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国務大臣(
岸信介君) 従来の国の政策が、生死の増強、増産ということにどうも重点があって、消費の面が十分に
考えられない。また消費と生産を結びつける点においてのいろいろ
政府の考慮が足りないじゃないか、政治の考慮が足りないじゃないかというお話に対しましては、そのお
考え自身には私も同感でございます。
実は一つの例を申しますというと、特にそれが非常に明際であると一つ
考えられることは、従来の農業政策の部門において
農林省の主たるなには、いかにして増産するか、たとえば酪農にいたしましても、牛乳をよけい作るという、牛を飼わして作るということにはいろいろな技術的な研究もあり、そのあらゆる研究をして、さてそれができ上がったものが配給され、消費されていくという面はややおくれていると思う。従って、牛がたくさん飼われ、牛乳がたくさんできて、むしろ農家経営は非常に困ってしまうというような点が私はあったと思います。どうしても農業政策の面においても特に流通面なり消費の面を重視した、またそれと
関連さした生産政策をとっていかなければならぬということはお説の
通りであると思います。一般の問題としては、そういう調査
機関とか、そういうことをどこで
考えているのか、そういうことがないじゃないかというお話でございますが、実は経済企画庁は大体、それは奥
委員のお話のような機能を十分に達していると私は申し上げるわけではございませんが、そういう
意味において一般物価の動向であるとか経済の動向であるとか、あるいはいろいろな各種の政策の浸透の部面であるとか、いろいろなことを経済企画庁において企画すると同時に調査し、いろいろな
意見を出しておることも、これは御承知の
通りであります。将来の政治の要点としては、ことに先ほど申しました農村政策、農業政策というようなものについては、特にそういう点が従来十分に重視されておらなかったということを
考えて、特に生産だけでなしに、流通、消費の面を合わせて
考える。これを一般的のなにとしましても、ただ農業政策だけじゃなしに、他の諸政策についてもその点を
考えていかなければならぬということは私全然同感であります。またずいぶん生産者の方の側におきましては団体その他の組織が相当できておる。消費者の側における
意見というものは、どうも私が商工省の役人をしておるときからも、物価問題その他におきまして経験したことでございますけれ
ども、どうも生産者の側のようにまとまった組織というものがないために、消費者の声であるとか消費者の
要望というものがまとまって表示されるという機会が少なかったのでありますが、最近におきましてはいろいろな組織もだんだんできておるようでありますし、十分一つ
考えていきたいと、こう思います。