運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-12-15 第33回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月十五日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 飯塚 定輔君 理事 田中 榮一君    理事 渡海元三郎君 理事 吉田 重延君    理事 阪上安太郎君 理事 安井 吉典君    理事 門司  亮君       相川 勝六君    加藤 精三君       金子 岩三君    亀山 孝一君       高田 富與君    津島 文治君       富田 健治君    山崎  巖君       太田 一夫君    加賀田 進君       佐野 憲治君    大矢 省三君  出席国務大臣         国 務 大 臣 石原幹市郎君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         国家消防本部長 鈴木 琢二君  委員外出席者         警  視  監         (警察庁保安局         長)      木村 行蔵君         通商産業事務官         (軽工業局長) 秋山 武夫君         運輸事務官         (自動車局長) 国友 弘康君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 十二月十一日  全日制市町村立高等学校教職員退職手当全国  通算に関する請願宇田國榮紹介)(第一四  二九号)  同(坂田道太紹介)(第一四三〇号)  同(福永健司紹介)(第一四三一号)  同(川野芳滿紹介)(第一五〇〇号)  同(簡牛凡夫君紹介)(第一五〇一号)  同(上林山榮吉君紹介)(第一五〇二号)  駐留軍及び自衛隊所在市町村に対する助成交付  金等に関する請願鈴木正吾紹介)(第一五  〇三号)  同(濱地文平紹介)(第一五〇四号)  同(福永健司紹介)(第一五〇五号)  遊興飲食税減免に関する請願渡海元三郎君紹  介)(第一五〇六号)  同(太田一夫紹介)(第一六五九号)  同(下平正一紹介)(第一六六〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  警察に関する件  消防に関する件      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  警察及び消防に関する件につきまして、調査を進めます。  危険物運搬及びその取り締まりの問題につきまして、去る十一日横浜市内の第二京浜国道で起こりました火薬爆発事故に関し、関係政府当局から順次説明を聴取することといたします。木村警察庁保安局長
  3. 木村行蔵

    木村説明員 概況を御報告申し上げます。  発生時日は十二月十一日の午前四時五十三分ごろと推定されます。発生場所は、横浜神奈川子安台三十五番地でございます。第二京浜国道上であります。事故当事者を申し上げますと、砂利トラック運転者金正夫、十九才、それから火薬運搬トラック運転者増畠達夫、二十四才、この両者運転する自動車衝突事故でございます。事故原因は、現在神奈川県警及び所轄警察署で詳細に調査中でありますが、現在までのところ判明している段階では、おそらく正面衝突ではなく、すれ違う際に双方の荷台の肩が接触して、その結果火薬爆発に至ったのではないかと思うのであります。  事故発生状況を大ざっぱに申し上げますと、砂利トラック砂利を満載しておりまして、横浜から東京方面に向けて進行しておった。火薬トラックの方はTNT火薬四トンを積載いたしまして、東京から横浜に向けそれぞれ進行中でありまして、先ほど申し上げた場所において接触し爆発したものと認められます。現場爆発地点状況から見ますと、砂利トラックの方が道路中心線を越えて、すなわち通行区分違反を犯して右側の方を進行してきた。すなわち火薬トラックの進行すべき側の方に踏み越えてきたことは明らかであるようであります。非常に早朝のため運行車もほとんどありませんし、双方とも相当スピードを出しておりまして、特に砂利トラックの方はギアをトップにかけておったようでありますので、スピードは相当出ておったのではないか、また砂利トラック運転者は相当疲れておったのではないかというふうに推定されます。しかし目撃者もありませんし、当事者は全部死んでおりますので、確たる証拠はまだございませんが、現在調査中でございます。  これに関しまして警察といたしましては、神奈川県警におきまして非常招集をいたしまして、直ちに三百人の警官が出動いたしまして、隣接鶴見警察署及び県本部機動隊三百名の応援を得まして、所轄警察署神奈川警察署が緊急に罹災者の救済、救護現場の整理、証拠の収集、民心の安定をはかるために応急措置をとりました。  それから被害状況は、警察報告によりますと、十一日の午後四時現在で人的被害は死者四名、負傷者百九名、合計百十三名の犠牲者を出しております。それ以外に物的被害といたしまして、全壊三十六戸、半壊百二十三戸、一部損壊三百八十五戸、合計五百四十四戸、相当の大きな物的被害を受けたような状況でございます。  以上でございます。
  4. 濱地文平

  5. 秋山武夫

    秋山説明員 同じ神奈川県にまた事故が起こりまして、まことに遺憾でございますが、被害状況等はただいま警察庁からの御説明通りでございますので、省略させていただきたいと思います。運搬いたしておりました火薬は、木箱詰め粉状TNT火薬四トンでございます。荷主は昭和火薬、これは日本冶金火工部が昨年の十二月に独立の会社となったもので、資本金授権資本で四億、払い込みで四分の一の一億、火薬工場としてはごく小さい会社でございます。この昭和火薬千葉県の興津工場から日本化薬の山口県の厚狭事業場向けに送っておりましたTNTでありまして、日本化薬では、これを産業用爆薬の鋭感剤として使おうという予定のものでございます。十日の午後五時に積み込みまして、上総通運トラックで運んでおった途中のできごとであります。昭和火薬自体は自身運んでおったものではございませんで、運送業者に委託をして運ばせておった。その運送関係自動車構造等につきましては、運輸省令規定されてございますし、交通関係についてはそれぞれの交通取り締まり法規に従っておったはずだと存ぜられますので、法律的に昭和火薬に対して責任が生ずるかどうかという点は、むしろ責任は生じ得ないと私どもは考えております。従って法律的に申しますと、今回のような被害をどこで一体補償するかという問題は、非常にむずかしい問題になろうかと思います。これは私どもの方の解釈でございますが、人的被害につきましては、自動車損害賠償保障法による補償が得られるのではないか。ただしこれは物的被害には及んでおりません。人的被害だけの問題であります。これがどの程度引き当てられるかはなかなかむずかしい問題かと思います。ことに物的被害について、道義的にはともかく、法的に昭和火薬自身に負担をさせるということはちょっとむずかしい、理論上もむずかしいという感じがいたします。被害者に対してはまことにお気の毒な結果になるのでありますが、相互の話し合いによってそれぞれ誠意を尽くして話し合うということになるのではないかという感じを持っております。なお火薬類取締法におきましても、運搬につきまして基本的には、わずか一条あるいは二条でございますが、規定がございます。ほとんどは政令及び運輸省令によって規定をされておる状態でございます。運送中の事故ということはかつて例がない、これは内務省で火薬取り締まりをやっておりました当時からの記録を見ましても、これほどの事故はないのであります。全く異例の事故であるというふうに考えます。  大体以上であります。
  6. 濱地文平

  7. 鈴木琢二

    鈴木政府委員 第二国道爆発災害事故につきまして、経過はそれぞれ御報告があったと思いますので、消防関係活動状況について一応御報告申し上げたいと存じます。  災害発生いたしましたのは、十二月十一日の午前四時五十二分五十七秒ということになっております。それで消防出動状況を申し上げますと、即刻出動いたしたのでございますが、総数を簡単に申し上げますと、消防隊七隊、救護隊五隊、照明隊二隊、監察隊一隊、指揮車二隊ということになっておりまして、出動消防職員六十七名、消防団員百五十名でございます。それでただいま申し上げました時間に災害発生いたしましたと同時に、横浜市内の各消防署並びに出張所及び望楼等から、神奈川子安台方面爆発音と発光を同時に認めたわけでございます。その警報が入りまして、午前四時五十四分には電話で子安台方面火事が起こったという通報がありまして、第一出場を指令されております。続いてそれから二分たちました四時五十六分に神奈川望楼から黒煙が上がったのを認めましたので、火事発生したものと認めて、さらに神奈川救護隊出場を命令いたしました。さらに現場到着神奈川第一隊から午前五時十一分になりまして、相続いて救護隊の増援及び現場照明の要請が連絡ありましたので、さらに救護隊を四隊、それに照明車を加えまして派遣いたしております。先発の消防隊現場に到着いたしましたときに、子安台の三十五番地地先住家に火がついておりました。これは大して大きくならなかったのですが、直ちに放水筒をもって、ちょうど公園に戦争中に作った貯水槽がそのまま残っておりまして、その水を利用して直ちに消火をいたしまして、結局車の車庫が半分くらい焼けた程度で消しとめました。その後、それと同時に付近の負傷者救護に当たりまして、救護隊がそれぞれ救護の処置をいたしたわけでございます。  消防隊活動状況は、以上右の通りでございます。一応消防活動状況だけを御報告申し上げておきます。
  8. 濱地文平

  9. 国友弘康

    国友説明員 運輸省といたしまして本事故に関しまして手配いたしましたことを御報告申し上げたいと思います。  先ほど軽工業局長から御報告がございましたように、火薬類運搬につきましては、火薬類取締法に基づきまして、運輸省で「火薬類運搬する自動車及び軽車両技術上の基準に関する省令」を制定いたしておりまして、運輸省としましては火薬類運搬いたします自動車構造、機構について遺憾のないようにいたしておるわけでございますが、十一日、事故発生いたしましたあと、直ちに係官を現地に派遣いたしまして、事故調査をいたしますと同時に、東京陸運局に対しまして、上総通運株式会社所有車両に何らか構造上の欠陥があってはいけないということで、立ち入り検査を行なうように指示をいたしまして、さらにその会社に対しましてはその検査が終わりまして、その検査の結果が判明するまでは自動車による火薬類運送を一時見合わせるように口頭で指示いたしたわけでありますが、十二、十三の両日にわたりまして、千葉県の陸運事務所係官上総通運の本社及び興津営業所におきまして、車両整備状況調査いたしました結果、いずれの車両火薬類運搬する車両構造に関する規制を満足しておるという事態が判明いたしまして、事故車両についてはもちろんなくなっておりますので調べるわけにはいきませんが、事故車両につきましても同様に設備を持っておったということが推定されると考えられましたので、同社に対しまして火薬類取り扱い中止指示をいたしておりましたのを、一応取り消すという措置を伝達いたしたわけでありまして、運搬する自動車に関しましては構造上の瑕疵はなかったと私どもは考えておるわけでございます。  さらに賠償関係でございますが、自動車損害賠償保障法に基づきます保険金支払いという問題があるわけでございますが、この保険金支払いに関しましては、契約内容及び車両過失度合いに応じまして支払いが行なわれることになりますので、現在のところ事故状況がまだ十分に判明いたしておりませんので、早急に保険金が支払われるかどうかにつきましては、まだいささか時間がかかるかと思いますので、被害者に対しましては仮渡金という制度がございまして、この仮渡金をそれぞれの保険会社に対しまして被害者から請求することができる、こういう状況でございます。  以上でございます。
  10. 濱地文平

