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衆議院議員(
伊藤よし子君) 私は提案者を代表して日本社会党提出の
昭和三十四年七月及び八月の
水害または同年八月及び九月の
風水害により
被害を受けた生計が困難である者の生活の保障に関する
特別措置法案に関しまして、提案の理由及び
内容のおもな点を御
説明申し上げたいと存じます。
申し上げるまでもなく、去る九月に東海地方を襲って数千名の尊い人命を奪った第十五号台風の
被害は戦後最大のものであり、あらためて台風による
災害の常襲地帯であるわが国の実情というものを深く考えさせられたわけであります。本年七月より九月までの台風及び集中豪雨の
災害は、被災世帯実に四十万をこえ、被災者
総額約二百万に達したわけでありますが、これらの
被害を顧みますと、
災害というものが実は人災であり、しかもその責任のほとんどすべてが国にあることを痛感せざるを得ない
状態であります。われわれは、一日の遅滞なく治山治水、防潮、気象観測、緊急救助
措置等に完全な対策を実施し、今後の
災害絶滅を期さなければなりませんが、それとともに被災者の対策はあらゆる面において万全の対策を実施し、
災害を防止し得なかった国の無責任の償いとしなければならないと考えます。
従来
災害時においてはさまざまな特別立法
措置がなされて参りましたが、その特別立法は公共的
施設の
復旧を主眼とし、生活の保障として民生の安定をはかろうとするものはほとんど見られなかったことは、過去の政治の大きな欠陥であります。今次の
激甚な
災害にあたって被災者の最もなまなましい声は、低地における締め切り排水、山地における交通路開通の問題とともに、これからどうしていくか、政府に何とかしてもらいたいという生活保障の問題であります。
日本社会党はこの意味におきまして、今臨時国会において被災者の援護に関する特別措辞
法案を提案いたしておるのでありますが、本
法案は、これと渾然一体をなすものであります。すなわち被災者援護
法案にいう見舞金、貸付金等の
措置とともに、本
法案によって、被災者の生活の最低限度の底上げを行ない、生活保障の完全を期そうとするわけであります。われわれはわが党提出の被災者援護
法案を本国会に提出して特別立法中最も当を得た重要な
法案であると確信するものであります。しかし被災世帯が扶養家族が非常に多いとか、あるいは当座の生活のつなぎをする資産がほとんどない場合、被災者援護
法案の
措置だけでは必ずしも十分ではありません。このような
状態に対処するものとして現在生活保護法によって、最低生活の維持に関しては国の責任による扶助が行なわれる建前になっておりますが、同法第四条第一項に基づきまして、あらゆる資産、能力を活用するいわゆる保護
補足性のきわめて過酷な原理で貫かれております。従って、
農地の冠水、山林の風倒等によって財産の経済価値が著るしく減少したり、あるいは換金不能の
状態になった場合、たとえ被災世帯が生活困難を来たしても財産があるという理由で保護法の
適用は受けられません。もちろん第四条第三項によりまして急迫時の例外
規定があり、行政運用の幅は広いはずでありますが、現実にはなかなか
適用されないのであります。
また扶養義務者の扶養義務を
規定した同法第四条第二項に関連するものでありますが、たとえば名古屋で被災して生活困難の
状態の人が生活保護を受けたいと申し出ても、東京で兄さんがいる場合は、その人の扶養を受けなければならないことになっております。東京の兄さんが、弟一家の貧困を初めから想像していたら、扶養の義務を果たす準備をしているでしょうが、突然の
災害でそのような
状態に立ち至ったときは、扶養義務を果たす精神的物質的準備がないため、兄一家自体の生活の切りかえが困難でございます。従って、被災者は当分の間実際に扶養を受けることができないにかかわらず、生活保護の扶助も受けられないということになり、その生活は救われません。以上のような生活保護法の欠陥を埋めるために本
法案を提出したわけでありまして、被災者援護
法案と相待って、被災者の生活保障を期したいというのが本
法案提出の理由でございます。
次に、
法案の大綱を御
説明申し上げたいと存じます。第一に、本
法案は、
現行生活保護法とはあくまで別の建前といたしまして、生活の保障という見地からする
特別措置法案といたしたわけでございます。
第二に、生活の保障に関し特別の
措置を講ずる
対象でございますが、これは、
風水害によって
被害を受け、そのため生計困難となった者にとどまらず、
被害地域にあって
災害により生活困難を来たした者も含むことにいたしたのでございます。
第三に、生計困難であるかどうかを判定するに
あたりましては、
水害等によって経済的価値が署しく減少していると認められるものは参酌しない、すなわち
災害により減価した財産を、一時的に財産と見なさないことといたしました。
第四に、保護のための金品支給の水準は、
現行化活保護法によるものを下回らないことといたしました。
第五に、
費用の負担でございますが、保護を受けた者に対して扶養の義務を履行しなければならない者の範囲を、保護を受けた者と同一の世帯に属するその者の配偶者及び一親等の親族に限りました。
第六に、国の負担は、
都道府県または
市町村か前条の
規定により支弁した
費用の百分の九十五に引き上げ、自治体負担を軽減することにいたしました。
最後に、この
措置の期間は、
法律施行後八ヵ月間に限りました。
以上で本
法案の大綱の
説明を終わります。何とぞ、十分な御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。
次に、私は提案者を代表して、日本社会党提出の、
昭和三十四年七月及び八月の
水害又は同年八月及び九月の
風水害による消費化活協同
組合の
協同施設等の
災害復旧に関する
特別措置法案に関しまして、提案の理由及び
内容の主な点を御
説明申し上げるものでございます。
消費生活協同組合の今日の活動
