○辻政信君 たとえば少し飛躍したかもしれませんが、あなたはその
責任者だということを申し上げている。あなた以外に、
岸総理以外にだれが決定するか。私はこの問題の解決にただ
一つの逃げ道があると思う。逃げ道と言っちゃおかしいが、
ロッキードというのは、最初は、安く言っておいてきまったらどんどんつり上げていくやつです。代表的な世界の悪徳商人です、おそらく……。ほんとうにそうです。ドイツが一ぱいやられているのですよ、もうきれいに出ております、今までの動きから見て……。しかもあの月にロケットが当たるような
時代に、これは使い物にならなくなる、五年間に……。そういうことの見通しがむずかしくない状況ならば、この問題解決は、これからあなた方が
ロッキードと折衝されて、そうして前の約束を破ったときに、けしからぬ、破約せい、この道が残されております。これは商売の道でありましょう。最初の約束が違ったら、破約することは、国際間においても成り立つのじゃないですか。それをずるずると向こうに引きずり回されて、どんどん値段を上げられる。あなたの
答弁で気に食わぬのは、百万ドル以上と言うのが気に食わない。百万ドル以上と習えば、二百万ドルもそうなんです。百万ドル以下と言うならわかるでしょう。そういうルーズな言い方で、百万ドル以上と言うところに、百五十、百七十、二百までいくのです。
ロッキードというのはそういうやつなんです。私は知りません、実績が示している。だから、この際、
国民の声をほんとうに聞いて、もし
ロッキードが最初の値段を破った場合には、これは国際的な破約行為である、はっきり今までの契約というものを
白紙に返して、そのときこそ開き直って、もう一度科学の進歩を頭に入れて
防衛計画を練り直して、そうして、これよりもGMの
開発に頭を切りかえていきなさい。それよりももっと大事なことは、名古魔の災害、東京湾の対策、これに一千億の金をぶち込んで、ほんとうに民生の安定をする。そうすれば、どんなに手をかえ品をかえてのソ連の攻勢などもおそれるものではない。政界には、どこをつついても汚職がない、そのにおいさえないというところに、岸政権は安泰なんです。今のような岸政権では、絶対に続かない。きょうは私は岸さんを呼んできてやろうと思ったが、亭主が出ないから女房がかわりにしかられているような格好で、あなたに同情をするが、岸さんの信任の厚いあなたです。もう一度私の言うことを感情にとらわれないで、あなたは旧軍人じゃないのですから、旧軍人のような狭い
考えでこの
防衛を指導されてはいけません。政治優位というのは、あなたのようなまじめな、あなたのようなセンスの新しい、とらわれない人が旧軍人の間違いをたたき直していくところに、ほんとうに政治優位の原則が生かされていく。私は今度のこの問題について突き詰めていくと、ユニホームに
責任があると思う、極端に言えば。狭いそういう軍人の観点のみで、世界の動きを見ない。国の政治を
考えない。そのあるいは
内局の連中が
加藤君を除いて、へっぴり腰で、何とか首を伸ばそうとい
うそのいくじのない態度だ。これで国の運命を誤っちゃいけませんよ。
あなたは最近二つのことをやっておられる。
赤城さんに似合わぬ二つのことをやっておられる。その
一つはサイドワィンダーの持ち込みです。なぜ堂々とやれませんか、反対を押し切って。正しいと思うなら。それを人の目をごまかして、裏をかくように
アメリカの基地へこっそり運んできた。あざやかに一ぱい食わした。第二には、わずかに五時間でこの一千億もの買いものを決定した。
内定じゃない。この二つは、だれにもできなかった芸当です。
赤城さんがやられて、私はあっとしたのですよ、ほんとうに。あなたのような人がこんなばかなことをするはずがない。正々堂々と、くだらぬ手段は用いずにやるだろう、こう思っておったのです。それができておらない。こういうことをして、ペテンにかけることはできます、小手先で。しかしそれでペテンにかけられた
国民が怒った場合に、
日本の
防衛はどうなりますか。ほんとうに
国民が納得をして
国民の心とつながる
防衛でなければ、まさかのときに何の
防衛になる。鉄砲の砲がどこに向くと思っておるか。それを
考えてもらいたい。正々堂々と、反対者があったならば納得させて、疑問があったならばそれを説いて、なぜこの重大な問題にあなたのほんとうの人格を遺憾なく発揮なさろうとしないか。実は少々がっかりした次第です。極端に言えば裏切られた。こういう感じを抱いたんだが、
うそつきの天才の岸さん、その岸さんと机を並べておると
赤城さんまでもの狂いになったか。こういう感じを抱いたんだ。これはあなたを信頼しておった辻個人のみではないですよ。(
矢嶋三義君「
矢嶋もだ」と呼ぶ)
国民の大多数が
赤城さんに期待をしておった。その
赤城さんが岸さんと同じように泥沼に入ったかという感じを
国民に与えた。これが惜しい。
答弁は求めません、時間がありませんから。
総理に対する
質問は他日に譲ってきょうはこれで終わっておきます。