆる財政上アメリカとしましては非常に苦しくなってきた、こういう点は国際的な経済面から往々いわれておるのですが、それと同時に、こういう問題も、やはり借金を返せということになってくると思うのです。それで、よくいわれておるのが、日本に対するガリオアとして出しているのは約二十億、こういうことをいわれておる。二十億というと約八千億という膨大な金になります。イロアを合せますというとこれは千億以上になる。これは非常に重大な問題でありまして、大蔵大臣御存じの通り、西ドイツは三分の二は切り捨てて、三分の一は五年ないし三十年にわたって分割払いをするというので、西ドイツとアメリカとの間のこの種の問題が解決しておる。日本側としましても、現在の財政状況からいって、向こうが二十億とか三十億とかという膨大なことを要求されても、とても日本財政では成り立たないと思うのです。いわゆる西ドイツ方式をとってもらうか、あるいは最近アメリカ側が主張しておるように、本年は三十五億米ドルの対外援助資金を出したが、アメリカの財政はそれを許さない、来年は三十二億に削ろう、そうして削った分に対しては、イギリスやドイツや日本に対外援助資金は肩がわりしてやってもらおうじゃないかという声がアメリカの内部にだいぶ出ておる。で、いろいろな方式があるのでしょうが、とにかく、そのままうのみにしては、とうてい日本財政は持たないと思うのですが、この点について何らかの方法を考えておられるか。西ドイツ式を私は堂々と言ってもいいのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  125. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 交渉ごとでございますから、実は慎重にいたしておりますが、ただいま西独が処理した一つの先例はございます。当時、西独方式はもちろん援助物資そのものの性格から見まして、初期におきましては占領軍が使っておったものもございましょうし、それから後、これは国内のいわゆる援助的な性格を持つものもございましょうし、また、アメリカの予算だけで支出したもの、それだけが全部、いわれるような援助物資総額になるかどうか、そこらにも十分検討しなければならない問題があるのであります。ただいま二十億というような数字が出ておりますが、まあ今まで包括的にいわれております——まあ概括的にいわれておるのは二十億前後ということでございますが、これはやはり債務と心得る範囲につきましては十分折衝を必要とするのであります。そうして、しかる上、これをいかに支払っていくか、その場合に、ただいま言うドイツ方式というものは、これはおそらく債務として支払うべき範囲を決定いたします場合に、おそらく便宜的に採用されたものだろうと思います。これは性質は、もう御承知のような性質のものでありますから、なかなか古くはあるし、なかなか確かめにくい問題だろう、こういうふうに思います。そういう点がこれからの折衝の問題だろう。それにいたしましても、総額二十億ドル前後というものが一体どのくらいになるのか、それをできるだけ確かめることが必要だろう、こういうふうに私の方は考えております。
  126. 千田正

    ○千田正君 どうも時間がないのではなはだ残念ですが、もう一点大蔵大臣に簡単に質問いたしますが、北海道東北開発公庫が設立されてからもう数年になりますけれども、実際の金融状況というものは、いわゆる地方の開発ではなくて、むしろ中央の大資本家、大企業家が地方に行った場合に、それに対応して金融をしておるような方が多い。むしろ地方の開発のために地方の産業の面に出しておる点は少ないのじゃないか、こういう点が盛んにいわれるのでありますが、こういう問題に対しては何らか調整して、そうした地方開発のためにもっと幅広い措置をとる方針をとられてはどうかと私は思うのですが、大臣はどうですか。
  127. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私もお説にしごく賛成でございます。本来、北海道東北開発公庫の業務の範囲というものは、非常に目的を限定して使われるべきものだと思います。しかしながら、実際の金融状況を見ますと、これは金融機関といたしまして、他の一般金融機関ともダブる面は当然出て参ります。そこで、ただいま言われるような点が弊害として出てくるのじゃないか、そういう意味では公庫の運営上においてそういうことのないように、言いかえますならば、他の地域から北海道に進出していろいろ仕打をしておる、そういうものは他の金融方法をつけることが望ましいのじゃないか、こういうように私は考えるのです。最近の状況から見まして、この北海道東北開発公庫の営業範囲は相当拡大されて参りますので、当初作りましたときには、幾分かその区分を明確にしていたように思いますけれども、順次他の金融機関とその営業範囲がダブってきている、そういうような状況になっておると思います。
  128. 千田正

    ○千田正君 時間がないのでまことに残念です。  運輸大臣にお伺いいたします。先般運輸大臣が例の羽島駅ではだいぶ人情論を述べられたようでありますが、あとからよく調査してみまするというと、どうもあそこへ駅を設けるというと、道路、その面の建設が相当重要な問題になってくる。その道路の交通、駅に通ずる道路その他の建設は、これはどっちが持つのですか。運輸省じゃ国鉄から特に金を出して岐阜県のためにサービスするということでありますか。
  129. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) お尋ねの羽島にまだ駅を作るかどうかということも、国鉄から私の方へ申してきておらないので、これはただ岐阜県に一カ所作るということで、国鉄ではどこへ作ったがいいかということをまだ研究しておる段階だと思うのです。
  130. 千田正

    ○千田正君 この問題はまあだいぶ問題になりそうですから、大いに御研究願います。  次に、運輸大臣にお尋ねするのは、航空事業の問題であります。航空事業が、御承知のように日本状況というものは、まことにほかの国に比較しますと貧弱であります。何とかしてこれを将来各国と競争できるだけのものにしなければならないんじゃないか、こういうふうにわれわれは考えるのでありますが、現況と将来の御方針に対して一応承ります。
  131. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 御承知通り日本の航空は、ほかの面から見ますると非常におくれておると申しますか、海運はやや国際的な水準にたどりつつありますけれども、航空は非常におくれておりますので、どうしてもこの際航空に関する基本的な政策を立て、またそれに基づいて国際的な競争にたえ得るような態勢に持っていかなければならぬと思っておりまして、その基本方針の樹立を実は今草案を練っておるのでありまするが、御存じのようにジェット機時代に入りまして、このジェット機に対応する態勢を作るということにならなければならぬのでありますが、これは非常な資金を要するわけでありまするけれども、御存じのように羽田の空港を目ざして各国の航空会社がやはりジェット機を入れておる関係がありますので、わが方においてもそれに対応する諸施設並びに資金の確保、こういうことを考えておりまして、また場合によっては助成措置もとらなければならぬと思うのであります。ことにジェット機による、わが方といたしましては、太平洋線並びに北極回りの欧州線及び東南アジア、またインド洋を回りまする欧州線、最後にはやはり世界一周のジェット機の航空路線を開きたい、こういうことを考えておる次第でありまして、また国内航空につきましても、安全な運行と経営を確保するために適切な助成措置等を考えまして、それぞれ日本航空、並びに国内航空につきましては全日空が大体分担してやっておるのでありまするけれども、まだ国際航空に対する基本的な対策が立たないために、国内における基本的な基幹線と申しますか、札幌から東京、東京から大阪あるいは福岡というような基本線は大体日航がこれはやっておりますが、将来の考えといたしましては、日航はやはり国際線で、全日航空その他の航空会社が国内の航空を整備して、その目的を達するように強化するということをやらなければならぬと実は思っておる次第であります。  なお、この機会に国際航空の現状を申し上げておきますと、現在日本航空の経営します国際航空路線は、東京—サンフランシスコ線週四往復であります。東京—ロスアンゼルス線週三往復、東京—シヤトル線、二往復、東京—那覇—香港線週二往復、東京—台湾—香港線週二往復、東京—香港—バンコック—シンガポール線が週三往復、福岡—那覇線週二往復、これらの路線はDC7C型四機、DC6B型四機をもって運営しておる次第であります。
  132. 千田正

    ○千田正君 日本の航空を見るというと、国際ランキングからいいますと十七番目にある。これはまことに残念なことには、カナダやイタリアや、あるいはドイツ、インド、濠州、ベルギー等よりもはるかに下にいるということです。そうするとやはりこれは文化の一つの表徴であり、交通という大きな事業の表現なんでありますから、その点は特に考えてもらいたい。しかも観光事業あるいはオリンピック、いろいろなものが将来日本の生産以外のいわゆる収入として考えられるときでありますから、こういう面においてはもうあまり遠慮しないで、将来の発展のために考える必要があるのではないか。一体今度のジェット機の購入その他に対しての予算要求はどれだけやっておるのですか。
  133. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 今仰せのごとく、非常に航空というものが、単に観光だけではなくて、商権の非常な大きな拡大になっておりますので、各国とも国家が相当の力を入れて助成をいたしておりますし、BOACにいたしましても、あるいはエア・フランスにいたしましても、SASにいたしましても、国がほとんど力を入れて、国際的なつまり航空路の開拓に努力をいたしておるような次第であります。その趣旨に従ってぜひとも航空国策を立てたいと思うのであります。  なお、ジェット機その他につきまして今手当いたしております予算等につきましては、航空局長からお答えさせます。
  134. 辻章男

    説明員(辻章男君) お答え申し上げます。先ほど大臣からお答え申し上げたような計画にのっとりまして、来年度計画といたしましては、DC8二機、それからこれはまだ機種はきまっておりませんが、中型ジェット機、これは主として東南アジア方面あるいはインド洋回りの欧州線に使うように考えておりますが、これを四機発注したいと考えております。これに要しまする資金相当膨大になりますので、日本航空に対しまする助成の意味と、それからその資金繰りをよくする意味におきまして、政府出資を三十億、それから政府保証の社債を十七億考えております。
  135. 千田正

    ○千田正君 大蔵大臣はこの問題に対してはどうお考えになっておりますか。
  136. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今、航空関係の整備、特に飛行場の問題が主体でございますので、私ども非常に急務を要する。ことに観光事業の面等から見まして、またオリンピック等の点を考えましても、これから国際的交通機関としての航空機は非常に重要性を持つものである。かように考えておる次第でございます。
  137. 千田正

    ○千田正君 これはぜひ実現していただきたいと思います。  次に、海運の問題について運輸大臣にお尋ねいたしますが、昨今の海運界は非常に不況に陥っておる。特に計画造船を推進してきましたけれども、現在海運会社の借入金が、残高は二千五百億円、減価償却未済額の累積が六百二十億円に達しております。このような膨大ないわゆるマイナスの累増であっては、将来の海運界というものははなはだ心細い。これに対してどういうふうな対策をとっておられますか。御方針を承りたいと思います。
  138. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 御指摘のように日本の海運は非常な、国際的な一つの線から見ましても逆境におるのでありまして、御存じのように戦争中国家目的のために船を動員して、これが国家の目的のために八判以上沈められた。当然に国家が補償すべき戦時補償を、当時マッカーサー司令部その他の、日本経済に対する分断政策といいますか、というような線に沿ったとみえまして、一切の補償を打ち切られたのであります。従いまして、非常な海運会社は、その後の国策の線に沿うべくいろいろと努力はしましたが、膨大な御指摘のような負債のもとに、今日約五百六十万トン近くの船を建造いたしておりますが、一方には金利は、開発銀行で六分五厘、及び市中銀行で九分何厘の金利を背負っておるのであって、金利の支払いだけでも二百数十億を年間やらなければならない。一方に国際的な収支の改善といいますか、国際収支の面から見まして海運の持っております役割等から、この国際場裏に出ましたときに、外国ではほとんど全部が戦時補償をやっておりますし、同時に金利の面につきましても、英国その他各国の、日本と競争しておる海運会社というものは三分ないし三分五厘の金利をもって国家がこれを助成をしてやっておるのでありますから、とうていこれに対する対抗力というものからいきますと、非常な日本の国際競争力というものは弱いのであります。従ってどうしても激しい国際競争における耐え抜くだけの日本海運の根本的な体質改善をやらなければならないということを考えまして、六月から海運造船合理化審議会に対しまして、日本海運の国際競争力強化のための方策を諮問いたしましたのであります。最近その答申を得ましたのですが、その答申の内容を尊重いたしまして、およそ次のような対策を行ないたいと考えておる次第であります。  第一に、海運企業の強化対策といたしましては、企業の自主的努力に見合い、各業者の自主的な努力を見まして、政府においても企業に対して非常な重圧となっておる金利負担を、利子補給等の措置によって軽減したいと考えておるのであります。  次に新造船の建造対策といたしましては、企業の体質改善の方向に背馳しないように、将来の国民経済上必要とせられる外航船舶の建造を行なっていくつもりでありますが、その国際競争力を確保するためには利子補給及び損失補償等の制度をも適用することが必要だと考えておるような次第であります。  第三に、船質改善の対策といたしましては、現在百万トン、総トン百万トンに及ぶ非常な性能の低い船舶が内外の、海外の市場を圧迫いたしておりますから、この低採弊性の船を——企業の経理の、この低採算性のために企業が非常な災いをなしておるというのを見まして、スクラップ・アンド・ビルド等を行ないまして、これに対して適当な助成措置を行ないたいと考えておるような次第であります。  第四には、三国間の輸送助成及び輸送補助につきましては、本年度予算において若干の実施を見ましたが、さらにこれを強化いたしまして、また税制、船舶乗組員の定数等につきましても必要な措置を講じたいと思っております。総合的に日本海運の国際競争に耐え得るような態勢を作りたいとして、今日努力しているような次第であります。
  139. 千田正

