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1959-11-19 第33回国会 参議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十九日(木曜日)    午前十時二十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平島 敏夫君    理事            天埜 良吉君            江藤  智君            村上 春藏君    委員            佐野  廣君            谷口 慶吉君            鳥畠徳次郎君            大倉 精一君            小酒井義男君            中村 順造君            藤田  進君   国務大臣    運 輸 大 臣 楢橋  渡君   政府委員    運輸大臣官房長 細田 吉藏君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸省鉄道監督    局長      山内 公猷君    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (昭和三十五年度運輸省関係主要  施策に関する件)   —————————————
  2. 江藤智

    理事江藤智君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  昭和三十五年度運輸省関係主要施策に関する件を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は、国鉄新線建設建議がされたということを聞いておりますので、その問題について、少しお尋ねしたいと思うのですが、まず最初に、戦後開通をしました新しい国鉄線路というものの収支関係というものが、一体どういうような傾向をたどっておるのか、この点をお尋ねします。
  4. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 戦後、新線建設が行なわれましたのは、昭和二十六年の五月に、鉄道敷設法の改正によりまして、鉄道建設審議会が設置されまして以来、当審議会の議を経て新線というものが行なわれるようになったのであります。それで、審議会が発足してから今日まで四十四線の建設に着手をいたしまして、現在までに十九線の完成を見ておるわけでございます。概略の数字でございますが、一カ年間における赤字の数は約四十億、年々十九線の赤字が出ておる状態でございます。
  5. 小酒井義男

    小酒井義男君 その中で、一線ごとに分けた場合、黒字路線というものはあるのかないのか、その点は、どうなんでございましょう。
  6. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 遺憾ながら、黒字の線はございません。
  7. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから次に、開通をした当時と、それから一年々々赤字は減りつつあるのかどうかですね。
  8. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 御承知のように、鉄道開通いたしますと、どの鉄道でも、十年くらいはなかなか収支がペイしない。その間に、沿線開発あるいは人口の増加というようなことで、赤字が消えていくのが通例でございますが、そういった収入面におきましては、一般経済の伸びに従って収入が上がっておるわけでございますが、一方支出の方の面がやはり大きくなっておりましてそう急激に、経営の改修がなされておるという現状ではございません。
  9. 小酒井義男

    小酒井義男君 着工される順位ですが、これはそれぞれの地域経済的な条件であるとか、工事のむずかしいところがあとに残るとか、いろいろな条件があるのでしょうが、工事の困難なところが後回しになっておるのか、経済的な点、あるいはその地方交通事情などで幾分あとに回してもいいようなものが残っておるのか、そういう点はどうなんです。
  10. 山内公猷

    説明員山内公猷君) どういう線が先になされるかということは、建設審議会でも、常に深く討議されておるところでありますが、一般的に言いまして、地方開発促進経済発展あるいは国民生活の向上というふうな見地、それから鉄道自体における連絡線というようなものを、種々各方面から勘案いたしまして、建設順位がきめられておるわけでございます。  ただその場合に、やはり建設をいたしました後の収支状況というものも、一つ要素でございます。それに伴いまして、今お話のありましたように、非常に建設するのに困難な路線というものは、結局トンネルを長く掘るとか、あるいは橋が多いという経費のかかる路線でございますので、そういった点をいろいろ勘案いたしまして、建設順位がきめられておる実情であります。
  11. 小酒井義男

    小酒井義男君 建設審議会建議をされるまでに、運輸省あるいは国鉄当局との間の、資料や、いろいろの点、あるいは意見の交換とか、交流というような、そういうことは、どういうような方法で進められてくるのか、その経緯一つお聞きしたいのです。
  12. 山内公猷

    説明員山内公猷君) この決定経緯といいますものは、鉄道建設審議会の本会議におきまして、たとえば調査線から建設線に、もう考えるべきでのるということになりますと、小委員会に付託されます。小委員会におきまして、われわれ事務当局の方から、各線別につきまして、詳細なデータを出し、御説明をし、今回の決定に当たりましては、五回にわたりまして、長時間御審議の結果御決定をされたというふうな経緯になっております。
  13. 小酒井義男

    小酒井義男君 建設審議会には、会議録なんかというものは作っておりますか。
  14. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 通例速記をとりまして、やっておるわけでございますが、今回の審議会におきましては、もちろん会議録そのものは、速記をとってつけられたわけでございますが、いろいろ会議速記をつけますと、話が十分にいかないというような点もあられたのだろうと思います。一部は、議長が速記をとめまして、話し合われたというような経緯もございますが、大体において、会議録を作成するのがわれわれの方の事務当局通例になっております。
  15. 小酒井義男

    小酒井義男君 国鉄の副総裁、いらっしゃるのですね。私ども外部といいますか、直接建設線のきまる会議の内容に入っておらん者から見ておりますと、新線建設決定されるという点については、確かに沿線の住民の夢といいますか、鉄道があることを非常に歓迎する。しかしそういう点は、これは否定することができないと思うのですが、それと同時に政治的といいますか、そういう要素が非常に強く入ってきて、そうして新線決定されるという気がするのです、見ておりますと。  その国鉄当局として新線建設がどんどんこういうふうに決定されていくということについて、少しお考えになっておる問題があるのではないかと思うのですが、そういう点は、どうなんですか。
  16. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 新線建設は、相当赤字国鉄会計にもたらすのでございますが、実は国鉄の全線二百二線くらいございますが、そのうちのほとんど大部分、二百線くらいが赤字でございまして、赤字と申しますのは、あながち新線のみに限ったことではございませんので、昔黒字線でありました幹線中の幹線山陰線でありますとか、日豊線でありますとか、あるいは上信越線、それからその他の大きな路線も、現在相当赤字線になっております。ただし新線建設は、何としても今後僻阪地域に多く選定されますものですから、赤字の程度がひどいということは御指摘通りでございますが、しかし、政治的かどうかは御判断でございますが、今、地元民が非常に要望いたすのでございます。  それから、やはり半面考えてみますると、日本国土も非常に狭小でございますし、資源の開発文化交流というような、文化促進といったようなことで、やはり僻阪の地の開発が必要ではないかというふうにも考えます。  ただ国鉄といたしましては、公共企業体でございますから、そういう国家要請に基づいて建設すべしということでございますれば、進んでこれを建設するのが任務だと存じまするが、ただ、その場合の赤字を何とかカバーできるように、政府にお願いいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  17. 小酒井義男

    小酒井義男君 もう一点、まず副総裁お尋ねをいたしますが、現状において今までのような形で新線ができれば、当分は赤字である、そういう状態が続いております段階では、それが、たとえば既設の路線の電化であるとか、その他近代化とかいうものに非常にブレーキをかけるような結果が出ておらないかどうか。そういうことになっておりませんか。    〔理事江藤智君退席、委員長着席
  18. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) それはなかなかむずかしい解釈の問題にもなりますが、実は、国鉄工事予算といたしましては、鉄道新線建設費というものが、一般改良費と区別されておりまして、これも国家全体の投融資のワクの中からでございますからして、同じではないかという、そういう議論も成り立たないわけではございませんが、建設費は、大体、今まで標準がございまして、それだけは、一般改良費と区分して予算を受けますので、大体におきまして、改良工事には、支障がないと、私ども考えております。
  19. 小酒井義男

