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1959-12-04 第33回国会 衆議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月四日(金曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 大平 正芳君    理事 稻葉  修君 理事 臼井 莊一君    理事 木村 武雄君       加藤 精三君    竹下  登君       谷川 和穗君    濱野 清吾君       松永  東君    大原  亨君       西村 力弥君    長谷川 保君       堀  昌雄君    横路 節雄君       本島百合子君  出席国務大臣         文 部 大 臣 松田竹千代君  出席政府委員         法制局参事官         (第一部長)  山内 一夫君         文部事務官         (大臣官房長) 齋藤  正君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤譽三郎君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 岡田 孝平君  委員外出席者         人事院事務官         (職員局長)  矢倉 一郎君         総理府事務官         (自治庁行政局         公務員課長)  今枝 信雄君         文部事務官         (調査局長)  北岡 健二君         文部事務官         (調査局宗務課         長)      近藤 春文君         専  門  員 石井  勗君     ――――――――――――― 十一月二十八日  委員木村守江辞任につき、その補欠として重  政誠之君が議長指名委員に選任された。 同日  委員重政誠之辞任につき、その補欠として木  村守江君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員濱野清吾辞任につき、その補欠として前  尾繁三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員前尾繁三郎辞任につき、その補欠として  濱野清吾君が議長指名委員に選任された。 同日  委員濱野清吾辞任につき、その補欠として竹  山祐太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員竹山祐太郎辞任につき、その補欠として  濱野清吾君が議長指名委員に選任された。 十二月四日  委員野口忠夫君及び山崎始男辞任につき、そ  の補欠として大原亨君及び横路節雄君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員大原亨君及び横路節雄辞任につき、その  補欠として野口忠夫君及び山崎始男君が議長の  指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月十八日  産業教育に従事する私立高等学校教職員産業  教育手当支給に関する請願今松治郎紹介)  (第三七五号)  同(永田亮一紹介)(第三七六号)  同(石山權作君紹介)(第四四三号)  同(勝間田清一紹介)(第五二一号)  産業教育に従事する国、公立高等学校基礎教  科担当教員産業教育手当支給に関する請願(  永田亮一紹介)(第三七七号)  同(石山權作君紹介)(第四四二号)  同(今村等紹介)(第四七三号)  同外一件(辻寛一紹介)(第五二二号)  同(赤松勇紹介)(第五六五号)  同(勝間田清一紹介)(第五六六号)  同(横山利秋紹介)(第五六七号)  三原町地内天然記念物松並木の一部指定解除に  関する請願永田亮一紹介)(第三七八号)  教育の行財政に関する請願外四件(日野吉夫君  紹介)(第四四四号)  児童生徒災害補償法制定等に関する請願(池田  清志君紹介)(第四七二号)  義務教育学校施設費国庫負担法の一部改正等  に関する請願笹山茂太郎紹介)(第四七四  号)  名城大学の再建に関する請願外三件(辻寛一君  紹介)(第五二三号)  同外三件(横山利秋紹介)(第五七〇号)  高等学校の授業における生徒編成及び教職員  配置基準法制化等に関する請願鈴木善幸君  紹介)(第五二四号)  女子教育職員の産前産後の休暇中における学校  教育の正常な実施の確保に関する法律の一部改  正に関する請願外八件(矢尾喜三郎紹介)(  第五二五号)  へき地手当支給財源の補正に関する請願(池田  清志君紹介)(第五五一号)  盲ろう学校高等部生徒に対する就学奨励費の  適用範囲拡大に関する請願池田清志紹介)  (第五六八号) 同月二十四日  義務教育学校施設費国庫負担法の一部改正等  に関する請願亀山孝一紹介)(第六二七  号)  同(黒金泰美紹介)(第七〇一号)  同(堂森芳夫紹介)(第七六三号)  同(中村英男紹介)(第八三〇号)  同(西村力弥紹介)(第八三一号)  産業教育に従事する私立高等学校教員産業教  育手当支給に関する請願猪俣浩三紹介)(  第六九六号)  産業教育に従事する国、公立高等学校基礎教  科担当教員産業教育手当支給に関する請願(  猪俣浩三紹介)(第六九七号)  同(春日一幸紹介)(第六九八号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第六九九号)  同(辻原弘市君紹介)(第七〇〇号)  養護教諭各校必置に関する請願外十件(八木  一郎君紹介)(第七〇二号)  学校栄養士配置等に関する請願金丸信君紹  介)(第七六一号)  同(始関伊平紹介)(第八三四号)  高等学校定時制教育及び通信教育振興に関す  る請願(楯兼次郎君紹介)(第七六二号)  帯広畜産大学に草地農産短期大学部設置請願  (本名武紹介)(第七六四号)  私立幼稚園振興に関する請願小川平二君紹  介)(第八二六号)  高等学校の授業における生徒編成及び教職員  配置基準法制化に関する請願小川平二君紹  介)(第八二七号)  国立信州大学農学部畜産学科新設請願(小  川平二君紹介)(第八二八号)  中学校舎増築費財源特別措置に関する請願(  坂田道太紹介)(第八二九号) 同月二十六日  義務教育学校施設費国庫負担法の一部改正等  に関する請願岡本茂紹介)(第八六九号)  同(逢澤寛紹介)(第九一六号)  同(大橋武夫紹介)(第九一七号)  同(八木徹雄紹介)(第九一八号)  同外二件(天野光晴紹介)(第九六六号)  同外八件(古川丈吉紹介)(第九六七号)  岡山大学に理工学部設置請願小枝一雄君紹  介)(第八七〇号)  学校栄養士配置等に関する請願始関伊平君紹  介)(第九一九号)  女子教育職員の産前産後の休暇中における学校  教育の正常な実施の確保に関する法律の一部改  正に関する請願中崎敏紹介)(第九二〇  号)  産業教育に従事する国、公立高等学校基礎教  科担当教員産業教育手  当支給に関する請願外一件(大石武一紹介)  (第九六四号)  産業教育に従事する私立高等学校教職員産業  教育手当支給に関する請願外一件(大石武一君  紹介)(第九六五号) 十二月一日  女子教育職員の産前産後の休暇中における学校  教育の正常な実施の確保に関する法律の一部改  正に関する請願亀山孝一紹介)(第九九〇  号)  義務教育学校施設費国庫負担法の一部改正等  に関する請願外六件(兒玉末男紹介)(第九  九一号)  同(服部安司紹介)(第九九二号)  同(藤枝泉介紹介)(第九九三号)  同外一件(古川丈吉紹介)(第九九四号)  学校栄養士配置等に関する請願西村力弥君紹  介)(第九九九号)  産業教育に従事する国、公立高等学校基礎教  科担当教員産業教育手当支給に関する請願(  安倍晋太郎紹介)(第一〇〇八号)  同(逢澤寛紹介)(第一〇〇九号)  同(愛知揆一君紹介)(第一〇一〇号)  同(青木正紹介)(第一〇一一号)  同(赤澤正道紹介)(第一〇一二号)  同(秋山利恭紹介)(第一〇一三号)  同(足立篤郎紹介)(第一〇一四号)  同(新井京太紹介)(第一〇一五号)  同(荒舩清十郎紹介)(第一〇一六号)  同(井原岸高紹介)(第一〇一七号)  同(飯塚定輔紹介)(第一〇一八号)  同(池田清志紹介)(第一〇一九号)  同(一萬田尚登紹介)(第一〇二〇号)  同(植木庚子郎君紹介)(第一〇二一号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第一〇二二号)  同(内田常雄紹介)(第一〇二三号)  同(小川半次紹介)(第一〇二四号)  同(小川平二紹介)(第一〇二五号)  同(小澤佐重喜紹介)(第一〇二六号)  同(大石武一紹介)(第一〇二七号)  同(大坪保雄紹介)(第一〇二八号)  同(大野市郎紹介)(第一〇二九号)  同(大平正芳紹介)(第一〇三〇号)  同(岡崎英城紹介)(第一〇三一号)  同(加藤常太郎紹介)(第一〇三二号)  同(金子岩三紹介)(第一〇三三号)  同(金丸信紹介)(第一〇三四号)  同(上林山榮吉君紹介)(第一〇三五号)  同(亀山孝一紹介)(第一〇三六号)  同(鴨田宗一紹介)(第一〇三七号)  同(川崎秀二紹介)(第一〇三八号)  同(川野芳滿紹介)(第一〇三九号)  同(木村守江紹介)(第一〇四〇号)  同(菊池義郎紹介)(第一〇四一号)  同(北村徳太郎紹介)(第一〇四二号)  同(清瀬一郎紹介)(第一〇四三号)  同(倉成正紹介)(第一〇四四号)  同(小泉純也君紹介)(第一〇四五号)  同(小枝一雄紹介)(第一〇四六号)  同(小金義照紹介)(第一〇四七号)  同(小坂善太郎紹介)(第一〇四八号)  同(小島徹三紹介)(第一〇四九号)  同(小平久雄紹介)(第一〇五〇号)  同(小林絹治紹介)(第一〇五一号)  同(纐纈彌三君紹介)(第一〇五二号)  同(齋藤邦吉紹介)(第一〇五三号)  同(坂田道太紹介)(第一〇五四号)  同(櫻内義雄紹介)(第一〇五五号)  同(重政誠之紹介)(第一〇五六号)  同外一件(鈴木正吾紹介)(第一〇五七号)  同(世耕弘一紹介)(第一〇五八号)  同(田口長治郎紹介)(第一〇五九号)  同(田中彰治紹介)(第一〇六〇号)  同(田中龍夫紹介)(第一〇六一号)  同(田中正巳紹介)(第一〇六二号)  同(高石幸三郎紹介)(第一〇六三号)  同(高瀬傳紹介)(第一〇六四号)  同(竹内俊吉紹介)(第一〇六五号)  同(竹山祐太郎紹介)(第一〇六六号)  同(谷川和穗紹介)(第一〇六七号)  同(塚田十一郎紹介)(第一〇六八号)  同(堤康次郎紹介)(第一〇六九号)  同(渡海元三郎紹介)(第一〇七〇号)  同(徳安實藏紹介)(第一〇七一号)  同(富田健治紹介)(第一〇七二号)  同(中井一夫紹介)(第一〇七三号)  同(中川俊思君紹介)(第一〇七四号)  同(中曽根康弘紹介)(第一〇七五号)  同(永田亮一紹介)(第一〇七六号)  同(中村幸八君紹介)(第一〇七七号)  同(永山忠則紹介)(第一〇七八号)  同(灘尾弘吉紹介)(第一〇七九号)  同(二階堂進紹介)(第一〇八〇号)  同(根本龍太郎紹介)(第一〇八一号)  同(坂田道太紹介)(第一〇八二号)  同(野原正勝紹介)(第一〇八三号)  同(馬場元治紹介)(第一〇八四号)  同(橋本正之紹介)(第一〇八五号)  同(橋本龍伍紹介)(第一〇八六号)  同(長谷川四郎紹介)(第一〇八七号)  同(八田貞義紹介)(第一〇八八号)  同(服部安司紹介)(第一〇八九号)  同(濱野清吾紹介)(第一〇九〇号)  同(早川崇紹介)(第一〇九一号)  同(原健三郎紹介)(第一〇九二号)  同(平野三郎紹介)(第一〇九三号)  同(廣瀬正雄紹介)(第一〇九四号)  同(福井盛太紹介)(第一〇九五号)  同(福田赳夫紹介)(第一〇九六号)  同(福田篤泰紹介)(第一〇九七号)  同(福田一紹介)(第一〇九八号)  同(福永健司紹介)(第一〇九九号)  同(藤枝泉介紹介)(第一一〇〇号)  同(藤本捨助君紹介)(第一一〇一号)  同(保科善四郎紹介)(第一一〇二号)  同(坊秀男紹介)(第一一〇三号)  同(星島二郎紹介)(第一一〇四号)  同(細田義安紹介)(第一一〇五号)  同(堀内一雄紹介)(第一一〇六号)  同(堀川恭平紹介)(第一一〇七号)  同(前田正男紹介)(第一一〇八号)  同(増田甲子七君紹介)(第一一〇九号)  同(松永東紹介)(第一一一〇号)  同(松本俊一紹介)(第一一一一号)  同(三和精一紹介)(第一一一二号)  同(村上勇紹介)(第一一一三号)  同(村瀬宣親紹介)(第一一一四号)  同(八木一郎紹介)(第一一一五号)  同(八木徹雄紹介)(第一一一六号)  同(山口好一紹介)(第一一一七号)  同(山口六郎次紹介)(第一一一八号)  同(山本勝市君紹介)(第一一一九号)  同(柳谷清三郎紹介)(第一一二〇号)  産業教育に従事する私立高等学校教職員産業  教育手当支給に関する請願安倍晋太郎君紹  介)(第一一二一号)  同(逢澤寛紹介)(第一一二二号)  同(愛知揆一君紹介)(第一一二三号)  同(青木正紹介)(第一一二四号)  同(秋山利恭紹介)(第一一二五号)  同(足立篤郎紹介)(第一一二六号)  同(新井京太紹介)(第一一二七号)  同(荒舩清十郎紹介)(第一一二八号)  同(井原岸高紹介)(第一一二九号)  同(飯塚定輔紹介)(第一一三〇号)  同(池田清志紹介)(第一一三一号)  同(内田常雄紹介)(第一一三二号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第一一三三号)  同(小川半次紹介)(第一一三四号)  同(小川平二紹介)(第一一三五号)  同(小澤佐重喜紹介)(第一一三六号)  同(大石武一紹介)(第一一三七号)  同(大坪保雄紹介)(第一一三八号)  同(大野市郎紹介)(第一一三九号)  同(岡崎英城紹介)(第一一四〇号)  同(金丸信紹介)(第一一四一号)  同(鴨田宗一紹介)(第一一四二号)  同(川崎秀二紹介)(第一一四三号)  同(川野芳滿紹介)(第一一四四号)  同(上林山榮吉君紹介)(第一一四五号)  同(菊池義郎紹介)(第一一四六号)  同(清瀬一郎紹介)(第一一四七号)  同(小泉純也君紹介)(第一一四八号)  同(小枝一雄紹介)(第一一四九号)  同(小金義照紹介)(第一一五〇号)  同(小坂善太郎紹介)(第一一五一  号)  同(小島徹三紹介)(第一一五二号)  同(小平久雄紹介)(第一一五三号)  同(小林絹治紹介)(第一一五四号)  同(纐纈彌三君紹介)(第一一五五号)  同(坂田道太紹介)(第一一五六号)  同(櫻内義雄紹介)(第一一五七号)  同(重政誠之紹介)(第一一五八号)  同(砂原格紹介)(第一一五九号)  同(世耕弘一紹介)(第一一六〇号)  同(高石幸三郎紹介)(第一一六一号)  同(高瀬傳紹介)(第一一六二号)  同(高橋等紹介)(第一一六三号)  同(竹山祐太郎紹介)(第一一六四号)  同(田中彰治紹介)(第一一六五号)  同(田中龍夫紹介)(第一一六六号)  同(谷川和穗紹介)(第一一六七号)  同(塚田十一郎紹介)(第一一六八号)  同(堤康次郎紹介)(第一一六九号)  同(渡海元三郎紹介)(第一一七〇号)  同(富田健治紹介)(第一一七一号)  同(中井一夫紹介)(第一一七二号)  同(中川俊思君紹介)(第一一七三号)  同(中曽根康弘紹介)(第一一七四号)  同(永田亮一紹介)(第一一七五号)  同(中村幸八君紹介)(第一一七六号)  同(永山忠則紹介)(第一一七七号)  同(根本龍太郎紹介)(第一一七八号)  同(坂田道太紹介)(第一一七九号)  同(野原正勝紹介)(第一一八〇号)  同(橋本正之紹介)(第一一八一号)  同(橋本龍伍紹介)(第一一八二号)  同(長谷川四郎紹介)(第一一八三号)  同(服部安司紹介)(第一一八四号)  同(濱野清吾紹介)(第一一八五号)  同(早川崇紹介)(第一一八六号)  同(原健三郎紹介)(第一一八七号)  同(平野三郎紹介)(第一一八八号)  同(廣瀬正雄紹介)(第一一八九号)  同(福井盛太紹介)(第一一九〇号)  同(福田赳夫紹介)(第一一九一号)  同(福田篤泰紹介)(第一一九二号)  同(福永健司紹介)(第一一九三号)  同(藤枝泉介紹介)(第一一九四号)  同(星島二郎紹介)(第一一九五号)  同(保科善四郎紹介)(第一一九六号)  同(細田義安紹介)(第一一九七号)  同(堀内一雄紹介)(第一一九八号)  同(堀川恭平紹介)(第一一九九号)  同(坊秀男紹介)(第一二〇〇号)  同(前田正男紹介)(第一二〇一号)  同(増田甲子七君紹介)(第一二〇二号)  同(松永東紹介)(第一二〇三号)  同(松本俊一紹介)(第一二〇四号)  同(村上勇紹介)(第一二〇五号)  同(村瀬宣親紹介)(第一二〇六号)  同(森下國男紹介)(第一二〇七号)  同(八木徹雄紹介)(第一二〇八号)  同(柳谷清三郎紹介)(第一二〇九号)  同(山口好一紹介)(第一二一〇号)  同(山本勝市君紹介)(第一二一一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十八日  教職員勤務評定完全実施に関する陳情書  (第六〇五号)  スポーツ振興法制定促進に関する陳情書  (第六〇六号)  同(第六  〇七号)  公民館の整備促進に関する陳情書  (第六〇八号)  名城大学再建に関する陳情書  (第六〇九号)  学校統合に対する地方交付税特別措置に関す  る陳情書  (第六一〇号)  教職員定数増員等に関する陳情書  (第六一一号)  義務教育学校施設費国庫負担法の一部改正等  に関する陳情書  (第六一二号)  同(第六  一三号)  高等学校新規卒業者就職選考時期等に関する  陳情書(第六一四  号)  高等学校教職員定数法制化に関する陳情書  (第六一五号)  オリンピック東京大会開催に伴う施設整備のた  めの予算措置に関する陳情書  (第六一七号)  公立文教施設整備に対する国庫補助増額に関す  る陳情書(第六一  八号)  義務教育費国庫負担金精算交付に関する陳情  書(第六一九号)  中学校施設整備費財源措置に関する陳情書  (第六二〇号)  昭和三十五年度教育関係予算増額に関する陳情  書  (第六二一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  学校教育に関する件      ――――◇―――――
  2. 大平正芳

