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1959-12-08 第33回国会 衆議院 法務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月八日(火曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 瀬戸山三男君    理事 鍛冶 良作君 理事 小島 徹三君    理事 田中伊三次君 理事 福井 盛太君    理事 井伊 誠一君       大久保武雄君    大坪 保雄君       世耕 弘一君    馬場 元治君       猪俣 浩三君    神近 市子君       三宅 正一君    中村 高一君       竹谷源太郎君  出席国務大臣         法 務 大 臣 井野 碩哉君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         外務事務官         (アメリカ局         長)      森  治樹君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁警備局         警備第二課長) 中村 正巳君         法務事務官         (入国管理局         長)      勝野 康助君         検     事         (入国管理局次         長)      近藤 忠雄君         公安調査庁次長 関   之君         外務事務官         (アジア局北東         アジア課長)  中川 豊吉君         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 十二月四日  委員柏正男辞任につき、その補欠として野口  忠夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員野口忠夫辞任につき、その補欠として柏  正男君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員岡田春夫君、柏正男君、小林進君及び下平  正一辞任につき、その補欠として久保田豊君、  神近市子君、淺沼稻次郎君及び中村高一君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月七日  長野地方法務局田中出張所の存置及び拡充強化  に関する請願(羽田武嗣郎紹介)(第一二二  〇号)  岐阜地方法務局岩村出張所の統廃合に関する請  願(平野三郎紹介)(第一二二一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  法務行政に関する件  検察行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長 これより会議を開きます。  法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。  質疑通告がありますので、これを許しますが、あらかじめ質疑通告者猪俣委員に申し上げておきますが、ちょうど参議院外務委員会及び地方行政委員会と同時に開かれておりますので、関係法務大臣外務大臣等が直ちにここに出席することができない事情にありますので、その点をお含みの上で御質疑を願います。――猪俣浩三君。
  3. 猪俣浩三

    猪俣委員 昨今新聞に報道せられております朝鮮帰還問題、この今月の十四日に第一船が新潟港から出発する予定になっておりますが、これに対して韓国側人たちが妨害をするという記事が出ております。実は私もずっと前にこの帰還促進団体方々からいろいろの情報を訴えられておるのであります。しかし、そのときは何かこれは北鮮側の一つの宣伝ではなかろうかとも考えられましたので、あえて当法務委員会の問題にもせず日を過ごしたのでありますが、その情報の中には車進という人物が出ておったわけであります。そうしてこの人物が十一月中に新潟へ渡るという情報が入った。しかるにこの車進という人物新潟県の新発田市でつかまってダイナマイトを携帯しておるという記事が出て参りました。そこで前に私のところに来ました情報というものを軽視することができなくなった。その情報の一部分が実現しているのであります。そうなるとこれは容易ならざることであると存じまして、本日の国会の問題になったわけであります。そこでかような帰還反対不穏分子の具体的な実情について、一体どなたがよく御存じなのであるか。事実関係をよく御存じ事務官僚方々から詳細に実は承り、最後に法務大臣並びに警察庁長官等から責任ある言葉をわずかでもいいが聞かしていただいて、そうしてこの不安に陥っております帰還たち安心を与えたい。これは十四日に迫っておりますので、早急を要するわけであります。そこで委員長にお願いいたしますが、今参議院関係があるそうでありますけれども、わずか二、三分の時間でいいと思う。こういう決意を持っているということだけ一言当法務委員会で明らかにしていただいて、それが報道せられますならば、この帰還者たち相当安心をするのじゃなかろうか、さように思われますので、人心安定の意味におきましても、責任者の当委員会の御出席を要請したいと存じます。しかしこれは適当な時間でよろしゅうございます。  そこで、私のところに参ります情報に基きまして、そういう具体的の事実を取り締まり当局御存じであるかどうか。御存じであった際に、いかなるそれに対する取り締まりをやっておられるか、さようなことについて承りたいと思うのですが、第一に在日韓国代表部の中に金永煥という人物存在しておることを御存じであるかどうか、それを一つ承りたい。
  4. 中川豊吉

    中川説明員 金永煥氏は、三等書記官として韓国ミッションおいででございます。
  5. 猪俣浩三

    猪俣委員 三等書記官として韓国代表部におる。それから先ほどの新潟新発田で逮捕いたされました車進という者は、いかなる資格の者でありますか。
  6. 中村正巳

    中村説明員 ただいまお尋ねの車は、もともと韓国で生まれた韓国人でございますが、戦前昭和十八年ごろ日本に帰化いたしまして、日本籍を持っておる者でございます。どういう者かということにつきましては、職業その他現在取り調べ中でございまして、まだわからないというのが実情でございます。
  7. 猪俣浩三

    猪俣委員 まあ捜査の都合上おあかしにならぬのならよろしゅうございますが、まだわからぬということははなはだ不思議なんであります。これは新聞記者と称して日赤本部あたりへほとんど入り浸っておった人物です。そして日赤から出入りを差しとめられた人物警視庁がそれを知らぬなどということはないと思う。この韓国代表部金永煥車進とはいかなる関係であるか、お調べになりましたか。
  8. 中村正巳

    中村説明員 車は現在取り調べを強く進めておりまして、ただいまもお話がありましたように、うわさもしくは未確認情報といたしまして、車の事犯の背後関係につきましては、いろいろと話があるのでございますので、またそれがなくても現在のこういう緊迫した状況下におきましては、特に取り調べを強くやっておるわけでございますが、現在のところ本人は非常に強く黙秘権を行使するといいますか、この背後関係につきましては非常に強くがんばっておるという次第でありまして、その関係につきましては全然わからないのであります。
  9. 猪俣浩三

    猪俣委員 なお、これはどちらでも御存じの方から御説明願いたいのですが、韓国国防軍所属の安斗熙という人物、これは姜斗熙と変名しておるそうでありますが、安斗熙もしくは姜斗熙と称せられる人物日本に来ておるかおらぬか、取り締まり当局御存じであるかどうか。
  10. 中村正巳

    中村説明員 警察といたしましては、そのような人物がこちらに入っておるというふうなことは知っておりません。
  11. 猪俣浩三

    猪俣委員 これを知らぬとすると、これは大変な問題ですよ。しからばいま一人、朝鮮国防軍である韓九という人物が、日本に来ていることを知っておりますか。
  12. 中村正巳

    中村説明員 韓九という人物につきましては、特に今回この問題について入国したというふうには存じていないのでございまして、従来から日本におる朝鮮人の一人として名前は聞いたことがあるように記憶いたします。
  13. 猪俣浩三

    猪俣委員 韓九という人物韓国軍人なのかどうなのか。
  14. 中村正巳

    中村説明員 私ども軍人であるというふうには聞いた記憶はございません。
  15. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、張斗権という人物、それから柳日熙という人物、それから李周浩という人物、こういう人物が、日本内地に入り込んでいるということを御存じであるかどうか。
  16. 中村正巳

    中村説明員 その三名につきましては、全然報告を受けておりませんし、私は知っておりません。
  17. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうしますと、非常に危険な状態だと思うのであります。今私が名前をあげました安斗熙張斗権韓九柳日熙李周浩、いずれも韓国軍人である特務機関であります。これがいずれも日本内地へ入ってきておる。これをどうして警察がわからないかというところに問題があると思う。安斗熙という人物韓国陸軍大尉である。しかもこれは、李承晩とその勢力を争った金九という韓国の有名な政治家を暗殺した人物たとされておる。そこで名前を変えて、姜斗熙として日本に入ってきておる。いずれも今名前をあげたのはテロ団であります。最も危険な分子、この分子に対して警察が何ら関知しないということになると、これははなはだ重大問題である。そこで、どうしてこういう人物日本に入ってきても警察がわからないのか、一体韓国軍人日本へ入る経路についてわれわれは疑いがある。その韓国国防軍特務機関、そういう正規軍人日本へ入ってきまするには、一体どういう入国手続があるでしょう。
  18. 近藤忠雄

    近藤説明員 韓国から日本に入りまするにつきましては、軍人のみならず一般人も同様でございますが、仮入国申請というものをやることになっております。それで韓国代表部を通じ、外務省を通じまして、こちらの方に仮入国申請をして参る。それによりましてわが方におきましては、これが適当であるかどうかを審査いたしまして、その上で入国を決定して入国許可を出す。不許可の場合は、逆の方法通知をするという方法になっております。
  19. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうするならば、韓国軍人といえども正規入国したものならばこれは入管でわかっておるであろうし、政府はわかっておらなければならぬはずだと思いますが、それはどうなりますか。入管だけで、警察とは連絡がないわけですか。
  20. 近藤忠雄

