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国務大臣(
佐藤榮作君) ガリオア、イロアの問題につきましては、アメリカ側といたしましては、これを早期に解決しようという——これはここ一、二年の問題ではなく、かねてからしばしば
政府に対しても要望しておったところであります。
政府自身といたしましても、ただいま千田さんの言われるように、ガリオアの性質等についても、いろいろ検討を加えました結果、過去におきましては、しばしば債務——と、かように明確に申したことはございませんが、債務と心得るというような表現をいたしておりまして、今日まで推移いたしております。そこで、二十九年まで、しばしばこのガリオアの
返済問題につきまして、日米間で交渉を持ったようでございますが、二十九年の会談以来、
日本といたしましては、賠償問題等、
日本の債務としてサンフランシスコ条約に基づいて結末をつける問題がある、その問題の
見通しがつかないうちに、このガリオア、イロアの問題と取り組むわけにいかないという主張をいたしまして、それではしばらくそういう
事態——その賠償等が片づくことを一応待とうというような話し合いになりまして、その間にここ数年——二十九年以来数年たったわけであります。そこで、ただいま御
審議をいただいておりますベトナム賠償問題等が片づくことになりますると、いわゆる東南アジア諸地域に対する賠償の問題は一応これで終結するというような
事態になるわけでありますし、また、それ以外にも日イ間の問題だとか、あるいは外債の処理だとか、その他の
関係のもの、あるいはまた、タイの特別円の問題がございますが、
金額等きまっておりますが、そういうような問題によりましてわが国債務の総額というものが大体
見当がついた。そうなって参りますと、かねてから問題になっておるガリオアの結末をつけたい、これをまた最近になりましてアメリカ側から督促をされておる
状況であります。私、昨年
大蔵大臣に就任いたしましたその当初にも一度、この解決の督促方を受けたのであります。当時はただいま申すように、賠償問題がまだついておらないという
状態でありますので遷延してきた。で、ことしになりまして
相当見通しがはっきりして参りましたから、今回私がIMFに出かけるについては、この問題をぜひ解決しようではないか、西独の方はすでに解決しておる、また、ソ連等に対する武器援助の
関係も、これも片がついてきている、そうすると
日本に対するガリオア、イロアの問題、これもいつまでもそのままにしておけないんだ、こういうような話で、来た機会にぜひとも
日本政府の
考え方を
一つ明確にしてもらいたいという申し出がありまして、そこで、私、参りますに際して、
日本側の意向として、この問題はわれわれの方としては債務と心得ているから、これの
支払いを
考えてもいいことだけれ
ども、しかし、なおわれわれが確認しなきゃならない点が
相当あるから、そういう
意味でこれから事務的な折衝を始めようじゃないかということで実は別れて帰っておるのであります。また、最近ジロン国務次官が参りました際も、これについての督促方を申しておりますが、まだ事務的の実際の交渉は始まっておりません。しかし、基本的に申しまして、わが方といたしましては、これより以上遷延ができないような形になってきておる、従って、交渉を持つことが、まあこれから先でございますが、始めなきゃならぬだろう、かように実は
考えています。ただ、そういう場合に、私
どものこれをどういうように処理していくつもりかという点がもちろんあるわけでありますが、
日本政府といたしましては、わが国の国民感情、これも十分尊重しなければなりませんし、また、この問題を解決することが日米友好
関係をさらに進めるというような効果がなくちゃならない、そういうような
意味においてこの問題の折衝に入るつもりでおります。従いまして、ただいまのところ、もちろん全額がきまっておるわけではありませんし、また、
支払い方法がきまっておるわけではございませんし、また、支払ったものをいかように使うかというような点がまだ論議されておるわけではございません。問題はこれから折衝を始めようかどうかという
段階でございます。