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1959-10-31 第33回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十月三十一日(土曜日)    午前十一時二十三分開会   —————————————   委員の異動 十月三十日委員米田正文辞任につ き、その補欠として松村秀逸君を議長 において指名した。 本日委員松村秀逸君及び佐多忠隆君辞 任につき、その補欠として米田正文君 及び羽生三七君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            大谷藤之助君            佐藤 芳男君            館  哲二君            西田 信一君            亀田 得治君            千田  正君            杉山 昌作君    委員            泉山 三六君            太田 正孝君            金丸 冨夫君            小林 武治君            斎藤  昇君            下條 康麿君            堀木 鎌三君            湯澤三千男君            吉江 勝保君            米田 正文君            久保  等君            小林 孝平君            羽生 三七君            藤田  進君            藤原 道子君            松永 忠二君            辻  政信君            原島 宏治君            岩間 正男君   国務大臣    内閣総理大臣  岸  信介君    法 務 大 臣 井野 碩哉君    外 務 大 臣 藤山愛一郎君    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君    厚 生 大 臣 渡邊 良夫君    農 林 大 臣 福田 赳夫君    郵 政 大 臣 植竹 春彦君    国 務 大 臣 石原幹市郎君    国 務 大 臣 中曽根康弘君    国 務 大 臣 益谷 秀次君   政府委員    大蔵政務次官  奧村又十郎君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省理財局長 西原 直廉君    文部政務次官  宮澤 喜一君    農林政務次官  小林 一雄君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十四年度一般会計予算補正  (第2号)(内閣送付予備審査) ○昭和三十四年度特別会計予算補正  (特第1号)(内閣送付予備審  査) ○昭和三十四年度政府関係機関予算補  正(機第1号)(内閣送付予備審  査) ○派遣委員報告   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) ただいまから委員会を開会いたします。  まず、昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)、昭和三十四年度特別会計予算補正(特第1号)及び昭和三十四年度政府関係機関予算補正(機第1号)を一括して議題といたします。  まず、佐藤大蔵大臣より提案理由説明を願います。
  3. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 政府は、今回昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)及び特別会計予算補正政府関係機関予算補正(第1号)を国会に提出いたしました。ここに予算委員会の審議をお願いするに当たりまして、その概要を説明いたします。  本年における災害は、先般の伊勢湾台風に至りまして、二十八年災に次ぐ規模のものとなりました。政府としましては、すでに既計上予備費の使用、五十五億円、地方交付税交付金交付時期の繰り上げ、応急つなぎ融資等各般行政措置を講じて参ったのでありますが、今回、災害実情に顧みまして、各般特例法案を用意するとともに、予算補正を行いまして災害対策に遺憾なきを期することとした次第であります。  今回の一般会計予算補正による歳出追加額総額六百十四億円余でありまして、申すまでもなく災害対策にかかわる経費中心としております。  災害対策関係費は、本費に三百四十四億円を計上しておりますが、ほかに今回追加計上いたしました予備費八十億円の相当部分災害対策費に充てられることになる見込でございます。特に、今回この予算において配慮いたしました点は、本会議におきましても申し上げました通り、第一に民生の安定と生業の回復をはかったことでありまして、特に、住宅及び農林漁業施政復旧促進をはかり、これに約百七億円を計上し、施策の内容においてもまた従来の措置に比しまして相当改善充実を期しております。  第二に、今次の災害におきまして、渦潮による被害が激甚であったことに顧みまして、新たな構想によって大規模高潮対策を講ずることとして、これに六十二億円を予定しております。  このほか、河川等公共土木施設復旧充実をはかり、これに約百六十億円を計上することとしております。さらに復旧促進をはかるため、国庫債務負担行為三十六億円余の活用をも予定しております。  なお、今回の災害規模に顧み、災害対策費にかかわる国の補助負担の対象及び率について、実情に照らしそれぞれ拡大引き上げ特例を設定し、他面地方交付税増加地方債起債枠拡大等地方公共団体に対し財源附与を行ない、両者相待って強力な災害対策の推進を期しております。  災害関係費以外の経費は、主税増収三百八十億円の計上に伴う地方交付税の増八十五億円のほか、義務教育費国庫負担金国民健康保険助成費等法令の規定に基づく義務的な経費九十二億円及び石炭鉱業離職者対策費七億円等、当初予算の作成後に生じた事由により必要となりました経費追加が十四億円であります。  さらに予備費を八十億円追加計上しております。このうち、約五十億円は大害対策費に充当される見込であります。これはいわゆる災害査定等正規の手続きを経て事業費を確定するに至らない段階において、推定によって予算措置を行なう関係上、災害対策費のすべてを事業別所管別に細分して、それぞれの金額を確定して、計上することは、予算の実行に当たって多分に現実に即しない不都合を生ずるおそれがありますので、一部について予備費によることとし、これに充てるため、計上した次第であります。  その他の約三十億円は一応災害対策以外の今後の不測の財政需要に対処するためのものでありまして、例年の例によるこの種の需要を勘案いたしまして計上いたしたものであります。  この補正財源は、租税等自然増収を、でき得る限りこれを見積ることとして、租税及び印紙収入四百九十億円、税外収入四十八億円を見込んだのでありますが、なお不足する分につきまして既定予算を節減することといたしました。すなわち、公共事業費等既定経費につきまして六十九億円を修正減少するほか、炭鉱離職者対策事業への組みかえによる一般失業対策事業費不用見込額二億円と、自然増収による国庫金季節的収支見込変更による大蔵省証券発行割引差額不用見込額四億八千万円を修正減少いたしております。  以上申し述べました一般会計予算補正のほか、今回交付税及び譲与税配付金特別会計開拓者資金融通特別会計食糧管理特別会計の三特別会計及び政府関係機関につきまして所要補正措置を講ずることといたしております。  最後に、財政投融資追加について一言いたします。八回の災害対策及び年末中小企業金融対策といたしまして、総額五百一億円の投融資追加を行なうことといたしました。内訳としては、中小企業金融対策として、災害対策関係に百六十億円、年末対策関係に百億円、農林漁業関係災害対策として、農林漁業金融公庫に対し、四十億円、開拓者資金融通特別会計に対し一億円、住宅復旧資金として住宅金融公庫に対し四十億円、ほかに地方債百六十億円、合計五百一億円で、これに必要な原資は郵便貯金等の増を見込む一方、公募債等増加をはかるとともに、既定計画の一部の振替により支弁することとしております。  以上、概略をご説明いたしましたが、なお詳細は政府委員をして御説明いたさせます。
