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1959-12-17 第33回国会 参議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月十七日(木曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 利壽君    理事            川上 為治君            古池 信三君            栗山 良夫君            大竹平八郎君    委員            井川 伊平君            岸田 幸雄君            斎藤  昇君            鈴木 万平君            高橋進太郎君            岡  三郎君            近藤 信一君            藤原 道子君            奥 むめお君            島   清君   国務大臣    通商産業大臣  池田 勇人君   政府委員    経済企面庁総合    計画局長    大来佐武郎君    中小企業庁長官 小山 雄二君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省公益    事業局長    小室 恒夫君    通商産業省公益    事業局技術長  高村 善博君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○経済自立発展に関する調査の件  (電力問題等に関する件)   —————————————
  2. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより委員会を開会いたします。  本日の委員長及び理事打合会の結果について御報告いたします。  本日は電力問題、中小企業問題等に関する調査を行ないます。明日の委員会は、定例日でございますが、都合により開かないことになりましたから御了承願います。
  3. 山本利壽

    委員長山本利壽君) それでは経済自立発展に関する調査を議題といたします。  まず、電力問題について質疑の通告がございます。栗山良夫君。
  4. 栗山良夫

    栗山良夫君 お尋ねいたしますが、電源開発基本計画につきましてですね。過日二十八回の電源開発調整審議会で、従来の五ヵ年計画に若干の補完をせられたようでありますから、その点についてまず最初に伺いたいと思います。その計画書を拝見いたしますというと、需給対照表に三十八年度分までのものがずっと載せられておりますが、その中で私が承知いたしたいのは、火力に使う石炭重油の量がどの程度になっているかということを承知いたしたいのであります。電源開発基本計画変更案というものの十二ページですね。
  5. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) ただいま資料を調べておりますので、到着次第すぐ申し上げます。  ただいまの栗山先生の御質問でございますが、この資料の中には、実は発電用石炭重油の数量をはじいたものが出ておりませんで、ただ別資料に三十七年度計画、それから最近の三十一年度以降三十四年までの実績ないし推定実績数字がございますが、とりあえずそれでも申し上げておきましょうか。
  6. 栗山良夫

    栗山良夫君 この基本計画変更のときには、そうすると、エネルギー関係は十分計算されてなかったという意味ですか。ここに書いてないという意味だけなんですか。
  7. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) 数字ははじいてございますはずでありますけれども、この資料に掲載いたしてないので、今この資料作成担当官をすぐ来るように呼んでおりますので……。
  8. 栗山良夫

    栗山良夫君 その点につきましては後ほど伺いますが、念のために、それじゃもう一つ注文を出しておきますが、長期エネルギー計画で、前に発表されました年次別電力石炭その他の計画がありますね。その中の電力部門に使う石炭重油の予想と、どういう工合に変化しているか、それをちょっとお知らせ願いたいと思いますので、あわせてお願いいたしておきます。
  9. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) あわせて調べましてお答えいたします。
  10. 栗山良夫

    栗山良夫君 それからこれはまたあとの問題と重複しますから、別の問題でありますから前もって伺っておきますが、電力長期計画のやはり一番重要な問題は、開発資金関係だろうと思いますので、開発資金のことについてちょっと御説明願いたいと思います。それは一番大りづかみなものとしては、初めの方に少し書かれておるようですが、十五ページでございますが、それについて御説明願いたいと思います。
  11. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) 十五ページに、「第五表所要資金表」というのがございまして、一番最後の欄は、スプリントで、三十九年以降のはずでございます。一番下の総計の一番しまいから二行目に一兆五千二百十六億とありますが、これが五ヵ年間の総所要資金額でございまして、各年度の金額は大体平均三千億円で、この点は前の変更の五ヵ年計画におきましても一兆五千億円で、年間三千億というレベルでございまして、あまり今回の計画変更はございません。二十八年度がつけ加わった程度でございます。ただ経済規模が大きくなっておりますにもかかわらず、電源開発資金がふえませんのは、これは全体として火力供給力割合がふえて参りまして、水力割合が減って参り、建設単価がそれによってキロワット当り建設費が少なくなってきているというところに、重要なと原因があると私どもは考えているわけでございます。
  12. 栗山良夫

    栗山良夫君 たとえば例にとりますと、三十五年度三千二百二十一億五千万ですね。これについて各事業体別だとどういうことになりますか。電源開発、たとえば原子力発電所が入っているかどうか知りませんが、そのほかに九電力会社とか、そういうものの内訳は。
  13. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 私どものこの数字とぴったり合うかどうか、多少問題点がまだ残っておりますが、大体の数字ということで御説明申し上げますと、九電力会社が二千五百億弱でございます。その他の事業者、これはまあわずかでございますが、五十億から六十億でございます。それから公営関係が、多少財政投融資とからんで最終的には動きますが、百五十億前後、電源開発会社が四百九十億、原子力発電会社が三、四十億、大体そういうような見当になります。大体合うと思いますが。
  14. 栗山良夫

    栗山良夫君 わかりました。そこで問題は私が心配をしているのは、今までもそうでありましたけれども、非常に資金量がふえていくものですから、こういうものが果して工合よく、日本の金融市場で調達できるかどうかということが、一つ問題だろうと思うのです。プランと実行との調整はそういうところにあると思うのですが、そこで今の電源開発の方は、四百九十億というのは開発に直接要る金ですね、今おっしゃったのは全部そうでしょう。
  15. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 工事費でございます。
  16. 栗山良夫

    栗山良夫君 そのほかにいろいろなたとえば多目的ダム負担金だとか、あるいはまた、その債務償還だとか、そういうようなものに要る資金というのは、このほかに相当要るのじゃありませんか。
  17. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) ほかは要ると思いますが、最後の方は、まだ償還金にいっているものはそう多くないだろうと思いますけれども、これはまたあとで詳しく調べまして申し上げます。
  18. 栗山良夫

    栗山良夫君 電源開発はそうないと思いますが、九電力その他で……
  19. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 九電力その他は債務償還は相当ございます。
  20. 栗山良夫

    栗山良夫君 それはどのくらいございますかね。だから要するに、今は電源開発そのもの資金量で言っているわけですが、事業運営の方の総ワクから言うと、どれぐらいの金額になるのですか、これをちょっとお尋ねしたい。
  21. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 債務償還の一例を申し上げますが、昭和三十三年度において千二百八億、九電力債務償還をやっております。三十二年度は七百六十億、その前はそれよりもっと少ない数字でございますが、大体それくらいの規模です。三十四年度は、若干それより上回っていやしないかと思います。
  22. 栗山良夫

    栗山良夫君 常識で考えますと、毎年設備投資が増加しているわけですから、それに見合っての債務償還の額はどんどんふえていかなければならぬと思うのですが、その資金をやはり一応見込んでおかないと、電源開発はもとよりだけれども事業運営全体としての完全な資金対策というものは立たないのじゃないかと私は考えるのですが、そういう点どうでしょうか。
  23. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) おっしゃる通りでございます。
  24. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は、おそらく、開銀等融資もこれだけ膨大にふえているものですから、なかなかふえない、あるいは少し減るかもしれないという大蔵当局の意向もあるし、その他市中銀行、保険なり、いろいろなものを洗いざらい集めても、なかなかこれだけの資金をうまく集めることができるかどうかということに、一ぺん根本的の再検討を加える時期にきていやしないかと私は思うのですが、その点の御研究はなすっておりますか。
  25. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 御承知のように、電力需要も最近非常に伸びて参りまして、電源開発規模も、当初は三十四年度が工事規模として一番大きいのじゃないかと思っておったのですが、三十五年度の方が若干これを上回るような情勢でもありますので、ますます資金調達の問題が重要になって参ります。私ども開銀融資の方を減らすということは問題にならぬというふうに考えておりますが、財源その他いろいろの事情があると思います。私どもの考えでは、電源開発資金は、これは長期安定資金、これは良質低利なものでなければならぬといろふらに考えております。開銀資金は最もその意味で適当であるし、世界銀行の借款も歓迎する。さらに民間資金であれば、市中銀行から借り入れるというよりも、社債というような形をとることが望ましい。社債については、御承知のように、電力債がきわめて大きな比重を持っておるので、これの消化をできるだけ促進することが大事なんでありますが、よりよりいろいろの措置を講じておるわけであります。なかなか当初の計画通りには消化できない。目標額も相当大きいのでありますけれども、なかなか消化できないというような状況でありますので、その辺にやや不安があり、一そう財政投融資等について積極化してもらいたいという希望を持っております。資金量からいえば、電力会社が、債務償還を含めて資金量を調達できないというようなことは、これはないというのが現実だと思います。
  26. 栗山良夫