    大平委員長 これより会議を開きます。  学校教育、宗教、文化財保護等に関し調査を進めます。質疑の通告がございます。順次これを許します。横路節雄君。
  3. 横路節雄

    横路委員 文部大臣に最初にお尋ねをいたしたいのですが、昭和三十五年度の予算編成は、政府方針としては、大体今月の三十日には終えたい、こういうように私ども承知をしているわけです。従って予算編成が終わるまでの時期としてはあと二十日足らずになったわけです。従って文部大臣としては当然昭和三十五年度における文教予算は一体何を重点施策としてやるか、こういう点についてはもう省議をおまとめになられて、そうして予算折衝をされていると思うのであります。今までは予算編成が終わって、一月末の休会明け国会になって予算が提案されてから、いろいろとお尋ねをしていたわけですが、今度は幸い臨時国会がこういうような時期の中で開かれておりますので、ぜひこの際昭和三十五年度の予算編成に際する文部大臣としての文教予算における重点的な施策についてお聞かせいただきたい、こういうように思うわけです。
  4. 松田竹千代

    松田国務大臣 明年度の文部省の予算編成にあたりましては、まず何をさておいても義務教育関係予算、特に五カ年計画に基づくすし詰め教室の解消、これに伴ういろいろの設備、その他教職員定数の問題、義務教育施設を充実せしめていきたいということをまずもって主眼としておるわけであります。次に大学を初め、その他の学校においても科学技術振興に伴ういろいろの設備研究費、そういったような点に主力を注いでその充実をはかりたい、かように考えております。またさらに、特にわが国においては諸外国と比例しておくれておると思われる特殊教育の面について、これも一つの柱として充実せしめるようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 横路節雄

    横路委員 今大臣からのお話で、第一番目には義務教育予算を大いに増額をしたい。そのためには五カ年計画すし詰め教室を解消したい。教室、それから教員定数の増加をしたい、こういうことなわけです。内藤局長お尋ねしますが、ことしの中学の二年は、いわゆる中学生徒数としては、これは昭和二十年に生まれた子供ですから、一番少ないわけです。そうして、それからやや戻ってことしの中学一年もまだ少ない。しかし来年の四月一日から入ってくる生徒、取りわけ再来年の四月一日に入る中学生徒はずっとふえてくるわけです。そういう点を見通して今文部大臣からお話をなされたものと思うわけですが、義務教育予算について五カ年計画すし詰め教室を解消する具体的な案としてどういうものがおありなのですか。
  6. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 お話しのように来年は中学校生徒が七十万ふえることになっておりますし、再来年は百万も増加することになっております。この機会にすし詰め学級を解消するということは大へん困難なことでございますけれども、私どもは五カ年計画に基づきまして、すでに定数の面では来年が第三年度を迎えることになっております。昭和三十三年度には小学校は六十人以上の学級を全部解消する。中学校は五十三人以上の学級を全部解消するという方針で政令をきめたわけでございます。それから三十四年度は、小学校は具体的には五十八人以上の学級は全部解消する。中学校は五十四人以上の学級を全部解消する。昭和三十五年度の計画としては、小学校は五十六人以上の学級を解消したい。中学校は五十三人以上の学級を解消したい。もちろん五十人に満たないところ、あるいはそれでも教員数が余るような場合には、私どもは積極的にこの基準よりも下げて五十人まではよろしい。五十人までにした場合には、もちろん交付税単位費用の中でそれだけの教員数確保できるようにこのたびの交付税法改正でいたしておりますので、予算の面において地方が困ることはないと思うのでございます。特に国庫負担金では、今申しましたように七十万人の新規増員分確保することと同時に、ただいまも申しましたように来年度小学校五十六、中学校五十三以上のものを解消するために必要な教員として約一万五、六千を要求しておるのでございます。
  7. 横路節雄

    横路委員 今大臣から五カ年計画というお話でありましたので、三十五年度の小学校児童数五十六、中学の五十三はわかったわけですが、三十六年度並びに三十七年度の見通しはどういうようにしていくわけですか。
  8. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 三十七年度はこれは計画案でございますので、まだ確定したものでございませんけれども、一応五カ年計画の当初の考えといたしましては、三十五年度は生徒増が非常に多いのでございますので、一年据え置きという計画を立てております。三十七年に小学校五十四、中学校五十二、それから三十八年に一挙に両方とも五十にする、こういう計画をとっておるのでございます。このほかに実は定数基準がございますので、定数の充足ということで五カ年間に約一万人の増員をする計画がございます。この計画生徒の自然増とすし詰め学級解消、この三つが重なって予算要求をしたわけであります。
  9. 横路節雄

    横路委員 三十八年度に小学校児童学級定数が五十、中学が五十というお話ですが、これは実際には実情にそぐわないのではないでしょうか。小学校が五十ということになれば、中学は四十五、これがやはり小学校の実態に即し、中学の実態に即すということになると思うのですが、これを三十八年度で五十ずっと押えているのはどういうわけですか。私ならば、当然あなたの方で今日の五カ年計画からいって、これは最低四十五にしなければならぬと思うがその点はどうなんですか。
  10. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 中学校の急増でございますので、この中学校の急増、もう一つは中学校定数基準の充足の問題もございますので、小中ともとりあえず五カ年で五十にする。そこでこの第一段階が済みました場合には、さらに十分検討して御趣旨に沿うような方向で、これは中学校のみならず小学校につきましても、今度の三十八年度以降になりますと、小中とも漸減の傾向にございますので、この漸減の傾向を利用いたしまして、学級規模を縮小して参りたい、四十五よりもできれば私どもは四十くらいに持っていくように助力したいと考えております。
  11. 横路節雄

    横路委員 先ほどちょっと教職員定数についてお話がありましたが、聞き漏らしましたので、三十五年度では教職員定数は幾らふやすというお話でございましたか。
  12. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 これはいろいろ計算の仕方がございますけれども、一応私どもの計算では一万五千程度の増員を要求しておるわけでございます。
  13. 横路節雄

    横路委員 文部大臣お尋ねをしますが、先ほど文部大臣から第二番目の三十五年度の予算編成における文部省としての重点的な施策は、大学を初め各学校における科学技術の研究設備その他とのお話があり、三番目にはおくれている特殊教育の面について充実をはかりたい、こういうお話でございましたが、まず第一番目に特殊教育についてどういうような方法でこれの拡充強化を、施設その他についておやりになろうというのか、大臣から一つお答えをいただきたいと思います。
  14. 松田竹千代

    松田国務大臣 これにつきましては、私は早く審議会に答申案を出してもらうようにお願いして、漸次進んで、もう近く出ると思います。近日のうちに出るようになっていると思います。従ってその案に基づいてこれを尊重してやっていくようにしたいと思うのでありますが、まず年次計画を持ってやらなければ、なかなか一気にできるものではない。御承知のように、特殊教育生徒一人当りに対して普通児と違って大へんな金を必要とするわけでありますので、まずことしにどうでもこうでも頭を出しておいて学校二つくらいは適当な必要とされるところに、モデル・ケースとでもいうか、適当な学校を設置していきたい、かような考えをもって進んでいるわけであります。
  15. 横路節雄

    横路委員 今文部大臣からお話しのありました、二つほどモデル・ケースとして学校を建てていきたいというのですが、どういう学校になりますか。
  16. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 実は今大臣のお答えになりましたように、中央教育審議会にも諮問しておりますが、私ども予算的な面から申しますと、養護学校、特に盲、ろうは義務制がしかれておりまして、すでに小中学とも一応義務制を完了しておりますが、まだ就学率が低いので、この就学率を引き上げるように、就学奨励の方途を拡充いたしたい。現在小中学校とも教科書は無償で全員に給付しておりますし、また通学費あるいは宿舎費、給食費等はこれも支給いたしておりますが、さらに学用品等の支給も考慮して、できるだけ就学奨励に遺憾なきを期していきたい。それから精神薄弱、肢体不自由のような者で、特に強度な者は養護学校が必要でございますので、現在三十数校ございますけれども、全部の県に少くとも一校は作るようにいたしたい。残っておる県におきまして、計画的に全部設置できるように、将来は義務設置にいたしたいと考えておるのであります。それから軽度の者、特に精神薄弱児が相当多いので、この特殊学級につきましてはこれも人口三万以上の市町村には幾つかの——町村の人口の規模にもよりますが、人口三万以上の市町村には幾つかの特殊学級を、これも将来義務設置にするような方向で、五カ年計画予算を要求しているのでございます。  教員定数につきましては、定数基準法律がございまして、十五人について一人を配当するという基準で、国の負担も計上し、また交付税の方もそういう算定の仕方をいたしておるわけでございます。
  17. 横路節雄

    横路委員 今のお話の養護学校については、できれば県に一つくらい建てたい、こういうわけですが、県に一つ養護学校を建てても、これは全体の一割を収容できるか、あるいは一割五分を収容できるかの程度だと思う。そういう意味で、今局長の方から人口三万以上の市にはいわゆる養護学級を特設したいということですが、精神薄弱児といいますか、今一番知能のおくれている子供といいますか、この子供を持つ親たちが一番困っているところであります。これは知能程度がおくれている。しかし特別な教育を行なえば何年かあとには追いつけるのではないか、これはとても県に一つということでは、文部大臣が来年度の文教予算については特殊教育を充実するのだということはほど遠いと思うわけです。さらに盲ろう学校についても同様なんですが、この点については、これは一番困っているすし詰め教室の問題もさることだけれども、盲、ろうあの子供を持っている者、さらに精神薄弱児といいますか、知能程度の低いその子供を持っている親たちが一番困っている。これはとても県に一つということでは文部省の計画重点施策でありますということにはならないと思うのですが、文部大臣いかがでございますか。
  18. 松田竹千代

    松田国務大臣 県に一つというのは肢体不自由者の方だと私は思っております。肢体不自由者に対して県に一つくらいはほしいという考えであります。お話のように精神薄弱児童は、どういう程度が精薄かということによってその絶対数はきまりますけれども、いずれにしても非常に数が多い。従って県に一つくらいではどうにもならぬということはおっしゃる通りであります。しかし精薄児童をどういうふうにして全部収容さしていくかということは非常な大問題でありまして、これはやはり特殊教室というようなものをもってやるべきか、あるいはまた精薄児童のうちでもまあ大体よい方の者は普通教室に入れていく方がよいのではないかというふうにも考えられるのでありまして、特にすそをどの程度で切るかも問題でございます。従ってそれぞれの精薄児童の段階によって適切な教育をしていかなければならぬという専門的な立場からの問題もありまして、これをどうやるかということについて今諮問をいたしておるわけであります。それが結論が出ましたならば、それに基づいて、あるいは特殊学級また特別に学校を作るというようなこともむろんやっていかなければならぬのであります。全体としてまだ一部分よりやれないということはお話の通りであり、年次計画において将来はことごとく義務教育制度にまで持っていきたいと考えておるわけでありますが、さて一気にこれを決行することができないことはあなたも十分御承知の通りであります。しかしさればといってこれは重点としておらぬということではないのでありまして、一番おくれていることであるからできるだけこれに力を入れて、将来は義務教育のところまで持っていきたい、かように考えているわけであります。
  19. 横路節雄

    横路委員 今大臣お話でありますけれども、肢体不自由児、いわゆる身体不自由児、けが、小児麻痺、骨折その他、これは局長厚生省の予算の関係になりませんか。これは治療と一緒にやらなければならぬ。だから片一方は学校施設でやり、同時に病院の施設でやる。私の子供が一年半も入院して私はよく経験をしているのですが、これはたしか厚生省関係の予算なんです。肢体不自由児は治療とあわせる。しかしそれはもちろん厚生省が独自でやるものでもなくて、義務教育の就学児童ですから、それには文部省も当然参画されるでありましょう今私が聞いているのはもちろんそのこともあります。しかしこれは治療とあわせて。——もう一つ今内藤局長から言われたのは、いわゆる精神薄弱児という問題もありましょうが、やや知能指数が落ちている、いわゆる知恵おくれの子供のことについて、今あなたのお話は県に一つというお話だったでしょうそうしてそれでは足りないから人口三万以上の都市については養護学級、養護学級というのは、そういう意味の養護学級だ。肢体不自由児についてはそういうものの治療を要するので病院とあわせてやっていくという方針になっている。それで私がお尋ねしているのは、知恵おくれの子供についてあなたがそういうように答弁されたものと私は解釈して今大臣お尋ねしたのですが、そうなんでしょう
  20. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 ちょっと説明が足りなかったので誤解を招いて大へん恐縮でございますが、県に作るのはいわゆる養護学校でありまして、この養護学校は現在のところ大部分が肢肢体不自由児の学校なんです。この中にももちろん精薄のものもございます。来年度大臣が二校とおっしゃったのは十を一けた落とされたので、十二校を予定しているわけでございます。その内訳は精薄児の学校が三校、肢体不自由児七校、病弱虚弱児二校の十二校を要求しておりまして、既設のものが三十校ございます。そのうち大部分はこれも肢体不自由児の学校でございまして、本年度は肢体不自由の子供が気の毒ですから、スクール・バスを三台買って補助したわけでございます。この大部分が精薄で、強度なものでない限りは特殊学級の方がいいという結論が一応出ているわけであります。そこで肢体不自由児につきましては厚生省が養護施設を持っております。この場合に学校の先生を派遣して特別の養護学級をそこに作っておる場合もございます。しかしそう病気の程度の高くない者は養護学校に入れて、近くの医者が見ることも可能なんです。私どもとしては、従来の経験から見ますと、肢体不自由児の養護学校を作って、そして近所のお医者さんに治療をしていただくことも可能でございますので、現在のところは肢体不自由児の学校が県立学校には相当多いのでございます。厚生省の方の養護施設との関連も十分考慮しまして、その面においても義務教育の機会を与えるように努力していきたいと思っておるのでございます。  なお精神薄弱児の方は、私どもの従来の実績から申しますと、現在約二千学級ほどございますが、これは知能の程度がおくれておるのでございまして、IQ七五から五〇程度の者を対象にしておるのでございます。これは来年度の予算要求では五百学級を要求しておるのであります。本年度二百学級の増加を認められましたので、さらにこれを来年は五百学級にふやして、それに必要な設備をしていきたい、こういうことでございまして、五カ年間には三万以上の市町村には必ず作るようにするし、また府県には養護学校を必ず一校は作るように義務制に持っていくべく努力しておるわけでございます。
  21. 横路節雄

    横路委員 特殊教育の問題についてもっとお尋ねをしたいと思うのですが、私の時間の制約もありますからこの程度にいたしておきますが、この点はせっかく文部大臣が来年度の予算の重点的施策だと言われるのですから、特殊教育の拡充強化についてどのようなお考えで三十五年度の予算要求をされているのか、その資料を一つ文教委員会にお出しいただきたいと思う。  次に大臣お尋ねをしますが、先ほど大臣から第二番目の件としてお話がございました、大学を初め各学校における科学技術の研究設備施設あるいはまた講座を設ける、こういう問題について一つお聞かせをいただきたい。
  22. 松田竹千代

    松田国務大臣 科学技術振興のためにまず一番要望されておりまするのは基礎科学の充実、これが何としても全体として科学技術振興させる基盤となるものであるから、これに対しては十分に力を尽くして参りたいと考えておるわけであります。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕 また研究費が非常に不足をいたしまして、戦前のピークにもまだはるかに及ばぬ状態でありまするので、この点については文部省としては相当飛躍的な考えを持って予算の要求をいたしておるわけであります。また、科学技術振興するために、どうしても人材の要求ということが必要となってくるのでありまして、これも八千人の人材を養成するということで年次計画でやって参りましたが、明年度は最終年度になりまするので、国立学校で千人、私立学校で千人という予定をして、これに対する要求をいたしておるわけであります。さらにまた高等学校中学校等における技術教育に要する設備、備品等に対しても強く正要求して参りたい、かように考えておるわけでございます。
  23. 横路節雄

