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1959-11-17 第33回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十七日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 田中 榮一君 理事 渡海元三郎君    理事 吉田 重延君 理事 阪上安太郎君    理事 門司  亮君 理事 安井 吉典君       加藤 精三君 理事 金子 岩三君       亀山 孝一君    高田 富與君       富田 健治君    中島 茂喜君       山崎  巖君    太田 一夫君       加賀田 進君    川村 継義君       佐野 憲治君    中井徳次郎君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君  委員外出席者         交通事故防止対         策本部本部長 佐藤 朝生君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      木村 行藏君         警  視  長         (警察庁保安局         交通課長)   内海  倫君         大蔵事務官         (銀行局保険課         長)      中嶋 晴雄君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  石井  健君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     梶本 保邦君         警  視  長         (警視庁交通部         長)      富永 誠美君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 本日の会議に付した案件  警察に関する件      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き、警察に関する件につきまして調査を進めます。質疑を継続いたします。田中榮一君。
  3. 田中榮一

    田中(榮)委員 それでは前会に引き続きまして、質疑を続行いたします。  最近、交通事故の頻発は私どもが非常に驚くばかりでございまして、けさの朝日新聞を見ましたところが、交通事故のオール・スター・キャストでありまして、社会面全部がほとんど交通事故で埋まっているという状況でございます。「都内交通事故しきり」「鉄材トラック衝突 酔っ払い運転六人がケガ」それから「都バスが追跡し急報 ひき逃げトラック捕う」といったような交通事故の記事で充満をしているような状況でございます。  そこで私は、先般横浜市内生麦踏み切りにおきまして起こった事故一つ取り上げまして、これにつきまして、全体の事故防止に対する当局の御意見をお伺いいたしたいと思うのであります。まず生麦踏み切りにおける衝突事故でございますが、聞くところによりますと、あのトラックは、五トン積みのトラックに十トンの鉄材を積んでおったそうであります。われわれは五トンということを簡単にいいますが、これを貫に換算いたしますと、一トン二百七十貫で、千三百五十貫、千三百五十貫というとお相撲さんの横綱の栃錦が三十五貫、これを換算すると、五トンで三十八人の栃錦トラックによけいに乗っかっておった。十トンというと栃錦が七十八人で、一個中隊ほどの栃錦が乗るわけでございますが、こうしたことを換算してみると、われわれは重量超過というものがいかにひどいかということがわかるのであります。一体重量制限道路交通取締法施行令でありましたか、四十二条かに重量制限がしてございまして、分割し得ないものについては、警察署長許可して運搬せしめるときまっておりますが、砂利などというものは分割できないものじゃない。それからまた鋼材のごときは非常に長大物件でありますから、これは分割できない。それに対しては警察署長許可が必要であるのでありますが、まず警視庁富永交通部長にお伺いいたしますが、あのトラックについては長大物件許可をしてあるのかどうか、それをまず第一にお伺いしたい。いろいろ広範に質問いたしますので、答弁はなるべく簡単に要領よくお願いいたします。
  4. 富永誠美

    富永説明員 過般生麦に起こりました事件につきましての許可関係でありますが、一つ重量につきましては制限外重量許可ということはあり得ないと思います。それで長さにつきましては、車台が七メートルに対しまして、制限が三メートル超過でございますので、これは西新井の江北橋の巡査派出所許可いたしております。ただし、その許可の場合にあたって虚偽な申請をいたしておるわけでございまして、実際は埼玉県の鳩ヶ谷でありますが、申請には足立区の西新井堀之内銭高組工事現場というふうになっております。
  5. 田中榮一

    田中(榮)委員 次に御質問したいのは、大体現場におけるところの事故が五時五十分に起こっておるのですが、新聞によりますと、当時赤の標識標灯も何もつけてなかったということですが、出発現場到着現場というものは距離的に測定はできるわけでありますから、時間がどの程度かかるかというのは、ほぼ見当がつくわけでありますが、その際に標灯をつけてなかったというのは事実でしょうか、どうですか。
  6. 内海倫

    内海説明員 お答えいたします。ついておりません。
  7. 田中榮一

    田中(榮)委員 私は法令は詳しく見ておりませんが、何でも四十二条の第何項かに、赤のしるしと、それから標灯をつけなくてはならぬということになっているのですが、現在都内で走っている鋼材運搬車には、ほんとうに名目だけの小さな赤い旗が立っておりますが、法令によりますと、何でも〇・三五メートル平方の標識、赤の布をつけろということになっております。それが現在励行されておるかどうか、一つお聞きしたい。
  8. 内海倫

    内海説明員 お説の通りでございますが、私ども取り締まりの面で見ております限りにおきましては、ある程度励行されておりますけれども、必ずしも全部が全部励行されておるとは認めがたいのであります。
  9. 田中榮一