    栗山良夫君 それでは、私はそういうことで、もう少しこまかくお尋ねしたいと思いますが、電源開発会社でも、今持っておる電源開発最初計画を、五年計画、さらにその先まで進めていこうと思うと、これは膨大な資金量が要って、今ほとんど政府投資ですけれども、あれだけで電源開発が要求するだけのんでいかれるかどうか、というところに一つ問題点があると思う。原子力発電のことは別ですね。電源開発だけでもなかなかのんでいかれるかどうか。九電力の方もなかなか問題がある。  そこで、この表で見ますと、三十九年度以降は別ですが、三十八年度までを見ますと、一番多いようですから、三十五年度の三千二百二十一億円の中の、今あなたがおっしゃいました九電力二千五百億円ですかね。この二千五百億円の電源開発を進める場合における総所要資金ですか、それの調達方法というか、そういうものについて、九電力だけの分でけっこうでございますから、おわかりになったらちょっとお話し願いたいと思います。
  27. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 実はできておりますが、私、今手元に持っておりませんので、あとで……。
  28. 栗山良夫

    栗山良夫君 それではあとにします。そういうことで、若干私不安を——不安というとおかしいが、それにやや近いものを持っていますから、その点が絶対に、今あなたのおっしゃったように、ないかあるか、その点を明らかにしてもらいたい。  では、問題をちょっと別に移しまして、公益事業局で御発表になっておる「電力事業の現況」という電力白書がありますが、そこの百四十一ページに、「電源開発方式研究」というのがございますね。この「電源開発方式研究」と銘打たれてここに書かれておりまするものは、中を読んでみますと、完全に決定的な結論に達したとは書いてないような節々があるのでありますが、おおよその御説明一ついただきたいと思います。
  29. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 昨年の夏ごろから、電力業界専門家学識経験者等にも集まっていただきまして、電源開発の最適当な方式を見出すための研究を続けてきたわけであります。そのやり方骨子は、水力開発する場合に、同じような出力を持ち、また同じような質を持った火力に置きかえてみた場合には、一体どちらが経済的であるだろうか、そういう計算を精密に行ないまして、しかる後に、便益が多いというか、経済性が高い、そういう場合にだけ水力開発をやっていく、そういうことが一番大事じゃなかろうか、その点が骨子になっております。それについて、ずいぶんむずかしい計算がたくさんありまして、正直のところ、私どもも理解しかねる部分が細目にはございますが、骨子はそういうことでありまして、そういう点を骨子にして、水火力組み合わせを考えていく、系統の組み合わせを考えていくということでございます。詳細については高村技術長が出席しておりますから、もし必要があれば御答弁させたいと思います。
  30. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は、今御説明をいただいた要旨は大体読ませていただいて承知しておりますが、問題は水力火力経済価値だけを論及して、そうしてある経済限界点を見出だし水力開発をきめる、そういうことなんですが、その前にもう一つ考えなければならぬ重要な点があるのではないかということを私は思うのです。これは経済企画庁の方の担当ですが、前回からの繰り返しのようなことになりますけれども、今国内で一番問題になっておるのは石炭関係でありますから、石炭大量消費者であり、しかも安定した消費者であるこの電力事業に、政策的に石炭企業の安定という見地からして火力建設を進めるという、そういう意味の構想というものが要るのではないか。それをするのにはもちろんなまでやるわけにはいきませんから、政策という言葉をあえて使ったのは、若干の操作は内部的に必要でしょうけれども、とにもかくにも最高の石炭消費者である電力事業が、石炭安定経営というものを全然度外視してやるわけにはいかないでしょうから、その点を今の開発方式の中には一つの重要なウェイトとして織り込まなければいけないのじゃないか、その点が入っていないように思いますが、その点に対する御見解をちょっとお伺いしたいと思います。
  31. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) 私の方といたしましては、火力発電が将来石炭消費の一番最大の消費者になるというふうに考えておりますし、今回の長期計画で五十年の見通しをいたしましたときも、五千三百カロリーの、石炭にすれば五千万トン以上のものが、もし油を使わない場合は、火力発電だけで必要になるというような事情もございまして、また、今年度の発電用石炭消費見通しも千三百万トンでございますか、というような数字が出ておりますような事情でございますので、ただいま御指摘のように、今後火力発電を村当重点的にやっていく、一つは先ほどの御質問にございました資金の点からいたしましても、火力発電建設費水力よりは非常に安いものでございますから、総額資金が節約される。こういう面からも火力比重が増大して参る。そうして経済審議会エネルギー部会でも、来年の三月を目途としていろいろエネルギー全体の長期的問題を検討いたしておりますが、やはり発電用にできるだけよけい石炭を消費するということが、石炭問題から考えましても一つの大きな方法であろう、そういうように判断いたしております。開発方式の方は私も内容を詳細には存じておりませんが、主として水力の問題が中心になっておったかと思います。これからエネルギー全体の立場からそういった石炭を使う方面の拡大について、もっと力を入れるということは御指摘通りと存じております。
  32. 栗山良夫

    栗山良夫君 私が疑問を持ちますのは、通産省からいただいた資料を通読してみまして直感するのは、電源開発方式を定めるに当って、水力火力とを同じ条件のもとに経済価値の算定をして、そうしてある一つのめどをつけた、こうおっしゃるのですけれども水力火力経済価値比較する場合に、最も大きな要素で、非常に不安定な要素というものがこの中に入っている。たとえば火力建設の方は建設費というものは割合に正確に出てくる。最初計画実績とは正確にぴたっと合います……大体合う。ところが水力の方はこれは非常に差が生ずるのです、最初計画と比べると。その一番重要な点が狂っている。それだから、そういう関係から水力火力を、ただある一つの非常に概括的な設計、それによって出した工事費水火力比較をする場合には、ある一つエラーを相当大きくみなければならないのじゃないかということを私は考えている。この点が絶対にないということであればまた話は別でございますがね。そこの一番基本になるところに非常に大きな、何というか、エラーを将来に導いてくるもとがありはしないかというふうに考える。この間も、電源開発株式会社の前提をなした電源開発促進法ですね、あれを審議したときに、あの当時からずっと将来にわたっての年次計画地域別工事費がずっと出ている。それについて実際やってみた結果どうなりましたかということを、これは参考のために必要なんで一ぺん出しておいて下さいといって私は頼んでおいたのだが、それは一体どうなっているか。これは相当な違いが確かに出ていると思う、設計実績とに。だからそういう非常に違いのあるところをもう一ぺん検討を加えなければ、いかに数字的に理論的にむずかしくて正しくても、その元になるところがそういうものではちょっと因るので、その点をどうするかということが一つ、そういうことが問題としてあるかないかということを一つまず御答弁を願って、それから進めていきたい。
  33. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) これは常識的に見て、火力発電所の場合に比較して、水力発電所土木工事に伴う、たとえば地質が思ったような地質でなかったとか、隧道の途中で極端な場合には柱が折れた、そういう事例も過去においてはありますし、工事費の見積りを正確にやるという点については、総体的にこれは火力発電所の方がすぐれている、これはそういう点があると思います。ただ電源開発株式会社の初期の工事では、特に手持ちの調査資料等に不備な点などもありまして、結果的にみて工事費値上りなどがかなり顕著に現われているような点もありますが、しかし今後は当初に割合に多かったような工事費値上りはよほど少なくなってくるだろうと思います。最近の事例を見ても、そういう傾向が看取できるように思います。しかし結論的に言って、火力の方が正確な見通しが立ちやすいということはおっしゃる通りであります。
  34. 栗山良夫

    栗山良夫君 最近この二、三年に竣工した水力発電所でけっこうです、代表的なものでけっこうですが、当初の工事計画をしたときの工事費総額ですね、それと実際竣工して精算したときの実績ですね、それとの比較のできるようなものを何かお示し願えませんか。
  35. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 資料として作成して近いうちに出したいと思います。
  36. 栗山良夫

    栗山良夫君 おおよそあなた方の御記憶では何パーセントぐらいふえておりますか。
  37. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) かなり個別的な差があるように思いますので、目の子で申してあと資料と違いますと、恥をかくことになりますから……。
  38. 栗山良夫