    近藤説明員 特に治安上の関係があるものにつきましては、治安当局の方に連絡をいたしますが、そうでない場合につきましては、連絡をせずに決定する場合もございます。
  21. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、入管にお尋ねいたしますが、警察は知らないというのですが、今私が申しました姜斗熙と変名しておる安斗熙張斗権韓九柳日熙李周浩というような人物は、入管を通じて入ったものであるかどうか。今のあなたの説明だと、少なくとも入管ではわかっておるはずだと思う。こういう者について、これは正式に入国したものであるかどうか、あるいは入管には入国したことになっていないのかどうか、それを御答弁願います。
  22. 近藤忠雄

    近藤説明員 ただいまの人たちにつきましては私は存じておりませんので、一応調査いたしましてお答えを申し上げたいと思います。
  23. 猪俣浩三

    猪俣委員 私どものところに入りました情報によると、韓国国防軍アメリカのパス・ポートか身分証明書か、そういうものを携えて、アメリカ飛行機で、羽田に来ないで立川へおりて日本入管手続をやらない。そういう軍人テロ団が相当入っているということが帰還者人たちに非常な不安を与えております。何か日本で事を起こしても、直ちにそういう飛行機韓国へ帰られるのでは、物騒千万と申さなければならない。さような入管を通ぜざる韓国軍人その他の人間入国一体あるのかないのか。アメリカ軍人については行政協定があるからわかりますが、韓国とはさような協定がないはずであるから、今のあなたの答弁のように必ず入管を通じなければならぬと存ずるのでありますが、一体入管を通ぜずして、アメリカの軍属とか、アメリカの何らかの証明書によって、飛行機立川飛行場出入りしている者があるという情報入管は聞いたことがありませんかどうか。
  24. 近藤忠雄

    近藤説明員 立川ベースからの出入り関係につきましては、アメリカ軍に属しておりましても、韓国人である限りにおきましては、ベースから外に出る場合につきましてはわが方に通知がございまして、わが方の許可を必要といたしておるわけであります。一応そちらの方に入るとするならばわが方に通知があるはずで、事実上わが方もその数字はつかんでおるわけでございます。ただいまの人間がそういう人たちの中にありますかどうかは私は今存じておりませんので、あとで調べて御返事をいたしたいと思います。
  25. 猪俣浩三

    猪俣委員 私が今申しました人物、安斗熙というのが姜斗熙と変名して入っておる。これがテロ団隊長格で、張斗権韓九柳日熙李周浩、いずれも国防軍軍人日本に入ってきておる、こういう情報があるわけです。相当確実な情報なんです。もしこの情報入管にもないとするならば、巷間疑われておるように、やはりアメリカ飛行機に乗ってきて立川におりて、日本政府連絡もせずしてこれが日本に滞在しておることが事実だと思われるので、至急お調べいただいて、法務委員会事務局にでも直ちに御報告願っていただきたいと思うのです。事が差し迫っております。これは警察にも連絡していただきたい。何でも事を起こしてすぐ飛行機で逃げると揚言しておるそうですから、はなはだおそるべき存在だと思う。ことに警察がこれをキャッチしておらないとなると、ますますもって問題だと思います。  そこで、なおお尋ねいたしますが、事が重大でありますから、私の得ました情報でお確かめしたいと思うのですが、十二月四日午後二時半ごろ、京橋の清花園、これは朝鮮料理をやるところですが、この清花園で、さっき申しました韓国代表部の三等書記官である金永煥が、彼自身振り出し小切手八百万円――宛名は韓国銀行でありますが、この小切手をある者に渡した。これは申撤先という人物でありますが、韓国代表部にこういう人間がおりますか。おりましたらどういう地位でありますか。これを御説明願いたい。
  26. 中川豊吉

    中川説明員 ここに名簿を持ってきておりませんが、私の記憶にはございません。調べて御返事申し上げます。
  27. 猪俣浩三

    猪俣委員 これは韓国代表部漁民部長をしておりますから記憶しておらなければならぬはずだと思いますが、人の名前ですから至急これも調べてお知らせ願いたい。漁民部長と聞いておりますが、違っておるかもしれません。しかし韓国代表部職員であることは間違いありません。この人間に、金永煥がただいま申しました八百万円の韓国銀行あて小切手をこの申撤先に渡し、この申撤先が、先ほど申しました十二月四日午後二時半、清花園で先ほどお尋ねいたしました姜斗熙こと安熙熙斗熙及び韓九、この両名に八百万円の金を渡しておる。さような事情をお知りであるかどうか。
  28. 中村正巳

    中村説明員 警察庁としては、まだ警察庁からそういうふうな報告を聞いておりませんので、私としては承知しておりません。この問題につきましては、申すまでもございませんけれども、至急調査してお返事したいと思います。
  29. 猪俣浩三

    猪俣委員 先ほど申しました金永煥韓国代表部職員である、三等書記官であるということを御答弁いただきましたが、新潟県の新発田ダイナマイトを持っているということで逮捕せられた車進金永煥輩下である。なおただいま申しました安斗熙あるいは韓九という国防軍特務機関、この者に金永煥は金を渡しておる。こういう情報は私の方へ入っておるのであります。そこでこれは一体事務当局答弁でいいかどうかわからないのですが、責任者おいでにならない。どうもこういう韓国代表部関係実情について、警視庁では、あるいは警察庁は、事実知らぬのか、調べていないのか。調べて知っておっても、外交問題だと思って発表しないのか、はなはだ疑問でありますが、私のところへ入ったこの情報は、この中にもうずっと前に車進名前が出ておる。非常に確率の高いものじゃないかと思うのですが、それに対しまして、警察当局は知らないということでありまして、非常に危険な状態だと思うのであります。すでにこの金の授受までが行なわれたことは、的確に、場所、時間、小切手の金額、そのあて名の銀行、受け取った人、渡した人まで明らかになっておる。これは至急お調べ願わなければいかぬと思うのです。そこで韓国代表部と称しましても、これは一体どういう国際法上の立場のものであるのかわからぬのですが、一体政府はこれをどうお考えになっておるのですか。韓国代表部というものは何なのですか。外務省の方はどうなんです。韓国代表部というものは、どういう国際的な地位を持っておるのですか。
  30. 中川豊吉

    中川説明員 領事館に与えると同様の待遇を与えるということになっております。
  31. 猪俣浩三

    猪俣委員 領事館と同様の待遇を与える、それは日本政府韓国政府の間にそういう申し合わせでもあるのですか。
  32. 中川豊吉

    中川説明員 申し合わせと申しますか、日本政府からそういう通告を出しております。
  33. 猪俣浩三

    猪俣委員 きょうはそれは主眼でありませんから申しませんけれども、おかしな話なんだ。条約も締結せられておらず、日本代表部というのは京城にいない。しかるに韓国代表部なるものだけが日本におる。しかしそれはきょうの問題ではありませんけれども、この韓国代表部なるものが、それを足場といたしまして、日本治安を撹乱しておるということになると、許すことができないと思う。これは国際法上もあいまいな存在です。領事館待遇考えるというような、はなはだどうも奇怪な存在なんです。日本政府がそういう待遇を与えておるということになるならば、それだけの責任日本政府になければならぬ。そこでこの韓国代表部人たち日本治安を撹乱するような行動をやっておったとするならば、これは一体責任はどうなるのです。日本政府責任あるいは韓国代表部責任というものはどういうことになるのですか。
  34. 中川豊吉

    中川説明員 もし万一、韓国代表部書記官が御指摘のありましたようなことに関係しておるという事実が確認できましたならば、本国に送還の要求なり、その他適宜の手段をとることになります。
  35. 猪俣浩三

    猪俣委員 韓国居留民団なりあるいは韓国代表部なりが、一体何がゆえに人道問題なりとして日本政府があっせんしておりまする北鮮帰還に対して反対するのであろうか。その反対の根拠が私どもにはよくわからない。一体外交関係筋としてはどう理解されておるか。何がゆえに韓国居留民団なり今申しましたような――これはあなた方はそうおっしゃっておるけれども、この本拠は韓国代表部にあって、これは李承晩連絡があるものだと思われる。韓国政府の了解なりあと押しなりで帰還反対行動をやっておると思われる。何がゆえに一体北鮮に帰りたいという朝鮮人をせっかく日本政府北鮮に帰すというのに対して、彼らが反対するのであろうか。その理由を御存じであったら、情報的でもいいですから、私どもにお教え願いたい。
  36. 中川豊吉

