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1959-12-04 第33回国会 参議院 決算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月四日(金曜日)    午前十時四十二分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     上原 正吉君    理事            青柳 秀夫君            大谷 瑩潤君            野本 品吉君            小柳  勇君            矢嶋 三義君    委員            川上 為治君            上林 忠次君            木内 四郎君            小山邦太郎君            田中 清一君            谷口 慶吉君            鳥畠徳次郎君            仲原 善一君            増原 恵吉君            相澤 重明君            北村  暢君            坂本  昭君            千葉  信君            奥 むめお君            市川 房枝君   国務大臣    運 輸 大 臣 楢橋  渡君    建 設 大 臣 村上  勇君   政府委員    運輸大臣官房長 細田 吉藏君    運輸省港湾局長 中道 峰夫君    海上保安庁長官 林   担君    建設省計画局長 関盛 吉雄君    建設省道路局長 佐藤 寛政君    建設省住宅局長 稗田  治君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    警察庁保安局長 木村 行蔵君    大蔵大臣官房会    計課長     牧野 誠一君    運輸省海運局長 朝田 静夫君    運輸省船員局長 土井 智喜君    運輸省鉄道監督    局長      山内 公猷君    運輸省自動車局    長       国友 弘康君    運輸省航空局長 辻  章男君    気象庁次長   多田 寿夫君    建設大臣官房会    計課長     志村 清一君    会計検査院事務    総局第一局長  秋山 昌平君    会計検査院事務    総局第三局長  白木 康進君    会計検査院事務    総局第三局建設    検査第二課長  鶴見 隆長君    日本国有鉄道理    事       大石 重成君    日本国有鉄道理    事       兼松  学君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件昭和三十二年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第三十一回国会提  出、継続案件) ○昭和三十二年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第三十一回国会提  出、継続案件) ○昭和三十二年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出)(第三十一  回国会提出継続案件) ○昭和三十二年度政府関係機関決算書  (内閣提出)(第三十一回国会提  出、継続案件) ○昭和三十二年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出)(第三十  一回国会提出継続案件) ○昭和三十二年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出)(第三十一  回国会提出継続案件) ○昭和三十二年度物品増減及び現在額  総計算書内閣提出)(第三十一回  国会提出継続案件)   ―――――――――――――
  2. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十二年度政府関係機関決算書昭和三十二年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和三十二年度国有財産無償貸付状況計算書昭和三十二年度物品増減及び現在額総計算書を議題といたします。本日は建設省の部を審議いたします。
  3. 坂本昭

    坂本昭君 議事進行について。実は前回の大蔵省決算の場合に私から資料要求いたしましたところ、いろいろと問題がありまして、なかなか資料提出がはかばかしくありませんので、本日そのことについて重ねて当日の検査官並びに大蔵省担当課長に質問したいと思います。検査官来ておられますね。それでちょっと伺いますが、この間、例の賠償等特殊債務処理特別会計のことについてお伺いしたのですが、御承知通り昭和三十二年から賠償支払いというのが急にふえているのであります。それで特に昭和三十二年のビルマに対する、それもその中のバルーチャン発電所に関する役務類と、それから生産物、特に発電機械、そういうものについての資料をお願いした。これは大蔵省外債課長が、すでに財経詳報というのですか、財経詳報ことしの六月一日の中でかなりこまかい事務的な点を触れております。たとえばビルマ支払い済の額については、バルーチャン関係六十七億、そのほか鉄道用車両二十九億、そしてまた実際ビルマ賠償では発電所造船所鉄道これらのものが非常に重要な内容を持っております。そこで検査官の方では、特別会計検査にあたってどういう点を検査されたかということをこの前伺った。実際に検査官書類を見ておられるのかどうか、重ねて伺っておきたい。先般私が要求したところの資料は、これは大蔵省外債課を通じて要求することが無理であるかどうか、もし無理であるならばどこに要求したらいいか、その点も明確にしていただきたい。
  4. 秋山昌平

    説明員秋山昌平君) 賠償等特殊債務処理特別会計大蔵大臣が管理をいたしておりますが、そのうち賠償債務につきましては、実際には支出等について外務省賠償部の係の方に委任をいたしております。それで私どもといたしましては、その支出が妥当かどうかということは、実際には外務省お作りになる支出関係書類について検査をいたしております。実際にその書類を作るのは外務省の方でやっておられるわけでございますから、政府としてどこから出すかという問題は別でございますけれどもお作りになって出すとすれば、外務省から出さないと、実際には大蔵省では困難かと思います。
  5. 坂本昭

    坂本昭君 それでは、この間は、大蔵大臣はできるだけ努力をして出すと言っていましたが、今の委任されて担当事務外務省で行なわれているというならば、外務省賠償部から責任をもって出させるということを、当委員会において外務省担当担当宵からそういう返答をいただけますか。
  6. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) ただいまの賠償等特殊債務処理特別会計の件でございますか、これは一般会計のまず大蔵省所管のところで、賠償等特殊債務処理特別会計に繰り入れるということで、一般会計の予算として昭和三十二年度二百十五億計上されております。それでこの賠償等特殊債務処理特別会計にやはり他会計より受け入れるということで、歳入二百十五億というのが計上されております。歳出の方には項として、賠償等特殊債務処理費というものが計上されております。大蔵省といたしましてはこの一般会計に計上されている額を特別会計に入れまして、さらにその特別会計の中で具体的に賠償の話が進みました際に、ビルマ賠償費幾らフィリピン賠償費幾らということで、それを目に分けましてその上で外務省支出入をいたしておりますので、ただいま会計検査院からも御説明がありましたように、外務省の方で支出官としての契約あるいは支出というものは全部やっておるわけでございますから、ただいま外務省の方がおられるかどうか私存じませんけれども、おそらく外務省の方で坂本委員の御要求になる資料をお出し願えるのじゃないかというふうに思っております。
  7. 坂本昭

    坂本昭君 それではこの間私の資料要求というのは少し筋違いであったらしい。委員長からこの点明らかにしていただいて、今の資料外務省賠償部から提出させるようにお取り計らい願います。   ―――――――――――――
  8. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 委員長はさように取り計らいます。
  9. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 本日は建設省の部を審議いたします。検査報告批難事項は第四百五十七号から第四百七十七号までであります。  本件に関し御出席の方は村上建設大臣関盛建設省計画局長佐藤道路局長稗田住宅局長真子調達庁次官相原調達庁不動産部長志村建設大臣官房会計課長会計検査院からは白木第三局長の諸君であります。  まず会計検査院から概要説明を願います。
  10. 白木康進

    説明員白木康進君) 昭和三十二年度建設省所管についての分の概要を申し上げます。  建設省所管につきましては、本年も地方公共団体等施行しました公共事業補助事業関係だけでございまして、直轄関係批難事項はございません。まず補助事業のうち国庫負担金等経理当を得ないものの分から申し上げます。補助金検査につきましては、前年とほとんど同程度実地検査施行いたしまして、ただ前年と多少異なりますのは、従来の災害復旧事業中心検査に対しまして、本年度道路事業あるいは都市計画事業等の、一般公共事業関係補助金もできるだけ見る、ということで実施いたしました。その結果はここに掲げております通り災害復旧関係におきまして七件、道路改良あるいは都市計画事業等一般公共事業関係で十一件、合計十八件、国庫負担金返納を要するもの九百万円というものを指摘しております。いずれもこれは国庫負担金を除外すべき額が二十万円以上のものだけについて申し上げております。その大要は、大体災害復旧あるいは公共事業を通じまして出来高不足相当ございますが、    〔委員長退席理事野本品吉着席疎漏工事あるいは設計過大というような従来指摘しておりますような事例は相当ございます。全体として改善傾向にあるということは申し上げられますが、なお相当数の件数が指摘されておりますことは、今後においてなお改善を希望したいと思っております。  なお各事項についての事業主体あるいは監督官庁から手直しする、あるいは補助金返納するという回答をいただいております分については、大部分について所定の手直しを了した、あるいは補助金返納を了したという報告を受けております。  次に査定関係であります。災害復旧事業費工事着工前あるいは完成前に査定段階検査をいたしますことは、二十八年災害復旧から毎年これを実施しております。御承知のように二重査定あるいは設計過大、あるいは実質的には災害復旧でなくて改良工事をやっておるというような事態につきましては、これは査定段階でなければ非常に実情がつかみにくい、また検査効果査定段階検査の方が大きいということで、この検査はここ数年来毎年むしろ検査を強化する傾向にあります。三十二年発生災害につきましては、ここに掲げております通り、約七県について比較的に査定額の大きい所を検査いたしましたところ、二重査定が二十五件、実質的に改良工事と認められるものが十八件、それからたとえば工事用材料運搬距離を過大に見込むという関係設計過大になっておるものが三十九件、合計九十二工事につきまして国庫負担金相当額で二千四百余万円を、本院の注意によりまして建設省査定額から減額されております。  次に、本年度におきましては国庫負担金経理の問題と多少異なりまして、事業計画が当を得なかったために不経済な結果となっておる、あるいは国庫補助金返還措置が非常におくれておるというような事案につきまして、二件ここに掲げております。まず四百七十六号の分でございますが、これは現地図面等で申し上げないとちょっとおわかりにくいかと思いますが、ごく概要を申し上げますと、兵庫県の日本海に面しました所でございますが、香住町という事業主体が、防衛支出金支弁全額国庫補助によりまして、町道改良工事実施しておりますが、本件は、香住町地区内に駐留軍無線中継所を設置する予定がございまして、その建設用資材搬入道路として改良工事施行するというものでございます。本院で実地に調査いたしましたところ、当初駐留軍ではこのもよりの御崎港に揚陸しましてそこから人肩によって現地まで運搬する、その運搬道路改良駐留軍負担でやると、こういう計画実施する予定になっておりましたところ、調達庁におきまして、御崎港からの揚陸は事実上不可能であるということで、多少現地から離れております余部港に揚陸して、そうして本件道路改良してそこから運搬をする、こういうことを駐留軍に申し入れまして、しかもその道路改良費全額政府において負担するということで実施したわけでございますが、その実情を見ますと、御崎港も余部港もいずれも第一種漁港、一番程度の悪い漁港でございまして、現地について見ましても、もちろん接岸施設もなく、まあ港というにはいずれもほとんど体をなさない程度のものであります。そういうことからしまして、かりに本件道路改良しましても、当初駐留軍計画しました連搬道路に比べまして、ほとんど使用上の利便の差がない。結果から申しますと、わざわざこういう道路を作っても意味がなかったというふうに私どもでは判断しておるわけであります。なお、当局におきましては、余部港の利用は過渡的なものであって、将来この香住町から鳥取の方へ抜ける県道の改修をやって、港としては比較的に程度のいい香住の方に上がるなり――間違いました。陸路で香住の駅でおろしまして県道で直接現地まで運搬するというようなことも考慮されるので、そういう点も考慮して実は本件事業を採択したというような回答もいただいておるわけでありますが、この県道も、実地調査の結果によりますと非常にひどい道路でありまして、今後相当経費あるいは期間を要さなければ、とうていそういった運搬道路としては使用できないような実情になっておって、この当局回答も、どうも本件工事施行する理由としては非常に薄弱であるということで、ここに掲げておるわけであります。結果といたしまして、当局における実情調査が不十分なために、防衛支出金による全額負担工事として施行された本件改良工事が、非常に不経済になっておるということでございます。  次に、四百七十七号の関係でございます。これは、東京都が終戦後都内の土地区画整理事業実施するにあたりまして、施行地域内で住民の所有宅地区画整理のために減少する場合、一定の比率によって補償金を支払うことになっておりますが、この補償金交付にかえてかえ地を交付するという目的で土地を購入しまして、これに対して国庫補償金交付しておるのでありますが、その後財政上の理由その他の関係で、土地区画整理事業施行坪数が当初三千万坪程度のものでありましたものが、逐次減少しまして三十二年では五百万坪程度となっており、従って、かえ地の所要量も非常に少なくなっておる。現にそのために、すでに購入しました土地東京都でも大部分処分いたしましておるような状況でございまして、これに対して、この実情に即して不用となった土地購入費に対する国庫補助金相当額は、当然返還されべきものでありますが、これが昨年の検査までそのままになっておったという事態でございます。これは本院の指摘によりまして補助金相当額返納になっておるという報告をその後受けております。  簡単でございますが、以上をもって説明を終わります。
  11. 野本品吉

    理事野本品吉君) 次に建設省から概要の御説明を願います。
  12. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 建設省所管昭和三十二年度歳出決算額は、一般会計におきまして千三百六十六億九千四百余万円、特定多目的ダム建設工事特別会計において五十五億四千百余万円でありまして、治水、災害復旧道路都市計画住宅官庁営繕その他の事業実施使用したものであります。これらの経費執行にあたりましては、いやしくも不当な支出批難さるべき点のないよう常時細心の注意を払って参ったのでありまして、幸いに直轄工事におきましては該当事項がなかったのであります。しかしながら、ただいま会計検査院より御説明のありましたように、補助工事におきまして若干の批難事項がございましたことは、まことに遺憾に存じます。これら批難を受けました補助工事につきましては、直ちに工事手直しを命じ、または補助金の還付を命ずる等の措置を講じましたが、今後とも貴重な国費の支出及び使用につきましては、このようなことのないように十分に検討を加え、改めるべき点は改め、今後さらに適正を期したいと考えております。  まず、公共事業に対する国庫負担金等経理の点について申し上げますと、直轄工事におきましては批難事項はございませんでしたが、今後とも内部監察を強化して、事務の運営、官紀の保持、不正行為防止等に関する監査を励行せしむることにより、事業全般の適正なる執行を期して参りたいと存じます。  また補助工事につきましては、従来より地方公共団体のうち、特に市町村に対する監督及び検査の充実については、直接の指導監督を委任している都道府県知事指導を行ない、その励行をはからせるとともに、各都道府県の行なう事業に対しても補助金及び負担金の申請、交付使用及び精算等に関する事務の的確な処理を行なうよう指導を行なっているのでありますが、今後さらにこれが一そうの徹底をはかって参る所存であります。  次に、昭和三十二年発生公共土木施設災害復旧工事査定につきましては、できる限り実査の励行に努めましたが、なお検査の結果重複査定等のため相当の減額を見ましたことは、まことに遺憾であります。これに対する措置といたしまして、昭和三十三年十月二十二日農林省と、二重採択防止に関する取り扱いに関し細目の協定を行ない、その防止に努める等、査定適正化に努めている状況であります。  次に、計画が当を得ないため不経済な工事となっているとして指摘を受けました、防衛支出金による補助工事につきましては、今後はさらに関係官庁等との連絡を密にし、現地調査励行せしめて、適切な計画による施行を行なうことを期するとともに、指摘を受けました件につきまして、関連事業との調整をはかり、すみやかに所期の効果を発揮できるよう措置を講じております。  次に、土地区画整理戸業に対する国庫補助金返還が著しく遅延しているものとして、指摘を受けました件につきましては、すでに国庫収納済みであります。なお、過年度会計検査院指摘事項については、大部分処理済みでありますが、未処理となっているものについては、一刻も早く処理を完了するよう努力をいたしておる次第であります。  以上が昭和三十二年度決算検査に関し建設省のとった措置概要でありますが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  13. 野本品吉

    理事野本品吉君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止
  14. 野本品吉

    理事野本品吉君) 速記を起こして。  建設省の方から、なお補足の御説明がありましたならば、この際……。――ないようでございますから、以上をもちまして説明を終わることにいたします。  御質疑のあります方は順次御発言願います。
  15. 坂本昭

    坂本昭君 検査院にまず伺いたいのですが、建設省所管工事指名競争入札実態について、現状をどういうふうに考えておられるか。改善すべき点をお認めになっているかどうか。
  16. 鶴見隆長

    説明員鶴見隆長君) 業者のうち資産、信用それから実績等に基づきまして、大体甲、乙、丙というような段階に分けまして、大きな工事Aクラス業者、中くらいの工事はBの業者というような標準で業者を選択しておるようであります。まずまず今のやり方ではそう間違っておる点はなかろうかと存じております。
  17. 坂本昭

    坂本昭君 今のような形で行なわれている入札工事と、それから地建直轄工事、こういったものを検査院の方では比較しておられますか。それぞれの長所、短所というものを、指名競争入札の場合には、どういう点がいい、あるいは直轄工事の場合にはどういう点がいい、どういうふうにつかんでおられますか。
  18. 鶴見隆長

    説明員鶴見隆長君) 直轄の場合は、監督その他がやはり目が届くという点において利点があるように思います。ただ、すべて直轄で行なうということは人員その他の関係でできませんので、請負に出すわけでありまするが、その場合、やはり指名競争でいい業者指名するということはやむを得ないのじゃないかと考えております。直轄だから、指名競争だからといって、特に工事内容に大きな差があるようには考えておりません。
  19. 坂本昭

    坂本昭君 道路整備長期計画が今実施されておりますが、この道路整備計画について、入札方式がよろしいかあるいは地建直轄工事がいいか、従来の実績についてどういうふうな所見を持っておられるか。ただいま検査院説明を伺うと指名競争入札にランキングをしているといった実態、これについても私は相当苦情があると思うのです。あるものはA、あるものはB、あるものはC、AとBとどこで区別するか、BとCとどこで区別するか、小さい業者でもまじめな業者がいい仕事ができない、大きなところがランキングされているからいつも大きいところの仕事はできない。これじゃほんとうの資本主義下における自由競争だといえない。だからそういう点では私はもっとこれは改善の余地があるのじゃないかと思うのです。検査院が一番公平に見ていく中で、そういう点がどこかちょっと出てくるのじゃないかと思って伺ったのですが、あまりそういう点のお話がありませんでしたが、この道路整備長期計画の中で、これは直轄でいい場合あるいは指名競争入札でいい場合、そういう条件があると思いますが、それについて何か御意見があれば承りたい。    〔理事野本品吉退席委員長着席
  20. 鶴見隆長

    説明員鶴見隆長君) 私申し上げましたのは慣習になっている点を申し上げたのでございまして、われわれ検査いたしておりまして、特にこういうものは直轄でなくちゃいかぬ、あるいはこれは競争入札に付すべきじゃないかというような点につきまして、特別な例にまだ会っておりません。一がいにどちらがいいということは申し上げにくいと思っております。大体大きな工事になりますると、どうしてもいろいろな設備というようなものが機械その他から必要でございますので、これは直轄にするといったようなことになっているようでございまして、これもやむを得ないと思います。  なお御質問がございましたが、小さい業者はそれではいい工事指名にあずからない、これは必ずしもそうなっているのではございませんで、いい業者は前の実績に基づきましてだんだんクラスを上に上げていくといったような方法をとっているような状態のように思っております。まあ私どもは特にどの業者をとるべきだ、どの業者だというような点につきましては、立場が違うので私どもの方としてはそこまでは考えておりません。
  21. 坂本昭

    坂本昭君 入札の場合、下請下請、それからそのまた下請といったようなものによって非常に無責任な仕事が行なわれてはいやしないか、この点について特に公共事業について何らかの規則を必要とする、というふうに検査院は考えられますか。
  22. 鶴見隆長

    説明員鶴見隆長君) 私ども検査に参りまして、下請をさせているというようなことは、まず第一注意して見ております。工事下請下請ということになりますると、どうしても雑になるし、中間に搾取する者が現われますので、余分な工事費が払われる結果にもなりますので、その点については十分な注意をもって検査いたしておりますが、下請下請というようなことで工事が悪かったというようなことにつきましては、今までまあ昨年度検査におきましては幸いにしてありません。仰せのごとくいろいろ工事実施にあたりましてはなかなかめんどうなことがありまして、ときによりましては随意契約でやってもいいのじゃないかというようなことも考えられるのでございますけれども、といってそれにいろいろな実情が違うものでございますから、その一つ一つについてどういう規定を設けるべきであるかということになると、なかなか大へんじゃなかろうかと考えておりますが、当事者の良識ある見解でやっていただくより現在のところしようがないのじゃないだろうかと考えております。
  23. 坂本昭

    坂本昭君 検査の場合には、技術的には道路構造令に従って検査しておられると思うのです。ところが御承知通り日進月歩の交通の実情で、この道路構造令自体も相当交通の発達に伴って変革する必要があるのじゃないか。そういう点で現在の道路構造令検査官検査されて、これでよろしいというふうに判断しておられますか。
  24. 鶴見隆長

    説明員鶴見隆長君) 道路構造令につきましては昨年たしか一部改正されておりまして、現在の改正されました規則で何ら差しつかえないものと考えております。
  25. 坂本昭

    坂本昭君 会計検査院法の三十六条によりますと「検査の結果法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは、主務官庁その他の責任者に意見を表示し又は改修の処置を要求することができる。」というふうにあります。建設省所管事項で何か改善の処置を行なった、そういう実例がございますか。
  26. 鶴見隆長

    説明員鶴見隆長君) そういう例は最近ございません。法令その他の改廃について当局にお話ししたことはございません。
  27. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  28. 上原正吉

    委員長上原正吉君) では速記を始めて。
  29. 坂本昭

    坂本昭君 検査官に続いてお尋ねします。  二十八年災の災害復旧事業については、非常に多くの批難事項が先般指摘せられて、当時三十年の六月ごろの参議院決算委員会では、そのあるものは法制局に調査させて、刑法二百四十六条の詐欺罪が成立するというふうな結論が行なわれている事実がございます。三十年六月の決算委員会でそういう事実が指摘されている。で、御承知通り、三十年の八月二十七日に、補助金等に係る予算の執行適正化に関する法律が成立したのでありますが、この法律の罰則二十九条には「五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金」云々とあります、それから三十三条まで、この適用を受けた実例が一体どれくらいあるかお尋ねしたい。
  30. 鶴見隆長

    説明員鶴見隆長君) ただいま詳しいことを存じておりませんので、後刻文書をもってお答えしたいと思います。
  31. 坂本昭

    坂本昭君 建設省関係で、その具体的な事例を知っておられたら説明していただきたい。もしなければ資料でお出しいただきたい。
  32. 志村清一

    説明員志村清一君) 建設省関係では適正化法の罰則の適用を受けた事例はないと考えておりまするが、なお調査さしていただきまして御報告きしていただきたいと思います。
  33. 坂本昭

    坂本昭君 それでは、会計検査院法の三十三条で犯罪を検察庁に通告した実例、これはありますか。
  34. 鶴見隆長

    説明員鶴見隆長君) そういう実例は最近ございません。
  35. 坂本昭

    坂本昭君 今の適正化法の十八条による補助金等の返還、それから加算金及び延滞金を国に納付している、こういう実例はございますか。これは検査院建設省、両方にお尋ねしたい。
  36. 鶴見隆長

    説明員鶴見隆長君) 負担金相当額を、どの工事は幾らを除外すべきであると検査報告に載せておりまするものにつきましては、それぞれ返還措置が講ぜられて現に返還されておりまするが、今の適正化法に基づくところの加算金というのは徴収されておらないように記憶いたしております。
  37. 坂本昭

    坂本昭君 きょうの問題になっている四百五十七から四百七十四、これはこの今の十八条の返還ではないと思うのですが、これはその今の十八条に当たるのですか。
  38. 鶴見隆長

    説明員鶴見隆長君) いや、そうではございません。
  39. 坂本昭

    坂本昭君 結局これは、次年度以降交付予定領中減額を要するとなっているのですよ。ただそれだけのことなんです。それで、この適正化法の十一条には、いやしくも補助金等の他の用途への使用と、こういう条件がついて、これさえなければ返還をしなくてもいいということになるわけですか。適正化の法律は検分院を助けるためにできた法律だから、これがどう運用されているか少し研究されなければ困るのですよ。
  40. 鶴見隆長

    説明員鶴見隆長君) お答えします。適正化法に基づいたこの処置はまだとられておりません。その追徴金とかいうようなことは、ここに検査報告に掲げてありますものは、適正化法に基づいておらないものばかりでございます。
  41. 坂本昭

    坂本昭君 どうもそういうことでは、せっかくできたこういう法律というものがちっとも生かされてもいないし、少なくともこれは、昭和二十八年災のあのときの事例にかんがみてできた法律であると私は思う。またその当時、二十八年災の審議をした参議院の決算委員会では、確かにもら詐欺罪だということで、相当峻烈に調査し、審議をしているのであります。だからそういう点できわめてこういう点の実施について研究が不十分であるということ、これはもう実際にこういうことがなければよろしいのですが、私としてははなはだ遺憾だと思う。  次に、さらに従来もあったし、今度問題になっている建設省と農林省の二重重複査定、これについては先ほどいろいろと検討するというようなことを一言述べておられましたけれども、これを取り締まったり処罰したりする具体的な方法はないのですか。
  42. 鶴見隆長