    横路委員 できれば来年度の文教政策について、これらの問題を中心にたくさん時間をかけたいと思うのですが、この問題についてはまた次の機会にお尋ねすることにいたしまして、実は去る十一月の二十八日に、文部省は「地方教育費の調査昭和三十三会計年度、地方教育行政の調査昭和三十四年六月一日現在、中間報告書」を発表されておるわけです。今ここに私その資料を持っておりますが、これを見ますと、まず教育費全体について、この中間報告書の内容によりますと、国庫補助金が千四百十一億三千二百八十六万九千円、都道府県の支出金が千九百五十億八千三十八万四千円、市町村の支出金が千三十八億四千八百万円、地方債が九十九億八千八百六十一万、公費に組み入れられた寄付金が三十七億三千九百五十六万、公費に組み入れられない寄付金として、PTAの寄付金が百四十億三千七百二十二万、その他の寄付金が四十六億九千七百八十万というように出まして、その割合がパーセントで、国庫補助金が二三・九一、都道府県の支出金が四四・七九、市町村が二三・八五、地方債が二・二九、公費に組み入れられた寄付金が〇・八六、公費に組み入れられない寄付金のうち、PTAの寄付金が三・二二、その他の寄付金が一・〇八、公費に組み入れられない寄付金は四・三、公費に組み入れられた寄付金を入れると実に五・一、こういうことになっている。これはあなたの、文部省の出された資料によって私は実は今申し上げているわけです。  そこで、私は、PTA会費の問題全体についてちょっと文部大臣お尋ねをしたいのですが、その資料に基づきますと、公費に組み入れられた寄付金、公費に組み入れられない寄付金のPTA会費、それからPTA会以外の寄付金が小学校児童一人当たり六百十四円、中学校児童生徒一人当たり九百九十五円、高等学校生徒一人当たり実に四千三百九十五円、そういうことになっているわけです。  そこで、資料がありますから、私はPTA会の費用というものを、まず小学校の分について見たわけです。そうすると、消耗品費というものが、五億七千三百万、校舎の修繕費というのが四億円幾ら、図書の購入費というのが四億三千六百万、設備・備品費というのが実に十一億円になっている。中学校においても、PTA会費三十三億の内訳を見ると、備品費が五億八千五百七十万、図書が二億四千二百万、修繕費二億三千七百万、今度はそこには電気、ガス、水道、石炭代、薪炭代というような維持費が二億円、消耗品費が三億四千万、こういうようになっている。これは文部省からいただいた資料なんですよ。これは文部大臣、私はこのPTA会費の運用というものを、全国的なトータルを見て当然市町村が支出をしなければならないと思う。いわゆる校舎の修繕費だ、図書の購入費だ、あるいは教材、校具その他の備品費だ、消耗品費だ、こういうものが小学校においては五十五億円のPTA会費のうち実に二十五億円、これをその中に含んでいるわけです。本来からいえばこのPTA会費がこういう支出をしていることは私は大きな矛盾があると思う。これは明らかに、教育費が地方財政を圧迫しているために、市町村費においてやらなければならないものを、PTAが校舎の修繕だとか、教具の購入だとか、電気、ガス、水道、石炭、薪炭、そういうものまでやっている。これは一体どうですか、文部大臣。憲法に待つまでもなく、義務教育は無償だという、こういう当然国がやるべきもの、市町村がやるべきものを一切PTA会におぶさっているというのが今日の実態だと思うこの点について文部大臣はどういうお考えをお持ちですか、お尋ねをしたいと思うのです。
  24. 松田竹千代

    松田国務大臣 PTAにたよる費用が非常にかさまってきておるということは、かねてから私も承知いたしております。また、お示しのように、施設の一部修理費であるとかあるいは教材費、当然市町村または国が出すべきものをPTAにかぶせておるというようなことは事実あると私も思います。そこで、PTAの負担をどうしても軽減しなければならぬという考えで、明年度予算においては、たしか四十億と思いますが、それくらいの金を要求してPTA会の負担の軽減に資したい、かように考えている次第であります。
  25. 横路節雄

    横路委員 文部大臣お尋ねをします。実は教育費が地方財政に占める割合といいますか、非常に大きな割合を占めているわけです。五カ年計画すし詰め教室を解消するのだ、児童定数は減らしていくのだ——児童定数を減らすことは教育上非常な効果がある。しかし、問題は、定数を減らしていけば教室がふえるわけです。教室がふえてくれば地方財政を圧迫することは当然なんです。そこで、この義務教育学校施設について、御承知のように負担区分がきまっている。この負担区分について、前々から、市町村側としては、老朽校舎その他について今日の三分の一の割合を二分の一にしてもらいたい、こういう要望が強いわけです。当然市町村が負担すべき修繕費、教材、教具費、極端に言えば机や腰掛、そんなものまで買っている。ですから、すし詰め教室の解消はよい。しかし、老朽校舎については三分の一だ。そうすると、三分の二は当然負担しなければならぬ。だから、文部省としては、次の通常国会に、この義務教育学校施設費国庫負担法の一部改正案を出すべきだと思う出して市町村財政をできるだけ圧迫しないようにしておいて、市町村が当然負担すべき教材、教具その他について、これを市町村費で見て、PTA会の費用はPTA独自の運営の費用に充てるようにすることが大事だと思う。文部大臣に私は当然そのお考えがおありになると思いますが、いかがですか。
  26. 松田竹千代

    松田国務大臣 私は、地方財政を教育費が最も多く圧迫しているという事実は十分承知いたしております。私どもお互いいずれも選挙区を持っておるのみならず、いろいろの方面からの陳情によって見ましても、いかに教育費、特に学校施設地方財政の大きな負担となり、従って、施設そのものをことごとく国庫補助によらずんば起債をもってまかなっていかなければならぬ、こういう状態であります。また、そういうおもなるものに対して圧迫を受けて、そのために地方が借金をしていかなければやっていけぬというような実情でありますので、それがさらにさらにいろいろの点についても必然的に地方の末端の費用に対しても圧迫するということになってくるのは当然でありまして、これらの点を考えて、その負担の軽減をしていかなければならぬということは当然であると思います。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕 しかし全般の教育の状態を見まして、あちらにもこちらにもやらなければならぬことは山積しておるのであります。これを満たすためにどうするかということになりますと、これは根本的にやはり今の財政のあり方を変えていかなければなかなかできない。そのためにはやはり国民の所得がはるかにもっとふえてこなければこれを完全に満たし得るということはとうていできない。従って地方財政の負担といいましても、地方の自治体といっても、やはりこれは国の、国民の機関であり、国民の税金によって一切をまかなっていかなければならぬという建前からいたしますならば、地方といい中央というもこれは一つである。従って中央の国の財政はいかに健全財政であっても、地方が常に学校その他の問題について起債によらずんばいかぬ、常に赤字財政でやらなければならぬというこの建前からして変えていかなければなかなかできない相談である、かように私は根本的には考えておるわけであります。しかしこれは急にできないことでありますから、当面最も地方の困っておる点から漸次それを直していく方途を考えていかなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  27. 横路節雄

    横路委員 文部大臣、私がお尋ねしているのは、せっかく今文部大臣から来年度の重点的施策の第一は、義務教育の充実だ、それはすし詰め教室の解消なんだ、こういって小学校中学校についても昭和三十八年度には児童定数は五十名ずつにするのだ、こういうことになると、それはまことにけっこうである。われわれも賛成です。しかしそのことは同時に、すし詰め教室の解消はいわゆる市町村における教室をふやしていかなければならぬから、市町村財政を圧迫する。ですから、義務教育学校施設費国庫負担法の中に御承知のように第三条には、「公立の小学校における不正常授業を解消するための校舎の新築又は増築に要する経費三分の一」となっているから、これは当然中学と同じように二分の一にしなければなりません。さらに第六号には危険校舎、老朽校舎として「公立の義務教育学校の建物で構造上危険な状態にあるものの改築に要する経費三分の一」となっているが、これも同様に二分の一としなければならぬと思う。だからせっかく文部大臣がそういうふうに来年度の重点施策というならば、当然地方財政に対して圧迫を加えないようにするために、この負担法の第三条の第一号と第六号は当然次の通常国会には改正法を提出をしなければならない、こう言っておるのです。だから文部大臣、これは提出しなければならぬのです。そうでなければ文部大臣がおっしゃった三十五年度の予算編成における文部省の重点施策義務教育の充実、すし詰め教室の解消、それから地方財政に対する圧迫をしないということ、それとは矛盾をするのです。だからぜひこれはしなければならないと私は思います。だから文部大臣にその決意がおありですか、どうですかとこう聞いている。問題は具体的なんです。
  28. 松田竹千代

    松田国務大臣 法律を出すか出さぬかという点につきましては検討してみたいと思います。ただわれわれも現在の学校施設に対して三分の一の補助金を二分の一にせよという要請を強く陳情を受けております。またある学校においては二分の一になっているものもあると承知いたしておるわけでありまして、改良復旧工事をするというような場合にはそういうふうになっておると考えております。その点はやはり長期の起債に待って学校施設の充足をやっているというふうに現在ではやらざるを得ない、かように考えております。
  29. 横路節雄

    横路委員 この点は大臣に強く次の通常国会に——これは昨年の国会の解散前にある程度政府部内でも検討されて、大蔵省側でもこれについてはやや了解を与えて、解散の直前にはこの一部改正法案を出してもいいのではないかというところまでいった経緯があるはずです。これは直接私も大蔵省側とも折衝をいたしたのであります。そういう意味でせっかくの予算編成における重点施策の第一ですから、ぜひこの点は改正をしていただきたいと思う。  次に内藤さんに、幼稚園の総額の内訳を見ますと、国庫補助金が〇・二八%、都道府県の支出が一・六六、市町村の支出金が八七・七四、あとはPTA会費が七・四一、その他の寄付金が二・一ということで、幼稚園についてはとりわけ職員の給与その他を小学校中学校教員と同じように一本化してもらいたい、こういう要請があって、義務教育小学校以前の教育ではあるが、やはり一貫してやらしたいという希望が強いわけです。そういう点についてどういう考慮がなされておるか、簡単に一つ話していただきたい。
  30. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 幼稚園が小中学校の俸給表を適用しながら、実際は幼稚園の待遇が非常に悪いということはよく存じております。特に大都市はそうでございませんので、小さな町村では幼稚園の待遇が小中学校の先生に比してはるかに劣悪である。そこで幼稚園側からの御希望としては、ぜひ小中学校並みに市町村負担から県費負担にしてくれ、ところが現在県の財政も小中学校その他高等学校の人件費が非常にかさんでおりますし、幼稚園が義務制でないので、県費負担にすることについては自治庁にも大へん難色がございます。そこで私どもとしては何としても幼稚園の経費を財政上確保したい。ところが現在の交付税の制度の中では小学校費、中学校費、高等学校費その他の経費と四本立になっておりますが、幼稚園はその他の経費の中に一応算入されておることになっておりますけれども、ここに幼稚園の経費が明確にないので、私どもとしては、できればこの交付税の中に単位費用の中で、その他の教育費につきましては盲ろうあ学校並みにこれを幼稚園費、園児一人幾らという形で保証していただければ大へん幸いであるというので、実は自治庁と去年以来交渉しておりますが、実はまだ自治庁側の御納得を得られないので、今後も引き続いてこの点は努力いたしまして、幼稚園の市町村における経費を確保して待遇の改善に努力したいと考えております。
  31. 横路節雄

    横路委員 その点は文部省側において特段と努力してもらいたいと思います。  次に内藤局長に前々からここで答弁をしていただくことになっておりますので伺いますが、去る十一月十八日の文教委員会において質問しましたように、愛媛大学の教育学部長の井上氏が、十一月一日に宇和島市の教職員組合と宇和島市の校長会共催の教研集会に講師として頼まれた。その講演した内容について十一月七日、松山の南高校で開かれた県教委主催の教育長、教育委員の一日研修会で問題にされておる。どこか宇和島市の教育長ですか、教育委員長ですか、どなたかから何か提案があって、教育学部長が井上氏である限り来年度は卒業生は採用しないというようなことが論議された。こういうことになっておるわけですが、それが十一月十日の愛媛新聞によりますと、愛媛の県教組の書記長ら幹部が九日の午後県教委を訪れて、大西教育長らに対して、愛媛大学教育学部長の発言を地教委が問題にしているのは学問研究の自由に圧力を加えるものであると抗議した。ところがこれに対して大西教育長は、問題は市町村教育委員会から出たもので、連絡協議会がどのような態度を示すかは自主性にまかせたい。井上発言に対して県教委は何とも態度をきめていないが、地教委の話では井上学部長の発言は学問的な研究の発言ではなく、政治的な発言であったように受け取れた。さらに、これは十一月十三日の愛媛新聞ですが、愛媛の県教委では十二日の定例委員会で、この愛媛大学教育学部長井上氏の発言をめぐって、真相の調査に乗り出すことになった、こういうことであります。私は十八日にこれに対して質問をしまして、御承知のように井上教育学部長の講演の内容については私の方も記録を持っておりますが、そのうちの部分的なものですが、本委員会でこれを読み上げまして、これは国家公務員法にも、人事院規則にも、いかなるものにも何ら抵触するものではなくて、当然大学の教授として学問の自由も保障されているし、そういう意味でこれを愛媛の県教育委員会が真相調査に乗り出すとかいうようなことで、そういうことを調査の対象にすること自体が私は不当だと思うのです。しかしお話をしましたところが、内藤局長から、この問題についてはよく調査した上で後日本委員会で答弁をいたします、こういうことになっておりますので、延び延びになっておりますけれども、どういうことになっておるのか。宇和島市の地教委がそういうように決定したことはないと私は考えているのですが、そういうことがあったのかどうか。また愛媛の教育委員会は真相調査をやったというが、やったのならやったで一体どういう結論を出したのか、その点についておわかりであればここでお答えをいただきたい。
  32. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 お説のように、井上教授が十一月の一日に講演を行なったことは事実でございます。この講演の要領につきましても報告がきてりおります。そこで市町村の教育委員会が十一月七日に、市町村教育委員会連絡協議会の一日研修会で、この問題が取り上げられたことも事実でございますけれども、そのために井上教授の教えを受けた教育学部の学生を教員に採用しない、こういうような決議はしていないようでございます。ただそのときに今お話のように、井上教授の発言は終始日教組の顧問講師として学問的な研究というよりは政治的な傾向が強かったということは言われたようでございます。  それからこれに対して県の教育委員会がとった態度といたしましては、一応その当時の事情を調べたというだけでございまして、別段これに対して結論を出しているわけではございません。大西教育長がお話しした事柄もここに出ておりますが、愛媛県については、愛媛大学の学生を従来からも優先的に採っている、今後も採りたいと思っている、ただ人物、学力その他において、教員として非常に不適当な者があればこれは採用したくない、こういう意味でありまして、決して愛媛大学の学生を愛媛県の教育委員会が採らないというような意思表示は何らしていない、こういうことでございます。
  33. 横路節雄

    横路委員 文部大臣お尋ねをしたいと思います。これは十一月二十九日の岡山で発行されている山陽新聞ですが、その記事として、去る十一月二十八日自民党の愛媛県連は、桐野という幹事長ら十五人が集まって幹部会を開き、最近問題になっている愛媛大学教育学部長井上教授の発言事件を重視して、井上教授の思想的影響が教育現場にどう現われているか、また学生にどう影響しているか、愛媛大学教育学部学生の採用に際して、厳重に思想動向を調査するよう県教育委員会に要請する強い方針をきめた、こういうことが出ておる。そしてその桐野という幹事長の話として、「井上愛媛大学教育学部長の思想は容共的である。これでは教育現場の学校児童生徒がどう影響されるか考えてみても恐ろしい。学生がどう思想的影響をうけているか調べてみる必要がある。中立であるべき教育があまりにも左傾化しつつあることを心配している。」こういうことが出ているが、これは個人の発言です。しかしこの二十八日に愛媛県の自民党の県連の幹部諸君が集まって、そして県の教育委員会に申し入れをきめた。しかも井上教授の思想は容共的だと言っている。どこが容共的だか、私はあとで読み上げてお話をしたいが、学生がどう思想的影響を受けているか調べてみる必要があると言って、調べろという要求をしたわけです。それで文部大臣は自民党の党員であり、また岸内閣の文部大臣として、こういうことが平気で行なわれて——これこそ憲法によって保障されている、思想及び良心の自由はこれを侵してはならないということを平気で侵しているわけです。この点については文部大臣どうお考えになりますか。
  34. 松田竹千代