  4. 千田正

    千田正君 ただいま大蔵大臣からの御説明のうち、第一ページの高潮対策に対しまして大蔵大臣は六十二億円という御説明でありましたが、われわれの資料は、さらにこれを訂正して六十一億円となっておりますので、このへんがいずれが正しいか、委員長から一応大蔵大臣にお伺いしていただきたい。
  5. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。六十一億五千三百万円、それを私の方は切り上げまして六十二億円、それから切り捨てた方で六十一億円、かようなことでございます。
  6. 小林英三

    委員長小林英三君) 次に、石原大蔵省主計局長補足説明をお願いいたします。
  7. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) ただいまの大蔵大臣の御説明を補足して申し上げますが、お手元に差し上げました昭和三十四年度予算補正(第2号、特第1号及び機第1号)の説明というのがございますので、それをごらんいただきながら申し上げたいと思います。  債務——歳出と申しまするか、追加額全体の姿は二ページに歳出増加という数字財源という数字と両方ございまして、いずれも六百十四億三千百万円という数字に相なっておるわけでございます。災害関係費三百四十三億七千四百万円、歳出増加の方のおもな項目は三百四十三億七千四百万円、これが災害関係費でございまして、以下詳細を申し上げるわけであります。その他の経費といたしまして百九十億五千七百万円という額が載っておりまするが、これは一番上の地方交付税交付金、これは自然増収の見積りをいたしましたうちの所得税法人税及び酒税、その三税の二八%半、それの二十三年度の超過交付額を差し引きました額、それが八十五億になるわけでありますが、その交付税関係が一本、それから義務教育費国庫負担金から始まりまして、精神衛生費補助金というところに至りまする五本の義務的経費九十一億八千五百万円、それと石炭対策費が七億二千八百万円、以下こまかいものがございまして、予備費が八十億ということが歳出増加の大ざっぱな内訳であります。財源といたしましては、租税自然増収を四百九十億円、専売益金を中心といたしまする税外収入増加が四十八億円、公共事業費並びにこれに準じまするものにつきまして節約を行ないました分が六十九億円、その他国債費あるいは一般失業対策におきまして振替関係から生じまするものを合わせて六億八千万円、その合計既定経費節約の七十二億八千八百万円という数字に当りまして、財源といたしましては六十四億に和なるわけでございます。でき上りました形は二ページの一番上に載っておりまするが、補正(第1号)、前国会においておきめいただきました補正(第1号)まで合わせました一兆四千四百四十三億、それに今回の六百十四億から修正減少分七十五億を差し引きました純増加額といたしましては、五百三十八億四千二百万円を追加いたしまして一兆四千九百八十一億、こういうのが補正分を含めました一般会計予算額に相なるわけであります。  以下、歳出の主たる項目について申し上げますると、第一が災害関係経費であります。そのうち災害復旧関係が百七十八億六千二百万円という金額に相なるわけでありまして、これは公共土木施設及び農林水産業施設災害復旧費、この分におきまする被害報告額は千九百六十二億ということに相なっておるわけであります。これに対しまして大体従来の計算のいたし方がございますので、従来の計算のいたし方でいわゆる三割、五割、二割、直轄五割というような計算で一応はじきました分に、一つ直轄の分で計上の場合は五〇%というのが初年度の復旧費でございまするが、木曾川ほか三河川につきましてこれを一割上げまして六〇%にいたしましたというのが一点、災害復旧関係につきまして高率の補助をいたします特例法を出すつもりでおりますので、特例法に伴う分を一部計上いたしましたのが第二点、それから災害復旧復旧率はいわゆる二五%ということでございますが、今回は、できるだけ来年の台風になるまでに原形復旧を終りたいというところから、本年に着手をいたします分もできるだけ繰り上げることができるようにいたしたいという配慮をもちまして一応二八%半といたしまして、二五%の差額を国庫債務負担行為計上しております。その分が二十九億というような措置をいたしまして計上いたしましたのが、各省別に見ますると、三ページに建設省所管河川等から農林省所管の農地とか……、こういうような内訳に和なりまして、一部は予備費に回しておるわけであります。伊勢湾対策事業費は、ただいまお尋ねの六十一億五千三百万円という数字になっておるわけでありまして、これにつきましては、今回の災害の状況から見まして、大幅な改良の工事を実施をすることにいたしたい。これも従来の率ではなくて、災害復旧の分につきましては、災害復旧率でございますが、改良の分につきましても八割という高い負担率をとることにいたしまして、大体本年度中に締め切りを終えた上に、来年の台風の参りますまでに原形が復旧せられるということを目標といたしまして金額計上いたしまして六十一億円、このほかに国庫債務負担行為といたしまして七億円を計上いたしておるわけであります。省の所管別は、三ページの右側に書いてございますように、建設省農林省運輸省とおのおの分かれておるわけであります。直轄河川改修費という小さい項目が一億円ございますが、これは今回の災害復旧にあわせまして直轄河川の改修を同時に施行いたしまして、所要改良復旧をいたそうという分でございます。これは木曾川、揖斐川の二つの河であります。  三十四年発生災害関連事業費九億九百万円という金がございますが、これはいわゆる復旧工事をあわせ行ないますと、災害国連改良工事は、これは二五%を計上いたしておりますが、今度は被害激甚地につきましては、補助率の二分の一を三分の二に引き上げるということで特例法を用意いたしておるわけであります。  その次が緊急治山及び緊急砂防事業費でございまして、合わせて十六億九千四百万円の内訳は、四ページの下に農林省関係で七億八千万円、この残りが建設省所管ということに相なるわけでございますが、これは今回の災害の場合におきます荒廃山地あるいは河川渓流復旧あるいは再発防止ということをいたしますために、特に被害激甚であります貧窮地方公共団体につきましては、緊急砂防も、従来の緊急治山並み地方債をできるだけつけて、現年度以降も大体現年度並み地方債をつけまして、それに対します交付税元利償還額に対して交付税をもって補てんをいたすという政策をとることにいたしまして、これは緊急治山と同じような行政措置をもってまかないまするつもりでございます。  災害救助の金につきましては、当初予算のうちから、五千五百万円、予備費から十四億九千万円すでに支出済みであります。それに今回計上の分の二十四億四千三百万円を計上いたしまして、所要災害救助のためのまかないをつけるつもりであります。今回は十五号台風によりまする災害救助につきまして、応急仮設住宅の単価の八万円を十万円に引き上げる、長期収容の場合のたき出しの五十円の単価を七十五円から九十円というふうに引き上げをいたしまして、国庫負担特例をやることにいたしておるわけであります。  住宅関係につきましては、一つ災害によりまして減失いたしましたものを第二種公営住宅をもって再建をいたす、あるいは滅失いたしました公営住宅そのものを再建いたすということになっておりまするが、今回は特に従来の復旧率三割を五割に引き上げまして、補助率につきましても被害激甚地につきましては従来の率を引きしげるという措置をとっておるわけであります。そのための所要額が十二億一千九百万円。  公立文教施設費におきまして十億八千九百万円という額を計上いたしておりまするが、それも公立文教施設災害復旧特例等を出すつもりでございます。  その他の災害対策費といたしましては、ややこまかいものを一括してそこに見ているわけでありますが、総理府所管の一億八千五百万円は警察庁の関係で、これは警備出動並びに施設災害復旧。  文部省所管私立学校復旧費助成が五千三百九十万円。  厚生省所管におきましては、環境衛生医療施設法定伝染病予防社会福祉施設、それから世帯更生資金児童保護——と申しますのは、これは保育料の、災害地におきまする児童保育料の減免の補てんであります。