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政府委員(
原純夫君) 非常にむずかしい問題で、私がこういう質問を受けるなり、ちょっとお答えするには荷の勝つような問題ばかりでございますが、私の、大へん恐縮でありますが、個人的な感じを主として申し上げたいと思います。
第一の、この三十五年度の
減税についてでありますが、先ほど来申しましたような大きな
趨勢で、税制の改正の歴史が動いておるというふうに私は
考えておりますが、さしあたり三十五年度につきましては、御案内の
通り、使える前年度剰余金が非常に大きく減る。その上に、たな上げ資金を、本年度使っておりますのが、来年度はないというようなことで、まあ八、九百億、そういう勘定で減が立ちますので、租税その他の自然増収が相当多額にあると仮定いたしましても、
財政は非常に苦しいという
状態でございました上に、先般の十五号台風の被害はまたきわめて大きくて、それの三十五年度に対する影響だけでも、二百五十億あるいは三百億というような数字が言われておるようなわけでございますので、先般来省内でもいろいろ
議論はいたしておりますが、三十五年度は
減税はむずかしかろうという気分が支配的になってきつつあります。
それから、第二段として、しからば将来の問題としてはどうかという点については、先ほど申し上げましたように、直接税間接税のこの体系的なバランスという
見地からいいますと、まだやはり直接税をより軽減したいという
考えの方がどうも多いようでありますが、しかし、直接税一本やりであっていいという
時代から、だんだん間接税の方にも
考慮を払わなければならぬという
時代にはすでになって、
政府といたしましても、一昨年の税制特別調査会以来、家計調査の分析その他に基づいたいろいろ間接税体系の根本的な
検討を始め、それに裏づけを得て、先般の
通常国会では、額はそう多くはありませんでしたが、物品税の各品目について相当詳細な
検討をし、数品目にわたる改正をお願いし、入場税につきましても相当な改正をいたしたというような歴史がございますし、今後もそういう
角度での
検討、さらにこれに基づく
措置というものは相次いでやるのではないかというふうに私は
考えております。ただその際、非常に多く間接税における軽減を期待し得るかどうかということになりますると、なかなかそうはいかないだろう。といいますのは、まあ
財政が、いろいろなことで毎年毎年、千億あるいはそれをこえる大きさでふえて参っております。と申しますのは、まあ一割にまでならぬでも、七、八%あるいは八、九%の増になっております。これはまあ一般会計について言うのでありますが、それに対する裏打ちとしての各種の歳入項目を
考えますと、まあ税外は別として、税の中で間接税体系では大体歳出増の八%前後、あるいは一割がらみというところの伸びが、まあ大体この間接税の伸びとしてそんなところではないかというふうに、まあごく大ざっぱに言えるわけであります。直接税は、御案内のような次第で、
財政支出の伸びよりもさらに多く伸びるというような
制度的な構造になっております。ですから、
減税をしないでおいておきますと、直接税のウエートがだんだん大きくなる。それを、主としてそのふえます分を直接税の軽減に当てて、ちょうど五割五割の直接税とその他との比率が大体近年維持されておるというのが実情でございますので、これを間接税の方に
減税財源を相当振り向けて直接税のウエートを増すということになるかどうかというあたりは、これはもう私
結論めいたことを申し上げるのは非常にむずかしい問題であるので申し上げませんが、まあそんなようなところに問題が差しかかっておるというふうに
考えております。
最後に、売上税の問題は、なおさら非常にむずかしく重要な問題でありますので、はかばかしいことも申し上げ切れません。
国民年金の財源として、あるいは直接税軽減のために、あるいは税制全般の
整備といいますか、きれいにするものはきれいにして、こういうものでかえようという
議論は、
議論としてたびたびございましたし、またあり得るものでありまするが、なかなか売上税につきましては、いろいろな政治的な
角度での
議論が、何と申しますか、論理的な
検討がなかなか進まないというような実情、これはやはりまあ過去の歴史もありますし、また売上税というものの持つ本来の大きさと申しますか、そういうものに対するいろいろな警戒もあろうと思います。まあそういう
意味で、やはり相当大きな
財政需要がある場合に具体的には問題になるのではなかろうかと私は
考えております。まあ反面、事業税と売上
基準というような問題で、事業税の一つの問題として売上課税の問題というものがやはり理論的にあり得ると思いますが、これはまた別な問題だろうというふうに
考えます。
大へん舌足らずであり、不十分でありますが、私の感じを主として申し上げますとそういうことになります。