    栗山良夫君 まあそういうことを、今の点、電源開発方式を最近熱心に皆さん方研究されておる、これはまだ決定にはなっていないわけですね。その方式の中に、まだ一番問題、何といいますか、柱になるところにそういう問題が一つあるということはお認めになりますか。
  39. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 確かに水力火力便益比較する場合に、そういう点も考慮に入れて、何と申しますか、アローアンスを入れて比較しなければならないということが一面にはあると思います。その反面また、水力発電所ですと、事故の際には、比較的瞬間的と申しますか、すぐ稼働できるとか、あるいはサイクル調整その他の面についても、非常に能率的に調整できる。火力発電所が量的には今後ますます電力の大部分を供給していくようなことになると思いますので、量的には火主水従ということも言えないことはないと思いますが、そうなればなるほど、むしろ水力が、火力発電所との組み合わせにおいてやはり必要になってくる。貯水池調整式あるいは揚水式水力が必要になってくる。そういう意味で、そういう質的な面も考慮に入れますと、またいろいろその点の調整も必要になると考えております。
  40. 栗山良夫

    栗山良夫君 それからもら一つ。今局長が、水力火力とを同じ条件において経済価値比較をしたとおっしゃいましたけれども、それはどういう意味でございますかね。同じ条件においてという意味は。
  41. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) まあ一例といいますか、ある水力発電所年間に供給する水力発電量というものを主軸にいたしまして、それと同じ性質の電力火力で供給するとしたらどういうふうな火力発電所組み合わせになるだろうかというような比較をいたしまして、最後経済性をきめるわけでございます。その計算たるや、なかなか厄介な計算でありますので、なんでございましたら技術長から……。
  42. 栗山良夫

    栗山良夫君 簡単でいいです、ちょっと一ぺん。
  43. 高村善博

    説明員高村善博君) 基本的に申し上げまするならば、水力発電所の背負うべきロードカーブイクイバレント火力発電所ロードカーブを想定して、これを比較するのでございますけれども、御承知のように、新鋭火力ベースロードに運転いたします関係上、水力と全くイクイバレントロードカーブで運転するということはあり得ないわけでございます。実際上はどうかと申しますと、過去に作られておりますところの旧式の火力ピーク・ステーションとして使いまして、新鋭火力基底負荷に入れる、そういうやり方で、ただいま開発方式研究会研究されておりまするところの中間的な研究結論のとり方は、火力について、新鋭火力及び古い火力組み合わせまして、これをイクイバレント水力と同じようなロードカーブ比較する、こういうやり方をして、まあいわば、なるべく実情に近いような状況比較したらどうなるかという形をとっております。
  44. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、そのことは、なんですか、水力火力と、こら同一条件比較する場合に、火力の方は新鋭火力だから、うんとベース負荷を持たせるようにする。そうすると、それの発電原価というものは、これははっきりわかっているわけですね。そうすると、それに対する水力の方は、要するに、何といいますかね、水力の方の単価というものの見方はどういう工合になるか。最近の大きな発電所というと、まあでかい池を作って、それで相当大きな発電機を置いて発電しようと、こういうわけだから、降雨量からいったって、とても年間そうたくさん運転できるものじゃないのですね。そうすると、まあわれわれのちょっとした感じでは、尖頭負荷に使うと、こういうことになる。尖頭負荷に使う場合の、尖頭負荷単価というものですね。普通の水力発電所の普通の単価でなくて、特別に割高にした単価水力の方が経済価値をきめて、そうしてこのベース負荷に持つ火力発電所経済価値比較すると、こういうことになるわけですか。
  45. 高村善博

    説明員高村善博君) こういう計算でございます。水力発電所ダム式あるいは貯水式水力発電所は、ただいま御指摘のございましたように、重負荷時あるいは渇水期補給用あるいは尖頭負荷用に使うのが主でございますが、そういうふうに使うものといたしまして、そうしてそれに見合うロードカーブ新鋭火力並びに既設火力で置きかえてみる、そうして、その水力総括原価に見合うように新鋭火力既設火力とを組み合わせてみまして、それから逆算をして火力ピーク時の価値を見出すと、こういうやり方をやっております。
  46. 栗山良夫

    栗山良夫君 逆算するわけですな。火力の持っておる経済価値を、その作るであろう水力発電所負荷状況を想定してみて、それに大体イコールになるような工合に入れてみると、こういうことですか。
  47. 高村善博

    説明員高村善博君) はあ。
  48. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、そのときには、その逆算でやればいつもイコールになるわけですね、水力火力とは。
  49. 高村善博

    説明員高村善博君) ただいま申し上げましたのは、水力ピーク——御承知のように全部が全部ピークになるわけじゃございませんので、ピーク部分を逆算いたしましてみますれば、今度は総括価原から逆算されたピークを差し引きますと、基底負荷に見合う水力としてのコストが残ります。それと新鋭火力比較してみますれば比較が出てくるわけでございます。それに今のピーク分をおのおの足してみれば全部の比較になる、こういう計算に相なるわけでございます。
  50. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、これもなんですね、今のお話伺いますと、先ほどの、工事費計算上非常に大きな影響力を結果に与えるということを指摘いたしましたが、この場合も、まあ火力の方はある程度安定した計算が出ると思いますけれども水力の方の経済価値というものは、やはりその発生する電力単価のとりようによって相当やはり影響が出てくる、結果にはですね。そういうことは言えるのですね。
  51. 高村善博

    説明員高村善博君) これは総括原価でございますから、総建設費の影響を受けますから、その点御指摘通りでございますが、なお、水力建設につきましては、非常に、過去の例にかんがみまするときには、補償費の額のいかんというものが、建設費の、査定の建設費に対して見積もりが、精算してみると違いが出てくるというファクターに相当関係がございますので、そういう意味合いにおきまして、多少当初の計画より実際問題として上回る点はございまするが、われわれの水、火力計算をいたします場合には、そういうようなアローアンスも見て企画するわけで、一応の計数としては、当初計画数字はそのままとりまするけれども、地点の判定をいたしますときにはアローアンスを見て、それからサイクル調整とか、あるいは事故時の応援とかバツク・アップとか、いろいろな技術的なファクターを見て作業されているわけでございます。
  52. 栗山良夫

    栗山良夫君 大体その点の方向だけ、よくわからぬけれども、わかったことにしておきましょう。
  53. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ちょっとお願いしますが、今通産大臣決算委員会の方の席をはずしていただいてこちらの方に御出席願いましたので、もし大臣に御質問がありましたら、その方から一つして下さい。
  54. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は通産大臣がおいでになりましたから、今大臣にお尋ねしようと思うところにきたので、委員長のお話の通り進めます。  実は今電源開発方式として、水力火力との問題をやっているわけですが、その前に、私が最近通産省のおやりになっておるやり方で、よくお話をいただければ理解できるかもしれませんが、一つ非常に何といいますか、資金的に困難な中で進めていく上においては再検討を要するのではないかと思うことが一つあるのです。それはどういうことかと申しますと、水力開発のいい地点がだんだんなくなってきたことが一つです。それからまた最近の傾向として需用が非常に伸びていくものですから、これに対応する考え方が一つあると思うのです。その二つから、要するに大貯水池、大容量発電所というものが今流行になっておるわけです。たとえば水で申しますと、一億五千万トンとか二億トンとかいう水をためて、そして発電所でいうと、一つ発電所が三十万キロとか二十五万キロとか、こういう大貯水池、大容量発電所というものができておる。これにはものすごいたくさんの金がかかるわけですね。そこでその大貯水池、大容量の発電所経済価値というものが、火力比較をしてこれはとんとんになるように計算をされているという今御説明なわけです。その点まではよく大体わかりましたが、私が昔から取り扱ったところによると、大体水力発電所というのは使い道がだいぶ変わってきておりますから、一がいには言えませんけれども、流れ込み式という年じゅう同じ電力を発生し得る発電所は、たとえば十五万キロという発電所で、そういう発電所でありますと年じゅう十五万キロ出すわけです。ですから、一年三百六十五日、八千七百六十時間ずっとフルに出せるわけです。これは、ですから水の使い方は別として、発電所の利用率としては一番高いわけです。それがそうはいかないというので、だんだん水量にかかわらず容量をふやしていっておりますから、八千七百六十時間連続運転のできるものは、あるいは五千時間になる。だんだん落ちてきておるわけです。最近計算されておる、たとえば熊野川系統ですね、大和、和歌山のあたり、あの辺の発電所ですと、ちょっと計算をしてみますと二千六百時間くらいしか運転ができない、連続運転が。そうすると一年のうちで三ヵ月半くらい運転してあとは休むと、こういうことになる。そういう、ある意味においては能率の悪いそういう発電所を、今どんどんこれは着工されておるから私は問題にしませんけれども、これから先あちらこちら探して急いでやることが、日本の経済にとって絶対なものであるかどうか、その前にまだやることがあるのではないか、そういうことを私は今疑問として持っておるわけです。その一つは、石炭の問題が今非常にクローズ・アップされておりますので、これは私ども長期計画が出ていないものですから、議論の中心がないもんで私は困っておるのですが、石炭を年何千万トンで安定生産の大体恒常的なものができるかどうかということが一つのけじめになりますが、とにもかくにも、そういう石炭の出炭計画というものができた場合に、それの最も大口で最も安定した消費者電力業者ですから、従ってここである程度のカバーをしたい。鉄道で使う鉄道用炭というものもほとんどだんだんゼロに近くなった状態ですから、それだけでもやはり救済したい。そういう意味建設費も安いし、それからまた石炭政策という面から貢献し得る火力発電所というものを、電力の受給関係に支障がなければ大急ぎで着工しなければならぬ、こういうことが必要ではないか。これは一つの政策的なことになりますが、そういうことを私は考えておる。電源開発調整審議会等でそういうお話が出ないかどうか、石炭政策の面からそういうことが問題にならないか、こういうことです。
  55. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 電力につきまして、火力水力の問題はよく議論されるのでございます。ずっと以前には、相当水力を起こすべきだという議論もありましたが、最近ではやはり火力を主にして、そうして水力が従だ。私は専門的なことはよく存じませんが、やはり需用にピーク時がございます。従って水力の方はピーク調整、しかも火力の能率を上げるという補助的な役割をするのだということを専門家からちょいちょい聞いておるのであります。自分で経験をしたことでないからわかりませんが、大体私はそういう意見が今ずっと行なわれて、自分も納得がいくのであります。従って今後の、需用増加に対しましては、やはり火力が主になっていくと考えます。通産省といたしましても、火力発電に相当の力を入れております。だといって水力は全然ないかというと、やはり先ほども申し上げましたように、いい地点につきしましては、これはやはり全体の調整意味から水力もやっていかなければならぬと考えておるのでございます。
  56. 栗山良夫

