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1959-11-19 第33回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十九日(木曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君    理事 永田 亮一君 理事 丹羽 兵助君    理事 赤路 友藏君 理事 石田 宥全君    理事 芳賀  貢君 理事 小平  忠君       今井  耕君    金子 岩三君       倉成  正君    高石幸三郎君       保岡 武久君    足鹿  覺君       神田 大作君    栗林 三郎君       實川 清之君    中澤 茂一君       西村 関一君    日野 吉夫君       松浦 定義君    小松信太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  前田  郁君  委員外出席者         農 林 技 官         (農林経済局企         業市場課長)  鈴木 一美君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     梶本 保邦君         運輸事務官         (自動車局業務         部通運課長)  水野節比古君         日本国有鉄道参         与         (営業局長)  磯崎  叡君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十一月十九日  委員加藤常太郎君辞任につき、その補欠として  田邉國男君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 十一月十八日  鹿屋市等に部分林造成に関する請願二階堂進  君紹介)(第四〇六号)  鹿児島県肝付地区国有林道網整備拡充に関す  る請願二階堂進紹介)(第四〇七号)  鹿屋市に国立亜熱帯植物試験場設置に関する請  願(二階堂進紹介)(第四〇八号)  鹿屋市に国立竹林試験場設置に関する請願(二  階堂進紹介)(第四〇九号)  鹿屋市に国立林業試験場設置に関する請願(二  階堂進紹介)(第四一〇号)  鹿屋市に熊本営林局分室設置に関する請願(二  階堂進紹介)(第四一一号)  気仙沼漁港特定第三種漁港に指定の請願(日  野吉夫紹介)(第四四五号)  陸前高田市脇之沢漁港の修築に関する請願(椎  名悦三郎君紹介)(第四六二号)  食糧管理制度存続及び早場米買入れ期限延長等  に関する請願天野光晴紹介)(第四八五  号)  甘しよでん粉の政府買上げに関する請願宇田  國榮紹介)(第四八七号)  同(池田清志紹介)(第五七六号)  枕崎国立紅茶試験場機構拡充に関する請願(  宇田國榮紹介)(第四八八号)  果樹農業振興法制定等に関する請願大久保  武雄紹介)(第四八九号)  同(鈴木善幸紹介)(第五三二号)  自作農維持創設資金わくの拡大に関する請願(  大久保武雄紹介)(第四九〇号)  農業共済制度の改正に関する請願(稻葉修君紹  介)(第五四八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  農林水産業振興に関する件(農林水産物の輸  送及び運賃問題)      ————◇—————
  2. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 これより会議を開きます。  吉川委員長は都合によりまして本日出席できませんので、その指名により私が委員長の職務を行ないます。  この際お諮りいたします。水俣湾における漁業被害に関する件について、社会労働委員会及び商工委員会連合審査会を開会いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 御異議なしと認め、さように決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時は来たる二十七日を予定いたしておりますので、さよう御了承を願います。      ————◇—————
  4. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  農林水産物の輸送及び運賃問題について質疑の通告があります。これを許します。  石田宥全君
  5. 石田宥全

    石田(宥)委員 運輸省自動車局長に伺いたいのです。  通運料金改定について準備が進められておるようでありますが、この提出された資料によって見ますると、総体では九・八八%の増収ということになっているようでありますけれども、金額としては増収見込額五十億七千四百万円。しかし、通運料金改定関係する料金種別収入合計では三百三十四億八千四百万円ということでありまするから、十五%の増収ということになると思うのです。それから、基本運賃料金取扱料積卸料及び集配料収入合計は三百十三億六千八百九十余万円でありまして、これだけでは一六%の増収、こういうことになるようでありまして表面的に伝えられておる九・八八%の増収であり値上げであるかのように見えておるが実は、今申し上げたように、それぞれ一五%ないし一六%の値上がりになる。同時に、特に農林水産物関係については、特別の割増しの関係がございまして、二倍半ないし三倍というようなものもかなり多く見受けられるようであります。  局長、御案内だと思いまするけれども、今日、日本経済成長率の中における農業の位置というものが非常に低くて、総理大臣施政方針演説の中にもありましたように、農民所得較差がはなはだしいので、この低い農民所得を他産業均衡を得さしめ、その所得均衡の上に立って日本農業の発展と繁栄をはかるべきであるという、これは政府全体の方針だと理解しておるのでありますが、いろいろな面においてこれに逆現象が現われておるのであります。今日行なわれようとしておりまする通運料金改定もまたその一つであると言わざるを得ないのであります。  運輸省は、通運料金改定についてはかなり明細な資料を提出されておりますが、ここに提出されておる資料のように改定を断行される方針であるかどうか、いつごろこれをおやりになるつもりであるか、また、準備状況はどの程度に進んでおるか、まずこの点を伺いたいと思います。
  6. 國友弘康

    國友説明員 お答え申し上げます。  ただいま値上率について石田委員からお話がございましたが、通運事業に関しましては、事業者からの運賃料金改定申請を待ちまして、それを運輸省として審査いたしまして決定をしていくわけでございます。その申請によりますと、全収入に対しましての値上率は九・八八%ということでございまして、値上げをされます料金種別についてだけ申しますと一六%増になることは仰せの通りでございます。  現在、今申し上げましたような通運事業運賃料金改定申請を受け付けましては検討いたしておったわけでございますが、せんだってから御説明申し上げておりますように、いろいろ経済的な事情変動して参っておりますが、この通運料金に関しましては、もう六年半ほど改定をいたしておりませんので、実は先般の昭和三十二年の国鉄運賃改定のときにも、この通運事業運賃料金据え置きということで参りまして、六年半据え置きになっておりましたので、それらの点、その他経済界の諸事情変動を考えまして、これは改定の必要があるのではないかと私どもは考えまして、これを措置いたしますためには運輸省付属機関であります運輸審議会に諮問をいたしましてその答申を得て実施しなければならないのでございますが、運輸審議会に諮問いたしましたところ、もちろんこういうものについては公聴会を開くべきであるということで、九月の二十九日と十月の八日に公聴会を開きましたことは御承知のことだと存じます。この二日間にわたりまして公聴会を開きました結果、いろいろ御意見が聞かれたのでございます。当委員会においても御意見を伺ったわけでございますが、公聴会におきましても意見をいろいろと伺いましたので、それらの意見を参照いたしまして、現在日本通運を初めとする通運事業についての経理内容等を精査いたしておりますので、これらの検討の結果、それに出ました意見なりを考慮いたしました結果措置をいたしたいと思っておりますので、現在このような値上げ率申請をいたしておりますものをこのままにして通す考え方はございませんのですが、私どもとしては十分に審査をした上で妥当な線を考えたい。現在はその内容についてもっと詳細に検討しておる段階と申し上げたいのでございます。
  7. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、経理内容の精査、公聴会の結果の運輸審議会答申、これらに基づいて態度をおきめになるということでありますが、ここで資料として提出されておりまする「通運事業運賃料金変更申請概要」という文書がありますが、この申請書はいつごろ提出されたものですか。これは年月日がついておりませんが……。
  8. 國友弘康

    國友説明員 この申請の提出されましたのは、昭和三十三年、去年の六月の十三日でございます。
  9. 石田宥全

    石田(宥)委員 私ども、この資料を眺めまして、申請年月日がわからなかった。ところが、いろいろと通運事業内容を見ますると、この調査昭和三十二年の七月中に行なわれたということで、実施の期間は三十一年九月分一カ月分、こういうことになっておりますね。一体この間の関係がわれわれは了解に苦しむのですが、実は、私は、変更申請はこの調査が行なわれる前に出されて、この変更申請があったのでこれらの調査が行なわれたと考えておったのでありますが、そういたしますと、たくさん出ております資料は三十一年の九月分からとっておるということになりますと、料金変更申請とは全然別個のものと、こう理解してよろしいのでありますか。
  10. 國友弘康

    國友説明員 私どもといたしましては、監督をいたしております事業界経済事情その他の動静につきまして調査いたさなければなりませんのと、寄り寄り前から通運運賃料金について改定を希望するというような希望がございましたので、原価計算等につきしては調査をしなければならないのでございますが、私どもとしては原価計算実施要領というのを制定いたしておりまして、それに基づきまして調査をするわけでございますが、この昭和三十二年七月の調査は、その運輸省で定めております原価計算調査要領に基きまして業界事業者資料を提出して出したものでございまして、私どもとしては、こちらの原価計算要領を出しておりますのに基きまして、提出されたものについて集計をいたしたわけでございます。これがほぼ半年くらいはかかるものでございますが、そういうふうに、業界事業者の個々につきまして指定されたところについて調べましたものが出て参って、それを集計したわけでございます。
  11. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういたしますと、運輸省原価計算というものは、申請の有無にかかわらず一定年次ごとにこれを行なう、こういう建前なのですね。そう理解していいですか。
  12. 國友弘康

    國友説明員 通運事業原価計算につきましては、昭和三十二年の六月に通運事業原価計算その他の実施について陸運局長に通達をいたしまして調査をいたしたわけでございますが、これにつきましては、必ずしも、たとえば一年置きに調査をするとかいうようなことではないのでありますが、ある年次を経ました上で、経済界状況等変動してきておるというような状況が察せられましたときには、通運事業原価計算実施等について措置をすることにいたしておるのでありまして、一定の時期に、必ず二年置きとか三年置きとかいうわけではありません。
  13. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういたしますと、その業界からの申請というものとは全然関係なしにこれはやると、こういうことですか。
  14. 國友弘康

    國友説明員 これは業界申請とは関係なしにやるというわけでもございませんが、私どもとしても、経済界変動の実情をやはり把握しなければなりませんし、通運事業界状況も把握しなければなりませんので、ことに数年間運賃変動がないというような場合にはこれらについて調査をしなければなりませんので、全然申請ないしは業界とは無関係調査するというわけではございませんが、この調査に関しましては、私どもとしても必要と考える時期に調査をする、こういう状況になっております。
  15. 石田宥全

    石田(宥)委員 どうも、この申請年月日原価計算との関係から見ると、運輸省の方でいかにも業界が苦しそうだから値上げ申請する材料を一つ提供してやるぞといったようなことでお作りになったように客観的にはうかがえるのです。ですから、そこに関係がなくて一定年次ごとにやるというなら話はわかるのだけれども、必ずしもそうでもない。やはり業界要望等も考慮してやる。それには年次的に少し隔たりがあり過ぎる。昭和三十一年の九月一カ月分を調査して、そうしてその結論がずっと出てきて、それを見た後に今度は三十三年の六月十三日に申請をしておる。何かなれ合いでやっているという感が非常に深いのです。  私はあとで具体的な問題に入りたいと思うのですが、ただ、この際ここで伺いたいのは、「原価計算実施概要」という文書によりますと、全国で八十七店所だけを抜き取って八十七店所原価計算だけをやっておられるわけですね。一体全国通運業界一つ標準というものをお出しになるのに、いやしくもその料金改定資料ともなるべきものが七十八店所だけの調査でいいのかどうか。われわれが一般統計資料として取り扱う場合などには、やはりもっと多くのものをとらなければなかなかこれを標準としがたいと思うのですが、これが第一点。  次に、その基準として四点あげられているのですが、要するに、「収支状況がおおむね均衡を失していないもの」、次には、「特殊な作業のみ行なっていないもの」、それから、「自己保有運搬具でおおむね七〇%以上の集配を行なっているもの」、「取扱品目がある種のものに偏していないもの」、こういうふうになりますと、結局は、非常に膨大な黒字の出るところもこれを除き、また、ちょっと赤字の多いようなところも除くことになりはしないか。ことに、東京とか大阪とか名古屋とかいうようないわゆる一号級駅等を中心とする事業所では莫大な黒字が出ている。ところが、それは除いてある。それから、下の方はどの程度除いておるかわかりませんが、とにかく、ごく貧弱なところも除いておると判断してよろしいと思うのであります。そこで、このまん中だけをおとりになるということが妥当であるかどうか。特に、その七十八店所というものをお選びになる際に、これが基準になって選ばれてはおるが、さっき私が申し上げたように、どうも業界も苦しそうだから一応値上げ資料を作ってやるのだ、何かそういう意図のもとにおやりになるとすれば、私はこれは公平なものとして全国標準とするにはきわめて妥当性を欠くものであると考えるのであります。  それから、もう一点は、九月一カ月分を選んだということにどういう意味があるか、この点についても一つお聞きをしたい。
  16. 國友弘康

