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政府委員(坂村
吉正君) ただいま、非常に詳細な事例をあげての
北村委員の御
質問でございますが、実際は、全くその
通りだと思うのでございます。
そこで、非常に、この
制度につきましても、いろいろ各方面から問題が起こっておりますわけでございまして、表価的に見まして、一番やはり問題になりますのは、農民から文句が出ておりますのは、賦課金の方が掛金よりも多くなっているというような所が多い。それから、自分でせっかく金をかけているのに、その金が、低
災害地においては、いつどこで使われているのかわからない。自分の所へはなかなか共済金がもらえない。
災害がないからもらえないのは
当たりまえでございますけれ
ども、農民というのは、そういうものではないので、どうも金を出すと見返りがないと不満が起こってくるというのが
実態じゃないかと思うのです。そういうようなことで、せっかく金を取られているのに、
災害がないのでもらえない。何年たってももらえないというようなことが
一つあるだろうと思います。
また一面から言いますと、
災害地におきましては、お話のように、
災害が起こりましたのに、金のもらい高が少ない。どうも足しにならぬじゃないかというようなことで不満があると思うのです。
この最後の点は、昨年の法律改正が、どちらかといいますと、個別化をいたしまして、
個人の農民の自由意思を相当生かすような方向で法律改正をやりまして、いろいろ選択の範囲を、何と言いますか、共済金の限度額の選択の範囲を非常に幅を広くしたわけです。そういたしますと、現実に起こりましたのは、非常に低い金しか選択していないというのが、そういう傾向になってきたんじゃないか。というようなことで、結局、
災害が起こりましても、小さな金しかもらえないというような現実になって現われておる。ですから、
災害が起こった場合には、大きな金をもらおうと思えば、大きな金額を選択しておけばいいのでございましょうが、現実には、そういうことが行なわれないで、大体においては低い金しか選択していないというふうなことだろうと思うのですが、そういうふうなことで、いろいろ農民の方からも、実際問題として不満があろうと思う。
しかし、現実に
災害が起こってみますと、やっぱり一番早く金が来ますのは、この
農業保険の金なんでございまして、ほんとうに
災害を受けた所では、この
制度が一番ありがたいというようなことが、現実の声でもあるわけです。
そういうようなことで、非常に複雑でございまして、特に
災害の多いような北海道なんかでは、非常に
農業災害保障
制度を、何と言いますか、ありがたがっておる。どの
制度よりも、これが非常にありがたいというようなことになっておるのでございまして、そういうようなことで、いろいろ
災害が、あるいは、昔は病虫害というものが非常に多かったのでございますが、農薬の発達、それから農作技術の進歩等によって、そういうものが非常に少なくなって、安定して参りました。そういう
関係で、背と、
災害の形が変ってきているわけであります、そういう
意味からしまして、やはりそういう農作物の
実態面からしましても、何かやはり
考えなければいけないのじゃないか。この
制度自体を根本から
考えなければいけないのじゃないかというようなことで、そういう点が、大体根本的に今後の改正をしようとしておる
中心の問題になるだろうというふうに
考えておるわけでございます。
いずれにしましても、現在の実情は、そういうことで、場所によっては、農民の不満がありまして、
農業共済組合は解散したらどうかという空気も起こっております。今まで解散決議をしております所は、三十数組合ございます。それにつきましては、大体低
災害地でございまして、ほとんど何年となく
災害が起こっておらない所でございます。しかし、かりに一例を申し上げますと、新潟あたりは非常に農作物が安定いたしまして、今までは低
災害地だということで、解散の空気というようなものも相当強かったのでございますが、このたびやはり愛知、三重、岐阜というような
災害の
中心地ではございませんけれ
ども、相当あすこでも被害を受けた
地帯がございます。そうなりますと、やはり
農業共済
制度というものが、やはりそこではありがたい。だから、どうもこの
制度をあまり変なふうにいじられても困るというような、やっぱり
考え方が起りつつあるというような状況でございます。
そういうようなことでございますので、根本的に、いろいろ
制度改正をするといいましても、これはすぐ一月や二月でできるという問題ではございませんので、ある
程度、やっぱり時局もかかることと思っておりますので、取りあえずの問題といたしましては、そういうようなところには、よく、とにかく
制度の
趣旨を
一つ徹底させまして、
制度の運用の面につきましても、十分県からも、あるいは
農林省からも指導を加え、そして農民に、ほんとに理解を行っていただいて、そして組合とか連合会とかにおきましても、不仕事項、
不当事項というようなことがありませんように、そういうようなことが起りますと、かえってそれがきっかけになって非常に
制度の本体に対する不満にもなってくるというようなこともございまするので、そういう点がありませんように十分
一つ指導をいたしまして、そうして根本的な改正という時期まで、とにかくその間に
災害が起りました場合の、
災害補償制度というものが、その間でも働いて、そして農民が
救済されますよう、そういうようなつもりで、
一つ極力指導していきたいというふうに
考えておりますわけでございます。