国民健康保険も同様でありまして、これも保険料の減免をいたしましたものに対しまする補てんに充てるわけでありまするが、こういうような七つほどの項目につきまして、ここに掲げておりまする額を計上いたしておるわけであります。これらにつきましても災害特別立法の出る分があるわけであります。  農林省所管におきましては、農林水産業共同利用施設災害復旧費といたしまして三億四千六百万円、これは共同利用施設復旧につきまして、同じく特例立法を出すつもりでございます。  救農土木事業が三億円、それから共同化施設、これは昨年の狩野川台風のときにも、御記憶であるかと思いまするが、非常に被害の激甚であったところにつきまして、共同化施設をもちまして被害激甚地復旧をいたしたいということに対しまする特別の助成でありまするが、三億三百万円。これは新しい問題でございまするが、小型漁船が集中的にやられましたところに対しまして、自力復旧の困難なものにつきましては、共同利用小型漁船を建造いたします。これに対します経費補助いたしますのが、二億四千四百万打。  緊急排水事業のために一億六千二百万円、これは建設省所管におきまして二千二百万円、同じく排水関係の分でございます。  入植施設関係が二億二千二百万円でございまして、住宅、農舎、畜舎の復旧費、これも同じく被害激甚地につきまして特別立法を出すつもりでございます。  通商産業省でございまするが、通商産業省は商工組合中央金庫が特別に六分五厘という利率で貸しますることに対しまする利子補給の分でございます。二千五百万円。  風水害対策といたしまして運輸省が四千百万円、これは室戸岬に気象観測用レーダーを置きまするのと、東京、大阪及び名古屋に検潮儀を設置いたしますその関係経費であります。  建設省所管に、水防資材、先ほど申しました排水関係、あるいは自分で使います機械の手当、そういう金を合わせまして一億七千七百万円とっているわけであります。  以上が大体災害対策といたしまして計上いたしました経費でございまするが、その次に、その他の経費といたしまして、地方交付税交付額八十五億円、先ほど申し上げましたように、後ほど申し上げます主税の増収が三百八十億になるわけでありますが、その二八%半という交付率に基きまする計算で百八億三千万円、ところが三十三年度に地方交付税超過交付に相なっておりまする額が二十一億二千九百万円でありまするので、それを差し引きました八十五億という金が今回交付税特別会計に繰り入れを行う額であります。  次の七ページの二番目の義務教育国庫負担金からその次のページの六番、養護学校教育国庫負担金、そこまでに至ります項目は、いずれも義務的経費でございまして、主として過年度の精算分に基くものでございます。  石炭鉱業対策関係費が七億二千八百万円でございますが、これは炭鉱の離職者の再就職の援護のための炭鉱離職者援護協会、これに対しまして事業費の一部を補助いたします金が三億円、それから同じく地方公共団体炭鉱離職者緊急就労対策事業を行ないまする分が四億四百万円、その二柱が大きなものでございまするが、なおそれ以外に職業訓練に要しまするところの経費が一千百万円、広域職業紹介に要します金六百六十三万円、遠賀川水系の調査に当ります関係のものが五百万円、合計いたしまして七億二千八百万円という金が、炭鉱離職者関係でございます。  既定経費につきましては、公共事業費及びこれに準じますものにつきまして下乗別、内地、北海道別を考慮いたしまして節約をお願いをいたしました金が合計をいたしまして六十九億八百万円、それに先ほど大臣が御説明に相なりました緊急就労事業と相組み替えの関係に立ちます一般失業対策事業費節約が二億円と大蔵省国債費におきます節約が四億八千万円、合計いたしまして六億八十万円が第二の節減項目でございまして、合計いたしまして七十五億八千八百万円、その省別所管別内訳が八ページの右側に載っているわけであります。  予備費は、災害復旧の今回補正予算を組みます時間的制約がございまして、まだ被害査定を終わってない分が相当ございますが、これらが将来査定が終わりました場合におきまする状況等のことも考えまして、所管別の割り振りということも考えまして約五十億円を予備費計上いたしました。残りの約三十億円が一般災害以外の関係費に対します予備費に当たるわけであります。  歳入の関係でございますが、租税及び印紙収入が四百九十億円でございまするが、これは九ページに内訳がございますように、所得税源泉所得税におきまして二十九億円、法人税が三百二十億、酒の税が三十億、揮発油税は、これは前回におきまする法案の修正の関係もございまして十五億円の減収、物品税が九十億円、有価証券取引税が二十一億円、印紙収入が十三億五千百万円というこれはおのおの増収でございまして、全額で四百九十億という自然増収見込んでいるわけであります。  専売納付金は、現在までの販売実績を大体見込みまして、二十五億円増収という見込みになっております。  官業益金及び官業収入におきましては、学校付属病院収入におきます増加額が三億四千二百万円。雑収入におきまして、日本銀行納付金が、最近の決算におきまして六億一千万円、日本中央競馬会納付金におきまして一億五千七百万円、いずれも当初予算見込みましたよりも増加をいたす見込みになっているのであります。なお、農業共済の再保険特別会計は、三十三年の決算の結果九億三千二百万円の金が一般会計に繰り戻す結果になりますから、その受け入れの関係一般会計におきまして、失業者退職手当を払いまする関係特別会計からの負担金として受け入れますものが三億円、これらを合計いたしまして、二十億という雑収入税外収入、合せまして四十八億円ということの内訳に相なるわけであります。  特別会計が三本出るわけであります。一つは先ほど来申し上げました交付税及び譲与税配付金特別会計に受け入れまする点、食糧管理特別会計におきまして、今年の麦が予想以上に出回りまして、出回ると申しますか、政府買い入れ額がふえまして、それをまかないますための麦の買い入れ費並び管理費増加をいたします関係が、食糧管理特別会計補正開拓者資金融通特別会計におきまして一億円今度借り入れ限度増加いたしまして、融資の充実をはかりまするのが第三点、それらが特別補正で出るものであります。  政府関係は、中小企業信用保険公庫貸付金限度が、政府関係貸付を、予算総則におきまして限度を設けたところでありますが、これを今回十億円産業投資特別会計から出資をいたしますに伴いまして、これも同公庫の貸付限度増加いたしまして、その関係に要します補正であります。  なお財政投融資につきましては御説明を省略さしていただきます。  以上をもって補足説明を終わります。
  8. 小林英三

    委員長小林英三君) 以上をもちまして提案川由及び補足説明を終了いたしました。   —————————————
  9. 小林英三

    委員長小林英三君) この際委員変更がございましたので御報告をいたします。  佐多忠隆君が辞任をいたし、その補欠といたしまして羽生三七君が選任せられました。   —————————————
  10. 小林英三

    委員長小林英三君) 次に、委員派遣報告に関する件を議題といたします。  各一班から順次御報告を願うわけでありますが、都合によりまして御四班を先にいたしまして、一班、二班、三班、五班の順序に御報告を願いたいと思います。  それでは第四班、広島、島根、鳥取班の藤田進君より御報告をお願いいたします。
  11. 藤田進

