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1959-12-10 第33回国会 参議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月十日(木曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     柴田  栄君    理事            鈴木 恭一君            手島  栄君            松平 勇雄君            森中 守義君    委員            黒川 武雄君            野田 俊作君            最上 英子君            谷村 貞治君            鈴木  強君            野上  元君            山田 節男君            牛田  寛君            須藤 五郎君   国務大臣    郵 政 大 臣 植竹 春彦君   政府委員    通商産業政務次    官       内田 常雄君    郵政政務次官  佐藤虎次郎君    郵政大臣官房文    書課長     畠山 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    日本電信電話公    社総裁     大橋 八郎君    日本電信電話公    社副総裁    横田 信夫君    日本電信電話公    社保全局長   黒川 広二君   参考人    アジア通信協力    会理事長    近藤 儀一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並  びに電波に関する調査の件  (電気通信関係の諸問題に関する  件)    —————・—————
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまより開会いたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  本日は、主として電気通信関係の諸問題について、御質疑のある方は御発言を願いたいと存じます。
  3. 鈴木強

    鈴木強君 本日は、アジア通信協力会の近勝理事長に、お忙しい中をおいでいただきまして、厚く感謝を申し上げます。当委員会として、従来しばしばわが国の国際通信政策あり方について、郵政当局意見をただして参ったのでありますが、この点についてはまだ郵政大臣から、その基本的な政策あり方についても御意見を発表されることになっておりますが、今日までなさっておりません。きょうは幸い佐藤政務次官もおいでいただいておりますが、ちょうど大臣がITUの会議に御出席で、この委員会においでにならなかったときも、この問題についてかなり論争いたしましたが、佐藤政務次官の方から、たって大臣も御不在であるし、事は重大であるので、政府方針についての御答弁は保留していただきたい、こういうことで、私も了承して今日に至っておるわけであります。  私の意見としては、どうも日本国際電気通信政策に対する政府基本方針がない。御承知通り国際電信電話事業が民営に移行しておりまするが、どうかするとオペレーションについてはKDDにほとんどまかせっきりで、先般の太平洋同軸海底ケーブルの敷設に対する政府考え方、さらには国際的に行き詰まりつつある周波数のこの隘路を打開して、さらに今後飛躍的に国際通信政策をどう持っていくか、こういう点がオペレーションの方から見ると指摘されますし、なおかつ、日本電気通信機器については、御承知通り各国に比べてこれは遜色がない、そういう飛躍的な発展を見ておるわけでございまして、これらの通信機器をいかに国外に輸出をし、その面から国の伸張をはかるか、こういうことも、通産省を含めて国策としてこうあるべきだ、こういう実は方針がないわけであります。従って、これらの一元的に統轄をして、政府が積極的に今や振興政策考える時期にあると、私は判断をしておるわけでありますが、残念ながらそういう点がございません。  そういう中で、先般アジア通信協力会というものが設立を見たわけでありますが、私は、きょうは一つ参考人の方も午後から所用があるそうでありますから、政府答弁は一応あとにいたしまして、まず最初近藤参考人お尋ねをいたしたいのは、先般のアジア通信協力会がどういう御趣旨で設立になられたのか、これらの点について見識のある方でありますから、その御造詣を一つ承っておきたい、そう思いまして、最初にこの点をお伺いしたいと思います。
  4. 近藤儀一

    参考人近藤儀一君) 私、近藤でございます。ただいまの鈴木委員の御質問アジア通信協力会の創設までのいきさつを、まず申し上げます。  御承知のように、日本が敗戦によりまして、領土は半分になりますし、人口は多い、しかも資源が少ない。われわれは何とかして、平和のうちに、しかも後進国諸国共存共栄の実をあげるために、われわれ逓信人といたしましては、通信を通じてそういう効果をあげたい、こういう念願で、終戦以来、いろいろの同志と話し合って参りました。昨年、私病気をいたしましたが、病気後、その人々、今顧問になっておられる方々としばしば会合を催しまして、政府関係方々、民間の方々といろいろの御相談を申し上げまして、今列国が後進国に対しまして非常な浸透を試みている、隣に火がついている。このままいったのでは、日本が強国に橋頭堡を取られてしまって、通信の面でこれに入るということがなかなかむずかしい。一刻も早くこれに対処せねばならぬ、こういう考えで、何とかせねばいかぬ。そこで、ではどういう形でやるべきかというふうなこともございまして、通信の最高の、最大の機関公社でありますが、公社は、公社法の制限もありまして、必ずしも万全を期せない。しかも、海外に関する問題につきましては通産省関係がございますし、外務省関係がございます。そこで、各国の例を見ますと、挙国的体制できておりますが、表向きは、国家機関が出ておらない。各国とも肌ざわりのいい機関、しかも官僚的と申しますか、ビジネスライクでないような機関、形態をもって、進出しておる状況にかんがみまして、日本といたしましても、そういう形において、相手国日本技術日本施設というものを協力して、そうして共存共栄の実をはかろう、こういうことで社団法人を作ろうということになったわけであります。当時、集まって、しばしば会合をいたしました顔ぶれを申し上げますと、松村謙三氏、賀屋興宣氏、御手洗辰雄氏、太田耕造氏、三浦義一氏、それから、公社総裁大橋八郎氏、前の総裁梶井剛氏と、私と、こういう顔ぶれのものでしばしば会合したわけであります。その結果、だんだん準備が整いまして、本年の四月一日に創立総会を開いて、発足したわけでございます。直ちに公益法人としての認可を、主務官庁である郵政大臣及び通産大臣にお願いをいたしまして、九月二十二日に、許可の指令をいただいたわけでございます。  創立までのいきさつを申し上げますると、以上の通りでございます。
  5. 鈴木強

    鈴木強君 そこで、内田政務次官お尋ねをいたしますが、これは、郵政大臣からもお答えいただきたいと思うのですが、お話しのように、日本電気通信機器輸出あるいは技術援助、こういう観点から、国が、私は本来その窓口を開き、積極的にその施策を推進していくというのが常道だと私は考えるわけです。お話の中にも、各国肌ざわりのいいアジア通信協力会と同じよらな性格のものだと思うわけでありますが、そういう格好でおやりになっている。これは一つの国際的な動きとしてわかりますが、特に日本は、今お話しがありましたように、人口が過剰であるし、優秀な産業として嘱望されている機器等が、大いに諸外国に出ていくということは、これは国民の期待するところであります。私たちは、その点はもっと積極的に、政府がその施策を拡充すべきではないか。後ほどまたお尋ねいたしますが、この性格自体も、私非常に、将来の運営の中で危惧している点もございますから、それはまた別に申し上げますが、このアジア通信協力会ができましても、陣容役員、会員等拝見いたしますと、かなりそうそうたるメンバーが加わっておりますが、はたしてこのアジア通信協力会が、合申されたような設立目的を完全に遂行するためには、陣容の面、技術の両あるいは財政的な面、こういう面をいろいろ考えますときに、はたしてそういう所期の目的が達成できるかどうか。現に、御承知通りこういったような組織はございまして、電気通信プラント懇談会というものがあるわけであります。こういうものも、当初は同じような目的設立をされておるわけでありますが、その設立に参画をし、努力をしてきた方々が、またここでアジア通信協力会の中に入ってきておる。こういうふうなことも考え合わせるときに、非常に私はそのスタートにおいてあやまちを犯したのじゃないかという気もするのです。このスタートというのは、目的はけっこうでありますが、その裏づけになる、今後ほんとうにやれる態勢というものがあまりはっきりしておらない。極端に言うと商事会社的なものになってしまうのじゃないかという危険性も内蔵していると思うわけであります。将来このアジア協力会が多数のメーカー連中相手にしてその調整弁的な役割を果たしつつ海外進出協力していく、こういうことになると思うわけでありますが、はたしてそれがほんとうにうまくいきますかどうですか、そういった点もわれわれは非常に危惧をするものの一人であります。ですから、こういう国策的な立場に立つものでありますから、私はもっと通産なり郵政なり、政府全体としてもっと真剣な国策的な政策を打ち出すことが大事ではないか、こう思うわけであります。これらの点について、認可を与えた通産大臣郵政大臣等は、この発足が伝えられて、申請があったときに、今私の申し上げたような国策としてこれはもっと筋金を入れてやるべきだ、そういう御判断をお持ちになったかどうか。持ったがやむを得ずこういう形のものでスタートせざるを得なかったというならば、将来に向かってもっと本質的なものをお考えになる気持はないのかどうか、こういう点を率直に承っておきたいと思うわけであります。
  6. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 鈴木さんから御激励をいただいたような形でありますが、御承知のように電気通信関係は、個々のメーカーが組み立て機械一つずつで海外進出しようとしましても、これは電気通信機械そのものが総合的なものでありますために、なかなかメーカーだけが連合して進出するということではその目的は達し得られません。これは許されるならば、海外に信用のありますところの電電公社とかあるいは日本放送協会というものがそういう機能を持って、海外のコンサルタントに応じたり、あるいはまた国内のメーカーを引き辿れていろいろの仕事をやるという建前考えられるかもしれませんが、しかし私は、電電公社なり放送協会なりというものが今日の体制のままで、これは大きな国の力や組織を背景といたしておるものではありますが、その体制のままで出ていくことは必ずしも適当でない。そこで鈴木さんは御承知のように、これはだいぶ以前から、正確にはできましたのは昭和三十年でありますが、別に総合的なプラント輸出コンサルティングというものをやっております日本プラント協会というものがあります。しかしこれは総合的なコンサルティングでありまして、通信機だけの専門的なものではありません。日本プラント輸出の最近の動きを見ておりますと、これはプラント輸出全体が、口ではいろいろ言いますけれども、その数字は必ずしも多きに上っておらない。年々せいぜい六億か七億程度、むしろ最近は減っております。というのは、その主要部分船舶のようなものでありまして、これも一種プラントということでありますが、船舶などが減ってきましたために、プラント輸出全体の数字は減ってきておりますが、中身を検討いたして参りますと、今問題になっております通信施設設備などというものは、やり方によりましては大きな市場をアジアに持っておるというような状況でありますので、おそらく、この設立計画をなされた方々は、この部面を強化する仕組みとして、単にメーカーの連合体ではなしに、業者といいますか、電電公社とかというようなものにも協力を求め、政府にも相当財政援助をしてもらい、あと押しをしてもらって、これは社団法人でありますけれども一種公的機関として、政府しり押しをしていくという気持で作ったものですから、私どもは、これは今年できたばかりですから、これから先を見なければわかりませんが、適当なものである。政府もこれを援助していかなければならぬ。ブラント輸出の中でかなりおくれているものであり、また将来見込みのある通信機関係コンサルティングとして発展せしめ得るものであるという気がいたします。でありますから、今年はたしか補助金はないと思いますが、三十五年度におきましては、プラント協会と同様、金額はプラント協会のように多くはないが、明年度におきましては、これに対する事業費補助予算も計上している次第であります。これは育成していくべきものと考えております。
  7. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 郵政省立場から申し上げますと、通商産業省十分打ち合わせの上、このプラント輸出またそのアフター・ケア、それから施設海外に出ました上におきまして、運営の面、運営の面と申しますか、オペレーションと申しますか、そっちの方に郵政省としては当然総合的に海外通信政策考えていかなければならない。そして、その海外通信政策根本は、海外に進出するという考え方でなく、海外協力して、海外と提携して、海外のまだ施設の不十分な国々に協力していく、提携していく、こういう建前海外通信政策を推し進めて参りたいと思います。  そこで、具体的に申し上げますと、それを遂行いたしますために、今日といたしましては、市電公社におきましても、その公社法に定めてあります範囲内における公社活動、さらに今回はアジア協力会が誕生いたしました。しかし誕生いたしましたと申しましても、まだ発足したばかりでございますから、一応協力会の規約と申しますか、定款と申しますかにはその方針があるわけでありますが、将来のアジア協力会発展の方向といたしましては、ただいま鈴木委員が御指摘になりました通り、商事的と申しますか、営利的と申しますか、商事的なものではなく、海外との提携、海外との協力といった建前で、アジア協会発展を期待いたしております。政府といたしましても、むろんただいま公社なりアジア協力会なりの活動が円滑に行なわれるように、監督員庁といたしまして監督いたしていかなければならない、さような考え方を持っております。また、公社立場としても、タイ国にすでに公社の人が駐在しておるわけでありますから、アジア南方方面との仕事の上の連絡も郵政省としては十分とっておりまして、そして今日もやっているようなわけでございます。大体そういったように総合的に考えまして、通信政策を推し進めていきたい、さように考えております。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 内田政務次官お話で、通産省考え方もよくわかりました。郵政大臣考え方は今まで多少聞いておりますが、そこで内田さんにもう少しお尋ねしたいのは、あなたの御答弁で、いわば政府が非常に積極的にこれに対して協力援助をしよう、こういうお話でありますし、さらにその表現はともかくとして、政府一つ補助機関的の使命を持っているように私には伺えたわけであります。ですから、私はそういう立場から、こういうアジア通信協力会をお考えになったとすると、九月二十四日に発足し、設立基金は一億足らずの資金運営していく、こういうことになりますと、いろいろ計画あとからお尋ねいたしますが、まあ政府会計年度でいうならば、三十四年度予算が終わる三月三十一日ですね、その時期まで、いわゆる九月からの間、実際にこれはもうアジア通信協力会だけの資金によってやる、こういうことになると思うのですね。そうすると非常にその点が私は抜けておるのじゃないかという点を一つ憂えるわけです。  それからもう一つは、お答えがなかったのですが、そういう準政府機関的な性格の中で公益社団法人として出発するということであるならば、私がさっき質問したように、もう少し政府当局が積極的にこれを、窓口というか、政府のいわゆる機関組織といいますか、そういうものに一歩前進をしておやりになることがよかったのじゃないかと私思うのですね。しかしそれができずしてスタートしたということでありますが、今後特に通信機器については、後進地域というと語弊があるかもしれませんが、アジアアラブ中近東を含めて、相当にこれは販路はあるし、また日本技術に期待をしていると思うのでございます。ですから、将来ともこのアジア通信協力会というものを、私はつぶせとは言いませんがね、本来ならばこういうものが政府機関の中に一つ窓口としてできて、本格的にこれは——ブラント協会というのもあるようでありますが、そういうものを総合的にして一つの部門にするかどうか、これはまた別でありますが、いずれにしてもそういう政府基本政策の中に取り入れていくという将来の構想ですね、こういうものはお持ちだと思うのですね。私は、同郷内田さんですから、あなたの考え方もこういう機会に伺っておきたいと思いましておいでいただいたわけでありますが、その点答弁が漏れておりましたので、さらに私質問いたしますからお答えいただきたいと思います。
  9. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 政府はこれを助成して、東南アジア経済協力あるいはこの地方においておくれている電気通信施設の充実とか、あるいは日本産業伸長という意味からも、十分働いてもらいたいという気持認可をしたことは申し上げた通りでありまして、従って来年度におきましては、先ほども申し上げましたように、予算要求を前々いたしておりますが、おっしゃるように、今年度は、これは九月に認可いたしましたために予算はありません。そこで、現在日本プラント協会のための補助予算がたしか五億円内外でありましたか、本年度あるはずでありますので、そのうちの一部をさきまして、本年度は、これはまだ決定したわけではありません。私の心づもりでは、この協会に本年度当面の補助をいたしたいと考えております。この協会できたばかりでありまして、なかなか顔が売れておりませんから、本年度日本プラント協会への補助金の一部をさいて与える。その金につきましては、この協力会から東南アジア地域調査団を出すというような計画もあるようでありますから、本命度——明春早々これらの方面に使わせる所存でおります。それから鈴木さんのお尋ねで、これはより政府機関の色を濃くした方が適当ではないかというお尋ねでありますが、これは考え方の違いと申しますか、今のところ私どもは、これをはっさりした政府機関にする、たとえば特殊会社にする、特殊法人にするということは、東南アジアの実情からいってかえってまずかろう。これは古い歴史にさかのぼれば、蘭領東インド時代東インド商会というようなものの悪い記憶が現地にありますし、また大東亜戦争中に同種の日本国策機関というものがありまして、これが当時の大東亜共栄圏建設一つの手段のように解されておったわけであります。その考え方、これに対する危惧というのは、これはもう鈴木さんも御存じだと思いますが、インドネシアを初め現地ではかなりありますので、むしろ今の段階において、特殊法人にするとか、あるいは政府特殊機関にするということは、要らざる無用な危惧を招くというような面も私はあると考えまして、そういう海外に直接出ていくような機関は、むしろ民法三十四条、公益法人としてこれを認可し、政府がこれを助成していくというのがよろしかろうと思います。もっともこれは、私は鈴木さんと同郷だというようなお話鈴木さんから出ましたが、私事にわたってほかの委員の方に恐縮でありますが、同じ同郷の先輩の小林中さんがアジア経済研究所というものを主宰しております。これも現在は社団法人財団法人でございましょう。民法上の法人でありますが、これにつきましては、海外に出ていってコンサルティングをやるとか、あるいはまた経済協力をやるとかいう実働機関ではありませんために、むしろこういう基本的なものは、これはおっしゃるように政府機関にした方がよかろうということで、来年度政府出山資を得、また次の通常国会アジア経済研究所特殊法人とする法律案国会に出しまして御審議を願いたいと、かように考えておりますが、このアジア通信協力会につきましては、今申しましたような過程で今のところは進むのがよかろうと、かように考えております。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 内田さん、私は、もちろんあなたも立場相違というか、考え方相違ということで、予防線を張っておられるのですが、私は立場相違とか思想相違とか、そんなものではないと思うのですよ。これはまあこの逓信委員会にしても、電気通信事業の全般の問題を論ずる場合に、与野党意見の対立するということはほとんどありません。満場一致でお互いに理解をしつつ施策をやっておるわけでありまして、ですから、確かにおっしゃるような感情は私はあると思うのですよ。これは否定いたしません。過去の歴史の中から見て。だがしかし、そういう感情を国際的になくしていくという、私はやはり政府がもっと本腰を入れて、アジアに対する経済協力にしても、これはビルマ賠償一つを見ても、年間十八億の経済協力をやるといって、向こうも了承しているにかかわらず、今日までびた一文も経済協力をしていない。こういうことが原因をして、これまた私、別途外務委員会でやることになっておりますが、非常に非協力的だということで、また日本ビルマとの賠償協定の第五条ですか、これに基づいて賠償の再要求をしていると、こういう問題も出ているわけですね。ですから、確かに大東亜戦争当時の経過からして国民が、日本に対する現地の住民が好ましからざる感情を持っていることはあると思います。しかしこれを、政府も言われているように、東南アジアとの友好親善、国と国との友好親善を深める中でどうしても払拭していかなければだめだと思うのです。そういう感情があるとすれば、かりにアジア通信協力会なり、また他のいろいろな法人が出たとしても、組織が出たとしても、そういう根本的な問題が解決されなければ、肩がわりをして、当面はとっつきやすいかもしれぬが、あとからもちょっと質問をいたしますが、たとえばアラブ放送設備計画についても、実際日本の日電、住友、東芝ですか、これらが共同して一番札に入札ができているにかかわらず、終局的にICAの、アメリカの経済協力が先行して、そういう国民感情をうまく利用して、日本がせっかくの入札をしたにもかかわらず、その仕事が取れないというような現実も起きているわけですね。ですから、こういう民族民族との感情と申しますか、こらいったわだかまりをなくするような大政策を打ち出しつつこれらの問題をやりませんと、私は、今あなたが非常に安易な道を選んでいるように、大へん僣越ですが聞こえるわけです。そういう根本国際親善というものが、東南アジア、特に中近東を含めた後進地域に対する日本通信振興政策と申しますか、海外貿易伸長立場から、根本の問題をやはり解決するように努力していかないとだめだと思うのです。あなたも私も、思想そのものは否定していない。ただアジア通信協力会のような、こういう性格のものが日本に適合したものであるというお考えに立っているのですから、今の段階ではそれはそれ以上あなたに質問しようとは思いませんが、やはりそういう根本問題を政府として解決するような道もあわせ考えつつ、この役員等を見ますと、具体的に、郵政省大臣官房松田監理官も入っておられるし、通商産業省重工業局局長の小出さんも入っておられるし、それから外務省からも経済局経済協力都の関部長が入っておられる。これは役目構成を見ても、政府がここに一枚加わっているというのは、そう私はほかに例がないと思うんです。ですから、おっしゃろように、半官半民的な性格も一方にはあるような気がするんです。ですから、そうであるならば、もう一歩前進をした、私が当初から申し上げておるような考え方も否定をせずに、その方向に政府が今後大いに努力をしていただきたい。そういう道を開くように私は期待をしたいわけなんですが、そういう点についてどうですか。
  11. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 鈴木さんの積極的な御意見をよく拝承いたしました。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 それで、近藤参考人に伺いますが、商事会社ではない、コンサルティングだ、こういう思想に立っておられる。郵政大臣のお答えを聞いておりますと、また、内田政務次官の御答弁でこう伺うのですが、具体的に、ここに会員として二十幾つかの会社が加盟されておるようでありますが、具体的には、そのアジア通信協力会議がどういうふうにこれらの会社をうまくコントロールして、段階的にやっていくのか、その考え方をちょっとお尋ねしたいと思います。
  13. 近藤儀一