    松田国務大臣 私は愛媛県連が井上教授の思想について、容共的思想であるからけしからぬと言って注意をしたというようなことは聞いておりませんが、お話を伺いますと、どの教授がどういう思想を持っておろうとも、その思想を取り締まる、あるいはそれを押えるといったような行動は、私はとるべきものでないと考えております。
  35. 横路節雄

    横路委員 大臣のお考えは全くその通りだとわれわれ考えております。しかし文部大臣がそういうようにお考えになられており、憲法において思想及び良心の自由はこれを侵してはならないということが厳として存在しているのに、現実には自民党の愛媛県連は、こうやって愛媛県の教育委員会に圧力をかけている。これはまさに不当な圧力だと私は思う。実は井上教授の言葉の中にこういうことがある。「戦後の教育政策として、文部省は日教組対策に終始している。」これは気に食わないところでありましょうが、井上教授はそう言った。また、「一体日教組を押えつけようとしているものはたれか、それは文部官僚ではない。文部省を動かすものは自民党である。」こう言っている。これもおそらく愛媛の自民党県連の諸君は腹が立つであろうと思うけれども、実際には力関係からいってそうなっている。これはまさに教育における不当な支配なんです。これが今日の自民党のあり方なんです。しかし松田文部大臣がそういうように本委員会で答弁されたことは、私はこれから全国の自民党に非常によき影響を与えるであろうと思うのです。  次に内藤局長お尋ねをしたい。ところが大西教育長はさらに談話を発表して、「自民党からの申し入ればまだないが、現在の学生の思想状況を調べるのは県教委ではむずかしく、おそらく教育現場における教師の思想的傾向を調べよということだろう」こういうように言っておる。なるほど大西教育長も、愛媛の大学に行って、愛媛大学の学生の思想調査というものはやれるものじゃないということを知っている。しかしそこの卒業生である教師が、現場でどういうような思想的動向にあるかということを調べよということであろうと言って、私は断固拒否するとは言っていない。こういう考え方で都道府県の教育委員会がやるということは、これは都道府県教育委員会のこれらの人々は、一体憲法にあるそのことを知っているのでしょうか。内藤局長は直接指導、助言をなす立場におありの人だから、そういう意味で、この大西教育長が、教育現場における教師の思想的傾向を調べよということであろうと、いかにも調べなければならないかのようなことを言っていることは明らかに不当だと思うので、これこそあなたの方で指導、助言をしなければならない。この点はいかがですか。
  36. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 今あなたが新聞を引き合いに出されて、大西教育長がそういう発言をしたかのようにおっしゃいましたけれども、私はそういうことはないものと思っておるのですが、さらにこの点は、大西君からの報告にはその点が載りておりませんので、あらためて問いただしたいと思います。かりにそういうことがあるとすれば、これはお話の通り教職員の思想傾向を調査するということは行き過ぎもはなはだしいと思っております。
  37. 横路節雄

    横路委員 今の内藤局長の答弁で一応私は了解しておきます。この問題は決して今後これで終わりはしないのではないか。先ほどちょっとあなたからお話があったように、いわゆる教育学部の生徒を採用する際に、採用しないとは言わない、しかし優秀なものとか何とか条件をつけで、間々こういうことが行なわれはしないかという心配がある。実は先ほどの愛媛大学の教育学部長の井上氏のことについて、あなたからは別にあれ以上の御答弁がなかったから、私はほんとうはもっとあなたと論議をしようと思っておった。それは十一月十八日に内藤局長はこういうことを言っている。人事院規則の中における「政治的行為の中には、国の機関または公の機関において決定した政策の実施を妨害する、この見解が妨害をするような意図を持っておったかどうかという点にも私は問題があろうと思います。ですから単に政府の政策を批判したことがどうのこうのということではございません。」、この間最後は少しがやがやしておったのですが、速記録を見たらあなたはそういうことを言っている。そうすると、政府の政策について批判をするということについては学問の自由というような立場において保障されている、こういう意味ですね。その点だけお尋ねをしておきたい。
  38. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 さようでございます。
  39. 横路節雄

    横路委員 この井上教授の問題について質問はこれで終わりたいと思うのですが、実は愛媛の井上教育学部長の問題はこの問題に端を発したのではないのです。昨年の八月一日愛媛の県教育委員会が主催をしたいわゆる研究集会において、愛媛大学の教育学部の田川という助教授が、バスで来る講習生におりて話し合いをしませんかと言ったということが愛媛の教育委員会で問題として取り上げられ、それが文部省にきて、文部次官が学長を呼んで、そしていろいろ指示を与えて、今日これは戒告処分になっているわけです。実はきょうは大学局長にここに同席願って、これは文部大臣の就任以前の問題でありましたから、その問題の経過をお話して、大学局長に見解をお尋ねし、さらに文部大臣にもお尋ねをしたいと思ったわけです。これはきょうから十日まで松山市において人事院の公平局長が行って公開審査をやっている。ですから、ほんとうから言えば、その問題をお聞きしたいと思ったのですが、きょうは大学局長がどうしても午前中に他に急用があってということなんで、この問題をここでいろいろお尋ねしたいと思いましたが、次の機会にこれはぜひ一つお尋ねをしなければならぬと思っている。おそらく大学局長の見解は、この田川という助教授がいわゆる戒告処分になったのは、内藤局長が前段で言っている「国の機関または公の機関において決定した政策の実施を妨害する、」という、あるいはこれは政治的目的の中における第七項でしたか、これを取り上げてのことだろうと思いますが、この問題は次の機会に譲りたいと思う。文部大臣もこの問題については、ぜひ一つ御調査いただきまして、次に御答弁いただきたいと思う。  次に、私は文部大臣に一つだけお尋ねして、あとは他の委員の方にかわりたいと思いますが、これはきょうの新聞、おそらくはかの新聞でも出ているだろうと思うので、私は読売新聞を持って参りましたけれども、この中に「大野自民党副総裁は三日午前の自民党七役会議で先に岐阜県会が『日教組』」——これは日教組ではなしに岐阜県教組だろうと思いますが、「『日教組の専従制限に関する県条例』を可決した件につき報告を行ない全国初のケースとして党幹部の注意を喚起した。この結果七役会議としては日教組対策として勤評問題と同様きわめて画期的なものであるとして近く全国各都道府県に対し専従制限の条例の制定を推進する方針を決定した。」と書いてある。これは大へんなことです。これなればこそ先ほどから私が言っているように、井上教授が言っているように、今日この戦後の文部省の教育政策は日教組対策に終始している。ほんとうにその通り真実を言っているわけです。そうして日教組を押えつけようとしているものはだれか、これは文部官僚ではない、文部省を動かす自民党だ、こう言っている。こういうことを一々七役会議できめて、そうして都道府県の自民党の支部、県議会、議員団、あるいは支部連合会に通達を発して断固やれ、とこういう指示は、私は明らかに教育に対する政党の不当な支配だと思う。私は文部大臣は、こういうことについては御賛成ではないと思うわけです。これはきのう参議院の文教委員会でいろいろ論議もされたでございましょうけれども、これから堀委員大原委員からこの問題についてはさらに詳細にお尋ねしますが、このことは教育に対する不当な支配です。こういうことは断固として排除することが文部大臣のなすべきことだと思うのです。これに対する文部大臣のお考えを一つお述べいただきたいと思います。
  40. 松田竹千代

    松田国務大臣 きのう七役会議において大野自民党副総裁は、岐阜県において専従制限を目途としての県条例を通過せしめたということを披露したという話をしたということでありました。そして私はそのことを新聞記者の一人から告げられたので、私は直ちに大野副総裁を総裁室に尋ねて、あなたはこの専従制限の条例について関係したのか、そんなことはない、それで私も副総裁はまさか県の問題なんかにくちばしをいれることはない、こう思っておったが、確かめに来た、直接そういうことは全然ないということでありました。それから川島幹事長にも会って、七役会議でこういうことをきめたということであるが、それは事実か、そういうことならば僕も自民党の党員であるから、そうして文部大臣を承っているのであるから、一応僕に話をしてもらいたいということを言ったところが、何もきめたということではない、大野副総裁がたまたま七役会議に来て、そうして雑談的に、岐阜県ではこういうことをやったよ、どうだというような調子で話をされたということである。それで、じゃ七役会議できめたんじゃないんだねと言ったら、そういうことはきめたわけではない、ただ、ああそれはよくやったね、そういう声がおのずから出た、それはおれも賛成だというような人もあったということであったわけであります。七役会議で決定して各府県の府県連に通達してこれを奨励するとかいうような、そういうような行動をとったことは——そういうきめ方をされたのではないということを私は承知して、それで引き下がったわけであります。
  41. 横路節雄

    横路委員 そうすると、今の文部大臣お話では、文部大臣としては、こういうことをきめて、そうして各都道府県の自民党の支部連合会あるいは県会議員団等に、こういうようにやれというような指令をしてやることは、先ほど私が言ったように、教育行政に対する政党の不当な支配だ、こういう点から守ってあくまでも教育の中立性を堅持するためには、文部大臣としてはこういうことについては反対である、こういうことですね。その点明らかにしていただきたい。
  42. 松田竹千代

    松田国務大臣 私はできるだけ教育上の問題は教育上の問題として解決したいし、また教育の中立性をあくまでも守っていきたい、かように考えております。
  43. 横路節雄

    横路委員 私は文部大臣の答弁をぜひそのまま将来とも貫いてもらいたいと思います。実にひどいですよ。私もここに条例の抜粋されたものを持っておりますが、「岐阜県職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する条例」この提案理由に——大臣もお聞きになっただろうが、重ねて聞いていただきたい。「提案理由、「国家公務員の例に準じて、特殊勤務手当として、死体処理作業手当及び種牡牛取扱作業手当を支給するため、並に法例整備の一環として職員の給与、勤務時間、休日等に関する条例を整備統合するためこの条例を定めようとする。」これが提案理由なんです。聞いている方はこれは死人を片づける死体の処理作業手当だと思っていた。また種牛の取扱作業手当と思っていた。こういうのが提案説明で、本会議終了のわずか三分前に提案してさっとそのまま通している。これが地方における多数をたのんだ、私はまさにファッショ的なやり方だと思う。これはぜひ一つ御承知おきを願いたいと思うのです。  私はこの点を職員局長お尋ねをしたいと思いますが、地方公務員法の二十四条の第五項に「職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当っては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」こういうようにあります。そこで、「国」となっておるから、国の方は人事院規則の十五の三に、今ここで問題にしている点——これは条例の中にございますが、四十一条の第三項に「専従休暇の期間は一日を単位として一年を越えない範囲内とする。但し、三年を越えない範囲内で、これを更新することができる。」この点が第一点。この点は人事院規則の十五の三のどこにもない。こういうことはさらに附則の経過措置の五番に「この条例施行の際、現に与えられている専従休暇の期間終了後一年は、この条例の規定による。改正後の岐阜県職員の給与、勤務時間、その他の勤務条件に関する条例第四十一条第二項中「千」とあるのは「七百」とよみかえるものとする。」そうして、第四十一条第二項に、「専従休暇を与えることのできる職員の数は、職員団体の構成員となることのできる職員の総数を、千で除して得た人数を越えることができない。」ですから、第四十一条の二項と三項は、一方は千で除した、一方は三年を越えてはならない。そうすると、地方公務員法第二十四条第五項の、先ほど申し上げた国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失してはならぬというその「国」は、人事院規則の十五の三を受けている。私は明らかにこれは不均衡である、均衡を失しておると思うが、職員局長の見解はどうですか。
  44. 矢倉一郎

    ○矢倉説明員 国家公務員の関係についてお答えを申し上げたいと思いますが、淺井総裁が本文教委員会においても過般質問に対して答えておりますが、大体現在の国家公務員に関しましての実態からいきますと、国家公務員の職種は非常に多くて、しかも機関の構成人数におきましても実はいろいろな機関がございますので、そういう観点から人事院規則では、現在公務に支障のない範囲において専従休暇を与えることになっております。従って、現在の国家公務員の実態からいきますと、特にこの際に人数制限あるいは期間更新制限をやるということには考えておらないという答弁をいたしておりますので、現在においても大体その状態においては人事院は変わっておらないのでございます。
  45. 横路節雄

    横路委員 私の質問はこれで終わりたいと思うのです。委員長にお願いいたしますが、先ほど申し上げましたように、愛媛の田川助教授の問題は次の機会に大学局長の御出席をいただいて、文部大臣にあわせて質問したいと思います。  なお、先ほど文部大臣からお話をいただきましたが、これは今日一番問題になっている教育が政党の不当な支配に屈することなく、あくまでも教育の政治的中立を確保する。これはただ単に義務教育学校に勤務しておる教職員に与えられただけの問題ではないと思うのでありまして、先ほど大臣の御答弁にもありましたが、ぜひ一つその所信は貫いていただきたいということを申し上げまして私の質問を終わります。
  46. 大平正芳

    大平委員長 堀昌雄君。
  47. 堀昌雄

    ○堀委員 私、ただいま横路委員がお述べになっております岐阜県における県条例の制定によりまして、教職員組合の専従者を制限するという問題について伺いたいわけでありますが、少し具体的な問題についていろいろと法制局の見解も伺って参りますので、一つ大臣にお願いしておきたいことは、いろいろな問題の中で、私はやはりこういうきめ方は違法ではないかという感じを持っておりますので、それについて大臣にも集約的な見解をお伺いしたいと思いますので、そのおつもりで一つ経過を聞いておいていただきたい。  最初に内藤局長に伺いますけれども、現在結核によって長期療養しております休職になっておる教員というものは、私が見ておりましても相当多数にあると思うのですが、これは大体全職員の何%くらいに現在当たっておりますかお答えいただきたい。
  48. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 大体一%で約五千人でございます。
  49. 堀昌雄

    ○堀委員 次に、現在各地方教育委員会で指導主事が置かれておると思うのですが、この指導主事の中で県の職員の定数内で置かれておる者があると思いますけれども、それの全体に占める比率は大体どのくらいになっておりましょうか。
  50. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 大体千人に一人ということで、四百六十程度認めております。
  51. 堀昌雄

    ○堀委員 県の定数の範囲内で教壇に立っていない教員というものは、現在専従者として認められておる者と、それから今の結核による療養者と、それから指導主事、大体これだけではないかと私は思いますが、ほかにも何かありましようか。
  52. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 ほかにはないと思います。
  53. 堀昌雄

    ○堀委員 専従者は、今全体としては何名くらいになっておりますか。何名くらいというよりもパーセントで伺った方がいいと思うのですが、パーセントとして全教員のどのくらいになっておりましょうか。
  54. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 ちょっと先ほどの私のお答えでございますが、結核の場合は休職でございますので、休暇扱いをいたしておりませんので、この点が違っております。それから専従者の例は、全国平均で大体六百人に一人くらいになっております。
  55. 堀昌雄

    ○堀委員 指導主事は、これはどういう形で職場を離れておるのでしょうか。これはやはり一種の休暇をもらっておるのですか。指導主事が教壇を離れてそのような勤務につき得るという法律的根拠は、一体どこにあるのでしょうか。
  56. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 これは法律に現場の先生が教員の身分のままで指導の任に当たるという規定でございますので、この規定に基づいておるわけでございます。
  57. 堀昌雄

    ○堀委員 そういたしますと、この指導主事につきましての給与は、地方教育委員会の負担であるということでございますか。
  58. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 都道府県の負担で、これに対して二分の一国庫負担をいたしております。
  59. 堀昌雄

    ○堀委員 次に、専従者の数を制限しようという問題が八月の都道府県教育長協議会か何かで出てきたわけですが、この人たちが専従者の数を制限したいという理由は一体どこにありますか。
  60. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 専従者を制限しようという動きは昨年から出ておったわけでございます。昨年は、都道府県教育長なり委員長協議会から専従者制限をしろという一般的な要望が出ておりました。それで、最近の日教組の活動を見ておりますと、給与の改善とか勤務時間その他の勤務条件に関する問題というよりは、むしろ勤評の絶対反対とか、あるいは道徳教育の阻止とか、あるいは教育課程絶対反対、こういうふうに政府あるいは教育委員会施策に対してことごとに反対しておる、いかにも政治的な運動のように見受けられる、それはどこからきたのだろうかということが検討されたわけであります。淺井総裁の御答弁によりますと、国家公務員は二千五百人に一人で、大部分の者が一年ないし二年で交代しておる。それから地方公務員も千二百人に一人だ、そして大部分が一年ないし二年だ。ところが日教組の実態を見ますと、非常に数が多い。特に六百人に一人というのは非常に多過ぎはしないか。日教組が団体交渉権を持ち罷業権を持った組合発足当時でも、大体千人に一人ということであった。その後人事院なり、地方には人事委員会ができて職員団体にかわって、今日給与とかあるいは身分保障は一応できておるにもかかわらず六百人というのは多過ぎるのではなかろうか、発足当時の職員労働組合であったときの千人に一人ぐらいが妥当ではないだろうか。  それからもう一つの問題は、こういうように政治闘争が激しいという点は、やはりあまり長くおって組合がプロ化しておるのではなかろうか、いわゆる組合運動家というものが特定なイデオロギーのもとに指導をしておるのではなかろうか、ということが懸念された。そこで任期の点を見ますと、大体三年以上勤めておる者が三十八人でございます。十年以上勤めておる者も十数名おるというような状況で、他の公務員とは非常に違った構成になっておる。そこにこういう過激な活動の根源があるのではなかろうか。そこで教育長協議会なり、委員長協議会は千人に一人、それからできるだけ数を少なくして、現場の教育力を充実したい、同時に期間もなるべく短かくして現場復帰を容易ならしめよう、あまり長くいたしますと、教育内容も改正されるし、いろいろと教育上不便もあるし、また現場の方もあまり長い人をとりにくい、こういうような状況でございますから、なるべく新陳代謝をよくした方がいいのではなかろうか、こういう点で要望が出たわけですけれども、特に国家公務員、地方公務員との関連もありますから、政府において十分この問題を検討してほしいという要望が出たわけでございます。
  61. 堀昌雄