    中川説明員 北鮮帰還の問題が人道的なものであるということは、日本政府の基本の方針でございまして、そのことは、現在国際委員会がこの問題に直接関与して実施しているという事実をもっても明らかなのでございますけれども韓国側では在日朝鮮人六十万の方々がことごとく韓国方々であるという考え方に立っておられるわけであります。従いまして、韓国政府と相談もせずに一方的に帰りたいところに帰すということは、これは一種の強制送還であるというお考えに立っていらっしゃるわけであります。
  37. 猪俣浩三

    猪俣委員 韓国代表部におりまする金永煥なる者が中心となりまして、その下に朴熙幹金南栄、朴在浩、朴大根車進曹好善、こういう人物がおる。この朴熙幹という人物国防軍特務機関である。それから金南栄という人物韓国特務機関、朴在浩もやはり国防軍特務機関である。車進新聞記者と称しておる。曹好善というのは韓国治安局工作員で、これはすでに新潟の方へ行っておる。これらは全部金永煥の統率のもとにある。この金永煥代表部の三等書記官である。はなはだ不都合の話だと私は思う。こういう私があげたような名前について、取り締まり当局一体御存じであるかどうか、それをお答え下さい。
  38. 中村正巳

    中村説明員 今お話のありました方々につきまして、私自身としては個々名前について記憶がないのでありますが、韓国政府から若干の人が不成規にこちらの代表部に参っておるということは、私どもとしては時が時でありますので注意いたしておりますし、数名来ておるということもしくは帰ったという程度のことは聞いておるのでございます。ただしこの方々が特に何らかの工作員であるとか、そういうふうな点については私どもは承知しておりません。またこの問題については、私自身はやはり慎重に取り扱わなければならないのではないかという気持でおる次第でございます。車につきましては、背景については何も言っておりませんので、鋭意追及しておりますが、これがその背景においてどこかと結びついているというところは、現在まで出ておりません。ただ車はそういう背景を離れて、私どもとしては、新潟にも前に行ったことがあり、何か怪しい行動がある、あるいは未確認情報でありますが、かなりのことをやるかもわからぬという事前情報がございましたので、同じように鋭意これを追っておって、その結果逮捕に至ったというところが現状でございます。もちろん車だけに限らず、その他未確認情報がいろいろございますので、警視庁初め大阪その他全国の警察では、あぶないと思う者については、これをできるだけ防止するということのために努力いたしておるのが現状でございます。
  39. 猪俣浩三

    猪俣委員 車らが持っておりましたダイナマイト及びそれを入れた箱、これは新聞に写真が出ておるのでありますが、これは日本製のものじゃない、韓国製のものでもないという情報があります。その点についてお調べになったかどうか、なったとすれば、実際どこ製のものであるか、このダイナマイト及びダイナマイトを入れたケース、これを説明願いたい。
  40. 中村正巳

    中村説明員 ダイナマイト及びケース容器等につきましては、現在裏づけ捜査を続行中でございますが、一応形式的なところは、大体新聞でごらんになった通りでございますけれども、その他の点についてはまだ捜査中でございます。
  41. 猪俣浩三

    猪俣委員 なおお尋ねいたしますが、韓国居留民団崔成源、同じく金奉連、同じく金仁洙、こういう人物について警察では注意をしておられるかどうか。居留民団崔成源、これは広島の代表のようです。金奉連は神戸の民団代表のようです。金仁洙というのは東京民団代表のようであります。こういう者について警視庁では特に留意を払っておられるかどうか。
  42. 中村正巳

    中村説明員 この問題も、個々の者について具体的にどうなっておるかということは、残念ながら私として今のところお答えできないのでございます。各地元もしくは東京警視庁で何かやっているのかどうか、その点調査いたしませんと、私としては今お答えできないわけでございます。
  43. 猪俣浩三

    猪俣委員 なおこういう帰還反対朝鮮民団系人たちと、日本右翼団体とが結びついておるやの情報がある。そこで公安調査庁についてお尋ねいたしますが、この韓国居留民団帰還反対するような団体と、日本右翼団体結びつきについて調査がありましたら御説明いただきたい。
  44. 関之

    関説明員 お答えいたします。実は先般豊島公会堂総連側会議をいたしましたところ、そこへ民団側がなぐり込みをかけた。それに若干の右翼が参加いたした事実があったわけであります。そこで何らかの関係があろうか、こう存じまして、今その右翼との関係がどうなっておるかということを調査中でありまして、現在まだここで責任を持って申し上げる段階にまで至っていないのであります。そのように御承知願います。
  45. 猪俣浩三

    猪俣委員 どうも公安調査庁は、左翼系統調査は実に徹底的にやっていらっしゃるが、右翼系統調査は何かあまり熱心にやっておられないじゃないかと思われる。しかし公安調査庁は、左翼のみならず右翼破壊団体についても調査なさらねばならぬことだと思うのですが、左翼調査なさるように、もっと熱心に右翼関係を御調査願いたい。ことに、すでに、某右翼団体のごときは、帰還者の会合に対してなぐり込みをかけるというようなことをやっておる。あなたの方は十分調査ができていなければならぬと思うのです。そういうことに対して、もう帰還はこの十四日に迫っておりますが、まだ調査できませんか。もうすでに何百人かの右翼団体新潟へ行くという情報が入っておる。われわれの耳に入るくらいで、公安調査庁の耳に入らぬ道理はない。どうです、もっと具体的な実情はどうなっておりますか。
  46. 関之

    関説明員 若干の右翼の者が新潟へ行っていることもよく承知しております。それで、その豊島公会堂の事件を契機といたしまして、また今の新潟の事実にも徴しまして、関係の部局を督励して調査を進めているのであります。それで、何がしかの関係がどうもあろうかと思うのでありますが、具体的に、さて、どういうことになっているかという点については、どうもまだここで私が責任を持ってお答え申し上げる調査の資料を、今日ここへ参る時刻までに正確な報告を下部から持ってこなかったのであります。その点御了承いただきたいと思います。
  47. 猪俣浩三

    猪俣委員 警察取り締まり関係はどうですか。右翼団体民団関係といいますか、帰還反対右翼団体一体どういう団体があって、どういうふうな取り締まりをなさっておるか。
  48. 中村正巳

    中村説明員 ただいま公安調査庁の次長さんからもお話がありました程度でございまして、若干の右翼団体もしくは団体の一部がこの帰還問題についてタッチをしたいという気持でおりますし、現に先月の十六日にもあったわけでありますが、さて、しからば民団との関係が事前にどうあったか、この問題については現在のところ全然わからないのでございます。鋭意捜査中であります。
  49. 猪俣浩三

    猪俣委員 今まで私どもに入った情報によりますと、今申しました民団関係、それから韓国代表部、それと連絡をとるところの国防軍特務機関、こういうものが何らか不穏な計画を立てている、そうしてその計画はおよそ三つある、こういう情報が入っております。これに対して警察でもそれを確かめておられるのかどうか。新潟日赤センターを爆破するという計画がある。これは未然に発覚しました。前から私は聞いておった、うそだろう、宣伝だろうとばかり思い込んでおったが、それが出てきた。第二は輸送の汽車を爆破する。第一は、前に私どもに入った情報がうそでなかったということが、もうすでに車進の逮捕によって明らかになっておる。第二は列車の爆破。それがいずれも失敗に終わったときにはテロ団の活動、その目標は、朝鮮総連の幹部と今回輸送船団の引き取りの指揮をしてきた北朝鮮側の責任者、これに対してテロを行なう、こういう報情が入っております。とにもかくにも帰還を何らかの形において妨害して、帰還業務を阻害しようというたくらみがあると聞いておって、帰還者及び北朝鮮関係人たちは非常に不安にかられておるのです。こういう実情に対して、警察はどれだけの認識を持っておられるのか、そんなことはあり得ないとお考えになっておるか、あり得るとお考えになっておるのか。私は、最初宣伝だとばかり思っておりましたから、質問の当初申し上げましたように、相当前に聞いておったことでもそのまま放任しておいたのでありますが、この日赤センターの爆破、これがほんとうであったことは明らかになっている。そうすると、第二、第三の目的も、これは単なる韓国側の宣伝的なものじゃないという考えになってきた。これに対して取り締まり当局はどういうお考えを持っておりますか。
  50. 中村正巳