    ○千田正君 大蔵大臣に、今運輸大臣が利子補給を要望しておりますが、これに対してはどういうお考えでありますか。
  140. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今経済の面におきまして一番苦しい不振産業といえば石炭、海運、この二つがあげられるわけであります。石炭についての基本的な問題等は、次の国会でいろいろ審議されることだと思いますが、海運はすでに運輸省におきましていろいろ基本的対策を立てておるようであります。しこうして、私自身この海運についても不振産業としてのその特殊性については、十分認識をしているつもりでありますが、この金利の問題につきましては、特殊産業だけにつきまして特別考慮が払えるかどうか、十分検討を要することだと思うので、大蔵当局といたしましては、これは慎重な態度でさらに研究を進めたいと思っております。御承知のように、今日まで開銀等における特別融資、これは特別産業についての金利の安いもので融資をいたしております。なるほど、御指摘のように外国との金利におきましてはなお相当の差がございますが、国内におきましては、その資金を確保すると同時に、低利で融資いたしておる状況であります。まず自主的な合理化の線を十分進めていただき、しかも、なおかつその事業の将来性につきまして十分の見通しが立たないときに、政府としてはさらにいかなる措置をとるべきか、これを考えて参りたい。かように考えております。
  141. 千田正

    ○千田正君 運輸大臣と農林大臣にお伺いいたしますが、国鉄貨物運賃の公共政策割引の問題が数回にわたって各委員会で問題になったのであります。もう本年十二月末でどうなるか、こういう問題になっておりまして、農業の生産に対し非常に大きな影響を与える問題でありますので、運輸大臣からこの問題についてお伺いいたします。
  142. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 農林水産物の公共割引につきましては、ちょうどこの前、期限が一年間で、八月の末が締め切りといいますか、最後の段階にきておりますので、農林水産委員会その他においても非常なこれが問題になりましたのですが、国鉄といたしましては、御存じのように非常な特別割引のために赤字が大きいので、大体二十億、この問題についてはやはり是正してもらいたいという希望を申し述べておったのですけれども、諸般の情勢上いろいろと勘案いたしまして、八月二十五日の日に、大蔵、通産、農林、企画庁及び運輸の関係閣僚懇談会におきまして、本割引は引き続き十二月三十一日まで延ばして行なう。右期間の満了までの間に、国鉄運賃の公共負担の全般につきまして関係閣僚で再検討を加える。こういうことにいたしたのであります。その後事務当局等におきましていろいろと資料等を整備いたしまして検討を加えておりまするが、つい先般、この問題のために幹事役をやっておりまする菅野企画庁長官がコロンボ会議に参られましたので、参る前に、私にも農林大臣にも相談がありまして、帰ってきたら、まあ十二月も間もなくのことでありまするから、急速にこの問題に対して一つ検討をやって、十二月までに何らか打開策を講じよう。管野長官は今明日に多分帰ってくるだろうと思いますが、帰って参りましたら直ちにこの問題について各省関係閣僚との間に懇談して、解決の道を見出したいと、こういうふうに存じておる次第であります。
  143. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいまの問題は、これが改正に相なりますると、特に農林物資に重大な関係が出てくるわけであります。その結果消費者に対しましても、また生産者に対しても大きな変動が起こってくる関係上、私どもといたしましては慎重に対処しております。それでこの夏のとき、十二月までということで延ばしたのでありますが、なぜ十二月かというと、これはそういうような特に農林物資に関連していろいろ問題があると同時に、これは国鉄の経理の問題でもあるわけであります。そういたしますと、これは国鉄の予算に関連をしてくると、予算を最終的に検討する時期は年末であると、かようなことで、三十五年度予算と関連をとりながらこの結末をつけなければならぬのじゃあるまいかと、こういうようなことで、年末までこれを延ばすと、こういうことにいたした次第でございます。私どもの農林物資といたしましては、なるべく公共割引を存続さしてもらいたいと、こういうことでございまするが、まあ国民生活に影響のない限りにおきましては御協力は申し上げまするが、しかし、これに伴って消費者、生産者に重大な影響があってはならぬと、まあそういう面を考慮しながら、国鉄の財政をどうするかということと相対的な関係でこれを解決していきたいと、年末までには何らかの結論を得たいと、かように考えております。
  144. 千田正

    ○千田正君 時間がないのですが、せつかく私は、重大問題が一つあるのです。外務大臣が見えていないのは残念でありますけれども、農林大臣に伺います。当面の問題といたしまして北洋漁業の問題、これはやがて間もなく日ソ間における漁業協定を中心として漁獲量の査定その他が行なわれると思いますが、日ソ平和条約のうらはらになっておるような感も深くさせられる。それで、非常にこれは日本漁業の圧迫でもあり、また、ことしは豊漁年というので八万五千トンにきまつたけれども、もしそうだとするならば、現在の出漁船というものはある程度調整しなければならない。四百六十隻の独航船に対して、あるいは調整問題が起きておる。従来のような調整方法でいったなら、とてもやりきれない。何かそこに転換する方法を考えないと、この北洋漁業をめぐりまして、日本の漁業界のみならず、いわゆる外交方面に対しましても、国際的な問題として浮かび上がってきます。それで、農林大臣としましては、この問題をどういうふうに将来考えるのか、現在調整するのか、あるいは今後も日ソ漁業協定に基づいて漁獲最の大幅な要請をあらん限り努力して要求するかどうかという問題がここに浮かび上がってきたのですが、これに対しまして農林大臣の御方針を承りたいと思います。
  145. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 北洋漁業の問題は、ことしの漁業委員会におきまして、来年は一月十九日から始めましょうと、こういうことになっておるわけで、お話通り、もうその時期が迫りつつあるわけでございます。これに対しまして、わが方といたしましては、科学的諸資料を備えまして万全の対策をとりたいというので、ただいま鋭意努力をしておる最中でございます。それで、私ども考えといたしますると、ことしはまあいわゆる豊漁年に当たると、かようなことで、相当日本側の漁獲高が多く、八万五千トンより多かったんだ、多かったんだという声があるわけであります。協定で八万五千トンときめておって、それで実際問題として多かったというようなことでは、私どもが日ソ漁業交渉に今後臨む態勢といたしましては、まことにわずらわしい立場に相なりますので、それはそれといたしまして、今後は一つ大いに規制をしなければならぬと、かような考えを持っておるわけでございます。さようなことで、先般北洋漁業の業界に対しまして、農林省といたしましては、来年はかような規制をするという相当厳重な規制案を示したわけでございます。それに対しまして、業界では、もちろんその規制を守るということは、これはまあいたし方ないことであろうが、他面におきまして、日ソ交渉における漁獲量の交渉にあたりましては、今までの線よりも大幅にこれを増額すべきではあるまいかというような意向が、まあ内々打ち出されておるような次第でございます。他面、業界の船団の再編成の問題は、これは純国内問題でございまするが、その性格は主として会社の採算に関係する問題なんです。私どもは、それに対しましては、ある程度予想されるような漁獲高に対しまして規制をやるということになれば、おのずから再編成ということに進まざるを得ないのではあるまいかと、こういうふうな言い方をして業界と対処しておるわけでございまするが、業界におきましても、まあ何とかして再編成をしたいのだというような空気が最近出てきておりまして、その方法につきましてどうしようかというような御相談も受けております。私といたしましては、まあ会社の採算のことではありまするが、極力採算に乗るような仕組みに再編成をした方がよかろうと、四百六十隻という独航船もあるいは四百隻くらいにするというようなことになりますれば、会社の採算上非常によろしいと、それからその転換につきましては、幸いにオホーツク方面でミール工船が、さらにこれを増加する余地がありますので、さような方面もいかがであろうかというようなことも考えておる次第でございます。そういう内部の問題もあり、また、それに対する交渉の問題もあり、ただいま鋭意準備態勢を整えておる状況でございます。
  146. 千田正

    ○千田正君 時間が参りましたから、次の機会にいたします。
  147. 西田信一

    ○西田信一君 ちょつと関連して。ただいま千田委員の民間航空の拡充に関する質問に対しまして、運輸大臣がお答えになりました。そのお答えを伺っておりますと、国際航空等について、いろいろ飛行機の購入その他についての御答弁がございましたが、私伺っておりまして、はなはだおくれているところの国内の航空施設の整備ということについては一言もお答えにならなかった。私はこの点が大事だと思うのでございますので、私は北海道であるから北海道のことをよく承知しておりまするが、国内航空、しかも、国内の主要航空線についても、まだ飛行場の整備等が十分に進んでおらない。たとえば、北海道の千歳の飛行場のごときは、これはたとえばターミナルなんかでも、掘立小屋みたいなものを使っておって、夏においては八往復も飛行機が飛んでおるのだが、ほとんど人の入るところもないというような状態であります。ところが、これがアメリカから今年の七月に返還になったが、まだ飛行場の指定もしておらないというような状況にあるわけであります。こういうのは非常に残念でありまして、ターミナルばかりでなくて、航空路その他整備すべきものは多々ございます。これはひとり千歳の飛行場ばかりではないと思うのでありますが、国内のこういうような主要飛行場につきましても、もっともっと整備を急ぐ必要があると思うのでありますけれども、こういう問題についてはどういう御方針であるのか、この際一つ、こういう問題を急速に取り上げていただかなければ、ただ単に国際航空路の飛行機の購入だけでは事足りるものではないと思いますので、この点を一つはっきり伺っておきたいと思います。
  148. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 千田さんの御質問が国際航空におけることをお話しになりましたから、お答えいたしたわけでありますが、もちろん、西田さんがおっしゃいますように、国内航空の整備拡充ということに対しても鋭意意を用いておりまして、千歳の問題等もこれは取り上げておりますし、丘珠の方も、千歳を主体として、国内のローカルの線も拡充したいということで、予算も要求しておるような次第であります。まあ国内の航空が一面からいえば、非常に重要でありますから、ローカル線その他につきましても、あらゆる努力をしていることを申し上げます。
  149. 小林英三

    委員長小林英三君) 千田君の質疑は終了いたしました。   —————————————
  150. 小林英三

    委員長小林英三君) 次に、東隆君。
  151. 東隆

    ○東隆君 私は、大蔵大臣を毛ぎらいしたわけじゃありませんが、要求大臣は、農林大臣一人になっておるわけであります。そこで、大蔵大臣に御退席をというのではありません。そこにおいでを願った方がいいのでありますが、実は先ほど千田委員から質問がありましたように、今回の補正予算に当たって、既定経費の節減をやっておられますが、大蔵大臣はそれに対して一定の額を明示した、そして節約を願ったのだ、こういうお話であります。それから農林大臣は、それに対して、例年繰り延べになる額くらいの額を節約をして出しておるのだ、こういうお答えであります。ここのところに実に微妙な点があるのであります。私が大蔵大臣を毛ぎらいをしたのは、実は大蔵省の方が非常に強くて、災害が起きたときに、いつも経費を節約をされることがもうこれは例になっております。従って、今回もまたその手を使われておるわけであります。そこで私は、もし経費を節約をするということがそんなにたやすくできるとするならば、予算がずさんであったと、こう言ってもいいと思いますし、それからまた、もしそういうふうに節的が容易にされる、こういうことになりますると、これもまた容易ならざることにもなりますし、その反対の場合も、これはいろいろに解釈がつくと思う。私は、一定の計画を立てたら、予算一つ計画のようなものでありますが、それをやはり遂行していただきたいと思う。ことに、年度の途中でもって経費の節減等をやられますと、私は北海道でありまするが、これは気候の関係その他で非常な困難が起きて参ります。ことに秋から冬にかけては、これはほとんど仕事ができないというようなところでありますから、なおさら問題が大きくなってくるわけであります。そういうような問題をはらんでおるわけであります。で、私はなるべくこれから経費の節約というようなことをやっていただきたくないわけであります。そこで私は、この点は一つ、今回はこれはいたし方がないと思いますけれども、将来において経費の節約なんという、そういうずさんなことをやられないように、これはお考えを願いたいと、特に大蔵大臣にお願いをしたい。そこで私は、こういうような場合でも、農林省の中でも、やりようによっては経費の捻出ができる、これは一つの例でありますけれども先ほど十三億と、こういうふうに言われましたが、今、政府は澱粉の手持が約四百万袋ある、四百万袋以上あるはずでありますが、それを一袋について年間、金利と倉敷を二百五、六十円に計算いたしますと、年間十三、四億円の金が出てくるわけであります。私はこの澱粉の処理の問題で、農林大臣を初め食糧庁長官も非常に頭を悩まされておると思うのであります。    〔委員長退席理事館哲二君着席〕 しかし、これは今申しましたように、十三、四億になる金はこれはやはり国民が負担することになるのでありますから、この金を一つ有効適切に生かすためにお考えがあろうと思うのです。そこで、その考え方一つ、どういうふうに御処理をされるお考えか、澱粉問題を一つ先にちょっとお伺いをいたすわけであります。
  152. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) お話のようにただいま政府におきましては、澱粉を買い上げ、これが累積いたしまして、四千万貫をこえるような状態になっております。これは農林省といたしましては、非常に頭の痛い問題で、これが処置いかんということを常に検討しておるわけでございまするが、私は甘味資源の自給度の向上ということに関連をしてこの問題をさばいていくほかはない、かような考えを持っております。すなわち、今、日本で砂糖を約一億ドル輸入をいたしておるわけでございますが、その約半分くらいはキューバから輸入をいたしております。キューバに対してはわが国といたしましてはそう、物を出しておりません。これは日本の貿易構造といたしますると、まことに不利なやり方をいたしておる次第でございますが、そこで、何とかして砂糖を自給化する方法を講じ、日本の農家の人のためにすべきである、かような考えをもちまして、この一億ドルに及ぶ輸入を国産の甘味品をもって置きかえたい、さようなことから北海道の皆さんにもお世話願いまして今、テンサイ糖をやっておるわけでございます。しかし、この結果はきわめて良好でありまして、さらにこれを増加いたしていきたいと、かような計画を進めております。しかし、それでは足らないので、今お話の澱粉をこれを糖化する、今、結晶ブドウ糖をこれから作るということが考案されまして、すでにこれは企業化しております。ただ専門家の見方によりますと、輸入砂糖に比べまして結晶ブドウ糖は、甘味度において約二、三割低いということです。さようなことを考慮に入れますると、輸入糖に比べまして、二、三割方安く売らなければ、これは消化されないのではあるまいか、かようなことが考えられておる次第であります。さようなことを考慮いたしますると、結晶ブドウ糖の原料たるべき澱粉の政府売り渡し値段、これの操作というものが必要になってくるのではあるまいか、また、それをいたせば政府で悩んでいる澱粉の処理対策といたしましても、よろしいのではあるまいか、こういうふうな考えを持っております。普通の民間企業でありますれば、四千万貫もかかえまして、これはいつになったら売れるかわからないというような状態でありますれば、これを半値でも何でも売ってしまった方が、金利、介数等のことを考えますると、いいような見方になるわけでございまするが、これは政府保有の財産でございますので、そう簡単にもいかない。しかし、ただいま申し上げましたような甘味資源対策の一環としてという名目というか、理由のもとに若干の安値をもちましても、これを処分をいたしたい。ところが、その処分をいたしまするにしても、結晶ブドウ糖を作る生産力というものがなければならぬわけであります。これのまず育成をやらなければならぬ。そこで、私といたしましては、農林漁業公庫等の資金、または農林中金などにもお願いいたしまして、その結晶ブトウ糖の工場の建設ということを急ぎたい、かように考えておる次第でございます。私ども考えによりましては、かような方法で、今四千万貫たまっており、さらに来年の春から夏にかけましてもっと相当ふえるであろう予想のものが数年後にはそういう滞貨をかかえないで済む。かような状況になるのではあるまいか、かように考えております。
  153. 東隆