    小酒井義男君 大臣がおいでいただいたようですから、大臣お尋ねをしますが、実は、委員長も御承知になっておるように、私どもことしの夏、東北地方運輸調査をいたしまして、そのときに、たとえば仙台—石巻の間の線路であるとか、あるいは水戸—郡山の水郡線、あるいは白河から棚倉に出ておる自動車線、こういうところを実は視察をしたのです。  ああいうところに行きますと、非常に現地では努力をして、赤字路線の解消に努めておるのですね。また鉄道自動車の方に変えようというようなことについても、これからも、そういう問題が出てくるのじゃないかということを見てきたわけなんですが、一方で、こういう状態ができてきておるときに、また一方では、赤字新線がどんどん作られていくということでは、せっかくこの現場の従業員の皆さんが努力しておっても、その努力がなかなか実を結ばない。あとからあとから赤字ができてくるというような結果を作っておるのじゃないかという気がするのです。そういう問題について、これから国鉄の将来の展望といいますか、について、やはりこういう循環を繰り返していくということは、私は考えものじゃないかと思うのですが、大臣は、それらの点について、どういう所見をお持ちになっておるか、承わりたい。
  20. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 御指摘になりましたように、私も東北地方、その他、大臣就任以来、ほとんど各地を回って参りまして、視察をして参りましたのですが、御存じのように新線建設という問題は、地方産業開発その他文化交流といいますか、その地方における、どうしても交通機関の強化をしなければならぬという地元の非常な熱烈な要求等がありまして、その点に対しまして、国鉄自身としての企業体として、これを経営する場合に、とうてい、直ちに採算が取れない場合でも、国鉄の持っておりまする一つ公共性と申しますか、国家的要請と申しますか、そういうものにこたえなければならないという一つ立場等もございまして、従って新線建設の問題は、建設審議会においても、いろいろと御審議願って、その答申運輸大臣としても承っておるのでありますが、審議会におきましても、御承知のように、利子補給、つまり赤字線に対する補給の問題というものが、相当に強く建議されまして、私からその問題についても、大蔵当局との間に折衝をする考えでおりまして、そういう点で、今の時代が、アメリカにおきましても、社会をあげて、鉄道斜陽のものだという段階になり、自動車を大きくクローズ・アップいたしましてだんだん自動車に転換しつつあるという時代でありますが、日本地理的条件、また日本人口的、あるいは地方的な経済構造立場等から勘案いたしまして、直ちにアメリカのような考え方を持つことは、まだ時期尚早ではないかとも思いまするが、少なくとも鉄道がよいか、自動車がよいかということは重大な、今日課せられた研究の課題でありまして、こういう点にも、基本的に国鉄のあり方というものを一つ掘り下げて、研究してみたいと思っておるような次第であります。  ことに国鉄が、一体どういう性格を持っておるのか。御存じのように五百億近くの公共割引を、国家的な政策の百要請によって国鉄は余儀なくさせられておって、一方に運賃の商業べースと申しますか、合理的な改定というものは、いろんな諸情勢から意のままにならない。こういうジレンマに陥っておるのでありますから、私も運輸大臣に就任した後に、国鉄の本質的な問題に取り組まなければだめだ。ちょうど先般、御承知のように、農産物物資の輸送の定額割引の問題が八月三十一日で期限が切れまして、国会との間に非常に問題が起りましたので、これを閣議に持ち出しまして、同時に、経済企画庁長官及び農林大臣大蔵大臣、私と懇談会を開きまして、年末までにはこの問題を、国鉄運賃全体の問題を検討して、それから結論的にこの問題を解決するということにもっていっておるのでありまして、初めて今の内閣で、国鉄全体の性格に相談に乗る段階に追い込んだといっては語弊がありますが、そういう線にまでもっていっておるのでありまして、私は、どうしても一運輸大臣という問題よりも、関連しておりまするすべての閣僚、もっと言いかえれば、内閣それ自身国鉄、それをどうするかということを、はっきりきめさせる必要があるということを痛切に感じておりますので、そういう線にもっていっておるのでありまして、菅野長官が間もなく帰って参りますれば、さっそくその問題について、いろいろ取りきめたいと思っておるのでありまして、事務当局におきまして、なお各省との間に、農産物物資運賃問題を契機といたしまして、そういう問題に対する話し合いを今下準備させているような次第であります。
  21. 小酒井義男

    小酒井義男君 大臣が今おっしゃっておるように、鉄道というものを非常に地元の人としては歓迎をするのです。ところが、今まで私どもの見ている場合でも、鉄道自動車にかえられるというと、非常にこれに反対をするのですね。しかし、実際やってみると、自動車の方が便利でいい、こういう結果が各所で見られておると思うのです。これは国鉄の場合でも、民間の場合でも、そういう例があるのです。  そういう情勢のときに、どうしても鉄道でなければやれないところはこれは別だと思うのです。そうでないところは、やはりそういう点を十分検討をした上で、新線建設をどうするかということを私は決定になるべきで、それを新線建設を、どんどんきめておいて、そうしてあとから、そういう問題について検討をされるというのでは、少し順序が違っているのではないかという私は印象がするのです。
  22. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 御指摘の点につきましては、今回の新線建設審議会におきましても、十分討議されたところでございまして、概括的に申し上げまして、鉄道でなければならないというところは、積雪地帯あるいは大量の貨物を輸送しなければならないというところであろうと思います。いろいろの見地から、この問題は検討しなければならないわけでございますが、しかし、現在全然鉄道の必要はないということも言えないわけでございまして日本産業構造から言いまして、地方で生産されたものは、ことごとくと言ってもいいほど現状都会地に送られ、そこでまた製造され、しこうしてまた地方に送るという経済交流の姿をとっているわけでございましてそれで、貨物相当に出しますというところにおきましては、まだ日本道路状態が、そう進んでおりませんし、また将来も、また日本全国にわたりまして、アメリカにおきまするような道路網というものは、国土関係から、われわれはむずかしいのではないか。この点におきまして、日本鉄道が、アメリカあるいは欧州諸外国におけるような斜陽傾向をたどるというようなことは、ある程度は考えられますが、同じような方向ではいかないのではないかというふうに、われわれ交通政策的に見ておるわけでございます。  そうしますと、今先生の御指摘になりましたのも、また一つ交通の実態であろうと、私もしばしばまあそういった私鉄の線路をやめるという仕事にも携わっておりまして、おっしゃること、よくわかるわけでございます。それで、旅客というものを中心といたしまして、しかも、そう一ぺんに、都会地と違いまして大量の旅客を取り扱わないという所におきましては、現在の状況では道路運送の方がいいのではないかという見地から、いろいろ今回の線につきまして、われわれ事務当局検討いたしましたし、審議会委員の諸先生方にも御審議を願ったわけでございます。  たとえば、今回の審議をいたしました宮守線、井原線というようなものにつきましては、さらに自動車運送というものを、掘り下げてもう一ぺん審議会決定をしようというふうな御決定を得ておるわけでございまして、十分その点も、将来予定線から建設線にあれするという場合には、検討いたしましてやりたいと思いますし、さらにわれわれといたしましては、この鉄道自動車という問題について本格的に取り組みまして検討して参りたいと、まあ、かように考えておる次第でございます。
  23. 小酒井義男

    小酒井義男君 大臣お話で、まあ国鉄が非常に赤字で困れば、別に国の方から、いろいろ建設予算を出したり、あるいは利子補給をするということもお考えだ、こういうことなんですが、結局、まあ国鉄との関係は、それで解決がつくにしましても、やはり結果的には、国民全体にその経済的な影響はくるわけでございますね、国が……。で、その国民に与える影響と、その路線建設開通をしたことによって国民に与えるこの利点と、これはどちらが大きいかということが、結局は私は問題になると思います。  そういう点で、最近でも、これは昔はよく言われたんですが、最近でも、できる新線は、ほんとうのその線名が呼ばれないで、国会議員の名前が頭について、何々線というようなのがあるんですよ。で、私は、偶然昨晩ラジオ座談会を聞いておりましたら、出ておる人が——その座議会に出ておる国会議員の選挙区が、どうも、今度新線のできる所らしいです。相手側から、何々線というのが今度できるんですな、と言ったら、まあそういうことでしょうか、と言って答弁をしておりましたが、こういうことはやはり私は、全体の国民経済の上から、もう少し真剣に考えないと、少しこの傾向に陥り過ぎて政治というものの指導性というものが欠けておるんじゃないかと、そういう傾向が、私は非常に強いと思うんですが、そういう点は、大臣お気づきになっておりませんか。建設につきましては、まあ地元の方は、やはり地元発展その他のことに一生懸命になられており、それがまた地元の出ておる国会議員に反映し、国会議員は、また町村長その他を動員して新線運動をやるというので、非常な猛烈な運動が行なわれておって、一体全体的にものを考えて、国会議員国家的な見地から、今小酒井さんもおっしゃいますように、大所高所から、そういう問題を取り上ぐべきがまあ妥当だと思うんですが、しかしそれかといって、そういうことがあるからといって、運輸省あるいは鉄道建設審議会が、そういう観点だけでものをとらうべきではないと思うので、やはり高所から、一体その線を敷くことによって、現状赤字でも、将来どういうふうに発展して人口もふえ、産業も興り、物資交流も行なわれるかということを相当に見きわめて、永遠の策としてそういう線を敷くべきだと思うのでありまして、率直に画して、やや幾らか政治的な点に重点が置かれるようなきらいがなきにしもあらずということも、実は感ずるのでございまするけれども、こういうことは、やはり是正して、国家全体の利益の立場から、やはり裁断すべき問題であると思うのであります。  まあそのために、鉄道建設審議会等においても、公正妥当に、しかも慎重な立場をもって、建設線等については取り扱うということでやっておられ、国鉄立場等も、いろいろと勘案されて、勧告等もいたしておるような次第でありまして、そういう趣旨に沿うた線でいくべきが正しいと思うのでありまして、私も、そういうことに心がけて推進したいと思っております。
  24. 小酒井義男