    中村説明員 車の事件に関連いたしまして、お話のありましたような、その他の、現在情報にあるようなことについて、起こるかどうかという問題は、これは仮定の問題でもございまして、なかなかお答えがむずかしいと思いまするが、私どもも、お話のありましたように、もう本年の夏ごろからいろいろ激しい情報が耳に入って参りまするので、初めのうちは、お話の通りに、どこかの単なる情報といいますか、作られた情報にすぎないというふうに考えておったのであります。ところが、だんだん切迫して参りますると、私どもかなり慎重に取り扱わなければならないという心境に現在なっております。従いまして、必ずしもその他の情報にありますような事案が起こらないというふうには毛頭考えておりません。あるいは起こるであろう、また警察としましては、そういういわゆる最悪の事態といいますか、ある程度悪い方のことも考えて計画をしていかなければならない、準備もしなければならないという立場に元来おりまする関係上、一応慎重に情報を分析し、またできるだけの手を尽くして、未然防止もしくは無事な帰還についての協力を行ない、またわれわれの仕事を果たしていきたいという覚悟と態度でおるわけでございます。
  51. 猪俣浩三

    猪俣委員 なお、私どもに入りました情報によれば、これらのテロ団なり治安撹乱工作なりの本部を富山県に設置した、新潟は目についてしょうがないので、富山県にした。富山県にある伏木港には、韓国の貿易船が出入りして、それにいわゆる入国官庁を通ぜざる韓国治安当局工作員出入りしているという情報が入っております。さようなことを警察当局御存じであるかどうか、単なる情報であるかどうか、あるいは多少そういうにおいがするかどうか、それについての御意見を承りたい。
  52. 中村正巳

    中村説明員 ただいまの件につきましては、富山県についてもあったと思いますし、新潟県以外の近いところに何かしら工作の拠点といいますか、そういうふうなものを置くのではないかというふうな、これは全くの未確認な情報でございまするが、そういうものを持っておりまするので、未確認ではありまするが、一応調査をいたしておるわけであります。御指摘のありましたような具体的な事案につきましては全然聞いておりません。
  53. 猪俣浩三

    猪俣委員 なお、この帰還者に対して韓国側が妨害をする。ところがそういうことに対して相当日本警察でも実情を知っておるのであるけれども、今韓国に抑留せられておる日本の漁民の帰還問題と向こうがからませておるために、十分なる韓国代表部に対する交渉ができないというふうにも承っておるが、さような実情があるかどうか、それを一つ御説明願いたい。
  54. 中川豊吉

    中川説明員 韓国代表部に対しましては、釜山に抑留されておりますところの漁民の釈放の件につきまして交渉するとともに、北鮮帰還に無用の反対を行なわないようにということは絶えず申し入れて交渉しております。
  55. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこで事務当局に対しまする私の質問は大体終わるわけですが、ここでなお調査をお願いしたいことは、ただいまの質問の中でおわかりだと思いますが、まとめますると、第一に十二月四日午後二時半清花園という朝鮮料理屋において金永煥振り出しの八百万円の韓国銀行あて小切手申撤先なるいわゆる代表部漁民部長と聞いておりまする者の手から、安斗熙韓九という人物に、いずれも韓国の国防部に渡された事実があるかないか。これは確実なる情報です。渡されたとするならば、何のための金であるか、それをお調べいただきたい。しかも今新潟で逮捕された車進というのは、この申撤先なる韓国漁民部長の漁民部の嘱託という形になっておるそうです。そうすると、これは全部韓国代表部の一連の関係がある。いやしくも韓国領事館待遇を与えられておる代表部が、日本治安撹乱の根拠地となるというがごときことは許すべからざることだと思うのです。これを徹底的に追及してもらいたいそれと取引に日本の漁民の帰還問題をからませるというがごときことは実に非人道ぎわまりなしと私は考える。日本政府はもっと強腰でやってもらいたいのですが、大臣も長官もいませんのでおいでになってからなおやるつもりですが、それをお調べいただきたいこと、それからこれは入国管理局の次長近藤さんにお願いでありますが、今私が申しましたような五人の人物、お書き取りいただいたと思いますが、これが一体日本内地にいるということだけは確実です。どういう経路で入ってきたか。入国管理庁の手続きを経てきたかどうか、これも至急お調べいただきたい。容易ならぬことです。これがテロ団なんです。そしてこれに金が渡されておるのです。至急これもお調べいただく。なお東京韓国居留民団と、さっき言いました金仁洙という人物に、東京にありまする各所の右翼団体が結びついておる。相当この連中が新潟へ行って治安撹乱的なことをやるのではないかという疑いもありますので、これも警察ではお調べいただきたいと思うのであります。それから私が今、金永煥なる者の輩下として活動をやっておりますりる人の名前をあげました。こういう人間日本にいるのかいないのか、代表部にいるのかいないのか。もう一ぺん言います。朴熙幹、それから金南栄、それから朴在浩、それから朴大根、その次は車進はわかりました。曹好善、こういう人物金永煥のもとで一連の治安撹乱工作をやっておる。なお情報と工作の相当のおもなる活動をしている人間に韓道奉というのがおる。この人物アメリカの諜報機関とも関係があって、アメリカに長らくいた人物らしい。アメリカ名をテビットという、のです。これがアメリカの諜報機関と韓国の諜報機関を兼ねているのじゃないかと思われる。韓道奉という男です。これも御存じないと思うので、こういうのもお調べいただきたい。そうして災いを未然に防いでいただきたい。これを切にお願いしたいと思うのです。かような不祥事が発生いたしますることは日本の恥であるのみならず、世界人道の上からも許すべからざることであると思いますので、もっと熱を入れて、そうして帰還者たち安心して帰られるように、これが阻害せられますと第二次、第三次の帰還がやはり円滑にいきません。そこをまた彼ら反対者はねらっているのじゃないかと思われる。それからさっきの小切手の問題で、すでに出てきたのですから申し上げません、当然のことでありますが、申撤先という人物、この人物韓国代表部漁民部長という地位にあると私は聞いておるのであるが、さような人物代表部にいるのかいないのか。この人物金永煥から小切手を預かってきて安斗熙韓九という人物小切手を渡したという情報であります。かようなことにつきましていま少しく警察では徹底的にお調べいただいて、それぞれの警戒をしいていただきたい。これを強く要望しておきます。  それでこの問題につきましてはあと大臣か長官が来ましたら、なお帰還者安心できるような断固たる答弁をしていただきまして、私はこの問題についてはこれで終わりたいと存じます。
  56. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  57. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長 速記を始めて。――近市子君。
  58. 神近市子

    神近委員 今御答弁になっていた情報の中で、ちょっとお尋ねしてみたいことが一、二ございます。この韓国代表部日本に設置するということについては、いろいろ外交上の問題がたくさんあったということを私は記憶しております。日本代表部は今まだ韓国には設置されていないのですね。それでこちら側で韓国代表部を設置することを認めたときに、人数の制限があると思うのですけれども、何人ぐらいに制限されているのですつか。
  59. 中川豊吉

    中川説明員 今正確に記憶しておりませんですが、調べてお答え申し上げます。
  60. 神近市子

    神近委員 何だか人数の問題でこちら側が設置するというのと、それから韓国側を受け入れるというので、私の記憶では五十人とか四十七人とかいう線が出ていたと思うのです。それで、あなたがこういうように問題が紛糾してくるときに御存じないというのは遺憾ですけれども、たとえば四十七人あるいは五十人とか五十三人とかという制限をしますね、その場合にこれが増員される場合は、黙って見ているということなんですか、それとも向こうから通告を受けるという様式でも決定されているんですか。それはどうなんでしょう。
  61. 中川豊吉

    中川説明員 勝手に人数がふやせるというわけではございません。一々外務省を通じましてわれわれの承認を得てから、初めて赴任をしてみえるということになっております。ですから勝手にふやすことはできないわけです。それで今人数は忘れましたけれども、適当な約束の人数に押えておるはずでございます。
  62. 神近市子

    神近委員 もし合法的に入ってきていて人数がふえているというときにっは、外務省は抗議がおできになる、そう承っていいですね。  それから今私猪俣委員の御質問を聞いておりまして、この帰還問題は急を要することなんですよ。もう十四日に差し迫っていて、それまでに事が起こらなければいいなということは、だれでも考えているところで、今非常に重大なところに差しかかっている。そういう人が入国して立川におりたということまでわかっていて、しかもこれが密入国でありまして、立川アメリカ軍が、いやそういうことはありません、もう知らぬ、存ぜぬと言われればこれは別だと思うのですけれども、ともかく運んであすこにおりたということ、そしてその人たち入国は密入国と同じような状態にいるということがわかれば、あなたの方でアメリカ軍に対して厳重な抗議がおできになりますか、どうなんです。
  63. 中川豊吉

