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1959-12-22 第33回国会 衆議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月二十二日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長代理理事 渡海元三郎君    理事 飯塚 定輔君 理事 纐纈 彌三君    理事 田中 榮一君 理事 吉田 重延君    理事 阪上安太郎君 理事 安井 吉典君    理事 門司  亮君       相川 勝六君    亀山 孝一君       高田 富與君    津島 文治君       三田村武夫君    山崎  巖君       小沢 貞孝君    太田 一夫君       加賀田 進君    川村 継義君       佐野 憲治君    大矢 省三君  出席国務大臣         国 務 大 臣 石原幹市郎君  出席政府委員         法制局参事官         (第一部長)  山内 一夫君         警察庁長官   柏村 信雄君         国家消防本部長 鈴木 琢二君         厚生事務官         (社会局長)  高田 正己君         通商産業政務次         官       内田 常雄君         運輸政務次官  前田  郁君  委員外出席者         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      中川 董治君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      木村 行蔵君         総理府事務官         (自治庁行政局         行政課長)   岸   昌君         法務事務官         (人権擁護局         長)      鈴木 才蔵君         通商産業事務官         (軽工業局長) 秋山 武夫君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     石河 正利君         労働基準監督官         (労働基準局監         督課長)    道正 邦彦君         専  門  員 圓地與四松君     ――――――――――――― 十二月二十一日  委員南條徳男辞任につき、その補欠として齋  藤邦吉君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員下平正一辞任につき、その補欠として小  沢貞孝君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小沢貞孝辞任につき、その補欠として下  平正一君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月十五日  全日制市町村立高等学校教職員退職手当全国  通算に関する請願高橋清一郎紹介)(第一  六八八号)  同(藤枝泉介紹介)(第一六八九号) 同月十七日  駐留軍及び自衛隊所在市町村に対する助成交付  金等に関する請願三池信紹介)(第一九九  八号)  同(高橋等紹介)(第二〇四九号)  同(高田富與紹介)(第二〇五〇号)  同(渡邊本治紹介)(第二〇五一号)  同(松永東紹介)(第二〇七八号)  国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する  請願小泉純也君外二名紹介)(第二〇六七  号)  全日制市町村立高等学校教職員退職手当全国  通算に関する請願赤澤正道紹介)(第一九  九九号)  同(鹿野彦吉君紹介)(第二〇〇〇号)  同(山崎始男紹介)(第二〇〇一号)  大規模償却資産に対する固定資産税課税改正  に関する請願足立篤郎紹介)(第二〇七七  号) 同月十八日  駐留軍及び自衛隊所在市町村に対する助成交付  金等に関する請願岡部得三紹介)(第二一  一一号)  同(細田義安紹介)(第二一一二号) 同月二十一日  駐留軍及び自衛隊所在市町村に対する助成交付  金等に関する請願西村英一紹介)(第二二  九七号)  同(橋本正之紹介)(第二二九八号)  同(八木一郎紹介)(第二三三四号)  同(西村英一紹介)(第二三六九号)  同(馬場元治紹介)(第二三七〇号)  同(福田赳夫紹介)(第三三七一号)  同(池田禎治紹介)(第二四八五号)  同(藏内修治紹介)(第二四八六号)  行政書士法の一部改正に関する請願濱地文平  君紹介)(第二三〇〇号)  同(亀山孝一紹介)(第二三七三号)  同(纐纈彌三君紹介)(第二三七四号)  同(鈴木善幸紹介)(第二三七五号)  同(津島文治紹介)(第二三七六号)  同(門司亮紹介)(第二三七七号)  同(田中榮一紹介)(第二四二三号)  同(渡海元三郎紹介)(第二四二四号)  同(飯塚定輔紹介)(第二四四〇号)  同(太田一夫紹介)(第二四八九号)  同(加賀田進紹介)(第二四九〇号)  同(阪上安太郎紹介)(第二四九一号)  同(佐野憲治紹介)(第二四九二号)  同(安井吉典紹介)(第二四九三号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第二四九四号)  地方財政確立に関する請願池田清志君紹  介)(第二三二八号)  新市町村育成強化に関する請願池田清志君  紹介)(第二三二九号)  全日制市町村立高等学校教職員退職手当全国  通算に関する請願小泉純也君紹介)(第二三  三〇号)  同外一件(高田富與紹介)(第二三三一号)  同(楢橋渡紹介)(第二三三二号)  同(小金義照紹介)(第二三六八号)  同(金丸徳重紹介)(第二四八七号)  同(阪上安太郎紹介)(第二四八八号)  地方議会議員退職年金制度反対に関する請願  (戸叶里子紹介)(第二三三三号)  地方交付税法特例措置延長に関する請願(天  野光晴紹介)(第二四二一号)  新市町村育成強化及び地方債わく拡大に関す  る請願天野光晴紹介)(第二四二二号)  秋田市の国有提供施設等所在市町村助成交付金  に関する請願石山權作君紹介)(第二四八四  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月二十一日  法令外負担金及び寄付金等規制に関する陳情  書(第八五一  号)  同(第九一〇号)  同(第九  一一号)  市町村職員退職年金制度に関する陳情書  (第八五二号)  新市町村建設促進に関する陳情書  (第八五三号)  地方公務員中、特別職公務災害補償に関する  陳情書(第八五  四号)  消防財源確保に関する陳情書  (第八五五号)  新町村建設促進等に関する陳情書  (第九〇六号)  同  (第九〇七号)  町村議会事務局設置促進等に関する陳情書  (第九〇八  号)  町村議会議員待遇等適正化に関する陳情書  (第九〇九  号)  地方公務員退職年金制度に関する陳情書  (第九一二号)  地方公務員定年制実施に関する陳情書  (第九一三号)  同(第九  一四号)  町村財政確立に関する陳情書  (第九一五号)  同(第九一六号)  町村公共事業債わく拡大等に関する陳情書  (第九一八号)  地方税法の一部改正等に関する陳情書  (第九二〇号)  町村税財政確立に関する陳情書  (第九二一号)  合併至難町村振興対策に関する陳情書  (第九四六号)  合併町村に対する地方交付税特例措置有効期  限延長に関する陳情書  (第九八三号)  公債費対策に関する陳情書  (第九八七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治に関する件  地方財政に関する件  警察に関する件  消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、濱地委員長にはお差しつかえがありますので、指定によりまして私が委員長の職務を行ないます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  まず前会に引き続き、第二京浜国道における火薬運搬車事故爆発問題に関する質疑を継続いたします。門司亮君。
  3. 門司亮

    門司委員 きょうはごく簡単に、率直に聞きますから、当局もそのつもりで一つ答弁を願いたいと思います。  事故の起こった原因それからその他については、大体皆さんも御承知のことだと思いますので、その点は省きまして、きょうは主として補償関係の問題についてお伺いをしたいと思います。  まず最初に運輸省にお聞きいたしておきたいと思いますことは、火薬類運搬制限に関する取り締まり法律、それから道路運送車両保安基準火薬類運送する自動車及び軽車両構造装置及び性能に関する規則というようなものが大体運輸省令で出ております。御承知のように、法律昭和二十五年の法律でございまして、その中の第十九条に運搬制限というものを入れております。これに基づいてできた政令火薬類取締法施行令で、昭和二十五年の政令第二百二十二号で出ておる。同二条には運搬に関する技術上の基準が書いてあります。それから先ほど申し上げました道路運送車両保安基準は、昭和二十八年の四月の十一日に、これも運輸省令第三十三号で出されておる。その次に問題になりますのは、火薬類運送する自動車及び軽車両構造装置及び性能に関する規則、これは昭和二十六年十月一日に同じように運輸省令の第九十号で出されております。火薬につきましてはこういういろいろな規定が設けられておりますが、その中で私どもが問題になろうかと考えますのは、一体この規則火薬運搬する諸君に対して強制力があるかないかということであります。この点を運輸省は今日までどういうふうにお考えになっておったか、一応お伺いしておきたいと思います。
  4. 秋山武夫

    秋山説明員 門司先生から運輸省という御指摘でございましたが、実は法規的には運送関係一般的には通産省の所管ということに一応なっておりますので、事火薬に関しましての運送は私からお答え申し上げます。  ただいま政令及び運輸省令についてのお尋ねでありますが、私が申し上げますのは政令までのことで、運輸省令の方は運輸省の方からお答えがあると思います。御指摘のように、法律の十九条及び二十条は火薬運搬についての規制をいたしております。それに基づく政令でございますから、もちろん強制力もあり、罰則の適用もあるわけであります。
  5. 門司亮

    門司委員 今の御答弁強制力があるという御答弁ですが、それだと、どういう取り締まりをされておりますか。私はこの点は全然その取り締まりがされていないように聞いておるし、またそれが現実だと思うのだが、一体どういう形で取り締まりがされておりますか。
  6. 秋山武夫

    秋山説明員 実際には通産大臣所管でございますが、全国運搬関係を全部通産大臣が扱うわけにはもちろん参りませんので、各都道府県知事、つまりその下にあります職員がこの施行事務をやっておるわけでございまして、仰せられるように届出制でございますから、それが最終的にどの程度取り締まられておるかということになりますと、私も実ははっきり確実に取り締まられておりますということを申し上げる自信はございません。
  7. 門司亮

    門司委員 今の御答弁は、火薬類取締法の十九条並びに二十条の大体の問題はこの程度のことでよろしいかと思いますが、火薬類取締法施行令の方になりますると、私はなかなかそういうわけにはいかぬと思う。この施行令に書いてあります第二条の運搬に関する技術上の基準、こういうものについて、ここで一々私が読み上げて議論する必要はないかと思いますが、先ごろの委員会での当局の御答弁は、たとえば火薬類はその容器につきましては、あまり堅固なものは爆発程度が強いというような御答弁があったように聞いておりまするが、この規則を見てみますると、「火薬類は、堅固な容器に収めて積載すること。」と、こう書いてある。この堅固の度合いというものはどのくらいに基準を置いているのか。矛盾があると思う。あなたの方は、あまり丈夫なものだと爆発程度が強いから、できるだけやわらかい方がいいという御答弁で、法律の方は、堅固なものに入れろということが書いてある。この点はどこにどういう違いがあるのか、こういう指示が出されておったのかどうか。  立ったついでだからもう一つ申し上げておきます。五条にこう書いてあります。「自動車又は牛馬車運搬する場合には、見張人をつけること。」と書いてある。今度の事故の場合には見張人はついていなかったと私は考えるが、どうですか。自動車または牛馬車運搬する場合には、見張人をつけろと書いてある。この規定は明らかに火薬重要性考えて、衝突その他を避けるための一応の予防策として書かれたものだと解釈するのが正しいと思う。ところがこれはそういうことがされていなかった。一体こういう取り締まりはどこでだれがやっておるのですか、この辺をはっきりしておいてもらいたい。
  8. 秋山武夫

    秋山説明員 「堅固」の程度解釈は、おそらく時代によって変わっていくのではないかしらんというふうに私どもには考えられます。一般常識的には木箱で、必要があれば鉄帯をかける。要するにここに堅固な容器を使うことを要求しました意味は、容器がこわれて内容の火薬がこぼれるとか、落ちるとかいうことの危険を防ぐという意味でございますから、先日、実は安井先生でございましたか、御質問がありましたのは、木箱以上にかたいというような御趣旨のお尋ねでありましたように感じましたので、木箱が適当だというお答えを申し上げたわけでございます。また私が少し口がすべって、あるいは鉄の容器に入れるようなことを申し上げたかもしれませんが、それは蛇足でありまして、木箱であれば十分でございます。最近はたとえば段ボール等で、木箱以上に実はしっかりしたものもございますから、そういう意味で、万一破損した場合のことを考えますと、木片が飛ぶよりは、ボールの破片の飛んだ方が被害が軽いということもございますし、そういう意味で、実はなるべく軽い方がいいのだということを前回申し上げたと思うのでございます。  それから第五条見張りの問題でございますが、これは、その自動車と別にということは、事実上とうてい不可能でございますから、要するに自動車の中に同乗、助手席にすわる、あるいは上乗りと申しますか、荷物の上に乗るというような形で、とにかく前方を見張っていく人間を運転手のほかにつけろという意味解釈をいたしております。いずれにいたしましても、これは強制力は法的にはもちろんあるのでございますが、それが事実上どの程度に守り得るかということになりますと、これは一台々々ついているわけにはとうてい参りませんので、そこらは常識によって判断する以外にないかと思います。
  9. 門司亮

    門司委員 私は、問題はそういうところにあろうかと思います。この自動車見張りの問題につきましても、われわれの今日までの常識から考えて参りますと、従来の取り扱いとしては、牛馬車の場合は歩行してそばについておるということが一つ見張りのことに大体なっておったかと思います。自動車運搬する場合には、今助手という話がありましたが、自動車助手見張りとは違うと思います。牛馬車の場合にはそばに一人ついておればいいということであれば、自動車の場合は助手が見ているからいいのだという理屈はないと思います。この子安の事件では、助手はついておったが、見張りはついていなかったということが事実であります。このことを当局一つ認めておいていただきたいと思います。この第五条規則に明らかに違反した行為があったと考えられる。しかも監督の方は、今の御答弁のように、一々するわけには参らぬからというなら、おそらくこういう規定があっても何もならない。空文にひとしいものだということが考えられます。  もう一つ、その次にお聞きをしておきたいと思いますことは、この五条の六にありますが、「火薬類積卸は、できるだけ昼間においてすること。」と書いてある。これと運搬との矛盾関係であります。積みおろしは昼間やれ、運搬は夜よなかでもかまわないのだという規定矛盾しはしませんか。これは一体どういうふうにお考えになっておりますか。
  10. 秋山武夫

    秋山説明員 五条六号の積みおろしはできるだけ昼間においてやれということは、やはり明るい方が作業が容易であり、安全であるという一般常識から考えられることではないかというふうに私は考えますが、事運搬となりますと、実は道路の込み方と申しますか、通行量から見ましても、昼間よりは夜間の方が減ると一般的には考えられますので、必ずしも夜運んではいかぬということは規定しなかったのだと存ずるのでございます。ただ、ここいらはいろいろ議論もあろうかと思いますし、私個人的に考えましても、たとえば先日の事故あたりあとから考えますと、むしろ夜間にああいう広い道路であったがゆえに、ああいう事故が起こったということも考えられないことではないのでございます。つまり、車が少ないとつい速力が出がちでございます。現に先日の事故は、相手の砂利トラックの方がどうやら超過したスピードで走っておったのではないかというふうに想像せられるわけでございます。これらはやはりその場の事情に応じて、常識によって判断させる以外にはないかと存じます。
  11. 門司亮

    門司委員 それからもう一つ、これはちょっとこの問題から離れておりますが、取り締まり当局についでに聞いておきます。現在、日本火薬だけではございませんで、あなた方の取り締まりを受けない駐留軍の持っている火薬輸送がかなりひんぱんに行なわれておる。これは届け出もしなければ、どこにも報告もしない。勝手ほうだいに運ばれております。何らの規制も受けておらない。しかし、爆発すれば同じような結果になると思います。こういうものについての規制はどこでされるつもりですか。同じ火薬日本国内を歩いていて、駐留軍だから届け出をしなくてもよろしい、勝手に動いてもよろしい、積みおろしもほとんど届け出をしておらない。この規制はどこでされておりますか。
  12. 秋山武夫

    秋山説明員 不勉強で、実は駐留軍関係のことまで勉強もいたしておりませんし、役人的な申し条かもしれませんが、駐留軍関係のことは外務省が窓口であり、そちらで扱っておりますので、私、そのお答えができませんで遺憾に存じます。
  13. 門司亮

    門司委員 できなければ一つ政府当局でお互いにお考えになればよろしいかと思います。  それから、先ほど私が聞きました問題になっております例の五条の一にあります見張りの問題ですが、これと同じように関連を持っておりますものの中に、「運搬中停留又は駐車して休憩する場合には、安全な場所を選び、且つ、運搬する火薬類を見張ること。」と書いてある。この子安に参りました車は、途中で東京都内で一応休憩をいたしております。ごくわずかの時間ではありますが本社に寄っております。そうすると、こういうときには見張りがついておったかどうかということは非常に疑問があると思います。ほとんど監督強制力がない。それからもう一つは、たくさん数があるから、どうなっておるか、正直に言ってなかなかそこまで監督が行き届かないというようなお考えのようでありますが、そういうことがこの火薬類取締法の中に規定してありながら、これが実行されておらない。ここらにやはり問題がありはしないかと思いますが、この辺に対するお考えは率直に言ってどうなんですか。今度の子安に運ばれた火薬輸送については、火薬類取締法並びにこれに関連する施行令あるいは規則に、政府としては全然取り締まり落ち度がなかったと言えますかどうか、その点を一つ明確にお答えを願っておきたいと思います。
  14. 秋山武夫