    ○東隆君 今、結晶ブドウ糖でもってはけ口をお考えのようでありますが、私もそれは一つの方法だろうと、こう考えておりますが、実は相当な量を政府が背負い込んでおるために農産物の価格安定法によって政府が支持価格をいたしましても、その支持価格を割ったり、あるいは原料であるカンショ、バレイショの値段が非常に安く、出来秋に買いたたかれ、そして、たとえばアルコール会社のごときは、あるいは酒をこしらえる会社のごときは非常にもうかって、そして税金をどうやって、隠そうか、こういうふうにしておるような状況に見えるわけであります。政府が手持ちされておるものの無言の圧力が、実は非常に大きな問題になりますから、早急にこれを解決する必要があろうと思います。そこで、私は先ほど甘味政策という関連においてお考えになる、こういうお話でありましたが、私は外国から砂糖を輸入して精製しておるところの業者は、私は相当まだ利潤を上げておると思います。そこで、澱粉を私は海外に輸出して、実はその差額を、少し値段を安く売らなければならぬと思いますが、輸入の砂糖に対してマイナスのプレミアムでもってそれをもって割り当てる。こういう態勢をとりますると、私は大体、含水炭素でありますから、何もそんなに大きな問題を起こすべき筋合いはないと思います。ただ、もうけられるのがもうけられなくなったという問題でありますが、これは大きな甘味政策を確立するという考え方から、私は農林大臣がこの手をお打ちになった方がいいのではないか、こういうことなのであります。これは大蔵省の方からまたいろいろな問題が出ると思うが、わかりませんので、私はこれを一つ農林大臣に知恵をつけまして、そうしてこれをみっちりやってもらいたい。こういうように心から申し上げますが、どうお考えですか。
  154. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 適当な値段でこれを買うという相手がありますれば、それは一つの方策かとも存じます。よく検討してみたいと思います。かように考えます。
  155. 東隆

    ○東隆君 今の適当な価格というのは、これはどうしても国内のものが高くなると思うのです。だから、これは相当な覚悟をしなければできない仕事でありますが、しかし、その補てんを甘味政策という大きな立場から輸入原糖にこれをかぶせる。こういう考え方を行うべきであって、砂糖の輸入、その他については、農林省がこれはやはり管轄をされておるのでありますから、農林大臣の管轄下においてこの仕事を進めていくことができるのではないか、こういう考え方です。一つ十分に進めていただきたいとこう思うわけです。  その次に、私は災害関係で、実は災害を予防するという方面は、先ほど治山治水の問題その他がございましたが、しかし、もう非常にあぶない、危険だ、こういうふうなときに実は手を下すことができないような状態になっておると思うのであります。台風の襲来を告げて警告を出してもすぐ手を打つことができないような状態になっておるのが今の姿だと思う。だから、口の悪い人は、災害が起きるときに予防に働いたのは村の消防士が一番働いた。その次には村役場が働いた。その次は郡あるいは県庁、こういう順序になって、国が一番拱手傍観をしておる。こんなような形で災害のときにはいつもそんなような形になってしまう。これはそういうような場合に、非常的な手段をとる場合に、金を一つも持っておりませんし、仕事ができませんから、従ってそういうようなことになろうと思うのです。そこで、私はその方面についての予算だの何だの、そういうようなものは、これは日本のような災害の多いところは当然考えて、そうして臨機応変の処置ができるような予算を構成すべきであろう、こう考えるわけです。この点、当然一つ将来に一つ強力に、大蔵大臣もおられますからお考えを願いたいと思うのです。  そこで、私は農林関係でもってお考えを願うのは、私は金融関係だろうと思う。金融関係であらかじめ措置をするというようなことをやっておけば、これは相当災害を予防することができると思うのでありますが、災害が起きて、それに使う資金が、たとえばいろいろな復旧関係の法律がある、あるいは自作農維持創設資金であるとか、あるいは天災法によるところの資金の融通であるとか、こういうようにお話しになりますけれども、これが全部災害になった後の資金融通ということになっておるのでありまして、あらかじめやるというようなものは一つもないのであります。そこで、少なくとも私は天災により被害を受けた暫定措書法ですか、あの長い法律を、これを災害をあらかじめ予知するに十分に足るようないろいろな条件の備わったときには資金の融通ができる、こういうふうに私は改正をしなければ、あの法律はあまり効果がないのじゃないか、こういうふうに考えるのでありますが、その方面についていろいろお考えがあろうと思いますが、お聞かせを願いたいと思います。
  156. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 農林関係の金融措置につきましてはまあ割合に制度としては私は整っておる、こういうふうに考えておる次第でございます。災害が起こるという際になりますれば、まず天災融資法が発動されるとか、あるいは自作農資金災害資金として出されるとか、あるいは公庫から復旧資金が出ますとか、相当制度的には整っているんです。その中でお話の自作農資金に対する要請が非常に多いわけでございます。まあ、自作農資金お話のように災害のための資金ではないのであります、もともとは。これは自作農が健全なる農家として発展していくためのいろいろな要請にこたえていこうというためのものでございます。私は自作農資金というのが農家からも非常に歓迎され、しかもそれが相当農家の安定のために役立っておるというふうに考えておりますので、今後ともこの資金の増額並びにもう少し秩序正しく簡素に融資ができる、こういう方面に今後努力をいたしていきたい、かように考えておりますわけなんです。ただまあ、大蔵大臣がちょうどここにおりまするが、大蔵省方面ではこの資金についてはあまり歓迎をいたしていないようなことで、しょっちゅう大蔵省との間にもんちゃくがあるわけであります。さようなことでございまするが、できる限り農業金融の主体はこの自作農資金であるというような考えを出していこう、かような考えを持っておる次第であります。
  157. 東隆

    ○東隆君 今自作農維持創設資金一点張りのようなお話でありますが、私は天災融資関係、これをあらかじめ予知することができるような災害、そういうようなものに対する場合にも融資ができるような、そういう形をとる必要があるのじゃないか。こういうことを申し上げたのでありますが、これにはお答えがなかったわけですが。
  158. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) そういうような事前的な、農家の安定のためには、私は今の金融の体制から言いますれば、自作農資金、これを使用すべきものである、かように考えております。
  159. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちょっと関連。ただいま農林大臣のお話ですと、どうも大蔵大臣の方は、自作農資金には積極的じゃないような感じを受けたんですが、私たちこれは地方に行きましても、この資金の増額については、非常に農民から絶えずいろいろな意味で要求を受けるわけです。増額だけじゃなしに、そのいろいろな条件等についてもやかましくこれは注文をつけられる。それほどと要求のあるものについて、大蔵大臣は何でそんな消極的な立場でおられるのか、その理由一つ大蔵大臣から説明をしてもらいたい。
  160. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いろいろ、おそらく自作農資金そのものについて本来の目的に使われることについて大蔵当局の異論はないと存じます。私どもも自作農資金は非常に有効に目的は果たしつつあるだろうと思います。その意味におきましては、別に問題はないだろうと思います。ただ、自作農資金としてその範囲は非常に拡大されることについては、あるいはいろいろな議論があるんじゃないか、かように私考えますが、大臣といたしましての所信はただいま申し上げた通りでございます。
  161. 亀田得治

    ○亀田得治君 そのもんちゃくがちょいちょいあるという点ですね。そこをもう少し、あなたがそういう気前がよかったら、もんちゃくがあるはずがない。
  162. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは、実は私もあまりもんちゃくの状態をはっきりつかんでおりません。おりませんが、自作農資金、その制度並びにその資金、これは非常に有効に使われておることは私自身も認めております。
  163. 亀田得治

    ○亀田得治君 もんちゃくはないのですか。
  164. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 少なくとも私に関する限りはないと存じます。
  165. 東隆

    ○東隆君 今の自利貸金は、大蔵大臣はあまり御承知がないようですが、自創資金は、これは非常に農家に喜ばれている資金なんです。ところが、災害が起きますと、災害の方面にこの資金相当流れてしまって、自作農維持創設資金本来の目的がこわれてしまう。そこで、私はいつも農林大臣に言っていることは、自作農維持創設資金を本来の目的の通り一つ十分に使えるような態勢を作ってもらいたい。同時に、災害の場合に出すものは、これはプラスの形でもって出してもらわんければ、一定の形でもって自作農創設資金によって安定をしようとする農家がみんなこれはこわれていくのでありますから、そういう点で問題があるわけであります。そこで、私は農林大臣に、今言ったようなわけで、今回自作農維持創設資金にどれくらいふやされたのか、その点を一つ……。
  166. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 自作農資金は、大体その中で災害分というものをあらかじめ留保しております。それで災害に使おうと……もし災害がなかった場合には、それを流用いたしまして一般の方をふやす、かような建前をとっておる次第でございます。今回はたしか災害に予定しておるものは十七億だと思いますが、伊勢湾台風に伴いまして三十億円を増額いたしまして四十七億円と、かようなことに今なっておるわけであります。東さん、今それを特掲しておいた方がいいのではあるまいか、別に区切った方がいいのではないかというようなお話でございまするが、これは今申し上げましたように、融通無礎の形にしておいた方が弾力性があるのです。まあ災害がなければそちらの方に使える、災害がありますれば補足すると、こういう方がむしろいいのではあるまいかと、そんな感じがいたしております。
  167. 東隆

    ○東隆君 実は北海道は農家が非常に借金をしょい込んでいるもんですから、負債整理の特別立法を作ってもらいたい、こういうふうに政府に申し入れをしております。ところが、政府は自作農維持創設資金でこれをやるのだ、こういうふうにお答えになっておるようでありますが、もしそうだとすると、私どもが融通無碍の形でもってやられたんでは、これはもう負債の整理だの何だの、そういうものがうまくいくはずがないと思うのです。そこで、三十五年度にはどういうようなお考えかお伺いをいたしたい。特別立法についても一つお伺いをしたい。
  168. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 北海道の中におきましても特に開拓者にいろんな問題があるのではあるまいか、さように考えておる次第でございます。開拓者に対する政府融資というものが非常に複雑でありますので、三十五年度予算の際はそれを整理統合するという方向でやってみたい。同時に開拓者は、お話のように、負債が累積しているというようなことで、営農が重苦しい。これを償還条件の修正などによりまして緩和していきたい。私は来年度予算における一つの大きな柱というか、題目といたしまして、開拓者をまず片づけてみたい、かように考えております。
  169. 東隆

