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1959-12-23 第33回国会 衆議院 農林水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月二十三日(水曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君    理事 永田 亮一君 理事 丹羽 兵助君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 石田 宥全君 理事 芳賀  貢君    理事 小平  忠君       今井  耕君    金子 岩三君       金丸  信君    倉成  正君       坂田 英一君    笹山茂太郎君       高石幸三郎君    綱島 正興君       松岡嘉兵衛君    松田 鐵藏君       足鹿  覺君    角屋堅次郎君       神田 大作君    栗林 三郎君       中澤 茂一君    西村 関一君       松浦 定義君  出席国務大臣         農 林 大 臣 福田 赳夫君         運 輸 大 臣 楢橋  渡君         国 務 大 臣 菅野和太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    大堀  弘君         農林政務次官  小枝 一雄君         農林政務次官  大野 市郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (畜産局長)  安田善一郎君  委員外出席者         農 林 技 官         (農林経済局企         業市場課長)  鈴木 一美君         農林事務官         (畜産局酪農課         長)      伊藤 俊三君         農林事務官         (畜産局畜産課         長)      占野 靖年君         農林事務官         (畜産局飼料課         長)      安井 三郎君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部事務課         長)      小口喜久二君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         日本国有鉄道常         務理事     磯崎  叡君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十二月二十三日  理事高石幸三郎君同日理事辞任につき、その補  欠として本名武君が理事に当選した。     ————————————— 十二月二十二日  大野有牧野草地放牧利用模範施設牧野に指  定の請願田中正巳紹介)(第二五七三号)  農業災害に対する恒久的対策確立に関する請願  (齋藤邦吉紹介)(第二五九四号)  農業共済制度育成強化に関する請願内藤隆  君紹介)(第二五九五号)  美瑛町に営林署設置請願松浦周太郎君紹  介)(第二五九六号)  同(芳賀貢紹介)第二六四三号)  同(安井吉典紹介)(第二六四四号)  昭和三十五年産米生産者価格に関する請願(菅  家喜六紹介)(第二六〇二号)  大豆輸入方式に対する食管瞬間タツチ制度採用  反対に関する請願大久保武雄紹介)(第二  六〇八号) は本委員会に付託された。 同日  高尾野町の防災ため池建設に関する請願(池田  清志君紹介)(第一五四三号) は去る十一日建設委員会に付託されたが、これを 変更して本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  養鶏振興法案内閣提出、第三十一回国会閣法  第一八五号)  飼料需給安定法の一部を改正する法律案芳賀  貢君外十三名提出、第三十一回国会衆法第四一  号)  農林水産業振興に関する件(農林水産物の輸  送及び運賃問題)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  飼料需給安定法の一部を改正する法律案、及び第三十一回国会内閣提出養鶏振興法案を一括して議題といたします。  質疑の通告があります。この際これを許します。  芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 昨日委員長の御意見で保留した分の質問を続けたいと思います。  第一点は、政府がお出しになった法案の第二条の「(定義)」でありますが、その中に、種鶏業者孵化業者についての解釈がありますが、養鶏農家というような問題は全然出ておらないのですが、この点について昨日私から政務次官並びに畜産局長にお尋ねしたのですが、やはり、養鶏振興法全体を推進する意味においては養鶏農家対象とした施策が進まなければならぬと思うのでありますが、そういう点に対しても、やはりこの法案の中で明確に養鶏農家というものを入れて、そうしてそれに定義を与えるということが必要じゃないかと思いますが、その点はどうお考えになりますか。
  4. 安田善一郎

    安田政府委員 先に私からお答えさしていただきますが、政府案によります養鶏経営者のことにつきましては、第八条の規定によりまして、本案が種鶏業者及び孵化業者中心にして、さらにこれに加えて国及び都道府県等品種改良施設に関することがここに書いてありますが、これに関連しまして、「養鶏を業とする者の経営改善のために必要な助言及び指導その他養鶏振興のために必要な援助を行うように努めるものとする。」ということをもちまして、昨日お答えいたしましたように、行政措置、予算、公庫その他の資金をもちまして援助しようとしております。また、定義のことにつきましては、養鶏を業として行なう者は、特別の定義を要しないと思いまして、社会通念によれば、特に本法の条文をもって定義を書く要がないという解釈であります。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 その場合、養鶏を業とする者ということになると、どの程度養鶏を行なっておる農家養鶏業を営む者というか、その点なんです。
  6. 安田善一郎

    安田政府委員 社会通念によります解釈はあくまで、その時点におきまする実態と申しますか、客観的な状態で判断をするべきものと思いますが、わが国養鶏は、農林統計によりますると、最近で四百十五万戸の養鶏農家がありまして、その中には法人のものもございますが、五千万羽の飼養羽数を持っております。一農家平均にしますと、まだまことに零細でございまして、十二羽強でございますので、反復継続をいたしまして養鶏をいたしまする者は、農家があくまでもちろん中心でございますが、養鶏を業とする者、こういうふうにしたいと思います。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 ちょっと聞き漏らしましたが、全国平均すると十何羽ということになるそうですが、ただ、養鶏を業とするという対象を設ける場合に、これは農林省としてもまさか十羽そこそこの飼育をしておる農家養鶏を業とするというところまでは言えないのではないかと思いますが、その点の限界をやや明らかにしておく必要があると思います。その点、どうなんでしょうか。
  8. 安田善一郎

    安田政府委員 御指摘の点につきましては、養鶏を業とする者としましては、少羽数農家飼養羽数におきましても養鶏を業とする者といたしたいのでありますが、政府都道府県施策対象といたしますものは、当然に零細農をも含めまして共同事業を行なう者の場合を対象にするのでございまして、あるいは公庫融資、その他施設援助助成、また飼料給与指導でありますとか、駄鶏淘汰指導でありますとか、これは農業協同組合とか、養鶏農業協同組合でありますとか、また任意の団体でありましても、何か共同行為をする団体を通じてその補助を行なうということにして、養鶏を業とする者にはあまりまだ制限をしたくない段階であります。しかしながら、優良な品種の鶏を改良普及して参りまするにあたりましては、おのずから拠点もあるかと思います。優良品種のものの供給力の点もありますので、それは国、都道府県施設あるいは孵化業者種鶏業者の優良なものから反復生産されまする卵とか、いいひな等を増強いたしまする等、合理的に判断していくことも必要かと思いますが、反面、あくまで養鶏農家養鶏採算よく農家経済に役立つように飼育されるのが目的でございますので、私どもの一応の研究といたしましては現在の飼育規模よりはもっと大きい規模、せいぜい五十羽以上は飼っていきたい。特に、百羽以上になりますと、非常に採算が違うようでございます。だから、今後の施策考えて、養鶏経営行政措置あるいは補助金公庫融資あるいは技術指導という対象にいたしますものも逐次そういう方向に向かうようにいたしたいと思うのであります。もし法案をもちましてそれをバックする根拠など等できる機会がありましたならば、そういう趣旨で大いに運営をいたしたいと思います。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 その次は、種鶏業者養鶏農家との関係なんですが、種鶏業者については法律で明らかになっておるわけですが、今局長お話もあったわけですが、養鶏を行なっておる農家が、この法律で示しておるところの標準鶏飼育して、そうして種卵生産を行なっておるということになれば、その養鶏農家はすなわちこれは種鶏業者ということにもなるわけですね。これは平凡なことのようですが、この関連を明らかにしてもらいたいと思います。
  10. 安田善一郎

    安田政府委員 第二条の種鶏業者というのは、ひな生産するために種鶏から生産する種卵反復継続して生産することを業務とする者をいうつもりでございまして、先生が今一般養鶏農家と言われましたのは、販売用採卵または採肉用の鶏を売る場合の養鶏者ということと思いますが、この場合の種鶏業者は、採卵肉用養鶏をいたしまする方と種鶏業者とが同一経営体で行なわれることもあるかと思います。ただいまのわが国実態では、種鶏業者というのは、標準鶏に当たりますもの、あるいはこれに準ずるものも現状では含まれておるわけでございますが、標準鶏またはこれに準ずるもののいい親鶏を他から購入したり、育てまして、そしていい卵を作りまして、これを孵化業者または農業協同組合孵化事業をやるものに供給する者を言っておるのであります。従いまして、おもな例を一つ申し上げますと、国立牧場あるいは県の種鶏場、そこから原々種の種卵または種鶏を買いまして、それを自分でふやしまして、そして卵をとりまして、孵化業者農業協同組合連合会等孵化事業を行なうものに売り渡すような、そういう経路になっております。その卵を孵化した場合のひなは、孵化業者または農業協同組合孵化施設から農家の方へ配付されるようになっておるのであります。そういう業態をそのまま押えまして、御説明しました段階におきまする種鶏業者を「種卵生産を業とする者」、こう規定をいたしております。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 それはわかるのですが、たとえば、種卵規定も、標準鶏の雌・雄の交配によって産卵されたものが種卵でしょう。ですから、この行為を行なう者は、これは種鶏業者であり、同時に、養鶏農家がこの行為をやった場合においては、これは種鶏業同一行為になる。だから、厳密に種鶏業者養鶏農家というものを区分するということはできないと思います。養鶏農家の中でも高度な経営を行なえば、国がきめた種鶏から産卵をさして、その卵は種卵になる。種卵生産をやる者が種鶏業者であれば、一般養鶏農家であっても、純粋な種卵生産を行なっておるということが認められれば、これは養鶏農家であり種鶏業者であるということになるのですか。
  12. 安田善一郎

    安田政府委員 お話のような場合で、養鶏農家標準鶏飼育いたしまして、その雄・雌の交配から出てきます種卵生産し得る場合は、種鶏業者ともいうし、その資格もあるということでございますが、ここに言います標準鶏は前条第二条の第一項に掲げました七号までの品種でございまして、一般に言いますと、孵化業者以後の、特に養鶏農家におきましては標準鶏のその次の段階の鶏を持っているわけであります。標準鶏は数種でありますが、その同一種類または二種類の雄・雌から出てきました一代雑種までしか標準鶏と言わないつもりで、また、生物学的に二代雑種は優良な品質を備えませんので、一般養鶏経営者標準鶏は鶏としては持たない、その子供である、そういう考えでございます。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 これは実際問題とするとだいぶ問題が出てくるのですね。だから、養鶏全体を振興させて品種改良等を普及徹底させるとすれば、この第二条には標準鶏種類等が列挙されておりますが、この種類の純粋な交配によって産卵されたその卵から孵化されたひなを育てて種鶏になるのですね。その種鶏の雌・雄の正しい交配によって産卵が続けられていく、その種卵生産をやっておる行為というのは種鶏業者行為なんですが、これは一般農家でもそういう純粋度を保つということを確実にやっておればやれるんですよ。ですから、たとえば局長が言われた、養鶏組合とか農協養鶏事業の一環として、地域内の養鶏農家に対して委託するとかあるいは指定してこういう種卵生産をやらせるということまで拡大して進める必要は当然出てくると思いますし、そういう要請は当然地方から起きてくると思う。これは今後の農林省指導によって行なわれるのですが、大筋としてはそういうことになるということが大よそ明らかになればいいと思うのですが……。
  14. 安田善一郎

    安田政府委員 芳賀先生のおっしゃる通りでございまして、現状は、採卵・採肉養鶏を行ないます養鶏農家では、特に個人としては種鶏業者になるものはほとんどございません。しかし、農業協同組合農家共同事業をもちましてそこまでだんだん進展していきますことは、これは農業共同化として当然のことでございまして、農林省の施政の方針であります。これは資金その他において援助をすべきものでもありますし、技術指導等をいたしまして、農協資金をもって自力でやっていただくことも望ましいと思います。岡山等におきましては相当りっぱなものも現にございます。ただ、法文に即しましては、別にそれは現状が少ないからといって拒否はいたしておりませんので、農家が大きな農家で、また標準鶏雌・雄を飼育して種卵生産し販売しようとするような農家でありました場合は、当然、利益も不利益も特別に受けず同一に適用される。それが共同行為によりました場合も同様であります。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 次に進みますが、昨日も政務次官からお答えがありましたが、これを要約すると、たとえば養鶏振興に必要な飼料問題等については、昨日の御答弁によると、飼料需給安定法というのがあるから、これを別に振興法で取り上げる必要はないというような説でありましたが、一歩譲ってそういうことでいくとしても、実際に、国が飼料需給安定法を設けて運用しておる中において、どの程度養鶏部面に現在の安定法運営というものが恩恵あるいは利益を与えておるか、その点はどうなのですか。
  16. 小枝一雄

    小枝政府委員 昨日御答弁申し上げましたのは、大要を概念的に申し上げたので、十分でなかったかと思います。特に飼料の問題につきまして、飼料需給安定法によりまして一つ価格の問題あるいは需給問題等におきましてやると同時に、この養鶏法においては、第八条によりまして、資金あっせんとか指導とかいうことをある程度やっていけると考えておるわけであります。
  17. 安田善一郎

    安田政府委員 先ほどの芳賀先生の、鶏を中心にしまして飼料需給安宗法でどのくらいの操作及び貢献をしているかということでございますが、三十四年度の濃厚飼料を推定いたしますと、鶏用は、ふすまその他の糟糠類小麦などの穀類大豆かす等植物かす類、さらに、イモ類とか、魚かす等動物油かす類等を入れまして、年間約二百二十万トン使っているだろうと思います。飼料種類によりまして、家畜中の鶏の消費しまする飼料のウエートが多少違いまするが、糟糠類では、——ふすまその他のかす類でございますが、これでは、日本畜産全部で消費しておる二割五分くらいだろう、穀類では四割以上である、魚かす等は六割七分、大豆かすは二割七分と推定をいたしておりますが、そういう中におきまして、昨年、これをかりに金額に見積もりますと、飼料全体で約九百億円をこえまして、そのうち輸入飼料が三百億くらいで、政府はそのうち百億くらい扱っておるわけであります。その六割をこえる分が鶏用にいきますので、それによりまする食管会計飼料勘定といたしましては、ふすま類の価格を安定させまするために、昨年ではふすまだけで約六億円の政府一般会計からの繰り入れをいたしておるわけであります。その他大豆かす等におきましては二千万円くらいの繰り入れをいたしまして、小麦におきましては八千五百万円くらい価格安定に使っております。なお、その結果から申し上げますと、対前年同月比にしまして、大豆かすでは約一七%、ふすまで一二、三%、配合飼料で五%強——これは魚かすが高いせいでございますが、その他も大体一年間には一割の値下げをして、価格変動もあまりないように今できていると思います。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、昨日も、鶏卵価格維持の問題については、政務次官もはっきりした方針お答えにならなかったのですね。政府考え方というものは、むしろ消費の面に重きを置いて、消費を増進するためにはむしろ安いコストの卵を供給すべきであるという態度をとっております。そうなると、安い鶏卵消費者に供給するということが第一義的なものであるということになれば、これはあくまでも低価格政策養鶏振興をやろうということになるのですから、その考えは間違っておるということを指摘したわけなのですが、これが政府提案法律一つの精神であるとすれば、とんでもないことになるのです。この点については、きょうは、一晩お考えになったと思いますので、もう少し明確な方針を示してもらいたいと思います。
  19. 小枝一雄