    秋山説明員 御承知のようにあの事故は、お手元にたしか資料が配付申し上げてあったかと思いますが、東京から横浜に向かいます左側、すなわち正規の通行すべき道を火薬トラックの方は走っておったということは、あと漏斗孔その他の状況からはっきりいたしております。従ってスピード違反があったかどうか、その点は何とも申し上げられないのでありますが、いずれにいたしましても、衝突事故を起こしましたその自動車位置は、法規的に見て何らのとがむべき位置ではないということは確認されておるわけであります。なお砂利トラックスピード違反があったらしということは一応推定されております。いずれにいたしましても、先刻実は見張りのことで御指摘がございましたが、かりにあの場合に、助手のほかにだれかが見張りをしておったといたしましても、あの状況において爆発事故を防ぐことが可能であったかどうかという点は、ちょっと疑問に存ずるのでございます。  途中の休憩時において見張りがあったかどうか、これも私としてはどうも何とも申し上げかねる状況であります。全体的に見て、あれだけ注意をして運んでおったらしいという推定はせられますので、政府として、あの場合の火薬業者責任取締法の上から云々するということは、目下のところちょっとむずかしい状況にあるのであります。
  15. 門司亮

    門司委員 私は、何も政府火薬取扱者を責めろと言っておるのではない。政府責任はどうかということを聞いておるのです。その規則が守られていないから事故が起こったことはわかっておる。見張りをつけろとちゃんと施行令に書いてある。ところが、その見張りがついておらないということは、単に輸送会社責任だけではなくて、やはり事故が起これば、それを監督する政府責任がありはしませんか。法律は書きっぱなしでよろしいのだ、あとはそれを守ろうが守るまいが勝手だというようなことでは、政府の役人として勤まりますまい。やはり法律に出ている以上は、そういうものを確かめて、そうしてやることが指導じゃないですか。私はその責任をあなた方に聞いておるのです。あなた方の方で手落ちがなかったかということを聞いておるのです。規則にはいろいろ書いてありますよ。しろうとなりに考えても、この規則を読んでごらんなさい。たとえば自動車構造とかいうものの中に牽引車というのがあるが、牽引車のような特別の車を用いておる会社なんか日本にはほとんどないということを私は聞いておる。ところが規則にはこういうものがちゃんと書いてあります。今度の事故でもそうです。この運んでおった上総運輸というのは火薬会社ではないのです。従ってトラックも、火薬業者トラックとして火薬を常時運搬するものとしての規格の検査を受けておったかどうかということにも私どもは疑いがあるというのです。この周の運輸省説明では、車は検査したが間違いなかった、こう言われておりますが、これは爆発した車じゃないんですからね。残っておった車を検査されたのですからね。事故を起こした車は調べようったって、ふつ飛んじゃったのですからできない。私が聞いているのは、施行令にこういうことが書いてあるから、事前にこういうことが行なわれたかどうか。あとで行ってみて、間違いがなかったからこれでよかろうということではなかなか浮かびきれない。こういうことが規則通りにやられていないでしょう。どこの会社でも自動車に積んで運搬をするということになれば、このきめられた自動車構造性能というような規定がちゃんとこれに書いてあるけれども、これに当てはまらぬもので運んでいるかもしれない。そういうものの監督が十分でなかったとこの際言い得るのじゃないかと思うのですが、どうなんです。ほんとうにあなた方は監督をされておりましたか。これも多少千葉県の関係にもなろうかと思いますが、車の届け出があった、火薬を積んだ車を点検して、これで間違いないといって上総運輸が出発したものかどうか。さらに見張人がついておったかどうか。これは火薬予防の処置ですよ。見張人も何にもつけていない。そのまま車が行ってしまった。もちろん会社もよくない。しかし、監督の任にあるあなた方も手落ちが全然なかったとは言えますまい。私はその点を聞いている。政府に全然責任がなかったということでよろしいのですか。どうも今までの答弁を聞いてみますると、どう考えても、こういう規則その他をずって読んでみますると、必ずしもあなた方の方に落ち度がなかったとは言えないと思う。運送会社の方はちゃんときめられた手続をしておる。だからこれでよろしいのだといっておる。しかし車の検査、これに書かれておる取り締まり規則というようなものの実行は、むろん会社側においても行なうべきでありまするが、これを取り扱う、あるいはこれを取り締まっておる官庁は当然このことを行なうべきだと考えておるが、その点が十分でなかったということは言い得ると私は思うのですが、当局は、どうしてもわれわれには落ち度がなかったともし言われるのなら、助手でなくして、見張人をつけておったという証拠を出してもらいたい。車の検査は事前に行なったということをはっきりしてもらいたい。一体上総運輸の車をいつ検査されたか、その日時をここで言って下さい。何月何日に積んでいった車は検査しましたという書類を一つ出してもらいたい。それができたら至急出してもらいたい。出てくれば、それから先の論旨を進めていきたい。
  16. 秋山武夫

    秋山説明員 この政令あるいは省令のみならず、法律自体にも若干の不備があるということは最初にお答え申し上げたところであります。次回はぜひこれを改正して万全を期したいと考えておりまするが、先日起こりました事故について、たとえばこの見張人というのは助手ではないのだ、助手以外のさらに第三の見張り考えておるのだという点の解釈につきましては、まだ私自身がはっきりしない点もございますし、いわば規定そのものがはっきりしておらぬというふうに考えられますので、かりにここにいう見張人がついていたとしても、それがいたかいなかったかという事実は、私としては何とも証明のいたしようもございませんし、当該事故についてもし責任ありとすれば、私自身にもあるわけでございます。これは私自身が責任がありますとかないとかいうことを申し上げることは差し控えるべき点だと思います。
  17. 門司亮

    門司委員 私、やかましく言っておりますのは、同じように規則の中の道路運送車両保安基準の中にこれを受けたものが一つございましょう。いわゆる第十項に、「監視人の使用に便利な箇所に、第四十七条第一項の規定に適合する消火器を備えること。」これは助手ではございません。明らかに監視人であり、見張人をさしておる。車にそういう装置をしなさいと書いてある。従ってこういうものが完全に行なわれておって、監視人が完全についており、見張人が完全についておって起こった事故でありますならば、ある程度問題は当事者同士の問題かとも考えられる。しかしこういう厳密な法律案があって、施行令ができておる。大体これで間違いなかろうというお考えで、運輸省とお話し合いのもとにこういう法律ができておる。これはすべて運輸省令で出ておりますから、通産省令で出ておるものではない。運輸省令で出ておる。ところがその事故が起こって、あとでこういう問題が問題になってくる。私は、こういう法令があります以上は、やはり政府もこの火薬の持ち運びについてはもう少し神経質になって、そうしてこういう規則があるのだから、この規則に適合しておるかどうかということくらいは見られてもよいと思う。また当然つけておくべきだと私は考える。従って私は、今のお話のように、法律に多少の不備があったということを肯定されておるようでありますが、法律の不備だけではなくて、政府当局についても、監視する側についても、こういうことを怠っておられたのじゃないかということが、今までの私どもの質疑の中に、あるいは答弁の中にうかがい知ることができるのでありまして、先ほどから申し上げておりますように、見張人をつけておったかどうかということがわからない。さらにこの車の検査が事前に行なわれておらないということになろうかと思います。もし事前に行なわれておるならば、さっき申し上げましたように時日と場所と証明書を一つ出しておいてもらいたい。私は多分出ないと思います。もし検査しておるならば出るが、検査していないのですから。今度の事故というものは、政府監督がある程度十分に行き届いておれば、事前に防止ができたのではないかということが一応私どもには考えられる。なるほど猛スピードで来た砂利トラックとすれ違った。しかし、見張人が車の上に乗っておるとか、あるいは特別の見張人がつけてあれば、そういうことについてもある程度避け得られたのではないかということが考えられる。あの場合は車が一台だけ通っておったわけではありませんから、並んで二台通っておった。そのあともう一つの三輪車が通っておったということが大体確認されておりますので、そういう事態を勘案して申し上げますと、どう考えても政府に、取り締まりの方に全然責任がなかったということには実はならないと思うのでありますが、この点はどうですか。私はこの際責任ある人からはっきり御答弁を願っておきたいと思うのでありますが、今私が申し上げましたような車両の検査が十分に行なわれておったかどうか、あるいは監視人が十分につけられておったかどうかというようなことについて、政令に全く違反はなかったというように御答弁ができるんでしたら一つこの際はっきり御答弁をしておいていただきたいと思います。
  18. 石河正利

    ○石河説明員 車両の検査につきましては、年に一度以上ということで一般的に検査をしております。ただしその検査は、この省令にあります火薬運搬するために特にその点について適合しておるかどうかということで実は検査をしておるわけではございません。ただし、前会にも局長から御説明申し上げました通り、あの事故の直後に、この上総運輸の車を全部調べまして、それが例外なく、結果としてでございますけれども、その省令に適合していたということは確かめられております。  なおこの間の事故に対して政府責任いかん、あるかないかという点でございますが、今申しましたようにこの省令につきましては、明らかにこの車自体はなくなっておりますのは今おっしゃった通りでございまして、何ともその車自体を調べるという方法はないのでありますけれども、今申しました通り、ほかの車が例外なく適合しているということから考えまして、まず十中八、九適合していたものに違いないと考えて差しつかえないと存じます。しかし、なお万々一これが適合していなかったとしましても、この間の事故そのものとの関連といたしましては、車の構造上からあの事故が起こった、適合していたならば起きなかっただろうに、適合していなかったから起きただろうということにはならないのじゃないかと考えますので、この間の事故そのものだけについて申しますならば、この省令について政府監督が不行き届きであったではないかということにはならないのじゃないかと思います。
  19. 門司亮

    門司委員 見張人をつけておったかどうか知っていますか。監視人がついておったかどうかということですよ。見張人はついていなかったというんだが、あなたはそういう監督をしていないでしょう。車の助手と見張人は違うということですよ。牛馬車の場合はわざわざ歩行者をつけるのですから、これは助手じゃないです。
  20. 秋山武夫

    秋山説明員 先ほども申し上げましたが、どうも見張人解釈自体私は的確にただいま申し上げることができないのでございますが、普通の従来の解釈では助手でよろしいということであったようでございます。事実あの場合は助手も一緒に死んでおりますけれども助手は乗っておったわけでございます。必ずしもこの規定に明らかに違反しておったということには、従来の慣習的取り扱いの上からは断定はできないと思います。
  21. 門司亮

    門司委員 そういう言いのがれをされておりますが、きのう各都道府県に運輸省、通産省が話し合って出された通牒にこう書いてあります。運送人は監視人をつけなければならないということが注意事項としてちゃんと書いてあります。これはやはりこういう規定から生まれたものじゃないですか。監視人をつけると書いてある。助手をつけるとは書いてありませんよ。
  22. 秋山武夫

    秋山説明員 お手元に差し上げました昨日付の災害予防指導要領は、実は前回この委員会で御指摘もございまして、確かに現在の省令あるいは政令は不備の点があるということを認めました上で、次の機会にはぜひ至急これを改正したい。しかし、こういう法規的な改正を必要とするまでもなく実際上やらせればできるものは、この際ぜひ大至急にやらせたいということで、両者共同協議の上で通牒を出したのでございます。従って、この中にございますことは、実は現在の政令あるいは省令にないことも多数含めてございます。すなわち実行ができるはずだ、しかし現行法には必ずしもその規定がないというようなものも入れたつもりでございまして、ただいまの見張人を同行させろという意味は、実は運送業者に運送させる場合の予想から出た規定でございます。つまり今回の場合で申しますれば、上総運輸トラックは使うけれども、それには昭和火薬の人をだれか運転手監督意味で同乗させるようになるべくしなさいという規定を入れたわけでございます。これは法規的な拘束力はもちろんございませんで、行政指導でございますが、そういう注意事項を掲げたのでございます。
  23. 門司亮

    門司委員 私は何度も繰り返しますが、あなた方はどうしても言いのがれをされておりますが、自動車見張り自動車に乗っておった助手でよろしいという理屈はどうしても成り立たぬと思う。社会通念から考えてもごらんなさい。大体真夜中に走る車、大きな長距離を走る車というようなものには助手がついているのが、普通のトラックでも常識なんです。火薬運搬をすることのために見張人をつけろ、監視人をつけろと書いておることは、助手以外の者を指さすものであるということは、だれが考えても私はあたりまえであると思う。助手でよろしいというお考えであれば、これは大きな間違いですよ。通念から考えてもごらんなさい、夜中に走るような車には大体助手がついている。また長距離を走る車には大体助手がついておる。見張人助手にかえてもよろしいというような理屈は、私は成り立たないと思う。ことに牛馬車においてもちゃんと見張りをつけることになっておる。自動車ばかりじゃない、牛が火薬を引っぱる、馬が火薬を引っぱる、それでもちゃんと見張人をつけろというのですから、おそらく牛を御する人が見張人を兼ねているというのでしょうけれども、牛が車を引っぱる、あれは見張人だというわけにはいかない。やはり牛を御する、馬を御することには間違いない、見張人は別の人である。自動車助手と見張人は同一でよいというお考えは、私はどう考えてもおかしいと思う。こういうふうに政令がきちんとしておりながら、そういう規則が十分に守られておらなかったということ、また守らせていなかったということは、私は、明らかに取り締まり当局手落ちというよりもむしろ怠慢だったといって差しつかえないと思う。事故自身を私はさしているわけではない。事故は避け得られなかったかもしれない、結果的にはそうかもしれない。しかし現実的には処置が十分でなかったということは、私は言い得ると思う。この点を一つもう一回はっきり答弁して下さい。そういうものの必要はなかった、助手でいいというあなた方のお考えなら、私どももそれでよろしい。しかしながら、私はそれに大きな疑問を持っている。ここに書かれた趣旨は、監視人という字を使い、見張人という字を使っている以上は、助手ではないと私は考える。もう一度一つ答弁を願いたい。
  24. 秋山武夫

    秋山説明員 同じお答えを繰り返すようで恐縮でございますが、私自身この解釈は、まだはっきり確信を持って申し上げられないので残念でございますが、どうも見張人という解釈は、たとえば助手がおっても、さらにもう一人を別に要求するのだというはっきり断定した解釈は、ちょっと私にはただいまのところ申し上げかねるのでございます。
  25. 門司亮

    門司委員 どうもそういう御答弁では、これは何にもならないと思う。そうすると、私は責任ある大臣かだれかに出てきてもらわないと話がつかぬと思うのです。
  26. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 もうしばらくしたら政務次官が来られる予定になっております。
  27. 門司亮

    門司委員 それでは、石原国務大臣は非常にお急ぎのようでございますから、一応大臣にお聞きをしておきたいと思います。問題は、私どもの聞いておる範囲では、すでになされておるかもしれませんが、今度の神奈川の例の爆発事件、火薬庫の爆発事件、これらに対して、消防の詳しい報告書がありますが、神奈川県における火薬事故だけでも――この前にも申し上げましたように、神奈川県には六つの通産省直轄の工場があり、同時に、同じく六つの知事の直轄工場があって、そのほかに百四の火薬を貯蔵してある場所がございます。従って百十六カ所に火薬があるわけであります。その火薬のあります神奈川県において、事故の起こっておりますものは、大体平均して一年に二件くらいずつ事故を起こしております。そうして二十五年から今日まで三十三人の人間を殺している。こういう事故をたくさん持っている。そこで問題になりますのは、火薬工場に対する消火の設備、いわゆる防火の設備でありますが、ここに横浜の消防局から出ました東洋化工に対する今度の火災の問題並びにその以前からのこの工場に対する消防のとってきた処置がずっと書いてあります。今度の事故だけじゃございませんで、ずっと以前の事故から消防はどういう取り扱いをしてきたかということがずっと書いてあります。その中で、ある程度この会社の方も、火災に対しましては多少考えられて、消防局の注意についてはかなり勧告を履行されておるようでございます。ところが、実際の内部の問題となって参りますと、必ずしも消防のいうことが聞かれておらない。そのことは、一方において通産省の所轄である。通産省の許可と十分な監督のもとに仕事をしておるであるから、そう消防だけでやかましいことを言われる必要はないのではないかというような会社側の考え方がありはしなかったかということが考えられる。たとえば今回爆発をいたしました件につきましても、この前も申し上げましたように数分間の時間があったわけであります。その間に消火施設あるいは消防に火災を知らせる施設等が十分に行なわれておったならば、こういう問題はあるいは未然に防ぎ得たのではないかということが考えられるのであります。そこで石原大臣にはっきりこの際見解を聞いておきたいと思いますことは、この種の工場の取り締まり、あるいはこの種の工場のそうした施設等については、消防法の危険物に該当するものであっても、これは火薬類取締法の方が優先するというような見解はこの際ぜひ避けたい。いわゆる火薬類取締法が優先する、従って消防規定というものはあとからくっついていくのであるから、消防署でどんなにやかましいことを言ってきても、許可を受けているんだからそれ以上施設をしなくてもよろしいんだというような誤った考え方をこの際なくしておきたい。そうすることのためには何らかの法的措置が必要ではないかと考えられるのでありますが、この点はどうなっておりますか。従来私どもの聞いておりますのは、火薬類取締法規定消防法による危険物との関連性について、近いうちに総理府令か何かでこれを調整したいというお話があったように承っておりますが、それが行なわれておりますか。同時に、大臣としてはそういうことを行なわれる御意思がございますか。その辺をこの際はっきり一つ聞かしておいていただきたいと思います。
  28. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、消防法の改正に伴いまして、いわゆる危険物の取り締まりについて政令なり総理府令の整備をずっと行なってきておったのでありますけれども、今門司委員からお話しになりましたように、この火薬類取締法との競合関係の問題について若干まだ問題が残っております。これはなお通産省ともいろいろ折衝を行なっておりまして、近い機会に総理府令の一部改正等を行なって、こういう問題についても、消防の方からも十分の査察なりあるいは注意なり指示なりが行なわれるようにしたいと努力中でありまして、私も相次ぐこういういろいろの危険物火災等と関連して、ぜひそういうことにしておきたいと思いまして、消防当局を今督励しておるわけであります。
  29. 門司亮