    参考人近藤儀一君) 今の御質問にお答えする前に、先ほど鈴木委員からの非常に貴重な御意見がありましたので、それにちょっと触れて申し上げておきたいと思います。  内外の情勢から、これを非常に強力なものにしなければ、国際競争に耐えられない。しかも、この問題については、イデオロギーとか、そういうものを超越して、与党、野党の別なく、日本民族の将来を考えてやろう。非常に貴重な御意見でありまして、その通りだと思います。各国は挙国的態勢で、出先の窓口はいろいろな機関を使っておりまするが、今までの経験から申しましても、挙国的態勢、先ほど触れましたアラブ連合の問題につきましても、世界の強国、ソ連圏からもチェッコ、ポーランド、英、米、西独あるいはスイス、これらの状況を見ましても、商業ベースでやっているんじゃないのであります。その橋頭堡を作って、自分の国の経済進出をはかろう、こういう挙国的態勢のもとにきておるわけであります。そこで、今までの経験から申しましても、もとよりアラブ連合だけではありません。世界各国皆そうであります。  そこで、今の一番の隘路、日本技術及びその施設各国において認められて、しかも、日本に親近感を持っておるにかかわらず、落札の点に参りまするといつも他に圧倒される。それは資金の問題であります。後進国はいずれも金がない。金がないために延べ払い十何ヵ年、そしてエジプトのごときはエジプト・ポンドでやってくれ、こういうような状態、その他の国でも類似のような条件で出てきておる。そこで、従来、われわれの会ができない先は、各メーカーが個々にやっておったのです。個々にやっておったんでありまするが、終戦後における日本メーカー、大メーカーと申しましても、外国の大きな商社と比較いたしますると微々たるものであります。そういう大きなブラント輸出をする、支払いの問題で、商業べースでやるということになりますると、とうてい競争の圏内に入らない。そこで、輸銀という制度もありまするが、利子の問題、年限の問題あるいは手続の問題、こういうところに非常に多くの隘路がございまして、今それらとも折衝をいたしまして、日本の将来のためにそういうものの隘路を打開するような折衝を進めて、これも非常に協力を得ておりますので、われわれは、あくまでもそういういろいろな隘路を開拓して、そうして各国に伍して日本の地理的、歴史的な関係から、後進国に対して親善、共存共栄の実が上がるようにという努力をいたしております。それにつきましても、国家の最高機関である国会の皆さんが、党派というものを超越して、日本民族のために一つ絶大なる御援助をいただきたいということは、衷心から念願してやまないところでございます。  そこで、先ほどの御質問の、業者の今までのいろいろないきさつもございました、それをどういうふうにやっていくか、こういう御質問と伺いましたが、終戦後、各メーカーは御承知のごとく出血輸出をいたしております。そうして血みどろになってやっております。しかし、それは結果においてみな惨敗、わずかにおこぼれをちょうだいしておる、こういう状況だったのであります。そこで、今、われわれの内部的な問題として、それをどういうふうにまとめていくか、なかなか、各会社は自分の伝統もあり、今までの努力もあり、そうして、なかなか商機の秘密をお互いに話し合わない。しかし、国家全体から見ますると、それが日本民族のためにならない。それを大所高所から大同について小異を捨てる、こういう方向に持っていくように非常に努力しております。アラブ連合の問題のごときも、実はそういう線に沿って、先ほど鈴木委員のおっしゃったように、日立、東芝、日電、これらをまとめて、向こうで参謀会議を開いて対処した結果、一番札になった。今後もまだ、端的にわれわれが統制するということをいたしましても、なかなかこれも伝統もありますから、われわれは実績を積みつつ、国家のためにこれがいいのだなという納得の上に立って、とにかく日本はそれをとるということをやっていきたい。しかし、われわれは公益法人でありまして、話は相手国政府もしくは公けの団体と相談をして話をまとめまするが、入札には入りません。そうして今の隘路である資金の面、延べ払いの面、そういう面を目下関係のお役所とよく御相談、実情を申し上げ、この降路を開拓して、使命を達成したい、こういうように考えております。性格公益法人でありまして、営利を目的といたしませんので、入札をしたり、そういう行為はいたしませんが、まとめ役を——この間も新聞記者会見でこういう質問がございました。趣旨なり、いろいろ聞いてみると、協力会は廊下の仕事じゃないか、廊下にすぎないのじゃないか、こういう各新聞社の記者団の質問がありました。私は、廊下という意味はどういう意味か存じませんが、座敷に行くには廊下が要ります。われわれは廊下でけっこうだ、相手国の座敷へ上がるために廊下の使命でわれわれは満足する、各国の廊下、座敷へ上がる橋渡し、廊下をやっていくというふうにお考えいただいてけっこうです。こう答弁したのでありますが、入札とか、そういうことはいたしませんが、話をまとめるという、われわれの限界はそこまでやりたい、こういう性格考えております。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 そこで、もう少し具体的にお尋ねをいたしますが、思想はわかりましたが、そうしますと、たとえばフィリピンならフィリピンに通信施設を新設したい、こういう話があるとしますね。それが向こうから日本にくる、そういう場合に機器を直接輸出する、こういうことは比較的簡単にできると思うのでありますが、それだけでなしに、日本の持てる技術を向こうに導入して大いに協力していこうという思想はお持ちになっていると思うわけです。この中を見ると、日本通信機建設会社等も内田さんのところで入っておるようでありますが、そういう建設隊というものをあわせてお考えになっているのか。もし考えているとすれば、それをどういうふうな形で協力してもらうのか、この点具体的に私ども伺います。
  15. 近藤儀一

    参考人近藤儀一君) 具体的に申しますと、こういう順序になると思います。向こうの要望、あるいはこちらから誘引を試みまして、その国の通信施設のプラン、設計、いろいろの資料、仕様書、そういうものを作って上げます。そうしてその国との話し合いがつきますと、相手国は国際入札、それで日本へ落ちた場合に、それの建設その他についてわれわれはあっせんをしてやる。みずからはそれをやりません。日本技術なり、いろいろなあっせんをして上げて、建設及び保守の方も、事業体をうまくいくようにあっせんをして上げる、こういうふうに考えております。それでよろしゅうございますか。
  16. 鈴木強

    鈴木強君 その考え方はわかりました。そこで、やはり機器の輸出と、あわせて建設、その他具体的な建設工事等にも参画しようと、こういうお話でございますね。そうしますと、ここに日本電信電話公社等も公共企業体として入っておられるし、それから国際電信電話株式会社、これは特殊な政府の会社でありますが、入っておられる。日本放送協会も入っておるようでありますが、特に電電公社のような場合を活用するということはお考えでございましょう。それはどうですか。
  17. 近藤儀一

    参考人近藤儀一君) むろん今おっしゃったように、われわれの会員といたしまして、公社、国際、NHKというものが入っております。従いまして、相手方の要望、その設計に必要なるエキスパートを集めて、相手国の満足するようにするために、公社技術の人の手を借りて建設を手伝ってもらうとか、あるいは国際の人あるいはNHKの人に手伝ってもらって万全を期する、こういうふうに会員の総力をあげてやりたい、こういうふうに考えております。それでよろしゅうございますか。
  18. 鈴木強

    鈴木強君 そこで、内出政務次官、あなたは電信電話公社法の第三条の二項というのを御存じですか。
  19. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 私、所管が違いますために全然公社法のことはよく存じませんが、今ここで拝見をいたしますと、公社は、「逓信大臣から委託された業務及び委託による左の業務を行う」ということで、私はよく知りませんが、これを見ますと、固有の業務のほか、郵政大臣から委託された業務ができることになっておる、この程度でございましょう。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 通産省の政務次官ですから、そうこまかいことまで質問するのは無理かもしれませんが、今の近藤参考人お話を聞きますと、公社計画をし、あるいは建設に参加をすることになる、それはそうでしょう、会員になっているのですから。そうなりますと、現在の日本電信電話公社というものは、どういう使命によって設立されておるか、それがはたしてアジア通信協力会考えておるようなものに協力していく態勢があるのかどうか、こういう点が基本の問題になると思うのです。ですから、通産省がこういう御認可郵政大臣とともに下されるについては、そういう法的な根拠も十分勉強しておいていただかなければ、私は答弁にならぬと思うのですよ。あなたは政務次官ですからね、事務次官ならだいぶ僕は文句を言うことはあるけれども、あなたの場合ですから、そういう立場もわかりますから、きょう私は追及をいたしませんが、少なくとも今の電信電話公社法設立当時からの経緯を考えてみて、ここに示されているように、拡大解釈をして、国外の通信協力ができるか、できないかということは、この委員会でもかなり論議をしていたところなんです。ですから、私はかりに違法でないとしても、この三条の二項によって違法でないとしても、しからば、今、日本電信電話公社というものが約七十万以上の積滞をかかえ、しかも新しく四十万の電話の需要がある、なかなか電話が引けない。内田さんが言われた通り、東京あたりもう長いのは五年も六年も申し込んで電話がつかないという苦情があるわけですよ。公社は国内の電信電話のサービスを向上し、拡充をして、そうして国民の期待に沿えるように通行のサービスを提供するのが本来の使命なんです。ですからそういう点にもやはり、かりに皆さんがこれは適法である、こういうふうに言われても、まだ問題は残っていくわけです。私は、電電公社法というものは、当初から審議の経過もよく理解をしておるわけでありますが、本来国内の電信童話井業というものを所掌しているのであって、国際までこれが出ていってやるというようなことはその本来の精神ではないわけです。まあこれは参議院あるいは内閣法制局の意見もただしたわけでありますが、すでにスタートをしておる諸般の問題がありますので、拡大解釈をして適法である、こういうことを言っております。適法であるならば、今いった公社本来の使命を完遂するのに支障のない場合に、郵政大臣や、あるいは委託したものがやれる、こういうふうに郵政大臣の委託と、それからその他の委託ですね、そういうものがやれる、こういうふうになっておるわけでありまして、その辺も非常に苦しい解釈をわれわれに示しておるわけです。ですから、私は電電公社海外に出ていくことについては否定しない立場におるのです。これは近藤さんがおっしゃったように、通信技術については、だれが何といったって測量、建設については、これは重視していいと思うのです、力を持っているのですから。ですから政府が当然そういうものを使うべく、アジア通信協力会議の設立をお考えになるならば、法的に疑義があり、将来またいろいろと国会において論議になるような隘路を打開して、正面から出ていかれるような道を開くことが正しいと私は思っておるのですよ。ところが、やっぱりいろいろな海外に出ていくということになりますと、そこに働いておる職員の感情があろうと思う。あなたは御承知かどうか知りませんが、朝鮮海峡の海底線の修理工事にしても、鉄砲だまの飛んでくる所で修理をしなきゃならぬ事態で、職員感情からして、あんなところに行きたくない、そういう気持も出てくるわけでありまして、いろいろな問題を今日まではらんでおることでありますから、私はむしろそういう隘路を打開するような道をどうして積極的にとらないか、とって、堂々とこれができるような道を開いて、これも全世界的に日本国策として協力するような態勢をしくべきだと思う。そういう点には全然手をつけないで、疑義のあるものをそのままにしておいて、そうして海外に出ていく、こういうことは理屈に合わぬと私は思うのです。そういう電電公社の現在の置かれておる需要供給というもののアンバランスが非常にひどいということ、現に九百五十億なりの建設資金というものが国会の承認を得て年間これを消化していかなきゃならぬにもかかわらず、百億近い繰り越しがある。私はこういう事業ですから、繰り越しが全部なくなるようにせいと言ったって、これは無理なことですから、多少の繰り越しのあることはやむを得ないと思いますが、少なくとも百億を超えるような、そういう仕事に追われておる公社でありますから、その上に海外にまで行けということは、これは無理ですよ。そういうものを通産省が十分御検討した上で認可をしたというように、私は考えておりますから、だから、私はあえてそのことを伺ったわけです。
  21. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 鈴木先生から助け舟を出していただいたようなお言葉でございますが、私は、通産当局としてこう考えておりますが、電電公社は国内の電気通信業務を目的とする公共企業体でありますから、これが国内の業務も、おっしゃるように満足にできないのに、いかに電気通信事業海外協力が大切だとしても、またプラント輸出が大切であろうとも、それに手を出すということは、これは実体上問題であるし、また法律論としても大いに疑義のある問題だと思いますが、今度大臣認可をいたしましたアジア通信協力会は、これは電電公社とは全然別個の法人でありまして、この業務については、先ほど近藤参考人からお話がありましたように、みずから機械を売り込むわけではないし、みずから建設をするわけでもないし、コンサルティングをやる。設計、見積り、あっせんというようなこと、これは今日近代的なプラントを作りますためには、どうしてもこれに先駆するものがコンサルティング仕事であることは御承知通りであります。その際、これは冒頭にも触れましたように、単に電気通信機のメーカーの集団であるとか、あるいは電線の製造会社の集団であるというものだけが、集団や協会社団法人を作りまして、海外に出て参りましても、これは電気通信施設に関する限り役をなさぬのでありまして、これは施設の利用される状況が一体として初めて役に立つのが通信施設の本体であると思いますので、そこでどうしてもこれは電電公社なりあるいは日本放送協会なりというもので、この施設を利用する方面の知識や経験を借りなければ、電気通信に関するコンサルティングの業務はできないわけであります。そこでメンバーとしては、電電公社に加わってもらいまして、この加わった人たちの直接の知識や、経験あるいはそれらの人々を集めまして、電電公社自身の調査や、研究、知識を借りる。そしてコンサルティング業務をやっておるもの自体は、認可されます別個の法人である電気通信協力会でありますから、実際的にも、電電公社の、今申しますように知恵や知識を借りることは必要でありますのみならず、法律的にも電電公社自体の事業ではないから、必ずしも法律的にもそこに矛盾はないのではないか。ことに今助け舟を出していただきましたように、三条二項の読み方によりましてはそれもできる、こういうように解釈をいたしておるのでありまして、これはまあ激しい考え方によりますと、さっき鈴木先生からお話しがありましたように、こういうものは政府がいかに支援しても社団法人ではだめで、一種国策機関を作るべきだということは、場合によっては電電公社にもっと資金を与えて、電電公社自体がもっと海外コンサルティング業務に乗り出すという考え方も、法律の作り方や、財政上の措置によっては不可能ではないとさえ思いますが、今そこまでいけない。日本電電公社はそこまではいけない。日本電電公社東南アジアに進出するということになりますと、今の歴史的法令やら、いろいろと無用の危惧を招くということになるかもしれませんから、今はそこまでは進めないと思います。そこで、こういう法人にして、政府も、通産省補助金を出す。郵政省電電公社も、知識や経験を借していただくということで御理解を願えるものと思います。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 内田さん、理論の矛盾はないですか。あなたの言い分はよくわかりますが、要するに社団的な立場に立って、アジア通信協力会が世話をするわけですね。しかしお話を聞くと、理事長の方からは、相談をした結果、電電公社が設計をし、建設工事をやった方がよろしい、こういう判断が出る場合もあるでありましょう。その際に、私は一番大事な点は、電電公社の本来の使命ですから、この使命からして、はたしてそういうこともやり得るかどうかということが論議になるわけです。かりに拡大解釈して、法律的には違法でないという立場をとるにしても、その前にありますように、公社本来の使命を支障なく達成できる、こういうことが条件になっております。そのときに初めてそういう委託業務をやれる、こういう解釈になります。ですからそこに論争のもとが出てきます、ですから、私はあなたのおっしゃっておるように、将来の構想は、先ほどのようにより積極的に、内田さん言われたわけですから、非常に私はその点は同感ですよ。そういう思想をお持ちになることについても同感ですから、そうであれば公社法の隘路、それから日本電信冠話公社に対するもっと積極的な政府施策というものが同時に行なわれて、昭和四十七年にならなければ申し込んだ電話はすぐつけてやるわけにはいかぬ、あと十二年も先のことです。だから、もっとペースを上げて、早く国内態勢を整備するということも一つの方法でしょう。そうして、その余力をもって大いに進出するということも一つの方法でしょう。今はその段階でない。そうして現実に今公社が出てもらいたいということが出たときに、今言ったように国内態勢の向上の問題からその論議が必ず出てきます。そういう隘路が出てくるとすれば、多少国内の支障があるかどうかは別としても、近藤さんのおっしゃっておるように、国策的な見地から日本がやらなければだめだ、一日でも逡巡しておったら、それだけアメリカからもドイツからもフランスからもイギリスからも、あらゆる角度からそういう通商的な政策が出てきますから、それに対抗する日本国策がなければだめだ、そういう意味においてもっと積極的な態勢を作るべきだと思うのです。そういう態勢が現実に問題になってきましたよ、あなたの理論からいっても。だから、そういう点を十分御配慮願って、公社本来の使命とともに国策に順応してやられるような道を堂々と開きなさいということを言っておる。それをやらなければ、いつまでたっても公社はうしろ髪を引かれるような格好で、しょっちゅう国会で追及され、そうしてアジア協力会の会員になって、相談してどうだということはできるでしょう。しかし、舞台を動かすということになれば、これはちょっとお伺いするということにならざるを得ない。合法的だと言っても、今の実態から追及していけば、とても公社がそこまで出てやるということは、法律的に言っても違法だということが言えるわけです。だから、そういう点についての通産省としては表玄関ですから、郵政大臣だって、あなた黙って聞いているけれども、相当言いたいところだけれども、今日は通産省忙しいから、通産大臣が来られないから、通産政務次官に言っているわけですから、そういう点はよく考えて下さい。
  23. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 鈴木先生の御意見よく承りまして、今の問題は、私が述べましたように大いに私は価値ある研究課題だと思います。ただ、ここでちょっと申し述べておきますと、先ほどお話が出ました、アラブ連合のテレビ放送網の入札問題でありますが、これはもう実に私どもも残念でなりません。これは国際入札の結果、わが国では三社が協力した結果、三百五十万ドルでこれが一番札である。米国のRCAが入れましたのはそれよりも約百万ドルぐらい高かった。にもかかわらず日本が取れないということは、これは日本が会社形態でなしに、他の別の国策会社を作って、これに頼んだらどうか、あるいは電電公社の法律改正から、資金充実をしまして、これに臨んだらどうかということを考えてみましても、今回の場合は、他の施策が伴わなければ、公社が出ましても、あるいは特殊機関が出ましてもだめだったようであります。それは米国からいろいろな他の条件がからんで、それと抱き合わせに約二百億ドルぐらいの借款を与えているとか、あるいは延べ払い条件が十二年であるとか、あるいは延べ払いの金利が三%半というような、とても日本の追いつけそうもない条件であります。そこで単に電気通信施設プラント輸出あるいはプラント建設の問題だけでなしに、日本の東面アジア協力等のためには、今日の輸銀の仕組みだけではとうていだめだ。これはいかに賠償協定なんかに付帯して経済協力規定を書きましても、あるいは民間の経済協力というようなものをやりましても、今の輸銀の機構だけではとうていできません。もっとも、先般輸銀のたな上げ資金五十億円を輸出入銀行に寝かせてあるわけで、これは岸内閣総理大臣の構想による東南アジア開発機構の国際機関ができたらそれに振り込むことになっておりますが、これはいつできるかわかりませんが、そこで、これは私ども通産省一種の悲願として、これは輸出入銀行とは別に、これは先ほど近藤さんが述べましたように、延べ払い方式の資金だとか金利だとか、期限でありますとか、その他の条件で、とても思い切った経済協力活動ができませんので、一種海外投資協力会社のようなものを別に作りまして、ここに財政資金も民間資金も投入をする。また今、輸出入銀行に寝ておるというたな上げ資金の五十億円もこっちへいただきまして、別に延べ払いというような形でなしに、投資の形で、さらにはまた現地通貨を貸せるというような形で、一石三鳥くらいの案を実現することを望んでおるのであります。そういう機構がかりにできますならば、一方そのコンサルティング業務、それに伴うあっせんによって機械の輸出等が延べ払い条件、その他の経済条件でできます際に、これはスムーズにいって、アラブ連合のテレビ放送網のような入札も外国と競争してもできる。こういうことに初めてなると思いまして、これは私の申しました構想は、来年度予算要求としまして大蔵省に出していますが、はたして実現するかどうかはわかりませんが、ぜひ鈴木さんにも御理解をいただいて、一つ応援をしていただきたい、かように考えるものであります。
  24. 山田節男

