○磯崎
説明員 当
委員会におきまして
国鉄運賃の問題につきましては三年来いろいろ御
説明申し上げておりますが、輸送のやり方の問題につきましてただいま
石田先生から
お話がございましたので、非常に技術的な問題でわかりにくい点があるかと思いますが、
言葉その他なるべく普通の
言葉を使って御
説明いたしますが、ときどき
鉄道用語も出ますので、その辺はごかんべん願います。
ただいまの
お話、私の方の部内的な
言葉では、貨物運送の近代化、それの
一つの大きなテーマとして貨物駅の集約という
言葉を使っております。集約と申すのでございますから、結局、大きな貨物駅に小さな貨物駅を集めるという意味でございます。
現在、
国鉄には、さっき
自動車局長が約五千幾らと申しましたが、これは私鉄を含めての
お話と思いますが、私の方では三千七百六十の貨物駅がございます。三千七百六十と申しますことは、
国鉄全体の営業キロが約二万キロでございますので、約五キロに、
一つずつ貨物駅があるということでございます。この五キロに
一つずつ貨物駅があるということは、八十数年前に
鉄道ができましたときに、駅に発着する貨物、主として荷馬車あるいは人の力によって
鉄道の駅に搬入しまたは
鉄道の駅から搬出した時代の小運搬具の輸送距離から出た駅間の距離でございます。端的に申し上げますと、近代的な自動車を除きまして、荷馬車、荷車あるいは手車等につきましては、多少の相異はございますが、大体一日の稼働時間のうち三分の一がその積みおろしの時間、三分の二が動く時間、こういうふうに言われております。それから、逆に近代的な交通機関としての自動車につきましては、大体三分の一が動く時間、三分の二が積みおろしに要する時間というふうに言われておりまして、従って、これは何を示すかと申しますと、小運搬具の運送稼働距離が非常に伸びてきているということを示しているわけでございます。これはいろいろなデータによりましておおむねそういった
数字になっております。それから、私
どもといたしましては、貨物列車の一個列車は、小さいものでも五、六百トン、大きなものは千トンないし二千トンという貨物列車を現在引っぱっておりますが、この貨物列車が五キロに一カ所ずつとまるということは、運転時分といたしまして約七分ないし八分走っては一駅ずつとまるという運転の方式になるわけであります。従って、各駅々々でとまって、貨車を切ってまた貨車をつないでいくというふうにいたしますので、貨物列車の速度は非常におそい。しかも、千トン、二千トンというような大きな貨物列車が約十分たたないうちにとまるということは、運転上も非常に問題である。そういった意味で、
鉄道の貨物輸送はすでに時代おくれになってしまっているということは、これは何人も御承知のことだと思います。現に、
農林水産物につきましても、近距離輸送はほとんど
鉄道は見捨てられてトラックの方に転移しております。
これらのことにつきましては、
運賃問題のときにもるる申し上げました結果、それはお前たちの
考え方が悪いのだ、もっといろいろなことをやってみろ、そうすれば
鉄道の輸送量がふえるだろうといういろいろなお教えもいただきました。実は、私
どもといたしましては、貨物輸送を近代化して、
鉄道が新しい時代の交通機関として生命を伸ばしていくためには、どうしても旅客輸送も貨物輸送も近代化しなければならない。その貨物輸送の近代化の
一つの柱として貨物駅の集約を取り上げる。もう
一つの柱としては貨物の輸送体制の刷新ということを取り上げたわけでございますが、これは本日の御質問でございませんので御
説明を省略いたしますが、その二つのうちの
一つの大きな柱が貨物駅の集約でございます。
すでに、実は、小口扱いと申します——先ほ
ども伺っておりますといろいろ
資料の中に小口という
言葉が出てきておりますが、小口扱いにつきましては、これは実に十年前の
昭和二十五年からその集約をやっております。大体、私
どもといたしましては、今申しました三千七百
