○
政府委員(
安田善一郎君) 第一に、この
法案の
養鶏振興法ということは、
内容から見て、
養鶏振興法というものに値しないのじゃないだろうか、いかがかということかと思いますが、御
説明申し上げました
ように、
養鶏関係には、なすべきことが多いのですが、まだその第一歩でありますからということでございますが、御
説明しました
ように、主たる内答は、大
家畜におきまする
家畜改良増殖法に匹敵するものでありますから、
櫻井先生の御指摘になりました
通りでございます。ございまするが、
修正案に出ておりまする
養鶏振興審議会の議事
事項、権限に属されました
事項の
ようなことは、
養鶏の総合
施策として、当然行なわねばならないことでございまして、すなわち、
改良増殖のほかに、
合理化でありますとか、生産物の販売規格の問題でありますとか、流通
改善の問題でありますとか、
消費の問題、その他いろいろございまするが、それらも将来
法案を、
制度化を用意して、国が
法律をもちまして強くしいる
ようなことは……、指導
事項も添えまして、この
法案の
改正によりまして、できればけっこうだという気持がございまして、また
養鶏は性質上からいたしまして、御承知の三百何十卵鶏、一年に三百何個も卵を生むという
ようなことが、生産費の
合理化にもなり、増産にもなるというので、非常に
品種の研究が進んでいるだけに、決定的なことでございますので、この優良
品種の
増殖配付を適正にして、
農家を保護して、
標準鶏制度を整えて、標示
制度を作るということは、
養鶏振興の
一つであろうと考えたのでありますが、
修正案によりますれば、
業者の
登録制、
養鶏振興審議会また国及び
都道府県の
助成措置等も
規定されることになりますので、
政府案より一そう
養鶏振興法としてやや体をなしたのじゃないか、しかし、きわめて厳格に申し上げますと、先生の御意見はほんとうにそうだと思います。ただ将来を期して、必慶な場合はその分の追加
改正をするつもりであり、現段階では
振興法でいきたいと思いましたのと、
政府案の第八条に
種鶏孵化業者のみならず、少ないことでありますが、「
養鶏を業とする者の
経営の
改善のために必要な助言及び指導その他
養鶏の
振興のために必要な援助を行う
ように努めるものとする。」としまして、
予算と
政府資金及び
技術指導の駄
鶏淘汰ということは非常に大きなことでありますが、
技術指導
措置、えさの給与
措置を行ないますというと、その根拠は単に
予算、
資金措置等の
行政措置だけでない、
技術指導だけではないということでありますので、
政府案におきましても、第八条を備えることによりまして、
振興法とした方が積極的でいいのではないか、こういう趣旨に出ただけでございます。
第二点の
飼料でございますが、
養鶏は優良な
品種の
増殖、
配付を豊富ならしめるということが一点と、
病気を予防したりすることが第二点、次いで
飼料費のウエートが大きいのでございますので、
飼料対策を十分にするのが第三点、生産物の処理を上手にやることが第四点と思いますが、そのうち
飼料でございますが、
衆議院でもそういう御論議が出ましたけれども、以下申し上げます
ような私の
説明なら、なるほど、まあよかろうということでございました。それは
飼料には別に
飼料需給安定法というのがございまして、
政府が食糧管理特別会計の農産物等勘定、普通にいいます
飼料勘定でございますが、そこで論入
飼料を中心に操作をいたしまして、
需給調整と価格安定を通じて畜産の
経営の安定をはかる
目的の
法律がございます。また
政府が自分で輸入
飼料を買いまして、市場放出したり、特定団体に配給したりいたしまする操作のほかに、
飼料の
需給が著しく逼迫しましたり、価格が苦しく暴騰しましたりした際には、
政府所有にかかりまする小麦につきまして、それから生産されるふすまにつきましては、
政府の売り価、その他売り先の取り扱い価格、販売
方法等について条件を付することができるという非常に強烈な
規定がございます。えさのうち、ふすまが非常なウエートを占めるものでございまして、それには
飼料審議会もございます。
国会議員の代表もお入りになっておるのでございます。そこで、その操作のよろしきを得てやるつもりでございます。試みに最近一年の
飼料行政の