    濱地委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。安井吉典君。
  11. 安井吉典

    安井委員 去る十一月二十日に東洋化工株式会社横浜工場火薬爆発事件が世間の耳目を驚かしてから、全く間もたたないうちに十二月十一日同じく横浜市の第二京浜街道火薬運搬中にトラック事故によりまして大爆発を起こしたわけであります。全くこの間一カ月もたたないといううちの問題であります。この国会におきましても火薬の問題やあるいは交通事故の問題を、われわれの地方行政委員会はもとより他の委員会におきましても、今日まで大きく取り扱いましていろいろな決議がなされましたり、それについての対策等について、政府側からいろいろ御答弁をいただいていたはずであります。しかしながらそういったようなものが全くむだだったということを、私は今回のこの突発的な事故のうちに明らかに示されたものだと思います。今日までいろいろ国会が真剣になってこの問題に取り組み、こういうような問題の解決のために努力しようと意図し、今日に至りましたものが、一体どれだけ政府の手によって生かされてきたかということを、私ども疑問に思わざるを得ないわけであります。今度のこの問題は火薬その他危険物取り扱い、ことにそれの運搬の問題が一つと、それからもう一つは、今日頻発しております砂利トラック暴走、そういうような二つの問題がぶつかり合った一つの接点において生じた問題だと、私はそういうふうに思うわけでありますが、それにいたしましても、火薬の問題についてはこの間も、それから交通事故についてはさらに従来から引き続きまして取り上げておりますそれらの決議やあるいは皆さん方のお考え方、答弁がなされているわけでありますが、それは一体どれだけ生かされてきたか、そのことをまず初めに警察それから通産省消防というふうにお話一つお願いいたしたいと思います。
  12. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 神奈川県下におきまして相次いで二つの重大な爆発事故が起こりましたことにつきまして、心から遺憾に存じます。この火薬爆発事故並びに交通事故防止につきましては、当委員会におかれましても非常に御熱心に御検討いただき、われわれも深く教えられるところがあって検討を続け、また第一線におきましては、それぞれそういう御趣旨に従いまして指導監督を努めておったわけでございますが、今回のごとき事故が起こったということについては、非常に力及ばなかったことを痛感いたすわけでございます。火薬爆発事故の問題につきましては、すでに通産省当局とも話し合いを進め、検討を続けておるわけでございますが、今回のような事件にかんがみまして、さらに急速に結論を得べく努力をいたして参りたいと存じております。ただいま安井委員お話のように、今回の事件は、火薬の問題と特に御注意をいただいておりました砂利トラック暴走問題、そのぶつかりがここに現われたわけでございますが、交通事故防止につきましては、警察といたしましても非常な努力を全国的にいたし、砂利トラックにつきましては、相模川から砂利を採取して東京に運ぶということが非常に大きい問題になっておりますので、特に警視庁及び神奈川においては砂利トラック取り締まり監督というものについて意を用いており、検問所を設けたり、あるいは速度の問題、あるいは積載量問題等につきまして、日夜を分たず注意を続けておったわけでございます。  当日の状況は、先ほど警察庁保安局長から申し上げましたように、今までの調査によりますると、どうも砂利トラックの方が事故の直接の原因をなしておるようにうかがわれるのであります。これは道路破損状況等を検証いたしまして、全く火薬運搬者が走るべき場所において爆発が起こっておるということであり、両者が衝突したか、接触したか、その場所砂利トラックの通るべからざる地点であるという点からもうかがわれるのでありまして、こういうことにつきましては、まず一般論といたしまして交通法規の順守、交通道徳の高揚ということをまずもって考えなければなりません。同時に、従来からいろいろ御注意のありました砂利トラック、これは警察におきましても、特に先ほど来申し上げておりますように注意をしておりましたが、さらに一そうの監督取り締まりを強化して参らなければならないと思います。また単に運送しております運転手等責任の問題ばかりでなく、われわれ聞くところによりますと、今回の車もたしか三回ほど続けて東京—相模川間を往復して——これは往復四時間になるわけでございまして、それだけで十二時間、積載の時間等を加えれば、さらにもっと労働が続けられておったというふうにも考えられるわけであります。これはもちろん運転者の弁護にはなる問題ではないかもしれませんが、労働過重から来る非常な疲労、また非常に先を急ぐというようなことで暴走するということが、どうも直接の原因のようでありまして、こういう点につきましては、単に運転者のみならず関係者全般の自覚を促し、またこれについての取り締まりをできる限りやって参らなければならぬと思うのであります。  また火薬爆発の問題につきましても、従来こうした例が全くなかったことでありますが、今回の事件契機としまして、さらに通産省とも研究を進め、また運輸省とも協議を遂げて参りたいと思うわけでございますが、この運転上の問題としてもいろいろ考えられはしないか。たとえばただいま運輸省局長からお話のありましたように、車両構造という問題もございます。また積載量制限、あるいは積載方法というような点も検討を要する問題ではないか。さらにそうした危険な火薬運搬する自動車につきましては、それが明確に認知されるような標識を正確につけるとか、あるいは運び出して目的地に着くまでの通路、あるいはその時間というような点についても、やはりはっきりした方法をとらせることが必要であろうと思いまするし、またさらにこうした爆発物積載いたしておりまする車を単独に走らせることがいいのかどうか、もちろん交通事故を防止する意味において、いろいろ指導監督を続けては参りまするけれども、百%暴走を避けるということはなかなか困難であるということになりますれば、場合によってはこうした火薬積載した車両のいわゆる前駆車的なものを直前に運転するというような方法も考えなければならないかというふうに思うわけでございます。今度の事件契機としてさらに深く注意をいたし検討を続けて参りたい、こう考えておる次第でございます。
  13. 安井吉典

    安井委員 通産商側からもお答えをいただくわけですけれども、私のお聞きいたしておりますのは、いつもこういう事故のありましたその際には、急速に善処しなければいけない、そういうような御答弁がなされるわけでありますけれども、ちっともその後何にもなされていないということが問題だと思うわけです。ですから、これからあと、一体火薬の問題やあるいはまた交通事故取り締まりの問題にどういうふうな措置が必要かというような問題、さらに補償問題等お尋ねを続けていきたいと思いますけれども、その前に、私がお尋ねしているのは、この間うちからわれわれが盛んにここで問題を取り上げている、それがその場限りの御答弁で済まされて、その後何にもなされていないではないか、この間問題を取り上げた以後一体今日まで何がなされているか、そのことを今お尋ねしているわけです。その点一つ通産省側からもお答えをいただきたい。
  14. 秋山武夫

    秋山説明員 今回の事件特異性につきましては、先ほど申し上げました通りでございますが、実はわれわれ全然経験のなかったことでございます。従来、運搬についての危険ということはもちろん予想せられておりましたし、それに対する予防策としてのいろいろの制限等も、政令省令等規定をされておったわけでございます。今回も、そういう意味での法的な欠陥は、火薬運搬しておった方のトラック側からは何ら見出されない。交通的に見ても、ただいま警察庁長官お話のように、砂利トラック側運転規則違反ということから起こったように見えるというようなことでございます。  ただいま安井委員からのお尋ねのように、今回の問題を一つ契機として、これから急速に手を打つということにつきましては、警察庁の方と十分お打ち合わせをいたしまして、今後ああいう事故は絶対起こさぬようにという対策を至急考えなければならぬと存じております。前回のこの委員会にも申し上げましたように、東洋化工事件その他最近頻発しておりました花火工場のいろいろの事件等にかんがみまして、現行の火薬類取締法というものは決して十分でないということは私どもも痛感いたしておりますので、次の通常国会には必ずこれの根本的の改正案を御審議願うということで、ただいま鋭意準備を進めておるところでございます。従いまして、東洋化工事件につきましては、私もいろいろな問題を考えさせられたのでございますが、今回の火薬爆発すなわち交通事故としての火薬爆発という問題につきましては、実は現在のところまだこれを私どもだけの範囲の仕事としては、どういう手を打ったらいいのかということがはっきりつかめておらぬ状況でございます。ただ、運送中のいろいろの技術的な手段、たとえば前駆車を走らせる、あるいはサイレンその他の警報、あるいは標識灯をつけさせるというようなことは、いろいろありましょうと思いますが、どうも、年間約四万トン前後の生産をされております火薬運搬すること自体についての問題といたしましては、十分指導すべきかと存じますが、いずれにいたしましても道路を通行せざるを得ないこと自体はどうもいかんともいたしがたいということで、もっぱらそういう警告的な走り方と申しますか、火薬車に対しての外部からの危険を防ぐ。おそらく火薬車そのもの構造は現在の規則で決して不十分ではないと考えられるのでございますけれども、今回のように他からの力によって爆発事故が起こされるということになりますと、これはどうも交通技術上の問題にならざるを得ないという考えであります。
  15. 阪上安太郎

    阪上委員 関連して……。この問題については製造加工上の過程においても問題があったし、貯蔵の点においてもいろいろ問題点があると思うんですが、当面この問題が起こった原因は、やはり輸送上の問題だと思うんです。そこで、先ほどの警察庁長官安井君に対する答弁の中で、こういった輸送業者ないし製造業者等の心がまえの問題、そういったことが喚起されなければならぬということがあったのであります。同時に考えなければならぬことは、やはり当面この輸送上の問題点にしぼって、この問題をすぐ解決していく手段が私はなきにしもあらずだと思う。先ほどちょっと警察庁長官も言っておられたけれども、まだ言葉があいまいであって、はっきりした態度が出ていない。わが国の現状を見ましても、高位高官等が何か行動するという場合には白バイまでつけて、前駆車までつけて十二分な警戒をやっておられる。ところが高位高官は別に危険物でも何でもない。住民に災害を与える存在ではない。ところがこの火薬類に対するところの問題は、直ちにこういった事故を起こす原因を持っておる。それが今まで何回もこの国会答弁されておりまして、十二分に注意するというようなことばかり言っておられるけれども、なぜ思い切って高位高官以上にこれを危険物として、白バイ等によって前駆車をつけて、十二分な関心のもとにこれを輸送せしめるという配慮が行なわれないのか。すぐやられたらいいじゃないか。なぜこれをおやりにならないか、私は非常にふしぎに思っておる。今も答弁を聞いておりますと、これは考えまして一つそういうことをやらなければならぬかもしれませんというようなことを言っておられるけれども、そんななまぬるい問題じゃない。すぐおやりになったらどうですか。そのことによって大半は私は解決すると思う。ほんとうにあなた方が心がまえをしっかり持ってこれに対処しようというお考えがあるならば、すぐそこに頭が向いてくるはずだと思うのですが、何か法的にそういうことをやることができないような規制があるのですか、その点一つお伺いいたしておきたい。
  16. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほど私申し上げましたのは、とりあえず私どもで考えました改善方策でありまして、できるだけこういうことを急速にやるようにいたしたいというふうに思っておるわけでございます。元来この火薬類輸送されまする場合には、輸送の証明書、許可証的なものと思いますが、輸送するものが知事からこれを受けるわけでございます。知事がそれを出した場合には、これを関係府県の公安委員会に通報することになっておるわけでございます。しかしながら従来非常に急いで輸送しておる関係もあったと思いますが、事前にこれが通報されるということでなくて、場合によって事後に通報されるというようなこともあるわけでございます。また、通報もどこからどこへ運ぶということだけでありまして、通路がどうで、いつ、何時に大体どこを通るというようなことまでこまかにされるわけではないわけでございます。従いましてそういうことにつきましてはやはり指導でできるものは指導でやる。あるいは法令の根拠がなければできないものは急速にそうした法令について検討する、こういう趣旨で先ほど申し上げたのでございます。また前駆車につきましても高位高官等、別にそれのことについて私申し上げるわけではございませんが、前駆車白バイ等につきましても一々会社火薬を運ぶのに警察の車をつけるということになりましたら、これはまた警察としてもなかなか手が足りないという問題もございましょう。そういう目的のために今装備が完備しておるわけではございませんので、われわれとしてはやはりそうした危険なものを運ぶものが危険でないような処置をとるため、前駆車の配置というようなこともできれば指導でやり、できなければ法令上の根拠を持たせるというようなことも考えてみたい、こういう趣旨でございまして、決してここで答弁で済ませようというような考えを持っておるわけではございません。  それから先ほど安井さんのお話にもありまして、何もしていないのではないかというお言葉でございますが、結果的にはああいう大事件を起こしておりますので、弁解を申し上げる気持は毛頭ございませんけれども、従来からわれわれは当委員会お話がなくとも砂利トラック等についての取り締まりについて非常に必要性を痛感しており、特にまた当委員会等からの示唆も強くありまして、先ほど申しましたように警視庁、神奈川等において注意を強くいたしておった矢先でございます。まことに事件そのものは遺憾でございますが、警察としてはこういうことについて懸命の努力を続けておったということは申し上げられるというふうに考えておる次第であります。
  17. 阪上安太郎

    阪上委員 今あなたの答弁を伺っておりますと非常にもっともな点があります。従って感覚としては私どもはこの際事輸送に関しては、やはり警察でもって責任を持つという法的な措置がとられなければならないと思うのですが、今でも輸送をやっておるのですから、この段階において、それぞれの行政担当の官庁が話し合いをして、そういった連絡をすぐとられて、多少経費はかかりましょうが、そういった法的の改正が行なわれるまでのわずかの時間でありますから、ぜひそういう前駆車をつけて完全にそういう事故を起こさせないのだという態度でやってもらいたいと思うのであります。どうかこの点はもうありきたりの答弁ではなくて、あしたかあさってまたこういう事件が起こるかもしれないのですから、ぜひそういうふうに配慮していただきたい。
  18. 渡海元三郎

    ○渡海委員 関連して……。ただいまの阪上君の質問に対する警察庁長官答弁の中に、われわれは当委員会決議の趣旨を体して絶えずこの問題について研究しておったという御答弁でございます。私も与党という立場におきまして、こういったことは申し上げたくないのでございますが、先般の東洋化工の事件のときも、亀山委員が指摘されたように私たちの委員会においては火薬取り締まりにつきまして三十三年の三月四日に附帯決議までつけて委員会の趣旨として当局に要望したのです。その間三十四年の通常国会も開かれ、法に不備があったら当然この間に措置されておらなければなかったと思うのです。今長官が答えられた言葉が事実でございましたならば、この附帯決議に対しまして公安委員会でどのような措置がとられ、どのような会議通産省と行なわれたか、この点を明らかに御答弁を賜わりたいと思います。
  19. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまお話のように三十三年の三月に御決議がございまして、そういう御趣旨に沿いまして警察庁あるいは国家公安委員会としましては、極力あるべき姿の火薬取り締まりについての態勢を急速に実現するように努力をし検討をいたして参ったわけでございます。その間通産省ともしばしば打ち合わせをし、そうしてその促進をはかって参ったのであります。ただいろいろむずかしい問題がございまして、前の通常国会には成案を得るに至らなかったのでございますが、最近に至りまして通産省とも次第に話が進んで参りまして、通産当局におかれても次の国会には出そうという御決意のように承っておりますので、われわれもそれを強く期待をいたしておる次第であります。
  20. 渡海元三郎