    田中(榮)委員 それでは次に移りたいと思いますが、聞くところによりますと、生麦踏み切りは、従来地元住民の人々が、将来こうした事故発生を非常におそれまして、再三再四京浜急行に対しまして、地元要望として、ぜひとも安全装置をつけてほしい。なお地元所轄署長である鶴見警察署長からも、再三再四京浜急行に対してその旨申し出てあったのであります。ところが、全然そういう施設も講ぜられてないからかような結果になったものと考えます。それからもう一つは、あの踏み切り現場が非常に地盤がゆるんでおった。それはなぜゆるんでおったかというと、何でも前日に、京浜急行が、地元警察署長、それから道路管理者である市役所等許可なくして掘り返して、その翌日午前中に雨が降って地盤がゆるんでおった。そこへただいまの五トン以上も超過した重量トラックが乗ったのでありますから、これはめり込むのが普通でありまして、めり込まないのが不思議なくらいであります。しかも現場踏み切りは板も何も敷いていない、ほとんど生地のままの泥の踏み切りでありまして、そうしたところに事故の起こるのはこれはあたりまえであります。一体京浜急行に対しましてどういう監督をなさっておるのでありますか、運輸省民営鉄道部長石井さんに一つお答えを願いたいと思います。
  10. 石井健

    石井説明員 ただいまお話の点は、私どもが各私鉄に示しております踏み切り等保安設備設置基準に入っておりますので、この点に関しまして、基準に入っているものは早急に基準適当の保安設備をするように従来とも指導してきたのでありますが、会社の内容から申しまして、ほかにももっと危険なところが多いというふうな観点から、今まで保安設備なしで、今回のような事態に立ち至ったような次第であります。と申しますのは、あの踏み切り国鉄踏み切りと並行しておりまして、国鉄の方はその道路幅が二メートルである関係自動車が全然入ってこないはずでございます。ただ京浜の方が二・四メートルの道路幅でありますので、自動車が入り得る。しかも国鉄踏み切り京浜急行踏み切りとの間に木工所一つと、ちょっとした倉庫が一つあるような踏み切りでありまして、自動車の面からはそれほど交通量がないという観点から、より重要視さるべき踏み切りの方に重点を置いて現在まで推移してきた関係で、あの踏み切り整備がおくれた、こういう状態になっております。
  11. 田中榮一

    田中(榮)委員 この国鉄私鉄踏み切り事故発生状況につきましての表を拝見しますと、三十二年度中におきまして、踏み切りにおける事故発生件数が、国鉄が九十一件で私鉄が百八十六件、それから三十三年度中における事故発生件数が全体で三百二十件のうちで、国鉄が九十三件で私鉄が二百二十七件、それから三十二年度中における死亡者の数は国鉄が四十四人で私鉄が六十九人、三十三年度中における死亡者の数は国鉄が五十六人で私鉄が九十六人、この統計から見ましても、比較的国鉄関係におかれましては、鉄道踏み切り事故につきまして対策本部を設けられたり、いろいろと苦労をされておるようでありますが、私鉄に関しましては今申し上げたような数字でありまして、非常に事故が多いわけであります。最近国鉄輸送近代化、あるいはサービス改善で、しきりに快速列車を出し、それに伴いまして東武鉄道であるとか近鉄等が、国鉄に対抗するために快速列車を出しておるわけでありますが、一体この鉄道軌道というものは、私はよくわかりませんけれども関西方面軌道は百ポンドの軌道を使っておる。それからその他のものは東京でも百ポンドを使っておるところは少なくて、大体六十ポンドから七十五ポンドぐらい。駅の構内だけは六十ポンドで、あとは七十五ポンドというような非常に軽い軌道を使っておるのでありますが、そういうところで旅客の便宜だけをはかって輸送改善だけをはかって、快速列車を、特急列車を出すこと自体が非常に無理があるのではないか。決して私は特急列車を出してはいかぬと言うのじゃないのでありますが、車両改善とか、サービス改善とか、旅客争奪戦方面には私鉄相当金を使っておる。そうして陰に隠れた非常に危険を生ずるおそれのある踏み切り改善という方面を非常に怠っているのじゃないか。そういう方面には金を使わずに旅客争奪方面にのみ金を使う。こういうような現われが今日出ているんじゃないか、かように考えるのであります。ことに私鉄関係におきましては、郊外電車踏み切りが非常に多い。そこへ快速列車を出すのでありますから、事故が起きるのは当然であると思うのであります。かような点につきまして、私鉄部長の方におかれましては、今後取り締まりを厳重にされる意思があるかどうか、その点について一応お伺いしてみたいと思う。
  12. 石井健

