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佐々木(良)
委員 時間がありませんので、まことに残念でありますが、私はこの問題の結論は
一つ大蔵大臣に強く
注意を喚起しておきたいと思います。今のあなたの言われておるようなことならば心配ないですよ。そういうものではない。片一方におきましてどんどんと
自由化の
方向が進められるということは、それだけ競争が激化しつつあるということでありまして、
世界経済の発展の
方向を
各国が推し進めておるのではない。
各国がますます自国に有利な地位を獲得しようとする
努力が
自由化の
方向になっている。いいですか、
世界経済を発展させようという
方向で
各国がやっているのでないことは、あなたよく知っておられるでしょう。自国が有利な
立場に立つために
世界経済の
自由化の
方向が今出てきつつある。そのことと、また一ぺんに今の理想に到達できない問題があるから、地域におきましては
ブロック化の問題が出てきつつあるわけだ。ヨーロッパの共同体の問題は、今のような形で
自由化の
方向が強くなればなるほど
欧州共同体の
方向は強くなりつつあります。あなたの言われるような格好ならば、なぜラテン・
アメリカの共同市場論が今ごろ出てきたり、あるいはまたイギリスを
中心とする自由
貿易諸国の
ブロック化が、今度の
ガット総会を
中心にして、もっと強化される
方向になったり、出てきたりしますか、その辺に対するあなたの
見方の甘さというものに対しましては、
ほんとうにがっかりさせられたわけであります。通産
大臣、あなたは
自由化の
方向を強くとっておられるわけでありますので、この辺に対処しても大丈夫だろうという見通しに立って、
自由化の
方針を進めておられることだと思いますが、それにつきましても、岸内閣の中でそういう基本的な
世界経済の
見方が論議されず、あるいはそれに対する
日本経済の持って行き方が十分論議されておらないことは、私はまことに残念です。
私は、最後に
大蔵大臣と通産
大臣にこの問題について特別に希望しておきますけれ
ども、今の
自由化と
ブロック化とのこの
二つの
方向に対しまして、一番最初
大蔵大臣が言われましたように、
欧州共同体なら
欧州共同体というものがますます強化されて、それから
日本ははじき出されていく格好になっていくわけでありますから、はじき出されないような
方法を力一ぱい、一番最初あなたの言われた原則論で、このブロックの中へなお
日本商品が入っていくための
措置を講じてもらいたい。これが第一。しかしながらこれと並行的に、今のように
二つも三つもの
世界経済の
ブロック化の
方向が進みつつある。従って去年の暮れあたりからも東南アジアを
中心としての
経済閣僚の
動きがあったでしょう。私は春、この
委員会において
注意を喚起したのもそれなんです。
経済外交の
中心をここに置かれたいと言って、岸総理や藤山外相に
注意を喚起したのも、
ほんとうはそれだったのでありまして、そういうように世界の
自由化の
方向と相矛盾するような形で進みつつあるところの世界
ブロック化の
傾向に対して、
日本経済を
中心として、一番近いところに東南アジアの
経済を持っておるのでありますから、これとの結びつき、あるいは太平洋諸地域という形でもいいと思いますが、それらの連帯的な
経済発展の道を——世界全部ではありません。近隣の一番近い諸国と
経済提携を深めていく
方法をなぜもっと講ぜられないのか。私は
日本外交が、いつでもヨーロッパその他の遠いところだけを相手にしまして、そうして世界列強というような形で背
伸びをしようしようとしておるのと同じことで、
日本経済もまた遠くの方ばかりを見ておりまして、一番近いところの連携強化の
経済方策がとられておらないことを最も強く私は
指摘しておるわけであります。
どうかこの
自由化と
ブロック化との
方向に対しましてもう
一つ認識を深められて、ブロックに対する対策と同時に、
日本経済の周囲の近隣諸国と
経済提携を進められる道を、もっと具体的に考えられることを私は強く
要望しておきたいと思います。具体的に東南アジアの各諸国の
動きがあったでしょう。
日本にも大統領が次々にやって来たり、岸さんも向こうを訪問されたりするその中で、具体的な問題が提示されたことを私は知っている。それらの問題に対しまして
ほんとうの
意味で取り組んでおられないことを私はまことに残念に思うわけであります。
時間がきてしまいましたが、
あと五分か十分だけいただきまして、最後にこの
自由化が進められつつある過程で先ほどちょいちょい出ましたが、具体的な問題を
指摘いたしまして、そうして具体的な御所見を一、二伺って終わりにいたしたいと思います。
この
自由化に伴う諸
準備の過程におきまして、あるいは今進められつつあります
自由化の過程において、私は
ほんとうに、たとえば企業が
国際経済の国際社会に裸になってくるとすれば、当然合理化が進められてくるから、そこから出てくるであろうところの失業、雇用問題、それらについての本質的な検討がほとんどされておらないことを残念に思いますし、同時に中小企業の問題について通産
大臣にお
伺いいたしたいと思いますが、先ほど来
自由化の問題が相当具体的に進められつつあることを説明されまして、せんだっての十日、十一日に発表された内容も私は
承知いたしておりますが、これらから直接問題が出てきておるのは、本質的な
日本の中小企業問題というものが私は新たにクローズ・アップされてこざるを得ないと思います。その中小企業のクローズ・アップしてくる問題は、
一つは大企業との間における賃金格差と同時に生産性の格差、
日本の大企業と中小企業との間における賃金格差と同時に生産性の格差、それは御
承知のような形で
世界経済との関連において同じような賃金格差と生産性の格差という問題が、そのまま
日本の中小企業を襲ってくると思いますけれ
ども、これに対する対策が並行的に進められなければ、私は
自由化の
ほんとうの
意味をなさないと思う。特にそういう
方向が進められないならば、
日本の中小企業はもろに、むしろ
自由化の一番ひどいしわ寄せになろうと思いますけれ
ども、御所見と対策を承りたいと思います。