    國友説明員 この原価計算実施をいたしましたことにつきましては、先ほど申し上げましたように、昭和三十二年に国鉄運賃改定があったわけでございますが、実際申しますと、従来のインフレ高進期から、その後インフレがおさまりまして後もしかりであったのでございますが、国有鉄道運賃料金改定になりました場合にはほとんど全部の運輸事業がその後に引き続きまして一年くらいの間に運賃料金改定実施するというようなことが今までの通例であったのでございます。しかし、私どもといたしましては、運賃料金に関しましても国鉄が上がったからそのままそれに右へならえをして上がるというようなことはこの際とるべきでないというような省での決定もありまして、むしろ通運料金等におきましては運賃改定をさせないということで押えたのでございます。私どもとしては、国鉄運賃改定もあり、こういう際には原価計算につきましても調査をしておかなければならないということで調査をしたのだと思いますが、そういうことで、業界なれ合い調査をするということではなしに、むしろ、このごろ、給与の引き上げ、物価の高騰、その他運賃料金改定する要素についての変動がございましたので、これについて原価計算調査実施するというような形をとったのでございます。  それから、この調査要領に示してございます選定基準でございますが、これについては、実は、特殊なものについて調査をいたしたのでは、これは例になりませんので、特殊なものを除いて標準的なものを選定したいという趣旨のもとにこの選定基準を作っておるわけでございます。これらにつきましては、非常にもうかっておるところもあるんじゃないかというお話もございますが、むしろ大都会の扱い店所は一号級に入っておりますが、これら  一号級のところにつきましても調査をいたしております。この七十八の調査のうちで、一号級では、日本通運について七店所新規業者について七店所合計十四調査をいたしておるのでございます。こういうように、できるだけ幅広く調査をするということで、こういう基準のもとに七十八選定されて調査をしたわけでございまして、この点、非常にもうかっておるという事業者と、その扱います店所とは実は別でありまして、日本通運なら日本通運全体について申しますとこういう経理状態になる、しかし、この店所梅田なら梅田の駅についてはこういう営業収支状況になるという、梅田なら梅田の駅の扱い店所ごと調査をいたして原価計算をしておるわけでありまして、特殊なものを除くというのはそういう方法でいたしておるのでございます。  それから、九月中と申しますのは、これは、最も標準的な扱いトン数を示すであろう月が、私どもの経験によりますと九月でありまして、たとえば十二月とかあるいは一月、二月とかいうような、非常に波動の強い、荷物が非常に多い時期とかあるいは非常に少ない時期とか、こういう時期は避けなければなりませんので、最も標準的とわれわれが経験的に考えております九月を調査したということでございます。
  17. 石田宥全

    石田(宥)委員 なお、この実施概要によりますと、一般管理費七%及び適正利潤五%を加えて各種別ごと料率算定基礎としたということでありますが、一般管理費七%は別といたしまして、適正利潤というのは、通運事業法にも適正利潤という言葉がありますが、ここでは五%とちゃんと数字を出しておるわけであります。この五%という数字は何に基づいておあげになったのか。よく、いかなる場合にも適正利潤という言葉が使われるのでありますけれども、私どもは、どういう業界には何%というような表現はあまり聞いておらないのです。ここで五%という数字を出された法的な根拠、または考え方、これを一つ伺いたいと思います。
  18. 國友弘康

    國友説明員 通運事業運賃料金に関しましては、通運事業法の第二十条にその運賃料金を定めます場合の基準が書いてございまして、その基準には、「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。」、第二番目に、「特定の荷主に対して不当な差別的取扱をするものでないこと。」、という二つの基準がございますが、この第一番目に「能率的な経営の下における」ということが書いてございまして、これによりまして、非常に特殊なものはわれわれとしては除かなければいけないと考えておるのでございますが、この能率的な経営の下における適正な原価及び適正な利潤ということで法律には規定してございまして、その適正な利潤の点につきましては、大体、私どもといたしまして、やはり、利潤につきまして、配当等を考えます場合に、日本銀行の統計によります全産業平均配当率は一割一分四厘でございます。これは三十三年の下期の調査でございますが、これは全体の調査でございまして、その他電気とかガスとかにおきましてはそれよりもう少し高率の配当をいたしておりますが、これらのことを考慮いたしますと、公共事業としては一割程度配当を確保することが「適正な利潤を含む」ということになるのであると私どもは考えておりまして、この点、運輸省におきましては、鉄道、バス、その他トラック等につきましても、大体この一割配当可能額というのを標準として考えておるわけであります。  その一割配当可能額計算の点でございますが、通運事業におきましては大体平均一年間に資本が四回転する。日本通運あたりでは三・三回転くらいでございますが、大体この通運事業においては四回転するという実績が出ておりますので、その資本が四回転すると考えました場合に一割配当可能額計算いたしますと、諸税その他の関係で大体二割程度になりますので、五分の四回転の二割で配当額一割、こういう計算のもとに五%の利潤を見ておるわけであります。
  19. 石田宥全

    石田(宥)委員 次に、提出された資料に基づいて見ますと、三十三年度の実績では、総収入四百八十二億六千三百万円ですが、うち、日通一社だけで三百二十三億六千七百万円で全体の六七%、その他は五百二社で百五十八億九千六百万円で三三%。この比率で参りますと、今度の改定による増収分五十億七千万円は、日通の分が六七%でありますから三十四億円、その他は五百二社で三三%でありますから十六億七千万円、こういう配分となると思うのでありますが、さて、別の損益状況を総括した事業者別を見ますと、配当した事業者というのは百四十六社で、比率にして五二%それから無配会社が六十一社で二二%、欠損事業者数は七十三社で二六%、こういう数字が出ておるのですが、特に配当率について見ますに、最高は二割六分の配当をやっておる。最低は二分です。一体、二割六分というような配当は——今の御説明で、五%の基礎は、大体年間二割程度を想定されておるということでありますが、これは、われわれが関係している水産業等の場合におきましてはほとんど利潤などというものは考えられないのでありますし、米価の算定等の場合においても利潤というものは全然見込まれておらないのであります。二割六分の配当をする上に、さらに今申し上げたように五十億余の値上げをするということになりますと、これは莫大な利益で、とうてい適正利潤などと言い得る比率ではなかろうと思うのです。こういう点については、通運業界でもいろいろございまして、日通のようなところもあるし、また、もっとずっと配当のいいところもあるし、あるいはまた泡沫会社のようなところもございましょうが、そういう点についての会社別収益計算というようなものがわれわれの手元には届いておらないのでありまして、判断のしようがないわけでありますが、これらについては一体どういうふうにお考えになっておるか。
  20. 國友弘康

    國友説明員 御提出申し上げました資料で、二百八十業者のうち五二%が配当した事業者であり、二二%が無配事業者であり、二六%が欠損事業者であるという御報告をいたしておるのでございますが、この二百八十業者につきましても、実際を申しますと、これはむしろ標準的な業者でございまして、もちろんこれよりいい業者も若干ございますが、悪い業者はもちろん報告等もできないような業者もございまして、それらはもちろん除いておるわけであります。それらについて調査をいたしておるわけでありますが、この二割六分の配当をいたしております会社は、資本金が百二十万円というような非常に資本金が小さい会社でございまして、これらの配当を維持しますためには兼業をいたしましてその兼業収入による部分配当をしておるというのが非常に多いわけでございまして、私どもといたしましては、実は兼業の問題があるのでございますが、通運事業におきましては、先ほど読み上げましたように、通運事業法の二十条の運賃認可の場合の基準等もございまして、通運事業通運事業だけで私どもとしては計算をするという考え方に立って現在おるわけでありまして、これら配当をいたしておりますものについては五二%が配当をいたしておりますが、これらの中で特に高率なものは資本金が少ないもの、あるいは兼業収入が相当に多いもの、こういう要素からこの五二%というものが出ておるのでございます。
  21. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、あとでいろいろな資料の中で出て参りますが、実は通運業でも兼業部分がここの資料ではほとんど出ておらないのです。通運業では赤字であっても兼業の面で相当黒字が出てバランスがとれておる、それはその間のどこで線を引くかということは、非常にむずかしい問題になると思うのです。従って、これはあとで別の資料のときに伺いますけれども、特にはなはだしい赤字を出しておるような会社の場合に、今お話しの認可基準というものがあるはずでありまして、認可すべきかどうかという際に、営業が成り立つであろうかどうかということが判断されて、ちょっと見込みが立たないものは認可されぬはずなんです。ところが、一たん認可した後に、ほんの一部の会社だけが非常に赤字が出て運営が困難だ、一般の利用者に対しても不便、不利がはなはだしいというような場合には、これはやはり事業認可の取り消しということも当然行なわれ得るであろうと思うのです。そういう点について、事業運営についての指導監督がはたして妥当に行なわれておるかどうか、こういうことに私どもは疑いを持たざるを得ないのです。と申しますことは、先刻申し上げましたように、赤字の会社も若干あるが、大きいところは二割六分もの配当をしておる、あまり差が大き過ぎる、こういう点からそういうことを考える。そういたしますと、きわめて事業不振の会社があるために全体の料金改定をしなければならないというような——今回は別な理由で別な資料でおやりになりましょうけれども、そういうことが起こるとすれば、業界の中でちゃんとチーム・ワークをとって、一部のところに非常に赤字をこしらえておいて、そうして全体の料金値上げをやろうじゃないかということの画策も起こり得る可能性が出てくる。そういう点について、認可と、認可の取り消し、あるいは指導監督という点について不十分なものがありはしないかということを考えるわけでありますが、それらについて、少しく詳しく、経営についての指導監督等については具体的にどのように行なわれておるか、これを承りたい。
  22. 國友弘康

    國友説明員 今石田委員からおっしゃいました、特に事業不振の会社等におきましてそれらが運賃料金の算定の基礎になるかどうかというようなことから御説明をいたしていきたいと思うのでありますが、非常に事業不振の会社等につきましては、この算定の標準店所の中に入れておりませんので、そういう特別な特に赤字を出しておる会社、そういうものがあるから運賃改定をすべきであるというふうには私どもとしては持っていかないつもりなのでございます。と申しますのは、私どもとしては、通運事業は免許事業でありますので、予算もとりまして各店所ごとの監査というのを実施いたしておりまして、これらについて、経営状態の悪いもの等については、それを指導する、あるいは改善させるという方法をとっておるのでございます。ただ、全体的に申し上げますと、国鉄の駅その他、全国で駅の数は約五千七百ござがますが、これらの駅で貨物を取り扱っておりますものについては、どういう小駅でありましても現在通運事業を免許しておかなければならない。そこにおきまして、日本通運等はほとんど全国的に、戦時中に地区で統合いたしました会社経営しておりますもの以外は、日本通運が各駅に店所を持っておるわけでございますが、要するに、一駅について少くとも一店は通運事業をやっておるものがなければならないということがありまして、こういう面で、通運事業の非常に合理化のしにくい点、不生産性というものがあるのでございますが、これら以外に、たとえば二店あります駅におきましては、一店廃止しましても、それが事業経営が成り立たない場合には、もう一店ございますから、荷主に対しても不便を与えない、こういうことで廃止を許可する場合もあるわけですが、これは、先般の御配付申し上げました資料の中にも、廃止等のものにつきまして、昭和三十一年には一部・全部を入れまして三十駅を廃止し、三十二年には二十一駅、三十三年には二十三駅、三十四年は八月末までに三駅を廃止しておるというような状況でございまして、これらは経営不振に基づきます廃止ということを如実に現わしておるわけでございます。  重ねて申し上げますが、これらの駅所をわれわれは調査標準店所にはいたしておらないわけでありまして、そういうものを選定いたします場合には、これらのものを除きまして、標準になりますような店所を選びまして原価計算調査その他をいたしておるわけでございます。監査の場合には、これら経営不振業者その他は十分調査いたしますと同時に、全体的にすべての業者に行き渡りますような監査をいたしまして、指導が全国的に行き渡りますようにわれわれとしては配慮いたしておるわけでございます。
  23. 石田宥全

    石田(宥)委員 今お話に出ました一駅一店の問題ですが、これはかなり前から問題になっておりまして、一駅一店になりますると、とかく業者がわがままをいたしまして、荷主に迷惑をかけるような事態が起こりやすいので、一応形式的には、一昨年からですか、複数主義をおとりになるようになったようでありまするけれども、現実にはなかなかこれを認可がされない実情にあるわけでありますが、これはやはり、新しく認可申請をいたしました会社等の内容やその機構等について十分精査をされて、もう少し独占的な事業体制を打破するということが根本的な問題であろうと思うのでありますが、これらについては、表面の打ち出しは複数主義をとりながら、現実には一駅一店でこれを独占さしておるという実情にあるわけでありまして、これらについては、今申し上げたように、その内容が充実したものであるならば、どしどしこれは認可すべきものである、こう考えますが、この点はどうお考えになっておりますか。
  24. 國友弘康

    國友説明員 通運事業に関しましては、戦時中に先生のおっしゃいますような独占形態というものができ上ったのでございますが、戦後、通運事業法を制定いたしましてから、すでに十年前に複数化という方針を打ち出しまして、通運事業に関しましては各駅におきまする複数化を推進してきたわけでありまして、その当初におきましては、通運事業を免許されます、いわゆる私どもが新免業者と申しておりますが、その新規免許というものが多かったのでございまして、むしろわれわれとしては一駅一店主義ではなくて複数化主義をとっておるのでございます。ただ、この場合、当初におきましては、やはり、扱い数量等も見て、その駅におきましてこれが経営的に成り立つかどうかということをわれわれとしては審査しなければなりませんが、最近におきましては、もう十年になりますので、複数化というものも大体行き渡って参りまして、先ほど申し上げましたような、むしろ経営不振に基づく廃止の事業者が出てくるというような状態になっておりまして、これは日本通運あたりではちょっと廃止できないですが、新規免許の複数化されておるところでは廃止し得るというようなことで、廃止の駅が出てきておるというような状態でありまして、そういう十年間の推移の間に大体複数化されてしまったということが、最近通運事業におけるところの新しい免許というものが非常に少ないゆえんなのでございます。しかし、これにつきましては、申請がありました場合には、その事業者内容、でき上がります会社内容、その他、その駅におきまする荷主の状況、輸送の需給の状態というようなものをよく審査いたしまして、運輸審議会にも諮問してその免許、却下をきめるわけでございまして、今、一駅一店でありますところは、ごくいなかの取扱数量の少ない駅が一駅一店になっておるような現況でございまして、私どもとしましては複数化という線を十年前から押し進めてきておった次第であります。この点はそういう状況でありますということを申し上げたいわけでございます。
  25. 石田宥全