状況をみますと、
組合数千三百、実働
組合における
組合員総数は三百万人に達し、その年間総
事業量は三百五十億円にも上るのでございます。特に最近は、
地域において拡大の傾向にあり、こうした活動が、消費者の生活の安定向上に寄与していることは旧すまでもございません。去る七月、八月、九月の
風水害は、これら
組合の
協同施設等に対して少なからぬ
被害を与えました。この
災害復旧を早急に行なわねばならないことは、今日の
組合活動が消費生活の中に占める意義からして当然でございます。従いまして、すみやかに
災害復旧を行ない、罹災
組合をして
事業の円滑な運営を行なわせるため、この際、
施設の
復旧に必要な
資金について国が貸付
金額のワクを拡大することがぜひ必要であろうと思うのでございます。これが本
法律案を提案する主な理由でございます。
次に、
法案の
内容を簡単に御
説明申し上げます。第一に、この
法律の目的と
対象でございますが、本年七月、八月、九月の
風水害を受けた
地域において
被害を受けた
消費生活協同組合で、生協
資金の貸付に関する
法律の
適用を受けている
協同施設等について、
災害復旧に関し特別の
措置を講ずることといたしました。
第二に、右の
趣旨に沿いまして、
都道府県による協同
施設及び加工、生産
施設への設備
資金貸付
金額に対する国の貸付率を三分の二に引き上げることにいたしました。
第三に、物資供給
施設についても同様に、国の貸付率を三分の二に引き上げることにいたしました。
何とぞ、御審議の上、すみやかに可決下さるようお願い申し上げます。
次に私は、提案者を代表いたしまして、ただいま上程されました
昭和三十四年七月及び八月の
水害又は同年八月及び九月の
風水害により
被害を受けた
公務員等に対する国家
公務員共済組合等の給付の
特例等に関する
法律案につきまして、その提案の理由を申し上げたいと存じます。今回七月、八月、九月の
水害並びに
風水害の
被害は、各位御存じの通り、史上空前とも申すべきものがあり、これによって死亡し、あるいは家財を滅失した国家及び地方公務員並びに公共企業体職員は数多くあり、まことに窮状忍びがたいものがございます。これらの職員諸君は、それぞれ
共済組合の
組合員として、弔慰金、
災害見舞金支給の制度がございますが、今回の
災害の
激甚なことを考えますとき、
現行規定は少額に失する感をまぬかれません。すでに
昭和二十八年災におきましても、
特例を開いて増額をいたしたのでありますから、この際、これらの支給額を特に増額いたしますとともに、これらの
組合の
組合員でない
地方公共団体の職員等に対しましても、
地方公共団体、が弔慰金及び
災害見舞金を支給することにいたす必要があると痛感されますので、本
法案を提案いたした次第でございます。
次にその概要を申し上げます。
まず、国家公務員
共済組合の
組合員もしくはその被扶養者が死亡した場合は、国家公務員
共済組合法によりまして、本人の場合は俸給一ヵ月分となっておりますが二ヵ月分を、被扶養者の場合は同じく半月分となっておりますが一ヵ月を支給いたすことにいたしました。
また、住所もしくは家財については、同法の別表によって、三ヵ月以内において定められておりますが、二十八年災の場合を参考とし、これに加えて、別に運営規則で三ヵ月の範囲内で定めた月数を加えた月数によって
災害見舞金を支給することといたしました。
公共企業体職員
共済組合、
市町村職員
共済組合につきましても、右と同様の主旨において
改正を行ない、罹災者に支給いたすことにいたしました。
地方公共団体の職員であってこれらの
組合の
組合員でない者については、弔慰金については、右と同様一ヵ月または半月分を支給し、
災害見舞金については、従来の経緯並びに
共済組合法の精神から二カ月の範囲内で支給することといたした次第でございます。
しかして、国はこの
組合員でない職員に支給される
災害見舞金並びに弔慰命につきましては、これに要する
費用の二分の一を負担することとし、二十八年災と同様地方財政の負担を軽減することとした次第であります。
なおこの
法律施行前に支給された弔慰金等につきましては、本法の内払いとみなすこととした次第であります。
罹災を受け家財を失いながら、なお
災害復旧に挺身いたしております国家、地方公務員、公共企業体職員諸君の活動は、
災害地において明らかなところでございますが、これら諸君をして後顧の憂いなく活動してもらう一助として本
法案を提出いたしました。何とぞ慎垂御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
次に、提案者を代表して、
昭和三十四年七月及び八月の
水害又は同年八月及び九月の
風水害による病院及び
診療所並びに薬局の
災害の
復旧に関する
特別措置法案の
提案理由を御
説明いたしたいと存じます。
申し上げるまでもなく、本年七月、八月、九月の
風水害による医療
施設等の
災害は甚大をきわめ、早急に
復旧を必要とする病院は約二百五十、
診療所、薬局に至っては無慮数千を数えているのであります。この事態をこのままに放置しておきますならば、
被害地域の住民の医療を確保することが困難になるものと憂慮されます。従いまして、このような医療
施設、薬局に対し、その
風水害によって生じた
災害に必要な
復旧費についての金融
措置につきまして、国が
一定の
特別措置を講ずることがこの際必要であります。
このため本
法案では、第一に、公的医療機関の
災害復旧費に対し、国が三分の二の
補助を行なうことができるものといたしました。
第二に、私的医療機関及び薬局の
災害復旧費につきましても、その
資金の貸付条件を貸付額二百万円以内、利率は年六分五厘以下、その償還期間は据置期間経過後十年以上、据置期間は貸付の日から起算して二年以上といたしたのであります。
簡単でございますが、以上をもちまして
提案理由の
説明を終わることといたします。何とぞ御審議のうえすみやかに御可決あらんことをお願い申しあげます。