○山田節男君 ちょっと私
参考人を含めての御
質問ですが、これは幸いきょうは
郵政大臣、
電電公社の
総裁、それから
通産省、それから今の
アジア通信協力会の
理事長が見えておりますから、一言
一つ申し上げたいと思います。
一体
アジア通信協力会ができる経過、これは私大体知っております。私の記憶が誤りなくんば、これはたしか
ビルマ、それからベトナム、フィリピン、こういう
賠償問題が起きたとき、ことにベトナムのとき、アメリカ軍の方から
電電公社に
通信施設建設についての相談があった。当時私は梶井
総裁からもそのことを聞いておるし、軍からも聞きました。そこで、これは御
承知のように
電電公社では
公社体としてはたしてそういうことができるかどうか、法的にもそれは疑問がある、しかしながら今対外的に
日本として
技術の
協力をするということになれば、これは非常な分野に分かれる。有力な
メーカーはあるけれ
ども、ばらばらである。
公社は電話、電報の
オペレーションをなしているという、いろいろなことで、ことに
公社の梶井
総裁がそういう御相談を受けられた。そこで
電電公社として、
公社の
建前からこれを行なうということに疑問がある。しかしながら、その必要があるということで、たしか
電電公社で
海外技術協力調査室か何か、私は設けられたようなことを聞いておりますが、それが二転三転してこういうことになり、しかも名前は
アジア通信協力会であるけれ
ども、この定款の第三条には、諸外国、ことに
アジア話国との
技術提携を促進する、こういうことで、私大体こういうふうな結果になった
いきさつはわかるんですが、私まだ途中から
鈴木君の質疑に対する
通産省あるいは
近藤理事長の御
答弁を承って、ことに私は先月の末ヨーロッパからずっと
東南アジアの十二ヵ国を回ってきて、私も
電気通信には相当の関心を持って、いろいろな
質問をし、経済ミッション、それから
日本電気の増島貿易部長が工場
施設のマーケット
調査に行っておりますので、そういうことの報告から見まして私
考えますことは、なるほど本
協力会が成立するまでの経過を見れば、特に
アジアに
協力する、これは私よくわかるんです、しかし御
承知のように今日ジェットの時代に入って、単に
アジアだけに限るべきかどうか。私も
東南アジアを全部三回にわたって、
アラブ連合、イラン、イラクを回っておりますが、終戦前のあれらの国と独立国家になった
東南アジア・
アラブ、AAの者国の
国民の
民族主義を見ますと、ことに日をふるに従って、彼らは外国から
技術の導入をしなくちゃならない、
設備を輸入しなくちゃならない、これに追われているわけです。そうしますと、もうそれに熟練したというか、これはもう全く
民族とか何とかいうことでなくて、
日本が黄色い
民族であるから
日本から輸入すべきだ、こういう甘い
考えは絶対持っておりません。先ほど申し上げたように、
アラブ連合の放送網の問題でも、
日本民族は
アジア民族だというようなことでは、これはもうアピールしない。向こうも非常にコマーシャル意識に徹しております。
要は
日本の
政府のこれに対する応援といいますか、これは外交的なものもありますが、いろいろなファクターがありますが、やはり
政府と民間との強力な
協力がないと、そういうことができないんですね。ことに私、
東南アジアと南アメリカとを比べますと、
東南アジアは御
承知のように貧乏国なんです。資源もあまりありません。しかも
人口が多い。ところがブラジル初めこの南米、少なくとも十数ヵ国を見ますと、資源はある、非常にポテンシャルに持っておる。ところが
技術がない、
電気通信に関しても、ブラジル初めメキシコに至るまで、非常に幼稚なものです。だから私は、むしろこういう
アジア通信協力会というようなちっぽけなものではいかぬと思う。岸総理が三年前にワシントンへ行って、ああして
アジア開発
協力資金の設置というものを発表して、五十億円の
予算を立てたが、まだ一文も使っていない。これは
日本の
東南アジアの
民族主義の
立場からいいますと、
日本が先進国ぶって
協力してやるということは、彼らはインフェリオリティ・コンプレックスを持っておりますから、むしろこれをいやがるんです。むしろアメリカとかオランダとか、英国がやるように、かつては自分の属国であったけれ
ども、対等に扱かって、しかもコマーシャル・ベースにいく、しかもアフター・サービスにおいては絶対責任を持つ、これに徹していくべきである。値段が安いから落札する、
