○
説明員(
山内公猷君)
相澤先生の御
質問に対しまして、
大臣の
お答えを補充いたします。
まず初めに、五カ年計画の遂行が不可能ではないかという御
質問でございますが、仰せごもっともでございまして、実は、三十二年度から始まりました五カ年計画は、御承知のように五千九百八十六億、これだけの総額を五カ年間に工事費として計上いたしておるわけであります。約六千億でございまして、一カ年に割りますと千二百億というものを年間に工事費に使わなければ、五カ年計画は遂行できないという数字になるわけでございますが、実績といたしましては、三十二年、三十三年、三十四年と、国家予算をとった数字でございますが、現在までに三千一億ということでございまして、先ほど
お話にありましたように、五〇%という姿になっております。ただ、五カ年計画の当初に
考えましたことは、国鉄の
施設が非常に老朽化しておる。この危険を何としても取り除かなければならぬということが大きな問題の
一つでございます。この問題につきましては、諸設備の改良、取替という予算の整理項目で見ますと八七%、これは予定よりも相当大きく進捗をいたしております。そのほか、よくいっておりますのは、新線建設は六三%の進捗率を示しておりますし、次に電車化というものも五三%進捗いたしております。そのほか通勤輸送におきましても、五一%という大体
平均の
程度の進捗事を示しておるわけでございますが、一番おくれておりますのは、幹線輸送並びに車両増でございまして、おのおの三〇%の進捗率だけしか示しておりません。
それでは、その原因はどこにあるのかということでございますが、先ほ
どもちょっと
大臣も触れられましたように、人件費が、当初の予想では、三十一年度の人件費を見込んでおりましたが、これは年々昇給あるいは仲裁というような
関係でふえて参りましてその点が相当この進捗に大きく
影響を来たしておるわけでございまして大体国の予算で工事費が一千億をこしましたのは三十四年度ということでございます。三カ年間に大体六百億近い予算の、何と申しますか、計画よりも少ない数字になっております。それで、あと残りました二年間にこれを取り返すといたしますと、よほど馬力をかけなければならないわけでございます。ただ、この幹線輸送の強化三〇%という中には、ただいま
考えております東海道線というものの強化ということが非常に大きな命題として取り上げられておるわけであります。これらにつきましては、別途東海道幹線というものを新しく作る計画をいたしておりますので、その辺は相当この数字的に計算する場合には変わってくるわけでございますが、今私の申し述べました数字の中には、あまり将来のものは入っておらないわけでございます。今後といたしましては、
運輸省として、将来の輸送の伸びに追いつくために、できるだけ予算を確保して、その前進をはかる以外にないと、かように
考えておるわけでございます。
次に、通勤輸送の問題について、もっと今の混雑状態を緩和すべきではないかという
お話でございまして、これまたごもっともでございます。われわれの方としましても都市交通
審議会というものを持ちまして、単に鉄道輸送だけでなくて、陸上交通の総合的な計画を目下立てておるところでございます。特に東京におきまして問題が多いわけでございますが、東京におきましては、まあ長くなりますから省略させていただきまして、
結論を申し上げますと、われわれ交通政策的に
考えますと、どうしても地下鉄を普及する以外に
方法はないという
結論に達しておりまして、地下鉄の普及に努力をいたしております。また巷間、現在の道路状態が非常に混雑をしておる。その原因の
一つに路面電車がある、早急に路面電車をはずすべきだという議論がなされておりますが、この問題につきましては、そう軽々に
結論を下すわけにいかないのでございまして、現在の状態におきまして路面電車を——たとえばこの代替機関といたしましてはバスを使わざるを得ないわけでございますが、今の電車の輸送力をすぐにバスに置きかえるという状態になりますと、われわれの計算いたしましたところでは、現在以上に道路交通というものは混雑をする。特に通勤、通学というラッシュにおける輸送は、現在のバスの輸送力ではとうてい不可能であるという数字的な
結論に達しておりますので、この問題は地下鉄が漸次普及をいたしますのにつれて、路面電車をはずしていくという
