○加藤(精)委員 関連して。本日は国民が一番心配しておる
火薬類の
取り締まりについて非常にまじめな審議が行なわれまして、私たちも非常に喜んでいるのでございますが、この重点の
一つとして、幾ら法律
規定があっても、その運用が、
安井委員の言われるような人間の生命重視という観点を重点として行なわれなければ何にもならぬという
感じがするのでございまして、
通産省の
政府委員のお言葉によれば、法律上別に、法律は守って全部行なわれているというような、
通産省関係では
一つも
責任はないというような調子の、しかもこういう
事故は内務省時代を通じて歴史的に初めての
事件で非常に
特異性があるんだ、何万件に
一つであって、めったにあるものじゃないから、そうやかましく言われなくてもいいというふうに聞こえるのです。これは
事件の
特異性々々々ということばかり強調されるのですが、十カ年間に
自動車の数が十倍になれば、交通危険状態は
特異性が毎日更新されるわけです。こういうことは
自動車交通の発達、
道路が狭くて
自動車の数がふえているのだから、そしていろいろな工業が盛んになる。そういうことで
危険物が横行するということは、年々のようにこれは増高していく状態ですから、毎日危険さが増すので、今までなかったことが将来もないという保証は何もない。
特異性々々々というようなことを言うのは、私はきわめてどうもおもしろくないという考えがしたのです。それからたとえばハーゲンベックのライオン使いのおりの中に赤ん坊を入れて、このライオンは非常によく教え込まれているからちっとも心配がないというような
感じがする、今の法律を守りさえすればちっとも危険がないというようなことを言うているような
感じがしてしょうがないのですが、世の中では、国民は走る
火薬庫とか、
火薬庫
トラックというようなおそろしい名前をつけて、事態のきわめて危険性が濃厚なことをみんなが
感じ、みんながしゃべっているのです。それにもかかわらず、どうも非常に
特異性のある
事故だ、めったにないことだということを強調されるに至っては、私はどこか感覚がずれているのじゃないか。大体
通産省は
火薬類の
取り締まりを終戦後やっているのに、役所の勤務評定をすれば、これは落第点なんです。何回も何回も大
爆発事故があって成績が上がっていないのだから、勤務評定の結果に基づいて、
通産省からほかの省の所管に——私は
警察庁がなれていると思うのですが、
通産省の
火薬に関する知識というか、商品の名前とか出回りに関する知識とか、そういうものをみな
警察庁に供給して、昔は各府県の
警察部にちゃんと
火薬取り締まりの義務を持たしてうまくやっておったのですから、そういうふうに所管がえするのが私は適当だと思う。これは能力のない役所に幾らやらしてもだめなんです。そういう点を非常に強く感ずるものでございます。私の考えますのは、とにかく近代の役所が、どこの役所の方の
責任だというふうにあまり
責任が分化されているから、
政府として大観しての
責任がとれないのじゃないか。それで今回に顧みて
政府に、
火薬類の
取り締まりに関する
政府としての
一つの審議会を設けて、そして各省の
火薬類の
取り扱いに関する役所、ことに国家
消防庁とか
警察庁とか
通産省とか
運輸省とか専門の
責任官が全部その審議会の幹事役になって、そして共同
責任で、
火薬類の危険から国民を守る
危険物予防の政策を樹立されて、その政策を実施するには共同
責任だというように、
政府責任を明らかにしていただく必要があると考えるのであります。これに対して
政府の方で官房長官かだれかから次の
委員会において御回答をいただきたい、こう思っておるのでございます。
なお
運輸省には特に
責任があると思うのであります。
運輸省は
火薬類の
輸送に関する
省令の二条とかいいますが、そういうふうな
規定をしたということはどういうことか。すなわち業者から所在地の府県知事に届け出て、その府県知事は発送地の公安
委員会や
輸送終結地の公安
委員会に通知するということの
意味は、それによって沿道においての
火薬類爆発の危険を予防するためのものなんでしょう。それが新聞等に伝えられるところによると、その通知が府県公安
委員会に到着するのに平均して二週間もかかっておるということであります。まさか二週間は大げさでしょうけれ
ども、大体の場合
輸送が終わってから着く、そういうことであれば、そのいわゆる
省令二条の
規定設定の趣旨は全部失われているわけなんです。
警察がいかに国民の生命、身体、財産を守ろうとしても(私語する者多し)社会党の席はもう少し静かにして下さい、人が一生懸命に質問しているのに何です。(「異議なし」と呼ぶ者あり)そういうことでありますから、かかる怠慢を
運輸省は十分——それは府県知事の業務であっても、その府県知事の業務は国の行政を委任されてやっている立場で、国の行政庁ですから、法令の施行に対して
責任を負うものは
運輸省です。どうしてそういうふうな法規の励行をほおっておくのか。
運輸省の
自動車行政についてわれわれは非常な不満がある。これも勤務評定によって
運輸省にあずけておいていいかどうか、疑問なんです。それから大蔵省の民間金融の問題でも勤務評定上——どうもこれは野党のようになったけれ
ども、大いに疑問がある。そういうような観点から見て
運輸省は今後そういう点についてどういうふうに善処しなさるおつもりか、その心がまえを聞かしてもらいたい。