    ○堀委員 その次に、専従者を認められておるのですけれども、専従者を認めている法的根拠というものは、あなた方は何だというふうに考えておりますか。
  62. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 これは非常に明確にはなっておりませんが、国家公務員法あるいは地方公務員法によりますと、給与を受けながら職員団体の事務をしてはならない。この規定が法律上ある唯一の個所でございますが、大体国家公務員、地方公務員については職員でなければ組合の役職員になれないという解釈をしておりますし、これは人事院規則でもそうだし、地方公務員法でも同様な見解をとっております。従って、職員以外の者は職員団体の構成員になれないという限定がありますので、専従というものを認めざるを得ないと思うのであります。
  63. 堀昌雄

    ○堀委員 専従者を認める機関というのは、どこが専従者を認めるということになっておりますか。
  64. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 これは国家公務員の場合は人事院規則、地方公務員の場合には条例によって、公務に支障のない限り、一日を単位に一年を限って許可することができる。かようになっているわけであります。
  65. 堀昌雄

    ○堀委員 それはわかっておるのですが、専従者が休暇を願い出るのは、私は地方教育委員会に対して願い出るのではないかと思います。そうすると服務監督者であるところの地教委がそれを許可するというふうに現在なっておるようですが、大体そういうふうに解釈してよろしいのですか。
  66. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 さようでございます。
  67. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると専従休暇というものは、やはり過去の慣例もあったし、この五十二条の五ですかの解釈から見ても、専従休暇というのは一応認めるという建前があるわけですが、専従休暇を認める以上はそれに何らかの意味がなければならない。認める理由といいますか、それはあなた方はどういうふうに考えておりますか。
  68. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 これは、職員の給与、勤務時間、勤務条件を改善するために当局と交渉する。要するにそういう職員団体の活動をよくして、地方自治体の職務能率の向上をはかるのが趣旨だと思っております。
  69. 堀昌雄

    ○堀委員 今後段でお答えになったのは、地方公務員法の第一条に関連があると思うのですが、地方公務員法では今おっしゃったように、「この法律は、地方公共団体の人事機関並びに地方公務員の任用、職階制、給与、勤務時間その他の勤務条件、分限及び懲戒、服務、研修及び勤務成績の評定、福祉及び利益の保護並びに団体等人事行政に関する根本基準を確立することにより、地方公共団体の行政の民主的且つ能率的な運営を保障し、もって地方自治の本旨の実現に資することを目的とする。」この考えに立って大体専従休暇を認めておる、こういうことに相違ないわけですね。そういたしますと、第五条にきて「地方公共団体は、法律に特別の定がある場合を除く外、この法律に定める根本基準に従い、条例で、人事委員会又は公平委員会の設置、職員に適用される基準実施その他職員に関する事項について必要な規定を定めるものとする。但し、その条例は、この法律の精神に反するものであってはならない。」こういうふうに書かれておるわけです。そうすると地方自治体が条例を設定するについても、少なくとも今の第一条の精神に反するような形のものは条例として設定するわけにいかないのじゃないかというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。
  70. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 それはその通りでございます。
  71. 堀昌雄

    ○堀委員 ここからちょっと法制局の方にお伺いいたしたいと思います。実は今度の問題の発端になっておりますのは、文部省の方と自治庁で照会をされましたことに対して法制局が、昭和三十三年七月三日法制局一発第一九号で回答しておられる問題が、大体今度の条例を定める問題の発端になったと私どもの方は考えておるわけです。そこで実はこの法制局の見解を拝見しますと、非常に抽象的な問題が提起をされて、それに対してきわめて抽象的な回答をされておるように私は見受けるわけです。そこでちょっと法制局に最初に伺っておきたいのは、やはりただいま内藤局長が申されたように、職員団体というものが地方公務員法で認められておるということは、少なくともやはり今の第一条の関係で認められておることである。そうすると、その職員団体を認めかつそれに専従者を認めておるということは、その見方として二つの面があると思うのです。一つは集団的な労働関係としての面があるし、一つは個別的な労働関係の面があるというふうに私は考えるのですが、その点はいかがでしょうか。
  72. 山内一夫

    ○山内政府委員 今の集団的な関係と個別的な関係というものを、もうちょっと御説明を承りたいと思います。
  73. 堀昌雄

    ○堀委員 集団的な関係というのは、たとえば教育公務員たりとも私はやはりある意味では労働者だと思うのですが、労働者である以上は、憲法二十八条で「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」というふうにありますね。こういうふうな点から見るならば、この職員団体というものが、団結権という点から見れば集団的な労働関係だというふうに考えていきたいと私は思うわけです。これが第一点ですね。ところが専従休暇という問題については、それは制度としては集団的労働関係でありますけれども、それを受ける者の立場から見るならば、これは個別的な労働関係だというふうに私は考えるのですが、そこのところはいかがでしょう。
  74. 山内一夫

    ○山内政府委員 地方公務員が両面を持っているという先生の御説明は、私もそうだと思います。
  75. 堀昌雄

    ○堀委員 そういうことになりますと、専従者を従業員の中から認めるということは、集団的労働関係における一つの制度を設定するということです。ですからこの問題は、見方によると立場が二つあると思います。経営者というか管理者というか、管理者の側から見る場合と、それから労働者といいますか被用者といいますか、その側から見る場合と、二つの問題があって、そこにはおのずから要求がある。ある程度のバランスが必要になってくることは、それはあると思いますけれども、しかしそういうバランスが必要であるということは、それは経済的な条件がまず第一の問題ではないか。これは一般の労働組合で考えてみますならば、専従者を非常にたくさん出したいということがもし起こるなら、その企業としては、この専従者に企業が給与を払っているなら、会社の企業に携わらない者に対して給与をたくさん払うということは経営上おもしろくないという問題が一つある。しかし逆の面から申しますと、専従者をなぜ認めるかというと、そういう労働組合というものが作られて、いろいろな勤務条件その他の問題について個々別々に交渉することは近代的な労使関係では困難であるから、それを代表する形のものを選ぶということは、こういう企業にとってもプラスの面と、マイナスの面というものが出ているのです。これは逆に労働者の側からいっても同様な問題があると思うのです。だから給与を会社が払っている関係においてはそういう考え方があるけれども、給与を払っていないという段階になりますと、そういう問題はちょっと変わってくるのではないか。給与は組合が持つ、その仕事は会社との労使関係の中の仕事をやる、そのこと自体は決してこの専従者が労働者のためだけにあるのではないと考える。というのは先ほどお話しになったように、地方公務員法でいっても、職員団体が認められ専従者が認められることは、地方自治体の中の行政の民主的かつ能率的な運営のためにあるということになっているのですから、そういう形から見るならば、地方自治体のプラスになり、会社でいうならば会社はプラスになる。両面の作用を専従者は持っているのであって、その場合に、一方的にこれを片側だけの問題として見るのではなくて、やはり集団的労働関係の一つの制度として見るならば、これは労働者側の当然の権利である、こういうふうに私は考えたいわけですけれども、そこはどうでしょうか。要するにあなた方は、今の問題は専従者というものの数に関係してくる問題ですけれども、数に関係するということは私はその集団的な関係だと思うのですが、どうでしょう。
  76. 山内一夫

    ○山内政府委員 集団的な側面があるということは、これは私は否定できないと思います。今の先生の御質問に対しては一応そうお答えしておきまして、あとからまた御質問があれば……。
  77. 堀昌雄

    ○堀委員 次に個別的な問題ですが、この皆さんの方の見解を拝見しておりますと「意見」として「お尋ねの問題は、積極に解する。」「理由」として「法第二十四条第六項にいう職員の「勤務条件」とは、労働関係法規において一般の雇用関係についていう「労働条件」に相当するもの、すなわち、同条項に例示されている給与及び勤務時間のような、職員が地方公共団体に対し勤務を提供するについて存する諸条件で、職員が自己の勤務を提供し、又はその提供を継続するかどうかの決心をするにあたり一般的に当然考慮の対象となるべき利害関係事項であるものを指す、と解するのが相当である」こういうふうに答えられておりますが、これはそういう意味の私の考え方からすれば、被用者の側に立っての個別的なものの考え方だというふうに考えますけれども、そこはどうでしょうか。
  78. 山内一夫

    ○山内政府委員 この労働条件と申しますか、公務員法の関係では勤務条件ということになりますが、それが職員の個々にどういう影響をもたらされるかということで、何が労働条件になり勤務条件になるかということを判断することにこの意見ではなっているという先生の御指摘は、そうだと私も思います。
  79. 堀昌雄

    ○堀委員 要するに個別的な関係において被用者の側からものが見てある、こういうことでよろしいのですね。  次に、「ところで、職員が職員としての身分を保有しながら、職員団体のためもっぱらその事務を行い、又は活動する結果地方公共団体に対し勤務を提供しないこととなることが認められるかどうかの点はもとより、それが認められる場合には、どのような要件のもとに、どのような限度で認められるか、その場合当該職員は地方公共団体から給与を受けることができないことのほか、どのような地位又は権利を有するか等それを許容するについての諸条件として例示されているお示しの事項が、職員が地方公共団体に対し勤務を提供するについて存する諸条件であることは疑いのないところであり、職員団体が職員の勤務条件の改善その他職員の利益を保護するうえに重要な機能を有しており、かつ職員団体のためもっぱらその事務を行い、又は活動する職員の存在が認められるかどうかは職員団体が右の機能を達成するうえに影響するところがすくなくない」こういうふうにあるのですが、ここでも書かれておることはやはりこの専従者になる者の立場から、その者についての利害関係をおっしゃっておるのだというふうに私は考えるのですが、そこはどうでしょうか。
  80. 山内一夫

    ○山内政府委員 その通りだと思います。
  81. 堀昌雄

    ○堀委員 そのあとずっと読んでみますと「職員が自己の勤務を提供し、又はその提供を継続するかどうかの決心をするにあたり一般的に当然考慮の対象となるべき利害関係事項でないとするいわれはないであろう。してみれば、地方公共団体において職員が職員団体のためもっぱらその事務を行い、又は活動するための休暇を許可するについてのお示しのような諸条件を定めることは、すなわち法第二十四条第六項にいう「職員の……勤務条件」を定めることにほかならないといわなければならない。よって、お尋ねの問題は、積極に解する。」こうあるのですが、この考え方の基本は、要するに専従者になる人の立場を考えて、その人たちが自分でいろいろと地方公共団体に勤務するについて、将来にわたって不利益をもたらすことのないようにそれを保護するという建前に立って回答されていると思うのですが、そこはどうでしょうか。
  82. 山内一夫

    ○山内政府委員 この意見の関係では専従者となる人のその立場を考えた趣旨でございます。
  83. 堀昌雄

    ○堀委員 その次に、そこで大体この御回答になったことは、専従者を制限しようとする、要するに管理者側から見た方向で回答がされておるのではなくして、要するに専従を願い出る者の利害関係を中心としておる通達であるということは間違いありませんね。
  84. 山内一夫

    ○山内政府委員 さようでございます。
  85. 堀昌雄

    ○堀委員 その次に、憲法二十八条でさっき私が融れましたが、その二十八条が地方公務員法の中で具体的に表わされておる条項というのは、大体どの部分に関係を持ってくるでしょうか。
  86. 山内一夫

    ○山内政府委員 五十二条以下だったと思います。
  87. 堀昌雄

    ○堀委員 法制局の見解では地公法の五十二条以下に置かれておる職員団体その他については、憲法二十八条との関連において考えられるということでありますので、これを確認をさせておいていただきたいと思います。  そこでもう一つ伺いたいのは、これは岐阜県で問題が起きたのですが、岐阜県のあれをちょっと見たいのですが、岐阜県で、職員団体の業務にもっぱら従事する者には職務に専念する義務の免除ということで条例が作られておる。その条例は「地方公務員法第三十五条の規定に基き、職務に専念する義務の特例に関し規定することを目的とする。」そういうふうに出ておるのですが、要するに義務に専念する者の除外例として、専従許可を認めるという条例を作っておるわけですが、地方公務員法二十四条の六項でやれということを積極的に解するということになっておるのですが、そうすると、これは三十五条の方でやるというのは間違いかどうか、そこはどういうふうになりますか、三十五条の職務に専念する問題と、それからこの二十四条の六でやるとの相違を一つ伺いたい。
  88. 山内一夫

    ○山内政府委員 地方公務員法の三十五条と二十四条六項との関係でありますが、これは間違いか間違いでないかという結論を先に申し上げる前に、ちょっと御説明申し上げたいと存じますが、地方公共団体が公務員の規律をするその事項というものは、本来的にいいますと団体事項でありまして、条例の所管事項だと私は思います。それで、そういう職員に対する規律を提示する、その提示する法の形式というものは条例であるということは、憲法上、さらに地方自治法と、こういう段階にできておりまして、本来的には条例が所管としているところの事項だ、こういうふうに私ども理解しております。  そういう条例と、それからもう一つ条例できめなければ、そういった法規的なものでない。普通の特別権力関係に属する規律が規則でもできる、そういう意味で職員に関する事項が条例ないし規則との競合的な所管事項になる可能性がある。それを地方公務員法が条例でやれ、こういうふうに法の形式を縛っているという形だというふうに私ども理解しておるわけです。ですから勤務条件を条例で定めなければならないといいますと、勤務条件の規定というものは条例でなければいかない、こういうふうになる。それから三十五条の方へいきますと、条例に根拠がないと職務専念義務を免除することはいけない、こういうふうな考え方になるわけであります。ですから当該の職務専念義務なり勤務条件を提示するその条例が、三十五条なり二十四条の六項なり、どちらかの規定によって授権されているとか、そういう考え方は私ども本来持っておりません。ですから、三十五条の条例、二十四条の六項の条例というふうに、授権の根拠をここで明らかにする必要は私どもはないのではないか、かように思っております。
  89. 堀昌雄

    ○堀委員 私はそれは非常に問題があるところだと思います。だから私が今まで伺った中で問題がありますのは、三十五条は「法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。」というので、管理者の側が被用者の側に対して規定している法律なんですね。二十四条の六項というのは、さっきから御質問を申し上げているように管理者の方がきめる方じゃなくて、被用者の側に立っての権利を明確にしてやることによって、被用者の利益を守ろうという側から出ている法律なんですよ。そういうことになると、あなたのおっしゃったように、どっちによってもいいということじゃないわけなんです、本質的な問題は。一体制限をするという問題は管理者側の問題なんです。被用者の側から、制限して下さいというための条件を作ってくれなければ自分たちは専従にならないという問題じゃないのですから、本来の専従を法律的に制限しようということが——それがいいとか悪いとかいう問題は別として、法律的に制限をしようというのなら、それは少なくとも管理者の側からの立場に立って、法令を根拠にしてそれを広げていく格好でなければならないのじゃないか、そういうふうに私は考える。ところが皆さんの方は、さっきのお答えの中であったように、被用者の側の利害事項に関して、この人たちの権利を守るために二十四条の六項というものがあって、それに基づいてできる法律というものであるならば、そのような格好でなければならない——ところが岐阜県が今度こういうものを新たに作ってきた。すでに岐阜県では、昭和二十六年三月二十六日岐阜県条例第四号で、専従許可を認めることについての条例がはっきりある。あるにもかかわらず、皆さんの方からのこういう非常に抽象的な見解をもとにして、管理者側は制限をする、要するに被用者側の利害事項じゃなくて、管理者の側の利害事項に基づいて問題が提起されているという点は非常に条例自体として問題がある。あなたの今おっしゃったような形でどっちでもいいということにはならないと思う。ちゃんとその場合には三十五条にあるにはあるが、その上に重ねて出てきたということは、二十四条の六項によって出てきたということが明瞭なんです。そこはどうですか。そんなふうにあいまいなものですか。
  90. 山内一夫

    ○山内政府委員 あいまいということではなく、私の申し上げますのは、今の専従職員の条件を定めることは、その条例の制定権というのは地方公務員法の二十四条六項あるいは三十五条に置いてある、そういう考えではない、そこに授権の根拠があるのではない、こういうことを申しただけであります。
  91. 堀昌雄