入札が成功するということは、これは昔のことであって、戦後におけるコマーシャリズムというのは非常に大きな重大なファクターをなしているのでありますから、私はむしろ名前からしても、
アジア通信協力会なんていうけれ
ども、これはリテラルロ訳したら……。私はフィリピンに行きましても、あるいはパキスタン、インド、インドネシア、
ビルマにしてもそうですが、われわれから見れば、むしろおかしいくらいナショナリズムというものになっているということからくれば、私はむしろこの名前で変なことをするのじゃないかと、これは実際問題としてですよ、かつての
日本が大東亜圏とか何とかいったことは、彼らはまだそういう記憶は新しいのです。ですから、こういう名前にするということは、私は
協力会という名前がいいかどうか、これはセンスの問題ですけれ
ども、私の持っているセンスから言えば、こういうふうにリテラルに訳したら、決していい
気持はしません。むしろ私はこの定節を見ても、たとえば国際
電気通信コサンルタント・カンパ二ー、この
社団法人ということが、これまた外国から見ますと、ソサイェティーとかアソシエーションというものは、これはあまり信用のないものです。これはたとえばロックフェラー・ファンデェーション、財団なら別でありますけれ
ども、私は、先ほど来
近藤氏の説明なり、あるいは
通産政務次官の説明等を聞いてみますと、むしろこれは国際的なもので、根は
東南アジアのようなところ、貧弱なところを、これはもちろん
アジア民族として
協力すべきであるが、同時に商業的に
考えれば、南米その他があるのですから、しかもコマーシャル・ベースでいくということになれば、むしろ私は
日本の関連
産業を
発展させるのが主たる
目的になると思うのです。であれば、むしろこれははなはだ私は僣越だけれ
ども、定款に者外国、ことに
アジア諸国と
技術協力をやるというような、こういう言い回し方は、これは私は
日本は非常にアンビシャスである、向こうはコマーシャル・べースでいく、こういう今日の彼らの持っているセンスというものは非常にデリケートです。
これは単に商売だけではありません。私
どもは国際
会議に参りまして、ジュネーブに十六日間おったけれ
ども、
東南アジアの諸国に対しては、特に
東南アジアの新興国家に対しては、彼らのナショナリズムとプライドをそこなわぬよう細心の注意を払ったものです。これは今日の国際
会議の常識なんです。ですから、そういう二ュアンスから見ると、私はむしろこういうようなことは、英訳なんか出さないでしかも思い切って、会なんていうものは弱いものですから、むしろカンパ二ーということにした方がよい。七千万円くらいの
資金では実際問題として何もできやしない。これは、あなた御存じだろうけれ
ども、ユ二テルというテレビのマイクロ・ウェーブのコンサルタント・カンパニーがありますが、私の知っている限り、その会社のメンバーは五名です。
あとは職員が三名くらいしかいない。しかしこれくらいの勢力でイランやイラクのテレビの問題に取り組み、あるいは
日本を基点としてグローバル・マイクロウェーブ・システムを作ろうという策動をしたくらいでありまして、それの背後には
メーカーが全部直結している。ですから、表面はむしろ
技術的なコンサルタントである、もうアメリカ、イギリスと対等にやるのだという、コンサルタント・カンパ二ー名義でもう少し伸縮性のある
活動をする。それは
通産省あるいは
外務省あるいは
電電公社、国際電電等の半官半民会社がこれをバツクアップする。むしろ商社の方が取前線に立つということにいたしませんと、はなはだ私は失礼なことを言うようだけれ
ども、かつての
日本主唱大東亜という悪夢を
東南アジア諸国に印象づけて、非常に向こうの
感情をスポイルしちゃう危険がありますから、多分にその危険があるということをおそれるものであります。私は政治家にも会っておりますから、この
危惧が非常にあるということを十分私は痛感したのです。この点から
考えまして、今せっかく
近藤君から言われたようなことで、これはむしろ私の方も全面的に
協力します。しかしながら、世界の国際市場というものは、今日におきましては特に辛くなってきております。問題はサービス、質の問題、それから支払いの問題、これはやはり一民間会社等ができるものじゃなくて、どうしても
政府がこれに対しての長い目で見たバツクをする、これは絶対に必要です。これはわれわれの責任です。そこで、私はこういったような
アジア通信協力会、
歴史的には
電電公社が背負い切れぬからこういうものを作った。これは私はまたいいと思うのですが、ですが、さらに竿頭一歩を進めて、もっと国際的に見るような——