    小酒井義男君 まあ運輸行政というと、この鉄道の場合でもですが、自動車行政の面でも、非常に私は、議員が少し深く立ち入り過ぎるという危険が、従来から非常にあるということを感じておるのです。  たとえば、一つのここの新線をやろうとすれば、そこだけではおさまらん。そこをやれば、だれはいいが、こちらのものがそれじゃ困るから、こちらの線もやるというようなですね、あるいはこれは自動車の許認可の賛成、反対の場合にも、そういう場合が起きておるのです。  で、そういう行政を過度に政治的な圧力で曲げさせていく、こういうことが一番露骨に出ておるのが、私は現在の運輸行政じゃないかと——━ほかは知りませんから——運輸行政の面では、そういう傾向が非常に強い。  そういうふうに私は見ておるのですが、そういう点は、大臣お気づきになっておりますか。
  25. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) まあ気づくどころじゃなくて、私も悩まされておるところでありまして、もう、一つ路線につきましても、やはり代議士が二派に分かれてなかなかせり合って、いろいろめんどうなことが非常に多いのですが、しかしそういう場合も、私の方針としましては、事務当局がやはり厳正公平に正しいと決したことは、また私が、それを見て正しいと思ったことは、よしんばどういう政治勢力反対の方にあろうとも、これを責任を持って裁断するという主義を私実はとっておるので、そういう線でやっておりますから、多少今まで停滞しておった問題を、やはり逐次、今解決するという方針でやっておりまして、そのために、まあ二、三、例を申しちゃ何ですけれども、私も恨まれて、相当いわゆる反対の、却下された方の代議士から、ずいぶん攻撃されるのですけれども、正しい線に沿うて、四分六分で、六分の方が道理があって、四分の方がやはり劣る、しかし四分の方には、大きな政界の注文がついておる、そういう場合には、やはり六分の方に軍配をあげて、これを貫くということをやることが、つまりそれだけ運輸行政の面において、交通その他について寄与するという考え方をもって実は進んでおるのであります。
  26. 大倉精一

    大倉精一君 関連してお尋ねするのですけれども、この新線建設の問題については、最近各新聞とも、何か、こうごうごうたる疑惑の渦巻きを国民の中に巻き起こしておるのですけれども、これは理屈いかんにかかわらず、国有鉄道という性格から言って、非常に重大問題だと私は思う。  そこで、今運輸大臣の御答弁によりますというと、なるほど新しく鉄道を敷く場合には、現在は赤字であっても、将来の経済性の見通しなり、その他のことを勘案して決定すべきである——全くその通りであると私は思う。同時に、多少政治性をお認めになっておる。  そこで、その御答弁のうちに、正しいものは断固としてやると、こうおっしゃったのですけれども大臣は、この鉄道建設審議会答申というものは、そのままウのみにしなくちゃならんということはないと私は思うのですが、その点は、いかがでございましょうか。
  27. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 御存じのように、鉄道建設審議会というものに委嘱をいたしまして、これの慎重な審議を願って答申を得ていますので、その答申は、まあ慣例上尊重するということになっておりまするけれども、しかし運輸大臣の持っておりまする一つ立場から申しますと、それは一切を拘束してしまうという意味ではないと思うけれども慣例上、これを尊重するという建前になっております。
  28. 大倉精一

    大倉精一君 この慣例が、非常に今まで弊害を及ぼしたということを、小酒井委員も主張し、強調されておるのですけれども、私はこの際、こういう疑惑がある問題を、国民の間に投げかけておりますから、今度の新線建設十一線の答申各線については、すべからく今の御所信に従って、各線ごとに現在の状態、将来におけるところの経済性の見通し、その他の条件について御検討をなすって、そうしてその資料を公開して、こうこういうわけであるから、これとこれとはOKと言った、さらにこれとこれとを着工するのだ、こういう工合国民に明らかにする必要があると思いますけれども、そういう工合に、細部にわたって具体的に検討される御意思がありますか。
  29. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 今回の鉄道建設審議会の御決議は、実は相当詳細に各線別につきまして建議の内容を盛り込んでいただいております。しかもまた従来と違いまして、この着工の時期及び方法というものにつきましては、相当程度、何といいますか、自主的に国鉄においてきめるという点もまかせられておるわけでありまして、それらにつきましては、十分御審議を願った次第でございます。  また今回の調査線に漏れました線につきましても、十分な検討、どういう理由で漏れたかというものも、建議の中に明らかにしてあるわけでございます。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 関連しておる問題でありますから、今の問題、大臣からも、お伺いしたいのでありますけれども、そういう各線ごとの内容について、大臣は御承知であったかどうか、あるいはそうでなければ、あるいはまた御承知であっても、その正しいというお考えを持たれたかどうか。つまり内容を知るということと、それが正しいと思うこととは別だと思うのですね。従ってそういう観点に立って運輸大臣として、特に今度の答申線については、国民の間に非常な疑惑の目が向けられておりますので、各線ごとに、そういう問題について検討され、それを公表され、この委員会にも、資料としてお出し願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  31. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 審議会答申の内容につきましては、鉄監局長その他から詳細な報告を受けておりまして、その報告を見ますると、そう、それが世間で言う疑惑を持つというようなことは、私は感じておられないのでありまして、しかし今おっしゃいましたように、少なくとも世間でいろいろと政治的な、非常な今おっしゃいましたような、ほんとうの経済的にあらゆる観点から、国鉄それ自身の持つ使命を逸脱して、政治的に扱われておるような誤解を受けておる点がありとすれば、そういうことは、やはり国鉄のためにも運輸行政のためにも明白にして、この誤解を解く責任があると思うのでありますから、今大倉さんの御指摘のような点につきましては、できるだけ誤解を解くように努力をいたしたいと思うのであります。
  32. 小酒井義男