    ○渡海委員 通産当局ともしばしば話をされた、この間いろいろむずかしい問題があったということでございますが、これ以上深くは聞こうと思いません。通産当局の局長からはっきりと、次期通常国会に必ずこの法案を提案しますということは、前の東洋化工の事件のときにも言明されておりますので、私たちはそれを期待するのでございますが、要は砂利トラック暴走によるところの突発的な外部からの事件であった、こういうふうに局長の御答弁がございましたが、私は今日の交通状態でありましたならば、ああいった事故は常に予見せなければならない事故であったのじゃなかろうか、こう考えるのでございます。当然起こり得る事故でなかったかと思うのであります。何も偶発したものではないと思うのです。あのような交通事情のもとにおかれて、このような危険なものを今のような姿で扱っておる、そこに法的な欠陥がある、この法律の欠陥がむしろ今回の事故を生んだのではないか、かように考えるのでありますが、この点は今回の取締法の改正にあたりまして、当然運搬にまで及ぼして改正を行なわれるものと思いますが、この点に対する通産当局の御意見を承りたいと思います。
  21. 秋山武夫

    秋山説明員 運搬に関しましての警察とのお話し合いでは、昨年の夏でございますか、いわゆる二十二項目の申し入れを受けましたその中の一項目としても、現在の都道府県知事へ届け出ると同時に、公安委員会の方へも届出をしてほしいという御要望が入っておりました。私どもは全面的に同感でございます。従いまして実はこれは本来をいえば、事務的には法律の改正を必要とするわけでございますが、要するに届け出ればいい問題でございまして、そう手数のかかる問題でもございませんので、これは直ちに火薬業者に通達をいたしまして、運搬する場合には法の根拠いかんにかかわらず公安委員会の方へも届出をするようにという指導を早急にいたす予定にいたしております。それから法律の改正の問題につきましては、これも前会申し上げましたのでくどくどしく申し上げませんが、今回の事故にかんがみまして運輸省警察庁とも十分相談いたしまして、輸送についての不備な点も、もちろん今回の法律案改正の中に盛り込んで提案をいたしたいと考えておる次第であります。
  22. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 他の同僚委員から質問されると思っておりましたが、質問がありませんので関連いたしまして私から二、三質問いたしたいと思います。  火薬運搬ということにつきましては知事に届出をすることになっておりますが、この届出をしてからの措置はどうなっておりますか。要するに知事の方の関係ですね。通産省の方はどういうことになっておりますか。
  23. 秋山武夫

    秋山説明員 火薬類取締法第二十条の規定によりまして、これは田中委員の御指摘のように、火薬類運搬しようとする場合は、その荷送人——荷送人というのは運送業者の場合と、それから荷主自身が運搬する場合はその者でございますが、その旨を都道府県知事に届け出て、届出を証明する文書というものの交付を受けなければならないということになっております。ごく少量の場合は例外がございますが、一般にはそういうことでございます。その場合都道府県知事は直ちに公安委員会にその旨を通報するという規定になっておるわけでございます。実際には、ことに先日の場合は、午後四時に千葉県庁の方へ運搬の届出があって、その夜事故が突発したわけであります。時間が非常に短い、勤務時間の一番終わりごろであったというような関係から、公安委員会への通報はおくれておったようでございます。従いましてこれが先ほど私が申し上げましたように、そういう迂回した径路をとらないで直接に公安委員会に届け出るということを直ちに実行しようというのであります。
  24. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 答弁なさる場合には、なるべく簡単にお願いいたしたいと思います。その場合において、四時に知事の方に届出があったそうですが、そのときには千葉県庁は全部退庁しておったのですか、その取り扱いをその日にやったのですか、その辺はっきりしてもらいたいと思います。
  25. 秋山武夫

    秋山説明員 その日には通報せられておりません。
  26. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 そこで警察庁にお伺いをしますが、その通報はいつ受けましたか。
  27. 木村行蔵

    木村説明員 この通報は両方に出すことになっております。すなわち発送地の所轄の知事から千葉県公安委員会と、それから到着地の神奈川県公安委員会の両方に出すことになっておりましたが、当時の事情を申し上げますと、先ほど通産省局長から言われましたように、十日の日に千葉県庁の出先の機関の夷隅郡農林改良事務所に届出があります。これは千葉県の処務規程の条項によって知事の代行を委任されております。そこで届出を受けまして、運搬証明書をその改良事務所で出しているわけであります。それから神奈川県の公安委員会に対しましては、事故のありました後、すなわち十一日の午後四時に発送いたしております。千葉県の公安委員会の方ではまだそれを受けておりません。
  28. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 危険物取り扱いにつきまして今通産省警察庁からお話があったように、全くその手続が右から左にというようにほんとうに形式に流れておりますから、そこに大きな欠陥があると思うのです。公安委員会はそれを受け取って沿道の警察署なり警視庁にそれを移牒して、警視庁から関係警察署にまた移牒をして、その旨各警察署が了知しておるかどうかその辺をお聞きいたしたいと思います。
  29. 木村行蔵

    木村説明員 実情を率直に申し上げますと、通報を受けるのは事故が多いものですから、実際に意味がありませんのと、それから先ほど長官からも申されましたように、どの通路を通ってくるか、いつ通るかということの通報がありませんので、実際は到着地と発送地の所轄の公安委員会が知りまして、その県内においてはおそらく連絡がいたされておると思いますが、しかし沿道全体について必ずやっているということは申し上げかねるわけであります。
  30. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 私は、今回の法令改正におきまして警察庁通産省でよくお打ち合わせをすると思いますが、この法案は事前に当委員会にお見せ願えますか。もしわれわれが希望するような条項になっていないとするならば、本件につきましては社会党も与党も意見が一致していると思いますから、われわれとしてはこれを修正するというところまでいきたいと思っておりますが、修正されぬようによく両者で御懇談を願いたいと思います。と申しますのは、先般も亀山委員から質問がありました際に、私も関連質問で御質問したのですが、どうも警察庁危険物取り扱いについてきわめて消極的であって、権限以上については強く主張しないという御意思のようでありますか、私はこの問題は官庁のなわ張りとか面子とかそんな問題ではなくて、被害をこうむるのは無辜の民である。今お伺いしますと賠償責任すらどうなるかはっきりわからぬ。これでは死者もほんとうに浮ばれないと思う。同時に災害を受けた二百三十六戸の人々はどこへ苦情を持っていっていいか、どこへ恨みを持っていっていいか、そうしたことも全然今のところめどもつかぬ、こういう状況ではまるで火薬庫がわれわれの知らぬうちに白昼堂々と都大路を移動しているような格好でありまして、われわれとしましては、これに対しまして何らの注意をすることもできない。従って、私は今回の法案につきましては一つ警察庁も力こぶを入れて、権限をおれの方へ取るというくらいの勇気を持って御検討願いたい。もしその法案がわれわれの意思に沿わないような法案であったならば、私どもはこれを修正せざるを得ないと思うのであります。どうかさようなお気持でやっていただきたい。  それからもう一つ砂利トラック運転は、一般の通行する車両の非常に恨みの的になっておりまして、通行区分は守らない、スピード違反はやる、それから暴走はやる、それから積載数量は超過する、非常に一般の通行車両の恨みの的になっております。しかもこの従業員は今回のやつも五回も運転したために非常に勤務に過労を生じて、そうして私はおそらく居眠り運転が今回の事故発生原因ではないかと考えておりますけれども、こういう点につきましては一つ砂利トラックなんかも取り締まりを願いたい。これはわれわれの生活をほんとうに守るための一つの強い欲求でありますから、その点を十分御検討願いたいと思います。
  31. 門司亮

    ○門司委員 ちょっと事実だけ。田中委員の質問に答えて何かいろいろ言われておりますが、事実をもう少しはっきりしておきたいと私は思います。これは火薬輸送については、今度の事件は届出だけでよろしいのですね。そうしていわゆる発送地から到着地の公安委員会に通告するということなんです、こういうことになっておる。従って、今度の事実を申し上げますと、十日に神奈川県公安委員会に入りました千葉県からきた書状を見てみますと、十日の零時から六時の間の消し印が押してあります。会社に聞くと四時から四時半に投函した、こう言っております。そうしてその手紙が神奈川県庁に参りましたのは十三日であります。これは速達であります。十三日は日曜であります。従って、神奈川県公安委員会が受け取ったのは十四日であります。そうすると、事故の起こったのは十一日の朝の四時四十五分から五十分の間、五十二分五十七秒と書いた報告書が出ておりますが、警察のは四十五分と書いてある。この二つ報告書が出ている、こういうことなんです。従って、東京都を通過いたしておりますから、東京都の所管である警視庁は私は何も知らなかったと思う。しかもこの車は東京都内で一時休憩をいたしております。ごく短い時間でありますが、本店に寄っております。こういうことでいろいろ言われておりますが、実際は警察は知らなかったのです。事件が起こって三日もたってこういうトラックが通るのだということを知るというような実情なんですよ。今度の事件のほんとうのことを言いますと……。そういうことをほんとうに基本においてはっきりした答弁をしておいて下さい。あなた方は、いつ、どこから手紙が出てだれが受け坂ってどうなったということはわかっているはずなんです。だからその間に起こった事故ですから、警視庁はどんなにしゃっちょこだっても連絡がつかないから、今どこを通っているかということはわかっていない。まず発送地から到着地までの許可しか受けておらぬ。どの道をどう通るかということは毛頭書いてない。書面はそういうふうにできている。こういう点を事実のはっきりした上に立って御答弁願えませんか。そうしませんと、何か問答を聞いておりまして、すべてが抽象的に終わっている。私はこの問題についてはいろいろな法的な欠陥がありますので、法律の欠陥などについてあとで御相談をしたいと思っております。私は今当局を責めようとは考えておりません。しかもこの数量なんというのは、京浜間の実際の数量を調べてごらんなさい。神奈川県だけでも、政府が許可した火薬の製造を受け持っているのが六つございます。知事の認可を受けております花火工場その他が六つあります。その他火薬を取り扱っているものが八十幾つかありますが、全部で百六十の火薬神奈川県に貯蔵してあるわけなんです。この間を往来しております知事の受け付けておる書類は、一日に二千件と聞いております。そういたしますと三百六十五でこれを割ってみましても、一日に六回ないし七回というものはどこかに移動する火薬庫が歩いておるはずです。これの取り締まりは、今申しましたように発送地から到着地だけを知らしておる。しかもそれは手紙で知らしておる。速達でやっても、どういうはずみかそれが十二日に発送したものが十四日にしか受け取れないということで、これでは取り締まりのしようがないでしょう。誘導のしようがないのです。この辺はこの問題の一つの基本的な問題として考えておいてもらいたい。そういうことで、事実に基づいてもう少し親切に答弁をしてくれませんか。その点だけを私は関連して要求をいたしておきます。
  32. 安井吉典

    安井委員 関連質問でだいぶあちこちへいきまして、ようやく戻って参りましたが、この問題の一番中心は、現在の火薬取り締まりの法規の中の、特に輸送についての盲点がここで暴露されたということになろうと思います。ですからたとえば火薬庫につきましては、一級、二級、三級というふうに火薬庫の順位がつけられていて、たとえば二級火薬庫の場合でも、それは五十キロ以上二十トン以下の火薬庫だそうでありますが、国道から千メートル離れるとか、市街地の建造物から二百三十メートル離れるとか、国道、県道から五十五メートル離れることとか、そういうふうな規定があり、ことに土手で十分にめぐらされて、安全な位置に置かれていなければいけないということが、はっきりきめられております。その通りやられているのでしょう。ところがその火薬庫からほかに運ばれる場合の問題については、現在の法規の中ではっきりした規制が全くないというところに、非常に大きな問題があると思います。五十キロ以上の火薬庫でさえそのような措置がとられているのに、今度運ばれている火薬は四トンです。四トンというB29一機の爆弾だそうでありますが、それが土手から出てきて、人間の住宅の方へ町のまん中の方をつっ走っていく、こういう姿であるわけです。こういうような問題が、問題になったのは初めてだというふうに先ほどお話もございましたけれども、このような問題については勇敢に大胆に次の対策というものがとられていかなければいけない、私はそういうふうに思うわけです。そこで今後の問題点につきまして、先ほど警察庁長官からもいろいろお話がございましたが、たとえばこういうような問題も考えられると思います。もっと具体的に申し上げますと、たとえば五十キロ以下の火薬運搬にいたしましても、これはたしか今届出が要らないのではないかと思いますが、そういうようなものもやはりしっかりと届出についての制度が設けられる必要があるのではないか。あるいはまた積載量制限についても、自動車積載可能量の中ならどれだけ積んでもいいといったようなことでありましては、今のような四トン積みのあるいはもっと大型なトレーラーで引っぱれば、もっと多量な火薬が運ばれていいということであっては大へんだと思います。やはり積載量制限というようなものも、ぜひ新しい取り締まりの方向の中にはつけ加えられなければいけないのではないかと思います。あるいはまた先ほど来の質疑応答の中にもありましたように、運搬のコースも、どこでも勝手に歩いていい、そうはなっていないようで、たとえばその車幅、幅はどれだけ以上ならいいというふうな規定のようでありますけれども、やはり住宅街の中を走るというようなことは避けなければいけませんし、コースについてもやはり特別な指示が行なわれるような改正も必要ではないか、そういうことも考えられます。あるいはまた届出の問題とその通過時刻が一体いつだかわからないというようなことも聞くようでありますが、交通の取り締まりというふうな立場にあります警察消防が、いつどういうふうなものがその前を走るかということを知らないままにおかれているということ自体非常におかしいことではないかと思います。そういうふうな方向も非常に大切だと思いますし、あるいはまた輸送用のトラックにいたしましても、ガソリン・トラックの発火——ガソリン自体危険物に指定されているのです。それを背中にもっと危険なやつを載せて走っていく、こういうような姿の中から、たとえばディーゼル・エンジンにしなければいけないとか、そういうふうな輸送の施設自体についての検討も必要ではないかと思います。あるいはまた積載方法や容器の問題についても、軽工業局長お話によりますとやはり木箱だそうでありますけれども、     〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕 はたしてそれでいいのかどうか。今日まではたしか大ていの場合は木箱その他で包装されていたと思うわけでありますけれども、交通機関が非常に輻輳して参ります現在においてはたしてそれでいいのかどうか。あるいはまたその積載方法についてももっと何か合理的な方法が考え出せないか。さらにまた見張人の問題あるいは先導車をつけるという問題なんかも真剣になって考えていいことでありましょうし、あるいはまた赤ランプや旗で標識が設けられるわけでありますけれども、そういったものも、もっと大きな目につくものに変えていくということが必要ではないか。  私が若干考えました問題でもいろいろあるわけでございますが、これらの問題はいつもただここでわんわん言い合っただけで終わるということであっては決してならないと思います。やはり具体的にこれはどうする、あれはどうするという結論を見出していくということ、これが非常に大切なことだと思うわけでありますが、その意味から私今申し上げましたようないろいろな問題でさらにまた当局でお考えになっております点、今後の火薬運搬についての法改正やあるいは行政措置の改善の方向につきまして、一つこれは警察庁の方は保安局長の方が専門的でいいでしょうからお考えを伺いたいし、さらに通商産業省の軽工業局長の方からも、それから先ほど御答弁がいただけないままになっております消防本部長からも一つお話を願いたいと思います。
  33. 木村行蔵