    ○東隆君 非常に狭いお考えですが、開拓だけでは非常に狭いと思うのです。そこで、自作農維持創設資金というのは、これは役所の系統を通して貸し出しをされます。従って、農村の唯一の金融機関である協同組合との関連が非常に薄いのです。これでは負債の整理なんということがなかなかできないと思うのです。この自作農維持創設資金を初め、農林漁業金融公庫から出る資金は次第に系統金融機関を通さないで直接出すような方向にいっております。だから、これは私は、農村金融について抜本的ないろいろな計画を農林省お持ちのようでありますから、特にお考えを願いたい点であります。この点はどうですか。
  170. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 農業者に対しまする融資が非常にいろんなルートがある次第であります。ことに開拓者なんかになりますと、はなはだしいような状況でありますので、なるべくこれを簡素に一本化する方向に持っていきたいということを考えておる次第でございます。それでその場合の窓口は一体どこがいいかということになりますると、まあこの資金の性質にもよりますが、系統団体に一元化するということが常識的には考えられる次第でございます。しかし、資金の性質等によりましてはそういうことがなかなか困難であるというようなものもありまするが、なるべく東さんのような考え方ができるかどうか、私は来年度におきましては、金融関係のことを相当整備していきたいという考えを持って検討しておる際でございます。
  171. 東隆

    ○東隆君 今の農林大臣のお答えで私は満足なのでありますが、実は農村金融あるいは系統金融機関、およそ金融に関係したことはこれは大蔵省が非常に強く力を入れておるわけであります。また農林漁業金融公庫その他、これは制度金融でありますから、従って、なかなか系統金融機関を通して資金の融通をする、こういうようなことが今の状態では非常に困難である。それからまた負債整理の資金に使うというようなことになりますと、いよいよもって今のやり方ではできそうにもありません。そこで、それらの点についても十分にお考えになり得るのだ、こういうお答えだと理解をしてようございますか。
  172. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいまお答え申し上げましたように、全部農協といいますか、系統金融機関に一元化するということはあるいは困難な問題かもしれませんが、特別の事情のないものにつきましては、私は系統金融機関が一つの窓口になって、そして一人一人の農家と相対するという関係において、非常に農家の営農状態また負債の状態、さようなものがはっきりしてくるのじゃないか、そういう感じを持っております。まあ個々につきましてはいろいろ検討いたしております。
  173. 東隆

    ○東隆君 漁村の金融と農村の金融を比べてみますと、実は制度金融の方面においては非常に漁村の方が立ちおくれになっておる、手薄になっておるのであります。そこで、先般私は災害中心にして天災融資法関係あるいは農林漁業金融公庫関係資金について、その貸し出しの対象を広げることを実は陳情を申し上げておきました。これに対して農林大臣は善処をするというようなお答えがありました。多分相当拡大をされておると思うのでありますが、その点はどういうふうになっておりますか。
  174. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まず農業者と漁村の間に制度上非常に違いがあるというお話でございまするが、制度上はそう大した違いはないのじゃないか。ただ一般農村と漁村とを比べてみますると、漁村の方がなかなか金融のべースに乗りにくいという面があるために、実際上の問題といたしまして、漁村の金融が円滑にいっていないのではないか、かようなことに相なるわけであります。さようなことから私は今度の災害に対しましても、なかなか建造資金も入手しがたいのではないかということを考えながら、小型の船を入手するという資金も今度は出し得るような道を開きますとか、あるいは共同施設として漁船を建造するという場合には、それに対しまして補助をいたしますとか、さようなことを考えたわけであります。    〔理事館哲二君退席、委員長着席〕 東さんのおっしゃられることは、おそらく零細な漁民のことを言われていると思います。この漁民の問題は日本の農林漁業における一つの盲点と申しますか、さようなことじゃあるまいかと思う。沿岸漁業のその基礎条件がだんだん悪くなっております。そこに持ってきてたくさんの漁民が蝟集しているというような次第でございますから、どうしても貧弱にならざるを行ない。この問題に対する対策といたしましては、根本的には私は漁村の人口対策でありますとか、あるいは他の方面に転換する問題でありますとか、こういう問題から入らないと、この問題は解決しないのではあるまいか、さようなことから一つ漁村問題ということに着目し、漁業問題調査会などもありますから、ああいう方々の御意見を取り入れまして、真剣に取り組んでいきたい、かような考え方を持っている次第であります。
  175. 東隆

    ○東隆君 酪農が日本農業の転換のときには一つの方向だろうと思いますが、ところが、乳価が非常に安い、こういうようなことで暗影を投じているわけであります。私はこの際、酪振法その他によって集酪地帯などに工場をこしらえておりますが、この設備資金、これを農林漁業金融公庫から私は当然出すべき筋合いじゃないか、こういうように考えているわけでありますが、この点について実は農林御当局の方では、たとえば北海道東北開拓公庫、こういうようなところから出す、こういうような道を開こうとされているようでありますけれども、これは実は金利が非常に高くて、たしか九分であります。こういうようなものは市中銀行の金利と同じものになってしまっている。そんな関係で、それでは乳価を維持する役割をいたさないと思う。どうしても私は業務方法書その他を改正して、当然農林漁業金融公庫から資金を融通する、こういう道を開くべきではないか、こういうふうに考えるわけであります。この点は先ほどお話しになりました結晶ブドウ糖の問題等は、法律を改正されて業者にも資金の融通をする、こういう道を囲いているのでありますから、私はこの際、日本の農業を転換する中心的な問題として、少なくとも集酪地帯に基幹工場を作る、こういうような点については、当然農林漁業金融公庫から出すべきじゃないか、こういう考えでありますが、これは一つ実現をしてもらいたいと思いますから、お答え願いたい。
  176. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 全く私も同感でございます。どうも農林物資の関連産業につきましては、今の金融体系上あっちに行っては工合が悪い、こっちに行っては工合が悪いというような状況が出ている。現にあれは森永でございましたか、雪印等におきまして、開発銀行に融資を申し入れているわけです。そうすると、どうも開発銀行の方では、これは農林漁業だからというのであまりいい顔をしません、こういうような話を伺いまして、私は開発銀行に対しまして、これは開発銀行が当然出すべきものだから、もし出すならばけっこうだけれども、出さないならば、私の方は農林漁業金融公庫から出し得る道を開かなければならぬというような話をこの間したことを覚えておりますが、農林漁業の関連産業の資金の融資ということにつきましては、私も次期国会までに万全の態勢を整えたい、かように考えておる次第であります。
  177. 小林英三

    委員長小林英三君) 東有の質疑はこれで終了いたしました。   —————————————
  178. 小林英三

    委員長小林英三君) 次に、奥むめお君。
  179. 奥むめお

    奥むめお君 運輸大臣がお急ぎになりますようで、時間もおそくなりましたから、私の質問、なるべく簡潔にしていきたいと思うのでありますが、東京でも、地方に行きましても、あれはだれだれ代議士が作ったの、だれだれ議員が立てた橋だの、トンネルだのという名誉を残しているようなものにたびたび出会っておるのであります。これはまことににがにがしいことでございまして、こういうことはあってはならぬと思うのでございます。昨日の新聞にも、羽島駅当選御礼大野伴睦などというのが書いてあります。私が今伺いたいことは、鉄道建設審議会は運輸大臣の諮問機関であると存じますので、この審議会がまた最近十一の新線を決定したと聞くのでありますが、これが事業を……この十一線によりまして年間どれくらいの黒字になるのか、あるいは赤字になるのか、これが伺いたいのであります。
  180. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 鉄道建設審議会は、御存じのように国会の決議が、戦後わが国の経済の復興と人口問題対策として、国土の有効利用と国内資源の開発が絶対的必要であり、そのためには、交通網の整備、特に鉄道の建設拡充が不可欠の要件である、という国会の決議を尊重いたしまして、昭和二十六年鉄道敷設法の改正によりまして、運輸大臣の諮問機関として鉄道審議会が今日まで運輸大臣に答申いたしておるような次第であります。今、奥委員の御指摘になりました、今回決定を見ました新線十一線によって、どれだけ年間の赤字または黒字になるかというお尋ねでありますが、新規着工線十一線の収入は、これは総計でありますけれども、二十四億四千八百万円で、支出は六十五億二千八百万円、差引約四十一億円の赤字となる見込みであります。この営業係数は平均二六六となりまして、また利子を除いた場合、かりに利子補給のあった場合は、その支出は二十九億五千二百万円で赤字は約五億円になります。この場合の営業係数は平均一一〇であります。たとえば岡多線は一〇六、篠栗線は逆に黒字になって、五七という黒字になる次第であります。
  181. 奥むめお

    奥むめお君 重ねてお伺いいたしますが、戦後にこの審議会によって建設を決議された線は幾つありますか、その営業を開始した営業キロを伺いたいのであります。そして利益は、赤であるか黒であるか、数字をもってお示しを願いたい。
  182. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 戦後、審議会が決定して着工いたしました線のお尋ね、また営業キロ等のお尋ねでありますが、審議会の答申または建議によりまして着工を決定いたしました線は四十四線でありまして、今度着工を決定しました十一線を加えますと五十五線になるのであります、そのうち、建設に着手した線は四十四線の約千五百十六キロでありまして、現在まで全線開通したものは十九線になっているのであります。本年開通いたしましたものを合わせますと、延長約五百キロになっております。現在着工中のものは二十五線でありまして、延長約手四十七キロであります。今回着工を決定いたしました十一線の延長は約六百十五キロであります。現在まで開業している二十三線、これは部分的な開業も含んでおりますが、の三十二年度の営業件数は二四〇となっておりまして、全部この点は赤字でございます。
  183. 奥むめお

    奥むめお君 まことにはらの大きいことで、赤字の線を御承知でどんどんお作りになりますことについては、また別の機会に申し上げたいと思っております。  次に、これは大蔵大臣に伺いたいと思いますが、学校給食の問題、余剰農産物の協定によりまして、安い小麦が入ったこと、スキム・ミルクが便宜を与えられて入ったこと、また政府がパン一つにつき一円ずつ補助を出して下さったこと、こういうふうなことで安く栄養が確保できるようにして学校給食が進められて参りましたが、御承知のようにこの協定も今度切れる、また、ミルクの入ることも今までのようにいい条件にいくまい、そうしますと非常なこれはパンの値上げ、ミルクの値上げを来たしますので、三十億ぐらい大蔵省が出してくれないことには、今までの費用では出せないということで、非常に母親たちが心配しております。この三十億を学校給食という今日までしておりましたいい仕事を続けるためにお出しなざいます意思がおありか、その予算措置ができておりますか。
  184. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 学校給食はただいま御指摘になりましたように今日まで非常に毒ばれて参ったと思います。私どももこの制度は維持したい気持でございます。しかして、来年度予算はどういうふうになるのかということでございますが、ただいま毎回来年度予算について申し上げておりますように、まだ具体的な数字がきまっておりません。
  185. 奥むめお

    奥むめお君 予算はきまってはいないと思いますが、それをお取り下さる意思がありますか、大臣としての御所存を伺いたい。
  186. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 十分検討するつもりです。
  187. 奥むめお

    奥むめお君 ぜひともこれは児童の健康のため、将来の国民の健康の増進のために、これだけの予算は確保していただきたい。また、これ以上取って、もっとまだ学校給食できていないところにも普及拡充できますように、ぜひともお願いしたい。  なお次に、自治庁長官にお伺いしたいと存じますが、これも簡単に説明だけで……。私ども婦人会に席を置きます者としては、公明選挙と競輪廃止、これはもう皆のあつい願いでございます。池田通産大臣は、今度審議会でそのあり方をきめる——そんなことで、審議会でかけてごたごたと話し合いをしてみなければならない競輪の問題でございましょうか。大臣はどのようにお考えになっておりますか。責任者としてのお立場の御意見を伺いたい。ぜひ廃止してもらいたいと思いますが、いかがでございますか。
  188. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 私、昨日であったかと思いますが、ここで私の考え方を申し上げたつもりでありますが、地方財政の方で競輪に大きくおぶさっているというような考え方はこの際なるべく是正させていきたい。昨日も申し上げたのでありまするが、ああいう関係収入というのは八十億ぐらいのもので、地方財政全体から言えばきわめて少部分でありまするが、それを施行している団体にとっては相当大きな関係になっておると思うのです。そこでこれらの指導としまして、従来もそうでありまするが、今後としても、それらの施行団体が競輪の収入に大きく依存しておるような考え方をなるべくやめさして、漸次なくするような方向に指導していきたいと、私はかように考えております。
  189. 奥むめお

    奥むめお君 自治庁長官にもう一つ伺いますが、地方財政の問題で、自治庁の内部でひそかに地方議員の退職金を出すために、自治法の一部改正が進められておると聞くのでありますが、ほんとうでございましょうか。
  190. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 地方議員の問でそういう動きがあることは事実のようでございます。なお意見を言うわけでございますか。……
  191. 奥むめお