    石田(宥)委員 今の問題は実態とはちょっと違うようで、実はいろいろ裏面的な事情がありまして、日通さんが会社の統合をやったりいろいろなことが行なわれておって、これは私的独占禁止法に抵触するような点もあると思うので、これは別な機会に別な問題として扱いたいと思います。  次に、もとへ戻りまして、原価計算の問題でありますが、第一号表の2を見ますと、小口扱いの方で一番左の肩の方の欄でごらんになってもわかりますように、発着の方は、査定額が三十円で、現行認可額が二十五円、それから、発送の方は、査定額が三十六円、認可額が三十円、到着の方は、査定額が二十四円で、現行認可額が二十円、これが全部赤字ということになっております。それから、右の方の一号級、二号級、三号級、四号級でやはり全部これを見てみますと、日通と統合と新規とで平均いたしまして、全面的に赤字で、ごらんの通り、上から、一号級で申しますならば、査定額が八十一円五十銭、認可額は六十八円、二号級は、査定額が七十七円五十銭で認可額は六十三円、三号級では、査定額が七十一円五十銭で、現行認可額は五十六円、四号級では、査定額が七十一円五十銭で、現行認可額が五十一円、こういうような数字が出ておるわけでありますが、ここでわれわれが疑いを持ちますことは、三十一年といえば神武景気という年です。神武景気の下半期ごろで、まだまだ輸送等は最好況と言ってもいい時期なんです。そういうときに、原価計算では、ここで私がさっき申し上げた調査標準というのが問題になると思うのでありますが、全面的に赤字であって、黒字店所というものは全然出てこない。ところが、会社経営内容は相当に黒字が出て相当な配当をいたしておる。こういうところにどうも割り切れない問題がある。しかも、三十一年のこういう好況時に全部赤字の資料をお作りになって、それに基づいて、このごとくに原価計算では非常に赤字であるから料金の値上げをしなければならないという業界からの申請が出ておる。ところが、われわれの知っております系統農協でやっておりますのは、全国で十一店所しかございませんが、これはずっと黒字続きなんですね。そこで、時点的に見て神武景気といわれた三十一年でこういうような赤字が出たのであるが、しかも、一昨年は日通のごときは一割四分の配当をしておる。局長の御意見であれば、二割くらいの配当が適正だというお考えでありますから、一割四分の配当では少な過ぎるというお考えでございましょうけれども、昨年はいろいろな問題点はあるにしても一割二分の配当を続けてきておるのですね。そこで、最近また荷動きが非常に激しくなりまして、また貨車回りが心配されるような状況になって参りましたが、現在のような景気の上昇過程においてはまたこの情勢が変わってくるのじゃないか。そうすると、一体いかなる時点で調査をされてこの料金の改定についての基準なり標準をお作りになるつもりか。私どもは、これを時点的に経済の動きなどとにらみ合わせてみたときに、どうしても納得がいかないのです。そこで、資料はまた別に要求いたしますけれども、それらの関係を少し納得のいくように御説明を願いたい。
  26. 國友弘康

    國友説明員 こまかい点から御説明申し上げたいと思うのでございますが、ここで出しておりますものは全部の平均でございますので、全部を平均いたしました場合に赤字になるということであります。  それから、査定額と書いてございますが、これは、たとえば小口扱いの発着について査定額三十円と書いてございます。これは三十一円四十二銭を端数処理して三十円にしたわけでございまして、これは運輸省の査定額とか何とかいう意味ではございません。むしろラウンド・ナンバーにしたというのがここに査定額とあがっているのでございますが、そういう点でございます。  それで、実は、いかなる時点を調査基準にすべきかという点でございますが、私どもとしては、物価の上昇についてはできるだけ抑制したいという気持を持っておりますので、先ほども申し上げましたように、通運事業が幾らかでも物価に影響ありとせば、これらについてはできるだけそういう措置を延ばしたいということで押えて参りまして、六年半というものがたったわけでございますが、しかし、その運賃改定について、たとえばいつの時点を調査していいかと申しますと、その経理の状態が、たとえば給与の引き上げ、物価の上昇等において支出が非常に増大してきて、収入がそれに伴わなくなってきて、どうしても経理状態が悪化してきた、改定しなければならないというようなことが起こってきました場合、たとえば国鉄で申しますと、どうしてもやり切れなくなって昭和三十二年に運賃改定をお願いしたというような状態になっておるわけでありまして、これをある一定の時点をきめてその時点によって調査をするということができませんので、やはりその経営体が企業を維持していけなくなるような給与の増なり物価の値上がりというようなものが出て支出が増大してきた場合には措置をしなければならない。これは端的に国鉄運賃に現われているわけでございますが、そういう点におきまして、国鉄にそういう現象が起こった場合に、やはり他の運輸事業におきましてもそれに似たような現象が起こるわけであります。そういう現象をとらえて私どもとしては調査をするという状況になっておりますので、ある一定の時点を限って、その時点によってやるというわけにはいかぬと思うのでございます。要するに、経理状態を見てこのような状態になってきておるということでありまして、農協等においては経営が上手にいきまして黒字を出しておるということかと存じますが、経営内容につきましては、人件費及び物件費その他経営を維持していきますための減価償却その他のことも考えなければなりませんし、先ほど申し上げましたような通運事業法で規定しております適正な利潤というものも配当しなければならないと考えますので、今申しましたような赤字になっておるというのがこの原価総括表にも出ておるわけであります。しこうして、先ほど先生が二割配当が必要だと自動車局長は考えておると仰せられましたが、これは、資本が四回転します場合に、その収入は二割増でございますが、配当をいたします場合には、諸税その他でやはり一割配当の場合には一割程度の納入をしなければなりませんので、配当可能額としては一割、そういうつもりでおります。日本通運におきましては私どもの考えております配当額よりは多いのでございますが、これは、自己企業内におきまする経営合理化の努力になりあるいは兼営事業におきまする収入によりまする配当なりというものを考えておるのでございます。それから、さらに、日本通運だけについて申しますと、経営合理化なりあるいは施設増強なりのために相当な資金の借り入れ等もいたさなければならないのでございますが、その経営の維持のために、いわば一割四分の配当というのは無理をして配当しておった。たとえば、退職引当金を食ってしまっておるとか、あるいは固定資産を通常よりは非常に多く売却してつじつまを合わせておるというような状態で、むしろ無理をしてその配当を維持しておるということでありますので、これらの点につきましては、私どもとしては、もっと配当を下げるべきであるということを申しておるわけでございます。
  27. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、いろいろ御説明があったのですが、今私が指摘いたしましたように、七十八店所を御調査になったその原価総括というものが、全部が全部赤字であるというようなことと、それから、さっきも指摘したように、にもかかわらず相当な——今の御説明だと、私の考え違いでありまして、一割程度が適正な配当だという御答弁でありますが、若干通運部門以外のものもあったり、あるいは固定資産の若干を処分したりということがあったとしても、先ほど申し上げたように、適正利潤以上の配当をしておることはもう間違いのない事実なんです。事実であるということからすると、今私が指摘した、この資料によっては全部赤字が出てくるということはどうしても納得がいかないということなんです。この点は一体どういうふうにお考えになっておるのですか。
  28. 國友弘康

    國友説明員 この原価総括表によりますところの調査は、各現場の店所ごとの調査をいたしておりまして、その経費の平均値を出しておるわけであります。ところが、これは現場の店所収入支出を、ことに支出を計上しておるのでございまして、この現場の店所を運営していきます上には、支店なり本社なりが必要なわけでありまして、その支店なり本社なりの一般管理費に、ここに書いてございます七%をかけておる。これはやはりその企業体を維持していきますためには必要であり、七%というのが私ども計算上出てきております管理費の係でありますので、これを計上し、さらに適正利潤五%を通運事業法に基づきます適正利潤としてプラスしておるわけでございますが、これらを加算いたしまして全体的に考えますと赤字になる、こういう結論が出るのでございまして、各店所ごとの計算で参りますと、赤字にはなっておらない店所が数多くあることと思っております。
  29. 石田宥全

    石田(宥)委員 今の答弁はなっちゃいませんよ。そんな答弁はないです。資料は全部赤字になっておる。たくさん黒字店所もあるであろうというようなことではつじつまが合っていない。それはそれでもう少しあとで資料を要求してお聞きしたいと思いますけれども、さっき局長日通の例をおとりになったのでありますが、私の方も、その他の資料が出ておらないので、今こういうふうに全部が全部赤字になるような資料だけで論議されるということになると、これはやはり相当大幅な値上げという結論が当然出てくることになるので、何かそこに仕組まれたものがあるような感じがしてならない。だから、もう少しその点をすっきりしてもらいたいと思っておったわけでありますが、どうもすっきりしません。すっきりしないなりにもう少し資料を出していただいてさらに検討したいと思いますが、日通の例に見ますると、三十二年度の剰余金は三十四億二千万円ですね。そのうち、局長が触れられたように、一億八千万円の固定資産処分分があるといわれております。それを差し引いても三十二億四千万円。三十三年度は四十二億七千万円で、そのうち、退職給与引当金というものを十五億、固定資産の処分額六億円を差し引いても、なお二十一億七千万円の剰余金が出ておる。これに改定増収見込み額の三十四億円の分を合算いたしますと、次年度からは五十五億円の剰余金を得る結果になるわけであります。そうしますと、さっき局長は一割程度配当が適正だと言われたけれども、さらにさらにその配当率は引き上げられる結果になるのであって、さっき私が指摘したように、一部の赤字会社が看板に使われて、日通のごとき大会社が今申しまするような膨大な利益を独占するという結果になるのではないですか。どうですか。
  30. 國友弘康

    國友説明員 これを値上げした際に五十五億というお話がございましたが、これにつきましては、兼業収入からの利益というものがございまして、三十三年度におきましては通運事業の赤字は三億となっておりますが、これにつきましては、私どもとして、今先生のおっしゃいました五十五億等につきましても検討を加えておりまして、現在計上されておりここに提出されておりますものは、申請によって資料を提出しておるわけでございまして、これらの点につきましては私どもとしてももっと検討しなければならない、こう考えておる次第でございます。
  31. 石田宥全

    石田(宥)委員 ですから、私さっきから繰り返しておるのです。申請によって調査したものではない。しかし、申請をするのに便宜するような資料を与えて、今度ここで取り扱おう、こういうことに何か不純なものを感ずるというのですよ。そこで、今申請が出されて、しかも審議会に諮問をされておる。その答申によってはいかなる処理が行なわれるかという段階で、相当時間もかかる調査を新たにここで調査をして、それに基いて処理するということは事実上不可能でしょう。それでもなお一年か二年かかっても調査を十分やってやるという用意がありますか、どうですか。
  32. 國友弘康

    國友説明員 この点に関しましては、先ほど申し上げておりますように、昭和三十二年に国鉄運賃改定がございましたが、そのときにわれわれとしては陸運局に指示いたしまして、店所から原価計算実績調査を出さしたわけでありまして、その後経済変動は、むしろ給与、物価等も上がりぎみになっておりますので、私どものここに持っております昭和三十一年の調査は、現状を調べますとあるいはもっと上がっておるのではないかと考えるのでございまして、これらの点に関しましては、実は私ども調査をして申請者側にその資料を与えたというような事情ではございませんで、むしろ、昭和三十二年に国鉄運賃改定がありました際に、通例それまでは国鉄運賃改定に随伴して通運事業なりバス事業なりトラック事業なりの改定がなされておりましたのを、現在までしておらないわけでありまして、これらの点を考慮し、その後の物価状況の推移等を考え合わせますと、現在のこの資料につきましても、むしろより多く支出を見込まなければならないのではないかというふうに考える現況だと存じます。
  33. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういたしますと、これだけ資料を整えておられるのであるから、その中に多少の矛盾があっても、やはりこの資料に基づいて、今用意されておるような料率の改定準備されておるであろうと実は想像するのでありますが、そういうふうに理解してよろしいのですか。
  34. 國友弘康

    國友説明員 先生のおっしゃいますことが私よく理解できないのでありますが、私どもとしては、その申請を受け付けまして、それに基づきまして一応の審査をいたしまして、物価の趨勢その他を見ますと、改定の要あり、しかし、この申請の通りではないのでありまして、ある程度その改定の必要はあるという認定のもとに立ったわけでございまして、それらの点についてもっとこの申請内容及び経理内容等について精査をいたしておりますので、それらの精査ができ上がりました上で、私どもとしてはこれについての措置を考える、こういう状況でございます。
  35. 石田宥全

