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1959-10-30 第33回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十月三十日(金曜日)各派割当数異 動後の本委員は、次の通りである。    委員長 吉川 久衛君    理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君    理事 永田 亮一君 理事 丹羽 兵助君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 石田 宥全君 理事 芳賀  貢君    理事 小平  忠君       安倍晋太郎君    天野 光晴君       今井  耕君    加藤常太郎君       金子 岩三君    金丸  信君       倉成  正君    坂田 英一君       笹山茂太郎君    高石幸三郎君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       野原 正勝君    早川  崇君       松岡嘉兵衛君    松田 鐵藏君       三和 精一君    三田村武夫君       保岡 武久君    足鹿  覺君       角屋堅次郎君    神田 大作君       栗林 三郎君    實川 清之君       中澤 茂一君    中村 時雄君       日野 吉夫君    西村 関一君       松浦 定義君    小松信太郎君     ————————————— 昭和三十四年十月三十日(金曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君    理事 永田 亮一君 理事 丹羽 兵助君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 石田 宥全君 理事 芳賀  貢君    理事 小平  忠君       今井  耕君    金子 岩三君       倉成  正君    笹山茂太郎君       高石幸三郎君    松岡嘉兵衛君       松田 鐵藏君    三和 精一君       保岡 武久君    足鹿  覺君       角屋堅次郎君    栗林 三郎君       實川 清之君    高田 富之君       中澤 茂一君    中村 時雄君       日野 吉夫君    西村 関一君       松浦 定義君    小松信太郎君  出席政府委員         農林政務次官  大野 市郎君         農林事務官         (大臣官房長) 齋藤  誠君         食糧庁長官   須賀 賢二君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      岡崎 三郎君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   亀長 友義君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    村田 豊三君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十月二十八日  委員松浦周太郎君及び久保田豊辞任につき、  その補欠として小平忠君及び小松信太郎君が議  長の指名委員選任された。 同月三十日  委員栗林三郎辞任につき、その補欠として高  田富之君が議長指名委員選任された。 同日  委員高田富之辞任につき、その補欠として栗  林三郎君が議長指名委員選任された。 同日  小平忠君が理事に当選した。     ————————————— 十月二十六日  農家負債整理資金融通特別措置法案芳賀貢君  外十名提出、第三十一回国会衆法第二号)  飼料需給安定法の一部を改正する法律案芳賀  貢君外十三名提出、第三十一回国会衆法第四一  号)  農産物価格安定法の一部を改正する法律案(芳  賀貢君外十三名提出、第三十一回国会衆法第四  二号)  水産業改良助長法案赤路友藏君外十七名提出、  第三十一回国会衆法第四五号)  漁業協同組合整備特別措置法案赤路友藏君外  十七名提出、第三十一回国会衆法第四六号)  てん菜生産振興臨時措置法の一部を改正する法  律案芳賀貢君外二十名提出、第三十一回国会  衆法第四七号)  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案(栗原  俊夫君外十六名提出、第三十一回国会衆法第五  五号)  養鶏振興法案内閣提出、第三十一回国会閣法  第一八五号) 同月二十七日  繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出第一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  委員派遣承認申請に関する件  小委員会設置に関する件  農林水産業振興に関する件  農林水産物に関する件(昭和三十四年産大豆の  基準価格問題及び米の配給制度改正問題)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  この際理事追加選任についてお諮りいたします。  去る二十七日の議院運営委員会理事会決定によりまして、本委員会には従来の基準のほか理事一名を増加し、これを社会クラブに割り当てるとの通知が議院運営委員長よりございましたので、この際理事の数を九名とし、直ちに理事一名の追加選任を行ないたいと思いますが、その選任方法につきましては先例によりまして委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認めます。よって、小平忠君を理事指名いたします。      ————◇—————
  4. 吉川久衛

    吉川委員長 この際委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、水俣湾における漁業問題に対し現地に委員を派遣してその実情を調査いたしたいと存じます。つきましては、派遣委員派遣地等決定については委員長に御一任願い、議長に対し委員派遣承認申請を行ないたいと存じます。これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認めて、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  6. 吉川久衛