    門司委員 督励をされていることはけっこうだと思いますけれども消防法と火薬取り締まりの問題については、法的にはあなた方の方がよく御存じだと思いますが、例の火薬類取締法の中には消防という文字は一つも出てこない、ただ火薬取り締まりだけしか書いてないのですね。今度の輸送等についてもそうでありますが、時間的に見て参りましても、消防には何らの届け出をする必要もない。どこにどういうふうに火薬が動いているか、どこでどれだけ製造され、どういうふうに貯蔵されているか、火薬の原料についてはある程度消防の方でやかましいことをいうことができるかもしれないが、でき上がった火薬については何らの権利をもっておらない。届け出さえする必要がないというようなことで、一切が火薬類取締法一本できておる。この法律の不備は、私はそう長い時間はかからないで直せると思う。通産省がぐずぐず言っても、そんなことはかまわないと思いますから、できるだけ事故のないように、机の上だけで火薬取り締まりはできぬのでありますから、ぜひ早くやってもらいたいと思いますが、一体いつごろになりますか、この次の通常国会には出せますか。総理府令なら何も国会に出さなくともいいと思いますが、その進捗状態がもしおわかりならばお知らせ願いたいと思います。
  30. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 私も、消防法の危険物と火薬類の法令を見まして、門司委員が言われたように、私自身も矛盾といいますか、原料については危険物でいろいろ取り締まれるが、できたら火薬の方になってしまうというようなことで、何とかしなければならないということを考えておった次第でありまして、先ほどせっかく督励して折衝さしておると申し上げましたが、これはごく近い機会に、できれば本年中くらいに意見をまとめて総理府令の改正を行ないたい。こういう考え方で進んでおるようでありますから、なるべく早い機会に実現せしめたいと考えております。
  31. 門司亮

    門司委員 もう一つ最後に長官に聞いておきたいと思いますことは、先ほどお伺いいたしましたが、通産省ではわからぬという御答弁でございました。実は米軍の火薬が、これはほとんど無届け、無統制で、軍の関係とか何とかということで動かされております。これの取り締まりについては一体どういうことになっておるのか。警察当局はこれを知っておるのかどうか、またどういうお考えがあるかということです。日本火薬ばかり取り締まっても、アメリカさんの火薬取り締まりができないということになると、これまた厄介なことだと思いますが、その辺はどうなんですか。
  32. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 米軍の関係のものにつきましては、実際問題といたしまして警察当局その他でも何らタッチしないといいますか、知らない現実にございます。この問題も、相次ぐこういう災害等から関連いたしまして、通産省その他と協議をして何らかの方法で対処策を考えておかなければならないと思いますので、これは門司委員一つの新しい御提案としまして検討を進めることにしたいと思います。
  33. 門司亮

    門司委員 大臣はこれでよろしゅうございます。あとでちょっとひっかかりがありますけれども、ほかの人に聞きますからけっこうです。  事故のことについては大体その程度にしまして、監督が十分であったかなかったかということ等については、はっきりした御答弁はございませんが、私の感じからいえば、火薬類取締法とこれに従う省令さらに規則等が十分にきめられていなかったということが一応考えられる。特に重要な問題は、運搬をする際に監視人あるいは見張人をつけなければならないということになっておりながら、これらの問題が十分に解明されておらないことは、取り締まりの権限を持つ官庁としては、当然それらのものを督励されあるいは実行されなければならなかったことがおろそかにされておるということになりますと、私は政府責任当局責任が全然なかったとは言い得ないのではないかというように一応解釈をせざるを得ないのであります。  従って、これからお聞きをいたしたいと思いますことは、主として補償の関係でありますが、御承知のように、少し大げさになるかと思いますが、憲法の十七条には公務員の不法行為に対する国家賠償の規定が示されております。この規定はどこまでも公務員の不法行為ということで行なわれておりまして、そしてそれが法律に国家賠償法という形で出てきております。     〔渡海委員長代理退席、吉田(重)委員長代理着席〕 この国家賠償法につきましても、法律の内容は、どこまでも公務員の不法行為の問題、さらに瑕疵があったかどうかということが問題になろうかと思います。道路その他の築造あるいは堤防その他の施設等について特別の瑕疵があった場合に国家賠償をしなければならないという規定のあることは御承知の通りであります。私は、この憲法十七条の規定を見てみましても、なるほど十七条には「公務員の不法行為」という文字を使っておりまするが、実際はこのことは公務員のそうした当然行なうべき監視あるいは行なうべき監督というようなことがおろそかにされておったということも、これも含まれないで済むものでは私はないと考える。この条項は御承知のように、何か衆議院であとで修正をした条文だ、こう言われておりますが、特に昭和二十二年憲法ができました当時の美濃部博士等の解釈を読んで参りますと、一応そういうことになってはいるが、しかしこの解釈は、やはり国家賠償としてその範囲を十分に考えて法的に処置すべきであろうということが意見としてつけ加えられております。大体これがその当時の憲法の解釈の私は基準であったと考える。その後、国家賠償法という法律一つできた。しかし、この国家賠償法にこのことが当てはまるかどうかということはいろいろ議論はあろうかと思いますが、一応この機会に当局の御意見を聞いておきたいと思いますことは、私どもから考えて参りますと、さっき申し上げましたように、全然監督の地位にある公務員諸君の瑕疵がなかったとはいえないと考えられるのであります。この点について、そうではなかったというように御答弁がございますかどうか、この機会にはっきりしておいていただきたいと思います。
  34. 秋山武夫

    秋山説明員 私は、この御答弁を申し上げる資格があるかどうかちょっと疑問でございますが、火薬類の問題で総括的に申し上げますと、もしかりに先刻の見張人の問題その他監督上不行き届があったといたしますれば、それはすべて私自身が負うべき責任でございますし、私自身の口からそれをどうこう申し上げることは、実は不適当でございます。もっと上司が私に対して責任を追求するかどうかという問題になろうかと存じます。
  35. 門司亮

    門司委員 そういうことが一応いえるかとも解釈上は考えられないわけではないと思いますが、しかしいずれにしましても、これはあなた方の内部の問題であって、当然このことについては国に一応責任があるということで、国家賠償法の適用を受けられるかどうかということについても、なお研究の余地はあろうかと思いますが、今の御答弁では、もしも問題があればというお話でございますが、先ほどから繰り返して聞いておりますように、見張人あるいは監視人その他というものがついていなかった。当然つけるべきものがついていなかったということになれば、これはやはり監督の任にある政府責任があると考える。従ってこの際、国が何らかの形でこれを補償するということが望ましいのではないか、あるいはもし補償というものが非常に窮屈であるならば、見舞金というような形でめんどうを見るべきじゃないかと考えられるのでありますが、この点についての御答弁は、どなたからかできますか。
  36. 山内一夫

    ○山内政府委員 お答え申し上げます。  門司委員のお話では、憲法十七条を受けた国家賠償法でまず国に賠償責任があるかどうかということ、もしないとすれば、見舞金というような形で賠償をするという方法をとったらいいではないか、こういうような御質問だと存じますが、最初の問題につきましては、私どもどうも国家賠償法の適用はこの場合ないのではないかという結論を持っております。かりに今いろいろ門司委員の方で御指摘のありました法の施行についてある種の手抜かりがかりにあったといたしましても、その場合、それからくるところの因果関係が、今の運転手の個人の過失なり何なりで生じた、そういう事実によって中断されますので、国家賠償法の適用をそのままここへ持ってきまして、国が賠償をするということには、やはり検討いたしましたけれどもならないのではないかと思っております。  それから次の、これを見舞金のような形で処理したらいいだろうということは、これはまた政策の問題でございますので、私の立場からどうこう申し上げられない。これは関係各省で御相談をいただくよりほかにないのではないか、かように思っております。
  37. 門司亮

    門司委員 法制局からの御答弁でありますが、問題になりますのは国家賠償法と民法との関係であります。国家賠償法には、なるほど今のお考えのようなことが書いてあります。字をその通りに解釈すればその通りに書いてある。しかし、民法には無過失賠償ということが書いてあります。使用者の責任ということが書いてあります。そこで法律の全体的な、国民的立場から解釈すれば、民間のそういうものについては無過失賠償が一応考えられる。しかし国のやったことについては無過失賠償が考えられないという議論は通らないと思うのです。やはり、民法でこういう規定がある以上は、国もまた監督者としての立場を明らかにしてもらいたい。これは単に当事者の不注意だということでなおざりにするものではないと思う。民法との関係はどうなんですか。
  38. 山内一夫

    ○山内政府委員 民法の方では、大きな規模でやっておりますところの従業者について、御指摘のように次第に無過失責任の方向に判例も認めております。それに対しまして国家賠償法は無過失責任をとっていないところに不均衡があるのではないかというお考え方のようでございます。今の国家賠償法は、どうもいろいろ研究いたしました結果、単に主観的条件というものを非常に固執といいますか、そういう建前をとっておりまして、立法政策の立場から国家は無過失責任を持っていくべきではないかという議論もあるように私は見受けております。しかし現行法の解釈としては無過失責任というところまで割り切ってはおらないというのが、大体学説なんかの考えでありまして、はなはだ現行法は結論として非常に冷淡なことになりますが、現行法の建前からいいますと、無過失賠償、無過失責任というものを認めるということにはどうもいかないのではないかという考えを私は持っております。
  39. 門司亮

    門司委員 法律をそのまま解釈すればそういうことになろうかと思いますが、ところが無過失賠償について例がないわけではないと私は思うのです。たとえば日本の総理府令の中に、日本国内にある国際連合の軍隊により損害を受けた者に対する補償金並びに見舞金の支給等に関する総理府令というのがあります。これはアメリカ軍並びに連合軍の過失についての国の補償なり見舞金なんです。これはむろん行政協定からきておるのだというふうに御答弁になろうかと思いますが、しかし実態はこれと似たようなものではないかと考える。やはり、無過失賠償については全然国が知らないということはないのではないかというふうに考えられますが、この点の解釈をもう一つ伺わせていただきたいと思います。
  40. 山内一夫

    ○山内政府委員 今御指摘法律と、もう一件今ちょっと忘れましたが、それが国家の無過失責任規定した例、それから企業関係法律にございますが、そういうようなのを合わせて現行法では門司委員の御指摘のように無過失責任についての立法例がございます。しかし一般法としては、現行法の解釈としては無過失賠償、無過失責任というものはないという解釈になっております。だから国の政策としては、一般法としての無過失責任を認めるべきではないという主張、意見というものがあることは承知しております。そういうふうになるのがあるいは適当ではないかという個人的な感想は、ある意味では持つのでありますが、現行法としては、今の第二京浜国道で起こりました問題についての適用といたしましては、どうも無過失責任ということにはならないのではないかと考えております。
  41. 門司亮

    門司委員 私はさっきからも、少し早くお話しをいたしましたように、こういう規定が実はあるわけであります。それから日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う民事特別法というようなものも、大体これに似たような法律であります。そうして国は、外国の軍隊が行なったものについては責任を持つが、日本国内で公務員が行なった行為については責任を持たないということは、私はどうかと思う。これは幾ら行政協定に基づくものだといっても、少し国民に対する態度としてはむちゃくちゃ過ぎはしないかと思うのです。もう少し国がこれらの責任を負うべきではないか。従って賠償という文字はどうかと思いますが、少なくとも監督者に手落ちがあったということが認められるならば、私は当然見舞金程度のものは支給してしかるべきだというように解釈せざるを得ないと思う。そうしませんと、この種の事件について一体だれがめんどうを見るかということです。これは全く国民としてはどうにもならぬことなんです。同時に補償と言っておりますが、これらの問題は精神的に申しますと、いずれも社会保障制度的のものの考え方、もう少しやわらかにいえば、社会政策的なものの考え方から発足をしたものだと私は考える。そういう法のできました、あるいは憲法をこしらえますときの基本的なものの考え方は、社会政策的にもこういうものが必要だ、社会保障的にもこういうものが必要だ、いわゆる憲法第二十五条に書いております国民のほんとうの生活を守っていくには、こういうものが必要だというところから出発した憲法であり法律だと解釈するのが、私は正しいと考える。そういうように解釈をして参りますと、法律的に字句の解釈上問題は多少あるといたしましても、これらの諸君の生活を保障するというものの考え方に立てば、全然無過失賠償制度がないわけじゃありませんから、これを何らかの形で適用することも、私は可能だと考えておる。その点に対するお考えをもう一応聞かしていただきたい。
  42. 山内一夫

    ○山内政府委員 しかし、現在の建前としては、法律上の要件が足りない限り、そのまま金を支払うわけには参らないだろうと思います。ですから、国家賠償の適用がないとすると、そのまま行政措置として簡単に払うというのは、予算の拘束もありますから、簡単にはいかないだろうと思います。ただ今後の立法上の方針として、そういうことを憲法の精神からいきまして考えたらどうかというのは、失礼でございますが、確かに一つの御意見であろうと私思いますが、これをそうすべきかどうかということについて、賛成であるとか賛成でないということについては、私は職務上の権限を持っておりませんので、お答えいたしかねる次第でございます。
  43. 門司亮

    門司委員 どうもお答えはできないということになると、いつまでたっても時間だけたって問題にならないかと思いますが、私どもは、先ほどから申し上げておりますように、今度の事件については全然政府手落ちがなかったとは言えない。従って国家賠償法に基づく賠償の要求ということについては、いろいろ議論もあろうかと思いますが、少なくとも民法との関連性を考え、さらに無過失賠償について政府が今日まで何もしなかった、全然それをやっていないというわけではございませんので、私から今申し上げましたように、やはり無過失賠償についても政府が何らかの処置をとっていることは事実でありますから、これらの点について私どもは今後責任のある人がおいでになれば、一つより以上質問をし、さらにものの考え方を進めていきたいと思います。これ以上御答弁ができなければ、これ以上私はここで追及しようとは考えません。いずれ後日また機会のあるときに政府の所信をただしたいと思います。  その次に聞いておきたいと思いますのは厚生省の関係でありますが、こういう事件が起こりました場合に発動される救助規定として、災害救助法の規定がございます。ところが今度の事件について一体災害救助法の適用ができるかできないかということが一つの問題点になろうかと思いますが、厚生省はこの点をどういうふうにお考えになっておるか、一応お聞きしておきたいと思います。
  44. 高田正己

    高田政府委員 災害救助法は、御存じのようにいかなる災害種類も問うておりませんけれども、その災害によりまして県の一部とか、あるいは数県にまたがってとか、あるいは市町村とか、そういう一つの社会におきまして非常に秩序が混乱をいたしまして、それで食糧も手に入らない、衣料も手に入らないというふうな場合に救助いたす趣旨の規定でございます。     〔吉田(重)委員長代理退席、渡海   委員長代理着席〕  従いまして、たとえば家が五十軒焼けたといたしましても、東京のまん中で五十軒焼けた場合と、それから小さい村で五十軒焼けた場合との取り扱いは、最初に申し上げました趣旨から、おのずから変わってきておるのでございます。それで災害救助法を適用するかどうかということの認定権限は、都道府県知事が持っております。ただその認定をいたします場合について、おのずから一つの発動の基準というものがございまして、いろいろな観点から、前申し上げましたような趣旨から、いろいろな場合に通用するような基準が設けられておるのでございます。今回のこのトラック衝突事件につきましては、被害の程度から申しまして災害救助法の発動はいたしておりません。神奈川県知事におきましても、その行動をする必要があるという認定をいたしませんで、県独自の罹災者援護要綱というふうなものが県の条例で定められております、それによって援護、保護をいたしておるような状況でございます。
  45. 門司亮