    説明員鶴見隆長君) 二重査定のことについてのお話でございましたが、ここに掲げてございますものは、まだ補助金交付されてない未着工のものでございます。二重査定のないようにということにつきましては、建設、農林両当局におかれまして十分御注意になっておったのでございますが、早々の場合でもありましてこういった事態が生じた、こう考えております。
  43. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 関連。先ほど坂本委員入札制度のことを提起したわけですが、他に質疑があるから次に移られるそうでありますので、これに関連して大臣に一つ伺いたいと思うのです。  私は、建設省の次官以下皆さんが非常に努力されている点は多といたしますし、よその行政機関にもありますけれども、それにはきょうは触れません。私は建設省で一番の欠点は、入札制度とまあ関連があるわけですが、お宅の高級公務員の方の政界への進出とこの入札制度との関連ですね。これは私は建設省の伝統的ガンだと思うのです。たとえば自治庁のごときは、あれだけ地方自治体に関係あるが何ら影響ない。これはあまり掘り下げますと、具体的な名前が出てくるから私は申し上げませんが、これはきっすいの政党人としての建設大臣、村上国務大臣には縁のないことなんだけれども、あなたも気づいておるはずだと思う。これは厳にあなたの時代に是正していただかなければならぬ、かように私は考えるのでずが……。先ほど入札制度が問題に出ましたけれども、それは選挙のあるときに建設省関係のある高級公務員の方が出る場合には、地建で集めるのですからね、地建で。地建でその地建下の業者を集めますよ。私だってそれは公務員だからそういう業者を知っていますよ。そういう人はざっくばらんに、もう言うのですね、やっぱり言うことを聞いておかないと、あと仕事をくれないから、生活に影響を及ぼすから、やむを得ないというわけですよ。そうして票の割当がせられてきているわけですからね。このことと入札制度ということとはあまりにも露骨に直結し過ぎていると思うのです。これにちょっと似通っているものとしては、林野庁なんかは典型的なものですが、これはまた他日にやりますけれども、こういう点は、最もこの点について縁の薄い純政党人としての村上建設大臣の時代に、やっぱり内部を戒めて、是正しなければ、私は将来に重大なる禍根を残すと思うのです。現在でも弊害があるということは、何人もこれは反論否定できる人はいないと思うんですね。大臣、どう考えておられるか。少し自粛していただかなければならぬと思うですね。この事実から坂本委員入札制度を聞いていると思うのですが、公正にいっているとは考えられない。ただ、これは参議院議員の選挙の結果から、数字にちゃんと出てきていますからね。これから先のことは私は言いませんけれどもね、あえて私は村上大臣に伺っておきます。
  44. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 大へんむずかしい御質問で、入札制度とただいまのその矢嶋さんの御指摘になったこととは、これは私はない(矢嶋三義君「大いにある」と述ぶ)と思うんですよ。と申しますことは、建設省のかりに高級職員が何かの選挙に立候補した場合、その場合にはやはりとかく選挙というものは、まあ矢嶋さんは――私どもそれは矢嶋さんを大体支持している票というものは、やはりあなたが元いわゆる教職におられた方でありますから、教職員の人たちはあなたにあこがれを持ち、あなたの人格を十分お認めになってそうして票が集まったように、やはり建設省の高級職員で、人格識見ともに自他ともに許すというような人たちは、どうしても相知っている者が寄り集まってその人を支持するということは、これはもう私は人情のしからしむるところであって、法律でこれをどうしようにもこうしようにも方法はないと思います。従いまして、それでは建設省の高級職員はだれでも必ず出れば、そういうふうな業者とか何とかいう人たちの関係者が支持するかと申しますと、人によっては全く見向きもしないのが過去においてもその例があるのであります。でありますから、私はこの入札制度というものとただいま御指摘になった点は、これは別なものでありまして、特に今お話になりましたように、地建なりの局長業者を集めて、それに一つ入れてもらわなければ今後指名しないぞというようなことになれば、これはもら純然たる選挙違反でありまして、これはまた別な、選挙法によって取り締まりを受けるものであろうと思いますので、この点は私はあなたが御自身の今まで何回もああいう得点を得られたその背景からお考えになられれば、やはり私は相知る者がその人を慕って投票していくというようなことがあって、そうこの場合入札制度とからみ合わせて云々すべきものでないのじゃないか、私はこう思います。
  45. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう一回。これはね、村上大臣に似合わぬことを言っていると思います。あなたが純粋の党人出身の国務大臣として、そのあなたの持論として外部で主張されていることを私は風の便りで承っているのですが、それと全く違う。その人情論ではだめですよ、僕は。あの人に私淑しているから、あの人を支持し、自分の清い一票をあずける、これは自由です。それと違うのですよ。これはあなたのところの次官にしても、局長さん、あるいは各出先の地建局長さんにしても、予算の執行権を持っているんですね。そうして業者から見れば、その人から仕事を与えてもらえるか、指名してもらえるかどうか、仕事を与えられるか与えられないかというそういう事業、生活と直結しているわけですからね。だから村上さんが非常にりっぱな人だから、あの人に私淑しているから、あの人を一つ一般の人が応援しよう、票をあずけようというのとは違うわけですからね。その国家権力を背景に、強力なる行政府に席を置いて、そうして行政権を執行している人ですからね、違いますよ。そういった資料を出したらいい。各省庁のかつての局長、次官というような者の票を出したうちゃんと数字が出てくるのですよ。だから村一さんはあなたの腹の中にあるものをここで速記をつけては申されないだろうから、僕はあえてもう一ぺん本心を言いなさいと無理なことは申しません。しかし向こうの人はみんなにこにこして黙って聞いているでしょう。これは国会議員だれだってそう思っているんだから、一般国民は――これはだから何人も否定、反論できないと思うのでありますから、幸いにきょうは、次官は来ていないのですが、局長さん方おいでになっているようですから、ともかく胸にとめておいていただきたいと思います。ちょっと無理ですからもう御答弁を求めません。
  46. 坂本昭

    坂本昭君 本日の四百七十六号の批難事項について、検査官から先ほど比較的詳しい説明がありましたが、この道路改良補助工事計画が不当で、不経済な丁半であって、本道の完成を特に急ぐ理由に乏しいものであるというふうに報告されてあります。この指摘は、検査院に伺いたいのですが、単に会計決算上の当不当ないしは正不正の検査だけでなくて、公共事業計画の当不当に対しても検査官検査をし、かつ批難し縛るものとこれは解釈してよろしいのでありますか。
  47. 白木康進

    説明員白木康進君) ちょっと御趣旨を私勘違いしておるかもしれませんが、公共事業計画のものについて私ども批難いたしましたのは、あくまでも、それによって決算上不経済あるいは不当なることが、結果的に確認される場合について申し上げるのでありますが、一般的にたとえばこういう道路を作った方がいいんじゃないか、あるいはこういう道路はあまり要うんのじゃないか、そういう決算と離れた計画の面については全然指摘もしておりませんし、そういう権限はございません。
  48. 坂本昭

    坂本昭君 これは非常にむずかしい問題であると思うのですが、この最後の方に「本道の完成を急ぐ理由に乏しいものである」というふうに、これでは計画上の不当が指摘されているように思うので、こうした場合、これは念のために伺っておきたいのですが、建設省では道路整備長期計画や治山治水の長期計画やいろいろあるし、また鉄道建設の問題も別の省ですが、審議されます鉄道とか自動車道、こういうような場合にどの限界まで検査院として指摘しまた主張し得ることができるか、その点はちょっと念のためにもう一度お伺いしておきたい。
  49. 白木康進

    説明員白木康進君) 建設省で策定されております道路整備計画とか路線の設定であるとか、そういうことについては従来からも私どもでとやかく申し上げたこともございませんし、今後もそういうことはございません。本件で特にこの「本道の完成を急ぐ理由に乏しい」としておりますのは、当初のこの事業を採択される理由以外に、なるほど御崎港を余部の方に変えたのは必ずしも当を得なかったのかもしれないけれども県道の改修計画と相待って、今後相当利用価値があるという御回答がありましたので、その点について申し上げておるのでありまして、その県道が先ほど申し上げましたように非常に程度の悪いもので、現在突角芟除と申しまして、非常に曲線のきついような所を一部手直す程度で、今後いつになったら車が通れるかわからぬ道路で、整備計画のない、そういったような状態のときに、こういったごく一部の町道の改修というものを、そういった大きな計画と結び合わせて採択されたことに、採択の基準の一貫性がないと申しますか、調査が不十分であったということでありまして、特にこの道路を設定ざれた計画上の目的が不当であるかどうかということは、全然関係のないことでございます。
  50. 坂本昭

    坂本昭君 それではこの道路は、これは昭和三十二年のことですが、その後どうなっているか検査院の方では存じておりませんか、もしおらなければ建設省説明していただきたい。検査院も一応指摘した以上は説明していただきたい。
  51. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) この道路につきましては、御崎駐留軍が通信関係の施設を作るために、余部港からの交通連絡、資材の運搬に必要であるという目的をもって実施いたしたわけでございます。当時この道路が非常に悪く、実際資材の運搬はもちろん、普通の交通にも非常に大きな障害になっておったことはもちろんでございますが、ただいまお話がございましたように、そこへ達します道路につきましても非常に不十分でございまして、いろいろ問題はあったのでございます。私どもといたしましては、この関係方面、調達庁等の御要求によりまして、余部港からの連絡施設を強化いたしますと同時に、またこの道路は町村道になっておりまして、町といたしましても交通連絡のために必要であるものでございますので、これを機会にこの道路の整備を一部実施いたしますことは、やはり必要であろうと認めたわけでございます。しかしながら、ただいま申しますように、それに連絡いたしますもとの道路が非常に悪いということは、せっかく実施いたしますこの道路事業効果を不十分にするおそれがございますので、実はその手前の道路に対しましても一部町村工事、また県の単独工事をもちまして、また目下実施いたしております道路整備五ヵ年計画、この五ヵ年計画香住から余部の手前までの県道の整備を予定しております。その計画の一部をやりくりいたしまして工事実施することにいたしました。従いまして現在といたしましては余部からこの施設に達します区間のみならず、鎧駅から県道通りまして余部を経てこの施設に達する道路はまだ不十分でございますが、一応使えるような状態にいたしました。従いまして、せっかく作りました道路使用に耐えないという状態ではございませんが、今後道路整備計画の進行とともに、せっかく作りましたこの道路が十分生きるようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  52. 坂本昭

    坂本昭君 こうしたいろいろな批難事項を受けた場合に、手直しということが実際にどの程度行なわれているか。従来の検査院報告によると、三分の一程度手直しをしている。それから三分の一は催促すると手直しをする。あとの三分の一ぐらいは何もしないでほったらかしている。そういうような報告をされた例がありますが、現在の実情、一般的にどういうふうであるか。これは検査院の方の説明をいただき、さらに建設省説明もいただきたい。
  53. 白木康進

    説明員白木康進君) 特に公共事業関係補助工事につきまして、私ども指摘いたしました事項について手直しをするということは、これは補助金を返すか、あるいは手直しをするかということは、補助金交付されました主管省のお考えによってきめることでございまして、私どもはどうした方がいい、あるいは手直しを認めるとか認めないとか、そういうことは申しておりません。これは事実上の処理でございます。  そこで今全然そのままになっておるという御発言があったように思いますが、私が承知しております範囲内では、私どもの方で指摘いたしましたものは、原則として補助金返還、または未交付のものから減額する。そうでない一部について、本来の事業目的を達成するのに不十分と認める場合には、補助金返納にかえて手直しをするということでございます。  それで手直し程度でありますが、これは一度作ったものを全部こわして作り直すということになりますと、相当経費もかさみますので、実際の処理としましては、たとえばコンクリートを使わないで玉石をあんこにしてコンクリートで被覆したという場合には、セメントを注入して何とか力を入れる。そういったように、どうしても手直しというものは次善の仕事になるわけでございますが、この点のどの程度にやるかというようなことは、主として主務省がおきめになることで、非常に程度の悪いものについては、私どもからなお注意を申し上げることもございますけれども実情はそういうふうになっております。  それから先ほど申し上げました本年の指摘事項につきましては、手直しについては、それぞれ事業主体から写真をつけて、私どもの方へ報告が参っておりまして、それによって私どもも大体それを確認しております。返納はもちろん日本銀行の領収証その他によりまして確認しております。
  54. 志村清一

    説明員志村清一君) 三十二年度決算報告に載っております十八件につきまして申し上げますと、たとえば四百六十六にございまするように、工事を終わったのちまだ残っておるものの売却代金等がまだ返還されてなかったというようなものにつきましては、これを収納いたしております。そのほか工事の出来高につきまして、不足分を手直しするとか補強するという必要のあるものについては、全部手直し工事を終わっております。
  55. 坂本昭

    坂本昭君 大臣に伺いたいのですが、御承知通り終戦後ずいぶんだび重なる災害が起きております。政府が発表した数字だけでも災害復旧事業費が終戦後一兆円をこえております。また死亡者、行方不明だけで約三万人あります。その中で、昭和二十三年災が五千四百名、二十八年災が四千三百名、それと三十四年災、こういうふうに五年か六年おきに大災害が経験されておる。こういう実情の中で今度総合的な治山治水計画お作りになるということでありますが、その内容を御説明いただきたい。当初は、三十三年から三十七年の五ヵ年計画で三千五百億と言っておったのが、三千七百七十一億ですかに変わり、また今大蔵省案、経済企画庁の調整案といいますか、そういうものがあって、三十三年度を三十五年度からにするとかいろんな意見がありますが、まず伺いたいのは、大蔵省案とか経済企画庁の調整案、こういうものと、建設省の案の根本的な技術的な計画差がどこにあるか、まずその点を御説明いただきたいと思います。
  56. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 建設省におきまして五ヵ年計画を三十三年に策定いたしましたのは、積み上げ方式で、河川につきましても一つの河川の系統について、この河川ではどういう堤防をどの程度にやらなければ、どうも豪雨の際にこの堤防は破堤のおそれがあるというようなものを一つ一つ取り上げまして、それを集約したものが三千五百億ということになっておったのであります。しかるに今回この伊勢湾台風による被害の状況等からいろいろ勘案いたしますと、どうも東京あるいは大阪また有明湾等のこの海岸地帯においては、従来建設省で考えておったその規模よりももう少し規模を大きくしなければ、一部変更しなけれげならないのじゃないかということになりましたので、結局それをいろいろと計算した結果河川とこの海外提防とにおきまして、二百七十億ばかりのどうしても計画増をしなければならないことに相なりましたので、今回三千五百億の従来の規模を三千七百七十億という規模で関係方面に提出いたしておる次第であります。  大蔵省の、伝え聞いておりまする二千四百億とかいうことにつきましては、私どもとしてはまだ閣僚懇談会等におきましていろいろと交渉はいたしますが、基礎的な資料についてはまだ私どもはこれを今日まではどういう点からこうなったということは聞き及んでおりません。  経済企画庁の方で策定いたしておりまする、まあ建設省の三千五百億に対するその経済企画庁の規模としては、先般は二千六百億程度でありましたが、その企画庁のそこに至った規模につきましても、これを詳細にまだ閣僚懇談会にかけて打ち合せ、折衝はいたしておりませんが、聞くところによりますと、従来の治水事業の予算に対して、今後のいわゆる経済の伸びというものを勘案して、それを加えていったというように私どもは聞き及んでおりますし、また大体われわれが計算してみましてもそういう程度の伸びになっておると思っております。しかし本日も実はこの関係各省の幹事会をただいまやっておりますが、近くこの幹お会によって折衝した結果が、たとい一致たみようとみまいと、近いうちに私は治水事業の閣僚懇談会を開いて、そうして何らかのそこに一致点を見出して、いわゆる三十五年度予算にはこの五ヵ年計画の早急な実施を積極的にやってもらうように、私としてはただいまそういう考えをもって臨んでおる次第であります。
  57. 坂本昭

    坂本昭君 で、この治山治水計画実施するために、そのための特別会計をおやりになるような計画があるやに聞いておりますが、これはもちろん、財政法上財源がなければできないのですが、漏れ聞くところによると、例の国民所得倍増論の池田積極政策の立場では、建設公債発行論に同調的である。そうして建設大臣も内心これを希望しているということでありますけれども、一体この建設公債発行についてどういうふうにお考えになっておられるか。この建設公債は赤字公債であって、とるべきではないという考えもある。それで一般会計でやる以外に方法はむしろないのではないか、というふうにも思われるのですが大臣はどういうお考えです。
  58. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 治水事業の五ヵ年計画、その年次の予算につきましてはでき得れば、私は御指摘のように一般会計でその必要な額をまかなってくれるということが、一番望ましいと思いますが、しかし大体今までの財政的に見て参りますと、どうも一般会計だけでは不足すると私どもは思っております。そうなりますと、どうしても特別会計によって私どもの年々歳々の災害を、たとえ一年千億でも、あるいは人的損害、犠牲者というものを少しでも少なくするというような観点から、どうしても私どもとしては重要な地点、危険区域というものはこれを十分補強して台風に備えなければならぬ、かような考え方からある程度事業をやりたい。そこには結局特別会計というような問題になって参りまするが、この財源につきましては、私は率直に申しますと、一般会計とそれから預金部資金でも借りることにしまして、そういうようなことでそれを特別会計に繰り入れてもらって、そうしてやれば一番いいのですが、そういうこともなかなか困難なようでもあります。治水公債を発行するとかあるいはいろいろな問題がありますけれども、私はこの事業の財政的な問題については建設大臣が心配するというものではなくて、これは大蔵当局が十分心配してくれるものだと思っております。しかし今お説のような建設公債というようなことは、赤字公債だからだめじゃないかという御意見があるとすれば、私は同じ赤字でもこれは赤字のようで非常に黒字になってくる事業である。かりに一年に幾ら入れるかしりませんが、二、三百億ずつ国費を入れれば、かりに三年後にはこの台風による被害が一千億も減少する、軽減するということになりますと、私は、この国の財政を担当していく上からいって、ただ現金で持っていったからそれが赤字であるというような考え方はとるべきでない、二、三百億ずつ投じて受ける被害が少なくなれば国民全体で一千億の利益があるのじゃないか、より以上の利益がある。他面たとえばことしのように五千人以上も犠牲者が出るというようなことは、そう例年あるべきものではないでしょう。しかし大体五百人とか千人とかいうような国民の中からだれが犠牲になるか知りませんが、犠牲者の出るというようなことを私どもはどうしてもこれをそのままにしておくわけにはいかない。犠牲者を一人もないようにするということが一番願わしいことでありますが、それが一人の犠牲者も出さないようにということができなければ、せめてそれを半減するとか、あるいは何分の一にするとかいうようにして、少しでも犠牲者を少なくするということが、私はほんとうに民主主義の最も基本的なものであろう、こう思っております。そういう意味から私は財源について今建設大臣の立場からいろいろとやかく私が言うべきときじゃないと思いますが、何とかしてこの特別会計による計画的な治水事業の遂行をはかりたい、かように思っております。
  59. 坂本昭

    坂本昭君 大臣の決意のほどは一応了解いたします。ただこれは大蔵大臣一任とか、あるいは親分に一任とかというようなことでは済まされない問題だと思います。なるほど私も別に公債発行論いかぬというように断定しているものではない。ただ一般会計で来年やるとすると実際上どう計算しても出てこないと思います。だからそういう点で公債を出すとするならばどういう形で出すのか、そういう場合にはやはり建設大臣として私は道路公債を出すというようなことも具体的に考えられるのじゃないか。これはあなたの治山治水、道路住宅、これは一番大きい問題ですから、その中で道路公債というようなことを考えるということはいかがなものかお考えを承りたい。
  60. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 道路公債ということになりますと、道路にはすでに五ヵ年計画、一兆円というワクがはめられて、そうしてそれはガソリン税によってその財源の大部分をまかなうことになっておりますので、今道路ももちろん切実に私どもこれの改修、また新設等を希望するものではありますが、個々にある道路について集めた金を治水事業に繰り入れるとか、あるいは代行するということはちょっと不可能じゃないか、何か一般の考え方がどうかと、こういうふうに考えております。
  61. 坂本昭

    坂本昭君 私は何も道路公債を治山治水に回せということじゃなしに、広い建設行政の中で、もちろん今揮発油税というようなものによって道路整備ができているが、さらに道路公債によってその方をカバーをして、治山治水の方に今の資金運用部資金を引き出していく、そういうようなこともあわせて私はお伺いしている。
  62. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 大へん私どもに参考になる御意見でありまするので、十分研究していきたいと思っております。
  63. 坂本昭

    坂本昭君 さらにそのことに関連して揮発油税をさらに引き上げるおつもりを持っておられないか。これは単なる財政の問題じゃなくて、建設大臣としての建設行政の面でお答えいただきたい。それはなるほど例の石炭問題あたりが出てきて、関税との関係もあります、それからもちろん関税については、この間のガットの会議などで相当制限があるので簡単にはいきませんが、それでも焦眉の石炭問題と関連して揮発油税を上げるということも出てくるのじゃないか、そういう点でお伺いしたい。
  64. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 大へん重大な御質問で、ただいまのところ建設省としては揮発油税を引き上げるというようなことは考えておりません。
  65. 坂本昭

    坂本昭君 今のは国内債ですが、外債のことについて考えておりませんか。これは去年の秋の臨時国会で、例の産投特別会計の貸付財源としての外債の発行の問題が審議されましたが、治山治水特別会計に関連して外債は考えていませんか。
  66. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 道路関係では一億ドルの借り入れを世銀に申し込んでおります。そのうち四千万ドルは正月早々あたりに決定すると思いますが、私としては今治水事業に外債とかあるいはそういう資金の、いわゆる外国資金というものは考えておりません。
  67. 坂本昭

    坂本昭君 財源をふやす法として、治山治水に関係のあるものの中に、国有林野事業特別会計があります。これは直接建設省の行政とも、砂防工事などあるいは治山工事など関係が出てくる。これを見ますと、三十二年度決算で百八十五億、少なくとも最近おそらく歳計剰余金は二百億をこしておるのじゃないかと思います。そうして専業運用資金は四十億か五十億あればよろしい。だから少なくとも治山あるいは砂防、こういったものを国有林野事業特別会計の中から何とかするというような、こういうお考えはどうですか。
  68. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これはやはり農林省の関係でありますので、今のところ私はまだ林野の収入によって治水事業の財源に充てようということも考えておりません。
  69. 坂本昭

    坂本昭君 どうも農林省の関係があるというような、そういうお考えが日本のいろいろな行政を誤っておるのでナね。特に砂防工事というのを見ておると、予算の面でも農林省とそれから建設省と何かセクショナリズムがあるし、建設省の中でさえも砂防を扱っておる人と、そうでない人との間にセクショナリズムを感ずる。各地方の県へ行ってみると、一つの川の治水、それから砂防、こういったものがどこか途中で切れておるのです。しかもその切れておる点は一番困難な所で、一番むずかしい所で切れておる。建設大臣は、それは農林省のあれだからといって遠慮するのじゃなくて、使うべきものは使って私は能率を上げていただきたい。だから今のようなお考えははなはだ遺憾であって、どうせ日本のものなんですから、有効に使えるものならば使うように考えていただきたい。私はこれを使いなさいと言って勧めておるのじゃないのです。あなた方の方でどういうお考えを持っておるかということで実は伺ったのです。
  70. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは国の財源ですから、これはどこにある財源であろうが、これは財源のあるところには目をつけておるのですが、農林省といたしましても治山事業の五ヵ年計画で約七百億ないし一千億を必要としておるのであります。でありますから、ただいまの御指摘になりましたような財源があったとしても、農林省の治山事業にこれを入れてもなおかつ不足するということでありますから、建設省としてはそこまでの考えを持っていなかったわけであります。
  71. 坂本昭

    坂本昭君 それでは少し問題点を変えまして、建設省の中に虚業開発青年隊というのがあります。これは三十二年から始まって、三十四年度は四千三百八十五万円の予算を持っておりますけれども、今度の災害で何かこれ働きましたか。自衛隊の諸君に負けないような、何か日ごろ修得した技術を発揮いたしましたか。ちょっとお伺いいたしたい。
  72. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 御指摘の産業開発青年隊のことでございますが、何分にも伊勢湾周辺におります開発隊の現に訓練中の職員の数がきわめて少ないものでございますから、現実にあの現場においてモッコかつぎをやったとかいうふうなことまではいたしておりません。
  73. 坂本昭

    坂本昭君 もっとこの産業開発青年隊をどんどんふやして、自衛隊ぐらいの数にして建設大臣に大いに指揮をしていただくと、非常にけっこうと思います。  さて次に、今次の七、八、九月の災吾の復旧計画について、建設省実地査定をどれくらい行なわしめましたか。これは従来の古いあれを見ますと、昭和二十七年のときには実地査定というのは四〇%ほどやった。二十八年のときには八一%、二十九年のときには九四%というように数が出ておりますが、今度のこの七、八、九の災害についてどれだけ建設大臣はさせたか、その事実を一つ報告していただきたい。
  74. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 大体今月の中旬、もら十五日ないし二十日までには九八%まで終わることになっております。
  75. 坂本昭

    坂本昭君 検査院の方に伺いますが、検査院の方は今回の災害復旧査定に対して何をされたか。特に事前査定をやっておられるか。それからまたその間に二重申請の例はなかったか、お伺いしたい。
  76. 白木康進

    説明員白木康進君) 本年の災害関係査定の点でございますが、これは御承知通り相当査定額も多額に上っておりますので、私どもでも人員、あるいは検査予備費その他を多少重点的に使用いたしまして、検査をやる予定でございます。現在一部の県について建設省査定を終わられました分についてやっておりまして、まだ検査中でございますので、ただいまの二重査定とが何かの報告は受けておりません。
  77. 坂本昭

    坂本昭君 前回の二十八年災のときの二重査定事項などを見ると、たとえば熊本県あたりでは非常なひどい災害だったために、まあ当局の人がもら何といいますか、驚天動地の結果、建設省へ、あるいは農林省へというようなことで、両方に出してしまったというような、そういう説明が行なわれているのです。でありますから、これは私の方でいろいろな批難事項を将来招集するのではなく、あらかじめ親切に検査院の方で調べてあげる。もちろん建設省の方も今九八%までいくということですが、検査院の方も検査して批難事項を摘発するのが目的でないのですから、私は前回の二十八年災のときに検査院のやられたこの事前審査というのは非常にいいと思うのです。今回もぜひ皆さん方の、お忙しい方思いますが、全部を動員してぜひともこれはやっていただきたい。  それからなお建設大臣に申し上げますが、今度のいろいろなこの批難事項についての処分ですね、処分が実に甘いのですよ。せっかく適正化の法律もできているけれども、聞いてもどんな事例があるのだか、建設省もよく知っていなければ検査院も知っていない。何のためにできたのかわからない。さらに実際のこの事項を見ますと、みんな口頭々々なんですよ、非常に甘過ぎる。それは私は何も処分することを厳格にやれというのじゃないけれども、どうもすぐ口頭注意ばかりで、まるでちっと悪いことをしたらいいような、あるいは四百七十六号でしたか、「完成を急ぐ理由に乏しい」と言われながらやっておいたらあとでまたいい道ができたりして得ですよ。将来の効用を生かすために不当なことをやっておいたら結局得だというような、何か非常にこういう点は甘過ぎるという感じがいたします。それで工事施行監督及び部内の監察制度、こういったものの具体的な強化、さらにまあこり処分の問題、これについて大臣の見解を伺いたいのです。特に監察官は御報告を見ますと、昭和三十年のときには十三人、それが三十二年のときには十一人に減っている。現在はまたどうなっているのか、こういうことでは十分な監察制度というものの強化が行なわれないと思うのです。
  78. 志村清一

    説明員志村清一君) ただいま御指摘のございました内部監査でございますが、本省に監察官室がございまして、首席監察官以下監察官がおりまして精密な内部監査を実施しておりまして、その結果直轄関係に次第に指摘事項がなくなり、三十一、三十二年につきましてはゼロになったということで非常に喜んでいるわけでございますが、そのほかに各地建におきまして昨年から検査官を置くことにいたしまして、各地建一名ないし二名ずつ置きまして、各地建の中におきますこまかいことにつきましても、常時指導監査ができるように制度を整えております。さようにいたしまして内部監査に努めておるわけでございます。
  79. 坂本昭