    吉川委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  第十五号台風等による農林漁業関係被害に対する政府の諸施策について説明を求めます。齋藤官房長
  7. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 それでは私から今回の災害に対する対策概貌につきまして御説明申し上げたいと思います。ただし、まだ現在のもとにおきましても関係者と協議しておる段階のものもございますので、概括で一つ御了承を願いたいと思います。  内容といたしましては、一つ法律的な特別措置、第二はその裏打ちとなるべきものを含めまして予算的な措置、第三は財政投融資措置という三点につきまして概要を御説明いたしたいと思います。  第一は法令的な措置に関連する措置でございます。  これにつきましては、先般当委員会におきまして法令的な特別措置として農林省で目下考えておる事項につきまして申し上げたのでございますが、現在農林省関係といたしまして考えておりますところの法案は六件でございます。それに、先般も申し上げましたが、建設省所管関係法律の中に包含されるものが二件ございます。     〔委員長退席秋山委員長代理着席〕 結局今のところ八件ということで特例法関係考えております。なお、建設省法令がはっきりいたさない点がございますので、建設省関係所管法でふえるものがありますれば、それに応じて農林関係もその中に包含されるものが出てくると思われるのであります。  法案関係の第一につきましては、天災法の一部改正考えておるのであります。内容といたしましては、第一は被害対象拡大するということにいたした点でありまして、現在被害農業者減収量あるいは減収損失額算定の際は農作物蚕繭のみが対象となっておりましたものを改めまして、畜産物を新たに加えることにいたしました。それから、経営資金の使途に、家畜家禽購入資金、それから小型漁船取得資金を加えるということにいたしております。この家禽あるいは小家畜あるいは小型漁船等につきましては、従来も経営資金の中で一部まかなったというような分もあったわけでありますが、明確にいたしたわけであります。第二点は貸付限度引き上げの点でございまして、これは通常の場合十五万円でありますのを二十万円に引き上げ、あるいは家畜家禽の飼養に必要な資金といたしましては三十万円を貸し付ける、それから、畜産専業者につきましてはさらに五十万円に引き上げる、それから、真珠、ウナギ等養殖に必要な資金として貸し付ける場合は、これも五十万円に引き上げる。それから、第三点といたしまして、果樹の植栽につきましては償還期限の延長をはかる。こういう内容のものでございまして、大体こういう線で目下法律案内容を作成中でございます。  第二点は、いわゆる米の安売り法案でございまして、これは、七月以降の豪雨、それから八月、九月の暴風雨、それから九月の降ひょうも含めまして、米の安売り法案を出したい、つまり、生産者生産者販売価格とおおむね同じ価格で売り渡すという点であります。  それから、第三は、暫定法改正特例措置でございます。これは一般的に補助率引き上げとそれから補助対象拡大でございまして、補助率につきましては、大体被害激甚地につきましては一律九割補助にいたしたいという内容のものでございます。補助対象拡大といたしましては、開拓地住宅農舎畜舎あるいは水産動植物等養殖施設助成等法案に含めて補助率を規定いたしたらどうかという考え方でございます。実体につきましては大体関係省でも話し合いが進みまして、法案をどういう形で作るかという段階で今論議いたしておるところでございます。  なお、小災害に関連する扱いにつきましては、これは起債でいくということで、自治庁の方の起債特例に関する法律の中に包含されて、三万円以上十万円までの小災害について市町村起債をやる。それに対して元利補給を行なう。考え方といたしましては、これも被害激甚地につきましては起債充当率を九割に高めるという方向で考えております。  それから、第四は、除塩事業に対する特別の措置でございまして、今回は海水の冠水地域が相当ありました関係上、来年度の作付までに除塩事業を行なう必要があるということで、除塩に関連する特別の措置をいたしたい。その内容といたしましては、排水事業、あるいは客土、あるいは石灰等の散布、これらに要する助成の規定を内容といたすものでございます。事業の主体といたしましては、県または市町村土地改良区等の事業に対して助成する。こういう考え方をとっております。  それから、第五点は、建物共済共済金支払いのために必要な資金につきましては農業共済基金業務として融通するという道を開こうとする内容のものでございまして従来御承知のように家畜あるいは農作物等の再保険の対象のものにつきましては資金融通を行なうということを業務の本則としておりますが、今回の建物共済支払いに要する資金につきましては共済基金から融通するという道を開くことにいたしたのであります。  それから、第六点は、今回の風水害によって被害を受けた漁業者共同利用に供する小型漁船建造に関する特別の措置を講じたのであります。その内容といたしましては、風水害を受けました漁業者共同利用に供する小型漁船漁業協同組合建造させるために、国がこれに要する経費について助成措置を講じようとするものでございます。法案内容といたしましては、漁船被害の甚大な一定基準に該当する漁業協同組合に対しまして漁船建造資金に対して一定率補助をするという基準補助率を規定いたしたものでございます。大体、考え方といたしましては、建造資金の八割の範囲内で助成を行なうという内容のものにいたしたい、こういう考え方目下準備を進めておる次第でございます。  それ以外の法案につきましては、先ほど冒頭に申し上げましたように、建設省所管公共土木施設に関する負担法特例措置になるわけでございまして、農林関係では漁港、海岸、それから治山施設等がこれに該当するわけでございますが、これにつきましても、それぞれ現在の負担率被害激甚地について高めるという措置をとるということにいたしておるものでございます。  それから、いま一つ法案は、これも建設省関係でございますが、排土排水に関連する特例措置でございまして、農林関係におきましては、大体農地に堆積した土砂排除につきましては農地復旧でやるということになりますが、排水関係農地についても同様に問題があり、また、林野施設あるいは漁場等に対する土砂あるいは流木の除去に関する措置も同様にこの堆積土砂排除排水に関する特例措置によって規定されることになりまして、これに対する特別の措置助成率を規定いたしたものでございます。  以上が法令的な特例措置の現在考えておる内容でございまして大体実質的な補助率等につきましては関係省との間におきましてもほぼ確定いたしたものでございまして、ただ、法案の細部につきまして若干意見の食い違いがありますので、これらについての調整を現在行なっておる、こういう段階でございます。  それから、第二の予算措置についての点でございます。  今回の災害対策に関連する予算につきましては、三本建の仕組みに相なっておりまして、既定の予備費でまかなうべきもの、それから、補正予算の中に補正計数をあげて補正予算として計上されるもの、それから、補正予算の中の予備費として計上されるものと相なるわけでございます。そこで、補正予算の中に計上される農林関係災害予算といたしましては、全体で約八十億と相なっております。そのうち、公共事業関係が七十億、それから非公共関係が約十億と相なっておりまして、合計で八十億ということに相なっております。この補正予算として要求されている各項目の中におきましても、一部は予備費に計上されるものもありますし、それから、全部が予備費に計上されるものもあるわけでございます。  補正予算公共についてのおもな点について考え方を申し上げてみますると、第一は農地農業施設災害復旧関係でございます。  これは先ほどの特法的な措置として補助率を上げるということに伴いました予算を計上いたしておるわけでございます。それから、いま一つ、当委員会におきましてもたびたび論議になりまする進度率の問題でございます。いわゆる三・五・二の予算の問題でございますが、これにつきましては、少くとも来年度の田植え前には復旧するようにという前提のもとに、従来の三・五・二の計上でやりますと予算額といたしましては二五%になるわけでございますが、それを高めまして、約三・五%でございますが、これを債務負担行為として計上して、激甚地における農地復旧進度率を高める、こういう措置をとることにいたした次第でございます。  それから、災害関連事業につきましては、これも復旧改良を加味する必要を今回は大幅に取り入れようという考えのもとに、従来災害関連事業ワクというものが五%でありましたのを、このワク拡大いたしますと同時に、激甚地におきましては災害関連補助率が従来二分の一でありましたのを三分の二に引き上げる、こういう措置をとることにいたした次第であります。  それから、入植施設予算でございますが、これを二億二千万円計上いたしております。これは、先ほど申し上げましたような開拓地における住宅農舎畜舎等補助対象に加え、かつまた補助率を上げたことによるものでございます。  それから、その次は救農土木事業でございます。従来、救農土木事業につきましては、風水害による場合におきましては復旧事業が相当広範に行なわれますので、それによって就労機会を与え賃金収入の道を開くということで、救農の項目を取り上げたことはなかったのでございます。しかし、今回は非常な特殊な災害で長期間にわたって湛水地域が生じ、その間何らの就労機会もないというような状況にある地域がありますので、特に三億を救農土木事業として予算を計上いたしておる次第であります。  第二は林野関係予算でございます。これも考え方といたしましては農地農業施設と同様でございまして、災害復旧予算につきましては治山関係林道関係があるわけであります。林道につきましては、先ほども申しましたように、農地と同じように補助率激甚地につきましては九割に上げるということで予算措置をいたしております。それから、災害関連事業につきましても、農地同様被害激甚地におきましては従来の災害関連ワク拡大すると同時に補助率引き上げを行なうということにいたしておる次第であります。林野関係では一応十二億。落としましたが、農地関係では五十一億に相なっております。  それから、漁港関係でございますが、漁港関係につきましても農地林野と同様に措置いたしておりまして、漁港関係につきましては公共負担法特例によって措置されるべき分があるわけでございます。それ以外の災害関連事業につきましては、農地林道と同様に補助率引き上げ災害関連事業ワク拡大をはかる、こういう措置をとっております。そして、通じまして、農地について申し上げたと同様に、進度率を高めるという手段方法といたしまして債務負担行為でもってやるという措置をとっております。  以上申し上げました公共事業予算に計上されている事項につきましても、未確定部分につきましては、これが一部は予備費に計上されるという措置をとっておる次第でございます。  第二は非公共事項でございますが、非公共予算項目といたしましては四件ございます。金額といたしましては先ほど申し上げました十億でございます。  その第一は、農林水産業共同施設復旧費に対する補助でございます。これは暫定法特例法によりまして現在補助率二割となっておりますが、これを激甚地におきましては九割に上げたいという考えのもとに予算を計上いたしております。  それから、いま一つは、被害の激甚な部落共同化施設としての補助金を新たに計上いたすことにいたしました。これは、実は、昨年度の狩野川台風の際に、非常な激甚部落におきましては、家も流れ、農地も流れ、もとに復旧するということが非常に困難である、むしろ新たな見地から営農再建方式をとるのが適当であるということで、十五部落でありますか、具体的な計画を立てまして、それらの共同施設に対する助成をすることにいたしました。今回も、それと同様に、特に農地あるいは農家住宅等の大半流失しあるいは埋没したといったような激甚な部落を選定いたしまして、共同施設に対する助成を行なうということにいたしておる次第であります。これは暫定法共同施設とは別個のものでございます。  それから、第三点は、先ほど法令特例措置として漁業協同組合小型漁船共同利用に供するために建造する場合の措置を申し上げたのでありますが、これに要する補助といたしまして二億四千万円を計上いたしております。  それから、排土排水に関連いたしまして、排水事業だけにつきましては、農地排水事業でございますが、  一億六千万円を計上いたしております。言い落としましたが、先ほどの建設省関係堆積土砂に関連する措置に伴いまして、農林関係では林野施設あるいは漁場等における措置が当然伴うわけでございますが、これらは、いまだ事業量等について確定していない部分がございますので、いずれも予備費で計上する、こういう扱いをいたしております。  それから、以上のほかに、一般の補助事業といたしましては予備費に計上されることになるわけでありますが、従来の災害先例に徴しまして、また今回の災害状況に応じまして、たとえば種子対策あるいは家畜防疫対策、そういったような助成につきましては予備費で今後処理する、こういう扱いにいたしております。  それから、最後に財政投融資関係でございます。  天災融資法における融資につきましては、近く融資総額決定することに相なっております。  他方、農林漁業金融公庫からも従来災害資金融資措置をとっておるわけでございます。現在災害ワクが既存の災害ワクといたしましては三十五億あるわけであります。これを百四十二億に増額するということにいたしまして、災害に要する資金の需要をまかなうという措置をとることにいたした次第でございます。これに伴って、資金交付といたしましては、預金部資金から四十億を新たに追加交付を受けるということにいたした次第でございます。従いまして貸付ワクの総ワクといたしましては、従来の災害ワクを含めて百四十二億、それから、それに伴って新たに資金交付を受けたものが四十億、こういうことに今回の措置としてとった次第でございます。  なお、開拓者につきましては、今回、開拓地入植者というものにつきましては、非常な被害を受けた地帯もございますので、この入植者に対して再起に資するために営農資金貸付を行なって早期に営農の確立をはかりたいという考えのもとに、一億円の限度預金部資金から開拓者資金特別会計に繰り入れるという措置をとりました。それによって資金融通をはかるということにいたした次第でございます。  以上が財政投融資の面における災害対策概要でございます。  非常に簡単でございますが、法律的な特例措置予算的な措置財政投融資措置につきまして概貌を申し上げた次第でございます。      ————◇—————
  8. 秋山利恭

    秋山委員長代理 次に、農林水産物に関する件について調査を進めます。  昭和三十四年産大豆政府買価格等並びに米の配給制度改正につきまして説明を求めます。須賀食糧庁長官
  9. 須賀賢二