    石井説明員 お答えいたします。ただいまお話事故件数及び死傷件数につきまして、私どもが前に運輸委員会に申し上げました数字と違うのでございますが、おそらくこれは東京管内数字じゃないかと拝察するのでございます。東京管内数字だといたしますと、御承知のように国鉄山手線中央線、それから京浜線はほとんど高架になっております関係で、踏み切りの絶対数が国鉄は非常に少ないのでありまして、一方私鉄の方におきましては、山手線のそばまで入ってきているのが大部分でございます。そしてまた従来私鉄郊外電車と言われておりましたように、郊外の田畑や雑木林の中を切り開いてできてきた関係もありまして、最初から高架ということを考えずにきましたので、その後人家が稠密になり、道路がふえ、踏み切りがふえるという状態になっておりますので、踏み切りそのものの数からいいまして、東京都内においては国鉄がだんぜん少なくて私鉄が多いというような状態になっております。従いまして、それに比例しまして事故も、こういうような状態私鉄東京周辺においては比較的多いというような数字になっておるのではないか、こう考えるわけであります。全国的に見ますと、私どもといたしましては、私鉄が多い、国鉄が少ないというふうには必ずしも考えられないのでございますが、東京周辺におきますと、おっしゃる通りになっております。なお、私鉄国鉄に対抗するために高速度ばかりやっておるのではないかというお話でございますが、確かにこの二、三年は各私鉄ともデラックスと称するような車を入れまして、そういう面がございましたが、今年度以降につきましては、デラックスと称するようなものはなるたけ作らせぬように、車両を作るのだったらば、もっぱら通勤通学輸送力増強のための車両をというふうに指導しております。なお、速度でございますが、運転速度につきましては、私鉄国鉄も同じでございます。戦前と現在とそう大した差はないのでございまして、ただここ数年来、終戦後荒廃状態から逐次レールを直し、車両を直しまして、戦前出しておったような急行列車を出せるような状態になったというのが現在の私鉄状態でございまして、それに対し、そういう戦前並みの早い車を出させることにつきましては、レールの重さとか、車両制動距離その他十分検査いたしまして速度を認可したような次第でございます。確かにレールにつきましては、私鉄の方が大体五十キロないし三十七キロというレールを使っておりますし、国鉄の幹線は五十キロ以上ということになっております。これにつきましては、国鉄は御承知のように長大な貨物列車または長大な特急、ああいうものを走らせる関係上、どうしても重い線路が必要でございますが、計算上は、私鉄の車は比較的軽いし、つなぎ列車数も非常に少ないというような関係で、一部三十七キロであってもさしつかえないというような計算上その速度を認可しているような次第でございます。
  13. 田中榮一

    田中(榮)委員 一昨日の朝の新聞を拝見しますと、国鉄機関車運転士さんからの投書がございました。それを拝見しますと、現在の許容速度のもとにおきまして、いわゆる快速電車制動距離というものが最小限六百メートルである。それで生麦事故があった際におきまして、あと実地検証の結果制動距離をはかったところが、三百数十メートルで車がとまったということを聞いておりますが、そうなると現在の郊外電車踏み切りというものは、大体三百五十から四百の制動距離が伴わなければならぬ。もし貨物自動車等踏み切りでえんこしておった場合において、それを三百メートルの前方で確認をして非常ブレーキをかけましても、これは絶対に衝突することが普通であります。六百メートルというのは国鉄のような直線距離をいうのでありますけれども、カーブのところで運転士が三百メートルで目撃して、そこでとっさに非常ブレーキをかけても、どうしても衝突する。こういう計算が成り立つわけでありますが、そういう点については十分お考えになっていらっしゃるのでしょうか、どうでしょうか。この踏み切り事故について運転士責任をすぐ追及されるが、こういう事情のもとにおいて事故が起こるのであるから、その点は考慮してほしいという投書でありましたけれども、そういう点をお考えになっていらっしゃるのかどうか。
  14. 石井健

    石井説明員 ただいまおっしゃる通りでございまして、今度の生麦事故でも、二百三十メートルくらいのところで制動の処置をとったけれども自動車を突っかけてさらに七十メートルまで行った。私鉄関係におきましては大体三百五、六十メートルが制動基準というふうに考えておるわけであります。そしてなお踏み切りというものの立場上、私どもとしましては、踏み切りには、通過するときは人は立ち入ってもらわないという建前をとっております関係上、また一方列車速度にしましても、特に大都市周辺鉄道については通勤通学旅客を大部分運んでいるというような状態でございまして、通勤通学の人にとりましては、その時間をできるだけ短縮してもらいたいという社会的な要望がございますので、一がいに速度の点からだけするということもちょっとできかねるような状態でございまして、できるだけ速度に合わせるような踏み切り保安設備をするように、従来も指導しておりましたし、今後も指導を続けていきたいと思います。
  15. 田中榮一