    坂本昭君 処分が甘過ぎると思います。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  80. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記をとめて下さい。    [速記中止
  81. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 書記を起こして下さい。
  82. 坂本昭

    坂本昭君 今の処分についての大臣の答弁。
  83. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 従来よりも非常にこういう批難事項が少なくなったということは、今会計課長からお答えした通りでありますが、そういうようなことだけでなくて、まあ口頭で注意しあるいは譴責した程度で可能なものだというように監査官等が断定を下した。そのために特別に事件として取り上げていないのでありまして、私は一人もこういうことに対して犠牲者が出ないようになることが望ましいことであると思います。しかしながら、もしも実際に監察上不都合な行為あるいはとうていこれは容認すべき問題でない場合には、これはあくまでもこの賞罰ははっきりしなければ監察の目的に沿わないと思いますから、この点についてはただ今回特にここに背馳すべきものがないからといって、将来決してなおざりにする考えは毛頭ございません。
  84. 坂本昭

    坂本昭君 次に道路問題について伺います。  十一月七日の夕方、横浜市の生麦の無人踏み切りにおいて、京浜急行とトラックの衝突で死者五人、重軽傷三十三人を出しました。この事故の説明、簡単にしていただきたい。
  85. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 去る十一月七日のただいまの御指摘の事件でございますが、私が聞き及んでおりますところによりますと、京浜急行の下水の終末処理といいますかのための工事を、ちょうどそれを道路面で行ないまして、そのあとで調べたところによりますと、復旧が必ずしも十分にいっておらなかったようでございます。踏み切りのつまり手前の道路がそういうふうな状態になっておったわけでございます。そこへ重い鉄筋を積んだトラックが通った、これも聞くところによりますというと、積載量に相当超過があったように聞いております。踏み切りを渡ろうとして通りまして、車輪がその道路の一部掘った所へはまりまして、車体が軌道面へ出たわけでございます。たまたま走って参りました電車、それの急停車をいろいろやったのでございますが、間に合わなくて衝突ということになった。その結果ああいう事件になりまして、交通事故の中でも相当深刻なものでございまして、実は私どもといたしましては、あの事件をさっそく本省からも調査に行きまして実情を調べまして、こういうようなことを各地で繰り返さないように、少なくとも今後は十分な注意をいたすよら、それぞれ必要な部面に通達をいたして、再びこういう事故を繰り返さないような措置をいたしたわけでございます。
  86. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ちょっと速記とめて下さい。    〔速記中止
  87. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記起こして下さい。
  88. 相澤重明

    ○相澤重明君 四百七十七号について先ほど御説明会計検査院からいただいたのですが、これによりますると、東京都の特別都市計画法に基いて都が実施した問題でありますが、会計検査院指摘をされておることでは、土地の購入代金のうち国庫補助金相当額七百六十万四千三百三十二円は、すみやかに国庫返還させるべきである、会計検査院はそういう結論を出しておったのであるが、現在までこれは返還されておらないのかおるのか、その点について再度一つお答えをいただきたい。
  89. 白木康進

    説明員白木康進君) ここに指摘しております返納相当額は、全部返還されております。
  90. 相澤重明

    ○相澤重明君 その返還された年月日。
  91. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 三十四年の四月十一日であります。
  92. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで会計検査院にお尋ねしますが、この三十四年四月十一日に全額返還をされたというのでありますが、これについては利子をとっておるのかおらぬのか、この点会計検査院から報告願います。
  93. 白木康進

    説明員白木康進君) 利子は付されておりません。
  94. 相澤重明

    ○相澤重明君 利子をとる必要がないと会計検査院は判断をしたのか。
  95. 白木康進

    説明員白木康進君) 利子を付すべきかどうかの問題でございますけれども国庫補助金返納につきましては、返納を要することが確定しましてから相当期間たったものもございますけれども、現在まで利子を付してとったことはございませんし、また利子を付することは適当ではないのではないかと考えております。
  96. 相澤重明

    ○相澤重明君 会計検査院がみずからそういう考え方を持つというのは、先ほども坂本委員が言ったところの利子適正化の法律というものをどう理解をしておるか。こういう問題であるがきょうは時間がないから、これはあとで会計検査院に追及するから、そのつもりでよく勉強しておいてもらいたい。  それから、建設省は、都が不用となった土地のうちの五万七千四百七十坪を二十四年度から三十二年度までの間に、実に一億三千三十一万九千六百九十八円で売り払っておる。こういうことであったが、これについては建設省は、いっこういうことを確認をしたのか、こういう不当な事項があったということを発見をしたのか、その時期を一つ明らかにしてもらいたい。
  97. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 御指摘の戦災復興に伴いまする土地区画整理事業、これが今回の東京都の分について御指摘を受けたわけでございますが、御承知の戦災復興事業というものは、戦後の非常に焼跡の混乱したときから、相当大規模な事業として当初かかりまして、そうして自後、財政上の理由あるいはまた物価なり財政的な緊縮等も続きまして、その後土地戦災復興地域の縮小が随時行なわれたのでございます。それでその間におきまして、各所に鋭意努力をいたしまして進行しておったのでございますが、事業執行官庁といたしましては、できるだけ当初計画に近いものをやはり時期をたがえず考えておったことは事実でございますが、ただいまの御指摘になりました返納額に相当する戦災復興の施行地域外となった土地の用地等が、一部売却されておったことを知ったのはいつか、こういう御質問でございますが、これは会計検査院からも御指摘になりましたので、そのときにその全体のことがわかったような状況でございまして、まことにこの点は申しわけないと思っております。
  98. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、先ほどの坂本委員の御質問にもありましたように、内部監査においては、ついにこれは発見できずに、会計検査院指摘によって建設省もこれを明らかにされた、こういうことですね。
  99. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) この点は、御承知のように各地に、東京都の区域でございまして非常に膨大な面積にわたりまして、当初三千万坪で昭和二十二年に戦災復興の区画整理事業を行ないまして、それから順次個所ごとに行なっておる地域の中で、一部区画施行区域外にまたがるというふうなことで、年限がかなり経過いたしておりましたので、部分的にはわかっておりましたけれども、全体としての戦災復興計画の終息ということがはっきりわかりましたときに、たまたま会計検査実施していただきましたのでそのときに全貌がわかった、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  100. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから四百七十六号の「防衛支出金による道路改良補助工事計画が当を得ないもの」となって御説明がありましたが、この四百七十六号の工事についての監督責任者はどなたです。  それから、工事については民間からの工事担当された方は全然ないのかどうか。もしあるとすればどの組でやったのか、御報告願いたい。
  101. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) この工事は町村補助でございます。従いまして、建設省が町村に補助金を出しまして、町村がおそらくこれは直営ということではなく、請負工事実施したはずでございます。しかしながら監督につきましては第一には、それは町村でございますが、建設省監督いたしますとしても、なかなかこういう国の全般にわたりまして町村を詳しく指導監督するということも、注意はいたしておりますがなかなか十分というわけには参りませんので、こうした工事につきましては自後所管の県を通じまして、県におきまして事前に十分調査もしてもらう、それから、工事中にも指導監督をしてもらうような処置をこれによって講じた次第でございます。  なおこの事業実施いたしました施行者でございますが、これは後ほど調べまして御報告申し上げます。
  102. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは時間がないから簡単に、あとのことは建設大臣にお答えいただきたいと思うのでずが、十一月七日の京浜急行の花月園前第三踏み切りの死傷事故というものは、先ほど局長が言った通りでありますが、全国に約七万の踏み切りがあるわけです。そこで、建設所管の通路あるいは私鉄、国鉄、そういう関係交通機関との調整あるいは事故をなくするということについては、非常な努力をされておると思うのです。そこで、現在のいわゆる五ヵ年一兆円の予算で道路整備ということをお考えになっておるようでありますが、踏み切り道について、建設省としてはどういう考えを持っておるか、この際一つ承っておきたい。  それから、もし関係の法律を提案をするつもりでおるならば、いつごろその法律というものを準備をされ、提案をされるつもりであるか、この点も承っておきたい。
  103. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) ただいま御指摘の踏み切りの改善でございますが、全国に踏み切りが非常に多く、幹線鉄道と幹線道路とが交わっておるのみならず、幹線鉄道と町村道というような場合、まあいろいろな場合を含めまして非常に多うございます。必ずしも自動車交通量だけが多いのが危険とも限りません。いろいろ複雑でございますが、この踏み切り事故を防止いたしますために、踏み切りの改善を行なうということは、この道路整備事業としても非常に重視いたしております。ただいま実施いたしております道路整備五ヵ年計画でも、各種の公共道路にわたりまして踏み切りの改善、除却ということは、相当重点を置いて実施いたしております。そういうわけで建設省におきましては、年々この踏み切りの除却をやっておるのでございますが、ただいま実施いたしております道路整備五ヵ年計画全体といたしましては、踏み切り除却事業としておおむね全国に三百六十ヵ所を予定いたしております。なおまたそのうち本年実施することに予定いたしまして、いろいろ折衝いたしておりますものが、たしか百二十ヵ所ほどあったかと存じております。
  104. 相澤重明

    ○相澤重明君 この五ヵ年計画の中の大体の今三面六十ヵ所と言われたが、予算的なものもあると思うのです。そういうことを局長はわかったらお答え願いたいし、それから先ほど私質問したのは、建設大臣に、踏み切り等についての法律を建設省は考えておるかどうか、もし考えておるならいつごろそういうものを提案をする考えであるか。こういう点は単に建設省ばかりでなくて、運輸省との関係もあろう、あるいは内閣自体の問題でもあるけれども、長い間の国民の要望なんです。従って、所管省である建設省が当然お考えになっておるはずであると私は思うのだが、村上建設大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  105. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいま運輸省とも踏み切り道については研究中でありますが、適切な立法措置によって両省相談してやりたいと思っておりますが、しかし現在のままでも道路法によって踏み切りを変えていくということについては、何ら差しつかえがございません。しかし、踏み切りのこういう平面交差を取り除くというような点については、立法措置等も必要になってくると思いますので、目下運輸省と検討いたしております。そのうち何らかの成案を得たいと思っております。
  106. 坂本昭

    坂本昭君 関連して。この京浜急行のは私から言い出した問題でしたが、少し和洋委員の問題の提出の仕方と私の提出の仕方がちょっと違うのですが、結局は同じ点になってくると思いますが、先ほど局長説明で事実はあの通りですが、新聞で見ますとトラックの運転手を業務上過失致死容疑で送検になったというふうに出ている。ところが私はこれは問題点が三つあると思う。第一は私道を無断で掘り起こしたということ。第二番目はもと通りにしておかなかった、もと通りにしておかなかったから車輪が中へめり込んで、例のレールが出てきている所へ電車が来て当たった、もと通りにしておかなかった。三番目に五トン・トラックに十トン積んで、過重なものを積んでおった。この三つの点で私は大臣の言われた立法的な問題が出てくる。第一は、道路交通取締法の丘十六条の一項において、道路において工事をしようとする者は、警察署長の許可を受けなければならない。署長は、私道については、その道路管理者と協議しなければならない。ちゃんと交通取締法がある、あるけれどもこれがちっとも守られていない。この場合は京浜急行の工事をする人たちが全然無断でやった、一つもこの法律が守られていない。それから二番目のもと通りにしておかなかったということは、これは道路法の「道路の保全」という第四節の中に、四十三条で「みだりに道路を損傷し、又は汚損」してはならぬ、そういうふうにちゃんと道路法に規定がしてある。それから今のトラックに幸いものを載せ過ぎた、これは道路交通取締法施行令三十九条に、積載制限というものがある。私はこれはこの自動車の運転手に罪があるのではなくて、道路工事をした者に罪があるのではないか、そう思う。そうしますと、道路行政の責任者として法の扱いがはなはだ怠慢ではないか、ちゃんと道路法や道路交通取締法があって、特にこの道路法は建設省所管をしておられるはずなんです。これはむしろ怠慢があったのではないか、その点について今のもちろんこの立体交差というような技術的な問題も出てくるのでしょうが、道路行政を扱っている人としてどういうふうに具体的にお進めになるつもりか、お尋ねしたい。
  107. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 御指摘のように道路法上の手続をしないで道路を掘っているということでございまして、従って十分な工事ができないでその跡始末も十分にいっておらなかった、たまたままた一方トラックの方は積載超過をやっていた、そういう不法が重なり合ってああいう事件を起こしたものと承知いたしております。道路側といたしましては、道路管理者の知らない間にそういうことがなされていたということは、非常に遺憾でございまして、あの場合につきましては、京浜心行会社の方に厳重に交渉をいたしているわけでございますが、同時に所管の管理者といたしましては、それぞれ現場に出先もあるわけでございますから、そういう出先のものが注意いたしまして、大小を問わず、そうした無断工事と申しますか、その他全般的に道路法違反のことをやらないように、監視を十分にするように、先ほども申しましたような手配をいたしたわけでございます。
  108. 坂本昭

    坂本昭君 どうもまだ私は非常に足りないと思うのですが、大体道路に対する考えをもっと明確にしておく必要がある。道路とは「一般交通の用に供する道」ということになっておりますが、どうもこのごろは「一般交通の用に供する道」じゃありません。たとえばこの辺の平河町あたりを通ってもトラックや自家用車で道は全部占用されている。それから工事はひんぴんとして行なわれておって、一体あれは交通の用に供する道路であるかどうかはなはだ疑わしい。いろいろな新聞では観光バスなどが一級国道を占用している写真など出ております。ああなってきたら道路だか駐車場だかわからぬ、観光地の問題については私はきょうは一応別途に考慮していただくとして、道路法の道でないということです。これは特に注意を申し上げておきたい。そこで道路交通取締法が行なわれていないということは、今の京浜の生麦事件も同じですが、このことについては建設省の三十二年度の部内監査業務実績、この中にもちゃんと指摘されている。そうして法律の面では道路法の三十二条に道路の占用のことについて、「継続して道路使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない」ということと、それから道路交通取締法の二十六条に、道路管理者と警察署長の協議は建設省令で定める、こういうふうに書いてある。ところがこういうことがちっとも行なわれていないということなんです。これの行なわれていないということは、行なわれにくいのだか、それとも建設省令で定めるのだから、建設省が責任をもって厳格にこの法律の施行実施すればそれで済むことなのか。この点は部内監査でもやはり問題になっているが、特に最近の町の実情を見ると早急にこれは具体化していただきたい。特に停止車あるいは駐車について、これは道路交通取締法の二十一条の二、それから二十五条交通の妨害、それから同じ道路交通取締法施行令の三十三条に駐車の方法、いろいろと書いてある。だが、道路と交通についての法律はあるけれども、さっぱり現実にいかぬということです。要はどうすれば道が道になるかということです。道路整備五ヵ年計画もけっこうですけれども、道が道でなくなっている。これについて私は建設大臣にも、これは建設大臣ではわからない具体的な問題になると思いますので、一応心の中にとめておいていただいて、局長に具体的にどうするか、そのことをお聞きすることの中で、特に道路管理者が悪いのじゃないか、道路管理者が、もっとしっかりやっておれば、今の京浜の事件なんか起こうぬじゃないか、そういうことについて道路局長の御答弁をいただきたい。
  109. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 道路と交通の問題につきましては、御指摘のように、道路法と道路交通取締法と両方の関係がございまして、ことに占用とか駐屯というような問題になりますと、両方の関係がございますわけでありますが、私ども道路を作る側といたしましては、道路はやはり交通の用に使われるということを目的として作っておるわけでございます。従いまして、不法な占用、無断占用、まあいろいろ好ましからぬことが御指摘のようにあるわけでありますが、そういう点につきましては極力そういうことがないように、道路管理者としても注意いたしますと同時に、またこれを取り締る、交通規則の方を所管しておられる公安委員会、警察当局の方にもそういうふうに御連絡をしておるわけであります。そこで、ただいまお話がございましたが、それうの法律かう道路関係、あるいは取締法、それからそれぞれ省令が作られることになっておるというようなこともございましたが、それらにつきましても承りますると、交通取締法の改正が考えられておるようでございまして、それらと相待ちまして、取り締まりの省令なりその他の規則を明うかにして参りたい、こう考えまして、今、警察当局の方とも御連絡をいたしておる次第でございます。
  110. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記をとめて。    〔速記中止
  111. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記を始めて下さい。
  112. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから今の道路の問題ですが、踏み切り道法案の問題については、関係省と連結をして御提案をするということがわかったわけですが、私は、先ほど大臣が現在の道路法でも取り締まりができる、こういうお考えを述べられておりますが、それだけではやはりじんぜん日を過すだけだと思います。どうしても今の日本のこの道路交通というものを考えれば、早急に何らかのそういう立法的な措置をとらない限り、私はやはり事故はなかなか旧うぬ、こう思っております。ですからその点については、特にこの踏み切り道法の問題についてはやはり建設省が中心になって、そして予算的な措置も、法律の促進も私は考えるべきだ、こう思いますが、再度一つ踏み切り道法の問題についても、お考えを一つ大臣から承っておきたいと思います。
  113. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 運輸省の方でも踏み切りという問題だけになりますと、運輸省の方で法案が出せるような研究はしておるわけであります。私どもも、これに、ただ単に、踏み切りという問題だけでなく、平面交差したところの、まあ、場所によっては違いますけれども、そういう点については、十分運輸省が立法措置をする際に、建設省も運輸省と協力しまして、十分今後の踏み切り、あるいは平面交差等についても遺憾のないような措置をしたい、かように思っております。なお、道路交通取締法の改正をいたしますので、今後の道路交通につきましては、相当厳重なこういういろいろな事故等の予防ができるような措置をしたい、かように思っております。
  114. 相澤重明

    ○相澤重明君 それからこの道路につきましては、一級国道、二級国道それぞれありますが、特に、私は建設大臣も、災害等の問題で、やはり東京都を中心にお回りになっておると思います。そこで、現在私は横浜から通っておりますが、横浜から国会に来るまでに少なくとも一時間半からまごまごすると二時間もかかる。これは第一国道こしても第三国道にしても、今工事をやっておるわけです。ほとんど自動車は通れない、一時間にとにかく千五百台以上の自動車が通るのに全部ストップしてしまう。こういうようなことをやっておるというのは私は道路計画性の問題だと思う。  それといま一つは先ほど坂本委員もお話しになりましたように、他の省、あるいは電気工事であるとか、ガス工事であるとか、こういう他の省所管工事を認可する場合の認可の仕方にあると思う。せっかく道路を固めて直したところへ、またそのあとすぐ掘り直しておる。こういうむだなことは、これはもう建設省道路管理、あるいは道路に対するところの本当の計画性の私は欠除だと思うのだ。そこで建設大臣としては、今のこういうような工事をもう終ったあとすぐひっくり返えすようなことをどうしてやらせるのか、そういう問題について省内で何らか適正な考えを持ったことがあるのかどうか、対策を聞かしてもらいたい。  それから建設省自体がこの一級国道にしろ、二級国道にしろ、やっておる工事、あの工事の全く両側を、十メートルかそこらあたり離れると、左側をやっておるとすぐ先で右側をやっておる、今度はまた左側をやっておるというような形では、ほとんど都電であるとか市電であるとか、そういう真中でなければ通れない、軌道の上でなければ。こういうようなぶざまな工事というものはどうしてやるのか、これが二つ。  それから三つ目としては、現在の私は建設省直轄しておる国道等の問題で、比較的いわゆるコンクリート打ったのがこわれるのが早いのじゃないか。どうも占領下に米軍でやった工事というものは比較的長持ちした、こういうような印象をわれわれは受けるわけです。というのは年中掘つくり返えしてやっておったりこわされておるから、建設省が一体やっておるのは何かなおざりになっておるのじゃないか。こういうようなわれわれ国民としては印象を受けるのだが、建設大臣はこれにはどういう企画で、そうしてまたこれらの態度というものについて方針を作られたのか。  それから第四番目には、最近有料道路というのが非常に建設省としても各地域にたくさん作られておる。この間も横浜にバイパスができて私も参加したわけでありますが、しかし、この有料道路を作る反面に、やはり国道あるいは地方の必要な道路というものを、これは建設省計画をされて指示をしなければならぬと私は思う。その一つとして、あなたは知っておるかどうか、江ノ鳥から逗子へ抜ける線を、これは有料道路に半分してある。この道路というのは御承知のように、たとえば有料道路を作る場合には無料の道路がなければならぬわけですね。有料道路だけならばその土地の住民というものは常にそれだけの税金を余計払うことになる。これはそうでしょう。そのいわゆる自由にそこの付近に住んでおる人はこれは通れるようにしておかなければ、これは建設省の責任ですよ。ところが、二十八年以降いろいろ問題があったけれども、とにかく、今の鎌倉市長になっておる自民党の山本正一君が衆議院におったときに強い意見を出して、そうして若干の側道を作ったわけです。ところが、そのときの建設省と神奈川県なり鎌倉市長との間にできた話し合いでは逗子へ抜ける道を作る、こういうはずであったはずですが、現在までできていないじゃないか、一体その責任はどうするのか。こういうような一方においては料金をとるということは一生懸命やっても、住民の困ることは一向に考えないということなんですね。けしからん、建設省は。そこで建設大臣はそういう問題についてどう考えておるか。それから今言った具体的の問題はどうしようとするのか、一つ四点についてお答をいただきたい。
  115. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいま御指摘になりました、道路舗装工事のために非常に交通の妨害になっているということは、和洋さんの御指摘通りであります。私自身もどうも不愉快でしょうがない、何とかしてこれを通行にあまりじゃまにならぬような方法で、しかも作業がなるたけでなくて、ほとんど夜間にやったらどうだというようなことも考えて、それぞれその関係方面に相談いたしておりますが、これはもう十分私ども交通ということを第一にして、その補改修には、改修しているから交通はどうでもいいというような考え方を全く改めさせなければならぬ、まことに恐縮でありますが、ここ修繕させていただいておりますということで、まず通行、交通を第一主義に考えたあり方に私はどこまでも指導して参りたい、かように思っております。  それからこれは、都道府県道路という道路が、建設省直轄道路よりも非常に破損が早いということは、これはいろんな関係ででありましょうが、特に終戦直後に早急にただ表面だけコンクリートでならしたような道路工事が、今日どんどんこれを改修しなければ、とうてい今日のような十トン車とか十王トン車とかいちような重量物を積んだトラックのあれには耐えられないというようなことにもなっておりますし、今日やっております道路工事は大体主要道路については、そう三年や五年や十年でまた修繕しなければならぬということは絶対にないと私はかように思っております。が、なお一そうその路面の施工につきましても十分修理をいたしまして、ほとんど半永久的に使用に耐え得られるような道路にしなければならないと思っておりますし、またそれに沿って十分やっておるつもりであります。  それから逗子―鎌倉等の問題でありますが、この点については今用地問題が少し困難な所があるようであります。これはもう用地問題が片づけば、予算が裏づけをいたしておりますので、すみやかにあの方面の道路の問題は解決いたしたいと思っております。  それから有料道路やその地元の人たちについて非常な重い負担になるということは、もら御指摘通りでありまして、私は道路というものは、これは公共の役に立たすものであって、国民が一々道路にくを払わなければ通れないというようなことは、私としてはまことに好ましくないと思っております。しかしただこの道路を通った場合に、ここに一つの並行した道路があるけれども、この道路を通った場合には非常に通行人が得をするという場合には、これは有料道路使用するということについては、やむを得ぬと思いますが、有料道路があるからその側線は全然必要ないのだ、あるいはまた有料道路のためにもう他の一般無賃の道路というものは必要ないというような考え方は、これはもう絶対に改めるべきでありまして、そういうことは毛頭考えておりませんので、今後の道路につきましても、十分そういう点は間違いのないような方法で道路行政をやつて参りたいと思っております。
  116. 相澤重明

    ○相澤重明君 大臣のお考えは大へん私はいいと思う。しかし現実にそういう、たとえば今度新しくできた戸塚のあのバイパス道路でも、三ツ沢から入った所のすぐ隣りに、何ですかあれは品濃ですか、料金徴収所の手前に農家がある。その人たちなんかはそこを通らなければほかに道がないわけだ。そういう所へ作っていって料金を取るなんというのは、まことに私はけしからぬと思う。そういうようなことを私は聞いておる。人間の家が前に作ってあるものを建設省がバイパス道路を作った。それで道路公団に管理をさしておって、今度はその近所の家の者は通ることができないのだから、その道路を出なければ……。そいつを今度は交通に百二十円なり百四十円取るなんということは、私はこれはいかぬ話しだと思う。その点はよくあとで調べてもらいたい。私はそういうことだったら許すことはできないと思う。今までの建設大臣の言うように道路はみんなのためにある、国民のためにあるのだということを、そういう点を今後一つ注意してほしいと思うのです。  それから、あと二つだけ私はお尋ねしておきたいと思うのですが、これは新潟の地盤沈下を初め、東京都自身がきのうの雨で非常に地盤の沈下した所に水が寄ったわけです。このことは単に、新潟県のは代表的な地盤沈下の問題であるけれども東京でもこれをなおざりにしたら大へんな問題だと思う。すでに国鉄の駅なりあるいは丸ビルでも若干沈下をしておるわけですね。これは海のそばは運輸省の関係があるかもしれない。しかし大体において建設費の重要な部面だと私は思うのです。そこでこの地盤沈下対策というものは、政府の中でも大きな問題として今取り扱っておると私は思う。その地盤沈下対策というものをどういうふうにこれからやろうとするのか。そうしてこの間の伊勢湾の台風ではないけれども、ああいう被害を二度と、高潮を阻止することも政府でお考えになっておるようでありますが、それらの対策を含んでやらなければ、私は今からそういう計画を立てていかなければ、東京都にしても横浜にしても大へんだろう。これはひとり伊勢湾だけの問題ではないと思うのです。そういう点についての一つお考えをこの際もしお持ちでしたら御発表いただきたい。  それからその次にいま一つは、住宅の問題を一つだけ申し上げたいと思うのですが、建設省住宅対策というものは、非常に努力されておることも承知しておりますが、特に大都市における労働者の住宅というのは、産業労働者の住宅計画もあります、あるが、同時に建設省でももとあなたのところにおった人も現在いっておりますが、日本労働者住宅協会というのがある。一昨々日でしたかね、住宅金融公庫の決算をやった際にも私から申しあげておったのでありますが、昨年度、三十三年度は五百戸建設のワクを、住宅金融公庫としては建設省とも御相談をされて出したようであります。ほとんど完成の境に近いというお話がありました。そこで三十五年度の新予算をあなたはこれから通常国会に提案されるわけでありますが、この労働者住宅の払底の折柄、この五百戸のワクをもっと広げる考えはないかどうか。  それからいま一つは、先ほどの決算の中で土地の問題を私は申し上げましたが、大都市における土地の購入というものはなかなか大へんなものだ。土地価格というものは非常に高いわけです。そういう所における住宅建設する土地家屋ですね、そういうものの評価を、大体労働省なり、あるいは住宅金融公庫とあなたの方でもご相談になると思うのですが、土地の価格について実態に即した計算というものをされるようにお考えになっておるかどうか。それとも現在の労働者住宅の十四坪ですか建坪、この坪数の基準というものをくずすことができないから、幾ら東京であろうと名古屋であろうと、その土地にはかかわりなく同じ一律でいくのか。この点についての建設大臣としての基本的な考えをこの際承っておきたい、こう思うのです。
  117. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 地盤沈下対策につきましては、その沈下の原因等につきましていろいろとまだはっきりしたこれが最終的なものだという研究が、私どもの知る範囲ではできていないのでありますが、まあいろいろなこの地下水のくみあげ等も影響があるということもいわれておりますし、できる限りそういうことに原因がありまするならば、そういうくみあげする必要のないような措置もしなければならない。それにはやはり上流にダムを作って工業用水その他の用水の不足しないような措置も考えなければならないと思っています。まあ今日その低地帯に対する拙滑といたしましては御質問のあれとは違うと思いますが、これは伊勢湾台風等のこの経験にかんがましみて、十分防潮堤防により被害を少なくする、被害をなくするということを心がけたいと思いまして、この点についてはあらゆる角度から検討いたしております次第であります。  それから労働者住宅の三十五年度の、要求につきましては、相当数ふやしておりまして、昨年度よりも二千五百戸ばかり多く要求いたしております。  それから大都市の土地の造成の点につきましては、私よりも住宅局長の方からお答えいたします。
  118. 稗田治