東南アジアは貧乏国であり、非常な、ソ連圏あるいはオランダ、イギリス、アメリカ、この渦中へ入っていって、
東南アジアは、われわれが
アジア人だからということだけでは、なかなかこれはわれわれに対してのフェボラブルな条件というものは生まれてこないということを私は確信いたします。でありますから、これからいよいよ事業をおやりになるなら、そういう甘い
考えでなくて、むしろ視野を広げて、むしろ国際的な
協力会社であるとかコンサルタント・カンパニーであるとか、ですから外部的に申せば、むしろこういう会じゃなくてカンパニーでやる。これはヨーロッパにおきましても、こういう国外的、国際的にはカンパニーのものが非常にふえたということは御存じだろうと思うのですね。これはやっぱり必要性があってそういうことになったのですから、せっかくこれから発足されるにあたって、私はよけいなことを言うようにお感じになるかもしれぬけれ
ども、これは私の国際的な
一つのセンスから
考えまして、決して甘いものじゃない。ことに
東南アジアの諸国に対しましては、われわれはむしろ非常にコーティアスな態度をもっていかないと、非常に
感情的になっておりますから……。ということと、それから先ほ
ども申し上げましたが、
アラブのテレビ放送網の
入札に失敗したということは、これは
日本の
メーカーに対する非常に大きな教訓だと思います。これを教訓としないで、従来のように、たとえばバンコックにしましても、カラチにしましても、カルカッタにつきましても、
電気通信業者は、私の知っているのは三社ぐらいで競争している。こういう態勢では、とても
日本のマーケットは向うではアラター・サービスという点から
考えても信用しないし、そういう
根本的な条件を、こういうものをおやりになれば、これこそ
根本的な条件であって、これの整備、あるいは何といいますか、改善なくしてやりますと、いたずらに政治的にとられちゃって、しかもいかにこれは何が何であろうとも、向うはコマーシャル・ベースであるということになるのですから……。
それから先ほど申し上げましたように、ベネズエラでのスエーデンのエリクソン会社とアメリカのRCAの競争状態を見ますと、現在
電電公社あるいは国際電電、あるいは
メーカーの方もそういうことがあると思いますが、そういうものを将来買うだろうというところであれば、やはり少なくとも数年かかって長い目で見て、そういうものを引き寄せる方策を講ずる。東芝なら東芝、
日本電気なら
日本電気の製品操作を修得させて、
一つのファミリヤリティを持たせる。そうすると、かえって東芝がいいとか、
日本電気がいいという、人情といいますか、自分がなれておりますから……。こういうところまで気を配っておるということを、これは
日本もそうやっておりますが、これはもう少しあなた方の団体でそういうあっせんをするということが、長い目で見れば、結局
日本がそういう
方面のマーケットを獲得し得るという条件になってくるのですね。ですから、こういうようなことも、私はもとよりそういうことも考慮に入れておられるだろうと思いますが、今回南米諸国を見て、ベネズエラの現状を見て、どっちを買うかということになれば、結局なじみの深い方を選ぶことになる。この事実を見て、しかも結局今日の国際貿易については、なまやさしいことじゃいけない。ブラジルでドイツがなぜああいう成功をしたかというと、これは非常に企画的であると同時に、
外務省や貿易省、業者が一体となって来ている。これが私はドイツの
海外工業進出が非常に
計画的で成功しているゆえんだろうと思う。ですから、あなたの方でおやりになろうとなさることも、いろいろバツク・グランドの条件を整理して、それをあなた方のやらんとするようなルートに乗っけないことには、これは口頭禅に終わってしまうということは、これは私は火を見るよりも明らかだと申してもいいと思うんですね。ですから、幸いこれは、あなた、責任者としておられるし、それから
通産省の政務次官もおられるのでありますから、この点は、もう
政府、民間、力を合わして、非常にせちがらいこの国際マーケットに、値段だけで対抗するというようなもう時代じゃないんですね。しつこいようですが、この点を私
一つ申し上げて、今後のこの
協会の
発展をすることは、これはわれわれも
協力しますが、問題は、推進力であるあなたなり他の幹部諸君が、そういう目を持っておやりになりませんと、なかなかこれはぶつかってみて辛いものだということになっても、もうこれはツー・レイトですから、私のことに最近感じていることを、御参考といえば御参考になるかわかりませんが、一言申し上げておきます。