    田中(榮)委員 そこで私は踏み切り施設設置のことについてちょっと御質問したいと思いますが、今日の踏み切り状況をわれわれしろうとで拝見しますと、道路幅員の大体三分の一以下、あるいは広いところで二分の一ぐらいなものが多い。道路がかりに四十メートルあったときに、踏み切りだけは十五メートルくらいしかない、あるいは二十メートルくらいしかない。そこで四十メートルの道路交通量踏み切り個所において、急にビンの口みたいにネックになってしまって、非常に交通が輻湊する。それでつい四、五日前の新聞に、またも踏み切り事故という見出しでもって、目蒲線の沿線で事故があったのですが、これはトラックが通ろうとしたところが、向こうから小型三輪車が来た。そこで両方がもたもたしている間に、小型三輪車は渡ったけれどもトラックの方は渡れないで、そこでぶつかってしまったという事故があった。どうも踏み切り幅員が非常に狭い。こういうことにつきまして、あるいは無人踏み切りにおいては番人をつけろとか、あるいは自動警報機をつけろとか、これを格上げといっておるそうですが、格上げの必要があるという個所を、警視庁の方からも、警察庁を通じて運輸省の方にも、国鉄の方にもお願いをしてあるはずでありますが、予算の関係や何かでいろいろできない点もあるかと思います。また警視総監からも、警察庁を通じて、東京都下の場合ですけれどもお願いしてあるそうでありますが、これらに関して実際これをやるという御意思があるでしょうかどうですか。現在努力をされているのであるか、それを聞きたい。
  16. 石井健

    石井説明員 国鉄に対しましても、私鉄に対しましても、踏み切り設置基準に該当するものは、すみやかに整備するように指導しておりますし、今後とも指導をするのでございますが、実績としましては、今年度この踏み切り整備しなければいかぬと思って計画を立てて整備しましても、一方自動車交通量が格段にふえます関係で、その次の年になるとまた整備すべきものがふえる。それはイタチごっこみたいなものでありまして、これで済んだと思う時期がないような次第でありますから、現状としては、整備の方が追いついていけないというような状況になっております。
  17. 田中榮一

    田中(榮)委員 踏み切り設置の費用の負担でありますが、国道につきましては建設省と大体二分の一、それから都道、県道、市町村道につきましては、地元公共団体と二分の一ということが原則になっているそうでありますが、実際問題としては国鉄負担が三分の一で、あと地元負担する。私鉄については会社が自分のところで二分の一、付近住民が二分の一負担をするという原則だそうでありますが、実際は二分の一負担せずに三分の一程度である。それからなお国鉄におかれては、運転回数によってその負担の率が変わる。運転回数が多いときには二分の一まで持つかもしれないけれども運転回数の少ないところは三分の一程度でごかんべん願って、あと地元公共団体なり地元負担するということを聞いておりますが、さようなことがあるのでありましょうか。
  18. 石井健

    石井説明員 ただいまの御質問は、踏み切りを立体交差化するときの国鉄側建設省側との協定のお話のように思いますが……。
  19. 田中榮一

    田中(榮)委員 普通踏み切りの場合の施設改善格上げの場合です。幅を広めたり、それから自動警報機を置いたりなんかする場合。
  20. 石井健

    石井説明員 普通一般踏み切り格上げ、たとえば警報機をつけるとか、踏切番を置くとか、遮断設備をするとか、現在のところ私鉄は全部負担しております。
  21. 田中榮一

    田中(榮)委員 それは事実でしょうか。今会社が全部負担いたしておりますか。それは間違いありませんか。
  22. 石井健

    石井説明員 間違いございません。
  23. 田中榮一

    田中(榮)委員 会社全額負担をされておるものならば、これから先踏み切り事故というものはまた必ず発生するおそれがある。従って私は民営部長とされては、私鉄監督権の行使の上において、輸送力の増加にのみ重点を置かずに、こうした陰に隠れた踏み切り施設改善に、会社側としてはいま少し努力するように監督をしてほしいと思う。現在われわれが私鉄踏み切りを見ましても、きわめてずさんで、こんなところになぜ踏切番を置かないかというようなところに置いてない。自動警報機も何にもない。これは付近住民が非常に困る。この前何とかいう歌手が親子もろともはね飛ばされてなくなったという悲惨なことも起っておりますし、民鉄部長さんがもう少し容赦なく私鉄監督権を行使されて、踏み切り施設について万全を期するように、ぜひあなたのお力でやっていただきたい。
  24. 石井健

    石井説明員 おっしゃる通りやりたいと思っております。やるつもりでおります。特にひどいと思われるものにつきましては、会社の幹部を呼びまして、年度計画でも踏み切り整備するように勧告しておりまして、最初に問題になりました京浜急行につきましては、今回の事故にかんがみまして、三カ年計画で現在私の方の示しました整備基準に適合しているものについては全部直すような計画を出さして、これを督励していきたいと思います。ただし先ほども申し上げましたように、現在これであればもういいと思いましても、一方交通量はまた自動車を中心としてどんどん出てきますので、その後に引き続きましても同じような態度でやっていきたいと思います。
  25. 田中榮一