    政府委員稗田治君) 御指摘のように年々都市における宅地は値上がりして参っておりますので、今日住宅建設の隘路には用地の収得難というのが大きなネックになっておるわけでございます。来年度の予算におきましては、住宅金融公庫の宅地造成資金のワク等を相当拡大して、全国の都市周辺の宅地造成を増進いたしまして、宅地事情を緩和したいというふうに考えておるわけでございます。  なお、住宅公団の区画整理による宅地造成事業も第三期計画を続行して参るように考えておるわけでございます。
  119. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣に要望を含めて一点だけ伺っておきたいと思います。  会計検査院資料によりますと、不当事項として指摘されたのが、昭和二十八年災害の年ですが、百七十六件をピークにしてずっと下降線をたどって、昭和三十二年は二十一件と激減しております。しかも直轄事業指摘事項がないということは非常にけっこうだと思うのですが、本年度はまれに見る災害の年でありましたから、十分御注意いただいておると思うのですが、昭和三十四年度会計検査院報告にまた昭和二十八年の百七十六というような数字が再現しないように、これは十分一つ御注意いただきたいことをお願い申し上げておきます。これは要望しておきます。  それから、例年のことですが、本年も出ておりますが、出来高不足、それから設計過大、こういうものが依然として多いということは非常に遺憾であります。しかもそれらは補助事業費が主でありますが、事後処理を見ますと、「土木部長より当事者に対し口頭注意」とありますが、どういう口頭注意をされるのか、よく詳しく知りませんけれども、これは相当厳重にやっていただきたい。で、どういうことを注意されるか知らぬが、実質的には、先ほどもちょっと述べましたが、補助金をやったがらまくいっておらぬじゃないか、出来高の不足でこれはいかぬぞ、この前選挙のときょう働いたが、今度も選挙あってやったが何だということで、無意識的にもそういう口頭注意では相ならぬし、例年同じことを繰り返すと思いますので、この点は相当厳しくやっていただきたいこと、これは要望です。  最後は、これはお伺いになるわけなんですがね。若干要望が入るのですけれども、それは、先ほど盛んに道路住宅政策は主張されたわけですが、来年度治山治水の特別会計もできてこの政策が強力に推し進められることはけっこうだと思うのですけれもど、しかし歴史的に考えて鳩山さんが出て住宅政策を言えば住宅だ、オリンピックが近づいたら道路だ、その当時はやはり河川行政というものは予算面から軽視されたことは否定できないと思う。そうしましたところが、狩野川台風、十五号台風がきた、今度は当然治山治水というものがクローズ・アップされてくる。これは当然予算編成が伴うのでそうならざるを得ないと思うのですけれもど、来年度の予算編成に従事されるにあたっては、治山治水を進めることはけっこうですが、それがゆえに今まで進められて参った住宅政策とか、あるいは道路行政が犠牲にならないように、これらも十分注意していただきたい。特に皆様方の国道関係を私しろらとですが注意しているというと、北海道は北限ですけれどもかなりいいように、僕らの想像以上にいいようですが、南九州のような後進性のある所は国道でも非常に落ちておるのですね。これではいつになっても後進性から抜け出ることができぬと思うのですね。従って、治山治水は大事でありますけれども、民生に関係ある住宅とかあるいは道路の行政、政策というものが犠牲にされてはならないと思う。  そこで伺いたいのですが、あなたは岸内閣の一国務大臣ですから伺っておきたいのですが、今の防衛計画というのはどうしても私は時代的なずれがあると思う。それから予算の使用面に問題があると思うのです。私は、一国務大臣として、それから建設行政を担当する大臣として、閣議に相当の発言をされて、国の予算の性格、それから予算の使用に後世誤謬があったと指摘されるととのないように、私は善処していただきたいと思うのですが、それだけの決意を持たなければ、先ほどからあなたが答えられましたあるいは治山治水、あるいは道路、あるいは住宅そういうところの政策というものの進展はなし得ないと思いますので、あえて所見の一端を伺っておきたいと思います。
  120. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御要望の点につきましては、もとよりこの本年度災害復旧に当たりましては十分注意いたしまして、決して二十八年の当時のような、ああいう多くの問題を残すようなことのないようにいたしたいと考えます。  それから出来高不足、これは支払いも不足ならばこれはやむをタ得ないと思いますけれども支払いだけは多く払って出来高だけ不足だ、こういうことになればもう一つの刑事問題になりますから、こういう点がありますれば、おそらく十分厳罰に処する必要があると思います。しかしそういう点は私はなかったのであの程度で終わったのではないかと思っております。こういう点につきましても十分今後遺憾のないようにして参りたいと思っております。  それから治山治水の私の熱意につきましては、これは私は伊勢湾台風のような、ああいう大きな犠牲がなくても、私としてはこの立場におる私として、私が多年唱えて、私のこれをばかの一つ覚えで国土保全ということのみ考えて参りました私といたしましては、たとえああいう大きな犠牲がなくても、抜本的な治山治水については十分私の考え方を反映して参りたい、かように思って参っております。さらばといって、それがために道路、この今御指摘になりましたように南九州と申しますか、四国につきましても、中国にいたしましても、山陰にいたしましても、実に、東北、いずれの場所も、日本の道路というものは全く恥かしいような、諸外国、先進国に比べてまことに私ども遺憾なところが非常に多いのでありまして、これを五ヵ年計画で一兆円という一つのわくをもって進行いたしておりますが、これに私は予算を増していけばとて、これを削って治山治水の費用に当てるというようなことは考えておりません。いわんや住宅につきましては、まだまだ日本の住宅不足は依然として人口の増加ということから考えますと、やはり依然として不足を告げております今日、やはりこれにつきましては、私は絶対に前進すればとて後退するというようなことは考えておりませんし、またそうあってはならぬと思っております。ただこれらの諸事業を行うために、矢嶋委員の御指摘になりましたいわゆる国防費の方を回わしたらどうかというようなことにつきましては、これは私はまた私なりに日本の自衛ということも大事である、また台風による国の防衛ということも大事である、これはいずれも両々相譲らぬ、国家にとって重大なものだと思うのですが、どうぞその点については、まあいささか意見が違う点があるかもしれませんが、御了承のほどお願いいたします。
  121. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記をとめて。    〔速記中止
  122. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記を始めて下さい。
  123. 坂本昭

    坂本昭君 先ほど来道路の効用、道は道であるということについて、特に道路の占用問題について、いろいろとお尋ねいたしましたが、建設省のお答えでは、道路法、あるいは道路交通取締法、これらの改正を通じて、道路管理者が管理の責任を十分とる、そのためには関係の各省庁ともよく協議をするというようなお答えをいただきましたが、そこで今の道路占用問題について、運輸省にお尋ねしたいのですが、今の道路占用に関連して、実際の都会のみならず中小都市の道路をごらんになったらわかります通り、この道路を占用しておるものは非常に自動車が多い。そうして自動車の使用の免許を与える場合には、登録、あるいはいろいろな使用の本拠の位置とか、そういういろいろなことを法に従ってお調べになっておられますが、一体このガレージというようなことは、免許を与える場合に条件になっておらないのですか。つまり免許を与える側で、自動車というものが道路を占拠するということ、使用する場合に占拠するということは当然御承知の上で、私は免許を与えられると思うのだが、そうした場合に車庫をどこに置くとかいうようなことは、その条件の中に入っていないわけですか。現実の場合は東京都なんか、もう朝から晩まで、晩から朝までずっと自動車が道路を占用している、このことについて、運輸省としての、自動車局の御見解を伺いたい。
  124. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 今の先生の御質問の点につきまして、事業車と自家用車とあると思いますが、事業車のことであろうと思いますので、事業車のトラック等におきましてお答えいたしたいと思うのでありますが、事業の免許は道路運送法で規定されておりまして、その免許基準に合致しました場合には免許するということになっておりますが、車庫等の設置につきましては、事業計画の中にそういう計画がありません場合には、あるいはそれが当を得ないような計画であります場合には免許をいたしておりませんで、免許を審査いたします場合に、車即計画等を審査をいたしております。
  125. 坂本昭

    坂本昭君 そうしますと、これは取り締まりの側にあなたの方はないので、あなたの方では十分その点は考慮して、免許しておられると思うのだが、実際上はこれが今度は警察庁の保安局長ですか、がおいでになっていると思いますが、実際に道路を占拠している車の種類、今運輸省の方からは事業車の話が出ましたが、実際は事業車と自家用自動車とあると思います。これらの道路の占用によって道路運送の秩序が確立しておらず、交通の保安が著しく妨げられているこの現状について、どういうふうに見ておられるか。さらに保安上これをどうすればよろしいか、御意見を承りたい。
  126. 木村行蔵

    説明員(木村行蔵君) 道路に非常にきわめてたくさんな自動車が駐停車いたしまして、現実において非常に交通の円滑化を妨げあるいは事故の発生の誘因となりまして、相当苦慮いたしておる状況でございます。その概況について申し上げますと、全国的な統計はまだ手元にありませんので、一番著しい東京都内の状況を申し上げたいと思います。最近――と申しましても昨年六月の調査であります。それによりますと、自動車の所有者七万二千五百七十四名、それから自動車の台数は十四万八千三百八十二台、これについて一応車庫の有無その他車庫の収容状況の調査をいたしております。その統計によりますと、七万二千五百七十四名の自動車所有者のうちで車庫を持っております者は三万二千四百八十六名、全体の四四・七%、それから車庫を持っていない者は四万八十八名、五五・三%。さらに、今度は自動車そのものの状況についての調べをいたしますと、先ほど申し上げました十四万八千三百八十二台のうちで、車庫に収容し得るものが台数にいたしまして七万九千五百四台、全体の五三・六%。それから車庫がないか、または車庫がありましても入り切れないというような台数は残りの六万八千八百七十八台でございます。全体の比率からいいますと四六・四%で、この六万八千八百七十人台のうちで内訳を申し上げますと、路上に赴いてあるものが二万九千七百九十七台でございまして、ただいま申し上げた六万八千のうちの四三・三%、こういう状況でありまして、路上に放置しておるというのが一番多らございます。それからその中の用別を申し上げますと、事業用の関係では所有台数三万九千五百六十八台で、そのうちで車庫のない台数というのが一万一千二百七十二台でございます。一六・五%――一割六分ぐらいであります。それから自家用が十万八千八百十四台の所有台数のうちで、車庫のないものが五万七千六百四台でございます。八三・五%でありまして、自家用のもので草片のないというのが圧倒的に多いわけでございます。  こういうふうな状況でありまして、警察といたしましては、法に違反しているような駐停車に対しましては相当きびしく取り締まりをいたしております。昨年一年の統計によりますと、これは全国でありますけれども、全国で駐停車の法規違反の取り締まりをいたしましたものが、自動車につきまして、検挙いたしましたのが二十二万一千五百九十六件でございます。それから検挙ではありませんけれども、警告その他の措置でいたしましたのが三十二万一千九十一件、両方で五十数万になっておりまして、相当の取り締まりをいたしております。しかし、これがこのような取り締まりだけではとても追っつかない問題があるのじゃないかと思います。まあ警察の立場からいえば、車庫の設置についてもう少し法制化していく面がありはしないかというような点も考えられますけれども、これは検討を要する今後の課題ではないかと思います。  それから車庫あるいは常置場所について、先ほど自動車局長からもお話がありましたように、事業用については、事業免許の申請をいたすその計画の中に、車庫の状況についての若干の措置があるわけでありますけれども、これらについても何らかの形においてその措置について確認する方策という問題も残されていはしないかと思うのであります。あるいは交通量、あるいは道路状況、沿道の状況などを勘案しまして駐車し得る――駐車しても差しつかえないというような道路は、ある程度具体的に指定しまして、それ以外の道路についてはできるだけ円滑に流れるように、通過交通を確保するというような方策などが必要かと思いますが、具体的にはいろいろな問題がありまして、この駐停車の非常に、はなはだしい路上占用につきましては、公安委員会あるいは警察といたしましては非常に頭を痛めておる問題であります。
  127. 坂本昭

    坂本昭君 ただいまの警察庁の説明によりますと、先ほどの運輸省の説明とちょっと食い違った点があるように思われますが、事業車でも車庫のないものが一六・五%もある。これは非常に大きいパーセントであり、あなたの方で免許する場合にきわめてずさんな免許をしておるということが表われておるのじゃありませんか。この数はあなたとしてはどう考えられますか。
  128. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 先ほど申し上げましたように、事業車につきましては事業計画内容につきまして申請書面で審査をし、さらに現地の調査もいたしまして、妥当と思われるものを免許しておるわけでございますが、この中には――私この数字を今初めて伺いますので、今まで存じませんでしたのですが、車庫と書きまして、われわれは、車庫及び常置場所で、有蓋の車庫がなくても、いわゆる置く所があれば、ある場合には許すことを考えておりますのですが、あるいはその点の数字の差が幾らか入っておるのじゃないかと思いますが、そのほかにさらに私どもが感じておりますことは、昭和二十八年以降は、この車庫につきまして厳格に審査をいたしておるのでございますが、昭和二十八年以前に免許を受けました事業者につきましては、車庫の能力が不十分なものが確かにございますので、それらに関しましては車庫を適正化するような行政指導をしておるのでございます。この点につきましては、もと事業計画上車庫を持っておったものが、その借地権が切れてその一部が使用できなくなったとかいうようなこと、そのほか事情が変更しまして、われわれが見ましても十分な規模の車庫を保有していない事業者が確かにございますので、これらの点に関しましては、今後陸運局等も十分に監査もいたしておりますので、それらを発見しました際には十分注意を与えて車庫を作らせるように指導していきたいと思っておりますし、さらに根本的な対策としましては、この十月から自動車ターミナル法というものを施行いたしたのでありますが、この自助車ターミナル、トラック・ダーミナルを適当な位置に作って、こういう方面に事業用トラックを持っていくというような形のものを考えていきたいと存じておりますが、そういう監査によります指導と、そういう集団的な措置をするということで解決に向かっていきたいと思っておる次第であります。
  129. 坂本昭

    坂本昭君 本日は決算委員会でありますので、この問題あまり長い時間かけて審議をするのもどうかと思いますので……ただ、まあ今建設省並びに保安当局それから運輸省のそれぞれの説明を聞けば、おぼろげながら失態というものがわかったと思います。ことにどこに欠点があるかということがおぼろげながらわれわれとしてもつかめたと思うので、これは建設省としても道路を管理し、道路を整備していく責任の立場から、早急にただいま非常に貴重なまた綿密ないい報告であったと思います。この保安当局説明、そして保安当局も非常に困っておられる、また法の中ではちゃんと、建設省令の中で協議をするということも書いてある。従ってこれは建設省から積極的に保安当局と打ち合わせせられて、さらにまた今の運輸省の自動車の免許の方も非常に深い関係があると思います。早急にこれは道路道路になるように法律の改正もやっていただきたい、そのことをお願い申し上げましてこの道路問題については私は質問を終わりますが、何か建設省で御意見ありますか。
  130. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) ただいま坂本先生から最後に御意見としてお申し述べになりましたことは、実は私といたしましては、身にしみて伺ったわけでございます。道路整備担当いたしますものとしまして、一方においては多額の金を使って道路を作っておりますその道路が、交通のために十分お役に立たない、ことにこの東京、大阪その他大部市の非常に多額の金をかけて整備をした部分にそういう傾向が多いということは、私として非常に観念に存じておる次第でございます。まあそればかりでなく、これは交通問題としても非常に大問題でございます。つきましては、かねがねその点につきましては、自動車を所管しておられる運輸当局、また交通関係をお持ちになっておる公安委員会、警察当局といろいろ御相談しておった次第でございますが、昨今の交通事情にかんがみまして、その辺との連絡を一そう緊密にいたしまして、せっかく整備をいたします道路効果を一そう有効適切にいたすよう、各省と連絡いたしまして私としては心がけて参りたい、こういうふうに存じております。
  131. 坂本昭

    坂本昭君 もら一つだけ、これは先ほど相澤委員から指摘した四百七十七の件で、ちょっと大臣急いでおったものですから私質問を省いたのですが、検査院の方にもう一ぺん御説明いただきたいのですが、この問題は、土地区画整理事業のために十四万坪、これは二千万円ほどいたします、それに国庫補助を一千四百万円出している。そして不要になったものを、私が見るところでは返還をわざとおくらしたのではないかと思われる。わざとおくらしておいて、そして十四万坪を買っておいて、さらに一飛最後に不要になったものを売り払って一億三千万円に売っている。だから国の補助金をもらっておいてそれをぬくめておいて、二千万円のものを一億三千万円に売っているのだから、かなりこれはもうかっているのじゃないかと思う。これは単純な批難事項として、さらにまた建設省としては、これもたしか口頭をもってちょっとおしかりを受ける程度の口頭注意ということなんですね。今私が申し上げましたように、そういう内容ではありませんか、横査院の御説明をいただきたい。
  132. 白木康進

    説明員白木康進君) この都市のかえ地の不要になった分についての補助金返還を、ことさら主務省の方でおくらしたというようなことはないと思います。これはほかの都市におきましても、たとえば川崎であるとか神戸であるとかほかの都市におきましても、都市区画整理事業に伴ってこういう事態がございまして、かえ地の不要となったものについて補助金返還を要するものはないかということは、なおほかについても検査しておりますが、特に主務省でこのことをおくらしておるというようなことはないと考えております。  それから売買差益の問題でありますが、不要になったものも、これは東京都の補助金を受けて購入したものでありまして、これを処分して、昭和二十二、三年ごろに購入したものが、その後十年くらい経過しましてその間に売却したもので、相当売却差益が出ておるということは事実であります。一億三千万円でございましたか、この点はこれは土地の値上がりもありましょうし、あるいは貨幣価値の関係もございますが、いずれにしても補助金交付ということと。不要となったかえ地の処分ということとは、常識的な問題は別としまして、われわれの立場から見まして、その売買差益をも返還さすとか、あるいは返還額について時価を取り上げるというようなことは、ほかの場合でもやっておりませんし、特に不当に東京都に利得させたというふうには考えておりません。
  133. 坂本昭

    坂本昭君 私の質問これで終わりますが、最後に委員長に、先ほど適正化の法律の罰則のことについての資料提出をお順いしまして、これは建設省にもお願いし、さらに検査院にもお願いしたのですが、この際災害の問題もありますし、各省についてこの法律第百七十九号の罰則に関する事例を調べていただいて、当委員会資料として出していただくように、建設省だけではなくこれに関係のある各省の資料提供を特にお願い申し上げておきたいと思います。
  134. 上原正吉

    委員長上原正吉君) さように計らいます。
  135. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 会計課長に伺いますが、不当事項として指摘されております四百六十五号、これについて結局不要のドラム・カンを売却して百六十八万ですか、そういうものは基本額から除外すべきだという指摘に相なっております。それについて補助額から除外すべきものが八十九万三千九百十三円、これは建設省から出ております「昭和三十二年度決算検査報告に対する善後処分調」というものの処置の状況を見ますと、昭和三十四年四月八日に三十八万八千五百六十二円国庫収納済みになっておる、指摘額との差額、これを計算してみたんですが、五十万五千四百五十一円、これは昭和三十一年度以前であるため県歳入とした、これはどういうことですか。
  136. 志村清一

    説明員志村清一君) 名古屋市が施行いたしました工裏の精算にあたりまして、事業費の剰余金として精算すべきであった発生物品につきまして、これを怠って現品を保有したりあるいは売却して、雑収入の中に繰り入れましたりいたしましたために、国庫補助の基本額から除外せよという御指摘があったのでございますが、建設省といたしましては、当時保有しておりました約二十五トン程度のものにつきましては、すみやかに処分させまして、すでに処分を終りました約二十八トンの分との合計額、これから処分するために売却処分に要しました費用を差し引いた精算額を、国庫補助基本額から控除することにいたしたわけでございまして、この分が三十八万八千五日六十二円ということになっておるわけでございます。
  137. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 会計検査院に伺いますが、あなたの方で御指摘になりましたのはアスファルトのあきカン五千百七十二個を売却して収入金百六十八万八千七円、これは基本額から控除すべきである。従いましてこれにつきましての政府から国会に対する説明書ではその中に入っている八十九万三千九百十二円というものは、これは回収すべきものと判断しておられるわけです。ところが今会計課長の話を聞きますと、どうもその辺答弁がちぐはぐなんですが、かような結果が出ても会計検査院としてはそれはよろしい、と判断されるものでしょうかどうでしょうか、それを伺いたい。
  138. 白木康進

    説明員白木康進君) 先ほどの私誤解いたしまして、項目を間違えまして四百六十六について申し上げましたので、四百六十五をあらためて申し上げます。愛知県のアスファルトあきカンの問題でございますが、昭和三十三年完了検査の際に、これを精算いたしまして補助金の額の確定の際、補助金相当額三十八万八千五百六十二円というものの返還を命令した次第でございます。訂正させていただきます。
  139. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 会計検査院に伺いますが、あなたの方では御指摘になった金額は百六十八万八千円で、それに対する国庫の補助になる分が結局今申し上げた八十九万三千九百十三円なんだ、これは国庫に回収すべきものだ、かような御指摘だとこの文章では判断されるのですが、さように解釈してよろしいですか。
  140. 白木康進

    説明員白木康進君) その通りだと思います。
  141. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 そういたしますと、どうもこの工事年度にまたがる工事であったと推定されるわけですが、三十一年度以前であったものは政府においてはその府県から回収は不可能だ、という判断か何か法的の根拠がありますか。私出てきたばかりの議員ですからよくわかりませんので、その辺をお知らせいただきたいと思います。
  142. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 現場で工事をいたします際に発生いたしますセメントのあき袋だとか、それからアスファルトのあきカンというようなものにつきましては、従来その発生物件としての取り扱い等に対しまして非常にあいまいな点があったわけであります。そういう状態でおりますときにアスファルトあきカンにつきまして、三十一年度決算検査の際に会計検査院から指摘されたわけであります。それで実は私どもといたしましてはその取り扱いを明らかにいたしておかなかった点につきましては、大へんな手落ちであるというふうに考えまして、当時さっそく道路局長通達をもって以後そういうものにつきましては発生物件として正式に取り扱え、もし売却等した場合においてはその収益を補助の対象から除外するということを明らかにいたしまして、以後そういう取り扱いをいたしたわけでございます。本件はちょうどそのただいま先生の御指摘のように年度にまたがる事業でございまして従いましてその取り扱いによってはっきり処理させた分がこの三十八万八千円、こういうことに相なっておるわけでございます。
  143. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 会計検査院に伺いますが、これはもうそういう事情だから、三十八万八千五百六十二円だけは国庫に一応収納したのだから、これでいいと判断されますか。それはどうですか。
  144. 白木康進

    説明員白木康進君) 私どもはここに書いております通りに百六十八万円に相当する補助金は当然返納を要するというふうに考えて、こういう記載をやっているわけでありまして、これは事業主体の方からも私ども指摘通り補助金返還する、こういう報告を受けておるわけであります。そこでただいまのようなことになりますと、たとえば昭和三十一年度以前の分については初めからそういう指示がなかったので、県としては県の一般歳入に入れたから、これは事実上そういう県の財政上、あるいは財政手続上の問題もあるかと思いますが、そういう関係から返納は猶予願いたい、こういうことであろうかと思いますが、私どもはやはり筋としてはここに指摘されております全額について、当然返納を要するものと考えております。
  145. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 建設省に伺いますが、これは県に委託された工事ですか。直営じゃないのですか。県が委託されて施行された工事ですか。
  146. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) これは県に委託ではございませんで、県の補助事業でございます。
  147. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 少なくとも監督の立場にあります愛知県の土木部長が、自分が当然責任を背負わなければならない立場に立たされている者が、工事施行者に口頭で注意したということはちょっとおかしいとお思いになりませんか。どうですか。
  148. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 現場発生物品と申しますといろいろございます。石が出る、古材が出る、まあそれ以外にも物によっては非常に役に立つ、物によっては役に立たない、その辺の限界が非常にむずかしいわけでございます。しかしながらあきカンというような場合には、やはりそれは価値のあるものでございますから、正式に取り扱うことが必要かと思います。その点につきまして従来その辺の限度を期らかにしてなかったという点については、大へん遺憾でございますが、今後はそういうことを繰り返さないように、これを機会にいたしましてはっきりさせたわけでございます。以前そういう状態でございまして、発生物品の取り扱いがはっきりしておらなかったという点につきましては、大へん遺憾だと存じております。
  149. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 この指摘事項の四百六十六につきましての、あなたの方の決算検査報告に関する関係者処分調というのを見てみますと、「昭和三十一年度都市復興事業国庫負担金の額の確定次第返還させる。」こうなっておりますが、これは返還済みですか。
  150. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) これは返還済みでございます。
  151. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 どうも不当事項指摘の中をずっと見てみたのですが、愛知県の土木部は少し横着のような気がしてしようがない。これは今後厳重に注意しておいて下さい。ほかの県のと比べて愛知県の土木部ははなはだ不都合です。しかも当該の責任者である土木部長が一個の請負会社を呼びつけて自後注意しろと言っただけでよろしいという判断は、これは私は間違いだと思います。よく注意しておいて下さい。
  152. 田中清一