    ○山田節男君 関連質問。今アラブ連合のテレビ放送の落札の問題が出ましたけれども、実は私は先月の二十三日にベネズエラのカラカスで日本の経済コミッション、それからブラジルの移民三十周年に業者代表というか、日本電気会社貿易部長の増島君とたまたま一緒になって、ベネズエラの政府は今電話施設の全国的な改装をやろうとしておる。そのときにたまたまこのRCAと日本の業者がアラブのテレビ放送網の落札の問題について、価格では第一の入札だったけれども、RCAに取られた。これは相当厳密に調査しておったし、私も調査しましたが、これは今政務次官の言われたように延べ払いとか、あるいは借款とか、こういう問題がもちろんあります。あるが、根本の問題はそこにはないのですね。どうも日本の業者は、たとえば、そういう——特にこのアラブ連合の九ヵ国のテレビの放送網を作るということになれば、問題はアフター・サービスの問題になる。どうも日本の商社は、これはまあ電気事業ばかりではない。発電所なんかにしても、ただそれを請け負うだけで、アフター・サービスが日本の会社としては非常に信用がない。RCAはなぜあれを取ったかということをいろいろ分析してみると、今のような経済条件というものはむしろ第二次的のものであって、第一次的の条件でRCAが非常ないい条件を付けた。結局アフターサービスの問題なのです。それが日本の業者として非常な欠陥だ、こういうことを反省しておるわけなんですね。そこでこのベネズエラの、これは人口はわずか五百万くらいしかありませんが、あのドルのうなっているところですよ。ほとんどアメリカ化しているドルの国なんです。ところがここヘスェーデンのエリクソンが進出しています。RCA、ウエスタン、これはどっちもみなサービスがいいわけですね。アフター・サービスがいい。ところが結局においてこれはスエーデンのエリクソンが取るであろうという予想が出てきた。現に私、今月の六日までおったのですが、そこの大きな新聞社の社長で、放送会社の社長であるマルケス氏というのが特派大使で日本にきました。これは私日本で会い、また向うでも会ったのですが、結局エリクソンが取るだろう。ということはなぜかというと、エリクソンはすでに三年前からスエーデンのエリクソン会社にベネズエラの電話の交換手あるいは技術者というものを六名呼んで、それを三年間ずっと会社のいろいろな技術を教えてしまった。そして一つのエリクソンの電話の技術に対する親愛感を持たせている。そしてこの六名がベネズエラに帰っても相当なポストにいるために、エリクソンの設備に対して非常に一つの親和感を持っている。これが一つのRCAに対抗する有力な競争力になって、エリクソンが取るだろうといわれているわけです。  ですから、こういう点は、少し質問が的はずれになりますが、アラブ連合の入札における失敗を見ましても、これはアジア協力会議というのが、特にアジアとしておられますが、特に私は通産省としては、各メーカー、これだけの一流のメーカーが出ているが、アラブ連合で三社が連合しているが、そこに有機的な連絡があるかどうか。落札したならば、おのおのの、日本電気なら日本電気が放送設備のどの部分をやる、真空管をやるということがあっても、全体としての保守責任をだれが持つかという責任がないところに、アラブがとうとうRCAに取られてしまった。これは私は特に通産省としては反省しなければいかぬと思うのですよ。ですから今の政府次官の言われたことは、重要なファクターを一つ見落していると思う。それが根本なんです。ですから、御承知のように、東南アジア、それから南米十何ヵ国回りましたが、ああいう後進国家は、先進国家から技術を入れて設備をしようということになれば、これは民族とかあるいは特殊の外交関係ということは考えません。もう全くコマーシャル・ベースであり、そしてその国もやるということになれば、相当金を使うのですから、会社のこともよく調べて、アフター・サービスに対して絶対責任を何年間持つかということが問題なんです。これは業者の資金という問題もありましょうが、どうも日本海外におけるそういう投資する企業家のいわゆる責任感というものが、入札上において私は非常な欠陥があると思う。これは第一に通産省として特に認識しなければならないと思う。  まだ私はほかに質問がありますが、鈴木さんの御質問の最中でありますから、アラブ連合国のテレビ放送網の失敗は、それは今私が申し上げたのが重要なファクターだということをつけ加えておきます。
  25. 鈴木強

    鈴木強君 参考人の方がお見えになっておりますので、政府当局にあまりやっておりますと、御都合があるかと思いますから、もう少し近藤さんにお尋ねしておきたいのは、これからのアジア通信協力会議の運営については、私ども非常に心配しているのですが、幸い内田政務次官の方からも、何とか援助したいという構想も漏れてきましたので、多少そういう点に対しての見通しは一歩前進したと思いますが、しかし何といっても生まれたばかりでありますし、今後の実績というものがどうあるかということが、今後会の伸張に影響するわけだと思うのです。  そこで、さっきちょっとお聞きしておきましたように、これから協会としては、会議としてはどういう構想をお持ちになっておやりになろうとしているのか。私の一番聞きたいのは、特に先に指摘しました電気通信プラント懇談会というのがございますね。これも今日余命を保っているわけですが、こういうものとの関係で、メーカーの連中もいろいろ複雑な気持を持っておられると思うのです。ですから協会がどういうふうな道を歩んでいくのか、それに対して政府がどういう協力態勢があるのか、これらの点を慎重に今見守っている段階だと思います。そこで、電気通信プラント懇談会等との関係からして、相当に今後アジア通信協力会議としての困難な道もあるでしょうが、そういう点をどう調整されて、あなたが最初に述べられたような基本理念を実現していくのか、これらの点について何っておきたいと思う。
  26. 近藤儀一

    参考人近藤儀一君) これからの運営をどうするかということから申し上げますが、今われわれの計画しておりますことは、今まで各業者が、各メーカーが個々にやっておったものの欠陥を補正いたしまして、いろいろの資料を今準備しております。その資料をもって本年度内に、来年の二月ごろ、各エキスパート——有線、無線あるいは放送というエキスパートを集めまして、第一団をインド、パキスタン、セイロン、ビルマ、それから来年度になりまして中近東アラブ連合、あの方町、第三団をタイ、カンボジア、それからインドネシア、あの辺へ、それからその次に中南米へ来年度中に出そう。そういたしまして、相手国のいろいろな情報を集めておりまするから、向こうの首脳者と会談をいたしまして、日本技術日本電気通信の生産状況、いろいろ向こうの要望にこたえるようないろいろな相談を、権威ある団体を派遣して、そういうふうに進めていきたい。今までも、公館長会議あるいは外務省経済局長が中近東アラブ、アフリカ諸国へ行ったときも、われわれの構想並びにその各大公使の任地における通信状況を、資料を提供いたしまして、そういう問題についてよく監視をしてもらって、われわれとよく連携を保ってもらいたいということを各大公使にお願いいたしておきました。まあそういうことでだんだんとやって参りたいと思っております。いずれにいたしましても、これは非常に根気強く、根強く、あくまで不撓不屈でやらなければなかなか成功いたさないという覚悟でやっているわけであります。  それから今のプラント協会との関係におきましては、プラント協会理事長が私どもの力の理事にもなっておりまするが、端的に申しますると、プラント協会の間口は非常に大きくて、あらゆるものを扱っているわけであります。しかし電気通信の問題については非常に希薄である。従って電気通信の問題についてはわれわれの方が専門にこれに携わる。こういうふうな関係で同こうとの調整を保っております。そういう方向でいきたいというふうに考えております。
  27. 鈴木強

    鈴木強君 具体的に今後この専門調査団等を派遣する御構想も承ったのでありますが、もうこの行くメンバーとか、大体のその具体的計画はお立ちになっているのですか、どういう方が行くようになっているか、もう御決定でございますか。
  28. 近藤儀一

    参考人近藤儀一君) われわれが今申し上げました各地方へは権威ある団体を出したい。従いまして、会長の梶井氏は科学技術庁の常任のメンバーでありまするが、相手国に対する信用の関係もありますから、老躯を押してでもぜひ行ってくれ、こういうことで、梶井氏もその覚悟をしております。その団体員のメンバーは今選考をしております。これは相当の、各部門のほんとう日本でのエキスパートというような人選を今しきりに進めております。いずれ来年の二月ころ出発するのでありまするが、その前にいろいろの準備がありますから、なるべく早く人選をきめたい、こういうふうに今進行中であります。
  29. 鈴木強

    鈴木強君 この資金面でちょっとお尋ねをしたいのですが、現在七千万円程度の資金が会員の会費ということで徴収をされておるようでございますが、政府からの援助資金というものはまだ具体的に通産省でもおきめになっておらないようでありますが、協会としてはこの七千万円の設立資金だけでは、今おっしゃったような専門調査団の派遣等についても非常に支障があるのじゃないかと私思うのですが、そういう資金調達の面では、会の方では通産省あたりに多少——さっきちょっとお話がありましたが、積極的にお話は進めておるのですか。大体見通しはどうなのか、額等ですね。
  30. 近藤儀一

    参考人近藤儀一君) こういうふうに考えております。入会金というのが七千百万円、それから会費が九百九十万円、創立のときに会員から受け取っておるわけであります。私どもといたしましては、今の入会金は事業資金として、事業資金と申しますると、海外へいろいろの調査団を出すとかあるいはその資料を作るとか、資料と申しましても、今までの経験から申しますると、各メーカーがその会社のカタログなどを作って出しておりますが、それは非常に欠陥がある。名目のやっておるのを見ますると非常に完備しておる。そうして、たとえば電線のメーカーは、自分の会社でこういう電線を作っている、こういうカタログを今まで海外へ出しておったわけであります。これを受け取る方の側から見ますると、あまりそういうものは飛びつかない。こういう電線を使ってこういう計画をした場合に、付帯的の品物がどうかかって、それが幾らかといったような、そういうふうに完備したものを作って、英文に訳して、その他今まで各国でやっておるような長所も取り入れまして、そういう資料も最低持っていこう、こういうふうに進めております。従いまして、われわれの経常費は大体それでまかなうように、一人三役でやっていこう。現にこの間も新聞記者が、ああいう金を集めて、一体役人の古手でも置くんじゃないかということを言ったけれども、とんでもない話で、これは率直に申し上げますると、梶井氏も一厘も取っておりません。それから私も昨年来ずっとやっておりますが、手弁当です。最近常務理事をきめまして、若干、それらと一緒くらいのものはもらわなければ工合が悪いということで、それをもらっておりまするが、しかし会員のいろいろの協力を得てそういう資料も作りますし、いろいろやっております。ただしかし、ここで先ほど来鈴木委員の非常に強力なる、あるいは国家の将来を考えての、党を超越した国策としてやっていくというお考えは、最も貴重なる御意見として、私どももそう考えておりまするが、なるべくは世界各国のやっておる状況に伍して、日本が落伍者にならないためには、私は各国に連絡所を置く、それの経費、それからひんぱんに向こうとの往来をするというような経費というものも、たとえば電気通信の主管庁である郵政省には相当のそういう金を予算で取ってもらって、それぐらいの設備をしていくという態勢が必要じゃないか、この一例を申し上げますと、私は終戦後インドとのいろいろな問題をやって参りましたが、日本の大使館は大使以下八名です。そこで経済の問題、政治情勢のニュースを取ろうとしても、しゃちほこ立ちしたってなかなか……。英米は二、三百人いる、小国のチエコとか、ああいう国でさえも相当の人間を配置して盛んに活動している。日本が敗戦の結果四等国になったか五等国になったか知れませんが、今後の相手国との共存共栄をはかるためには、こういう問題に、政府におかれても、あるいは国会におかれてもよく意を注がれまして、強力に、将来に悔いを残さぬようにお願いしたいということを念願するわけでありまして、ことに通信の問題につきましては、これは鈴木委員専門で、非常に私ども申し上げるまでもなく詳しいわけでありまするが、一たびその国の通信施設を、ほかの国のシステムでやられますと、重大な橋頭堡を建設される。それの拡張、あるいはそういう問題が起こったときに、これに食い込むことはほとんど不可能です。従ってどうしても初めの相手国の設計についてはわれわれは万難を排してこれを日本へ取るということが、将来のために非常に大事な問題であります。先ほど来述べ払いとか、それからまた山田委員からも貴重な御意見がございましたが、そういう各国の情勢を把握して日本民族の将来を政治家の方々がお考え下さって、これを本腰を入れて、そうしてその橋頭堡を取っていくということが、国家の非常に緊急な重大な問題だというふうに私ども考えて、この機会に有力な皆さんが、そういう事態を忍識していただきまして、政府補助金の問題についても、一つ各国と伍し得るような態勢を一つお願いしたいということを切にお願い申し上げます。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 まあ、きょうおいでいただきまして、初めて国会の中でアジア通信協力会の問題が、当事者を含めて質疑が行なわれたわけでありまして、いろいろお考え方もわかりましたが、今最終的に私は申し上げたかった点も、近藤理事長の方でお述べになりましたが、きょうは郵政大臣通産政務次官等もおいでの中でありまして、どうしても国策的にこれを積極的に強力にバツクしていけるという態勢がなければ、新聞記者が指摘したように廊下になる。廊下でも何でもよろしいということのようでありますが、私はやはり廊下であり、また座敷であってほしいと思うわけでありまして、そういう構想を生かすか殺すかは、あげて積極的な政府の態度があるかないかにかかっていると思うわけでございます。なお、このアジア通信協力会を活用する場合には、さっき以来申し上げているようないろんな工場の問題もあるでありましょうし、それらの点を早急に整備されて、その態勢を確立することか前提条件である。大前提条件である。そうしませんと、世間からいろいろと批判をもって見ておられる方もあるようでありますので、それらの方々の批判通りに終わってしまって元も子もなくすようなこともこれは絶対ないとは言えぬと思います。ですから意気込みはけっこうでありますが、その意気込みと合わせてお集まりの政府当局方々も、その実現のために今後積極的な施策をぜひしていただくように、これはまたアジア通信協力会もこの本来の目的ほんとうに沿えるような積極的なお活動を私はしていただきたい。そういうことを強く期待をいたしまして、お急ぎのようでありますから、参考人に対する質疑はこれで終わりたいと思います。
  32. 山田節男

    ○山田節男君 ちょっと私参考人を含めての御質問ですが、これは幸いきょうは郵政大臣電電公社総裁、それから通産省、それから今のアジア通信協力会理事長が見えておりますから、一言一つ申し上げたいと思います。  一体アジア通信協力会ができる経過、これは私大体知っております。私の記憶が誤りなくんば、これはたしかビルマ、それからベトナム、フィリピン、こういう賠償問題が起きたとき、ことにベトナムのとき、アメリカ軍の方から電電公社通信施設建設についての相談があった。当時私は梶井総裁からもそのことを聞いておるし、軍からも聞きました。そこで、これは御承知のように電電公社では公社体としてはたしてそういうことができるかどうか、法的にもそれは疑問がある、しかしながら今対外的に日本として技術協力をするということになれば、これは非常な分野に分かれる。有力なメーカーはあるけれども、ばらばらである。公社は電話、電報のオペレーションをなしているという、いろいろなことで、ことに公社の梶井総裁がそういう御相談を受けられた。そこで電電公社として、公社建前からこれを行なうということに疑問がある。しかしながら、その必要があるということで、たしか電電公社海外技術協力調査室か何か、私は設けられたようなことを聞いておりますが、それが二転三転してこういうことになり、しかも名前はアジア通信協力会であるけれども、この定款の第三条には、諸外国、ことにアジア話国との技術提携を促進する、こういうことで、私大体こういうふうな結果になったいきさつはわかるんですが、私まだ途中から鈴木君の質疑に対する通産省あるいは近藤理事長の御答弁を承って、ことに私は先月の末ヨーロッパからずっと東南アジアの十二ヵ国を回ってきて、私も電気通信には相当の関心を持って、いろいろな質問をし、経済ミッション、それから日本電気の増島貿易部長が工場施設のマーケット調査に行っておりますので、そういうことの報告から見まして私考えますことは、なるほど本協力会が成立するまでの経過を見れば、特にアジア協力する、これは私よくわかるんです、しかし御承知のように今日ジェットの時代に入って、単にアジアだけに限るべきかどうか。私も東南アジアを全部三回にわたって、アラブ連合、イラン、イラクを回っておりますが、終戦前のあれらの国と独立国家になった東南アジアアラブ、AAの者国の国民民族主義を見ますと、ことに日をふるに従って、彼らは外国から技術の導入をしなくちゃならない、設備を輸入しなくちゃならない、これに追われているわけです。そうしますと、もうそれに熟練したというか、これはもう全く民族とか何とかいうことでなくて、日本が黄色い民族であるから日本から輸入すべきだ、こういう甘い考えは絶対持っておりません。先ほど申し上げたように、アラブ連合の放送網の問題でも、日本民族アジア民族だというようなことでは、これはもうアピールしない。向こうも非常にコマーシャル意識に徹しております。  要は日本政府のこれに対する応援といいますか、これは外交的なものもありますが、いろいろなファクターがありますが、やはり政府と民間との強力な協力がないと、そういうことができないんですね。ことに私、東南アジアと南アメリカとを比べますと、東南アジアは御承知のように貧乏国なんです。資源もあまりありません。しかも人口が多い。ところがブラジル初めこの南米、少なくとも十数ヵ国を見ますと、資源はある、非常にポテンシャルに持っておる。ところが技術がない、電気通信に関しても、ブラジル初めメキシコに至るまで、非常に幼稚なものです。だから私は、むしろこういうアジア通信協力会というようなちっぽけなものではいかぬと思う。岸総理が三年前にワシントンへ行って、ああしてアジア開発協力資金の設置というものを発表して、五十億円の予算を立てたが、まだ一文も使っていない。これは日本東南アジア民族主義の立場からいいますと、日本が先進国ぶって協力してやるということは、彼らはインフェリオリティ・コンプレックスを持っておりますから、むしろこれをいやがるんです。むしろアメリカとかオランダとか、英国がやるように、かつては自分の属国であったけれども、対等に扱かって、しかもコマーシャル・ベースにいく、しかもアフター・サービスにおいては絶対責任を持つ、これに徹していくべきである。値段が安いから落札する、入札が成功するということは、これは昔のことであって、戦後におけるコマーシャリズムというのは非常に大きな重大なファクターをなしているのでありますから、私はむしろ名前からしても、アジア通信協力会なんていうけれども、これはリテラルロ訳したら……。私はフィリピンに行きましても、あるいはパキスタン、インド、インドネシア、ビルマにしてもそうですが、われわれから見れば、むしろおかしいくらいナショナリズムというものになっているということからくれば、私はむしろこの名前で変なことをするのじゃないかと、これは実際問題としてですよ、かつての日本が大東亜圏とか何とかいったことは、彼らはまだそういう記憶は新しいのです。ですから、こういう名前にするということは、私は協力会という名前がいいかどうか、これはセンスの問題ですけれども、私の持っているセンスから言えば、こういうふうにリテラルに訳したら、決していい気持はしません。むしろ私はこの定節を見ても、たとえば国際電気通信コサンルタント・カンパ二ー、この社団法人ということが、これまた外国から見ますと、ソサイェティーとかアソシエーションというものは、これはあまり信用のないものです。これはたとえばロックフェラー・ファンデェーション、財団なら別でありますけれども、私は、先ほど来近藤氏の説明なり、あるいは通産政務次官の説明等を聞いてみますと、むしろこれは国際的なもので、根は東南アジアのようなところ、貧弱なところを、これはもちろんアジア民族として協力すべきであるが、同時に商業的に考えれば、南米その他があるのですから、しかもコマーシャル・ベースでいくということになれば、むしろ私は日本の関連産業発展させるのが主たる目的になると思うのです。であれば、むしろこれははなはだ私は僣越だけれども、定款に者外国、ことにアジア諸国と技術協力をやるというような、こういう言い回し方は、これは私は日本は非常にアンビシャスである、向こうはコマーシャル・べースでいく、こういう今日の彼らの持っているセンスというものは非常にデリケートです。  これは単に商売だけではありません。私どもは国際会議に参りまして、ジュネーブに十六日間おったけれども東南アジアの諸国に対しては、特に東南アジアの新興国家に対しては、彼らのナショナリズムとプライドをそこなわぬよう細心の注意を払ったものです。これは今日の国際会議の常識なんです。ですから、そういう二ュアンスから見ると、私はむしろこういうようなことは、英訳なんか出さないでしかも思い切って、会なんていうものは弱いものですから、むしろカンパ二ーということにした方がよい。七千万円くらいの資金では実際問題として何もできやしない。これは、あなた御存じだろうけれども、ユ二テルというテレビのマイクロ・ウェーブのコンサルタント・カンパニーがありますが、私の知っている限り、その会社のメンバーは五名です。あとは職員が三名くらいしかいない。しかしこれくらいの勢力でイランやイラクのテレビの問題に取り組み、あるいは日本を基点としてグローバル・マイクロウェーブ・システムを作ろうという策動をしたくらいでありまして、それの背後にはメーカーが全部直結している。ですから、表面はむしろ技術的なコンサルタントである、もうアメリカ、イギリスと対等にやるのだという、コンサルタント・カンパ二ー名義でもう少し伸縮性のある活動をする。それは通産省あるいは外務省あるいは電電公社、国際電電等の半官半民会社がこれをバツクアップする。むしろ商社の方が取前線に立つということにいたしませんと、はなはだ私は失礼なことを言うようだけれども、かつての日本主唱大東亜という悪夢を東南アジア諸国に印象づけて、非常に向こうの感情をスポイルしちゃう危険がありますから、多分にその危険があるということをおそれるものであります。私は政治家にも会っておりますから、この危惧が非常にあるということを十分私は痛感したのです。この点から考えまして、今せっかく近藤君から言われたようなことで、これはむしろ私の方も全面的に協力します。しかしながら、世界の国際市場というものは、今日におきましては特に辛くなってきております。問題はサービス、質の問題、それから支払いの問題、これはやはり一民間会社等ができるものじゃなくて、どうしても政府がこれに対しての長い目で見たバツクをする、これは絶対に必要です。これはわれわれの責任です。そこで、私はこういったようなアジア通信協力会歴史的には電電公社が背負い切れぬからこういうものを作った。これは私はまたいいと思うのですが、ですが、さらに竿頭一歩を進めて、もっと国際的に見るような——東南アジアは貧乏国であり、非常な、ソ連圏あるいはオランダ、イギリス、アメリカ、この渦中へ入っていって、東南アジアは、われわれがアジア人だからということだけでは、なかなかこれはわれわれに対してのフェボラブルな条件というものは生まれてこないということを私は確信いたします。でありますから、これからいよいよ事業をおやりになるなら、そういう甘い考えでなくて、むしろ視野を広げて、むしろ国際的な協力会社であるとかコンサルタント・カンパニーであるとか、ですから外部的に申せば、むしろこういう会じゃなくてカンパニーでやる。これはヨーロッパにおきましても、こういう国外的、国際的にはカンパニーのものが非常にふえたということは御存じだろうと思うのですね。これはやっぱり必要性があってそういうことになったのですから、せっかくこれから発足されるにあたって、私はよけいなことを言うようにお感じになるかもしれぬけれども、これは私の国際的な一つのセンスから考えまして、決して甘いものじゃない。ことに東南アジアの諸国に対しましては、われわれはむしろ非常にコーティアスな態度をもっていかないと、非常に感情的になっておりますから……。ということと、それから先ほども申し上げましたが、アラブのテレビ放送網の入札に失敗したということは、これは日本メーカーに対する非常に大きな教訓だと思います。これを教訓としないで、従来のように、たとえばバンコックにしましても、カラチにしましても、カルカッタにつきましても、電気通信業者は、私の知っているのは三社ぐらいで競争している。こういう態勢では、とても日本のマーケットは向うではアラター・サービスという点から考えても信用しないし、そういう根本的な条件を、こういうものをおやりになれば、これこそ根本的な条件であって、これの整備、あるいは何といいますか、改善なくしてやりますと、いたずらに政治的にとられちゃって、しかもいかにこれは何が何であろうとも、向うはコマーシャル・ベースであるということになるのですから……。  それから先ほど申し上げましたように、ベネズエラでのスエーデンのエリクソン会社とアメリカのRCAの競争状態を見ますと、現在電電公社あるいは国際電電、あるいはメーカーの方もそういうことがあると思いますが、そういうものを将来買うだろうというところであれば、やはり少なくとも数年かかって長い目で見て、そういうものを引き寄せる方策を講ずる。東芝なら東芝、日本電気なら日本電気の製品操作を修得させて、一つのファミリヤリティを持たせる。そうすると、かえって東芝がいいとか、日本電気がいいという、人情といいますか、自分がなれておりますから……。こういうところまで気を配っておるということを、これは日本もそうやっておりますが、これはもう少しあなた方の団体でそういうあっせんをするということが、長い目で見れば、結局日本がそういう方面のマーケットを獲得し得るという条件になってくるのですね。ですから、こういうようなことも、私はもとよりそういうことも考慮に入れておられるだろうと思いますが、今回南米諸国を見て、ベネズエラの現状を見て、どっちを買うかということになれば、結局なじみの深い方を選ぶことになる。この事実を見て、しかも結局今日の国際貿易については、なまやさしいことじゃいけない。ブラジルでドイツがなぜああいう成功をしたかというと、これは非常に企画的であると同時に、外務省や貿易省、業者が一体となって来ている。これが私はドイツの海外工業進出が非常に計画的で成功しているゆえんだろうと思う。ですから、あなたの方でおやりになろうとなさることも、いろいろバツク・グランドの条件を整理して、それをあなた方のやらんとするようなルートに乗っけないことには、これは口頭禅に終わってしまうということは、これは私は火を見るよりも明らかだと申してもいいと思うんですね。ですから、幸いこれは、あなた、責任者としておられるし、それから通産省の政務次官もおられるのでありますから、この点は、もう政府、民間、力を合わして、非常にせちがらいこの国際マーケットに、値段だけで対抗するというようなもう時代じゃないんですね。しつこいようですが、この点を私一つ申し上げて、今後のこの協会発展をすることは、これはわれわれも協力しますが、問題は、推進力であるあなたなり他の幹部諸君が、そういう目を持っておやりになりませんと、なかなかこれはぶつかってみて辛いものだということになっても、もうこれはツー・レイトですから、私のことに最近感じていることを、御参考といえば御参考になるかわかりませんが、一言申し上げておきます。
  33. 近藤儀一