    ○堀委員 そうするとそれは何に基づくのですか。三十五条と二十四条六項に基づかない、それに根拠がないというなら何に基づいてやるのですか。
  92. 山内一夫

    ○山内政府委員 条例の所管事項というのは、本来的に地方団体が持っている、その事項を持っております。それは先ほど申し上げましたように、地方自治法の十四条なり憲法の規定から出てくるところの根拠規定だ、こういうふうに思っております。ですから地方公務員法がなければ当然に地方自治法なり憲法の規定でそういうものを条例で規定することはできる、こういう意味において申し上げたわけであります。ですから法律がある事項を政令に委任する、そういう立場とは全然違っている、こういうことを申し上げたのであります。
  93. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると今度は内藤さんにちょっと伺いたいのですが、「職員団体の業務にもっぱら従事する職員の身分取扱に関して、このたび別紙1、2、のとおり内閣法制局から意見の回示がありました。これらのことについては、従来取り扱っていたことと異る点もありますので、これに対する措置について自治庁とも協議いたしましたが、回答意見の趣旨に従い、処理するのが妥当であるとの結論にいたりました。ついては、今後の取扱についてしかるべく御考慮をわずらわしたく参考までにお知らせいたします。」ということはあなたの方ではこういう法制局の意見があったから、いろいろな専従者に対する「許可の要件、許可される期間の基準、許可の取消及びその要件、職員団体のためもっぱらその事務を行い、又は活動する職員……は法第二十四条第六項にいう「職員の……勤務条件」を定める」つまりこれをもとにし  て考えるということにあなたの方では指示をしているわけですね。今法制局はこういう返事はしたけれども、県で条例をきめるのはこれに何も関係がないのだ、要するに県が勝手にやれることであって、三十五条とかこういうものには関係なくやれるのだ、こういうことになっているのですが、あなたの方ではどういうつもりでこれを指示されたのですか。
  94. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 今お話の専従の問題は、この二十四条六項に書いてありますように職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に該当するから、この二十四条の六項に基づいた条例で規定するのが正しいという解釈を私どもはとっておるのでございまして、三十五条は、この法律の文章は、「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外」職務専念の義務があるのだ、こういっているだけであって、この条例は二十四条との関係を引いてきて差しつかえないと思うのです。こういう趣旨でございます。
  95. 堀昌雄

    ○堀委員 文部省と法制局はここで見解が非常に違ってきた。要するに法制局は、この意見を出したのはそういう問題について問われておると思っていなかったのだ、だからこういう意見を出したけれども、今度は文部省の方は、今内藤さんの言ったような考え方で、これはいい案が出てきた、これに便乗して、二十四条の第六項で少し締めてやれということに結果的に相なったということは、法制局のこういう抽象的な見解というものが非常に大きな問題を政治的に発展さしたことになる。ということは、先ほどから申し上げるように、これは被用者側の利害条項に関する問題をあなた方答弁したつもりでおるのにかかわらず、内藤さんの方では管理者側の制限に結びつけておるという点は、私は非常に重要な問題だと思うのですが、法制局ではそういう意図はなかったわけですね。そこのところはどうです。
  96. 山内一夫

    ○山内政府委員 堀先生が順々にお聞きになると思ったのですが、少し問題が私の予想したより先に進んでいるので御説明申し上げますが、普通の公務員でございますと、職務専念義務の免除なり勤務条件の問題なりは、当該の公共団体の条例で決定できることになっておりますから、そこのところを実はそこだけで申し上げますと、どっちの根拠ということは、私の申し上げるように地方自治法なり憲法の規定に授権があるのだという考え方をとっても、そう具体的な開きはないわけであります。ところが県費負担教職員につきましては、御承知のように二十四条六項で都道府県の条例で定めるというふうになっておるわけです。その都道府県の条例というのは地方公共団体本来の条例とは違って、市町村の公務員関係を県の条例で規定するというのは、法の授権がなければできないことだ、それを明文にしたのが地方教育行政組織法だと思います。このときにおいて当該の事項が勤務条件であるかどうかということの解釈論は当然問題になり、そこでもってその根拠規定が問題になる。専従職員にまつわるところの諸条件が勤務条件であるかどうかということは法解釈の問題になりまして、われわれといたしましては、ここで掲げました分の勤務条件であると考えました分につきましては、これは県費負担教職員につきましては、都道府県条例で定めることができるだろうというのは、もちろんここには書いてありませんけれども、当然そう思っておるわけであります。それを受けまして今の文部省の通達が出ておる、かように私どもは考えておるのであります。
  97. 堀昌雄

    ○堀委員 私は初めから専従制限の問題を伺っておるのであって、内藤さんのことでああいうことになったから、だいぶしまいの方は妥協されたような格好のように私聞いておりますけれども、あと速記を調べてまたやります。  そこで、この場合、今だれかから公務に支障がない限りというお話が出ましたが、公務に支障がない限りというのはこの条例にも出ておる。四十一条の「職員は職員団体の業務に専ら従事する場合には、公務に支障のない限り人事委員会規則に定めるところにより専従休暇を受けることができる。」こういうふうに書かれておりますが、これは法律条項として公務に支障のない限りということは、こういう場合は大体どういうことをさしておるのかということを法制局から一つお答えを願いたい。
  98. 山内一夫

    ○山内政府委員 公務に支障がない限りという意味それ自身の意味が、公務に支障ない限りと申し上げるより一応しょうがないと思うのです。先生ほかに含みがおありならそれをお聞きした上でお答えしたいと思います。
  99. 堀昌雄

    ○堀委員 ある種の教職員組合でいろいろ執行部を選挙する、そこで委員長なり書記長が出てきた、そこで書記長を一つ専従にしてもらいたいということが起こって、それを服務監督者であるところの地教委へ専従願を出して許可して下さい、こういうふうに出てくるわけですね。そうすると、それを許可するかしないかということは、これはやはり一つの個別的な労働関係の問題として、一応は服務監督者の了解が要ると思いますね。そこでこれが許可するのでしょうね。そのときの基準として公務に支障のないという基準を作ったのだと思うのですよ。非常に抽象的な言葉なんですね、「公務に支障のない限り」ということは。しかし公務に支障のないということは、私はそう悪意的に服務監督者がきめられるものではないだろう、こういうふうに考えるのですね。それで本質的に言うならば、職員団体における専従休暇の承認は、職員団体による団結権によってのみ保障せられる地方公務員法の勤労者としての権利保護のための私は規則的な処分である、こういうふうに考えるのですね。そうなるとその公務に支障というものは、おのずから限定されたもので、はっきりしたものでなければならぬ、こういうふうに思うのですね。その公務の支障というものはどういうものか、それについて。
  100. 山内一夫

    ○山内政府委員 行政法上で規則行為というのはむずかしい問題で、こまかいことを言ってはなはだ申しわけありませんけれども、ただそういう意味で、公務に支障のない限りというのは、公務を管理者というか理事者側の方が非常に勝手に認定をして、それでそっちの方の側だけで問題がきまるという性質のものではない。やはり職員団体として必要な専従職員でございますから、それとの何といいますか、公務の方の関係もあるし、そっちの方の立場も考えて、両方がほどよい調和と言いますとはなはだ常識的な言葉になりますが、そういうところで許可するかしないか、承認するかしないかがきまる、そういう性質のものだろうと私も一応思っておるわけであります。
  101. 堀昌雄

    ○堀委員 皆さんの方で、たとえば許可の要件、許可される期間の基準、許可の取り消し及びその要件というようなことを含めて回答しておられるのですね。そうするとこういうのとの関係はどうですか、公務の支障という問題と。ここは一つの基準を出しておるわけですね。それとはどういうふうになりますか。
  102. 山内一夫

    ○山内政府委員 この基準、岐阜県条例の場合でいきますと、この法制局の方に出したところの条件、これを条例で定立する場合も、これもやはり今の管理者側の方の問題と組合側の方の問題との調和というものを考えて定立するというようなことに相なるだろうと思います。
  103. 堀昌雄

    ○堀委員 内藤さんの方じゃどうですか。あなたの方では、具体的な問題として公務に支障がないというのはどういう範囲のものと考えておられますか。
  104. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 許可の要件、許可される期間の基準、許可の取り消し及びその要件、こういうものも含めて当然考慮さるべきものだと考えております。
  105. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、今まで伺ったことから集約をして参りますと、大体職員団体が自発的に役員をきめて、それを一つ専従者として認めてもらいたいと願い出ることは、これは憲法に保障された一つの権利である。今までのお話の上に立ってみてですよ。願い出ることは憲法に認められた団結権と、御承知のように地方公務員は労働組合法の適用を排除されておりますね。それにかわるものとして職員団体が認められる関係上からすれば、私は専従休暇を願い出るのは一つの権利である、とこういうふうに思いますが、法制局の方はどうですか。
  106. 山内一夫

    ○山内政府委員 憲法に直接すぐくるかどうか、その辺はちょっと今すぐお答えしにくいところでございますが、地方公務員法の建前からいえば、願い出たときに公務だけでもって許可するかしないかを決定するのはいかがか、こういう意味で団体の側の一つの主張があり得るわけですから、そういう意味で権利だとおっしゃるなら私も権利だろうと思います。
  107. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで大体この二十四条の六項は個別的な問題を私は提示しておると思いますね。個別的な問題で届け出る場合に、それは一つの権利として一応考えられる。それを権利に認めないという条例がもし出るとするなら、権利を認めないという条例が出るならば、その条例がそれを否定するには否定するに足るはっきりした理由がなければいけないと思います。本来の権利であるものを否定するには否定するに足るだけの理由がなければならぬ。そこで岐阜県の条例を見ますと、私はこれが非常に法律的におかしいと思うのですけれども、さっき専従休暇を願い出るところは地教委だ、服務監督者に対して休暇を願い出る。だから休暇を許可するかどうかは本来は服務監督者の権限の範囲内にあるのであって、だからその服務監督者の権限によって公務に支障がなければ出せるということになるのだと思うのです、本来は……。それはこの条例の中でも四十一条に「職員は職員団体の業務に専ら従事する場合には、公務に支障のない限り人事委員会規則の定めるところにより、専従休暇を受けることができる。」と、こうはっきり書かれております。ここまでだけで問題を見れば問題はないのですよ。これは服務監督者が許可することを妨げる部分は何もないわけですからね。ところが次へきて「専従休暇を与えることのできる職員の数は、職員団体の構成員となることのできる職員の総数を、千で除して得た人数を越えることができない。」ということをここでまたきめてきたわけですね。そうすると、一つの県に、ここに二十地教委があるとしましょう。そうするとここへ一つずつ、これは職員団体ですからここに職員団体一つずつ出てきますね。それをきめるのはその二十の服務監督者がきめるのですね。県条例で十しかやらないということがもしこれで出てきますね、場合によったら、この条例で出てくる。そうでしょう。要するに、千人につき一人ということになると、ある県では総ワクは十人ということをここできめるわけですね。ところが出てきたのは二十出てきた。受け取るところは一つずつ、相対的なものですよ。地教委と職員団体、ですから二十のやつを十にするという問題について、これは県の条例が服務監督者の行為を不当に拘束することになるのじゃないですか。こういう場合になると、どれがいいとか悪いとかという問題は、公務に支障あるかないかという基準についてなら私は判断があり得ると思う。そうではなくて、この二十名のどの十名をするかということについては、これは服務監督者に権限があるのであって、県教委に権限はないのですよ。この場合にそれをどうやって十名にするかという点は、私はこの条例は地方自治体のそういう行政権といいますか、それを不可能に陥れる条項としてなってくるのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、その辺はどうですか。
  108. 山内一夫

    ○山内政府委員 県条例の解釈自体でそうなるかどうかしばらくおくとしまして、ある職員団体には全然認められないという羽目になるような規定だとすれば工合が悪いのじゃないかと思います。ただこの一県の条例がすぐそうなるかどうかは、私必ずしもそうならないのじゃないかと思っておりまするが、一応ある団体が全然一人もいかないということになるとまずいことになると思います。
  109. 堀昌雄

    ○堀委員 これは岐阜県の条例に関係はないとおっしゃいますけれども、具体的には地教委というのはどこの府県でもたくさんあるんですよ。私は何も全部が全部とは言いませんけれども、必要な範囲においては、やはり専従休暇を願い出るというのは一つの権利として認められている。団結権の行使としての権利として認められておるとするならば、地教委としてはその公務に支障のない限りは許可するという建前があるわけです。だからあなたがおっしゃるように、これがどうなるかわからないということではなくて、これは明らかにそういう問題が起こることは予想されているわけでしょう。だから予想されておるにかかわらず、一方的に選択をしなければならぬことが起こるわけです。二十出てきた場合の選択、そんなことは県の方で選択できる権限のものじゃなくて、地教委がやることなんです。だから私はどうしたってこの条例は不当な干渉を地教委の服務監督権に対して行使することになる、こういうふうに考えますが、どうですか、これは法制局にお聞きします。
  110. 山内一夫

    ○山内政府委員 県の条例の解釈を私自身がするというのはどうも越権だと思うのでございます。ですから抽象的にそういうふうなことになっているならば困る、こういうことを申し上げるにとどめたいと思います。
  111. 堀昌雄

    ○堀委員 県の条例は法制局の見解の範囲の外だとおっしゃいますけれども、あなたはさっき望ましくないということは言っておられるのです。これは岐阜県の条例ということでなくてもいいのです。法律論として私は申し上げているのであって、法律論としてはそういうことは——私は大体行政というものは、地方自治法の全体に書いてあるように、民主的な能率的な行政をするために地方公務員法が作られておる、それを阻害することになると思うのです。能率的な運営をしようとして二十名のあれが出たものを——服務監督者としては二十名出したいということはあり得ると思うのです——それではいかぬぞということになって、どれをしようかということになればどうしようもないのですよ。実際問題として言うならば、どこがいけないのか、お前のところはだめだという理由がその場合にはないわけです。ここはいいのだけれどもこれはいかぬという理由はないのです。だから私はそういう条例を作ることは非常に問題があると思うのです。  ちょっとここで、自治庁がおいでになっておりますから、あなた方は自治庁側の見解としてこれをどういうふうにお考えになりますか。
  112. 今枝信雄

    ○今枝説明員 先ほど来お話が出ておりました職員団体に専従者をすべて認めないというふうなことは、地方公務員法の建前としては載っておらないわけでございます。従いまして職員団体としてそれぞれ適当な活動のできるような形ということを考えなければならぬと思っております。ただいま御指摘になりました点ちょっと私自身も理解ができないわけでございまして、そういうふうな形になるのかならないのか、これは条例のきめ方なりあるいはそれの解釈運用の問題になると思います。今の段階でその条例の内容がどういうふうになっているか、明確にいたしかねるわけでございます。
  113. 堀昌雄

    ○堀委員 条例の内容は私今読み上げます。いいですか、専従休暇というやつです。四十一条「職員は職員団体の業務に専ら従事する場合には、公務に支障のない限り人事委員会規則の定めるところにより、専従休暇を受けることができる。」そこでその人事委員会規則はどうなっておるかといいますと、これはここでは「職務に専念する義務の特例に関する規則」できているのです。昭和二十七年七月二十五日、岐阜県人事委員会規則第三号として、その第二条に「休暇に類するものとして勤務しないことについて特に認める規定、又は基準による場合」これを援用しておると思うのです。そういうふうにしてここに前段があって、その次に「専従休暇を与えることのできる職員の数は、職員団体の構成員となることのできる職員の総数を、千で除して得た人数を越えることができない。」だからもし岐阜県の教職員幾らいるか知りませんが、五千人いたと仮定するならば、五人をこえることはできない、こういうふうにもうはっきりと総ワクを規定してあるわけですね。そうなると今の下の側から見るならば、十名の専従休暇を願い出るという場合に、それを五名にしぼれということについては、県教委がそれをやるなら問題はないですよ。県教委に願い出て、県教委が五名にしましょうということならいいでしょう。十名の中で県教委が恣意的にやるでしょう。しかし地教委がやるのですからね。服務監督権者として地教委が十名出てきたものに対して五名にする。これは横向けに一列ですからね。それを県で五名のワクだということになったら私は行政を混乱させると思うそういうことを監督指示するだけの権限は、この条例が持つ一つの違法性であると思うのですが、そこは地方公務員課長どうですか。
  114. 今枝信雄

    ○今枝説明員 ただいま御指摘の点は地方教育行政法の四十二条と四十三条の解釈、運用の問題かと存じます。私どもの方で直接所管をいたしておりませんので、私からお答えを申し上げるよりも文部省からお答えを申し上げる方が適当じゃないかと思います。
  115. 堀昌雄

    ○堀委員 私が伺っているのは——内藤さん大いにいきり立って早く言いたいらしいんですけれども、文部省は最終に伺います。これは県の条例なんで、自治庁というものは地方自治体の運営を円滑ならしめるためにあると思うのです。その趣旨からし、地方公務員法の趣旨からするならば、そういう問題については当然お考えになってしかるべきだと思う。これは県職員を規定しているのですよ。この条例は必ずしも教育公務員という形でできておりませんよ。この条例は県の職員全般に対してですからね。だから教員でなくてもいいのですよ。県職員としてあなた方どうですか。
  116. 今枝信雄