    石田(宥)委員 運輸審議会にすでに諮問が行なわれ、公聴会も開かれておりますが、さらにまた、独自の立場で、答申がどうあろうと、公聴会の結論は——結論といってもそれぞれの意見があったわけでありますが、それはそれとして、別個にまたこれを検討されるという用意がございますか。
  36. 國友弘康

    國友説明員 これは運輸審議会公聴会内容から申し上げなければならないと思うのでございますが、運輸審議会におきましては、先刻申し上げましたように、時期を離しまして二日間にわたりまして、各産業界その他の方々の意見なり資料なりを集めたわけでございますが、各産業界の方々が、こういう点に不当な点があるとか、値上げになり過ぎておるとかいうような発言があったわけでありますが、運輸審議会といたしましてはこれらの発言の内容につきまして十分に検討を加えるわけでありまして、この発言の内容については、それがそのまま取り上げられるとか、そのまま答申になるというわけではありませんで、やはり運輸審議会におきまして十分にそれらの内容を検討しました上で結論を出すわけでございます。従いまして、公聴会の席におきまして発言されました内容は、運輸審議会におきましても十分考慮されることと思っております。また、私どもといたしましても運輸審議会意見を述べることができる立場に立っておりますので、私ども意見としましても運輸審議会意見を述べるわけでありますけれども、その意見につきましては、この申請をそのままに通すべきであるというようなことにはならないであろうと考えておるわけでございます。
  37. 石田宥全

    石田(宥)委員 運輸審議会というのは、これは諮問機関で、やはりあなたの方の腹がまえが問題なんです。一応これだけの資料をお出しになっておるのだから、やはりこれに基いてやりたいというお考えであろうと考えるのですが、どうですか。
  38. 國友弘康

    國友説明員 先ほどから申し上げておりますように、改定の必要は認めておりますが、この申請の通りにやろうとは考えておらないわけでございます。
  39. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういたしますと、まだ国会の意見だとかあるいは運輸審議会意見等によって修正することはてり得る、こういうふうに理解をしてよろしいのですか。
  40. 國友弘康

    國友説明員 この申請に対しましては、修正をいたす余地があると考えております。
  41. 石田宥全

    石田(宥)委員 それでは、「通運事業運賃料金改訂資料(第二)」の一ページで大体のことがわかるわけです。申請と現行とちゃんと分かれておりまして、現行は一号級、二号級、三号級、四号級まで出ております。ところが、申請の方は三号級までしか出ておりません。時間の都合がありますので、それぞれの内容はおわかりなのですから申し上げません。大体こういうことで四号級申請の中から除かれたのはどういうわけですか。
  42. 國友弘康

    國友説明員 この点に関しましては、これは申請でございますので、今私が申し上げますと申請を弁護しておるように聞こえるかもしれませんが、  一応その事情と思われることを申し上げますと、一号級、二号級、三号級、四号級について原価計算をいたしますと、先ほど申し上げましたように、四号級におきましては、むしろ、扱いトン数の少ないところではあるが駅にやはり店所を置かなければならない、それには人員も置かなければならないし施設も置かなければならない、そういう状況でございまして、そういうのを計算いたしますと、むしろ四号級の支出原価というものは、三号級に近く、あるいはそれをこえる場所もあるわけでございまして、そこにおいて、申請者は、三号級と四号級とは原価的には一緒であるから、四号級を廃止して三号級に統一をしてもらいたいという申請を出してきたのだと考えております。
  43. 石田宥全

    石田(宥)委員 この点はちょっと国鉄さんと関係があるので、一つ局長さんに伺いたいのでありますが、国鉄さんの方では、貨物駅の施設の近代化と輸送のスピード化等のことを理由にして、四号駅を廃止するような方針をおきめになっている。これは特に農村関係では非常に大きな影響があるのでありまして、たとえば、私どもの米作地帯などに参りますと、四号級駅が廃止になりますと、従来の四号級駅の前にあった農業倉庫がほとんど役に立たなくなってしまう。かりにそこへ納入すれば、今度は他の駅まで自分でこれを輸送しなければならないというような非常に不便不利を生ずるわけなのでありまして、これに対しては、私ども特に農林水産関係経済的な影響は甚大なのでありまして、どうも承服しがたいのでありますが、これについて、四号級の貨物駅を廃止するという具体的なお考えを伺っておきたい。
  44. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 当委員会におきまして国鉄運賃の問題につきましては三年来いろいろ御説明申し上げておりますが、輸送のやり方の問題につきましてただいま石田先生からお話がございましたので、非常に技術的な問題でわかりにくい点があるかと思いますが、言葉その他なるべく普通の言葉を使って御説明いたしますが、ときどき鉄道用語も出ますので、その辺はごかんべん願います。  ただいまのお話、私の方の部内的な言葉では、貨物運送の近代化、それの一つの大きなテーマとして貨物駅の集約という言葉を使っております。集約と申すのでございますから、結局、大きな貨物駅に小さな貨物駅を集めるという意味でございます。  現在、国鉄には、さっき自動車局長が約五千幾らと申しましたが、これは私鉄を含めてのお話と思いますが、私の方では三千七百六十の貨物駅がございます。三千七百六十と申しますことは、国鉄全体の営業キロが約二万キロでございますので、約五キロに、一つずつ貨物駅があるということでございます。この五キロに一つずつ貨物駅があるということは、八十数年前に鉄道ができましたときに、駅に発着する貨物、主として荷馬車あるいは人の力によって鉄道の駅に搬入しまたは鉄道の駅から搬出した時代の小運搬具の輸送距離から出た駅間の距離でございます。端的に申し上げますと、近代的な自動車を除きまして、荷馬車、荷車あるいは手車等につきましては、多少の相異はございますが、大体一日の稼働時間のうち三分の一がその積みおろしの時間、三分の二が動く時間、こういうふうに言われております。それから、逆に近代的な交通機関としての自動車につきましては、大体三分の一が動く時間、三分の二が積みおろしに要する時間というふうに言われておりまして、従って、これは何を示すかと申しますと、小運搬具の運送稼働距離が非常に伸びてきているということを示しているわけでございます。これはいろいろなデータによりましておおむねそういった数字になっております。それから、私どもといたしましては、貨物列車の一個列車は、小さいものでも五、六百トン、大きなものは千トンないし二千トンという貨物列車を現在引っぱっておりますが、この貨物列車が五キロに一カ所ずつとまるということは、運転時分といたしまして約七分ないし八分走っては一駅ずつとまるという運転の方式になるわけであります。従って、各駅々々でとまって、貨車を切ってまた貨車をつないでいくというふうにいたしますので、貨物列車の速度は非常におそい。しかも、千トン、二千トンというような大きな貨物列車が約十分たたないうちにとまるということは、運転上も非常に問題である。そういった意味で、鉄道の貨物輸送はすでに時代おくれになってしまっているということは、これは何人も御承知のことだと思います。現に、農林水産物につきましても、近距離輸送はほとんど鉄道は見捨てられてトラックの方に転移しております。  これらのことにつきましては、運賃問題のときにもるる申し上げました結果、それはお前たちの考え方が悪いのだ、もっといろいろなことをやってみろ、そうすれば鉄道の輸送量がふえるだろうといういろいろなお教えもいただきました。実は、私どもといたしましては、貨物輸送を近代化して、鉄道が新しい時代の交通機関として生命を伸ばしていくためには、どうしても旅客輸送も貨物輸送も近代化しなければならない。その貨物輸送の近代化の一つの柱として貨物駅の集約を取り上げる。もう一つの柱としては貨物の輸送体制の刷新ということを取り上げたわけでございますが、これは本日の御質問でございませんので御説明を省略いたしますが、その二つのうちの一つの大きな柱が貨物駅の集約でございます。  すでに、実は、小口扱いと申します——先ほども伺っておりますといろいろ資料の中に小口という言葉が出てきておりますが、小口扱いにつきましては、これは実に十年前の昭和二十五年からその集約をやっております。大体、私どもといたしましては、今申しました三千七百程度の駅を、将来の究極の姿といたしましては八百くらいの駅に整理したいというふうに考えております。すでに十年間たちまして、これはいろいろな方法で——一番典型的なのは東京都内でございます。東京都内には、御承知の通り、たとえば山手線をごらんになりますると、品川、大崎、五反田というふうに三キロないし二キロことに貨物を扱う駅がございます。これは非常に不経済であるのみならず、貨物の速達ができないという意味で、ほとんど現在は汐留の駅に集約をいたしております。そういう輸送をすでに十年前からやっております。今この小口扱いにつきましてはそういった近代化の施策をすでにとっておりますが、それ以外の車扱いの貨物につきましても、実は両三年くらい前から同じような集約の方式をとっております。今先生の御質問になりました通運料金上の四号駅と申しますか、これは大部分それに該当するものと存じますが、私どもの方の考えでは、これは非常に将来の考えでございますが、現在の約四千に近い貨物駅を千くらいの貨物駅に集約したい、四分の一くらいに減らしたいというふうに考えております。しかし、これは私の方として正式に申し上げることでなしに、貨物輸送のあり方として、今の程度ではとてもだめだ、これを四分の一くらいの駅に圧縮して、二十キロに一つずつくらいの貨物駅にする、そうして駅と駅との中間は全部トラックで運ぶ、こういう新しい輸送体制に持っていくべく、非常に遠い将来の姿としては、千くらいの貨物駅を残った集約の駅として考えております。これは非常に急激な変化でありますが、一応私どもの現在の考えでは、約三千七百六十のうちの千八百であります。正確に申しますと千八百十か二十になりますが、大体千八百程度の駅を残しまして、残りの千九百程度の駅は、これを残った千八百の駅に統合したい、こういうふうに考えております。  これでは非常に大きな影響があるとお考えかも存じませんが、ただいま残ると申し上げました千八百の駅でどのくらいの貨物を取り扱ったらいいかということを申し上げますと、国鉄の年間の貨物の輸送量は約一億八千万トン、そのうち、九二%の約一億五、六千万トンのものは残る千八百の駅で扱う、残りの八%、ちょうど約一千万トンちょっとでございますが、この貨物を三千七百六十のうちの千九百の駅で扱う、すなわち、駅数は半分でございましても、扱っている貨物は八%というふうに相なるわけであります。現在私の方で送っております農林水産物資は、全体の一億八千万トンのうち約三割であります。従いまして、もし残りの一千万トンが全部農林物資だといたしましても、農林物資の過半はやはり集約して残る駅に発着するわけでございます。従って、私どもといたしましては、現在のこの非常におくれた前時代的な鉄道の貨物輸送を近代化するために、駅を極力集約して、そうして、残った駅相互間に非常に速い貨物列車を動かすという輸送の方式に変えて参りたいというふうに思っておるわけでございまして、それによって生ずる影響は、先ほど申しました通り、トン数から申しまして、一億八千万トンのうち約八%という数字でございまして、これらにつきましては若干運送距離が延びるというようなことはございましても、逆に、もし貨物運送が近代化されました暁には、私どもの計画で参りますと、いろいろな点で非常に大きなメリットが出て参ります。二、三の具体的な例を申し上げますと、やはり農林水産関係の物資でございますが、一番典型的な愛媛県のミカンについて申し上げますと、愛媛県のミカンは、実は一昨々年から非常に業界の協力を得まして——とにかく東京市場に一日早く着けたい、今の愛媛から東京まで四日かかる輸送ではとても東京市場で静岡もの和歌山ものと太刀打ちができない、ぜひ鉄道でもって速くやってくれ、こういうお話もございました。なるほど検討いたしますと、大へんおはずかしい話ですが、愛媛から東京まで四日ないし五日かかっている。ということは、先ほど申しましたように、各駅々々に貨物列車がとまっているという非常に前時代的な輸送をいたしておりますので、これを徹底的に業界お話をいたしまして、愛媛発の五十数駅から出ておりましたミカンを十数駅に集約いたしました。その結果、特殊の貨物列車を作ることに成功いたしまして、ちょうどまる一日早く東京市場に着くようになったわけでございます。その結果、非常に鮮度もあるし、また現実にミカンの価格が相当上がった、高く売れるようになったということで、業界とされましては、多少の運搬キロが延びたことはそれでおおむねカバーできたというような御好評も実はいただいておりますし、同じような例が、高知の早生野菜、あるいは宮崎の早生野菜、最近では青森県のリンゴのようなものにつきましても大体同じような問題が出ております。私どもといたしましては、各駅々々でばらばらに荷物を積むという体制をやめまして、なるべく集約して、そのかわり速い貨物列車を動かして貨物全体のスピードを上げる。それによって鮮度の維持もできるし、また全般的な倉敷料等の節減もできる。あるいは残りました駅の設備を徹底的によくしていくということになりまして、荷物のいたみとか、あるいは機械荷役による作業をいたします関係上荷くずれすることも減らすというような新しい意味の貨物輸送の近代化を実は考えております。その一つの現われが、今申しました通り、ただいま四号駅というお話でございましたが、四号駅に該当するものはいずれ集約される形になっていくというふうに考えられます。  ただし、これは私が描いております鉄道輸送の一つのあり方でございまして、現実に、今先生のおっしゃったように、廃止さるべき千九百の駅の中には、わずかに一千万トンでございますが、農業倉庫のある駅もございます。あるいは、その他、専用線と申しまして工場に入る線のある駅もございますし、あるいは石油の放油設備を持っている駅もございます。こういった具体的な問題につきましては、一々一律にこれをやるとかやらぬとかということでなしに、各現地の私の方の部内機関におきましても十分除外の方々と御相談申し上げまして、荷主の御納得を得た上でやって参りたいというふうに考えております。  例といたしまして、もう一つ申し上げますと、石川県の七尾線という線、これは能登半島にございますが、この七尾線は、地元の方々の非常な御協力によりまして、旅客列車を全部ディーゼル・カーに取りかえました。約三億円の金を私の方が拝借いたしまして取りかえました。それだけのディーゼル・カーを入れるには、おそい貨物列車が走っていてはどうしてもだめだということで、結局十三ありました貨物駅を四つに集約いたしました。そして、貨物列車のスピードも非常に速い、しかも旅客列車も全部ディーゼル・カーということで、結局、旅客・貨物とも新しい意味の鉄道が石川県の一部に現在動いているわけであります。  こういうわけで、全般的な多少の問題はございましたが、こういった新しい方向に鉄道を持っていかない限り、私ども意見では、いずれ日本鉄道というものはトラックに食われてしまう。鉄道に残るものは、結局足の長い、あるいは運賃の安いものだけが残ってくる。しかもこれらは運賃を上げるということは非常にむずかしいということになりますと、結局は、鉄道自身を乗りつぶすと申しますか、めちゃめちゃにしてしまって、アメリカの鉄道のようにペンペン草をはやして何も役に立たないものになるというふうな姿が来ることは、欧米の姿を見ても明らかであります。この意味で目下いろいろ近代化を考えておりますが、そういった一環としてこの問題を取り上げております。今申しましたような具体的な問題といたしましては、よく現地の関係の方々とお話いたしまして、納得ずくでやって参りたいと考えております。実は、非常におはずかしい話ですが、集約のテンポはきわめておそうございまして、まだ全国で約八十四駅の集約しかできておりません。私としては非常に不満に思っておりますが、これもやはり、現地の業者の方々の御協力を得るという意味でもって、なるべく最終の御納得を得る段階まで待っております。たとえば、七尾線でも、わずか三人の荷主が不服であったために約六カ月間実施を延ばしたというようなこともございまして、できるだけ摩擦のないように、現地の事情をいろいろ伺った上でやって参りたい、こういうふうに考えております。  以上、長くなりまして恐縮でございました。
  45. 石田宥全