    須賀政府委員 今年産大豆農産物価格安定法によりまする支持価格決定する時期に相なっておりまするので、過半来鋭意検討を進めて参ったのでございます。例年通り今月の終わりまでに決定をいたしたいと考えまして、目下政府部内それぞれの方と打ち合わせ中でございますが、今年産価格考え方につきましてあらまし申し上げたいと思います。  大豆支持価格は、すでに御承知のように、安定法政令附録算式によりまして算定をいたしました価格をそれぞれ参酌をして参るわけでございますが、今年の場合について考えますと、大豆の作柄は昨年に比較いたしましてやや上回っておるようでございます。昨年は北海道、都府県を通じまして三十九万一千トンの収穫高であったのでございますが、本年度の作況は、統計調査部北海道につきましては九月一日現在によりまして調査いたしたところによりますと、四十三万七千四百トンの収穫予想に相なっております。前年度を約四万六千トン程度上回る見込みに相なっております。それから、輸入面につきましては、今年度の場合は輸入予定数量が九十八万八千トンでございまして、前年度に比較いたしましてこれも約三万トンばかり上回るのでございます。それらの要素を取り入れまして政令附録算式算定をいたしますと、今年度はパリティ価格が若干前三カ年に比較いたしまして下がっておりますことと、供給量が前年度に比較いたしまして上回りますことが反映いたしまして、参酌されます価格は前年度よりやや下回って出て参るようでございます。その他の参酌すべき価格といたしましては、前年度の価格を前年と今年のパリティによりまして引き直してみた場合の価格がございますが、これは、現在の時点のパリティがごくわずか上回っておりますので、ごくわずかではございますが、前年度よりパリティ価格は若干上回るようでございます。その他粗収入との見合いにおきまして検討してみました数字等は、それほどの従来との開きもございませんので、総合的に判断をいたしまして今年度の場合は前年度の決定価格に据え置きたい、前年度の決定価格を今年度の場合も用いることにいたしたいという考え方を持って、目下準備を進めておる次第でございます。具体的に申しますと、基準価格は六十キログラム当たり裸で二千九百十円、それから、包装代は、かます入り二重包装で九十五円、合わせまして三千五円が決定価格考えておる次第でございます。ただいま申し上げましたような考え方をもちまして、目下関係当局と話し合いを進めておる次第でございます。話がととのい次第、できるだけ早く決定をするようにいたしたいと存じます。  それから、米の配給改善につきまして十一月一日から実施をすることにいたしておる措置につきまして簡単に御説明を申し上げたいと思います。  米の配給制度の改善につきましては、最近の米の需給の実際の動き等種種勘案をいたしまして、去る八月以来農林省に臨時の協議会といたしまして米の配給制度改善協議会を設けまして、約四回にわたり検討を重ねて参ったのでございます。その結果、われわれといたしましてその協議会に提案をいたしましたのは、前年度からの米の増配、生産県を中心といたしましての米の傾斜配給、それから外食券制度の改正、普通外米の割当配給の廃止、流通組織の若干の手直し、その他二、三の項目につきまして意見を聞いたのでございますが、その意見をいろいろ聴取をいたしました結果、現在私どもが新年度から実施したいと考えておりまする事柄は以下申し上げる事柄でございます。  第一は、新年度からの内地米の増配でございますが、これは、一般配給は従来一カ月内地米を十五日分配給いたしておったのでございますが、新年度からは、約一日半分、こまかく申し上げますと一・四日分増配をいたしたいと考えておるのでございます。こういう端数になりましたのは、同時に、従来の一日当りグラム建を一人一カ月当りのキロ建に改めたいと考えたのでございます。従来は内地米につきましては一日一人三百六十五グラムを配給いたしておったのでありますが、今回これをキロ建にして一カ月六キロということに改めたいと考えておるわけでございます。そういたしました結果、日数計算いたしますと、十六・四日ということになるわけです。キロ建配給の方が、配給を実際やっておりますものの側からも、また受配者の側からもいろいろ便利な点がございますので、キロ建配給に改めて参りたいと考えておるわけでございます。  同時に、業務用米を若干増配をいたしたいと考えております。これは、御承知のように、特に大都市におきます業務用米がやみを消費地に誘因いたします要素になっておりますので、業務用米をやみに対する対策の一環といたしましても増量いたしたいと考えております。従来年間十三万トン業務用米の配給をいたしておったのでありますが、これを七万トン増加して年間二十万トンにいたしたいと考えております。  次に、生産県におきます傾斜配給でございますが、傾斜配給と申しますのははなはだ妙な言葉でございますが、従来傾斜配給という言われ方をいたしておりますので、便宜この言葉を使っております。これは、最近の実際の生産県におきます配給米操作の状況から見ますと、生産県の中の人口が集中をいたしております地帯と郡部あたりとでかなり配給米の受配の状況が変わっておるわけです。そういう場合、郡部においてある程度受配されません分を、その県内の受配率の高い地区に回しまして、六キロ以上に増配をいたそう。傾斜配給の限度は八キロと考えておりまして、そういう地帯につきましては二キロだけ一般の配給よりも増加いたしまして受配ができることになるわけです。どうしてこういうことをするかと申しますと、一つは、やはり農家の販売可能な米をできるだけ政府のルートを通じまして集荷をいたしたい、いわゆる完全集荷の考え方からいたしまして、こういう地帯におきましては、受配率の高いところに正規のルートで米を流しますことの方が、結果において政府の集荷量を高めることになるわけでございます。また、そうなりますと、東京とか大阪とかいうような一般消費地帯につきましても、あるいは特配その他の形におきまして六キロ以上に配給をいたします余力等も出て参るわけでございますので、生産県におきましてこういう操作をいたしまして、できるだけ政府の集荷量を高めるごとにいたしたいと考えておるわけであります。また、一面、従来この傾斜配給的操作は一部の府県において行われておったのが実情でございますが、これは厳格に申しますと現在の食管法の配給関係とは一致しない操作でもありますし、また、その結果価格等につきましても必ずしも明朗でない面がございます。一たん米屋さんの受け取った米が生産県の中の人口の多いところへ回されましてこれが部分的には公定価格でないやみの価格あるいはその中間の価格等で売られておったというような実情も実際にはあるのでございまして、今回、傾斜配給を制度として開いて参りますと、そういう点もはっきりいたして参りますので、そういう角度からもこういう措置をとって参りたいと考えた次第であります。  次は外食券制度でございますが、外食券制度につきましては、最近の状況を申し上げますと、外食券が実際に使われております数量のうち約七割は入院患者の病院の中におきます給食用に使われておったのでございます。病院に入院いたしますときに、病院では米の現物を取り扱いませんで、外食券を持ってくるようにというふうにしておったのが一般の病院の最近までの扱い方でございまして、これが外食券利用の約七割を占めておったわけでございます。それで、今回は、この病院の入院患者につきましては、病院からの申請によりまして患者給食用の米を一般配給の価格で特配をすることにいたしまして、外食券を利用しないで入院患者は給食を受けられるように改めたいと考えておるわけであります。そういたしますと、外食券の七割は実際には必要がないという状態になるわけでございます。残ります問題は、特に東京におきましてあるいは民生食堂でありますとか、あるいは学校の学生の食堂でありますとか、そういうところにおきまして、外食券を持って参りますと、以前から東京都庁が行政指導をいたしております価格で米飯の給食が受けられるというような実態になっております。それで、こういう外食券の実際の効用が残っております地区につきまして外食券を廃止いたしますと、このような利用者に対してなお不便をかける心配がございますので、こういう地区につきましては外食券制度を一部残したいと考えております。実際の状況を見ますと、東京都のただいま申しましたような例を除きまして、なおさきに申し上げました入院患者の給食用として使われているものを除きましては、外食券は最近はほとんど使われておらない実情でございます。それで、今回の改正の仕方は、先ほど申し上げましたような東京都のような場合につきまして、都道府県知事からなお外食券を引き続き発行して参りたいという申請があります場合は引き続き外食券を発行していく、もうこの外食券制度は私の県は制度としても要りませんということがはっきりいたした県につきましては、外食券制度を制度としてやめていく、都道府県知事の判断によりましてそこの選択をきめて参りたい、さように考えているわけでございます。いささかでも消費者に不便をかけるようなところにつきましては、外食券制度をこの際廃止する考えは持っておりません。そのような考え方で進めております。  それから、次は、普通外米の割当配給の廃止でございますが、現在、本年度までは普通外米は、——いわゆる普通外米と申しますのは、準内地米と称しております台湾米等を除きましたビルマ、タイ等の昔から言われておるいわゆる外米でございます。この普通外米が月に十五日分割当になっておるのでございますが、受配の実態はごくわずかしか取られておらないのであります。十五日分のワクになっておるのでございますけれども、実際に受配されております数量は平均をいたしまして月に〇・三日くらいにしかなっておらないのでございます。ほとんど一般には受配されておらない。特に割当配給という形において今後配給をして参るような実態になっておらないわけでございます。それで、新年度からは、普通外米につきましては、一般消費者は購入券によらないで買いたいだけの数量をどのお米屋さんからでも買うことができるということに改めたいと思うわけでございます。いわゆる割当配給という形でなくて、自分がほしいと思われる数量を、必ずしも自分が登録しておるお米屋さんでなくて、どのお米屋さんからでも買えるという形に改めたいと考えておるわけでございます。その際、あるいは外米の価格の問題でありますとか、あるいは外米の取り扱いルートの問題でありますとか、そういう点につきましては、将来の問題は別といたしまして、さしあたりは従来通り扱い方で進めて参りたいと考えておるわけでございます。外米は、政府から卸を通りまして小売に売るという配給の系統は従来の系統で続けて参りたいと思います。  最後に、流通組織の整備の問題でございますが、これは、具体的に申し上げますと、小売と消費者との登録の問題、それから卸と小売との登録の問題があるわけでございますが、小売と消費者との間の登録の問題につきましては、かねてから、もっと簡易な方法で——実際に登録がえをしたいと考える者についてはもっと簡易な手続で登録ができるようにしてもらいたいという声が非常に強く上がっておったわけでございます。その要請を私どもも十分考えまして、今後行なわれます消費者と小売との間の登録につきましては、そのやり方を改めたいと思うのでございます。その改めます要点は、従来は本人またはその家族が手続を区役所まで行ってやらなければできないというような手続になっておったのでございますが、そういうふうにいたしませんで、今後はその消費家庭の登録がえをしたいという意思がはっきり確認ができる方法をつかみまして、具体的に申し上げますと、今大部分の消費者はお米屋さんに通帳を預けておるわけでございますが、預けっぱなしにしておる家庭が大部分でございますので、登録がえの時期にもとの米屋さんに行きまして、何日までの配給を受けておる、それから、今までの米代については滞りはございません、全部お金は払ってありますという二つの証明だけをもとの米屋さんに通帳の中へしてもらいまして、それを自分が新しく登録しようとする米屋さんに持って行く、そういたしますと新しい米屋さんが区役所との間の手続はするということにいたしたいと思っておるわけであります。消費者といたしましては古い米屋さんと新しい米屋さんの間を一往復していただければ、あとの手続は米屋さんがかわってやる、いわゆる代理で手続をするわけでございます。そういたしますれば、従来この手続が非常に実際的でなかったという非難は大部分解消すると考えまして、今後行なわれまする消費者と小売との登録につきましてはさように改めたいと考えております。  それから、小売と卸との登録の問題でございますが、これは消費者と小売との関係とは問題の性質がやや違いまして、卸と小売との関係は、私から申し上げるまでもなく、これは企業間の問題でありますので、いろいろ複雑な事情があるわけでございます。しかしながら、相当長期間卸と小売との結びつきは固定をいたしておりまして、現行省令できめております制度も必ずしも適正に運営をされておる実態ではないということも私ども十分承知をいたしておりますので、できるだけ早い機会にこの卸と小売との間の登録の問題につきましても具体的な改正案を検討いたしたいということで、目下鋭意検討いたしておる次第であります。  なお、協議会では、あるいはクーポン制の問題でありますとか、あるいは予約完了後の余剰米の問題でありますとか、あるいは消費者価格に品質差に応じまして価格差をつける問題でありますとか、それぞれきわめて重要なる問題が検討されたのでございますが、これらにつきましては、今日の段階ではなお検討すべき問題が多いということで、問題を今後に残しまして、ただいま申し上げました三つの事項につきまして新年度より実施することといたした次第でございます。  簡単でございますが……。
  10. 秋山利恭