    奥むめお君 自治庁で自治法の改正を……。
  192. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 自治庁の中ではまだ実際にそれをどういじるとか、どうするとか、そういう考えは持っておりません。具体的にはまだ動いておりませんが、御承知のように、地方公務員の恩給制度を年金制度に切りかえようとして研究が進められておりまするが、この問題と、それから国会議員に互助年金法というのができた、これらの動きに関連して当初都道府県会議員の問でいわゆる互助年金といいますか、退職年金制度を考えたいという動きがあるようでありまして、これはまあ私は互助的なものであれば、互助的な考え方を強く織り込んだものであれば、今年金制度というものはあらゆる方面に考えられておる考え方でありまするので、そういうことが中心になった考え方であれば、あながちこれをむげに全部排斥してしまうということでなくてもいいと思っておるのでありますが、関連するところも広いので、各方面からやはりいろいろそういう問題を具体化しようとすれば、検討していかなければならない、かように思っております。
  193. 奥むめお

    奥むめお君 先年地方自治法の改正が行なわれましたのは、地方自治を健全に立て直したいということでありまして、むだな経費をなるべく節減したいという非常なまともな意思から出たと思うのでございます。ところが、たとえば東京のようなところは、その法律が出るからといってすでにたくらみを行なってしまった。また、その後もいろいろ条例を作ったり、あるいは議会の決議にたよったりして、地方の財政を国民の納得しがたい方面に使っていることが多いのでございます。こういう問題は、これからの地方自治行政として私は非常に重大な問題だと存じますので、特に自治庁長官としてその点に、強力に一つ合理的に使わせるような手をお打ちいただきたいと思います。別に御意見はよろしゅうございます。時間もありませんから……。  次に、農林大臣と大蔵大臣にお伺いしたいのは、大豆の自由化に伴う課徴金制度が行なわれようとしているやに聞くのでございますが、いかがでございますか。また、それは大臣の立場で推進していらっしゃるのでございますか、その理由を伺います。
  194. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 世界の貿易自由化の態勢に即応いたしまして、日本でもなるべくそういう方向でいきたいというふうに政府としては方針をきめておるわけです。その第一着手といたしまして、対トル差別待遇をいたしております大豆以下十品目につきましてその差別を撤廃したいと、こういう方針を持っております。大豆につきましては、これは与える影響が非常に多いのでございます。まず生産者、なお大豆を使いまして油を作るとか、あるいはしょうゆ、みそ、とうふを作る業者、またさらに消費者と、こういう三方面に対する影響が大きいと考えなければならぬ、かように考えておる次第でございます。  そこでいかなる形で自由化するかということでございますけれども、ただ単に手ぶらで自由化いたすというようなことになりますると、その三方面に対しまして相当大きな影響があるわけでございます。これをどういうふうに措置しようかという方法といたしまして、ただいまお話のような課金制度がよかろうというふうに私は考えておる次第でございます。一面におきまして関税がいいのだという説もあります。ただいま彼此勘案いたしまして、なるべくただいまも申し上げましたような三者に影響が少なく、経済がうまく動くようにという方向で進めたい、かように考えております。
  195. 奥むめお

    奥むめお君 三者を守るという公平なお立場と伺いますけれども、これは消費者は反対でございます。中間の加工業者もこれは文句があると思います。人それぞれによって違うと思いますけれども、まあ大臣は農林大臣でもいらっしゃるし、大豆生産農家を保護するという立場、あるいは食管会計の赤字埋め合わせというふうな立場、こういうふうなことを考えていらっしゃるんじゃないかと私には思われる。いかがでございますか。
  196. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) とにかく関税をかけるにいたしましても、あるいは課徴金を取るという制度をとるにいたしましても、取りましたその財源をもちまして、買い上げました国内大豆を安く消費者には分けよう、こういうことでございます。またそれによって生ずる、高く買って安く分けるのでありますから赤字が出てくる。その赤字も埋めて三者円満にいくという方式といたしまして考えておる次第でございます。
  197. 奥むめお

    奥むめお君 私は同僚議員の中にはいろいろな立場を代表していらっしゃる方がありますから、私と意見を異になさる人もあるのはよく承知しております。しかし、今日石炭のような基幹産業として国家の保護のもとにありましたものが、合理化をしなければならぬ時世にきている。それに比べましたら、大豆の産額というものは、その農家収入の割合を調べましたら、わずかに三%、五百六億円、微々たるものでございます。私いろいろ増産奨励政策に対しては消費者の立場から異論を持っておりますが、ここではそれを申し上げる場合でございません。むしろ大豆に対しましては、大豆を作る農家に対する保護、あるいは育成というものば別の面で考える方がいい、すでに関税は一〇%取られています。この一〇%の関税を大蔵省は突っ込み財源にお取りになっていらっしゃると思うのですが、この一〇%出ている大豆の関税がざっと三—四十万円あるそうでございます。これをひもつきにして、農林省の方へ回して、それを農林省が今したいと言っているこの輸入大豆の瞬間タッチ制度をやめさして、少しでも安く、大豆にそういう手加減をしない、人為的な値上げをはかるということをしない、こういうことが、私はことに大豆のようなみそ、しょうゆ、とうふ、油あげ、納豆、もう昔から日本人に一番親しまれて、蛋白源としてはまた非常に必要なんで、もっと食べなければならないものなんです。だから農民保護のためには別途の道をはかって、またその金を財源の一部として、関税を大蔵省がひもつき財源として農林省に渡していただきたい、こう思うのであります。
  198. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ普通の経済の動き方からいきますると、奥さんの言われるようなことも一つのこれは道に違いございません。しかしながら、大豆は国産で出回っておるのが今二十万トンくらであります。それから輸入しておるのが百万トンくらいになっております。さようなことでございまするが、これが内地産の大豆と外国産大豆とでは相当大きな値幅があるのでありまして、これが自由に入ってくるということになると、おそらくもう国で大豆を作るというようなことはなくなるというようなことになろうかと思うのであります。百万トンの大豆を輸入するということは、私は日本のこれは農業経済、さらにひいては日本経済全体として非常に大きな問題があろうと思います。今、農村の生活を向上安定させようという努力が続けられておるのでございまするが、農村で幾ら物を作りましてもこれを買ってくれる人がなければならぬわけであります。しかるにこの大豆のごときは今輸入して足りないのでございますから、こういう方面にこそ今後日本の農業の努力を尽さなければいかぬ、かように今考えておる次第でございまして、今度まあ自由化せられるというようなことで、無条件でそういうことになったら大へんだ、こういうような角度から関税を幾ら課するか、あるいはまあ瞬間タッチ制と申されましたが、課徴金を徴するというようなことにいたしまして、それを、その財源をもちまして農家から安定価格で政府が買い入れる、また安い価格をもちまして消費者にこれを供給する、こういう三者相立つ方式といたしましてはそのいずれかであろう、かように考えておる次第でございます。
  199. 奥むめお

    奥むめお君 この問題は私としては申し上げた通り反対でございます。またそのために高い豆を、わずかばかりの日本の国の豆のために約四倍と申しますか、輸入大豆を高くしてわれわれが食べるということは消費者の立場から言えば反対でございます。ぜひもう一度御考慮を願いたいと思います。  なお大蔵大臣にお伺いいたしますが、先ほどの大豆の三、四十億の関税はこれをひもつき財源として農林省の方に回していただきたいと思います。
  200. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大豆をAA制にするその基本的な方針はきめております。しかし、これを具体的に、AA制にする場合にどういう処置をとるかということはまだきめておりません。先ほど農林省としているいの御意見もあるやに伺いましたけれども、まだ十分検を要する問題である。そういう際にいろいろの御意見等を拝聴いたしまして私も十分考えて参りたいと思います。
  201. 奥むめお

    奥むめお君 あわせて大蔵大臣に伺いますが、この問ガットの総会で日本が貿易の自由を表明して一生懸命に取りつけたわけでございますが、理解を求めたわけでございますが、ガットの条項には、こういうことをしてはならぬと、はっきり書いてございますね。そうすると、日本のこの課徴金制度というものはガットの精神に反するものではないのでございますかということが一つ、それから、このAA制というものは、また変更になるかもしらぬという不安がございますかどうかということが一つ、ちょっと伺います。
  202. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この米ドル地域に対する十品目の差別待遇、これは撤廃する考えでございます。従いまして大豆をAA制に移行する、この基本方針には変わりございません。そこでこれがガットの問題として、ガットの問題と申しますよりも、相手国との間で必ず通告し合うといいますか、そういう話し合いをする必要ができるかどうか、先ほどお話しになっておりますように、一割関税を取ることでございますればそのままでよろしいけれども、あるいはそれと変わった処置をとるということになりますれば、相手方と十分話し合いをする、こういうことが必要であろうということでございます。別に私、ガットの会議のそのものからそれに矛盾するとか違反するとか、こういう問題ではないように思います。
  203. 奥むめお

    奥むめお君 それでは読みますが、ガットの条項に、初めにやはりそういうふうなことが、よその産物を入れたときに違った扱いをしてはならぬということ、さらに締約国は他に定める原則に反するその他の方法で国内税その他の内国課徴金を輸入産品または国内産品に課してはならない、こうございますね。これをあえて課徴金制度をとるということになると、偽装自由貿易じゃないですか。
  204. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはそういうことが根本的な考え方でございますが、各国の特殊事情等ございますから、そういう場合には協議をして話し合いをすれば済むという場合がございます。その場合に当方だけの処置だけを納得するか、あるいは相手方も、それでは日本からくる物について金額的に見て同じような処置をとるとか、こういうようなことをするわけでございます。
  205. 奥むめお

    奥むめお君 外務大臣を要求しておりませんでしたので、まことに残念でございますが、アメリカ政府の了解を取りつけてあるのでございますか、この課徴金制度は。
  206. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど来申しますように、AA制にするということは方針をきめておりますが、課徴金を取るとかあるいは関税を上げるとか、あるいは関税をそのままにするとか、こういう点はまだきまっておらないのでございます。従いまして、相手国の了解をとるとかとらないとかいう問題にはまだなっておりません。
  207. 奥むめお

    奥むめお君 なるべく一つ了解をとる必要はございませんから、このままで農林省は——私この農業関係だけじゃありませんが、いろいろな補助政策というものをここで合理化すべきときだと思っておりますけれども、ぜひ一つ御考慮願いたい。  次に、物価値上げのことについて、これは大蔵大臣にも通産大臣にも伺いたいと思うことでありますが、このごろ諸物価が値上がりしておりますのが、ほとんど政府が承諾を与えるか、あるいは政府が法律に基いて認めるかというふうなものが多いのでございます。第一、日本銀行の発表によると、二十七年を一〇〇としますと、この十一月上旬の卸売物価指数は一・八上がっておる。去年の十月に比べると一年間で五・二%上がっておる。季節品を除くと六・七%の値上がり、これは発表でございますが、これから財政資金が出て参りますし、また設備投資が本格的になって参りますし、年末でもありますとボーナスでも入りましょうし、いろいろ物価高の気運、非常にこれを恐れておりますが、この十一月上旬の値上がり分の三分の二は実に電気料の値上がりからきているといわれます。で、私どもが調べましたものを御理解いただくために申しますと、私どもはとにかく政府関係している事業の値上がりが、またそれが非常に大幅で、もうつるべを落とすように次々と行なわれてきた。またこれからも行なわれるおそれが非常に濃厚だということでございます。なぜ政府はこういうふうなことをするか、政府がするということは、便乗値上げを伴う。これはいつでも私問題にして反対をしてきたわけでございますけれども、今ちょうどその時期にある。鉄一一%、ラジオ二六%、新聞一八%から二四%、電話料金改定が具体化している。食べ物から言えば、そば、床屋、クリ—ニング、美容、こういうものは環境衛生法によって上がっている。映画、これもそうです。ガス、これは今申請中である。電気の三割頭打ち制がすでに行なわれた。貨物運賃、それから旅客の運賃、定期券、学生割引券、日通の運賃、これらの値上げ率が実に多りいということ、こういうことを私から申しますと、いつでも政府が先鞭をつける。月給二倍論というのはまことに耳を打つうれしい声でございますけれども、これがまだ行方不明になっているうちに物価が二倍になってきょうとしている。私はこれをおそれるのでございます。非常に国民所得が大きくなった、総生産が大きくなった、景気見通しは明るいと言われますけれども、これは非常に政府からの保護を受けて、あるいは融資を受けて、非常に大きな事業になってそうしていい成績をあげているものを一緒くたにして、零細な事業者をまぜこぜにして平均をとれば、非常に日本人の所得は大きくなりますけれども、これは高い山があるときには深い谷がありますように、埋められない谷間がいよいよ深いということを考えますと、今日は値上げをすべきときではなくて、この景気の上向いているときに何としても国民生活の水準——、私はこれをぜひとも政府施策に織り込んでもらいたい精神にしたいのでございますが、大蔵大臣、通産大臣いかがでございましょう。
  208. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 物価の問題につきましての御質問でございまするが、お話通り、十一月上旬は昭和二十七年を一〇〇にいたしまして、一〇一・八になっております。しかしこれを外国の状況から見ますと、日本物価は非常に安定しておるのであります。最近財政改革をやりましたフランスはちょうどそのころを基準といたしまして二割六分上がっております。二六であります。イギリスも一一、アメリカも九、ドイツも六、日本は一だけでございます。従って、日本物価というものは非常に安定いたしております。昭和三十一年、あるいは三十二年におきましては一〇一から一〇六くらいまでいきました。三十三年に下がって最近では九七、八でございましたが、この十月の伊勢湾台風から少し上がりぎみになっております。しかし、この上がった原因は、これは卸売物価でございますが、主として今制限しております綿製品の上がり方が多いのでございます。それから建築材料の上がり方が多いので一〇〇をこえた。私は全体といたしまして、日本物価は非常に各国に比べて安定しておると思っておるのでございます。それで電気料の問題がございましたが、これは三割頭打ちと申しましても定額灯の方は上がっておりませんし、また全体が十億足らずで、何千値円の収入のうちほとんど微々たるものでございまして、物価に影響するというようなことはないと考えておるのであります。私は今後の見通しといたしましても、御承知通り日本は設備投資が非常に行なわれまして、生産に余力がある状態でございますから、物価の今後の値上がりというものはそうない、重要物資の点なんか、もう最近下がりぎみでありますが、全体として横ばいにいくのではないか。しこうして、われわれといたしましては、できるだけ物価が上がらないように、しこうして安定していくようにいたしたいと思っております。ただ、お話になりましたガス料金も、午前中答えましたが、何と申しましても五ヵ年計画でどんどん設備を増設いたしております。そういう関係資金もかかりますし、従って金利もかかります。償却もしていかなければならぬ。昭和二十七年から上がっていないのでございますが、これをこのままにしておったらガス事業が危殆に頻するというような状況でございますので、今合理的な方法でどの程度上げなければならぬかということを検討いたしております。政府といたしましてはできるだけ物価の上がらないように努力をいたしておる次第でございます。
  209. 奥むめお