    門司委員 今の御答弁のように、大体その規則ができていると思います。ただ問題になりますのは、あなたの方から出されております救助基準というものが、人口に比例して災害の程度というものが出ております。そこで問題になりますのは、金沢の例の東洋化工の問題の際は、人口がわずか六万八千です。しかも五大市の区は市とみなすとあなたの方で書いておりますから、それをそのまま適用してくると、ここの被害戸数はあなたの方の基準に大体当てはまるのですよ。全壊と半壊がどれだけあって、人口がどれだけあった場合には、災害救助法を適用するというような内輪の基準に当てはまる。ところがこの場合はそういう規定を知事がやらなかったからやらないというようなお話であれば、あるいはそうかもしれないが、私は確かにこの場合当てはまると思う。神奈川の場合は人口の総数が大体十六万五百だと思います。ごく最近の年鑑にそう書いております。そういたしますと、ここの戸数は全部で二十四世帯であります。それから半壊が、ここに最後の集計が出ておりますが、大体九十九世帯になっております。従って二十四世帯と九十九世帯を要するにこれをあなたの方の指図に従って計算すると、七十四戸分にしかならない。従って基準には当てはまらない、こういうことになるだろうと思います。ところがその他の一部破壊というものは、ここでは千十戸という数字を出しております。そして問題になりますのは、あなたの方から出ておりますものを読んで見ましても、それだけによるものではない、多少の事情によりということが、ただし書きで一番最後に加えられているように私記憶いたしております。そうなって参りますと、金沢の方は一応私はあなたの方の基準に大体当てはまる数字だ、こう解釈してよろしいかと思います。それから子安の方の場合は人口が非常に多いところでありまするから、基準に当てはまらないかもしれない。しかし問題になりますのは、こういう災害について家屋の全壊、半壊がかなり多いということ。従ってこの暮れに迫って、家を建てて住まうということが非常に困難な状態になっております。さらにこまかく申し上げて参りますと、市なり県なりは、たとえば住宅公庫の資金のあっせんをするとか、土地のあっせんをするとか、あるいは建築資材についてのあっせんをするとか、あらゆる努力はいたしてはおりますが、住宅公庫にこの間どうだといって話をしてみましたときも、話はそれはけっこうだが、頭金がないので実は申し込みができないのだというように言っておる。そうすると、市がめんどうを見てやるかというと、市は金貸しではないので、めんどうを見てやるわけにはいかないけれども、何とかの形でできるようにしてあげようという苦労をしておるようであります。そこで問題になりますのは、こうした実情を勘案して、私は必ずしもあなた方の基準にそのまま当てはまるとは思いませんが、ただし書きなり何なりを考慮して、この全壊家屋その他についての災害救助法のできるだけの措置ができれば、問題の解決がかなりスムーズにいくのではないか。さらに住民感情としてもある程度やわらぐのではないか。住民感情としましては、先ほどから幾度も申し上げておりますように、単に運送会社だけの問題ではない。これを取り締まり、これを監督しておった政府は一体何をしておったのだという意見はかなり強いのであります。従って通産省のしっぽを厚生省に持っていくようだが、同じ政府の中として、こういうお考えは一体できないかどうかということ。これにつきましても、いろいろあなたの方にも問題はあろうと思います。しかし、念のために申し上げておきますが、多少の違いはございますが、ものの考え方については必ずしもこれが当てはまるかどうかということは別の問題にいたしまして、政府が今日までいろいろ国民に対しまする救助の措置としてとっておりますものの中に、原子爆弾の被爆者の医療等に関する特別の法律、あるいは未帰還者に対する特別措置法というような、どこにもたよるところのない、しっぽの持っていき先のないようないろいろな事件については、一応厚生省としてもめんどうを見ておる法規が幾つかあるわけであります。従ってその際、そういう形で災害救助法の発動はやはり知事がやるように法規にも書いてありますが、厚生省がその腹であれば、何も私はできないわけはないと思います。その点もう一度御答弁を願いたいと思います。
  46. 高田正己

    高田政府委員 災害救助法を適用いたしますとしますれば、応急仮設住宅の支給、貸与等もできますので、災害救助法というとすぐそれが頭に浮かんでくるわけであります。災害救助法は、何と申しますか、罹災された方がお気の毒だとかなんとかいう援護というようなことよりは、むしろその瞬間に、たとえば災害によって二日でも三日でもその付近の秩序が乱れて、幾らお金を持っておる人も現実に食いものが口に入らない、また配給機構等も乱れて、八百屋でも何も買う方法がないというふうな場合に、現実に食いものを手に渡していくというふうな建前の法律でございます。あの場合におきまして、あの近所が一時交通が途絶するとかなんとかいう程度のことはございましたでしょうけれども、あの際に罹災者の避難所を設けるとか、あるいはたき出しをいたすとか、さような事態ではどうもないのではないか、従って知事といたしましても災害救助法の発動をいたしておらないのでございます。さような関係でございますので、今これを後日からさかのぼって災害救助法を適用して当座の罹災者の方々を保護し、あるいは援護していくということは、どうも門司先生のおっしゃっておりまするお気持は十分私どももわかるのでございますが、そのときに時間を争って救助するという災害救助法の建前から申しましても、もう事は済んでおるわけでございますので、いささか無理ではあるまいかと考えておるようなわけでございます。
  47. 阪上安太郎

    ○阪上委員 関連して。ただいまの御説明によると、災害救助法の目的がいかにも瞬間的なものであるというふうな答弁をあなたはなさっておるのですが、災害救助法の第二十二条にどう書いてありますか。決して瞬間的なものばかりじゃないでしょう。応急仮設住宅の建設とか、あるいは被災住宅の応急修理とかは瞬間的な問題じゃないと思う。あなたがそういう考えを持っておられるのはおかしいと思う。そういう考えであるから、知事なんかにもそういうふうに解釈されておって、そうしてこういった問題について、私なんかの考えでは、知事あたりが一区域についても当然災害救助法を適用すべきだと思うが、やらないように指導されておるんじゃないかと思うのです。私はその点おかしいと思うのです。もう一度御答弁願いたい。
  48. 高田正己

    高田政府委員 もちろん仮設住宅等を建てまするには相当な日数が要りまするので、そういう面につきましては仕事はあとまで残ります。しかし、あくまでもその時に救助をいたすというのが災害救助法の大きなねらいでございまして、その大きなねらいを私申し上げたわけでございます。ただ家に困っておる人に何とかその家を与えていくということになりますと、これは災害救助法というようなことでなく、住むに家がない、しかも経済的にも困っておられるというようなことになりますれば、これはまた他に生活保護法とか何とかいうようなことで住宅扶助をして参るというようないろいろな方法が必ずしもないわけではございません。これらの該当の被災者の方々が全部それにかかるかどうか疑問でございますけれども、あるいは先ほど御引例になりましたような一般の住宅対策とか、いろいろあるわけでございますが、私が申し上げましたのは、一つの社会におきまして罹災者が非常にたくさん出まして、しかもそのうちで家を失った方々がたくさんある。これは非常に大きな町でわずかな罹災者であれば、これは家を失ったということは、御本人から見れば一戸であっても数百戸であっても同じでございますが、親類縁者に頼って雨露もしのげる。従って小さい町で相当数家を失ったような方々が出ましたならば措置のしょうがない。そういうふうな際に災害救助法でとりあえず雨露をしのぐ応急の小屋がけ程度の住宅を与える、こういうふうな趣旨のものでございます。従って災害救助法によりまする仮設住宅は、決して相当長い間もつ住宅を与えるというような趣旨のものではございませんで、ほんの当座の雨露をしのぐというような程度の性格のものでございます。さような意味合いを持っておりまするので、この際家を失われた方々は、非常にお気の毒でございますけれども、さかのぼって災害救助法を発動いたしまして災害救助法による応急仮設住宅で住宅の手当をしていくということは、いささか無理ではあるまいか、かように考えますので、先ほどのような御答弁を申し上げたわけでございます。
  49. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そうしますと去る伊勢湾台風のときに、あなたのような理屈でいくと、即座に建てることができないような、そういう事情で必要がない。公共施設その他に収容すれば、それで応急仮設住宅などはやる必要はないのだ。こういう理屈になってくると、それじゃなぜ一カ月もたってから応急仮設住宅を建てて、瞬間に建ててやるべきものを手おくれで建てないか。そうしてああいうような相当長い期間というものを放置しておいて、そうしてあとになって建ててやるということは、あなたの理屈からいくとおかしいじゃないですか。
  50. 高田正己

    高田政府委員 伊勢湾台風のような場合におきましては、固まって家を失った方々が非常にたくさん出ておるわけでございます。それでまず段取りとしましては、それらの方々は一応御存じのように避難所にお入り願います。もちろん親類縁者に避難をされる方もあるわけでございます。そうして避難所にいつまでもお置きすることはできませんので、その次にいわゆる住宅を復興するという間のつなぎといたしまして仮設住宅ということになるわけでございます。理想を申しますれば、災害がきて、それが水でも引いたら、とたんに仮設住宅を建てるということが一番理想でございますけれども、これは現実の問題としてできませんので、とりあえずのところは小学校なり何なりに避難を願いまして、そうして水が引いて落ちついてきたときに、そのうちで家を全然失った方、しかも行き場所のないというような方に対して仮設住宅を建てておるわけであります。御指摘のように水も相当長い間かぶっておりましたし、地方によりましては、これから仮設住宅にとりかかるというところも部分的にはございます。しかしそれは水を長くかぶっておったというふうな特殊な災害の様相によるもので、伊勢湾台風の場合にはそういうふうな取り運びに相なって参ったわけでございます。
  51. 阪上安太郎

    ○阪上委員 厚生省は親類縁者主義をとっておられるらしいのですが、厚生省の考え方としてはおかしいじゃないですか。私も実はそういう経験を何回もなめております。いつもあなたの方ではそういうことを言っておられるのです。それから被災家屋が多かろうと少かろうと、同じ理屈じゃないですか。やはり究極においては家を建てなければならないのです。二十何戸の全壊の中には一軒でも二軒でもあるということはあり得ると思うのです。そういうときにもう少し温情ある、厚生省らしいものの考え方を持ってもらわなければいけないと思うのです。いつもそういうことを言われるのですが、少し機械的過ぎはしませんか。もっと温情を持って、こういうものこそ助けてやらなければいけないのじゃないか。大きな災害の場合には、あらゆる方面から援助の手が差し伸べられるのです。むしろこういったものにもっと親身になって考えてやらなければならぬ面が私はあるのじゃないかと思うのです。それがいつも厚生省は応急仮設住宅の建設については、あなたの方から基準だとか何か示されて、そうして世論が盛り上がってくると、一割よけいにふやしてみたり何かしておられる。そんな考えじゃだめですよ。今度の場合だって、あなたの方がそういうお考えを持っておるから知事さんなんかが何もようやりはせぬのです。これは私から特にこの際どうしろということを言いませんけれども、もっとそれは法の精神というものを考えてやって、そうして的確な行政措置をされるようにしないと、いつもこの問題にぶつかりますよ。全国でこんなケースが毎年何回か起こっているはずです。爆発ばかりじゃないのです。もう少し考えてもらわなければいかぬと私は思うのです。注意だけしておきます。
  52. 門司亮

    門司委員 念のために聞いておきますが、法律によると、知事が発動すると書いてある。さっき見ましたら、あなたの方の政令基準というところのずっと最後の方には、今申しましたような人口段階でいろいろ書いてございます。金沢の場合は、ちょうど六万八千ですか、半壊、全壊を入れますと、大体八十戸で当てはまるのです。神奈川の場合は、十六万で、全壊二十四戸と半壊を入れますと七十四戸になりますか、百戸に満たない、こういう数字が出て参ります。その基準が一応ありますので、今からでは事態がおそいのだ、ああいう部分的のものには差しつかえないのだというようなことでは、ちょっと困るのじゃないかと思うのです。今からあなたの方で知事に命令をするわけにいかぬでしょうが、あなたの方で示唆されるようなことができるのかどうか。また知事の方も今から申請したらそういう取り扱いができるかどうか、そういう点を一応聞いておきたい。
  53. 高田正己

    高田政府委員 今の戸数と被害戸数との関係等で、一応基準は設けておりますが、門司先生指摘のように、相当弾力性を与えて、最終的には現場の状態に対する知事の認定というものを非常に尊重しておりますことは御指摘の通りでございます。金沢の爆発の場合にも、あるいは災害救助法の適用になるのではあるまいかというふうに私どもは直感をいたしたのでありますが、現場の知事といたしましては、その必要なし、ただし医療が必要なものは応急医療をやる。その他の援護的な措置につきましては、県条例による措置で十分事態に対応できる、こういう認定でやったようでございます。  なお子安自動車のぶつかった事件につきましては、これはもう災害救助法の発動というようなことは、現場としましても、私どもの方としましても、実は頭に浮かばなかったのでございます。  それで御質問の、さかのぼってこれを適用するということを知事が言うてきたらどうかということでございますが、知事が一応そう認定をいたしました上のことでございますし、おそらくさようなこともあるまいと私は考えております。なお、知事の方でさような認定を変更いたしまして聞いて参った場合には、私どもの方としてそれを今になって了承いたすというふうなことにはどうもいたしかねるというような気がいたすのでございます。
  54. 門司亮

    門司委員 この問題はもうこれで打ち切ろうと思っておりましたが、今の答弁だとちょっと困るのです。事実はあっても、今ごろ言ってきたのじゃ工合が悪いというのは、あまりにも役人過ぎやしませんか。やはり事実は事実として、そのとき当然やるべきであったが、何か勘違いをしておったのか、あるいはあなたの方から出されておるものが十分徹底してなかったのか、知事の裁量がどうだったかわかりませんが、いずれにしましても適用すべきものであるならば、おそくても早くても適用するというような御答弁がなければ罹災者はどうなります。知事の手続がおくれたから仕方がないというようなことであきらめるわけにいかぬと思います。ことに金沢の問題は割合全壊が少ないのです。むね数はたくさんありますが、工場や何かが多かったから世帯数は割合少ないのです。それでもあなたの方の書かれたものの基準に当てはめていくと、ちょうど基準に当てはまるくらいの数字になるわけです。十万以下で八十戸と書いてありますから、それに当てはまる。半壊は二戸をもって一戸とする、床上浸水は三分の一に換算すると書いてありますから、その通り計算すると、そうなる。子安の問題も、大体これは全壊が多い。しかしこれも合わせて八十数戸にしかならない。どうでしょうか、その辺のものの考え方ですが、そのほかに引揚者に対する援護の措置とか、厚生省はかなり厚生省らしいいろいろな施設を行なっておられるのですが、こういう災害に対して、当然該当するものであったが言ってこなかったからしない、今から言ってきても間に合わぬという冷淡なことではなくて、もう少し何か格好のついた御返事はできませんか。
  55. 高田正己

    高田政府委員 私の方の少し言葉が足りませんで、あるいは誤解を与えたかと思いますが、私は手続がおくれたからいかぬというようなことを言っているわけじゃないのでございます。災害救助法のいろいろな手続がございますが、これは手続はあとで行なうことが多いのでございます。そうではなくて、災害救助法を適用するような実態が、必要性があったかどうかということが問題なんでございまして、もしそれがあったとすれば、手続がおくれておりましても、別に私どもはとやかく言うつもりはないのであります。知事も、県庁の方も、現場に行っておられるはずであります。従って、そのさなかにおいてその実態について判定をいたしまして、これはその必要なしという事態を認めたのでございますから、今御指摘のように、仮設住宅の金の出場がないから、あとでさかのぼって災害救助法を適用すれば仮設住宅の金の出場ができてくるというふうなことで、これをさかのぼって適用するというふうなことは、ちょっと工合が悪いのじゃないか、こういうことを実は申し上げたのであります。
  56. 門司亮

    門司委員 私は、どうも政府答弁は、どれを見てもこういう事件に対してきわめて冷淡だと思うのです。これはよりどころのない諸君ですから、厚生省がやっている引揚者に対します給与規定というようなものもあるのですね。事柄は違いますが、こういう形でほんとうに困っている人についても幾つかの法律ができているわけなんです。その法の精神というものは、困っておるそれらの人たちが立ち上がりのできるように、あるいは住居に困らぬようにという趣旨でできておるのです。従って、ここの問題がそれほど必要としないのだというようなお考えだとすれば、私は違うと思います。これは焼けたやつより、片づけなければならぬだけよほど始末が悪い。現場に行ってみればわかりますけれども、二十九戸は全く切れ端になっている。ほとんど何も残らぬように、はりも柱も一メートルくらいの切れ端になっている。そういう状態で、実際問題としては災害の程度としてはかなりひどいのです。私は、やはり災害の程度というものが、この際問題になろうかと思います。範囲というものと程度というものは違うと思います。従って、やはり災害の程度というものを見ていただいて、そういうものの必要はないのだというようなお考えには、私どもそのままこれを承服するわけには参りません。しかしあなたとここで幾ら議論しても始まらぬかもしれないが、一体厚生省はどうお考えになっておるか。災害の程度と量というものについてのお考えですね。これはしんしゃくされておるようです。今申し上げましたように、半壊については二戸を一戸の全壊とみなすとか、あるいは床上浸水については三分の一に計算すると書いてありますから、ある程度量と質との問題を兼ね合わせたような通牒になっておるように見受けられますが、実際われわれから考えて参りますと、やはり質の問題がかなり人心的には影響しやしないかと考えられる。同時にああいう何らのよりどころのないような――相手の会社といたしましては今まで出した金は四百万円であります。自動車の損害賠償保障法で負傷者に対しては出しておるようでありますが、ほとんどよりどころがない。子安の方もその程度でありますし、金沢の東洋化工の方も、千十の世帯で九百人のけが人に対して全部で約六百万円程度しか出ておりませんような状況です。そうしてこれに数千人の被害者がある。従って被害者自身に対しましては、ほとんど見るべきものはないのでありまして、やはりこういうものについては、国ができるだけ法の解釈を広くして取り扱いをしてもらうということが私は正しいんじゃないかと思います。それをおやりになったからといって、だれも非難する者はないと思うんですよ。こういうことをやったからけしからぬといって怒る人はないと思います。その辺がどうも今の答弁では、私はすなおに承服するわけには参りません。絶対できないというお話なんですか、どうなんですか。
  57. 高田正己