    中川説明員 近藤次長から御説明がありましたように、事前の通知がなくて、その承認がなくて基地外に出ることはできないわけでありますので、十分日本側でも調査ができるはずなのであります。しかし、そういう手続を経ずに、韓国の特務工作員あるいは軍人というものを入国させた事実があれば、明らかに行政協定違反でございまして、抗議ができるはずでございます。
  64. 神近市子

    神近委員 入管の方に伺いたいのですけれども、今猪俣委員から御質問になったことは、非常に急を要することだということはわかっているはずですけれども、それでは立川におりた人たちが、正式な手続あるいはビザを持ってきているかどうかということは、あとで調査いたしまして御坂答いたしますとおっしゃったのですけれども、私どもが聞きたいのは、今電話をかけてそれが一体わからないことなんでしょうか、どうなんでしょう。
  65. 近藤忠雄

    近藤説明員 調査は簡単にできると思いますけれども、今電話ですぐ御回答申し上げるほど簡単にできるかどうか、残念ながら確認いたしかねる次第であります。
  66. 神近市子

    神近委員 それで、立川にはあなた方の入管の出先はちゃんといらっしゃるのですか。
  67. 近藤忠雄

    近藤説明員 おります。
  68. 神近市子

    神近委員 そういう方は一体どんな任務を持ってそこへいらっしゃるのですか。私も入管にはいろいろなにしますが、庶民階級の人たち、難民のような人たちが入ったときにはあんなにむずかしい追及をなさる、そして高級というか、そういう人たちの手でちょっとやられると手もなくすくんでおしまいになる。そこのところが私たちはとても変な気がするのですけれども一体その立川の出先の人たちは黙って見ている、たとえば韓国の人がおりたあるいは出入りしたときに、それを調査する権限は持たないのですか、それはどういうことですか。
  69. 近藤忠雄

    近藤説明員 一般の人の取り扱いと、特に立川ベースから入ってきますその取り扱いとが異なるということはございません。ただアメリカ軍の中におる人でございますれば行政協定関係もございましょうから、その取り扱いについてはその後の外交的な取り扱いがもし必要な場合には、そういう取り扱いができるということが若干あるということだけでございます。
  70. 猪俣浩三

    猪俣委員 今のお考えだと、たとえばアメリカ軍が軍属だとか嘱託だとか何らかの証明を出すとすると、結局これは行政協定によって、日本入管は全くタッチできないということになるわけですか。私どもはそういう形で入ってきているように聞くのです。それが問題だと思うのです。アメリカ軍の軍属であるのか、一時日本に入ってきたいために韓国アメリカ人たちと話し合いの上で、さような軍属のように仕立てて立川に入って来る、おそらくアメリカ軍人だとか軍属だとかあるいは嘱託だとか、何かアメリカの軍隊の証明を持ってくるのではないかと思われる。そういうものは一切日本入管行政協定をたてにして何らの関与ができないことになっているのか、その実情を今神近委員がお聞きになったのだろうと思うのです。一体どういう実情なんですか。
  71. 近藤忠雄

    近藤説明員 国籍が韓国籍である限りにおきましては、一応普通の取り扱いをするわけでございまして、入管がそれに対して退去の問題が起こる場合について普通の取り扱いと取り扱いを異にすることはございません。
  72. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、国籍が韓国籍であるならば、たとえアメリカの軍部の証明書を持ってきても、普通の民間人の入国と同じように取り扱う、そういうことになりますと、立川基地ヘアメリカの軍用機か何かでおりた人たちは一々やはり日本入管に届け出ることになっておるのですか。届け出ることになっておるとすれば、それは本人自身ですか、あるいは立川飛行場の管理をしている人ですか。どっちなんです。
  73. 近藤忠雄

    近藤説明員 本人からの通知でございます。ただ部隊からの連絡がございますのが建前でございますが、あるいはそういうものがもしおるといたしますれば、そういうのは漏れておることになると思います。
  74. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると本人が日本入管に届出しないとどうなるのです。アメリカ立川飛行場の管理者も別に届出しない。本人はもちろん、それが私が言うようにテロ団であるなら申告はしはしません。そうすると何ら申告する責任者がないということになると、一体どういうことになるのです。
  75. 近藤忠雄

    近藤説明員 一応部隊からも通告する建前となっておりますので、責任者といたしますれば、部隊にも責任があるわけでございます。
  76. 猪俣浩三

    猪俣委員 アメリカの部隊から、立川飛行場へおりた韓国人については通知をするということになっておるわけですが、そうすると、もし私がきょう読み上げたこの人たちがあなた方の名簿に載っておらぬとすれば、それは本人が通告せざるのみならず、アメリカの部隊も通告しないというふうに解釈するより仕方つがないと思うが、どうですか。
  77. 勝野康助

    ○勝野説明員 入管令の建前としまして、行政協定該当者、あるいは一般の入国者につきましては一つの資格を与えることが法律上きまっておりますので、どういう入国の経路になりますか、あるいは密入国で入ったか、そういうことは調査いたしますればわかりますので、そういう根拠のないステータスのもとに滞留する者につきましては、入管令に適当するところの措置をとることが当然できることであります。先ほど御指摘になりました人数に、つきましては至急調査し、その入国の経路及び滞在の資格について調査いたしたいと思います。
  78. 猪俣浩三

    猪俣委員 私がお尋ねしたのは、入管の名簿に載っていればそれでいいのですが、載っておらぬ場合は一体どういうことでなったのかということです。本人が申告しなかったか、アメリカの部隊が連絡しなかったかどっちかということになるわけですが、そういう場合において本人の責任は密入国だからもちろんであるが、アメリカの部隊はどういう責任を負うのです。何ら責任がないとすれば、申告しようがしまいが勝手だということになると、はなはだそこは不完全だと思う。北朝鮮帰還者が非常にこわがるのはそれなんですよ。アメリカ連絡にやってきて何か事を起こして、また立川からぶっと帰ってしまう。そういうおそれが十分ある。それだから相当大胆なことをやるということに対する不安が重大なんです。アメリカ韓国から飛行機に乗せて立川韓国人を案内してきたときに、日本に対して一体いかな錢責任を負うのです。通告しなかった場合にどういう責任を負うのです。またそれに対して日本はどういう要求をアメリカにできるのです。
  79. 勝野康助

    ○勝野説明員 ますわれわれが調査した結果、正当の経路で入ってない場合には、密入国考えられます。同時にアメリカ行政協定により、行政協定該当者として何ら通告する必要のない者以外の者を乗せてきた場合に通告しなかった場合にはそれは行政協定違反になります。しからばその国際法上の責任いかんという問題になると存じますが、その場合アメリカが情を知って日本治安を撹乱するような行為をする者を入れたような場合は、おそらく国際法の問題として解決さるべき問題であろうと思います。
  80. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長 委員長からちょっとお尋ねしますが、立川に限らず、アメリカの空軍基地で、韓国あるいはその他の第三国人を飛行機で連れてきて、そうして今お話しのように手続をしたりしなかったりした過去の事実があるのですか。
  81. 勝野康助

    ○勝野説明員 われわれの知る限りでは、第三国人についてはないと思います。しかし行政協定に該当するかどうかという範囲の問題について議論があったことはございます。つまりこれは日本において駐留するアメリカ軍隊の構成員であるのか、あるいは国連軍のメンバーが日本に来る場合に、それが日本にある軍隊の構成員であると解釈するか、そういうような解釈の問題、成規アメリカ軍人についての解釈の問題は、私が入管局長になりましてからは、そういう問題はあったと思いますが、第三国人は、飛行機に乗せてきて、しかも無通告で入れてしまったという例は承知いたしておりません。
  82. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長 いや、そういう第二国人を連れてきて通告をした例がありますか。
  83. 勝野康助

    ○勝野説明員 今ちょっとはっきり覚えておりませんから、調べさせていただきたいと思います。
  84. 猪俣浩三

    猪俣委員 委員長の質問は大事だと思いますが、至急調べていただきたい。第三国人を乗せてきて入管手続したことがあるかどうか。
  85. 近藤忠雄

    近藤説明員 今数字を持ってきておりましたが忘れておりましたので申し上げますが、立川べースからの出入り関係については、毎月連絡がございます。数字は今統計に上がっております。そういうわけで、出入り関係につきましては一応通知がございます。その数字もございます。ほとんど大部分の人たちは米国に行く通過客が多いのでございますが、そうでない人もあるかもしれません。韓国人も同様でございます。
  86. 猪俣浩三