    田中(榮)委員 踏み切り事故問題につきましては、以上をもって質問を打ち切ることにいたします。今後各関係方面努力によりまして、どうか踏み切り事故が絶対になくなるように御努力願いたいと思います。次に、一定路線による貨物自動車営業所免許の件につきまして、一般論としてお伺いしてみたいと思うのですが、最近産業の発達に伴いまして、国内における物資の動きが非常に多くなりまして、国鉄貨物輸送に対しましては近代輸送化に非常に努力されまして、五トンのコンテナ輸送であるとか、急行直行貨物列車を動かしておりますが、それでも今日の物資輸送は十分でない。従ってこれが貨物自動車の方に重点が移行しつつあるということは、これは当然の情勢でございまして、これをチェックすることは非常にむずかしいと思います。ことに都内におきましても、いろいろな建築物ができ、それからまた工場生産品が非常にのしております今日の情勢から、その原材料であるところの物資貨物によって運搬される量というものが急激に増加しているということは、これはまたやむを得ない事情であります。従って私ども物資輸送をストップさせることはできないことでありますので、当然さらに円滑に輸送させるように努力していただきたいのでありますが、ただ最近におきまして一定路線による貨物自動車営業につきましては、営業所道路の非常に狭いところに免許される、あるいは車馬の往来の非常に激しい、狭い商店街の中に免許される。しかもこの免許が、その地方を所轄されておりまする警察署長の何ら協議も同意もなく、独断で許可される。これがために警察署におかれても、この交通取り締まりに非常に手を焼いておる。住民から再三再四陳情があるために、営業所の主任を呼んだり、会社責任者を呼んでいろいろ注意をするけれども、なかなかそれがまとまらない。しかし付近住民は、夜おそく路上においてトラックトラックのしりをくっつけて荷物の積みかえをされる。それならばいいが、ひどいときには道路荷物をどさりと落とす。特に鋼材のようなものをずしんずしん落とされるために、住民は安眠もできない。それから昼間におきましては、学校の裏等において積みかえされるために授業もできない。交通も支障を来たして、その付近住民の安寧を非常に害する。また小売り商店の前にトラックをずらりと並べられるので、売り上げもほとんど落ちてしまった。こういうような苦情が再三私どものもとにも参るのであります。さきの国会におきまして自動車ターミナル法というものが成立いたしておりますが、私は将来営業所設置というものは、ターミナル法の規定によってトラック共同ターミナルを作るか、あるいは大きな会社においては専用ターミナルを許可して、それによって貨物の集散をさせる方が非常に他に迷惑をかけるおそれがないのではないか、かように考えるわけであります。これにつきまして梶本業務部長の御意見を承りたい。
  26. 梶本保邦

    ○梶本政府委員 ただいまのお話のように、物資の動きが活発になって参りますことは避け得ない現象でありまして、自動車の発達に伴って特に大都市の都心部における自動車交通量の増加は非常に著しい現象になっておるのでございます。ただいまお話のございました営業所の問題でございますが、この営業所設置につきましては、事業法である道路運送法によって事業計画の認可という方法をとりまして、適切な路線網が形成され得るような個所営業所設置するようにという方針をとっておるわけでございます。ただその場合に、先ほど御指摘のように単独にきめるということではございませんで、内閣の交通事故防止対策本部の御趣旨にのっとりまして、警察庁の次長と運輸次官との間の覚書がございます。運輸省といたしましては、その覚書の趣旨を地方の陸運局長に流しまして、陸運局長がその方針に従って認可をしている。こういう状況にただいまなっておるわけでございまして、営業所設置そのものはただいまは地方の陸運局長の権限にまかしておるわけでございます。それからもう一つお話の出ましたターミナルでございますが、このターミナルは、いわゆる事業法としての道路運送法ではなくして、施設法としてのターミナル法の対象として規正いたしておるわけでございまして、将来のトラックの運送形態はどうあるべきかということを考えてみますと、特に大都市におきましては、営業所とターミナルとが一緒になっていく傾向にあるのじゃなかろうかという気持もいたすわけでございます。そのターミナルにつきましては、さきの国会でも御審議いただきましたように、一般のターミナルと専用ターミナルとございますが、一般の自動車ターミナルにつきましては一定の免許基準というものがございます。またそれをいたすにつきましては公安委員会の御意見を伺う、こういうことになっておりますので、御心配のような点は、これからのターミナルを免許いたす際にはなかろうと私どもは信じておるわけでございます。
  27. 田中榮一

