○
政府委員(坂村
吉正君)
天災による
被害農林漁業者等に対する
資金の
融通に関する
暫定措置法の一部を改正する
法律案につきまして、先ほど
提案理由の
説明を政務次官から申し上げたのでございますが、これに補足をいたしまして御
説明を申し上げたいと思います。
第一点は、
提案理由の
説明にもございましたように、
天災融資法によりまして融資をいたしますところの
対象は、
被害農業者と、それから
特別被害農業者、こういうことになるわけでございますが、この
被害農業者の減収量及び減収による
損失額に、今までは
畜産物の減収量や
損失額が入っていなかったわけでございます。この
天災融資法は、
昭和二十八災のときには、特別法で大体これと同様な趣旨のものが出ておりましたのでございますが、その際には、この
畜産物の
被害減収量も、減収による
損失額も加えられておりまして、二十八災と同じような趣旨で扱うという一点と、それから、今後におきましてもこういう
災害がありました場合には、
畜産物の
被害というものも当然算入しなければいかぬということが考えられまするので、この点は、
天災融資法の本法を改正いたしまして、そしてこの
畜産物の減収と、それから
損失額を算入する、こういうことを考えましたわけでございます。
それからその第二点は、
資金を
融通いたしまする場合に、御承知のように
天災融資法では
経営資金を貸すという、こういう建前をとっておるのでございます。その
経営資金の
内容といたしましては、
提案理由の
説明にもございましたように、こまかく項目が
法律によってもあげられておるのでございますが、その中に
家畜、
家禽の
購入資金というものが入っていなかったのでございます。もちろん中小
家畜につきましては、一応
経営資金といたしましてこれは考える、こういうことでございまするが、大きな
家畜につきましては、これを
経営資金と見ないでというようなことでございましたので、この点も、今後はどうしても
経営資金として算入する必要があるというふうに考えられまするので、これも本法の改正として
経営資金を考える場合に、
家畜、
家禽の
購入資金を考える、こういう工合に改正をしょう、こういう工合に考えておるわけでございます。また、
経営資金の中に漁船の取得に必要な
資金というものも、現在の
法律では見ていなかったのでございます。これは大きな船につきましては農林漁業金融公庫から融資の道がついておるのでございまするので、
政令できめられますところの小さな漁船、大体現在のところ二トンないし三トンくらい以下の小さな漁船、こういう工合に考えておりますが、その漁船の取得に必要な金につきましても
経営資金として考えよう、こういうことで今度の改正を考えましたわけでございます。この
家畜、
家禽とそれから
小型漁船取得に必要な
資金を
経営資金に見るというこの点は、二十人災の場合にも同じような扱いをいたしておりますわけでございます。
次に、今度の
伊勢湾台風を中心といたしました八月及び九月のこの
災害に対しましてのこの
天災融資の
特例でございますが、これは
一定の
区域、
政令で
定める
都道府県の
区域におきましては、次のような
特例を設けよう、一般の場合には二十万円でございます。これは今までは十五万円でございまして、それから二十八災の場合にもやはりこれは十五万円でございましたが、今度は非常に激甚な
被害がございまするので、限度額を五万円
引き上げまして、二十万円としょう、こういちことを考えておるわけでございます。それからあの地帯が特に、何といいますか、畜産地帯でもございまして、
家畜または
家禽の
被害が非常に多いのでございまするので、今度の
災害の場合におきまして、
家畜または
家禽の
購入あるいはこれの
飼養に必要な
資金を含めて貸し付けられる場合には、限度額を三十万円にしよう、こういうことを考えましたわけでございます。この点は二十八災の場合にも例はございませんので、二十人災のときには、やはりほかのものと同じように十五万円でございました。それから
果樹栽培をおもな
業務とする者に対しまして、
果樹栽培に必要な
資金を含めて貸し付ける、こういう場合におきましては、これは主として苗木の
