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青木一男君 次に、石炭対策について
総理と通産
大臣にお尋ねいたします。
岸総理は、本
会議の演説において、石炭産業の危機を打開するため、労使双方の平和的な
話し合いで事態の収拾をはかることを念願すると述べておられますが、三井鉱山の団体
交渉の決裂を機として、石炭産業の労使の対立は、憂慮すべき
状態に陥ったもののようであります。石炭産業は、国家再建上の基礎産業として、今日まで巨額の財政資金を投入して、援助を与えてきたにもかかわらず、今日の不況を見るに至ったことは、まことに遺憾とするところであります。ただ、石炭産業の不況は、
世界共通の現象でありまして、その主たる原因は、石油の圧迫にあります。つまり石油に比べて石炭が割高であるということでありますから、相当思い切った対策を講ずる必要があることは当然であります。企業者としては、経営の合理化によって、生産費の低下をはかり、石油に対抗しようとしておるのであり、労組は、合理化の内容たる人員の整理に
反対して、再建案の一致を見るに至らないようでありますが、石炭の生産費の大部分は、労賃でありますから、生産費を引き下げるために、人員整理の問題は避けるわけにはいかないと思います。
元来、わが国の石炭業が右のような国家の強大な支援にもかかわらず、今日の不況を見るに至ったことは、単に石油の圧迫だけであるか、それとも、そのほかに企業経営上の欠陥がなかったかどうか、また労使双方の再建の熱意が、どの程度であるかというようなことは、この際、十分確かめておく必要があると思います。
私は、例を三井の三池炭鉱にとって
考えてみたいと思います。
一般国民の目からいたしますと、不思議なことは、三池炭鉱の現状であります。三池は、その炭質と炭層において、わが国の代表的優良鉱山であり、その設備や厚生施設も、ずば抜けてすぐれたものを持っております。もし、瞬時において他の弱小炭鉱が皆没落しても、三池だけは健在を誇るであろうというのでないと、常識に合致しないのであります。しかるに、その三池がまつ先に深刻な苦況に陥って悲鳴を上げたのであるからして、ここに労使ともに、冷静に反省すべき経営上の根本問題の伏在しておることは容易に想像し得るところであります。聞くところによりますと、三池の一人当たりの出炭量は、他のすぐれた山の半分くらいだということであります。これでは毎年何十億という赤字を出し、企業が危殆に陥るのはむしろ当然であります。しかしエネルギー資源として、また工業原料として、石炭は、わが国の大切なる資源であって、石炭業は、絶対につぶしてはならないと思います。そういう産業でありますから、再建方法を講じなければなりません。それには、まずもって企業の
関係者
自体の反省と決意が第一であることを繰り返して力説ぜんとするものであります。
そこで、労使の
交渉を円滑に求め、業界の再建案を軌道に乗せるには、離職者を他の職場に引き取り、合理化の犠牲者を出さないことが要諦であります。
政府が、今回炭鉱離職者臨時措置法案とともに、補正予算中に石炭業離職者に対する応急措置の経費を計上したのも、それがためでありまして、まことに適切な措置であると思います。また業界でも、それぞれの企業系列の内部において、離職者の転用を計画しており、また、日経連でも、相当大量の離職者受け入れ計画を立案しておるのでありますが、私は
政府においても、もっと徹底した離職者受け入れ態勢を整備し、たとえば今後数年にわたり各種の公共事業、鉄道建設、国土開発、自動車道建設等に大量に転用する計画を立案する
考えはないかということを伺います。
労組が合理化に
反対するのは、失業をおそれるからでありますから、
政府と民間と協力して、失業者を出さないようにすることになるならば、労組の心配もなくなり、再建案が容易にでき上がると思うのでありますが、
政府の御所見を伺いたいと思います。
今、大牟田市では三池がつぶれるとなると、市民をあげて路頭に迷うことになるといって、憂色に満ちております。私は、この点からも労使の
話し合いがすみやかに妥結に至らんことを望むものであります。
また大牟田市には、労組の外部応援団体や指導者が続々入り込み、女保
反対の政治闘争と結合して、一大デモの進行が報道され、市民は戦々きょうきょうとしておるのであります。今や石炭業が浮沈のせとぎわに臨んでいる際でありますから、政治闘争の具に供されるなどという余裕がないはずであり、私は、そういうことのないことを期待するものでありますが、万一にも、この争議が、治安上憂慮すべき事態に発展しては大
へんであります。
政府の見通しと対策について伺っておきたいと思います。
また私は先年、高碕通産
大臣のときに、エネルギー総合対策について
質問したのでありますが、この問題は、長期経済計画の円滑なる進展の
一つの基礎をなす問題であり、ことに石炭産業の対策、石油の輸入、原子力発電等々にも関連して、総合対策の樹立は今や急務となっておると
考えます。
政府の
調査機関の進行状況等は、どうなっておりますか、この総合対策に対する
政府の御所見も伺っておきたいと思います。