    猪俣委員 今私お尋ねするのは第三国人で、たとえば韓国人成規羽田に来ないで立川へおりる、そういう者は一体どういう種類の者でしょうか。羽田へおりないで立川へおりるというのは、軍用機で来る人たちだろうと思う。そうすると、アメリカの軍用機に韓国人が乗って立川へおりる、こういう第三国人がおりたという通告日本入管に今までしてあったかどうかということです。そういう実例があるのかないのか。
  87. 近藤忠雄

    近藤説明員 過去における数字も相当あると思います。連絡はみなございます。そういうのが建前になっておりますし、事実上連絡数字もございます。
  88. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、そういうアメリカの軍用飛行機立川へ入ってくる韓国人というものは、それが密入国にならないという根拠はどこにあるのですか。
  89. 近藤忠雄

    近藤説明員 審査の手続をとって上げることになっております。
  90. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、審査の手続が済むまでは立川飛行場内にいるわけですか。
  91. 近藤忠雄

    近藤説明員 もちろんそういうことになると思います。
  92. 猪俣浩三

    猪俣委員 一体過去において韓国人アメリカの軍用飛行機日本立川飛行場におりてそれが監理局に通報せられたというものの実態を、一つあとでもよろしゅうございますが、当法務委員会まで報告していただきたいと思う。
  93. 近藤忠雄

    近藤説明員 今手元に持っている数字を申し上げますと、韓国人の短期出入国の三十四年関係におきましては、統計を見ておりますと、本年の五月に入国が七名、出国が七名、六月に同じく入国が六名、出国が六名、それから七月には入国が二名、出国が二名、八月には入国が六名で出国が五名、こういう数字が手元にございます。
  94. 猪俣浩三

    猪俣委員 それは一体どういう種類の人たちなんですか。アメリカの軍用飛行機立川から行ったり来たりするような人たち韓国の一般人じゃないと思うが、どういう関係の人が多いわけですか。
  95. 近藤忠雄

    近藤説明員 その内容につきましては、今ここで正確に申し上げる材料を持ち合わせておりませんが、多くの場合、韓国におりまして韓国で夫婦関係になったとかあるいは退役をしたとか、こういう人たちアメリカへ移る場合が多うございます。そういう人たちばかりであろうとは――私よくわかりませんが、そういう人が多うございます。
  96. 猪俣浩三

    猪俣委員 それから今度は立川飛行場から韓国へ入るということもあり得ますから、そういう場合はどういう手続をするのですか。羽田から出ないで、アメリカの軍用機に乗せられて立川から直接京城なり何なりに帰るというものはどういうふうになるのです。
  97. 近藤忠雄

    近藤説明員 軍用機を利用する場合はほとんどないのでございますが、そういうような関係のある、軍の関係のある人が出入りする場合がございますので、普通の場合と同様の審査の手続をして出すことになっております。
  98. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、韓国軍人であってもやはり普通のパスポートか何か持たなければ飛行機には乗れない仕組みになっていますか。
  99. 近藤忠雄

    近藤説明員 そういうことだと思います。
  100. 神近市子

    神近委員 ちょっとさっきお尋ねし残したのですけれども、今の猪俣委員の伝えられる情報がほんとうであるとすれば、ずいぶんこれは厄介な問題だと思うのです。ですから立川におりて潜入してくる人を極力捜索していただきたいということが一点。そしてもし届出がない密入国であるとすれば、これは当然密入国者として監禁できるのでしょうか、どうでしょうか、それをお聞きしたいと思います。これは法務省の方でけっこうでございます。
  101. 近藤忠雄

    近藤説明員 もちろん普通の入国と同様の取り扱いになると思います。
  102. 神近市子

    神近委員 差し迫っての問題であるということと同様に、これは早くそのうち調べます、調べますじゃ間に合わないと思うのですよ。極力全力をあげて捜査の端緒はどこかにあると思うのです。猪俣委員の持っていらっしゃる材料を拝借するとかなんとかすれば、捜査の端緒はあると思うのですけれども、これはぜひスピーディにやっていただいて、監禁をするということが一番必要だろうと私は思うのですが、このお考えはいかがですか。これは捜査当局の御協力が大へん必要だと思うので、自信がおありですか、おありでないですか。どうも厄介な問題でして、できません、なかなか時間がかかりますというようなことなんでしょうかどうか。捜査を分担なさる当局の御意見を聞きたい。
  103. 勝野康助

    ○勝野説明員 私の方でもし立川ベースでそういうことが起こりますれば、至急捜査当局に連絡して、迅速な措置をとるように十分心がけて参ります。
  104. 猪俣浩三

    猪俣委員 アメリカ局長がおいでになっておりますからお尋ねいたしますが、今私のところに入りました情報によれば、韓国国防軍に属する人物日本へ相当入ってきておる。これがはたして正規のルートで入管調査の上で入ってきたものかどうかについて疑いがあるのです。何かアメリカの軍用飛行機立川から入ったのではなかろうか。そうしますと、そういう場合には必ずアメリカの軍関係及び入ってくる本人から入管に申告があるはずであろから、黙って入るということはない、申告があれば入管調べて、入国を許すことのできない者は入国させないというふうな御答弁があったわけです。そこで私は今具体的に人名をあげて、この人間はどういう経路で入ってきたかお尋ねしたが、入管におきましては、直ちにその人名が入管に届けてあるかどうかはここでわからぬので、後日届けるということになっておる。私どもの聞くところによれば、これはどうも密入国じゃないかと思われる節もあるわけですが、そうなると本人自身入管に届け出しなかったか、アメリカの運んできた部隊が日本通告しなかったか、どちらかだと思うのです。そこでもしこれが入管に名簿にないということになると、どちらかということになるが、入国自身が届けてなかったことは、密入国として責任を問われるのですが、アメリカの運んできた人たちがさようなことを日本入管通告をしなかった場合には、国際法上の責任を外交交渉で追及することになるだろうという御答弁がありますが、一体その国際法上の責任というのはどういうことになるのであるか、具体的に一つ説明していただきたいと思う。
  105. 森治樹

    ○森政府委員 アメリカの軍用機がアメリカの施設内に入ります場合に、行政協定上の特権を受けない人、ただいまの韓国軍人が乗っておったとすれば、これは行政協定上の特権を受けない人でございますから、そういう場合には行政協定第五条によりまして、日本国の当局に通告を与えなければならないことになっております。従いまして、そういう通告がない場合には、これは行政協定上の手続要件を充足していないわけでございまして、強制措置を当然とるべきものだと考えております。
  106. 猪俣浩三

    猪俣委員 それに基いて、行政協定違反としてアメリカ責任を追及するということになりますが、それはいかなる機関で、どういう責任の追及の仕方をするのであるか、それを具体的にお答え願いたいと思います。
  107. 森治樹

    ○森政府委員 まず事実関係といたしまして、そういうことがあったかどうか、私の方でもただいまのところはそういう事実を聞いておらないわけでございますが、もしそういうことが事実であるとしますれば、それはいろいろな米国側との折衝の方法はございます。たとえば合同委員会によることも一つの方法でございましょうし、普通の外交ルートによることも一つの方法だと考えております。
  108. 猪俣浩三