    秋山委員長代理 質疑の通告があります。これを許します。  芳賀貢君。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 大豆価格の問題についてお尋ねします。ただいま食糧庁長官から今年度の政府基準価格決定についての説明がありましたが、大要は前年度の価格据え置きという線でありますが、先般の澱粉にしても、今回の大豆にしても、ただ据え置き据え置きということになると、全くこれは策のないことじゃないかと思うのです。もう少し具体的に実態を明らかにして、しかもこの農産物の価格安定制度というものが実質的には農家の所得増大の方向に行き得るような方途をやはり安定制度の中においても考究していく必要があると思うのです。そういう点に対してはどのような見解で審議しておりますか。
  12. 須賀賢二

    須賀政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、農産物価格安定法の運営の基調といたしまして、大豆につきましては、国内産大豆の生産の維持ないし増強をはかる、また農家所得の増大をはかって参るという基調で考えますことはもちろんでございます。さような基調で考えまして、先ほど来申し上げましたように、安定法でこの価格決定いたしますそれぞれの条件につきまして個々に判断をいたしました結果、本年度の場合、前年度価格を引き続き用いて決定をいたすのが妥当でなかろうかと考えた次第であります。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことを聞いているのじゃないのです。たとえば、この価格算定算式の中で供給量の問題を一つ取り上げてみても、国内においては昨年よりも若干生産が上昇しておる、これはまことにけっこうなことなんですが、一方、輸入数量も相当ふえて、大体今年度は百万トンに近い数字になる。この国内の生産量、いわゆる国内の出回り量に輸入数量を加えたものを供給量とみなすのですね。価格算定の方から見ると、供給量がふえるということは結局コスト引き下げ要素になる。国内において過剰傾向のような場合においてそういうことも理論として考え得るが、絶対量が不足して、しかも百万トンも輸入に依存しなければならないという状態の中において輸入量がふえたということが価格算定上コスト引き下げの要因になるということは、これは了承できないことなんです。ですから、こういう点は、昭和三十一年以来たびたびの機会大豆価格問題について指摘してあるところなんですが、一向に改善されておらない。こういう点に対して政府としてはどういう考えで臨んでおるか。
  14. 須賀賢二

    須賀政府委員 ただいま御指摘のように、現在の政令附録算定を当てはめて参りますと、特に大豆の場合におきましては、輸入量の増加が、算式によって算定されて参ります価格に相当の大きな影響を持つわけでございます。それで、今年度の場合も、その算式で当てはめますと、国内生産と輸入量とがかなりふえております関係で、ある程度下がった数字が出て参るわけでございます。この点は、御指摘のように、特に大豆の場合におきましてこの算式を今後引き続き使用して参りますことについて相当に掘り下げて検討をして参らなければならない要素を含んでおると考えております。従いまして、今年度の場合におきましては、先ほど来申し上げましたように、この算式の結果出て参りまする数字を一応数字として置きまして、その他に、前年度の価格との比較パリティ価格と、粗収入の均衡価格と、その他参酌価格をしんしゃくしまして、前年度価格を踏襲いたしたいという判断をいたしたのであります。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 さらに、この価格算定の場合の大豆の市場における実勢価格はどういうような推移をたどっておりますか。
  16. 須賀賢二

    須賀政府委員 実勢価格は、特に今年度の場合、大体三千五、六百円程度に推移をいたしておるようでございます。特に実勢価格そのものを今回の決定価格の数値にそのまましんしゃくをいたしてはおりません。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 これはそのまま取り入れるということは直ちにはできないとしても、やはり、参酌要素の中には当然毎年度の実勢価格というものは相当のウエートを持ってしかるべきだと思うわけです。しかも、全販連あるいは北海道の北通等の自主共販の努力の中において大体六十キロで三千五、六百円の線を堅持しておる。そうすると、政府支持価格の約三千円から見ると相当の開きがあるわけです。今までは、政府が輸入に対してもある程度計画的にこれを調整してきたから、まだ支持価格というものはそれほど大きな作用は持たなかったが、たとえば、今政府考えておる貿易自由化の方向を見ると、当然明年度からは輸入大豆についてはAA制を実施するということに考えておるわけでしょう。そういうことになると、今のような実際から非常にかけ離れたような安い支持価格政府がきめておく、そうして今度は貿易自由化によって大豆がどんどん入ってくるということになれば、現在まで保たれた、たとえば三千五百円、三千六百円の国内における実勢価格というものは相当様相が変わってくる。従って、AA制の問題と大豆支持価格の問題というものは、直接の関係は制度上はないとしても、当然内容的には不可分のものがあるわけですね。従って、こういう問題についてはどういうような配慮を講じておるか、その点をお尋ねしたい。
  18. 須賀賢二

    須賀政府委員 大豆のAA制につきましては、目下、政府部内でも、これをAA制に移します場合の具体的な考え方等につきまして鋭意検討を進めておる段階でございますが、本年産大豆支持価格を検討いたします際の私どもの考え方といたしましては、大豆のAA制はできるだけ早期に実施に移したいという基本の線は出ておりますけれども、現実の問題といたしまして、本年産大豆の出回り期中に新しい管理方式なり新しい制度に移行するということは、私どもとしては実際の問題としては考えておりません。従いまして本年産大豆につきましては、AA制に移行いたします問題とは一応切り離しまして、従来の管理方式のもとにおける国内大豆支持価格考え方を踏襲いたしまして作業を進めたわけであります。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 今の説明によると、三十四年産大豆、安定法による豆の年度ですね、この年度中は大豆のAA制は行なわない、こういうことなんですか。
  20. 須賀賢二

    須賀政府委員 これは、AA制の検討の過程の中で実際の実施時期等も逐次具体的にきまって参るわけでありますが、われわれ現実的に操作をいたしております者の立場から考えまして、三十四年産大豆支持価格決定いたします際の考え方といたしましては、本年産大豆の出回り期間中に新しい制度に切りかわるということを前提に置いて考えなくてもいいのじゃないか。これは、実務的な問題といたしまして、本年産大豆につきましては従来の考え方を踏襲いたして作業をしてよろしいのではないかという考え方に立っておるわけであります。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことじゃないのです。この安定法に示された実務的た態度だけでことしの価格をきめる、そのあとにAA制の実施が来れば当然これは国内における大豆価格に重大な影響が来ることは必至です。そういう配慮を全然しないでおいて、ただ実務的にやれば役人の仕事はそれで終わりだということでは済まないと思う。この点は農林大臣に来てもらった方がいいのですが、大野さんはどう考えますか。
  22. 大野市郎

    ○大野政府委員 今食糧庁長官が申しました通りで、AA制の実施の時期につきましては、政府部内でいろいろ論争がありましたが、三十四年度においては実施することはできない状況でありまして、来年度においても下期にでもならなければ機が熟しないだろうという見解であくまでも主張を続けておるわけであります。従って、今回の支持価格の問題は、大豆の生産の時期が違って参るのでありますから、その意味で、今回の価格決定は、ただいま長官の示された形で通していただいてよろしいのではないかと考えておます。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 大野さんはまだ不勉強でわからぬと思うのですが、先ほど長官が説明した三千五十円というものに国内の生産者は納得しておるのではないのですよ。実勢価格は三千五、六百円だから、その線を維持することに努力しておるのであって、この三千円という政府支持価格は何ら作用を持っていないのです。これは、今まではそれでもよかったのですよ。ところが、今度は、早晩政府考えはAA制に輸入方式を移行させる。そういうことになると、外国の安い大豆が今度は無制限な状態で入るような形が現われてくるわけです。そうなると、国内における支持価格は大体三千円の線である、輸入大豆価格は、自由に入ってくるような状態になって、やはり相当割安なものが入ってくるということになれば、当然今堅持されておるところの三千五百円とか三千六百円の線は常識的に見るとくずれるのではないかという不安が今から出てくるのです。そういうものは直ちに今年産大豆価格に今後非常な悪影響を持つことは、これは必至なわけです。従って、そういう点に対しては細心の注意を払って、やはり、行政的な面からも政策的な面からも十分遺憾のないような配慮が必要なのでありまして、今あなたから聞いても、あるいは長官から聞いても、何らその面の配慮というものは講じられておらないのです。これは全くけしからぬことだと思うのです。おわかりにならなければ、後刻農林大臣に出席してもらって、そこで基本的な問題についてはただしたいと思うのですが、いかがですか。
  24. 須賀賢二

    須賀政府委員 先ほど来申し上げておりますように、私ども、現実に当年産大豆支持価格決定の作業といたしましては、当年度中にAA制その他の制度に移行することはないという前提のもとで作業をいたしておる。従いまして、当年産大豆につきましては従来通り考え方を引き継ぎまして検討いたしておるわけで、もし、将来の問題といたしまして、いろいろ制度の変革等で当年産に実質的に影響があるというような問題がかりに発生するといたしますれば、それはその事態に応じまして当年産大豆につきましてもそれに対応する措置考えなければいけないと考えます。しかし、先ほど来申し上げておりますように、現在の価格形成の考え方の作業といたしましては、現在考え得る姿を一応前提にいたして作業をいたすのが適当と考えまして、先ほど来申し上げておりますような方法でやっております。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 この点だけ確認しておきますが、それでは、安定法による昭和三十四年の豆の年度については、結局明年の十月一ぱいということになるわけですが、その期間中は農林省としてはAA制に移行するようなことはしない、そういう建前で進んでおるわけですね。
  26. 須賀賢二

    須賀政府委員 農林省としてはということを申し上げるのは、私としてはなはだ口幅ったいのでございますが、これは、農林省の中でも、あるいは経済局の立場、あるいは現実に豆を操作しておりますわれわれの立場、いろいろ総合して検討いたしておりますが、私ども現実に豆を操作いたしております立場からは、AA制移行の時期は早くて三十五年度下期以降であろうという考え方で検討いたしております。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 三十五年度下期というのはいつのことを言うのか、安定法で言う場合はどの年度で言うのか。
  28. 須賀賢二