    高田政府委員 事柄の性質といたしまして、先ほど来繰り返して申し上げておりますように、救助法を発動するかどうかということは、非常にデリケートな判断の問題でございますので、私どもといたしましては一応基準を設けて、知事の判断のよるべきところを示してはおりますけれども、最終的な判断はあげて知事さんにしてもらっておるわけであります。中央で机の上で一々――これは災害の模様がなかなかわかりませんので、やむを得ずそういうことにしておるわけであります。その判断におきましてすでに発動の必要なし、それは御指摘のように災害の量も質もあるいはその他の様相も、いろいろな点を加味しての判断でございます。さような判断をいたしておられますので、それを今日になって変更をいたしましても、すでに御承知のように災害救助法の救助にはそれぞれ期間がございます。従って、その期間の大部分が切れちゃっておるわけであります。さようなときに、さかのぼって仮設住宅だけに適用するというようなことは、これはどうも今までの災害救助法の精神並びに取り扱いから申しまして、少し無理なように私は考えるわけでございます。繰り返し同じことを申し上げましてまことに恐縮でございますが、私の見解は以上の通りでございます。
  58. 門司亮

    門司委員 最後に、総括してお聞きをしておきたいと思いますが、火薬類運搬に関する災害予防指導要領ですか、通産省、運輸省警察庁、国家消防本部と、四者協議事項として出してあります。これと関連して今まであります火薬類取締法についても、一体ほんとうの主管はどこなんですか。先ほどからの私の運輸省の省令に基づく質問についても、通産省の諸君が盛んに答弁をしておる。しかし省令は運輸省の省令になっておる。一体どっちがほんとうの主管省なんですか。その点は、全部これを集約したものが県知事のところにいって、何でもかんでも県知事がやればよろしいんだということになると、大へんなこと生なるのです。ですからその辺をもう少し明確にできませんか。先ほどから申し上げておりますように、運輸省令で出ております限りにおいては、見張人をつけるとかあるいは監視人を置くとかいうことの監督は、これは通産省がやるべきでなくて、運輸省がやるべきじゃないのですか。このけじめは、一体どっちがほんとうなんですか。火薬に関する限りは何でもかんでも通産省がやるというお考えならば、通産省令でお出しになればいい。運輸省令で出ておって、通産省がこれを監督するということは、どうも私は組織上おかしいんじゃないかと思うのですが、どっちがほんとうの責任者なんですか。
  59. 前田郁

    ○前田(郁)政府委員 私も、はっきりしたことはわかりませんが、この自動車及び軽車両による火薬類運搬につきましては、これらの構造に関する技術上の基準のみが運輸省令にゆだねられているような次第であります。
  60. 秋山武夫

    秋山説明員 運送用具、この場合自動車でございますが、車両基準そのものにつきましては、これは運輸省令で出ておりまして、運輸省所管の仕事でございます。運送業務、これは他の物資は別でございますが、事火薬に関しましての輸送は通産省の所管という、はなはだこれは入り組んだ関係になるのですが、従来そういう扱い、また解釈になっておるのであります。
  61. 門司亮

    門司委員 そうすると、これはどう解釈すればいいのですか。火薬類運搬制限に関する取り締まりは、火薬類取締法施行令というやつがあるのですが、そうすると、火薬類取り締まりについては、これは通産省がやるのであるということです。しかしこの場合にも、やはり運搬に関する技術上の基準というようなものもちゃんと書いてありますね。それから道路運送車両保安基準については、これは運輸省令で出ておるのですね。そうして車両装置がどうとかこうとかいうことが書いてある。それからその次にある火薬類運送する自動車及び軽車両構造装置及び性能に関する規則というものも、これも運輸省令で出ておりまして、火薬類運送する自動車及び軽車両構造装置及び性能に関する規則の中で同じようにいろいろな事項がずっと並べてありますが、従ってこれの指揮といいますか、監督は、あげてやはり運輸省が行なうのだということになりますと、さっきからいろいろ通産省の方が答弁をされておりますることは、あれは運輸省答弁と聞いておいて差しつかえないですか。
  62. 石河正利

    ○石河説明員 はなはだ失礼ですが、ちょっと誤解しておられるのじゃないかと思います。私は運輸省自動車局の整備部長でございます。先ほど自動車構造のことに関しましては、運輸省の方から御答弁をいたしました。今次官から申し上げました通り、この法律の中の第十九条にございますが、運送する自動車に関しましては、その構造についてだけが運輸省令の方へ入っているのでありまして、運輸省令の中身につきましては、当然運輸省責任を持っておるのであります。それ以外については通産省だ、こういうふうに考えております。
  63. 門司亮

    門司委員 そうしますと、運搬に対する技術基準というようなことも、全部これは先ほどから通産省から答弁されておりますので、通産省の答弁だと、こういうように解釈しておいて差しつかえございませんね。そうすると私の聞きたいのは、この火薬に対するそうしたまちまちな、どこに話をすればいいのか実際はわからぬのであります。被害者の方もわからぬし、われわれの方もわからぬのであります。警察が一切やっておるのか、県庁が一切やっておるのか。県庁にも御承知のように火薬取り締まりに関する諸君はおりますけれども、これらの諸君も、運搬その他自動車構造なんかのことについては、一応取り締まり基準は、ここにきょう配られておりまするこういうものを持ってきて、県庁ではいろいろ検討しておるようであります。そうすると、上の方は三つにも四つにも頭があって、下の方は県庁だけで、しかもそれが県の経済部でそういうことが行なわれておる。集約されたものはすべて県庁が行なうんだというように解釈しておいてよろしゅうございますか。
  64. 秋山武夫

    秋山説明員 事運送につきましては仰せの通りでございます。ただたとえば軌道、無軌条電車それから自動車及び軽車両運搬具、これは先刻来申し上げたように運輸省所管でございます。そのほかに鉄道、索道及び船舶、これは運送具のみならず、鉄道輸送あるいは船舶輸送輸送そのものも運輸省所管であるということになっております。まことに複雑でございますが、十九条二項の解釈は、従来からそういうことで大体統一をされております。従ってそれが末端へ参りますと、知事のところで集中されるということになっております。
  65. 三田村武夫

    ○三田村委員 関連して。これは質問というよりも、むしろ要望になるかもしれませんが、近ごろこの火薬に関する事故が頻発いたしまして、非常に大きな不安を醸成していることは御承知の通りでございます。今質疑に対する御答弁を伺っておっても、何が何だかさっぱりわからぬ。運送業務に対することは運輸省、それから事業の監督について通産省、これはわかりますけれども、業務とか運送ということを離れて、事故防止という立場から非常に重要な関心を持たなければいけないと思うのです。これはもう必要であれば、この火薬類に対する取り扱いというものに、何かはっきり、すっきりした基準、基礎を法的に設けておやりになりませんと、非常な問題があると思うのです。この間神奈川県でああいう大きな事故のあったあと、これも一週間くらい前でしたが、私どもの近県、愛知県の名鉄で、やはり火薬を七トン積んだトラックがぶつかって、これは幸いに爆発を免れましたが、爆発したら大へんなことなんです。私がこれを申し上げることは、私、この問題についてはゆっくり警察当局ともこの委員会で議論してみたいと思っておったのです。四、五年前に私の岐阜県にあります関ヶ原の火薬庫が爆発したことがある。昔は関ヶ原に大きな軍の火薬庫があったのでありますが、多少その工場に手入れをいたしまして、現在は花火を作っておる。たまたま私が滋賀県に行っているときにこの工場が爆発いたしまして、私の地元ですからびっくりして飛んで行ったのです。七人か八人即死しておりました。そのときに地元の警察署の人が来て言うのです。昔はこういう事故のないように十分われわれは常に日常監視しておりました。今はわれわれはそういう権限がないのです。おおむね通産省の所管であって、警察官もそういう事故防止のために立ち入ってもいいという規定はあるが、実際は所管は私どもではないので、常に目が届きません。しかもこういう事故が起きると非難はすべてあげて警察にくるのだ、何とか考えていただきませんと事故防止上非常に困りますということを言っておりました。昔は、御承知のようにこういった問題は全部警察がやっておったので、全部警察所管に移せということを私は言うのではないのですが、業者は業者別個にこういう事故防止という立場は非常に重要であります。先ほど来ここで話が出ておりましたが、この事故によって受ける被害者は全く責任のない者の被害であります。これは台風水害と同じように全く自己の責任に基づかない被害で、しかも甚大深刻であります。そういった事故に対する手当というものはもっと法的に根拠を明らかにして、常にそういった事故防止の目の届くようにしておきませんと、これは私は大へんな問題だと思うのです。今の車体の検査は運輸省、業務の内容については通産省、末端の事故――自動車の走るところだけ警察と、こういうことでは、私はほんとうの筋道の立った手当にならぬと思うのです。何も役所を別々にしてややこしいことをしておく必要は、実際はないのです。運輸業務は運輸省であることはそうでありましょう。また営業の許可認可については通産省であることもそうでありましょう。けれどもそれは役所の行政上の都合で便宜やっていることであって国民は非常な迷惑をしてしまう。非常な迷惑をするのです。一人でも人の命は大切ですよ。山へ登ってなだれを食って死ぬことは自己の責任でやることですが、火薬を積んだトラックが飛んできて電車にぶつかって、そのために無辜の良民が多数の災害を受ける、そういうことをなからしむる措置が国としては要るのです。役所が別だから非常にめんどうな処置を必要とすることは行政の怠慢です。同時に政府の怠慢です。そういうことはあってはいかぬと思う。これは警察当局運輸省も通産省も、しっかり一つこの点は御相談願いまして、必要ならこれを一本にすることもけっこうでしょう。何かはっきりしてもらいませんと国民の不安は除けません。除けないだけでなくて、事故を防ぐことは不可能です。これは真剣にお考え願いたいと思います。今ここで直ちに私は答弁を求めようとは思いません。せっかく門司君もさっきから言っておりますが、結論はさっぱり出てきません。役所の局長が、これだけは私の範囲です、ここまでは私の方の役所の領分です、こういうことでは結論は出てきません。災害を受ける者は無事の良民です。そういう点は一つしっかりお考え願いまして、どこの役所でが責任の役所あるというのでなくて、行政府責任をとるのだという建前をはっきりしてもらいませんと、問題は解決しません。一つ十分真剣な研究、検討を要望いたします。
  66. 田中榮一

    田中(榮)委員 火薬爆発、危険物の取り締まりにつきましては、本委員会におきまして、数次の質問等によりまして大体われわれも了解したのであります。しかし、質疑応答を承っておりますと、まだ疑問が数々起こってくるわけであります。そこで、先般来各委員からいろいろ御質疑があったのでありますが、私は、この機会に政府としては火薬取り締まりの根本的な問題として、今までの考え方をさらりと捨てて、責任の所在をはっきりするような法令の改正をお願いをいたしたいと思うのであります。たとえば火薬類取締法の四十三条の第一項には、通産大臣が立ち入り検査をさせるという規定がございます。それから第二項には、警察官または海上保安官は、立ち入りはするけれども検査はできない、関係者に質問をすることができるということになっておりまして、この中には消防官吏というものは入ってないわけです。そこで通産省だけがこうした現場の取り締まりをするという観念をこの際一擲しまして、通産省はもちろんのこと、警察官または消防官吏も同時に立ち入り検査をするというような権限の大幅な移譲を警察消防に認めるような法令の改正をお願いをいたしたいと思うのであります。先ほど三田村委員からもお話がありましたように、被害をこうむるのは無辜の国民でありまして、役所の権限がどうなっているかということは一般の者は全然知っていないのであります。従って被害だけは無辜の国民が受ける。受けてから後、その責任がさっぱりわからぬ、被害の救済もできない。こういうことでは、将来われわれは安んじてこうした火薬類の取り扱いを政府におまかせすることができないわけであります。そこで内田政務次官もちょうどお越しになりましたので、近く法令を根本的に改正をして通常国会にこれを提案されるという話でございますが、いかがでしょうか。こうしたものをしょい込むということは警察側も消防側も非常に御迷惑と思いますが、しかし官庁の迷惑とか便利だとか、そういう問題は別といたしまして、災害防止という観点からいたしますと、たとえば三十二の直轄工場は通産省の当該官吏だけが臨検することができるけれども消防警察は全然権限がない。かようなことであっては非常に不便でございまして、先般も池田通産大臣に私が質問いたしましたところが、災害が発生するおそれがある場合においては警察官も立ち入りして差しつかえない。しかし災害が発生するかしないかということは、警察消防も外部からこれを認定する力もなければ、そういう経験もないのでありまして、実際工場内に立ち入らなくてはそうした認定もできないわけであります。その三十二の直轄工場はもちろんのこと、全部の火薬類の製造、販売、貯蔵するような場所に対しては、警察官、消防官吏が全部一緒に立ち入って検査をする。すべて物事の判断はおか目八目でありまして、大ぜいの者が見ることによって非常に安全性を保つわけであります。私の経験からいたしますと、両国の川開き、それから花火大会は、私の責任において毎年やっておったのでありますが、これには消防官吏も警察官吏も、また東京都知事の下の役人も全部来てもらいまして、全部の人にいろいろ意見を言ってもらっております。だれでもいいから意見を言え、意見を言うことによってわれわれがそれを是正する、これによって過失をなくするわけであります。そういう意味におきまして、権限争いは別としまして、ぜひとも今回の法令改正におきましては、警察官も消防官も同時に立ち入りができて、しかも臨検ができるような法令の改正に持っていっていただきたい、かように私どもは希望するわけてあります。  それからなお、先般来本委員会におきましていろいろ質疑応答しておるうちに、関係各省におきまして火薬運搬に関する災害予防指導要領というものができたのでありますが、これなんかも的確にさらに綿密に考えてみますと、たとえば運搬届け出は四十八時間前に格関係警察署にもこれを行なうということになっております。それによって事前措置を講ずることはけっこうであると思いますが、われわれから見ますと、届け出によって直ちに行動ができるというのではなくて、届け出によって、運搬証明書を発行することによって初めて運搬行動が開始できるわけでありますので、少なくとも四十八時間、二十四時間の余裕時間というものは、運搬証明書を交付してから四十八時間あるいは同一県内ならば二十四時間、そういうようにいたしませんと、届け出をしてすぐ二十四時間たったら、あるいは四十八時間たったら自動的に行動に移る、運搬証明書を発行するまでは少なくとも六時間、七時間はかかると思います。それだけ余裕の時間は短縮するわけでありますが、こういう点につきましても、もう少し綿密におやり願いませんといかぬと思う。これは外面的に、形式的にはこれでいいと思うのです。他府県にわたるときには四十八時間以前に関係警察署にこれを同時に届け出させる、これでいいと思うのです。同一県内で二十四時間以前に届け出させる、それでいいと思うのですが、しかし受け付けた県庁は出先の方で受け付けた、すぐ瞬間的に証明書を出すわけではないのであります。やはり二時間、三時間、長いときには一日くらい余裕を置いて運搬証明書を出すわけでありますから、運搬証明書を発行したその瞬間から四十八時間、二十四時間という時間の算定をなさるのが正しいのじゃないか。これにつきましては何にも示されておりません。届け出を出しまして四十八時間たてば瞬間的に運搬できる、こういうようにわれわれには解釈できるわけであります。そういうこまかい点もございますし、本委員会におきまして各委員から非常にこまかい質問がございましたが、こういう点を一つ取り上げまして、最後のだめ押しに私は申し上げますが、ぜひ一つ法令改正には、通産省側におきましても災害防止という大きな気持から、警察側、消防側に大幅な権限を移譲していただく。同時に警察消防におかれましても、公共的な見地から、こんなめんどうくさいわずらわしい仕事はもうお断わりするというようなことでなくして、公共の災害を、お互いに十分注意して防止するという見地から、一つ関係省が腹を割ってお話し願って、大幅な権限の移譲をしていただくことをお願いいたしたいと思います。内田政務次官の御意見を伺いたいと思います。
  67. 内田常雄