    ○田中清一君 ちょっと一つだけ。あまり保守党の方には何がありませんが……。  先ほど来のお話で、京浜の国道のこむことも踏み切りの混雑することも、東京都内の地盤が沈下することも、住宅の問題も、それから駐車場の問題も全部ひっくるめて考えますと、大部分はつまり過大部市になり過ぎたということに起因するのです。だからしてよろしく縦貫中央道のようなものを建設省で作って、なるたけ疎散させて、そして東海道の方にもバイパスを使うというようなことを一つ私は希望いたしておきます。
  153. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ほかに御質疑がなければ、これをもって建設省の部、検査報告批難事項第四百五十七号から第四百七十七号までの質疑は、一応終了したものとすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  155. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記を起こして下さい。  午前中はこの程度とし、午後は二時三十分に再開することといたしましてそれまで休憩いたします。    午後二時二分休憩    ―――――・―――――    午後二時三十九分開会
  156. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  運輸省の部の審議を続行いたします。本件に関し御出席の方は細田運輸大臣官房長、中道運輸省港湾局長、朝田運輸省海運局長、林海上保安庁長官、山内運輸省鉄道監督局長、国友運輸省自動車局長、辻運輸省航空局長会計検査院からは白木第二局長であります。  まず運輸省から前回の質疑に対する説明を求めます。
  157. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 前回港湾の特別会計におきまして、特定港湾の計画の規模と、この港湾を利用する生産向上の規模の調和について、現在並びに将来の考え方はどうであるか、そして例を苅田港について説明をしろというお話でございまして、本日その点につきまして御説明申し上げたいと存じます。  苅田港は御承知のように特別会計におきましては石炭の積み出し港といたしまして、その石炭の埠頭計画実施をいたしておるわけでございまして、この計画におきましては昭和三十七年度におきまする筑豊炭田の出炭量を千六百五十万トンと想定いたしまして現在建設中でございます国鉄の油須原線が、三十七年度に完成をいたしました場合におきまする、本港の勢力圏を定めまして、その勢力圏の昭和三十二年度の出炭実績から、石炭等のエネルギー資源需要の現状、及び将来から推定いたしました昭和三十七年度の苅田港の港頭送炭を決定いたしまして、これが港頭までの輸送計画及び港頭の積み出し施設につきまして、計画をいたしたものでございます。港頭の送炭量をまず推定いたしたわけでございますが、昭和三十七年度にはただいま申し上げました油須原線が開通いたしまして、苅田港の整備が一応完成すると想定いたしまして、昭和三十二年度の苅田港の現在の勢力圏、並びにこれが拡張の場合の出炭及び送炭の実績から考えまして、昭和三十七年度の筑豊炭の出炭計画量を、先ほど申し上げましたように千六百五十万トンと推定いたしておりますので、これを基礎にいたしましてその勢力圏の出炭並びに鉄道の送炭量を推定いたしまして、昭和三十七年におきまする苅田港向けの港頭送炭量を求めますと、大体苅田港の現在の勢力圏から二百万トン、また苅田港の勢力が拡張いたしました場合のその勢力圏から九十万トン、それから一部若松の方に参りますものが、こちらの方が有利だというのでこちらの方に転送されますものが約十万トン、合わせまして大体三百万トンと推定をいたしておるわけでございます。  これにつきまして現在の苅田港の施設能力がどういうことであるかということを申し上げますと、現在苅田港では石炭の積み出しに充てておりまする施設といたしましては、水深干潮面三メートルの物揚場四百メートル、これの積み出し能力は三十万トン、それから干潮面がマイナス四メートル半の岸壁がございまして、これが三百八十六メートルございます。これの積み出し能力が九十万トン、なお現在整備中でございますマイナス五メートル、五十と、マイナス六メートル半の岩壁――マイナス五メートル五十の方は百五十メートルの延長でございまして、マイナス六メートル半の方は百十メートル、合わせまして、二百六十メートルでございますが、これは積み出し能力は六十万トンというふうに推定をいたしております。  そこでこの出炭予想量と施設計画との関係でございますが、現在苅田港におきましては約百三十万トンの港頭送炭が行なわれておるわけでございます。これをさばきますために、ただいま申し上げましたようなマイナス四メートル半の津壁能力は九十万トン、これだけしか実は石炭専用としてはない。しかし先ほど申しましたようにマイナス三メートルの物揚場があるのでございます。これは実は雑貨用でございますが、石炭の積み出しのためにこれを充てまして、約この能力が三十万トンということで現在どらやらさばいているわけでございますが、先ほど申しましたように年間三百万トンを推定いたしますと、とうていこの程度では能力不足になりますので、そのために従来一般会計で整備中のマイナス五メートル五十の岸壁、マイナス六メートル半の岸壁、これが三十五年の末には使用の開始ができる予定でございますので、これで六十万トンの能力増ということになりまして、石炭の積み出し能力がその場合には年間百五十万トンということになるわけでございます。三十七年度になりますと、油須原線が開通ということでございますので、苅田港の港頭におきます送炭量が先ほど申し上げましたように約三百万トンに達する見込みでございます。従ってこの百五十万トンの能力では残り約行五十万トンの能力不足となる見込みでございます。従いましてこの特別会計によりましてただいま実施に進んでおりますのは、三千トン級の船舶を接岸し、石炭の積み出しに充てることができるバースを三バース、これは大体ワン・バース四十万ドンを予定いたしております。これは機械設備等を整備いたしまして、近代的な埠頭にする構想でございます。四十万トンのパースが三つでこれで百二十万トンということで、先ほど申しました百五十万トンの能力と合せまして三十七年度には二百七十万トンの能力ということになるわけでございます。それで予定いたしております三百万トンの出炭量の予想に対しましては、若干控え目に考えているわけでございますが、この二百七十万トンの計画でこれをさばいていこうということで、ただいま実施いたしておるような次第でございます。
  158. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 以上をもって説明を終わりました。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  159. 相澤重明

    ○相澤重明君 この運輸省の部の中で四百二十一号、宮城県塩釜港特別失業対策事業、これで国庫負担金相当額の二十四万七千円ですかこれを見ますと、国庫負担工事費から除外すべき額は四十二万二千円となっていますね。工事費四十一万二千円の相当額は出来高不足となっておる、こういうことでこの前も御説明があったのですが、具体的にこの出来高不足について手直しをさしたのか、あるいはその資金を返納さしたのか。そして返納させたとすれば、いつ手直しをしあるいは返納させたか、その時期を御報告願いたいと思います。
  160. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) この件につきましては、三十四年の三日三十一日に手直し工事を完了いたしております。
  161. 相澤重明

    ○相澤重明君 手直し工事を完了したというのは、ここで指摘されておるように不足額だけで間に合ったのですか。それともそれ以上にかかったけれどもとにかく手直しを完全にさした、こういうことですか。
  162. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 不足額に相当いたしまする分の手直しを完了したということです。
  163. 相澤重明

    ○相澤重明君 そういう港湾関係のこういう仕事について、本省としてはどういうふうに指導をされておるのか。少なくとも三十二年のこれらの事案については、ほかにも三件あるわけでありますが、さらにこの災害復旧事業等も含みますと、相当なたくさんな問題が運輸本省の不当事項として計上されておるわけです。そこで本省としてこれらの国民の税金によるところの尊い金で港湾を拡張し、あるいは災害復旧を行なうわけでありますが、何らかのやはり積極的な対策がなくちゃならぬとこう思うのですが、本省としてはどういう具体的な、委員会を持つとか監将官をどうしたとか、いろいろな部内のやはり監督の仕方があると私は思うのです。そういう点を具体的に御説明を一ついただきたいと思う。
  164. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) これは港湾関係について申し上げるわけでございますが、港湾局におきましては検査官制度というものを設けております。この制度は昭和三十一年の十二月十三日に発足いたしましてから現在に至っておるわけでございますが、本省に内名、地方の港湾建設局に十四名、計十八名をもちまして、直轄港湾工事及び地方公共団体施行いたします国庫補助工事の適正施行に必要な指導検査をいたしております。  昭和三十三年度中におきましては、大体次のような活動状況になっておりますので申し上げておきますが、直轄工事検査におきまして、三十九の工事事務所に対しまして随次検査実施いたしました。その結果三百十九件の指摘事項につきまして是正措置を講じたような次第でございます。  次に、国庫補助工事の竣工検査といたしまして、三十八都道府県でその工事個所千百九十四個所に対しまして二十四班で延べ五十五人ということで検査実施いたしました。  次に中間検査といたしまして、三十三道府県にわたりまして工事個所が約九百個所、これに対しまして十六班、延べ四十五人をもちまして実施をいたしたわけでございます。  次に災害の査定におきまして、三十五の都道府県工事で、個所は七百三十六個所に対しまして二十二班、延べ四十四人をもちまして実施をいたしております。以上が活動状況の大要でございます。  次に今後の活動に対しまする点といたしましては、いろいろ旅費等の問題もございますし、中間検査あるいは竣工検査等が一部机上査定になる、あるいは検査方法はもっと統一、調整をはからなければならない、さらに検査技術の向上をはかるというふうなことがございますので、これらの点につきまして十分検討いたしまして改善をいたしていきたい、というふうに考えておる次第でございます。
  165. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから特に運輸省として一番大事なのは、僻陬地域離島関係だと思うのです。そこで離島の振興法に基づく港湾整備の計画は、すでに政府としても努力をされておるわけでありますが、二十八年の災害についての復興は全都終わったのか。それから昨年の二十二号台風についてはどうなったのか。それから本年の問題については、伊勢湾を中心としたものでありますからございませんが、離島関係についての、特に運輸大臣が非常に今努力されておる航空の問題でありますが、離島と本土とをつなぐための航空等について、具体的にお考えになっておる点を一つお述べをいただきたい、こう思うわけです。
  166. 辻章男

    説明員(辻章男君) この離島の空港の関係につきましては、離島振興法によりまして経済企画庁と話し合ってやって参っております。大体離島振興法によりまして経済企画庁におきまして計画をいたしまして、これの事業の整備、実施につきましては運輸省に移しかえまして、航空局の方で事業を行なうというのが現在の建前でございます。  現在離島振興法の五カ年計画によりまして、三十三年度には八丈島、種子ケ島、屋久島の冬空港の基礎工事に着手いたしまして、三十四年度におきましては新たに大島、佐渡ケ島、福江、各空港の整備に着手いたしております。これが現在の現状でございます。将来も経済企画庁と話し合って離島空港の整備に努めたいと、かように考えております。
  167. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 二十八年度災害は三十四年度に完了いたしております。
  168. 相澤重明

    ○相澤重明君 二十二号台風はどう……。
  169. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 二十二号台風の関係、つまり三十三年災になりますが、ただいまのところ六〇%完了の状況でございます。
  170. 相澤重明

    ○相澤重明君 このあと四〇%の昨年の二十二号台風の補修については、いつごろまでに大体運輸省としては完成をする見込みなのか。
  171. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 災害復旧は御承知のように三カ年計画によっておりますが、財政の都合であと二年くらいかかるのじゃないかと考えております。
  172. 相澤重明

    ○相澤重明君 災害復旧は三・五・二の割合でこれをやっておるのであるが、大体この六〇%いっておれば、あとの四〇%というものはきわめて私は金の比較的多くかかる所が残っておるのではないかと、こう思うのですが、具体的にどことどこが今あとの四〇%になっておるか、それを一つ御説明いただきたいと思うのです。
  173. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) お話のように残りは比較的少ないようでございますが、財政の都合もございますので、それをできるだけ早期に完成するように努力をいたしておるわけでございます。具体的の資料につきましてはただいま持ち合わせがございませんので、あとでお届けいたします。
  174. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで運輸大臣にお尋ねしたいと思うのですが、今次の伊勢湾台風災害というのは非常に膨大なもので、運輸省関係としても莫大な費用を必要とするわけであります。そこで昨年の被害復旧費とあわせて非常な運輸省としての大きな問題に私はなろうと思う。さらに前回運輸大臣から御説明いただいた災害を抜本的に予防する、こういうことで高潮対策やあるいは河川対策等も含んで、運輸大臣としての御計画をお持ちになっていると思うのです。それらの予算というものが現実にこま切れのようにならずに、実際にあなたの構想のようにできるものかどうか、この際あなたの決意を一つ承っておきたいと思います。
  175. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 御指摘のように、災害に対する抜本的な対策を立てなければ、年々さいの川原に石を積むようなことをやっているので、この機会にああいう伊勢湾とかあるいは大阪湾、東京湾等につきまして、根本的な高潮対策を立てようというので、湾の口に防波堤を作るという案をもちまして、その案は第一に波のエネルギーを減殺する、従って水位を下げることができると、こういう建前から先般申し上げましたような予算措置をもってやろうというので、大蔵省と今折衝をいたしておりまして、先般も予算委員会等におきましても、大蔵大臣をまあ自前にしてこの点を強く強調しておるのでありまして、この機会にことに三十五年度は災害に対する予算を中心としてやるという考えでありますから、この点に万全を期すように努力いたしたいと思うのであります。
  176. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから、運輸大臣としては先ほど局長が御説明になった災害査定を、たとえば今日まで行なった中に七百三十六個所二十二班四十四人と、こういうことを言われておる。今次の災害をも含んで復旧並びに予防対策を講ずるとするならば、かなりの人がなくてはならないと思うのですが、今本省としては何人のいわゆる検在官、査定官というものをお考えになっておるのか、どういうふうにやろうとしておるのか、この点運輸大臣、定員とも関係がありますから一つ御説明をいただきたいと思います。
  177. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) お話のように、今回の伊勢湾の台風災害が非常に激甚でございましたので、現在十六班約五十名をもってこれが調査査定に当たっておるのでございますが、それではなお不足いたしますので、さらに十班約四十名を追加いたしましてこの査定検査に当たりたいと考えております。
  178. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると四十名追加すると八十四名ということになるのですか。
  179. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 九十名になるわけです。現在が十六班五十名でございますから、追加いたしまして十班の九十名でございます。
  180. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで災害の問題については、特に四百二十五号に災害復旧事業費の否定額を減額させたものと、こういうことで二十八年度発生の災害分から岩手県を含んで六県の指摘事項があるわけでございます。従ってこれらのいわゆる内部検査なり、あるいはまたそうした不当専攻をなくするための人が、査定官だけで実際にそういうふうに行なわれるものかどうか、あるいは特別に何らかこういう事故にかんがみて、本省の中に、運輸大臣のもとに特別なそういう監督者を設けるお考えがあるのかどうか。この点は今港湾局長説明されただけでやろうとするのか。この点一つ運輸大臣いかが考えておりますか。
  181. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) ただいままでのところ、先ほど御説明申し上げましたように、査定官と検査官と合わせまして現地に各班を出しておりますが、さらに検査官制度を持っておりまして、それらによって不当事項の絶滅を期するというふうな態勢をとっておるわけであります。
  182. 相澤重明

    ○相澤重明君 次にお尋ねいたしたいのは、昨年やはり当決算委員会で御討議いただいた問題でありますが、特に今年いわゆる三十五年度の運輸省の重点施策として運輸大臣も所信を表明された中で、主要国別の外国貿易船本邦入港状況というのが、昨年統計を運輸省から出されたわけでありますが、それとわが国の外航配船状況との関連というものは、外貨獲得にきわめて重要な問題を提起しておると思うのであります。そこで私は運輸委員会でも若干申し上げたのでありますが、この外貨獲得についての根本的な問題として今の非常な不況をかこっておる海運界のために、運輸省として抜本的な対策というものは考慮しなければならぬだろう、こういうことは常に主張されておったのでありますが、基本的にどういうふうに、昨年度、これらの具体的な説明をいただいたわけでありますが、本年度はお考えになっておるか、これが一つ。  それから二つ目には、航行安全審議会の船舶職員法の改正に関する答申の問題、船舶局長、これは三十二年の一月十日に答申が出ておるのでありますが、その中で特に小型船舶等の問題についても法律を改正して、通信設備等も行なうべきであるということであるが、運輸本省としてはどういうふうに関係者と御相談をされまた適切な措置を取ろうとするのか、二つの点をお答えいただきたいと思います。
  183. 朝田静夫

    説明員(朝田静夫君) ただいまお話のありました日本海運の国際競争力の強化という点について、抜本的な対策をどう考えておるか、こういうことでございます。過般来、本年の六月、運輸大臣から、運輸大臣の諮問機関でありますところの海運造船合理化審議会というものに、その具体的方策を諮問いたしまして、十一月の五日にその答申をいただいたのでございます。今日ほど海運の対策につきまして各界ともにいろいろな対策案を提出していただいておる時期はほかにないのでございます。当面私どもが尊重いたしまする建前になっておりまするところの、海運造船合理化審議会のただいま申し上げました答申に基づきまして、今後の海運の根本的な対策を進めて参りたい、このように考えておるのでございます。  その答申案を基礎といたしましてただいま私どもの方として考えておりますところのことは三点ございますが、まず第一点は企業の強化対策であります。何といいましても国際競争力なり、あるいは現在の世界的な不況のもとにあります海運を強く推して参りますためには、どうしても企業みずからが徹底的な合理化努力を払うということが前提でありまして、今始まった問題ではございませんが、私どももここ一、二年以来、合理化推進について非常に微細な点にまで企業側の方に要請をいたしておるわけであります。さらにこういったものの企業自体の体質改善ということを強力に進めていくということであります。企業自身がやはり自分の意思によって建て直し計画というものを建てて、そういったものの見返りに、政府がそれを承認いたしました場合に、何といたしましても現在の海運企業の体質のもろさというものは資本費の重圧にあるわけでありますから、これを改善したい。特に利子補給という点につきましても、政府はこれに対して助成を考えていきたい、というふうに考えておるのでございます。  第二番目の点は新造船の建造の問題でありますが、この問題につきましては、船舶保有公団とかいろいろな構想がございましたが、やはり新造船というものにつきましては、企業みずからが自分の責任において建造をしていくことが、現在の態勢のもとにおいては最も妥当であるという、合理化審議会においても各方面においてもそういう結論が出ておりますが、私どももそういった観点からいたしまして、従来のような形での計画造船というものをこの際転換いたしまして、これ以上借入金が増大しないということを目途といたしまして建造を続けていきたい、しかもそれは自主建造の方式でもっていくべきである、こういうふうに考えるのであります。  第三番目の点は船質改善対策であります。現在の海運の船腹構成を見てみますと、百万ドンからの低性能船舶がございます。戦時中に作りました戦時標準型船、あるいは朝鮮事変当時外国からの中古船を買い入れましたもの、あるいは在来船でも非常に老齢船といったような性能の悪い採算のとれない船舶が百万総トンにも及ぶような現状でございます。これが現在の国際競争力の一つの大きな弱点になっておりますので、ここにスクラップ・アンド・ビルドという方式をとりましてまず平均簿価とスクラップ・バリューとの差額の半分を、政府が解撤助成金としてこの船質改善を促進して参りたい、こういうふうに考えておるのであります。  今までの私どもの方針として考えておりまする、現在の段階におきます考え方を御説明申し上げた次第であります。  航行安全審議会の点につきまして御質問がございましたが、便宜上私からお答えをさせていただきたいと思うのでございます。  過般、今御指摘になりました航行安全審議会での船舶職員に関する審議があり、電波法との関係で船舶通信士の減員についてはどう考えるのだ、こういう御質問でございますが、何といいましてもこれは電波法によりまして、御承知のように運用義務時間と聴守義務時間というものを定めております。それに基いて船舶職員の定員を職員法で定めておるわけでございます。電波法の問題につきましては、あるいは労働法的な性格以上に電波監理という法目的がございますので、その辺の改正に見合って船舶職員法の改正をすべきかどうかということになるわけでございますから、もし電波法の改正が具体化するといたしまするならば、それに対応して航行安全審議会を再び開催いたしまして、正式な手続をとってそこで再検討をしていただきたい、こういうふうに運輸省としては考えておる次第でございます。
  184. 相澤重明

    ○相澤重明君 第一点の外資獲得の問題については大体お答えをいただきましたので、そこで第二の航行安全審議会の船舶職員法の改正に関する答申の中の今のいわゆる通信士の定数等の問題であります。これは小型船舶等の問題については業界の意見もあるし、職員側の意見もあるし、これは一致しております。いずれこれは運輸委員会で私どももやりたいと思っておりますが、少なくとも当時の答申の内容を見れば、船舶通信士の資格及び員数については再検討することということがいわれていますね、これは三十二年の一月十日のいわゆる審議会の答申なのです。本日は昭和三十四年のもうすでに十二月の四日なんですから、まる二年というものを経過をしておる現状なんですね。従ってこれは今の局長の答弁だと、もし必要があらば、電波法の改正等とも関連して、審議会を聞いてに検討したいというようなことでどうするのか、二年も放っておいて、それで今さらやれ審議会を必要があれば聞いて検討するというようなことは、これは運輸省としては余りにも無責任な態度ではないか、こう思うが、一体本省としてはどう考えておりますか。
  185. 朝田静夫

    説明員(朝田静夫君) ただいまのお話は、小型船舶の無線電話の問題といたしまするならば、これは航行安全審議会で再検討するということを言っておるものと違うのでございます。小型船に無線電話をつけるということにつきましては、法律上強制をされていないのでそのままにしておるけれども、これは海難防止あるいは貴重な人命の問題であって、無線電話をつけて航行の安全をはかろう、こういうことでございます。今の電波法の改正に伴いますところの、船舶職員の定員資格というものを再検討するという意味は、これは各国とも人命安全条約あるいはアトランチック・シティ条約に基づいてそれぞれすべての船舶について聴守義務時間あるいは運用義務時間というものをきめておるわけでありますが、そういった面で外国船においては相当大きな一万トン級の貨物船でも通信士は一名しか乗っていない。日本船においては三名乗っておる、その点が国際競争の上において、外国船が一人で乗っておるならば日本の船舶も一人でいいじゃないか、こういう議論が起こりましたのでありますが、それはどこに原因があるかといいますと、電波法に聴守義務時間、運用義務時間、こういうものをきめておりますので、労働問題も深刻に関連をいたしますので、私どもはまず先行すべき電波法の改正をまって航行安全審議会で再検討したい、こういう御答申でありますので、その方針は適当と認めて現在まで至っておるわけであります。
  186. 相澤重明

    ○相澤重明君 だいたい御答弁はよろしいと思います。そこで船員法の改正をする考えがあるかないか、これは今までの経緯にかんがみて局長の方はどういうふうにお考えになっておるか、この点を一つお尋ねをしたいと思います。
  187. 土井智喜

    説明員(土井智喜君) ただいま船員法につきましてお尋ねがございました。船員法の改正問題につきましては、昭和二十八年に運輸大臣から船員中央労働委員会に諮問がなされております。それに基づきまして、今まで五カ年にわたりまして、船員法改正委員会として、船員中央労働委員会の中の委員会におきまして、いろいろ審議がなされて参りました。この七月に船員法改正に関する中間答申、中間答申とは申しまするが、実はそのうち労使並びに公益側の委員で意見の一致を見た点につきまして中間答申がなされております。それに基づきまする船員法の改正につきましては、目下運輸省といたしまして通常国会に提出いたすべくただいま準備中でございます。  でなお、ただいまお尋ねがありました無線通信士等との関連におきまして、海軍の合理化の問題とつながります医師の問題でございますが、そういう問題につきましては、実は中間答申におきましてまだ結論が出ておらなかったのであります。で、そういう点もございまするし、今申しましたような情勢に基づきまして、かりに医師の問題についてさらに再検討をするということでありまするならば、ただいまの船員法改正委員会等におきましてさらに審議されるように準備が進められると存じます。
  188. 相澤重明

    ○相澤重明君 関連をして国鉄に一つお尋ねをしたいと思うのでありますが、国鉄職員の中で連絡船に乗務しておる者は、船員法の適用を受けておるかいないか、御説明をいただきたいと思います。
  189. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 国鉄の連絡船に乗っております船員につきましても、船員法の適用を受けております。
  190. 相澤重明

    ○相澤重明君 鉄監局長は、それは完全に船員法の適用を受けておると、こう確信をしておりますか。
  191. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 除外例を認めておりませんので、受けております。
  192. 相澤重明

    ○相澤重明君 船員法によれば、船員の労働時間は八時間と規定をされておる。しかるに国鉄の場合はいかがですか、平均八時間ということになってはおりませんか。この点は国鉄の当局出席をしておりますから御答弁をいただきたいと思います。
  193. 兼松学

    説明員(兼松学君) ただいまの件につきましては、青函連絡船では現在のところ平均八時間ということでやっております。
  194. 相澤重明

    ○相澤重明君 鉄監局長は答弁違いやせぬか。船員法と今の国鉄の青函の連絡船の乗務の今の話ですね、これは明らかに八時間ということと平均八時間とは、は違う。そうお思いになりませんか、いかがですか。
  195. 兼松学

    説明員(兼松学君) 本件につきましては、すでにいろいろ労使間でも長い交渉の経過もございますし、それから連絡船の特殊性にかんがみまして、船員法の関係委員会におきましてもいろいろ御検討をいただきました結果、長い慣行として解釈上妥当であると認められて、現に行なわれているように承知いたしております。
  196. 相澤重明

    ○相澤重明君 いや、慣行々々というけれども、やはり法律があれば法律を守ってもらわなければならぬと思うのですが、運輸大臣、この点いかがですか。法律はやはり守るべき、そしてまた実際の慣行というものは、そういうものを法律の中に生かしていくようにしなければいかぬ、こう考えるのであるが、運輸大臣は、法は守らなくても慣行ということでよろしいかどうか、この点いかがですか。
  197. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 法律は守るべきではありまするけれども、時と環境によってやはり法律というものはややもすると固定する。流動している場合において、これを妥当な線に解釈していくことが法の精神を生かすものであると、そう思うのであります。そういうことでおそらく各委員会等も了承していると思います。
  198. 土井智喜