    木村説明員 ただいま安井委員から非常に適切な御意見といいますかお話がありまして、実は私たちも特にここ数日来この問題について今後これを防ぐのにどうしたらいいかということに具体的に技術的に研究いたしました。その研究された結論をほとんどおおむね安井委員から述べていただきまして、非常に驚いたくらいであります。それ以外に二、三の点がございますが、問題の要点は結局この研究されたことを実践に移すかどうか、必ずこれを実現して、法改正のものは法改正する、また法改正に至るまでの間においても、たとえば通常国会に提案されましても、これが成立して施行になるまでには数カ月ございます。その間における行政指導の問題もありますし、それらについては通産省あるいは運輸省とできるだけ早く具体的なコンクリートな結論を出しまして、実現に邁進して参りたいということを、誠心誠意いたしたいと思います。
  34. 秋山武夫

    秋山説明員 立法上の問題、それからその成立に至りますまでの行政指導の問題、先ほどもちょっと触れて申し上げましたが、ただいま保安局長からの御答弁の御趣旨と全く同様でございます。至急一つ手をつけ得るものと一方法律改正を要するものと仕分けいたしまして、できるだけの研究、実行をいたしたいと思います。  ただ先ほど安井委員からの非常に適切な御質問、私どもも非常に参考になったのでございますが、包装の木箱の問題だけちょっと触れていきたいと思います。実は私も技術的にはしろうとでございますが、要するに火薬あるいは爆薬というものは、周囲と堅固におおえばおおうほど爆発力は強くなるという性格のものでございます。これは砲弾に詰めれば一発でも多くの人を殺傷するくらいの力のものでございますから、本来申しますならば、実は包装は軽く、理想をいえばバラで積む、バラでありますれば、たとえ火がついても燃える程度で済む、爆発——専門語では爆轟と申しますが、爆轟に至らないで済む、爆燃で済むということでございますので、もちろんこれは技術的に専門家と協議いたしまして研究いたしますが、むしろ現在の状況は木箱よりももっと軽い、たとえば段ボール包装というようなものが研究をされておるというような状態でございますので、包装を強くするということは、実はあまり技術的には賛成いたしかねるのではないかという気がいたします。  なおその他輸送技術等につきましては、業者みずからができれば専用トラックを持ち、それには許されるならサイレンをつけるとか赤ランプの回転式のものをつけるとかいうような警告措置をとる、あるいは先ほどの公安委員会——これは通牒で直ちに実施させたいと思いますが、公安委員会に通報するという場合、その経路を場合によっては図面をつけさせるというようなことも考えなければいけないと考えております。  なおもう一つ安井委員お話しになりました積載量の問題、これも私どもしろうとながらいろいろ感ずる点もございまするが、問題は四トンというのは非常に多過ぎた、これは事実だと思いますが、たとえばそれが二トンならどうだあるいは一トンならどうだということになって参りますと、たとい四分の一にいたしましても、一トンの爆薬が爆発した場合の被害というものは相当大きなものと考えなければなりませんので、一体どの程度にしたら安全か、かりにそれを万一の場合を考えて、安全な程度にまで減らすといたしますれば、一方には運搬回数を非常に多くするという結果になります。従って話はいささか妙なことになりますが、運送賃が非常にかさんでくるというような問題になろうかと思います。従ってまた場合によっては土木工事、鉱山業者等、火薬需要者への負担の問題も考えられますので、そこはなお保安上の公益の問題と経済的な負担の公益の問題、両公益の調和点——もちろん公安第一義ということは当然でございますが、何らかの調和点を見出すように措置をしなければならないと考えております。
  35. 鈴木琢二

    鈴木政府委員 火薬類取締法にいいます火薬類は、ほとんど大部分が消防法に申します危険物を材料といたしておりますので、火薬類取締法火薬は、それと同時に消防法の規定の方でも対象になるわけでございます。従来は、御承知のように消防法の関係は市町村の条例にまかされておりましたために、火薬類取締法取り締まりの先行をいたしまして、消防としては十分手が伸びない実情にあったわけでございます。特に、消防法に申します危険物のうちで、最近問題になっておりますトリニトロトルオール火薬は、これはニトロ化合物でございまして、消防法にいう危険物のうちでも一番火薬に縁の近いものでございまして、物によってはそのまますぐに火薬になるようなものでございます。  去る三十一通常国会危険物に関する法律を改正していただいたわけでございますが、その際に、運搬に関して申し上げますと、消防法の第十六条に、「危険物運搬は、その容器、積載方法及び運搬方法について政令で定める技術上の基準に従ってこれをしなければならない。」という規定が設けられております。これに基づきましてそれぞれ一般の、消防法にいいます危険物につきましては、運搬方法につきましてもその種類別に事こまかに規定がきめられておりまして、どういう種類の危険物運搬の際の容器はどういうふうにしろ、また数量はどれくらい、それから収納の方法は密閉しなければいけないとか、あるいはガスの出口をつけておかなければいけない、また特別に容器自体構造をどうするとかいうことが、一つ一つ危険物について表によって事こまかに総理府令できめられております。  ところが火薬につきましては、従来火薬類取締法によっておりますので、火薬類につきましては、その他の危険物といささか取り締まりの取扱いを異にしなければならない。爆発性の強いものでございますので、取り扱いなり収納方法をかえなければならないことに技術上なるわけでございまして、そういう点から、同じ危険物のうちでも、火薬関係するものにつきましては別途に特例を設けることができるということになっております。  危険物の規制に関する政令の第四十一条に、第一類の危険物、第二類の危険物、硝酸エステル類及びニトロ化合物については総理府令で特例を定めることができるということになっております。  これは要するに、火薬運搬につきましては、火薬類取締法に基づく通産省令でもって運搬方法を一応きめるわけでございます。これはもちろんわれわれ消防と相談してきめることに事務的に打ち合わせておりますが、その火薬類取締法に基づく通産省令を改正して、それと調子を合わせて消防法による総理府令を作るということに事務的に話し合いができておりまして、この危険物に関する改正法令は去る九月三十日に施行されたのでございますが、それが火薬については、もう少し具体的に火薬に適応するような運搬方法——運搬方法ばかりではございません。工場の施設、建物の施設、それから工場内のいろいろな施設等につきましても特例を設けることになっていますが、いずれにしましても通産省令を早く改正していただきまして、それに調子を合わせて消防関係の総理府令を改正して、そして共管事項として火薬に対する取り締まりを共同でやっていこうという話し合いになっております。  しかし、事は非常に急がなければならない問題でございまして、危険物については、先ほど申し上げましたような事こまかな取り締まりの基準ができて、すでに実施されておりますが、火薬については特例を設けるということで少しおくれているわけでございます。事務的には、九月三十日に施行されまして以来、まあおそくとも今年一ぱいに通産省令も改正していただいて、危険物関係の総理府令も改正いたしたいということで、事務的には打ち合わせておるわけでございます。ただ、私ちょっと気になりますことは火薬類取締法を来たるべき通常国会で改正するということを通産省は御計画しておられるわけでございますが、その法律を改正して、その次に政令を作って、さらに通産省令を作るまで、実は私の方は待てないような気持がいたすのでございます。現在の工場の施設とかあるいは消火施設の問題でいろいろ通産省と意見の違うところがありまして、いろいろ調整をとっておるのでございますが、火薬類取締法の改正は通常国会に出されるといたしまして、とりあえず現在の法律のもとにできるものであれば通産省令を早く改正していただいて、われわれの方の総理府令もそれに伴って改正して、できれば事務的に打ち合わせをいたしております通りに、本年一ぱいにでも作り上げて、一般の危険物と同様、施設の問題あるいは運搬方法積載方法、容器といったような事こまかい規定を設けたい、そして徹底した取り締まり消防としてもやっていきたい、さように考えておりまして、事務的に通産省と引き続き折衝いたしておるような次第であります。
  36. 安井吉典

    安井委員 今後の対策は、これは今までだって同じことでありますけれども、あくまで人間を大切にするという立場で法律がきめられ、そして運用されなくてはいけないと思います。もちろん、運搬のためのいろいろな経費がかかることによって、火薬のコストにもこれは響いてくるでしょう。しかしながら、それによって、何も関係のない多くの人たちが、あるいは火薬を取り扱う人たちまでが危険な目にさらされるのを黙っておくというふうな、そういう法律のきめ方は間違いだと思います。あくまで人間を大切にするという立場から今後の方向というものは定めらるべきだと思います。そういう方向で取締法その他の法令の改正は進めらるべきでありましょうけれども、しかし、当面これだけは、法律がなくても、国会の議決がなくてもやれるといったような問題は幾つかあるのだろうと思うのです。そういうような問題を一つ早急にお進めをいただくということでなければならないと思います。そこで、今消防からのお話もありましたけれども火薬運搬している、走っている車に対して、それの違反容疑というようなものに対しての捜査権は消防にもあるのですか、警察だけでしょうか。
  37. 鈴木琢二