方法で進んで参りたいと思っております。
それから国鉄の路線につきましては、現在までにできるだけ都市の通勤輸送に適合いたしますようにそれぞれの輸送機関は増強して参りまして、もうちょっとこれ以上増強するということは非常に困難な状態でありますが、全然余地がないというわけじゃないのでございまして、それは推進するつもりでおります。ただ現在の国鉄の山手線なり中央線なりの、東京だけでは、この通勤問題は解決できない。新しい輸送をここに
考えていかなければならないということで、国鉄も研究いたしておりますし、われわれの方もまた地下鉄あるいは東急、各私鉄というようなところに、地下鉄網の推進をせざるを得ないということを
考えております。釈迦に説法のきらいはございますが、通勤、通学の輸送におきましては、どうしても都心に対して郊外からまっすぐ入ってくる線というものを多数作らなければならないわけでございまして、そういうところに現在われわれといたしましては重点を置いてやっておるわけでございます。
次に、
お話の中に財政の問題と要員の問題に触れておられますが、この国鉄財政につきましては、われわれも常に見ておりまして、一言にして言えば、
大臣も触れられましたが、非常に将来寒心すべき状態にあるということは言えると思います。と申しますことは、国鉄の経費の中で可変費と不変費というものがございます。不変費と申しますと、減価償却費あるいは利子、人件費というように、経費者がいかに努力いたしましても減らない費用、それから経営の努力によっては減り得るというものは可変費でございますが、この国鉄の数年来の予算を見ておりますと、この不変費というものが非常に多くなっております。まず人件費が百億以上も増大をいたしておりますし、利子が非常にふえております。それから減価償却費もまた財産のふえるに伴ってふえておるという状態でございます。にもかかわらず収入というものは、やはり
運賃の
改正もいたしておりませんのでそう大きくふえていない。しかも収入の
内容におきまして、通勤、通学という安い定期の客が非常にふえておる。貨物におきましては、等級の低い木材あるいは砂利というような、送りましてもそう利益にならないものがふえておりまして、財政状態は決して楽観を許さない状態でございます。そのために、われわれの方として、その不変費である一番大きな要素の人件費がふえるということは、国鉄経済に非常に大きな問題でありますので、御承知のように数年来一名の増員もしないで、すべて国鉄が近代化、合理化するということによりまして、浮いた人間を回わしておるわけでございます。全体的に見まして、
運輸省といたしましては、人のふえるということについては、そうふえないで済めばそれでけっこうだというふうな
考えでございますが、ただそれにも限度がございまして、どうしてもふやさなければならないという状態であればふやさなければならぬと思いますが、それはやはり国鉄の当局が十分そういう点を、要員需給の点を
考えてやってくれることを期待しておるわけでございます。
それからまた、青函連絡船につきまして、
船員法の適用がないのではないかという
お話でございますが、これはやはり船でございますので、
船員法の適用はあります。また
船員法を守ってやっておるというふうに
考えておりますので、またそういう問題があれば具体的に御指示いただければ、もし間違ったところがあれば、われわれの方も直すのにやぶさかでございません。
あともう
一つ、東海道新幹線の予算の問題でございますが、これは来年度の予算におきまして、われわれは三百億の要請をいたしております。その内訳といたしましては、自己資金で百億、国の出資が百億、あと百億は外資を仰ごうという
考え方でございますが、このうちの自己資金並びに
政府の出資という問題につきましては、いまだ予算の折衝中でございます。確実にどうこうという話はまだ現在いたす段階になっておりませんが、この点につきましては
大臣も相当決心をしておられまして、強く大蔵当局に要請をする予定でございます。また外資の問題につきましては、先般佐藤大蔵
大臣がいろいろお骨折りを願いまして、相当有望であるという
お話を聞いております。この問題もまだ紆余曲折があると思いますが、ぜひ実現をいたしまして、この東海道新幹線の予定
通りの完成をはかりたいというふうに努力をいたしておるわけでございます。