○田口
委員 寺島委員の話がずいぶん長くなりまして、時間がありませんから、いろいろ
質問したいこともありますけれ
ども、ごく簡単に一、二の問題だけお伺いいたしたいと思うのでございます。
農林省でも多分御
調査になっておると思いますが、昨日のなま
イモの
価格は、
茨城県が十四円から十五円で
取引されております。
千葉県が十五円から十六円、愛知県が十八円、広島が十九円、愛媛県が二十一円五十銭で一番高いようでありますが、長崎が十七円、熊本が十六円、
宮崎が十八円、こういうような
状態で
取引されておるのでございます。いろいろ総論的の話もありますが、結局
澱粉含有量の問題と出た
価格との
関係を詳細に調べていただかなければならぬと思うのでございます。今年の
澱粉の歩どまりは二一・五でございますから、それ以下のところは多少安くなるし、それ以上のところは高くなる、こういうことで
しょうが、このうちで、
澱粉の歩どまり量の
相当多い九州地方でも、十六円、十七円、こういうような数字が出ています。先ほどから各
委員が非常にやかましく言っておられる
現実の数字がこういうようなことになっておるのでございますから、この点を
一つ御承知願っておきたいと思います。
それから、
イモの問題でいろいろ議論が出、また実際に困っておる問題は、結局、
イモからできる
澱粉の新用途をいかに求めるか、この問題に帰すると思うのでございます。先ほどから
寺島委員がいろいろ御研究になった御意見を発表されたのでございますが、それらに加えて、先般この農林水産
委員会で参考人として呼びました福本博士の酵素糖化法もあるわけでして、実際にそれを事業としてやっておられますところの林原さんの工場、これを、衆議院から井出議員とそれから松浦
委員、
足鹿委員が実際に岡山まで行って工場を
調査してきたわけなのでございますが、ここでこの両人が陳述されました事項と
一つも変わりないことをはっきりさせて参ったのでございます。
御承知の通りに、今までの
結晶ブドウ糖の製法は酸糖化でございますから設備費が非常に高くかかる。硫酸あるいは蓚酸で腐食しないためにはステンレスを使わなければならぬ。また、酸糖化として圧力のかかるところがあるのでございますから、これは耐圧設備をしなければならない。また、この
方法によりますと、糖みつがうんと出るのだから、糖みつ分離機を設備しなければならぬ。この糖みつ分離機が非常に高い。こういうようなことで、日産一トン設備に対しましても二千万円
程度かかるというのでございますから、この二千万円の償還とその金利ということを
考えますと、製品に対して非常に
価格が高くなる。のみならず、この
方法では七〇%
程度の歩どまりでございますから、この歩どまりが低い点と、設備費にうんと金がかかっておる点で、砂糖よりも少し高くなる。今まで使っておる砂糖でございますから、どうしても砂糖の方を本物と思って、あとからできたものはにせもののような感じがする。にせものが値段が高くて本物が安いということでは、どうしても販路が拡張されない。こういうことで、やむを得ずいろいろ工夫されて輸入原糖とのだき合わせで処置されておるのでございますけれ
ども、この
方法はやはりほんとうの行き方ではないのでございまして、産業としては、砂糖よりりっぱなものを砂糖より安く供給する、こういうことができなければこの産業はほんとうに育たない、こういうことで、さようなことを何とかやりたい、こういうふうに
考えておったのでございますが、幸いにして福本博士が酵素糖化法を研究されて、そうして、林原氏が、一億、二億の金は捨ててもしようがない、こういうような冒険の気持でこの研究を実際にやってみた結果、非常に結果がよくて、そうして、一日五トン設備をやってみたところが、注文殺到で、これは大へんだということで、三十トン工場にすぐ拡張した。そうして、三十トン工場で作りましても注文に応じ切れないで、直ちに百五十トン工場の設備を準備し、もうすでに材料を集めて二月の中旬までには百五十トン工場を作ってしまうということで、その後には林原さんは五百トン工場を作ろうとしておられる。もしこの五百トン工場ができることになりますと、この工場だけで
澱粉は大体三千五百万貫
程度消費すると思うのでございますが、百五十トン工場
一つででも約一千万貫の
澱粉を消費する、こういうような産業、しかも砂糖の
価格の二割引きでどんどん羽がはえて売れている、こういうものが出てきたのでございますから、本筋といたしましては、この酵素糖化法によって
澱粉からできる粉末ブドウ糖といいますか
結晶ブドウ糖といいますか、これで砂糖を漸次侵食していく、日本の輸入砂糖をこれで押えていく、そうして、使う人から言えば、砂糖よりも二割も安い、またもうちょっと
生産を大きくすると三割
程度安くなる、こういうことでございますから、使用する国民も喜ぶ、そうして同時にこの工業が
イモの問題を根本的に解決する。林原さんの言をかりて言いますと、五千八百万貫
程度の滞貨
澱粉というものはすぐ使ってしまうから、
農林省としては
イモの増産計画を新たに作ってもらって、そうして
原料がなくなったために工場がストップするような心配がないようにぜひやってもらいたい、こういうことを言っておられるくらいでありますから、私は、この酵素糖化の
方法によって
イモの問題を根本的に解決する、これが最も近道だ、かように
考えておるのでございます。
この問題に対しましてはいろいろ
農林省といたしましても研究をされなければならぬ問題があると思うのでございますから、ここでどうだこうだという
答弁は求めないのでございますが、私は、
イモの問題解決のために、また、外貨を節約する意味におきまして、この問題は
農林省としてあるいはわれわれといたしましても真剣に
一つ取り組まなければならない問題である、こういうふうに
考えておるのでございますが、私の
考え通りに
農林省としても真剣にこの問題について取り組まれる意思があるかどうか、大野政務次官にその点だけお伺いしておきます。