    ○今枝説明員 県の職員が組織しておる職員団体でございますと、任命権者は一つでございますので、今のような問題はないかと思います。それで市町村教育委員会と都道府県教育委員会の権限の調整と申しますか、市町村教育委員会が服務監督権を行使する場合に、このような条例でその服務監督権の行使に対する基準を設けることができるかどうか、こういうことでございますが、これは地方教育行政法で、専従休暇という問題が、四十二条に書かれておる都道府県の条例で定めるべき事項だ、こういう建前をとります以上、当然この条例の執行に関しては都道府県の教育委員会は市町村教育委員会の権限行使をも拘束する、こういうことになろうかと思います。
  117. 堀昌雄

    ○堀委員 大体文部省がこの法制局の見解をただして、そうしてその見解で二十四条の六項を回答してもらったのは、やはり今おっしゃる四十二条というものを援用したいがためにうまうまと法制局を一ぱいひっかけたということだろうと私は率直にいって解釈するのですけれども、三十五条の形でいくと、ここへはひっかかってこないで困るからあなた方はそういう段取りをしておいて、そうして実際は、法制局はそういうつもりでやったのではなかったけれども、そういうことに結果としてなってきたと思うのです。しかし現実の問題として、そうなってくると、なるほどここの法律にはそういうことがありますけれども、片方はやはり憲法で保障されておるところの一つの勤労者としての団結権を行使をしようという格好で専従許可を願い出るのを、そういう条例の定め方は、その権利を不当に制限することになると思います。だから、都道府県の定める条例というのは、少なくとも地公法の精神を逸脱したものであってはならないという第五条との関連において、もしそういうものをきめるならば、その条例そのものに問題があるので、きめたものがどう拘束するかという問題じゃないと私は考えるが、法制局の方はどうですか。
  118. 山内一夫

    ○山内政府委員 今おっしゃるように、不当に制限する条例はいかぬ、これはもっともで、私どももそう思っておるわけです。岐阜県の条例が不当かどうかということは、これは今すぐには……。
  119. 堀昌雄

    ○堀委員 大体法制局の見解としては、不当に制限する傾きがあるということはいかぬということですね。岐阜県が不当かどうかは別の問題、そういうことになりますね。  そこで、不当かどうかということを判断する問題が出てくると思います。そういうきめ方をすることが正当か不当か、そういうふうになると、その正当か不当かを一体だれがきめるのですか。そういうときに、要するに問題は両側からありますからね。勤労者の側としてはこれは不当だ。私は、こういうきめ方をすること自体が地公法の精神に反しておると思う。なぜかというと、さっきからずっと質問している中でわかるように、職員団体というものは地方行政を円滑に運営するために置かれておるのです。その職員団体の仕事を円滑ならしめる役割を専従者がになっておるんだということであるわけですから、円滑ならしめるために行なおうという意図に基づいて出てくるものは、現実に応じた形の中で判断すべきであって、一律に千名に一人などというようなことは、私は率直に言って問題があると思う。千名に一人でいいところもあるかもしれないし、あるいは二千名に一人でいいところもあるかもしれないけれども、なぜ千名に一人にしなければならぬかという根拠が私はないと思う。さっき内藤さんは、労働協約をしたころに、六百五十名は多過ぎるから、千名にしたらどうかということをおっしゃったんですが、それは恣意的な判断であって、恣意的な判断によって千名に一人にされるということになるならば、これは、私は憲法にいう団結権を不当に制限することになると思う。だから、千人に一人がいいとか悪いとかいうことじゃなくて、実情に応じて地方公共団体がやるに必要であるということにならなければならない。じゃ、岐阜県の場合に、千人に一人でいいか。岐阜県のようないなかでは現実には千人に一人では行なえないから、そういう労働協約がある——専従者というのは給与を県からもらっているわけじゃない。みな組合員が負担しておる。そうして自分たちの利益を守り、あわせて地方公共団体の運営を円滑ならしめるために置いておる。組合員が金を払っておるということは、決して一方的に組合の利益のためだけじゃないわけです。両方に利益がある。それにもかかわらずこういうことをするということは、私はやはり不当な制限というふうに理解したい。正当か不当かということは、どういうことから起こりますか。抽象論でいいですから……。
  120. 山内一夫

    ○山内政府委員 組合の円滑な運営、これを考えられるのは当然だと思いますが、もう一つ、同時に、先ほどからお話がありましたように、今職員の俸給は出しておりませんけれども、組合の方の仕事に携わって、実際の教職員の場合だと教壇に立たないわけですから、それとの兼ね合いを両方考えてやる。各地方々々によって若干ずつ事情が異なると思いますから、それは何人が適当だということはわかりませんけれども、両方の兼ね合いにおいて妥当な線をきめる、こういうことに相なると思います。
  121. 堀昌雄

    ○堀委員 両方の兼ね合いで妥当なというならば、こういう条例をきめるときには、やはり職員団体の意見を聞いて、職員団体の意見と管理者の意見が折り合うところでやるのが妥当な決定の方法であって、一方的に何ら職員団体の意見を聞かないで決定して、千人に一人でなければいかぬということは、やはり不当な制限であると私は考えます。これは私の意見ですからよいですが、そういうように考えます。  その次に、もう一つ伺いたい。「専従休暇の期間は一日を単位として一年を越えない範囲内とする。但し、三年を越えない範囲内で、これを更新することができる。」、こういうようにきめている。これは内藤さんに伺いたいわけですが、さっきあなたは、期間を制限するのは労働組合運動が非常に先鋭化しているから、これはおもしろくない。だから、労働組合運動をもっとおとなしくさして政府の言いなりになるようにするためには、期間を少し制限した方がいいではないか。そこまであなたはおっしゃらなかったけれども、裏側の意味はそういうところにある。あなたは、期間を制限するのは、現場復帰をした場合に教員教育力に関係があるということと二つ仰せになりましたね。それは大体どちらの方が主ですか。
  122. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 それは公務に支障がない限りということでございます。私が先ほど申し上げたのは、都道府県教育長なりあるいは委員長協議会の話を申し上げたので、私の意見を申し上げたのではないのであります。私の意見を聞かれますれば、三年以上にわたりますと現場復帰が容易でなくなる。これは、教育内容も方法もどんどん変わる時代に、あまり長く留守にしますと現場へ帰って困る。また、とる方も、あまり長くいらっしゃるととりにくいというのが現状でございますので、三年くらいが適正ではなかろうか、こういうのであります。公務に支障の点でございます。
  123. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、これも協議会の方の話かもしれませんが、道徳教育だとか教育課程の反対だとかいう問題がある。これは研究しなければできない。あなた方が教育課程も道徳教育も変える。それの一番詳しいのは私は専従者だと思う。現場の教師は部分的なことを知っていれば済みますが、専従者は反対行動をするためにこういう変化について一番詳しい。あなたが御心配になるような事実は実際問題としてはないと思う。そういう考え方からするならば、私は理論的におかしいと思うが、それはそれとして、そういうことは個々の個人的な問題との関係があると思いますが、内藤さん、どうですか。
  124. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 この千人に一人とか三年という期間を限ったのは、要するに、教員という身分を持っている以上は、教員定数の範囲内ですから、管理者側としてはなるべく少ない方がよいと思う。しかし、労働組合の方から言えば、組合活動に支障のない限りの人員を破保したいという、そこの調整の問題になると思います。それから、今申しましたように、教壇を離れておりますと、今お話のように一生懸命研究していらっしゃる方は別でございますけれども、今のようにピケで実力で阻止しようということですと、これは研究にならぬと思う。研究なら私どもに積極的に内容をお示しになって、社会科のここが悪い、国語のここが悪いというように意見を開陳されて訂正を申し込まれるならば、これは非常にごもっともであるけれども、今のような形では教育的にいかがかと思う。ですから、その点から考えてなるべく長くない方がよいというのは常識だと思う。
  125. 堀昌雄

    ○堀委員 数の制限は定数だというふうにおっしゃったけれども、私は最初に伺っておいたんですが、定数の問題というのは、あなたのおっしゃるほど大した問正題じゃない。なぜかというと、一番最初に伺った、今の結核の病人なんか見ると、実際大へんな数がある。これは不定期なんです。結核患者が何名出るか、どういう形になるか、しょっちゅうわからない。現在一%、五千人くらいだとおっしゃったけれども、はたしてそうか実際はわからないんです。というのは、すぐ帰ってくる者、病気になる者、しょっちゅう移動している。全体に占める割合というものは「不可抗力と言えばそれまでですが、これはやはり組合員の勤務条件のやり方が悪いからだと思う。もっとやはり学校の先生が少人数の児童をあれして、夜おそくまで学校に残ってやったりする過労をしないで、つまらぬ学校の事務まで皆さんに負わせなければ、結核患者なんかこんなにふえないと私は思う。だから結核患者がふえているということは、あなたの方の勤務条件のきめ方が間違っておるために不当な労働を強制さ回ているから結核思者が出てくると思う。こういう格好で結核患者が出入りしていると思うそういうようなことは定数上の問題として何ら考えないで、ごくわずかな専従問題の方は目にかど立てたように定数だ、定数だという。定数でいくのなら定数条例でやるのが本来のあり方じゃないか。これは定教条例じゃないですよ。こういうやり方は、定数がこうだから、この中で少なくとも教員はこれだけだというのなら、私はまだ話がわかるが、これは定数条例でも何でもなくて、頭から専従制限なんです。だから第一点は、あなた方のお考えはこじつけだというふうに解しておるわけです。これは意見であります。  第二点は、だれをするかということですね。今の建前からすると、教員組合の方から申し出た者について——それは覊束処分かどうかについて議論がありますけれども、私は覊束的な処分だと思いますが、やるのであって、とにかくそれは、公務に支障があるかないかという範囲においてきめることは、その個人が現場に帰ったときに公務に支障があるかないかという部分までを裁量する必要はないのじゃないかと私は思うのです。だからそれは、そのこと自体が公務に支障があるかないか、専従を許可するということ自体が公務に支障があるかないかという判断に基づけばいいのであって、その人が五年たって現場に帰ったときにどうかということは、その人個人の特定の問題なんです。不特定の抽象的の三年とかどうとかいう問題ではなくて、もしそれを公務に支障ありと判断されるならば、非常に勉強しておる人は——あなたのおっしゃるようにピケばかり出ている専従者は私はないと思います。やはり勉強して説得をしなければできないのだから、専従者は非常に勉強しておると私は思うけれども、それは個々の問題であって、ピケばかりしている人もあるかもしれないけれども、それはだめだ、これは三年でやめてもらわなければ困るという。非常に勉強している豊瀬先生のような方は、十年も離れていたって大丈夫だとあなたは参議院で言っているけれども、そういう個々の問題について三年でぴしゃっと区切るということは、そういう問題に対する不当な介入であって、個々別々のそういう問題はやはり不覊束処分として、更新を要求されれば当然更新をさせるのが建前で、だから国家公務員法で個々を制限しておらないのは、実態の問題ではなくて、これは法律論から見たら当然なんであって、その実態をこういう格好で制限していこうということは、法律論として違法じゃないかと私は思うのです。そこで法制局の方では今の私の考えはどういうふうにお考えになりますか。
  126. 山内一夫

    ○山内政府委員 私は、そこは、地方公務員の職員団体は職員で構成するという建前をとっている考え方というものは、やはり職場の空気と職員団体のあり方が密着している考え方だと思うのです。ですから先生のおっしゃるように、お前がここで専従職員になれば差しあたりこういう仕事は困るというだけではなくて、やはりある程度やって、その人がまた職場に帰るときに、そういう役員になっている人も職場の空気を吸ってまた出る、そういうふうな建前になっておる。その制度がいいか悪いかは別でございますが、地方公務員の職員団体というものは、そういう考え方で、ただ職員の身分を持っているというだけが地方公務員の専従じゃないのじゃないか、だから、三年というのがいいか悪いかということはわかりませんけれども、ある程度やったら職場に帰るという形でできておるのじゃないか、かように思います。
  127. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 先ほど結核の話が出ましたけれども、結核は従来三%であったものですが、私どもは大へん教育環境を整備したつもりで、今度は一%になっていますので、この点は御了解いただきたいと思います。それから結核の定数は、先ほど結核が五千人もいる、これについては定数のことをあまり言わぬとおっしゃるけれども、これは休職でして、定員外なんです。ですから結核は定数外に見ておりますので、定数とは関係ないわけなんです。この点もちょっと堀委員は誤解していらっしゃると思うのです。  それからもう一つ、先ほどのお尋ねは、私は一般的な問題と個々の問題と二つあると思う。一般的に公務に支障があるかないかという一般的制限、同時に個々人についての制限の問題が関連してくると、かように考えます。
  128. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと今おかしいのですが、結核は定数外、定員外といいますが、予算定員の問題と定数の問題で、定数から除外しますか。そのたびに県条例を変えるのですか。結核患者が千人から二千人になった、そのたびに県条例を変えますか、定数を……。
  129. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 県条例の定数の範囲内ではございますけれども、これは休職扱いをしておりますから、すぐ補充ができるわけなんです。ところが専従の場合は休職扱いではなくて、専従休暇ですから、補充を特別にしなければできないわけです。
  130. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっとおかしいと思うのですが、そうするとあなたの言うのは、それは予算定員ということになるのじゃないですか、予算定数というか……。その中での数の問題で、県条例は教員定数は、結核患者の有無にかかわらずきめておる。それは一々変更はできないでしょう。あなたは参議院で、予算定員ではありませんよ、県条例の定数でございますよと言って答えているのです。その県条例の定数の中での問題だから困るのだと言っているのですが、これはどうですか。県条例の定数で抜くのですか。結核患者が出たら条例をそのつど毎月ずっと変えるのですか。
  131. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 県条例の定数の中ですけれども、これは休職扱いをしておりますので、当然補充できると、こういう意味です。
  132. 堀昌雄

    ○堀委員 それが補充ができるのなら、専従職員についてだって同じだと私は思う。給料を取っていないのだから、その分について補充をするなら、それなら同じことです。それはどうも、補充するということと、今の定数の問題とは別個の観点じゃないかと私は思う。定数というものはさまっているので、定数以外、休職になったら、もう定数の外であるというのですか、いつでも常に……。定数というものは休職以外だけできめるのだ、そういうことになると、それを補充しますね。休職者はこう帰ってきますね。すぐ首にするわけですね。補充したものは、どんどん首にすると、こういうことですか。定数を越えるから……。
  133. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 私が申し上げたのは、定数の範囲内ですけれども、結核の場合は休職扱いをしておる。ですから専従休暇の場合と事情が違う、こういう意味です。
  134. 堀昌雄

    ○堀委員 しかし定数の方から見れば、同じじゃないですか、どうですか。たとえばAという県は千名定数がある。その中で結核患者が百名出た。百名出たけれども、千名の定数には変わりはない。ここに専従者が十名いた。これもその千名の中の十名です。だからあなたが言うように、もし休職になったら、これはそのままにして消してしまうのか。実際的には九百名になったというふうに考えて、百名補充できるというのか。そうではなくて、定数というものはきまっているのだから、私はそういうことはできないと思う。休職であろうとなかろうと、これは身分について行なわれている法律なんでしょう。だからあなたの話は予算定員ということでならわかりますけれども、休職になったからこれだけを実質的にふやすのだ。実際問題と定数問題というものは違うのですからね。現実の中で……。だからあなたの方は、参議院では、定数で問題を持ち出していますよ。県条例の定数の方で、予算定員ではございません。予算定員ということになると、給料を支払われぬということになるから、それでは困るので、あなたの方は、だからそういうものではなしの定数だと言っておきながら、今度はそれじゃおかしいですよ。
  135. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 私が申し上げたのは県条例の定数です。ですから定数の範囲には、結核休職も入ります。ただその場合には、休職でございますから、補充ができる、こういうことでございます。
  136. 堀昌雄