    ○藤田進君 第四班は自民主党苫米地英俊君、日本社会党藤田進、日本共産党岩岡正男君の五名で構成され、広島、島根、鳥取の三県を視察して参りました。  七月十五日東京を出発し、一週間にわたってこれら各県の一般経済事情、地方財政状況、総合開発計画の進捗状況、国有財産、特に旧軍事施設の管理状況等について調査を行いました。  この間、広島、島根、鳥取の各県庁を初め、中国財務局、呉市、米子市の各市役所、八本松町の町役場等において資料の提供を受けるとともに、現地の実情について詳細な説明を聞いたのであります。また八木松町の元国連軍の射撃演習場、太田川・郷川の改修工事現場、江ノ川ダム建設予定地、宍道湖・中海干拓工事現場、日立金属安来工場、境港の港湾施設、原子燃料公社の人形峠ウラン鉱探鉱現場等を視察いたしました。  以下右調査の結果を御報告申し上げます。  まず、一般経済、金融の状況についてでありますが、中国地方も全国的な景気の回復と歩調を合わせておおむねゆるやかな上昇過程をたどってはいますが、その上昇のテンポは若干低く、生産面では鉱工業生産指数が三十二年のピーク時に比べて本年三月現在九五・二%という数字を示しております。これは鉄鋼及び化学工業などが高水準を持続する反面、中国地方で産業構造中ウエイトの高い繊維、造船等の立ち直りがおくれていることが原因となっています。中小企業も輸出、内需の好調、下請発注額の増加傾向から、総じて明るい傾向にあります。このような生産面の好調を反映して、労働市場の需給関係は漸次よくなってきていますが、雇用人口、賃金面で積極的に上昇するという段階には、至っていません。  他方消費面を見ると、一般景気の回復を反映して、前年水準を上回る状態ですが、全国水準に比較するとこれまたかなり低い増率であります。また一般金融機関の資金供給状況は、昨年秋以来の商況の活発化で運転資金が若干増加したほかは積極的な資金の動きは見られません。  三十四年度の設備投資の、面は、前年度に比べ〇・九%増にとどまり、その内訳を見れば、現在好調の鉄鋼及び化学工業が主体となり三七%を占める状況で、石油精製、金属鉱業等が増加している反面、化繊、紙パルプ工業等は減少している状態であります。  次に、地方財政について御報告いたします。  広島県では昭和三十三年度決算見込みによると、歳入百九十億五千万円で十八億三千万円の増、歳出は百八十七億円で約十九億六千万円増加しており、形式収支は三億五千五百方円の黒字を示していますが、単年度収支は一億六千二百万円の赤字となっています。  三十四年度予算見込み額を見ると、赤字の危険が増大しております。すなわち交付税、国庫支出金の増加をそれぞれ四億円及び三億八千万円見込んでも、地方税収入が制度改正等に伴い三億一千万円ほど減収が予想され、その他の減収を含めて歳入は一億三千五百万円の増収見込まれるだけであります。  これに対し歳出の面では、給与関係費増加額だけでも六億九千七百万円が必要であります。これは期末手当〇・一五カ月分増、初任給改訂、昇給財源などで、いずれも増加を義務づけられた経費であります。その他公債費一億一千三百万円増のほかに、投資的な経費増加が五億三千九百万円見込まれております。このうち国庫補助に伴う公共事業費増加は四億六千三百万円で、これは国の補助事業の内示額を道路関係について一〇〇%、その他八〇%として計画した場合の数字であります。国庫補助を伴わない投資的経費は七千五百万円であります。  これらの経費増加のため、庁費その他の経費の削減を三億八千六百万円行なっても、なお八億七千四百万円の歳出増という結果に相なり、従って歳入歳出差引不足額は七億三千九百万円にも達する見込みとなっています。  このような赤字見込みの原因は、前述のごとく種々の歳出増加に見合う歳入増が欠けている点にあるわけですが、特に公共事業費の増が二〇%に達するのに、起債が五%増しか認められないのも大きな原因をなしており、また臨時特例法の廃止による負担増加も六千百万円あり、これも一因をなしているとのことであります。これがため、せっかくの公共事業費のうち、県当局の見通しでは、地方負担額二億一千四百万円に相当する四億六千九百万円を返上せざるを得ないのではないかと言っておりました。  島根県では昭和三十三年度歳入百六億五千八百万円で、前年度比増十四億五千九百万円、歳出百四億五千九百万円で、十七億七千百万円増加しており、形式収支で一億九千九百万円の黒字を計上しております。しかし、三十二年度の黒字形式五億一千百万円と比べると大幅に減少し、単年度収支では三億一千二百万円の赤字となっています。昭和三十四年度の当初予算はまだ肉づけが行なわれていない段階ですが、それでも財源に困難を来たしている状況がうかがわれます。すなわち収入の面で税法改正による減収のほか、重要産業であるパルプの不況等による減収を合わせ、地方税の減収が五千三百万円ある等のこともあり、交付税の見通しが四億五千六百万円の増加であるにもかかわらず、一般財源は二億三千百万円しか増加していない。しかも交付税増加分はほとんど人件費に取られてしまう勘定であります。人件費の増加は、教員増百三十七名、定員化による人員増百九十六名の給与費と、期末手当の増額によるもので、合わせて五億円に達するとのことであります。従って投資的経費は著しく削減され、国庫補助を伴なわない事業で災害復旧事業の当然減少分五億円を含めて六億五千百万円の減少を示し、補助を伴う事業は二十六億八千九百万円で、前年に比べて二億五百万円増加になっていますが、認証見込み額の二割相当分三億八千八百万円を返還予定としており、実質上は一億八千三百万円の減少となっております。  鳥取県の財政は、昭和三十三年度決算見込みによると一億六千九百万円の黒字を計上しております。これは交付税が未開発補正の減のため、県の最終予算に比べて一億七千万円少なくなったにかかわらず、前年度の繰越金が一億円増加し、費用の未使用分が一億九千万円あり、それに県税六千万円、雑収入九千万円の増加があったためであります。従って単年度の収支では逆に六千万円赤字を出しているわけで、前年度は二億九千二百万円の黒字であったのに比べて大幅な逆転を示しています。昭和三十四年度予算によると、公共事業費増に伴う県負担増が四億二千八百万円に達し、人件費の増加も二億五千四百万円あり、また公債費が五億八千七百万円あるので、大幅な赤字、あるいは公共事業費の返上が予想されるのであります。  以上二県の県財政に共通して言い得ることは、第一に三十三年度決算じりは赤字を出すには至っていないが、単年度収支ではいずれも赤字となっていて、好調な三十二年度から逆転していること。第二に、三十四年度予算に見られるところでは、人件費の増、公共事業増等歳出の面の増加が著しい反面、歳入の増加はあまり期待できず、従って一そうの後退が生ずる恐れのあること。第三に、国の公共事業費の一部が県負担分の財源難から返上される動きがあること等であります。各県の財政当事者から、これらについて、地方財政が再び破綻することのないよう、国の適切な措置を要望されるとともに、三十四年度公共事業費財源のため、臨特法の復活、直轄事業の全額国庫負担交付公債の利子免除等の強い要望があったことをお伝えいたします。  次に、視察した現場のうち、おもなものについて御報告いたします。  広島県八本松町にある旧陸軍の演習場は、戦後連合軍によって、また朝鮮事変後は国連軍によって、実弾による演習場として使われ、そのため隣接する村有林三百町歩を灰にされ、さらにはげ山となった山からの土砂のため、河川は決壊し、溜池、農業用施設に多大の被害を受け、その被害総額は三億二千万円に上るとのことであります。一部についての補償はすでに行なわれ、また、三十四年度も、治山及び砂防にそれぞれ千二百六十万円、千四百五十万円国費から支出される計画になっているのでありますが、村有林の焼失等により村財政の基本財産が失われている現状から、根本的な損害回復事業の実施が強く訴えられたのであります。  また、呉市の旧軍用施設の利用状況を視察したのでありますが、旧軍用地二百五十万坪のうち、すでに百八十万坪については処分されております。すなわち、旧軍港市転換法により学校等公共施設に譲与されたもの四十六万坪、工場に使用されたもの五十二万坪、その他道路、農地、宅地に利用されるもの八十二万坪であります。未処分の七十万坪のうち、工場に利用せしめる予定のものは四十三万坪、その他二十七万坪であります。工場に使用され、あるいは使用を申請している土地は、合計九十五万坪で、おもなものは尼崎製鉄、日曹製鋼、日立製作、東洋パルプ、呉造船等であり、なお、これと関連して、広島呉工業地帯整備計画により、広島県を工業生産県とする計画が進められています。  次に、郷川の問題について御報告いたします。郷川、これは江ノ川といいますが、広島、島根を貫流する中国地方第一の河川でありますが、県境よりやや下流、島根県側に入った地点高梨に、高さ約六十八メートルのダムを築き、有効貯水量約一億立方メートルの大貯水池を設けて、十四万八千キロワットの発電を行なう計画があります。中国地方は水力資源に乏しく、特に調整に容易なダム式発電が少ないため、この中国第一の河川を開発することは大きな意義があるわけですが、この江ノ川ダムには、すでに当予算委員会で質疑が行なわれたこともあるごとく、三江線の問題がからんでいるのであります。すなわち、長年地元で要望していた陰陽連絡の三江線が、あとわずかで完成するのですが、もしこの高梨地点にダムができると水没し、また、水没しないためには数十億円の追加工事費が必要で、電源開発側でそれを負担すると、電力コストが引き合わなくなるジレンマがあるわけであります。