    小枝政府委員 きのう芳賀委員からただいまお示しのような御発言がありまして、私の答弁が足らなかったかと考えますが、私ども考えといたしましては、鶏卵の低物価政策をとろうという考えではないのであります。ただ、将来の養鶏業の発展を考えまして、これが不当に高くなっていくということになっては、需要の面におきましてどうしてもこれに対する圧迫を感じるような状況になってくると思うのであります。そこで、価格を最も適当なところに安定させるということが、現段階といたしまして、今後養鶏業を一そう伸ばしていくという考え方からいいまして一番適当であろうかと思いますので、昨日の答弁に言葉が足らなかったかと思いますけれども、これを安いところに安定させるという考えではないのであります。適当なところでこれを安定させまして、今後生産農家としてどんどんできる、また消費の面においても差しつかえなくこれが伸びていくというところに安定させるのが私ども考えなのでございます。御了承願いたいと思います。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 社会党の考えはもちろん御勉強になっていると思うのですが、第一の点は、コスト問題にしても、養鶏農家所得を向上させながら、一方においては養鶏経営合理化というものを進めることによって、その面でコストの引き下げを行なう、しかし、そのことは決して卵を安くして農家所得が下がるのではない、所得の向上の中においてコスト低減をはかる施策を進めるということでなければ養鶏振興にならぬ、われわれはそういう態度で来ておるわけです。従って、コスト低減については、昨日も申し上げましたが、第一に、えさの占めるコスト部面というものは今局長も言われた通り非常に大きいですから、飼料については、単に養鶏だけでなくて酪農もすべてそうでありますが、家畜全体の飼料政策というものを国が主体になってもう少し強化する、そして飼料価格低減あるいは需給安定をはかるということが第一の点です。それから、次は、養鶏経営上の問題でありますが、それは、法律にもある通り種鶏とか種卵改良を速急に普及徹底させて、そして養鶏農家年間産卵率を高める、そして生産が高まったことによってコストはまた低減する、そういう方法をとる。もう一つは、消流対策の問題でありますが、季節的に考えると、季節によって鶏卵価格に非常に大きな変動がありますから、これをやはり恒常的に安定させるということは非常に大事だと思います。ですから、その調節をする場合においては、たとえば鶏卵集荷施設の問題であるとか、貯蔵施設の問題であるとか、あるいは養鶏上必要な鶏舎であるとか、そういう設備の問題、こういうものに対しては、生産者あるいは生産者団体主体になって努力することも当然でありますが、なお政府としてもこの面に対して積極的に相当強い助成とか指導をする必要があると思う。この点に対しても政府としては何ら明確な態度を示しておらぬわけです。先ほど局長も言われた通り、一軒々々の農家にすれば平均十羽か十五羽しか飼育しておらぬという。それを対象にしてすぐどうするということはできませんから、やはり、段階としてはその地域農業協同組合あるいは養鶏組合等がありますから、これを単位として、この組合組織の中で鶏卵集荷事業をやる、あるいは販売事業をやる、そして貯蔵等に対しても完全な設備を行なって、年間需給の調整をここではかるようにする。あるいは、五十羽、百羽以上の養鶏農家に対しましては、近代的な鶏舎建設をするようなことについても十分指導を与えまして、必要であれば、鶏舎設備等に対しては、公庫融資でも系統融資でもそれはいいとして、そういう融資あっせん等についても協同組合養鶏組合等を通じて行なわしめる、そういう慎重な配慮が必要であると思います。この点に対しては何ら触れておらないのでありますが、いかがですか。
  21. 小枝一雄

    小枝政府委員 ただいま芳賀委員のお述べになりました、養鶏振興の基本的な、しかも具体的な問題でありますが、この法律には個々の問題については明確にはいたしておらないのでありますが、第八条に、いわゆる助言でありますとか指導でありますとか、その他これに対して必要なる処置をとるということを記載しております。その趣旨といたしますところは、ただいま芳賀委員がお述べになりましたような具体的なことに帰すると私は考えるのであります。そこで、ただいまのところ、流通面におきましては、鶏卵共同販売推進でありますとか、あるいは規格の設定でありますとかいうことも考えております。さらには、市場対策といたしまして、荷受け販売体制改善いたしますとか、あるいは中央卸売市場等による市場中心として市場の整備を促進するというようなことも考えておるわけでございます。さらに、芳賀委員のお述べになりましたように、飼料の面におきまして価格の安定と合理化をはかりまして、養鶏業者に安くこれを手渡しするようなことにつきましても、これは改善に努力する必要があると考えます。さらに、この法律でうたっておりますように、種鶏種卵改善をいたしまして、多産系の鶏をふやしていくということも当然でございますし、その鶏舎改善につきましても指導助言をいたし、また、必要でありますれば融資あっせん等もいたしまして、養鶏業合理化推進をはかる、一方におきましては、価格の安定をはかり、養鶏業者利益を増進することに努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 小枝政務次官から御答弁がありまして、政府案の第八条にことごとく述べてあるということですが、第八条というのをお読みになったのですか。これを読むとあまり内容が空疎であるので私が尋ねておるわけです。これには「国及び都道府県は、種鶏業者及びふ化業者事業場施設の取得、改良又は復旧に要する資金でこの法律に基く措置を実施するため必要と認められるものの融通のあっせん養鶏を業とする者の経営改善のために必要な助言及び指導その他養鶏振興のために必要な援助を行う」、こういうことでありまして、種鶏業者及び孵化業者に対してはある程度述べておりますが、一番大事ないわゆる養鶏を業とする者、養鶏業者養鶏農家に対しては助言指導をやるというわけです。この融資あっせんだとか、具体的に共同利用施設に対してどうやるかということはこれは助言指導ですから、こうやればいいですよくらいのことは今までもされているんですよ。それを、わざわざここに養鶏農家を持ち出してきて、指導助言をやりますというのは、ちょっと政府提案としてはその体をなさぬと思うのです。こういう第八条のごときは、わざわざここにお書きにならぬ方がよかったのではないかと思うのですが、その点お尋ねいたします。
  23. 小枝一雄

    小枝政府委員 お尋ねになっております点は、これはごもっともだと思うのです。この中には今の援助ということを書いておるわけなのでございますが、先ほどからいろいろとお述べになっておりますように、養鶏業者に対する問題については、私もまだまだ不完全なものだということはよく承知いたしております。また、芳賀委員の言わんとしておられるところを推測するのにかたくない問題であるのでありますが、この法律において足らざるところは行政措置として指導援助をしていくということを考えておるわけでございます。御了承願います。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 それから、鶏肉・鶏卵等の需給消費の拡大等の問題、流通機構等の問題については、政府方針によると、臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会、これは先般法律ができましたのに付随してこのような調査会が設けられておるのでありますが、すべてこれに譲って、この調査会の結論を得てやりたいということを言われておるのですが、こういう全般的な生鮮食料を扱うような調査会においで具体的に養鶏関係の鶏肉・鶏卵等の問題を取り上げるというのであれば、むしろ、養鶏振興上の何か審議会のようなものを作って、そこで重点的にやることも効果的な方法だと思うのですが、この点に対してはどういう御見解ですか。
  25. 小枝一雄

    小枝政府委員 この養鶏の肉でありますとかそういうものを生鮮食料の調査会でやるということを昨日も御答弁申し上げたのでありますが、ただいま出しております法律によって考えますと、現段階においてはそういうことになるのであります。ただいま芳賀委員のおっしゃるように、将来審議会のようなものを作って、そこでやると一そう効果的ではないか、この方がいいのではないかというお説には、私どもも同感でありまして、将来そういうふうなものになってくれば、私どももそのつもりで一つ善処いたしたいと思います。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 以上問題点について一通り質問をしたわけですが、質問者としては、政府答弁はわれわれの意に沿うものではないと考えております。ですから、指摘しました数々の欠点がこの法案の中に出てきておりますので、この際、委員会の質疑を通じての問題点については、政府の方で謙虚に検討されて、一応法案を撤回されるとか、あるいは政府として成規の手続をとって修正等をされて、整ったものを国会において成立するようにされてはいかがですか。あるいはまた、そういう御意思があるかどうか、お尋ねいたします。
  27. 小枝一雄

    小枝政府委員 ただいま芳賀委員から、せっかく養鶏振興について積極的な御意見をお述べになったのでございますが、政府といたしまして、ただいまのところこの案を撤回する意思はございません。同時に、これを政府によって修正するといたしますと、なかなか時間的にも間に合いかねると思いますので、政府といたしましては、これを政府案として修正をいたすことは困難であると考えます。御趣旨においては、私ども決してそれに反対の考えを持っておるのではないのでありまして、もしこの法律を一そう充実強化する適当なる方法がありといたしますならば、われわれは謙虚に考えまして、できるだけ善処いたしたいという考えを持っております。
  28. 吉川久衛

    吉川委員長 神田大作君。
  29. 神田大作

    ○神田委員 時間がないようでございますから簡単に要点だけを御質問申し上げたいと思うのでありますが、日本養鶏が非常に農民にとりまして大事な地位を占めておるにもかかわらず、養鶏業者というものは毎年々々かわっている状況にある。たとえば、二百羽を飼って養鶏をやっている、ところが、卵の暴落等によりまして、あるいは飼料の高騰等によりまして、養鶏業をやめてほかのものにかわっていくというように、非常に農家経営しておる養鶏というものは変転が激しい。この原因はもちろん飼料の問題と鶏卵価格不安定の問題にあると思うのでありますが、今度の法案にはそれが欠けている。もちろん、この法案にありますように、種鶏改良とか孵卵業者の育成ということは大事なことでありますから、ぜひこういう者に対しましても政府が何らかの助成、何らかの指導育成をなさなければならぬのでありますけれども、今日までこれらの者に対しまして何ら手を打っていなかった。非常におくればせながらようやく孵卵業者に対する指導育成の面だけの法案が出てきたのでありまして、私たちといたしましては、できないよりはましだというような程度で、もっと早くから法的にこれら養鶏業者を保護育成する法案を作るべきであったと思うのでありますけれども、全国の養鶏業者が期待しておるところの飼料需給安定と鶏卵価格安定に対して何ら触れておらないことは、この法案の大きな欠点であると思うのでありますが、この点について政府側の御説明を願いたいと思います。
  30. 小枝一雄

    小枝政府委員 神田委員のお尋ねになりました、今回提案いたしました養鶏振興法なるものがどうも不満足である、その内容においても、特に種鶏・孵卵という点に重点を置いて、養鶏業者に対する施策がまことに不十分ではないかという御指摘でございますが、これは昨日来しばしば各委員の御質問にもお答えいたしておるところでござでいますが、要するに、この養鶏振興法がいろいろと養鶏振興のために必要であるから政府としてもこれをぜひ立法化して提案するようにということでございまして、われわれといたしましても十分とは実は考えておらないのであります。いまなお今後改善充実していくべき幾多の施策もあり、また、法律といたしましてこれに明記しなければならぬ問題もあるかと考えるのでありますが、何と申しましても、こういう重要な法案であって、前国会におきましても議員提案で一応提案せられましたし、政府としてもこういう法案を一応起案いたしまして提案の用意をするというところまで参っておったのでございまして、この臨時国会に何とか間に合わせたい、こういうふうな熱意をもって実はこれを起案いたしまして、ようやく提案に間に合わせたようなわけでございます。われわれの考えといたしましては、まずこの法律提出することによって、わが国養鶏業種鶏の問題、種卵問題等、基本的な問題について施策を行ないまして、これによって養鶏業者に将来の利益をもたらすような一つの起点といたしたい。この法律提出いたしました私ども考えを一口で申しますと、まず隗より始める、こういう気持でございまして、一つ御了承願いたいと思います。
  31. 神田大作

    ○神田委員 次官のお話はわれわれもわかるのでありますけれども、これが養鶏振興の始まりである、今後これら養鶏振興のためにいろいろの施策をどんどん盛り込んで法案を完全なものにしていきたいという次官の考え方であろうと思うのでありますが、私たちといたしましても、ただこれだけに終わらしては困るので、単に孵卵業者の育成と種鶏改良だけで事足りるべき問題ではなしに、基本的には、やはり、養鶏業者経営改善と、また、生産者消費者鶏卵需給調整の中において安心した消費生活、安心した生産経営というものができるということが基本であろうと思うのでありますが、そういう点において一番大事な鶏卵価格安定あるいは需給調節、この問題についてはどうお考えになられるか、お尋ねしたいと思います。
  32. 安田善一郎

    安田政府委員 まず、鶏卵需給調節及び価格安定のことでありますが、これは、私ども、目下の現況としましては、消費地の卸売り価格が一キロ二百円をほぼ中心といたしましてその前後上下において二割くらいの間に価格がありますれば、いろいろ価格政策もよろしきを得ましたり、ひなの出し方、養鶏経営の仕方等、裏から言いますと駄鶏淘汰その他の指導がかなり上手に行なわれますと、養鶏農家所得をうんと増加するということではなしに、現状においての安定線というものはそのくらいにあるのじゃないかと思うのであります。現状は、不備な制度、行政措置のもとにありますけれども、私はほぼその水準にあると思います。昭和二十五年と二十九年の間の鶏卵価格を一〇〇といたしますれば、最近は一一一くらいになります。飼料価格は、同じ時期をとれば、ふすまで九五%、トウモロコシでは七八%、大豆かすでは七八%というような状況にあるわけであります。  あわせてもう一つ申し上げたいのですが、本政府提案はまだいろいろなすべきことがあって、養鶏農家養鶏経営の安定、生産物の需給調整、価格安定に資すべきではないか、その辺がまだ足りないのじゃないかということは御指摘の通りでございますが、これにつきましての考えは、ただいま政務次官から申し上げられた通りであります。また、御指摘のように、養鶏は、大家畜におきまする家畜改良増殖法というものすらないのであります。すなわち種鶏に対する法律すらないのであります。そこで、今回、生産の一番もとの、大家畜におきまする家畜改良増殖法のようなものを中心政府案を出したわけであります。自余の問題は、現在の制度であります飼料需給安定法等を中心にいたしまして、さらに、行政措置や、予算、資金、あるいは技術指導を通じまして、当面の施策を一そう推進しながらさらに制度を講じたい。もし国会の修正等でそれに対する裏づけとなる基本的な法規ができたり修正ができたならば、これはちっとも矛盾するものでない、こういう考えでございます。
  33. 神田大作

    ○神田委員 流通過程の問題について、鶏卵というのは、農家が個々ばらばらに業者に買い取られていって、消費者生産者の間における流通過程が非常に不合理な点があると思うのでありますけれども、この問題については政府は何らかの考えを持っておられるか、お伺いいたします。
  34. 安田善一郎

    安田政府委員 お話通りであると思いますが、その問題をとらえられまして、この前の国会で生鮮食料品卸売市場対策調査会というのが法律をもってできましたので、今、政府部内では、農林省中心になりまして、広く学識経験者を集めまして研究中でございまして、不日これは御答申をいただけると思っております。そのうちの養鶏の部分でございますが、その調査会におきましては中央卸売市場をどう改善しようかという問題でございますので、私どもは、予算措置もつけまして、さらに家畜取引制度改善調査会というものをもう一つ置いておるわけであります。この方は、生鮮食料品卸売市場対策調査会がまだ無答申でありますのに対しまして、答申をいただきました。従いまして、これによりまして来年度の予算要求をいたしておるのであります。両者相待ちましていい御答申をいただきました場合は、これを尊重いたしまして施策を十分に講ずべきでありますが、とりあえずはそういうことをいたしておりましてその一端を小枝政務次官が先ほど述べられたのでございます。家畜取引制度改善調査会においては、神田先生がおっしゃいましたような、生産増強に資するとともに、流通過程を近代的合理化する、その第一には、生産者団体共同販売、共同集荷を強化助成する、また、商人系統の資質を優良にするか、不良なものを排除する措置を講じたらどうか、産地の出荷施設、輸送機関、特に消費地における卸売市場の取引の場で公正な取引が行なわれますせり売りでありますとか、いい近代的な取引が行なわれますために中央市場を適用するか、実情に合わなければ単独にそれに適用する法案を作ったらどうか、また、冷蔵等の設備、また、マヨネーズ等の生産が非常にふえておりますが、加工業の育成もはからなければならない、消費増進その他も一般に講じてよろしい優良食料という考え方に立ちましてここに答申になっておりますが、それらを骨子にしてだんだん進めていくつもりでございます。
  35. 神田大作