    参考人近藤儀一君) 今非常に貴重な御意見を伺いまして、私どもも、今の御意見の中でも、そういう覚悟をしていろいろ準備をしておることもございます。しかし、非常に鞭撻される御意見で、けんけん服膺してやっていきたいと思っております。なお、今後も、先ほど来また申し上げまするように、国策として、民族の将来のために、時にかかわらず、時々いろいろの御指導、御鞭撻をいただきたいということを、この機会に切にお願い申し上げます。  それから名前の問題でございまするが、アジアということは狭い、お説の通りでありまして、先ほど来、私どもが今後やっていこうとする調査団の派遣につきましても、アジアに限定いたしておりません。ただしかし、これを発足するときに、今の山田委員の御意見のように、世界にしようとか、国際にしようとか、いろいろ御意見がありました。そこで、まず、まあ世界とか、そういうことは、仕事の内容はそうだけれども、一応まあアジアを中心とするということでいこうじゃないかと、こういうことになったんでありまするが、これが世間に発表されましてから、今山田さんのおっしゃったように、アジアに直接しているということでないのにアジアじゃだめじゃないかと、こういう御意見を非常に各所から回っております。これも検討いたしまして、まあ御意見のようなところ、ほかにもたくさんございまするから、検討して善処したい、かように考えております。今後とも一ついろいろの御鞭撻をいただきたいということをお願い申し上げます。
  34. 山田節男

    ○山田節男君 今の近藤さんの、このアジアという、これもまあ戦後の一つのもう常識のタームになっているんですけれども、エイシアということは、これはもう今日では国際用語としては、責任のない文書には使うかもしれませんが、たとえば今回の、郵政大臣も行かれたITUの問題にしましても、いわゆるもうエイシア・アフリカですね。エイシアとはもう言いません。非常に、これは一体どこをエイシアというんだ。ですから、わざわざ、イースト・サウス・エイシア、東南アジア——サウス・イースト・エイシヤという言葉は、大体今あなたのおっしゃったような、カラチからこっちの方、日本までのことをサウス・イースト・エイシアと言うんですね。ですから、これを英語なんかにしなくって——エイシアという言葉をお使いになっても、これは非常にばく然としたものです。これはわれわれにはわかるんですよ、アジアというのは。しかし、今日もう、国際会議場における一つアジア・アフリカというものは、これはもう一つのレジョンに見ているんです。ですから、そういうことからも、少なくとも一九六〇年に存在する協会であれば、アジアという言葉は非常なオールド・ファッションです。のみならず誤解を受けます。  それから、私の知る限りにおいてはビルマとかタイ、インドネシアとかは、こういうことでアジアという言葉を使いますと、あまりいい気持を持ちません。これは私、実際コングレス・マンとして行ったので、いろいろな場合の感じですから。ですから、放送協会アジア放送会議というのをやった。これは非常に私がアジァストしたんですけれども、しかし、このエイシア・グロードキャスティング・コンファレンスのときに非常に文句を言ったのはインドネシアです。ですから、こういう非常にフィーリングの問題というのは、やはり看板ですから、そういう点をやはりお考えになりませんと、われわれはもうアジアといえばわかるような気がするけれども、これはヨーロッパ人、アメリカ人が見ると、アジアというものに対しては異様な感じを持っているということは、それだけのセンスを持たないのです。それが看板なんです。これは私も、ちょっと今あなたのおっしゃった気持はわかりますが、外部に出した場合のフィーリングの問題がどうなるかということを、デリケートですから申し上げた。むしろ国際何々とされて、その中のアジアあるいは南米、こういうふうにされることは、これはいいでしょうけれども、看板にそういうアソシエーションであるとか、ソサエティーであるとかいうような、アジアという名前を使うことは、この際私はこれはむしろ国策としても考えるべきであり、のみならず、今日の常識的なタームとしたならば、もうこれはそれは非常に陳腐なものである。少なくとももうヨーロッパ、アメリカではそういうような言葉は使いません。こういう点を一つ私は特に御注意申し上げます。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 もう参考人の方はけっこうでございますから、いろいろお仕事お急ぎのようですから、お帰り下さってけっこうです。  この機会に通産省にもう少し最後的にお聞きしておきたいのは、まあ最近の、このお出しになりました、アラブ連合共和国のテレビ放送網建設の国際入札の問題もそうでありますし、それから、これはもうわれわれが反対もし、今問題になっております南ベトナムの電気通信施設に対して公社がこれに協力した、こういう問題もございます。事のよしあしは私ここでは論じませんが、その際も大体公社が出ていって測量をし、設計をし、建設工事は電電公社がやるとか、あるいは民間がやるとか、機器メーカーの製品の輸出と合わして、日本はこの期待をしておった、こう思うのですね。これは私たち反対の立場ですから、その論議はおきますが、ところがせっかく測量をし、設計をし、その報告書を米軍に提出したところが、急遽テレビ・アソシエートが肩がわりをして、さらにその再調査をする、こういうような問題も最近起きているようなんです。これは、特にアラブ連合の場合は、内田さん御承知通り、たしか日立、日電、東芝ですか、だと思いましたが、この三社がきわめて熱心に協力をして、二十八社ですね、世界の二十八社と伍してこの入札に加わり、御指摘の通りこれは一番先に落札をしたのですが、こういった問題も、現地の土田駐アラブ連合大使等もかなり協力をしたようであります。で、相当有望であったということが、結果的に見るとひっくり返ってしまった。こういうようなことが、どこに原因があるのか。これは官民ある程度一体になって力を結集して当たったのですね。にもかかわらず、急遽そういうことが出てくることがどこにあるのか。内田さんも御指摘になったように、二億ドルの借款をやるとか、あるいは延べ払いの金利の問題にしても、期間の問題にしても、かなり有利にしてやって、そういうアメリカのアラブに対する経済協力という、日本の国ではできないような大きな芝居を打って、そしてその中から有利な条件をこの業者がかちとっていく、こういう姿が出てきていると思うのですね。これはある人に言わせると、もう国力の差で、どうしようもない。こういう意見も端的に言っている人もあるようでありますが、私はそういう面から言っても、もう少し日本が、先ほどから話のあったような、ほんとうに国が積極的に出ていって、そしてもう少し日本技術振興に協力できるような態勢を作ってやることが、やはり欠けているのじゃないかと思うのですね。ですからこういう点について、通産当局として、今後ほんとうに積極的に私はやっていただかなきゃならぬと深く信ずるわけです。そういうふうに考えるわけです。  これらについて、このアラブの問題等に端を発して、最近どうも日本が後手々々に回されてしまう。しかもその技術が悪い、値段が高いということならまた話は別でありますが、世界の各国に伍して決して負けないだけの技術を持っておる。製品を持っておる。そういう国が、政策的にどうも工事ができないということは、きわめて国民立場からとっても残念なことなんですね。せっかくの機会を逸せずに、もっと有利な条件でできるだけ政府考えて、これから相次いで起こるであろうこの諸国に対する協力をやっていただかなきゃ私は困ると思うのです。それらの点について、最後に一つ内田政務次官のお考え方お尋ねしておきたいと思います。
  36. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 海外経済協力の問題でありますが、これは御指摘のアラブにおけるテレビ放送網入札の失敗というようなことも、私どもは非常に遺憾に思いますが、こういうことも含めまして、日本の将来の経済機構を発展させるためには、どうしても通常の貿易であるとか、あるいは国内需要ということだけでは、これは所得倍増計画も達成できない。通産省におきましても、全省をあげて海外経済協力施策をいろいろと打ち出しております。ところがいろいろ財政的に困難な条件がありまして、通産省の思う通りに実行できないような状況でありまして、遺憾に思っております。  大体御指摘のように日本技術は非常にいい、あるいはまた商社も勉強して、入札価格などにおいては当分上げないというようなものもたくさんあるのでありますが、今日競争諸国は、単に価格とか技術の面に加えまして、これもお話がありましたように、支払い条件とか、あるいはそれに抱き合わせの国家的なクレジットというようなものがこれについて回りますために、その画におきまして、非常に大切な機会を失しておるということを、私どもはしばしば感じます。さらにまたそういう面をはずしましても、延べ払いの条件等におきまして、今の輸出入銀行のあり方というものだけでは、とてもそれだけの面をとりましても、国際競争に打ち勝てないというようなことで、これは通産省と大蔵省と種々折衝したり、あるいは議論をしているのでありますが、輸出入銀行の手続とか延べ払いの期間とか、あるいは頭金とか金利とかいうようなものにつきまして、さらに弾力性ある措置を要求いたしております。だんだんこれらも逐次改善の画もあります。地域によりまして延べ払いの期間というようなものを、あるいは頭金というようなものを、一般的に認められた範囲よりも緩和するような措置もぼちぼち認められております。これはたとえば中南米とか、あるいは中近東方面に対しましては、他の地域に対しますものよりも、ある範囲で条件の緩和をようやく認められるようになってきております。しかし他面、国内の経済を考えてみますると、生産は非常に旺盛になってきております。国内消費だけでは追いつかない。もしこれを商品クレジットの格好で海外諸国に提供をして、その代金を現地通貨で現地に貸し付ける。よってもってプラント建設なんかの際に、所要とする現地資金をそれでまかなうというような方法が講ぜられるならば、日本国内における、かりに肥料を例にとりましても、そういう日本の国内では生産過剰である、普通の入札競争では、これもいつも御承知通り負けて帰ってくるというようなものを、現地通貨クレジットというような形でやり得るならば、肥料としても生意過剰になるようなことはないし、また国内の農民の消費価格というようなものも引き下げられる。現地においては、プラント輸出などに伴う現地所要通貨をそれでまかなえるような有利な条件ができるわけでありまして、そういうような機構として、先ほどもちょっと触れました海外協力会社のようなものを、輸銀とは別に作って、これに財政資金も導入をする、あるいはこれは私の個人的構想かもしれませんが、従来見返り資金などで重要産業といいますか、当時の重要産業、今日ではどれが重要産業ということはありませんが、貸し付けられたその回収金というようなものも、できるならばそういう新しくできるその海外協力株式会社というようなものに、見返り資金の回収金というようなものもぶち込むというような方途もとりまして、輸銀と二本建で経済協力が、外国との競争において負けないでできるような態勢を作る方法はあるまいかということで、ただいま案を立てまして、来年度予算折衝の時期でありますから、大蔵省にも持ち込んでいるような状況であります。しかし、客観的にかなりむずかしい状態でありますが、しかしそういう案を持ち込まれることによりまして、輸銀の機能とか、あるいは輸銀の提示している諸条件の改善というような大きなことになることも事実でありまして、それらの方面に今後どうしても努めて参らなければならないと思います。まあ通貨、金融の問題でもありましょうけれども、結局日本に余っている物資を供給をして、そうしてその地域における原材料の資材の開発をして、そうしてそれで日本で余った物資を供給した代金を受けて参る。現地の資源を開発するための施設としては、プラント輸出をどんどんどうしても必要とするのでありますから、それは輸銀の機構等でやって参る。こういうような、単に今の海外協力会というものを、輸銀だけの窓口一つでやってもらうということでなしに、それと抱き合わせの方法をぜひ考えるというような案を起こしているわけであります。  いずれにいたしましても、きょうお話に出ましたような輸出のうちで、これから日本が先進国として非常に大きな割合を占めなければならないのは区々たる雑品の輸出ではなしに、やはり相当のまとまったプラントというもので、輸出の質、構造を変えて参るということが大切でありますとともに、日本輸出先でありますような地域は、低開発地域が多いのでありますから、それらの地域の経済水準も上げてやることが、今後日本の経済の繁栄にもなろう、こういうような見地から、それぞれ研究もし、努力もして、成果を期して参りたいと、かように考えております。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 きょうは大蔵大臣の御出席をいただきたかったのですが、御出席を得られませんでしたが、これは通産当局の基本問題ですからね、海外貿易振興の。ですから通産当局のそのあなたの私的な考え方も含めて、いろいろ構想は披露されましたが、結局これを本格的に実現できるかどうかということが、やはり財政の面とからんで、なかなかあなたの方でやろうと思っても、大蔵省ではうんと言わぬという点があろうと思うのですね。私はそういう御構想も一応御構想と思って承っておきますが、問題は、あなたが最初に指摘されておったように、国力の差ということだけで片づけないで、やはりもう少しアジアアラブあるいはアフリカ方面、あるいは全世界的にこの友好親善を深めて、そうして日本ができるだけ接触して、日本の実力というものを十分身をもって感得させる、そういうこともあわせて、これは啓蒙になるかもしれませんが、国際親善の面からも、そういうことも十分お考えになって参りませんと、せっかくできたものがまた宙に浮いてしまうということになると思います。しかしいずれにしても、ここは非常に重大な問題でありまして、ただ単に電気通信関係の問題じゃなしに、日本の全産業に通ずることでございます、お話し通り。ですからこれは国民が非常に期待をしているところでもありましょうし、また政府としても、そういうところに道を開くことが、国際交流、日本との交流の道になると思うのですから、一つぜひ今の御構想をできるだけ早く実現していただいて、日本の貿易振興がさらに伸張し、今後期待に沿えるように伸びていきますように、私は強くこの際内田政務次官にも期待をいたしまして、お願いいたしまして、一応この問題は終わりたいと思います。どうもありがとうございました。  それから委員長、須藤委員との質疑の関連で、多少時間が延びておりますが、きょうは総括的にこれらの上に立って、郵政大臣に私は対外通信政策はいかにあるべきか、これは保留にもなっておりますので、お尋ねをして、質疑をかわしたいと思いますが、非常に時間ももうお昼過ぎておりますので、きょう私は午後もし時間がありましたら、さらに質問さしていただくことにして、もう一つ電電公社の方にちょっとお尋ねしたいことがありますので、その点だけ、一つお伺いすることにして、午後は、須藤委員の前の質疑の継続をしていただいたらどうかと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  38. 柴田栄

    委員長柴田栄君) よろしいです。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 総裁にきょうおいでをいただきましたが、私は、実は郵便の問題とあわせて、年末年始を控えて電報電話の疎通について、国民がかなり心配をしておる点もあると思いますが、幸い、この年末手当等の問題については、全電通労働組合と妥結をされておるようでありますし、私も昨夜来の情勢を伺って承知をしておりますが、これで私はまだ問題が根本的に解決しておるとは思わないのであります。さらに労使ほんとうに相協力して、国民の負託に沿って、スムーズに年末年始の繁忙期を切り抜けていく、こういう態勢をさらに確立をしていただきたいと念願をする一人であります。  そこで、最近の公社の労務政策の中で、一つ指摘をしなければならないのは、公労法に基づく団体交渉権というものはある。交渉単位もきまっておる。それぞれの交渉委員会における権限もおのずから定まっておるとは思います。しかし最近の公社のやり方を見ておりますと、たとえば現場の分会と局長との間で団体交渉をするような場合でも、権限事項ということを非常に高く振りかざして、団交を拒否するような状態が出てきておると私は思っております。これはなるほど権限外、内ということがありますから、非常にむずかしい点ではあろうと思いますが、しかしそこに働いておる職員が、局長に対してこういうことはこうしてもらいたい、そういう要望を出し、希望を出し、それを話し合いをするということは、私はあってしかるべきだと思うし、また当然やらなければならぬと思うのでありまして、あまり交渉権限内とか外とかいうことにこだわって、団体交渉がうまくいかないようなことでは、非常にこれはまずいことだと思います。そういうことが結局本社段階の指導によってやられておるのか、あるいは通信段階の指導によってやられておるのかわかりませんが、もう少し柔軟性のある団交というものをおやりになって、これは交渉権外であればその交渉委員会を通じて、これはこういうのでありますから、この交渉委員会においては解決ができません。従って、皆さんの御要望を十分に上に伝達する、そういうくらいのことは、私はやってしかるべきだと思います。ところが、その辺が非常に窮屈になって、団交問題がこじれて、いろいろのトラブルが出ますが、私はそういう労務政策に対する考え方については、何回かここでも総裁の御意見も伺ってきたわけでありますが、心配する点がそこいらにあるのではないかと思いますから、これらの点について、一つお答えをいただいておきたいと思います。
  40. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 労務対策の公社の態度につきましては、ただいま鈴木さんのお話しのように、前にも何回かお答えをいたした通りでありまして、その考え方については現在でも変わっておりません。ただ具体的に、ただいま御指摘になりました権限外のことについて団体交渉がどうかということであります。これは権限外のことといえどもお話しのように、希望として、その権限のない局長でありましょうけれども、とにかく一つの現場の長でありますから、その局員が希望を申し述べて、権限のある上の方の機関にお伝えをしてもらいたいというようなことは、これは私は団交じゃなくて、希望を開陳せられることだからかまわぬと思いますけれども、ただそれが団体交渉の一つの重要な項目として、ぜひこれに対するお前の考えを言えということを言われても、それは局長に対しては無理な要求だと思うのであります。ですから、これは交渉せられる方も、希望する点と交渉の点とは、やはり区別して、一応申し述べられても、それは取り次ぐということを言えば、それでその問題は解決していただくと、割合に早く妥結するのじゃないかと思います。ところが権限外の行為でありますと言っても、とにかく個人的意見でも言えとか何とかということで、長くこいつを引っ張られると、自然いろいろ交渉ももつれるということもあるわけでありまして、先般来格地域でだいぶんそういう問題がありますので、私どもも中央の各組合の執行部の方に対して、その点も文書でもって先般申し入れをしたこともあるのであります。その点で、私どもの趣旨は組合の幹部の方にもよくわかってもらっておると、自分の方では考えておるわけであります。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 これはここで詳細な考え方を聞こうとは私は思いません。もちろん団体交渉事項であるかないか、いろいろありましょう。しかし、接触の場面というものは、総裁御指摘のように、やはり持っていただいて、そして言い分は十分聞いて、私はこれは権限外であります、従ってこうしますというような、そういう道を閉ざされるようなことがいろいろの行き逢いの過去の経過から出てきます。それで、組合は怒ってすわり込みをする、警官が出てくる。こういうことはあまりありませんが、たまに私は耳にするわけであります。これは非常に残念なことでありまして、もう少しあまり拘束せずに、ある程度自主性というものを持たしてやらせるような方法を運用の中でやっていただいたらどうかということなんです。そうでないと、これは具体的になって思いのですが、たとえばあるところで一つの問題が交渉に上って、団交事項であるかないか、権限があるかないか論争もあったのですが、とにかく話し合いをやろうじゃないか、そういういきさつがあったにもかかわらず、情勢が変化したということで、一方的に過去のいきさつはどうあろうとも、一切局長と会わせないというようなことを強硬に主張する労務管理者もいるわけです。そのためにいろいろ各段階においては問題はあったが、組織的に解決するから一つ待ってくれと言って、組合員をむしろなだめながら、団交で解決しようとすると、地方本部が、公社の情勢の変化によって会えないということによってふみつぶされる。これはお互いに話し合いをしようじゃないかということで、そこで中断される。それは私はやはり公社の方がまずいと思います。そういういきさつがあれば、やはり会って、どういう意見があるかを聞いて、そして公社の方の意見も述べていくということになれば、微妙なトラブルも起きないで済みます。そういうことも現実にはあるわけであります。だから総裁は一々全国の情勢を知っておるかどうかということは、職掌がらそうこまかいことまでおやりにならないだろうと思いますが、副総裁なり、また局長なり、労務課長なりおられますから、そういう方々とも十分連絡をとっていただいて、少なくともそういう幅の狭い、団交というものをできるだけ回避しようという思想だけは、私は持ってもらいたくないと思います。
  42. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 個々のいろいろの実例につきましては、私どういう実例をさしておられるか存じません。まあいろいろの場合があろうと思います。しかし大体の根本考え方は、先ほど申し上げましたように、団体交渉というものは、一局なら一局を代表する現場の長が解決し得る問題はそこで話をつける。解決する権能のないものは、それぞれ権能のあるところで解決しようということで将来はやっていたたかぬと、いたずらに紛糾が多くなって、お互いにまずいことが起こるのじゃないかということを考えておりますので、私どもむろん希望を申し述べ、上局へ取り次げということまで聞く耳持たぬということを申し渡すつもりは毛頭ございません。しかし組合の方でも、権限のないことで、私ども意見を申し述べる権能はないから、私ども意見を申し述べることは差し控えたいと言っても、ぜひ意見を何でも言えということで詰め寄られては、話はめんどうになるばかりだと思いますから、その点はあっさりと取り次ぐと言ったら、満足していただいて、上局の方へ話を持ち込んでいただくということが、将来スムーズに団交を進めるゆえんじゃないかと思います。
  43. 鈴木強

