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政府委員(
滝本忠男君) 非常に問題が多かったので、あるいは落とすかもしれませんから、もしその場合は御注意をいただきたいと思います。
まず、最初の問題でございまするが、医療職、研究職の場合は、非常に大きな
事業場を
対象とし、相当高
学歴のものを
対象とする。それに対して行政職は五十人以上の
事業場からずっと大きいところまでやるわけでありますが、その中にまた
学歴別にもいろいろなものがある。そういうことがあって、この両者の
較差が非常に大きいのじゃないかということでございます。これはもちろんこの
給与というものが
事業場の
規模によりまして相当の違いがあるという事実もございます。しかしまた、
給与は
職種別にある一定の水準を持つということもあるのであります。で、
鶴園委員の御主張は、
給与というものは
規模別にのみ
較差があるのだというふうな御見解で御
意見を述べておられるのでありますけれども、われわれは
給与の違いまする原因というものは、いろいろあるのじゃなかろうか、これは今後の研究課題として十分研究しなければならぬというように思っております。で、行政職におきましてはさいぜんから繰り返し申し上げておりますように、低
学歴のものと高
学歴のものをごっちゃにいたしましてそうして結びつけて
給与を比較するということはやっていないのであります。これは
民間においてと公務においてと
学歴の高下によりまして、その分布が違うのでありまするけれども、それを考慮して両者を合わしたような標準的な形に直したような
状況において比較いたすということをやっているのでありますから、そのようなことはないということを、もう一度つけ加えて申さしていただきます。
それから従来、ラスパイレス、パーシェ、あるいはフィッシャー、いろいろやっておるではないかという
お話でございます。場合によりましていろいろのことをやっておったのであります。今回ラスパイレスを用いました理由というものは、今回の
調査というものが
調査表の数にいたしまして非常に数が多かった。三十万ぐらいあったのであります。それで限られた
期間にそれだけの
数字をこなしますためには、いろいろな
調査方法、集計
方法でこれをやるということは不可能であった。で、考えてみまするのに、ラスパイレスというものは、公務の場合においてものを比較して考える、たとえば公務を一〇〇とした場合に、
民間がどれだけ高いかという形で表わした。従ってこれは公務をどれだけ上げるということにいたしますれば、それだけ
民間に近づくという感じがはっきり出て参る。公務を中心に考えるわけでありまするし、それから結局は
俸給表を直すという問題にいたしましても、公務を中心に考えることでございまするので、ラスパイレスを使うということはこれは非常に理屈が通っているのじゃないか、この場合におきましては。そういうようなわけで、今回はラスパイレスを使ったのであります。ラスパイレスしか計算はしていないのであります。これはやればいいじゃないかということもございまするけれども、膨大な計算でございまして、なかなか
人員も予算もないのでございます、現在の状態におきましては。われわれの現在の状態において計算もしてございませんし、不可能である。このように申し上げざるを得ないのであります。
それから生計費の問題に移りまするが、まず六大都市の全世帯というものを使って、勤労者を使っていないというようなこと、その
通りでございまするが、生計費を考えまする場合には、これは一般国民の消費の状態というものを目標にして考えるということは、これは当然であろうと思うのであります。その場合におきましても、なお勤労者のみを問題にするということも、これは理屈はあるかもしれませんが、また全世帯、すなわち消費者の全体を問題にするということも、これはまた理屈のあるところであります。また、総理府統計局の
調査におきましては、やはりその
調査対象として、いろいろな不適格といいますか、標準的でないような世帯はこれを排除してございまするので、全世帯といいましても、これはよほど
調査し得る能力もある、生活状態も大体においてノルマルである。病人をかかえておるとか、あるいは失業者がおるとかいうようなことはないのであります。そういう全世帯をわれわれ一応の目標にしておるということで、これは
意味のあることであるというように考えております。
なお、並数をとるのはけしからぬじゃないか、これは当然平均をとるべきである、算術平均ないしは加重平均をとるべきではなかろうか、これは御議論のあるところでありまするが、こういう世帯の生計の状態を見てみますると、これはいわゆる統計用語でいいまする標準型でないのでありまして、これは下の方に片寄った形になっておるのであります。従いまして、いわゆる平均をとりますと、それが全世帯の中において大部分をカバーいたしまするような場所でないのであります。従いまして、われわれとしてはこの並数というものをとっておる。で、なぜ並数平均ということにこだわるかということでありまするが、この生計費ということを考えまする場合には、やはり多少でも保障的、保障していこうというような考えが根底にあるわけでございます。そのときに、この全世帯の中で比較的高い層にありまする、平均をとるよりも、並数をとる方が理屈があるのではなかろうかとわれわれは考えております。
それからなぜ単身者をとるか、
公務員の平均
年令は相当高いのに、そういうところをとるのは問題にならぬのじゃないか、これは御
指摘のような見解も確かにあろうかと存じます。ただ、われわれがやっておりますのは、いわゆるほんとうの
意味の保障、最低生活を保障するという
意味におきましてこの生計費を問題にしておるのではないのでございまして、標準生計費ということで考えております。また、この生計費というものは、人の
状況によりましていろいろ違ってくる。たとえば、ある人は妻帯してもこどもができないという場合もありましょうし、また独身で通す方もあるかもしれませんし、また、家族構成が多い場合、少ない場合、いろいろあるわけで、そういうことをいろいろ勘案いたしました場合に、現在、これは
人事院が従来から考えておったことでありまするが、まず人生の出発点でありまする十八才者のところにおきまして、独身男子の生計費というものを考える、こういうことで
人事院は従来からやっている、それ以上に出ておりません。また、それを将来にわたって二人世帯、三人世帯というものの生計費を問題にする、それを
俸給表に結びつけて考えるということが、理屈としては考えられるのでございまするけれども、現在
人事院がやっておりますることは、生計費を
給与の上で考えるということは、独身青年男子の生計費を、まずは新制高等学校の初任給辺とおおむね見合わすという
程度のことをやっておるのでございます。