この問題の取り扱いについて、昨年十月通産省、運輸省、経済企画庁の三省で一応の調整を行ない、覚書をかわしたのでありますが、それによると、ダムの高さを五メートル低くし、その場合におけるダムその他の経済性を比較検討する。五メートル低くして水没しない口羽地区まで三江線を計画通り進めるというのであります。この覚書に従い電源開発側が検討したところでは、五メートル低くすると、有効貯水冠が激減し、経済的に引き合わなくなるとのことであります。また、国鉄側は、工事を進行させていますが、口羽地区の駅をどこに設けるかが決定できず、昭和三十三年度予算の割当のあった工事費四億円を未使用のまま繰り越しております。私どもが現地へ参りましたところ、地元のダム反対派、あるいはダム賛成派からそれぞれ陳情を受けたのであります。ダム反対派の意見は、千戸をこえる町の中心部の室屋が水没し、また、農耕地の大半が失われること、先祖伝来の土地を去りたくないこと、補償を受けて転業をしてもなかなか困難であること、せっかく三江線が近くまで開発されながら日の目を見なくなること等であります。また、賛成派からは、耕地が少なく資源に乏しい事情から、むしろこれを機会に別途生計を立てたいこと、江ノ川のはんらんによる被害がひどいこと、水没予定区域内の居住民はむしろ賛成しているとの意見が述べられました。しかし、反対派、賛成派ともに、一日も早い解決を強く望んでおり、早期に調整を行なう必要を痛感した次第であります。  斐伊川・宍道湖・中海総合開発計画は、斐伊川流域多目的貯水池群の建設、斐伊川つけかえ、中海・宍道湖の干拓計画、中海・宍道湖の淡水化、中海臨海工業地帯の建設等、この地域の社会経済的水準の飛躍的向上を約束するもので、総事業費は二百九十億円に達する計画であります。このうち第一期工事として、七十八億円で中海約三千町歩の干拓及び中海・宍道湖の淡水化の計画が取り上げられ、基礎調査費に一億円を費やし、干拓の方式、潮どめ地点の調査、土壌試験、栽培試験を行ない、あと若干点を除き、ほぼめどがついたとのことであります。また、中海臨海工業地帯と関係して、境港の整備五カ年計画が遂行されています。すなわち、外国貿易港として一万トンの岸壁を整備するとともに、国内貿易のため小型埠頭を整備する計画で、総経費三億三千万円、三十三、三十四年度はそれぞれ四千万円、五千五百万円で、浚渫及び埋立、岸壁の一部が作られる予定になっています。  最後に、人形峠のウラン鉱についてであります。昭和三十年に発見されたウラン鉱床は、原子燃料公社によって、一昨年末からボーリング、坑道などにより探鉱が鋭意進められ、相当広範囲にわたって鉱床が存在していることが明らかになってきています。現地では、輸送の方法、汚水の処理等困難な問題もあり、また、国際価格と比較すると若干割高となるが、国内資源開発のためにも、原子力の平和利用のためにも、ぜひ本格的な開発を遂行したいとの意向で、そのための強い財政的支持が切望された次第であります。  以上、簡単でありますが、御報告といたします。
  12. 小林英三

    委員長小林英三君) 次は、第一班北海道の佐藤芳男君から御報告をお願いいたします。
  13. 佐藤芳男

    佐藤芳男君 第一班の視察報告を申し上げます。  第一班は、亀田得治、千田正委員と私の五名で、去る八月三日から十日間の日程により、北海道の各地を視察して参りました。その間に、道庁及び北海道開発局、札幌通産局、北海道財務局から、それぞれ管内の一般経済情勢、財政金融事情及び総合開発事業の進捗状況等につき説明を聴取したほか、次の個所について現地調査をいたしました。  すなわち、総合開発関係では、篠津地域泥炭地開発事情及び根釧地区機械開墾建設事業。道路港湾関係では、帯広、浦河を結ぶ黄金道路及び札幌、千歳を結ぶ国道三十六号線、小樽、釧路、苫小枚港と、それに広尾、浦河、三石の各漁港。農業関係では、北海道農業試験場畜産部、月寒種羊場及び農業試験場上川支場、このほか空知、上川、根室、網走、釧路、日高、胆振の各支庁並びに北見市、津別町等について管内の総合開発及び地方財政の状況につき説明を求め、また別に、芝浦製糖ビート工場、雪印乳業中標津工場、国策パルプ勇払工場及び富士製鉄室蘭工場を視察するなど、調査は広範多岐にわたったのであります。  以下、右調査の結果を御報告申し上げますれば、まず北海道における経済、財政の状況でありますが、北海道の経済は、一般に後進地域型経済などといわれるほどそうおくれたものではなく、むしろ東北地方の後進県などに比べ、はるかに進んだ段階にあるといえると思います。一般の景気も、昨年後半期以後回復過程に入り、生産、出荷とも増加の傾向を続け、卸売物価は強含み横ばい、消費は都市を中心一般に堅調で、金融面では銀行預金の大幅な伸びが見られるなど、全国経済の動向と同様、景気好転の動きを示しております。  もっとも、こうした景気上昇の反面、石炭鉱業が次第に深刻な事態をかもし、また、沿岸漁業が年々衰退しつつあるといった暗い面もございます。ことに石炭鉱業の不況は、逐次増高する在庫の圧迫とともに、連関産業への波及、大手炭鉱の企業整備、弱小炭鉱の倒産等、今後北海道の経済に及ぼす影響が注目されたことであります。  また、北海道の財政は、昭和二十七年度以降赤字財政を続けていたのでありますが、いわゆる財政の自主的再建に努めた結果、三十二年度末の決算において初めて十二億円余の黒字を出しております。三十三年度決算は、当時まだ確定ではありませんが、年度内に開発公共事業に対する六億円を超える純道費負担額の増加等があったにもかかわらず、七億六千万円程度の剰余金を生ずる見込みとのことでございました。  なお、三十四年度の当初予算は、歳入、歳出とも五百二十八億円余となっておりますが、減税その他給与改訂、教職員標準定数の法定及び公共事業臨時特例法の廃止等の政府による一連の地方税財政制度改正の影響が強いこと、さらに、開発公共事業に対する道負担が年とともに増大したこと等により、年度内に道税の大幅な伸長でもない限り、これらの財源の見通しは楽観を許さないということであります。  次に、北海道の総合開発でありますが、御承知のように、昭和二十七年から第一次五カ年計画が実施され、それは、三十一年度までの五カ年間に、北海道開発庁を通じ約七百七十七億円の国費を投じ、当初計画目標の約六〇%の達成率を示して一応終了したのでありますが、引き続き三十三年度から第二次五カ年計画の実施に入り、ことしはその第二年目に当たっております。  第二次五カ年計画の目標は、北海道における石炭、木材、畜産、テンサイ糖の大幅な生産増強を中心にして、その他の未開発資源の開発を促進するとともに、用地、用水に恵まれた立地条件を生かして、これらの原料を活用する諸工業を積極的に開発振興し、産業の構辻を高度化することに主眼を置きこの点、先の第一次計画が産業基盤の整備に重点があったのに対して、その目標をやや移行したともいえるわけであります。  しかして、この第二次計画を遂行いたしまするには、五カ年間に総額約六千六百億円の資金が必要とされ、また、この計画が達成された暁には、各産業は飛躍的な発展を遂げ、生産所得は昭和三十年度に比し六一%、就業者数は一八%、総人口は一五%というふうに、それぞれ増加することになっております。  なお、本年度の開発事業費総額三百十四億円で、そのうち直轄分が二百三十三億円、補助分八十一億円となっておりますが、これは三十三年度総額に対して六十五億円、三十二年度のそれに比べると九十六億円の増額になっております。  このように、開発事業に対する国の投資は、年々増額されておるわけですが、問題は、それが単に予算の増額配分というのでなく、総合開発という点で、十分実態に即した経済効果の上がる方法において使われておるかどうかということであります。この点については、私ども率直に申して、なお研究の余地ありと感じて参りました。  なおまた、開発公共事業の増大に伴い、地方負担もまた年々膨張いたします結果、そこに地方公共団体の財政上、また住民経済の面においても、困難な状況が生じつつあることも見のがせぬ事柄であります。  この問題につきましては、道の当局から、  一、開発公共事業の国庫負担率を引き上げること。  二、開発公共事業に伴う地方負担額並びに開発付帯経費については、地方財政計画及び地方交付税の基準財政需要領に算入する等の措置をとること。  