    田中(榮)委員 警察庁長官が十一時までに他に行かれるということでありますので、警察庁長官にちょっと一言お伺いしたいと思います。実は先日私からもいろいろ交通警察と陸運行政の関係についてお伺いしておるのでありますが、警察と陸運当局というものは表裏一体で不可分でなくてはならぬと思います。これによって陸運行政というものは円滑に行なわれるものと考えますが、やはりそこにいろいろ役所同士の権限の問題もありまして、なかなかおいそれとすぐ手をとっていけない場合もあり得るんではないかと思うのです。先般私が申し上げましたのは、個人タクシーが許可された場合に、個人タクシーのいわゆる一日の走行距離を取り締まるということは、これは陸運系統でやるのであります。しかし、陸運系統におきましては人手がない。ほとんど街頭に立ってこれを取り締まることができない。そういうときには警察もこれに協力をして、ぜひ一つ取り締まりに協力をしてやってほしい。それからたとえば現在自動車損害保険というものがある。損害保険をかけてない自動車が盛んに町を走っておる。これが事故を起こした場合においては、賠償責任能力も何もない。しかしながら、損害保険にかけてない自動車を取り締まることは、これは警察の仕事ではないのです。しかしその自動車損害保険というものは、法律によって強制されておるわけです。これに加入せねば自動車運転してはならぬという規定がはっきり明定されている。それに対して警察側としては、ほとんど自動車損害保険についてはお取り締まりがない。私は陸運行政というものは、交通警察と陸運行政とがしっかり手を握っていくところに、行政の円満が期せられると思うのです。そこで先般警察庁の人事を拝見いたしますと、運輸省警察庁から優秀なる人材を出向させておる。また運輸省からも警察庁に入れて、人事の交流をされておることをちらっと新聞で見たのでありますが、私は、こうしたことか将来警察運輸省の間に十分に行なわれて、しかも将来は運輸省以外に経済関係省の方にも、あるいは外務省の方面にも——かつて内務省があった当時と同じように、いろいろな方面に優秀なる人材を派遣されて、将来の警察幹部として、高邁なる識見と豊富な体験を持って警察取り締まりをやっていただく。これが私は警察の民主化の一つの大きな原因になるのではないか、かように考えますので、警察庁長官として将来、現在の人事の制度の建前からそういうことがはたしてできるかどうか、もしできるとすれば、今後大いにおやりになる意思があるかどうか、その点を一つ承りたいと思います。
  28. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいま御指摘のように、交通問題が近時非常に複雑化し、困難な問題になってきておることは、われわれもよく承知をいたし、これに対処することについて努力をいたしております。特にこの指導監督と犯罪取り締まりにつきまして、警察と陸運当局との間に緊密なる連絡協調がなければならないこと、これまた御指摘の通りでありまして、私どもといたしましても、常にこういうことに意を配っておるわけであります。ただいまお話しのタクシーの取り締まり等につきましても、また損害保険の取り締まりにつきましても、運輸省からの御依頼もありまして、できるだけの協力をいたしておるような次第でございまして、この協力関係、協調関係というものは、今後もいよいよ緊密にして参りたいと思います。またその一環としまして、ただいまお話のありましたように、運輸省との間におきまして最近人事の交流を始めたのでございますが、これは密接な関係のある省との間において特に必要であると考えますが、ただいまもお話のありましたように、警察の幹部の教養、養成という点から見ましても、警察だけの取り締まりという狭い視野だけに終始生活をしておるということでなしに、各種の行政部門にできるだけ交流をはかりまして、幅広い、常識の豊かな警察幹部の養成ということに努めて参りたいと思いますし、これは現行の制度においても若干の制約はもちろんございますけれども、人事院当局においても相当に理解を持って事を運んでいただいておりまするし、今後大いにそういう方面努力をして参りたいと考えておるのであります。
  29. 田中榮一

    田中(榮)委員 柏村長官から非常に満足すべき回答をいただきまして、私も安心しているのでありますが、やはり将来警察の幹部たらんとする者は、あらゆる国家の行政の内容について十分に知識を持ち、またその豊かな知識と広い体験によって警察行政を運営していくことが、国民の信頼を受ける警察を作る基であると私は考えております。また他省の公務員の方々に、警察の内側にあって警察制度の実態をよく見てもらうということは、また他省に対する関係においても警察の認識を深める非常によい手段ともなると考えておりますので、どうか一つ警察と他省との人事の交流はできるだけ幅広くやっていただきますことを私は要望いたしたいと思います。次に、内閣の佐藤交通事故防止対策副本部長にお伺いしたいと思うのでありますが、昭和三十年に多分あれができたと思うのでありますが、その後、各省の連絡調整にあたられているのでありますが、現在の陸運と警察との関係におきまして、非常に密接不可分の関係にあると考えられますので、今後一つ内閣におかれましても、両者の調節には格段の御努力をお願いいたしたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
  30. 佐藤朝生

    ○佐藤(朝)政府委員 ただいま田中委員から御質問がございまして、お話しの通り、昭和三十年から交通事故防止対策本部設置せられまして、交通事故防止に努めておるわけでございます。警察庁運輸省いろいろ権限がございまして、おのおのが交通事故防止に努めておると思うのでございますが、もちろん警察庁運輸省と密接な連絡を保って仕事をやっていきませんと、この交通事故防止の仕事は万全を期することができないと思います。対策本部といたしましても、従来からそういう方針でございますが、今後も警察庁運輸省が密接な連絡を保って、この交通事故防止対策について目的を達するよう望んでいる次第でございます。
  31. 田中榮一