    説明員(土井智喜君) ただいま国鉄の当局から説明がございましたけれども、船員法は一般の船舶の乗組員に対する基本的なかつ原則的な法規でございます。で労働時間としましては、一応一般の商船の船員について、原則として航海中は一日八時間、一週五十六時間、これが原則になっております。ただ国鉄の連絡船等の場合におきましては、いわゆるピストン運航をやる関係で、その労働時間が必ずしも一日八時間という一般の乗組員の場合と違った規定になっておるという点につきまして、もちろん今まで船員中央労働委員会におきまする、労働基準を審議しておりまする委員会で、今までもいろいろその点の検討がなされております。で、官庁船の乗組員というものにつきましては、国鉄のほかにも若干特殊な例外もございまするので、実は今までのそういう連絡船としての慣行を基礎にしまして、今まで暗黙のうちには承認されておったわけでございます。それでは今後の労働基準としてどうかという点につきましては、実はまだ審議会でいろいろ検討されている点もございまするので、なお船員の労働基準として妥当なようにわれわれも善処したいと考えておる次第でございます。
  199. 相澤重明

    ○相澤重明君 船団局長は、やはり正しく法律を実施するように、これは本省の建前でしなきゃならぬと思う。それで法に不備があれば当然法の改正をしなきゃならぬ。これが船員局長としての私は監督者としての立場だと思う。そこで、今あなたの言う前段のことはそれでよろしいです。それでよろしいが、国鉄の兼松常務は慣行ということを言っておる。慣行ということと法律ということは違う。そこで、東大教授の石井照久君が小委員長として出されたその内示案というものについては、あなたはどういう見解を持っておるか、お答えをいただきたい。
  200. 土井智喜

    説明員(土井智喜君) 労働法の解釈につきましては、今までもいろいろ学説、運用等におきまして、これは広くやはり労使の方の労働協約等の団体交渉というようなものの考え方を認むべきじゃないか、というのが基本的な見解であるわけでございます。ただいま御指摘がございましたように、石井小委員長からその点につきましての示唆はもちろんございました。しかし、これはやはり団体協約的に考えまして労働側の方の委員あるいは労働組合というようなものの意見ということも、同時に尊重しなければなりませんし、ただいまも話が出ましたけれども、多年の慣行でもございまするし、実はまだその石井先生の御意見はございまするけれども、なお正式に法の適用について、はっきりいたすまでには参っておらないような状況でございます。なお、われわれは、そういった御意見に基づきまして善処したいと考えております。
  201. 相澤重明

    ○相澤重明君 善処するというのだからそれでいいと思うんですが、少なくともやはり法律が厳然としてある以上は、これが組合側であろうと当局側であろうと、あやまちはあやまちとしてやっぱり是正をしなきゃならぬ。これが私はやはり国の権威を保つゆえんだと思うんです。したがって、その青函連絡船の問題でも、労使それぞれに何というか慣行というか、あるいは今まであまり損をしないということでやってきた点があるのじゃないか。それはやっぱりいかん。やはり法律がある以上は、法律で規制をしあるいは法律を改正しなきゃならぬ。こういうものであれば私は勇敢に改正すべきだと思う。そういう意味で、これは運輸委員会の専門の問題でもありますから、運輸大臣、これは運輸委員会でそういう点を出すように検討しておいてもらいたい。きょうは決算ですから、ただ特に長い間の問題であるから、決算委員会でもいつも問題になるから、その点をきょうは大臣の耳に入れておくわけです。したがって、そういう点については十分一つ考慮して、今、船員局長は善処したいというのだけれども、運輸大臣もよく聞いて、次に提案をしてもらうようにしてもらいます。
  202. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) わかりました。
  203. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから次に東海道新幹線の問題で、これは運輸大臣にこの問私お尋ねしようと思ったのですが、お見えにならなかったので、私も質問できなかったのですが、これは運輸省が国鉄の申請に基づいて認可する、こういうことになると思うのですが、運輸大臣はそういう手続を許可なされておると、こう理解をしてよろしいのですか。
  204. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) さようでございます。それは国鉄から出しました案について認可しました。
  205. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうしますと、運輸委員会でも大へん各委員からいろいろな意見が出ましたが、特に岐阜県の羽島駅の設置の問題については、まだ運輸省には具体的には国鉄からは意見は述べられておらない、こう理解をしてよろしいのですか。
  206. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) その通りです。
  207. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで東海道新幹線の用地の獲得等については、どの程度進んでおるものですか。これは鉄監局長から……。
  208. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 用地の獲得につきましては――この新枠線については、すでに昭和十六年、いわゆる弾丸列車といたしまして当時計画されてあるのでございますが、その後戦争が勃発いたしまして取りやめという格好になりまして、それが継続的に作っていかれるという格好になっておりまして、それで当時買収いたしましたのは、全用地に対しまして二七%をすでに獲得をいたしております。それから本年度の予算三十億の中で一部用地の買収に使うということになっております。
  209. 相澤重明

    ○相澤重明君 二七%をすでに前に獲得をされておるということでありますが、今後の獲得というのはなかなか私は大へんな問題だと思うのです。それで本省なり国鉄の当局としては、具体的に地方の府県あるいは市、こういう関係自治体の人や、所有しておる地主の人たち、こういう人たちと具体的にどう折衝をされるおつもりなのか。つまり対策委員会というものを作ってやるのか、それともこちらで、国鉄が既定の計画に基づいて測量したものをそのまま進めていこうとするのか、そういう点については運輸省は監督の立場でどうお考えになっておりますか。
  210. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 仰せの通り用地確保ということは非常に大きな問題であろうと思います。それで国鉄といたしましては、もちろん測量いたしました必要の土地を獲得するわけでございますが、事前に各県あるいは通過いたします市町村に協力を求め、円滑に用地を確保するように現在努力いたしております。
  211. 相澤重明

    ○相澤重明君 協力を求めるのは当然な話だが、だから私の言っているのは、たとえばどういう対策委員会を持つとか、あるいは府県単位にそういうふうなものを作って、本省あるいは国鉄として仕事をやらせようとしておるのか、その点をお尋ねしておるわけですよ。
  212. 大石重成

    説明員(大石重成君) お話のように用地の取得は非常にむずかしいいろいろ問題もございますので、国鉄といたしましては、中央におきましては農林省、建設省にお願いをいたしましてそれの協議会といったものを作っていただくようにお話を進めております。また各沿線の府県につきましても、それぞれ国鉄と関係府県とで用地の取得のための協議といったようなものをお願いする。また市町村につきましても同じくさような委員会をこしらえていただくように働きかける。また現に一部におきましては、協力対策委員会といったような対策の形のものができて参りまして、私たちといろいろとお話し合いをしておるというのが現状でございます。
  213. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、地方の場合には、予定される沿線の方々とそれらの懇談をする、あるいはまた折衝をするところの委員会というものを作る、あるいはまたさらにどうしても地方自治体に協力を願わなければならぬから、県とか市のそういうところにも協議会的なものを作って協力を願う、こういう考え方でおるということですか。つまり地主の人も沿線の人も含んで、あるいは県市の人も含めて、そういうもので協議会を作ろうというのか、それとも県とか市というものは一つ上に作って置いて、それからまた沿線のものだけを一つまた別に作るというのか、その辺のお考えはいずれなんですか。
  214. 大石重成

    説明員(大石重成君) 最近の用地獲得につきましては、ここに鉄道通りますので鉄道の敷地をいただきたいというお話をいたしますと、単に用地を鉄道が買い上げるというだけでなくて、どういうものができるか、またたとえば道路につきましては、その道路をこういうようにつけかえてくれ、また河川をこういうふうに変えろ、水路をかようなふうにやれというふうな、いわゆる設計協議的なものが多分に含まれて参りまして、実際に用地を買い上げますときにはもちろん地主の方、各個人々々のところにも最後には参りますが、その前に市町村でやっておられます道路とか水路の問題、またそれが県に関係のあるもの、またこれが本省におきまして関係のあるもの、かようなものが非常に入り組んでいるものですから、それぞれのところにそれぞれの問題を持ち上げつましてそれらの問題を下の方からもお話をつけていく、あるいはまた上の方からもお話をつけるといったような関係で、先ほど御説明いたしましたような本省関係、府県関係、市町村関係といったようなところにそれぞれ協議会を作るということで、お話し合いを進めるということであります。
  215. 相澤重明

    ○相澤重明君 この国鉄新幹線の問題は、国民経済成長のために非常に重要な役割を果たすと思うので、ぜひ完成しなければならぬ問題だと思う。ところがややもすると、官庁的な考えに立って地元との紛争が絶えないということがあっては私はならないと思うのです。そこでそういう点については地方自治体なりあるいは地元のそれらの所有者との間に、紛争を起こさぬように国鉄は十分な配慮をすべきだと思うのですが、その点についてはぜひ方針というものははっきりして、そうして国鉄新幹線の完成を私は希望したいと思うのであります。  そこで運輸大臣にお尋ねしたいのは、新幹線の資金手当というものは全部できたのですか、いかがですか。
  216. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 新幹線の資金は全部で千七百二十五億、大体利子を入れますと二千億円と見込まれているわけであります。これは五カ年間でやりますので、相当多額な資金を要するのでございますが、その資金の調達につきましては、まず第一に自己資金からできるだけ捻出するということを考えております。第二には政府の出資あるいは借入金というものを考えております。第三番目には外資の導入ということを考えているわけでありまして本年度は三十億をもってスタートをいたしたのでありますが、来年度の予算の要求は三百億という程度のものを考えております。その内容といたしましては百億ぐらい国から出資を仰ごう、そのほか自己資金を調達いたしますとともに外資を考えているわけであります。
  217. 相澤重明

    ○相澤重明君 その外資はどのくらいですか。
  218. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 総額二億ドルでございますが、まだ具体的な金額の折衝にまでは至っておりません。
  219. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうしますと自己資金というのはかなり大幅に見込んでいる、こういうことになると思うのですが、自己資金を中心にこの新幹線というものを作るということですか。
  220. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 現在の国鉄の財政状態におきましては、そう多額な自己資金を考えるわけにはいかないのであります。やはり政府の出資あるいは外資というものに相当大きくたよらざるを得ない状況でございます。
  221. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから、運輸大臣は、今のこの新幹線の資金手当についても、まだ若干足らないと私は思うんですが、全部終わっておるとは思っていない。そこで、しかもその中で政府の出資を仰ぐにしても、国鉄の自己資金というものをかなり大幅に見なきゃならぬと、こういうことになると、次に新しく十一路線の建設ということがきめられたわけですね。十六調査線の中で十一線の建設というものがきめられた。この十一線の建設資金というものは、大臣は一体どういうふうにして国鉄にやらせようとするんですか。
  222. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 今回、着工線に入りました十一線につきましてはやはり、これも国鉄の予算全体が、全部収入と支出の総額から出ているわけでございまして、結局、国鉄の予算というものを御説明いたしますと、収入から支出を引きましたものが資本勘定に入ります。資本勘定に入りまして資本勘定の中に、ただいま言いました国からの借入金でありますとか、あるいは公債を発行いたしますとか、いろいろなものがまとまりまして工事資金になるわけでございます。その工事資金をどう割り振りするかという問題でございますが、この建設線につきましては、国会に、別途いつも計上いたしておるわけであります。本年度も九十五億という別の予算が要求してあるわけでございます。これについて来年度百三十億の要求をいたしておるわけでございます。それでまかなえるかといいますと、数字的な説明になるわけでありますが、その場合に、今回の審議会におきましてもいろいろ問題になりましたのは、すでに二十五線の着工線がございまして、その二十五線のうちでも、まだ手をつけてないものも数線ある、それにプラス十一線というものについて、将来どうなるかという予算の問題が相当論議されたわけであります。  もう一つ、従来行なわれました着工線の中でも、完成いたしましたのは十九線でございますが、いずれも赤字の状態でございますので、将来さらに赤字になる予想であるところの十一線決定について、一体国鉄の収支はどういうふうなことになるかということが検討されたわけでございます。今回の十一線を着工線に入れますについて、従来の二十五線の既着工線につきましても、重点的に工事をやっていくということが一応論議されたわけでございます。といいますことは、平面的にやるのでなくても重点的に工事を行なって、資本効率を上げるということが一つの考え方でございます。また今回の十一線の着工の中でも、二線は将来自動車を動かした場合と、どちらが有利であるかということも、もう一ぺん国鉄におきまして十分研究をして、その上で審議会にかけて決定するというふうな態度がなされておるわけであります。
  223. 相澤重明

    ○相澤重明君 さらに、三十二年度から始まりました国鉄五カ年計画の進捗率を見ますと、私は、当壁三十二年に政府がこの国鉄運賃を値上げをすれば、国鉄五カ年計画が達成する、非常に国民の経済成長に役に立つ、こういうことで御説明をいただいたわけでありますが、現在の進捗率は何パーセントですか。
  224. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 現在、三十四年度におきまして三カ年を経過するわけでございます。そういたしますと、五カ年計画の進捗率からいいますと、六割、三十四年度末には完成しなければならないということになっておるわけでございますが、現在の見込みは大体五割くらいになるであろう。総体的に見まして、一割程度の進捗率のおくれを見ておるわけであります。ただ、その進捗の状況によりましては、いろいろ差異があるわけでございまして当時非常に問題になりました国鉄の施設が老朽しておるから、この面の緊急取りかえということが非常に問題になったわけでございますが、これらはほとんど完成に近いわけでございまして、取りかえ及び諸改良におきましては、八七%の進捗率を示しております。ただし幹線輸送のような部面におきましては、三〇%という非常に低い率を示しておるわけでございまして、今後これらのアンバランスを、これからの国鉄の五カ年計画の推進には配慮しつつ、実施をして参らなければならないというふうに考えております。
  225. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 関連質問。先にいくようですから、さっきの東海道新幹線の問題について伺いたいと思っておりましたが、ちょうど出ましたので関連して伺っておきたいと思います。  まず、大臣に伺いますが、大臣は岐阜県へ御出張になられて、岐阜県に新幹線が通る以上は、岐阜県下に停車場を一つ作るのは人情の当然である、こういう発言をされたということが各紙に報ぜられたのですが、事実かどうかお答え願います。
  226. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 私は岐阜県に行ったことはありません。
  227. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どこで発言されたのですか。どこかで発言されたのですか。
  228. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 国会の委員会の中でそういう話をしたのです。どなたかの質問がありましたときに、人情ということを言ったかどうか、なんですが、岐阜県を通りまして、隣の県には三カ所とまり、またその隣には三カ所とまり、神楽川県も二カ所とまる。岐阜県は一カ所もとまらないということは、岐阜県民の非常な要望があるから、一カ所岐阜県へとめることは、国鉄はやはりサービスをしなければならぬのだから、私が言うのは、つまり特急をとめるのではなくして、余った線を輸送の緩和のために通す駅の問題でありますから、それは収率県に一カ所許すことは妥当であろうということを申したのであります。
  229. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は、いろいろ最近、政治、行政の上で注目すべき問題があるけれども、この二十世紀の時代に、政治の科学化、科学的政治というようなことが叫ばれておるときに、今度の岐阜県下に一つ駅を加える、羽島に駅をこしらえるということが伝えられておるのですが、これほど合理主義とか科学主義とかに反した政治はないと思う。私は、この取り扱いいかんによっては、楢橋運輸大臣が就任しておる限り、運輸省の決算報告を承認するわけにはいかないと固い決意をしておる。一体、政治というものは、先輩であるあなたには釈迦に説法になるかもしれませんが、将来に対する見通しと洞察力を持たなければならない。政権を握っておる者、それから政治家は、その時代だけに迎合してはならないと思う。その時代にいかに批判されようと、長い将来を見通さなければならない。私は、これからのスピード時代と科学の進歩を考えた場合に、一体、新幹線を二千億もかけて作るのに、十ばかりの駅を作ること自体同違っておると考える。必ずや将来多く設け過ぎたという反省をする時代が来るであろうと、私はそう思っておる。それをまあ大野伴睦さんの名前が出ておりますが、私はあまりこだわりませんけれども、とにかく岐阜県に一つ設けなければ、人情上許されないだろうというような感覚、センスというものは、失礼ながら、私は非常に間違っておると思うのですが、それで意見を申し上げても恐縮ですから、私は資料で出していただきたい、かなり私は突っ込んでやっていくつもりですから。もしこういうことになりますと、そういうような類似案件が、各省庁にずっと起こってくれば、日本の政治というものは、全般的にゆがめられたものになって参りますから、そういう意味で、私は、この新幹線の具体的な駅を一つ追加するという問題については重大関心を払っているわけです。  出していただきたい資料は、現在の特急の、新幹線を敷設される地域でよろしいですから、特急の停車駅、それから過去一カ年間の月別の実績、それから新幹線が通った場合の新しく停留場を作ることを予定しているその間の所要時間、それから現在の特急の所要時間、その所要時間と、今までの過去一カ年の月別の実績。  科学的に出されるそういう数字、データが、われわれを納得させることができるかどうかということなんです。昔のように人情とか勘で、大きな腹をぽんとたたいて、まかしておきなせえというような、そういう政治は、今のこの二十世紀の昭和三十年代には許されない政治でありますから、そういう意味で、私はこれに重大関心を払っておりますので、いずれこれは資料を出していただいて、総括質問のときにもやりたいと思っておりますので、お願いしておきます。
  230. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 矢嶋さんのおっしゃること、ごもっともでありますが、一体新幹線の問題につきまして、非常な、まあ伴睦駅とか政治家とかという問題が惹起されておりますが、これは大野さんを代表とする岐阜県の人々の要望とは思いますが、岐阜市を回って、あの新幹線を通してくれという強い要望が大野さんから出されました。これが岐阜市を回りますと、東京から名古屋にとまって、大阪へ行くという直線の、大体直線のコース、三時間何がしかでもって走るこの汽車が、十五分おくれ、かつ百億の金が要る。大野さんが、これは率直に言って、いかに政治力があろうとも、百億の金を犠牲にし、十五分もおくらしてやるというようなことは、運輸大臣として断じて聞くわけにいかぬ。  従って今科学的な、矢嶋さんが言われたような科学的な将来を見通した観点から、その問題は拒絶をしたわけであります。大野さんも、さすがに副総裁で、大政治家でありますから、その案を撤回をいたしたのであります。  しかしおそらく国鉄が、岐阜県にいま一つの駅を作りたいという希望を申し出てきたということは、まあ率直に言って、初めは九つだったのですが、あと一つを追加してきたということは、その線のつまり余っているとき、言いかえますれば、直線を曲げず、時間を狂わさずに、その線を走るべき、つまり普通の急行と申しますか、特急にあらざる急行、それはやはり国鉄はサービスの鉄道でありますから、神奈川県にも二カ所、静岡県には三カ所。岐阜県は一カ所もとまらずに、愛知県及び滋賀県、京都ととまっていく。しかしこれは岐阜県民も、やはり日本国民でありますから、その中を、多数の用地を買取していかなければならぬのに、全然一つもとまらないということは、まあ国鉄のサービス精神からいっても、また将来の科学的見通しからいっても、これは妥当でないというような観点から、岐阜県に一カ所駅を作るということは、つまり大野伴睦さんが主張されておる岐阜市を回って百億、十五分おくれるということは、これは聞くことはできないのですが、そういうことを、岐阜県に一カ所作るということは、最も常識的なものではないか。まあ岐阜県は、超党派的に一カ所作ってもらいたいという希望がありますから、これは、まあ政治をやっておる者といたしまして、そういうことを一つ理解することも、また妥当な常識であるという観点からやったのでありまして、矢嶋さんがおっしゃいます政治の科学性並びに将来を目通して――現状のボス的勢力に屈服して、汽車を曲げる、百億を負担してまでやるというようなことは、私どももこれはあまり賛成しないことですから――そういう意味においてあれをしたのです。朝日新聞その他読売新聞等でも誤解をいたしておりまして、論説でもって、特急をとめるということはけしからぬ、つまり最大特急を、あそこに大野さんの政治力によってとめるということに誤解しておったようでありますが、だんだん事情がわかってきたら、何だ大山鳴動してネズミ一匹というようなことになりまして、結局それは、あたりまえじゃないかというような常識の観点に到達している心境じゃないかと思いますが、こういうふうに思います。
  231. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は、断じてそれは了承できないのです。それは社説なんかというのは、うしろから回ればぱっととまりますよ。社説なんというものは、政治力で。  私はやはり、この新幹線の地域を近く見れば、そういうことも言えましょう。しかし、その視点を少し離して北海道の北から沖縄までのポイント・ビューを変えて見た場合に、二千億もかけて、あの新幹線を作って、あの中に、十の駅を作ることが妥当かどうか、大きな問題ですよ。私は南九州におりますが、南九州は、日本の経済圏から相当に離れている、そこに後進性の抜けない大きな原因があるわけです。今特急一本通していただいていますけれども、それでも二十五、六時間要するわけですからね。そういう、北海道もあれば南九州もあるわけであります。  私らの考えからいえば、熱海あたりの人が、東京に来るのに、急行なんか乗らなくてよさそうに思う。これは平たい言葉になりますけれども、そういう観点に立てば、日本全体の立場から考えるならば、もちろん日本の経済政治の動脈、心臓部ではあります、大阪から東京の間は。その間に、二千億かけてやるということは、そのことは、私はけっこうだと思います。  しかし、この間にある県を通れば、そこにも必ず一つ設けなければ、人情上面白くないというようなことで、あの九つを十にふやすということは、やはり昔のぽんと腹をたたいた政治ですよ。科学的なものじゃない。私は、データをもって論じたいと思いますけれども、私は断じて、ほかの点では楢橋運輸大臣に私は敬意を表しているんですが、これだけは私は楢橋運輸大臣、絶対に、大野さんと妥協して、こういうものをやった、こういう大きな日本の政治史上にも、また政治家楢橋さんの将来まあ伝記等ができるでしょうが、それに、非常に私は汚点を残すことになると思うんですが、いずれこれは、抽象論を言ってもしようがないですから、一応私は、要求しました詳細なるデータに基づいて、私一人になっても、私はこれは、徹底的に追及して参るつもりですから、資料を整えて出して下さい。
  232. 奥むめお

    ○奥むめお君 ただいま出ましたけれども、この建設審議会ですか。こういうようなものを、私今数子をいただきましたのですが、まるで、半分以下の収入しか入っていないのですね、原価と比べますとね。これは、今までしたのは、いつごろか、見込みのあるのはありますか、または、わからないと書いてありますね、いかがですか。  私は、まず大臣に伺いたいのは、こういう諮問機関というものは、何のためにあるのですか。そうして、それを大臣は尊重なさいますか。ぜひこれは、出れば許可をなさいますわけでございますか。
  233. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 鉄道建設審議会は、国会の法律によってこれは設けられたものでありまして、御承知のように、国鉄それ自体が、今日独立企業体として予算がとれて一本立ちのできるような体系に実はおいておらない。  端的に申しますと、国家の目的のために、たとえば公共割引も五百億近く、国家は国鉄に割引をさせながら、これに対して、国家は補償をしない。まあ今、先生がおっしゃいましたように、新線にいたしましても、国鉄は相当赤字になるところも、やはり国家的な要請と申しますか、産業開発その他文化の交流というようなところから、採算を一応乗りこえて、そこは開発をするという公共性を持っているところに、国鉄の使命もあり、また国鉄の他の企業と違う、独立採算をとらざるを得ぬ悩み等もあるのでありまして、従って、そういう所を開発してやれば、自然にその辺に対する、やはり乗客その他も、また赤字が黒字になるというような段階にもなる、まあこういうことも考えられますし、また、御存じのように、非常な地方民の人々の開発に関する要求等がありますので、やはり公共的立場から、この問題を取り上げておるところに、今御指摘になるような問題が生まれてくると実は思うのでありまして、審議会できめました線につきましても、これはたくさんな要求があります中から、厳選し厳選して、こういうような決定を見ておるような次第であります。  また詳しいことは局長から一つ説明をします。
  234. 奥むめお

    ○奥むめお君 それじゃ伺いますが、大臣は、サービス精神を強調なさいますけれども、それは自分の方に駅があればいいだろうし、延ばせば喜ぶ人は多いと思います。それは、もうどこも同じでございます。しかし、国鉄全体のサービスというものは、パスでも運べる所へ無理に汽車をつけたり、あるいはバスで運んだ方がずっと安上がりになって、国家的に考えて非常に経済的であるのに、あえて汽車を通すと、こういうところが、非常にこの審議会に対する世間の疑惑でございますね。要望もさることながら、委員となっておる人が、一番強く要望するのであろうと、私どもは考える。  そうすると、そのしりぬぐいは、やっぱり料金、われわれの鉄道料金にかかってくるわけなんですね。で、サービスするんだったら、むしろ一人残らずに、サービスのできる料金の方でサービスしたらいい。あるいは鉄道運賃の方でサービスするというサービスの仕方が、へんぱだと私は考えるのでございますね。  これは、一つしかないのですか。あまり不経済的だから、やめたという所も、おありになるのですか。
  235. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 国鉄の新線建設につきましては、まあ今まで、いろいろ国会でも御論議されたわけでございますが、ただいま御質問の、鉄道建設審議会が、なぜ持たれたかといいますことは、戦後やはり、相当国の、何といいますか、産業が発達するに従いまして、新しい鉄道建設の要望が強くなって参りました、それで国会におきましても、わが国経済の復興と人口問題対策としては、国土の有効利用と国内資源の開発が絶対必要であり、このためには交通網の整備、特に鉄道建設拡充が不可欠の要件であるというような決議が衆参両院でなされたわけでございます。  この決議に基づきまして、昭和二十六年の五月、鉄道敷設法が改正されまして、ただいまお話のありました鉄道建設審議会が設けられた、かようないきさつになっております。  それで、自来、国鉄がこの審議会の議を経て、鉄道建設を行なっておるわけでございますが、今回の審議におきまして、持にまあ、いろいろ論議されましたのは、ただいま先生が御指摘になりました、自動車でやるのと鉄道でやるのと、どちらがいいか、国民経済的にどちらをとるべきかということは、前後五回の小委員会が開催されたわけでございますが、いろいろ論議をされたわけでございます。それで、その問題につきましては、やはり現在のまだ日本の道路と除雪という問題からいいますと、東北から北になりますと、やはりある程度の輸送をやるためには、鉄道の方が適当であるということで、北海道、東北につきましては、鉄道建設ということできまったわけでございますが、それから以西の線につきましては、いろいろ審議を重ねていただきまして、さらに今後一カ年にわたりまして、その間の経済効果というものを調査いたしまして結論を出した方がいいだろうというのが、別に答申になって出ておる状態でございまして、十分そういう点は、審議を尽くしておるつもりでございます。
  236. 奥むめお