    猪俣委員 私はこの問題につきましてはこの程度にいたします。  行政協定の問題につきまして、これも竹内局長が出ておりますから一、二質問をして――きょう責任者答弁を求めたかったのですが、いつ果てるかわからぬようなことではしようがありませんので、それが済んだら私、質問を終わりたいと思うのであります。  そこで、これは外務省の方もお見えになっておりますから、ついでにお尋ねいたしますが、しかし外務大臣がお見えになりません。主として行政協定第十七条に関しまする裁判権の問題であります。これは刑事特別法ができますときに、当法務委員会で超党派的に裁判権の問題について相当議論がありました。治外法権的色彩をとるように議論がありました。後に昭和二十八年ですか、これが改正になりまして、われわれの希望が相当達成せられてきたのでありますが、まだ問題が残っていると思うのであります。そこで、この残っている問題について、今日行政協定の改定が交渉をされておるが、その内容にそういうことが織り込まれておるかどうかということについてお尋ねしたいと思う。それは昭和二十八年の改定によりまして、行政協定上、公務の執行と見なされた場合には、これはアメリカに裁判権があるというような規定になって、しからざる限り日本に裁判権があるというふうになっております。そこでこの公務の執行とみなすかどうかということは何人が判定をするか、その判定によって裁判権がアメリカになったり日本になったりして、これがジラード事件その他においていつも問題になった点であります。当法務委員会においてもたびたびこれが問題になったのでありますので、この際そういうことについて条約上明らかにしておいた方がいいのじゃなかろうかと思うのでありますが、その点について今行政協定の改定が行なわれる際にそれが問題になっているかどうか。行政協定第十七条の三項の(a)の中には「公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪」、これは第一次の裁判権はアメリカがやるというふうになっておる。「その他の罪については、日本国の当局が、裁判権を行使する第一次の権利を有する。」こうなっておりますが、そこで一体「公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪」であるかどうかということは何人が判定するのであるか、この行政協定の規定からは直ちに出てこない。そういうことに対して今交渉なさっておるのかどうか、なさっておるとするならば、その実情はどうか、これは森さんでもあるいは竹内さんでもよろしゅうございますが、それに対しての御答弁を願いたいと思います。
  109. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 行政協定の点につきましても安保条約に関連して検討が加えられておるやに伺っておるわけでありますが、事十七条の刑事裁判権に関する点につきましては、私どもの承知いたしております限りでは、特別な変更は見ないもののごとくに伺っておるのでございます。なお行政協定の改定がどういうところに重点があるかというふうなことや、その作業がどういうところに進んでおるかというような点につきましては外務御当局から答弁をいたすことといたしまして、従いましてこの十七条の関係につきましては、もし変更がないといたしますならば、現行法のもとにおいて運用する、この運用が将来も続いていかれるものというふうに考えております。
  110. 猪俣浩三

    猪俣委員 森さんから、今申しました行政協定十七条の問題について、今私質問しました「公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪」これはアメリカに第一次の裁判権がある、しかしそれを公務執行中であると何人が認定するかによって裁判権が違ってくるのです。その認定権はだれにあるのであるか、その点はこの行政協定上不明確で、それでいつも問題を起こしておる。これに対して今行政協定の改定にあたりましてそれが問題として討議されておるのかどうか、それをお聞かせ願いたい。
  111. 森治樹

    ○森政府委員 この点につきましては、先ほど猪俣委員から御指摘のございましたように、第十七条につきましては、せっかくのお骨折りで昭和二十八年に十七条を改正する議定書ができたわけでございます。そしてこの議定書の趣旨は、NATO諸国がアメリカと締結しております条約と完全に同じでございます。従いまして、この限度をこえまして今日アメリカ側と交渉することは考慮されておりませんし、現に十七条につきましては手を触れないという建前で進んでおります。
  112. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、やはり「公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪」という認定権はアメリカにあることになるわけですか。だれが認定するということはきまらないのですか。
  113. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 公務執行中であったかどうかということでございますので、それは第一にアメリカ側が、これは公務執行中であったかということをいうべきであります。従いまして、公務執行中だという考えに立ちますならば、その証明をいたさなければならぬ建前でございます。しかしながら、それがアメリカのいうごとく公務であるかどうかということの判断は、日本側で裁判を行なうかどうかという問題でございますので、最終的にはわが最高裁判所において最終的な判断をなすべきものと私ども考えております。現にそういう判決もあるわけでございます。証明はまずアメリカ側が第一にしなければなりませんけれども、それに対しての最終的な判断は最高裁判所に持ち込まれる。その結果どういう場合が公務執行中であるかどうかということも、判例としてもすでに出ておる次第でございます。
  114. 猪俣浩三

    猪俣委員 その点については私まだ議論がありますが、今法務大臣警察庁長官がお見えになっておりますので、この質問は打ち切ります。  そこで警察庁長官にお尋ねいたします。今詳細に私が質問もし、私の得ておる情報も申し上げました。それは、この十四日に第一次の朝鮮帰還部隊が新潟港から出発する。それに際しまして、これを妨害し、その治安を乱さんとする団体があるということは前から聞かせられたことでありますが、ことに車進という人物、これがダイナマイトを持っておるのが新潟県の新発田で――新発田というのは新潟のすぐ近くでありますが、ここで逮捕せられたという事実が明らかになって参りました。そこで帰還促進部隊、日朝協会その他の関係当局が非常に心配していることが杞憂じゃないのだということが明らかになって参りました。私はこの情報をずっと前に受けておったのですが、何らかの宣伝だろうくらいにほっておいたのが、そうじゃないことが明らかになったために、本日質問に移ったわけでありまして、こまかいことは事務当局に申してありますが、非常に帰還部隊が不安にかられておるわけであります。これに対しまして、責任地位にある警察庁長官から、その不安を一掃するような断固たる決意を表明していただきたい。それはこの妨害部隊は、韓国代表部が拠点となりまして、そうして韓国国防軍のうちの特務機関みたいなのが乗り込んできていろいろの工作をやっておる。第一には新潟における日赤のセンターを爆破するという計画、第二には輸送の鉄道を爆破するという計画、第三には朝鮮総連の幹部及び北朝鮮から引き取りに参りました責任者を暗殺するという計画、こういう計画があるやに聞いておりましたが、日赤センターの爆破は、事実として、これは警察の非常なお手柄でありますが、未然に捕えられた。しかしこれが事実として現われた以上は、第一、第三のこともただデマ情報だとは申されない状態になってきた。そこで詳細に申し上げたのですが、韓国代表部が拠点になって、そうして韓国国防軍特務機関がこれの行動隊になっておるという情報が詳細に入っております。日本政府が人道的見地から決定し、幾多の困難を排しまして、日本赤十字社が愛の船を出そうとしておりまするこの世界の人道上の一大民族移動に対しまして、何の理由であるか知りませんが、これを妨害せんとするがごときことは、人道の名において許すべからざることだ、しかもこれが韓国代表部がその拠点になっているようなことは、これは断固として政府は徹底的に彼らの責任を追及しなければならぬと思うのであります。そこで、何はともあれ警察庁といたしましては、かような彼らの不逞の計画を未然に防ぐよう万全の御努力を願いたい。もう差し迫ってきております。力強い声明をいただきまするならば、北朝鮮人たちも相当不安の心を押えることができるのではないかということで、きょう急速質問を展開したわけでありますが、どうぞかような不逞の計画に対しましての警察庁長官責任あるお言葉をいただきまして、たくさんの朝鮮方々安心を与えたいと思うのであります。その御声明さえいただきまするならば、他にまだ御多忙のようでありますから、私はきょうはそれだけにとどめたいと思います。
  115. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 北鮮への帰還問題、これはただいまお話もございましたように、全く人道的見地に立って行なわれるものでございます。従いまして、政府におきましても、また各種不法事案を取り締まる立場にあります警察といたしましても、ぜひとも円滑にこの帰還業務が行なわれることを期待し、そのためにあらゆる努力を払っておることをまず申し上げておきたいと思います。  ただいまお話しのように、各種の不穏な情報もわれわれの方でもキャッチをいたしております。こういうものにつきましては、たといそういうことがほとんどなかろうと思われるようなことにつきましても、これを白となるまでは詳細に追及して、そうして万一に備えるという態勢をとっているつもりでございますが、さらにわれわれの情報網のみをもってして十分とは申し得ないので、いろいろの方の御協力を得て、こういう不穏な事態についての未然防止に努めている次第でございます。とにかく全国から帰還希望者が新潟に集まりまして、新潟から船で出るということでございますので、単に新潟だけの問題でなく、全国各地にいろいろな問題が起こり得ることだと思うのであります。大なり小なり問題をはらんでいるわけでございます。また帰還希望の側と帰還反対の側との感情上の対立等もあり得るわけでありまして、こういうことにつきましても、先般できるだけ刺激的なことのないように双方に対して御注意を申し上げた次第であります。なお新潟に対しましては、警備の態勢を特に強化いたしているわけでございますが、新潟におきます警察官のみの機動性発揮によっては十分でない事態も考えられまするので、事態によりましては、さらに数百名の増強を外部から行なって、そうして万全を期していきたい。また途中の沿道等についても、それぞれ警戒措置をとるように指示をいたして、ただいまお話しのように、帰還者安心して帰れるというように努力を続けておる次第でございますので、今後ともこれは帰還完了まで継続的に万全を期して参る覚悟でございます。
  116. 猪俣浩三