状態を簡潔に申し上げますと
鶏卵は、昭和二十五年から二十九年の間を平均に一〇〇といたしまして、三十四年は、最近におきまして一一一でございます。一割一分だけ指数にいたしまして増です。同じ年次につきまして、ふすまは九五でございます。トウモロコシは七八・五でございます。大豆はヒ八・一でございまして、このほかに魚かす等――やや高いものもございますが、魚かすは国産品でございますので、さらに成鶏用配合
飼料にいたしますれば、これも九五でございます。目下のところ、対前年比といたしましても、去年の同月とことしの同月を比べますというと、ふすまが一割七分値下げから、最近に至りましてもふすまが約一割値下げでございまして、トウモロコシは一割二分、大豆かすは一割三分、
養鶏用の配合
飼料、魚かすの原料が高いから、まあちょっとあれでございますが、九五%、対前年比五分値下げをいたしております。それらの
措置をもちまして、今後も御指導を受けまして、行政庁におきまして遺憾なきを期したいと思っておるのでございます。別の
法律があるのと、運営のよろしきを得て、最近の実績を上げております
ように、今後もなお一そう
改善努力をいたしたいためであるということでございます。
第三点の
品種の法定でございますが、
農林省の
試験場及び畜産局、
国立牧場の知識をもちましては、世界の
品種改良状況、
能力検定の状況から見まして、鶏におきましては、ここに掲げました一から四まで、これは世界共通で、今後も当分は
奨励品種から引き下がることはなかろうと推定をされることでございまして、もし他の方が非常に数が多ければ、あるものは削る
措置を今後
法律で
改正してもよかろうと思うのであります。しかし、掲げた方が明瞭でございまして、奨励の趣旨になるかと考えただけであります。なお、日本独特の改良
品種の五号、六号の
名古屋種、
三河種は、世界的なレベルを持つ第四号までのものに匹敵するものでございまして、まあ丈夫であり、かつ
採卵、採肉用鶏として両方とも適当である。それが掲げてあります。日本におりまする数からいいますと、もう大半のものは、八割は白色レグホーンであるわけであります。残りの二割ないし三割のところに二号以下があるわけであります。そこで、新
品種も今後出るのじゃないか、そのおもな点は日本で比較的まだ進歩しておりません採肉用の鶏のところでございますので、そのものと、
民間の研究あるいは国立、県の
試験場等の今後の研究の結果、試験の結果出て参る
ような、いいものを考えたり、輸入の優良
品種を考えたりしておるのが末号の
農林省の定むる
品種でございます。掲げた方が奨励の趣旨になるし、世界的水準であり、名古屋、
三河種はそれに匹敵して、
農林省は自信があるからということと、当分の間そう変わらない
技術的見通しがたっておるからということでございます。
第四点の人工授精でございますが、第三条の雄、雌
交配の
状態におく場合の
交配の中に、人工授精を含むか、入れた方がいいのじゃないかということを考えておりますが、この場合含んでおらない解釈で進みたいと思います。
規定の
文章を、人工授精は天然の
交配と人工の
交配とともに含むというので解釈してもいいじゃないかというのが
衆議院で討議もされましたが、現段階では、人工授精が可能ならば非常に
普及性もあり、効果もあることと思いますが、まだ何分にも
農林省、県を通じまして試験研究段階でありまして、一部中国地方で
民間で実施を少ししておるところがございますが、試験研究的に
奨励品種とか、他にまぎらわしいものをとめさして弊害をなくすことがございません。また
種卵と
ひなとについて、どれの親の雄、雌の
交配にかかるか、確認の
方法が非常にむずかしいのであります。だから、
法律制度をもちまして、間々臨検検査に行きまして、
標準鶏の雄、雌をいい
飼養管理のもとに、また一定の
交配をし得る条件のもとにおいて作った卵か
ひなであるかをときどきは調べなくちゃいけませんが、その場合に、人工授精以外でありますと相当わかるわけであります。人工授精を行ないますと脱肛が起こりやすいので、この際は将来の手術的研究と
法律的研究の両方を持ちまして、除きたいと思っておるのであります。で、除く解釈で
審議を今までお願いをいたしました。
標準鶏の
表示制度に伴い、非
標準鶏との間に価格差が生じて、かえって