    鈴木政府委員 消防側としては、走っている車をとめる権限はありません。
  38. 安井吉典

    安井委員 それでは警察だけですね。そうすると、運搬の問題についていろんな規制を設けて、それを押えるというけじめはどこでつけるわけですか。
  39. 鈴木琢二

    鈴木政府委員 消防といたしまして運搬方法を規制いたしますのは、たとえば運搬容器の構造、容器が摩擦を起こさないような容器でなければいけないとか、あるいは途中で危険物を積んだ車が休憩する場合には安全な場所で休憩しなければいけない、それから一定の消火器材を積み込まなければいけないといったような点でございます。おもにそういう点の規制をいたします。
  40. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 関連して。本日は国民が一番心配しておる火薬類取り締まりについて非常にまじめな審議が行なわれまして、私たちも非常に喜んでいるのでございますが、この重点の一つとして、幾ら法律規定があっても、その運用が、安井委員の言われるような人間の生命重視という観点を重点として行なわれなければ何にもならぬという感じがするのでございまして、通産省政府委員のお言葉によれば、法律上別に、法律は守って全部行なわれているというような、通産省関係では一つ責任はないというような調子の、しかもこういう事故は内務省時代を通じて歴史的に初めての事件で非常に特異性があるんだ、何万件に一つであって、めったにあるものじゃないから、そうやかましく言われなくてもいいというふうに聞こえるのです。これは事件特異性々々々ということばかり強調されるのですが、十カ年間に自動車の数が十倍になれば、交通危険状態は特異性が毎日更新されるわけです。こういうことは自動車交通の発達、道路が狭くて自動車の数がふえているのだから、そしていろいろな工業が盛んになる。そういうことで危険物が横行するということは、年々のようにこれは増高していく状態ですから、毎日危険さが増すので、今までなかったことが将来もないという保証は何もない。特異性々々々というようなことを言うのは、私はきわめてどうもおもしろくないという考えがしたのです。それからたとえばハーゲンベックのライオン使いのおりの中に赤ん坊を入れて、このライオンは非常によく教え込まれているからちっとも心配がないというような感じがする、今の法律を守りさえすればちっとも危険がないというようなことを言うているような感じがしてしょうがないのですが、世の中では、国民は走る火薬庫とか、火薬トラックというようなおそろしい名前をつけて、事態のきわめて危険性が濃厚なことをみんなが感じ、みんながしゃべっているのです。それにもかかわらず、どうも非常に特異性のある事故だ、めったにないことだということを強調されるに至っては、私はどこか感覚がずれているのじゃないか。大体通産省火薬類取り締まりを終戦後やっているのに、役所の勤務評定をすれば、これは落第点なんです。何回も何回も大爆発事故があって成績が上がっていないのだから、勤務評定の結果に基づいて、通産省からほかの省の所管に——私は警察庁がなれていると思うのですが、通産省火薬に関する知識というか、商品の名前とか出回りに関する知識とか、そういうものをみな警察庁に供給して、昔は各府県の警察部にちゃんと火薬取り締まりの義務を持たしてうまくやっておったのですから、そういうふうに所管がえするのが私は適当だと思う。これは能力のない役所に幾らやらしてもだめなんです。そういう点を非常に強く感ずるものでございます。私の考えますのは、とにかく近代の役所が、どこの役所の方の責任だというふうにあまり責任が分化されているから、政府として大観しての責任がとれないのじゃないか。それで今回に顧みて政府に、火薬類取り締まりに関する政府としての一つの審議会を設けて、そして各省の火薬類取り扱いに関する役所、ことに国家消防庁とか警察庁とか通産省とか運輸省とか専門の責任官が全部その審議会の幹事役になって、そして共同責任で、火薬類の危険から国民を守る危険物予防の政策を樹立されて、その政策を実施するには共同責任だというように、政府責任を明らかにしていただく必要があると考えるのであります。これに対して政府の方で官房長官かだれかから次の委員会において御回答をいただきたい、こう思っておるのでございます。  なお運輸省には特に責任があると思うのであります。運輸省火薬類輸送に関する省令の二条とかいいますが、そういうふうな規定をしたということはどういうことか。すなわち業者から所在地の府県知事に届け出て、その府県知事は発送地の公安委員会輸送終結地の公安委員会に通知するということの意味は、それによって沿道においての火薬類爆発の危険を予防するためのものなんでしょう。それが新聞等に伝えられるところによると、その通知が府県公安委員会に到着するのに平均して二週間もかかっておるということであります。まさか二週間は大げさでしょうけれども、大体の場合輸送が終わってから着く、そういうことであれば、そのいわゆる省令二条の規定設定の趣旨は全部失われているわけなんです。警察がいかに国民の生命、身体、財産を守ろうとしても(私語する者多し)社会党の席はもう少し静かにして下さい、人が一生懸命に質問しているのに何です。(「異議なし」と呼ぶ者あり)そういうことでありますから、かかる怠慢を運輸省は十分——それは府県知事の業務であっても、その府県知事の業務は国の行政を委任されてやっている立場で、国の行政庁ですから、法令の施行に対して責任を負うものは運輸省です。どうしてそういうふうな法規の励行をほおっておくのか。運輸省自動車行政についてわれわれは非常な不満がある。これも勤務評定によって運輸省にあずけておいていいかどうか、疑問なんです。それから大蔵省の民間金融の問題でも勤務評定上——どうもこれは野党のようになったけれども、大いに疑問がある。そういうような観点から見て運輸省は今後そういう点についてどういうふうに善処しなさるおつもりか、その心がまえを聞かしてもらいたい。
  41. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 秋山軽工業局長から答えるそうでございます。
  42. 秋山武夫

    秋山説明員 ただいまの通産省へのおしかりは、重々肝に銘じて躬行をいたします。都道府県知事に対する届出以後の処理に対する問題、先刻来いろいろ御意見が出ておりました。所管はやはり運輸省ではございませんで、二十条の規定は私どもの方でございますから、私からお答えいたしますが、先刻田中委員からも御指摘がございましたが、まことに私自身もそう感じますので、次の改正の機会には法的にもちろん十分検討いたしまして、実効の上がるような成文に変えたいと思います。現行法施行についての心がまえにつきましては、都道府県がもっと早く通報するという便法というわけに事実上いかないかもしれませんが、できるだけそういうことも……。
  43. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 それは大へんなことなんだ。府県知事に行政を委託したら、その府県知事の行政が運輸行政上どんなに満足すべきものでなくとも、通産省はそれに対してもう責任ないとおっしゃるのですか。指導、助言、監督責任はないのですか。とんでもない答弁を得たものだと思いますが、その答弁、その通りでいいのですか。
  44. 秋山武夫

    秋山説明員 指導監督は十分責任がございますので、至急連絡を早くし得る方法検討し、実行させたいと思います。
  45. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 あと一言だけ。これでおしまいだ。最初は法律的に見れば法律通りやっているんだ。この事件は非常に特異性のある非常にまれな事件だと思っておるというて、事の重要性を局長はそらしていると僕は思うのだ。その点について局長答弁をもう一回承りたい。
  46. 秋山武夫

    秋山説明員 私が従来経験がなかったということで、新しい勉強をいたしましたということを申し上げました意味が、説明不足で先生に御了解を願えなかったようでございますが、私はそういう意味責任を回避するというようなことを申し上げた意思は毛頭ございません。従来確かに仰せられるように、交通がひんぱんになればああいう衝突から爆発事故が起こり得るということが予想せられたにもかかわらず、その点が十分でなかったという点は確かに新しい事実として、今後の非常な参考になるという意味で申し上げたつもりでございます。
  47. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 法律上支障なくやってきたので、問題はこの非常にまれな事態として発生したんだ、こういうことを言われるのだが、通産省が国の行政事務について、各都道府県知事を監督するのに怠りがあったのじゃないか、それを言っている。法律通りにやられて、こういう事故が起こったという説明局長は冒頭にやったのじゃないか。そういう心がまえだからだめだと僕は言うんだ。これ以上答弁は求めません。もうあきれてしまったから……。
  48. 安井吉典

    安井委員 今も御指摘がございましたけれども、やはり火薬取り締まりにつきましては、管轄がきわめてまちまちだというところにも一つの盲点があろうと思います。たとえば製造だとか販売の面は、これは通産省で所管し、あるいはまたその運搬の届出その他は知事について行なわれる。その証明書の発行も知事ですね。それからトラックが出てから運ばれていく経路においては、これは交通取り締まりという面で警察の所管になるでしょう。ところが危険物の予防だとか災害の予防というような意味でこれは警察関係をお持ちになる、ところがその警察自体は運んでいる車に対してそれをとめたりして、調べる権限は何にもない。全体的に火薬が作られてから運ばれるその経路において、一体どれが責任の主体になってどういう形でその監督監視の処理が行われるかということはきわめて疑問だと思います。そういう面につきまして、実際今までの態勢の中でも警察なり通産省なり、消防本部あるいはまた運輸省等で痛痒を感じてないのですか。今後一体どうすればいいというようなお考えがあるでしょう。これは非常に重大な問題だと思うのです。
  49. 木村行蔵

    木村説明員 先ほど申し上げましたように現行法に確かに——ことに先ほど安井委員から御指摘のように今回の事故は確かに運搬そのもの、交通輸送の問題として大きな問題であります。この運搬に関しましての特に火薬類そのものの運搬についての事故未然防止のための現行法の規定からいいますと、不備な点が確かにあるように私たちは思います。これらについてたとえば公安委員会に通報を受けるという場合に、すみやかに通報とかあるいはできるだけ事前に場合によっては公安委員会の意見を言い得る、通行の時間についても通行の場所についても意見を言い得るような事前の措置が取り入れられない限りは、交通の途上において交通事故をこの火薬類運搬について完全に防ぐということは非常にむずかしいと思う。これらについては去年の八月以来通産省にもいろいろな具体的な要望をいたしております。また先ほど秋山局長からもお話がありましたように、法の改正以前にすでになすべき点があります。先ほど局長から話がありましたように、知事に届出すると同時に、県公安委員会に通報していただく。そうすれば直ちに公安委員会の方では到着地はもちろんのこと、沿道の警察方面にも通報する、しかもその通報の内容はできるだけ具体的に通行時間あるいは積載量、車のナンバーなどについても明らかにしていただくというような、内容を把握し得るような形で通報していただくことが非常に大切じゃないかと思います。また先ほど長官からもお話がありましたように、先導車の問題がありました。先導車を全部つけるかどうかということは非常にむずかしい問題であります。と申しますのは、非常な数が動いておりますので、技術的にはたしてそれが可能かどうかは今後の問題として早く結論を出したいと思いますが、それ以外の技術的な点についても、たとえば現行法では確かに昼間は赤地に火薬というふうに白書しておる。それも大きさが一定されておりますけれども、これはできるだけ大きい大きさにして、できるだけ明らかにする。また赤ランプを夜つけますけれども、これらの光度もさらに検討の余地があるのじゃないか。事実行為として行政的指導はできるだけ早くいたしたいと思います。
  50. 秋山武夫

    秋山説明員 御質問の点は先刻来たびたび私も触れておりますように、交通関係の問題について考えますことは実は私どもの問題ではないのでありまして、その意味ではただいま警察庁からお答え通り、今私がしろうとなりに思いつきましたことは、たとえば今の旗の大きさを荷物全体にかぶるような、すなわち赤地のシートそのものに火薬と白書したようなシートをかぶせる、あるいは夜間は明るい、遠方から十分認識できるようなランプをつけさせるというような、これはもう設備そのものとしても大したことではございませんので、早急に実現できるかと思います。今後研究すべき問題は先刻お話のございました輸送量をどうするかという問題がおそらく私どもの一番重点として考慮すべき問題だと思います。
  51. 安井吉典

    安井委員 管轄の件の問題につきましては、法規の中で予防措置はどうあらねばいけないとか、規格がどうだとか、これはこうだというふうないろんなきめがありましても、実際それを執行する機関がきわめて不統一のままであるということが現在の問題点だということにもなるわけです。いかに規則だけはどこからつついても抜け目のないような、手ぬかりのないような、そういった姿でありましても、執行そのものは、きわめて不備な姿であるということは現在も反省しなければいけないし、今大きく再検討を要請されております際において、これから根本的に考えていただかなければいけないのは、その点であると思います。その点あとでの御質問もあろうし、私端折りますけれども、十分に一つお考えを願いたいわけです。  それから補償の問題は非常に大切だと思いますが、その前に、砂利トラックの問題でありますが、今回のこの事件については、火薬運搬という問題について私今まで触れましたけれども、それの措置が一切の手ぬかりがないような方向がとられておりましても、一方において、砂利トラックがぶつかったということで、それはみんな帳消しになるといったような性格も持っているわけです。ですから、問題の焦点は火薬運搬という面にだけ向けられることなしに、現在もう目に余る姿にあります砂利トラックの問題をどうやって措置するかというところに大きく目が見開かれていかなければならないと思うわけです。この問題につきましては、一番最初にも申し上げましたように、この委員会でも、十分に論議をし尽くしましたし、あるいはまた運輸委員会等も積極的に取り上げまして、その解決のための努力が続けられているということを私どもも知っております。ところが最近の新聞の報道によりますと、この事件だけではなしに、もう連日、またも砂利トラック、またも砂利トラック、衝突したり、うちの中に飛び込んできたり、こういったような事故が相次いでいるわけであります。年末でいろんな工事が急がれていて、それだけに拍車がかけられているというふうな事情もあるかと思うわけでありますけれども火薬運搬の問題はこれは初めてのケースだといえるかもしれませんが、砂利トラックは、これは初めてのケースだとは、よもやおっしゃるまいと思うわけであります。この問題についても、この事故原因になりました金運転手は、先月の二十五日に運転免許をとったばかりで、まだ一カ月もたっていない。それにもかかわらず、その日は朝の五時ごろから相模原と川崎の間の片道五十キロをぶっ通し午前五時から四往復で、その十一日の朝の四時過ぎは、五度目の砂利運搬で川崎への帰りだったというふうに新聞は報道いたしております。まさに二十四時間の乗り続けなんです。この間の砂利トラックの問題の論議の中におきましても、これは単に交通法規だとかなんとかというそれだけではなしに、もっと根深い経営の中の労務管理の問題、あるいはまたもっと突っ込んでいけば、過当競争の中におきますところの中小企業の問題にまで入っていかなければいけないかもしれませんけれども、当面といたしまして、働いている運転手の人たちが、非常な過労の中に追い込まれているという姿が、もうここではっきり浮き彫りされていると思うわけです。こういったようなトラック京浜国道を、今こうやって私どもが話している間にも、もう絶えず往復しているわけです。そしてまたどこかのうちに突っ込んでいるかもしれません。ひょっとすれば、また次の火薬トラックとぶっつからないとも限らないわけです。ですからこの問題は国会の中で私どもがこうやって質疑応答でおしゃべりをし合っているということだけで解決するわけでは決してない。この前もこの問題についてずいぶん突っ込んだお話し合いもいたしたはずでありますけれども、一体運輸省は具体的にどんな措置をされたか、そしてまたこれからどうされようとするか、それを一つお話しいただきたいと思います。
  52. 国友弘康

