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栗山良夫君 ただいま、将来は
工場の
分散設置を考えるべきであろうということをおっしゃったのでありますが、これは
一つの考え方としては私も理解し得るところがたくさんあります。しかしながら、やはり大
工業を
中心にして、
一つの
工場地帯を設定いたします場合には、何と申しましても
臨海工業地帯でなければならぬことは、これは理の当然であります。現にこの
伊勢湾の
愛知県から
四日市にかけての
方面におきましては、われわれが
承知している限りにおいても、一千万ヘクタールに近い
工場埋め立て計画を持っているのであります。ここに
東海製鉄を初め多数の
重工業地帯を
中心にして、
総合工業地帯を作ろうという熱心な
計画が、ただいま着々実行されようとしているわけであります。符に
精密工業のことを私申しましたが、これは
通産大臣は
高野精密をごらんになっている、ところが
高野精密の近所は今度の
海水の
浸水を受けました所と受けない所との
境界線ぐらいの所にあるのであります。そこで危うく助かったのであります。あれがもう少し
南部にあるならば、あの優秀な
スイスの
高級工作機械は全部だめになってしまうところでありました。特に純
精密工業はそういう
工合でありますが、最近の重
工業的な大
企業におきましても、各部分々々を見ますれば、
工作機械は、トンをもってはかるような大きなものも全部精密化しておるのであります。全部オートメーション化しておるわけでありますから、
海水が入れば完全に操作はストップしてしまうのであります。従って、
工場の大小、
工場の
種類等によって精密であるとか精密でないとか言うべきではないと思います。私は、全
産業がやはり精密化しておるのでありますから、そういう
意味では
高潮対策というものを立てなければならぬ。特に
一つの例といたしまして申し上げますというと、あの
工業地帯においても
相当干拓地がやられた、すぐ隣にありまする
海水の中に
埋め立てをして作った
愛知製鋼の
工場は、今度は
災害を受けておりません。これは堤防がしっかりしておりますために全然受けていないのであります。もうあくる日から
操業に入っておる。それからもう
一つの問題は、私の記憶が間違っていれは訂正をいたしますが、少くとも
名古屋の今度の
浸水地帯を見ますというと、
昭和になってから
埋め立てした所は、一応水はかふっておりますが、すぐ引いております。それ以前の
地帯が私は低かったと思うのであります。最も新しい例は、名古廃港の
埠頭方面を初め、ごく最近
中部電力が作りましたあの新
名古屋の
火力発電所のごときは助かったとおっしゃいますが、あれはまだごく最近まで海であったのであります。海であった所を
埋め立てて、将来八十万キロの大
発電所を作ろうというので、
一期工事が終ったところでありますが、それは助かっておる。それはやはり
埋め立ての
計画が、今までよりも非常に大規模でありまして、高く
埋め立てておるからであります。そういう
意味で、これは
通産省の
指導でそうなったのかどうか知りませんが、とにかく
臨海工業地帯を造成するにしても、従来のような観念ではいけないということであります。
半田へ行って非常に奇異な感を受けましたことは、知多半島の、今度八幡が進出をし、中山製鋼が進出するという
半田市におきましては、
半田港の周辺は一メートルちょっと越すくらいの護岸のコンクリートの壁がほとんど全部めぐらしてあります。そうして通路になるところは、
鉄板を入れて、
高潮が来たときには防げるようにしてあります。これは二十八年災のときの貴重な
経験を
土台にして、これだけの高さのもので、万里の長城のような
海岸線にへいを作っておけば
高潮が防げる、こういう目算のもとにやったわけです。ところが今度は、その作ったへいよりも一メートル以上も高く水が越してしまって、何のためにみっともないへいを、金をかけて作ったかという疑問が市民から沸いております。これのごときは、全くその
台風に対する根本的な計算の誤
まりというのか、
研究の誤
まりというのか、
一つの失態であろうと私は思うのです。そういう点を
通商産業省としては根本的に考えてもらわなければならぬ、こういうことであります。そこで、私が今提案をいたしました考え方からして——これはこまかい具体的なものは必要ございませんが——ごく項目的にしても、こういうことであるべきだというような、基本的な
構想は、緊急に
通商産業省としてまとめていただいて、要するに建設省なり運輸省なりに
通産省として物申すという物の申し方をまとめて、当
委員会に私は提出をせられてしかるべきだと思うのでありますが、そういう御
用意が願えるかどうか、これを
大臣に重ねて伺っておきたいと思います。