    石田(宥)委員 先ほどから通運料金改定問題について伺っておるのでありますが、これは今お話しのように国鉄との関係が大いにあるのです。そこで、国鉄の方の関係でありますが今お話しのように、一億八千万トンの約三割は農林水産物だという話で、しかも、その約三割程度のものは、大体整理をされても残る駅に属するのではないかというお話でありますが、これは少し認識が違っているんじゃないか。農林水産物はあまり主要駅には集荷はされませんので、これらはもう少し実態をよく把握していただきたい。なお、われわれはスピード化に反対するものではございませんし、特に生鮮食料品等については大いにスピード・アップをしてもらわなければならぬのでありますが、多くの農産物は季節的な関係がございますから、そういう点を考慮されるならば、きわめて限られた期間だけは何か特別の措置をとるというようなことが行ない得ると思う。従って、そういう点については、どうも最近国鉄さんはなかなか官僚的になって、今はテンポがのろいとおっしゃるけれども、滑り出したりすると相当官僚的に上から押しつけるような態度をおとりになるのではないかということを実は心配しておるわけでありますけれども、特に農林水産物関係については、少し親切心があれば、今申しますように季節的な関係があって、米にいたしましても一カ月か一カ月半くらい、魚のようなもの、くだもののようなもの、いずれもそういうようなわけでありますから、従って全体の計画の中で特別に少し考慮されれば、それらの不利不便はある程度免れるんじゃないか。ところが、最近新潟県等で承りますると、倉庫業者などは、すでに四号駅は整理されるのであるからというようなことから倉庫の移転をはかったり新築をはかる等の措置をやって、これに迎合する向きが現われております。そういうふうに千編一律に機械的に整理をされるということによる農林水産関係に及ぼす悪影響をおそれるわけでありますから、その点は一つ十分お考えの上で御措置を願いたい。これは遠距離逓減の問題と公共政策割引の問題等で本委員会において決議などもいたしてあり、しばしば御懇談を申し上げておるわけでありまして、それらの問題も残っておりますから、いずれこの問題はまた別の機会によくお話を申し上げたいと思います。  時間がちょっとおそくなっておりますが、私の質疑は、もう少し重要な点をやりまして、あと資料要求で終わりたいと思いますから、やってしまいます。  そこで、次に料金の問題でありますが、自動車局長一つ伺いたいのですが、これも、今度の料金の値上げは、一律に値上げされる面と、それから、割増しで、たとえば夜間とか、危険物とか、あるいは汚損だとか、急送だとかいうような、これは五項目か六項、目あったと思いますが、それらの問題についての特別の割増しと、二本立になっておるようでありますが、これから参りますと、たとえば長大品のようなものは三・二倍になる。火薬類などはわれわれ関係はないわけですけれども、これらは五倍程度になる。それから、ばら物で作業困難なものは二倍、こういうふうに二倍程度になるものがたくさんあるわけでありますが、こういうことになりますと、それはほとんど先ほどから申し上げておるような農林水産物関係にこのしわが寄ってくるわけであります。この点については、どうしても、一番最初に私が申しましたように、農民の所得と他産業の所得との較差が非常に大き過ぎるので、政府としてはその較差を漸次なくしてその上に安定的な成長をはかるということを、総理大臣を初め農林大臣等も強調いたしておるところでありますが、今御質問を申し上げておる通運料金値上げのごときは、今指摘いたしました四点か五点の割増し等は、大部分農林水産物にしわ寄せをされることになるのであります。これはやはり、農林水産業保護の建前から、どうしてもこれだけは一つ再検討していただかなければならないと思うのでありますが、農林水産物に対する今申し上げたような二倍ないし三倍以上の値上げというものについては再検討の余地があるかどうか、この一点を伺っておきたい。
  46. 國友弘康

    國友説明員 通運事業に関しましては、鉄道のように等級がございませんで、一律に基本の積卸料とか取扱料とかがあることは今おっしゃった通りでありますが、割増しの率につきましては、重複する場合が確かにございますが、こういう場合には、次に述べますようなものについては相互に合算することができないというような規定がございまして、規定上に書いてありますほどの値上がりにならない。たとえば、易損品、危険品、貴重品、急送品及び特殊貨物中のばら物、動物、汚穢品、数物、石炭類、木材、作業上著しく身体衣類を汚損する貨物、衛生上有害な貨物等、これらにつきましては、これらおのおのに割増率が書いてございますが、これらの割増率を重複して相互に合算するものではないということになっておりますので、そのうちの最高のものだけをとることになっておる次第でございます。これは基本の運賃率が上がりますと割増率についても影響することとなるのでありますが、今度上げるものは、割増率について上げるものはございませんと思うのでありますが、これらの点につきましてもよく検討しますと同時に、たとえば集配に関しまする坂路割増しとか暴風雨割増し、こういうものは今度廃止をするという考え方でもおります次第でございまして、これらの点についても検討を加えたいと思っております。
  47. 石田宥全

    石田(宥)委員 根本的にそういう関係はございましょうとも、特に農林水産業に大きな打撃を与えるようなものについては再検討をする用意があるかどうか、こういうことを聞いておるのです。
  48. 國友弘康

    國友説明員 これらの点については、私どもの方として十分に精査してみたいと思っておりますが、ただ、通運事業に関しましては、これは、先ほどから申し上げておりますように、特別なものによって区別をするような制度に建て方がなっておらないのでございます。根本的にはそういう思想になっております。それらの点がございますが、今の農林物資その他の割増率等についても、精査の際に値上げ率等は十分にわれわれとして見るつもりでおります。見るつもりでおりますというのは、精査するということであります。
  49. 石田宥全

    石田(宥)委員 農林省の農林経済局の企業市場課長に聞きますが、今度の料金改定によって農林水産物に関して及ぼす影響をどの程度にお調べになっておるか、お調べになっておりましたならば一つお聞かせを願いたい。
  50. 鈴木一美

    鈴木説明員 ただいま御議論になっておりまする通運料金のことにつきまして、農林物資に対する影響が相当大きい、こういうふうな考え方から、先般来運輸省といろいろ交渉をしております。そうして、その中でいろいろの問題点がございます。ただいま先生の御指摘になったようないろいろの点がございますが、そういう点は国鉄の方に申し述べてございます。そうして、ただいま自動車局長からお話がありましたように、いろいろ精査してみる、こういうふうな今段階に進んでおります。  さらに、それでは、これの金額的な影響はどうか、こういう御質問かと思います。これにつきましては、先般関係業界の方々が本委員会に公述人で見えまして、その方がいろいろと公述をなさった通り、非常に大きな影響がある、そうして、これにつきましての金額的なものは、その推定が非常にむずかしいのでございますが、今度上がる料金約五十億、そのうちの少なくとも相当の部分が農林物資である、こういうことは事実かと思うのでございます。たとえば、一つの例をとりますと、米なんかは値上がり額だけでも約五億に近い金額になるのではないかと推定しております。以下いろいろの品目について、また見方の問題については具体的にやっておりません。現在九・八八%と称する申請の率及びその内容によって主要なものを計算してみての前提下においては、かような数字になるわけでございます。
  51. 石田宥全

    石田(宥)委員 大へん時間がおそくなって皆さんに恐縮ですが、最後に資料要求をいたしまして終りたいと思うのであります。  欠損七十三社の収入から見て、最低、最低と中庸との中間、それから中庸のもの、中庸と最高の中間、最高、この五段階、それを日通と分けて、事業内容をできるだけ詳細に、その欠損の理由が判読できる程度資料一つまとめていただきたい。  それから、二番目には、日通の三十四年度の事業の内容について、できる限り詳細なもの、欠損または利益の予想について、これを一ついただきたい。  三番目は、増収見込み五十億七千万円について、日通、それから配当した百四十八社、無配六十一社、欠損七十三社にどのような率で増収になるのか、その金額について。この場合、最高の配当社は一体何%ぐらいになるか、二〇%以上の配当社は何社ぐらい、配当会社が何社に増加し、欠損七十三社がどの程度に減るか。  四番目には、原価総括表では平均のみで、四分の三が黒字で四分の一が赤字となっておる点から見て、相当の高低があると思われるので、最高原価平均と最低原価の各種別の資料をお願いしたい。  五番目には、五十億七千万円の増収見込額の各項目別内訳の明細はどうなっているのか。  それから、六番目には、モデル店所七十八カ所は均衡を失していないものの中から選んでいるが、欠損にまた利益に均衡が大きく片寄っている業者原価計算内容がわかれば示していただきたい。もしわからなければ、大体の御推定を願いたい。  以上でありますが、最後にもう一点、これは日通に限るわけでありますけれども、給与の階層別の資料一ついただきたい。高いところは非常に高くて、安いところはどうも非常に安いのではないかということが考えられますので、その階層別の資料をお願いしたい。  以上の資料を要求いたします。
  52. 國友弘康

    國友説明員 できるだけこの資料を整えたいと思いますが、あるいは推定が入ったり、それから非常に作りにくい資料があると思いますので、できるかぎり整えて提出いたしたいと思います。
  53. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時三十分より再開することとして、これにて休憩いたします。     午後一時十三分休憩      ————◇—————     午後三時十五分開議
  54. 吉川久衛

    吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産物に対する運賃問題について質議を続行いたします。  倉成正君。
  55. 倉成正

    ○倉成委員 通運料金値上げの問題につきまして、先般の委員会におきましていろいろ質疑をいたしたわけでございますが、その際の当局の御答弁が明快を欠いておりましたので、いろいろ資料要求をいたしまして、この資料の提出がございました。この資料も、つぶさに拝見してみますと、短時日の間でありますからやむを得ないと思いますが、いろいろ問題点があるようでございます。そこで、これらの点について率直に明快に一つ御答弁をいただきたいと思います。  まず、端的にお尋ね申し上げたいと思いますが、このたびの通運料金値上げ申請の総額五十億七千万円と、運輸省が提出されました原価計算総括表というのがございますが、この関係がどういうふうな関係にあるかということを一つわかりやすく御説明をいただきたいと思います。
  56. 國友弘康

    國友説明員 御承知のように、通運事業については、申請者からの料金改定申請によりまして、運輸省審査をすることになっておるのでございますが、今度通運事業者が申請をしてきましたものにつきましては、先生が今おっしゃいましたような五十億の増収を見込んで申請をして参りましたが、この原価計算の表はそれを算出いたしますについての資料として、これらに基づきまして、その個々の具体的な取扱料とか積卸料とかについこの料金を申請者として算定いたしまして申請をしてきたものでございます。
  57. 倉成正