程度の駅を、将来の究極の姿といたしましては八百くらいの駅に整理したいというふうに考えております。すでに十年間たちまして、これはいろいろな方法で——一番典型的なのは東京都内でございます。東京都内には、御承知の通り、たとえば山手線をごらんになりますると、品川、大崎、五反田というふうに三キロないし二キロことに貨物を扱う駅がございます。これは非常に不
経済であるのみならず、貨物の速達ができないという意味で、ほとんど現在は汐留の駅に集約をいたしております。そういう輸送をすでに十年前からやっております。今この小口扱いにつきましてはそういった近代化の施策をすでにとっておりますが、それ以外の車扱いの貨物につきましても、実は両三年くらい前から同じような集約の方式をとっております。今先生の御質問になりました
通運料金上の四号駅と申しますか、これは大
部分それに該当するものと存じますが、私
どもの方の考えでは、これは非常に将来の考えでございますが、現在の約四千に近い貨物駅を千くらいの貨物駅に集約したい、四分の一くらいに減らしたいというふうに考えております。しかし、これは私の方として正式に申し上げることでなしに、貨物輸送のあり方として、今の
程度ではとてもだめだ、これを四分の一くらいの駅に圧縮して、二十キロに
一つずつくらいの貨物駅にする、そうして駅と駅との中間は全部トラックで運ぶ、こういう新しい輸送体制に持っていくべく、非常に遠い将来の姿としては、千くらいの貨物駅を残った集約の駅として考えております。これは非常に急激な変化でありますが、一応私
どもの現在の考えでは、約三千七百六十のうちの千八百であります。正確に申しますと千八百十か二十になりますが、大体千八百
程度の駅を残しまして、残りの千九百
程度の駅は、これを残った千八百の駅に統合したい、こういうふうに考えております。
これでは非常に大きな影響があるとお考えかも存じませんが、ただいま残ると申し上げました千八百の駅でどのくらいの貨物を取り扱ったらいいかということを申し上げますと、
国鉄の年間の貨物の輸送量は約一億八千万トン、そのうち、九二%の約一億五、六千万トンのものは残る千八百の駅で扱う、残りの八%、ちょうど約一千万トンちょっとでございますが、この貨物を三千七百六十のうちの千九百の駅で扱う、すなわち、駅数は半分でございましても、扱っている貨物は八%というふうに相なるわけであります。現在私の方で送っております
農林水産物資は、全体の一億八千万トンのうち約三割であります。従いまして、もし残りの一千万トンが全部農林物資だといたしましても、農林物資の過半はやはり集約して残る駅に発着するわけでございます。従って、私
どもといたしましては、現在のこの非常におくれた前時代的な
鉄道の貨物輸送を近代化するために、駅を極力集約して、そうして、残った駅相互間に非常に速い貨物列車を動かすという輸送の方式に変えて参りたいというふうに思っておるわけでございまして、それによって生ずる影響は、先ほど申しました通り、トン数から申しまして、一億八千万トンのうち約八%という
数字でございまして、これらにつきましては若干運送距離が延びるというようなことはございましても、逆に、もし貨物運送が近代化されました暁には、私
どもの計画で参りますと、いろいろな点で非常に大きなメリットが出て参ります。二、三の具体的な例を申し上げますと、やはり農林水産
関係の物資でございますが、一番典型的な愛媛県のミカンについて申し上げますと、愛媛県のミカンは、実は一昨々年から非常に
業界の協力を得まして——とにかく東京市場に一日早く着けたい、今の愛媛から東京まで四日かかる輸送ではとても東京市場で静岡もの和歌山ものと太刀打ちができない、ぜひ
鉄道でもって速くやってくれ、こういう
お話もございました。なるほど検討いたしますと、大へんおはずかしい話ですが、愛媛から東京まで四日ないし五日かかっている。ということは、先ほど申しましたように、各駅々々に貨物列車がとまっているという非常に前時代的な輸送をいたしておりますので、これを徹底的に
業界と