    ○奥むめお君 おやめになったのは、幾つぐらいありますか、答申が出たけれども、不経済だからやめたというのは。
  237. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 現在までに、答申が出たけれども、やめたという線はございません。
  238. 奥むめお

    ○奥むめお君 一〇〇%でございますね。
  239. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 白棚線という、これは復活線でございますが、白河から棚倉へ行く線でございますが、これは線路ができておりまして、汽車で復活をしないで、自動車で復活をしたという線がございます。
  240. 奥むめお

    ○奥むめお君 それ一つでございますね。  で、今御承知のように、雑誌に出ていますが、二十七人の国鉄総裁と、いろいろあることないことか知らんけれども、なかなかにぎやかに、これ、取りざたされておりますけれども、そういうような雑誌が出なくても、こういう問題は、非常に各地方で――私この間予算委員会でも、これを取り上げましたけれども、実際、問題のように思いますですね。  この委員会というものは、何年の任期でございますか。それから、どういう人が入っているのでございますか。その身分というのは、職業別にして、任期何年で、今まで何べん取りかえなさったか、どういう選考の方法がおありになるか、これだけ聞いておきます。
  241. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) この委員会は、内閣から国会に提出いたしまして、国会の承認を得て任命になっておるようでございます。  それで、国会議員といたしましては、現在十人、国会議員の先生方が委員になっておられます。これは鉄道敷設法第六条に、法律できまっております。  名前を申し上げますか。淺沼先生、石井先生、川島先生、久保田先生、小金先生、船田先生、江藤先生、谷口先生、中村正雄先生、野溝先生、十名の先生方でございます。それから運輸政務次官、運輸事務次官、大蔵事務次官、農林事務次官、通産事務次官、建設事務次官、経済企画事務次官、運輸審議会会長、日本国有鉄道総裁、これが官職を持っておられる方でございます。その他第三者委員といたしましては、現在もう任期が切れた格好になっておりますが、京阪神急行電鉄株式会社取締役会て佐藤博夫、日本観光協会副会長平山孝、日本精工株式会社取締役社長今里広記、関西経済連合会顧問関桂三、農林中央金庫即事長楠見義男、全国銀行協会連合会理事酒井杏之助、早稲田大学教授島田孝一、元東京帝国大学教授山崎国輔、こういう方々でございます。
  242. 奥むめお

    ○奥むめお君 任期をまだ聞いていないけれども、ついでに、もう一つ聞いておきます。
  243. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 任期は、二年でございます。
  244. 奥むめお

    ○奥むめお君 別に、要望するわけじゃありませんけれども、このごろ審議会に、アクセサリーとして女を入れること、非常にはやっていますけれども、国鉄それをぬかっていますね。一人でも、これは婦人をお入れになったら……。問題に、世間の問題になると思うのです。だから、一つ入れて下さいまし。入れることを私、要望いたします。(「利用者だからね」と呼ぶ者あり)ええ、私は、別に入りたくないけれども。大臣、いかがですか、あなたの大臣としての功績の一つに、私ども特記したいと思います。お願いしたいと思います。
  245. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 十分に考慮いたしまして、研究いたしてみたいと思います。
  246. 奥むめお

    ○奥むめお君 それから――それはぜひお考えいただきたいということと、まあ私どもから言えば、やはり国鉄の運賃というものは、ほんとうに、そうでなくても赤字の線が多いのでございますから、わざわざ、こういう政治的な、お互い疑惑を持たれるような線をこしらえて一そう赤字をふやしてそのしりを乗客に持ってこられるということは、決してしないという方針を立てていただきたいと思うのでございます。  一体、ほかの審議会の答申というものは、ほとんど政府によって無視されるのでございますがね。あべこべにばかり進むのでございますが、国鉄だけが、まことに神妙にお聞きになるので、私国鉄というところは、特別地帯であることを非常に痛感いたしました。
  247. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の奥委員の言うことは、大へんな重要な問題だと思うから、運輸大臣も、よく一つ検討してもらいたいと思います。  そこで、先ほどの矢嶋委員資料要求の中に、いま一つつけ加えてもらいたいのは、この新幹線の前の弾丸道路計画が、新幹線の関係地帯ですね、通る所。それと予定される駅設置の個所、それを一つ、資料として提出をしていただきたい。  そこで、先ほどの質問に継続いたしますが、山口鉄監局長から、先ほど国鉄の五カ年計画、三十二年度以降の進捗状態について、取りかえ、及び諸改良については八七%である。平均してかなり伸びておるという御説明をいただいたのでありますが、私は不幸にして幹線輸送、幹線電化、あるいはジーゼル・カー車両の増備、こういうようなものは、ほとんど三〇%に近い――五カ年計画の中の少なくとも後年度に入っておりながら、まだ三〇%しかできておらない、こういうような、いわゆる状態で、はたして五カ年計画というものは、当初の目標内に完成をするのかどうか。  この点は鉄監局長は、どうお考えになっておるか、御答弁をいただきたいと思うのです。
  248. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 五カ年計画が、先ほど御説明いたしましたようにおくれた理由は、いろいろあると思います。と申しますのは当時計算をいたしました、いわゆる人件費というものに見誤まりがあったということは、その後仲裁あるいは調停で、人件費が相当ふえております。国鉄の、それでなくても昇給というもので、年々人件費がふえておる状態でございますので、そういったものが、いろいろ影響いたしまして、こういった状態になったわけでございます。  それにいたしましても、われわれの方としては、五カ年間に、そういった工事が行なわれないと、輸送の伸びについていけないという見通しで、そういう計画を立てたわけでございますが、その方からいいますと、一応三十三年度になりまして、非常に輸送が落ちまして、われわれが、急激に日本の経済が伸びるであろうといった点から見ますと、輸送の量から見ると、ある程度、われわれの見方よりは低かったというようなことはございまして、その点からいって、現在まだ輸送が隘路になるという状態にはなっておりませんが、しかし、こういった現在の輸送の伸びが、そのまま続いていきますと隘路になるということもあり得るわけでございます。その点、われわれ輸送の将来について心配をいたしておるわけでございます。  そこで、こういうことを申し上げますと、はなはだむずかしいのでございますが、できるだけおくれは今後の工事において取り戻して参りたい。そのためには、それだけ多くの予算の獲得が必要でございます。この点は、大いにわれわれといたしましても努力しなければならぬと思いますが、ある程度のズレというものは、現在の進行状況では、起こり得ると考えられるわけでございまして、その点は、まことに申しわけないと思っております。
  249. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  250. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記を始めて。
  251. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の鉄監局長の答弁まことにけしからん。  なぜかと言えば、五カ年計画について、人件費がふえたから予定計画ができないなんていう話をされては迷惑しごくだ。人間生きていく以上は、食わずにいられやしない。これは当然の話であって、これは、政府仕事をしていく上においては、やはりその従業員というものの人件費というものは、当然それは計上すべきである。またそのくらいのことを見通してやらんで、計画をするなんていうことは、そもそも誤まりだ。そういうことを言うべきじゃない。むしろそういう、もっと労働者の人に、うんと働いてもらうように、もっと給料を値上げしていく、そういう計画をなぜ出さんか。そういうことこそ、初めて政府の責任なんだ。これは、給与の問題、あとでやるにしてもだ、その答弁はけしからん。  それから、それはそれとして、鉄監局長に聞いておきたいのだが、今言う三十二年度から始った五カ年計画が、若干ずれるなんかということは、これは政府の責任だ。私は、ずれちゃいかんと思う。やはりずれないようにやらなきゃいかぬ。あなたは今、輸送にそう支障を来たさないと言っておるが、輸送の支障来たさないどころじゃないじゃないですか。すでに年末を目前にして、相当滞貨というものが国鉄に予想されておる。これは認識不足もはなはだしい。運輸省が、そんなことだから満足な輸送というものはできんのだ。  そこで、三十二年度から実施に移したところの五カ年計画のいわゆる来年度の予算は幾らか。来年度――書いておいて下さい。来年度の予算は幾らに考えておるか。十一路線の新建設を、いわゆる審議会が答申をした。もちろん直ちに全部着工するわけじゃない。しかし、そのうちで、少なくとも直ちに着工すべしというのは三線ある。従って予算というものも計上しなきゃならぬと思う。そうすると、それが幾らになるのか。  それから、先ほどのいわゆる東海道新幹線、いわゆる弾丸列車、この新幹線の調査費というものも、建設費には、先ほどあなたも御答弁になっておった現在、すでに丹那隧道をやっておる。それは来年は幾らと計上するのか、これをあわせて一つ、数字的に御報告して下さい。
  252. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 新幹線の方から申し上げますと、来年度着工いたします路線につきましては、測量あるいは用地買収という段階になるものと思われます。  ただ、現在要求いたしておりますのは、今やっております二十五線と合わせまして百三十億要求いたしておりますが、予算が決定いたしましてから、予算の割り振りをいたしますので、来年度新しく入った予算に、どれくらいつけるかということは、予算が決定したあとでないと御報告がむずかしいと思っております。  次に、新幹線の予算につきましては、先ほど御説明をいたしましたように三百九億要求をいたしております。九億というのは利子の相当部分でございまして、実質的な工費は三百億ということになるわけでございます。  それから、そのほかの五カ年計画の問題でございますが、まあそれらは、改良費という項目で要求いたしておりますが、五カ年計画を、先生、今のお話のように、所期の通りやるということを建前にいたしまして予算の要求をいたしておるわけでございますが、その額は約千四百億ということでございます。
  253. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  254. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記を始めて。
  255. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで大臣は、今の鉄監局長説明をしただけでは千八百三十九億、これは鉄監局長の今説明したやつですよ、このうち国鉄の自己資金というのは、あなた幾ら出させるつもりですか、大臣は。
  256. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 自己資金というのは、国鉄の運輸収入から支出を引きまして資本勘定へ繰り入れる額でございますが、本年度、三十四年度は五百九十九億と見込んでおりましたが、幸年度は四百七十九億という現在の見込みでございます。
  257. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、先ほどのいわゆる東海道新幹線については、わずか二億ドルそこそこの交渉しかできておらぬ。そうすると政府出資そのものが非常に莫大なものになると思うのですが、運輸大臣は、責任を持てますか、これ。政府出資ですよ。国鉄の自己資金というものが、わずか四百七十億か五百億しかない。そうして借款もろくにできないということになれば、政府が、これは出さなければならないじゃないか。運輸大臣は、責任を持てるか、それは。
  258. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 極力、努力するつもりでありますが、外債の方も、今二億ドル、約七百億近くのものを折衝をいたしておりまして、一方国鉄の自己資金は、今報告申し上げたようなものでありますが、その他の政府資金等につきましては、それに充足するように極力努力したいと思っております。
  259. 相澤重明

    ○相澤重明君 それは運輸大臣ね、私は、今からその点は、特に警告を発しておきたいと思うのだ。ということは、もしあなたがそう言って、それでこれができなかったら、これはあなたの責任になるんですよ、これは。  私の一番心配しているのは、政府が三十二年のときの提案についても、絶対に、大体年間千億ないし千二百億のいわゆる改良費あるいは建造費というもので、とにかく国民の希望を持っておるところの輸送増強をしてもらいたいということで、当時お話になったけれども、現実には、第三年度で、実際に三〇%か三二%きりできてないのがたくさんある。あと二年度で、どうするかということになると、それも相当、運輸大臣の責任を持った処置をしなければ、国鉄自体がやっていかれない。これは、国鉄が悪いといって、国鉄に責任を転嫁してしまえば、それであなたは済むかもしれぬけれども、それはできぬ。  そこで、しかもその上にかてて加えて、この間の、今奥委員指摘するように、政治路線といわれるこの新幹線十六路線の中から、十一路線を決定をした、これもやらなきゃいけない。そのうちの幾つかありますけれども、それもやらなきゃならない。それで今度は、東海道新幹線もやらなきゃいけない、こうなってくると、これは自己資金が、一方において限度なんだね、自己資金というのは。それで、今度国鉄の者がアメリカへ行って、いろいろ公債か借款かしらぬけれども、話を進めてみた。ところで、そう簡単に金というものは集まるものではないわけです。そうしてみると、やはり国民に公約すれば、運輸大臣として、これはやります、こういうことになれば、これはもら、政府資金を出さざるを得ない。政府資金とは何だ。これは、やはり預金部運用資金を借りるなり、あなたが政治的な立場で、これは処置をしなきゃならぬ問題だと思います。  このことは非常に重要なことだ。ということは、たとえばですよ、この十一路線の新建設については、この審議会の答申によっても、約四十億の赤子が見込まれるといっているんだ。四十億の赤字が。そうでしょう。今までの二十五線の中で、そうしてやってきたけれども、それでもやはり現在黒字にはなっていない。どの路線だって、やはり赤字なんだ。今までの二十五線が赤字、その上に十一路線を作れば、四十億の赤字が将来見込まれる。直ちに来年四十億じゃないけれどもね、見込まれる。そうして新幹線についてだって、これは当然かかる。そこで、この審議会は答申として、当然新線建設については、国でそれをまかなうべきではないか、また当面の必要資金とすれば、第一年度に着工するとすれば、その資金の利子は、いわゆる国が持つべきじゃないか、国鉄の既定営業経費の中で、もらかったものの中から出すといったって、できるわけじゃないですか、そんなことは。  そういうことについて運輸大臣はどう考える。
  260. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 御指摘のような、まあ国鉄の状態でありますが、国策として政府がきめた以上は、私も運輸大臣といたしまして、その実現に努力するということをお答え申し上げておきます。
  261. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは、これはいずれ通常国会にも提案されることであるし、来年の決算のときには、私の今言っていることが、これはもら決算上出てくることだと思う。まあ私は、あなたはなるべく長く運輸大臣やってもらった方がいいと思っているけれども、これはまあ内閣改造でどうなるかわからぬし、今から予定はできないけれども、少なくともあなたが言ったことは、これは決算上残るわけです。そこでやはり責任を私は持ってもらいたいと、こう思うわけです。  そこで、この運輸大臣に一つ、最後に聞いておきたいのは、私も、質問をできるだけ少なくして終わりますが、もう新しい、そういう、いいかな運輸大臣、新しいそういう路線の着工、それから、この国民の今の経済成長にかんがみての輸送量、こういうものから考えて、現在の国鉄の従業員の数が足りないとあなたは思っておりませんか。これは、もっと合理化をしても、なおかつ、この新規事業については、当然これは負担が重くなるわけですから、その点については、新規増員をするという考え方はありませんか。
  262. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 国鉄の従業員につきましては、御承知通り、ここ数年定員の増をやっておりません。ことごとく新しい事業におきましては、近代化あるいは合理化というもので生み出した人員でやっているわけでありますが、相当その点におきましては、国鉄の合理化が進みまして、さらに新しく近代化を行なうという場合には、もっと画期的な措置をとらなければならないというような状態になっているわけでございます。  それで従業員の数につきましては現在、まあ来年度の予算もあり、国鉄と折衝いたしているわけでありますが、来年度につきましては、ある程度の増員というものも考えなければならないというような状態になっているように考えております。
  263. 相澤重明

    ○相澤重明君 本年十月以降のダイヤ改正について、国鉄当局も、かなり運輸省に、いろいろ骨を折ってもらいたいということをお話になったと私は思うのですよ。  ところが六千三百万トン以上のいわゆるこの輸送量というものを、実際に行なっておりながら、人員の増員というものは、わずか三百七十人そこそこひねり出しただけだ、やっとこれだけ出した、今のような、この十二月を目前にして、この歳末を目前にして、少なくとも二百万トン以上の滞貨があるということを考えると、私はやはりその来年度の新規工事ということを考えていけば、相当の人数をふやさなければならないだろうと、こう思う。  そこで、今の鉄監局長の言うように、とにかく増員をしなければならないだろうと、こういう考えでおれば、増員されるものと、私どもは確信をいたしておりますから、それは、一つ運輸大臣、今、鉄監局長の言う通り了解をしておっていいかどうか、一つ、運輸大臣から御答弁願います。
  264. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 新しく仕事がふえていけば、やはり国鉄も合理化、できるだけ人件費の節約ということは、国鉄経営の健全化から必要でありますけれども仕事が拡大していけば、それに対して、やはり人をふやすということはやむを得ないことであって、また必要があると、こう思うのですから、鉄監局長と、やはり同じ意見であります。
  265. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで、これは鉄監局長は把握されているかどうか知らぬけれども、もし鉄監局長は、直接でないから把握されておらなかったら、一つ国鉄の当局者から、お答えをいただきたいと思うのでありますが、現在の国鉄の正規職員、いわゆるこの一般従業員だけでは足りなくて、臨時人夫を使っているのではないかと、こう私は思うのだが、臨時人夫を使っているのかどうか、一つお答えをいただきたい。
  266. 兼松学

    説明員(兼松学君) ある程度の臨時職員は使っております。その数は、大体冬季の積雪等の除雪用の用員等を除きますれば、五千ないし六千であると考えております。
  267. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで、この国鉄の臨時人夫というのは五千ないし六千人というのが、全国で使っておる人であるのか、それとも、いわゆる時期ですね、時期によって、そういうふうに兼松常務が言われたように、考えておるのか、平常の場合は、どのくらい、それから、そういう積雪寒冷地等も含んだ冬季の場合幾らと、こういう点の御説明を、一度願いたいと思うのです。
  268. 兼松学

    説明員(兼松学君) 臨時人夫の採用は、業務の繁閑によってきめますので、地方々々で、予算によって処理をいたすことになっておりますので、申し上げておりますのは、大体の平均数でございまして、時期によりまして差が非常にあると考えております。
  269. 相澤重明

    ○相澤重明君 臨時人夫については、そうすると、地方鉄道管理局長契約担当者になるのか、現場長が契約担当者になるのですか、契約の方法について。  それから男と女がどのくらい使われるものか、それから、あるいは作業に従事する種別、こういうものをおわかりになったら御報告願いたい。
  270. 兼松学

    説明員(兼松学君) 二色ございまして、採用予定をしておる者が、見習い期間の臨時の者につきましては、管理局長がいたしますけれども、その他の者によりましては、それぞれの現場々々で契約することもございます。  で、数その他につきましては、ただいま正確な資料を手持ちしておりませんので、後刻取り調べまして、お答え申し上げます。
  271. 相澤重明

    ○相澤重明君 いま一つ、それでは、その数あるいは種別等について、御報告願うときに、この賃金は、どのくらい支払っておるかですね、その点も性別によってですね、あるいはまた年令によって違うのならば違う、地域によって違うのなら違う、そういう資料提出してもらいたいと思うのですが、委員長から一つ聞いて下さい。
  272. 兼松学

    説明員(兼松学君) 承知いたしました。
  273. 相澤重明

    ○相澤重明君 それで国鉄関係については、大体私は終わりたいと思うのですが。  次に、自動車局長にお尋ねをしたいのですが、政府として外国車の輸入について、どういうふうにお考えになっておるか。それとまた、現在外国自動車というものを、どのくらい輸入する考えでおるのか。それで、これがもしおわかりになれば、国別、それからその数量、これを明らかにしてもらいたいと思う。
  274. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 外国車の輸入に関しましては、ドル地域及びその他の欧州車、米国車と欧州車とを輸入しておりますが、これは今までいわゆる観光用といいますものと、それから報道用と申しますものと、二種類のものについて輸入をいたしております。  従来、欧州車の輸入が多かったのでありますが、本年は、アメリカとの関係で、相当米国車が輸入されるのではないかと考えておりますが、今、具体的な数字を持ち合わしておりませんので、これは後刻、取り調べまして、御報告いたしたいと思います。
  275. 相澤重明

    ○相澤重明君 それは資料として提出していただきたいのですが、いわゆる外国人という名前による輸入といいますか、持ち込み、こういうものについて、実はその特権といいますか、外国人が、日本の国に来るときに自動車を持ち込むと思うのです。その持ち込んだものが、日本国内で払い下げをされる、譲渡をされる、こういうことが多いと思うのでありますが、そういう点について、運輸省として調査をしたことがあるかないか。あるとすれば、どのくらいの数量があったか。この点についての御報告を願いたい。
  276. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 乗用自動車の輸入に関しましては、課税をいたしますものと、それから免税扱いで、たとえば今お話のございました駐留軍用とかいうような扱いのものがございますが、昭和三十二年の輸入台数を申し上げますと、海外から直接輸入したものは千二百八十両でございます。それから、これをずっと申し上げましょうか。
  277. 相澤重明

    ○相澤重明君 ええ、三十三年……。
  278. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 昭和三十二年でございますが、海外から直接輸入したものは千二百八十両、駐留軍軍人からの払い下げが二百二十一両、駐留軍要員からの譲り受けが四千三百五十八両、その他が、これは一般外人からの譲り受け等でありますが、三百六十七両、計六千二百二十六両。それから、これは関税がかかりませんものでありますが、これは駐留軍用といたしまして輸入しておりますものが五千百五十二両、駐留軍要員の自家用として輸入しておりますものが五千三百九十九両、そのほか引っ越し荷物、外交官などで輸入しておりますものが七百三十一両、合計一万一千二百八十二両でございます。
  279. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは、運輸大臣も御承知だと思うのですが、無為替輸入、いわゆる関税のかからない輸入というのは、これは非常に特権であるわけですね。  そこで、名目をこれらの外国人あるいは駐留軍要員、こういう名前で輸入をして、日本の大蔵省に税金を払わないで、そうしてこれを第三者に転売をすると、こういうのがあって、運輸省の中にも、あるいは大蔵省の中にも、実は不正事件として摘発をされておることはあるわけなんです。これは、この決算委員会でもしばしば指摘をされたことでありますが、こういう問題について運輸大臣は、この輸入をするときの、いわゆる態度といいますか、監視ですね、そういうものをどうしたら防止できるのか。  それからいま一つは、今運輸省としては、非常に自動車の登録税、あるいはナンバー・プレートの問題等についても、いろいろな問題が起きておるし、多数の手数料を取っておると思うのですが、外国人のものについては、特にそういう点で高級なものが、日本の国内で安く取引をされる、こういうことも、私今まで幾つか聞いたわけです。そういう点についての事故防止について、あなたはどういうふうにお考えになっておるのか、御説明をいただきたいと思う。
  280. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 今御指摘のようなことは、これはまあけしからぬ話であって、外国人だからというので、そういう特権があるはずはないのだから、法によってきまっている以上は、厳重にやはり、これは法の規制をしなければならぬことになりますけれども、そういうようなことがあるとすれば、通産省との間に緊密な連絡をとって、それは厳重に防止しなければならぬと思うのですが、詳しいことは、局長から一つ説明させます。
  281. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) この輸入に関しましては、駐留軍の用途に使いますものにつきましては、これは行政協定等によりまして、関税なしで輸入しておるわけであります。駐留軍軍人につきましてもしかりでありますけれども駐留軍軍人等が所有しております自動車を、日本人が手に入れます場合には、たしか二年であったと思いますけれども、譲渡制限がございましてその時の経過後に、日本人が譲り受けをいたしました場合には、必ず税関の通関証明書を持ってこなければ、陸運事務所は登録をしないということになっておりますので、この点で、そういうことは絶対に事故はないということになっておるのですが、ただその通関為替の偽造とか、その他そういうところに不正なことがありました場合に、登録をすることはあるのでありますが、通関証明書を持ってこなければ、絶対にもう陸運事務所としては登録をいたしませんので、日本人に、そうむやみに関税なしで手に渡せるというようなことはない制度になっておりましてそれを、われわれとしても励行しておるわけであります。
  282. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは、現に通産省の係長が、検察庁から告発をされ、裁判をやっておるじゃありませんか。これは運輸省の中にも、そういう系統があった。運輸省、通産省、それから大蔵省――関税ですね、こういう関係であったので、私は今、概括的に申し上げたんですが、運輸大臣は、やはりこれは、単に法に照らして処断するというだけでなくて、私は、人を罰するよりは、そういう事故を起こさない方途を講じなければならぬと思う。  ですから、一つこの外国車の輸入については、これは運輸省の割当になるわけですね。そうでしょう。ところが、無為替輸入については、いわゆる駐留米軍なり、あるいは駐留軍の要員については、これは運輸省の監督以外のものなんです。そういうことで、以外のことであるけれども、今度は、登録という問題になれば、これは運輸省の問題になってくる。だからその関連というものは、きわめて微妙なところがあるわけなんです。そこを私は、事故対策というものを、やはり根本的に一度検討をして立ててもらいたい。これは非常に日本の自動車産業というものを振興させること、そして外国車を低廉に入れて、しかも脱法行為で入れてそれが国内を走っておる、こういうようなことを、私は放置すべきものではない、こう思うから、その点を特に一つ指摘をしておきたいと思うんです。だからといって、観光用の自動車であるとか、あるいは日本の自動車産業のために必要なものを私は買ってはいけない、そういうことを言っているわけじゃありません。これは大いに奨励はけっこうですから、やってもらいたいと思う。  それから同時に、観光の問題については、これは、ドルの獲得の面も、他面あります。そこで、観光用の自動車というのは、輸入自動車の中の何%ぐらいをお考えになっておるのか、これは一つ観光対策とも、観光局長いましたら、一つ御答弁願いたい。
  283. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 今正確な数字を持ち合わしておりませんのですが、先ほど相澤委員がおっしゃいました観光用、それから運輸省でやっておりますのは、観光用についての割当を処置しておりまして、報道用は、通産省で分けておるのでございますが、報道用というものは、三十二年で申し上げますと、バイヤー、タクシーに割り当てましたのが六百八十一両、報道機関に割り当てましたのが二百二十三両でございまして、ハイヤー、タクシーが観光用でございますが、六百八十一両対二百二十三両、こういうことになっております。
  284. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから、その中で、政府機関で使ったのは何台ぐらい……。
  285. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 政府機関で使ったものは、一台もございません。これは、全部ハイヤー、タクシーの業者に割り当てたのと、新聞、報道機関に割り当てたものだけでございます。
  286. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は、最後のお尋ねをして、矢嶋委員と交代します。  これは、先ほど午前中の決算委員会で、実は、私から御質問申し上げたのでありますが、村上建設大臣は、道路交通取締法あるいは道路鉄道との平面交差、こういう問題について、踏切道路法の提案をする意思があるか、こら申し上げたところが、関係者と打ち合わして提案することも検討したい、こういうふうにお話になったのでありますが、これについて運輸大臣は、特に交通機関を管轄する最高の国務大臣でありますから、どういうふうに考えておるか、いつ、そういう準備をされるか、これが一つ。  それから、いま一つは、昨日の大蔵委員会において、佐藤大蔵大臣に質問した中に、運輸省の関係で、トン税と特別トン税がある、いいですか、法律で、これはきあられてある。それで、トン税というのは、大蔵省の収入、特別トン税というのは、地方自治体に還元をする、これは、アメリカなりフランスなり、各国のいわゆる手数料とも比較して、日本のが決して高いということじゃないわけなんです。高いということではないけれども、特に運輸省が監督をしておる港湾の育成には、非常に大きな問題である。これは、六大部市を初めとして、重要港湾を持っておるところは、政府も、大へん国費を投入しておりますが、地方自治体は、より以上に、たくさんの金を投資しておるわけですね。  そこで、大蔵大臣に私は、このトン税と特別トン税の法律提案の際に、大蔵委員会でお聞きしたところでは、この法案は、できるだけ早い機会に提案して、地方に資金を還元をしたい、こういうことを検討するということを言っておったのでありますが、すでに二カ年にもなっておるのに、まだ手が着いておらない。大蔵大臣は、いや、国で資金を投入するのであるから、これは、なかなか返すわけにはいかぬ、こう言っておるのでありますが、国の直轄工事の問題と、地方が管理する港湾との関係というものは、きわめて微妙な問題であるし、育成については重要な問題だと思うのです。  そこで、その監督官庁としての運輸省として、このトン税は、わずかこれは八億くらいです。国全体で八億くらい、八億くらいのこのトン税を、地方自治団体に還付してやったら、非常な大きな成果になる、たとえば、横浜港に一つの例をとれば、八千万から九千万になると思うのです。神戸港とか名古屋港とか大阪港とか、そういうふうなことにしったならば、地方にとっては、非常に大きな財源であるけれども、国全体では大したことはない。これは運輸省が積極的に動かなければ、大蔵省は財布を握っているところだから、これはなかなか言うことを聞かない、こういう点について、運輸大臣は、重要港湾を振興するということは、常にあなたの主張であるけれども、どうお考えになっておるか、この点についてお答えをいただきたい。
  287. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) (第一点の交通、特に踏切その他の問題をめぐって、今日非常な大きな交通事故が起こっておりますので、道路法の根本的な改正、また踏切に関する法律等の問題についてお話がありましたが、これはぜひ一つ、私の方でも研究して、通常国会に提案するという、今準備をしておる次第であります。  第二問の点は、耳寄りな話と言ってはなんですが、私は、大いに賛成でありますから、大蔵大臣にも一つ談判をして、港湾の建設を、今日一生懸命やっていますから、そういう点に資したい、こういうふうな考えであります。
  288. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 二点ほど、比較的緊急なことを聞いておきたいと思うのですが、先般の本会議で質疑がありましたが、ロッキードU2ですね、これは識別標識マークを着けるように、正式に文書で要請したかしないか、お答えを願いたい。
  289. 辻章男