    須賀政府委員 これは外貨予算の年度でございますから、始期は十月一日になるわけであります。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は食糧庁長官だけ当てにしても心配ないということはないのですが、一応、食糧庁として、農林省として来年の秋まではAA制を阻止する、そういうことですか、大野さん。
  30. 大野市郎

    ○大野政府委員 ただいま長官は食糧庁の考えとしてと申しましたが、省議におきまして、ただいま長官の申した内容に統一してございます。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 もしAA制に移行するような場合、これはわれわれとしては反対なんですが、そういう場合に何らかの措置を講じなければならぬという発言がありましたが、これは具体的に何か対案を持っておるのですか。たとえば、食管会計の中において食糧に準じてたとえば大豆等は買付をして、そして国内の大豆との需給調整を行ないながら価格安定をはかる、そういう方法一つあるわけです。これらは、飼料需給安定法による輸入飼料等も一応政府が買い付けて払い下げをやるという形式をとっておる。それから、大豆の場合においては、これは家畜のえさよりも国民生活の面においても相当の重要度を持っておるということは言うまでもないのでありますが、全く無為無策、貿易の自由化の方向についていく、農林省としてはそういうことであってはならぬと思うのですが、何か具体案が考究されておるかどうか、いかがですか。
  32. 須賀賢二

    須賀政府委員 大豆のAA制移行の場合の具体的措置につきましては、目下農林、大蔵、通産、その他関係省で連日会議を開きまして検討を進めておる次第でございます。考え方といたしましては、あるいは関税による方法、あるいは、先ほど御指摘がありましたように、食管あるいは適当なる政府会計等で操作をする等、いろいろあるわけでございますが、それぞれの利害得失もございますし、また、考え方の要点といたしましては、AA制に移行いたしました場合、大豆を使用いたしますもろもろの関連産業に対する影響、また特に国内産大豆に対する価格支持制度との関連、また製油部門等におきましては大企業と中小企業との関係、その他いろいろ複雑な問題があるわけでございます。それらを十分検討いたしまして最も適当な制度を採用いたしたいということで検討いたしておるわけでございます。われわれといたしましては、一応食管で操作する方法等も具体的に検討いたしておるわけであります。ただ、これにつきましては、政府部内でもまだいろいろ、たとえばガットの関係でありますとかその他国際的な関係もございますので、それらも織り込みまして検討いたしておる段階でございます。今日私どもの方で具体的にどういう方法でということを申し上げ得る段階にまだ至っておりません。ただいま申し上げましたような要素をそれぞれ十分検討いたしまして、最も妥当な方法をできるだけ早く講ずるようにいたしたいと考えております。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 基本的な問題についてはまたいずれ次の機会にただしたいと思いますが、ただ、今年度の価格決定の方針については、事情が澱粉の価格と違いますから。澱粉が前年同様すべて据え置きというような意思表示があったから大豆も据え置きにすればいいかろうというような考えは、これは安易な考えなんですよ。今まで数年間、大豆が安定法の対象になって以来、大豆価格決定については問題が残されておるのです。しかも前途に好ましくないAA制の問題等も横たわっておるのでありますから、大蔵省との価格折衝の場合においても、もう少し積極的な農林省案というものを作られて、それを貫徹するようにぜひ努力すべきであると思いますが、この点に対して大野政務次官の所信を承っておきたいと思います。
  34. 大野市郎

    ○大野政府委員 農林省考え方としましては、長官が御説明したような算定方式によって、本年度はいわゆるパリティの形などでも下がっておる関係その他諸般の事情を勘案して三千五十円という形にいたしたわけであります。なおただいまの御趣旨を取り入れてよく調整をいたしますが、基本の考えは、折衝にあたりましても楽観を許さないと思います。
  35. 赤路友藏

    赤路委員 関連して……。  ちょっと食糧庁長官にお尋ねしますが、今芳賀君の方からもお話がありました、澱粉やカンショ価格も、昨年通り政府支持価格を出した。にもかかわらずこれは最近暴落の一途をたどっておる。来月いよいよ最盛期に入りますが、こういう状態では二十円を大きく割るという事態になってくると思うのです。そういうことは政府の方でもいろいろ調査されてほとんどおわかりと思いますが、せっかく出した支持価格がどどんどんくずれるということでは、政府の出した支持価格それ自体に権威がないということになりますから、何か対策をお持ちになっておりますか。
  36. 須賀賢二

    須賀政府委員 澱粉及びイモの支持価格につきましては、さきに御審議をいただいたことによりまして、原料イモ、製品ともに前年通りの据置価格でございますが、最近の原料イモの工場引取価格支持価格を割っておるという御指摘は、私どもも十分承知しております。目下千葉、茨城、鹿児島等について具体的に現地の事情を食糧事務所等を通じて調べておりますが、程度の差はございますけれども、そういう状況は発生いたしておるようでございます。それで、私ども鋭意その対策を目下進めておりますが、現在までにとりました措置としては、御承知のように、安定法では、支持価格見合いの価格で原料イモを買っておらない場合は将来政府で澱粉を買わないということが、その趣旨にはっきり出ておるわけであります。その趣旨を過般私から県及び食糧事務所を通じて各メーカーにあらためて流したわけでございますが、なお必ずしも徹底していないようでありますから、重ねてその趣旨を個々の澱粉メーカーに徹底するようにいたしたいと思います。一面、生産者の側においても、これはイモのような性質の商品でございますからやむを得ない面もあるのでございますが、せっかく支持価格がありながら、現実に売る場合は実際の成り行きの価格で売ってしまうというような事態もございまするので、特に農協の共販等の活動によって支持価格のあることを十分意識して共同販売制をさらに強化してもらいたい、これは全販の方にも話しかけまして、具体的には当面の原料イモの価格対策について全販との打ち合わせば明日午前中に行なうことにいたしております。その他、県及び事務所を通じまして、澱粉工場に対して見回り等をひんぱんにやりまして現実の買取価格に対する警告あるいは指導、監督を加えるというようなことも引き続きやって参りたいと思っておりますが、要は、現在さような状況を呈しておりまする背景は、ことし政府が大量の澱粉をかかえておるがために澱粉を買わないのではないか、あるいは買うにしてもきわめて消極的な態度で買うのではないかということが生産者の気持を大きく支配しておると思うのでございます。それで、できるだけ早い機会農林省から本年度の澱粉の買入態度を明らかにすることが現在の事態に対する最も有効なる方法であると考えまして、その方法等について目下具体的に検討いたしておるわけであります。近いうちに何らかの方法でこの態度を示したいと思っております。
  37. 赤路友藏

    赤路委員 大体おっしゃる通りだと思います。最後のところはそこへ落ちつくと思う。ところが、できるだけ早い機会にと言われるが、そのできるだけ早い機会とはいつですか。そんなことを言っている間にどんどん下がってしまう。だから、少くとも今までに手を打たなければ何もならない。せっかく支持価格を出しながら、それがくずれていっておる。計画出荷だとか、それから今の共販だとか、こういうことはかなり徹底しているわけです。また、今の原料が支持価格を割った澱粉は買わないように、これもメーカーの方へもう徹底しているのですよ。ただ、今あなたのおっしゃるように、もう買わないのかもしれないというそのことが一番大きなファクターになっている。だから、これをぶち破らない限り、このイモの価格の低落というものは防げない、こういう段階に来ていると思う。だから、研究してもらうのはいいのだけれども、やってもらっている間にどんどん下がっていく。これではどうにもならないのだ。今ここであなたの方では買うんだとはっきり言えばいいのだ。問題はそれなんだ。おれの方は買うんだ、こう言えば問題は解決するのだよ。
  38. 須賀賢二

    須賀政府委員 御注意の点は十分心得てやります。
  39. 赤路友藏

    赤路委員 その通りでありますと言うのじゃいかぬのだよ。それは大蔵省とも打ち合わせなければいけないし政府部内でも打ち合わせなければいけないのはわかるのだけれども、ここではっきりぱんと打ち出せば問題は解決する。
  40. 須賀賢二

    須賀政府委員 買わないことはございません。必ず買います。ただ、時期、数量等について今申し上げたような段階になっております。買うことは必ず買いますから、さよう御了承願います。
  41. 赤路友藏

    赤路委員 それでいい。必ず買うのだからそれでよろしい。ところが、問題は時期と数量なんだ。それは今ここですぐ言えと言うてもむずかしいかもしれない。しかしながら、今まで官庁は、できるだけ早い機会にと答弁をして、できるだけ早い機会にやったことはないのだ。だから、今のあなたの答弁というのは、まことにいんぎん無礼な答弁だということになる。できるだけ早い機会というのはいつ出しますか。大体の目標は……。
  42. 須賀賢二

    須賀政府委員 これは、問題が当面をいたしておりまして、先ほど来申し上げておりますように、その買入態度を早期に私どもが明らかにいたしますことが、当面の値下がり防止のために最も必要なことでございます。従って、そのことは十分承知をいたしております。実際に効果のありますようにその時期を選んでやるつもりでございますから、さよう御承知願います。
  43. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、米の配給改善の問題ですが、長官の説明された数点については、同僚の石田委員からも詳しく質問すると思いますが、ここで一点ただしておきたいと思うことは、配給改善の場合に当然取り上げられる問題として、府県ごとに消費者米価が違うということは、これは非常に重大な問題です。これは、三十二年に赤城さんが農林大臣のときに、消費県、準消費県、生産県、特別生産県というふうに、甲、乙、丙、特と四段階に分けて、一キロ二十円ずつの格差をつけて消費者米価というものをきめた当時、われわれは、食管制度のもとにおいて地域ごとに消費者米価の差異をつけるということは、これは国民に対して全く不当であるということを指摘したのですが、今まで改善されておらなかった。当時赤城農林大臣の述べた理由の大きなものは、この政府米価をできるだけやみ価格に接近させるためにこういう方法を実験的に用いたので、これが実施の結果弊害があるようなことであれば是正するにやぶさかでないというような答弁が当時行なわれておるわけです。最近五カ年豊作が続いて、先ほど長官も言われた通り増配をするような好ましい傾向が生じてきたわけですから、この際せめて日本の国民全体に対してはどの地域に住んでおっても同一の米価で政府が米を配給するということは速急に行なうべきことなのですが、どうして今度の改善の中にこの点が漏れておったか、その点をお尋ねしておきます。
  44. 須賀賢二

