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矢口最高裁判所長官代理者 過日の
伊勢湾台風その他の
台風によりまして
裁判所の
施設の受けました
被害及びこれが
復旧に関する
予算の
折衝状況等について、御
説明申し上げます。
お
手元にお配りいたしました書類によってごらんいただきたいと存じますが、
裁判所といたしましては、
台風七号、十四号、十五号及びその以前に
北九州地方を襲いました
豪雨がございまして、それによります
被害等、
相当の
庁舎、
宿舎等の
施設の
損害を受けました。これにつきましては、どの
程度の
損害であったかと申しますと、お
手元の資料の中ほどから下にございます「
裁判所庁舎等被害状況および
要求額内訳」というところでごらんいただきたいのでございますが、
床上浸水以上、これは完全に水没いたしましたものも含むわけでございますが、
床上浸水以上のものといたしまして、
簡易裁判所の
庁舎が、十五
号台風の際に五
カ庁、
宿舎が六戸というような
被害をこうむっております。さらにその他の
被害、
床上浸水までは参りませんでしたが、屋根が完全にだめになったとか、その他
相当の
被害を受けておりますが、これがここにございますように、
北九州地方の
豪雨被害によりましては、計十一
カ庁、
台風七号による
被害といたしましては計八
カ庁、
台風十四号による
被害といたしましては計二十八
カ庁、
台風十五号、これは
伊勢湾台風でございますが、これによる
被害といたしまして計百十五
カ庁、このような
被害があったわけでございます。以上合計いたしまして、結局
庁舎、
宿舎等、全部合わせまして百六十二
カ庁に及び、総計七千九百二十四万五千円の
被害を生じたわけでございます。ことに
伊勢湾台風におきましては、
名古屋地方及び
津地方に甚大な
被害がございまして、なかんずく
津地方裁判所の
桑名簡易裁判所は、
職員に
死傷者を出す等の最も甚大なる
被害を受けたわけでございます。
職員の
被災状況といたしましては、二枚目にございますが、十五
号台風によるものがその大
部分でございますが、
職員死者一名、
家族二名の
死者を出しました。これは
職員といたしましては、
桑名の
簡易裁判所の
鷲見判事が、
台風の急に押し寄せました高潮と申しますか、水と申しますか、それによって死亡されたのでございます。なお
家族二名の
うち一名は、
鷲見裁判官の下の娘さんでございまして、
裁判官と一緒に近くの安全な
場所に避難しようとされる途中に、水に巻き込まれて死亡された。上の
お嬢さんがございましたが、上の
お嬢さんは幸い木に数時間しがみついておいでになって助かった。そういう
状況でございました。なお
家族一名は、これはやはり
桑名の
簡易裁判所の
職員のお母さんでございまして、これも水のために死亡された、こういった
状況であったわけでございます。
住宅の
被害状況といたしましては、ここにございますように、
住居及び
家財の全部が流失またはこれと同
程度の
損害を受けたものが、
世帯といたしまして四十二
世帯ございます。
住居及び
家財の二分の一以上
損壊またはこれと同
程度の
損害を受けたもの、これが五十三
世帯、
住居及び
家財の三分の一以上が
損壊またはこれと同
程度の
損害を受けた
世帯が二百二十八
世帯、合計三百二十三
世帯に及ぶ
職員の
被害があったのでございます。
これにつきまして、私どもといたしましては、災害の発生と同時に直ちに
現地に係官を派遣いたしまして、災害
状況の
調査及び
復旧に全力を注ぎますと同時に、
職員の救援に対しましてはできるだけの
措置を講じました。
まず第一に、とりあえず共済組合関係の災害見舞金を準備いたしまして、数回に分けまして現金を送りまして、
職員の急場の罹災に充てるという
措置をとったのでございます。それと同時に、
最高裁判所の事務総長が発起人になりまして、救恤品と救恤見舞金を募集いたしました。救恤品につきましては数日を出ずして在京
職員等から
相当物品が集まりまして、これを
現地の罹災
職員に送りまして、非常に喜ばれたのでございます。救恤金にいたしましても、三週間ほどいたしまして
相当の金額を得ましたので、これを
現地罹災者に配付いたしまして、非常に喜ばれた次第でございます。
なお、共済組合関係といたしましては、今申し上げました
規定の災害見舞金をできるだけ早く被災
職員等に送りますと同時に、さらに災害に基づくところの貸付金を急拠送りまして、約千数百万円の災害貸付金を現在まで
職員に貸し付けておるという
状況でございます。
宿舎、
庁舎、事務費等の
被害につきましては、総額九千三百十六万円に及んだわけでございますが、これは一枚目の一番下の右端の数字でございますが、九千三百十六万円の
損害を生じましたので、これが
復旧として大蔵省に予備金の支出を請求いたしました。その後数次の折衝を経たのでございますが、一応の予備費使用の内定額といたしまして、一枚目の紙の中ほどにございますように四千百二十七万円という金額の内定を得たのでございます。この金額は、過去数年間におきまして同種の災害等がございましたが、その際
裁判所が
要求いたしました金額と現実に査定を受けました金額との比率の中で最も高いと思われる比率によった一応の査定額でございます。
被害が
相当広範囲に及んでおりますし、急を要した関係で、大蔵省側としては、
現地で詳しく
調査できないといったような事情でございましたので、今申しましたような比率の一応の査定を得まして、今後財務
当局が
現地で実地に立ち会いまして、現実の
被害金額を定める、それによって現実の予備費の支出金額を定めるということでございます。従いまして、私どもといたしましては、
要求が九千三百十六万円という金額でございますので、
現地で厳重に査定を受ければ、この一応内定いたしました四千百二十七万円という金額をさらに上回った予備費の支出を受け得るものと考えておる次第でございます。現実には、数個の地方におきまして、
現地における立ち会いによる査定というものが始まっておるように承知いたしております。
災害の
状況及びそれに対する
復旧状況といたしましては、以上簡単に御
説明申し上げた通りであります。
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