    栗山良夫君 今おっしゃったことは、私ども決して否定をしません。そういうことは必要だと思います。タイミングの問題だと思うのです。非常に変化をする電気の負荷に、水力火力組み合わせ工合よく送る、それはもう当然なことなんですね。ところが、そういう考えでやっていく場合に、どんなに大きな貯水池を作り、どんなに大きな発電所を作りましても、これは、それがかりに作り過ぎて余った場合に、何も使えないというものではないので、いつでも使えるわけですから、そういう意味では、必要以上にそういうものを作り過ぎない。その毎年毎年の計画に応じて最も必要最小限度にそれを作っていく、こういうことが必要ではないかというのが私の考え方です。ですから、作り過ぎるような格好になっておるのか、必要最小限度にそういうものを作っていく、ここの検討が必要ではないか。もし作り過ぎるような状態であるならば、その部分だけは、金も安くて済むのだから、火力発所をこしらえて、そうして石炭の消費にも貢献し得るようにしたらどうか、こういうことなんです。
  57. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は今のところ作り過ぎておるとは考えない。もら何分にもお金も十分ではございませんので、必要最小限度というか、まあ必要——最の字を抜かした程度でございますが、大体栗山さんも多分そういうお考えになっておると思いますが、私は火力が今主になっていっていると考えます。今年の初めなんか電力量は十分だというあれもありましたが、今ではちょっと心細いという状態でございます。私は大体今までやっておったのは、需用に合致して、最小限度と言い得るのではないかと考えております。
  58. 栗山良夫

    栗山良夫君 今の御答弁ちょっと荒過ぎるのですが、事務当局の方はどちですか。
  59. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 大筋において大臣と全く同じ考えでございます。
  60. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから、三十五年度から三十八年度までの計画が始まる、それからまたさらに三十九年度から引き続いて第二次の計画が並行をして進められるでしょう。そういう計画についてのことを私は申し上げておるわけですよ。そういう中で、将来の各年次にとって負荷曲線を書いてみた場合に、大容量、大貯水池の建設というものが、必要最小限度を上回わるようなことはないかどうか、こういうことなんです。
  61. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 私は、だんだんと水力の地点がむずかしい地点になってきて、コストが高い地点が多くなってくるという傾向は認めますけれども、大容量の貯水池あるいは相当規模調整池、あるいは揚水式発電所というようなものは、やれるところがむしろ絶対的に見ても少なくなってきておるものですから、火力発電所を増強して参りますのと、むしろそういうところを探していくというか、もっと水力調査を完璧にやってさらに追加していく必要があるというのが、単に公益事業局、私どもの役所だけでなくて、業甲の力の空気でもあると思うのです。東電あたりも御承知のように東京湾を中心にして火力発電所を大規模建設しようとしておりますが、それとのかね合いでいわゆる安曇計画というものも考えておるわけでありまして、各電力会社も大体似たような感じを持っておると思います。ですから、あまり高いところをやると経済的じゃないじゃないかというような問題については、むしろ慎重に考えなければなりませんが、水力はある程度やっていかなければならぬ。あるいは貯水池式はやっていかなければならないという事情は一致した意見じゃなかろうか。やり過ぎるというか、余ってしまうというような感じでは今のところはないと思います。
  62. 栗山良夫

    栗山良夫君 それからその次の問題として、これは私の私見に若干わたるかもしれませんが、ただいま火力発電所の場合に、重油石炭の問題が非常な論争になっているわけでしょう。これは大臣御承知通りなんで、そこで、そういう中で、しからば重油の将来性を考えてみました場合に、量というものは完全に確保されるでしょう。所要量というものは確保される。そうすると値段の問題になる。重油の値段が上がるか下がるかという問題でありますが、おそらく私が申し上げるのは、釈迦に説法ですけれども、ガソリンと重油を考えてみた場合に、重油はおそろしく——国内ではですよ、割高で、ガソリンが割安なんですね。ちょうど酒の専門家の池田通産大臣にお尋ねするのは変なことですが、合成酒の方が一級酒よりも高いというようなことになる、こういう奇現象を今呈しておる。ですから、場合によっては重油はまだ下がるかもしれない。石油と石炭の問題は、さらに将来の展望をすれば、これは複雑になってくるのであります。そういうところで火力発電をどうするかということは、非常な問題だと私は思うのです。そこで私が考えるのは、この際は火力発電所石炭専焼の大火力発電所を幾つか作るということ、石炭専焼ですね、重油はたかない。そうしてそのたかない、石炭専焼の火力発電所というものはおそらく発電原価は高いでしょう。高いやつをすぐ電力需用家にはね返させればこれは大へんなことになりますので、従ってそういう石炭専焼の火力発電所というものを、今の電源開発なりあるいは九電力会社とか何か違った性格の機関で開発させて、そうして、そこで起きた発電原価の高い部分——、現在の事業者が最大の注意をもって生産性を高めながら生産をしている発電原価との差額ですね、差額は何らかの形で国家が補償をする、これは直接、間接いろいろあるでしょうが、補償する。そういうような方法を講じないというと、日本の石炭対策というものはちょっと立ち得なくなってくるのじゃないかということを私は考えております。これはもう少し詳しいお話しをしないと御理解願えないかもしれませんが、そういうことについてはいかがでしょうか。
  63. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お話しの点も考えられる点でございます。しかし今の問題は、そこへいくまでにいろんな工夫、努力をするときじゃないかと思います。そういうことは将来起こり得ると思われまするが、それよりもまず第一に、今の石炭重油との関係をいかに処理していくかということが問題だと、それに全力をあげて努力してもらいたい。そうしてそれをやったあとにおいて、結果を見まして考えなければならぬじゃないか。で、先般もお答えしたように高圧の送電線によって山間地から、あるいは流体化という問題、こういう点も考えられるのでございます。先般石炭鉱業審議会の基本部会が中間報告されましたあの報告は、大体われわれ納得いくのでございます。あれによりまして一つやってみたい。もちろん今は石炭が高い関係上、重油が相当高くなって、ガソリンが安い、これは世界的に見れば一つの奇現象でございますが、これが重油がどうなってくるか、まあ運賃の問題もありましょう。大勢としては原油自体が非常な余り状況でございますから安くなっていくと思います。しかしそれを見越して今お話しのようなことを実施に移す前に、先ほど申し上げました中間報告、あれはいずれ決定になると思います。それによって極力石炭を安く、また供給を確保し、そうして石炭の燃料界における地位を向上させていくことが先決問題だと私は考えます。
  64. 栗山良夫

