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説明員(
小山進次郎君) 国民年金が実施されることになりましたのを機会に、ただいま先生がおっしゃったように、従来は国家公務員なら国家公務員の
退職年金だけ、あるいは
一般の勤労者であるなら勤労者の年金として
厚生年金を出すというような工合に、やや別々に考えられる傾向があったわけでございますが、この機会にやはり国民の所得保障という観点からもう一回統一的に眺めて見直す必要があるのじゃないか、こういうような
考え方が、特に先生方が強く御主張になり、与党の方でもその
趣旨に同感であり、
政府当局もそういう
考え方であるので、その方の準備を進めて参りましたが、まず最初に手始めといたしまして、現在各種の年金
制度の適用を受けております者で、実際上年金を受けないままでもうその
制度の適用からはずれていくという人が意外に多い、たとえば
厚生年金で申しますならば、女子については大体
最後まで残って老齢年金が受けられる人は一割ぐらいしかない、男子でさえもせいぜい六割五分ぐらい、ことに困ったことには、
最後まで残っておれないという人がどちらかというと気の毒な方で、
最後まで残っておって年金を受けられるという方が
一般に恵まれた人だという実態でもありますので、これは何とか解決しなくちゃいけないということで、まず通算の問題をぜひ解決しよう、国民年金が実施されますというと、少なくとも
日本国民は生産年齢にあります間はどれかの年金
制度の適用を受けておるわけでございますから、
制度がそれぞれ違っておるというのは、それぞれの
事情がありまして、これは
制度の立て方の方がそうなっておるだけでありまして、一生の間にいろいろな職場を変えるということは、むしろ当然あり得ることでございます。そういうことで不利を与えないようにというので、通算をやるという
基本的な方針は、すでに国会でも、
政府の
考え方を岸総理以下関係の
大臣が約束をしておられるわけでありますが、そういうことを実施いたしますために、ことしの六月から、次官会他の決定に基づきまして、関係各省によりまして、通算問題に関する連絡協議会を設けまして、そこで通算問題を解決するための具体的な実施案について検討しております。今日までの状況では、大体
基礎的な検討を終わりまして、特に、何と申しますか、一番大口でありますところの
厚生省と大蔵省と、それから運輸省と、これに自治庁、この四省が幹事になりまして、細目の具体案を作っておるということでございます。十二月の上旬くらいに、一応関係四省による非常に荒い粗案を作ったものを持ち寄って、それをお互いにたたき合ってまとめていく。大体のめどといたしましては、来年の四月ぐらいまでには、この関係四省による具体案をまとめまして、それをもとにして、先ほど申し上げました関係省による正式な協議会で、さらに二ヵ月
程度練り上げる、まとまったら、それに応じた
予算的な
措置なり、あるいは次の年度の法制的な
措置をする、こういうような段取りで進んでおります。
それから二番目の問題は、各年金においてあまり
金額が違い過ぎるというような問題があるわけでございますが、これは一応現在の段階では、にわかに解決できないといたしましても、少なくとも、その
制度によって、在職中に死亡した場合に、ある
制度は一年たてば遺族年金がもらえる、ところが、ある
制度になりますと、最もはなはだしいのは十七年たたないと遺族年金がもらえないというような、非常なアンバランスがございます。傷害年金にもややこれに類似した傾向が現われておりますが、こういうような問題は、何とか関係省で考え合って、努めて国民の福祉を守る上から見て穴のないようにしようじゃないか、これを第二段の仕事として残しておるわけでございます。
それ以上に進みましたいろいろな調整
措置につきましては、ちょうど、これを含めまして、社会保障全体についての総合調整方策をやろうということで、内閣の社会保障
制度審議会に内閣総理
大臣から九月に諮問を発しましたので、この諮問に対する答申案ができますころを見計らって進めよう、大体そういったような進め方で準備が進んでおります。