    説明員(辻章男君) そういう要請はいたしておりません。
  290. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 岸内閣は、本会議の緊急質問に対して、国務大臣が、そういうことをするように要望するという答弁をしたのだから、当然、早急にしなければならぬと思うのですが、内閣のどの機関でもやっていませんか。運輸大臣のお考えを聞きたいのですが、当然書面をもって、標識をつけるように要望書を出すべきものと思いますが、あなた、どうお考えになりますか。
  291. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 先般の本会議におきまして質問がありました点について、多分外務大臣だと思うのですが、その問題を、標識の点について交渉をするということを申したと思いますが、御存じのように、行政協定によりますと、アメリカの公用機というものに対する特別な扱い、除外例等もありまするけれども、まあ今日、黒いジェット機として非常に問題になっております。また、日本の領土の上に、行政協定があるにしても、標識も、全然なしに飛ぶというようなことは、いろいろの誤解も招くし、また不安も与えられますし、これは私の方からも、外務大臣と協議しまして、適当な処置をとりたいと思います。
  292. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 航空管制関係は、航空局の管轄ですから、早急に、岸内閣の手によって要請書を出す。出したならば、その写しを本委員会に出してもらいたい。  それから運輸大臣に伺いますが、ロッキードU2機は、何機日本に入っておるとあなたは、承知あるいは想像されておりますか。
  293. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) その点は、七月一日から、こちらの方に航空管制本部が引き継いでおりますので、それ以前のことはわかりませんが、七月以後におきましても、あれが、こちらの方に飛ぶ場合において、計器を備えた飛行機は、管制本部に通達をされるということになっておりますが、視界のあった飛行であったそうですが、連絡がないので、何も情報を得ておりません。  この点につきましては、航空局長から、私もしろうとで、よくわからないから、一つお聞き下さい。
  294. 辻章男

    説明員(辻章男君) これは運輸省で、航空法の運用をやっておりますので、通例の飛行機ならば、外国から入って参ります際には、それの許可を要し、また登録等の手続きによりまして、飛行機のある程度の規制その他行なうわけでございますけれども、当該飛行機は、行政協定で特例を設けられておりますので、それで、そういうふうな登録の必要もございませんので、運輸省としては知らないわけでございます。  それから航空交通管制の立場から申しますと、これは飛行機が、天候等が悪くて計器飛行の状態で飛びます際には、航空交通管制本部の承認事項にかかっておるのでございますが、これも、飛行機の詳細な性能を知るというまでには至らないのでございます。一応承認が必要とされております。  ただ、本日のような天候のいいような場合に、いわゆる肉眼で飛行機を運航する状態、有視界飛行の状態と申しておりますが、こういう状態の場合には、航空交通管制本部の承認なしで飛べるという状態でありますので、これは本会議でも、大臣から御答弁がございましたが、当該飛行機が、七月一日に航空交通管制本部を運輸大臣が引きつぎまして以降、いわゆる計器飛行の状態で飛んだ形跡がございません。それで私ども、そういうような状態であるということを存じない次第であります。
  295. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あの飛行機から気象情報の提供を受けておりますか、おりませんか。
  296. 辻章男

    説明員(辻章男君) 航空局に関する限りは、当該飛行機から、気象情報を受けたことはございません。
  297. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 えらいのんきな局長さんもあったものですね。それでは大臣は、大へんだと思うのですよ。あれは軍用機でなくて、気象観測に当たっておるのでしょう。それなら気象情報の提供もありそうなものですよ。何か要求したらいいじゃないですか。  それからまた、そういう飛行機が飛んでいるなら、軍用機じゃないから、そういう飛行機が何機ぐらい来ておるくらいは聞いてみてもいいでしょう。それで私は想像しておりますかと聞いたのです。一部では、全部で十八機あって、日本に六機ぐらい来ていると言っておる。それを想像もされていないようなことでどうしますか。局長として怠慢ですよ。そういうようなことは自分の視覚聴覚を百パーセント発揮して、そして大臣にちょくちょく報告しておかなければ、局長として怠慢ですよ。
  298. 多田寿夫

    説明員(多田寿夫君) ただいまの質問でございますけれども、気象庁は、あの飛行機から情報を受げ取っておりません。もちろん、要求したこともございません。
  299. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 何機ぐらいいるか知っておりますか。
  300. 多田寿夫

    説明員(多田寿夫君) 全然知りません。
  301. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣、少し研究さしていただきたい。そういうところに問題があるのです。  それから、時間がないから、もう一つ聞いておきますが、日本の大臣、岸内閣の国務大臣として、ああいう飛行機が日本にいる、そうして、この飛行機が、日本の上空領土外に出て、具体的に言いましょう、北朝鮮の上空高層とか、あるいはウラジオあたり、ソビエト領域以内の上空に、日本の厚木なら厚木という基地から飛び立っていくことは、性能的には可能です、そういう行動が、あの飛行機が飛べるものか、また、望ましいのか望ましくないのか、どういう考えを持っておられるか、そういう厚木を基地にして、その紛争を起こすような日本の国の領域以外、公海あたりはいいですが、たとえば具体的に言うならば、北朝鮮あるいはソ連国土内の上空まで日本の基地から飛んでいくことは好ましくないという見解を持っておるならば、そういう申し入れをする用意がないか、性能的には、ゆうゆう参ります、そのお考えを承わっておきたい。
  302. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) あの飛行機が、これは矢嶋委員の御存じのように、行政協定によって、日本から規制のできない立場にいる公用機でありますから、こちらでもって、これをどうという規制をすることはできないと思いますけれども、国民的な感情から言えば、今おっしゃいましたような、これは一つの仮説でありますけれども、そういうものが向こうへ行って紛糾を起こすことを好ましいとは考えられません。それはやはり、そういうことはアメリカとしても良識を持って進んでもらいたいと思います。
  303. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これは、行政協定改正をされましょうが、そういう点について、もう少し関心を持っていただくことを要望しておきます。今日は、決算委員会ですし、時間もないから他の機会に他の委員会で突っ込んだことをやりたいと思いますので、この程度にとどめておきます。  次に、簡単なことなんですが、運輸大臣として伺いたい。具体的な問題なんですが、関門トンネルですね、あれをダイナマイトとか爆発物を積んだトラック等が通るのを許可すべきものでしょうか、許可すべきものでないでしょうか、運輸大臣としてどうお考えになられますか。それは、あなたのお考えを聞けばいいのですよ。
  304. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) それは関門トンネルのような、ああいう重要なところでもって、そういう爆発物を積んでいくということは危険ですから、これは禁止すべきものだと私は思います。これはやはり海上で運ぶかなにかしなければならない。  今、局長の言うところによりますれば、禁止を原則的にしているけれども、非常にやはり危険のないような輸送をした場合においての特例を認めておるそうでありますが、最近、ああいうふうな爆発物が非常な多くの被害を与えていますから、この点も、十分に私は関心を持って、厳重に規制すべきものだ、こういうふうに考えます。
  305. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 海底ですから、もう中で正面衝突したら、えらいことになると思います。最近盛んに、一時は締ったが、最近盛んに通しておるということを耳にするわけですが、原則なんというものは危ない、そこから問題が起こってくるわけですから、あのトンネルは、爆発物は通さないという原則としてじゃなくて完全な原則、それを鉄則とする必要があると思いますが、伺っておきます。
  306. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) ちょっと局長から、その辺のことを申し上げますから。
  307. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたの考えを聞けばいい、そうしてそれによって、局長は動きますから。
  308. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) それは御存じのように、今おっしゃいましたように、厳重に規制すべきものであってやはりその衝突その他の起こうないような厳重な規制をするくらいでなければ、認めるにしても認められない。今聞くところによりますれば、そういうものを通す場合は、一切ほかの車の来るのをとめて、そして危険のないようにして誘導してやっておるということを申しておりますが、まあできれば、通さないことに限ると思うのですがね。危険なところで起こった場合、これは普通の地上と違いまして大へんな被害が起こることですから、また、あれだけの国費を使って九州―本土とのほんとうののど元になっていますから、研究いたしたいと思います。
  309. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最後に、お目にかかったこの際に大臣に聞いておきたいのですが、それは、あなたがタクシーの個人営業を何されて、そしてテストをされる人が、入学試験をされるような風景を描く。許可をされるときには、入学試験の発表をされるように眼を輝かしております写真を見ますけれども、許可をされるときには卒業証書をもらうようなことで、非常にほほえましい風景だと思うのですが、これについて、昨日も百七十三台を許可されたが、今後これは推進していくつもりかどうかということと、これ以上あなたに伺いたい点は、最近、公務員が、信念とそれから誇りというものをやや喪失して、政治家にあまりに必要以上に迎合する傾向があることを、私は国民の公僕として、あるべき公務員の姿でないと、心配しているところがあるのですが、その具体的な問題があなたにあるので聞いておきたいのですが、このタクシーの問題云々について、どうも自動車局長は言うこと聞かぬから、あれを馘首をするというようなことを言われたと新聞に出ておって、そうすると他の新聞では、それは行政というものは、そうはいかないのだ、これは政党の大臣で行政を知らぬから、ああいう暴論を言っているのだという反論が他の新聞に出る。そういう論を、元運輸大臣で支持している人もあるというふうに伝えられるのですね。  なぜ、こういうことを聞くかというと、大体最近、ことに失礼だけれども、与党の諸君は、行政府に圧力を加え過ぎる。いずれ私、問題にしようと思うのだが、先般、川島幹事長が各省庁の次官を集めて注意をしたというようなことで、これは三権分立の立場から、ゆゆしきことだと思う。これは川島幹事長であろうが、野党のささやかな矢嶋議員であろうが、行政府の公務員に対しては対等のはずです。それを集って、しかられる次官も次官。私はそこで、誇りもなく信念もない、へっぴり腰になっているということを私は言っているわけなんですがね。一体なんですか、まあこれは、一事が万事になりますので、運輸大臣にお目にかかった際に聞くのですが、あの真相はどうなんですか。やっぱり国友さんが言うこと聞かぬから、自分が思うようにぱっぱといかぬから、一つ何とかして、あなたの威令を徹しようというお考えなんですか。そうだったら、やっぱりさっきと同じように、これは今の合理主義、科学主義の政治家においては、ちょっと問題点があると思いますので、お目にかかった機会に、真相のほどを承っておきたいと思います。
  310. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 今の個人タクシーの問題は、昨日発表になりましたのは第一次の発表でありまして、あれに漏れた人、その後に、まだ六千三百名おりますから、これを審査いたしまして、逐次二次、三次と発表していきたいと、こういうふうに思うのであります。  それから今第二番目の、国友君を首を切るということで、おどかしたというふうなお話でありますが、そういうことはありません。  ただ私が、自動車行政というものは、非常なこれはスピードを期待しておるもので、まあ東海道の問題、あるいは個人タクシーの問題、その他一般の二千八百台の増車問題等につきましても、実際は、非常な人員が不足で、非常にこれは手続その他調べるのについても、非常な繁雑でありまして、ほとんどみなグロッキーになるようになってやっておるのでありますが、ただやはり、社会的な要求等もありますし、行政を預かる以上は、やはりこれに、できるだけすみやかにこたえることが妥当であるという点で、督励鞭撻したのでありまして、私は、矢鳩さんと同じく九州人で、ちょっと言葉が荒っぽいものですから、少しは誤解されたかもしれませんが、決してそういうことはありません。私は、大臣としてできるだけ事務を敏速にやらして参りたい。政治力をもって、圧力を加えるということはない。私は、やはり大臣だから、局長に手足のごとく動いてもらうことが、行政の目的を達することと思っておるものですから、今後といえども、悪かったら、どしどししかりとばすつもりでおります。
  311. 相澤重明

    ○相澤重明君 時間がありませんから、一般的なことは終わったのだが、一言だけ。あなたにやっぱりやってもらわなければならぬことだから。  今、年末を控えて、公務員には、この十五日には、法律に基づいて期末手当が支給されるわけです。この期末手当の中身は、本給並びに勤勉手当等が支給されるわけですね。この体系について、内閣自体の問題でありますが、あなたは、勤勉手当というようなものをなくして一本化する考え方は、政府の中でお話がなかったかどうか。  私は、本来、あんまりいろんな名目をつけてやるよりは、そのものずばりいくのが正しいのじゃないか、こう思うのですがね。これは、われわれ国会議員にも関係があるのです。そこで、大臣は、そういうことについて、閣議の中で話があったかどうか、これを一つ。  それから、あなたの直接の部下である運輸省の職員は、これは、あなたを父とも仰ぐだろうし、人情大臣とも仰ぐだろうし、ときによれば、非常にらいらくな、いい大臣だと思うだろう。思うだけでは、これは実際に仕事をしてくれなければだめだ。そこで、おそらく官房長のところには、運輸省の職員組合から、いろいろ陳情が出ておると思うのですが、今、期末手当は一・九ですか、予算は。そうすると、職員は、たしか二カ月だと思うのですが、きわめてささいな差だと思うのですが、これは、どういうことになっておるのか。官房長が大臣と連絡とって、そういうような、ささやかな希望をきいてやったかどうか。これが人情大臣といわれるかどうかの境なんです。  そこで、運輸大臣に承っておきたいと思うのだが、いかがですか。
  312. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 今お話になりました問題につきましては、ちょうど私が、きょう閣議で発言をいたしまして、その問題を出しまして、何とか見てやれということを言ったが、なかなか大蔵大臣反対でした。今、そう簡単に、それを全体にあげますと六十八億くらいになるのですな、地方公務員まで入れますと。そこできょう、人情大臣といわれますが、私が冒頭にそれを発言をして、してやったらどうかと、池田通産大臣も、私の尻にくっついて言っておったけれども、なかなか衆寡敵せずということに今なっておるようなわけです。
  313. 相澤重明

    ○相澤重明君 運輸大臣ね、これは言葉の上で衆寡敵せずということじゃなくして、おそらく他の国務大臣の検討が、やっぱり若干あったと思うのですよ。今時間的に、楢橋運輸大臣のように、積極的に研究をされて、自分の部下のことを考えられた余裕が少なかったと、私は善意にそう解釈しております。  そこで、少なくとも、あなたも池田さんも、きょうの閣議で、そういうお話をされたということを私はほのかに聞いておるわけです。そこで、十五日の支給には、これは全力をあげて、その目標に一つ到達するように、しかも、年末の仕事を、やはり一生懸命やってもらうと、こういうことで、私は大臣に要望しておきたいと思うのですが、それに付随して国鉄の問題を聞いておきたいのですよ。  で、国鉄は、先ほども私が申し上げましたように、年末繁忙期に際して二百万トンから二百三十万トン以上の滞貨が予想されておるわけですね。これは大へんなことだと思うのですよ。今の人員でやるのならば、総裁以下が、よほど一生懸命やっても、かなり国民に、もっと一生懸命やってくれぬかといわれるようなことだろうと思う。これにはやっぱり、労使が、その気にならなければできないわけですね。そこで、監督者の立場の運輸大臣としてこれはやっぱり、大蔵大臣なり、あるいはあなたが、いろいろと中に入って骨を折ってやるのが大事だと思う、少くとも、国鉄は、公務員までぐらいは普通出すだろうと思うのだけれども、団体交渉できめるとなっておっても、資金の配分や、あるいは対大蔵省との折衝については、あたたかいあなたの気持がなければ、できないと私は思うのです。そこで、年末繁忙二百万トン以上のこの大輸送を控えておる国鉄に対して、あなたはそういうふうに、十河総裁からお話があった場合、努力してやる気があるかないか、これは対大蔵省との関係政府間の問題ですから、そこで監督大臣としての、一つあなたの本旨を私はお尋ねをしておきたいと思う。
  314. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 今相澤委員が御指摘になりましたように、私も、先般経済閣僚懇談会において、貨物の滞貨が例年より非常に多いということは、物価上昇に対して大きな影響を与えるので、輸送の隘路ということが一番物価安定と申しますか、経済交流の原則でありますから隘路を打破するということに、政府も全力をあげてもらいたいということを実は発言したのでありまして、今おっしゃいましたような、十河総裁からお話があれば、またその労使のお互いの気持をもって一致してやるということは賛成でありますので、そういう点については、努力することは決してやぶさかではありません。  また共済組合の問題も、労働組合が、私は労働組合に一番関係した大臣で、組合員ともよく会うものだから、他の大臣から警告されておるらしい、しょっ中会うものだから。あの問題についても、私が進んで閣内において、私どもの組合員が、各組合ともに全部一致して立ち上がっておるのだから、各大臣も、こうするのだからやってくれというので、私は、ばか正直だから、そうかと言って、閣議に出しましたら、さっぱり燃えやらず、独走してしまった。帰って、君たち、だめじゃないか、しっかりしろと怒ったが、そういうことでやっておるから、その気持を一つくんでもらって……。もうこれでよかろう。
  315. 北村暢

    ○北村暢君 時間の関係がありますから、簡単に御質問いたしますが、貨物運賃の問題についてお伺いいたします。内容は私は触れません。これはもらずいぶん論議をしておるところでございますから。  まず国鉄の貨物運賃の等級の改正、これを延ばしておるわけでございますが、これの実施について、どんな考え方を持っておるか、また公共政策割引の問題について、国鉄の負担分並びに荷主の負担分に掛けられない分は、農林省、農林当局として政府が、これを見てもらいたいという要望が、国鉄等から出ているのでありますけれども、これらのいきさつが、どのような形になっておるか。  それから国鉄の貨物の取り扱い駅の縮小の問題について、これも実施をいたしますというと、荷主の負担がふえてくる部分相当ある、またもう一つは、通運事業の運賃値上げの問題が、今日申請されておるのでありますけれども、これについての実施に対する大臣の考え方をお伺いいたしたいのですが、以上の三つの点は、いずれもこれは、荷主にとって、特に農林水産物にとって非常に大きな影響があるのであります。等級の改正においては約二十億、貨物の取り扱い駅の縮小についても二十億、通運事業の運賃値上げでは五十億、約百億近いものが、荷主の負担として、特に農林水産物資にかかる、こういう問題が集中的に起こってきておるわけであります。  国鉄の貨物に対する赤字克服の対策として、国鉄がこのような考え方を持つのは当然であろうと思うのでありますけれども、こういう問題が次々に処理せられることにおいて、農林水産関係に及ぼす影響は、きわめて大きいのでありますが、そういうことを配慮して、大臣は、運賃政策が、特に農林水産業に及ぼす影響というものを、どのように考えて、これらの問題に対処せられるか。しかも、これらの問題は、いずれも時期的に迫っている問題でありますから、もう、そうそう案がなくてはならないはずだと思いますが、この点について、一つ御答弁をいただきたい。
  316. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 第一点の問題ですがこれは運賃制度調査会の中間報告はありましたけれども、まだ国鉄から、こちらの方に、何らの報告を受けておりませんので、この問題は、報告を受けた後、検討いたしてみたいと思います。  特別割引の問題ですが、これは農林委員会その他にも問題になりまして八月の三十一日が期限でありましたが、非常に紛糾いたしましたので、十二月三十一日までに解決するということで、話し合いをつけまして、経済審議庁長官が幹事役となりまして、農林大臣、大蔵大臣、通産大臣、私、これでもって、この問題を国鉄の運賃全体から勘案して解決するという覚書を作りまして、これは目下経済審議庁において、事務的にいろいろ折衝いたしておりまして、この問題は、年末までに解決をいたしたいと思うのであります。  御存じのように、国鉄が非常な、この問題について約二十億の特別割引をされている。国鉄自体の、今日の財政からいっても、とうていこれはたえられないというような点等もございますので、これは問題になったのですが、特に農水産等の関係から、非常な、また影響力も、御指摘のようにありますので、その四人の閣僚の間においてこの問題を検討して解決いたしたいと思っておる次第でございます。  貨物駅の縮小の問題は、経営の合理化のために、普通、やっておると思うのですが、その点もまた、地方民の人々等のいろいろな、特に農業協同組合その他について、非常な利害関係等もありますから、地方事情とも、よく勘案して、この問題を処理すべきだということを私は指示しておるような次第であります。  通運の料金の問題は、目下検討中でございます。
  317. 北村暢

    ○北村暢君 通運事業の運賃値上げの問題は、検討中と言われますけれども、これについては、いろいろ意見のあるところでありまして、特に日通が、独占事業として、通運事業の約六割から七割を占める、こういうようなことで、日通が、今日一割以上の配当をやりながら、二十八年以来、料金の改定はないといいますけれども、これは、簡単に承服できない問題である。  しかもこのことは、先ほど来言っておるように、平均の値上げ率は九・八八%、こう言っております。農林物資等においては、相当な率の値上りを示して、農林当局の調べたところによっても、米麦が一九・四%、生鮮魚、冷凍等が二五・九%、塩干魚が二五・八%、肥料が二九・三%、木材類が二〇%から七七%、青果物が二七から六〇%、このような値上げ率になると言われているのであります。こういうような点から考えますと、これを直ちに消費者に転嫁するということは、はなはだ困難でありますから、大部分のものが、荷主が負担しなければならない。しかも、その五十億の増収のうち、約半分以上というものが日通が占めるということになりますと、これは非常に問題のあるところだと、日通が独占企業として今日あるときに、こういう料金の値上げというものがなされるということは非常に問題がある。  それと比較して、中小企業の、小さな運送業者、これはなかなか、五百幾つあるこの業者というものは、私は、やはり非常に苦しいところももちろんあると思う。そういう中において、あまりにも巨大な日通と、あまりにも零細な通運業者、非常に差があるのでありまして、ここら辺は、やはり政策的に何か考えなければならない問題であるとは思います。思いますが、しかし、全体からいえば、これは何としても、この通運料金の値上げというものが、非常に国民の日常生活に影響します、消費物価に非常に影響して参る問題でありますから、これは慎重に対処していただきたい。なかなかこの問題は、政治的な問題でもありまするので、検討中ということでございますが、相当大きな働きかけがありまするので、一つ、運輸当局としても、慎重に取り扱っていただきたい。  このように、御要望を申し上げておきたいと思います。
  318. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 今、この問題は運輸審議会にかかっておって、そこで、いろいろと各般の情勢等によって今検討されておるのでありますが、御存じのように、二十七年から、全然ストップさせておるのは、その間に、国鉄は二度ぐらいなにを上げているというようなことで、私の方にも、日通は、まあさることながら、中小の運送業者が、百五十ぐらいすでに破産するという状態、それから百五十ぐらい非常な窮地に立っておると、切実な陳情等も受けておりますが、今御指摘のような、特に農産物資の問題についての及ぼす影響等も、十分に考慮いたしまして、何らか妥当な、一つのリーズナブルな線を見出して、この問題を善処いたしたいと思っておるような次第であります。  ことに、今御指摘になりました、日通の独占的な立場によっていっておるこれらの問題については、また別途、一つこれを検討してみたいということを考えておる次第であります。
  319. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ほかに御質疑がなければ、運輸省の部、検査報告批難事項第四百二十一号から四百二十五号までの質疑は、一応終了したものとすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  320. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  以上をもって、本日の審議は終了いたしました。次回は十二月七日、月曜、午前十時三十分より、日本輸出入銀行及び日本開発銀行を審議する予定であります。  本日は、これをもって散会いたします。    午後五時二十五分散会