    ○内田政府委員 私は、ここに軽工業局長が見えておりますが、事務当局とは何らの相談もしないし、また事務当局から答弁について指図を受けないで、私は一人の良識ある政治家として、また国会から送られた通産次官としてお答えを申し上げます。  田中委員、三田村委員の御意見は、私は全面的に賛成であります。また党派を超越いたしまして、先般来門司委員からおただしのありました法律解釈の不備、取り扱いの不徹底というようなことについては、これも私は同感でございます。でありますから、この前東洋化工の爆発事件がありました際に、当委員会におきまして、亀山委員でありましたか、お尋ねがありました際に、私はこうあるべきだ、こうするつもりだということを虚心たんかいにお答えをいたしておいたのでありますが、その後製造面ではなしに、輸送面で第二京浜国道のああいう惨事が勃発をいたしまして、ますますその感を深くいたしたのであります。あの事故突発の直後に、私は軽工業局長以下を私のところに呼びまして、これは一体法の不備か、あるいは法は整備しておるけれども、行政責任かということを問いただしたのでありますが、これは門司委員が心配されておると同じように、実はさっぱり要領を得ないのであります。運搬具の所管運輸省であることははっきりいたしておるのでありますが、しかし政令解釈、またそれに基づく運輸省令解釈に至りますと、だめ押しができないというような状況でありましたので、私は、こういう意見を持って事務当局に申し入れをいたしました。  それは先般もお答えをいたしましたように、今度の通常国会には火薬類取締法の全面的改正を事態に沿うようにいたします。その際には、今田中委員から御意見が開陳されましたように、昔の銃砲火薬類取締法等における警察官憲の干渉の状況ども参考といたしまして、警察なり消防なり、そういう公安維持の機能を有する機関が十分法律の運営に参画をして、そして国民の安全を期するようにしたい。こういうことをおもなる内容といたしまして、次の通常国会に、改正をすることはもちろんであるが、しかし次の通常国会で火薬類取締法改正案が成立をし、それに基づく政令また各省の省令というものができることになると、来年の五月とか六月とかいうことになる。その間にも毎日火薬類は製造され、輸送される。今日の交通が非常に輻湊をしておる状況におきましては、いつまた同一の事故が起きないとも保しがたいのでありますから、法律並びにこれに基づく政令、省令等の改正は、これは全体的の作業としながら、今直ちに現在の法律のもとにおいても可能な政令なり省令なりの改正関係機関が集まってやるべきである。その作業をぜひしてほしいという申し入れをいたしたのであります。それに基づきまして通産省、運輸省警察庁等の方面の方々が、今相談をしてくれておるはずでありまして、その結論は、私の希望するように、火薬類取締法改正を待たすして可能な政令なり省令なりの改正というものを、今直ちに出せるものは、ことに輸送関係などの面におきましては、出せるような作業が、今どの程度まで進んでおるか知りませんが、一そうそれを督励をして参るつもりであります。  なお、改正にあたりましては、単に法律関係官庁の責任を明らかにするだけではありません。いかに責任を明らかにいたしましても、万一事故が発生いたしますと、もう取り返しがつかないのでありますから、火薬の製造とか、販売とか、輸送とか、あるいは消費とか、これは一連の関係のある事項でありますから、これらの取り締まりなりあるいは監督などにつきごましては、一つのメカニズムができて、責任を明らかにするだけでなしに、製造から輸送、消費に至るまで一つのメカニズムができて、そのメカニズムの中において、それぞれの関係機関が常に適正な処置がとれるような体制に持っていかなければならないと私は考えます。  ただ私は、従来聞いて参りますと、昭和二十四年のころ、いかなる経緯で火薬類取締法というものができたかよく存じませんが、これは通産省だけではとうてい輸送から消費の面まで責任の持てることではないわけでありますから、関係各省とともに行政府としてやらなければならぬことでありますが、ただいやな問題でありますので、通産省が自分の権限だといって権限を主張する面があるいはあるかもしれませんが、あるいはまた他の面においては消極的権限争議で、そういうことは警察としても、あるいは運輸省としても引き受けたくないというような面があったかもしれません。しかしそれらの面につきましても、これはお互いのことであります。ことに私どもは、ここに同僚の前田政務次官もおられるわけでありますが、元来運輸省の役人でもありませんし、通産省の役人でもありません。国民の代表でありますから、役所の消極的権限争いとか、積極的権限争いなりにつられることなく、運輸省にも協力していただく、警察庁にも協力していただく。通産省も自分だけでしょい込んでいくというようなことはしないで、化学工業という立場で通産省が責任をとり、これは重化学工業の一つの基礎原料でありますから、昔のような取り締まりだけで済むものではないことは明らかでありますから、通産省としても、これだけは通産省がやらないと日本の軍化学工業の円満な発達ができないという面もあるのでありますから、われわれがやらなければならぬことはやりますが、同時に他の関係省は、通産省に積極的に御協力いただけるような形にして参らなければならないと思いまして、いろいろ責任を感じております。申すまでもなく、この法令ができましたのは、今から十年前の昭和二十五年でありまして、製造の面におきましても、その当時考えられた保安距離とか保安規定というものは、世情の変化やあるいは人口の密集状況によってまるで変わってきておると私は思います。また輸送などに関する法律政令、省令の規定にいたしましても、今日の交通状況は十年前とまるで変わってきておりますから、全面的に考え直さなければならぬところにきておることはもちろんでありますので、御激励をいただきまた御理解をいただいたわけでありますので、私どもも御意見全く同感でありますから、その線に沿って至急に措置を講じて参るつもりでございます。
  68. 門司亮

    門司委員 時間もおそくなっておりますから最後に、次官がおいでになっておりますので念のために聞いておきたいと思います。この間商工委員会に私が出ておりましたときにも、大臣もはっきり肯定しておったのでありますが、三十幾つかの通産省の直轄の火薬製造所がある。それに対して取締官としては三人しかいない。これではどうしても手が回らないということをはっきり言われておりましたが、それはそうだと思います。そうだとすれば、火薬類取り締まりについては政府がきわめて手抜かりがあったということが適切であるか、あるいは怠慢であったということが適切であるか知りませんが、われわれから強く言えば、政府はきわめて怠慢であったということが言えると思うのでありますが、予算がないとかあるいは交付税が足りないとかいろいろ言われておりましたが、そんなことは別の問題であって、三十幾つ工場があるのに、三人ぐらいの取締官では満足な取り締まりなどできょうがないのであります。この点は大臣も肯定されておったのでありますが、次官ももちろん肯定されると思うし、また事実はその通りだと考えるのであります。  もう一つの問題は、先ほどからいろいろ議論をせられておりますが、監督の権限と監督に対する政府責任でありますが、火薬類取締法施行令五条の一号にあります「自動車又は牛馬車運搬する場合には、見張人をつけること。」こう書いてあります。ところが、この事故の場合には見張人がついていなかったのではないか。自動車助手はついて乗っておったかもしれないが、見張人はついておらない。この見張人解釈には、牛馬車の場合には歩行者をもう一人、牛や馬を御しておる者ではなくて、そのほかにもう一人つけるということになっておるわけでありますが、自動車運搬の場合でも、自動車助手ではなくて、当然やはり見張人がついていなければならない、しかしこれがなかった。同じように道路運送車両保安基準においても、十号には明らかに「監視人の使用に便利な箇所に、第四十七条第一項の規定に適合する消火器を備えること。」こういうふうに書いてある。従って当然監視人あるいは見張人というものは、言葉は違いますが、つけなければならなかったものだと解釈することが、この法律によれば正しいと考える。そうだといたしますと、この規定が守られていなかったということの責任はやはり監督官庁にあると私は考えるのでありますが、この点を一つ次官からそういうふうにお考えになるかどうか、はっきり御答弁を願っておきたいと思います。  それからもう一つの問題は、これは先ほど公安委員長に聞いてみましたが、わからぬという話でございましたが、火薬類のことであるから、どうせ火薬取り締まりを一手に引き受けていると自負をしておると考えられる通産省にお尋ねいたしますが、駐留軍火薬その他の輸送の届出あるいはこれに対する取り締まりは一体どういうように行なわれておるか。この点は、先ほどの御答弁ではだれも御存じないようですが、一体どうお考えになるのか。よけいなことのようですが、日本火薬だけが爆発をして、向こうさんの火薬爆発をしないというようには考えられない。爆発するのは同じであり、事故が起これば迷惑するのは日本の国民です。だから同じような措置、同じような取り締まりが行なわれてしかるべきだと考えるが、そういう点についての次官としてのお考えをお伺いしておきたい。
  69. 前田郁

    ○前田政府委員 門司さんのお尋ねに対するお答えになるかどうか知りませんが、私は、京浜第二国道における輸送中の爆発事件が起こりました直後に、法令はどうなっておるかということを事務当局に尋ねたのであります。ところが、なかなか周到な規定が一応はあるようでありますが、全部時代おくれがして、これではこの法令を幾ら守ってみたところで輸送中の事故は防げないということを直感いたしました。たとえば火薬類を積んだ車は、昼間は赤旗を立てておくとか、夜間は赤い標識等を前後につけるというような規定が一応ありますが、しかし、今日二トンも三トンもあるいは先般のように四トンも運びます場合には、それでは足りないのじゃないか。少なくとも何か――むろん経費もかさみましょうし、そのために火薬類のコストが上がることは私はやむを得ないと思いますが、何か先駆車のようなものをつけなければならぬのじゃないか。今度規定改正する場合にはそういうことも考えらるべきだということを、私は事務当局の者に申したのでありますが、今日の輸送規定は今申すようにそこまではいっていないようであります。今お尋ねの見張人をつけるということが輸送基準にあるようでありますが、私は不幸にして通産省のその方面の行政を長いことやっておったものではありませんから、見張人とはどういう見張人なのか、私が今希望したように、前に一種の見張車、警戒車のようなものを走らせるというようなところまでいくべきかどうか、しかし一応文理上はいかないだろう、あるいは最低限の場合には何か運転手のほか見張人を車に乗せておく、あるいは助手のようなことになるが、その辺で許されておるのか、その辺は知りませんが、少なくとも見張人という言葉がありますからには、輸送状況やそれから環境の変化に応じまして、見張人という文字は、昔は簡単に運転手のほかに助手がついておって見張っておればよかったかもしれませんが、今日の交通状況のもとにおいては、行政指導等によって広義に解釈されてもいいのじゃないかと私は感ずるものであります。それに対しまして通産省なり、運輸省なりが、この見張人の意義は、助手で足りるか、あるいは自動車の前にさらに見張車をつけるというふうにすべきだという指導をしておるかどうか知りませんが、少なくとも今後改正をいたします場合には、ただこういう漫然たる、車の中における見張人か車の外における見張人かわからないようなことではなしに、火薬の量に応じてはっきりした規定を盛り込み、それに違反した場合には相当の罰則を付するようなことにしなければなるまいかと私は考えております。  もう一つの点、駐留軍火薬輸送のことにつきましても、私は事務当局と打ち合わせをしておりませんが、これは存じないと申し得る立場ではありませんが、同様であります。あなたと同じ危惧を持つものでありまして、これが火薬類取締法規定を準用さるべきものか、行政協定に基く日米間の委員会等において、これに準ずる取りきめが少なくともせらるべきものであると私は考えます。幸い私が感じますところでは、日本の国内で生産され、またわれわれの経済の間で輸送されておる火薬に対する取り締まりや監視よりも、今までのところはガソリン一つ運ぶにしても、駐留軍の方がよりこまかい神経を砕き、また取り締まりをやっておる状況が見られるのでありまして、事故が起きていないことは幸いでありますが、理屈から考えまして門司委員の言われる通りでありますから、これらにつきましても事故の起こらないうちに同様な、あるいはそれ以上の措置がとらるべきょうに、もし今そういうことになっておりませんならば、これは外務省等を通じ、その他適当な方法を通じまして遺憾なきを期して参るべきだと考えます。そのようにいたしたいと思います。
  70. 門司亮

    門司委員 私の質問しておるのは、そういう政治的なことを要求しておるわけではございません。問題は、さっき言いましたように、見張人をつけなければならない、また監視人をつけなければならないということが二カ所出ておる。監視人と見張人という字句は違いますが、とにかく両方の政令に出ておる。そうなりますと、この間の子安のものにしましても、それがほんとうについておったかどうかということ、これは助手だというお話がありますが、自動車助手というのは、何も規則にあってもなくても、大体これは長距離を走るものとか、夜中に走るものにはみなついております。ことに助手にしても、少し気のきいたものは運転の免状を持った者がついて、いつでも交代ができるという安全性の措置がとられております。この場合の法律政令に定められている見張人というのは、助手とは違うという解釈を持つのが正しいと思う。そうだとすれば、あの事故のときの車に監視人あるいは見張人がいなかったということは、もちろん輸送する人の違反行為でもありましょうが、監督者の不行き届きでもあるということが言えると思う。同時にまた、そういうことを業者にどういうふうに徹底させておったかということも考えあわせて参りますと、どう考えても全然公務員諸君の瑕疵がなかったとは言えないと思う。その点を聞いているのです。あなたの方で、これはいや向こうさんが守らなかったのだから向こうさんが悪いのだ、自分たちはそれを知らないのだと言われるならば、これはもう監督の権限というものは要らない。法律があり、監督者がいる限りにおいては、やはりそれを守らせる。法律をやはり守ってもらうということでなければならない。もうはっきり言っておきますが、この場合は、おそらく監督の権限にある立場の諸君は、その車がどういう車であったか、どこから何時何十分に出たかということを御存じないと思う。届け出だけでこれはできることであります。しかも今日の届け出は、御承知のように届け出をして、その実行はたしか十日以内と記憶しておりますが、十日以内くらいに大体運べばよろしいという規定になっておりましょう。だからきょう何時何十分にここを出ますから一つ車体を検査してもらいたい、あるいは見張人、監視人をつけているかということを検査してもらいたいということになっていないと思うのです。届け出をして十日以内に履行すればいいということになっている。そういうことでありますから、この前の委員会でも申し上げましたように、この子安事故というものは、火薬の車は千葉県を十日の八時半に出ている。会社が神奈川県の公安委員会に通知を出したのが同じ十日の日で、投函されたのが午後四時半です。封筒の消し印は零時から六時になっております。そうして神奈川県庁が手に入れたのは十三日、十三日は日曜日であります。従って公安委員会は十四日の朝、事故は十一日の朝の四時五十分であります。これで間に合いますか。全然見ていない、監督しない。ただこういう規則があるぞよということだけを知らせているということで済まされる問題ではないと考える。やはり監督者である以上は、この規定がある以上は、それが守られているかどうかということは厳密に調査すべきであると思う。この調査が行なわれていないことは事実であると思う。従って、この問題については、全然監督官庁である通産省の諸君に瑕疵がなかったとは一言えないと思う。どなたにどういう瑕疵があったかということは別にして、監督官庁としての瑕疵があったということは、通産省はやはり認めてよろしいと思う。この点について御答弁願いたい。
  71. 内田常雄

    ○内田政府委員 私は今の法律政令、省令における輸送の際の届け出、またそれの通報などに関する規定が、あれではならないということを率直に認めるものでありますが、どうしてああいうゆるい規定で今日まで過ごしていたか、不思議のような気がいたします。それにいたしましても、門司さんお尋ねのように、見張人を付することという規定があるのでありますから、何らかの形において見張人がついていなければ、これは輸送基準の違反になるわけでありますから、この点は当局でもただしていることと思いますから、運輸省でありますか、通産省でありますか、今ここへ運輸省、通産省の当局がきておりますから、どういう見張人がいたかということは述べてもらうようにいたしたいと思います。いずれにしても今の法規体系は全く不備であります。これはさきにも述べましたように根本的に改正する。たとえば相当量の火薬類輸送するのには時間制限くらいなければならぬ。あれは偶然に明け方であったからよかったでありましょうが、おそらく今の規定には、何トン以上の火薬輸送するのには人通りの少ない夜中でなければならないというような規定はたしかないと思いますが、私はそういう点も入れなければいかぬと思います。  見張りの点については、どなたか事務当局からどういう見張人がいたかということを御答弁願いたいと思います。
  72. 秋山武夫

    秋山説明員 政務次官から見張人についての別の解釈がなされておるわけでありますが、私、先刻も門司先生の御質問にお答え申し上げましたが、どうもこの規定による見張人というのは助手であってはいけないのである、助手以外のさらに第三の専門の見張人を置かなければいけないのだというふうに読むべきかいなか、ちょっと私、ただいまのところ即答申し上げかねるのでございます。
  73. 門司亮