    国友説明員 運輸委員会でも、事故防止の観点から、衆参両院とも取り上げられて論議されておりまして、私どもその対策に腐心しておるわけでありますが、その取り上げ方といたしましては、長距離路線トラック砂利トラック輸送について主として取り上げておりました。私どもといたしましては、道路運送法に基づきます事業者の監督の面から、長距離路線トラックについて相当突っ込んだ監査をし、対策を講じておるのでございますが、砂利トラックの面に関しましては、この砂利トラック輸送をしております者は自家用車がほとんど大部分でございまして、これらの面につきましては、道路交通取り締まりの面から警察庁の方で取り扱われることが多いのでございまして、そういう面で運輸委員会でも取り上げられておりますが、警察庁とも十分連絡をとりながら措置を考えておる次第でございます。
  53. 安井吉典

    安井委員 警察の方はどうですか。
  54. 木村行蔵

    木村説明員 確かにこの砂利トラック暴走というものが非常に目に余るものがございまして、悲惨な事故を相当起こしておりますが、これにつきましては、私の方で特に関東、近畿、その一帯において特に目立つものがありますので、去る七月には全国一斉に、特に今申し上げた両管区内におきましては重点を置いて、砂利トラックの一斉取り締まりをいたしております。たとえば八月一ぱいの統計によりますと、砂利トラックで、交通法規違反関係で検挙いたしましたのが八千四百件ばかり、一カ月の間においてもそれだけの大きな数になっております。その大部分が積載制限違反であります。さらにその次に多いのはスピード違反、追い越し違反であります。その大部分が、先ほど自動車局長からもお話がありましたように、自家用の砂利トラックが特に目に余るものがありまして、八割ないし九割程度のものがこの違反——八千四百件のうちの八、九割は自家用でございます。これらについては取り締まりを厳重にいたすだけでなしに、特に労務管理の問題で問題がございますので、具体的にその違反の回数の多い事業体に対しましては、陸運局を通じ、また労働基準局を通じて警告していただいておる。具体的に私の方で違反の態様を、ただいま申し上げた関係局に通報いたしまして、その関係局からさらに警告いたし、そうして場合によっては具体的な事故防止の計画書といいますか、対策といいますか、そういうものをとらせる方向に行政指導を関係省と一緒にやっておりまして、砂利トラック取り締まりについては十分に徹底して参りたいと考えております。
  55. 安井吉典

    安井委員 砂利トラックの問題につきまして、検問所を設けて、いろいろ措置されておるということも聞いておりますけれども、たとえば一つ検問所でとめられて、積載制限のことで大へんお目玉を食いますと、それを通り抜けたあとは、一つスピードで取り仮さなければいけないというわけで、ものすごくまた八十キロも出してすっ飛ばしていく、それでマイナスになったのを取り返そうとする、そういったような動きもあるというようなことも聞くわけであります。だから私は、これはもう根本的にはそこで働いている人たちの生活が不安定だから、もうそれだけ無理やりに働かざるを得ないという姿に追い込まれておるというところに一番深い根があるのではないか、こういうふうに思うわけです。ですから、警察の方でそういうふうな事実をつかまれましたら、陸運局を通して業者の方に通知があるらなば、その悪質な者については免許を取り消すとか、そういうふうな強力な措置まで運輸省当局では強い態度に出なければ、これはなかなかおさまりがつかない問題ではないかと思います。そういうふうな具体的な御措置をされた例があるか、あるいはまた、自動車局長の御答弁は何かずいぶんあいまいにぼかされたような気がするわけでありますけれども、具体的にそういうような問題についてのお考えを一つ伺いたいと思います。
  56. 国友弘康

    国友説明員 連絡がありました場合に、情状によりまして取り締まりをし、監督をし、措置もいたしたいと思っておりますが、車両の使用停止等の措置はいたしましたが、取り消しはまだしたことはないと考えております。ただ、今後非常に情状に悪質の点等がありましたら、これは取り消しなり、あるいはその他重い行政措置をしなければならないと考えております。
  57. 安井吉典

    安井委員 今の自動車局長の御答弁はまだまだ徹底ができてないと思います。この問題の重要性にかんがみまして、もっと真剣に取り組んでいただかなければいけないと思います。特に衆参両院とも運輸委員会で、今の運輸行政の一番重要な問題だという取り組み方がなされているように聞くわけでありますが、そういうあり方からしても、政府の方はもっと真剣にやっていただかなければ、火薬だけの問題じゃありません、走る火薬庫という言葉がありますけれども、これは走る凶器だと言うことができるわけであります。そのことを特にお願いをしておきたいと思います。  ほかの方の御質問もあろうかと思いますので、私の質問は打ち切りたいと思いますが、最後に、今回起きた事故補償の問題について伺いたいと思います。一番初めの御説明の中におきましても、世の中をこれだけ驚かして、多くの死傷者を出して、多くの倒壊家屋や家財道具をぶちこわされまして、しかし一体これの補償はだれもしてくれないのではないかというふうな言われ方が先ほどなされておりますけれども、これは非常に心外なことだと思います。この事故によりまして被害を受けた人たちは、肉体的にも、あるいは財産の上にも大きく受けた痛手を一体どうすればいやすことができるのかという問題です。警察側ではこの扱いにつきまして、つまり刑法上の扱いにつきまして、どういうふうに今処理をされつつあるわけですか。
  58. 木村行蔵

    木村説明員 現在の捜査ないし調査の重点は、運転者がなくなっておりますので、直接の事故原因者についての問題はすっ飛んでしまったわけです。しかし事件としては運転、特に砂利トラックの方の運転者の業務上過失致死傷という刑法二百十一条でしたか、その罪の有無というものが一応考えられるわけです。さらに火薬類運搬した方のトラック関係におきましては、火薬類取締法違反あるいは運輸省令道路運送車両の保安基準の五十一条などの違反があるかどうかという問題があります。ちょっと申し落としましたが、砂利トラックの方の運転関係におきましても、積載制限が問題になります。あの砂利トラック運搬積載制限違反でありますと、その当の金運転手だけの責任でなしに、両罰規定として、それを使っておったところの使用主の責任も場合によっては出てくるかもしれません。そういう点で、法令違反という点に特に重点を置いて捜査ないし調査をいたします。
  59. 安井吉典

    安井委員 それでは今まだ結論が出ないで捜査段階にあるわけですね。
  60. 木村行蔵

    木村説明員 さようです。
  61. 安井吉典

    安井委員 火薬会社の側につきましての容疑は、どういうことなんでしょう。
  62. 国友弘康

    国友説明員 私の方からお答えいたしたいと思いますが、これは運送業者としての監察の問題についてお答えいたします。この点につきましては、先ほど申し上げましたように、事故が起こりましたあと、監察に関しまして、一時火薬類運送を見合わせるようにという指示をいたしました上で、十二、十三日にわたりまして、車両構造、機構につきまして取り調べました結果、法令に基づきまする基準の上において遺憾な点はない、そういうふうに察せられますので、火薬類取り扱い中止指示を一応取り消したような次第でありまして、運搬会社側の方の自動車構造上の観点につきましては、責任はございません。
  63. 安井吉典

    安井委員 通産省側の意見も先ほどありましたけれども、当該火薬会社については全く責任がないというふうな御見解を今おとりなのですか。
  64. 秋山武夫

    秋山説明員 法的に責任を問う余地は、私どもには見当たりません。道義的に、あれだけの事故を起こしたのだからという一種の無過失責任のようなものを、これはむしろ会社当局者の考え方のいかんによると思いますが、できればさせたいという考えでおりますが、先刻来のお話のように、どうも過失の大部分は砂利トラック側にあったらしい。こうなると、運送業者監督義務という点からもちょっと議論はしにくいということで、全くの道義的な、いわば実質的な見舞ということしか私の方としては勧告の余地はないように感じております。
  65. 安井吉典

    安井委員 先ほどの被害報告の中にもありましたように、死者の四人は当該運転手、助手でありますけれども、しかしながら重軽傷合わせて百九人、家屋の全半壊それから小壊まで入れまして五百四十四戸という、これはちょっと類のない大きな事故であるわけです。これだけの事故が、当事者の人たちがあまり責任感じないというふうなままで放置されるということは、非常に大きな社会的な影響のある問題だというふうに私考えるわけです。これらの損害についての民事的な補償といったような義務のあるなし、あるいはまたそういうような問題について今後どのような御指導をされる御予定か、これは通産と運輸と両方にまたがると思いますけれども一つお聞かせをいただきたいと思います。
  66. 秋山武夫

    秋山説明員 私どもの方は、ただいま申しましたように、法的に責任を問うということはちょっとむずかしいのじゃないか、万一火薬運送業者の側に過失があったということが挙証されますれば、これは刑事事件にもちろんなりましょう。その場合には重過失あるいは民事上の損害賠償ということにまでなろうかと思います。現在までのところでは、その事実が見出せないようでございますので、私ども自身も実はその点で非常に苦慮いたしておるわけでございます。あれだけ社会的に問題を起こしておりますから、これをそのまま放置するわけにもいきませんでしょうが、同時に会社に対して、これこれのことをしてやれということを私どもから強く言う根拠がないというところで、私どもとしては単なる勧告、あるいは道義的な、見舞金を出すように、会社の誠意を尽くすようにということだけでございます。現に会社責任者も現場へ行っていろいろ見舞をいたしておりますが、補償問題等についてはまだ目鼻はついていないという状況でございます。
  67. 国友弘康

    国友説明員 運輸省といたしましては、ただいま軽工業局長からお話がありましたように、輸送業者としての責任は、むしろ現在のところ——取り調べが進みまして、どうなりますかわかりませんけれども、おそらくないのではないかと考えておりますが、先ほど申し上げましたように、自動車損害賠償保償法に基づきます保険金支払いというものはなされるわけでございます。ただ保険金につきましては死亡三十万円、重傷十万円以内の支払いでございまして、この限度内において支払いをするという状況でございまして、それ以外につきましては、金銭的とかそのほかの問題に関しましては、われわれとしては法律上も措置がない、こう考えております。
  68. 安井吉典

    安井委員 自動車損害賠償関係ですが、この死傷という意味は、今言いました百九人に及ぶ人たちまで入る意味ですか、どうでしょう。
  69. 国友弘康

    国友説明員 これは運転手、助手等に関しまして、その運転手、助手に過失がありました場合には入りませんが、それ以外の場合は全部入ります。
  70. 阪上安太郎

    阪上委員 今の点で関連質問をしたいのですが、先ほどからのやりとりを聞いておりますと、そういう感覚でこれを解決しようなんという考え方では問題にならないです。先ほどからいろいろ問題点を伺っておると、究極は火薬運搬法規に盲点がある、こういうことに結論は出ておるのです。その場合に、法規に盲点があって、しかも運搬に対しては警察ですら管轄できないというような状態に盲点が出てきておる。これでは自然災害じゃないですか。こういった問題に対して、きょうは関係大臣がいないからはっきりした答弁を聞くことはできないと思いますが、むしろ国家賠償的な考え方で処理していかなければどうにもならないという問題じゃないかと思うのです。法が盲点を持っておって、そのために取り締まりが十分できないという結果が起こって、そうしてあれだけの大災害を与えてしまった。どこに責任があるのですか。こういう大きな盲点がはっきりしてきた場合には、むしろこれは国家賠償的な見地からこれを救済していくという考え方を持たなければいけない。自分たちが管轄する小さな範囲の関係法規だけを頭において、これを何とも解決する方法はないんだ、これ以上は何もないんだ、こういうようなことでは災害を受けた民家ではおさまりはしないですよ。これは関係各省におかれて、もっと同情のある態度でもって、何とかこれを救済していかなければならぬという考え方に頭を持っていく、そういう観点からなら解決策があると思うのです。きょうははっきりとここであなた方から答弁を伺うわけにはいかないと思いますけれども、しかしこういった問題をいろいろと政治問題化して解決していくためには、あなた方自身がやっぱり土台にならなければならぬと思うのです。あなた方の考えが馬車馬的に、小さな範囲にだけ頭を使っておって、全然救済の方法がございません、そんなことで一体どうするんですか。風水害ですら大きな予算措置をいたしまして、これに対して救済の方途が講ぜられていくでしょう。まして法の盲点がはっきりと明らかになって、そうして当然取り締まるべきものが取り締まりできなかったということがはっきりしている以上は、もう結論は出ておるじゃありませんか。どうか一つそういう点で、もう少し考え方を切りかえていただいて、国家賠償的な方向で解決するような方向へ善処してもらいたい、私は特にそういう点を要望しておきたいと思います。
  71. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 先ほど来、与野党の委員から本件につきまして熱心な御質問がありまして、私も非常に参考になり、また感謝いたす次第であります。ただいまの賠償責任の問題でありますが、一体、四トンの火薬といいますと、これを貫に換算しますと一千百貫になるわけですが、一千百貫の火薬を、五トン積みの貨車だから四トン積んだっていい、それから国友自動車局長自動車構造、設備にも何も支障はなかったのだ、そう言えば済むわけでありますが、一千百貫の火薬を箱詰めにして、東京都内の目抜きの場所、交通繁多な場所を通してよろしいものであるかどうか。五トンの貨車に四トンの火薬を積んで差しつかえないものかどうか、それを国友局長からお答え願いたいと思います。
  72. 国友弘康