    小酒井義男君 二、三点だけお尋ねしますが、今度十一線建設線として建議をされておるのですが、このときに二つの決議があるようです。  一つはこの新線建設については全額政府出資によるか、あるいは利子補給を行なえと、こういうことがあるのですが、この全額出資あるいは利子補給をするということが前提になって、建設が次に実行されていくと、こういうふうになるべきかどうかですね。大臣の方では、どうお考えになっておるのですか。
  33. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) この建議の趣旨は承っておりますが、これが前提条件としてでなければ、工事にも着手しないという性質のものではないと思うのでありまするけれども、少なくとも審議会が、こういう建議を出しておる以上は、この建議の趣旨に従って、できるだけやっぱり努力していくということが必要だろうと、こう思うのであります。
  34. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、建議通りにできればけっこうですが、できない場合には、大臣がいらっしゃる前に、実は事務的なことを、いろいろお尋ねをしたのですが、昭和二十六年以後建設をされて、すでに開通をしておる、営業をしておる路線十九線、これは十九線とも、全部赤字だ、こういう御説明ですね。  そういう中で、一方独立採算ということを強く国鉄に強制しておって、そうして建議されたような、この決議案にあるようなことが、これが実行されないで、また赤字路線だと思います。当分。そういうものがふえておると、こういうことになっていくと、国鉄の経営における重圧というものが非常に強くなっている。それがやはりサービスの面や、あるいは従業員のいろいろな労働環境に影響を、しわ寄せされていくということは私は避けられないと思うのです。  そういう点について、それをどういうふうにしてさばいていくのがいいか、いく方法があるのか。
  35. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) これは、やはり私が最前上げましたように、根本的に国鉄というものを一体どうするのだということに対する政府のはっきりした私は方針を議会等におきましても、やはりよく了解していただいて、たとえば国鉄が諸外国のように、ある国は、欧州でも二、三の国は、全く商業べースの運賃体系で、ほんとうの独立企業体としてやっておる。またある国は、国家が全部、これは国家的な事業として国費で全部めんどうをみる。赤字であろうと何であろうと、国がめんどうを見る。国家が管理して国家がめんどうを見る。こういうはっきりした線が、英米仏等においても、いろいろ出ておるのですが、日本の場合は、どうも昔の鉄道省のような考え方から、これは率直に申し上げまして、議員諸君の頭にもほとんど、国鉄だから、国がやったら、いいじゃないか、かまうものかというような主張でもって押しまくられてくると——みんななんとも言いませんよ、あとで腹がたってたまらないのですけれども、だけれども相当やかましいことを言っても、そういうことをあまり言わないのです。それだけの赤字をあえてすることについてやかましく言うなら、それだけ、じゃ赤字を埋めることに骨を折ってくれるかといいますと、運賃値上げには、全部反対だ、こういうふうに出られるので、率直に申し上げまして、なかなかその点が、国鉄が一番その点からいえば、二律背反と申しますか、非常な窮地に追い込まれておるけれども、こういうことを、だんだん続けておっては、やはり容易ならないことになるから、一つ、もうこの辺で国鉄というものをどうするかということを、政府及び国会をあげて検討すべき段階にきているのじゃないか。  まあ率直に申し上げまして、この新線の問題でも、十九は、今までやったのは、赤字になったのに、なお新線運動というものは猛烈に国会の議会方面からも起こり、いろいろな点でやる。じゃ条件をつけて、今度は、こういうふうに建議するから、建議したのを、大蔵大臣押さえつけて協力願うということになると、それも、実際にできないという状態で、非常にこれは、国会でいろいろ皆さんの御協力を得ておりますけれども、率直に申し上げますと、この問題は、どうしてもやはり根本的に、ほんとうにこれは、国会をあげて解決しなければならぬ問題じゃないか、そうしないと、なかなか運輸大臣——私も、はなはだ無力で、どうも申しわけないのですが、取り組んで一人でやることには、あまりにも問題が大き過ぎるので、私も結局、これは内閣の問題に、ちょうどあの農産物資の逓減の問題がありまして、農林委員会その他でもって猛烈につるし上げられて、上げてはいかぬというので、党の方からも、申し入れ等もあるから、その機会に一つ政府の問題に、これを持ち込もうというので、私は今の経企長官に出てもらいまして、そこで経企長官も結局追い込まれたような形になりまして、扱いに困りましておるような状態でありまして、根本的に、この問題は一つ取り組まなければ、なかなか解決しない問題だと思うのでありまして、一方運輸交通懇談会というものを、私が各委員の人に諮問の会を作りましたのも、実は、そういう問題を広く世間の各界の代表者から、良識ある立場から、一つ政府並びに国会その他にも、やはり理解をしていただくような背景を作ろうということで考えておるような次第でありまして、その点は、おっしゃいますように、私も痛感しておるのでありますから、そういう趣旨で、今努力をしております。
  36. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから今度の国鉄建議の中で、もう一つ特徴があるのは、炭鉱地帯の離職者を鉄道建設に取り入れて、そうしてやろうという構想がありますが、炭鉱が仕事がある当時、いわゆる石炭輸送がある当時に、鉄道路線がなくて、そういう地帯に新しく鉄道を敷く、こういうことが、一方では離職者の失業問題の解決になる、あるいは輸送の方法ができ上ることによって、また石炭の産業がそこで再び復活をしてくる、こういう結果になれば、非常にこれは国の経済の上においても、大きな利益がありますが、あの場合、そういう見通しがつくでしょうか、あの地域は。そういう点についてどうお考えになっておるでしょう。
  37. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) この問題は、実は私の方でも非常に——私、福岡県出身でありますから、炭鉱問題等が非常に深刻な問題で、この問題は超党派的にいろいろと心配をいたしておりますが、まだこの答申が出る前に、十河総裁以下国鉄の幹部と、いろいろの問題で一週間に一回ずつ懇談をやっておりますが、そのときに十河総裁といろいろ話をしたことは、新線建設の問題がやがて起るから、そういう場合には、一つ炭鉱の離職者をそこにある程度吸収してやることがいいじゃないか。これは十河総裁は、その点については、強くそういう考え方を述べられたので、私もその点については、まあ事務当局ではいろいろ問題がありますが、十河さんがやはり高い見地から、そういう考え方を述べられたのは、非常に私は敬意を表したのでありまして、しかし、この前、福岡で油須原線で失対の事業としてやりましたときに、どうもうまくいかなかったので、どうしても、これではいけないから、やはり、緊急失業対策法の第十二条及び第四条を改正しまして、そしてこれに一つ国家が費用を負担するという措置をとってやれば、十分に国鉄側も受け入れられる。そうしないと失対のあれでやったら、また国鉄側も大蔵省も尻切れとんぼになりまして、非常にその点で、あまり成功しなかったものですから、そういうことをかえてやれば、いくのじゃないかということで、私は閣議で発言をいたしまして、労働大臣も、通産大臣も、この問題については、一つ協力してもらいたい。それにはどうしても第十二条、及び第四条を公共事業の方に繰り入れるということをするということに一つ協力してもらいたいということを発言をしておいたのであります。  そこで、この間、ちょうど建設審議会答申を受けましたときに、私予算委員会を抜けて参りましたら、ちょうどこちらからも来られたので、それをすぐ持って参りまして、井手以誠君が、その問題について私に質問をいたしましたので、そのときに各大臣に、この点を協力を願いたい。建設審議会からも、こういう建議を受けているから、岸内閣総理大臣、佐藤大蔵大臣、池田通産大臣、松野労働大臣関係大臣にそれぞれ披露して、ぜひ協力してくれということを予算委員会の席上において発言をしておいたのであります。  これをやりますと、油須原線の方と、北海道に、なお新線のすでに着手しておるものについて吸収し得る道がつくと思いますので、どうしても、この機会に、私は労働大臣がややしぶっている点があると思いますけれども、これは松野君にも、私は閣議でも言ったのですが、運輸大臣が、こんなに心配しておるのに、一体通産大臣や、今の労働大臣は、もう少ししっかりしてくれということをやかましく言っているので、その点は、この間からも井手君が相当突っ込んで、その点を、私は井手君にも、はっきりさせた方がいいというので、その点、はっきりさせておりますが、どうしても、これを変えさして、そういう点に活用さしたらいいのじゃないか、また、なすべきだ、十河総裁も、端的に言いますと、炭鉱の離職者は、国鉄の能率その他から多少の難はあっても、なお高い見地から、そういうことをすれば、国のためになるのだという総裁自身が事務当同の考え方を一歩前進して、広い国家的な見地から言っておるのに、かんじんの政府が、これだけ大きな炭鉱離職者に対しての深刻な問題を抱えているのに、これにこたえないのはいかぬという考え方を持っているので、これを主張して甘きたいと思っております。
  38. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは山内さんにお尋ねした方がいいかもしれぬと思いますが、今度の新建設線が、これが検討せられて、先ほど話があったように、自動車にした方がいい工事に対処する順位がまたきまると思いますが、それの着手になる時期は、大体いつごろになる見通しでございますか。
  39. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 建議の中にも出ているわけでございますが、それは、昭和三十五年度以降ということになっておりまして、三十五年度予算がきまりまして、それから国鉄におきまして、現在建設している線がございます。これは、やはり経済的にやっていかなければならないということを優先に考えていかなければいかぬと思っております。  それから、これらのうちで、一体どれから手をつけるのか、国鉄として最も経済的であるかということを検討いたしまして、気をつけてやらなければなりませんので、初年度の予算は、そうたくさん要らないと思いますが、工事を開始しますと継続しますので、慎重に、予算がきまりましてから決定するという段取りになると思います。
  40. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると、このうちの幾つかは、三十五年度の予算が通ったあと工事に着手するということになるのですか。
  41. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 予算状況を見ませんと、はっきりしたことは言えませんが、大体において、そういうことになっていくのではないかと思っております。
  42. 小酒井義男

    小酒井義男君 この新しい建設の問題は、そのころでなければわからぬ、ということですから、具体的なことはこれ以上御質問しても無理だろうと思いますが、最後に大臣に、私は強く、要望しておきたいのですが、いろいろ御答弁がありましたように、これらの問題には、ただ国鉄経済的な事情だとかという限界でなしに、もっと幅の広い影響が、いろいろな面である重要な問題なんです。鉄道が一ぺん敷ければ、これはもう赤字が出ても、そう簡単にはずしてしまうというわけにもいくものじゃないのですから、こういう点について、十分一つ運輸大臣として、在任中に積極的な方針を確立していただきたいということ、もう一つ鉄道建設審議会というもののあり方が、現在の形でいいのかどうか、そういう点についても、私やはり御検討になる必要があるのじゃないかと思うのです。  これらのことを私は要望を申し上げて、一応質問を終らせていただきます。
  43. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 御趣旨のこと、よく研究しておきます。
  44. 中村順造