    ○倉成委員 私がお尋ね申し上げたいのは、この五十億七千万の申請原価計算の総括表とが具体的にどういう関係があるかということです。もう一度御答弁いただきたいと思います。
  58. 國友弘康

    國友説明員 この原価計算総括表にございます各号級別あるいは業態別、種別の原価計算につきましては、原価計算実施要領に基づきまして計算をしておるわけでございますが、これらの七十八店所につきまして調査いたしましたものに、扱いトン数の比重を見まして平均をとりましたものがここに計算されているのでございます。これらの大体標準的と思われるような店所について調査いたしました原価計算から推算して、その店所ごとの原価一般管理費適正利潤とを加えたものの集計について、今度は個々の取扱料なり積卸料なり割り振って、そのときには一号級、二号級、三号級、四号級原価を参照いたしまして値上げの額をきめておるわけでございます。そうして、それら全体について集計をいたしました結果が、取扱料改正による増収、あるいは積卸料改正による増収集配料改正による増収というようなものを集計いたしまして、それが、申請者側から申しますと、全体に対しましては九分八厘八毛の増収、それから、値上げ部分六〇%ほどが今度改定になりまして、その他の四〇%はそのまま据え置きとなっておりますので、その六〇%の部分について計算をいたしてみますと、一割六分の値上げになる、これは申請でございますが、申請について一割六分の値上げになるという計算でございまして、通運事業に関しましては、通運事業法の第二十条に、通運事業運賃及び料金を定めるときは運輸大臣の認可を得るわけでございますが     〔委員長退席、丹羽(兵)委員長代理着席〕これについて、「運賃及び料金は、集貨、配達、取扱、積込、取卸その他業務の種別について定額をもって明確に定められなければならない。」というふうに書いてございまして、この集貨、配達、取扱、積込、取卸等、こういう業務の種別ごとにきめていくわけでございまして、非常にこれは複雑でございますが、われわれとしては、その一号級から四号級までの今申し上げましたような業務の種別ごと原価計算審査するわけでございます。そうして、それと全体的なその会社なり通運事業全体としての収入状態も参酌いたしました上で運賃決定する。これらについて現在私どもとしては申請内容について精査しておるという状況でございます。
  59. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまの御説明でちょっと私よくわかりにくいのですけれども、私がお尋ねしましたのは、この五十億七千万円の申請数字が、この原価計算の総括表からどうやって出てきたか。今局長お話によりますと、この原価計算総括表を一つ基準にして、通運事業法第二十条による適正利潤あるいは管理費、こういうものをプラスしたものをいろんな種目別に割り振ったものが申請内容だ、いわば原価計算総括表がこのたびの値上げ申請基礎になっておると、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  60. 國友弘康

    國友説明員 私どもといたしましては、この原価計算の総括表を基礎にいたしまして、これを参酌した上で料金の算定をいたすわけで、これが基礎になっているとお考えいただいてけっこうでございます。
  61. 倉成正

    ○倉成委員 そこで、お尋ねしたいと思いますけれども、この総括表の原価計算実施しましたのが昭和三十二年七月で、実施の期間は三十一年九月の一カ月分をとっております。そこで、三十一年ないし三十二年のときにおける、この原価計算によるものではなくして、実際の日通その他の会社の赤字が一体どういうふうになっておったかということが非常に大きな問題になってくると思います。そこで、実際の赤字の実態を一つお示しいただきたいと思います。
  62. 國友弘康

    國友説明員 昭和三十一年から申し上げます。昭和三十一年の上期におきまする期末未処分利益剰余金を申し上げますと、期末未処分利益剰余金は三十一年の上期は十二億八千万円でございます。三十一年の下期は十二億九千五百万円でございます。それから、三十二年度の上期は十五億九千百万円でございます。下期は十八億二千九百万円でございます。昭和三十三年の上期の期末未処分利益剰余金は二十億八千九百万円でございます。下期は二十一億八千三百万円でございます。
  63. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまの局長お話によりますと、三十一年から三十三年まで、上期、下期、大体十二億から二十億の未処分の利益が出ておる。しかるに、原価計算総括表の個々の表をずっと見て参りますと、この適正利潤を加える前の額と、それから認可額、実際の料金と比較しますと、ほとんど全部七十八店舗について赤字が出ておるわけですね。そうすると、全体について相当な黒字が出ておるにかかわらず、この原価計算によりますと、個々のものが非常に赤字が出ておる。ほとんど軒並みに出ておるというと、ちょっとよほどうまい御説明がないと私どもとしては了解に苦しむわけでございますが、その点はいかがでしょうか。
  64. 國友弘康

    國友説明員 ただいま申し上げましたこの期末の未処分利益剰余金につきましては、今仰せのようにこの剰余金を出しておりますが、これは、たとえば日通そのほかで申しますと、通運事業とそのほか兼業をいたしておりまして、その兼業は、トラック運送事業、港湾荷役業、旅行あっせん業その他ございますが、それらのものの収益の状態を見てみますと、兼業部分の利益の方がずっと高いわけでございまして、試みに昭和三十一年度について申し上げますと、その利益率は、昭和三十一年度の上期におきまして、通運事業におきましては二%の利益率を示しておりますが、兼業の部門におきましては、昭和三十一年の上期は一一・五%の純利益をあげております。昭和三十一年の下期におきましては、通運事業におきましては一・四%の純利益をあげておりますが、兼業部門におきましては下期一一・六%の純利益をあげておりまして、これらの点につきましては、私どもとしても、こんなに較差があるものかと考えまして、精査いたしたのでございますが、大蔵省への報告等もこのようになっておりまして、通運事業部門におきまする利益率は低いという形に出ておりまして、それがたまたま、たまたまと申しますか、原価計算の方におきましてもそのような赤の部分が相当多いという結果を来たしておるので、この点におきましては、あえて運輸省の方だけの報告をごまかしておるのかというようなことも考えましたが、そのような結果ではなかったのでございまして、通運部門におきましては赤字を出しておる部分が多いということを申し上げられると思うのでございます。
  65. 倉成正

    ○倉成委員 ただいま兼業の話が出ましたが、本来の通運事業兼業との経費の振り分けの問題、これは相当専門的に突っ込んで将来お尋ねしたいと思いますが、本日はこれを抜いて通運事業についてお尋ねをしたいのです。そういたしますと、少なくとも兼業収入との関係では較差があるにしましても、ただいまの局長お話にありましたように、三十一年、三十二年にわたりまして通運事業についてもやはり額は別としまして利益が出ておる。にもかかわらず、原価総括表によりますと軒並みに利益の出ているのが全然ないということはちょっとおかしいのじゃないかということが、われわれしろうとが考えますと出てくるわけです。そこのところを専門の局長がもっと納得のいくように御説明をいただきたい、かように思います。
  66. 國友弘康

    國友説明員 この点、私ども原価計算をいたします場合に、会社全体を見るのは非常にむずかしい点がございまして、ことに、今申しましたような兼業収入等もございますので、やはり、調査をいたします場合には各現場の店所ことの調査をしなければ原価というものが計算できないわけでございます。この現場の店所に関しましては、現場の店所の支出に加えまして、一般管理費といたしまして、支店あるいは本店の経費等も負担しなければならないのでございますが、この一般管理費が七%、それから、さらに、通運事業法に規定してございますところでは、運賃認可審査の場合の基準といたしまして、能率的な経営のもとにおける適正な原価を償い、かつ適正な利潤を含むものであることという基準がございますが、この適正な利潤といたしまして、私ども通運事業は公益事業ではございますが、やはり私企業で経営をしておりますものでありますから、一割程度配当可能額を見込むことが妥当であろうという考え方のもとに立っておりまして、この点は、鉄道におきましてもバスにおきましても一割配当可能額を見込んでおるのでございます。この一割配当可能額につきまして、大体通運事業におきましては資本が一年に四回転いたしますので、この四回転いたしますことを考えますと、一割配当可能額を生み出しますためには、諸税その他を考慮いたしますと、収入から申しますと二割程度の金額が捻出されなければならない。そうしまして諸税を払いまして一割配当が可能であるということで、一年に四回転するものとしまして、——これが大体私ども通運事業について見て参りました回転率でありますので、一割配当可能額を確保いたしますためには五%の適正利潤を見るべきであると考えておるわけでございます。これら七%と五%の一般管理費及び適正利潤をつけ加えますと赤字になる。そして、このことは会社全体として経営をいたしていきます上においてはやはり必要なことであるというふうに考えておりますので、原価の総括表にも一二%これに増加をいたしておるわけでございます。これによって一号級、二号級、三号級、四号級におきます各業種別の料金というものを算定するわけでございます。
  67. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまの局長の御答弁の趣旨は、結局管理費と利潤を加えたから赤字が出たんだという御説明ですけれども、総括表を私もよく内容を読んでおります。局長ももちろんお読みになっていると思います。そこで、管理費、利潤をプラスする前に、すでにこの総括表では全部赤字になっておる。そういたしますと、ただいまの御説明では私の質問に対するお答えにならないわけです。その点はどうでしょうか。
  68. 國友弘康

    國友説明員 先ほどから申し上げておりますが、御配付申し上げました資料の中で、通運事業経営の現状といたしまして、配当いたしました事業者は五十二%、無配事業者は二二%、欠損事業者二六%というふうに、この程度の表をあげておるのでございますが、平均をいたしましたそのもとでありますところの原価計算いたします場合の店所を選びます場合には、ここに基準をあげてありますような大体標準的なものを選びまして計算をし、この中には、非常に悪いもの、あるいは経営のいいものもございますが、これを全部平均いたしますと、今先生もおっしゃいますように、平均的にいたしまして赤になっておる、こういう状態でありまして、事業所別に見ますと業績にかなり差異がありますことは確かでございますが、平均をいたしました結果はこのような赤が出たということになっております。
  69. 倉成正

    ○倉成委員 局長、御答弁になっておって、少しおかしいと思われないでしょうか。原価総括表では管理費あるいは利潤を除いたもので赤字が出ておる。にもかかわらず、実際は、較差はあるにしましても、通運事業で三十一年、三十二年では利益が出ておる。非常に矛盾したものが二つ出ているわけです。そうしますと、原価総括表というのを基準にした値上げ申請というのがなされたとすると、これはやはり赤字ということを前提とした値上げ申請になってくるわけです。ところが、現実的に数字を見て参りますと、利益は兼業部門と比較すると少ないけれども、確かに出ているということです。そうしますと、この間の矛盾をどういうふうに御説明になるか。これはやはりいろいろ複雑な機構、複雑な内容を持っておりますから、これを総括していろいろ御説明しにくいかと思いますけれども、しかし、もっとわかりやすくしないと、これだけ重要な問題については一般は納得しないと思います。この点、もう一度お答えいただきたいと思います。
  70. 國友弘康

    國友説明員 私ども通運料金につきまして審査をいたします場合に、各店所ごとの原価につきましては、これを基礎とし参照して料金の実額について考えるわけでございます。そして、この原価計算をいたします場合には、事業所別に、各現場の店所ごとにその調査を行なわざるを得ないのでございますが、この原価計算の結果出ましたところの数字、これはもちろん基礎として考慮するわけでございますけれども、全体的な通運事業部門なら通運事業部門におきまする収支の状態というものも、もちろん私どもとしては参照するのでございまして、この点、原価計算の結果と実施会社の経理の実績とは必ずしも一致するものではないのでございまして、この点につきましては、われわれが実際の通運運賃料金審査いたします場合には、現場の原価計算実施要領からはじき出してきました資料と、さらに全体的な会社ごとの経理内容についての資料と、両方から勘案いたしまして運賃料金を精査するということになっておりまして、先ほど申し上げましたが、ただ単にこの原価計算の結果だけから見るわけではないのであります。
  71. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまの御答弁で非常に重要なことが明らかになったわけです。すなわち、原価計算総括表は必ずしも企業の実態を反映してないということを局長みずからが御答弁になった結果になります。かように了解してよろしゅうございますか。
  72. 國友弘康

    國友説明員 私ども通運事業運賃料金計算いたし、あるいは精査いたします場合に、ごらんになっていただけばわかりますような一号級から四号級までの各業務の種別ごと運賃料金をきめますので、やはりこの原価計算実施要領に基づきまして調査いたしました結果を参酌しなければこの運賃料金というものは決定できないのでございます。そして、そういうわけでありますから、この原価計算実施要領に基づきます資料は大きな決定要素ではございます。しかし、唯一の要素ではない。これのみによって運賃料金を査定するものではないということは申し上げられると思います。
  73. 倉成正

    ○倉成委員 局長、私決してあげ足をとろうとかそういう意味で申し上げているのではないのです。少なくとも、原価計算が権威を持ち、またこれを重要な資料として値上げをやっていこうということになるならば、傾向としては、原価計算が全部赤字が出ておれば、通運事業全体について、三十一年ないし三十二年について黒字が出るはずはない、かように考えるのが一般の通念なんです。そこに非常に一般の方方を納得させることのできない理由があるわけです。そこで、もう少し具体的にお尋ねしてみますと、三十一年、三十二年で比率を申されましたけれども、実際の数字として、たとえば日通が三十一年上期、下期、三十二年についてどのくらいの黒字通運事業について出しておられるか、その他の会社はどれだけ出しておられるかということを、わかりましたら一つここでお示しいただきたいと思います。
  74. 國友弘康