    ○神田委員 私は、養鶏振興の第一歩として本法案が出たことには敬意を表するのでありますが、その内容は、まことに基本的な問題であってこの養鶏振興のほんとうの核心をなす飼料需給安定の問題、それから鶏卵価格の安定、並びに流通過程の改善の点において非常に欠けております。欠けておるというよりも、全然載っておらないというようなことでありますからして、政務次官が言われたように、これらの問題等につきまして今後速急に改善を行なう、政府がそういうかたい決意を持って、今まで置き去りにされておったところの養鶏事業振興のために特段の努力を願いたいということをつけ加えまして、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。
  36. 吉川久衛

    吉川委員長 養鶏振興法案に対する質疑はこれにて終了いたします。     —————————————
  37. 吉川久衛

    吉川委員長 本案に対し、自由民主党、日本社会党及び社会クラブ、民社クラブ共同提案による修正案が提出されております。修正案はお手元に配付いたしてある通りであります。     —————————————
  38. 吉川久衛

    吉川委員長 本案に対し、自由民主党、日本社会党及び社会クラブ、民社クラブ共同提案による修正案が提出されております。修正案はお手元に配付いたしてある通りであります。
  39. 吉川久衛

    吉川委員長 まず修正案の趣旨について提出者の説明を求めます。石田宥全君。
  40. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 私は、自由民主党、日本社会党、社会クラブ及び民社クラブを代表して、修正案を提出いたしたいと存じます。  修正案文及び修正案に関する要綱はお手元に配付いたさせておりますので、それをごらん願いたいのでありますが、この際簡単に修正案の趣旨を弁明することにいたします。  養鶏振興法案は本年四月四日に国会に提出されまして、以来今日まで継続審議をして参ったのでありますが、この養鶏振興法案標準鶏の制度を中心といたしております。これは実質的には種鶏中心とする制度でありまして、本法案養鶏農家ひなを販売しております孵化業者に関する規定養鶏経営を安定させるための総合的な見地に立った対策に関する規定に欠けており、養鶏振興の見地から言ってかなり不十分なものと思われるのであります。従いまして、本修正案におきましては、以下申し述べます諸点について法案を修正することにより、養鶏振興をはかり、ひいては農家経済の安定と国民の食生活の改善に資することが必要であると思われるのであります。  以下簡単に修正案の内容を御説明申し上げます。  第一に、孵化業者の登録の制度を設けることといたしました。すなわち、都道府県知事が優良な孵化業者を登録することといたしますとともに、これと関連いたしまして、登録孵化業者の義務、都道府県知事の措置命令等を定め、また、登録孵化業者の表示に関する規定を設け、この規定に従って表示ができる場合のほかは、この表示またはこれとまぎらわしい表示をすることを禁止することといたしました。これによりまして、養鶏農家が安心してひなを購入できるようにいたしたのでございます。  第二に、養鶏振興審議会を農林省に設けることといたしました。この審議会におきましては、養鶏関係各界の学識経験者により、養鶏振興に関する重要事項について大所高所から検討を行なうことといたしております。これによりまして、今後養鶏振興に関する諸施策を効果的に推進する基礎を固めて参りたいと思っております。  第三に、国及び都道府県が行ないます措置政府提出法案より拡大いたすことといたしました。すなわち、養鶏経営改善養鶏生産物の流通各段階改善及び消費の増進について、必要な経費の補助融資あっせん等ができるものとするほか、養鶏振興に必要な試験研究、技術の普及及びその助長の措置、優良な資質を備える鶏の供給を十分に確保するための措置等を加えることといたしました。  以上が本修正案のおもな内容でございます。何とぞ御賛成を賜わらんことをお願いする次第でございます。(拍手)
  41. 吉川久衛

    吉川委員長 以上をもちまして修正案の趣旨説明は終わりました。  本修正案について、内閣に対し、意見を述べる機会を与えます。小枝政務次官
  42. 小枝一雄

    小枝政府委員 ただいま満場一致の提案によりまして養鶏振興法に対する修正案が提出せられまして、これに対し政府の所見を申し述べたいと存じます。  本案につきましては、慎重検討したい点もあるやに思われるのでございますが、しかしながら、養鶏振興そのものには異存はないのでございまして、本修正案が国会を通過の暁におきましては、これに規定される個々の事項については、適切に運営いたし、善処いたすつもりでございます。     —————————————
  43. 吉川久衛

    吉川委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付しますが、討論の通告がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、修正案について採決いたします。修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  44. 吉川久衛

    吉川委員長 起立総員。よって本修正案は可決いたしました。  次に、修正部分を除く原案について採決いたします。修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  45. 吉川久衛

    吉川委員長 起立総員。よって本案は修正案の通り修正議決すべきものと決しました。  次にお諮りいたします。すなわち、ただいま修正議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。      ————◇—————
  47. 吉川久衛

    吉川委員長 この際、理事の辞任及び補欠選任に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、理事高石幸三郎君より理事を辞任いたしたき旨の申し出があります。これを許可することとし、その補欠選任に関しましては委員長において指名いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認めます。  よって、理事本名武君を指名いたします。  午後一時より再開し、運賃問題等の調査に入ることとし、これにて休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ————◇—————     午後一時五十一分開議
  49. 吉川久衛

    吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件につきまして調査を進めます。  農林水産物の輸送並びに運賃問題に関し質疑の通告があります。順次これを許します。  松田鐵藏
  50. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 まず私は運輸大臣にお尋ねをしたいと思います。  運輸大臣は今の私どもの政界における人情大臣としてほんとうに党意識を発揮した行政を行なっておることを、日ごろ非常に尊敬しておるのであります。これはどこでもそのようにならなければならないと思うのでありますが、たとえば農林大臣においても同様であります。あまりに部下の話をそのまま率直に聞いて、そうしてすべての行政をやっていく、これは、一面、政治家として大臣として当然のことだと思いますし、委員会においてもあまりに行政にタッチするようなことを一々取り上げてやるということも、委員会としても私どもは非常に反省していかなければならないことだと思っておるのでありますが、ただいま申し上げるように、運輸大臣は、われわれの同志としても、また先輩としても、政治家として大きな気持を持って運輸行政にタッチされておるのでありまして、一例をあげるならば、個人のタクシーに対する許可を与えたような、ほんとうにうるわしい行政もやっておられる。これに対して運輸当局は非常な抵抗を来たしたにもかかわらず、あれをあえてやられたということで、すべての点で政治という面をよく考えてやっておられるのでありまするが、たまたま、あなたの判一つで許可される立場にある日通の取扱料の値上げという問題に対して、きょうの新聞には、運輸大臣はそれを許可する方針であるという談話が発表されており、また、企画庁長官のまだそこまでいっていないというような談話も発表されておるのであります。  運輸行政に対して当委員会においてとやかく申し上げる必要はないと思いまするが、この通運業界に対して、あなたの立場から見て、いま少し通運行政というものにあたたかい手を差し伸べてやっていただきたいと思うのであります。五百四社ある現在の通運業者が、ただ一社だけがマル通であって、あとの五百三という通運業者が非常に因っておられる。それは年末までに何とか許可がおりるのだ、また指導がそこまで行き届いたという交互計算の問題、これらは今年の年末までにでき上がるのだ、指導の上においてこれが許可されるのだという指導をされた。ところが、いま一つは、引換証の整理保証事務というものがこれまた明年の一月までにはどうにか整備されるという段階にまで指導されたということでありまして、喜んでおりまするが、これらはまだ不完備のものであろうと思うのであります。こういう点に対してせっかくの御指導をまず願っておかなければならないことだと思います。ところが、この日通の取扱料の値上げを運輸大臣に要請された当時において、私どもに日通を初めあらゆる業者の代表が参りまして、取扱料の値上げに対する賛成をしてくれという陳情があったのでございます。この陳情を承っておるうちに、あまりにもばかばかしいことを君らは考えておるじゃないかと私は注意を促してやったのであります。それは、投下資本百八十億をおろしておる日通と、五百三社が全部まとまって三十億よりない一般の通運業者と、太刀打ちができるものじゃない。それが、あの料金によって値上げを要求されたときは、目先の欲をもって君らは要求されるが、君らの首を締められることを考えておるじゃないかという議論をしてやったところが、初めてその理由がわかって、最後には、私どもにはこの料金は上げなくてもいいから何とか日通並みのわれわれに扱いをしてもらいたいという議論に変わっていったのでありました。しかし、今物価が幾ら押えても押えても上がりぎみになっております。経企長官は非常に苦労されておることだと思います。そこにおいて幾分の値上がりを考えていかなければならないことであろうとわれわれは存じますけれども日本経済全体から見てあまりにも飛び離れたあり方をしてもらっては困るじゃないかという考え方をわれわれは持っておるのでありますが、とにもかくにも、一番先に重要なことは、運輸行政から見て、マル通以外の通運業者に対する交互計算の問題、引換証の整理保証の問題、これらに対していま少し親切に指導を願って、完全な業態にさしていただけるようにすることが一番大事であろうと思うのでありまするが、この点に対する運輸大臣のお考えはどのようになっておられるか、率直に一つ答弁をお願いしたいと思うのであります。
  51. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 ただいま松田委員のおっしゃいました、つまり、日通と全国通運の間に大きな経済的な差違があり、また、その活動範囲、負担しておるすべての業界における仕事の量等につきましては非常なアンバランスがあることは私も認めておるのでありまして、日通の今の行き方といいますか、今の形態がはたして日本経済全体のバランスの上から言って妥当であるかどうかということは、再検討を要することであろうと思うのであります。ただいまおっしゃいました交互計算の問題も、実は、御指摘のように、この問題は、全国通運の方、つまり日通外の方にとって重要な問題でありますので、数日前、十八日に私が決裁をいたしまして、それに対する認可を与えたのであります。従って、今日の通運業者、ことに中小の通運業者というものは非常に困っておりまして、約半数近くは配当もできないというような状態であり、かつまた、働いておる人の賃金等が一万五千円くらいの低賃金でありまして、非常な窮状にあるのであります。従って、通運料金の問題でありますけれども、この通運料金は、御存じのように、昭和二十八年の四月に改定されましてから、以来七年近く経過をいたしておりますが、その後における賃金の高騰、あるいは非常な物価騰貴等を来たしまして、経営の面に非常な窮状を来たしておることは委員の皆さまが御存じの通りでありまして現行の認可料金は、昭和十一年を基準といたしまして倍率を求めますれば、約百五十四倍であります。たとえばガスを例といたしますれば、ガスは二百四十七倍、郵便は三百三十三倍、船のごときは五百五倍、トラックも二百八十七倍、あるいは新聞は四百九倍、こういうように、他から見ますると、この点は実は非常に低いと思われるのであります。従いまして、全般的に経営の面におきまして非常に人件費を削減して経営をやっておるというところに経済基盤の弱体があるのでありまして、そういう点において、通運事業を今後近代的な経営の面に持っていく等のことからいろいろと指導はいたしておりまするけれども、基本的に七年間据え置かれておる、これらの状況等を勘案いたしまして、これに配慮を加えなければならぬという段階になっておるような次第であります。
  52. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 大臣は、日本のあらゆる統計から見た通運料金ということをただいま御説明になって、これを改定しなければならないというような御意見を持っておられます。この点に対しては、その議論からいきますとこれは当然であろうと考えるのでありますが、通運業界の五百三社というもののうち、半分は非常な赤字であり、半分はどうにかやっておる。マル通は、そこへいきますと、年一割四分の配当をされており、これから設備改善をする場合においては三〇%の収入があげられるであろうという議論まであるのでありまして、投下資本を百八十億も出しておるマル通であります。よって、近代化もできることであろうし、あらゆる設備もできることであろうが、現在一割四分も配当されておる。一割の配当ということになったならば、資本金と同額の利益がなかったらああした大きな会社は一割の配当はできないであろうと私は考えております。これは日本経済の常識であります。そこへいきますと、一割四分なり一割二分なりの配当をされておるというマル通は、投下資本の額が多いのと、あらゆる設備ができ上がっており、またやり得る力がある、こういう点から言ったならば、マル通の手数料の値上げというものはちょっと合点がいかないことであろうと考えるのであります。むしろ大臣のほんとうに心配される点は、中小業者の破産に瀕するものや、または、ようやくわずかの配当のでき得るようなものを育成していくことが政治でなければならないのでなかろうかと私は考えるのであります。こういう面から言って、適正な取扱い料の値上げというものに対しては、私はあえて反対するものではないのでありまするが、こういう点をよく勘案されていかなければならないであろうと考えるのであります。  そこで、前段に戻りますが、私が中小業者である通運業者に対して申したことは、あなた方は何で企画庁長官に対して要請をしないか、この話をしたのであります。それは、政府のあらゆる機関、たとえば農林省であろうと防衛庁であろうと、または専売のたばこであろうと、あらゆる政府の関係しておる物資は日通一本に流れておる。取り扱いをさしておる。こういう点は、私は企画庁長官によくお願いして意見を求めてみたいと思うのであります。これは、会計法に、「各省各庁において売買、貸借、請負その他の契約をなす場合においては、すべて公告して競争に付さなければならない。但し、各省各庁の長は、競争に付することを不利と認める場合その他政令で定める場合においては、政令の定めるところにより、指名競争に付し又は随意契約にすることができる。」、こういうことになっておる。これが災いしてか、この一つの会計法という法律の中から言って、各庁の間ですべての物資について日通に元請をさせておる。ここに私は議論があるのではないかと思うのであります。同じ日本国民であり、同じ権利を持つ通運業者でありながら、政府の、また政府が関係あるすべての物資が日通一本に行っておるというところに通運業界の衰微があるのではないかと思うのであります。この点を企画庁長官としてよくお考えを願いたいと思うのであります。私は、一々農林大臣にこのことを申し上げる必要もないと思う。また、専売公社に申し上げる必要もないと思う。あらゆる行政機関に対してそういう申し入れをする必要はないじゃないか、ほんとうに日本経済というものをよく考案されたならば、企画庁長官としてこの調整を行なっていただかなければならないのでなかろうかと考えるのであります。また、運輸大臣も、せっかくわが子である通運業界の者が苦しみつつあるとするならば、一方は一割二分なり四分なりの配当をしておるということを現実に見た場合において、企画庁長官とお話し合いを願って、この是正をしていただくようにしなければならないのでなかろうか。ただ、ここには、一番最後に、「又は随意契約にすることができる。」とある。本質はどこまでも競争に付さなければならないとしてある。これが実行されていない。そこでもって、運輸大臣の先ほどのお話のように、交互計算が認可され、引換証整備保証事務がもっともっと整備されていったならば、マル通と他の業界の者に何も差がないということになるであろうと思います。こういう点から言って、「随意契約にすることができる。」という一番最後ののがれ道でもって政府関係のあらゆる物資をマル通に元請させておるということが、私は非常に誤ったことでなかろうかと思うのであります。これに対して企画庁長官及び運輸大臣がどのように親切に取り一扱っていただけるかという、その御意思を御発表願えれば大へんけっこうだと思うのであります。
  53. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 今回の通運料金の改定の問題が起こって参りましたのは、お話通り、日通以外の小運送業者の経営困難というところから起こってきたと思うのであります。従って、それを何とかしなければならぬということで、運輸省でいろいろと御配慮をしてきたことと思うのであります。そういう意味において、実際経営困難ならば何とかしなければならぬ、すなわち、通運料金の改定をしなければならぬと考えておるのであります。しかし、同時に日通の経営にもその料金の改定が影響するのでありまして、そういう点において松田委員はいろいろと御心配になっておられると思うのでありますが、そこで、官庁の物資を日通に取り扱わせるということについては、これは今までいろいろの伝統や何かでそういうことになっておると思うのでありまして、これがはたして日通にやらすことがいいのか悪いのかということは、運輸省なりあるいは農林省なり専売公社などのそれぞれのお考えで日通にやらした方がいいということでやっておられることと思うのでありまして、その点について私どもからとやかく申す権限も実はないのであります。しかし、日通でやらすこと自体がほかの小運送業者をして困難ならしめるということであれば、その点については、今後運輸省などにおいても特に御考慮を、私からもお願いしたい、こう存じておる次第でございます。
  54. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 今菅野長官からお答えになりましたが、松田委員のおっしゃいますことはごもっともでありまして、ただ、日通が一割四分の配当をしておるということ、これは私も非常に注目をいたしまして、内容等を調べ、かつまた、今日の経済界の現状においてどういうことでそういうような大きな配当をしておるかということを調べ、通運関係においての厳密な計算といいますものは一体どういう事態になっておるかということも調べました。大蔵省等に出しておる書類等も調査せしめたのでありますが、通運に関する限りは日通は赤字でありまして、他の付帯しているいろいろなトラック業その他の事業の方から収益をあげてこれを補っておるという状態であります。従って、今日の物価の情勢、その他、申し上げましたような、七年間据え置きされておるために起こってくる人件費その他の高騰による重圧等から、どうしても通運業者というものをこの機会に最小限度において保護してやらなければならない。初め通運業者が出しました案によりますと、五十億七千万の計算になりますが、これは、荷主その他の立場等を十分に考えて、押えるだけ押えてやるということで、大体今出ております結論は二十七億までこれを押えておるのであります。この中で、日通が約六割くらいの増収になると思うのですが、日通では先般ストライキが起こりまして、これに対する賃金べース等の改善によりまして、このあげられた金も、端的に申しますとほとんど人件費に食われてしまうということも実は聞いておるのであります。  日通が持っております通運に関する独占的な行き方というものに対しましては、終戦後においてあらゆる企業体が解体をされておる中において、日通がこれだけの強大なものとして貨物を独占しておるということは、私も実は不思議に思っておる。率直に申し上げまして不思議に思っておるのでありますが、今経済企画庁長官の申されましたように、いろいろと過去の歴史等があって、あるいは、日通それ自体にいろんな貨物を扱わせることが、能率的にもあるいは経済的にもいいということを官庁側も考えてやっておるのであろうと実は推測するのであります。と申しますことは、反面から言えば、日通外の通運業者というものが、あまりにも脆弱であり、分断的であり、連絡がない。従って、これに対抗すると言っては語弊がありますけれども、やはりこれらの人たちを保護しなければならぬということで、交互計算に対する断案を下しまして、全国的に交互計算ができて、ここに一つの、日通に対抗し得ると申しますか、そういうことによって、中小の通運業者というものは、相互連絡があってこれが有機的に結合していけば、必然的に貨物の配分その他を考えてやると私は信ずるのでありまして、そういうことをやることによって、通運事業そのものの合理化も、あるいは低廉なる競争も、サービスの点においてもいくのじゃなかろうか、こういうことを考えるのでありますが、私は、その問題はまた別途に、運輸行政として高い見地から、また、日本経済構造をどう持っていくかというような建前から、ぜひとも再検討してみたい、こういうことを申し上げる次第でございます。
  55. 吉川久衛