    栗山良夫君 当面のことはそれでいいかもしれませんが、私が、重油がいかに割高なものであるかということを、例証をあげて申し上げた意味は、それはどんなに山元に火力発電所を作っても、またどんなに高能率の火力——石炭専用の火力発電所を作っても、重油火力発電所には対抗できない。そこでそういう条件の中で、日本の石炭企業を何とか安定させるという意味においては、政策的なことを行なう以外に道はない。そういう私は考えを申し上げたんです。ですからその点は、やはり実行は若干おくれるにしても、構想としては、やはり電源開発調整審議会あたりで、早くそういう方向を認められて、そうしてすぐに具体化するような工合に進められる必要があるんじゃないか、私はこう考えておるわけですが、経済企画庁の方はそういう点についてはお考えになったことはございませんか。
  65. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) 石炭につきましては、この今のエネルギー部会の審議がまだ途中でございますので、中間的なことしか申し上げられないのでございますけれども、まあ私どもの方としてはいろんなエネルギー消費産業につきまして、石油と石炭との競合需要の分野というものを一つずつつめて参っておるわけでありまして、つまり技術的あるいはコストの点、非常に決定的に石炭ではむずかしいというようなものは省いていく。たとえば肥料などがそうでございますが、そうでなくて値段の次第によっては石炭にもいくし、油にもいくということを競合需要として考えまして、それぞれについての油の値段との関係を当たってみつつあるわけでございます。まあ電気が一番代表的な競合エネルギー需要でございます。この中でどの程度油に回るかということが、やはり、石炭量を決定する決定的な要因になるのじゃないかと私ども考えております。    〔委員長退席、理事川上為治君着席〕 もちろんこれは電力の需要の地域的な問題がございまして、産炭地から遠くなるほど石炭と油の相対的な関係で、石炭が不利になるという点もございますものですから、どこでも石炭専焼でやるということはなかなかむずかしいと存じますし、地域的に産炭地から遠い部分はどうしても油を使うようになる。たとえ産炭地におきましても、たとえば低質炭を活用するために、スタートその他の関係で油を使うということもございますので、そういう技術的な理由から使う油を排除することもあまり合理的でない。  先ほどの数字の御要求もございましたので、ちょっとこの際にお答え申し上げますが、電源開発調整審議会火力発電計画の中では、実は石炭の量を算定いたしておりませんで、ただ最終年次の三十八年度においては、一応所要石炭量を五千二百カロリー換算で、はじいてございます。二千四百九十七万八千、約二千五百万トン、三十八年度に。これは、油も同じカロリーに換算して火力燃料として約二千五百万トンという需要を見込んでおるわけでございます。それが前の計画でございますと、三十八年度はございませんで、三十七年度の石炭消費量が二千二百七十万トンという計画になっております。一年延びただけ所要量がふえた結果になっております。中間年次については一応この長期計画では算定いたしておらないわけでございます。
  66. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは今の七千カロリーに換算するとどれだけになりますか。
  67. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) 二千五百万トンを五千二百と七千の割合で分けますので、計算いたしますればすぐ出て参りますが、のちほどお答えいたします。
  68. 栗山良夫

    栗山良夫君 まだ私の考えておることが十分おわかりになっていないので、御答弁も少しぼやけているのじゃないかと思うのですが、もう少し突っ込んで申しますと、最近重油なりガソリンに関税をもっとかけろ、そうして国内の石炭と輸入重油とが均衡がとれるようにしてくれ、こういう要望が各方面に起きておるわけです。私もそれはやはり一つの考え方だと思います。しかもそういうことをやり得る最大限の前提条件は、そうして作ったエネルギー資源を使って生産しました日本の諸製品というものが、十分に海外競争にたえ得るという範囲内でなければならぬ。そういうことをやるとしましても、たえないことでは因りますから、たえ得る範囲内でこれは行なうということで認められていいのじゃないかと思います。国内における相互間の消費の問題はそう議論する必要はないと思います。そういうふうに考える。その場合に重油規制法というものが果して適当であるかどうか。純経済的に考えた場合にはやはり少しおかしいのじゃないか。たとえば完全な民営あるいは公営を問わず、最も慎重な態度で努力をして生産性を高める場合には、今の日本の発電原価というものはどこまで下げられるか、そういうことは常にキヤッチしていなければ経済指標の作り方がありませんから、そういう意味で、一番安いエネルギーで一番安い発電単価を保持するのにはどういうふうにしたらいいか、という意味においてはああいう政策的なものをどこもここものんべんだらりと入れるということは当を得ないのではないか。石炭政策というものはそういうことをしなければ解決しないのではなくて、私が今申し上げましたように、今企画庁からもお話しになったように、将来はものすごい勢いで火力発電をしなければならぬわけであります。それには相当たくさんのエネルギーが要るわけだから、従って石炭専焼の大火力発電所というものをあちらこちらに作る。しかもそれは今の生産性の高い発電コストとは対抗できませんから、その対抗できない部分については、海外競争の許す範囲内において関税等の措置を講じて、その石炭専焼の火力設備に補給をしていく。そういう政策面を中心にするところのものは全然別の機関に切り離してしまう。そうして普通のコンマーシャルでやっていくのと、そういう補給、補助の道を通じてつないでいくものということにするのが、一番国民にもわかりやすいしそうして計画も立てやすいし、また政策的にも一番よくわかりやすいから、そういうことにするのが一つ方法ではないかということを考えているのですが、その点はいかがですか。
  69. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お考えの点はよくわかります。ただ、そういうふうなことを実行するということよりも、ただいま申し上げましたようにそれまでの問題をやる、それをやったあと今のお話の点に移っていくべきではないかと思います。別の機会にも申し上げましたごとく、お話の中にボイラー規制法あるいは重油の関税、原油に一割かけるというふうなことは、われわれとしては非常にいやなことでございます。進んでやるべきではない。やはりネセサリー・イーブル、必要悪とまでは言いませんが、必要にかられてやむを得ずやっているような状況でございます。原油に対しての課税も、別の機会にも言ったのでありますが、通産大臣としてはあまり賛成すべきことじゃない。別の観点から考えてまた賛成しなければならぬことになるかもわかりませんが、本則的にはやはり関税政策の上からいって好ましいことではないと思います。
  70. 栗山良夫

    栗山良夫君 そのボイラー規制法を云々したり重油関税を云々したりする場合には、当面の政治的な問題になっている石炭企業をどう始末するか、どら安定させるかということが前提条件でなければならぬわけです。それを離れてほかに何も議論の仕方はありませんから、そこで私は、石炭の企業を安定させる方法というものはかくあるべしということを一つ打ち出して、それから今の問題に入っていけばおのずから道は開けてくると、こう思うのです。どうも今の政府のいろいろおやりになっておる作業には、そういう点のにおいがしないわけですね。そういう点までおやりになっておるかどうかということです。これはやっておいでになるかもしれませんが、無味無臭でさっぱりわれわれにはよくかげないわけです。その点を今お尋ねしているわけですが、これは経済企画庁の方はいろいろ作業を進めておいでになるというお話ですから、今のような考え方というものを少し取り入れて研究をされるという経済価値はありませんかな。
  71. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) 私ども、ただいまの段階ではまだ純経済的な比較計算をやっておる段階でございますが、まあ石炭問題をどこまで経済性で割り切るかということは大きな政策問題になると思います。その場合には石炭の最大の消費者であり、しかも今後非常にその需要がふえていく電力というものにおける石炭消費というものを、やはり政策上の問題としても考える必要があるように、これは個人的な意見でございますけれども、その辺のことはやはりもう暫らく、これは直接行政担当の通産省の御研究を待ちまして考えていく必要があろうかと思っております。
  72. 栗山良夫