    田中(榮)委員 さらに私は貨物自動車のことにつきましてもう一回質問さしていただきたいと思います。先ほどターミナル法関係して私が申し上げたのでありますが、私の申し上げたいのは、営業所設置するということは、当然運輸大臣の権限でありますから、これを設置されることはけっこうであります。私は、営業所設置をいかぬというのではないのでありまして、必要なものは設置されることが当然だろうと思うのでありますが、ただ私が申し上げるのは、非常に交通のひんぱんな場所、それは営業する者にとっては便利でありましょうけれども付近住民、学校、病院等には非常に迷惑になるのであります。こういうことはやはり地元警察署と陸運事務所において十分に連絡をとって、こういうところに許可していいかどうか、この点の内部の事務的な打ち合わせくらいはやってしかるべきじゃないかと思うのであります。現在それは全然やっていない。しかも営業所に行ってみますと、これは車庫ではない。ただ荷物を受け渡しする事務的な事務所になっておりまして、車庫の設備が全然ない。関西方面、大阪、名古屋、京都のいわゆる営業所を見てみますと、車庫になっておって、それがしかも営業所になっておる。貨物車は全部それに入って、そして宿泊ができるようになっておる。ところが東京営業所というのは、間口二間くらいのガラス窓があって、中にはカウンターがあって、そこで事務をやっておる。しかも貨物車は、トラックは全部道路の上に十台くらい並んでおる。最近非常に住民の声が激しいので、それを方々にばらまいて、一丁先、二丁先の方にばらまいて、そうして当局の交通取り締まりの目をごまかしておる。かような状況でありまして、私は少なくとも一定路線による貨物自動車営業所というものは、一種のターミナル・ポイントでありますから、そこには収容できるだけの車庫を作らして、そして営業所も作らせる。もちろん付近住民に迷惑をかけない。道路上には置かせぬ。たまに一台、二台置くことはやむを得ないかもしれませんけれども道路の上に駐車させることは、普通の小売商店、中小企業の自家用車と違うのでありますから、こういう点について将来こうした事態の発生せぬようにお願いしたい。それにはターミナル法というものができておるのであるからして、将来ターミナル法に基づいて許可するようにして、私は、それまで交通ひんぱんの場所における営業所許可というものは、少し慎重なる態度でお取り扱いになった方がいいのじゃないか、こういうことを申し上げたいわけであります。
  32. 梶本保邦

    ○梶本説明員 ただいまのお話の御趣旨は十分私どもにわかるわけでございます。都心に営業所があればあるほど、営業する者の側からすれば便利でございますけれども、その免許を得ておるのだからということで、その権益を発揮することは、今のようなこういう都会生活と申しますか、みんなが狭いところで住んでおるというふうな状態においては、ある特定のものだけが、その免許によって得たところの権益を十分に発揮すれば、必ずその近所の人に迷惑をかけることは、都会生活上避け得られないことだと思っております。そういった場合には、足を持っておるトラックの方が少し都心から離れたところに引っ込む。そういうことがやはりこれからの都会生活というものを考えた場合に、常識上当然なことだと私は考えております。従って、先生のお話と全く同感でございます。将来は、やはりターミナルというものを作って、そちらの方に集約していく。そしてできるだけ都心におけるトラック交通の混雑というものが緩和する、この方向に持っていくのが当然だと考えております。
  33. 田中榮一