    吉川委員長 倉成君に関連質問を許します。
  56. 倉成正

    ○倉成委員 企画庁長官にちょっとお尋ねいたしますが、ただいま、運輸大臣のお話の前に長官から、このたびの運賃改正は日通以外の経営が非常に苦しいという点から起こってきておる、こういうようにお話がございましたけれども、この点は私どもとして非常に重要な御発言であったと思うわけでございます。と申しますのは、この委員会でいろいろと論議をして参りましたときに、日通の経営というのが相当大きなウエートを占めて論議しておりますが、両大臣で非常に御認識が違うようでありますが、その点ちょっとだけ伺っておきたいと思います。     〔委員長退席、秋山委員長代理着席〕
  57. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 通運自体においては、ただいま運輸大臣の言われた通り、日通においても赤字であります。その点私も同じであります。表面は一割四分配当しておりますから、その点において経営は決して困難ではないということを申し上げたのであります。
  58. 倉成正

    ○倉成委員 関連してでありますから、一言だけで終えておきたいと思います。先ほどの大臣のお話は、このたびの日通の料金値上げは、日通以外のものの経営が非常に困難だ、こういう点から起こってきておる、特に非常に賃金べースが安い、そういうのを裏づけるような御発言だったと思うのです。今の御説明とだいぶ内容が違いますけれども、もっとお話しいただきたいと思います。
  59. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 私は、一つも内容は違っていないと思うのであって、日通が一割四分配当をしておるということ自体を見れば、経営はうまくいっておるということなんであって、通運自体については赤字だということは、運輸大臣が言われた通り、私もそれは認めておるのであります。
  60. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 私は企画庁長官にお尋ねいたしますが、先ほどのお話によりますと少しくお考えが遣うのじゃないか。私どもは、与党の立場において、国の予算は大蔵省がやるのであって、国の経済計画というものは企画庁長官の手によってやられるのだという考えを持っておるのですが、この点は間違いがございますか。
  61. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 お話通り日本経済の動向あるいは基本政策というようなのは経済企画庁がやるのであります。財政的の方面は大蔵省がやるということであります。
  62. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 そこで、あらゆる経済の動向を企画庁長官として見ていただかなければならないのであって、この通運業界における値上げの問題に対しての長官の談話を私はきょうの新聞で見まして、わが企画庁長官なりという考え方を持ったものでございます。あなたに直接聞いたんじゃなくて新聞でですけれども、いましばらく待ってくれ、もう少し研究しなければならないという談話であったと思います。ところで、今の楢橋大臣のお話からいきましても、中小の通運業者は、非常に困っておるものと、それから、どうにか経営をしておるというようなものがあると思う。ここまではおわかりになりますね。われわれは、今までの委員会での経過なり、または業界からの陳情なりから見て、その理由はどこにあるかということから言ったならば、政府機関のあらゆる物資が日通一本に行っておるのであるがゆえに、一般の業界の者は困っておるという現実の姿の把握をしておるのであります。こういう点から言ったならば、今直ちに御答弁を願うというのじゃございません、いま少しこの点の御研究を願って通運業界の他の五百三社というものの困っておる状態をよく把握願ったならば、先ほどのような、農林大臣やほかの大臣にお話をして下さるというのじゃなく、はっきりと経済の動向を把握されて企画庁長官は断を下してやっていただけるようになるのが、私は自民党の内閣の企画庁長官としての使命じゃなかろうかと思うのですが、こういう点は私の考えが間違いでございましょうか、この点を一つ承りたいのでございます。
  63. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 けさの新聞に私の談話が出ておりますが、だいぶ内容は私が話したことと違っておるようであります。私は、今通運の料金の改定の問題につきまして運輸省と農林省と通産省といろいろ話し合いをしておりますので、この話し合いがまとまらなければ経済閣僚懇談会にかけるわけにいかないということを申し上げたのでありまして、その話し合いがまだまとまったという報告を聞いておりませんから、それであれば今すぐ経済閣僚懇談会にかけるわけにいかない、なお、一月一日からこの通運手数料金の値上げをするという、これも誤りらしいのでありますが運輸大臣の談話が夕刊に出ておりましたので、一月一日から上げるかということがありましたから、それは私は断じて反対だ、それは、先般ガス料金の値上げのときにも、ガス料金値上げ以外の公益事業の値上げは当分見合わしてほしいということを私は閣議でも発言いたしております。従って、通運料金の値上げを一月一日からするということについては、それは私は反対だ、こういうことを言ったのが、ああいう記事の間違いになったのじゃないか、こう思うのであります。  そこで、なお、次のお話の件でありますが、私の方といたしましては、通運手数料金というものを幾ばくにしたならば日本経済の発展に対して支障を来たさないかということをいろいろ査定をしあるいは論議をするところでありまして、それによって運輸省もまた同意されれば大体この料金が確定するのでありますが、そこで、これを運輸業者のだれにやらすかということは、これは私の方では権限がないのでありまして、それは農林省なりあるいは政府機関がやることであって、そこまで私の方が介入することは越権行為になると思うのであります。
  64. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 楢橋大臣からも先ほどお話のあったように、通運料金だけでは日通は赤字のように思われる、その他の事業によってマル通は一割四分の配当をされておるのだ、こういうお話でございますが、そもそもマル通というものは何をおやりになっておるかというならば、まず倉庫と自動車、これがおもなるものであろうと思います。あとは取扱です。農業倉庫から農業倉庫まで移すものは食糧でございます。よって、これは他の農業協同組合のトラックさえ使うことができないのです。こういうのが現実の姿でございます。あらゆるものが、生産されて集荷された米でさえも、農業協同組合のトラックがこれを運ぶことができない。こういうことはどういうことかというのです。こんな不便なことはないであろうと思うのであります。日通が政府及びその関係の品物を一手に元請をしておるがゆえに、同じ通運業者はもちろんのこと、他の業界のものは一指も触れるわけにはいかないというのが、今日の日通の一割四分の配当をさしておる主たる財源であるということになったら、これは大へんなことであろうと私は思うのであります。あれだけの資本を投下しておる日通だけが一割四分で、あとは赤字になる、またはようやく経営でき得るのだという面から見たならば、ここにおいて非常な問題が起きるのじゃないかと思うのです。私に陳情のあった北海道の通運業界の者は、このままの運賃・手数料でもけっこうであると言っておる。私どもは、改善をしていくためには幾分の料金は上げてもらうことを非常に希望するが、もし政府機関の荷物を競争入札をして取り扱わしてもらえるならば、われわれはもっともっと親切に取り扱って、完全なる黒字をもってやっていけるのだ、こう言っておる。そういうものを取り扱わしてもらえるならば、多少の値上げをしてもらうことは非常に希望するが、われわれは立ち上がっていけるのだ、運輸行政にもマッチして、交互計算であろうと、何でもやっていけるのだ、こういう議論であります。これは、日本経済から見て、企画庁長官としても大いに考えてもらわなければならぬ議論ではないかと私は思うのでございますが、こういう点もやはり企画庁長官として何らタッチしなくてもいい議論なんでございましょうか。何よりもあなたを一番たよりにしておるのでございますから、こういう点を少し親切に御答弁願えれば、非常にけっこうだと思うのでございます。
  65. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 今松田委員のお述べになった通り、私ども全く同感であります。従いまして、この通運料金の改定に際しまして運輸省からいろいろお話があったときにも、まずこの日通の問題を解決しなければならないのじゃないかという意見を私の方からも申しておるのであります。従って、私の方からは、とにかく、料金の改定については、まず企業経営合理化とサービスの改善を前提として料金の改定をしなければならないということを運輸省へは進言しております。日通に対しては私からそういうことを言える権限を持っておりませんから、運輸省には、そういうことで一つ料金の改定をしてもらったらどうですかということを私の方から進言しておるわけであります。
  66. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 他の委員もおりますから、私ばかりやっていてもいけませんが、企画庁長官は上手に逃げておられて、これは、私も与党なるがゆえに、この辺はあとから委員会でなくよく話し合いをしていきたいと思いますが、私ども考え方はそういうことでございますからして、特に政府機関の荷物というものに十分の考慮を払っていただくことと、これは運輸大臣にもまた御協力を願いたいと思うのであります。  そこで、これは農林大臣がむしろ来てくれなければよかったと思うのですが、ただいまの議論からいきまして、大臣の所管にある、たとえば食糧であろうと、あらゆるものがあります。こういう点は、一つ企画庁長官及び運輸大臣ともよくお話しを願って、業界をまじめな企業に持っていくという建前から、今までの考え方を改めて、サービスを十分させるように指導して、そうして、食糧庁の品物であろうと農林省関係のものであろうと、競争入札なり指名入札なりさせてやっていただくようなお考えを持っておらるるかどうか、こういう点を御答弁を願いたいと思います。
  67. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 松田委員のお話を承っておりましたが、まことに私も同感の点が多々あります。ただいまお話しの、日通が独占しておるという問題でございますが、これにつきましては、日通が広く全国的なサービス体系を整えておる、こういう点から見ましても、そういう傾向を持つという根拠は私はあると思うのです。しかし、お話のような点もありますので、私どもは、さようなことがうまくいきますかどうか、これは行政執行上の問題といたしまして十分気をつけていかなければならぬ問題だと思います。十分検討させていただきたいと思います。
  68. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 実は、私が前段申し上げたような深い内容に対しては、大臣はお知りになっていない。これはまた当然だと思う。そういうことを大臣が一々知っている必要はない。ところが、食糧の点についても、私どもが計算いたしましても全然わけのわからぬ金額がそこに載っておるのもあるのです。これは、日通から言わせたならば全国の計算の費用だということになるだろうと思いますが、そういう点もあるのです。私どもの納得のいかない点もある。しかし、今そこを自分は知っておりますけれども、掘り下げてそこまで議論するのは私どものすべき問題じゃないと思うから、遠慮しなければならぬと思います。それから、いま一つ、はなはだしいのは、これはこの前も局長さんにお話し申し上げたのですが、運輸大臣にも申し上げておきたい。名前をあげてもけっこうでございますが、釧路に三輪運送という通運業者があります。これは北海道においても有数な実業家でありまして、あらゆるものが完備しております。ところが、日通は、これに対して、あらゆる物資について、計算を度外視して、三輪運送の扱料より五十円安くやっている。こういうふうに民間つまり中小企業者に対する圧迫を加えるようであっては、小さな中小企業者というものは立っていけないんじゃないか、こういう点もあります。こういう点も十分一つ監督をして御注意を願って、これからそういうことのないように、やはり通運業者というものは一体となって正しい企業と経済をやっていかなければならぬのでありますから、こういう点を一つ考えてもらいたいと思うのであります。  この通運料金というものに対しては、ある程度までの料金の上がることは、私個人としては決して反対するものではない。だがあまりにもけたはずれたあり方をもって、大きな資本を持っておる日通だけが利益になるようなことでは、これはとうてい黙っているわけにはいかぬので、中小企業の通運業者の育成にもなるように、その程度の幅のあるあり方をもってお考えを願うことが、私は一番いいことでないかと思うのであります。こういう点を一つ十分御考慮願いたいと思うのであります。  私はこの程度でもって終わります。
  69. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 今松田委員から非常な中小の運輸業者に対する御理解のあるお話がありまして、私まことに共鳴をしております。先般この通運料金の問題のときに日通の代表が見えましたから、日通の配当等について私からも実は警告を発しておるのでありまして、やはり、そういうような配当の仕方というものについても十分に運輸省としては検討したいということで警告しまして、しかるべくいろいろサービスその他について改善し、そういう高率配当をやって世間のまあ端的に言えば反感を買うとか、また、一方には非常に困った同業者がおって、あるいはそれに今言ったような圧力をかける、こういうことのないようにということは、日通にも私から先般警告しておるような次第でありまして、また、当委員会等におきましていろいろと御発議になったことも承っておりますので、先般申し上げましたような交互計算というようなことによって全国の中小の運送業者の統一をはかり、そしてお互いがその細胞体としてしかも全国的に荷受けができるような体制を整うべしということで、その方向で今進みつつあるのでありまして、十分に松田委員の御趣旨等を承りまして、そういう線に沿うて努力いたしたいと思うのであります。
  70. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 芳賀貢君。
  71. 芳賀貢