三、右の措置が完全に行なわれない場合は、開発事業のための地方負担につき、起債発行の特例を認め、公債費について特別の財源措置を行なうこと。 等の強い要望のございましたことをお伝えしておきます。  私どもはまた、第二次五カ年計画中の三大事業の一つといわれる根釧地区機械開墾事業の現場を調査し、いわゆるパイロット・ファームにおいて、現に営農しておる人々の家庭を親しく視察もしたのでありますが、十七坪の住居は、ブロック建のスマートな設計で、台所の設備等に至るまですべて合理的にできておるのに感嘆いたしました。しかも、排水、畜舎、道路等いずれもりっぱに建設されており、各種作物のできばえもみごとなもので、家族の人たちの面持も希望に燃えておりました。きれいに開墾された膨大な土地、そこを縦横に走るりっぱな農道、そしてスマートな農家と、それらを見て回っただけで、私ども、パイロット・ファームの成功を認めざるを得なかったのでありますが、そうした明かるい事実の陰に、この計画以前に入植した人々の、自分たちをどうしてくれるのかといった、暗い、しかも切実な問題のあることを忘れることはできないのであります。これは要するに計画による入植者と、既入植者との間に生じておる助成金、融資額等の    〔委員長退席、理事館哲二君着席〕 条件の相違によって起った問題でありますが、こうした不均衡は、何らかの行政措償と財政措置を講ずることによって、すみやかに解決すべきものと任ずるのであります。  最後に申し上げねばならぬことは、こと北海道総合開発に関する限り、道片並びに北海道開発庁及び札幌通商局の職務、権限が互いに輻湊し、混淆しておるということであります。この現地における三者のばらばらの関係を何とか早く一元化するか、ないしはこの際少くとも連絡調整の完璧を期し得るような措置を講ずることの必要を痛惑いたしました。現状のままでは、真に総合開発の成果を上げるゆえんでないことはもちろん、国費、公費の二重三重の投資になるおそれがあります。この問題につきましては、ぜひとも政府国会も、すみやかに十分な検討を加えていただきたいと存ずる次第であります。  なお、詳細の報告は、文書をもって提出いたしまするから、委員長におかれましては、よろしく会議録に掲載の措置をとられるようお願いをいたしまして、口頭報告を終ります。
  14. 館哲二

    ○理事(館哲二君) 次に、第二班の新潟、秋田班の太田正孝君から御報告を願います。
  15. 太田正孝

    ○太田正孝君 私は報告に先立ちまして、従来の慣例であったかもしれませんが、国務大臣は別として、予算関係政府委員が一名も出ないなどということは、われらの参考にする報告とは言いながら、はなはだ不愉快な感じを抱きます。どうか委員長におきましてそのことをよくお考えになり、当局へ御忠告を仰ぎたいと思うのであります。(「賛成」と呼ぶ者あり)  私は、第二班として新潟、秋田へ参りましたその御報告を申します。    〔理事館哲二君退席、委員長着席〕 一緒に参りましたのは、天田勝正君、村松久義君及び私の三人でございました。日程は、七月三十一日から八月四日まで五日間でありました。すなわち八月一日は、新潟県庁で一般説明を聞きまして、午後佐渡へ行きまして離島振興状況を見ました。二日には、ふたたび新潟へ戻りまして地盤沈下の問題等について関係の方々と懇談をいたしましたあとで、新潟港の臨接工場地帯及び亀田郷等の地盤沈下の地帯について、つぶさにその実情を視察いたしたのでございます。三日は、秋田県庁へ参りまして一般説明を聞き、四日は、八郎潟干拓事業及び石油資源開発株式会社の海底油田の掘さく現場を見ました。さらに帝国石油の八橋油田の現状を視察したのでございます。だいぶくわしいことを調べたのでございますが、おもなる気づいた二、三の点を御参考までに申し上げたいと思います。すなわち、新潟における沈下問題と、新潟、秋田両県における経済、財政の一般的問題と、最後に八郎潟の干拓事業と、三つに分けてお話し申し上げます。  第一点は、いわゆる新潟の地盤沈下の問題でございます。明治三十一年に水準を測量いたしましてから、ごくわずかしか地盤沈下の傾向が見られなかったのでございます。しかるに、昭和三十年に測量いたしてから後というものは、毎年々々、はなはだ著しい沈下をみたのでございます。すなわち、昨年昭和三十三年におきましては、広い範囲にわたりまして、一年間に二十センチ以上沈下いたしました。特に東新潟市の中央部は、四十センチ以上の年間の沈下をみたのでございます。驚くべきことと思います。新潟港内を視察いたしまして、信濃川の水位が非常に高い、従って市内の方が低くなっておりまして、危険な状況にあるということは、われらの非常に目を見はったところでございます。この沈下はどうしてできたか。この六月末に科学技術庁資源調査会のお方々が報告をなすっておるようであります。その中間報告によりますると、主たる原因は、地下水を非常に激しく、かつ大量に揚げたからということになっておるのでございます。県や市の当局といたしましては、これを防止するためにいろいろな策をとったのであります。旧市内の天然ガスをしぼり取るのをやめさすとか、あるいは規制をするとか、ガス配給の切りかえと助成をやるとか、あるいは従来の天然ガスである水溶性ガスの方は、ガス対水の割合いが一対一でございましたが、構造性ガスの方になりますると、ガスと水の割合は一対〇・一、こうなっておるのでありまして、このことこそ、将来における水溶性ガスと構造性ガスとの関係におきまして十分考えるべき点ではないかと思うのでございます。  次に、沈下対策の費用を見ますると、昭和三十年度におきまして応急的に七億七千九百万円使っております。この中に国費は一々区別して申しませんが、三十四年に九億四千九百万円使っております。これをどんなふうに使ったかと申しますと、港湾に三七%、河川に一一%、海岸に二四%、都市関係において二八%の率で工事が行われておるのであります。しかしながら、防潮堤にいたしましても、かさ上げの上にさらにかさ上げしていくというようなふうにして、危険千万な応急措置を講じておるということであります。また、どうしてこういう沈下をしたか、その原因につきましては、われわれもその論義を聞き、かつ、われわれの意見も言ったのでございますが、現実に新潟市は毎日約一ミリずつ沈下しつつあるという事実は、ほんとうに驚くべきことと思うのであります。工事全体の経済性から見ましても、一日も早く、統一した総合的な恒久対策を立てる必要があると思うのでございます。  問題は、市街地だけでなく農業関係、農地についても沈下の驚くべき姿があるのであります。米作地として古い歴史を持っている亀田郷へ参ったのでございますが、亀田郷は約一万町歩、田畑はその大半が標高マイナス三十四センチからプラス六十センチの間にあるのでありまして、昭和十七年に国営による栗の木川排水場を設置いたしたのでございます。それ以来土地改良事業の恒久対策費として二十八億円を入れておるのでございます。しかし、この数年来の急速な農地の地盤が沈下いたしますために、どうにもならない。新たに地盤沈下対策費として二十七億円を計上し、その総額は五十五億円に上っておるという計算になるのであります。これを反当りの事業費にあててみますと九万一千余円でございまして、現在まで施行されたる反当り事業費は四一%にすぎないということになるのでございます。これらの継続事業は、絶対必要額でありまして、すでに地元の負担能力は限界に来ております。これ以上金を出す力はございません。従って、国または県営事業は災害関連予算としての措置などによりまして、高率補助事業とされたいという要望であり、私どももしかるべきことと思ったのであります。  第二点といたしまして、両県、新潟、秋田府県における一般の経済事情を申します。申すまでもなく、これは農業県であります。企業の好、不況によるというよりは、産米の出来高いかんが、一般経済に大きな影響を与えているという実情でございます。金融関係から見ましても、供米代金の流入が最大の資金源であります。季節的傾向が強く、中央における経済規模の拡大は、財政資金の支払い、生産の上昇等によってその影響がようやく現われて、銀行預金、貸し出しも、前年同期に比べ若干の増加を見ている程度であります。市中金融機関の貸し出しのうち、七五%が中小企業に向けられているということを確かめたのでございます。  財政状況でございますが、本年度予算の問題点といたしまして、地方税及び入場税の改正による大幅の税収による減があります。