    栗山良夫君 通帝大臣は今の問題を若干研究をしてみられるお考えがありますか、ないですか。    [理事川上為治君退席、委員長着席〕
  73. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 今の問題はこれは栗山ざんのおっしゃる石炭専焼で、その経費高を他から補助金その他でやる、私はそこまでは考えられますけれども今実行しようというような気持はございません。それよりもそういうことで補助金なんか出さなくともいいように一つ全体の計画を持っていくべきだ、石炭につきましても最近出しますが、中間報告では一千二百円下げるというようなことを言っております。それに対しましては政府が適当なる補助をしろという、出産面についていろいろ補助しろということを言っております。私も一つの考えではそういう点から石炭の合理化をはかって、重油との差をどれだけ縮められるかということに専念いたしたいと考えております。
  74. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは終戦後ずっと石炭問題が起きてから今日まで続いておる問題で、なかなか言うべくして石炭の炭価を下げるということは行われないから、それで私が心配して申し上げておるのです。今の石炭専焼火力に補助金を出すという問題は、私はその軽々にそんなことは国家財政上できるものではないくらいは承知しておりますから、ですからそこで先ほど申し上げたように特別のそういう機関を作るということが前提になっておる。今のこの九電力とか公営電力とかというものではなくて、もっと国家的なバツク・ボーンの入った一つの組織を作って、そこで普通の採算には合わないけれども発電原価の向い石炭を政策上らんと消費してやるところの火力の専焼発電所を作る、そうしてそれの発電原価と民間で起した発電原価の低いものとの差額は、国際競争力にたえる限度内において、これは全体のものでありますから限度内において、重油なり原油なりあるいはガソリンかしりませんが、そういうものに、目的税的な関税というものるかけてそれで取り上げて普及してやる。そういうことにすれば国全体にプールされてしまって影響は非常に薄くなるし工合がいいのじゃないかと、こういうことを考えているわけです。だから今の既存のものを何も私は対象にして考えているわけではない。この点は、通産大臣が少し私の先ほど申し述べたことについて誤解をされているような点があるので、重ねて私は申し上げたい、そういうことです。
  75. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 誤解いたしておりません。お考えは十分わかっております。
  76. 栗山良夫

    栗山良夫君 先ほどの資金の問題はわかりましたですか。
  77. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 実はあと資料を取るつもりであったので失礼いたしました。今電話で聞かしてもよろしゅうございますが、大体数字は全部まとまっているのでございます。
  78. 栗山良夫

    栗山良夫君 資料でもらうのもけっこうですが、やはり何かお尋ねしたいですからね、今いただけるものならばいただきたい。  それからもう一つ今度は、今度の計画変更をせられました中で五年間で一千万キロですか、三十四年度から三十八年度までの五ヵ年間に約一千四十万キロの完成を行なうものとする、こうおっしゃったのですが、これの計算ベースになっておる鉱工業生産の伸びはどれほどにおとりになっているのですかね。ただそういうことなしに今までの電力の伸びについて平均値をとられて、将来もこういう工合に伸びるだろうという見当ですか。あるいは鉱工業生産水準と若干関連を持たせてこれを御決定になったのでしょうか。
  79. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) ただいまのお尋ねの点でございますが、同じ資料の二十一ページをちょっとごらん願いますと電力長期計画新旧比較表というのがございまして、これに現行計画と今回改定しました計画比較及び最近までの実績が出ておりまして、ここにございますように、このカッコ内は送電端、需用端の電力量で、カッコのないのが発電端でございますが、たとえば三十四年度の実績見込みをとってみますると、九百四十四億キロワット・アワーという現行計画、前の計画でございますが、それに対して今回の計画の三十四年度というのは実績見込みでございまして九百四十億ということで、まあほとんど一致いたしております。経済規模は当時の経済計画あるいは出産水準、国民所得等の計画より上回っているわけでございますが、電力消費については従来の計画とほとんど一致しておりますので、大体において現行の電力計画を一年延ばすというやり方でございます。生産規模と突き合わせることは、ただいまとりかかっておりまする国民所得倍増計画の中で、あらためて検討しようということにいたしているわけでございます。
  80. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  81. 山本利壽

    委員長山本利壽君) それでは速記を始めて。
  82. 栗山良夫

    栗山良夫君 先ほどの石炭火力発電所の問題は、公益有業局長は、私の意見を聞いて、どういうお考えですか。
  83. 山本利壽

    委員長山本利壽君) あなたの質問で、電話で聞きに今……。
  84. 栗山良夫

    栗山良夫君 それじゃ経済企画庁にお願いいたします。  今のお話は、たとえば十八ページをごらんになりますと、二十七年度からの電力の増加状態がずっと出ておりますね。二十七年度は一一〇%、二十八年度一一三%、二十九年度一〇六、三十年度一一一、三十一年度一一七、三十二年度一一四、三十三年度一〇七、こういう工合に、ずっとふえていますね。ですから、今までずいぶん電源開発、大きな計画を立てていたことでありながら、なかなか需給のバランスがとれないのは、こういうふうにふえてきたのが一つの原因ですね。ですから、今度の、計画変更されたこの案も、こういうような過去のふえ方を、計画から上回ったということで喜んでいないで、たまには、計画から下回るぐらいの、そういう意味計画というものを立てなければいけないのじゃないかということを私は考える。  たとえば、ことしの十二月に、あなたの方から出されました経済月報を見ましても、ことしの二、三月の予算委員会のときに、ずいぶん鉱工業の方の生産指数のことを大堀さんと議論したけれども、あの当時は、一四七か一六四くらい。ところが今度、十月を見ると 一九〇になっておるのですね。一六四%のものが半年ちょっとの間に——議論しておって、本年度は、とてもこんなものじゃいけませんぞと、全部計画は変わりますよということを、大堀局長でしたかね、ずいぶん突っ込んで言ったんだけれども、これで、これでいうことで済んじゃった。済んじゃって、実際に見てみると、十月に一九〇になっているのです。  こういうふうに、実際の経済は動いている。しかも、それに付帯するように、過去の電力もずっと大幅にふえていっている。そういうものが入っているかどうかということですね、問題は。
  85. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) 実は最近、経済審議会の総合部会で、現行の計画とその後の実績が、どの程度合っているか、あるいはどの程度狂っているかということを、おもな指標について計算いたしました資料を作成、説明したわけでございますが、実は電力につきましては、率直に申しまして二つ問題がございます。実は、経済規模なり工業の生産の見通しは、現行長期計画は、やや低過ぎた。六・五%の経済成長率に対して、過去三年間の平均をとりますと、七・六%になっている。鉱工業の伸びも、計画より、かなり大きい伸びをしておるわけでございます。  ところが、鉱工業生産単位当たりに必要な電気の量の見通しが、現行計画では、割合高く見ておりましたのですが、その後の実績を見ますと、原単位の低下と、産業構造の中で、特に機械工業が非常に予想しないような大幅な拡大を、この二、三年にいたしまして、ところが、機械工業の方は、割合電力を消費いたしません産業だものでございますので、鉱工業生産指数は、予想以上に上がったわけでございますけれども電力消費については、今までの計画実績とが、ほぼ合っておる。先ほどの二十一ページの表にございますような状況になっておるわけでございます。つまり、この電力消費のもとになります鉱工業生産は、実績が、計画を上回っておる。しかし、この生産単位当たりの電力消費が、計画で見たよりも割合少なくて済んでおる。それは、特に機械工業というものが大きく伸びまして、電力多消費産業の伸びが小さかったというような結果、まあ両方合わせました電力の需用の見通しというのが、現行計画とそれほど狂っておりません。短期的にこの年末のピークの問題はございますが、来年度も、続々完成して参りますし、大体、この電力につきましては、一昨年作りました計画が、当時やや大き過ぎるのではないかというような感じでもございましたのですが、まあ今のところ、あまり大き過ぎもしないし、そう小さ過ぎもしない計画ではないかというふうに考えるわけでございます。
  86. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は今、鉱工業のことを申しましたが、これは消費電力量の方の検討をするときの、まあ重要な役目をするものであって、今お話の通り理解していいと私は思います。大体、その計画はあっても、しかし今、一番電力需給の問題で問題になっているのは、この間小室局長も言われたように、最大電力が問題になっているのですね。しかも最大電力というものは、全発生最大電力のかりに五%でも、六%でも、これが不足するということになれば、大へんなことになるわけです。もうそれは、電力運転できなくなるわけです。しかも、そういうごくわずかな、あるいは二%でも三%でもいいでしょう、そういうものが、どこから起きてくるかというと——二%、三%というものでいいですが——そういうものが、どこから起きているかというと、私が考えるのは、消費電力量とは関係がないのだ。しかも——関係がないというわけじゃありませんが、第一の需要関係ではなくて最近起きているのではないかということを考える。  それは、皆さん御承知のように、家庭用の電力というものは、おそらく全発生の需用電力量の二割か二割五分でしょう、まあ大ざっぱに言いましてね。これは戦争前と、そう大して変わっていないのです、そういう比率というものが。しかし戦争の前は、軍需に全部向けちまって、民需、特に家庭用なんというものは、極端に制限しているのです。電灯一つでがまんしなさいということをやってたわけです。民需の方を押えられちゃって、家庭用が押えられているから、全部が軍需生産方式と見ていい。軍需に関係するものと見ていい。戦後は、最近の家庭の文化生活でもって、電気がま、電気冷蔵庫その他テレビを初めとして、家庭用の電気器具の普及というものは、これは家庭電気器具の生産状況を見れば一目瞭然だと思うのです。これが支配してくる。そのわずかな全発生電力の五%とか何か、その一番貴重なピーク開発に金を要する部分を、逆にいえば、計画に乗らない、家庭用の電力から、家庭用の使用電力がかもし出してくるピークによって左右される。こういうふうに私は見られるのじゃないかと思うのです。  そういう計画というものが、やはり戦争前のように、ある国家目的のために電気を統制していた時代ではなくて、今では鉱業生産をずい分上げると同時に、家庭用の電力も、文化水準の向上とかいうので、ありとあらゆる家庭電気器具を使うようになった。そういう時代とは、やはり考えが違うのではないか、計画を立てる上に。そういうことを私は考えるのですが、その点は、いかがでしょうか。  消費電力量の場合と電気の場合とは、全然違うので、性格が、その点を、やはりウエートを置かれる必要があるのではないかと思います。
  87. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 先ほどの資料のやはり十ページに、実は「12月尖頭時バランス」というのが十ページの表に三十四年から三十八年の数字が出ております。この算定にあたりまして、ただいま御指摘のありましたような点を幾分考慮しておるわけでございます。  実は、先ほどの電力量としての実績が、計画とあまり違っておらないわけでございますが、その中の内訳として見ますと、やはり家庭用の伸びが当時の考えましたよりも、伸びが少し多く出ておりますので、その点を考慮して尖頭時バランス、尖頭時負荷の需用を計算して、設備計画を、供給力の計画を作ったということになっておりますので、最近のような家庭電気機具ブームも、ただいまの計画の中には一応織り込んだことにはなっておるわけです。
  88. 栗山良夫