    芳賀委員 質問を二つに分けまして、第一の点は国鉄貨物運賃の公共政策割引について、第二点はただいま質疑が行なわれました通運料金改定の問題について尋ねたいと思いますが、この国鉄運賃の公共政策割引の問題については、しばしば当委員会においてもこの問題を取り上げまして、現在は十二月末日まで従来の方法でこれを継続するということになっておるわけです。ただ、その後においてどうするかということは、これは明確になっておりませんので、この問題について政府の明らかな態度を示してもらいたいのでありますが、これは国鉄運賃法に基づきましても国鉄総裁の権限によってきめることができる問題でありますからして、順序といたしまして、国鉄総裁の方から、この問題の今後の取扱いについて御説明を願いたいと思います。
  72. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 本日総裁が病気で休んでおりますので、大へん失礼でありますが、私からお答えさしていただきます。  私の方のいわゆる公共政策に基づく暫定割引につきましては、当委員会におかれまして数回にわたりましていろいろ御審議が繰り返され、また、私自身いろいろ御陳情を申し上げ、また苦境を述べさせていただきました。去る八月に私の方といたしましては、約半減するという案をお出しいたしましたところ、当委員会におかれましても種々検討され、また政府におかれましてもいろいろ検討された結果、これを十二月末日までとりあえず三カ月間延ばす、その間に国鉄の運賃あるいは財政問題について検討した上で何とか考えてやる、こういうようなお話でございましたし、また、当方の総裁といたしましては、当委員会におきまして、自分の権限ではあるが、政府の御指示に従うということを申し上げておりますので、私どもといたしましては、その政府の御指示によりまして、一応十二月末まで延期の措置をとったわけでございます。  ただいま芳賀先生からおっしゃられました通り、十二月末と申しますと間もなくでございます。私の方がこのままほうっておきますれば、自動的に十二月末で暫定割引が消えるということになります。ただ、その後、九月以降政府の関係各省の事務当局の間で種々会合が持たれまして、私も一、二回出席させていただきまして事務的な御説明をいたしたわけでございます。その後いかになりましたか、いろいろ事情を承っておりますが、まだまだ最終的な御決定までに至っておらないというふうに承っております。ただ、私といたしましては、るる当委員会において毎度お願いいたしております通り、あくまでも、なんとかこの問題をこの際御解決願いたいという八月にお願いをいたしました気持は、実は毛頭変わっておらないのであります。ただ、過般総裁が申しました通り、私どもといたしましては政府の御指示に従うということを申し上げておりますので、今は政府の御指示をお待ちいたしております。ただ、私どもといたしましては、政府の御指示と申しましても、できれば明確に、この間八月のようにただ延ばせというようなことでなしに、あるいは閣議決定なり、あるいは何か形に残したものでもってこの処置を明瞭にして私どもに御指示願いたい。あるいは場合によりましては国有鉄道法の第五十四条によりますところの行政命令でもけっこうだと存じます。これは私どもの方で申し上げるべきことでございませんが、いずれにいたしましても、はっきりとした形でもって、この問題をお前の方でこうしろ、こうすべきだ、政府としてはこうしてやるのだという明確な御指示を賜わりたいということを考えておりますし、そういう点につきましては運輸省を通じまして政府にお願いいたしております。
  73. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、国鉄におかれては、これは政策上の問題であるので、政府方針にこれをまかせて、政府が決定された方針中心にして取り扱いたいということでありますから、きょう三大臣見えておりますが、最も信頼できる政府を代表した大臣の御答弁を願います。
  74. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 この問題につきましては、ただいまお話がありました通り、この前の経済閣僚懇談会で問題になりまして、いろいろ議論されたのでありましたが、そのときには決定いたさなかったのであります。そこで、他の運賃の制度の問題もあるから、とにかくこの決定を年末まで待とうということになりましたので、その後、この運輸省なり、あるいは国鉄なり、あるいは農林省、通産省といろいろ事務的の折衝をいたして参ったのでありまするが、実はまだそこまでいっていないのでありますが、しかし、これがまた来年度の予算にも関連いたしますので、予算の決定とも相待ってきめたい、こう存じておりまして、幸い本日予算も大体内示されることになっておりますので、明日の経済閣僚懇談会にこの問題を提案いたしまして、そこで関係大臣と相談して最後の決定をしたい、政府の意思を決定したい、こう考えておる次第であります。
  75. 芳賀貢

    芳賀委員 それは変じゃないですか。予算に関係があるとすれば、明日発表になるというのはこれは大蔵省の第一次内示ということになる。大蔵省に予算を要求する場合においては、当然各省関係あるいは国鉄の経営全体の予算というものはもう定められておって、その通りにやってもらいたいということで大蔵省と折衝しておるわけです。ですから、予算との関係があるとすれば、どのような予算との関係でこの公共政策割引というものを扱おうとしておるか、どういうことで要求されておるか、その点をお尋ねいたします。
  76. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 この公共割引の問題でありますが、この問題については、あるいは大蔵省から補助金をほしいとかいうような問題もあって、大蔵省も非常に関係があるのであります。従いまして、この政府の予算が内示されますと大体大蔵省の方針がわかりますから、それによって明日の経済閣僚懇談会で討議して腹をきめたい、こう存じておる次第であります。
  77. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、私の尋ねているのは、発表以前です。これは、経済企画庁長官が担当して政策的に問題の解決をはかるとすれば、この問題をどのような形で政策的に解決するつもりでおるか、また、その解決策に予算が伴うとすれば、どの程度の——たとえば一般会計の予算であるとか、国鉄の今後の経営に対して政府として何らかの方針を明らかにして、これによってやるべきであるということで大蔵省と折衝しておるとすれば、これは話がわかる。何にも折衝もしないし、方針も持たないで、明日予算が発表になるからそれを見ればわかるというのは、あまりに不穏当な答弁だと思います。もう少し実のある答弁をお願いします。
  78. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 大蔵省の予算は今夕内示されるのでありますが、それによって大蔵省の大体の腹がわかるのでありまして、それによってわれわれの方で討議して、そしてなお明日の経済閣僚懇談会で、大蔵大臣も出席してその問題についてまた農林省なりあるいは運輸省、国鉄からいろいろ御意見があると思います。その上で最後に決定したい、こう考えておる次第であります。
  79. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、長官は予算問題にはタッチされておらぬと思いますので、国鉄にお伺いしますが、国鉄としては、これを十二月で打ち切るとすれば、明年度の国鉄公社の収支関係には何も新しい問題は出てこないわけですね。もし続けなければならぬとすれば、経済企画庁では何も作業をしておらぬとすれば、国鉄の側において何らかの必要な要求等をしておくべきであったと思う。過般来当委員会における総裁並びに磯崎さん等の答弁によると、こういう政治的政策的な制度を国鉄の貨物運賃の中に取り入れる場合においては、国鉄の経営自体の中で消化できるものはするが、でき得ない場合においては、当然、たとえば一般会計等からこれを補てんするとか、そういう措置が講ぜらるべきであるという意見もありますし、われわれとしても一応これはもっともであるというふうに考えておるわけです。ですから、この問題に関連して明年度の予算はどのようなものを組まれたか、その点をお伺いします。
  80. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点、来年度の予算と暫定割引の問題に関係いたしましては、実は、今先生のおっしゃる通り、約二十億でございますが、この二十億を来年度のまるまるの増収として見るか、あるいは全部減収として見るか、いろいろ問題がある。もう一つの方法といたしましては、政府に補償をお願いして、それを全部なり一部なりいただくというような、いろいろな方法がある。それにつきまして、私どもといたしましては、率直に申し上げさせていただきますと、もしこのまま存続しろとおっしゃるならば、一つそれは政府でめんどうを見ていただきたい、こういう主張を申し上げておったわけでございますが、その申し上げる場といたしましては、先ほど申し上げました関係各省の——これは大蔵省も入っております。関係各省の局長級のお集まりの場に私が出席して、そういうお願いを申しておるわけでございまして、それに対しましては、いずれにしてもこれは年末までにきまるのだからとにかく待てというようなお話がございましたので、一応その問題は触れないで現在の予算の御要求をいたしておるわけでございます。もし明日なり明後日にこれがきまりまして、端的に申しまして、二十億減らしてよろしい——減らしてよろしいと申しますのは、割引をやめてよろしい、こういうお話になりますれば、来年度の収入増として二十億は見られるわけであります。あるいは政府がめんどうを見てやるとおっしゃれば、それだけ来年度の収入はふえるという形になって、予算が若干修正されるということになると思います。いずれにいたしましても、今のところ、この問題とは別に予算を編成いたしておる次第であります。
  81. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは運輸大臣にお尋ねしますが、この問題を経済企画庁に預けるというのはちょっと変なんです。あなたのように政治力のある、往年怪物とまで言われた人が、この程度の問題を扱いかねて、これは経済企画庁長官の方でやってもらいたいというようなことであっては、いささか面子にも関することでありますが、一体、監督の運輸省として、この問題を政策的にどう取り扱い、あるいは国鉄の健全なる運営面から見てこれをどう処理するか。これは二つのものが関連したことにもなるのですから、主管大臣の楢橋さんの御見解を尋ねておきます。
  82. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 運輸大臣といたしましては、先般の八月末における国鉄の二十億、これはいろいろなことを勘案して譲歩したのですが、国鉄の趣旨を貫いてやりたい。国鉄は今日において公共割引において五百億近くのものがされておる。ことに特別割引等については国鉄としてはどうしても二十億というものを認めてもらいたいという強い主張がありますから、私どもといたしましては、明日の経済閣僚懇談会におきましても当然に国鉄の主張を支持するつもりであります。
  83. 芳賀貢

    芳賀委員 あわせて農林大臣のお考えを尋ねておきます。
  84. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 この問題は、国鉄が政策割引をやっておるということから国鉄の財政上非常な負担になってきた、こういうことなんです。その解決の方法としては、利用者である国民が負担をするか、あるいは国鉄の経理の中でこれを解決していくか、すなわち、国鉄がさらに経理を改善合理化してそういう財源を生み出すということにするか、——公共政策割引と申しますれば、国鉄といたしましてもそうむげにこれを断わる根拠はないと思う。国家の背景のもとにでき上がっておる機構でございますから、時に政策的な負担があってしかるべきものである、そういうような考えです。その両者が工合が悪いという際には国の財政の負担でこれをやっていく、こういう三つの行き方があると思う。私といたしましては、利用者の最も重要なる地位にある農林物資を代表する立場といたしまして、一方におきましては、景気も非常によくなって、神武景気以上の景気というわけでありますから、国鉄の輸送量も非常にふえておるわけでありまして、さような時勢の変化等も考慮して、経理の面も十分検討してもらいたい。同時に、国鉄の経理を検討いたしましてどうしても負担に耐えられないんだという際におきましては、私どもは一から十までこれに反対だという立場はとり切れないと思います。ですから、私どももこれに対するできる限りの協力態勢というものは考えなければならぬと思いまするが、しかし、それにいたしましても、国家がこの問題の主たる解決に当たらなければならない、こういう考え方を持っておるわけなんです。さような意味におきまして、いよいよ予算のけじめをつける時期になって参りましたので、私どもといたしましては、さような立場をとりながらこの解決に臨みたい、かような考えでございます。
  85. 芳賀貢

    芳賀委員 この際運輸大臣にお尋ねしておきますが、先ほどの答弁によりますと、国鉄の主張を運輸大臣としてはなるたけ入れてやりたいということでありますが、私たちがながめた場合、この政策割引をすべて一般会計の負担でまかなえということになれば、国鉄の経営の中における公共性というものは全く失われてしまうと思うのです。ですから、この際さらに一歩本質に触れて考えて、これはわれわれとしても数度論議している問題でありますが、たとえば、現在の国鉄の状態は、新線建設の場合においても全部国鉄の経営の中でやるというようなことになっておるわけです。新線を建設する場合においても、これは国民経済の発展に伴って当然やる必要がありますが、その場合、これを区分すると、将来とも利益があがらない新線と、数年後には利益が十分回収されるという路線とに区分することができるのです。たとえば、東海道の新線のごときは利益が回収できる線であります。特に国土の開発とか資源開発のために鉄道が必要であるというところに敷設される鉄道の場合においては、これはもう経営上から言うと収益があがってその投下に対する回収を行なうことは断じてできないということは言えるわけです。ですから、収益のあがらない、利益の回収できないような新線等に対しては、当然国の政策の上に立って行なう問題でありますから、それらの路線に対して、私は、一般会計から当然建設の費用というものを、たとえば出資等の形においてでもこれを負担するというような根本的な施策というものが立てられなければいけないと思うのです。この点に対しては政府においても全然明確な方向というものは示されていないのです。あるいはまた、先般も、東海道の新線の場合においても、わざわざ岐阜県の方へ迂回して、羽島駅とかいうものを百億円もかけて一駅作るというような問題が公然と政府与党の中においても論議されている。そういうことをあえてやる者が政治力があるというような間違った評価の行なわれるような国鉄の経営の場合においては、われわれとして信頼してこれをどうするということは言えない問題が多々ある。ですから、これらの点に対しては根本的な態度を明らかにして、それを解決することによって、この農林水産物資のようなものに対しては十分政策的な割引制度というものを積極的に持続する、そういうことをやるべきであると思いますが、運輸大臣としてはどういうお考えなんですか。
  86. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 今議題になっております農林水産物の特別運賃の問題は、この委員会におきましても、農林大臣及び企画庁長官が列席されまして、八月のどたんばになって、結局この問題は一つ運賃全体から勘案して、処理しよう、そういうために、まず十二月三十一日まで延ばそうということになって今日に至っておるのでありまして、私もその当時から申し上げましたように、国鉄の立場から言えば、この特定割引の問題についてはぜひとも認めてもらいたいという主張を持っておるのであります。今御指摘になりましたような国鉄全体の経営の問題、これは新線建設等の問題についての扱い方をどうするかという問題等もありますが、総合的に言えば、われわれの考えといたしましても、運賃全体をどうするかということをまず検討すべき段階であるということは、委員の御指摘の通りであると思うのであります。  この割引が国鉄の立場から言ってどういう性格になっておるかということは、山内局長からいずれ後刻説明をいたさせますが、今委員のおっしゃいました、たとえば伴睦駅、——伴睦駅と言っては失礼ですが、今指摘されました問題でありますけれども、これは多少誤解があるように思うのであります。あの問題は、大野伴睦氏が、岐阜市を回って行ってくれ、——岐阜市を回れば百億円かかって十五分間おくれる。いかに大野伴睦氏が政治力があるといえども、そういうばかなことは聞くわけにいきません。私も怪物と言われる男ですから。(笑声)そういうばかなことはいかぬ。大野さんがとめろと言おうとも、断じていかぬ。また、十河さんから電話が来ましたが、そういうことを聞いたら十河総裁を即刻罷免すると言ったのです。しかし、さすが大野伴睦氏は、やはり副総裁だけありまして、これにはいかぬと思ったのかもしれません、たちまちそのことは譲歩いたしまして、現在の線を変えなくて岐阜県を通る汽車を一カ所とめてもらいたいというような要望になったのであります。御承知のごとく、あれは特急をとめるのではありませんで、特急が通ったあと余っておる線を利用いたしまして普通の急行を走らせる。そのために、静岡県にも三つとめるし、あるいは愛知県にも二つとめる。神奈川県にも二つとめる。滋賀県にもとめる。ただ、岐阜県だけは、よく考えてみますと、多数の土地を収用しながら一カ所もとめないということは、これは気の毒と言っちゃ失礼ですが、大野伴睦氏ならずとも、岐阜県民からあれだけ要望がありますから、一カ所だけとめることは、これは当然の措置であるし、また、単に一カ所だけでなくても、東京から大阪まで行く三時間の時間を阻害しない範囲内において、その線路を曲げない範囲内において、できるだけ国鉄としては本来の使命によって沿線の人にサービスするのは当然の措置であるということで、ああいうことをやった次第でありまして、決して大野伴睦氏の政治力に屈してあの既定線を曲げてやったようなわけではないので、この点は一つ御了承願いたいと思います。
  87. 芳賀貢