購入、こういう金になるわけでございまするので、これは二十八災のときには一般と同じように十五万円で扱われておりましたのでございますが、今回は特にこれを三十万円に限度額を
引き上げまして、それと同時に、果樹の場合には非常に
償還期限も普通の場合よりも多くかかると思いますので、今まで
償還期限は最高五年でございまするけれども、これを七年に延長する、こういうことにいたしておりますわけでございます。その中で据置期間を置きまして、そうして果樹の栽培業者の方に支障のないようにしていきたい、こういう工合に考えておるわけでございます。
それから特に今度の場合におきましては畜産専業者が非常に多い地帯でございまして、畜産専業者が非常に大きな
被害を受けた、こういう事例が非常に多いのでございまするので、畜産専業者に対しまして、
家畜または
家禽の
購入または
飼養に必要な
経費として貸し付けられます場合には、これは限度額五十万円にしょう、これも今まで二十八災の場合には前例がなかったわけでございます。それから今度の
災害の場合の一つの特色といたしまして、真珠とかウナギとか、そういう特別な
養殖施設の
被害が相当に大きいのでございまして、これも特に一般よりも限度額を大きくいたしまして、五十万円にしょう、こういうことを考えましたわわけでございます。
一般の運用といたしましては、御承知のように
天災融資法は
被害農業者、
被害者を中心にして考えておるのでございまして、この
天災融資法によりまして
資金の
貸付を受けられますところの者は
被害農業者ということでございます。で、この算定の基礎は
法律にもはっきりしておるのでございまするが、農業者におきましては減収が三割以上で、その者がその業によって得られますところの年間
収入の一割以上の損失があった者、こういう者が
被害農業者ということになりますわけでございます。それから林業者と漁業者の場合には、これはその者がその業によって得られました年収の一割以上の損失か、あるいは
施設の損失が五割以上になる者というものが、これが一般の
被害業者になる、こういうわけでございます。この中から特に
特別被害農業者というものをきめるわけでございますが、
特別被害農業者といいますのは、年間
収入の五割以上の損失がある者、こういう考え方でございまして、それから林業者や漁業者におきましては年間
収入の五割以上の損失か、あるいは
施設の損失が七割以上になる者、こういう者が特別
被害漁業者、あるいは特別
被害林業者、こういうことに相なるわけでございます。この
天災法の運用は、この
特別被害農業者の割合が一般
被害農業者に対しまして一割以上のもの、そういう旧
市町村の全部の
区域あるいは一部の
区域につきまして、そういう地帯を特別
被害区域という
指定を県知事がいたしまして、その
区域に対しましては金利を三分五厘にする、こういう建前になっておるわけでございます。それからその他の
区域に対しましては金利は六分五厘、こういう建前になっておるわけでございます。すでに今回の場合には、七月までの
災害につきましては、この
天災融資法を発動いたしまして、最高限度総額で二十億ということで、各県に対して融資の道を講じておりましたのでございますが、その中途で今回の
伊勢湾台風が起こりましたので、これと合わせまして、現在のところでは総額百三十億という最高融資限度を大体考えておりまして、
法律が可決になりましたあと、至急に県の資料に基づきまして、各県に対する融資のワクを指示いたしまするし、それから特別漁業
被害区域をきめて、そして三分五厘の
区域、あるいは六分五厘の
区域というものをきめまして、できるだけすみやかに運用していきたい、こういち工合に考えております。今までのところは、農林省におきましてもこの
法律を制定いたしまするまでの間といたしましては、農林中金、あるいは信連、あるいは単位農業協同
組合等から、つなぎ融資といたしまして必要な
資金は貸し出しておりまして、これにつきましては、農林省におきましてもできる限りすみやかにつなぎ融資の
措置を講ずるようにしたいということで、特別な通牒もいたしておりますわけでございます。
一応、非常に簡単でございますが、補足的な御
説明を申し上げ、あとまた御質疑によりましてお答え申し上げたいと思います。