    國友説明員 ただいま日本通運資料だけ持っておりますのですが、日本通運資料で申し上げますと、先ほど昭和三十一年度におきまして上期純利益二%と申し上げましたが、これは三億七百万円でございます。それから、下期は一・四%と申し上げましたが、これは二億四千七百万円通運事業におきまして純利益をあげておるということでございます。昭和三十二年度は、上期におきまして三億五千六百万円、二・一%でございます。昭和三十二年の下期は三億九百万円、一・八%、昭和三十三年度は、上期におきまして三億五千八百万円、二・三%、下期におきましては二億三百万円、一・二%でございますが、この昭和三十三年度には、退職引当金につきまして未計上をいたしました。これと不動産の売却をいたしましてつじつまを合わして、これだけの純利益をあげておるということでございまして、通運事業におきましては約三億の赤を出しておるということを申し上げられると思います。     〔丹羽(兵)委員長代理退席、委員長   着席〕  それから、兼業部門におきまして、昭和三十一年度の上期におきましては、純利益十一億九千六百万円、一一・五%でございます。下期十三億六千万円、一一・六%、これは先ほど申し上げました。それから、昭和三十二年度におきまして、上期は十三億五千百万円、一〇・六%の利益率であります。下期におきましては十四億六千五百万円、一一・四%の利益率でございます。昭和三十三年度の上期におきましては十六億一千九百万円、一二・九%、下期におきましては十五億二千三百万円、一一・三%でございますが、この昭和三十三年度につきましては、先ほど申し上げましたように、退職引当金の未計上をいたしましたり、固定資産の売却をいたしましたりしてつじつまを合わして、利益率を多く出しておるという状況でございます。
  75. 倉成正

    ○倉成委員 ただいま三十一年、三十二年の通運料金日通における利益を御説明いただきました。それによりますと、三十一年が年間で約五億、三十二年が六億五千万、兼業部門を別として通運事業だけでこういう黒字が出ておるわけですね。そうしますと、この原価計算総括表からは、少なくともこの原価計算総括表を中心にして考える限り、日通にそういうふうな黒字が出てくるはずはないわけです。その点ちょっと原価計算総括表と現実のそういった数字とが食い違いがありはしないか。その間の事情、どういう理由によってそう食い違いが出てきておるというふうにお考えでしょうか。
  76. 國友弘康

    國友説明員 この点に関しましては、日本通運株式会社は、公益事業をいたしておりますが、やはり私企業でありますので、たとえば施設の増強のための借入金をしなければならないとかいうような場合に、一般市場におきまする信用というような点もあると考えるのでございますが、そういう点から、この純利益につきましてはある程度の操作をすることがあるのではないかと思います。その操作の最も顕著な例が、この昭和三十三年度の退職引当金の未計上とか固定資産の売却とかいうことになって現われておると思うのでございます。これらのこと、及び、日本通運といたしましては、相当有力な扱い量の多い中心的な店所におきましては経営の合理化をやり、そして現在地方店所にもその経営の合理化を及ぼしておりますけれども、地方店所におきまする経営の合理化というものは中央店所におけるほどはかばかしくないというようなことが、われわれの持っております数字でも、一、二のものの扱い等におきましては横ばいになってきておるというような状態を示しております。そういうような関係等から日本通運の全体的な純利益というものが出てきておるのかと考えております。この事業所ごとの原価計算によります結果と、それから会社全体の経理の実績、これは経理の結果出ております実績でございますが、それとの差のあることは、私どもとしてはやむを得ないんじゃないかというふうにも考えるわけでありまして、どうもこれは必ずしも一致しないのではないかと考えておるわけでございます。
  77. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまの局長の御答弁は、私のお尋ねしておるところと的がはずれておるような感じがするのです。というのは、日通が対外的な信用の関係から、ウインドー・ドレッシングというか、利益を出しておる、あるいは合理化を非常にやっているところもあるけれどもうまくいかないところもある、こういう御説明のようでしたけれども、少なくともこの原価計算総括表は昭和三十一年九月を中心として三十二年七月にまとめられたものでございます。そうしますと、三十一年に五億、三十二年に六億五千万円の利益をあげておるということは厳然たる事実でございます。これとの食い違いがこういうふうに出てくるのはやむを得ない、当然だというふうに御説明になりますと、原価計算総括表そのものの信憑性というか、はたしてほんとうに妥当な原価計算総括表であり、これを基本としていろいろなことを検討していいかどうかという問題につながってくると思うのです。その点をもう少し明らかにしていただかないといけないと思います。
  78. 國友弘康

    國友説明員 原価計算をいたします場合には業務の種別ごと計算をいたすわけでありますが、私どもがこの計算書の上でとっております一番基本的な三料金、取扱料積卸料集配料等に関しましては、原価計算によります通りに赤となっておりまして、基本の三料金以外の黒を計上したものによってこれの赤を償うという状況が実情でありまして、基本三料金の中では赤に出ておるのでございます。
  79. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまの御説明日通の場合に当てはめてみますと、基本の三料金では赤が出てもほかの方で黒字になってこういった三十一年、三十二年の利益が出ておる、こういうふうに御説明がとれるのですが、それならば、具体的に一つ、何によってこれをカバーしているか、三十一年、三十二年の日通の経理について、もし資料がそこにありましたら御説明をいただきたい。
  80. 國友弘康

    國友説明員 原価計算総括表に関しまする資料で今持っておりますのは、積卸、積込、取卸、集配料資料でございまして、その他の資料は今持ち合わせておらないのでございますが、ただいま申し上げましたように、これについての赤は、その他の部分、たとえば四〇%の部分においては今度値上げを考慮しておらないのでございますが、それらのものもありまして、かろうじてこの赤を償っておるという状況だと思いますが、ただいまその他のものについての資料を持ち合わせておりませんので、お答えできかねることを遺憾に存じます。
  81. 倉成正

    ○倉成委員 ただいま局長お話しになりましたが、五十億七千万円という値上げ申請が出ておる。この申請がはたして妥当であるかどうかという問題についてわれわれ審議をしているわけですから、その有力な材料である資料一つ進んで御提出していただかないと、私ども十分な審議はできないわけです。その点一つ次の委員会に御提出いただきたいと思います。  同時に、運輸省からお出しになった資料で、通運事業における事業者損益状況で二百八十社を選んで損益状況を出されておりますが、この二百八十というのは一体どういう基準で出されたのでしょうか。われわれの了解するところでは、五百四社全部についてやはりこういう数字はお出しになるのが妥当ではないかと考えておるわけですが、この点の御説明をいただきたい。
  82. 國友弘康

    國友説明員 この二百八十社を選定いたしましたのは、全体を調査いたしますと非常に手数がかかりまして、理想的に申しますれば全体を調査するのが妥当なのでありますが、これはとてもできませんので、妥当と思われます。特別なものを除きました標本調査をいたしたわけでありまして、この程度調査をいたしますればわれわれとして資料となし得るという考え方のもとに選定をいたして計算をしたわけでございます。
  83. 倉成正

    ○倉成委員 その二百八十社の選定が妥当であるか、また、七十八社の原価計算総括表が妥当であるかどうかということが、この問題を詰めて参ります場合の問題点の中心になるわけです。そこで私はこういう質問をしたわけですけれども、この数字によりますと、二六%の会社、七十三社が欠損が出ております。この七十三社の赤字の総額は幾らでしょうか。
  84. 國友弘康

    國友説明員 七十三社の赤字は二億二千万円でございます。
  85. 倉成正

    ○倉成委員 そういたしますと、二百八十社で二億ちょっとの赤字であり、この二百八十社の選定がサンプル調査で妥当であるとしますと、せいぜい見積もっても四億足らずの通運事業における赤字が出ている、こういう資料運輸省が提出されたということになりますが、かように了解してよろしゅうございますか。
  86. 國友弘康

    國友説明員 この二百八十業者二億二千万円から全体を推定いたしまして五億の金額をはじいたのでございます。
  87. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまの御説明によりますと、三十三年度の通運事業における事業者の赤字というのがざっと五億という数字が出ておりますね。そうしますと、先ほど昭和三十三年の日通のいろいろな経理上の操作等のお話はございましたけれども、しかし、全体として見まして、この数字をそのまま信用するにしましても、五億足らずの赤字にしかすぎないというわけですね。それに対して、このたび出されました申請が五十億七千万円という膨大な値上げ申請になっておるということになりますと、こまかい数字の技術は別としまして、大局的に常識的に、この申請について再検討しなければならない、原価計算にしてもおかしいじゃないか、こういうような感じを持つわけです。この点をもっと積極的に担当の局長が明らかにされる義務と責任があると思います。
  88. 國友弘康

    國友説明員 この点に関しましては、五億足らずの赤字でございまして、そのほかに日本通運を入れまして八億円になるわけでございますが、そのほかに適正な利潤とわれわれは考えております点も考慮いたしますとそれより額は上がるわけでございますが、私どもとしましても、会社全体の経理も考慮いたしておりますので、この申請がそのまま妥当なものとは考えておりません。今の点に関しましては、目下精査いたしておりまして、これらから減額を認むべからざるもの等は認めないという方向で、目下その申請内容について審査をしておりますので、この申請の通りに認可するとかいうようなことは、ただいま考えておらないところでございます。
  89. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまの御説明は非常に大きな問題を含んでおると思うのです。というのは、かりに御説明の通り八億の赤字といたします。事業量全体が四百八十億、これに五%の適正利潤をかけたにしましても、せいぜい総額が三十二億、申請は五十億七千万円ということになりますから、ちょっと目の子計算だけで、五十億七千万という申請は少くともこの経理の実態からいたしましておかしな申請だ。そのおかしな申請を、当初のこの委員会におきまして、局長お話では、これは妥当なものとして一応御説明になったと私は記憶しております。最初の委員会等の速記録を調べなければわかりませんが、五十億七千万円の振り分け等非常に適切妥当である、日通の赤字が、いろいろな経理の操作で今年かろうじて配当しておるのだという御説明だったと記憶しますけれども、この間多少局長のお考えが変わったのかどうか、もう一度お答えをいただきたい。
  90. 國友弘康

    國友説明員 この提出いたしました資料申請者の資料でありまして、この申請が妥当であるかどうかということは申し上げなかったと思うのでございます。この点は、申請者がこのように提出をしておるのでございまして、あるいはその点を明らかにしなかった点はあるかもしれませんけれども、決して、これが妥当なものである、そうしてこれでいくんだというような、そういう考え方では申し上げなかったと思うのであります。しかして、それについては公聴会等もありますのでそれらによって審査をいたしまして決定をするのでございますということを申し上げたと思うのでありますが、ただいま目の子勘定とおっしゃいました先生の御計算によりますものも、私どもも当然考えられるところでございまして、通運事業者に必要以上の利益を与える必要はございませんので、これらの点、全体的なにらみ合わせをいたしまして目下精査しておるところでございまして、これらの料金額の配分等につきましても今検討中でございます。この申請額が妥当であるというようなことは、決して私どもは考えてないのでございます。
  91. 倉成正

    ○倉成委員 ただいま局長は、この申請額について精査をしておるというお話ですが、精査をされるにしましても、その基準というか、根拠が非常に必要でございます。この精査される根拠、基準、何を基準としてこの申請書内容について検討されるのか、その具体的な資料がないと、私どもはこの申請についていろいろ検討するわけにいかないわけです。その精査されます場合の参考とされます基本的な資料、これはどういうものがあるか、一つ説明をいただきたいと思います。
  92. 國友弘康

    國友説明員 先ほど申し上げましたように、原価計算調査資料は、取扱料その他、総体的な収入増を考え、それを今度割り振ります場合の資料になると思うのでございます。全体的に幾らの収入を増加すべきかという問題につきましては、ただいまお話のございましたような、欠損額の補てん、それから適正利潤一割配当可能額が妥当であるかどうか、こういう点がその審査の根本になると思うのでございます。
  93. 倉成正

    ○倉成委員 欠損額並びにいろいろな参考資料と言われましたけれども会社が欠損が出るからすぐ赤字を補てんするために値上げをするという考え方は、私どもちょっといただきかねるわけです。やはりどうしても納得させるだけの基本的な資料がなければならないと思いますけれども、その点非常に大事な問題だと思います。会社がほんとうに合理的な経営をやっているかどうかという問題、これは、この原価計算総括表をもう少しこまかく見て参りまして、こまかく突っ込んで御質問申し上げればすっきりするところですけれども、あえてここで申し上げませんが、会社が欠損が出るから、すぐ、適正利潤を与えるため、赤字を解消するため値上げをするのだ、そして膨大な五十億七千万円の申請を査定するのだということは、ちょっといただきかねると思いますけれども、もう一度慎重に御答弁いただきたいと思います。
  94. 國友弘康