    須賀政府委員 三十二年十月に米の消費者価格に四段階地域差をつけました事情等につきましては、これはもう私からあらためて申し上げるまでもなく皆さんよく御存じのことでございますが、当時の状況と今日の状況と、地区によりましてかなり変わって参っております。当時四段階地域差の設定の基準になっておりましたものが、そのまま当てはまらなくなっております地区が若干出て参っております。問題のあります県は、程度の浅い深いを別といたしますと十県くらいあるわけでございますが、これを今回手直しをするといたしますと、消費者価格の水準そのものは本年度の場合はこれは動かせない状況にございますので、全体的な手直しをいたしますと部分的に値上がりを来たすような地区もあることにならざるを得ないわけでございます。それで、私どもといたしましては、問題の度合いの非常に深いところにできるだけしぼりまして、限定された、いわゆる消費者価格全体には影響しない程度の幅で直せるものにつきましてはできるだけ早い機会に直したいということで検討いたしておるのでございます。それにいたしましても、これは私どもの都合ばかり申し上げるようでございますが、ある程度の財政的な影響もございますので、それらも勘案いたしまして目下検討いたしております。
  45. 芳賀貢

    芳賀委員 とにかく、東京を中心とした大都市の場合と、それから東北地方等の特地に相当する地域とでは、一キロについて六十円の差額があるわけです。これは同一の米質のものであっても居住地が違うということだけで一方は六十円高い米を買わなければならぬ。しかも、今度の改善方針によりますと、消費県の都市に居住する消費者の場合においては今度は月二キロの増配が行われるというようなことにもなっておるわけです。ですから、生産地帯においていろいろな事情によって配給が増加されるということも決してそれをいけないということではないが、しかし、国民がどこに住んでおっても、全国的に米の生産がふえていく傾向の中においては、やはり大都会に居住しておっても、生産地の都会に居住しておっても、できるだけ均一的な取り扱いをするというのが食管制度の本質だと私は思います。こういう点はやはり根本的な問題でありますが、ただ表面だけ軽くものをなぜるような形の改善というものは、それほど意味がないと思うのです。それで、根本的に、地域別の配給米価の是正の問題について、やはり全国的な均一化された配給量の増加というような問題とともに取り組んでいく必要があると思うのです。こういうことを全部度外視して配給改善をやろうという意図は、結局統制撤廃に通ずるのではないかというような不安をかもしているわけです。こういう点は私が指摘するまでもないと思うのですが、どうお考えですか。
  46. 須賀賢二

    須賀政府委員 今回の配給改善につきまして、統制撤廃に通ずるというような考え方は、これは私どもの実際に扱っている考え方といたしましてとっておらないのです。御指摘のように、直したことそれ自体にそれほどの価値がないではないかというような御非難もあるいはあるかと思いますが、現実の需給操作の実態なり、また生産者なり消費者の今の米の政府操作に対する実際の反響からいたしまして今回の手直しは十分にそれらの立場から御了解をいただけるものと考えてやっております。  配給価格につきましても、あるいはこれを現在の四段階をやめてむしろ全国均一の価格にというような御指摘かとも思いますが、われわれといたしましては、現在の需給の実態なり、またそれぞれの産地、消費地の状況から考えますと、配給価格差というものは将来もやはり続けなければならぬ、あるいはその価格の刻み方、あるいはその仕分けの仕方等につきましては十分に情勢の推移に応じまして改めて参らなければなりませんが、制度の基本はこういう考え方でいくべきものではないかと考えております。  量の問題につきましては、これは、御指摘のように、生産県と消費地とで政府の配給の量が違うということは、理屈としてはまさにその通りでありますが、先ほど来申し上げましたように、生産県の米の集荷を高めるということも考えられますし、また、現実に生産県で行なわれております不明朗な配給操作等もはっきりした制度の中に入れた方がいいというような考えからやっておるわけであります。消費地の方の配給量につきましては、今後の集荷の実績、また定時配給等を行ないまして生産県でなお残るような余力等を集めまして、その余力を消費地に重点的につぎ込みまして、六キロ以上にふやせる分は特配その他の形でそれを考えて参りたいと思っております。むしろ生産県の消費を減らして消費地増配というような考え方も一部にありますが、そういう方法は、現在の段階では、できるだけ多くの米を政府操作の形において配給をして参る統制の基調からいきますと必ずしもプラスになりませんので、実際問題といたしまして、ただいまのような方法で進めておるようなわけであります。
  47. 芳賀貢

    芳賀委員 先ほど長官が言われた、地域的に消費者米価を変えておくということがむしろ食管制度の本質に通ずるような御意見でしたが、これは全く間違いだと思います。生産者に対しては全国同一の米価で買い上げを行い、その反面やはり消費者に対しても国の方針で統一された消費者米価で配給するというのが本質であって、やみの状態とか、いろいろ食管制度の今後の健全な運用を妨げるような事態があるので、それにある程度調和させるような意味で政府地域格差をつけるとか地区において配給量に差をつけるとかいうようなことをやっているにすぎなくて、本質的なあり方であるということとは全く違うと思う。  それで、最後にお尋ねしたい点は、地域ごとの配給価格の是正等についても若干行なうということでありますが、これは、十一月一日から実施ということになると、もう内容決定されておると思うのですが、その内容について、具体的にどういう地域をどう改善するということをここで説明を願いたいと思います。
  48. 須賀賢二

    須賀政府委員 目下鋭意検討いたしておりまして十一月一日から実施するということは、諸般の手続上困難じゃないかと思います。
  49. 芳賀貢

    芳賀委員 おかしいじゃないか。先ほどは十数県にわたってこれは是正しますと言って、今になると検討中と言うのはどういうわけですか。もう少し率直な答弁を願います。
  50. 須賀賢二

    須賀政府委員 十数県について問題がございますが、その中で、私どもとしては、できるだけ対象県をしぼりまして、手直しをするといたしますれば手直しをするということで検討いたしておるのであります。ただ、十一月一日から実施をするというところまでまだ取り進んでおりません。その点御了承いただきたいと思います。
  51. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから、手直しをする県についてどういう点を直すのか。手直しといっても改善する場合と改悪する場合とありますよ。長官がおわかりにならなければ、これは企画課長からでも……。
  52. 須賀賢二

    須賀政府委員 もちろん、これは、先ほどからのお答えで御了解いただけたと思いますが、この手直しということは、ごく少数の県につきまして現在の段階よりも引き下げることを考えておるわけでございます。対象県ないしその内容等につきましては目下検討中でございますので、しばらく御猶予をいただきたいと思います。
  53. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたはそういうことを言うが、どの県については今度はどうするというようなことが新聞に出ておるのですよ。私の方から説明してもいい。ですから、これはもう世間に周知の事実として知れ渡っている問題を、ここで検討中ですとかまだ明確でありませんなんと言うのは変な答弁なんです。もう少し率直に、たとえば生産県であって今まで準消費県のような取り扱いを受けておった地域等に対してはこれをどうするとか、率直な答弁ができないはずがないのです。委員長、これは注意して下さい。
  54. 須賀賢二

    須賀政府委員 新聞にはどのように報道されておるかよく存じませんが、この問題に関する食糧庁当局としての検討の段階は、私どもが先ほど申し上げた通りでございまして、それ以外に私どもの方から別の場所なり別の機会において具体的なことを申し上げたことは一回もございません。さよう御了承願います。
  55. 芳賀貢

    芳賀委員 おかしいですよ。たとえば十月二十四日の北海道新聞には、これは地方新聞ではあるが、北海道については、——これは生産県なのですが、今まではどういう理由かのもとで準消費県という取り扱いを受けてきておるわけです。ですから、消費者米価についても乙地の取り扱いを受けておる。これが今度の配給機構改善を機会に丙地のいわゆる普通生産県の消費者米価に改善されるということが明確に新聞に載っているのです。こういうのは全然根拠がないのですか。
  56. 須賀賢二

    須賀政府委員 その報道は、現地からも他の新聞社から聞いて来ましたことに対して、食糧庁当局からさような考え方なり意思を説明したことは全然ないと強く否定しております。
  57. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことを強く否定する必要はないのです。実際にこういうふうにやるのかやらぬのかということが明らかになればいいのです。これは全く無根の報道ですか。食糧庁としては現在はたとえば北海道に対して改善の意思がないのをあるかのごとくこの新聞は伝えておるかどうか、この点はどうですか。
  58. 須賀賢二

    須賀政府委員 先ほど来検討しております事項一つでございます。
  59. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、検討しておるというのは、これをどうするのですか。  委員長、もう少し注意して下さい。政府の答弁に誠意がなければ、いつまでもわれわれも質問を続けなければならない。  十一月一日は明後日でしょう。これは政務次官からでもいいです。大して大きい問題ではないのです。
  60. 須賀賢二

    須賀政府委員 十一月一日から実行することは目下の見通しでは困難であります。
  61. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、困難であれば、十一月二日からやるか三日からやるか、その時期と、やるかやらぬかだけ明らかにしておいてもらいたい。なお、北海道に限らず、あとの数県についてもどうするということをここで表明する必要があると思うのです。
  62. 須賀賢二

    須賀政府委員 本日ここで申し上げます段階まで具体的に煮詰まっておりません。本日この委員会で具体的な内容を申し上げることは御容赦いただきたいと思います。
  63. 芳賀貢