    鈴木強君 私は、根本問題が一つあるのです。ですから公社の第二次五ヵ年計画の拡大修正を私たちが拝見しても、定員措置にしても、やっと私どもが何回かお願いして、不承々々ながら一つの構想が出てくる。それから合理化に伴う配置転換ということも、具体的な労働条件に関係することであっても、たとえば実施の時期が三十六年、早や目にその計画を示して、それに対して組合の方にも協力してもらうようなこともどんどんやっていかなければならぬと思うのですが、公社には、合理化施策で電話をつけようということはなるほどはっきりしている、資金を調達しようじゃないか……。ところが具体的な労働条件の向上の中に、その合理化というものをやっていこうということは、これが基本理念ですが、そういう大事な問題が公社にないのです、率直に言って。そこに本社の管理者といえども、各末端の管理者といえども、少なくとも事業がこう拡大し、こう伸張していく場合に、それに対する合理化施策はこうだ、労働条件に対してこうあるべきだという基本政策がないのじゃないですか。少なくとも管理者自体に、上から下まで、合理化についてはこういう思想でいくのだということがはっきりして、それが伝達されておれば、ある程度しゃべっていいか、悪いかということも、個々の問題はあるでしょうが、そういう労務政策といいますか、基本的な問題が影をひそめている。自民党さんにいわせれば、それは公社でやるといっている。公社でやらなければならぬでしょう。それらの問題について、たとえば中継機械化について改式になってくる、その事業がどっちを向いてどういくのだ。それからどんどん事業が開始されてくる。人が余る。その人をどう配置転換するか、あるいは場所を変えて職種転換をしなければならない、こういうことも出てくる。そういう問題に対して、もうちょっと私はこうあるべきだという基本方針公社自体がお作りになって、組合の幹部でも、指導する場合に、公社はこうなっていく、従ってこういう施策の中でわれわれはこういうふうに協力するのに、ここはまずいからこうやるのだ、こういうことが言えない。だからどこへ行っても行き当たりばったりです。電話がふえるそうだが、待遇やその他の問題についてはどうなっていくのか、公社の七年間の歴史というものはちゃんとみんな知っています。そこらに経営者自体も確信を持って各末端の経営者が、一日々々の仕事に専念できない。組合も、そこに働いている職員自体も、やはりいろいろな心配を持ったまま、どうなっていくのか、非常に危惧している。定員法だけとってみてもそうじゃないですか。先般指摘しているようになされていない。定員は大蔵省で切られてしまう。それは結局専従職員のオーバー・ワークによってやらなければならぬ。それは宿命といえば宿命かもしれませんが、そういっては済まされない。そういう点は十分整理されて、この方策についてはこうあるべきだという基本方針を立てていただかなければ、お互いに事業を扱っている者として、確信を持った前進はできないと私は思うのです。そういう点が非常に欠けていると私は思う。政府はどうか知りませんが、大蔵省あたりは、われわれからいえば不当な予算に対する介入なんかもかなり出てきている。公社を作って、給与総額をきめて、定員をはずしてみた。基準外基準外なんていうて、あなた方の給与額の中でやり得るものまで閉ざされてしまっている。そういうことで従業員に協力してくれといえますか。公社法にいろいろな介入をし、自主性を失うようなことまで政策的にどんどん入ってきて、あなた方自身も冷静に考えてみれば、それは弱ったものだと思っているに違いない。私たちの五つの労働協約を結ぶ際にも、あれだけお互いに苦労して、あれだけ合理化はこらあるべきたということでやったそのときに、実際は経営者の諸君でもみんな泣いている。その上にああいう成果をあげたにもかかわらず、ああいう仲裁裁定によってやめたというような、ほんとうに皆さん、責任をもって従業員に協力してくれということを言えるのですか。公社になったら多少待遇がよくなっていくし、一般的に見て事業が伸びるという道を開いてやるならいいが、そうじゃないでしょう。そういういろいろな過去の歴史考えてみたときに、もう少し私は、郵政大臣もおられますが、公社の自主性を尊重して、公社総裁がやりたいと思うくらいのことは、やらしていくような道を開かないで、何のために公共企業体にしたのかわからない。みんな希望を失っています。そういう片方の基本的な大事な問題が抜けておって、そうして今合理化に協力せい、こういうような姿は、私はとるべきでないと思う。  各国の合理化の歴史的な経過を私たちが勉強してみても、非常に慎重な配意を経営者がしてくれている。時代の趨勢に伴って合理化され、オートメーション化される必然性があるのですから、それに対して労働組合としても、われわれとしても、絶対に反対なんかできない。それをどうやるかということが、労使のほんとうに話し合いの中で、理解の中でやられていくのですから、その政治的な配慮が抜けているのです、率直に言って。それで、少しやれば弾圧をして、それであっちにもこっちにも処分者を出す、こういうことでは、私はほんとう電電公社の事業が国民の期待に沿って発展するとは思えません。ですから、それらの根本問題についても、もう少し公社の、こうあるべきだという施策国会にも示していただきたいと思うのです。
  44. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 合理化に伴う人員問題等につきましては、これはもう鈴木さんもすでに御承知通り、先年、合理化に伴う組合との間の協定ができまして、それに基づいて、将来の合理化に伴う仕事のやり方について、すでに話し合いができておるわけであります。将来の施設計画ということについては、あらかじめその計画の内容を、組合の方にも説明をいたし、協議をいたすことになっております。また、将来、それに基づいて施行さるべき人員の配置転換なり、あるいは職種転換ということについても、それぞれ協定を遂げて、ただ一方的にのみやるつもりはないことは御承知通りだと思います。ただ、その結果が、必ずしも組合の百パーセントの満足を得られない場合が往々にあるということは、これまた事実だろうと思いますけれども、私どもとしては、できるだけのことをやっているつもりでありまして、今後といえども絶対に失職者を出すことはやらないことは、当時、すでに協定の中にも了解を得ておるはずだと思います。今後といえどもその方針に従って遂行していきたい。ただ、さらに現在の公社法を改めて、いま少し自主性を持たしたらどうかという御意見は、先日来いろいろ承っておるのであります。これも一つの御意見として、私どももごもっともと思う点もずいぶんだくさんあるのでありますが、これは必ずしも電電公社だけの問題ではないので、他のいろいろなものとの権衡なり、いろいろな問題で、政府としても踏み切り得ないことばあるのではないかと思います。今後、いろいろ御理解を深めて、できるだけ私どもとしては、自主性のもっと持てるような方向に進むということが望ましいことだと考えております。
  45. 鈴木強

    鈴木強君 労働組合の間に一つの協約があり、それに基づいてやるのは、これは当然でありますが、しかし、その運用についても、かなり国会でも問題にしておりますように、明示された日限までになかなかその計画が上がってこない、そういうようなことも現実にあるのです。だから、そういうことは枝葉末節的なことであって、私の言いたいのは、たとえば管理者の皆さんの立場考えてみても、指令一つで、あなたの命令によって動くでしょう。年々四月ごろになると、定期異動をやるわけです。そういう場合にも、全国的に私たちが回ってみて、行った課長さんが、自分の住む家がないというような状態がかなりある。最近かなり家を建ててくれているようではありますが、非常に気の毒なんです。いいあんばいに買い上げる宿舎があれば、公社でやっているようでありますが、それでなくて、遠くから通ってみたり、あるいは間借りをしたりしている。だから、これは配置転換で行くのと違って、命令でいくのですから、そういう人ぐらいには、最小限度どこへ行っても自分の住む家ぐらいは提供してやってしかるべきだと思う。それ自体が今十分にやられてない。だから今の公社法でかなり自主性があるのです。そのある自主性がだんだんだんずされて、元の木阿弥となりつつある。だからわれわれは、まずその公社立法の精神に立ら戻ってもらいたい。そして現在の公社法の自主性を守るとともに、また七年たってさらに事業も拡大し、運営の中で、いい点、悪い点というのがある程度整理されてきたのですから、悪い点はよくなるようにある程度直していくというその配慮をやはりやらなきゃならないと思う。もちろんこれは公社法の問題ですから、郵政当局の手に移ると思いますけれども、しかし本家本元の公社がこうあるべきだ、あああるべきだという考え方をはっきり出さないと、なかなかできないと思うのです。そういう点は、立場があるからわかりますよ、準政府機関ですから、ほんとうにあなたが腹をかためてぶつかっていくということでないとこれはためだと思いますね。だから現在の公社法の自主性自体がくずれちゃっているのだから、それをまずもとへ戻すようなことを考えると同時に、もう一歩基本問題についてもやりやすくなるような方途を積極的にこれは考えていかなければならぬと思う。われわれはこの前の委員会にも言ったように、次の通常国会には具体的に出すと言っているのですから、あなた方も準備を進められていると思うのです。これらはやはり問題を整理しておかぬと、あなた方の方の労務対策といいますか、基本的労働条件というものに対してこうあるべきだという姿もなかなか出しにくいということはわかりますがもう少しあなたの御所管の円満な運営をやられるためには、一つ施策考えなければだめです。計画の方で示してみても、裏づけになる労働条件、待遇等の問題が明確にアッピールしてこないと、これはお互いに協力できないと思う。そういう点をもう少し勇断をもって総裁にやってもらいたいということをこの機会に言っているわけですよ。
  46. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) それはいろいろ御趣旨を承りまして、十分私ども今後考えたいと思いますが、先ほどの住宅の問題につきましては、やはり私の方でも住宅の将来に対する五年計画なりというようなものを立てて、社宅の計画を進めております。ただしかし、やはりなかなか予算なり何なりの制約がありますし、なかなか思う通りに運ばぬので、従業員のほんとうの満足まではもちろん現在至っていないと思います。今後といえども十分その点は努力するつもりではおります。
  47. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 午前中はこの程度にとどめ、休憩いたします。午後は二時から開会いたします。    午後一時三分休憩    —————・—————    午後二時十五分開会
  48. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまより再開いたします。  午前中に引き続いて質疑のある方は順次御発言を願います。
  49. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私はこの前の委員会におきまして、電電公社に向いまして資料の提供を要求したわけですが、いまだ私の手元には資料が届いておりません。その点につきまして総裁から説明をいただきたいと思います。
  50. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) お答え申し上げます。この前の当委員会で御要求のありましたベトナム関係の報告書の提出を求められたわけでありますが、さらにもう一度取り調べて返事しろというお話もあります。その後引き続いて関係の各課を綿密に調査いたしました。報告書は依然としてございません。まだはっきりいたしません。なおこれに関連する覚え書とか下書のようなものでもないかというようなことで、あわせて調べたのでありますが、これも見当たりませんので、提出するわけには参りません。この点御了承を願いたいと思います。
  51. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、大橋総裁は非常に謹厳な正直な方だと同僚鈴木委員から承って、私もそうであってほしいと思っておるのですが、今の答弁を聞きますと、どうもそれが何と申しますか、そうでないというふうにただいま印象づけられたわけです。あるけれども、米重との関係で出せないならば出せないで、私は正直に答えていただきたい。あるものをない、こういうふうな答弁というものは私は国会を侮辱するものだと思うのです。重ねて私は大橋総裁に尋ねますが、あるものならある、あるけれども出せない、こうはっきりお答えしていただきたい。私が資料の提出を要求したのは、あるという確証を持って私は要求しているのであって、あなたが帰られてから公社内をくまなく探したとおっしゃいますが、くまなく探してあったから、金庫の奥底の方にしまい込んでしまった。また、くまなく探しても、ほんとうに探してないというなら、おそらく探していない証拠だと思うのです。私はあるという確証を持って提出を要求したのですから、もう一度はっきりとその点お答え願いたい。それでないと私の気持は釈然とすることができない。
  52. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 報告書を作ったことは、これは作ったことは間違いありません。作って契約の相手方である調達庁の方にそれを出したということも事実でございます。しかしながら、現在その報告書なるものは存在しない、調べてもない、はっきり申し上げます。
  53. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そういうことは常識上言えないことだと私は思うのです。それはもちろん依頼を受けた報告書は米軍に提出するのは当然です。しかし二百二十日、日にちをかけ、電電公社の幹部を十六名派遣して調査した貴重な資料です。その資料を紙一枚残さないように、何の記録もとどめないで全部アメリカに返してしまうというようなことは、これは常識で考えられないことです。そういうことをしたらよけいにおかしいと思うのです。そういうことは世間通用しませんよ、総裁。幾らあなたがそう言い張っても世間はそういうことを信用しないんです。私はあなたが総裁として世間が信用しないような答弁をすることを残念に思うんです。だから、ある。確かに調査もしたし、見積もりもした。しかしそれはアメリカ軍に資料として提供した。しかしこれはアメリカ軍との約束で外部に出せないという事情があるから、国会に提出できないならできないと、資料はちゃんと金庫の奥にしまってあります。どこにも出さないということでしまってあるから、どうか国会に出すことは許してもらいたいと、こういうようにはっきりおっしゃればいいけれども、今のようなそういうものの言い方では、これは世間通りませんよ。常識のある人が聞いたら皆笑いますよ、実際。電電公社は何しているんだということになります。そんなばかなことは、どこの会社でも——どこの会社が調査を依頼されましても、その会社にはあるんです。資料というものは残っておるんです。一部や二部はちゃんと残っておるのがこれが慣例です。電電公社だけにその慣例を破っていいということはないはずです。重ねてもう一ぺん私は電電公社大橋総裁に正直な答弁を願いたいと思います。不正直です、あなたの答弁は。
  54. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 重ねてのお問いでありますからお答え申し上げますが、調べましたけれども発見いたしません。
  55. 鈴木強

    鈴木強君 議事進行について。総裁の御答弁は須藤委員も了解できないというように判断されるのは、私もごもっともだと思うのですよ。これは副総裁、どうですかね。今のように調査をする場合に向うとの約束で調査完了したときの報告書というものは一切そのまま向うへ引き渡すと、そういう約束でやっておるとすれば、公社がそういう写しとか控えとかというものを公社に置くことは、契約上から見て違法になるわけですね。違法というか、違反されるのですから。そういうことで公社にないんだというのなら、これはわかるんだ。総裁答弁は、そういう須藤委員の一番言おうとするところに対して何にも触れていない。それは不親切な答弁ですよ。私は議事進行上、おそらくそういう契約になって作った報告書は一切向うへ提出すると、控えは置かないんだと、こういうような約束になっていたんじゃないかと私は推測しているんですよ。それならそれではっきり答弁してやりなさいよ。調べたがわからないというのじゃ、前提になる根拠がはっきりしない。ないと言ったってこれははっきりしない。これは副総裁どうですか。
  56. 柴田栄