    奥むめお君 委員長、時間がないのですが、せっかく行管長官もお呼びしておりますし、公取の方も来ておりますので、大蔵省お願いします。
  210. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま通産大臣からお答えしたことでけっこうだと思いますが、私ども財政をあずかっておる、また経済の拡大成長を願っている立場、また国民生活の内容の充実を念願しておる、その政治的立場から申しまして、経済あり方についていつも留意いたしておりますことは、通貨価値を安定さすということであります。言いかえますならば物価を上げないという、これがものの基準になっております。その後その観点に立ちましていろいろの民間料金を上げることはけしからぬではないか、一応ごもっともでございますが、この料金等の問題につきましてしばしば期限づきのものがございます。これはおそらくそういうものをきめました際の経済情勢と勘案して、また国民生活等を勘案して一定の経済の安定、そういう際にはその時期が到来すれば当然これは変えると、こういうことを予定するだろうと思います。で、一般の保護助長政策等はそういうような意味のものもあるのでございまして、一概には実は言えないのではないか。一ぺんきめたものはいつまでもそのまま持続しよう、こういうことにはなかなか参らないのだろうと私は考えます。しかしそういう場合には、そういう事柄が一般にどういう心理的影響を与えるか、これは十分念頭に置かなければならぬことでございます。そういう意味においては十分物価を安定する、通貨価値を、言いかえますならば、通貨の価値に変動を来たさないように、そうして事業全般の膨張、成長を企画し、同時に国民生活に対する重圧が加わらないように私どもは工夫して参るつもりでございます。
  211. 小林英三

    委員長小林英三君) 相当時間が超過しましたから……
  212. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと関連……。ただいま奥委員物価に関する質問ですね。これはこの際非常に重大だと思うのです。池田通産大臣は物価の安定に協力している、今後も横ばいに推移すると言われましたが、先ほど委員も数字を示されましたように、昭和二十七年を一〇〇としまして、この十一月上旬ですか、これは一つ何パーセントの上昇であるか。昨年十月に比べれば五・一%の値上がりということは、平時において五%の値上がりというものは、これは非常に大きな値上がりと思うわけです。従来インフレになれてきましたから、物価が二倍、三倍に上がると、あるいは何十倍に上がるということになれてきましたので、大幅の値上がりを示さないと、あまりインフレに対して、非常に物価の値上がりに対して重大な関心を抱かないようですけれども、一年間に五%上がるということは非常に重大な影響ですよ。しかもまだ今後過熱論もありまして、数量景気が価格景気に転化するのじゃないかと憂慮されておる際に、しかも短期といえども大蔵省証券を、いわゆる短期的な赤字公債みたいなものを年末に発行する。しかも来年は一応短期的には、時期的には生産的支出となる災害的な予算が、これはすぐ生産化するものではないでしょう。ですから、それは物価相当影響あるものと見なければなりません。従って政府はこの際物価対策について池田通産大臣が、ただいまわれわれが聞くといいかげんな、その揚限りの答弁のように聞こえるのでありますが、もっと真剣に物価対策を示す必要があると思うのです。そうでなければ六百十四億の補正予算を今度組んでも、また物価が上がれば災害のあれは実質的に実施できないのです。また補正を組まなければならぬことになります。そうすれば悪循環して未ます。従ってこの際物値問題はもっと真剣にこれは取り組まなければならぬ問題だと思うのです。従って政府はもっとこれに対して非常な、その場限りのような、一%利皮の物価値上がりは諸外国に比べれば大したことはないと言われますが、昨年から最近にかけての物価情勢は、特にさらに今後の情勢ともかんがみまして、もっと真剣な取り組み方をしなければならぬと思います。もっと誠意のあるこれからの物価対策に対するその所見を私は伺いたいと思うのです。
  213. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) その場当たりの答弁ではございません。あなたは昨年から今年にかけて五%上がったと、それだったら昭和三十二年から昨年は何%下がっておりますか、一〇%下がっておるのであります。先ほど申し上げましたように、昭和三十一年には一〇三、三十二年には一〇六まで行っておった。それが三十三年には九六ぐらいまで下がって、七、八と来て九月までは九八でございます。それが災害等の関係もございまして今一〇一になっておるわけであります。従って私はこの動きにつきましては常に——まあ外国のことは言わなくてもいいとおっしゃるが、外国の状況を見ましていろいろ考えております。日本物価が安定しているのは、輸入国である日本の輸入品の価格が八四になっておる。輸出品が九五でございます。こういう関係で、私の見るところでは日本の設備増加——生産力がふえて供給力があるから物価が安定しておる、こういうことを言っておるのであります。その場当たりの答弁じゃない、私はよく検討いたしてやっておるつもりでございます。(「まだ議論がある」と呼ぶ者あり)
  214. 小林英三

    委員長小林英三君) 議論はしてもらいたくない。簡単に願います。
  215. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは重要ですから、私はその場限りの物価対策に対する御答弁が言われたのに対して、池田通産大臣は過去のこれまでの例をあげました、その下がるにしても貨幣価値の変動が多いということは好ましいことではないのですが、私は特にこれまで物価が上がらなかった原因についてはわかります。池田通産大臣が前から主張されたように、最近日本の技術革新その他に基く生産力、生産能力が非常に大きくなって、これが物価安定の一つの大きな要素になったということは認めておるのです。しかし特に最近この一ヵ年に五%値上がりしたということは、これは今後の情勢ともかんがみて重大な問題で、過熱論もあるのでありますから、五%上がったということは、これは大したことではないという御意見なんですが、過去には下がったこともあるのだから五%ぐらい上がったって大したことはない、そういう御意見なら、これは貨幣価値の安定を非常に強調されている方針とは違うと思うのですよ。もっとこれは重大視しなければならぬ。そういう意味で私は御質問しているのであって、昨年から五%一ヵ年に上がったということはもっと重大視すべきである。過去にそういう下がったこともあるのだから重大視しなくてもいい、こういう御答弁では、これは私の質問を誤解しているのではないかと思うのです。
  216. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 誤解はしていないと思うのであります。一〇一になりまして、いわゆる二近く上がって参りましたところの原因は、その半分は繊維品でございます。しからば繊維品は御承知通り綿製品は三割の操短をいたしております。三割の操短で上がって参りますから二割の操短にしておりまするが、この操短で上がっている部分は——繊維品の分はまた今後考えられる。そうしてあとの半分は建築材料その他がおもな原因でございます。それは災害関係があると、こう私は説明しておるのであります。しこうして物価のもとの非常に重要な部分の鉄——丸鋼にいたしましても形鋼にいたしましても最近は弱含みでございます。十九ミリの丸鋼の四万三、四千円のものが二千円ばかり最近下がっております。こういうことを私はずっと研究いたしまして奥さんにお答えしたのであります。従って、もしどんどん上がっていくようなその原因である繊維品につきましては操短を緩和するとか、そうして建築材料の分は名古屋の伊勢湾台風関係だと思われますので、今後の様子を見ていくのでございます。物価につきましては、私は職掌柄常に細心の注意を払っております。従いまして、これは毎月企画庁から発表いたしております通り、大体の見通しとしましては横ばいと言っておりますが、それは動きます、動きます原因がこうだ、しかし、ずっと大勢としてはこれは日本は一〇〇前後で来ているということは私はお認め願いたいと思います。
  217. 小林英三

    委員長小林英三君) 奥さん時間がきましたから……。
  218. 奥むめお

    奥むめお君 まだ残っておりますし、先ほどお願いしたのですから……。もう二つ残っていると申しました。二人呼んであるので……。公取の委員長はおそくおいでになりましたので、ちょっとお待ちいただきます。  私は行政管理庁長官に今の各省の設置法を見ていただきたいと思うのです。これはすべての大臣に私がお願いしたいことでございますけれども、この各省設置法を見ますと、まことに生活に関係の深い、農林省、通産省、厚生省、これ三を見ましても、これはもう消費のための生産の仕事を扱うのだ、だけれども、それはあくまで業者を対象——産業を対象にしておって、消費者に渡される、これをどうするかという問題は役所では扱っておりません。私はこれば戦後の日本の特殊事情の場合にできた法律ですから、これだけ落ちつきました際には何としても改正して、個々の生活の面を守る一つの条項なりあるいは部局なりを設ける必要があると、こう思っております。で、たとえば今私が質問いたしておりますことなんかも、これはみんな生活に関連する、深い関連のある問題ですけれども、だれを頼りとする役所もないのです。あちらへも行って、こっちへも行って質問しなければならない。そうして今度同じ国民生活を一つ考えましても、子供のパン一つ考えましても役所がばらんばらんになって、少しずつ予算大蔵省からもらっている。これで一番守られないのが国民生活であって、しかもその門民の台所から十兆億貯蓄造成というお喜びの声を聞くわけです。また私たちは乏しい中から税金を納めているが、直接税が四〇何%でしたら間接税もまた四〇何%、これは間接の税金は、大体物価や料金に含まれる税金と見ていい、そうすると、非常に大きな税金を払いながらたくさんの貯蓄をして、これを郵便貯金になりして、財政投融資の九千億からの金を投入して、そうして大蔵省のお手伝いをして、しかもその金が大蔵省——政府を通していわゆる大産業の資金になって大産業がほくほくしていらっしゃる、だけれども、その国民から集めた貯金というものが大衆に還元されないというところに私は日本の行政機構の大事なポイントがからっぽだというふうに考えております。ですから、この面で行政管理庁の長官にぜひそういう点を一つこの際御一緒に研究していただきたい。そうしてどうしたら——私の方も多少の案を持っておりますけれども、何にしても各役所がばらんばらんに同じようなことを、少しずつの予算でなわ張り争いをやっているし、しかもそれが国民生活のためでなくて、お役所の仕事のためのようにさえ見えるのでございます。で、それにつきまして、私はもう一つ案として申しますことは、もうここまで日本経済が落ちつきましたら、生活省と申しますか、あるいは消費をつかさどる役所、あるいは庁と申しましてもよろしいでしょう。こういうものの構想をもう打ち立てて、そうして国民生活を守るということから、国民のからだも守り、心も守り、社会の害悪からも国民を守る。こういうことがぜひ政府施策として行なわれるべきだと思うのでございますが、この点で行政管理庁長官に一つ意見を伺いたいということでございますが、ちょっとお待ちいただいて、公取委員長はあとでよろしいですか、一緒にやっちゃいましょうか。(「一緒にやりなさい」と呼ぶ者あり)
  219. 小林英三

    委員長小林英三君) 時間が相当過ぎているのです。それですから、相当奥さんに許してありますから……。
  220. 奥むめお

    奥むめお君 じゃ一つ、独禁法の護り本尊の公取委員長にお伺いいたします。  この七月の初めに、本国会はあなたを委員長として承認いたしました。これは事業を発展させて、それから消費者の生活を守るという、独占禁止法に盛られているその精神をあなたが忠実に貫いて働いて下さるということが、あなたの職責であるので、それを期待して私どもは承認したと思うのでございますが、この点であなたの御決意はいかがでございますか。  それで、あらためて伺いますことは私ども最近の新聞代の値上げの問題について、いろいろな多くの不満が衆参両院の商工委員会で展開されております。で、私は、この公正取引委員長に会いましたのは、不思議にも、東京都の知事が、内規を一行わざわざ削って退職金を出したときに、それに反対をした東京都の婦人団体を代表してあなたにお目にかかった。副知事であったときでございます。私どもは、なぜ出すのか、幾ら出すのかといって詰め寄りましたときに、副知事のあなたは、それは額を言う必要はない。私どもは、予算措置もしないで、知事のふところ金でそんなものを出すのはおかしい、絶対反対だ。しかも自治庁が今、今度は自治法の改正をしようとするのを見越してそういうことをするのは困る。そういう場合に佐藤さんにお目にかかったのでございますので……。
  221. 小林英三