    國友説明員 私どもとしては、欠損が出たら直ちに値上げを認めるという、そのように直接的に考えておるわけではないのでございますが、通運料金に関しましては、前から申し上げておりますように、六年半ほどストップをしておりまして、これは、むしろこちらの方で、値上げ申請をしたいと申しましたときにも抑制して参ったのであります。ところが、「通運事業者の現状」という資料を御提出申し上げておるのでありますが、これらの中で、たとえば鉄道運賃の支払い遅延をしておりますものが、納入延期四十三業者、延納停止しておりますのが十業者というような状況、あるいは、通運事業は交互計算をしておりますが、これらの処理におきまして、支払い遅延をしておりますものが七業者、交互計算の停止を受けているものが八業者あります。交互計算の停止を通運業者が受けるということは、これは通運事業としての使命を全くなくしてしまうようなものでありますが、こういうようなものが出ておりますし、さらに、経営不振に基づく事業譲渡が相当ございます。駅数にしまして、昭和三十一年に二十四駅、昭和三十二年に八駅、昭和三十三年に八駅、昭和三十四年には八月末までに二駅譲渡いたしておりますし、経営不振によります廃止が、昭和三十一年には三十駅、三十二年には二十一駅、三十三年には二十三駅、三十四年には八月末までに三駅というような状況も示しておりまして、これら通運事業経営の上におきましても、経営が困難であるという状況が現われて参っておりますので、私どもとしては、昭和三十二年の運賃改定のときにも押えてこの運賃改定を認めずに参りまして、しかしてそのときに実際の調査をいたしたわけでありますが、これに基づきます資料も出て、配当をしておる会社はございますが、通運事業の面におきましては四分の三程度も適正な経営とは言えない状態だと私どもは考えておりますので、改定は必要である、こう考えた次第であります。これらの点につきまして、先ほど申し上げましたように、直ちに、赤字を補てんするための運賃値上げ、あるいは適正利潤を交付するための運賃値上げということではございませんが、それらの点が基本的なものになりまして、私どもとしては運賃改定申請審査するということにいたしておる次第でございます。
  95. 倉成正

    ○倉成委員 ただいま非常にマイナスの面だけ列挙されまして、それを通運事業の料金値上げの根拠にする、こういう印象を受けたわけでありますが、それならば、昭和三十三年の運輸省から御提出になりました二百八十社の調査の中で、二百七社、全体の比率で七四%が少なくとも有配当ないし無配当でありますけれども、この黒字会社二百七についての利益は、一体金額として幾らでございましょうか。
  96. 國友弘康

    國友説明員 配当業者の利益は一億九千七百万円でございます。
  97. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまの数字は確信を持ってお答えでしょうか。二百七社のうち、百四十六社が配当をし、六十一社が無配当で、その差額が一億何がしでありましょうか。これはちょっとおかしいと思いますが……。
  98. 國友弘康

    國友説明員 今のは、配当業者百四十六業者につきまして通運部門だけに関しまして計算をいたしましたものが一億九千七百万円でございまして、今おっしゃいました二百七業者からでございますと、そのうちから、一千九百三十万円を無配業者がマイナスしておりますので、それを引かなければなりません。従いまして、一億七千七百万円でございます。
  99. 倉成正

    ○倉成委員 今の数字について私非常に疑問を持っておりますけれども、ここにこまかい資料を持っておりませんので、あらためてお伺いをしたいと思います。そこで、原価計算をされた場合に、七十八社のとり方については非常にむずかしい問題があったと思いますけれども、この七十八社に、いろいろ業態が異なって内容に非常に格差があるんじゃないか、極端な相違があるんじゃないかと思いますけれども、この点について何か総括表をお作りになるときにお気づきになったことはありませんか。アット・ランダムにこういうふうに四つの見地からおとりになったわけでしょうけれども、こまかく見ますと、この原価計算基準として値上げを行なおうといたしますと相当問題点があるような感じがするわけです。この点について率直に一つお答えいただきたいと思います。
  100. 國友弘康

    國友説明員 この原価計算実施いたします場合の実施概要につきまして資料を提出してございますが、その中に、収支状況がおおむね均衡を失していないものとか、あるいは特殊な作業のみ行なっていないものとか、そのほか、自己保有運搬具でおおむね七〇%以上の集配を行なっているもの、それから、取り扱い品目が片寄っていないものというような基準選定いたしまして、できるだけそういう格差のないように各陸運局において選定させたわけでございますが、やはりある程度の格差はあったと思います。と申しますことは、そういう店所選定いたしましても、たまたまその場所において荷物が非常に多く殺到しておるとか、そのほかいろいろな、たとえば人員、車両の配置の面において、そういうものがまだ変更になっておらい時期に調査をしたとか、そういうような出荷の波動期にぶつかっておるとかいうようなことで、それは九月でありましてもそういうことがあると思うのでございますが、そういうことで数字としてはわれわれの予想よりは違った数字が出たところもございますが、総体的に申しまして、そういう格差の起こらないように、できるだけ標準的なものを選定して調査をしたわけでございまして、中には格差のある場合もございますが、これは、この程度詳細に精査して決定いたしましたので、やむを得ないのではないかと考える次第でございます。
  101. 倉成正

    ○倉成委員 原価計算について多少自信をお持ちのようですが、それでは、一つだけお尋ねしてみましょう。一トン当たりの取扱で、発送の一号、二号の車扱で最高最低はどういうふうになっておりましょうか。
  102. 國友弘康

    國友説明員 取扱料の一号、二号で最高につきましては、発送で申し上げますと、六十円七銭、最低二十二円八十八銭、平均が発送四十三円十九銭というように、最高と最低では大へん格差がございます。
  103. 倉成正

    ○倉成委員 このほかこまかくはお尋ねいたしませんけれども、今の一つの事例で明らかになっておりますように、六十円と二十二円というと、三分の一ですね。この一円、二円のここでの差を全体の取扱量にかけますと、これは莫大な数字になるわけであります。こういう点はやはりもう少し慎重に——原価計算をいろいろ基準をおとりになって大体間違いないというふうに局長は言われるかもしれませんけれども、ただいま御答弁になって、少なくともまじめにお考えになればおわかりになるように、相当問題があるわけですね。まだこまかく申せと言えばたくさんの資料を持っております。しかし、あえて申し上げませんけれども、私は、この原価計算が、三十一年の九月一カ月分だけをおとりになって、しかもこれを年間に類推し、今後の値上げ基準にされるということに非常に問題点があると考えておるわけであります。そこで、この原価計算をそういう値上げ基礎としてされたわけではないでしょうけれども一体、この原価計算については、三十二年の七月におやりになっただけでしょうか、そのほか何回もおやりになったことがあるか、一つお伺いしたいと思います。
  104. 國友弘康

    國友説明員 お答え申し上げます。この三十二年の前は二十七年に調査をしております。その前は二十五年に調査をいたしております。
  105. 倉成正

    ○倉成委員 最近はございませんね。
  106. 國友弘康

    國友説明員 三十二年のこれ以後はございません。と申しますのは、原価計算調査をいたしますのは相当大へんな仕事でございまして、ことに、これは各店所で全部一カ月間にわたって書き込ませねばならぬのと、さらに、これを集計いたしますと少なくとも半年以上かかるような状態でございますので、そうたびたびはいたしておりません。
  107. 倉成正

    ○倉成委員 そういたしますと、この原価計算について、いろいろ要領に基づいて各会社資料を要求され、そうして、各会社から提出されました資料をどういうふうにして運輸省の方でチェックされ、この精査をなさるわけでしょうか。一々各会社について御調査なさっておるわけでしょうか。
  108. 國友弘康

    國友説明員 申請書でもって提出されますが、その内容につきまして、私どもとしてはそれらを妥当かどうかということで審査をするわけでございますが、それらの点につきましては、たとえば、運輸審議会公聴会で述べられましたこと等は、われわれとしては、それをそのままとるわけではございませんけれども、十分に精査する場合に考慮していく、それから、全体的な経理状態その他については、集められるだけの営業報告書等を集めて審査をする、そういう状況でございまして、申請されました申請書を中心として、その他集めます資料及び全産業界意見等もとっておりますので、それらも考慮した上で料金の審査をするという形になっております。
  109. 倉成正

    ○倉成委員 私のお尋ねしたのは原価計算を中心としてお尋ねしたわけですが、原価計算についてまだこまかく見て参りますといろいろ問題点があるようです。そして、この原価計算を一応大きな値上げの際の検討の資料にしておられることも、先ほどからの局長の御答弁によって明らかだと思います。そういたしますと、通運の料金は御承知のように定額制でありますから、あるものについて値上げをしますと、一律に黒字会社も赤字の会社値上げになってくる。そうすると、非常に赤字で苦しんでおるところも補てんされると同様に、黒字であるところには追加の利益を与えていくという結果になるわけです。こういう点をいろいろ考慮いたしますと、五十億七千万円の数字については、精査するという局長の御答弁でけっこうだと思いますけれども、その精査の基準というものが、やはりこの原価計算表、あるいは各会社の単なる赤字の状況ということではなくして、もっと万一人を納得させるだけの資料がなければ、どうしてもわれわれとしては納得できないと思います。そういった点で、短時日の間にいろいろ資料を整えられることはむずかしいかと思いますけれども、少なくとも当委員会において納得のいく——一々トン当り何だかんだと言わなくとも納得のいく資料をやはり御提出いただいて御説明いただかないと、業者の主張は少し過大ではないか。原価計算は、いろいろこまかく突き詰めていきますと問題点はあるけれども、参考にするというふうに、きめ手がないわけですね。このきめ手のない資料によりまして、農林水産物に非常に甚大な影響を及ぼす通運料金値上げが行なわれるということになりますと、当委員会といたしましても全くこれは反対せざるを得ない、こういうことになって参りますから、もう少しわかりやすい資料をお整えになって、次の機会にでも御説明をいただきたい。  その他、兼業部門あるいは割増料金の問題等、数え上げて参りますとまだまだいろいろ大きな問題があると思いますが、きょうは原価計算を中心にしてとりあえずさわりを申し上げたわけですから、一つ十分御勉強いただいて、またの機会にあらためて御質問いたしたいと思います。  これできょうの質問を終わりたいと思います。
  110. 吉川久衛

    吉川委員長 神田君。
  111. 神田大作

    ○神田委員 私もきょうは自動車局長にいろいろと質問する予定であったが、時間がありませんので、その質問はこの次にいたしまして、資料だけを要求しておきますから、それを各委員に配っていただきたい。  まず、今まで出た資料のうち、千人以上の従業員を使っておる通運業者が五とありますが、この千人以上五の内訳が問題です。これを出してもらいたい。  その次は、資本金五千万以上の会社が二十四あるといいますが、この二十四の会社の内訳をここへ出してもらいたい。  その次に、やはり同じ資料で、取り扱い二十万トン以上六十二社とありますが、六十二にまとめられたのではどうにもならぬのでありますから、二十万トン以上を扱う六十二社の内訳を出してもらいたい。やはり大きい問題点をぼかされたのでは仕事にならぬ。  それから、日通の最近三年間の事業報告書、決算書等を提出してもらいたい。  それから、戦時中においていろいろの通運会社日通のもとに統合いたしました。その後における日通の支店といいますか、出張所といいますか、各沿線にあると思いますが、これらのおもなる支店、出張所の業務状況、そういう資料をやはり事業報告書とともに出してもらいたい。  それから、資本金五千万以上の二十四社がありますが、これの事業報告書と決算書を出してもらいたい。  その資料に基づいてこの次に質問したいと思いますので、以上お願いいたします。
  112. 國友弘康

    國友説明員 五千万円以上の会社の内訳というような場合に、その内訳というのはどの程度のものを出したらよろしゅうございましょうか。
  113. 神田大作

    ○神田委員 だから、二十四社があるから、六千万の資本金を持っておるとか、二十四社について一つ一つ事業報告書と一緒に出していただきたい。
  114. 國友弘康

    國友説明員 これはできるだけ早く集めまして提出いたすようにいたしますが、各所に散らばっておりますので、あるいは間に合わないものもあるかもしらぬと思いますけれども、御了承願いたいと思います。
  115. 神田大作

    ○神田委員 いま一つは、日本通運の重役の氏名、並びに、たとえば農林省から行ったとか、あるいは運輸省から行ったというような、いわゆる政府役人から転出された者があると思いますが、そういう人たちがありましたら摘要に書いてもらいたい。
  116. 吉川久衛

  117. 石田宥全

    石田(宥)委員 ちょっと局長にお尋ねしますが、先ほど来倉成委員の質問に対する答弁を承っておりましても、どうもはなはだちぐはぐの感があるのです。それで、午前中の私から要求いたしました資料、今神田君から要求のありました資料、これについて、ほとんど大部分のものが大体出るはずですが、いつごろまでにこれがそろいましょうか。それによってまた委員会の運営のことも考えなければなりませんし、同時にまた、通運事業関係国鉄との関係もございまして、国鉄にも大きな問題がございますから、それらの関連を考え合わせて委員会の審議を考えなければならないと思いますので、大よそいつごろまでに資料がお配り願えるか、これを一つ承っておきたいと思います。
  118. 國友弘康

    國友説明員 これは、各所から集めなければなりませんので、今大体の見当と申しましてもつきかねますので、できるだけ早く集めるように手配いたしますが、帰りましてから検討いたしまして、また御連絡申し上げたいと思いますので、御了承願います。
  119. 吉川久衛

    吉川委員長 次会は明二十日午前十時半より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十一分散会