地方財政の再建のための公共事業費にかかわる国庫負担金などの臨時特例に関する法律を廃止することによる国庫補助の減、歳出面におきましては、法令改正による人件費などの増加によりまして支出が非常にふえました。この二、三年来の黒字財政も、再び赤字に転落するという危機に差し迫っておるのであります。特に本年は、国家予算における公共事業費の大幅の伸びがありまして、その財源の捻出に、地方財源の捻出に非常な努力が払われているのでございます。これらの実情にかんがみまして、国の直轄事業に対し、地方負担交付公債の利子の全免または負担割合の引き上げを要すると思われます。また、国庫補助事業費及び国庫補助職員に対する補助単価引き上げも必要だと思うのでございます。  第三点として、八郎潟の干拓事業について申し上げます。東西十二キロ、南北二十七キロにわたる日本第二の湖でございますが、総事業費に百九十五億円をかけまして七カ年計画でやろうというのでございます。八郎潟の面積二万二千ヘクタールのうちで一万七千ヘクタールを干拓するのでございます。非常に大きな事業であります。これによりまして新農地二万四千ヘクタールを作り、自作農の農家四千七百戸を創設しようというのでございます。かようにして地元の増反を加えますというと、年間米にして三十四万石、麦が一万一千石の増産をはかろうというものであります。  この干拓事業に伴う大きな問題は、補償問題でございますが、特に漁業の補償問題でございますが、これにつきましては、漁業関係の補償金、それから漁業用財産等の補償金、漁業関係者に対する見舞金、その他漁業従業者に対する補償そういうもの全部合わせまして十九億四千三百万円となりました。これがうまく手打ちされましてまとまりましたことは、いろいろ関係者の間の協力のたまものであると存じます。非常にけっこうなことと存じます。私どもはこの成功の早からんことを祈りつつ、この報告を終るのでございます。
  16. 小林英三

    委員長小林英三君) 次に、第三班、玉東、和歌山班の杉山昌作君の御報告を願います。
  17. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 第三班は、斎藤昇委員、藤原道子委員及び私の五名で構成されまして、八月二十四日から二十八日までの五日間にわたり、三重、和歌山両県の財政等諸事情に関し現地調査をいたして参りました。  まず、和歌山県の財政について申し上げますと、三十一、三十二両年度決算状況は、単年度ではいずれも黒字決算を行なっておりますが、三十三年度決算は、単年度で約三億円程度の赤字が見込まれております。これは昨年までの不況による歳入減によってもたらされたものと見られ、たとえば、下津港を中心とする石油会社の事業不振のため事業税収入が減収となり、従って、この分だけ単年度決算に穴があく結果となった次第であります。しかしながら、本県の財政を実質収支で見ますと、三十一年度以降引き続き赤字決算を続けており、そのおもなる原因は、二十八年災害復旧のための起債の償還期限を迎えたことによって、年間四億五千万円程度の金額が必要とされるに至ったことであり、このことがとりもなおさず、当県財政を圧迫する特徴的な要因であったもののようであります。さらに、その他の諸公債費を含めた償還額は、本年度において十三億円であり、しかも、三十六年度のピーク時には十五億円を必要とするに至り、県税収入二十億円程度の本県にとっては、かかる公債費の問題は難問題をきわめており、決して楽観できない状況であります。  次に、三毛県の財政について申し上げますと、本県も二十八年の台風十三号によって莫大な被害をこうむり、海岸線の長い本県の場合、災害復旧のための防波堤復旧には多額の費用が必要となり、このことがそれまでの健全財政から二十八年度決算では、八億六千万円余の赤字を出すに至りました。以後県当局も財政再建に努力をし、毎年赤字の解消に努め、三十三年度末には赤字額が三億五千万円と二十八年度当時に比べその額の半減したことを見ても、その赤字克服の効果は見るべきものがありました。  ただ、このように改善されつつある本県財政にも、その構造上の重大な問題点が残っております。すなわち、それは和歌山県同様に公債費による財政の圧迫であります。本県は三十二年度以降九十億円をこえる現債額をかかえ、その上九十億円台を割るのは三十八年度以降の見込みであり、今年度の公債費の元利償還額は十五億六千万円余で、この額は実に県税収入の六割にも当たるものであり、それを差し引いた残余の財源をもってしては、県のしたい仕事は、何一つ実施できないというのが実情であります。そうして、公債費の四分の一は、二十八年災害復旧のための起債であることを見ましても、台風十三号の県財政に及ぼした悪影響は甚大であり、しかも、それは今後数年間にもわたって本県の財政を苦しめる結果を招いております。  われわれの調査いたしました結果は、両県の財政状況が現在も相当苦しく、特に今後も相当公債費の圧迫が避けられず、それゆえこれをいかに切り抜けるかが、両県の財政運営上の重要なポイントになっていると推測されます。以上のような実情から、県当局も財政再建に格段の努力を払い、県税の臨時増徴を初め、定期昇給の繰り延べ等の施策を行なっておりますが、それでも今年度は若干の歳入不足を生ずる危険があるということであります。  県当局の財政再建の努力は当然ながら、不振打開のため地方の立場から、国に対して強い要望がありました。まず、両県の財政当局は、公共事業の実施に伴う財源措置を強く希望しており、補助率引き上げか、ないしは地方債の別途の増額を要望しております。前に申し上げました苦しい財政状況を反映して、本年度公共事業費も国からの内示額を全額消化して事業を行ないたいが、地方負担分の財源調達難のため、三重県では六億五千万円余、和歌山県では三億五千万円程度を返上せざるを得ないというのが現状でありました。  次に、三重、和歌山両県の財政が困窮した原因は、前に申した通り、ともに相次ぐ台風の来襲による災害復旧に伴う財政支出が膨大な額に上ったことによるわけでありますが、第二十八回国会で成立を見た台風常襲地帯における災害防除に関する法律によりますと、災害防除五カ年計画を立案して、これに基づいて災害防除のために、毎年度国の予算経費計上する旨が規定されておりながら、実際のところ、この法律は働いておらず、しかも右両県の場合、単に台風常襲地帯として指定を受けたにとどまり、何ら国からの財政的な援助もなく放置されておるのが実情でありました。かくして相次ぐ台風は、これら常襲地帯の財政、経済を貧困に陥れる主因であり、県当局は、すみやかに本法律の趣旨に沿った施策の実施を強く要望しておりました。  財政関係の終わりに、「地方財政の再建のための国庫負担の臨時特例法」の復活に対する強い要望がありました。本法律の廃止に伴い、従来本法の特例で高率の補助金が国から地方団体に渡されていたのに反し、その分がまるまる県の負担するところとなり、すなわち三重県は約一億円、和歌山県は六千万円ほどの負担増加となり、そしてこのことは、そうでなくても苦しい地方財政を一そう苦しくし、しかも、ききの公共事業費返納の一因ともなっているので、この際、臨特法をぜひ復活してほしいとの両県の強い要望がありました。  次に、両県下の一般経済状況について報告申し上げますと、昨年秋ごろより、ようやく不況の域を脱し、各業種とも生産の拡大基調が強まり、鉱工業生産指数も、逐月最高記録を更新しており、経済は好調な動きを見せておりました。また、生産の拡大を支える需要面を見ますと、内外景気の好転に伴う実需は、急速に増大してきており、特に大衆消費面の堅調を反映して、商店の売り上げは前年を二割方上回る伸びを記録しており、このように生産、流通、消費の各段階ともに、当地経済の順調な拡大傾向がはっきりうかがえました。このような経済活動の活発化は、当地の中小企業にも波及しており、繊維市況の好転を背景とした和歌山県下のメリヤス業界を初め、染物及び織屋も活況を呈し、オート三輪、自動車部品等の機械工業の下請企業は、受注の増大から、フル生産を持続し、さらに増産傾向が見られるという好況でありました。  以上が三重、和歌山両県下の最近の産業経済事情の概要でございます。  なお、われわれは吉野熊野地区総合開発の見地から、同地区における電源開発会社並びに森林開発公団の事業状況並びに日本国有鉄道紀勢線の完成後の実情等を調査いたしました。