    国友説明員 この点は火薬の取締法に基づきまして、積載方法あるいは運搬方法等についても政令で定めることになっておりまして、これは、所管のことを申しては何でございますが、通産省関係だと思いますが、私の方で、四トン積んでいいかどうかという問題につきましては、これが危険である場合は、たとえば四トンであっても二トンであっても実は危険なのであります。これについては十分な防護措置を講じなければならないと考えおります。
  73. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 そこで、昭和火工が上総通運に四トンの火薬を積めと言ったのでしょうか。昭和火工はしかるべきということで運送契約を結んだのであるか。四トンの火薬を一車に積めということを昭和火工がもし話したとしたならば、やはり昭和火工にも賠償責任があるのじゃないか。同時に、火薬のような危険物を四トンも運送会社が積んだとすると、もちろん運送会社にも責任はある。それから砂利トラック会社についても、もし砂利トラックが衝突したとするならば、これにも私は当然賠償責任が起こってくると思うが、これは関係当局が、受けた損害をどういうふうに賠償するかというあたたかい気持をもって、被害者の立場を十分考えてやる、そういう方向に持っていっていただかぬと、単に一片の法律の解釈がああだこうだということだけでは非常に被害者は気の毒じゃないかと思うのであります。その点も十分お考えを願いたい。  それからもう一つ、先ほど、届出の問題が形式であるということを私も申し上げたし、門司委員からも安井委員からもお話があったのでありますが、届出ということの法律上の効果ですが、一体書類を出せばそれですべて何でもかでもやっていいというものか、届出を受理した場合に、届出を受けた官庁が、かような方法でやれ、かような条件をつけなければならぬと思うのです。また届出にないような行為をやってはならぬと思うのであります。ことに昭和火工なり運送会社が四トンの火薬運送するという届出をした場合において、届出を受けた知事がもちろん公安委員会にも通達する。公安委員会はその内容を見て、これではあぶないからこうしてもらいたいということを答えて、それに基づいて業者側に届出の内容についての条件をつける。そしてその条件をつけたものを関係の通路に当たる各警察署に全部知らして、運搬オーケー、運搬してよろしい、準備完了しましたという答えを受けて、そして火薬会社なり運送会社なりに、さあ運送してよろしい、というような行き届いたやり方をしなければならないのではないかと私は思うのであります。届出というものは、そんな単に書類上一片の紙切れがきたから、それでその行為が免責行為になるのだというようなわけにはならないと私は思うのですが、その点を聞きたい。  それからもう一つは、今回は運送中に起こった事件でありますから運輸省警察庁消防庁、通産省、これだけで——手持ちぶさたで法令改正を待っている前に、一つ関係省が事実上の協議会を作って、そして今後の災害をどうして防止するかということを至急にやっていただきたい。これは私どもが真剣に皆さんにお願いすることであります。再びこうした事件が起こることは、国民としても非常に迷惑千万でありますので、われわれがここでもってわいわい騒いでいるだけにとどまってしまっては、先ほどどなたかおっしゃいましたが、ただ議員が質問をしてそれに対してしかるべき答弁をして、それでもって事終わったというのじゃなくして、われわれも国民の代表として真剣に皆さんにお話申し上げておるのでありますから、あしたと言わずにきょうでも、一つ四者の方が集まって、事実上の協議会を作って、今後の災害を絶対に未然に防止するというような熱意を持っていただきたい。  以上、私は二点を申し上げまして、なお一つお答えを願いたいと思います。
  74. 秋山武夫

    秋山説明員 運搬届出の性格につきましては、まことに遺憾でございますが、現行法の規定自体が非常に形式的でございまして、一種の免責的性格を持っておるように私にはとれます。これはもちろん改正の際討論して考えなければならぬと思いますが、現行法の条文の上では、どうも田中委員の仰せのような趣旨に解釈せざるを得ないと考える次第でございます。  それから関係省庁の連絡会議、これは実は来週の火曜日、二十二日に集まるということで予定をいたしておりましたが、ただいまのお話もございますし、きょうというわけには参りませんが、あすにも大至急集まりまして、法律改正前の問題について事実上の処置というものの打ち合わをしたいと思います。
  75. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 私は届出制度というものがさようなきわめて形式的なものであって、官庁側がどうしてもそういう制度であるがゆえに取り締まりの道がないとおっしゃるならば、ある一定数量の火薬運搬する場合においては、これを届出制度から許可事項に切りかえていただきたい。そして許可がない以上は絶対に運搬さしてはいかぬ。もし運搬した場合にはその許可を取り消すというような強い態度で、しかも運輸省でもさような強い態度で今後臨んでいただきたい。もしどうしても届出事項で取り締まりができないという場合は、これを許可制度に切りかえるとかなんとかその辺の御考慮を願ったらどうか、そういう希望を申し述べまして、質問を終わります。
  76. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 太田一夫君。
  77. 太田一夫

    太田委員 私は三百日の泥沼争議といわれております主婦と生活社の問題につきまして、きょうは柏村警察庁長官お尋ねをいたします。  これは十四日の夜中の一時五十五分ごろに発生した暴力事件でございますが、すでに警察当局に六人の検挙者を出しておりますから、事件そのものの内容はよく御存じだと思うのですが、これは非常に残念な印象を残した事件でありまして、どうも警察の方は、こういう暴力事件の予防に対して熱意がないじゃないか、あるいは会社側の方に一方的に加担をした行為ではなかっただろうかと、痛くない腹を探られていらっしゃるだろうと思うのですけれども、そういううわさも絶えないわけであります。この件に対しまして最初に感想、お考えを承っておきたいと思います。
  78. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまお話の主帰と生活社の争議は、実に果てしなく長く続いておる中小企業における争議の一例でございまして、その長期化しておること、またその態様から申しましても、実に遺憾な事案だと思うのでございます。今回の紛争をさらに激化しましたもとは、十日の例の第九次統一行動の日に、四階に占拠しておりました労組員が、例の統一行動に加わった、そういうことで留守になったあとに、会社側が警備員を入れてこれを占拠したということに端を発したように聞いておるわけでございます。双方にいろいろ不法事案がございまして、警察におきましても、それぞれ必要なる捜査をし、また場合によって現行犯で検挙いたしておるわけでございますが、毎々申し上げることでございますが、その争議の形態が不法であるとかあるいは不当であるとかいう問題は別といたしまして、警察といたしましては労働運動そのものについて何ら介入する考えは持っておりません。常に法の厳正なる執行という観点に立ちまして、不法を犯した者について、必要なる取り締まりを加えていく。もちろん事案が非常な傷害事案なりあるいは暴行事案になるというような見通しがあります場合におきましては、できるだけこれを事前に予防するというような警告、制止等の措置もとるわけでございますが、今回は、警察といたしましても、当日は実は第九次の統一行動もあり、さらに夜間には品川から北鮮帰還の人たちが出発するというようなことで、機動隊が相当忙がしく一日中働かなければならなかった事情等がございましたが、必要な時間には、所要の人員を配置いたしまして、警戒態勢にも当たっておるわけでございます。ただいままで私ども聞いております関係におきましては、警察としてどちらに加担するとか非常にやり方にまずい点があったというふうには考えておらないのでありまして、要は警察としてはこうした争議が行なわれ、不法事案が起こるということは非常に遺憾なことでありますが、その間に処して常に中正の立場を堅持して事態を処理して参るという考えでおることを申し上げたいと思うわけであります。
  79. 太田一夫

    太田委員 ただいまのお話ですと、十一月十日の日のいわゆる第九次の安保阻止運動の日と最初会社側が組合の事務所を占拠した日、この事件が起こった日が一緒になったが、しかし警察としては厳正なる法の執行、それから不法なる行為を行なう者の取り締まりに十分力を尽くしておりました、こういうことであろうと思うのですが、十日の事件は御承知の通りであって、なるほどそういうことで落ちついておりますけれども、それが起因をなしておることは事実であります。しかも会社側の行為は、地裁の仮処分をすでに経ておる合法的な事務所を閉鎖しようとするいわゆる不法行為、法秩序の無視というものがあったのです。そういうものに対して警察の当局がもう少し厳正な態度をおとりになったならば、十四日の夜中のあの乱暴な暴力事件というものは起こらなかったのではないと思うのですが、その点はいかがでありますか。
  80. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 会社側が四階を留守中に警備員によって占拠したという行為自体、これが何かただいまのお話では法に触れるというふうなお言葉でございますが、警察といたしましては、例の仮処分の決定を解釈いたしまして、そのこと自体が妥当であったかどうかという問題は社会的に批判されるべき余地はあると思いますが、法律違反であるというふうには考えていない。従ってあの行為自体を不法行為として取り締まるということは、警察では現在考えておらぬわけでございます。
  81. 太田一夫

    太田委員 その辺に問題のあることは、これは世の中に取りざたされておる通りでありまして、その地裁の仮処分の不明確さというものが双方によりどころを与えて、今なお千日手になってしまっておる。いつまでたっても解決しないということでありますが、まことに国家の平穏なる状態を念願する警察当局の思想といたしましては、残念な事件であろうと思うのです。  そこで私は当日、十四日の件を特にお尋ねいたしたいのですが、まずいわゆる暴力団、これは警備員と言われておりますが、暴力団的な警備員がどれくらい参って、そこで警察はどれくらいの人が繰り出されて、どの程度にこれがおさまったか、こういう点をもう少し具体的にお答えをいただきたいと思います。
  82. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 事案はしばしば十日以後起こっておるわけでございますが、ただいまお尋ねの十二月十四日の事案について、少し申し上げてみたいと思います。  会社側が午前一時四十分ごろに大型トラック一台に材木を積みまして、警備員十五名を乗せて、社屋の玄関に到着しております。そのころ時を同じくしまして、西神田方面から歩いて参りました警備員約二十名、合わせて三十五名くらいになると思いますが、これが社屋内に籠城しております会社側と呼応して、木材の搬入を始めたわけでございます。これに対しまして、組合側では社屋の前に七、八十名がたき火をしながらピケを張っておったのでありますが、直ちに材木搬入を阻止しようとまして、トラックを取り囲み、会社側警備員との間に、たき火の燃え残りなどを投げつけるとか、片方から丸太や棒を投げつけるというような乱闘が起こったわけでございます。そこで付近に警戒をいたしておりました警察官十六名と、さらに現場に派遣されました神田署員約二十五名が警告、制止に努めました結果、紛争は約二十分くらいでおさまったのでありますが、この間に暴力行物等処罰に関する法律違反容疑で、会社側の警備員六名を現行犯逮捕いたしておるわけでございます。
  83. 太田一夫

    太田委員 その際の警察のとりました処置でございますが、これは新聞並びに世上伝わるところによりますと、当時警察官五人が、一応何かあるのではないかというので、警戒態勢に入って、そこにいたのだが、暴力団が来たとたんにこれは逃げ出してしまった、こういうことが報ぜられておりますが、これは事実でございますか。
  84. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 大体いつどういうときに起こるかわからないような状況下にありますので、十名内外の者を十日以後パトロールその他のことによりまして監視をいたさせておったわけでございます。ただいまお話しのように、警察官がそういう者が来たから逃げたというようなことは、全然これはないと思いますし、私はそういうことは耳にいたしておりません。
  85. 太田一夫

    太田委員 従って今のお答えから、五人の警察官が逃げたという事実がもしもなかったのに、新聞などで逃げたということを書いたとしたら、非常に警察の威信にも関係することと思いますが、そのような記事があったのでしょうか。新聞に対しまして記事の訂正を申し込まれる意思がありますかどうか。
  86. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私はその記事を見ておりませんが、新聞にはときどき間違った記事も出る。これは新聞社に対してまことに申しわけないことでありますが、何も悪気で書かれることではなくて間違うこともあります。これは一々私の方で訂正を申し込むということはいたしておりませんが、その及ぼす影響その他について検討した結果、必要あれば訂正を申し込む場合もあるわけであらます。
  87. 太田一夫

    太田委員 実はこの事件を大きくさせたのは、その五人の方がそういう行動をとられずに、進んで暴力事犯の起きないように努力され、任務をお尽くしになったならば、このようなことは起こらなかっただろうと実は思うわけであります。ですから警察官の世の中の社会的信用の問題から言っても、そこにいた警察官が逃げ出したというようなことを書かれては全く天下の警察、特に警視庁の面目に関することであるから、事実をお調べになっていらっしゃらないならば、もう少しお調べになる必要があるし、それがニュース、新聞記事と違っておるならば、新聞社に対して、そういう警察官の威信に関することは取り消してくれとおっしゃらなければならないと思いますが、この逃げ出したということに対するお調べが十分できておらないようでありますが、いかがでございますか。少し事実について御調査なさる御意思はございませんか。
  88. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私は警視庁の警察官がそんなにだらしがないことはないと確信いたしておりますので、しいてこのことについて警視庁に調査を命ずるというか、調査を慫慂する気持はございませんが、警視庁としても自分のところの信用の問題でもありますし、警察官一般の士気にも関係することと思いますから、適当な調査は進めておることと思います。
  89. 太田一夫