    ○堀委員 それはいいでしょう。そこでもう時間も参りましたので、次に大臣に集約的にちょっと一つお伺いをいたしたい。私がいろいろ議論をして参りました中で、私はやはりこの条例というものは、すなおに考えてみますと不当な制限を加えておるということに帰着すると考えております。それはさっき申し上げたように、専従を幾らにするかという問題をこういうふうに機械的にきめるということは、私は問題があると思う。この前も大臣はいろいろ協議中だと、さっきも横路委員の質問に対しては、文部省としては考えておったことじゃないのだ、こういうことなんですが、そうすると、次に三年できめるという問題も、私はやはり服務監督者が公務に支障ありという判断に基づいていろいろ考える場合は、まだ可能性はあると思うのです。それは何も三年にしなくても、ちゃんと公務に支障ない限りと書いてあるならば、公務に支障があると判断するから、あなたは一つ専従でなく帰って下さいということにもなる。どんな人でも三年で規定するということは実情に反しておるというふうに考えるので、今後にこういうことが次々ときめられるということは、私は望ましくないと思うのです。率直に言うて、今後の問題について、やはり文部省が教育というものを円滑にやるためには不当に教員組合を刺激したりしてトラブルを起こさない方がいいのではないか、この趣旨については大臣も御同感であると思うのですが、そうすると、今後の取り扱い、これは岐阜県の方が出ておりますから、問題が起きたときに、また岐阜県の方で行政訴訟をやるならそれは別ですが、今出ておるのを文部省でどうこうということはいかないと思いますが、今後について、こういう非常に疑点のある問題をこのままほったらかしていいかどうか、いましばらく都道府県教育委員会は慎重な検討をして、本島教育長が参議院で参考人として述べておるように、文部省として国または地方公共団体の中で権衡を失しないような何らかの問題を考えるというなら別だけれども、そうてんでんばらばらに、どこが出たからおれのところもやろう、おれのところもやろうというようなことが起きないような指導をしていただくのが、私は今当面の教育行政について非常に重要な点じゃないかと思うのですが、この点について大臣に御意見を伺います。
  137. 松田竹千代

    松田国務大臣 私としては、専従問題についてはとくと検討して参りたい。少なくとも今後ILO条約が批准されるまでは関係各省並びに国家公務員、地方公務員その他地方条例の関係、そういうような点をとくと研究して参りたい、かように考えておるわけであります。
  138. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣は研究をして、とおっしゃる。そうすると、研究期間はあまり都道府県で先走らない方が望ましいというふうにお考えになっておることと理解しますが、それでよろしいでしょうか。
  139. 松田竹千代

    松田国務大臣 大体それでよろしゅうございます。
  140. 堀昌雄

    ○堀委員 それから研究をなさるについては、さっきも法制局から見解が出ておりましたように、これをどういうところできめるかということは、二つの面がありますから、両方の利害関係の中に立っておる問題だということはお聞きになった通りだと思うのです。そうすると、それについて文部省の御研究になるのは、要するに管理者の側だけの立場、意見をもとにして御研究になるのでなくて、やはり被用者の側の立場、要するに両方から問題が寄せてきて、これをどこでやるか、こういう問題になってくると思いますから、それはまず公正な判断をしていただくことにならぬと困るので、今後この問題について、そういう被用者の側といえば、結局日教組の格好になると思いますけれども、そういう被用者の側の代表とも謙虚に話し合って、お互い、別に団体交渉できめろということじゃありませんよ、ありませんけれども、そういう考え方を今後も取り入れてやっていただけるかどうか、これを一つ……。
  141. 松田竹千代

    松田国務大臣 法律は、もとより各方面の立場から考えて、公正に制定しなければならぬ問題であります。従って、今御指摘のように、被用者、使用者側の両面の立場からもちろん考えて、法律の専門家がとくと研究されてこしらえられるものである、またそうあるべきものであると考えます。
  142. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、そういう問題については、大臣もそういう被用者の意見を聞いてもいいというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  143. 松田竹千代

    松田国務大臣 よろしゅうございます。なお今申し上げた通り、私としては、専従の問題はとくと研究した上で、いずれILO条約八十七号が批准される時期も来ましょうから、そのときまでには十分に検討していかなければならぬ、かように考えておるのであります。
  144. 堀昌雄

    ○堀委員 どうもありがとうございました。
  145. 大平正芳

  146. 大原亨

    大原委員 だいぶ審議が進んで参ったと思うのですが、最初に私は大臣お尋ねしたいのです。大臣は非常に自由人であって、教育の中立性の問題についても、その対象の学生とか教授の人権を尊重したような立場でお考えになっております。私はそれが中立性だと思うのですが、この専従問題も、大臣は非常に視野が広くて、ILO条約の問題についても、前から積極的に発言されていると思うのです。その点については私は敬意を表するのですが、しばしば大臣が言明になっておりますように、ILO条約の問題については、御答弁を見ますと、一々あげ足をとりますとまた問題があるけれども、ILO八十七号を批准することは、日本といたしましてはもう来年の春と、こういうふうに国際的には言われておる。そういたしますと、ILOの条約が批准されましたら、専従の問題はどうなるのだということを今までしばしば言われたと思うのでが、最初にILO条約の八十七号が批准されたらどうなるか、この点について御所見を伺いたい。
  147. 松田竹千代

    松田国務大臣 ILO第八十七号の批准された場合には、もちろん教職員の場合は、職員でなくとも組合の役員に選挙され、自由にどこの方面からでも役員になれるということになるのでありまするから、そうなった場合には、いろいろの方面に波及する点も考えられるのであって、それまでには各法律、条例等を研究して、専従問題に対処したい、かように考えておるのであります。
  148. 大原亨

    大原委員 これは内藤局長も聞いていただきたいのですが、岐阜県の専従問題は、いずれまた当然国際問題になると思うのです。その際におきましては、この国会におきまする審議の経過というものは非常に重要視される資料になる、新聞種とかその他と違いまして。これは、日本の政府が、全逓の問題につきまして、大島代表は失態を演じたと国際的には言われておるのだが、このことはどういうふうに強気に表現しましても、結果が必ず出て参ります。この一番大きな資料になりましたのは国会の審議です。私は今までずっと各方面で大臣の発言なり——大臣はその点についてはやや明快な見解を持っていらっしゃるようですが、局長の発言なりあるいは人事院や法制局の皆さんが発言をしておるところを見ますと、非常に重大な問題がある。私は内藤局長にお伺いしたいと思うのですが、条約と法律、これはどちらが優位に立つか。裏返していいますと、条約に抵触する法律、条例ができた場合にはどういう工合になりますか。その点についての御見解を持っておられますか。
  149. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 条約に抵触するような法律、命令等は当然改正さるべきものと考えております。
  150. 大原亨

    大原委員 当然改正さるべきなんですか、当然無効なんですか。
  151. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 条約を締結した場合に現存の法律が抵触するような問題はこれを改正してから条約を批准すべきものと考えております。
  152. 大原亨

    大原委員 前の御答弁が誤まりであって、抵触している法律があればそれを改正して条約を批准する、こういうことですね。それはその通りです。それで、もし条約が批准をされまして——これは来年三月には結社の自由委員会第四十一次報告というのが理事会で報告されて承認をされて、五月の総会には決定的になるのです。だから、私はきょうは労働大臣も一緒に来ていただきまして、皆さん方が今日まで御答弁になった矛盾点について追究したいと思ったんだが、きょうはできませんが、批准になりましたらそれに抵触する法律や条例がありましたら、これは当然無効ですよ。その点についてははっきり御見解を持っておられますね。これは国際問題ですから……。
  153. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 それは当然改正して批准すべきものと考えております。
  154. 大原亨

    大原委員 それで、しばしば教育委員長会議とか教育会議におきまして——あなたが指導されたというふうに一部では伝わっておるのですけれども、それは別にいたしまして、そういうことの決議で三つの項目を中心とする専従制限が出て参りまして、これがやはり大きな政治問題になっているわけですが、国会で審議されまして、それぞれ見解を述べられた。文部大臣文部大臣の権限に基づいて百鬼夜行にならないように、そういう措置をとりたいというふうな御答弁です。あなたの方は指導助言とかいう面においても今までやってこられたわけだし、実質上の問題になるわけです。私が申し上げていることは記録になるわけですが、そういう面についてこれは重大な問題だと思うどういう問題で抵触するかといいますと、ILO条約の九十八号の団結権と団体交渉権に関する条約に関連するのです。もう一つは今度当然日本が批准を迫られておる結社の自由、団結権擁護に関する八十七号にも問題になります。特に問題になるのは八十七号です。八十七号と九十八号との関係は、号数にありますように、九十八号を簡単に日本は批准したわけですけれども、九十八号は内容が示しているように非常に大きな関係があるわけです。憲法論が今やりとりされたわけだけれども、これは水かけ論でなくて、憲法二十八条の規定というのは、憲法を作った当時にはそういう国際的な水準を考えたんです。従って労働基本権というのは、労働者にとって生存権なんです。そういう規定をしているのです。これは国際的な常識です。そういうことからこの問題について簡単に考えておられますと大きな問題になります。だからその点では慎重の上にも慎重を期してもらいたいと思うのであります。大臣にお伺いしますが、この問題について労働大臣とは見解の統一をされましたか。閣議決定についていろいろ新聞に出ましたね、その真相はどうなのです。
  155. 松田竹千代

    松田国務大臣 労働関係閣僚の会議が一回か二回ありましたけれども、まだいろいろの問題について相談する機会はないのです。だから至急にこれから閣議で関係閣僚とこの問題について十分に検討して参らなければならぬという案件は、多々残っているわけであります。
  156. 大原亨

    大原委員 労働大臣は直接管理者と職員という立場でないのです。労使の関係じゃないわけです。だから労働大臣政府を代表いたしまして、社会労働委員会において、これは非常に大きな問題だから、自分としてはやはり関係大臣と統一見解をとってやりたいと言っているのです。私はきょうは一緒にお呼びいたしまして、その点について大臣はもちろんですが、局長や関係の皆さん方に事実をあげて質問したいと思ったのですが、きょうはできませんけれども、これは議事録を調べていただけばわかる、当然のことなのです。郵政大臣が全逓に対してあるいは全電通の組合に対して、あるいは国鉄総裁が国鉄に対してという関係とは違うのです。文部大臣は一歩退いた立場にもありますけれども方針を示してきたわけですから、助言指導の面においてはやはり労使の当事者になるわけです。これは労働対策ですからそういう面も出て参ります。そこで、そういう点を労働大臣はしばしば言明をしておるのですが、文部大臣も、いわゆる労働大臣とも相談して、政府としてはこれは国際的な労働問題であるから見解を統一してやりたい、こういうことに御異存はない、賛成だと考えてよろしゅうございますか。
  157. 松田竹千代

    松田国務大臣 お話の問題は私もきわめて重要な問題であると考えておりまするから、今後できるだけ早い時期にわれわれの意見の完全な調整を求めていかなければならぬ、関係閣僚の十分な意見の統一をはかっていかなければならぬ、かように考えてその方針で参ります。
  158. 大原亨

    大原委員 大臣の御見解だんだんとはっきりいたしましたが、今年の二月の閣議において、政府は八十七号は批准するのだという方針をきめているのですから、その以後においてこれに抵触するような法律や条例を文部省の意図において作ったということがあったら、国際的に問題になりますよ。その点も御承知でしょうね。
  159. 松田竹千代

    松田国務大臣 国際条約は批准して初めて発効するわけでありますから、批准されるまでに今申し上げたように関係法令、関係閣僚との整備調整をいたしたい、かように考えております。
  160. 大原亨

    大原委員 その点は大臣の真意はわかりましたが、九十八号はもう批准いたしております。私はここで時間がないから十分申し上げられませんが、しかし八十七号は批准する方針を決定したということは、ILOの総会でも、理事会でも、結社の自由委員会でも表明しているのです。ですからその以後にこういう国際的な関係のある問題について、次から次と百鬼夜行のような状況を国際舞台に示すということは問題ではないか。私はその点について十分御留意願いたい、こういうふうに申し上げておるのです。大臣、よろしいですね。
  161. 松田竹千代

    松田国務大臣 お話のように国際場裏において日本が労働問題その他について非常に気まずい思いをせぬでもいいようにわれわれは処置していきたい、かように考えております。
  162. 大原亨

    大原委員 もう一つ大臣に。私の大体の見通しからこれは間違いないと思われることで、労働省を含んで見解が一致していると思うのですが、今までの経過の中からは、八十七号を批准しなかったら日本はILOから脱退するか、あるいは承認するか、こういう二つに一つの局面に立っておるのです。そういうものです。日本が脱退することは常識上考えられない。日本は国際舞台においてチープ・レーバ一その他の問題でこてんこてんになる。だから、これは考えられない。そういう羽目まできておるわけです。この問題は私、重ねて申し上げますが、慎重を期していただきたいと思うそれで逐条の問題、各項目の問題については申し上げませんが、岐阜県のそういう専従制限の問題に対しまして、現在は条例がきまっておるのですけれども文部大臣は運営その他について具体的に指導、助言をされる、現在までこういうことを扱ってきました文部省といたしましてはそういう立場にあると思いますが、大臣といたしましてはどういうふうにお考えですか。
  163. 松田竹千代

    松田国務大臣 ちょっとお話を捕捉し得なかったのですが、むろん文部省といたしましては、指導助言の範囲内において常に注意をして参りたい、かように考えております。
  164. 大原亨

    大原委員 それではこの問題は時間もきましたから私も結論を急ぎたいのですが、岐阜県でおやりになりましたそういう条例の問題はいろいろと法律その他にも関係をいたしております。公務員との関係では人事院規則とも関係をいたしております。そういう面においてやはり現地の責任者をお呼びいただきまして、そしてこれは委員長にもお願いするのですが、この文教委員会においても御審議していただきまして、現地の真意というものも十分ただすべきじゃないか、私はそういうふうに考えます。この点については常任委員会の問題ですけれども、私はそういうことを考えておりますが、文部省自体といたしましてはどういう手をお打ちになりますか。
  165. 松田竹千代

    松田国務大臣 文部省といたしましては、地方の自治を尊重しながら、また教育委員会の自主性を尊重しながら、今回の問題についても岐阜県の当事者を呼んでよく事情を聞いてみたいと考えておる次第であります。
  166. 大原亨

    大原委員 横路委員の方から自民党七役会議の雑談が問題になりまして、雑談ということで文部大臣お話しになりましたが、他の府県に対しまして文部大臣が今まで御答弁になりましたことを具体的に指導助言をする、こういう点についてぜひとも緊急に要請したいのですが、文部大臣の御見解はいかがですか。
  167. 松田竹千代

    松田国務大臣 今申し上げました通り、文部省としては教育地方分権の建前から、あまり地方教育委員会の自主性を侵害するような、そういう立場でものを申せない立場にあることは御承知の通りであります。しかしこの専従問題についてはきわめて慎重に研究を遂げて、適当な指導助言をやって参りたい、かように考えます。
  168. 大原亨

    大原委員 最後に私申し上げておくのですが、すでに批准をいたしましたILO条約の第九十八号の第二条第一項におきましては、労働者の団体は「その設立、任務遂行又は管理に関して」云々とありまして、介入してはならない、団結権の関係でこういう規定があるのです。それから今度当然批准をいたします八十七号には第三条第一項の中に、労働団体は「その規約及び規則を作成し、完全な自由の下にその代表者を選び、その管理及び活動を定め、並びにその計画を立案する」こういうことについてILO条約は保障しておるわけです。だから、今堀委員と議事録を調べていましたら非常に大切な質疑があったのですが、代表を選出いたします選出権に対して不当な制限や介入を加えることは直ちに抵触するのです。人数においてもそうです。二十人を十人に減らすという具体的な問題を出されたが、記録というものは大したものです。ILO総会の全逓その他の問題をめぐる論争を見てみても大した問題です。三年に制限するという問題も大した問題です。これは大問題になる。全部をあげれば切りがないのですが、条約と法律と憲法、そういう関係において論争すれば切りがありませんが、そういう点等を考えまして、日本の労働行政が犬くそ的に百鬼夜行のような状況になるということは、文部大臣が今までしばしば御見解を表明されておるように、これは角をためて牛を殺すようになる、民主主義の根本的な否定になる。国際舞台に明るみに出たならば、日本はそういう国かということになる。こういう問題は、歴史とか労働運動の原則の上に立って長い目で見ていかなければならぬ。その中に一々主観を入れたり——私は、内藤局長の御答弁のあげ足をとりませんけれども、またの機会に質問いたしたいと思いますが、社会労働委員会かここで各関係者に集まっていただいて徹底的に質問していきたいと思いますけれども、しかしともかくもそういう百鬼夜行のような状況であるということは、国際常識から見て非常に問題である。大臣は今までそういう具体的な指導助言の措置を含んで措置するという見解を表明されましたから、私どもといたしましても、国会において十分意のあるところを各方面から審議いたしまして——岐阜県の問題がたった三分か五分のうちに、あっという間に審議をされないで決定したということが新聞報道に出ておりますけれども、真意というものもその立場の人にはいろいろあると思うので、ぜひとも来ていただくように委員長には理事会において諮っていただきたいということを希望申し上げる次第でございますが、そういう点から考えまして、慎重の上にも慎重を期していただくようにお願いをいたします。文部大臣の御見解を最後に伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。御答弁が悪ければもう一回質問いたします。
  169. 松田竹千代

    松田国務大臣 私は、現下の日本といたしまして労働問題等に対処することが最も重要な問題であるということを十分認識いたしております。従って、たびたび申し上げますように、この問題に対しては御心配になるように国際場裏における日本の姿が百鬼夜行の姿であるというようなことのないように、諸法律、諸条例等も十分検討いたしましてILO八十七号の批准に対処いたしたい、かように考えております。
  170. 大平正芳

    大平委員長 本日はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせいたします。これにて散会いたします。     午後二時十九分散会