    栗山良夫君 直接現業監督をしておられる通産省の方としては、今の点は、やはり経済企画庁の計画計画として、実施官庁としてもやはり十分にウエートを置かれる必要がありはしませんか、この問題については。将来の展望についてですね。
  89. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) お話の通りでございまして、電気機器の売れ行きというものも非常に盛んでありまするし、最近、特に東京電力管内のごときは、戦前に比べて電灯が二割も伸びるというような、あるいは二割以上も伸びるというような実績の出た節もございますし、これは御指摘のような家庭の電化ということの結果であろうというふうに推定しておるわけでございます。  従いまして、長期計画を見る場合にも、電灯と電力のウエートを考える際に、その点を十分計算に入れるべきだということを、われわれも部内において主張もし、あるいは日本電力調査委員会等でも、そういう点について、さらに検討してもらうように申しておるわけでありまして、全く同感であります。
  90. 栗山良夫

    栗山良夫君 それからもら一つ最後にもう一点ですが、ずっと最近の通産省なり経済企画庁の作業を私が見ておりまするというと、意欲的に負荷率を向上させるとか、あるいは、要するに電源開発に投入した費用の経済効果を高めるような、そういう方途というものは、あまり積極的に考えられていないように私は思うのです。  たとえば、かつては深夜電力開発をして負荷率をずっと上げるようなことを考えられたことがありますが、そういうような積極的な取り上げ方というものは、あまりないように思えますか、もう今日の段階では、そういう必安はないわけですか。自然に野放しにしておいて、そうしてずっと起きてくる負荷現象を、そのまま認めて、それに対して、そのままの対応策をとっていく、そういうことでいいものですか。私は、その点はやはり再検討を加える必要があるのじゃないかと思うのです。
  91. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 一方においては、電源開発によって質の悪い電力を、質のいい電気というか、常時化していくというような動きがあるわけでございますが、これはどうしても原価が高くなっていくので、やはり、深夜に安い電力がほしいという需用家も、相当あるわけでございます。一方新鋭火力も高負荷率で運転していくという必要も出てきますし、深夜の需用というものも、やはり相当活用していかなければならぬ一面もあると思います。むろんその辺の点を考慮に入れてのことではありますけれども新鋭火力なり、大貯水池式の水力開発に重点があることは事実でありますが、開発自体にも、むろん例外的に流れ込み式のものもございますが、新鋭の火力の利用というものは、それらの開発ないし火力の運転状況ともにらみ合わせまして、十分考慮していかなければならぬ問題であるというふうに考えます。  なお、もしお許しをいただけるなら、ちょっと電話で、さっき聞いた点をつけ加えたいと思います。これは、いずれも電話の数字なんで、しりの合わない点もあると思いますが、大ざっぱなことを申しますと、先ほど申しましたように、工事費が約二千五百億弱でございます。二千四百八十八億という数字であります、九電力数字ですが。債務償還が一千二百七十三億と一応見ておるようでございます。それから社内留保と申しますか、これが六百九十一億、増資の手取りが三百五十九億、社債の手取りが七百九億、それから借入金でありますが、市中が一番大きくて七百七十九億、興長金等が三百三十六億、開銀が三百四十億という数字を一応要求しておりますが、これが減りますれば、市中に回るということも考えられます。政府が二百十一億、信託が二百七十四億、しりがちょっと合いませんが、そんなところが、おもなところでございます。ほかに項目があると思いますが、大体のことを申し上げました。
  92. 栗山良夫

    栗山良夫君 それで、十分来年度はまかなえるということですか。
  93. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 開銀の融資が、どういうふうにきまるかということにもよりまするけれども、何とか最終的に、量的には調達できるのではないか。これは金融情勢にもよりまするし、そう楽観的に言い切るわけにも参りませんけれども、何とかやっていけるのではないかと、こういう感じでございます。
  94. 栗山良夫

    栗山良夫君 私先ほど、負荷率の是正を意欲的にやるべきではないかと申し上げましたが、深夜電力の問題もありますし、既設電力の問題もありますね。だから、そういうことを行なっていかないというと、今のロードを野放しにしておいて、ずっと進めた場合には、どういうことになるか知りませんが、非常に大きな、一番低いところと一番高いところとの差ができて、始末がし切れなくなるのではないかということを考える。  ですから、その点については、これは料金の問題とも、もちろんからみますが、何か積極的な対策というものを立てる必要がありはしないか、経済価値を高める意味においてもありはしないかということを考えるのですが、どうでございましょうか。
  95. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) お話の通りでありまして、この冬あたりが最大電力が一時に、急に大きくなるので、これを何とか緩和するように、場合によっては東京電力その他の代表機関に協力を求めるということも必要になってくるかと思うのでありますが、おっしゃるように、できるだけロードカーブを合理的と申しますか、経済的にと申しますか、引き合わせるように、特約その他の機能をできるだけ活用して、そういうところへ持って参りたい。  ただ従来の、何と申しますか、電力制限的な感じのものは、できるだけ少なくして、できるだけ話し合いで、そういうところに持っていきたいというように考えておるわけでございます。   —————————————
  96. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 次に、中小企業関係資料が提出されておりますので、この際御説明を願います。
  97. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) 先般、当委員会におきまして、中小企業関係資料を提出することになりまして、そのうち栗山先生から御要求がありました貿易自由化に伴う中小企業の影響、この問題につきましては、その際に申し上げましたが、これまで自由化したもの、それから一月から自由化するもの、これは大体、影響の少いものをとって順次やっていこうという趣旨でございますので、その今きまったもの、また目先にきまりますものにつきましては、現在通商局と各局、それに私ども入りまして、いろいろ資料をやっております。資料の提出のおくれておりますのは、農林省関係の仕事が相当ありまして、そういう関係一つと、各局の方は、何といいますか、今後、相当問題のあるものが残っておるわけで、これにつきまして、いろいろ作業やっております関係で、手が回らないような関係がありまして、おくれておりますが、そのものについては、遠からず資料をまとめて提出できるのではないかと思っております。なお、その際に申し上げましたが、今後、自由化するものにつきましての影響というものは、資料的なものでまとまりますかまとまりませんか、そこら辺のところは、やって参りまして、各原局で業界その他に当たりまして、いろいろ協議しているようですから、ある程度検討はつくと思いますけれども、どの程度資料的にまとまりますか、まとまりませんか、でき上りましたところで、逐次御報告してみたいこう思います。  それ以外の資料、本日お出ししておりますが、一つは、「今後における中小企業行政の方向について」、これは私が御説明さしていただきましたことを、項目別に書いたものでございます。それから「中小企業団体の事業活動に対する補助金」という表がございますが、阿部先生からの御要求で、補助金を出しているもの、このほかにも、中小企業団体中央会のことを申し上げましたが、それ以外にもあるはずということでございまして、調査いたしましたが、中小企業団体中央会に対する補助五千万円、これは都道府別だけで出ておりますが、それをまとめた全国中央会がございます。この両方合わせまして五千万円、これは巡回指導その他相談室等、その他いろいろございますが、仕事に当たりますものの人件費並びに一部の事業費の補助でございます。  それからもら一つは、全国貿易振興機関連合会、これは、厳格な意味で中小企業団体と言えますか言えませんか、各府県が集まりまして、国際見本市等に出品しておりますときの、中小企業の出品に要する経費を補助しております。地方公共団体の集まりですから、厳格な中小企業団体ではないと思いますが、そういうものも一つあります。これ以外に、中小企業関係であります補助金は、設備近代化、共同施設の補助、診断に伴う関係の補助、いろいろございますが、すべて都道府県に対する補助でございます。  それから小林先生、大竹先生から御要求のありました中小企業の占める位置とか、どういう形で中小企業が産業の中に入っているかというような問題がございますが、「日本経済に占める中小企業の地位」という表が一つございます。第一の問題は従業者の規模別に企業の数、従業者の数、附加価値等の問題を書いたものでございます。要点は、一枚めくっていただきまして、第二表のところで要約してございます、下から三行目のところにありまするが、三百人未満のところで企業数は九九・六%、従業者は六六・一%。
  98. 栗山良夫