    ○中村順造君 小酒井委員の質問に関連をいたしまして、二、三質問いたしたいと思いますが、大臣の話の中で国鉄全体の性格の再検討、こういうお話が述べられたわけなんです。まあ、いろいろ外国の例もひかれたわけですが、国鉄の中で、かつてまあ民営だというような、民営にしたらどうかというような意見も出たことがあると思いますが、まあ国鉄全体の従業員——主として人の関係なんですが、従業員としても、非常にこの問題については、重大な関心を持っていると思うのです。それから従来の国鉄経営のあり方からいたしまして、公共企業体独立採算と言われておりますけれども、まあ国鉄総裁の権限から申しまして、これは誰が見ても、完全な独立採算ではないわけでありまして、大蔵大臣の皆それぞれの、まあ悪く言えば支配下ですか、許可がなければ、従業員の待遇の改善もできない、こういう仕組みになっているわけなのです。まあ国鉄を中心にしていろいろ問題があるわけですが、これは事実としてお互いが今日認めざるを得ないわけです。  そうすると、今の国鉄の経営のあり方というものは、公共企業体であり、独立採算と言われながらも、実際はそういう仕組みになっておらぬ。そこで経営をしてみて、まあ黒字だ、赤字だ、いろいろ議論がされておるわけですが、この実態から見て、やはり民営にしたらどうだというような意見も出たわけなんです。しかし、まあこれは私の考え方なんですが、この際大臣が、全体の性格一つ検討すると言われるなら、あっさり独立採算だとかいうことでなくして、国営にしたらどうかというようなお考え方も、その中にあるか——完全な国営ですね、こういう考え方があるかどうか一つ伺いたいと思います。
  45. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 民営の問題も、ちらほら私も聞いておりますけれども、私は、日本国鉄の歴史的な過程から見ましても、また日本の現在における国鉄の占めておる一つの重要性から言いましても、これを民間に払い下げてやるということは、私は妥当でないと実は考えておるのでありまして、やはり今の制度をもっと合理化して、ネックになっている点等を是正して、同時に国それ自身も、一体国鉄というものが独立企業体としていく体制をとらせるのには、その阻害しておるいろいろな制約等を是正して、ほんとうに十分な能力を発揮し得るような体制を作る。一方に運賃の問題ですけれども、一番大きな生命線は運賃の問題でありまするけれども運賃等につきましても、これはやはり一つの再検討をして、運賃の問題を一体どうするか。御存じのように運賃の問題は、あれは国会の承認を得なければならないというような段階になっているのですが、これらの問題も、国会との間に、どういう調整をして、ほんとうのあそこの財源をリーゾナーブルな、合理的な線を確保するような体制をとるかというようなことも、一方は、今申し上げましたように国鉄の持っておる反国家的といいますか、性格という一つのその線から出ましたものを緩和しながら、どうそこで調和するかというような問題を、基本的に一つ掘り下げて研究し——これはしかし、私がどれだけおるかわかりませんけれども、困難な問題でありまするけれども、微力ですが、そういう線に沿うて一つやってみたい。十河さんも御存じのように、ああいう性格の方ですから、ああいう十河さんみたいな総裁がおるときに、やはりこの問題を片づけるのが、一つの方法じゃないかということを考えておりますので、そういう点を考慮しておるので、今これをもとの、つまり鉄道省みたように、国が全部しょい込んで、全部、まあ役所にしてしまうという考え方は、私は今反対なんです。やはり今のできたあれを、どういうふうにうまく合理化して、しかもいろいろ今、山積しておる問題の一番のポイントを、どういうふうに是正するかということを真剣に研究していかなければならないのじゃないか、こういうふうに思っておるのです。
  46. 中村順造

    ○中村順造君 大臣のそういう考え方はないというお話なんですが、そういたしますと、現行の経営形態と申しますか、矛盾のあるということは、大臣もお認めになっていると思うのです。  そういたしますと、国鉄総裁の権限を含めて、検討される用意があるかどうか、その点を一つ伺いたいと思います。
  47. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) そういうような考え方でありますから、国鉄総裁の権限というものが少なくともそういう目的を達成する上において、どういうふうに権限というものを充足したらいいか、あるいは是正したらいいか、あるいは国家が、一面はいろいろなことを干渉しながら、一面はめんどうをみないというようなことも、これも是正しなければなりませんが、やはり国鉄総裁の権限というものは、これは、経営の最高の責任者でありますから、十分にやはり検討する必要があると思うのです。
  48. 中村順造

    ○中村順造君 その点は、結局国鉄総裁国鉄を経営する最高の責任者として、これも非常に従来も、何年来国会でも指摘されたことなんですが、一つの例を申し上げましても、国鉄の経営に当たる最高の責任者が、その従業員の待遇改善すら、一々大蔵大臣の許可がなければできない、こういうことも指摘されているのです。それらの問題を含めて検討していただければ、それで、その問題だけは済むわけなんです。  もう一つの点は、先ほど小油井委員からもお話がございましたが、新線建設、それから現在の赤字線区の経営の問題なんですが、これは建設審議会の中でも、今度の十一線全部が、これは赤字だという見通しが立てられているということが、面接委員の中から意見として発表されているわけなんです。しかも、その点は非常に政治的な色彩が強いということも、委員自身でお認めになって、これは少数意見だったかもしれませんけれども、きめられているわけなんですが、たとえ新線建設の際に、全額出資にしても、あるいは利子補給にいたしましても、将来経営を国鉄がやるということになりますれば、従来の赤字線区を含めて、さらに将来とも十一線に及ぶところの赤字線区を背負わなければならぬ。こういたしますと、総裁の権限では、いかんともしがたい点が出てくると思う。と申しますのは、そういう部面に対しましては、やはり国家が経営形態の中で、何らか補償しなければならぬのじゃないか。初めから赤字だということを承知の上で作ったということになりますならば、それは経営すれば経営するだけ、物を運べば運ぶだけ赤字になるという性格のものですから、その際には、国家がこれは当然補償しなければならぬ性格のものだ、このように考えるのですが、大臣は、どのようにお考えになっていますか。
  49. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 基本的な一つ考え方から申しますと、こういうことを建設審議会から答申を得まして、私の方に答申を得ましたので、その問題を取り上げて建設に入るのですが、これはやはり赤字線、今赤字線だが、将来経済的な発展によって黒字線になることを期待しつつ、これは作るのですけれども、現実の問題として赤字になる。こういう状態ですから建設審議会等からも、やはり一つの補償の問題、その他の利子補給の問題等が出されておりますし、私も、やはりさいぜん申し上げましたように、根本的に、一体国鉄というものを国家要請によって損することがわかって、これを国鉄に強要するという場合に、国家が黙って知らん顔していることはいかぬじゃないか。従って大蔵省もまじえて基本的に国鉄性格、これは新線建設その他、今国家の政策によって国鉄が犠牲になっている問題について、国は一体、どういう責任をとるか、一体これをどういうふうにしてするかということを、これをさいぜん申し上げましたような農産物資の問題等をめぐってそれを糸口としまして今その問題を内閣で取り上げてさせておるのですけれども、これはなかなか中村さん、素直にいいまして、大蔵省も逃げようとしておるのですから、なるべく巻き込まれたくないという考え方があるものですから、この点は政治的にも相当の御理解を得て、議会等の立場からもやはりその問題を取り上げてもらわないと、なかなか運輸大臣だけでははなはだ無力だと思うのですが……。
  50. 中村順造