    芳賀委員 先ほどの長官の答弁は、明日第一次の予算の発表があるのでその結果を見て速急に扱いの態度をきめたいということですが、すると、大体明後日あたりこの問題の政府としての方針がきまるわけですか。
  88. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 明日の経済閣僚懇談会でこれを提案いたしまして、話がきまるかわかりませんが、幸い話が決定いたしますならば、明後日の閣議にかけて決定するということに相なっております。     〔秋山委員長代理退席、委員長着席〕
  89. 芳賀貢

    芳賀委員 まさか政府が打ち切りなんということはしないと私も確信してこの問題を終わります。  この際明確にしてもらいたい点は、現在国鉄の貨物の等級改定の作業が進んでいますが、私は、この問題と公共政策割引の問題とは性質上違うものであるというふうに信じておるのですが、将来に問題を起こすといけませんから、この際いわゆる等級改定の問題と政策割引の問題は明らかに違うということをここで明確にしておいてもらいたいと思います。
  90. 山内公猷

    ○山内説明員 お話通り、性格的には全く別のものとして取り扱っております。
  91. 吉川久衛

    吉川委員長 芳賀委員に申し上げます。農林大臣は今参議院から出席を要請されております。私、話に参りましたけれども、強い要請がありますので、農林大臣に関する件がありましたら特に先にお願いいたします。
  92. 芳賀貢

    芳賀委員 問題の性質上、先に農林大臣だけというわけにはいかぬから、もうちょっとしんぼうを願います。  通運料金の問題については農林委員会においても数度この問題の質疑を行なったのですが、今日までの審議の経過を見ると、運輸当局の当委員会における答弁というのは、全く各委員も了承することができないような、あいまいな、不明確な答弁だけに終始されたわけです。それで、この問題は、農林委員会として短時間に結論をつけるような、そういう質問というものはわれわれとしても技術的にできないのです。ただ、経過的な問題、あるいは政府として現段階においてどのようなこれに対する査定とか作業をやっておられるかということを中間報告的にわれわれは聞くのが本旨であるというふうに考えておるわけでありますが、新聞によりますと、松田委員が述べられたように、運輸大臣は明年の一月一日からこの改定を認めて、そうして実施する、経済企画庁長官はそれには反対であるという、政府部内における異なった意見が述べられておるわけでありまして、この点は、運輸大臣の答弁によりましても、無理にやるわけではないということも言われましたが、一応経過的にどういう取り扱いが今日まで進められておるかということを簡単に運輸大臣並びに企画庁長官にお尋ねいたしたい。
  93. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 お尋ねの通運料金につきましては、当委員会におきましてもしばしば御意見を承っております。当委員会等の御意見を私どもは頭に置きまして運輸当局とも話し合ってきております。私どもが主として主張してきております問題は、四号駅の廃止の問題、また、減トン除外品目の整理の問題、それから易損割増の問題、急送品割増問題、こういう四点にある、かように考え、これをぜひ皆さんの御意図、御意見の方向で解決したいというので交渉をいたして参ったのであります。運輸大臣もここにおられますが、運輸大臣も、まあここまで話がきて、農林当局その他通産省も関係しますが、関係各省、政府部内が一致するというならば、特に農林省のその四点につきましては、これはこの際見送るとしてもよろしかろうか、こういうような内意見が述べられる段階にきておるわけなんであります。そういたしますると、残っておる問題は基本料金の問題だけになるわけですね。基本料金につきましては、運輸当局では一六%上げということを原案として言っておるわけです。私どもはそれがなるべく低い方がいいわけでございまするが、まあ大体そこまで話が詰まったならば、いろいろ先ほど松田委員からもお話がありましたが、中小の運輸貨物業者というような問題も触れ合い、この際まず妥結すべきではあるまいかというふうな考えを私どもとしては持つに至っておるわけであります。しかし、まだ最終的な決定には至っておりません。もちろん一月にこれを実施するというようなことは考えておりませんが、ともかく、さような段階まで事はきておる、かように御了承願いたいと思います。
  94. 芳賀貢

    芳賀委員 では、農林大臣に尋ねますが、基本料金についてはこの通運業者の申請通り認むべきであるという、そういう御見解なんですか。
  95. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 これはそうは考えておりません。もう少し運輸大臣に勉強してもらう、かような考えでございます。
  96. 芳賀貢

    芳賀委員 その点は、申請は一六%なのです。ところが、現在は一三%ぐらいまで政府部内で査定を進めておるというふうに聞いておるのですが、企画庁長官は、これは国民経済に与える影響が非常に強いからして、それは反対であるということを明らかに述べておられるが、農林大臣は、今話が一三%まで進んだのだから、もう一押しやってみてまあまあというところまでいけば、やむを得ぬだろうと、そういうお考えですか。
  97. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 これは政府部内でただいま話し合っておるところでございまして、この何%という問題ばかりでないのです。ただいま申し上げましたようないろいろな問題が、こまかくあげますと十何点あるのです。それも出入りのあります問題なので、何%ということだけでこの問題が決定さるべきものじゃない。ただいま話し中の段階なので、どこにどうするかということまでは詰まっておりません。
  98. 芳賀貢

    芳賀委員 これは、今までの経過説明によると、基本料金以外の各種の割増料金等については、大体政府としても申請を認めないというような方針であるというふうに承知するのです。それであれば、かつてわれわれが指摘したように特に農林水産物資だけに基本料金のほかに割増料金等の増加によってしわ寄せをするという傾向は相当排除できたということに対しては同意できるわけです。ですから、今度は主として基本料金を中心とした改定ということになれば、この基本料金改定の線でやはりがんばってもらう必要があると思う。そこは抜け目はないと思うのですが、いろいろ予算関係でお忙しいと思うのですが、最終までに一つ大いにがんばってもらいたい。  それから、もう一つ申したい点は、農林大臣としてお考え願いたい点は、四号級をなくする、そうして一、二、三の方へ吸収するという点は、これはやらないことにしたということはけっこうですが、表面から見るとそれでいいのですが、実は、国鉄の方では、貨物駅の集約の問題、貨物小口扱いを集約するとか、あるいは貨物の貨車扱いを集約するということを積極的に今進めておるわけです。全国三千八百の貨物を取り扱っておる駅の中で二千駅をなくするということですから、そうなると、将来、二千駅がなくなるということはあり得ないとしても、漸次集約された場合には、一体、一号、二号、三号、四号級のどの等級に属する駅がなくなるかということを考えてもらいたい。ほとんど農村、漁村等においては集約駅の対象になっておる。そうすると、そこでは四号級は残しても、四号級として扱える駅の場所がなくなるのですよ。そうなると、実質的に四号級というものをなくして三号以上の方へ持っていかなければならぬという事態が当然起きてくる。ここは実に巧妙に仕組まれておるわけですから、四号級が残ると思っても、これは将来その駅がなくなってしまうわけですから、そうすると、等級だけ残っても扱う駅がないということになるわけでありますから、この点は農林大臣としても抜け目なく立ち回っておく必要があるのじゃないかと私は申し上げるのであります。
  99. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 国鉄の貨物駅の整理問題というのは、ずっと前からやられておるのです。さようなことは、経済がいろいろ地方で移り変わりがあるというような、そういう状態に応じてさようなことが行なわれるという場合もありましょうし、国鉄全体の能率を上げるというような見地からやっておるという面のものもあるようでございます。しかし、お話のように、これが農産物に非常に悪影響を及ぼすというようなことであってはならないので、私どももかねがねこの問題には着目をいたしておる次第でありまして、四号駅の問題とも関連して十分注意をして参るつもりであります。
  100. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣はお急ぎのようですから、あなたに対する私の質問はこれで終わります。
  101. 吉川久衛

    吉川委員長 石田君。
  102. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 私、直接農林大臣に質問を申し上げるというよりは、農林大臣に一つ聞き手になってもらわなければならない。  これは御承知のように、科学技術がずっと進むにつれまして、農業というものと他産業とのアンバランスがはなはだしくなってくる。これについては、岸内閣総理大臣も、施政方針演説の中でこの産業の二重構造を強調され、農民の所得と他産業の所得との較差がますますはなはだしくなっていくということを指摘され、ここに所得均衡の上に立った日本農業の発展的成長をはかるということを述べておられます。ところが、いろいろな施策を見ておるというと、具体的な政策の面では必ずしもそれに沿うておらない。今取り上げられておりまする運賃の問題にしても、あるいは貨物駅の集約の問題にいたしましても、その一つの現われであると言ってもよろしい。この点で、ことに経済企画庁長官、それから運輸大臣にはっきり一つ腹へ置いていただきたいと私は思うわけです。ここで数字を述べるまでもないことでありまするけれども、とにかく、全人口の四〇%も占めるところの農民の総所得が一七%か一八%なんです。こういう実情にあるということ、これ一つでもすっかりわかるわけですけれども、さらに、最近の動きを見ますると、昭和二十二年には農民の所得が他産業に比較いたしまして二分の一であった。ところが、三十二年には他産業の三分の一に低下しておるわけです。こういうような実情の中において、農民の所得較差というものがますますはなはだしくなりつつある。このことについては、昭和三十三年から昭和三十七年までの経済長期計画というものが経済企画庁で一度出されたことがあるのです。その中での農業部門のごときは、その翌々年にもう破綻をしておるわけです。今政府所得倍増し論をいろいろやっておられるようです。これは経済企画庁長官の持ち分だと思うのですが、なかなかどうも農民の所得の倍増しというものは困難だということが伝えられておる。これがほんとうの農民の姿だと思うのです。  また、農民の個々の経済状態を見ましても、昭和二十六年と昭和三十二年を比較いたしますると、農民の粗収入というものが一二七・三%に伸びたのです。ところが、物財の投下関係の必要経費の方は一六六%に伸びておる。粗収入のふえた分は一二七・三%で、支出の方は一六六%ということでありますと、この差はますますはなはだしくなっていくわけです。  こういう中で所得の倍増論というようなものを考えてみても、かつて国民所得が倍になったことがあるのです。ところが、国民所得が倍になったときに、物価の値上がりが七〇%あった。あとの三〇%は一部の独占資本が収奪してしまって、国民の前は、国民所得の倍増論は素通りをしてしまっておった。農民の前ももちろん素通りしてしまったのみならず、逆に物財投下の負担のみが多くなっておる。こういう現実の認識が問題であろうと私は思うのです。だから、経済企画庁で今立案されておるといわれる所得倍増論、これでも、新聞の伝うるところでは、農民の所得は二%か二・二%程度しか伸びが見られないが、他産業の方は六、七%も伸張度が見られるということが伝えられておるわけです。  農民の所得較差のこの不均衡を、全人口の四〇%を占めるところの農民の所得を他産業に均衡させて、そうして農業の発展的な成長をはかるということは、具体的には一体どういうことをやればいいんだということを、皆さんは一体どう考えておるか。なるほど、国鉄は、国鉄の営業の中において赤字が出ては困るからといって公共政策割引を手直しをする、あるいは遠距離逓減の修正をしようということをお考えになる。日通は、先ほどお話があったように、一昨年は一割四分の配当をし、昨年は一割二分の配当をしておる。その上にまた通運料金の値上げをはかろうという。こういうように、すべての政策が総理大臣や農林大臣の言っておられることと逆な方向に今動きつつある。その一つの要素として今取り上げられておる問題があるということ。これは運輸大臣もそういう点で基本的に考えていただかなければならないのです。その認識がないと、この問題を理屈だけこね回したって意味がないのです。  なるほど、日通も、自動車局長お話によると、五%の利益で中間四回転を見て二〇%の利益、うち一〇%程度は税金と見て、一〇%程度の配当が適正利潤だと考える、こうおっしゃるけれども農林水産業の方は一体どこと比較してどうやって将来立っていくか。こういうことを考えた場合に、今公共政策割引の総額で二十億程度のものは、国が直接農民に対する保護政策をやることがいいか、あるいは国鉄の中へこの政府資金等を投入して農林水産物に対する特例を認めるということによって従来の制度を維持することがいいかということについては、これはきわめて慎重を要する問題であると思うのです。今議論されておる問題はこまかな問題でありまして、そういう基本的な考えについて農林大臣からよく聞いて、農林大臣はその腹で運輸大臣や企画庁長官に談判をしてもらわなければならないのです。ただ、日通が赤字が出るから、国鉄が赤字が出るから、そんな問題じゃないと思うのです。全人口の四〇%を占める日本農業の将来を一体どうするかという、この大きな見地に立ってこれらを処理していただきいと思う。  なお、これらの点についてやはり農林大臣が中心になって他の省と折衝に当たらなければならないが、運輸大臣や企画庁長官はそういう点についてどのように認識しておられるか、この点を一つはっきり伺っておきたい。
  103. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 石田委員のただいまのお話、まことにごもっともな一面も私には考えられます。所得の倍増という問題は、お話通り、これはもう各界各層の者がひとしくそれに均霑しなければならぬ。私の所管する農林水産業におきましても、他の産業と歩調を合わせて所得を増加するということにいかなければならぬ。それがすなわち所得倍増計画の内容であるとさえ考えておるのです。所得が倍増になる、日本生産力が倍になる、これは大体ほうっておいても倍になるが、あるいはそれ以上になるかあるいは多少引っ込むというところにはくると思うのですが、大事なことは、そういう方向を目ざして内部の均衡ということを実現していくということにあるだろうと思いまして、その通り考えます。  それから、お話の、それだから直ちに今度は運賃問題は農業予質的感覚でやらなければならぬかというと、そういう感覚ももちろん持つべきだと私は思っておりまするが、そればかりでこれは解決できないのだと思うのです。先ほども申し上げました通り、国鉄の経理の問題でありますとか、あるいは国の財政負担をどの辺までしていくかという問題もありますので、総合的に解決しなければならぬと思いますが、私の立場からいたしますると、私が前から皆さんに申し上げておる通り、これが急激に農産物資に重圧を加えてはならぬ、かような基本的な考え方からやっておる次第でございまして、大体において石田委員にそうお小言をちょうだいしない立場で行動しておる、かように考えておる次第でございます。
  104. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 ただいま農林大臣から農業所得の較差の問題について大体お答えがあったと思います。われわれも農林大臣と同じ考えで国民所得倍増の長期経済計画を立てておるのでありまして、お話通り現状をそのままにしておけば農業所得はだんだん減ります。較差がだんだん広がってきますから、これをなくするような政策をとるべきだという考えをしておるのでありまして、その問題につきましては、主として農林省の方で農業基本問題についていろいろ御研究になっておりますので、その農林省の調査とわれわれの研究調査とマッチさせて今後政策を立てていきたい、こう考えておる次第であります。
  105. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 ただいま石田委員から、農民の日本経済構造の中における立場について分析が行なわれましたが、私も、やはり、農村が他の経済から見ていかに劣位にあるかということはよく理解いたしておるのでありますが、この運賃の問題等におきましても、通運業者が他に比べて七年間据え置かれた、すなわち経済的アンバランスの問題でありまして、国鉄の今日の五百億近くの公共割引も、究極するところは、やはり、国家の要請によって公共割引をされながら、一方には独立採算でいけという要請を受け、一方には運賃というものはノーマルな商業べースその他経営べースから押えられておるという、二律背反的な立場に国鉄が置かれておる。世の中は、矛盾だらけといいますか、アンバランスだらけというような状態でありますから、ことに農民の置かれておる基本的な立場というものを私もよく理解いたしておるので、これらの点についてこれを是正する、国家はどういうような手だてをもって農民の不均衡を是正するかということは、総合的に勘案すべきものであろうと思うのであります。御意見は大いに御教示を得まして、ありがとうございました。
  106. 吉川久衛