    委員長柴田栄君) その問題に関しては、先に資料、調査報告書は全部向うへ出すということであるからないのだという御説明はございましたが、さらに明確にするために、必要なら総裁からその辺の経緯をはっきりと御説明いただいたらどうかと思います。
  57. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 調査した資料、図面、その他報告に関するものは、契約の条項によりまして、相手方のアメリカ軍の所有に属するということが契約のうちにあるわけでありますから、それに基づいて向うへ提供しているわけでございます。
  58. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この見積書がここに資料として出せないというところに、この見積書の性格があるわけです。これが単なる民間の調査とか、そういうものならばそういうことはないと思うのですが、アメリカ軍が全部奪ってしまって、そうして国会にまで提出することのできないような状態に……。実はあることはあるのですが、ちゃんと電電公社のもしも調査をするなら、必ず出てくるのですが、それをあくまでないと言い張って、ここに出せないという、そこに私はこの調査の、報告書の性格があると思うのです。これは明らかに出せないということだけ見ても、これがいかに重大な内容を持っている報告書であるか、いわゆる軍目的のためにやった報告書であるということがここで私ははっきりすると思います。  私はこれから順を追うてその問題にも触れていきたいと思いますが、ここで私はもう一度確認をしておきたいと思いますが、この前の委員会大臣及び総裁が認めたところによっても、契約の相手方は在日米軍調達部ということです。わが国の政府機関の一部である電電公社が、在日米軍調達部と契約を結んで、南ベトナムの通信施設現地調査団を派遣した。こういうことはこの前も大臣も認められ、総裁も認められたと思いますが、もう一度あらためてこの点をはっきりと確認しておきたいと思います。どうぞお答え願います。相違ありませんか。
  59. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 御質問の点は御指摘の通り考えます。契約の相手万は米軍の調達部といいますか、それが相手であります。
  60. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大臣は……。
  61. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 全くその通りであります。
  62. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは次に電電公社が在日米軍調達部と契約して、晦ベトナム、その他外国にまで出かけていき、このような工事を調査し、設計し、建設することができるという法的根拠はどこにあるか、一つ大臣並びに総裁からお述べ願いたいと思います。
  63. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 公社法第三条第二項——その通りでございます。
  64. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 第三条第二項でありますか。
  65. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) そうでございます。
  66. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ただいま大臣から御答弁になりました通り公社法の第三条第二項によりまして公社ができると、かように考えております。
  67. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 公社法第三条第二項、それは私も読んで存じておりますが、そのうちの「逓信大臣から委託された業務」云々の規定に従ってなされたということでございますか。
  68. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 第三条第二項の「公社は、前項の業務の円滑な遂行に妨げのない限り、逓信大臣から委託された業務及び委託による左の業務を行うことができる。」と、こうありますが、その後段の「委託による左の業務を行うことができる。」というこの条項によってやったことであります。
  69. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃあその左の条項というところを一つ具体的にお示しを願いたいと思います。そのどこに該当するのかお述べ願いたいと思います。
  70. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) その第一号の「電気通信整備の設備及び保存」と書いてありますが、その条項によってやっておることでございます。
  71. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 郵政大臣その通りでございますか。
  72. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) その通りであります。
  73. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 郵政大臣からは、在日米軍調達部と契約して、外国に出かけて、軍事建設を行う業務を包括的に委託されているのかどうか、個々の場合に委託されるのかどうか、一つお答えを願います。
  74. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 郵政大臣から委託された業務ばかりではなく、他から「委託による左の業務を行うことができる。」という第三条第二項の後段によって調査いたしたのでございます。
  75. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この「左の業務を行うことができる。」という四項目の中に、第一号の「電気通信設備の設置び保存」ということによってなされたと言いますが、この中に、アメリカ軍の委託を受けて、そしてアメリカ車を相手として契約をして、そして海外にまで行っていいという意味合いはどこにもないです。どういうふうにこれを解釈して言っておるのですか。
  76. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 調達部とその件について契約してはならないとか、あるいはまた、これが国内でなければならないという禁止条項がございませんので、公社のやりました今回の調査行為は合法だと考えます。
  77. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それはあとにしますが、この南ベトナムの場合は、大臣から委託されてやられたものですかどうですか……。いや、総裁からお答え願いましょう。
  78. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) これは、大臣から委託を受けたわけではありません。調進本部から、公社だけでなしに、その他の十社ばかりの商社あるいはメーカー等を呼びまして、それで入札をやらせたのであります。その一員として公社が参加をしたと、こういうことになっております。
  79. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この公社法の今言う「逓信大臣から委託された業務及び委託による左の業務を行うことができる。」、こういうことです。あなた、大臣から委託を受けないという答弁です。おかしいじゃないですか。大臣から委託されたときこういうことができる。それにもまだ問題がありますが、大臣から委託されないでそういうことをやる権限がどこにあるのですか。
  80. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) これは、条文が、初めは「逓信大臣から委託された業務」というのはなかったのです。これは最近になって、昭和三十三年の法律第七十四号というものになって追加されたのです。私ども公社入札に参加したのは三十二年でありますか、当時こういう「逓信大臣から委託」云々ということがない時代のものでありまして、そのときの条項でありますから、逓信大臣からの委託によってやったものでないことだけははっきりいたしております。
  81. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そのときの条項をちょっと読んで下さい。
  82. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) ただいま総裁が御説明いたしました通り、そのときに「逓信大臣から委託された業務及び」という字句が加わったのでありまして、その前のときの三十二年にはそれだけの字句がなかったのであります。なぜそういう字句を加えましたかと申しますと、御承知のように、郵便為替法の改正によって、電信為替証書またはそれにかえ為替金に相当する現金を通信文とともに受取人に配達する、そういう問題について郵政大臣から郵便為替の仕事をわれわれの方が委託を受けるというためにこの条文ができたのでありまして、三十二年当時はこの「委託された業務」というのはなかったのです。だから、先ほどから御説明いたしますように、公社がやりましたのは、「前項の業務の円滑な遂行に妨げのない限り、委託により左の業務を行うことができる。」、こういう条文に基づいて当時のベトナムの調査を行なったわけであります。
  83. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 「委託により左の業務」というと、だれから委託を受けると理解するのですか。
  84. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 法律には、その点についてだれから委託を受けた場合に限るとは制限がないわけでありまして、その本来の業務に妨げがなければ、だれから委託を受けてもやれると、一応そう解釈するのが法律の建前だろうと思います。
  85. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、アメリカ軍から委託を受けてもできるという理解であり、そして軍事施設でもできるという理解ですか、公社は。
  86. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 法律そのものの解釈といたしましては、別に妨げはないのでありますが、あとそれが妥当であるかどうかという問題はまた別問題であります。法律そのものとしては、だれはいけないということとは、特にここに書いてないわけであります。ただ、それが公社本来の業務の円滑な遂行に妨げがないかどうかというところに問題があるわけであります。
  87. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 公社法第一条「公衆電気通信事業の合理的且つ能率的な経営の体制を確立し、公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進し、並びに電気通信による国民の利便を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的として、ここに日本電信電話公社を設立する。」、これは公社の憲法だと私は考えるのです。だから、公社仕事というものはこれから逸脱してはいけないと思います。ところが、あなたたちは、そういう法の逸脱をして勝手気ままな解釈をして、この公社法の第一条の精神に反したように外国まで出かけ、しかもアメリカ軍との契約によって半施設調査や設計、そういうことをやつて、見積書をアメリカ軍に提供する。こういうことは、公社の精神に反しておるじゃないですか。そういうことをやってよいということがどこに書いてありますか——副総裁やめなさい。せっかく総裁が見えているのだから。
  88. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ただいま御指摘の通り公社の主たる目的は、第一条に掲げてある通りであります。これが本体であると思います。ただ、その本体の仕事の円満なる運行に妨げのない限り委託を受けて他の業務をやることができると、かようにこの三条で許されておりますので、この三条の規定によって今のようなことをやっておるわけであります。
  89. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、どうでも法を解釈して、そうしてアメリカ軍の軍施設であろうが何だろうが、外国まで出かけて公社がそういうことを仕事をしていいというんですか、あなたは、どうですか。
  90. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 法律的の解釈としては、先ほど私申し上げた通りと心得ております。ただ、これがいよいよ適用される場合に、業務の円滑なる運用に妨げがあるかいなか、その他妥当なる状態にあるかどうかということになりますと、それは個々のケースによって考えなきゃならぬことになると思います。
  91. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、道義的な意味においても伺っておるのです。戦争のあと、平和を憲法の精神としておる日本公社、それが外国まで出かけて、そうして外国の軍隊と協力をして軍事施設調査、見積り、設計、そういうことをして、それでよいものかどうかということです。どうですか、今後もそういうことをやると考えておるのですか。
  92. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 私どもの今日までの考えといたしましては、事務に支障のなき限り、他に特別にこれをやってはならぬという制約のない限り、法律的にこれはやり得ると考えております。
  93. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それはあなた、非常な間違いですよ。憲法違反ですよ、憲法の精神に。憲法第九条を読んでごらんなさい。国の公吏たる者がどういうことを考えてこれからやっていかなきゃならぬか、憲法第九条をちょっと読んでみて下さい。
  94. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 憲法第九条は、条文の字句そのままでなしに存じておりますが、ただ、先生のただいまのお話の、法律的に解釈した場合に、この相手方が制限されておるかどうかという問題が一つあるわけでありますが、法律そのものとしては、それは相手方を特に制限はいたしていないわけであります。ただ、先生の御質問のうち、ちょっと又になるのは、外国へ出ていって純軍事施設を作って、それで差しつかえないのかと、こういうお話がありましたので、その点は、本件は、軍事施設としての調査をわれわれとしては委託を受けたのじゃないのであります。その意味で、あとは問題は、この業務の円滑な遂行に妨げがあるかどうかということでありますが、本件調査につきましては、これは通信でありますので、もちろん軍にも使われるかもわかりませんが、民間にも使われる、そういうことが前提になっての調査とわれわれ理解いたしております。現に、そういういろいろな設計上の向こうの要望も、そういうことを裏づけるような調査になっておるものでありますから、そういう意味におきましてわれわれとしては判断いたした。それからなお、外国へ行っていろいろ仕事をしていくことが、第一条の目的並びに第三条第一項の本来の業務の妨げになるかどうかという点につきましては、われわれの国内の通信事業について妨げのない範囲のことに判断いたしまして私たちはいたしたわけでありますが、その点につきましては、私たちも、われわれの方の総裁判断に加えて、郵政の監督大臣の御意見も伺って、この国内の業務の円滑なる遂行には妨げはないと、こう判断していたしておるわけであります。
  95. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたたちは憲法の第九条の精神が身についてない証拠ですよ、そんなことを言って、平気でのさのさと過せるということは。日本は戦争に介入しないという憲法を持っているのです。それならば、軍事目的に使われるような工事には携わるべきではないのです。そつう言うと、あれは軍事目的じゃない、民間のためだ、こういうふうにあなたは言いのがれるでしょうが、私はここで一つ文章を読んでみますから、大臣一つ御説明を願いたい。これは国語の試験ですよ。ちょっと聞いて下さい。これをどういうふうに理解するんですか。あの報告書の中にこういう一項があるんです。「その一環として、ベトナム国の東海岸沿いの各都市を連係する」、この短波ですね、「超短波計画は軍事用としてのみならず、公衆通信用としても通信状態の改善に役立つものと考えられる」、こういう一項があるわけです、ちゃんと。総裁は帰って金庫の中から一つ見積書を出して読んでごらんなさい、ちゃんとこういう一項が書いてあるんだから。この超短波計画は「軍事用としてのみならず」です。軍事用ということが最初に出ているのですよ。「軍事用としてのみならず、公衆通信用とし」も通信状態の改善に役立つものと考えられる」、これはどういうことでしょうか大臣、どういうふうに理解していいんでしょうか。
  96. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 軍事用のみならず一般的のためと、さように解釈いたします。
  97. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、やっぱり軍事用と、はっきり理解できるんでしょう。軍事用の目的を持っておるということは、はっきり理解できるんでしょう。どうですか。
  98. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 軍事用にも使え、民間用にも使う意味に解します。
  99. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 今のこの文章からいうと、「軍事用としてのみならず」——軍事用の方にバランスが重いんですよ、比重が。ただ、それを逃げるために、軍事用のみならず公衆用の通信用としても使える。だから軍事用に使うということが大きくバランスがここにあるわけです。さっき総裁は、私たちは軍事用に使われるようなことは知らない、公衆用としてわれわれは考えていた、こういう答弁ですが、ここに明らかに「軍事用としてのみならず」、ちゃんと文章に表われているんじゃないですか。これをどう理解するのですか、総裁ちょっと答えて下さい。
  100. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 私は実は報告書を拝見いたしておりません。先ほど申し上げましたように、私は就任以来、以前の報告書でありますから存じませんが、かりに、今のお尋ね通りでありましても、通信施設のことでありますから、先ほど副総裁が申し上げました通り、あるいは重事用にも使われる部分もありましょう。また、通信新聞用にも使われる部分もありましょう。公衆用に使われる部分もあるわけです。それはあらゆるものに使われるだろうと思います。これは軍事専用のものではないということだけははっきりしています。
  101. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは私も認めているのですよ。しかし、それがただ言葉の上で、私がこれから、あとからずっと質問していくと、言葉だけであって、実際は軍事目的のみに使われているということははっきりしてくるんですよ。しかも、これが、あなた、もし中学校の試験問題に出たらどういうふうにこれを説明するんですか。「軍事用のみならず」、軍事用にやるのが目的なんです。しかし、軍事用のみではないんだ、これは公衆用にも使えるんだと言いわけしてあるだけなんです。比重は軍事用に大きいわけですよ。それがわからないで、あなた落第生だ。国語の知識がないと言われても仕方ないですよ、あなた方二人とも。中学校の生徒を引っぱってきて、これを解釈さしてごらんなさい。どちらに比重があるんだと言ったら、軍事用に比重があると答弁しますよ。
  102. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 原文を引用の場合には、その訳し方のちょっとしたところに非常にニュアンスがあると思います。原文をちょっとお示し願いたい。報告書は、アメリカの財産——プロパティと書いてある。財産として下書きに至るまで、一切アメリカ軍に提供せよということで契約し提供してしまったから、私の要求であっても、また、大臣が研究用に出せと言われても出せない、ということを総裁からお聞きしておるのですが、もし、そこに原文がほんとうにおありならば、原文を、国語の試験でなく、英語の試験をしていただきました方がけっこうと存じます。
  103. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大臣よ、総裁、あまり恥ずかしい名前を残しなさんなよ。あなた方、そんなことを言って通るものじゃない。みな笑っておるじゃないですか。そんなにまでしてアメリカの利益を擁護しなければならないんですか。大橋総裁日本電電公社総裁ですよ。植竹さんは日本政府大臣ですよ。何で日本の憲法を無視し、じゅうりんして、そうして、のめのめとベトナムまで出かけてこんな調査をして、しかも、ここに臨んで、なおアメリカを守るために、日本の国会議員を偽らなければならぬのか。何でそんな情けないことをするんですか、あなた方。それは名を恥ずかしめるものですよ。そういうことはしない方がいいです。私はここで契約番号を申し上げましょうか。契約番号はDA九二、それから五五七、それからFEC、それから二六六九一、これが契約番号です。ここまではっきりしておるんです。その中の一項に、今私が申し上げたような項があるわけです。「軍事用としてのみならず、公衆通信用としても通信状態の改善に役立つものと考えられる」、明らかにこれは超短波計画というものは、軍事用としてこれが始められたものだ。それでは、ちょっと体裁が悪いから、公衆用に使えるのだとつけただけにすぎない。日本の国語から申しましたならば、そういうふうに理解する以外に理解の仕方がない文章です。どうですか。それでも、なお、あなたは前言を翻さないんですか。今まで通りあなたは主張するんですか、恥を忍んで。どうですか、もう一ぺん答えて下さい。
  104. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 先ほど申し上げました通りでありまして、通信施設の性質上、軍事にもむろん使われるでありましょうが、一般の商業用、その他、あらゆる用途に使われるものと心得ております。
  105. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、軍事に使われるようなものを何であなた、調査に行ったんですか。電電公社が、そういう憲法の精神に違反して軍事に使うということが明らかなのに、何で行ったんですか。それは憲法の精神に違反するんじゃないか。大臣どうですか。日本政府はそういうことをしていいんですか、憲法を守らなければならぬ立場にある人が。
  106. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 一般目的のために行きますことは差しつかえないと存じます。そこで、一般目的と申しましても、通信施設のことでありますから、あるいはそれを軍事に使う場合もあり、時としては風水害等、非常の事態に使うことも、軍人がそれを使うこともございます。警察目的のために使うこともある。民間の商用に使うこともある。いろいろな多目的に使用することは、確かにできると存じます。それは通信施設に限りませず、いかなるものでも、あるいは小刀が凶器にもなり、軍事用にもなり、また平和目的にもなる、こういったことと同じように、通信施設も、民間で使いますときは民間用になりますし、軍事目的に使うときには軍用になろうかと存じますので、その意味におきまして、私は、公社のいたしました行為は合法的である、合憲的である、さように解釈いたしております。
  107. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大がいにして下さいよ、大臣。聞いている方が恥ずかしくなりますよ、全く。「軍事用としてのみならず」——軍事用ということは初めから明らかにしているんじゃないですか。最初から目的は軍事用だということははっきりしているんです。「軍事用としてのみならず」、それをですね、公衆用に作ったものが時には軍事用にも警察用にも使われる。そんな逆転さしちやこれは話にならないです。明らかに今度のこの調査というものは、この文書から見て、軍事用目的最初からの目的としてやられたということは明らかです。もういかにあなたたちが抗弁しても、それは通りませんよ。軍事用として目的を確かめて、その通り私は理解するし、おそらく聞いていらっしゃる同僚諸君もそういうふうに理解するだろう。  そこで私は、もうそういう恥ずかしい答弁をいつまで聞いておってもらちあきませんから、次の質問に移ります。ここで質問したいのは、在日米軍調達部が、わが国の政府機関の一部を外国に動員する権限は、どういう法的根拠によって与えられておるのか。説明をしていただきたい、大臣に。
  108. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ちょっと済みません、もう一ぺん。
  109. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 在日米軍が、わが国の政府機関——いわゆる公社のごときものですね、一部を外国に動員する権限は、どういう法的根拠によって与えられておるのかどうかです。
  110. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 御質問が非常にむずかしいものですから、どう了解してよいかわかりませんが、要は、先ほどの法的の問題と同じことだと思います。要は、在日米軍調達本部が、ベトナムにおけるVHFの無線通信設備のための測量調査をやってほしい、それはだれがやるか、われわれの方も、公社もやりましょうということで、公社もその入札に加わったわけです。それに基づいて契約が成立した。で、契約が成立したから公社が出ていったわけでありまして、公社を米軍が動員したわけじゃなくて、契約に基づいてわれわれが出張いたしたと、こういうように了解いたしております。
  111. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先ほどの公社法の第三条の第二項に、あれに従って米軍と契約をして、そしてのこのことまあ出かけられたと、こういうことですか。
  112. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) のこのこというか……。(笑声)、まあ出かけていったわけであります。
  113. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 行政協定を調べましても、どこを調べましても、米軍が日本政府機関を外国まで引っぱり出すという権限はないはずですよ。だからそれを、公社が米軍の依頼を受けたからといって出かけるのは、全くナンセンスです。のこのこ出かけたと言われて、も仕方がないような性質のものなんです。どういうふうにその米軍のそれを理解している。米軍にそういう権限があるとあなたたちは理解しているんですか、いつも。どうなんですか、大臣一つ説明して下さい。
  114. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 先ほどお答えしなかったのは、動員という言葉がよく耳に入りませんでしたのでお答えしなかったんですが、横田副総裁のお答えで御理解いただけると思います。  それからまた、今の私への御質問につきましては、これは契約上の事項でございますから、コマーシャリーに契約いたしましても、この公社法の字句から考えまして、違法ではない。公社がやりました行為は合法的であり、従って是認さるべき行為である、さように考えます。
  115. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、あるいは行政協定の中の合同委員会の細目取りきめによってされたのではないだろうかと思って、きょうその細目を提出を要求しました。ところが、公社はそれを出すことはできないといって、その細目すらも国会に提出することを拒否しておるわけです。ですから、私の疑いはまだ晴れません。あるいはその行政協定の細目の取りきめの中に、るるそういうことが秘密協定としてされておるのか。日本の憲法の精神を踏みにじり、行政協定を逸脱したような、そういうことが含まれておるのではないかという疑いを私は今日まだ持っておるわけですが、まああなたたちが、公社法の第三条第二項によってと言うならば、まあそれをそのまま承っておきましょう。しかし、それにしても、日本政府がアメリカ軍の要請によって、軍事目的調査のために、日本政府機関海外に派遣するという権利はないはずです。政府にないはずです。もしもあるならば、その法的根拠を一つ大臣答えて下さい。
  116. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) これは先ほど申し上げましたように、商行為として、コマーシャリーに契約が成立いたしましての行為でございまするから、これはアメリカから動員、強制——動員といえば強制でございましょうが、動員されたものではなく、全く契約によった行為でございますから、合憲であり、合法である、さように考えます。
  117. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 コマーシャルなら、なぜ米軍を相手にするのですか。
  118. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) これは民間と軍との間にも商行為というものは成り立つので、また政府機関におきましても、いかなる自然人、いかなる法人でも、商行為は禁止れているところではございません。
  119. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それならば、公衆施設のためなら、なぜ軍と契約するのです。軍事目的でないならば、なぜ軍と……。
  120. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) これは当時のベトナムの事情といたしまして、こういうふうに、公衆マイクロの調査というふうに、非常な高度化された知識と技術とを必要といたします場合には、ベトナムの当時の事情といたしましては、民間に適当な技術者を見出すことができないで、軍はこういったような高度化されました通信施設についての研究も積んでおるし、取り扱いもなれておるので、そうして軍がベトナムにおいて契約の任に当たった、かように報告を受け、その報告でもって私たちはこれは合法的な公社の行為であったと、さように認めております。
  121. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先に進みましょう。この実地調査の前提になっておる在日米軍調達部と電電公社の契約です。私はそのものが不正不当なものと考えます。こういうことはすべきことじゃない。このように契約そのものが不正不当なものでありますが、さらに実地調査の個々の内容を具体的に検討しますならば、この調査が全くの軍事調査であることは一そうはっきりしてくるわけです。だから、少なくとも行政協定も、一切の法律も無視して、強引に今のようなむちゃくちゃな解釈、公社法の第三条第二項によっても、そういう解釈はできないはずです。それをそういうふうにゆがめて、強引にやらざるを得なかった、こう私は考えます。公社は、私が要求しました資料を提出してくれません。それで私は、私の調査した資料に基づいて質問しなければなりませんが、しかし私は政府が一冊も残っていないと称しているその報告書の順序に従って逐次一つ質問していきたいと考えるわけです。  総裁も、それから副総裁も、この調査が、契約がなされたときには在任していらっしゃらなかった。ここには黒川さん見えているのですか……。あなたはえらい若いな、おれはもっと年寄りかと思った。(笑声)黒川広二さんが見えて、調査団長だったのですか。
  122. 黒川広二

    説明員黒川広二君) はあ。
  123. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 団長として黒川さんも見えているから、一つ細部にわたって、もし総裁が答えることができなかったら、一つ黒川君からお答えしてもらいたい。まず第一、在日米軍調達部と契約したのは一九五七年六月二十八日、報告書を提出したのは翌年、五十八年の二月、そう私たちは理解しておりますが、間違いありませんか。
  124. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 契約をしたのは三十二年六月二十八日でございます。報告書を提出いたしましたのは三十三年二月四日。
  125. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 二月四日ですか、間違いありませんね。
  126. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 先生の方の資料はどちらから出ていますか。
  127. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そんなこと答弁の限りじゃないでしょう。これは甲賀流の忍術で、伊賀流の忍術で手に入れた資料でありますから。その次に実地調査の期間は全部で二百二十日間、それを三段階に分け、その第一段階では六十日にわたって現地における予備調査を行ない、第二段階は実地調査で百十日間を要した。このあと五十日間にわたって日本国内で設備の方式の決定や報告書の作成にあたったはずだと思いますが、間違いがありませんか。
  128. 黒川広二

    説明員黒川広二君) ただいまのお話でございますが、調査に当たりましたのは昭和三十二年の八月の三十一日に参りまして、帰りましたのが三十二年の十二月八日でございます。
  129. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでその三段階に分けた……。
  130. 黒川広二