    門司委員 それはそれでいいが、もう一つ聞いておきたいのは、検査をしたかどうかということです。車が出るときに確かめたかどうか。確かめていないでしょう。あとで検査をしに行ったというが、事故のあったあとに検査をしに行ったというから、前に検査をしていなかったということは事実です。この規定を守らせようとすれば、やはり事前にこういうものがあったかないかということを、だれかが行ってきちんと監督をすべきだと思うのです。所轄警察にまかせてあるなら所轄警察でもいいが、それが行なわれていないということは事実だと思うのです。この点を私は聞いておる。  それからもう一つ資料を要求しておきましたが、落ちておりますから最後に申し上げておきますが、各都道府県の条例で知事の代行をし得るものがあるはずですね。市長だとか、あるいは町長だとか、この区域はこの市の市長に届け出をして火薬運搬をしてもよろしいという条例があると思う。その条例を一応全部というわけには参りません。私は、ここに神奈川県の条例を持っておりますが、しかし他の都道府県のこういう条例があるはずです。従って火薬の取り扱いというものはきわめてずさんにされておる。公安委員会届け出るというが、これは神奈川県でいえば、鎌倉市の市長でもよければ横須賀の市長に届けてもよろしい、こういうことなんです。だからこういうものとの関連性の資料を出してもらいたいと言っておいたが、資料が出ておりません。少なくとも私は、今のような当然監督をすべき条項があり、またそれが守られておったならば、ある程度事故が防止されたのではないかというような懸念の持たれるような処置がわれわれには考えられる。従って今申し上げましたように、今度の場合でも、せっかく見張人をつける、監視人を置け、こう書いてありますが、私は、これは車の助手とは全然意味が違うと思う。車の助手なら助手でよろしい、自動車にあっては自動車助手と書けばよろしい。ところが、やはり見張人とはっきり書いてある。監視人と書かないで、助手なら助手のところに消火器があればよろしいと書けばよい。しかしそこにやはり監視人と書いてある。こういうことを考えれば、どうしてもこれは助手以外の見張人をつけて、そうして輸送に万全を期するということが現行法でもあると私は思う。その監督が十分でなかったということにその原因があると思う。その点は何と言われても、私は、助手であるか、他の人であるかというような言いのがれはおかしいと思う。監視人とは何ぞや、助手とは違うということです。見張人とは何か、助手とは違うということです。同時に常識から考えても、さっきから何度も言っておりますように、長距離だとか、夜間だとかの運転をする車には必ず助手がついておるでしょう。これは輸送上いかなるものを運ぼうとも不安でありますから、夜中に運んだり、あるいは大きな荷物を運んでおるとかいう場合、荷物の重要性、ことに託送されておりますような荷物は個人のものではありません、いろいろな人の品物であるから間違いがあってはならないということから、助手をつけるということは、これは道徳上も必要なんです。こういうふうに監視の目的で助手をつけているものではないと思う。これは常識だと思う。通産省ではそれをどこまでも、その解釈は私にはわかりませんなんて、一体何のためにあなたは法律を守っているのです。法律を番しているのです。法律はだれが一体守るのです。国民が守ることに間違いはないかもしれない。しかし、守らせる指導をし、監督するのはあなた方の責任です。その人たちが法律解釈はわからぬというようなことで、どうしてこんなものが実行できますか。その点はっきりしておいてもらいたい。私は明らかにどなたの責任とは言いませんよ。そうした監督上の手落ちのあったことを認められても差しつかえないと思う。三十幾つかの工場に対して、三人しか検査官がいないということも一つの大きな落ち度である。同時に、運んだ車に見張人がいなかったということも現実にあなた方の落ち度だと思う。落ち度落ち度として率直に認められた方がよろしいと思う。政務次官からはっきり答弁を願いたい。
  74. 内田常雄

    ○内田政府委員 私は、門司委員の言われること、わかるような気がいたします。見張人とある以上は、社会通念における見張人と解せられる者でなければならない。でありますから、先ほども申し述べましたように、これは社会の状況の変化に従って、ある時代においては、助手が見張人を兼ねてそれでよかったような環境のもとにおいては、助手見張りをしておったという解釈や言い分が立つかもしれませんが、今日の状態においては、私は、門司さんの御心配なさる通りの状態になってきておりますので、助手が社会通念においては見張人とは言えないのではないか。やはり助手とは別に見張りの立場をはっきりとった者がいなければならないように解釈さるべきだと思います。それに対しまして、実際に車が出発する際に届けを受け、あるいは通報を受けて取り締まる地方公共団体なりあるいは公安委員会なりの職員がどういう扱いをしておるかというところまでは、私には、政務次官であって実はわかりませんが、気持は今述べた通りであります。助手しかいなかった、見張人がいなかったということならば、今日の社会通念においては、助手は見張人とは申せないというあなたのお説に私は賛成であります。今後これは責任の分野になりますと、はたして通産省の責任か、運輸省責任か、あるいは法令上公共団体の責任か、あるいはそれに対する監督不行き届という問題はもちろん生じますが、それはそれとして、見張人につきましては、今日の社会通念上、助手でない見張人を要するものと解して参りたい。そうして今後の万全の措置を法令改正までの間においてはとるべきだ、かように考えます。     ―――――――――――――
  75. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 次に、新潟県青海地方の自治及び財政等の問題の質疑を継続いたします。小沢貞孝君。
  76. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大へんおそくなりましたから、この前資料を要求して、答弁を要求した点だけに限ってきょうはお尋ねしたいと思います。岸行政課長に二点尋ねてあるのですが……。
  77. 岸昌

    ○岸説明員 この前のお尋ねの第一点は、青海町におきまして工場誘致条例を制定いたしておりますが、これは青海電化には適用されるが、明星セメントには適用していないということを聞いておるが、事実かというお尋ねであります。結論から申し上げますと、青海町におきましては、明星セメントにはこの工場誘致条例を適用しておりません。この理由といたしましてあげられておりますものは、まだこの明星セメントが青海町の中に設置しようとしておる工場につきまして、その敷地を獲得するに至っていない。従って、確実に工場の建設ができるかどうか明らかでございませんので、まだこの誘致条例を適用する条件が熟していない。かように解釈いたしまして、町におきましてはこの条例を適用していない。こういう説明のようでございます。  第二点といたしましては、黒姫山にございます町有地の地上権と採掘権とを不当に安く青海電化に町が譲渡した事実があるか。またこの譲渡を受けた青海電化が、これを他の会社に対しまして非常に高い価格で再譲渡した事実があるか。こういう点でございます。この点につきましては、まず黒姫山にございます青海町の町有地、七十三町五畝余りでございますが、これを向こう二十カ年の契約をもちまして全体につきまして年額一千円の賃貸料で青海電化に貸付をいたしております。しかし町有地を青海電化に譲渡したという事実はないようでございます。それから採掘権でございますが、これは御承知のように鉱業法に基づきまして青海電化が鉱業権といたしまして設定を受けておるわけでございまして、国から採掘権の設定を受けているわけで、町がそれを与えたわけではないわけでございます。この採掘権を青海電化が昭和三十三年の六月ごろに大日本セルロイドという別の会社に対しまして、五百万円ずつ五年間に分納するという契約のようでございますが、二千五百万円をもって譲渡いたしておることは事実でございます。しがしながら、この採掘権の方はあくまでも町とは関係がないものでございます。
  78. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これについても一つ一つ質問がありますが、非常に疑惑に包まれた青海の町の中ですから、地方自治法二百四十六条「自治庁長官又は都道府県知事は、必要があるときは、普通地方公共団体につき財務に関係のある事務の報告をさせ、書類帳簿を徴し又は実地について財務に関係のある事務を視察し若しくは出納を検閲することができる。」この自治法二百四十六条に基づいて、今から私の申し上げることを至急調査をしていただきたいというように考えます。  まず第三には、今御答弁のありました工場誘致条例なのですが、敷地を確保していないから、工場ができる条件が熟していないからこれは適用しない、たしかこういう御答弁のようですね。ところがこの条例ができたときには、青海電化の田海工場についてはこの条例を適用し、町でもってわざわざ工場の敷地を買ってやって、その工場の誘致をして提供しておる、こういうことです。その当時誘致条例を適用したときには、敷地を確保する条件ができておらなかったにもかかわらず、町でもって買ってやって、そうして青海電化には提供しておる。だから今度は敷地を確保してないから適用しないというのは理由にならないと思うのです。今度適用しないというのは青海町の条例違反になると私は思います。今の関係をよくわきまえていただいて、至急調査をしていただきたいと思います。それが第一点。  第二点は、青海町でこの誘致条例に基づいて当時青海電化の田海工場を招致するときには、坪当たり四百円を町費で払っておるわけです。坪当たり一千七百円のうち四百円町費で払うことになっているわけです。しかもそれはその工場ができてから後に固定資産税でこれを埋め合わせるというような含みでできているそうですが、一体その経理状況はどうなっているか、それが第二点。  第三点は、この間刑事局長とだいぶやりとりをした例の青海電化の私道の問題、社宅付近に町道があって、廃止のときには電化の私道でもってかわりを勤めてもらうという約束になっておるから、電化の作った道路というものは町道であってしかるべきだと思うのです。だから町道を廃止するような議決がされているか。新しい電化の道路は町道になっているかどうか。町道でなかったならば、私道であるならば、この固定資産税は徴収しておるかどうか。それからこの私道は河川敷であったはずですが、河川占用料を払っておるかどうかということを、河川局とも連絡して調べていただきたいと思います。  次には、青海町の町長は青海軌道商会――青海軌道商会というのは電化のトンネル会社みたいなものですが、ここから、確かな数字はわかりませんが、年間五十三万円の給料をもらっておるけれども、それが地方自治法第百四十二条「普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体に対し請負をし、若しくは当該普通地方公共団体において経費を負担する事業」云々、こういうものに違反しないかどうか。青海軌道商会という実体を調べて一つやっていただきたいと思います。  それからいま一つ、一番大切な、一番厄介な問題だと思いますが、青海電化工場の固定資産税、この納入に不正はないかどうか。評価員は電化の経理課長がやっているわけでありますから、よくわからない。監査委員もこの町にはないということを現地では言っていますから、この固定資産税は事務的に正しく納入されているかどうか。  以上について、先ほど申しましたように地方自治法二百四十六条に基づいて、現地に行って調査していただくようにお願いいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  79. 岸昌

    ○岸説明員 最初にちょっとお尋ねしたい点があるのでございますが、第三点の私道と町道との関係でございます。これはどういう関係お尋ねなんですか。そこがちょっとはっきりいたしておりませんので……。
  80. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この前「恐怖の町オウミ」という資料を配ったのですが、社宅に行く道路があるのです。この前刑事局長にも尋ねた問題なんですが、それが青海電化で作った道路だ、こういうわけなんだそうです。それで私権を発動して、ある者を通せんぼうしたりしたということがあるのです。この間私たちが行ったときには、火事だというのに消防車が行けないで遠くを回っていくようなことがあった。私は、これは私権が行使できないと思うのです。ということは、またあとお尋ねしますけれども、前に社宅の付近に町道があったのを改廃して、青海電化の道路に変わっておるはずだと思うのです。つまり社宅を建てる中に昔の町村道があったわけです。そいつを乗り変わって今は私道に変わっているはずです。だから町道を廃止するなら廃止する、変更するなら変更するという、当時村会であったかどうか、青海町であるかどうか知りませんが、その議会の議決その他が必要だと思います。議決があって変わっているならば私権を行使することはできない、町道だと思うのです。ところが私権を行使しているところを見ると、どうも議決でもって変わったのではなさそうだと思われるような節もある。しからばその道路というものは固定資産税を当然納めていてしかるべきだが、固定資産税等は納まっているかどうか、こういうことです。意味がわかりましたか。
  81. 岸昌

    ○岸説明員 地方道でありましたものを廃止して私道になっておる場合でございますか、それとも、私道として会社が作りましたものを現在地方道にしておるかどうかという問題ですか。
  82. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そのいずれになっているかどうか。私道になっておれば、固定資産税をとっているかどうかということです。
  83. 岸昌

    ○岸説明員 これは私は現地を見ないとわかりませんが、たくさん道路があると思いますが、社宅に通ずる特定の道路だけを調査すればよろしいわけですね。  それから第二点のお尋ねでございますが、この前青海電化に対しまして、この工場誘致条例を適用いたしました事情なり経緯につきましては調査いたします。しかし、この工場誘致条例違反であるかどうかというお尋ねがこの前あったわけでございますが、この条例の内容を見て参りますと、町が必要と認めた場合には、工場誘致の条例を適用する対象として指定をする。こういうような行為が必要になっておるわけでありまして、工場誘致条例を適用する対象になるものとして町長が指定するかどうかということは、条例を見た限りでは、一応自由裁量処分のような形になっておるようでございます。そういたしますと、同じ条件でございましても、一方を指定し、一方を指定しない、これは当、不当の問題はあろうと思いますが、条例違反というような問題は起こらないのではないかと考えます。事実関係につきましては調査をいたしまして御報告いたします。  それからこの二百四十六条を適用するかどうかという点でございますが、財務に関するものにつきましてはこの二百四十六条も適用できるわけでございますが、それ以外のものにつきましてはこれだけの権限はございませんし、また、現在までのやり方といたしまして、自治庁長官が直接いたしませんで、市町村の問題につきましては都道府県知事が行なうことになっております。そういう慣例でいたしておりますので、新潟県に対しましては、ただいま御指摘のありました事項につきまして十分調査をするように連絡はいたしますけれども都道府県知事がこの規定によりまして行なうかどうかにつきましては、私からはちょっとお答えいたしかねるわけであります。また、自治庁長官がこの規定を発動するかどうにつきましては、新潟県からの報告の模様を見まして、それが不十分でありました場合には、その際に検討をすることにいたしたいと思います。
  84. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それではどっちが先ですか。人権擁護局ですか、警察庁ですか、どちらからかお答えをいただきたいと思います。
  85. 中川董治