  107. 芳賀貢

    芳賀委員 運輸大臣にお尋ねしますが、今度の通運料金の改定の申請の理由は数項目あげられておりますが、その中で、われわれが見て目立つのは、第一は設備改善ですね。荷役設備の機械化、あるいは包装の機械化、こういう設備改善を速急にやらなければならぬという問題と、それから、通運事業の従業員の賃金が無常に低く押えられておる、低位に置かれておるから、この運賃の是正をしなければならぬというような点がやはりおもなる理由だと思う。そこで、運輸大臣としてもこの内容を検討されておると思いますが、  一体、設備改善等は料金の引き上げによって行なうべきものか。これは当然設備投資とみなすものでありますから、企業の中において、企業の努力の中で設備改善を行なって、そして機械化あるいは能率化をはかるということでいけば、この部面については何も料金を引き上げなければならぬというような理由は出てこないと思うのですが、この点に対してはどういうお考えを持っていますか。     〔委員長退席、秋山委員長代理着席〕
  108. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 今申し上げましたように、七年間据え置かれておって、そのために、他の物価の倍率から申しますれば、すでに先般きまりましたガスにいたしましても二四七の数が出ているのに、これは一五四である、あるいは郵便のごときは三三三の数が出ているのにこちらは一五四、こういうように、据え置かれたために経済的に非常な劣位に置かれておって、経営困難に陥っておるし、日通の問題はさいぜん松田委員によっていろいろと論議されて私も申し上げましたが、一般の中小の企業者というものはそういうような非常なアンバランスの立場に置かれておるから、これに対して最小限度、許されるところにおいて一つ改善してやりたい。何を申しましても、やはり収入が根源でありますから、その収入をもって設備改善し、これを合理化することによって能率を上げ、ひいて経営の健全化をはかる。ことに、中小の通運に属して働いている人たちは、驚くべき劣位にあるといいますか、賃金からいいますと一万五千円くらいの賃金でやっている。そういうような非常に低い賃金によって、しかも、なお、その賃金を払うことによって経営が相当苦しいために、かえって人的には減らしておるというような状況と思われますから、やはり、今御指摘のありましたような点をやるにいたしましても、その源泉である点に御配慮願うことによって、経営合理化なりあるいはその公共性の責任を果たし得るのではないか、こういうように考えるのであります。
  109. 芳賀貢

    芳賀委員 私のあげたのは二点でありますが、これは理由のおもなものです。それで、賃金の点はあとで触れますが、第一の、設備改善を行なうために料金を引き上げてやらすべきかどうかという点なんです。これは設備投資ですから、資本構造の面から言うと、設備に資本投資を行なってそして機械化、近代化が行なわれれば、その結果というものは当然能率的になって、また利潤の度合いも高まってくるということになるわけです。そういうような設備投資と見られるべきものを料金に加算して料金の引き上げを行なって設備改善をやらなければならぬというような理由は、われわれとしてはこれは認むべきでないという考えに立って質問しているわけです。ですから、この点に対して、抽象論ではなくて、運輸大臣の御見解を重ねて伺いたい。
  110. 國友弘康

    國友説明員 日本通運の関係で御質問だと思いますが、日本通運に関しましては、今後次の期までに五十億の増資をいたしまして、この五十億の増資の中には、固定資産の増加等、そういう問題を含んで増資をすることになっております。そういう方向で資本増加をいたしまして対処していく面がございます。
  111. 芳賀貢

    芳賀委員 設備改善は資本増加によって行なうということが明らかになったので、その点はいいです。  次に質問しておきたい事項は、確かに通運事業に携わる従業員の賃金は低いのです。そこで、問題としてお尋ねしたい点は、これは日通に例をとりますが、たとえば、日通の従業員の中には、社員と社員外の作業員という区別がある。社員である場合においては、これは身分的にも最低の保障は行なわれておるとしても、社員外の作業員、いわゆる常勤作業員というものは、これは社員としての取り扱いを全然受けておらない。従って、身分上の保障というものは何も講ぜられていないわけです。従って、今回の料金改定の理由として従業員の賃金を是正するという場合においては、全般的な賃金の是正の中における最も冷遇されておる日通の社員外の現場従業員等に対しては、この料金改定の中においてどのような是正が行なわれて、現場で最も苦労しておるこのような冷遇されておる従業員諸君の待遇というものが改善されるのか、その点は今まで政府から説明されていないわけです。
  112. 國友弘康

    國友説明員 日本通運におきましては、経営合理化をいたしまして、現在先生がおっしゃるような臨時職員というもので業務量の波動に対処しております。これらの人たちの給与等につきましては、先般来御説明申し上げております基準で計算いたしましたもので私どもとしては運賃をはじいておりますので、今度の十二月に妥結しました社員の給与改定におきましても年間にしてみますと七億程度の支出増加になると考えておりますが、これら臨時の職員のものにつきましては現在の運賃改定の中には算定いたしておりません。ただ、作業費の中に見込まれておりますものを取り上げまして計算をしておるのであります。今後これらの作業員の給与についてどう処置されていくかということについては、日本通運対それらの人たちの交渉に待っていくという形であります。
  113. 芳賀貢

    芳賀委員 この料金問題について許可の権限を持っておる運輸省は、申請者が賃金の是正をするということを一つの理由にして改定を申請しておる場合に、この内容をしさいに査定する必要が当然あるわけです。政府の方からも、資料として、給与階層別調査表というものが、これは日通関係でありますが、出されておりますが、この中には、今自動車局長の説明によりますと、いわゆる社員外の臨時職員、これは常勤に作業をしておるのですが、身分上から言うと非常勤の労務者というような取り扱いを受けておるのでありますが、それらの諸君の稼働の実情とか給与の実態というものが何らこの調査表の中には示されていないわけです。それで、お尋ねしたい点は、この調査表に掲げられていないところの、いわゆる社員外であるところの、経営者側から言うと臨時労務者と称せられるような作業員が、総数においてどのくらいの人員があり、その給与の実態というものがどういう状態に置かれておるかという点を、この機会に御説明願います。
  114. 國友弘康

    國友説明員 社員に関しましての給与の階層別調査表を作りまして資料として提出してあるのでありますが、作業員に関しましては、大体の数字を申し上げますと、作業員総員で四万ございまして、給与のベースは一万七千円程度でございます。
  115. 芳賀貢

    芳賀委員 料金の改定が行なわれれば、このような一番下の階層の作業員の処遇というものはどういうふうに改善される見通しなのですか。身分的に、あるいは賃金的に。
  116. 國友弘康

    國友説明員 私どもは、給与に関しましては、たとえば今回の十二月の改定給与等は原価の中に織り込んでおりませんので、これらにつきましても今後どう改善されるかということは申し上げられないのでございまして、従来の支払い金額を原価に計上するという形になっていくわけでございます。今後、臨時作業員等の給与につきましては、先ほど申し上げましたように、会社とそれらの人たちとの交渉によってきまっていくということになると考えております。
  117. 芳賀貢

    芳賀委員 しかし、あなた方は監督の立場にあるわけです。しかも、申請者の理由とするところが、従業員の賃金が非常に低いからこれを是正するために料金の引き上げをしたいというのです。先ほどの設備改善は資本の増加によってやるからして料金には関係ないとすれば、この従業員の給与の問題というものは相当主要なる目的と理由になると思います。そういう場合に、利用する国民の負担によって結局日通の収益がふえるということになれば、今の通運事業の従業員の待遇というものは下に行けば行くほど非常に恵まれておらない、冷遇されており、上に行けば行くほど優遇されておるという矛盾というものは、国民がその一端を負担するという場合は是正すべきであるという要求はそれに伴って行なわれると思います。また、これを認可する場合にも、この点はこのようにしなさいということを認可の条件として指導することも私は可能だと思います。実際その現場に行って荷物を直接取り扱い、貨車の積みおろしとか小運搬に携わっておる従業員の人たちの労働の状態とか待遇の内容とか、あすの日にでも首を切られるかもわからないというようなそういう悲惨な実情というものを私たちは十分にわきまえておるわけであります。ですから、こういう点を是正することが主目的であって改定しなければならぬ、料金の引き上げ以外にその道がないとするならば、やはりその目的に沿うような形でこれが認可されたり若干の引き上げが行なわれるということはわれわれとしても認めかければならない点もあると思います。そういう点に運輸省が全然触れないで、給与問題は経営者と労働組合との間におけるところの協定とか話し合いの中で解決すべきであるということは、間違った態度だと思います。どうですか、その点を運輸大臣にお尋ねします。
  118. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 今回、通運料金の改定をなすにあたって、今御指摘になりましたような認可をする場合においては、経営合理化、あるいは今おっしゃいましたような従業員に対する一つの扱い方等については、運輸省として、監督官庁として十分に注意いたしたいと思います。
  119. 芳賀貢

    芳賀委員 特にその点を厳重に注意してもらいたいと思います。この身分保障のない社員にあらざる臨時的な従業員というものは、実際はもう継続的に作業に従事しておるわけです。これらの諸君が中心になって現場で働いておるにもかかわらず、全然このことに対する解決が行なわれていない。これを認めないで現状のままで収益がふえた場合においても、今の状態ではこれら諸君に何らの優遇措置も講ぜられないと思います。そうして、日通なんかの最高首脳部は、選挙に出るときは一億円も金を使って、てんとして恥じない、こういうようなこともわれわれは聞いておるわけです。ですから、これはやはり、この通運業の運営全体の中においても、経営が困るからといって安易に国民の負担で料金を引き上げるべきではないという経済企画庁長官の所信というものは、私は正しいと思います。この問題はその程度にしておきます。次に、昭和三十四年の九月二十九日に運輸審議会が公聴会を開いております。通運料金の変更認可申請事案を公聴会にかけて、そうして、申請者が六八と、一般公述人三十一名に出席を求めておるわけです。これは、申請者は 別として、一般公述人のうち、出席した者が二十六名で、そのうち、意見を賛成、反対に分けますと、この料金引き上げに賛成の意見を述べた公述人が四名、引き上げるべきでない、いわゆる反対の意見を供述された人たちが二十二名ということになっております。従って、一つの目的を持って公聴会を開いたわけでありますから、この公聴会の公述人の意見というものは十分尊重さるべきであるとわれわれは信じておったのでありますが、この問題に対する運輸審議会の答申というものは、もうすでに行なわれたのか、あるいは行なわれていないのか、その点はどうなっておりますか。
  120. 國友弘康

    國友説明員 公聴会は二回開きまして、九月の二十九日と十月の八日とに公聴会を開催いたしたわけでございますが、これらにつきまして意見を聞いて、運輸審議会として答申を出すことになっておりますが、まだ答申は出ておりません。
  121. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、審議会の答申を待って、そうして運輸省としてはその後に方針をきめられる、そういう順序になるわけですか。
  122. 國友弘康

    國友説明員 運輸審議会の答申を得てから運輸大臣として行政措置をするということになっております。
  123. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、まだ答申が出ておらぬのに、運輸大臣が一月一日からこれを実施しますと言うようなことは、改定をそれ以前に認めなければ一月一日から実施はできないのですが、そういう手続上の問題等は運輸大臣はまだ勉強されていなかったのですか。
  124. 國友弘康

    國友説明員 これは、運輸審議会の答申は、各料率に当てはめまして、各基本賃率全部に一号級から四号級までの該当するものに全部当てはめまして、非常に詳細な答申が出るわけでございます。これらについて妥当な答申が出れば、これを尊重して行政措置をするということになっておりますが、運輸省といたしましては、通運料金全体についてどのような持っていき方をすべきかという方針はきめられるわけであります。運輸審議会とは別個に、運輸省としても、通運の運賃料金を総体として考えて、どのように持っていくべきかということは考えておるわけであります。あと具体的な料率等につきましては運輸審議会の答申を待って措置する、こういうことになっております。
  125. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、企画庁長官にお尋ねしますが、この問題については、政府部内において経済閣僚が中心になって、しかも経済企画庁長官が主体になってこの問題の最終的な方針をきめるということになっておるとわれわれは信じておるわけです。長官の御意見は先ほど述べられたので重ねてお尋ねしませんが、これは長官の意向を無視してあるいは全然反映されないままにこれが認可になったり行なわれるということはないでしょうね。いかがですか。
  126. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 通運料金の改定は、これは運輸大臣の所管事項になっておるのであります。経済閣僚懇談会に法規上はかけなくてもよいのでありますが、経済閣僚懇談会を開いて経済閣僚の意見を一応徴するということで、明日かけよう、こう考えておる次第であります。
  127. 芳賀貢

    芳賀委員 権限が運輸大臣にあることは明らかになっておりますが、たまたま政府においては長官を中心にしてこれの結論を出すということが新聞等で伝えられておるわけであります。だから、われわれとしては、そうであれば経済企画庁長官の発言というものは相当尊重されるというように考えておる。しかもあなたの御意見というものは承っておったわけでありますが、今また必ずしもそうでないということになりますと、あなたの御意見というものは政府部内等においてはあまり重きをなさぬということになってしまうのですか。
  128. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 この料金の改定については、運輸省と農林省と通産省と意見がまだ合致していないのです。その調整する役が私のところなんです。今調整しておるところなんです。大体調整ができれば明日の経済閣僚懇談会におけることができると考えております。
  129. 芳賀貢