    ○中村順造君 それでは最後に大臣にもう一点ですが、運賃の問題ですが、これは大衆の負担になるような運賃は私ども反対しなければならないと思いますが、しかし運賃全体を見た場合に、やはり従来の運賃なり今日の運賃は非常に不合理だ。たとえば品物によっては、先ほど申しましたように、運べば運ぶだけ損になるというふうな運賃体系にあると思うのですが、そういう運賃の問題については大臣はどのようなお考えを持っておられますか。
  51. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 実は運賃の問題は、御指摘になりましたように、国鉄のこれはもう財源の最大なる一つのものでもあり、また赤字の大きな要因をなしておるのであって、はなはだしきは八〇%までさせられるという状態でありますが運賃の問題をぜひ取り上げてこの問題に手を入れなければ、国鉄の問題も解決しない、そう思っておるので、さいぜん申し上げました運輸交通懇談会などでもそういう問題を取り上げて、一つ良識のあるところからこの問題を解決したい。原安三郎氏や石田礼助氏らが出していますもの等もなかなか尊重されないという段階でありまして、また運賃の問題は、御承知のように一つ農産物資のああいう大きな割引という問題でも、これを取り上げて参りますと、超党派的に農林委員会でも何でもつるし上げられるということで、運輸委員会の方は御理解がありますけれども、その他の方ではなかなか簡単に参らない点もありますし、また国鉄それ自身で反省すべき点も多々あるからなんですが、そういう点がありまして、同じ物資を運ぶにしましても北海道から九州まで長距離逓減で、ほとんどただみたいにして運んでおって、当然船でもって運べば早いものを、国鉄は非常に損して運んで、船はあくびして遊んでおる、こういうようなアンバランスなことを調整しなければならないというので、全体の運賃の持つ経済基盤における役割の重要性から、でこぼこを一つ調整しようということを今考えていろいろ努力を傾けておる次第であります。あとの詳しいことは監督局長から。
  52. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 先生の御指摘貨物運賃であろうと思いますので、貨物運賃現状につきまして御説明申し上げたいと思います。  現在国鉄が等級の改正を計画しておるということは御承知通りでございますが、実例を申し上げますと、現在の等級の中で七級というのは大体指数九五ということで、これが原価にとんとんという線でございます。従来の国鉄運賃の立て方は、独占的な輸送をやっておりました時代にできましたのが現在の貨物等級表でございまして、そのために負担力主義をとっております。従って価格の商いものは非常に運賃が高く、価格の安いものは運賃も安いということになっておるわけでございまして、原価と非常に開いております。その結果どうなるかと申しますと、価格の高いもはどんどんトラックに行ってしまうということになりますと、結局価格の高いものを送っていたので価格の安いものも送れた、全体的なバランスがとれていたというのが、価格の高いものがなくなってくれば安いものだけを送るということで、運賃のバランスが狂ってしまう。これをある程度修正していかなければ、結局社会政策的に価格の安いものの運賃を安くするということができなくなるというのが国鉄現状でございます。これにつきましてこの国鉄の等級表が、運輸省関係いたしております、ただいま大臣が触れられました各種の交通機関にもいろいろのアンバランスな影響を来たしておりまして、交通政策の基本は何と申しましても運賃でございまして、統制経済という強い力をもちまして輸送を支配するということが現在では考えられない。そうしますと運賃で輸送の調整というものを行なっていかなければならない現段階におきましては、どうしてもこの国鉄運賃の基本というものを、やはり経済の実情に適したものに改めるということが、交通業全体の調整の上からも必要ではないかということで、現在検討いたしております。その結果、上がるものと下がるものとできますので、その間の過渡期の調整をどうするかという問題もありまして、問題はしかく簡単でないのでありますが、やはり将来交通全体が円満にスムーズに発展していくというためには、困難な問題でも一ぺん深く掘り下げて検討しなければならないという立場で、われわれは今回制度の研究をしているわけでございます。
  53. 中村順造

    ○中村順造君 私、最後に要望したいのですが、運賃は先ほども申し上げましたように大衆負担になるので、学生の割引とかあるいは通勤に対する割引、こういうものをいきなり再検討した結果上げる、こういうことになったのでは、私の言っていることとは反するわけで、私が申し上げているのは、少なくとも今日国鉄運賃体系を見た場合、従来もそうでありましたけれども、大資本に対する一つのサービスというふうな、これは故意か偶然かわかりませんけれども、そういう形のものがたくさんあると思う。今監督局長の説明された中にも、価格の安い物は運賃か安いということは、これは物を運ぶ立場からいいますと、たとえば石とか砂とかというものは、それを運ぶ方は大きな負担になるけれども運賃は安い。木材にしても同じであります。そういうわけで、これは必ずしも大資本に対するサービスになっているかどうかということも問題があろうかと思いますけれども、偶然にしろ故意にしろ、そういうものが私は再検討すれば出てくると思う。だから、こういう面を一つ含めてこの運賃の問題については十分慎重な審議をして、そして再検討していただくということを要望いたしまして、この点に対する私の質問は打ち切ります。
  54. 大倉精一

    大倉精一君 私も関連してお伺いしておきたいのですけれども、どうも新線建設の問題やら、あるいは運賃の問題を聞いておりますというと、やはり先ほど運輸大臣のおっしゃったような根本問題にぶつかってくるような気がするのです。きょうは運賃問題を論じようとは思いませんけれども、今の監督局長のお話によりますと、いわゆる原価主義というような御意向があるようです。しかしながら、これは民間のトラック、そういうものの運賃のきめ方と、それから公共企業体としての運賃のきめ方と、おのずから違うと私は思う。それで今のお話によりますというと、国鉄はいわゆる公共性というものが運賃決定の重要なる要素とならなければならないと思うのですけれども、そこに今の一貫したあなた方の思想の流れの中には、公共企業体というよりも、むしろ営利事業という性格が非常に強くなっている。むしろそれがすべてじゃないかというような気がするのです。新線建設の問題にしましても、黒字赤字というようなことが論ぜられておりまするが、これもやはり国鉄公共性からいいますと、必ずしも黒字赤字ということは第一義的の問題でないような気がするのです。  そこで運輸大臣にこの際根本方針をお伺いしておきたいのですけれども新線建設の場合に、そこに汽車を通すということは、お金がもうかる、黒字になるということから、だから新線を敷くという必要性を認めるのか、あるいはそうじゃなくて、その地方開発しまして、あるいは産業経済文化開発のために鉄道が必要だ、こういう観点から新線建設をやるのか、この点が非常に大きな問題じゃないかと思うのです。日本では昔からお金がもうからぬというと鉄道を敷かないというくせがあるようでありまするが、私は国家の行なう公共企業の事業としては、やはり産業経済文化開発という、そういう必要性から新線建設の当否をおきめになる。こういうことだと思うのですけれども、いわゆる新線建設決定の、優先条件はどっちにあるのか。
  55. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今、大倉委員の申されましたように、私はやはり鉄道を敷くということの大きな要素は、やはり経済開発文化交流、そして、ひいてそれが当初赤字であろうとも、その開発によってまた次第に収益もふえてくる。これは鉄道でたとえば開発すれば自然に開ける。私が運輸大臣になりましてから、運輸行政というのは経済の動脈である。ことに先駆しなければならない。先に鉄道を敷き、先に道路を敷き、しこうしてそこに一つ経済的な構造を組み立てていくということが、近代国家のいくべき最も唯一のやり方であると、こういう考え方を持っておりますので、国鉄の使命といたしましては、国鉄はやはり公共性という立場にウエートを置かなければ、現在の国鉄というものの今の存在しておる基盤というものはくずれると思っておるのでございますが、しかしその中におのずからやはり独立採算をもって独立企業体としての使命をも果たしていくという一つの目標を持っておるものであると、こういうように思うのであります。
  56. 大倉精一