    栗山良夫君 どこですか、それは……。
  99. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) 一ページの第一表は、全体を表わしたわけです。それを規模別にしぼりまして要約したのが、めくっていただきました二ページの第二表の方でございます。そうするとここで三百人以下と三百人以上にわけますと、企業数、従業者数、附加価値は、こういう格好になっているという表でございます。  それから第三表は、商業に関する表でございます。これも要約しまして、四表見ていただきますと、三十人未満と三十人以上と分けて、こういう格好になっております、こういうことであります。  第五表は、サービス業でございます。これも第六表見ていただきますと、三十人未満と以上に分けまして、こういう形になります、こういうことでございます。その他の産業は、第七表につけてございます。それを五のところで総合いたしまして、中小企業と大企業の対比になっている表でございます。  それから六ページのところで、輸出額から見た地位というのが製造業についてあります。この間、申し上げましたように、三十年度で五一・五%でございます。これはまあ、平面的に中小企業の位置を見たわけでございます。  それから、この印刷の仕方が非常に悪くて恐縮なんですが、先ほどの補助金の表のめくっていただきましたところでございます。これが今、平面的に見た中小企業を、格差の面から見ていただいたわけであります。それから左の方に規模別が書いてございまして、上の段に常時従業者数、資本金額、固定資産課税標準額、借入金残高、それぞれの規模の中小企業、各企業について、一企業当たり規模別に、どうなっているかという表でございます。左のところで従業者というところを見ていただきますと、合計といいますか、全企業平均という意味でございますが、一企業当たりは、従業者は十四人になっておるが、それを三人以下の企業を見ますと三人だ、それを一にした場合に、たとえば一番下のところでやっていただきますと千人以上だと千百六十二倍、こういう格好でございます。それから右のページは、これは常時従業者一人当たりで見た表でありまして、附加価価額は同じく平均で四万三千円、一人ないし三人の企業では一万三千円、これを一としますと、千人以上の企業では七万七千円であって、五・九倍だ、こういう形であります。給与の問題は、現金給与額で見ております。原動機延馬力数、固定資産課税標準額、これは格差別に見ております。  それから、その次にめくっていただきまして、商業の面でございます。商業はなかなか格差を見るのは、生産性等の問題がありませんので、販売額と現金給与額を見ております。  それから、もう一つの表でございますが、「製造工業の業種別構成」、これは、なかなかむずかしいのでございますが、中小企業の関係で大企業と並列的にあるもの、大企業と並列化といいますか、下請等の関係の形であるもの、ころいう調べ方で、問題を掴んでいただかなければいかんわけでございますが、それを統計から拾いまして、実態調査等から拾いまして整理する方法で、的確な方法がなかなかむずかしいわけでございますが、こういう作業をしてみたわけでございます。  めくっていただきまして、第一表でございますが、A型と申しますのは、附加価値で見まして、中小企業の占める附加価値が八〇%以上のものは、これはまあ、ほとんど中小企業が、その業種における比重が非常に大きい。
  100. 栗山良夫

    栗山良夫君 それはA型の大中小の企業全部の附加価値の八〇%ですか。
  101. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) そういうことでございます。注に書いてございますが、あとでお読みいただきたいと思いますが、趣旨を申し上げます。B型が六〇%以上、従って、A型、B型が中小企業の占める比率が相当程度高いという形のものでございます。それからF型は、中小企業のそういう意味の占める比重が二〇%未満のもの。E型は四〇%未満のもの。従って、E、F型は、大体大企業の占める比重が多い。こういうことになる。C、Dになりますと、チャンポンに、両方半分ずつの形。そういうものを整理してみたのでございます。  その次に、業種の数が書いてございます。帝業細分類が百八十四業種、この業種のとり方は、「日本標準産業分類」によりますと、五百二十一あるのでございますが、整理の都合上、百八十四——中小企業が占める比重がきわめて少ないとか、中小企業の占める比重は多少あっても、企業の数がきわめて少ないというものを整理して、百八十四業種としたわけでございます。それぞれ先ほどの形の業種の数が、その上にあります。  それから企業の数でございますが、企業数(A)というところがございますが、これが実数でございまして、それぞれの型のパーセントがそれに出ております。やはり中小企業が圧倒的に比重が大きい型の業種が非常に多いということでございます。  さて、その形の業種のうちで、三百人以下のいわゆる中小企業が、どのくらい占めるのかという数字が(B)でございます。これは(B)の総合計が四十万三千九百三十七でございます。従って、(A)のところの企業数が四十万五千ですから、そのうちの中小企業は四十万三千ということになります。どの型をとりましても、やはり中小企業が相当多い。つまり、上にいくほど、この率が高い。こういう関係でございます。  それから、同じようなことを従業者数でみたわけです。それからその次は、同じようなことを総附加価値額でみたわけでございます。それからこれは、そういうような型をとりましてやったわけでございますが、上下の関係、下請、元請の関係にある、いわゆる下請企業のつかまえ方というのは非常にむずかしいわけでございまして、ここでは、かりに物を売る形でかせぐものと加工賃でかせぐ形のものを比較しまして、加工賃でかせぐ形の多い企業を賃加工企業としてとってみたわけでございます。(G)は、三百人以下の中小企業全部、四十万三千ですが、(H)は、そういう形の企業数が幾らあるか。九万八千ある。全中小企業の中で賃加工的な形の企業形態のものが二四、三%ある。こういう形でございます。従って、ほんとうの意味の下請というものを全部含んでいない。ほんとうの意味の下請は、元請との関係で原料を買って製品を売るという形のものも、相当あると思いますが、そういうものは、この表には現われていない。一方、この下請関係につきましては、昭和二十八年から下請代理の支払いの法律の関係もありまして、定期的に、実態調査をやっております。そっちの方から実態をつかんでいくということにいたしませんと、この実態が、なかなかつかめないわけでございますが、これは、統計にあります中小企業実態調査のように、全般的にはとてもできませんので、実態は、割につかみいいが、調査の範囲は非常に部分的にならざるを得ない。こういうことになるわけでございます。  それから、その次のあたりに、今申しましたようなことの説明が書いてございます。七ページの所でございますが、先ほどの型を分けまして、AからFまでの型を、具体的に業種としては、どういうものがあるかということを当てはめてみたわけでございます。そこにカッコがして、一番初めに、Aのところの食料品製造業、味噌という所がありまして、(〇・3)というのが書いてありますが、これは、先ほどの賃加工企業といいますか、それの占める割合を書いたわけでございます。Aの所で申しますと、中小企業が相当大きい比重を占めておる業種であって、そのうち賃加工の形のものがどのくらいあるか、それを、ずっと見ていただきますと、たとえば繊維工業の特繊紡績というものですと、そういう形のものが八五%もある。綿、スフの織物については六一%ある、賃加工で。こういうことでございます。この具体的のそれぞれの業種については、具体的な数字はありませんが、たとえば企業数、従業者数あるいは附加価値額というものは、それぞれの表を引っぱりますと出てくるわけであります。これは、ただ業種の整理というところまでの数字でございます。なおまた、必要に応じまして、これを深めていくという仕事は、目的別に、いつでもできるということでございます。  大体、以上でございます。
  102. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 本日は、これをもって散会いたします。    午後零時五十八分散会