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証人(
石橋治郎八君)
政府糸価の十八万円の
堅持措置について、腹のことを逐条申し上げてよろしゅうございますか。
——三十四年の八月二十五日に、
福田農林大臣は、最近の
糸価の
高騰に対し
政府は本
年度の
糸価俵当たり十四万円
——十八万円の
安定帯に
堅持する。このため
臨時措置法の
保有糸のみならず、
安定法のものも売り渡す
用意があると
声明されました。
九月の一日に、
糸価の上値十八万円
堅持のため、
政府保有糸を
取引所の
受け渡し品の
制限規定(
検査後六ヵ月以内のものに限る。)に合わせるため再
検査を
政府の負担において実施し、売り渡す。この
措置によって売り渡された
生糸を
乾繭との
交換のため、
日本輸出生糸保管株式会社に納入することはないと変更されました。
まず、問題はこの辺から起こっておるのでございます、この九月一日から。従いまして、こういうふうに
政府の持っている糸も
取引所の
受け渡し品の
損制で六ヵ月以内のものは
受け渡しできるのでござごいますけれども、古糸、新糸にかかわらず六ヵ月を組過したものは
取引所の
受け渡し品にはならない、こういうふうな
規定がございますために、
政府はいよいよこの
糸価十八万円を
堅持することがむずかしくなりましたので、こういうふうな
規定を設けて古糸で渡すというふうなことをきめた。このときにも、われわれは参りまして、その話をしたのでございまするが、要するに、このときもいつも私と副
理事長及び
仲買人協会の
小島さんは
委員長をしておられまして、
仲買人協会と
取引所とは重大な
関係があり、この
取り組みというのはどちらかと申しますと、
取引所というものは場を貸しているのだ、そうしてそれに対するある一定の口銭をもうって、売買というものは
仲買人協会が売りと買いとにおいて、これを場において成立をしておるのだ、その
責任は
仲買人協会にあるので、こういうような
解釈を私はとっておるのでございますから、常にそういうふうな副
理事長でもあり、
仲買人協会の
委員長でもある
小島さんといつも同道して、そして
田村事務局長とともに、この折衝に
政府当局と当たった次第でございまして、単独で私が交渉に当たったことはございません。そういうことを前提にお含み置きを願いたいと思います。こういうときに、すでに
政府は、もう六万五千俵も糸があるのだ、それにもかかわらず十八万円以上のこの
相場が出るというものは過当な
思惑じゃないか、過当な
思惑があるからそういうことになるのではないか、その過当な
思惑というものをなくするにはどうしたらいいかという
お話がございましたので、私はもし
政府がこの糸をこういう再
検査をしてお
出しになるならば、これは
取引所を通じてこの
政府の
保有生糸をお
出しになるということは非常にけっこうだ、それは各
限月の終わりに来て
政府の糸を
出してもうえば
相場は自然に下がるのだ、十八万円の
ところへ結局、来るのだというようなことを申し上げたことを覚えております。そういう
ところからして
政府の方ではこういうふうな通牒を私の方へよこされたものと考えております。
九月十七日、
生糸取引所における
清算受け渡しに供する為の
生糸売り渡し要綱によって
政府は
取引所の
受け渡し品を毎月
用意し
申し込みに応じて
売り渡しその期間は九月二十五日から明年五月三十一日までとするとした。
これは御承知の
通り、そういうふうに申し上げておきました
ところ、向こらから九月の十七日にこういうふうな
受け渡しをするための
生糸の
売り渡し要綱というものをきめたから出てこいということで、ここへ行って伺ってこの話をしたのは、要するに、この九月限から来年の五月三十一日までの
時限契約としてそして
受け渡しの毎月二十五日ですか、二十五日か二十六日
——二十七日の場合もございますが、そのときの
最終においての
受け渡しの
不足品があったならばこれは
用意してあるから申し込んでこい、それに対しては
政府はその
責任において
生糸を渡してやるというふうなことにしたのだから大体そういうふうに考えてくれ、こういう話かあったのでございます。九月の二十八日にこういう
声明をされた。
保管会社における
乾繭と
生糸との交奥契約は、
契約者の
申し込みに応じて
契約保証金の差しかえを認める。また需給を緩和する目的で
検査日より六ヵ月を経過したもの、また、
政府または
保管会社から
売り渡したものも認めると改正した。また、
保管会社は
交換生糸を
清算受け渡しに供することができなかったのを出来るようにした。
こういうようなことで
保管会社が買った糸というものは、もうこれは出せないことになったのは、この糸に対しても
受け渡しの
供用ができるということに発表をされたのでございます。
なお、十月の八日に、従来
売り渡している
生糸のほかに
繭糸価格安定法の
規定により買い入れたものも買いかえということで一キロ三千円で売り渡すこととした。十月八日に
声明をされたのでございます。
十月十四日に
蚕糸局長声明として
一、最近
生糸の
清算相場が
投機性を濃くし、
市場の先高不安を助長していることにかんがみ、次の
措置を講じて価格安定に万全を期するものとする。
(一)
清算相場の
思惑高を防止するため必要がある場合には、
取引所の
受け渡し供用品の
範囲拡大の
措置をとらしめることがあるものとする。