    芳賀委員 これはそれでは後刻農林大臣の出席を求めて——基本的な問題でもありますから、食糧庁長官が非常に秘密主義で今後事を過ごすような傾向があるし、農林省全体にしても、先般来の災害対策にしても、立法化の問題にしても予算措置の問題にしても、委員会において秘密にして事を運ぶような傾向が見受けられる。これは全く議会軽視もはなはだしいと思うのです。従って、委員長から農林大臣の出席を求めていただいて、そうしてこの問題等について明確にしておきたいと思います。そのように取り運ぶように願いたいと思います。
  64. 秋山利恭

    秋山委員長代理 理事会に諮りまして、さよう御趣旨に沿うように進めたいと思います。  石田君。
  65. 石田宥全

    石田(宥)委員 ただいまの各府県別の消費者価格の問題ですが、これは、昭和三十二年の十月から実施するにあたって、当時単年度の一時的な現象をデータにしてきめられておる。たとえば、新潟県のごときも、当時只見川開発等のために実勢価格が相当高かったというようなことで、全国第一位に位する生産県でありながら丙地に編入されておる。全くただ単なる一時的な現象というものをとらえてこういう格づけが行なわれたのでありますが、今回またこの改正を行なおうとするにあたって、一体どういう心がまえでどういうデータに基づいて改正をやろうとするのか、この点を芳賀委員の質問事項と関連して明確にしておいていただきたい。
  66. 須賀賢二

    須賀政府委員 先ほど来私が申し上げております事柄であるいは私の方の説明が足りなくて十分御了解いただいておらないかと思いますが、この地域価格差につきましては、今年度の場合これを基本的にやり直す考えはございません。これは消費者価格改定等をやる機会でございませんと基本的な手直しはできません。基本的にやり直す考えはございません。ただ、問題が特に複雑ということになっております特定の県だけにつきまして、目下先ほど申し上げておるような方針で鋭意検討いたしておる次第であります。
  67. 石田宥全

    石田(宥)委員 その特定の十数県ということをさっきからお話しになっておるのでありますが、今すでに十数県という県名があがっておるわけですね。そういたしますと、それらの県の手直しをしなければならないというその理由が、どういう理由に基づいて手直しをしなければならないような状況になっておるのか、その理由と、どうせここまで進んできておるのだから、一つその県名等も明らかにしていただきたいと思います。
  68. 須賀賢二

    須賀政府委員 県名を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、変わった要素といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、三十二年十月にきめましたときは、その県が生産県であるか消費県であるかというようなことが重要な一つの要素、それから、当時希望配給という配給米があったわけでございますが、その希望配給の米の受配率がどういうことになっておったかというようなことが大きな要素として使われた。それが、最近の状況から見ますると、いわゆるその県が生産県であるか消費県であるかというようなこと、また、このごろ希望配給というものではございませんでいわゆる一般配給を通じましての受配率というものが相当変わっております。また、受配率、生産県というようなことでなくて、その地域の特殊事情といたしまして、ちょっとほかにないような様相を呈してきているような県もあるわけであります。そういうようなそれぞれの要因が十数県につきまして出てきておる。これには、その程度の非常に大きいものと、それほどでないものとございます。われわれといたしましては、これに何らかの基準を設けまして、仕分けをいたしましてやっていきたいと考えております。
  69. 石田宥全

    石田(宥)委員 本問題は基本的な問題とつながる問題でありますし、また、これ以上追及しても、どうもきょうは長官ばかにえこじで秘密主義をかたく守っておるようでありますから、大体のことは私どもも見当ついておるので、無理に言明させようとは思いません。  次に、先ほど御報告になったように、本年の八月以来配給制度協議会が四回も開かれておって、あたかもその結論に基づいて配給制度の改善を行なうかのようにお話しになったのでありますけれども、私どもの聞いておるところでは、この協議会の中では、生産者の代表と消費者の代表、その他の立場で、それぞれいろいろ立場が違って、ほとんど大部分の問題では意見の一致を見なかったというふうに聞いておるのでありますが、大体今度の配給制度の改善のねらいはどこにあったのですか。
  70. 須賀賢二

    須賀政府委員 配給改善協議会の審議の経過につきましては、私先ほどあるいは申し上げようが必ずしも十分でなかったと思いますが、この配給改善協議会は、設置いたしましたときに、当初からの運営の心組みといたしまして、問題の性質上一致した御答申をいただくということも必ずしもできない場合もあるかもしれない、一つ十分その御意見を出していただいて、その御意見を農林省で十分検討した上で今後具体的に施策を進める上の参考にいたしたいということで、協議会の運営を進めていたわけでございます。結果から見ますると、六キロ増配につきましては全員一致の御賛成をいただいたのでありますが、その他の問題につきましては、お立場、お立場の御意見がありまして、必ずしも全体の御意見が統一されておったというわけではございません。私どもの方では、それぞれの御意見は十分拝しながら、私どもの方で考え方を整理いたしまして今回の結論を得たようなわけでございます。
  71. 石田宥全

    石田(宥)委員 大体私の方から申し上げますが、今度の配給制度の改善という問題は、ねらいは、——増配はけっこうです、増収になっておるのだからできる限り増配すべきであるけれども、外米についての統制をはずすということがかなり大きなねらいの一つじゃないかと思う。先ほどの報告によると、外米の割当は十五日分のワクを出しておるけれども、実際は〇・三日程度しか受配がない、こういう状態だというお話なんですが、一体、これを自由販売にすればこの需要が高まるというふうに見ておるのですか、あるいはまた別の理由に基づくのか、その点は一体どういう観点から外米の自由販売を決定されようとしておるのですか。
  72. 須賀賢二

    須賀政府委員 外米につきましては、おそらく、これを自由販売にいたしましても、特別消費が高まる、あるいは消費が減退する、そういう総体としての量の変化はないのじゃないか、さように私どもとしては需給推算上の数字では考えております。ただ、先ほど来申し上げておりますような実態に相なっておりますので、さらにこれを引き続き通帳配給というような形の中で縛っておくことは必ずしも実益がないことでございます。これにつきまして、そう特別の意図なりあるいは統制の根幹との関連等についての意識を持ちながらこういう措置を講じたということではございません。これにつきましては配給改善協議会でもいろいろ御意見もございました。私どもは、そういう立場からの御意見に対しましては、現実にこういう実態になっておる、その実態に合わすという建前で考えたいということで御説明しております。
  73. 石田宥全

    石田(宥)委員 統制をはずすことによって別に需要供給の面に大した影響があるとは考えられないということなんです。そうだとすれば、一体どういう意味を持つのです。需要供給の面に影響が考えられないものを、いかなる理由によってこれをはずすのです。
  74. 須賀賢二

    須賀政府委員 従来でありますと、外米を買いますときは、登録の米屋へ参りまして通帳に記入をいたしまして、通帳配給で買わなければならないという手続になっております。〇・三日程度しか現に買われませんものをそういう形において縛っておく必要はないわけです。どこの米屋さんからでも必要な量だけを自由に必要なときにお買いになれる、そういう形にした方が消費者に便利であろう、さように考えてやったのであります。
  75. 石田宥全

    石田(宥)委員 米を統制からはずすということは、食管制度の上においてやはり大きな問題の一つなんです。ですから、たとい外米であろうとも、やはり、米の統制を存続するという建前からは、はずすべき性質のものではないはずなんです。従って、外米の自由販売ということが米全体の統制をはずす前提ではないかという憶測も生まれ、農民に不安を与えておるわけです。ことに、国内がこういう豊作続きのときに、はたして外米がその需給の関係から輸入の問題が取り扱われておるのかどうかということになると、かなり問題点があるわけです。農林省としては必要以上の外米を輸入するということは邪道だと思うのです。しかし、別の見地から通産省あたりがやはり貿易関係等を考慮して不必要な米までも輸入しようとしておる。そういうときに、特にそういう時点において統制をはずすということは、私どもはその影響するところがきわめて大きいと思う。聞くところによると、来年度の予算編成にあたって外米の輸入予定数量について通産省と農林省が対立をしておる、農林省は二十万トンを主張し、通産省は三十五万トンを主張しておるということでありますが、一体、そういうふうなときに今統制をはずすということは、私どもはちょっと承認できない。ことに、農民に与えるところの不安感、こういう点についても十分考慮されなければならないと思うのです。しかるに、需給の面においてほとんど影響のないものを、ただその事務手続上簡単に受配ができるからというようなことでこれをはずすということは、私は食糧庁長官としては軽率のそしりを免れないと思う。それらの関係についての長官の見方、考え方は一体どうなのですか。
  76. 須賀賢二