すなわち、電源開発会社につきましては、十津川水系七源開発計画の一環であるところの椋呂発電所工事予定地を視察し、また、芦廼瀬発電所では、七万五千キロワットの発電を行うための風屋貯水池の工事現場を視察し、工事進行状況等につき、現地において会社当局より詳細にわたって説明を聴取した次第であります。  次に、森林開発公団の事業につきましては、公団当局の案内で、静川、大塔川両線の林道工事を視察いたしました。林道開発は、前者において約七キロ、後者においては約十キロに及び、両線の工事費は、合計一億六千万円余であります。現下の森林資源及び木材需要の現況から、何よりも未利用のまま放置されている奥地の林産資源を十分に活用するとともに、里山で過伐されている森林資源の保全をはかることの急務は申し上げるまでもございませんが、夫利用森林の活用には、何よりも運搬のための道路を必要といたします。この趣旨から、今回視察して参りました静川、大塔川の林道工事の完成は、面積にして用材林二千四百八十二町歩、薪炭林四千二百十九町歩の開発を可能ならしめ、約二百十万石の夫利用森林の活用ができることになる上、さらにこれら林産資源の利用加工等の関連産業への影響も大きく、その経済効果は大きなものがございます。なお、右の林道工事の完成は、今後の林業経営上に与える利便のほか、今まで道路らしい道路もなかった当地域の人々の主要な交通路ともなり得て、当地方の産業、経済の発展にも一役をになうことが期待されております。  最後に、紀南循環の完成を見ました紀勢線は、尾鷲、木木間の三十四キロで、木工事は橋梁、トンネルが多く、すなわち延長三十四キロの七割までがトンネルという悪い地形のために、異常な難工事を重ね、工事費も通常のキロ当たり七千万円程度を二倍強も上回って、一億五千万円余という巨額を投じて本年七月十五日完成した次第であります。本線の全通は、地元の住民にとっては四十年来の宿願といわれ、陸の孤島といわれた当地方の産業、文化の向上に、特に観光事業や森林開発等に果たす本線の役割は、またはかり知れないものがございます。  以上簡単でございますが、報告を終わります。
  18. 小林英三

    委員長小林英三君) 最後に福岡、佐賀、長崎班の館哲二君に御報告を願います。
  19. 館哲二

    ○館哲二君 九州班の視察につきまして御報告申し上げますが、私どもの班は西田委員と私が七月二十五日から一週間、福岡、佐賀、長崎の三県について一般経済事情、地方財政の状況及び公共事業の進捗状況等について調査をいたしたものであります。この間三県の県庁を初めとして、道路公団、関門トンネル管理事務所、北九州財務局、農林省有明及び諌早干拓事業所などにおいて資料の提供を受け、かつ現地の実情について詳細な説明を聞きました。以下その調査のうちの重要な点について御報告を申し上げたいと存じます。  まず北九州における産業事情について申し上げますと、北九州の産業は、石炭を背景として発達してきている点に大きな構造上の特色が見られるのでありますが、その石炭産業が長い間不況にさらされ、体質的にも企業そのものの発展が期待できない状態になってきているために、財政、民生、教育等、あらゆる部面に重大な影響を及ぼしているのであります。  なお、石炭の市況は、需要が出炭を下回っているために、貯炭は依然累増していますが、出炭制限の強化、不良鉱や非能率鉱の買い上げ、貯炭買上機関の活動等、不況対策が計画通りに実施されておりますので、炭況悪化の割合には、比較的平静に推移しておるようではありますが、出炭制限の強化や炭価の値下がりなどによりまして、経営は一段と今後悪化し、業界は好むと好まざるとにかかわらず、企業整備に追い詰められております。労使双方が石炭産業の立て直しのために協力して根本策を講ずることが切に望まれるとともに、当面する失業問題につきましては、適切な方策を緊急に実施すべきであることを痛感いたしたのであります。  その他一般経済の動きは、一般消費、設備投資など旺盛な需要に支えられ、生産は上昇の段階に入っておるのでありますが、産業立地の面から見まして、この地帯は歴史が古く、狭い地域にひしめき合って発展してきた地帯でありますので、現在では道路、港湾、用地、工業用水等にいろいろな面で行きづまりが来たしておる、今後の産業の発展のためには、これらを根本的かつ総合的に整備する必要があると認められたのであります。  道路につきましては、私たちの見てきましたのは、昨年三月に完成した関門トンネルと、北九州道路及び若戸橋でございまして、これらが全部完成されれば、北九州工業地帯の立地条件の改善に大きな寄与をするものであると確信して参った次第であります。  干拓につきましては、佐賀県において有明干拓、長崎県では諌早及び長崎干拓を現地についてつぶさに実情を視察したのであります。詳細は報告を省略いたしますが、長崎大干拓の推進は、九州総合開発の一環としてもきわめて重要な役割を果たすものと思われました。現地からは本計画の早期着工についての熱心な陳情があったことをつけ加えておきます。  次に、水産関係について申し上げますと、重大な点は李ラインの問題で地理的に最も近い長崎県の漁業者の窮状は全く見るに忍びないものがあります。すなわち、漁船を拿捕された漁業者の直接損害はもとより、操業不能あるいは航路迂回等によります間接的な損害は、莫大な額に上っておるようであります。もちろん、この問題の根本的な解決は、日韓両国間の国交上の解決にまたなければなりませんが、差し当たっては、新漁場の開拓、漁業の転換などを基本線として、国内措置の可能な範囲内で救済の方法を講ずることが急務と思われたのであります。これが対策といたしましては、代船建造及び漁業転換を安易にするために、天災融資制度に準じた措置を講ずることや、また、李ライン海域に出漁します小型漁船に受信機設置の助成措置を講ずることなどについての意見が強く述べられておりました。  それから次に地方財政の状況につきまして概略を申し上げますと、三県ともに三十一、二年度においてはせっかく好転していたのでありますが、三十三年度決算では再び後退のきざしを見せてきております。まず三十二年度決算によって三県の財政構造を見ますと、歳出中最も比重の高い人件費の割合は、全国が四五・六%に対しまして、福岡がやや上回っており、佐賀、長崎ではほぼ同程度といったところであり、投資的経費につきましては、全国が二八・二%に対して、福岡、佐賀が同程度、長崎は災害復旧事業費関係で約七%上回っております。公債費につきましては、全国が六・三%に対して、佐賀が九・七%と高くなっており、福岡、長崎は全国平均を下回っております。また、歳入面について見ますと、一般財源の構成比は、全国平均に対しまして各県とも大差はないようでありますが、自主財源の根幹であります税収につきましては、各県それぞれの財政基盤を反映いたしまして、一般財源中佐賀におきましては約三分の一、長崎におきましては二分の一にすぎない。他は交付税に依存をしておる状況であります。さらに問題は、財政の伸長率でありますが、昭和三十年度を一〇〇%とした指数で見ますと、全国が四一・三%に対しまして三県とも主ないし四%低く、特に税収につきましては福岡が同程度のみでありまして、長崎が五%、佐賀においては二〇%も下回っている点に問題があると思うのであります。さきに言いましたように、財政収支は前年に比べまして悪化しておりますが、この原因としては、公債費、人件費、公共事業の地元負担などの義務的経費が伸びた反面に、歳入面におきます自主的財源の伸び悩みがあげられておるのであります。このような状態は、三十四年度においても引き続きまして給与引き上げに伴う人件費の増加、臨時特例法の廃止による地元団体の負担増、また当面しております失業対策のための負担増などが予想されるのに対しまして、歳入面では石炭産業の不況による減収、また税制改正に伴います減収が予想されて財政の見通しにつきましては、暗い状態であります。これに対しましては臨時特例法の廃止にかわるべき財源措置を講ずるとか、交付公債の利子に対する財政援助を講ずるとか、また、再建法によっても救済のできない佐賀県のような特殊団体に対しましては、さらに根本的な財政制度を検討する必要があると思われたのであります。  以上簡単でありますが、御報告申し上げます。
  20. 小林英三

    委員長小林英三君) 以上をもちまして委員派遣報告は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十七分散会