    芳賀委員 それでわかりましたが、新聞に伝えられるところの談話を見ると、これは電気料金であるとかガス料金であるとかと同様に国民生活に直ちに影響するところの料金改定ですから、国の経済全体に与える影響とかあるいはその作用というものを十分慎重に考えて、経済が過熱しないというようなことを原則にしてきめなければならぬ、だから、運輸大臣が軽々しくこの承認をしようという態度は不穏当で不謹慎である、こういう見解をあなたは述べられておる。ですから、その線でやってもらえばよいわけです。十分一つ努力を願いたいと思います。  最後にお尋ねしたい点は、先日の委員会においても取り上げた問題でありますが、国鉄の貨物駅の集約の問題であります。この点については、先日国鉄当局からは見解を承りましたし、また運輸省からも山内監督局長が出られて意見を述べられたが、ちょうどよい機会ですから、この貨物駅の集約の問題について運輸大臣としては現在どのような考えでおられるか、お尋ねします。
  130. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 国鉄がとっております貨物駅の集約整理の問題でありますが、国鉄は経営合理化という建前からこれらの問題について一つ方針をきめておるようでありますけれども地域によりまして、貨物駅を廃止することによって地方のたとえば農協その他に非常に大きな影響を与えるというような場所、——端的に申しますと、やはり、それを廃止するにしましても、国鉄は公共性を持った国民の一つの大きなサービス機関でもありますから、なるべく地元との間に了解を取りつけ、よく理解させてその問題を扱うべきであるということを私は指示しておるような次第でありまして、ことに北海道のようなところはやはり相当考慮すべき点もあると私は思っておるのであります。そういう点で、一方に国鉄自体の経営合理化という問題と、今申し上げたようないかにして地方の人々との間に調和するかという問題とをもってこの問題を善処しよう、こういうことを指示しておるような次第であります。
  131. 芳賀貢

    芳賀委員 きょうは時間がありませんし、この問題は一刻を争う問題でもありませんので、私どもとしても十分内容を検討していきたいと思っておるわけです。  あと二点簡単にお尋ねしますが、そのうちの一つは、この通運業に対する許可の問題であります。運輸省は、これの許可にあたっては、必ずしも単数制ではない、通運事業の独占を排除することを建前にして一地域の複数制を建前にして通運業の許可を行なっておる、そういうことを述べられておるが、これは松田委員も相当強調しておったようでありますが、原則は複数制でいくにしても、実際は、資本の力関係とかいろいろありまして、なかなか複数制は進んでおらぬ。むしろ吸収等が行なわれて独占化が進んでいくという傾向もあるとわれわれは見ておるのですが、この点に対する運輸当局の見解を尋ねておきたいと思います。
  132. 國友弘康

    國友説明員 通運事業法が制定されましたのは昭和二十四年でございますが、昭和二十四年に、先生の今おっしゃる複数化の方針を打ち出したわけでございますが、その後十年経過いたしました。最初、第一次、第二次、第三次、第四次、第五次というような複数化方策を進めましたが、最近におきましては、複数化をなされます駅というのは、相当扱いトン数が多い駅でなければやはり採算が成り立って参りませんので、大体指定されました駅におきまする複数化は完了いたして参りまして、その後は申請を待って措置をするという形で運用して参ったのでありますが、こういう十年の経過の間に相当複数化され得る駅は複数化いたしましたので、実は最近申請が非常に少ない状況になっておりますが、運輸省といたしましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、全国通運株式会社に計算事業の認可もいたしまして、新しい免許を戦後に得ました新免店が一緒になりまして、力を結集して日通に対抗していくという組織を作らせ得るような素地ができて参りました。これらによって指導をしていきたいと思っておる次第であります。
  133. 芳賀貢

    芳賀委員 最後にお尋ねしますが、これは営業に対しては許可等においても複数制を認めておるのですが、ただ、問題は、政府所有の物資ですね。たとえば政府が買い上げた米麦、あるいは法律によって政府が買い上げ保管しておるテンサイ糖等もそうでありますが、これらの政府所有の物資の輸送等については、ほとんどこれは独占の契約でやっておるわけです。ですから、その複数制でいくということであれば、通運業の中においても、やはり、それが政府の出資であっても、自由なる競争というものが行なわれる条件を与えてやるということは、企業の育成発展上からも大事な点ではないかと思うのです。特に自民党の政府の場合はこのことは大事な点じゃないかと思うのです。過度の競争は避けなければなりませんが、やはり公正な競争の中においてその企業が発展する、しかもそれが国民経済に対しては寄与するという結果が生まれるような状態というものは、運輸省においても、あるいは農林省等のこの物資を直接管理しておる当局においても、これは当然考慮すべき問題であると思うのです。この点に対して、農林大臣はおりませんが、運輸大臣並びに経済担当の長官からも意見を聞いておきたいと思います。
  134. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 さいぜん松田委員から御質問がありましたときに私お答えしましたように、日通に対抗する中小のこれらのものに、実におのおのの経営形態は違いますけれども、会計の整理その他について全国的に統一した認可を与えたことは、通運業界における一つの大きな革命と申しますか、動向を示したものでありまして、私は、独占的なことをやっていくことよりも、やはり競争体制に持っていくことが妥当だということを信じております。また話が横道にそれますが、個人タクシーなんか、私は、相当反対があっても断行した。これは現状を打破したいということです。私は最近「人間の反逆」という本を書いておるのですが、つまり、現状を打破して前進するためには、やはり、そういうようなある種の新しい道を開いたらいいという考え方を持っておるのでありますが、今お話しのような官庁関係の貨物を頼むという方は運輸省の直接の管轄ではありません。これは政府のそれぞれの機関が委託するものでありますけれども、在来において日通に頼んだということは、日通が、御存じのように、終戦後全国的に網を張って、すべての輸送を単一化したやり方をやっておったことが、おそらくそういうことに便宜上なっておると思うのでありますけれども、今言ったような新しい動向がここに生まれ、また、世論から言いましても、そういう独占的なことを打破して自由競争による一つのよさを生かそうというような段階になってきておりますので、そういう趣旨に沿うたような指導を私の方からもやりたいと思っているということをお答えしておきます。
  135. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 ただいまの御質問につきましては、先ほどの松田委員の同じ御質問に対してお答えした通りでございまして、日通だけに独占さすということ自体については、これは大いに考慮すべき点がある、このように考えております。
  136. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 石田宥全君。
  137. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 大臣大へんお急ぎのようでありますし、大臣に対する質問は芳賀委員の質問でほぼ尽きたようでありますが、はっきりしない点がございますので伺います。  いわゆる公共政策割引と遠距離逓減規定の改正の問題、これは、農林大臣はきわめて希望的な観察を述べておられるようでありますが、どうもちょっと明確を欠いております。私どもは、この点は十二月三十一日までということになっておるのでありますが、これは、国鉄の運賃体系全体の改正の準備が今進められておるということでありますから、やはりそれと関連して改正さるべきものであろうと考えるのです。これは率直にお伺いしたいのでありますが、運輸大臣はそれについてはどういうお考えでおられるか。
  138. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 八月末のときは、農林委員会、——その他通産関係もありますが、この問題をめぐりまして、紛糾と申しますか、非常に熱烈な要求があったのでありますが、国鉄の経営状態等から、この特殊な割引についてはぜひともかんべんしてもらいたいという強い要望がございましたけれども、これは、私が、そのときに、実は今御出席の菅野大臣等にもお願いしまして、やはり国鉄全体の運賃という問題からこの問題を解決するということをやったらいいじゃないか、それは大体において十二月の末までに目安をつけるということで、十二月の末までになっておるのでありまするけれども、現段階におきましては、その点は、全体の運賃の問題としてこの問題を処理するという段階までには、正直のところ申しましてなっていないのでありますから、これはオートマティックに、自動的に、ほうっておけば今言ったように特定の割引は廃止されるということになるのでありますから、危機まさに迫っておるということでありまして、農林大臣はのんきなことを言っておるけれども、私がこのままどっしりかまえ込んでいけばオートマティックにいってしまうのだから、あなた方農林大臣のしりっぺたをひっぱたいて、大蔵大臣に談判させて、何とか国鉄のめんどうを見るということをやってもらいたい。この前も、農林大臣は、農林委員会において、私のおる前で、自分も国鉄の状態はわかるし、自分も大蔵省出身だから、これは大いにやると言っておるのでありますから、一段と皆さん方の御奮闘をお願いしたいと思います。
  139. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 その点は、私どもの方も常にそういう主張をしておるのです。公共政策割引全体で二十億程度のものならば、これは国家融資等を増額をしてこの割引は存置すべきだということを強く主張しておるわけでありまして、この点はこの点でやりまするけれども、今差し迫った問題について、一体どうするつもりなんです。
  140. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 これはちょっと今言えませんが、私、あしたは経済閣僚懇談会におきまして菅野長官、それから大蔵大臣その他とも話をしますが、この点は、やはり、一番利害関係の深い大臣が奮闘しなければ、私は国鉄の監督官庁で、国鉄の健全化を主張しておる人間ですから、私からそれを当分やめろということは言えない。あくまでも猪突猛進する考えでありますから、どうぞその点は御了承願います。
  141. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 その点はわかりました。農林省経済局長はよく聞いておって、大臣に一つその旨をよく含めてあすの閣議に出てもらうように。それから、もう一つの通運料金改正の問題、これは実は本委員会でこの間一日自動車局長を呼んで審議を始めたばかりです。資料を要求いたしまして、資料が出て参っておりますけれども、それに基づく審議をしておりません。まだ手をつけたばかりだ。手をつけたばかりなのに、きょうは「査定内容について」という、すでにこういうふうに査定したという中間報告のようなものが出ておるわけですね。これははなはだけしからぬ話なんで、こっちはもう少し審議をしてみなければよくわからない。われわれも、先ほど松田委員から言われたように、全面的に上げてはならぬと言うわけではないが、合理的に処理をするにはどの程度どうすればいいのかということについては、審議を始めたばかりだから、まだ見当がつかないわけです。ですから、これはもう少し審議が進むまで国鉄の公共政策割引等とともに処分は当分留保されたい。この点について……。それから、時間がないようだから、もう一つ。さっき芳賀委員からも質疑のあった貨物駅の集約の問題ですが、これは、今大臣も、よく納得のいくようにスムーズにやるようなことを言っておられるのですか、これが僕は非常なくせものだと思う。なるほど、関係者の了解を得てスムーズにやるのだ、こういうことなんだが、きょう国鉄から出席しておられる磯崎局長のなかなかかたい信念のほどをかって伺っておるのです。それによると、やはり相当強行する意図を持っておられることは明瞭だ。そしてその腹案も実は資料として伺っておる。これは私の地方のことを申し上げてなにですが、新潟県の北蒲原郡というと小さな県の一県ほどの米の産地なのです。五十万石くらい供出をしておるところです。そこの大きな郡が新発田駅という一駅に全部集約されるという計画なのです。そうなったときに、一体農村の経済に及ぼす影響がどんなものか、およそ想像がつくのです。それと、もう一つ問題なのは、今すぐやるのではない、よく納得を得てやるのだ、こう言うことが一体どういう結果を及ぼすか。これはこの間監督局長にも話しておいたのだけれども、たとえば私の方のある駅で最近枝肉センターを作った。ちゃんと駅から引込み線を作る計画で工事をやった。工事を半ば過ぎて、もう少しで完工するわけだ。ところが、それはやがて集約されて貨物駅としてはなくなってしまう駅の中に入っておるわけだ。農業倉庫だって至るところにそういうものがあるのです。もしそれが集約されてなくなるのだということがわかれば、ほかの駅の近くに農業倉庫を作りますよ。ところが、それがわかっていないものだし、あるいはそれは集約されないかもしれぬということで、じゃんじゃん倉庫を作ってしまう。ところが、あとでそれは集約されてしまう。こういう問題が全国至るところに今起こりつつある。だから、今いいかげんな答弁をされるということは、将来に及ぼす影響が非常に大きいと思う。私は、むしろそれは、集約をするのならする、これはもう貨物駅としてはやめるのだ、しかし、そこのおおよその物産はどういうものだ、だからそれについてはこういう特別な措置をする、そういうことを明らかにする措置がとられないはずはないのです。場合によってはそれは季節的な物資もあるでしょう。米のごときはちゃんと政府がオーダーを切って計画的に輸送するものですから、そういう輸送計画とマッチして、そういうところにある倉庫を生かして使うという方法がとられないはずはないのです。ですから、そういう点について、ただ抽象的に耳ざわりのいい言葉でここで答弁をされるよりは、国鉄当局にもっと真剣に検討をさせて対策を明らかにされる方が、国鉄のためにも、また国民のためにもなる一つ措置であると考える。この点についてよく意見を伺っておかなければならぬと思うのです。
  142. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 第一の点は、さいぜん農林大臣からも農林委員会等の趣旨を承り、並びに農林大臣から私に明日農林委員会等の趣旨に基づいて折衝があるということを承りましたから、それをよくお聞きしまして、また、菅野大臣もおられますので、よく協議してきめたいと思うのであります。  また、第二の点につきまして、私はいいかげんなことを答弁しておるのではありません。私が申し上げましたように、集荷駅を廃止するか廃止しないかという問題は、国鉄それ自体の合理化の問題があるけれども、やはり、国鉄が持っておる公共的な性格というものも十分に勘案して、しかも地元等の意向等も十分に参酌して善処すべきである。あなたの北蒲原の、私は個々の駅についてどうこうということはわかりませんけれども、言いかえてみれば、大臣というものは、原則をよく指示して、その大臣の趣旨をくんで当局がそれぞれ盛り込むということ以外には、こまかなことはわかりませんから、その点は御了承願いたいと思います。
  143. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 神田委員。
  144. 神田大作

    ○神田委員 大臣だいぶ忙しいようだから、一問か二問にします。それは予算の折衝だから……。  今日このようにわれわれが三大臣を呼んで質問しなければならぬのは、運輸大臣が一月一日から通運料金を上げることを決定するというようなことが新聞にも出たし、そういう考えを持っているから、われわれは今日徹底的に質問しなければならぬ。というのは、大臣のところにも、各業界、各団体から通運料金の値上げの不当性はすでに十分陳情されておると思う。不当な点もあると私は思う。また、当然上げなければならぬ理由も多少あるでしょう。しかしながら、何も一月一日に早急に実施しなければならぬ理由はわれわれは認めない。だから、大臣がもっと検討したいということならば、私は一問で質問を打ち切るし、一日からやるという腹があるならば続けて質問したいと思いますので、その点をお尋ねします。
  145. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 なかなか単力直入な質問でありますが、一月一日から実行するというようなことを話した覚えはありません。これは、何か新聞が誤解がありまして、朝日新聞を見られればわかりますが、運輸省の関係の記者クラブで閣議の後に私が記者会見をやるのですが、そのときいろいろな雑談をしておって、こういうような動向があるんだがこれは書いちゃいけない、こういうことはまだ話し中なんだから従って具体的にやっておるわけじゃないということを話したものを、協約を破ってそういうことを書いたということでもめておるわけです。その点は、御存じのように、運審の答申もありませんし、かたがたあすまた経済閣僚懇談会等において話し合いをするのですから、一月一日からこれを独走して断行するということはやりません。これは本来から言いますならば運輸大臣の権限でありまして、二十八年も全然こういうことをかけずに運輸大臣が勝手に通運のことはやれた。けれども、やはりこの問題は、ちょうど公共割引等の問題もありますから、二重のいろんなことがあってもいかぬということが考えられるので、深く考えてやっておるのだから、ここの点は了解していただきたいと思います。
  146. 神田大作

    ○神田委員 それでは、今後来春いろいろ資料に基づいて質問することを保留して、私の質問をやめます。
  147. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後四時十八分散会      ————◇—————