    大倉精一君 中途までは非常によかったのですけれども、最後の、やはり独立採算制、ということがつけ加えられる。これは前から一貫した御答弁なんですけれども、一体、資本主義という経済機構の中において、独立採算制という性格である以上、どうしても営利が優先するということは必然的なものだと思うのです。社会党が天下を取ればそうじゃないのですけれども、(笑声)そうじゃない限りは、最後につけ加えられた言葉が、実は私は最優先すると思うのです。そこに私は国鉄の混迷があると思うのであります。これはここで今論争しても始まらぬと思うのですけれども、私はこの際、先ほど資料を要求しましたけれども新線建設に関するただいまの御答弁を伺いましたが、今後新線建設の十一線の、その開発性なり必要性について、資料をいただきたいと思います。  それから関連いたしまして、新線建設と並んで、最近非常に物議をかもしておる東海道新線の駅の問題があるのですけれども、これは非常にスムーズにいっておると喜んでおったのですけれども、どうもどたんばになってから、妙なものが出てきた。私は東海道新線の必要性については、私個人としては疑問を持っておった。これは何といっても飛行機と競争しようというのだろうと思うのです。果たしてここでこういう新線建設をしなければならぬかということは、問題があるかと思います。しかし、それはきょうここで論じようとは思いませんけれども、今新聞等で大きな疑惑を持っているのは、岐阜の羽島ですか、そこに追加された駅の問題があるのですけれども、一番当初に、この東海道新線建設されるという必要性とその目的ですね。これは大阪——東京間をなるべく駅を少なくして突っ走っていくというのが目的じゃなかったかと思うのです。一番初めに予定された駅はどことどこですか。お知らせ願いたいと思います。
  57. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 現在のやっております新しい東海道幹線の目的といたしましては、ただいま御指摘になりましたような現在の線の輸送力が三十七年には詰まってしまう。その場合の複々線という考え方でスタートをしたわけであります。それでこの目的といたしましては、いろいろ経緯がございますが、やはり広軌の線を作ることが一番いい。それで旧線の輸送をこちらへ移して、旧線の輸送力の余まったところへ貨物輸送を大いに旧線でやっていく。新しい線については、やはり急行旅客が非常にふえている。それを新しい線に吸収していく。この二つを一つにくるめまして、最大に輸送力を出そうというのが目的でございます。もちろん東京——大阪間、途中に名古屋の一駅を予定いたしまして、三時間という早いスピードで走りまして、近代生活にマッチした輸送をやりたいということでございます。  それでいろいろ駅につきまして検討いたしましたが、この間発表されましたのは初めからの考え方でございます。その一駅がはっきりしていなかったということで、いろいろ誤解を来たしておるようでございますが、国鉄といたしましては、初めからあの辺にも一つ駅を作らなければならないという考え方運輸省に申請をして参っております。
  58. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今、鉄監局長はそういう答弁をしておりますから何でございましょうが、素直に言って、これは隠してもしようがないから、(笑声)大体、大野伴睦氏が、岐阜にあれを回してくれということで、非常に大野伴睦氏を初め岐阜県全体の要望がございまして、それまではあれは全部渋っておったのでありますが、強い要望がございましてあれを回しますと、百億かかって十五分おくれる。それは絶対聞けない。大野さんがいかに政治力があろうとも、そういうことは絶対に聞くわけにいかないから承知できない。そこで大野さんも、まあ私から言えば、男らしくこれは岐阜県の方にもあきらめさせる。そうすると問題は、今御指摘になりましたように、三時間で一直線で走るという点からいけば、あれを曲げたら末代まで大きな汚点を残すから、絶対にいけないというので、大野さんは男らしく譲歩した。ただ、ここに一つ問題は、特急のとまるところでなくして、あの線を活用してやる。普通の急行列車のとまる駅でありますから、神祭川県が二つ、静岡県が三つ、愛知県が二つ、滋賀県が一つ、京都が  一つ、そうして岐阜は相当広範な地域を通過するにかかわらず、一つも駅がないというのじゃ、これはやっぱり岐阜県民もなかなかおさまらないし、また出ておる議員諸君の立場考えなければならぬから、わしもだいぶその辺で苦労したものですから、一つの駅をあそこへ、岐阜に作るということは、技術的に、また新幹線の走りまする、一ちょうど汽車のスピードに差しさわりがなければ、やはり国鉄も百五十万の岐阜県民もお客さんですから、その便益をはかろうということで、申請してくれば許さなければならないという考え方を持っておりましたので、私はきのう、おとといでしたか、許したのですが、どうも新聞なんかを見ますと、何か特急の駅をとめるように誤解をしておる。私ども新聞社の人といろいろな話がありましたときにも、あそこを回れば十五分かかる。しからば何とかという駅を岐阜に作れば八分かかる。差引七分おくれるという話があって、それがまるきり余っている線です。余っている線といっては失礼ですが、急行を走らす線だから、やはり地方の人の要求もこれは考慮してやるということが、これが政治じゃないか、こういうことで許したような次第でありまして、その駅がどこになるかということは、私のところでは、まだ岐阜県に一カ所だけ作るという申請をしておりますから、それはよろしいということで認可したような次第であります。
  59. 大倉精一

    大倉精一君 今の御答弁によりますと、運転技術上、あそこには別に必要はないと思うのですね、今の御答弁では。やはり岐阜県民の感情なりあるいは岐阜県選出の国会議員なりというのでおやりになっておるようです。私は別に岐阜にあれを作っちゃいけないということを言っているのではない。ただ、岐阜に作ろうが、愛知に作ろうが、滋賀に作ろうが、ある特定の政治家の功名手柄になってしまう。この人の政治力が偉大だからというようなことのために、駅を作ったり、新線を敷いたりすると、せっかくの国鉄が、せっかくの優秀な計画がどうも全くとんでもないようなものにひん曲げられてしまう。国鉄あたりが、今鉄監局長の話では、前から考えておったというお話ですが、そうでないらしい。  そこで、じゃ、技術的にあそこへとめなければならぬようだったら、旧駅をおきめになるときに、やはり並行してそれはきまっていなければならぬのですね。そこで、非常に僕は心外にたえないのは、天下の朝日新聞に、この岐阜県の知事が手放しでもって、こういう談話を発表している。けしからぬ、これは。こう書いてある。「この決定は全く大野自民党副総裁のお陰だ」、国会は一体何をやっているのかということになる。さらにまた、「路線が鈴鹿回りと岐阜県回りの二通りあるところから、岐阜県誘致の猛運動を始め、大野氏と松野知事の二人だけが動くことを申し合わせた。大衆運動を避けたのは」、三重県に気づかれないためだ。全くこうなると、国鉄なんていうのはどこで一体きまるのだ、われわれがこうやって委員会でま正直に審議しているのはばかばかしくなってくる。こういう点で、私は、誤解を招くといけませんから、岐阜県をとめていいとか悪いとかいうことは、技術的にわかりませんから、わかりませんけれども、こういうようなきめ方なり、こういうようないきさつについて、運輸大臣、先ほどいろいろ御感想を発表されましたが、新線建設に関連して、こういう問題、こういう事態に対して、どういうお考えがあるか。
  60. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) これは大倉さん、率直に申し上げまして、大野伴睦さんは実際いうとかわいそうなんだ。なぜかというと、つまりあそこへ、どうしても岐阜県をあげて岐阜市に持っていきたい、それであそこにあくまでそれを持っていくといってがんばっているのだけれども、それはがんとして聞かないのだ。そんなことをしたら、それこそ政治的に屈したということになるのだから、なぜかといったら、百億もかけて十五分、いわゆる本命であるところの汽車がおくれるというようなばかなことはできないから、できぬということで、そこで大野さんは、その点は政治力というものは敗北したと見なければならぬと思う、逆に。しかし、百五十万の県民が、やはりこれは大倉さんでも自分の選挙区があるからおわかりでしょうが、自分の中へ、選挙区へ入っていって、隣りの県は三つとまっている。こちらは二つと、みなとまって、自分のところだけは、土地を取られて、そして煙だけ、煙は出ないかもしらぬが、飛ばしてしまう。それでは選挙民にもあまりひどいじゃないか。だから実質はみな失ったけれども、……。しかもそれが特急をとめるというのならだめだけれども、そうでない、普通の汽車をとめることになるんだから、百五十万の県民の乗るところを適当に一カ所つけるということは、やはり常識的に言っても……。私は誤解していると思う。特急をとめるというんじゃないのだ。普通の汽車をとめるというのだから、どうか一つ御了承願いたいと思います。
  61. 大倉精一

    大倉精一君 私は全国区でありますので、特定の個所はありませんが、この百五十万の人がというお話がありますけれども、逆にじゃ汽車賃を出して乗っていくところの百万、二百万というお客さんが、あそこで大野伴睦さんのために一ぺんとめられなければならぬということになると、これは大へんなことになる。こういうふうなことはおきめになって撤回されるかどうかわかりませんけれども、こういう疑惑は、これはぜひともあなたの政治力によって押えてもらわなければならない。先ほどあなたは正しいものをやるというお話がございましたけれども、事務官僚に対してもきぜんたる態度をとると同時に、そういうボス政治家に対してもきぜんたる態度をもってやってもらう、こういう態度で一つやっていただきたいと思います。
  62. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 私がやりました限界線は、まあボス政治家といっては失礼ですが、大野伴睦さんにどういう政治力があろうとも、少なくとも百億と十五分間という、そんなばかなことは聞かれない。それは撃退したのだから、その辺のところで、今申し上げたように、あれは普通の急行で、みなとめるわけではないんですよ。これはとまることもあるし、とまらぬこともある。みなとめてしまうわけではないのだから、必要に応じて、乗客その他を見てとめる場合もあるし、とめない場合もある。これはおそらく国鉄が技術的に研究することだろうと思います。従いまして、あそこは今三万八千ということでありますけれども、さいぜんから申し上げましたように、やはりそこに何か汽車がとまるようになれば、そこで発展していけば、けっこうなことでありますし、岐阜の人がそこを利用すればいいと思うのですから、どうかそういう点は、そこがちょっとまあ……。(笑声)
  63. 大倉精一