    猪俣委員 かたい決意をお聞きいたしまして安心いたしましたが、私は、私の手に集まりました情報につきましては、本日、課長その他の方に詳細に申し上げておきましたから、調査すべきものは即刻調査していただきたい。私は、金銭の授受まで明らかにしたのであります。テロ団に渡された金の授受まで具体的に明らかにしたのでありますから、徹底的に調査を開始していただきたいということを要望いたしまして、次に法務大臣にお尋ねいたします。  私のところに集まりました情報によりますれば、韓国国防軍特務機関日本に多数入り込んできている。しかもそれが何かどうも入管の正式の手続をせずに、アメリカ飛行機によって立川へ入ってくるという不法侵入の形で入ってきているやの情報があるのでありまして、これも今入管の当局の方々及び外務省方々に詳しく質疑応答いたしましたので、これを繰り返しませんが、ただあなたも閣僚の一人として、私がお尋ねし、がつ要望したいことは、今日、韓国代表部というものの国際的地位というものは、はなはだ私どもわからない。今外務省の方にお聞きしたところが、領事館待遇を与えているのだ――それは何か条約であるかどうかといえば、そういう通告韓国にしているのだというようなことで、日本領事館も何もない、ただ向うの領事館待遇されるものが代表部となって入ってきている。それだけでも異常な状態だと思う。それはしかしいろいろの便宜上、私どもそれを非難するわけではありませんが、その韓国代表部が、相当この北鮮帰還に対する妨害工作の拠点をなしている事実があると思うのです。それも詳細に私は今日ここで明らかにしました。韓国代表部の正式の職員が、この妨害工作の総指図を指揮している、かようなことははなはだ不都合千万なことだと私は思うのであります。これは、私は、閣議の問題にしていただいて、韓国代表部に対して、もし警察調査が十分できました際には、徹底的に責任を追及していただきたい。そして、かような不逞の徒輩に対しましては、これに対しては適当な処置をとっていただきたい。私は、きょう外務大臣がお見えになりませんので、閣僚の一員として、しかも入管の最高の責任者として、また治安の最高の責任者としての大臣にそれを強く要望いたします。のみならず、今警察庁長官から治安確保のための最善の努力をする言明がありましたが、なお法務大臣としてのあなたの信念も承りたいと存じます。
  117. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 北鮮帰還をめぐりまして、国内にいろいろの不穏の形勢のありますことは、情報は私どもも一々キャッチしております。そのつど関係方面に連絡して、その事態の起こらないように事前の策は講じておりますが、今お話しの、閣僚としての立場から申し上げますと、こういった事態が実際にだんだんと明らかになって参りますれば、これは重大な問題でございますから、事前にも関係閣僚とも話し合っておりますが、ほんとうの真相がわかりますれば、今お話しのような立場から、私としても断固としての処置をとって参りたい、こう考えております。
  118. 猪俣浩三

    猪俣委員 なお、この朝鮮帰還の問題につきましては韓国居留民団等も関係しておるやに聞くのであります。しかもそのまた居留民団日本右翼団体関係しておる。これらがやはり相当、新潟にもすでに出発して、治安の撹乱を計画しているやの情報が入るのであります。あなたの法務省の一体外部機関ですか、この公安調査庁は、どうも左翼的の方面の調査は実に周密になさって、やり過ぎるほどやっておると思うんだが、右翼の方の調査は何かどうも疎漏でないかと思う。あなたは大臣といたしまして、やはりもちろん左翼調査も、必要な部分はやらなければならぬと思いますが、今相当の右翼団体がまた復活してきておる。あなたのことを私はかれこれ言うのでありませんが、いわゆる東条内閣時代の前後日本の国運を誤ったものは、軍部、官僚、財閥、この右翼団体であります。彼らがいかにわが国の進路を誤ってしまったか。一時アメリカ駐留軍が来ましてから、この右翼団体に対する解散が徹底されまして、一時逼塞したやに思われましたが、岸さんや賀屋さんだのあなただのという戦前の人たちがまた政権の中枢に復活してくるとともに、この右翼団体がまたおびただしく台頭してきた。目に余るものがあるわけです。これに対しまする公安調査庁調査一体どの程度いっておるのか、私どもははなはだわからぬのでありますが、ほんとうに民主主義を守りまして、わが国の政治を戦前のようにゆがめないように向けていきますには、もちろん左翼の急激分子に対しても調査しなければなりませんが、この右翼の台頭というものに対しても関心を持たなければならぬ。ことにあなたは東条内閣時代の閣僚として、身に痛感されていることだと思う。当時の右翼がいかに暴状軍部と結託してやっておったか、あなた方文官は非常に骨身にしみておると私は思うのです。皇室をたてにとって、それこそ軍部と結託いたしまして、いろいろの口実を設けて、言論の自由、行動の自由を圧迫してきた。これがまた近ごろ台頭してきております。われわれの見るところによると、何かこれらの連中には取り締まり官憲は寛大なような気がする。何か自分らの味方になっているような考えになっているんじゃないかと思われる。公安調査庁も何かこの方面の調べは疎漏である。それはもちろん公安調査庁左翼係と右翼係ではまるで人数が、比較にならぬほど右翼が少ないためもありましょう。しかし私は今日、この右翼が非常に治安を撹乱する一つの一方の勢力としてもうすでに台頭してきている以上は、やはり公安調査庁の人員の配置においても御考慮いただいて、この右翼団体調査ももっとやっていただかなければならぬ。この右翼団体朝鮮帰還問題に対して韓国居留民団などと結託して治安撹乱をやっていることは、すでにもう現われてきております。こういうことに対して、私はあなたの所信を聞きたい。あなたが戦前の相当の政治家であっただけに、あなたの所信を承りたいのです。
  119. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 公安調査庁がとかく左翼の方だけを重大視して右翼関係を軽視しているというお話でございますが、もともと公安調査庁ができました沿革は、破防法の関係からでございますので、その当時は共産主義者関係に重点が置かれたことは、これは当然だと思うのでございます。その後右翼の勢力の発達ということも見のがせない事実でありますので、公安調査庁内におきましても、右翼関係につきましては最近相当の調査をいたしております。従って今御懸念のような点も、私としては破防法に抵触する限り、右翼左翼を問わず厳重な調査をいたし、また処分もいたして参りたい。私なり総理が戦前から閣内に戻ったということと右翼団体の台頭と因果関係があるようなお話でございましたが、これは全然そういうことはないと私は考えますので、お断わりを申し上げておきます。
  120. 猪俣浩三

    猪俣委員 いや、まああなたは全然因果関係はないんです。それは当然ですし、今それを議論する意味じゃない。しかしあなたがそうおっしゃるならば、私どもはまた議論があるのです。私どもは実に日本の特有の現象だと思うのです。ドイツにもイタリアにもない現象が日本に起こってきている。しかし今これをかれこれ私が言うのもおとなげないと思いますが、ただ願わくば、そういう疑惑が国民の中にあるのです、また戦前の人たちが復活してきた、そこで日本全体が反動的になってきた、事実かどうか知りませんが、そういう疑惑があるから、どうか法務大臣としては、そうじゃないのだ、今あなたがおっしゃったようなそういう、そうじゃないんだということを、あなたの実行で示していただきたい。あなた方が、それは不都合だ、何も戦前のわれわれと暴力団の復活と関係ないんだということ、それは主観的にはそうでしょう。しかし客観的にはそうは言われないのです。岸さんが総理大臣になってから、一体どんなにあらゆることが反動化してきましたか。もちろん今回のいろいろの全学連等のやり方については、批判すべきことは多々ありましょうけれども、しかし全然原因なしにこういう行動が起こってきているのじゃないのであります。これは岸内閣の性格と相当関係がある。僕はあなたが戦前法務行政にどういう経綸があおりになったかわかりませんが、今日法務大臣とおなりになって、法務行政は人権尊重ということが基本でなければならない。そういうことに対しまして私どもが、この今日の朝鮮帰還問題についてもやかましく言うゆえんのものは、これはやはり人道の問題、人権尊重の問題であるということからやかましく言っているのでありますが、どうも戦前の人たちは、人権問題についての感覚が何か鈍いような気がする。あなたはそうじゃないかもしれませんが、そういう疑いがあるわけですよ。そうじゃないならあなたの実行で一つ示していただきたい。これを要望したい。  それでは、お約束に従いまして、私の質問はこれで打ち切りといたします。
  121. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長 本日はこれをもって散会いたします。     午後一時散会