    説明員黒川広二君) 調査のやり方といたしましては、先発隊が現地の事情を初め調べまして、あと十五、六人でございますか、人数が本調査を実施した。そして帰りましてから報告書を書きまして、先ほど副総裁からお答えいたしましたような日にちに提出したということでございます。
  131. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 僕の調査正確でしょう。副総裁どうですか、図星でしょう。
  132. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) そんなこと別に何も証拠にも何にもならない。
  133. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは次に参ります。公社調査団は総勢十七名、うち専門技術者は十六名、通訳が一名、団長が黒川広二氏と、そういうふうになっており談ずが、間違いありませんか。
  134. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 十八名でございませんか、そちら。
  135. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 十七名ですね。
  136. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) こちら十八名になっておりますが。
  137. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 十八名か、それじゃ一人ふえた。それじゃ名前を聞きます。あとで名前を聞くところありますから。黒川氏外十七名ですか、総勢十八名ですね。
  138. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) ええ。
  139. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ次に参ります。契約金は幾ら、実際にかかった金は幾らか。私たち聞くところによりますと、四万ドル、千五百万円程度だと聞いておりますが、どうですか。
  140. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 四万二千七百三十二ドルでありまして、邦貨三百六十円に換算いたしますと千五百三十八万三千五百二十円です。
  141. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そして実際にかかった費用はどのくらいかかったのですか。
  142. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 実際にかかった経費は千五百十八万七千百五十円です。
  143. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 じゃごくわずか黒字であったということですか。
  144. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) そういうことでございます。
  145. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 十八名も出かけて、そしてまた国会でこんなにやっつけられなくちゃならぬことを、わずかな利益でやったということは、日本電電公社、なんとまあ人がいいのか、間が抜けたのかということになるのですがね。結果的に見ると。
  146. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 間が抜けたと言われますと、ちょっとこちらも抗弁させていただきたいのです。実はけさ方からいろいろ話がありましたが、先生が先ほどから軍事々々とおっしゃいますけれども、われわれはほんとうに軍事と思っておりません。のみならず、この通信というものが、南方方面において電気通信というものがもちろん軍にも使われますが、そのほかにも使われるので、汽車に軍人も乗れば一般の人も乗るのと同じことでありまして、軍の通話も運びますし、一般の通話も運ぶわけでありますが、この調査日本が出ておくということが、今後日本のいろんな海外通信の機器輸出あるいは日本通信のシステムというものが外国に出ていく基礎になるわけでありまして、現にこれが、——これはVHFの調査でありますが、現にVHFのわれわれの調査が基本になりまして、この通話では足りないものでありますから、今後これを一つの参考にいたしまして、なおこれを進めた調査が現に進行いたしております。それによってこのVHFだけで足らぬでマイクロに変わっておりますが、その後この調査一つの基礎になって、現在もっと大きなベトナム将来の通信の根幹になるような調査が進んでおるように聞いております。そういうよらな意味におきまして、われわれはこういうけさほどからいろいろ話がありましたが、通信機でもやはりシステム・エンジニアということは一番大事なことでありまして、こういうシステムとしての調査ということをいたしておくことが、私たちは日本のために非常に大事なことだ。しかもこれは公社以外にするものが現段階においてほかにないという、われわれとしては誇りと自信をもってやったことでありまして、その辺については御了解を願います。
  147. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これはまた繰り返さなければなりませんがね、副総裁。先ほど私が引用した何で、それなら公衆用の目的で行ったのならば、それがあるいは電事用に使われる場合もあるかもしらぬがと、こういう答弁ならば、何でこの報告書に「軍事用としてのみならず」というような言葉を使うんですか。こういう言葉を使っていることは、軍事用として行ったんだということは明らかになっておるんじゃないですか。これは非常にあなたたちいかに抗弁してもそういうことが言える。それから今後まあ自分たちが進出する場合に、まさかもう一ぺんあの辺出兵するというようなことは考えていないだろうと思いますけれども、もしも進出するために資料として必要なんだというならば、全部見積書から何から資料を全部向うに渡してしまって、公社には紙一枚残っておりませんというのが、あなたたちの今の答弁じゃないですか。ところが紙一枚残っておらぬということはない。ちゃんとそこに残っておるでしょう。そういうばかなことはありません。実際資料にするのならちゃんと残しておくことが当然じゃないですか、見積書も。そこら辺違うじゃないですか。
  148. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) だいぶおしかりを受けましたが、実はその「軍事用としてのみならず」という、それがどこか私もよくわからないのですが、おそらく英文でナット・オンリー・バットだと思いますが……。
  149. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ここにありますよ、ちゃんとあなたの方で翻訳した本が。
  150. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) だから御質問したのですが、それはおそらくナット・オンリー・バットだと思うのです。ナット・オンリー・バットとボスというのは私は同じだろうと思うのです。幾分の差があるくらいのことで、軍事通信にも使われるけれども、それは民間通信にも使われる。これはほんとうのところ通信の本質でありまして、これは先生笑われますけれども通信に携わっておる者といたしましては、むしろこれは常識なんです。だからこれが軍事的な連絡にも使われるし、民間連絡にも使われる。これがむしろ通信の本質でありまして、その点は先生はわれわれの常識を非常に疑いますが、まあわれわれとしてはそう考えておるわけであります。ただ、先生があまり公社というものがだらしがないように言われるもんですから、ついまた抗弁いたします。
  151. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ああ、よろしい、何べんでも抗弁して下さいよ。それじゃそういうことにこだわらないで、次に、調査団協力した外国の機関はどことどことですか。アメリカ——私たちが理解しているんではアメリカ極東軍司令部とアメリカ軍事顧問団、それから南ベトナムの陸軍である。こういうふうに私たちは理解しておりますが、間違いありませんか。
  152. 黒川広二

    説明員黒川広二君) ただいまお話のMAAGと、それから在日米軍調達本部と契約いたしましたことと、なお、現地のPTT、軍信電話主管庁も、当然これに協力していただいております。
  153. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 今まで明らかにされたことによりますと、契約相手の方は在日米軍調達本部、現地で指示を与え、調査の実施並びに援助し、協力したものがアメリカ極東軍司令部、アメリカの軍事顧問団、南ベトナム陸軍、そうして調査報告書は、在日米軍調達本部に提出された。こういうことが明らかになりましたが、そのほか、この調査関係した外国の機関はあるのかないのか、お答え願いたい。
  154. 黒川広二

    説明員黒川広二君) ただいま申し上げましたように、ベトナム国のPTT、これは、向うは公共土木省に属しておりますけれども、電信電話をやっておりますところのPTTが協力してやりました。
  155. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 こういうふうに、私が今まで述べましたことについても、一から十まで軍当局の手で、これが行なわれたということは明らかです。民間団体ではない。すべて軍関係当局でやられたということがはっきりして参りました。  この調査で果たしたアメリカ極東軍司令部の役割は、どういうものであるか、説明をしていただきたいと思います。
  156. 黒川広二

    説明員黒川広二君) ただいまの御質問でございますが、極東軍司令部というお話は、先ほどのMAAGの問題でございましょうか。——極東軍司令部というのは、私たち直接……。
  157. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 AFFEです。MAAGじゃない。マーグは、軍事顧問団でしょう。だからAFFE、アメリカ極東軍司令部です。
  158. 黒川広二

    説明員黒川広二君) アメリカ極東軍司令部には、連絡したことはございません。現地のマーグ及び現地のPTTと連絡をとって、現地では調査をいたした次第でございますが、なお、ベトナム軍の陸軍が、——これは私の方の理解するところではないのでありますが、——車両その他をアメリカ政府が提供するということになっておりまして、その結果、実際はベトナムの軍の自動車をアメリカ政府が貸してくれたという状況でございます。
  159. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 君は知らぬらしいね。知らなければ、僕が教えてあげよう。AFFEより四人の人が参加した。一人は、ローター・バッハという大佐です。それからダンバー中佐、アドラー大尉、フォーツ氏、この四人がAFFEより参加しております。ちゃんと報告書に書いてあります。もう一ぺん、帰ってごらんなさい、しっかりと。
  160. 黒川広二

    説明員黒川広二君) 私、今の名前を伺いますと、それは、現地ではなくて、こちらの在日米軍調達本部の人たちのように記憶いたします。
  161. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 僕は、現地とは言っておりませんよ。この調査で果たしたアメリカ極東軍司令部の役割はどうか、こう言っている。  現地で果たした役割を、僕は質問しておりません。どうですか、その点。
  162. 黒川広二

    説明員黒川広二君) それで、報告書を提出いたしましたのが、座間でございますので、座間で、その現地の報告書を説明しました人たちの中に、そういうダンバーという人が、確かにおったように思います。あとの人は、覚えておりませんけれども、その点は、ちょっと名前が外人でございますので、確認はできません。
  163. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 黒川君は、詳しいことは記憶にも残っていないだろうし、また知らないのか、わからないのか……。  それから、マーグには、どういう人たちが参加しましたか。
  164. 黒川広二

    説明員黒川広二君) MAAGには、中佐が一人と、少佐の人と、おも立った人は、二人いたと思します。
  165. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その通り。ローズ中佐、スニード少佐の二人です。  それから南ベトナムの陸軍からの参加者は、どういう人ですか。七名参加しています。
  166. 黒川広二

    説明員黒川広二君) ベトナム人の名前は、非常に特殊な名前でございまして、はっきり覚えておりませんが、通信隊の大尉及び運転手、先ほど申しましたように、自動準その他を提供を受けましたので、自動車の運転手と、あるいは現地では、中継所の敷地の選定のために山間部に入りますので、護衛等も必要でございますので、そのための兵隊がおりましたけれども、名前は今のところ、ちょっと覚えておりません。
  167. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、私が教えましょう。クオン大佐、ティーユ少佐、ギィアオ少佐、ディユン大尉、ラン中尉、マイ少尉、テイエ准尉、これだけの七名が、それに参加しております。  それでは、その次はアメリカ極東軍司令部、アメリカの軍事顧問団、南ベトナム陸軍が果たした、それの役割を説明して下さい。あなたは、現地へ行ったんだから、知っているはずです。
  168. 黒川広二

    説明員黒川広二君) ただいま御説明申し上げましたように、座間といいますか、横浜在日米軍調達本邦と契約いたしました。契約の条件に、現地ではマーグが指導をするからということでございましので、マーグに、いろいろなお話を聞いたわけでございますが、そのほかベトナム軍との関係でございますが、ベトナム軍との関係は、マーグが、契約によりまして、車両とか護衛とか通訳を米国政府が提供することになっておりまして、その米国政府の提供というのは、ベトナム軍から出すのだということで、ただいまお話がありましたような人と接触した次第でございます。
  169. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この調査を実施するにあたって、米市当局より与えられた指示、要求を、一つ聞かしてもらいたい。  まず契約書の仕様書に記載された事項です。次に、軍事顧問団及び南ベトナム陸軍より提示された要求並びに指示、こういう点について説明して下さい。端局は軍事施設内に置くというようなことを、いろいろいわれているでしょう。
  170. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 今のお話の、在日米軍調達本部との契約は、在日米軍調達本部が政府を代表しての契約になっておりますが、その内容について、今の目的は、よくご存じのように、VHFの通信施設のための測量調査、おもに問題の中心は、電波伝播の状況を知ることが中心であります。その電波伝播の状況とか、何回路、どことどこを結べというようなことに、大体なっておるわけであります。  しかしその内容を、先生よくご存じのようでありますが、私の方も、別に内容について“しっかえがあるものとは思っておりませんけれども、契約の相手方の了承を得ずに、あまり詳しいことは申し上げかねますが、先生のところに、それだけ入っておるのが事実とすれば、どうぞ、それで御了承願います。
  171. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まああんたは、うそを言っていないと思うのです。大体、そういうところなんですね。  それじゃ、もう一つ質問しますが、仕様書外に現地で示されたマーグ及びVRAというのが、——これが南ベトナム陸軍ですね——よりの要求が七つあります。  その中に、局舎についてという一項があります。その点を一つはっきり言って下さい。局舎についてという条項は、どういうことを要求されましたか。
  172. 黒川広二

    説明員黒川広二君) 私、団長で行ったのでございますが、だんだんこまかいことになりますと、恐縮でございますが、私は、最初の二週間と、それから最後の調査の結果の二週間だけ参りまして、実際のこまかい指示等は聞いておらないのでございますが、ただいまのお話の、私がお話し申し上げましたように、二週間おりましたとき、並びに最後の結果をマーグと打ち合わせたときの様子から申し上げますと、ベトナム軍には、特別にそういうものに対してのいろいろな要求はない、ベトナム軍がとやかく言うべき筋合いのものではなくて、アメリカ政府との問題だけでございまして、局舎についての特別どういう要求があったか、私も詳細は存じておらないわけでございます。
  173. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それごらんなさい。ね、ベトナムに——あんた泥を吐いた。えらい泥を吐いたよ、あんたは。  ベトナムに行って、ベトナムのために調査に行っているのに、ベトナムのVRAは、何ら要求も指示もしない。すべてそれをマーグからされている。それだけでも、はっきりこれはアメリカ軍のためにやっているので、ベトナムの公衆のためにやっている調査でないということは明らかじゃないですか。はっきりしてくるじゃないですか。そうでしょうが。マーグからの指示で、すべてやったのでしょう。すなわちアメリカ軍の軍事目的のために調査したいということは、それで明らかになるのですよ。
  174. 黒川広二

    説明員黒川広二君) ただいま総裁から、あるいは副総裁からもお話がありましたように、あるいは先ほどから、たびたび申しましたように、向こうのPTTに参りまして、これは公衆通信に使う、で、軍通信にも、あるいは使うかもしれませんが、その他は、通信施設でございますので、われわれは、内容のことはよくわかりませんが、契約のこととして、PTTのいなかの電話局、電報局がございますが、そういうところの将来のトラフィック、電話の需要が、どういうふうに発達していくか、そういうことまでよく詳しく調べてくれということがありました。  それから、できればそのPTTの電話施設は貧弱なものでございますから、それの改善の、どういうふうな改善をしたらよろしいかというような問題等がございます。そういうことはPTT等に開きまして、現地のPTTの人たちと打ちわせて調べたわけでございます。
  175. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 幾ら言いのがれようとしても、ベトナムのために行った、ベトナム公衆のための、巳話施設ならば、ベトナム人が主体となって、あんたたちと協力してするのが当然です。指示もそこから出るのが当然ですよ。ところがそこからは何ら指示も要求も出ないで、マーグから出た。マーグの指示と要求によって、あんたはこれをやった。視察団が調査をした。これは明らかにアメリカ軍の利益目的のためにやられている調査だということは、これは、もう明らかですよ。何といったっそれは言いのがれることはできない。どこかでボロが出てくるのです。あんたがたまたま今ボロを出しちゃった、残念なことにしょうがなし。  その七つの項目の中に、局舎についてという一項があるのですが、あなた覚えておりませんか。覚えていなければ、僕が沈んで聞かしてあげましょうか。どうですか。
  176. 黒川広二

    説明員黒川広二君) 先ほどから申しましたように、私、そういうこまかいところまで覚えておりませんし、また、先ほど申しましたように、前後二週間ぐらいの期間でございましたので、覚えておらないわけでございます。
  177. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ僕が沈んで聞かせましょう。「端局の局舎は、出来る限り軍用既設建物を利用することが望ましい。」ですよ。いいですか。「中継局の局舎については特別の制限はないが、警備及び燃料補給の難易を十分考慮する。」と、これが向こうから出した要求書の一つです。  端局は、すべてできる限り軍用施設内に置くというのです。何の目的か。軍の目的が、主たる目的だから、こういうことを言っているのですよ。これは局舎についての一つの項目です。時間もありませんから、その次に移ります。  最終的に決定した各置局地点と、その置局選定の条件をどうしたか、聞かしてもらいたい。まず予定局の数及び置局予定地点は、どことどこにしたか。端局と中継所別に説明をしていただきたい。できなければ、僕がするよ。
  178. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) ただいまのお話の中で、端局の問題、これは軍施設の中にあるかどうかというような問題につきましては、できれば電話局の上なんかというのが、簡単にいけば一番簡単ですが、御承知のようにVHFの鉄塔というものを建てるときに町の中で相当な広さが要るものですから、町の中の電話局の上に建てるというわけにいかない、そういう場合に、今のベトナムの場合というようなときは、大体治安の維持ということが非常に大切でありますし、そういうような意味におきまして、そういう、できるだけ軍事施設の中で、治安が確立されたようなところで、しかも相当の広さがあるというようなことが前提になって、そういうのが一つの条件になったのだと思います。で、それは選定の条件でありますから、そういう意味におきまして、それをもって軍事施設プロパ一とお考えになるのは、私、少し早計じゃないかと、こう思います。
  179. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 何を言いますか。もっと日本人らしい答弁をして下さいよ。この期に臨んで、まだアメリカを弁護するような、アメリカの立場を守るような答弁はよした方がいいですよ。事実ならば事実を、はっきり言ったらいいですよ。これは、私がでたらめ言ってるのじゃないですよ。これはみな、報告書の中にある文句ですよ。この一部始終は。
  180. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 私も、今それを別に否定したのじゃなくて、そういう条項があったにしても、アンテナの位置というものについては、電話局の屋上というようなわけにいかないというようなことを申し上げたので、そこから電話局との間の連絡線は、ちゃんとできるようになっているということを申し上げたのであります。
  181. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まだ質問答弁が落ちていますが、その置局の数ですね。及び置局予定地点はどこか、それから端局、中継所別に、一つそれを答えていただきたいのです。
  182. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 別にその点は、私たちも、特別にそれを言ったらどうのこうのという問題じゃないと思いますが、先ほどから申し上げましたように、相手のある問題であります。相手の方の御了承を得れば、別に発表しても差しつかえないものと思っておりますが。
  183. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 差しつかえなければ、あなた方、発表したらいいじゃないですか。あなたが発表しなければ、私が発表せざるを得ない。端局は十カ所です。一がサイゴン、二がフアン・ティー工、三がソン・マオ、四がナ・トラン、五がティユ・ホア、六がクゥイ・ノン、七がクワン・ナイ、八がタオ・トラン、九がヒュ、十がクワン・トリ、これが全部軍事施設内にある。黒川君、あなたは知ってるだろう、実際に行ったんだから。どうです。
  184. 黒川広二

    説明員黒川広二君) 十カ所でございましたか何カ所でございましたか、ちょっとはっきり覚えておりませんが、サイゴンとナトラン、ツーラン、そういうところは、これは大きな町でございますので、そうした端局は、相当ございますし、それから、先ほど副総裁からお舌がありましたように、御承知のように六十メートルのアンテナも立てる、あるいは五百ワットの出力の送信機も必要とするというふうな関係で、膨大な敷地が必要でございますので、町のまん中の電話局ということでは不可能でございましたので、平らな所に選びまして、山間部もございますが、比較的敷地のとれる所を選びまして、そこからもよりの電話局にエントランス・ケーブルを引くという設計になっておるわけでございます。
  185. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 中継所が五カ所あるんですが、それはわからぬですか、どこか。
  186. 黒川広二

    説明員黒川広二君) ベトナムの地名は、特殊でございますので、中継所もございますが、名前を覚えておりません。
  187. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ私が言いましょう。中継所は五カ所、ミュアン・ロス、リィアンホア、オンコウ、ロンタン、クワン・ラン、この五カ所に中継所が置かれているんです。黒川君、そうでしょう。
  188. 黒川広二

    説明員黒川広二君) 特殊な名前でございますので、その通りであると申し上げられないのでございますが、何カ所かの中継所がございます。
  189. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 次に、調査団が局地選定に当たって、どういう条件を考慮したのか、一般的な基準と条件を説明してもらいたい。
  190. 黒川広二

    説明員黒川広二君) 回線をどこからどこまで灯四線、電信及び電話が通るようにということでございましたので、しかもわれわれの設計いたしますものは安定度、それから雑音との関係等で、できるだけ経済的に設計するというのが趣旨でございますので、中継所はできるだけ少なくするということで、原則的に中継所を少なくし、かつ中継所を少なくいたしますと、経費が安くなりますので、しかしながらあまり中継所の数を少なくいたしますと、空中線の電力が多くなり、空中線が大きくなるというようなことから、できるだけ経済的に設計するということが電信電話のやり方でございますので、そういう趣旨で設計をいたした次第でございます。
  191. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 四つの条件を考慮して、あなたたちは置局したと思うのです。その四つの条件も、ちゃんと報告書の中に明示されておるのですね。あなた、忘れたら思い出してみて下さい。一は、軍事施設内を利用するこど、二は、交換台に近い位置であること、三が、建設、輸送が容易であること、それから四が、保安、保守が容易であること。この四つの条件で置局を選定した、そうでしょう。
  192. 黒川広二

    説明員黒川広二君) ただいまの、特別に四つがあったかどうか、はっきり覚えておりませんが、その中で保安が十分であること、最後の条件にあったかと思いますが、これはベトナム地区は、何と申しましても、中継その他で山部に参りますといろと、野獣も出るというようなこともございますし、あるいは治安もあまりよくないということで一つついておる。それからあとは、特別な問題としては、先ほど申しましたように、電信電話局舎になるたけ近いこと、これはエントランス・ケーブルが短かくなりますので近い所というのが設計の常識でございます。
  193. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 次に、各局の選定条件を聞きたいと思いますが、まず、軍事施設内にあることが置局の条件になっておる局は、どことどこですか。
  194. 黒川広二

    説明員黒川広二君) 特別に軍事基地内という制限をつけられたことは覚えておりませんですが、先ほど申しましたように、アンテナ等の関係のために、なるたけ広大な地域を必要とすること、あるいは、保安上できるだけ野獣その他が来ないような所、そういうことの条件がついておったと思うのでございます。
  195. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたは、それじゃ具体的には、どことどこと答えることができないようですが、できないですか、どうですか、できなければできないと言って下さい。
  196. 黒川広二