    大倉精一君 これはあまり追及しても、まあこれ以上の答弁はないと思うのですけれども、私の念願は、岐阜のああいうところにとめたということが、岐阜県にはたくさんの国会議員が選出されているのですけれども、大野伴睦さんがやったのだというと、まるきり神様みたいになってしまう。
  64. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 山本君もやっている。
  65. 大倉精一

    大倉精一君 私は知りません。だれがやったか知りませんけれども、新聞にはそう書いてある。ですから、そういう印象を与えないということ、それからもう一つ、やはりこれから先もあることですから、駅をきめたり、新線をやったりするときに、先ほど答弁があったように、一部特定政治家の圧力によって、貴重な国家のこういう財産なり、国民の税金というものが消費されている。そういうことは厳に慎むように、大臣御就任中にそういう慣例をつけていただきたいと思います。これはぜひとも強く要望しておきます。
  66. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 御趣旨に従いまして、一つ強くやります。どうぞ……。
  67. 平島敏夫

    委員長(平島敏夫君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  68. 平島敏夫

    委員長(平島敏夫君) 速記をつけて。
  69. 中村順造

    ○中村順造君 今の大倉委員の質問で、私、国鉄当局へちょっと二、三聞いてみたいのですが、まあ監督局長も何か技術的に一つだけ保留してあったというようなお答えなんですが、私の考え方からすれば、きのうの衆議院の運輸委員会国鉄総裁答弁からしても、どうも国鉄当局があまり権威がないというふうなことを——幹線を力を入れて作るのだ。しかもそれを広軌にして、三時間でぶっ飛ばすのだというような遠大な計画を立て、しかも今まで私何回もその説明を聞いているわけですが、それはたとえ特急であろうがなかろうが、急行であろうが、そういうような一つだけ保留をしておいて、あとで追加したというようなきめ方が、国民の大きな疑惑を招く原因になっていると私は思うのだ、一つは。いろいろ運輸大臣からの説明がありまして、実際に運輸大臣説明されているようなふうに国民は受け取ってないわけです。というのは、何か国鉄がその圧力に屈して、最後にその羽島駅ですか、作るというような、しかもそれに新しい急行をとめるというような受け取り方をしているが、その原因は、国鉄当局は一体あまりに権威がないということに原因していると思うのですが、この点について副総裁から一つお答え願いたいと思います。
  70. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 新幹線のルートにつきましては、非常に重大な問題でありますから、国鉄があげてこれの研究調査をいたしたのであります。名古屋から西がルートが最後まで残りましてあるいは鈴鹿隧道がいいのか——これが一番短距離でございますので、研究したのでありますが、これが土質が悪く、しかも十三キロの超大隧道を掘らなければならぬということにかんがみまして路線が北のルートを通り、岐阜県の長い距離を通過して、米原付近に抜けるというルートが最適であるということになったのでございます。それで、前々から東海道新幹線の停車駅につきましては各方面、各地元の皆さんから非常に要望が熾烈でありました。岐阜またしかりでございました。で、私どもは、やはり国民国鉄でありますから、地方民の熱誠なる、要望にはいろいろ耳も傾けて、それと同時に国鉄としての輸送機関の使命というものを、まあ調和して参らなくちゃならぬと、かねがねそう思っております。それにつきましては、岐阜が通過地でありまして、現在線と一番離れるのが、この名古屋——米原間が一番現在線と新東海道線のルートが離れるのであります。それで東海道新幹線の使命は、東京——大阪を至短時間で結ぶということも使命でございまするが、一つには、現東海道線の輸送力の行き詰まりを打開して、現在線の旅客貨物の輸送をもっと便利にするというところに一つの大きな使命があるのであります。そういう点から申しますと、現在線から比較的よけい離れて突っ走るというところが、一番まあ新しい東海道線——現在線の輸送力緩和という点が問題になって参ります。それで、東海道新幹線は、旅客ばかりではございませんで、貨物ということも考えておりまするので、そういたしますと、岐阜で今問題になっておりまする、その付近の人口が少ないとか多いとかいうことも論議になっておりますが、その人口の点につきましても、岐阜、大垣を加えますれば非常に大きな乗降客になって参りますが、まあ旅客はさておき、貨物の点なんかも考えますると、岐阜はいろいろ物資相当ございまするので、そういう物の集散というものを考えますれば、この名古屋——米原間に一駅ありましてもいいのではないかというようなことは、まあはっきり突き詰めてはございませんでしたけれど、考えないわけでもなかったということでございまして、全然空から降ってわいて駅を作ったというようなことではございませんで、そういう点は御了承願いたい、こう考えております。
  71. 中村順造

    ○中村順造君 そうしますと、今の副総裁のお答えでは、まあ伝えられておるように、まあ端的に表明しますと、東京——大阪間三時間、この列車には羽島駅というのは関連がないと、いわば貨物の集散駅であるし、東海道線から離れておるから一駅設けたんであって、今率直に伝えられておるように、この新幹線の超スピードだということと、新しく加えられた羽島駅とは関連がないと、こういうふうに受け取っていいんですか。
  72. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 先ほど運輸大臣が言われましたように、この三時間で東京——大阪を結ぶ特急とは関係ございません。
  73. 中村順造

    ○中村順造君 きのうのお話では、今鉄監局長もそういうお話でしたが、何か技術的にそこをどうしてもとめなきゃならぬと、こういう説明がされておるようですが、私は、まあ少なくとも、今のこだま級にしても、あるいは、つばめ、はとにしても、技術的にとめるというふうな説明をされても、私は納得できないんですが、そういう点は全然ないと理解していいんですか。
  74. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 停車駅の選定にはいろいろなことがございますので、いろいろな条件と申しますか、いろいろな角度から考えまして、総合的に判断をするのでございますから、理由は一つではございません。前に私は、まあ旅客貨物の集散という意味から申し上げましたけれど、そのほかにも名古屋から米原までは、比較的区間として長い距離を通過いたしますので、そういう長い線区の中間に駅がございましたら、運転整理の上においても便利であるということも、それはもちろん考えられるのでございます。
  75. 中村順造

    ○中村順造君 その運転整理とか、技術的なことは、私も副総裁程度の知識はあると思うのですが、しかし今の名古屋——米原間の距離は、一体今度の新線はどのくらいになるのですか。
  76. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 大体六十キロと考えております。
  77. 中村順造

    ○中村順造君 そうしますと、まあ運転の技術上の問題は全然ないと私は理解できると思うのですがね。まあきのうの衆議院の運輸委員会のことは新聞で見たので、私内容はよく存じておりませんけれども総裁は技術上の問題だというふうなお答えをされておるし、今の鉄監局長のお話でも、そういう面を考慮して一つ保留がしてあった、こういうふうなお答えのようでしたが、技術的にも羽島駅にとまらなきゃならぬという理由はない。しかも説明の中では、岐阜と離れておるから、貨物の集散地なり、あるいは商業上の関連から、そういうところに駅を設けたのであってこの東京——大阪間の三時間のスピード・アップとは関連がない、こういうことでございますね。
  78. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 私は運転上も便利であると申し上げておるのでございまして、それは、たとえば特急は途中名古屋だけしかとまらぬというような考え方で進んでおります。東京から名古屋まで無停車で走り、名古屋から大阪までまた無停車で走る。それが三時間の超特急と申しますかで、そのほかに、四時間半あるいは五時間の列車があるわけでございます。あるいは貨物になりますと、もう少しおそくなるかもしれません。そういうのが一本のレールの上で同じ方向に走っておりますれば、うしろから来た早い列車が追い越さなければなりませんが、そういう場合にはやはり駅が必要だろうかと、こう考えます。
  79. 中村順造

    ○中村順造君 まあそれは間隔六十キロですからね、それはわかりました。いや、まあそういうことで私は理解しております。
  80. 平島敏夫

    委員長(平島敏夫君) 他に御質疑もなければ、本件についてはこの程度にとどめます。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  81. 平島敏夫

    委員長(平島敏夫君) じゃ速記つけて。  他に御発言もなければ、本日はこれをもって散会いたします。    午後零時九分散会