    須賀政府委員 私は、外米に対する考え方といたしましては、先ほど申しましたように、消費者に対する便宜等も考慮いたしまして、割当配給の廃止というところだけに当面重点を置いて考えておるわけであります。従いまして、外米の今後の輸入方針でありますとか、あるいは価格の問題でありますとか、そういう点につきましては従来と同じような考え方をいたしております。この下期の外米の輸入数量の策定の際におきましても、われわれは、今回の外米の割当配給を廃止いたすことによりましてあるいは外米の輸入をふやしてもっと国内消費の増大をはかろうとか、そんなことは毛頭考えておりません。むしろ、キャリ・オーバーを減らしますために控え目な輸入をいたしますように努力をいたし、また、調整いたしておるわけであります。従いまして、これが食管制度の根幹に大きく響くような印象で特に生産者団体等に受け取られておるといたしますれば、これは私どもの方の説明不足でございまして、私どもの方は決してさような考え方でやっておるわけではないのでございます。その点は十分御了承いただきたいと考えております。
  77. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは大臣の出席を求めてよく論議しなければならない問題だと思います。  さらに、傾斜配給の問題ですが、これは理屈の上から考えるときわめて妥当な措置のように見えるのでありますけれども、実際問題としては、これもやはり統制というものに対してこれを緩和するという感じを与える。事実、八キロまでという、生産県の特殊の県内の消費地では相当量配給する。ところが、その他の県では、あるいは消費県等は厳重にやはり規制を受ける。こういうことになると、やはり、それ全体が、単に外米の統制撤廃ということだけでなしに、こういう傾斜配給というようなものとの関連において、どうも統制をはずすところの前提的の措置ではないかという感を深くしておるわけです。先ほど芳賀委員が指摘されたように、統制を存続するという建前においては、やはり全国的に統一した量、価格を堅持すべきだと私は思う。この点についてももう少し深く掘り下げた検討が必要であろうと思うのでありますが、きょうは時間もないようでありますから……。  次に、都市における配給の米とやみの米との品質、食味、これらの点について、一般には、配給の米は品質が悪い、食味が落ちる、ところが、やみ米は相当品質もいいし食味もいい、これが常識のようになっておる。だんだん調べてみると、必ずしも一様にそういうことは言えないが、小売業者のところにはいろいろな米が回ってきておる、その小売商人の米の操作で、故意に、品質の優秀な食味のいいものはやみに回す、そうでないものはこれを配給のルートに乗せるというような措置がかなりとられておるのではないかということを聞くのであります。これらの点について、今度は保管などについても等級別の保管をしたりいろいろされるようでありますけれども、これが現在の配給制度に対する消費者の一番大きな不平不満と疑惑の存するところでありますが、そういう点については今度の改善にあたってどういうふうに考えておるのであるか、これを一つお聞きしておきたいと思います。
  78. 須賀賢二

    須賀政府委員 数ある米屋のことでありますから、あるいはただいま石田先生の御指摘になりましたようなことをやっている米屋が絶対にないとは私の方からも申し上げられないと思います。これはやはり政府の方でいろいろこまかく監督をいたし、また啓蒙指導いたすことが必要でございますけれども、一面、消費者の側から配給小売店に対しての監視が現実にできるような一つの制度的な裏づけがあることもより望ましいという考え方をもちまして、先ほど申し上げましたように、小売店舗の登録がえは、従来は非常にやりにくかったのを、今度はやろうと思えばできるという制度に改めたいと思っておるわけであります。そういう面において消費者の監視をより大きくしていくというところから実効をあげるように考えて参りたいと思います。
  79. 石田宥全

    石田(宥)委員 あとでまたゆっくりやることにいたしまして、今直面しておる問題で、これは本来言えば大臣の出席を求めてやるべき基本的な問題でありますが、今年の米価決定にあたって、農林大臣は、本委員会においても、あるいは米価審議会等においても、三十五年度産米の米価決定にあたっての算定方式について、三十四年度産米の算定方式はまことにあいまいもこたるものであったので、今度は生産費及び所得補償方式をすっきりした姿のものにして決定をしたい、それについては九月中に米価審議会を開いてその算定方式についての論議をお願いするのだということをしばしば言っておる。ところが、もう十月もあと一日しか残っておらないのに、いまだに米価審議会は開かれておらない。これは大臣の大きな食言だと思う。同時にこれは食糧庁長官の責任でもあると思う。これは一体いつごろ開く予定になっておりますか。
  80. 須賀賢二

    須賀政府委員 ことしの春の米審で、今年秋には米価算定方式に関する米審を開くということがお約束になっております。従いまして、事務当局といたしましても、九月ごろから開催時期を具体的にいろいろ検討して参ったのでございますが、いろいろ都合がございまして今日まで遷延いたしております。ただ、その間、この十月の終わりに開催をする手はずまできわめて具体的に取り進めたのでございますが、御承知のように臨時国会が召集されましたこと等も関係いたしまして、それとの見合いで再び若干延期になりました。ただ、そのかわり、その間におきまして、米審の委員の皆様にも一度お集まりをいただきまして懇談的に米審開催につきまして十分御相談を申し上げたような経緯もございまして、目下のところでは、十一月の中旬に国会の模様も見まして開くように、日取り等も具体的に考えて取り進めております。
  81. 石田宥全

    石田(宥)委員 九月中に開くということはいろいろな内容を含んでおったわけです。これは、算定方式というようなむずかしい問題については十分な討議の期間を持つということが一つ、もう一つは、毎年、予算米価がきまりますと、どうしてもやはりそれにある程度拘束をされるような形になる、そこで、算定方式を中心とする論議がある程度進んで参りますることによって明年度の予算米価の問題と関連をしていく、こういう点で私どもは早期開催に希望を持ち期待をしておったわけです。ところが、十一月半ばになったということであります。  そこで、二点について伺いたいのでありますが、先般農林大臣は、米価審議委員の協議会か懇談会で、予算米価の要求については一万三百三十三円を要求しておるということを言明されたようでありますが、それはやはり米価審議会と算定方式との関連があるわけでありますが、そのように要求は出しておったかどうか。  それから、米価審議会を開かれるにあたって、今度は農林省としては、はっきりした算定方式の原案を作って、その原案に基づいて諮問をされる方針なのか、あるいは原案を持たずにやられるのか。原案を持たずに米価審議会を開くということになりますと、これはなかなか議論のあるところでありまして、容易にその結論が出せないのではないか。その米審の開き方、諮問の仕方が今後のわれわれの希望と期待に大きな影響をもたらすわけなんです。これについてはもう昨年の暮れから相当な論議をしておる問題でありまするから、算定方式についてはやはり相当具体的な成案らしいものを持って諮問すべき段階に来ておると思う。これについては一体どういう態度で臨まれる方針なんですか。  この二点、ちょっとお伺いいたします。
  82. 須賀賢二

    須賀政府委員 農林大臣から米審懇談会の機会に来年度予算米価を一万三百三十三円にするということを申し上げたというふうには私ども承知いたしておりません。来年度の予算米価につきましては、目下いろいろよく検討いたしておる段階でございまして、考え方といたしましては、従来はパリティ価格をとって参ったのでございますけれども、今年度からは米価算定の方式が御承知のような経過で変わって参っておりますから、従来とは変わった方法予算米価を考えたいと考えておる次第でございます。  それから、来たるべき米審に米価算定方式の一つの試案を持って臨むかという御質問でございますが、この点につきましては、鋭意検討いたしておりますが、目下の見通しでは、算定方式についての具体的な試案を持って御検討いただくというよりは、米価算定方式を御検討いただきまする資料につきまして、できるだけこまかく用意をいたしまして、それをもって米審の小委員会等で御審議をいただくというようなふうに取り運びたいと考えておる次第でございます。
  83. 石田宥全

    石田(宥)委員 予算米価一万三百三十三円ということは、これはいろいろな新聞などでも出ているわけです。ただ、しかし、一万三百三十三円だと言ったか、あるいは今年度の決定した米価で要求していると言ったかはわかりません。しかし、いずれにしても、一万三百三十三円だということを意味していることだけは間違いないですね。それはどうなんですか。
  84. 須賀賢二

    須賀政府委員 去る何日でございましたか、過日行なわれました米審懇談会の席上では、主として今後の米審開催の日取り等が協議の主題でございまして、その際に、予算米価について特別の話し合いなり御意見の交換はなかったと私は記憶いたしております。
  85. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは長官と押し問答したってしようがないので、大臣が出席した上でいろいろ一つ質疑をしたいと思うのですが、ただ、米価審議会を開くにあたって、試案のようなものを持たずに、ただ資料だけを出すということは、これは長官の責任なんですね。そこで、先ほども言うように、もう昨年から、前の長官、前の企画課長が中心になって、あらゆる角度からいろいろなデータに基づいてやって、そうして御承知のような経過であそこまで進んでいるわけですね。これ以上さらに側面的な参考資料のようなものだけを出して、そうしてこれで何とかせいというような諮問の仕方は、これはもう長官としては無責任のはなはだしいものだと言わなければならない。ことに、大臣もはっきり言っているように、生産費及び所得補償方式で筋の通ったものにしたい、そうしてそれを諮問するための審議会を開くのだと言っているのですから、そういう経過から見て、今日の段階において、なおそういう側面的な資料だけをそろえて、試案では臨めないのだというようなことは、これはもう長官の責任だと思う。これもやはりあとの問題になりますが、そういうような無責任な態度でなしに、やはり、食糧庁は食糧庁としての試案を持って臨まなければ、これは前進しない。今日のような食糧事情のもとにおいて、また、今日のような米価審議会の構成の状況から見て、これは一向進展しない。もしそういう態度で臨まれるとすれば、むしろ、食糧庁は、米価審議会で何らかの結論を出させないためにいろいろな資料を出して、そうして審議会を混乱さしておいて、政府の独断的な処置をしようとするのではないかとすら私どもは疑わざるを得ないですね。これは今ここでその態度方針を改めなさいと言ってもしようがないわけだけれども、食糧庁長官としてこれは十分再考されなければならない問題であろうと思うのですが、どうですか。
  86. 須賀賢二

    須賀政府委員 私の説明がはなはだまずいためにあるいは誤解をいただいたかとも思いますが、単に側面的資料というような意味ではございません。一つの具体的な算定方式とまではいきませんでも、大体それらをいろいろ検討して参りますれば米価算定方式について相当突っ込んだ御検討がいただける、そういうことに役立つ資料を整えて御検討いただきたいと思っておるのでございます。決して物事の上っつらをなでておるような気持でやっておるのではございません。その点は御了承願いたいと思います。      ————◇—————
  87. 秋山利恭

    秋山委員長代理 この際小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、食糧に関する調査委員会、農業法人等に関する調査委員会、甘味資源に関する調査委員会、農産物に関する調査委員会、水産に関する調査委員会、開墾干拓に関する調査委員会及び農業共済に関する調査委員会、以上の小委員会を設置することとし、小委員の員数、小委員及び小委員長選任等につきましては委員長に御一任を願いたいと存じます。  以上について御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 秋山利恭

    秋山委員長代理 御異議なしと認めて、さように決定いたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十二分散会