    説明員黒川広二君) 特別に詳しく、どこどこということを具体的に覚えておりません。
  197. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ端局のある所について、私から一つ説明しましょう。  サイゴン端局、これは場所は、陸軍参謀本部内です。フアン・ティー工端局は、陸軍管区司令部内です。ソン・マオは、通信隊キャンプ内、ナ・トランは、陸軍技術部隊所属の空地内、ティユ・ホアは、陸軍訓練所内、クゥイ・ノン端局は、陸軍技術部隊のキャンプ内、クワン・ナイ端局は陸軍管区司令部に近接する葦用地内です。タオ・トラン、これも前者と同じです。それからフユー端局は、陸軍送信局内です。それからクワン・トリ、これもひとしく陸軍送信局内、こういうふうに全部が用事施設内です。その中に置かれている、端局は全部軍事施設内にあるのです。相違ありませんか、どうですか。
  198. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 私の承っておるところによりますと、そういう施設内に、あるいは、その端局と申しましても、電送路の端局でありまして、そこからエントランス・ケーブルを電話局へ引き込むわけでありますから、そこで、先ほどから申しましたように、そういうアンテナを立てるような所は、町のまん中の童話尼のそばというわけにいかない、では、どこへ持っていくか、そこで、できるだけ治安の最も安全に確保される場所、それから、そのために、特別に向う側も警備の人が必要でないというような意味において、そういう場所が選ばれることが、別に軍事の問題と結びつくとお考えになる必要は、私はないと思います。事実上、行った調査団の意向も、調査団自身が、身の安全を守るということが、一番大きなことでありますし、私は、そういう意味におきまして、そのこと自体は、決して不自然ではない、こう思っております。
  199. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 今まで私が述べた点をみましても、この調査というものは、契約から実地調査の指示、指導、さらに、調査報告書の提出先まで、全部陸軍当局だということがはっきりしております。  また、置局選定条件の第一は、端局が軍事施設内にあることであり、事実、端局全部も、先ほど申しましたように、軍事施設内に選定されました、これを見ましても、軍事通信網であるということは、私は明らかだと思うのです。しかし、大臣たちは、私の言うことに耳をかさず抗弁をしていらっしゃるようですが、大臣たちは、一般の公衆通信施設であって、必ずしも軍事通信だけじゃない、こうおっしゃっているわけですが、それで一つ、今度は若干、南ベトナムにおける電気通信の現況についてお聞きしたいと思うのです。  私の知っている限りにおきましては、その機能は、きわめて低い一般公衆通信のためなら、今、超矩波に飛躍しなければならない必然性は全くないと思うのです。しかも、南ベトナムの経済力は、御存じの通り非常に低い、その経済力、その電気通信の現況を無視して、あえて超短波の多重通信施設の建設を急ぐのは、純然たる事業目的のためだといわざるを得ないと思うのです。事実は最も雄弁に真実を明らかにすると思いますが、それで、以下、若干南ベトナムの通信網の現況についてお伺いをいたしたいと思います。  第一、サイゴウ以外で、一般公衆通信機能を有するところはあるかないか、あればどういうところにあるか。
  200. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 残念でございますが、ベトナムの事情は、私内情に通じませんのです。先ほどの御質問の軍事目的と結論をお出しになりましたのですが、これは横田副総裁からも申し上げましたが、原文がナット・オンリー・バットとなっているか、アズ・ウエル・アズとなっているか、あるいはインクルーディング云々となっているか、そこいらのところは、また問題もあろうかとも存じますが、しかし私たちの、報告を受け、そして、その報告を承認いたしておりますゆえんのものは、これが多目的、一般目的であり、民間でも軍事でも通信を使用するのだということと、ベトナムの事情からして、治安のよく保たれた場所に、この施設を建設するのがよいのだということと、それからまた、この点は須藤委員の御指摘の通りであるのでありますが、と申しますのは、確かに、あの当時のベトナムの通信施設というものは、非常に低位にあった。民間の方も低位であったが、軍事施設の方も低位であった。両方とも非常にまだ発達していなかった。しかも民間も工事施設の方も同じような程度であったということを聞いた記憶がございます。  それでこの際、ベトナムの施設を充実するために、一番技術上知識上、軍にたよるのがいいということでもって、軍をたよって、軍と日本とが契約する、調査の契約をするようになった。だから報告につきましても、契約者の相手である米軍に報告したことは、これは軍用であるから、米軍に報告したのじゃない。契約の相手方であるという意味において米軍の調達——プロキュアメントの関係者に提出をしたのだ、さように報告を受け、その報告は承認すべきものであるという意味におきまして、監督官庁として、それを承認したと、こういう次第でございます。
  201. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 南ベトナム方面通信の現状、あの通信が、どのくらいになっているか、調べれば、これはわかると思っていますが、手元に、今持っておりませんので、一応、概況を申し上げますと、まあ今、南の方で一番電話その他の加入者の多いのは、もちろんサィゴンであります。サィゴン以外にも、相当中小都市に、もちろん電話も開かれております。そこで、先生の先ほどおっしゃいました、ああいうような国に、VHFというような通信は要らぬのじゃないか、こういうお話でありますが、この点は、非常な誤解じゃないかと思いますので、むしろVHFというのは、回線からいうと非常にむしろ小さい方でありまして、最近の様子では、VHFでは足らぬのです。先ほど申し上げましたように、仏印においても、——仏印というと、ちょっと言葉が違いますから取り消します。ベトナムにおきましても、今後の一般経済文化の発達に即応するためには、VHFでは足らない。そこでVHFから、マイクロ・ウェーブのもっとチャンネルの多いものにならなければいかぬだろうということになっている趨勢であります。  これはあえてベトナムに限らず、タイ国、あるいはマレー、あるいはフィリピン、台湾そういう方面にも、みなそういう意味において、むしろもっと大きな通信路が必要だ、通信というものはわれわれもそう思っていますが、鉄道と同様に、すべての文化経済の発展するもとだと思いますので、その意味で、決して通信というものが、VHFというようなものが要らないというのではなしに、それよりは、足らなくなって、もっと大きなものに移りつつあるというのが現状であります。
  202. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 どうも、実際のサイゴンの様子を、大臣も知らぬし、総裁も、あまり詳しく知っていらっしゃらぬようですが、サイゴン以外で、一般電信機能を有しておるところは、中小都市には、若干あります。しかし、小都市以下の群落には、完全にその機能がないわけです。そういう状態です。各都市間の通信は、どのように行なわれているか、能率はどうか、そういう点、一つ総裁でもいいです。総裁は、そういう点はお知りないと思いますから、これは仕方ないです。副総裁一つお答え下さい。あなたが、一番知識が深いようです。
  203. 黒川広二

    説明員黒川広二君) 私、二年前に参りましたので、サイゴンの電話局、あるいはサイゴンのPTT等へ参りましたときに聞きましたことで、正確かな数字は申し上げられないのでございますが、サイゴンの町の中で、電話加入者が約二万弱、一万五、六千でございますが、それからツーランとかナトランとかの町には、これも、私、実はそこへ行ったわけではないのでございますが、調査隊の人たちの話を聞きますと、二、三百ずつの加入者がある。それで、現在サイゴンから無線電話で連絡をしておるけれども、なかなか連絡がうまくいかないので、何とか改善したいということで、PTTのディレクター・ジネラルも、改善を要望しておりました。ここに、調べましたもののVHFの回線というようなものを、実現をしたいということを望んでおったようなわけでございまして、そのために、そういうような都市に参りましたときに、PTTから現地の電話局に指令がいっておりまして、そこの設備の改善、あるいはその設備の発達の模様等の予測もしてくれという手紙がいっておりました。それによってわれわれは、それを調べたわけであります。
  204. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私たちが知るところでは、各都市間の通信は、無線電信、単信方式による端局接続、こういう方式でやられておるようですが、能率は非常に悪いということを聞いております。  じゃ、その次。一般公衆通信網のない所の通信はどのようにして行われておるか。黒川君、見てきたから知っておるでしょう。
  205. 黒川広二

    説明員黒川広二君) その点でありますと、そこまで……。広い国でございますし、PTTの話を聞きまして、電話の数は、どの町が幾らぐらいということは聞きましたが、いなかの町に入ったわけではございませんので、私、残念でございますが、存じておりません。
  206. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 よくあなた、そんなことで報告書が書けたな。あれを書いたのは、あなたでしょう。報告書、あなたでしょう、あなたが、責任持って書いたのです。あなたが書いた報告書に、ちゃんと出ているじゃないか。それで、よくあのりっぱな報告書が書けたな。これは、軍通信網に含有されているわけです。  それから、もう一つ尋ねますが、一方軍通信網はどうか。軍通信網の状態は、どうか。各軍事施設内及び各中都市中の管区軍司令部間の連絡は、どのようにして行なわれているか。何で行われているか。あなた知っているでしょう、あなたが書いた報告書だよ、これは。
  207. 黒川広二

    説明員黒川広二君) 今御質問でございますが、軍の中を、どう通信したか、通信しているかというようなことは、私、別に記憶もございませんし、このたびの使命でもございませんでしたので、特別には覚えておりません。また、私自身としては——私個人としましては、特別に聞いた覚えもないわけでございます。
  208. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) どうも、こちらにない資料をお持ちのようで、どうも、それ、ピントがくわないのですが、こもらの調査を頼まれた者に、軍の中の通信が、どうなっておるか調べろということは、絶対に契約の中にないのですから、私の方の報告書に、そういうのがあるのはおかしいと思う——ほんとうのところ。  それで、今黒川君に、ここでほんとうに聞いたのですが、それは、どう考えてもおかしいのです。だから、その報報書の出所でもはっきりしていただかぬと、ほんとうにわからぬ、そういうものが、契約としてあるべきはずのものではないと思うのです。
  209. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 議事進行でちょっと。  だんだん須藤委員の御質問も、これは意味があると思うのだけれども、きょう、もう二時間になんなんとしておる。大体、二時間くらいほしいということを、さっき私承わった。大体、その程度でやっていただきたい。
  210. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう少しだから、お許しを願います。
  211. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 大体二時間くらいということでございますので、御質疑を願います。
  212. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これは軍通信網は、電話でやられているのです。中都市間の軍管区司令部間の連絡は、電話でやられている。それから軍管区司令部と中小軍区司令部間との連絡は、これは無線電信納でやられておる。    〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕  軍管区と中軍区司令部間には、電話もあるだろうと思いますが、これは尋ねてもわからぬとお答えになるでしょう、照川石、答えますか。
  213. 黒川広二

    説明員黒川広二君) わかりません。
  214. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 わからない……。  こういうふうに私は今まで、るるずっと述べて参りましたが、以上明らかになったように、軍通信網は、異常に発達しておるのです。一方、民間通信網は、ないのにひとしいような状態なんです。甲通俗網に含有されておる一般公衆通信というのは、一般公衆通信といっても、それは行政官庁の通信に限られておることになるのです。一般公衆というのは、ほとんどそういうものの恩恵に浴していないのです。  今度の超短波通信施設設置の目的は、こういう点から見ましても、全く、私が何回も繰り返すように、あなたたちは、そうでないと思って行ったかもわからぬ。あなたたち、そう言っているから、そう思って行ってない、——一般公衆用と思って行っているけれども、事実は全く軍事的なものだということは、これで明らかなんです。おそらく幹部は知っておって、行ったんだと、私は思いますが、電電公社調査団は、その手先を勤めたに私はすぎないと思うのです。米軍の手先を勤めて、二百二十日も日にちをかけて、十八名も人を派遣して、そしてあまりもうかりもしない仕事をやって、アメリカ軍の全く手先に使われて、調査させられたにすぎない。しかもその調査した報告書たるものはみんな巻き上げてしまって……。これはうそで、そこにあんた資料を持っているにきまっている。全部なくなったら、資料が出るはずはない。そこに見ながらやっておる。資料はあるのです。  それはそれとして、全くアメリカの在日米軍調達部に、うまいことをやられているにすぎないと思うしかもその調査は、単に通信施設設置に関するものだけではないというように考えざるを行ないのです。電波の伝播武験のほか、黒川君、どんな調査をしましたか、これは調査報告書に出ておるのです。どんな調査をしたのですか。
  215. 黒川広二

    説明員黒川広二君) 置局選定をするために、電波伝播の試験をし、かつ先ほどから申しましたように、その町  のトラックの発達、端局等では、さらに将来、どのくらい童話がふえるかあるいはPTTの電話は貧弱でございますが、そこの直すべきところはどこかというようなことを調査いたしまして、報告書に載せてございます。
  216. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私の調査によりますと、そのほかに、温度、湿度、雨量、風向き、風速、水量等、これも調査しています。それから地形、交通状態、労働状況、電力事情等、これも調査した。    〔理事松平勇雄君退席、委員長着席〕  それから、現在の軍用通信、公衆通信及びその運用状況、こういうことも調査しておるのです。大臣が何と言おうと、もしアメリカ軍当局に、このような基礎調査資料があれば、今さら、そんな調査をやらせる必要はないのです。  しかもすでに明らかな通りに、本調査は、軍の手によって軍事目的のために行なわれたものである、この調査が、軍的な基礎調査として利用されることは、私は明らかだと思うのです、今後。これは、日本の憲法の精神に違反し、日本政府機関としては、こういうことはやるべきことじゃないと私は確信するのです。  以上、私の質問政府答弁で明らかになりましたように、在日米軍調達部は、軍事目的のために行政協定を無視して、わが国の政府機関を外国に出したということです。それから一つは、電電公社は、一切法律を無視して南ベトナムまで出かけて、アメリカの軍事建設の手先を勤めた。それから兵器その他の戦争資材の持ち込み、新たに軍事基地の設置を禁止すると規定しているところのジュネーブで会議の最終宣言をじゅうりんして、インドシナの緊張を激化させるためにやっきになっていると、こう言われても仕方ないと思います。  時間がありませんから簡単にしますが、もう一点、南ベトナムのほか、在日米軍調達部が電電公社を動かして、アジアの国々にも同様の調査、建設を行なわせているということを私は聞いております。今まで公社調査、設計、建設等を行なった国々の名前と時期、仕事の内容その他を、電電公社総裁から報告してもらいたいと思います。
  217. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 私の承知いたしております限りにおいては、電信電話の調査をいたしましたのは、フィリピンと台湾であると承知しております。
  218. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 フィリピンと台湾をやられたということ、その通りです。台湾に対する資料は、ここにありますし、もし総裁が答えなければ、僕は言おうと思ったが、総裁は言ったから。しかしほかにも韓国もあることだろうし、いろいろあることだろう。  そこで私は、最後に一言申し述べたいと思いますが、以上の二時間にわたる質疑を通じまして、明らかになりましたことは、国内は国内で、電電公社はアメリカの軍備増強のためにもっぱら使われておるということです。あまつさえ南ベトナム、台湾その他の外国にまで引っぱり出されて、アメリカの軍事建設に参加し、その手先を勤めておるということ、そのために、アメリカは行政協定を無視し、公社は、一切法律をじゅうりんしておるということが明らかになりました。さらに政府は、南ベトナム、台湾その他の国々に軍事通信網の建設に狂奔しておるということ。それを結びつけるためにワシントン—ハワイ—東京、東京—台北—マニラ—サイゴン—バンコック—シンガポール—ジャカルタ、及び台北—香港等の海底ケーブル建設にも、積極的に電電公社が乗り出しておるということです。これら一連の事実を見ますときに、われわれは、こういう形で日本が事実上、SEATO、NEATOに参加しておると断ぜざるを得ないわけです。政府は、これを極力否定しておりますが、実際に、もう通信網において、通信事業において、すでに参加しておる、SEATO、NEATOに、今すでに参加しておる、実際に、その仕事をしておるということは、これではっきりしてくるわけです。これこそまさに安保条約改定の目的であり、すでに改定をする前に、実際的に、そういうことが行なわれておる、行政協定をそのままにしておきまして、まるでオールマイティのように行政協定を振り回し、安保条約を表面上どんなにごまかしても、これは、どうにもならない。安保条約は、私たちが常に戦争準備のためだ、こういうと、それを極力否定しておりますが、しかし安保条約改定の前に、すでにこういうことをやっておる。ジュネーブ宣言の精神に反するようなことを平気でやっておる。この事実は、私はかくすことができないと思うのです。これこそ全くSEATO、NEATOに参加しておることであり、そして安保条約を改定して、非公然とやらなきゃならぬ、報告資料も出せないようなことを、これからは、公然とやろうとすることにすぎない。これは全く、日本の憲法の精神に反することで、許すことができません。それと同時に、こういうことを、ますますやらかそうとするために、今改定しようとしておる安保条約改定を、私は許すことができない。安保条約改定のみならず、ほんとうに一本を平和な国、りっぱな独立国にするためには、安保条約そのものを、根本から私はなくしてしまわなきゃならぬ、こういうふうに確信するものであります。  私は、今日の二時間の討議を通じまして、単に郵政部面の、いわゆる逓信部面の一つのパートですらも、こういうことがなされておるという事実がはっきりしまして、全く驚きにたえないものですが、どうか同僚諸君も、こういうことを許さないために、日本の平和を、あくまでも守るために、私は考えていただきたいということを申し述べまして、私の質問を、この辺で終わることにいたします。
  219. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ただいま須藤委員の御発言、御意見のようでございますから、特に私から申し上げることはございませんが、そのうちにただ一点だけ、ちょっと事実に違う点があるようでありますから、それだけちょっと申し上げておきたいと思います。  ただいまの御発言の中に、電電公社東南アジア方向、もしくはインドネシア方面への海底線の計画を、何か強行しているようなお話がありましたが、これは、何かの間違いかと思いますから、それだけ申し上げておきます。
  220. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 間違いです。国際電電でした。間違いました。
  221. 鈴木強

    鈴木強君 大臣一つ伺っておきたいのですが、例のジュネーブにおけるベトナムの軍事協定というのがございますね。ジュネーブ協定というのがございますね。あれについては、岸総理も藤山外務大臣も、日本は調印国ではないが、精神は尊重する、こういっておりますが、あなたは、この点は御同感ですか。
  222. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 同感でございます。
  223. 鈴木強

    鈴木強君 それから電電公社の方に一つ伺いたいのですが、今、須藤委員質問に関連をして、ベトナムの現在の一般通信ですね、一般公衆通信と、それから軍通信とは、大体別になっていると私は思うのですが、軍通信の中に一般通信、公衆通信というのがやられていないのじゃないと思いますがね。その辺は、どうですか、ルートは、はっきりしているわけでしょう。ベトナムの通信系列と軍通信系列というのが、はっきり分かれていると思うのですが、その点は、どうですか。黒川さん、向こうに行かれたので、わかると思いますが。
  224. 黒川広二

    説明員黒川広二君) ただいまの御質問でございますが、軍の方は、私どもといたしまして聞くすべもございませんし、わからないのでございますが、公衆通信は、電話も、いながの方は無線電話でやっている。いなかと申しましてもツーランとかナトランとか、おもな町でございまして、そのほかはジャングル地帯が多くなりますので、通信施設はないようでございますが、軍の方は、どうなっているか、ちょっとわかりかねるのでございます。
  225. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっとわからないという、軍の方は、それでいいです。  それで、一般の公衆通信は、あすこにはPTTがあるわけでしょう。それを主管している——どこになっているかわかりませんが、おそらく国がやっていると思うのですが、おそらく国として、ベトナム国としての民間通信というのは、ちゃんとあるわけでしょう。その点、ちょっと答えていただきたい。
  226. 黒川広二

    説明員黒川広二君) ベトナム国の民間通信施設は、通信土木省でございますか、公共土木省のPTTと申します郵便と電信電話と一緒にやっている部局がございまして、そこは、みずから政府自身がやっているわけであります。国際通信は、ちょっと違うようでございますが、国内通信は、自分の国が、政府自身がやっていると思っております。
  227. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ちょっと鈴木委員の御質問に対しては、あまりにどうも簡単に、同感でございますと申し上げたのですが、補足答弁いたします。ジュネーブ協定の第十七条は、新しく軍事基地を設けてはいけない、軍需品を増強してはいけない、こういう協定でございますので、この通信施設調査は、これはそれに該当しないので、公社のとりました行動は、ジュネーブ協定第十七条に違反してないと、かように解釈しております。  また、須藤委員の先ほどの行政協定違反だというお活につきましては、これは、サービス契約でございませんので、サービス契約の範囲外でございますので、これは行政協定によらざる契約、商行為契約をしているというわけであります。
  228. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 先ほど、ちょっと事実の訂正を申し上げましたが、そのついでに、ほかのことは全部認めるのかという、何か御発言があったようでありますが、ほかのことは、御意見と心得て、その点にはふれないということを申し上げておきます。決して認めたということを申し上げたつもりじゃございませんからさように。
  229. 鈴木強

    鈴木強君 大臣に、私は具体的に、十七条がどうとかということを聞いてないですよ。要するに、ジュネーブ協定というものは、これは外務委員会でも予算委員会でも、問題になったのですよ。それで岸総理は、日本は加盟調印国ではないのですが、協定の精神は尊重します、日本の国は、そういう総理の発言があるのですから、私は十七条云々なんということは聞いてないですよ。そういうことは答弁してもらわなくてもよかったのだが、要するにジューネーブ協定そのものを、あなたは尊重するのかしないのかということを聞いているのだから、その点について、もう一ぺん。
  230. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 鈴木委員の御質問の趣旨をとり違えておりましたので、あらためて御答弁申し上げます。鈴木委員の申されましたことは同感でございます。
  231. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ほかに御発言もなければ、これに関しては、本日は、この程度にとどめまして、これで散会いたします。    午後四時八分散会