    委員長小林英三君) 奥さん、発言中ですが、あなたの持ち時間は相当超過しております。簡単に願います。これであとは御遠慮願います。
  222. 奥むめお

    奥むめお君 わかりました。それで、私は、そういう事情から、佐藤委員長に浮しいことはまた商工委員会で伺いますけれども、きのう新聞代値上げの問題が行政訴訟を受けて、第一回の公判がございました。このときにあなたの方からお出しになりました代理人、代表者は、これが検事である、事務官であるということで、裁判官の忌避するところとなって、これは疑義があるからといって問題が延会になったのでございます、裁判が。これはあなた方のあの問題に対する態度を辛らつに批評していると同じ私はことに見たのでございます。あなたはどのようにお考えになっているか、これを私は伺いたいのです。あとのことはまた商工委員会に譲ります。
  223. 小林英三

    委員長小林英三君) これで答弁ができましたらば中止していただきます。
  224. 奥むめお

    奥むめお君 よろしゅうございます。大へんありがとうございました。
  225. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 国民生活の安定と向上は、政策の基本目的であろうと思っております。各省において、ただいま御質問になりましたようなことを、それぞれ専門的な立場から分担をいたしてやっております。基本的にこの問題についての所管は経済企画庁がいたしております。そうして国民生活の保護、指導等については、御承知通り厚生省が所管をいたしておる。農林省においては、農山漁村の民衆に対する生活改善の方面を分担いたしております。従いまして、政府といたしましては、この面における行政機構はおおむね整備いたしておると考えております。しかしながら、せっかくの御意見でもありますので、諸外国の制度等を十分に調査をいたし、また政府与党におきましても、昨日行政調査会が発足いたしまして、政府も協力して参りますので、今後十分に調査検討をいたしたいと思います。
  226. 佐藤基

    説明員佐藤基君) 公取委員長としてどういう気持で仕事をやっておるかというお話でありますが、これは私といたしましては、御存じの独占禁止法の趣旨に従いまして、すなわち、公正かつ自由な競争のもとに事業者の創意を生かしまして、消費者の利益をはかりつつ、国民経済の民主的で健全な発達を促す、そういう趣旨でやっております。しかも、われわれ、委員長委員といたしましては、職務上の独立が保護されておりまして、他から絶対干渉を受けない。自分たちの良心に従って仕事をやっている、そういうつもりでおります。  それから次に、先ほど問題の新聞値上げ問題に関しまして、国及び公取が被告として訴えられている。その第一回の公判におきまして、公取の訴訟代理人の資格についてお話がありましたが、今お話しになったのは原告の主張でありますが、被告である私の方としては、まだ必ずしもそれに承服しているわけではないのであって、被告としての主張は裁判所に近いうちに提出する、しかして現在の代理人でも差しつかえないという理由をつけようと思っております。
  227. 奥むめお

    奥むめお君 委員長、合の発言違うのです。ちょっと言っておかなきゃいけないので……。
  228. 小林英三

    委員長小林英三君) もう時間がうんと超過いたしておりますので、違うところだけを指摘して下さい。
  229. 奥むめお

    奥むめお君 きのうの裁判長は、資格について疑義ありとして、この裁判を延会、継続とおきめなすったのでございます。これだけ訂正しておきます。
  230. 小林英三

    委員長小林英三君) 佐藤公取委員長、答弁しますか。
  231. 佐藤基

    説明員佐藤基君) 原告の主張であり、しかして裁判所においては疑義があるというので、私の方の主張をあらためて書面によって提出する、こういうつもりでおります。
  232. 小林英三

    委員長小林英三君) 奥むめお君の質疑は終了いたしました。   —————————————
  233. 小林英三

    委員長小林英三君) 次に、岩間正男君。
  234. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はけさほど、けさの午前十時三十分ころ、横浜市金沢区で、この東洋化工火薬工場におきまして大爆発事件があったのであります。それで伝えるところによるというと、これは死傷者二千人というような、かつてないこれは大へんな惨害であります。この問題につきまして、これは担当である通産相並びに公安委員長は、どういうふうにこの情報をつかんでおられるか、この経過についてまず伺いたいと思います。
  235. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 今朝十時半に、横浜市金沢区の東洋化工会社の工場から火が出、続いて爆発が起こったようでございます。相当の死傷者もあるということを聞き及びましたので、さっそく係官二名を出して、今調査しておるところでございます。  ただいま参りました報告では、死者一名、重傷者二名、この三名は工場の工員で、それから工場内の軽傷者が二十名となっております。今から一時間くらい前は、死者二久、重傷者三名、怪傷者三百五十名というのでございました。ただいまの報告では、先ほど申し上げました工場内の怪傷者が二十名ということでございます。工場外は目下調査中でございまするが、付近の学校のガラス窓、そしてまたたまたま、ここを通行中の電車のガラス窓等がこわれました等のため、軽傷者は相当あるようでございます。二千メートル以内のところのガラスの損傷が相当あるようでございますから、軽傷者は、これからある程度ふえるのではないかと思っておるのであります。  以上が、私の調べました報告でございます。
  236. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 警察で把握しております情報を御説明申し上げます。  お話のように、本朝午前十時三十五分、横浜市金沢区釜利谷町、東洋化工株式会社第二溶填工場の爆発事故がありました。被害の状況でありますが、午後三時現在で工場内の被雲者の模様は、先ほど通産大臣が言われたような数字のようでありますが、全体としてみますると、死者一、重傷十九名、軽傷三百二十九名、合計三百四十九名ということでございます。おおむね四ヵ所の病院に収容しておるようでございます。爆発地点と見られる第二溶填工場跡には、直径二十メートル深さ四メートルの穴があいておるという状況でございまして、警察といたしましては、ただいま警察官二百二十四名、自衛隊員百名、消防自動車四十台、效急車十五台、米軍の消防救急自動車十台が出動しておりまして、整備本部を付近に設けまして、警察本部長、所管職長その他が詰めかけておるようでございます。  ただいまとっております措置といたしましては、避難者の誘導並びに救護、消火それから交通並びに雑踏の警備、誘発災害予防のための立ち入り禁止の措置、それから現場中心に二キロの半径で避難命令を出しておる、大体そういう措置をとっております。
  237. 岩間正男

    ○岩間正男君 ただいま両者の報告を聞いたのでありますが、だいぶ死傷者の数に相違があります。これは違い過ぎると思うのです。重傷者のごときは、これは通産省の調べでは二名、ところがただいまの公安委員長の報告では十九名、このように違っておるのでありますけれども、これはどういうところから、こういう事態が起っておりまするか。
  238. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) ただいま申し上げましたように、工場内の被害者は、先ほど通産大臣が言われたような数字であります。工場附近でずっと被災範囲が広いようでありまして、私から申し上げたのは、総体を全部ひっくるめて、午後三時現在わかっておる状態を申し上げたのでありまして、両者の間に違いはないと思います。
  239. 岩間正男

    ○岩間正男君 この被害の状況は、どうです、ふえる見込みですか、それとも、大体もう三時現在と、こういう数になりますか。
  240. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 若干ふえておるようでありまして、五時現在で重傷者の中から死亡した人が出たと思うのでありますが、死者三名、重傷十九名、軽傷三百三十名、合計三百五十二名でありまして、まあ重傷者の中から、ある程度の死亡が出るかもわかりませんが、大体今申し上げたような数字ではないかと思っております。
  241. 岩間正男

    ○岩間正男君 通産省のこの報告は非常に過小に、いかにも大したことはないのだというような形で行われておりますけれども、どうですか、実際は、だんだん被害が大きくなっておる。この実態をもっと詳しく調査をされる必要があると思うのですがどうですか。
  242. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 先ほど申し上げましたように、さっそく二名の係官を派して調べたのでございます。これは警察方面の調べと多少違いますが、一応、私の受けました報告を今申し上げたのでございます。
  243. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは非常に不十分だということが明らかだと思うのですが、いずれ、これは緊急の事態ですが、すでに、しかし十時に起っているのです。それがただいまは六時十五分前です。この間の、今の報告では、やはりこの問題に対する関心が、非常に私は少ないのじゃないか、こういうふうに思います。ここに問題のやはり一つ焦点があるのですが、当委員会に対してもっと詳細にこれはあすでもいいのですが報告をしてほしいと思いますが、いかがですか。
  244. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 先ほど自治庁長官からお答えになったように、二キロ以内は立入禁止になっております。その立入禁止が解除になったのが二時四十分、それから通産省は、二人でやったのですが、私は、数字の正確さを期したいのでございますが、何分にも、そういう状況でございまして、数字につきましては、警察関係の方が正確だと考えております。  なお、原因その他につきましては十分通産省といたしましても調査中でございます。
  245. 岩間正男

    ○岩間正男君 自治庁長官にお聞きしたいのですが、付近の学校、民家、授業中の生徒、学生というような付近の住民の被害というものも非常に多いように、われわれは聞いているのでありますが、この調査はいかがですか。
  246. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) まだ付近の被害状況については、詳報を得ておりませんので、わかりましたならば、また御報告申し上げます。
  247. 岩間正男

    ○岩間正男君 あすぐらいまでに、大体この被害の全貌を御報告いただきたい。これを委員長から要求してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  248. 小林英三

    委員長小林英三君) 承知しました。公安委員長にお願いしますが、今岩間君の質問の調査の問題につきましては、明日、なるたけ早く、明日までにお願いいたします。
  249. 岩間正男

    ○岩間正男君 その報告をいただいて、また関連質問をしたいとも考えますが、これに関した当面の問題について、だけお聞きします。  そこで、その資料をいただいて、さらに検討したいと思いますが、第一にこの会社は、火薬工場は、どんな性質の火薬工場ですか。これは調査がいっておりますか。
  250. 秋山武夫

    説明員秋山武夫君) お答え申します。まれに見る大事故を起こしまして、まことに申しわけないと思います。深くおわびを申し上げます。  東洋化工株式会社は、二十六年にできました会社であります。当時は、米軍の特需の砲弾を作っておりました。砲弾の充填をやる会社でございます。火薬の種類は、TNT火薬でございます。現在では、砲弾の特需はもうございませんので作っておりません。現在やっておりますのは、米軍から払い下げられました銃弾——砲弾ではございませんで——銃弾から抜き出しましたTNTを再生いたしまして産業用のダイナマイトと同様の爆薬を作っておる工場でございます。資本金は授権資本で八千万円、そのうち半額が払い込まれております。
  251. 岩間正男

    ○岩間正男君 ただいまの会社の性格も非常に重要だと思います。その中で、米駐留軍との関係があるダイナマイトを現在作っておる。それから米軍関係の爆薬を現在作っておる。そうして、それとまた関連のあることをやっておる、こういう点で、非常にこれは重要な性格を持っていると思うのですが、これも資料として出していただきたいと思います。委員長いかがですか。
  252. 秋山武夫

    説明員秋山武夫君) ちょっと、私の御説明が十分でなかったようでございますが、現在は、米軍関係の銃弾を払い下げて、それから火薬を抜いて産業火薬のみを作っておるのでございまして、すなわち、払い下げを受ける関係では、米軍に関係ございますが、製品を米軍に納めておるのではございません。
  253. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう詳細は、緊急の際だから実際わからないかもしれぬが、だから、もっと調べて、あすまでに資料を出してほしいと、こう言っているのです。
  254. 小林英三

    委員長小林英三君) あすまでに出していただきましょう。
  255. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体、この金沢区の工場のあるところは、人口の密度はどんなところですか。
  256. 秋山武夫

    説明員秋山武夫君) お答え申し上げます。  周辺の密度まで実はまだ調査してございません。
  257. 岩間正男

    ○岩間正男君 通産相、二人もやられたのでしょう。これは報告を受けていないのですか。われわれだったら、これがぴっとくるのですな、これが……どうですか。ちょっと通産相。
  258. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私は、局長からの報告でございまして、二人を派した、こういう報告があったというので、調査員に直接会っておりません。ずっと国会におりますので、局長が会っているのかもわかりません、局長からお答えいたさせます。
  259. 秋山武夫

    説明員秋山武夫君) 周囲の人口密度までは、実はまだ調べておりません。後ほど、大至急調べましてお答えいたします。
  260. 岩間正男

    ○岩間正男君 これも資料として出してほしいのです。この論議の中では、非常に重要なんです。いいですか。
  261. 小林英三

    委員長小林英三君) 通産省は、資料として今の要求のものを出して下さい。
  262. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこで、次にお聞きしたいのは、第一にどんな措置をとったか。これは通産省、それから自治庁、厚生省、この措置について、はっきり言って下さい。
  263. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) ただいま申し上げた通りでございまして、原因等につきましては、まだはっきりいたしません。  従いまして、調査員からの報告を聞きまして、措置について考えたいと思います。
  264. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 私は、先ほど一応お答えしたと思うのでありまするが、直ちに付近に警備本部を置きまして、警察本部長と所管の署長が、その本部に詰めております。それから出動しました人員は、警察官が……、もう一回言いますか、先ほど通り全部申し上げたのですが。
  265. 岩間正男