農家の入手高になるのじゃないか、あるいは
標準鶏と非
標準鶏との間に価格のアンバランスが生じないかということでありますが、私どもも今日、日本の
養鶏は平均一
養鶏飼養者が十二羽程度でございますが、全部では五千万羽おりますが、小規模で四百十五万戸の
農家が飼っておられますが、一応の農林統計では年間の一羽の平均
能力は産卵数が百九十三個でございます。世界的水準であることは間違いありませんが、全面的にもっと引き上げの余地が多い。二百二十二個くらいの水準程度までは今後十カ年計画で到達したいと思っておりますが、この際は、現状におきましては、
国立牧場制度、県の
試験場、
種鶏場、
民間の
種鶏業者、
孵化業者を通じまして、
櫻井先生もおっしゃいます
ようなことが生じない見込みであります。なぜかと申しますと、現状も府県ごとにばらばらでありまするが、県条例を出しまして
種鶏検査をしております。その
種鶏検査の条例の中には憲法違反のおそれのあるものも
一つございます。それから検査基準が不統一でございます。しかし、おおむねはこの
標準鶏の
法案を具しました
農林省のこの案と同じであるともいえます。昨年来県庁と打ち合わせまして、この
法案ができますれば、県の憲法違反の
ようなおそれあるところはやめさせる、
標準鶏制度にすること、その
品種もこれにそろえさせることに打ち合わせ済みでありまして、実質差がございません。そういたしますと、業界としまして、業界の
状態等はいわば
農家保護で規制されて、いい
業者と悪い
業者は差はつけられまするけれども、
需給状況におきましては、今後供給の方が増して参りますので、さ
ようなことがない
ようにいたしたいと思います。なお、国、県の優良
品種の卵、
ひなの払い下げ及びその価格につきまして、この
法案について
法律的にこれを配して参ります場合におきまして、十分に指導的監督をしたいと思っております。そうして御心配の向きがない
ように
努力をいたしたいと思います。
第六点の第八条「
養鶏を業とする者」の範囲でございますが、法文の解釈といたしましては、一応
養鶏を
採卵と採肉両方をもちまして、
孵化業者から
ひなを仕入れて
養鶏を
経営する場合には、反復継続して行なうものにつきましては、羽数の大小を問わず「
養鶏を業とする者」の解釈でいきたいと思います。それはただいま申し上げました
ように、日本の一
養鶏農家の
飼養羽数が農林統計では十二羽ということでございますので、十羽
養鶏、五羽
養鶏というものも、との中には援助の対象になり得るということでぜひ行ないたいと思います。しかしながら、
政府案によりましても、
修正案によりましても、どうしても
政府の
補助助成措置と、国、県の
施設からのものによりまする鶏によりまする
助成措置、公庫等の
資金措置等が要りますが、いずれもこの
養鶏等については、共同育成
施設、共同孵卵
施設とか、そうした
生産者の共同
施設を対象に、主としたる対象として助成をして参るというのが行政上
措置しても差しつかえないことだと思いますので、
技術指導、駄
鶏淘汰の指導、えさ給与の指導、その他
施設の設備
改良普及の援助、その他につきまして、共同的な事業に助成することを中心にいきまして、
櫻井先生の御指摘の範囲がこれによると広過ぎるのじゃないかという
ようなことについては、対処いたしていきたいと思います。なお、少なくとも五十羽
養鶏を行なう、特に百羽
養鶏以上は非常に生産費が安くつきます。こういう
調査もついておりますので、五十羽、百羽というところに段階をもちますと、中羽数と申しますか、大羽数の
養鶏を立地条件、経宮条件に合う限りにおきましてはお勧めする
ようにしていきたいと思います。過般の伊勢湾台風の天災融資法や農林業法の業務規程の
改正によりまして、鶏を飼う場合には被災者は五十羽康で飼えるという融資
措置をとりまして、また農林漁業公庫は、従来
孵卵業者や、その他
養鶏施設につきまして融資を受ける考は一人二十万円以下でございます。これを五百万円以下に
改正いたしました。そういうこと等でも御了察を願えると思いますが、適当な限りは、大羽数の生産費の安い
経営を勧めること、以上の
ように共同の事業の助成と大羽数飼育を奨励していくということの二点でやって参りたいと、こういうふうに思っておる次第であります。