(二) 当月限について
受け渡し品の
確保をはかるため、
政府生糸の
売り渡し措置を実施しているが、
先限、各
限月についても
受け渡し生糸を
確保する
措置を講ずる。
二、
政府所有玉糸のうち
買い入れ適格外のものについて、毎月
整理売却を行なう。
こういうふうなことを十月十四日に
蚕糸局長が
声明をされております。
それから十月十九日、
糸価高騰について各
仲買人の委託の内容について調書の
提出を求められ、現在週一回
提出しております。
これはこういうふうなことで、この一番の話を申し上げますと、私は前に申し上げましたように、
清算を通じてやれば相当の
保証金を積んでみなそのバイカイをやっているのだから、なかなかこれでまた
清算の買い方というものはほとんどが
輸絹業者、つまり、
ほんとうの機屋とか、そういう人がほとんど買いに回って、そうして
長期に米国へ
絹紡物を売っている
関係上、
長期にわたって
生糸を保険的に付けてとる次第でございますから、これを通じて
売り渡しになれば
ほんとうの
需要家の
ところにこの品物が入ってよろしいのじゃないかということを申し上げた結果が、こういう結果になったのでございますが、そのときにも
局長に対して、
横浜の
取り組みというものは一万一千俵でございました。それから
神戸が三千二、三百俵だったと思います。それですから、双方加えて一万五千俵ぐらいあればこれが現在じりで解け合いをするならばいいけれども、今後このまま継続していくとすれば一万五千俵の糸では足りない、少なくとも新規のものが出て
最終の結果はわからないけれども、
最高限度はまあ
横浜が一万五千俵、
神戸を五千俵ぐらいの
限度においてお考えを願わなければこの十八万円の
堅持はできない。こういうふうに
お話を申し上げておった次第でございます。
ところが、今度十月二十一日に
蚕糸局長は
横神の
代表者を呼び、そのとき出ましたのは
三木さんと私とそれから
小島さんとそれから
田村事務局長と四人出たのですが、このときにおられたのは
局長と
筒井課長と
小山事務官、そのほかに
清算の
関係者の折原さんに、主任の方は何といいましたか、ちょっと今名前を忘れましたが、その
清算の
担当者外一名と、大体そういうふうに
関係業者はみなそろっておられたわけであります。そのときに、
局長からこういうふうな
受け渡しについてわれわれは
声明をしているのだ、
声明をしているにもかかわらず、まだ
相場が高いということは困る、そういうことでは
取引所はもう閉鎖したらどうか、閉鎖するぞというふうなきついお達しがあったのでございます。しかしながら、閉鎖することがきわめて重大であるならば、
供用品の現在の二格を
開所当時の八格に拡大して、これを即時実施してやるか、まあ
二者択一のことで無効を申し渡しました。それでわしらはそのときにも申し上げました。既往にさかのぼっての
取引をここで変更するということはできない、だから、新甫八格からそれを行なうということならばこれは差しつかえない、しかし、今まで取り組んだものをここで変更するということは非常に困って、
取引所自体としてはできない。しかし、
政府の達しで、
命令で、このわれわれの規約の改正をせいというふうな御
命令があるならば、これはいたし方ない。だから、その定款の変更を
総会においてやるならばやれ、やるならばそれは認める、しかし、それをやられなかったならば
局長は閉鎖すると、こういうふうなことで、このため
取引所はどうしても閉鎖するかしないか、
供用品の八格を拡大するかというふうなことで非常に心配をいたしましたが、一応帰ってよく
相談をいたすということで、二十一日に帰ってその
理事会を開き、そうして二十三日に
総会をいたしたのであります。その
総会の
議事録を
参考のために
一つ私持っておりますからちょっと読ましていただきたいと思います。「第一
号議案、
政府の
指示する
受渡供用範囲拡大諾否に関する件、
議長は去る八月下旬の
農相声明以来の
政府の
今生糸年度十四万乃至十八万円の
堅持方針によって、これまで種々実施された
高値抑制措置は遂に
市場を閉鎖するか、それとも
政府の
方針に従って行くかの重大な返答をせまられる事になった。この間数次に亘って
取引所の立場を説明し、又
理事会にも諮って
理事諸公の
意見も伺ってこの
局面打開に努力したが、遂に
当局の了解が得られず、去る十月二十一日には正副
理事長、
田村事務局長並びに
神戸の
三木理事長と共に
蚕糸局長より
出頭を求められて(1)
政府の十八万円
堅持の妨げとなるから
本所の
市場を商取法第百二千一条により
立会停止を命ずる
用意がある、(2)若し
立会を継続したければ十月十四日の
蚕糸局長声明の
指示に従い、
受渡供用品を
開所当時の八格に拡大して
立会を行われたいという二つに
一つの強い
指示をうけることになったので、当日はそれでは吾々だけでは即答致しかねるので
会員の
意見をきいて御回答申し上げると言うことにして引下って来た、直ちに
理事会も致しましたが、尚非常に重大なことであるので今日ここに
議案の
通りお諮りする次第であり
皆さんの忌憚のない
意見を伺いたいと述べられた。
議事に入る前に
田村事務局長より次の様に
政府の
指示についての説明があった。この
総会に先立ち
蚕糸局に
電話をもって
是非臨席の上色々と
お話を願いたいと御依頼申上げたが
皆さん都合がどうしてもつかないので参上したいが出来ないとの御返事であった。」