    ○岩間正男君 言って下さい。
  266. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 警察官が二百二十四名、自衛隊員が百名、消防自動車が四十台、救急車が十五台、米軍の消防自動車が十台出動しておるようでありまして、そうしてこれらのものは、避難者の誘導並びに救護、それから消火、交通並びに雑踏の警備、誘発災害予防のための立ち入り禁止措置、避難命令、この現場を中心に二キロの半径で避難命令を出しております。そういういろいろな措置をとっております。
  267. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは警察関係だけでなく、警察関係の警備の問題だけ言ったけれども、肝心の死者、負傷者に対する措置はないのですか。これはないのですか。
  268. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) これも、先ほど申し上げたと思うのでありますが、おおむね四ヵ所の付近の病院に重軽傷者を収容してあるわけです。……同じことを何回も申し上げるのもどうかと思いますので、御了承をお願いします。
  269. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、人命の尊重という立場からね、これはやはり、緊急の事態にどういう処置をとるか、そして何を一番先にするかということは、これは一番性格として重大ですよ。これは、やっぱり政治の一つの現われだ。そういう意味で、特に私は念を押して聞いたのです。  そこで、特に私はさらにお聞きしたいのですが、この前広島で、このような大きな爆発事故がございましたね。それで、たしか七月三日だと思うのです、本院の本会議におきまして、社会党の藤田議員からこの問題について緊急に質問されたはずです。そのとき通産相も答えられたし、それから石原公安委員長も、これは答えられたわけです。岸総理はきょうおいでになりませんけれども、岸総理もお答えになっておる。どういうことをお答えになったか。ちょっとあの当時のことで、厳密には忘れていられるかもしらぬが、しかし主要点はおわかりだと思う。ちょっとこれ記憶でけっこうです、お答え願いたい。
  270. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 多分あのときは長野県における火薬爆発の問題が起こりまして、そうして広島等も一緒に質問があったと思います。藤田進議員からあったと思います。  私はそのとき、まことに遺憾なことで、被害者に対してお気の毒であるばかりでなしに、今後そういうことを未然に防ぐよう、できるだけ監督を厳重にし、措置したい、こうお答えいたしておるのであります。従いまして、私は、特に係官に命じまして、火薬の爆発防止について、できるだけの措置をとるように、また来年度予算におきましては、これに対しての対策に要する経費を実は要求しておるような次第でございます。
  271. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 私はあのとき、たぶんこう答えたと思うのでありますが、火薬に関する今事務は、主管省が通産省、出先としては知事になっておるのであります。まあしかし、これは非常に危険物の取り締まりでもありまするし、浮葉は今、側面的にやっておりまするけれども、将来の問題としましては、製造であるとか、貯蔵であるとか、運搬であるとか、そういう、いろいろの許認可等の場合に、公安委員会としても、いろいろ意見を徴してもらうとか、あるいは意見を言う機会を持ち得る、あるいはまた立ち入り検査等につきましても、検査よりも、やはり保安上の立場から、いま少しく警察力が関与できるような方法を考えて参りたい。まあ通産省と、そういうことにつきまして、ただいまもいろいろ協議をしつつある状態でありますと、大体、そういうようなことを私申し上げたと思います。
  272. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ、私の方は速記を見ておるのですから、もっと正確なわけですけれども、まあ記憶ですからね、これは違いもあるのでしょう。今のお話の中に相当な違いもありますけれども、やはりね、さっそくこれはお帰りになって、速記録をお読みになって、そうして、このあなたがお答えになった措置を、どうとられたか。その後とられた措置は、ここでおわかりになると思うのです。あのとき答弁された、答弁のしっぱなしではないだろうと思うのです。非常に重大な問題です。  まあ最後の結論だけ、ここで読んでみますというと、こう言っています。岸首相は、「将来そういう惨事を生じないように、未然に防ぐ上にこの上とも努力いたして参りたいと、かように考えます。(拍手)」こうなっているわけです。それから池田国務大臣は、「また、災害防止法も適用になってないとか、ほんとうに不備の点が多々ありますので、今後、御質問の点を十分考えまして、極力善処いたしたいと考えております。(拍手)」こうなっておる。それから石原国務大臣石原国務大臣の分は、こうです。「また、通産省など所管行政官庁に十分協力をいたしまして、事故防止に当りたい、かように思っておる次第でございます。(拍手)」こうなっておる。  で、この三つの答弁を聞いて、さてその後、どういう具体的な措置をされたか、これは二人の大臣がおるわけですから、これは、はっきりすると思う。この二点、二人の方から、あなたたちの公約がどう実施されたか、その後の処置についてお聞きしたい。拍手で終りじゃ、だめです。
  273. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 先ほど申しましたように、係官に十分注意し、そうして関係方面に協力方を依頼するよう私は指令をいたしておるのであります。  従いまして、次の国会におきまして、これが取り締まり、またそれに要する経費等を今要求中でございます。
  274. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 先ほど、これまた私ちょっと申し述べたのでありますが、今警察の立場は、通産省の事務に側面的に協力するという立場になっておるのでありますが、しかし、事、危険物の取り締まり、保安上の問題でありますので、ちょっと申し上げましたように、公安委員会というものが、もう少し意見が言えるようにする、あるいは意見を徴してもらえるようにする、あるいは立ち入り等につきましても、今より、もう少し巾広い立ち入りができるようにするというようなことについて、でき得れば法令の改正等もしてもらいたいと思いまして、通産省と警察庁の両当局において検討を願っておるような次第でありまして、通常国会等に何らかの成案を得たい、かように努力しておる次第でございます。
  275. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは少しくどいようになりますが、指示したそれが文書か何かで残っておるなら、これも資料として出していただきたい。  私はなぜこういうことを問題にしているかというと、本会議というような重要な場所で質問されて、それに答えた。しかしそれがどのように行なわれたか、これは国民も知りたいと思う。あのときの答弁によるというと、こういう事故は、もう起こらないようなわれわれは印象を持ったのです。ところが、今年度のこの死傷の数を見ますというと、ほとんどまあ新聞の情報でありますけれども、間違いないと思うのですね。一月から六月までに全国で発生した火薬の爆発事故は二百六十一件、死者が八十七人、負傷者が六百五十四人、損害が六千二百十五万円、こういうことになっております。で、昨年に比べて、もっとこういう事故がふえておる。これは半年の、一月から六月までの統計でこうですから、しかも今度のような大爆発事故です。横浜というような人口稠密、金沢区に、私もしばしば参りますけれども、実にあの辺は、相当に人口の稠密なところです。こういう中に米軍関係の爆薬の製造所があって、そうして再び三たび、何回といいますか、こういうような惨害を起こしておる。これは非常に重大な問題だと思いますので、このような資料を十分出していただきたい。私たち国会議員としてこの問題を徹底的にやはり検討しなければならぬと思います。  そういう点から今の資料を要求したいと思うのですが、いかがでしょう。
  276. 小林英三

    委員長小林英三君) 今の資料を一つ……。  それから岩間君に申し上げますが、あなたの御要求になりました国鉄総裁、きょう御出席願うわけでありますが、病気で寝ておられますから、これは放棄なざいますね。
  277. 岩間正男

    ○岩間正男君 保留……。
  278. 小林英三

    委員長小林英三君) 一分しかないから、今御質問になるなら——保留しますか、全部お使いになるのでしたら、放棄願います。
  279. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちょっと関連。  通産大臣にお伺いしますが、あるいは局長でもけっこうです。先ほど問題になっておる工場についての毎年定期に行なう保安検査ですね、これはこの工場については、定期に行なうことになっているわけですが、いっといつ行なうことになっておるのか、そしてこれに基づく検査を、実際には一番最近行なったのはいつか、そしてその検査したときの状況は、どういう状況であったのか、その三点を一つ、ちょっと答えてもらいたい、
  280. 秋山武夫

    説明員秋山武夫君) 法規によりまして、三ヵ月に一回保安検査をするということに定められておりまして、私どもの方では、先月の初めに現場の検査をいたしました。このときは施設、それから作業の方法等、何ら異常を認めませんでした。あらためて指摘することはないという結果になっておりました。
  281. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ、あなたの方は検査をして、その検査を通過させておるのだから、もちろん異常があれば、そこで直しておるはずだし、何か直すような措置はとった上で異常がなかったという意味なのか、全然、もう異常がなかった、ずっと白紙で通っておるということなんですか。これは、あとの今回の原因の究明ということに非常に関係すると思いますので、念のためにお聞きするわけです。
  282. 秋山武夫

    説明員秋山武夫君) 御質問の通りでございまして、何らの異常がないということで、指摘すべき点がございませんでした。
  283. 亀田得治

    ○亀田得治君 そうしたら、明日資料をお出しになるときに、先月何らの異常がなかった、そうすると、施設の上では何もなかった、その後あるいは施設に欠陥ができたのかもしれぬですね。もし施設の上で欠陥があったということなら、その辺のことと、それから施設関係じゃなしにそれ以外の何かミスがあったのかもしれません。これは想像です。だからその辺は、大体これは、やはり早いうちに、そういうことは調べないと、だんだんわかりにくくなる。そういう意味で、明日の予算委員会に間に合うように、それらの点もできるだけ明確にして、一つほかの資料と一緒に出してもらいたいと思うのです。  それからもう一つ先ほど岩間君がちょっと、新聞の記事だということで報告されたわけですが、災害の件数が非常に多いのですがね、私は、その安定検査というものは、正確にあるいは厳重に行われておればこういうことはないと思うのですがね。どうもその辺に私は疑問を持つわけです。事故が起これば、そこの工場におる人自体が迷惑を受けるわけですから、私は、そういう人的な関係といいますか、そういう主観的な事情からするところの一つのミスというものもあるかもしれぬが、これはみな気をつけておると思う。そうなりますと、あまりにも事故件数の多いところを見ると、通産省の安定検査の基準自体に問題があるか、あるいは検査に行く者がぼんやりしておるのか、私はどうもその辺に相当大きな問題があろうと思う。だから今年になって二百何十件もこういう爆発事故が起きておるということであれば、おそらくその一々について、その原因の究明が私はすでになされておると思うのですが、それを全部一つ表にして出してもらいたい。そうしませんと、本件の工場について一ヵ月前に調査した場合に完全であったとおっしゃっても、必ずしもそのままいただけないところが、やはりあるのですね。急に言うて、あるいは無理なことかもしれぬけれども、できるだけ一つ資料をそろえてもらいたい。要求しておきます。
  284. 小林英三

    委員長小林英三君) 担当局長、今の亀田委員の要求の資料、そろいますか。
  285. 秋山武夫

    説明員秋山武夫君) ただいまの事故の統計は、あす至急用意するようにいたしたいと思います。ただ、ただいま御質問のありました数字でございますが、資料で申し上げれば、もちろんいいわけですけれども、消費の段階での事故まで全部含んだ数字でございますので、製造関係だけの事故ではございません。実は大部分が、消費の段階で、たとえば子供が花火をいじっておって指を飛ばしたとか、そういう事故まで実は入った数字でございます。非常に数が多いわけでございます。ただ、製造関係では、実はそれほどの事故はございません。ただ、詳細はあす表にいたしまして、その上で御説明申し上げたいと存じます。  それから、前に御質問のございました、一ヵ月前に行ったときには安全であったのに、こういう大事故が起こるのはおかしいではないかという御質問でございますが、実は、まだ真相を突きとめておりませんので、いささか早断に過ぎるかと思いまするが、本日係官を派遣いたしまして電話連絡を受けました範囲で、また先刻自治庁長官から、現場に火薬の爆発の穴があいておったという御報告がございました事実から想定いたすものでございますけれども、どうも法規で定められた取り扱い以上の量の火薬を、きょうは取り扱っていたのではないか、その点が一番嫌疑が濃厚でございます。これはもちろん大至急、今夜徹夜でも調べをいたすつもりでございますが、火薬類取締法によりまして、各工室ごとに、また火薬の種類ごとに、常時取り扱ってよろしいという最大数量の限度を定めているのでございます。これは個々の工場ごとに保安規程として私どもの認可を受けさしているのでございます。  従って、それが守られ、それから法規に定められた通りの距離が離れております限りは、周囲にあれほどの被害が及ぶはずがないので、かりに事故が起きましても、土手の中にある工場だけの被害でとまるという建前で監督いたしているわけでございますが、たまたまその現場に係官がおりません時期に、許された以上の量の火薬を扱った——いろいろ事情があったと思いますが、それが、きょうのような大事故を起こしたのではないかという想像がされるわけでございます。
  286. 岩間正男

    ○岩間正男君 資料を待って再質問、国鉄総裁の質問は保留します。
  287. 小林英三

    委員長小林英三君) 保留しますね。——岩間君の御要求のありました国鉄総裁は病気のために出席不能でございますから、岩間君の同総裁に対する質疑は次回に保留いたします。  明日は、午前十時より開会をいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時十四分散会