お話をいたしまして、愛媛発の五十数駅から出ておりましたミカンを十数駅に集約いたしました。その結果、特殊の貨物列車を作ることに成功いたしまして、ちょうどまる一日早く東京市場に着くようになったわけでございます。その結果、非常に鮮度もあるし、また現実にミカンの価格が相当上がった、高く売れるようになったということで、
業界とされましては、多少の運搬キロが延びたことはそれでおおむねカバーできたというような御好評も実はいただいておりますし、同じような例が、高知の早生野菜、あるいは宮崎の早生野菜、最近では青森県のリンゴのようなものにつきましても大体同じような問題が出ております。私
どもといたしましては、各駅々々でばらばらに荷物を積むという体制をやめまして、なるべく集約して、そのかわり速い貨物列車を動かして貨物全体のスピードを上げる。それによって鮮度の維持もできるし、また全般的な倉敷料等の節減もできる。あるいは残りました駅の設備を徹底的によくしていくということになりまして、荷物のいたみとか、あるいは機械荷役による作業をいたします
関係上荷くずれすることも減らすというような新しい意味の貨物輸送の近代化を実は考えております。その
一つの現われが、今申しました通り、ただいま四号駅という
お話でございましたが、四号駅に該当するものはいずれ集約される形になっていくというふうに考えられます。
ただし、これは私が描いております
鉄道輸送の
一つのあり方でございまして、現実に、今先生のおっしゃったように、廃止さるべき千九百の駅の中には、わずかに一千万トンでございますが、
農業倉庫のある駅もございます。あるいは、その他、専用線と申しまして工場に入る線のある駅もございますし、あるいは石油の放油設備を持っている駅もございます。こういった具体的な問題につきましては、一々一律にこれをやるとかやらぬとかということでなしに、各現地の私の方の部内機関におきましても十分除外の方々と御相談申し上げまして、荷主の御納得を得た上でやって参りたいというふうに考えております。
例といたしまして、もう
一つ申し上げますと、石川県の七尾線という線、これは能登半島にございますが、この七尾線は、地元の方々の非常な御協力によりまして、旅客列車を全部ディーゼル・カーに取りかえました。約三億円の金を私の方が拝借いたしまして取りかえました。それだけのディーゼル・カーを入れるには、おそい貨物列車が走っていてはどうしてもだめだということで、結局十三ありました貨物駅を四つに集約いたしました。そして、貨物列車のスピードも非常に速い、しかも旅客列車も全部ディーゼル・カーということで、結局、旅客・貨物とも新しい意味の
鉄道が石川県の一部に現在動いているわけであります。
こういうわけで、全般的な多少の問題はございましたが、こういった新しい方向に
鉄道を持っていかない限り、私
どもの
意見では、いずれ
日本の
鉄道というものはトラックに食われてしまう。
鉄道に残るものは、結局足の長い、あるいは
運賃の安いものだけが残ってくる。しかもこれらは
運賃を上げるということは非常にむずかしいということになりますと、結局は、
鉄道自身を乗りつぶすと申しますか、めちゃめちゃにしてしまって、アメリカの
鉄道のようにペンペン草をはやして何も役に立たないものになるというふうな姿が来ることは、欧米の姿を見ても明らかであります。この意味で目下いろいろ近代化を考えておりますが、そういった一環としてこの問題を取り上げております。今申しましたような具体的な問題といたしましては、よく現地の
関係の方々と
お話いたしまして、納得ずくでやって参りたいと考えております。実は、非常におはずかしい話ですが、集約のテンポはきわめておそうございまして、まだ
全国で約八十四駅の集約しかできておりません。私としては非常に不満に思っておりますが、これもやはり、現地の
業者の方々の御協力を得るという意味でもって、なるべく最終の御納得を得る段階まで待っております。たとえば、七尾線でも、わずか三人の荷主が不服であったために約六カ月間
実施を延ばしたというようなこともございまして、できるだけ摩擦のないように、現地の
事情をいろいろ伺った上でやって参りたい、こういうふうに考えております。
以上、長くなりまして恐縮でございました。