    太田委員 適当な調査ということですが、これは積極的な調査と、まあ調べるだけ調べておこうというのとあるのですが、もし逃げ出した事実があったとしたならば、実は大へんなことだと思います。二度とこのようなことのないように、任務は敢然として尽くされるという柏村長官の指揮する警察組織というものは、警察官個々に至るまでしっかりしておるという世評を確立していただきたいと思います。逃げ出すことは三十六計の中にあるそうでありますから、逃げ出すのも戦術の一つでしょうが、しかしこの場合は、主婦と生活社の争議というものは、何か非常に暗いものに印象づけておりますし、十四日の事案というものを考えてみますと、やはり会社側の——あなたの方でおっしゃったのは三十五名でありますが、新聞によりますと五十名、とにかく三十五名といたしましても、その方方が警備員という名によって、実は暴力団的に扱われておるそういう人たちが来て、そこにおる連中に丸太を持ってなぐりかかり、たき火を振り回し、くつでけ飛ばした、そういうことが起きたわけであります。非常な深夜のことでありますし、防火上にも問題があったから消防車も三台ばかりかけつけたと思います。ですからこんなばかなことをさせておくということは、やはり世の中の秩序あるいは生命、身体、財産の保護という立場からいたしまして、非常に遺憾なことだと思います。従いまして今長官のおっしゃいました通り、十分に積極的に調査をしてもらいたいと考えますが、そういう御意思と理解してよろしゅうございますか。
  90. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 当日の会社の行動については、警察としては事前にもちろん承知しておらないのであります。ただあそこの争議はいつどんなことが起こるかわからないという情勢で、これは非常に警察としては迷惑なことでありますけれども、警戒態勢をとらざるを得ない。しかし御承知のように、その事案がほんとうに生命、身体に影響を及ぼすような不穏な状態にならない前において、非常に早くこれを制止するわけには参らないのでありまして、たまたま私報告を受けているところによりましても、入ってきた者にたき火の燃え残りを投げつける、それに対して反抗して丸太ん棒を投げるというようなことから紛争が起こっておる状況で、全く起こった状態は突発的なものではないか。従って、ただいま何回も繰り返して仰せのような警察官が逃げるような情勢というものは、全く考えられなのいでありまして、むしろ警戒にあたっていた者にさらに応援を加えて事態をおさめたというのが真相であろうと思うのであります。
  91. 太田一夫

    太田委員 であろうということから、であると断言ができますようにお調べいただきたいと思います。それから十三日の夜にこのような警備係、いわゆる暴力団がなぐり込むだろうということは警察は予知していた、こういう話もありますが、それはどうであったかということと、それから当日トラックに乗って参りましたのは十五名という長官の話からいきますと、これは制限外乗車の許可を得なければならないわけですが、これはとってあるかどうか、この点についてお尋ねいたします。
  92. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほど来申し上げておりますように、あそこの争議は非常に異例な状況でありまして、いつ何が起こるかわからぬということの警戒態勢はとっておりますが、いつごろどういう人間が会社側の計画でやってくるとか、あるいは組合側がどういう数で動員をかけられるかということまで、非常に突発的に起こるような形でございますので、警察としては承知をしておらなかった。常時そういう警戒態勢をとって監視をしておるというような実情でございます。ただいまの点は、私こまかいことで、許可を受けておったのかどうかということは調べておりません。
  93. 太田一夫

    太田委員 その件もまた許可を与えたかどうかをお調べいただきたいと思うわけです。このような事件が新聞に大きく報ぜられ、社会的に争論を巻き起しているものについては、その一々についてやはり合法であったか非合法であったかということなどは、それぞれチェックしていただきたいと思うわけです。特に会社のやったことはすべて見のがすということにならないように、そういう印象づけがないようにお願いしたいと思います。  そこで、きょうは消防本部長もいらっしゃいますから、ちょっとお尋ねいたしますが、その晩は消防車三台がかけつけてきたということでありますが、それは事実でございますか。
  94. 鈴木琢二

    鈴木政府委員 私報告受けておりません。
  95. 太田一夫

    太田委員 その事実があったということについては、全然御存じございませんか。
  96. 鈴木琢二

    鈴木政府委員 現在の組織では、自治体消防のそういう一々の処置について国家消防本部に報告することになっておりませんので、報告をもらっておりません。
  97. 太田一夫

    太田委員 責任がないからそれは知らないということですが、新聞をごらんになることはありますか。
  98. 鈴木琢二

    鈴木政府委員 もちろん新聞で承知はいたしております。
  99. 太田一夫

    太田委員 たき火をしておるたき火を振り回してやれば火事になりますよ。江戸八百八町一本のたき火からたちまち火の海になるということを考えますと、伊勢湾台風どころの騒ぎじゃない。労働運動と警察とか消防取り締まりのことと切り離して言っておりますから、その点御了承願いたいのですが、これは原因労働運動にありますけれども、事は今日のまるで世の中の普通の状態じゃないということです。映画か何かのロケーションならよろしい、これはみごとであります。ところが実際の社会生活の中でこういう関係が起きておるということは、あなたたちとしても見のがすことのできない問題だと思う。自分の職責に関しないから、報告すべき規則がないから知らないということでなしに、もし今の制度が悪ければその制度に対する改正もしなければなりませんから、関心は持っていただきたいと思う。  それはその程度にしまして警察庁長官お尋ねをしますが、その日はパトカーが数台そこにおり、あわせて機動隊が百何十人出動したというのも事実でありますか。
  100. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先に申し上げましたのが、付近警戒中の警察官十六名、さめらに現場に派遣された神田署員約二十五名で事態をおさめたということでございますが、さらに午前二時十五分に第五機動隊一個中隊、六十三名、午前二時三十五分に第三機動隊一個中隊六十四名を派遣いたしまして、事態終息後も現場に待機して、午前六時二十分、平穏であることを見届けて引き揚げたわけでございます。
  101. 太田一夫

    太田委員 なかなか大事件であったと思います。そこで簡単に最後の大事なところだけお尋ねをいたしておきたいのです。神田署の次長の、これも伝えられておる談でありますが、両者の暴力行為事件を防ぐために出動しただけである、会社と気脈を通じたものではないという趣旨のことをお話しになっていらっしゃるようであります。これはやはり世の中に一般的に、今度の場合は会社の方に対して味方をした警察権力だ、警察組織だ、警察活動だというように受け取られておりますので、その辺のところは警察庁長官としてもはっきりと言明しておいていただきたいと思うのです。会社の方に味方するのも一方的ならば、組合がまずいことをやったといったって、それに味方してどうするのもまた一方に偏していけない。やはり公正な立場から言いますならば、今度の場合、幾ら大島社長は衆議員議員であろうとも、主婦と生活社の争議の過程においてどういう因縁があろうとも、警察といたしましてはその立場をはっきり割り切って、会社にくみせず、世の中の秩序を守り、法律は厳正にこれを行なってもらわなければならぬのです。言葉の上ではそれがあるのですけれども、今度の場合どうも被害者は組合員であって、加害者が会社側であり、警備員という名をつけて実は暴力団であった。その六名の逮捕された者の身分ははっきりお調べになっていらっしゃると思う。警備員ということになるならば、もちろん労働者、雇用者である以上は、労働台帳がありますから、台帳に登録されておらない従業員はないわけです。そこから考えてもこれは真の従業員であるか、それともにせ者であるかということがわかると思うのです。この点も六名の身分からずっとたぐっていただきまして、台帳にも載せていない名前である。単なる人夫だということになれば、これは警備員ということでなくして暴力団ということになってくると思うのです。こういう点などもよくお調べの上、会社などに味方するという世の中の批判を断固として返上してもらうだけのきぜんとした態度をおとりになるべきだと思う。これは警察の立場がとにかく個人の生命、身体、財産の保護、犯罪の予防というところにある以上、犯罪の予防などは特にしっかりして、その結果生命、身体、財産に対して被害がないように十分な手配をしていただきたいと思う。会社と組合側の間にそう感情的なものがなく、また警察の権力が一方に味方しないということによって、厳正な立場をとることによって、処置をすることによって、そこに平穏な状態が来るなら、その次に労使の関係の団交とか、その次にいわゆる平和状態というのが来るわけですから、そういう一方に偏しないという立場をおとりになることは、実に大事なことだと思います。警察庁長官として生命、身体、財産を守るための、そしてまた犯罪予防の立場として今後この争議が特に注目されておりますから、遺憾なきを期するという決意は十分おありだと考えますが、その点について念のために承っておきたい。
  102. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 毎々申し上げておることでありますし、先ほども申し上げましたように、警察労働運動そのものに決して介入するものではございません。常に法の厳正なる執行ということにつきまして、中正なる態度をとって臨む覚悟でおりまするし、現実にそういうふうにやっていることと確信をいたしておるわけでございます。ただ世間に、いろいろと立場々々がございまして、警察はあちらの味方をしているとか、片方に非常に不利な態度をとるというような非難、中傷というものは、これはなかなか避けようとしても避け得ないものではございますが、あくまでも警察は中正な立場を堅持して、そういう誤解なり、あるいはためにする悪評というものを世間が信用しないようにまで高めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  103. 太田一夫

    太田委員 わかりました。そういうことにぜひお願いをいたします。従いまして質問の過程で申し上げましたが、警察官が五名行って逃げ出したという世の中の風評に対するお調べの点と、それから制限外乗車を許可したかどうかということはわからないということでありますが、この点に対するお調べと、それから六人が現在逮捕されている以上は身分というものが明らかになっていると思いますが、それと会社の従業員であるということとの結びつき、そういうことなどにつきましても現在の長官のおっしゃったお気持の上から、十分これを糾明したおいていただきたいと思います。以上要望いたしまして終わります。
  104. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 門司亮君。
  105. 門司亮

    ○門司委員 私はこの際長官がおいでになりましたから、十一日に起こった火薬爆発事件についてお聞きをしようと思っておりましたが、非常に時間がおそくなっておりますので、次の審議に必要な資料の要求だけをいたしておきたいと思います。  これはよく聞いていただきたいと思いますが、一つ火薬類運搬に対する制限に関する取締法、火薬類取締法であります。昭和二十五年の法律第百四十九号でありますが、これを一つ出しておいてもらいたいと思います。それから同時にこの法律に基づいてできております道路運送車両の保安基準に関する運輸省令であります。これを一つ出してもらいたいと思います。それからさらにこれに基づいてできております火薬類運送する自動車及び軽車両構造、装置及び性能に関する規則、これを一つ出していただきたいということであります。  私どもがこういう書類を要求いたしますのは、この問題が非常に重大な問題でありまして、起きた事故についての責任の追及あるいは補償問題等いろいろございますが、根本的には今申し上げましたような法規に基づいて現行の取り締まりあるいは処置が行なわれておりますので、これにかなりの不備があるということが考えられます。従ってこれをいかように直せばいいかということについては、政府の方も検討されるでしょうが、われわれ同僚もやはりお互いに検討していきたい。従って今申し上げましたような現行法規をまとめて出していただきたいと思います。これはまっかではありませんが、赤い表紙の小さな本が二冊あるはずです。特に火薬取り締まり関係だから通産省にあるはずだと思います。今私の手元にございませんが、私の記憶ではこの本があると思います。火薬取り締まりに関する法律、政令規則というようなものが全部ある。  それからもう一つの問題は県の条例であります。条例というのは県の規則であります。この問題のもう一つの盲点は、先ほどちょっと申し上げましたような、火薬運搬いたします、移動いたします場合の届出が必ずしも県庁ではないのであります。これは出先の機関に委譲してあります。この委譲は各県の規則で大体これをきめられております。これは市役所なりあるいはその他の機関できめておりますから、警察との関係はほとんどないわけであります。そういうところに盲点がありはしないかと思うのであります。従ってそういうものについてもできるだけ詳しい規則をできれば一つ出しておいてもらいたい。これは各府県の規則をお調べになれば大体わかると思います。それの参考になるようなものを出しておいていただきたいと思います。審議をいたします過程における法律上の資料を、この次の委員会までに一つ用意をしておいていただきたい、こういうことを要求いたしておきます。
  106. 国友弘康

    国友説明員 資料の点に関しましては、私の方の関係の資料は提出いたしたいと思いますが、実は今発言を求めましたのは、先ほど保険金支払いにつきましてお答えをしたのでありますが、内容については間違っておらなかったと思いますけれども、誤解があるといけませんので、再度お答え申し上げたいと思います。  この保険金支払いにつきましては、運転手、助手は除きまして、一般の被害者の人身事故につきましては、保険金は死亡三十万円以内、重傷十万円以内の限度内で支払われることになります。  それから仮渡金は請求によりまして急速に支払う、一般被害者の人身事故に対しましては、こういうふうに支払うということでありますので、御了承願います。
  107. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十七分散会