    ○中川説明員 過般小澤委員から御指摘のありました数項目につきまして調査いたしました結果、本日までに判明した事項につきましてお答えいたします。  第一点の、本年十一月十一日の社会党議員の方々が現場におもむかれました際に、社会党議員団が明星セメントに買収された云々との町内放送があったことにつきまして、議員団の方々から名誉棄損の告訴がございましたので、警察におきましては告訴に基づきまして捜査をいたしております。ずっとそういう放送があったかどうかということの聞知者についてずいぶん捜査を遂げたのでございますが、正確に聞知したという者が比較的少なくて弱っておったのでございますけれども、住民の方々でそれを聞いたとおっしゃる方が二人あったのでございますが、その二人の方について調べましたけれども、だれがどこでどういうことを言ったということが明瞭に記憶がないのでございます。それで関係方面につきましてずいぶん捜査を遂げたのでございますけれども、かかる言辞を弄した、こう認められるものが確認できませんので、その捜査状況等につきましては、立体書類とともに刑事訴訟法の規定に基づきまして検察庁に送付の手続をとっておる次第でございます。  第二点の調査事項でございますが、公明選挙運動の幕を張った自動車を電化側トラック道路内に斜めにとまって進行を妨害したことについて調査を遂げたのでございますが、かかる公明選挙の幕を張った自動車があの敷地内に入りまして、そこに電化側の自動車が横たわっておるという事実は警察側で確認いたしまして、警察官は注意いたしております。そうすると、自動車を運転する側におきましては、故障しておるので動かないのだ、こういうことでありましたので、故障して動かないにしても、早いところほかの車を持ってきてでも交通ができるようにしろという注意をいたしたのであります。そこでその注意に基づいて処置が行なわれたようですが、時間等がかかりまして、その間におきまして自動車があきらめて他の方に行かれた。こういう事情であるのでありますが、犯意を持ちまして他人の通行を妨げるという趣旨をもってそこに横たわっておったということを証明できる資料がなかった。故障によって動かなかったということを反駁する資料がございませんので、刑事事件としては取り扱っておりませんが、故障した車がそこにあって交通が阻害された事情等がありますので、警察官が注意しておる事情があるのであります。  第三の、過般小澤委員が御指摘になりました消防自動車の問題でありますが、御指摘になりましたごとく、当時火事がございまして、その火事に対しましては、消防ポンプが電化の会社にもあるようでありまして、電化の会社消防ポンプも出かけております。町の消防ポンプも出かけて参ったのですが、町の消防ポンプが出かけて参りますときに私道口のところにバリケードがあった。そこでそこを通らないで町道の方を通りまして現場に到着いたしておるのであります。そこで消防関係者につきまして調査をいたしたのでありますが、バリケードがあったためにその私道口から入れなかったことは事実でございますけれども消防活動について故意に妨げたというような認識が消防当局等にございませんので、故意に犯意を持ちまして消防自動車の交通を妨げたという事態は認められないということで、消防当局につきまして調査を遂げたのはそういう状況でありますので、刑事事件としては取り扱っていないのでございます。  それから次に信書開披のことに関連しての御質問であったのですが、四月三日午後Nさんの社宅で中学生三年のう子さんが母あての手紙を受け取ったところが、守衛Kの妻が来て、開封してこれを持って帰ってしまった。こういうことにつきましての調査を遂げたのでありますが、その間においてNさんという方が大体被害者と認められるのですが、その被害者の申告も全然警察にございませんので、被害の事実の確認がまだ明確にできないのであります。そのほかに守衛Kの妻ということが書いてありますが、守衛Kの妻ということについての確認ができませんので、大体こういった事件でございますと、これは親告罪でございませんので、いろいろ捜査を遂げなければならないことは遂げなければならないのですが、何といっても被害者が自分の手紙をこうこうこうされたということが判明いたしませんと、刑事事件としては進行いたしませんので、結局は被害者も確認できないような事情でありますので、かかる事件は警察としては認知できる状態にまで至らなかった事件である、というわけでございます。  次に投票日前日までに従業員全部のはんこを取り、妻君の署名まで強要したということについての状況でございますが、こういう風評がございましたので、いろいろ聞き込み等を行なったのでありますが、妻君の選挙に対して署名運動が行なわれたと認むるに足る資料を発見するに至らなかったのであります。  次に電炉職場で、組合頭が地区ごとに従業員を集めて、候補者と係長が出席して百円ずつ配ってお酒を飲まし投票を依頼したということについての警察の捜査でございますが、電炉職場という具体的な職場に関してのかかるうわさは選挙投票当日には起こらなかったのですが、選挙運動期間中にどうも買収等のことがあったので宴会等をやっておるのではあるまいか、こういうような風聞等もありましたので、そういう風聞につきまして警察は広い意味の捜査活動を開始しておるのでございますが、そういう買収等が行なわれたと認める資料が発見できませんので、刑事事件として立件するに至っておりません。  次に、社宅内のスピーカーを利用して候補者の演説を聞かないように放送し、音楽の曲によってあらかじめ反対候補者の演説を聞かないように妨害した。こういうことにつきまして、警察の調べでございますが、御指摘の町長選挙運動期間中に町長候補者の放送が、選挙運動が行なわれます際に、電化側の放送設備を利用して、オルゴールによる音楽を放送した事実がございます。これを警察で認知いたしまして、現場に出かけて参りまして、そういうことをすると選挙妨害になるおそれがありますので警告をいたしましたという事実はあるのでございますが、この放送が選挙の自由を妨害する目的をもって行なわれたという明確な資料は発見できませんので、現場の署といたしましては、そういうオルゴールによるところの放送等がともすると選挙妨害ないしは公職選挙法に定める犯罪になるおそれがありますので、警告の処置をいたしておりまして、警告の処置をいたしておることは事実でございますが、それが選挙運動の公正を害する目的をもって自由の妨害をしたと認められる資料は発見できませんので、刑事事件としては立件するに至っておらないのでございます。  それから行商人が社宅内で傷害を受けた、こういうことについての措置でございますが、この御配付いただきました印刷物にも書いてございますが、白川部長という人物が登場するのでございますが、この白川部長という部長は、当時青海警部補派出所の長でございまして、警部補の階級にある者でございますが、この警察官はすでに退職しておりまして、現在新潟県警察官ではないのでございますが、当時警部補であったことは事実でございます。従いまして、当時警部補でありました白川につきまして調査いたしたのでございますが、電化さんの行き過ぎにも困ったものだ、投書もたくさんあるが、最高裁までいかねば云々の趣旨の話をしたことはない。こういうふうに元警察官は申すのでございますが、こういった関係につきまして、だんだんさらに警察側におきまして調査を遂げたのでございますが、当時被害者と認められる者が警察に申し出がございまして、傷害を受けた、こういうことがありはしないかと警察考えまして、被害者につきまして事情を調べております。これは昭和三十二年十二月のできごとでございますけれども、当時警察署におきまして、被害者につきまして事情を調べておるのでございますが、口論の末素拳でなぐられた、こういう状況でありまして、口論の結果の暴行ざたとわれわれは考えられるのであります。口論の結果の暴行ざたでありますので、被害者におきまして特に刑罰権の発動を求めるという状況でありますが、明確でもなかった関係もございまして、警察署といたしましては、加害者に対し、厳重そういうことはしてはいけないという警告の措置をいたしまして、措置しておる状況でございまして、これは刑事事件として訴追する、こういう立場に立っていないのでございますが、町場におけるいわゆる暴力ざたが行なわれた。被害者がぜひ刑罰権の発動を求める意思が明確でもなかった関係もあるのでありますが、警告の措置によって事を処置している状況でございます。  ただいま消防自動車について私が申し上げたのは以上の通りでございますが、最後に、ただいま御発言がございましたが、問題の道路道路交通取締法にいうところの道路であるという点は、過般の委員会におきましても私はお答えいたしておるのでございますが、それにつきまして、道路交通取締法にいうところの道路では確かにあるのでございますが、町道とか、いわゆる公道でない関係等もございまして、全面的に犯意を持ちまして、幾ら私道でも、ある人間を監禁する目的とか、全体の交通を根本的に圧迫する目的で行なわれた場合におきましては、それぞれ刑罰法令に触れる場合が多いのでございますが、この場合におきましては、いわゆる私道という管理権の範囲の問題内になると思うのでありますが、ただいま御発言によりますと、これが私道とか公道とかにつきまして、さような疑義を持たれまして自治庁に御質問があったようでございますが、自治庁におかれまして、これが私道であるか公道であるかということがさらに明確になろうと思うのでありますが、警察の処置にいたしましても、それがさらに公道であるか私道であるかということが将来はっきりすることによって、だんだん事柄が変更することがあり得ると思いますけれども、多くの警察措置といたしましては、やはり現在現われておる状態を念頭に置かざるを得ない。そういたしますと、現在現われておる状態が私道的な状態であったかどうかということによって警察措置がそれによって行なわれて参る、こういうことに相なろうかと思うのであります。過般も御指摘がございましたが、あすこにバスが通っている。こういうような状況をお聞きしたのでございますが、これについても調べておるのでございますが、確かにバスは通っておりますが、電化口というところが私道と公道の境目でございますので、電化口まではちゃんと許可をとったバスが行っておるのでございます。電化口から社宅前の間が千三百メートルほどございますが、その間は普通のバスの路線許可でなしに、電化会社自動車会社と契約いたしまして、貸し切りの形によって一日四回運行されている、こういう実情になっておるのであります。電化会社はバス会社に対して年間一万六千五百円の料金を払いまして、電化口という私道と公道の境目から社宅内までは会社自動車会社の契約に基づいて走っている。こういう状況がございますので、比較的私道的においの強い道である。こういうふうに考えられますので、あの行為が直ちに刑法に定める刑罰法令に触れるとは今のところ考えられないのでございますが、さらに調査を遂げた結果、その性格その他がはっきりすることによってだんだんまた変わるかもしれませんが、警察活動といたしましては、現状にあるところの姿、すなわちバスの運行状態、いろいろ会社に措置されている状況等、表面に現われている現象をとらえて活動せざるを得ない状況でございますので、これをもって刑罰法令に直ちに触れるということは、今のところはっきり発見できない状況でございます。
  86. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この調査方法はどうやられたんですか。現地の糸魚川警察署の青海の派出所を通じてやられたんですか。
  87. 中川董治

    ○中川政府委員 われわれは調査をとります場合には、警察電話その他がありますが、われわれが調査いたすにつきましても、管区警察局の職員を通じ、または直接新潟県警察の本部の責任者によく照会いたしまして、その照会に基づいて、それが了得できれば了得いたしますが、了得できないことにつきましてはさらに再調査を定める。そういう方法で、電話その他の通信施設を活用しながら当方が管区警察局を通じて現地で調べる。現地で調べるにつきましては、新潟県警察という一つ警察でございますので、新潟県警察責任者を通じていろいろな事情を確かめて参る。向こうの言うことをうのみにするということではなしに、そういう機関の活動に基づいてわれわれの判断を加えていく、こういう方法で調査いたしております。
  88. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私たちも非常に危惧するようなことだと思うのですが、現地の警察というのが青海電化の私警察のようになっておるから当てにならないということで、問題が国会まで持ち込まれてきたわけです。糸魚川警察署や電化の派出所を通じての調査では当てにならない点がだいぶ出てくるのでございます。そこで今資料を差し上げますから、このページに基づいて一つ具体的に質問をして調査をお願いしておきますから、資料を出していただきたいと思います。  第一には、信書の秘密が侵されたものについては、被害の事実がわからないという今御答弁がありましたが、十六ページに、だれが被害を受けたか、たれによってそれを開封させられたかということが、具体的に人の名前が出ております。こういう事実をもってしても、私がここで質問したことに対しての現地における調査というものが徹底しておらなかった。こういうふうに考えるわけですから、今の刑事局長の御答弁では調査が不十分である、こういうふうに考えるわけです。だから十六ページに、たとえば場所はどこで、主人公は長沢吾作、その妻が長沢登志子、しかも信書を開けと言って開けさせられて、一緒にいたものはだれで、みんなそういう状況で集められた。こういうように具体的に人の名前が出ておりますから、こういう具体的事実について、これは信書の秘密を侵された刑事問題になると思いますから、今の御答弁では被害の事実がわからないという、私はこういう御答弁では満足できないわけですから、一つ具体的に調査していただきたいと思います。  同時に、人権擁護局の局長さんもいらっしゃいますから、人権擁護局の立場からも調査をしていただきたいと思います。たとえば公職選挙法の、電炉の職場ではんこをとったということはよくわからないとか、あるいは電炉の職場で百円ずつ渡して酒を飲ませている事実もわからないとか、こういう事実は私は調査が不十分だと思います。たとえば五十二ページを一つ開いていただきたいと思います。これは告訴状がその後ずっと出ておりますから、それに基いて調べていただけばいいのですが、具体的な一つの例として申し上げます。  五十二ページの(八)です。電化青海工場は、投票に際して各職場に班を作り、一班は渡辺仁作を名字だけはかなで、「ワ」の字はかたかな、「たなべ」はひらがなで書いて、「仁作」を漢字で書け、こういうわけです。第二班は「わ」の字はひらがな、「タ」の字はかたかな、「なべ」はひらがな、「仁作」は本字で書け。こういうような工合に各職場に割り当てて「『もし渡辺仁作が落選すれば何班のたれが書かなかったのかすぐわかるのだ』という宣伝をし、有権者に不正な圧迫を加えたといわれる。」こういうものもその後告発されておる。こういうことまでやっているわけですから、これは一つ次会までに、警察署長はそういう権限がありますから、ここにこういう投票箱を持ってきて、かたかなで「ワ」の字を書いたのと、次に二番目の字をかたかなで「タ」と書いたのは得票が何票あるか、ここへ持ってきて調査していただきたいと思います。そういう徹底した調査をやっていただきたいと思います。  ページ四十二からは告訴状が具体的に刑法二百四条ですか、何とかに触れるといって全部書いてありますが、時間の関係で私は読み上げませんが、ページ四十二には長沢吾作が告発人で被告人室谷年秋。それからページ四十六は告訴人代表西尾清三、被告人は警察の方も被告人の仲間に入っている。糸魚川警察勤務横井警察官、風間警察官、宮沢警察官も被告人仲間らしいですね。谷口青海電化工場長、総務部長などたくさんの項目をあげております。それからページ五十二もやはり同様な告訴状が出ております。ページ五十の告訴状の中にも私が申し上げたことが入っているわけです。第一班は「ワ」の字をかたかなで書け……。
  89. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 小澤君、約束の時間が過ぎておりますから簡単に願います。
  90. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 「タ」の字をかたかなで書けというふうに出ておりますから、この一つだけでいいですから、具体的な投票の用紙を持ってきて、それをわれわれに見せていただきたいと思います。  いずれにしましても、ここに告訴状の出ている問題と、もう一つは先ほど言った信書の秘密が侵されたという問題、その後具体的にこういう資料が出てきておりますから、これに基いて一つ先般のも――行商人の傷害を受けたというのも、どうもそのときには口論の末のなぐり合いだということになっておりますが、これは告訴状としてちゃんと告発しているわけです。これは今申したようなこととちょっと違うと思います。答弁状況とは違うと思いますから、先般の九項目と合わせて、ここに新しく出された資料に基づいて、現地にまかせるということでなくて、徹底的な御調査をお願いいたしたいと思います。
  91. 中川董治

    ○中川説明員 私どもはいろいろ新潟県におけるところの警察活動が適正かどうかにつきまして調査を進めます。ところが刑事事件につきましては、それぞれ第一線で刑事訴訟法の定めるところに従って措置すべきものでありますから、ここで裁判みたいにやるということは適当でありませんので、それは御了承願いたいと思います。
  92. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは人権擁護局長に時間がないからお願いをしておきますけれども、人権侵害資料ということで、ずっと何項目か出ているわけです。このうち第一ページの一件だけが新潟地方法務局糸魚川支局に出されたものだと思います。この前の御答弁いただいた一件だけ出ておりますけれども、調べ出したら広範にしてなかなか容易なことではないというような御答弁であったと思います。きょう何か御答弁いただけるものがありますか。
  93. 鈴木才蔵

    鈴木説明員 二十日から、御指摘になりました問題点につきまして、新潟の地方法務局長以下が調べておりますが、大体二十四日ごろまでには現地における事実調査を終わると思います。まだ中間報告を受けておりませんので、御報告するものはございません。
  94. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 今人権擁護局長の手元まで資料を届けますが、この前も質問いたしましたが、「電化青海工場における労災保険適用者の不休状況調査」こういうのがあります。これはどうもわれわれいろいろ研究してみると、労働基準法に基いてやれるのかどうかわかりませんけれども、いずれにしても六カ月も休んでいる者を、安全競争という名目のもとに松葉づえまでつかせて出勤させたということは、私は人権侵害だと思います。その件名が何十人となく現地の基準監督署で調べた資料に基いての資料であります。この中には人権侵害のものが相当たくさんあるということで、労働組合関係の機関誌や何かに宣伝されておりますので、これも調査資料の中に人権擁護局の方で入れていただきたいと思います。  引き続いて労働省がきておりますが、今資料が届きましたね。これは現地の労働基準監督署で調べておるのだけれども、そのことを調べてもらうと、自分の首の方にということで、みなひっ込んでしまってどうにもならないというのが、恐怖の町青海なんです。徳川時代と同じようなことなんです。みなに聞いても口を緘してお医者さんも言わない。そこに何とか触れないようにというのが青海町の実態なんです。警察関係の人も聞いておいていただきたいし、人権擁護局の人も聞いておいていただきたいのですが、憲法が施行されていないという現実を見て、これはただごとならぬということで私はここで質問しているわけです。ですから基準監督署におきましても、労働基準法第五十一条に基いて、この違反になるかならないかということです。五十一条には休業させなければならないという項目があるわけです。実際は何百人も休業に相当する人がいるのを、安全競争の名のもとに休業させておらないわけです。そこで人名が出ておりますから、それに基いてやって下さい。  それから労働基準法第八十五条「行政官庁は、必要があると認める場合においては、職権で審査又は事件の仲裁をすることができる。」私は法律のことはわかりませんが、中央において基準局長の職権でやろうとすれば、現地に行って職権でできますか。現地の労政事務所を通じたり、基準監督署を通じてということでは、警察庁もそうですし、どこもまことに困る。法務省もそうですが、ぜひそっちの方からやっていただきたいために、第八十五条が発動できるかどうかという点です。
  95. 道正邦彦

    ○道正説明員 法律上のお尋ねでございますので、基準法の第五十一条は病者の就業禁止の規定でございまして、第二項に就業を禁止すべき疾病の種類及び程度が書いてございます。これを受けまして労働安全衛生規則の四十七条というのがございます。そこには「病毒伝ぱんのおそれのある結核、梅毒、かいせんその他の伝染性皮膚疾患、のう漏性結膜炎」云々と限定的に列挙がされておりまして、五十一条の立法趣旨は伝染性の疾患ということで建前はそうなっております。ただ末項に「前各号の外、中央労働基準審議会の議を経て労働大臣の指定する疾病にかかっている者」というのがございます。ただ先生今お尋ねの五十一条に触れるか、あるいは八十五条かという問題でございますが、問題は業務上の疾病にかかりまして療養をいたすわけでございますが、その場合に休業すべき場合と、休業しなくていいケースとあるわけであります。この辺の判断は、私ども行政官庁が介入する余地はないのでございまして、医者の判断で事柄がきまってくる問題でございます。実際問題といたしましては、労働者の生活問題にも関連いたしますので、労働者の意見も事実上は医者が聞くということはあると思いますけれども、事柄は医者の判断できまってくる問題ではなかろうかというふうに考えます。  八十五条の点は、これは建前がちょっと違う条文でございまして、たとえば業務上の障害の等級の規定等がございますが、おれはもう少し重い等級に該当すると思うのだけれども、役所の判断がどうも間違っておるという場合に、審査仲裁を請求するというケースでございまして、今のはちょっと趣旨が違うと思います。
  96. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは職権でもって当然休ませなければいけないものを、お医者さんと会社となれ合いで出さしたということがあったとすれば、それも職権で調査できないのですか。そういうことはだれがやってくれるのですか。人権擁護局よりしようがないと思うのですが、それはだれがやってくれますか。
  97. 道正邦彦

    ○道正説明員 八十五条は「業務上の負傷、疾病又は死亡の認定、療養の方法、補償金額の決定その他補償の実施に関して異議のある者は、行政官庁に対して、審査又は事件の仲裁を請求することができる。」という規定でございますね。それを受けまして二項で「必要があると認める場合においては、職権で審査又は事件の仲裁をすることができる。」ということでございまして、たとえば業務上の負傷、疾病または死亡の認定に著しい誤りがあるというふうに行政官庁が判断する場合は、当事者の異議申請を待たずにやることがありますけれども、今のケースは医学的に事柄がきまってくる性質のものでございますので、私どもの方で、あまり医者の領分まで入りましてどうこう言うのは差し控えておるわけでございます。
  98. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いずれにしてもこれは監督署の資料に基づいて出されておる資料のようでございますから、この資料に基づいて、一般新聞等にも出ておるように、骨を折ったか足を折ったか、松葉づえをついて六カ月会社へ通ったという事実があるかどうか、この人名に従って調査をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。  こういう問題は非常に重要な問題だと思いますが、これをどこでやっていただいたらいいか、私もよくわからないのです。この資料にありますが、夫婦で工場に勤めておったが、御主人が自民党の青年部を作るということで奔走し始めたら、奥さんに圧力がかかってきて、奥さんはタイピストであったけれども、事務に回して仕事を与えないといういやがらせをして、そうして遂には便所のふき掃除をさせてやめさした。こういうやり方を青海工場というところはやっておる。その御主人と奥さんの口述書が出ております。これは具体的に刑法とか何とかにかかるということはないので、落ち行くところは人権擁護局でもってやってもらうよりほかないと思うのですが、御調査をいただければけっこうです。
  99. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後一時四十四分散会