    田中(榮)委員 私は営業所を絶対に許可してはいかぬというのじゃないのであって、所によってはそうした考慮をぜひ払っていただきたいということをお願いするわけであります。それから次に、私は交通事故の防止の上から自動車損害賠償保険のことにつきましてお伺いしたいと思いますが、銀行局の保険課長の中嶋さん、お見えになっておりますか。——自動車損害賠償保障法によりますと、「この法律は、自動車の運行によって人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することにより、被害者の保護を図り、あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的とする。」ということになっております。さらに第五条によりますと、「自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。」こういうことが規定されておりまして、現在の制度からすると、自動車損害賠償保険は強制的に締結されなければならないことになっております。これによって被害者の損害を幾分でもカバーしたい、こういうのがこの法の精神だろうと思いますが、最近の自動車損害賠償責任保険の加入の状況を調べてみますと、きわめて成績がよくない。最近の統計を見ますと、三十三年九月の統計によりますと、乗合自動車は一〇〇%、これは大きな会社は自己保険をしていると思うのですが、営業用の乗用車は九七%加入しておる、自家用乗用車は九五%、それから普通貨物自動車は九二%、小型貨物自動車は八五%、小型二輪、軽自動車に至りましては六九%というきわめて低い率を示しております。最近小型二輪車、軽自動車の数が、日に月に激増して参りますので、このパーセンテージの悪いのはやむを得ない事情があると一応仮定いたしましても、今日の六九%というのは非常に率が私は悪いと思う。結局、これは被害者の保護にあるのでありますから、政府として、政府保険をやっておる今日におきまして、これはどういうような方法で加入の勧奨をしておられるのか、その点について一応お伺いしたいと思います。
  34. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 お答え申し上げます。ただいま田中委員がおっしゃいましたように自動車損害賠償責任保険は、強制加入になっておりまして、全部の車種の所有者から料金をちょうだいいたしまして、それで事故の場合に損害賠償に充てる、かようなシステムになっております。ところが、今仰せがございましたように、乗合自動車営業用乗用車は、これは非常に加入の率がよろしゅうございますが、その他の車種につきまして加入率の悪いものが若干見受けられるわけでございます。自家用乗用車は最近好転いたしましたが、小型二輪、軽自動車等の加入率がなお七割、八割程度になっておるというような状況でございます。これがやはり保険経理の上に、保険経営の上にかなりな重圧になっておることは事実でございまして、私どもこの保険の基礎をはっきりさせますと同時に、一人々々の所有者の負担を軽くするという意味におきましても、全部加入することが望ましいことはもちろん申すまでもございません。ただ私どもの方といたしましては、保険会社が引き受けております自動車損害賠償責任保険の引き受けの監督をいたしておる立場でございまして、加入の強制ということは、実は私ども大蔵省の方では所管外と申しますか、そういうことはやっておりませんので、この点は御了承願いたいと思います。
  35. 田中榮一

    田中(榮)委員 現在保険会社の経理状況を見ておりますと、最近におきまして交通事故が多いために、現在約十七億ぐらいの赤字になっておるようであります。この赤字克服のために、十年計画でこの赤字を克服することになっておるそうでありますが、今後かような状況交通事故が激増したならば、いかに経理をうまくやりましても、この十七億の赤字を解消することは、私は非常に困難ではないかと思うのであります。そこで私は何も加入者を勧誘して、この赤字を消そうという意味で申し上げているのではないのでありまして、われわれはあくまで一般の都民、国民を代表して申し上げるのでありますから、この損害賠償保険が充実することによって、被害者がそれによって幾分でも賠償してもらえるということに重点があるわけであります。そこで富永警視庁交通部長にお伺い申し上げますが、今私が申し上げたような、また中嶋課長が御答弁になったような状況でありますが、この損害賠償保険というものについて、事故が起こったときにそれを一々点検するかというと、必ずしも警察はそれを点検していないと私は思うのでありますが、この点につきまして、警察として、この保険に協力して、損害賠償保険に加入しているかどうかという——これは任意制ですから、お前加入せよということは警察は言えないと思うのですが、加入しているかどうかという事実を点検するぐらいのことは、私は警察でやっていただいてもいいのではないかと思う。それによってこの車が加入してないということを当局が保険会社に連絡をとる、あるいは陸運事務所の方に連絡をとるとか、そういう事務的な協力ぐらいはしていいのではないかと思うのですが、どうも交通部の方の御意見は、保険会社のお手先になることはごめんこうむる、われわれは保険会社のセールスマンではないのだ、だから保険に加入しろというようなことは言いたくないし、またそんなことをやる必要はないのだ、こういう御意見のようでありますが、その辺はいかがでありますか。
  36. 富永誠美

    富永説明員 今田中委員お話では、自動車の損害保険に加入しておるかどうかということを確認することに対しまして消極的だというふうな御質問でございますが、事故の場合は、保険に入っているかどうかということを調査するように最近項目を入れました。それからいろいろな取り締まりの場合におきましても、入っているか入っていないか、あるいは期限が切れていないかどうかに注意しろというふうに言っておりますので、今後はだいぶ変わってくるんじゃないかと思っております。
  37. 田中榮一

    田中(榮)委員 私は街頭において自動車の点検を受けたことが何回かありますが、少なくとも、私の自動車に対しましては、向こうは私であることは存じませんが、損害賠償保険に入っていますかということを一回も聞かれていない。これはおそらくほかの自動車もみんなそうだろうと思う。あなたはそうおっしゃいますけれども、実際の現場警察官というものは、損害賠償保険に入っているかどうかということは一回も聞いていないと思う。そこで私は、ぜひとも、損害賠償保険の契約をしているかどうかという、その契約書の書類ぐらいは運転手が必ず携帯しておって、免許証を見せると同時にその契約書を提示させる。これは法律改正をせねばならぬかもしれませんが、私は行政措置でもできるのではないかと思います。これは一般の通行人あるいは荷車及び一般の公衆に対する危険を防止する上からさように申し上げるわけでありますが、いかがでありますか。やっていただけますか。
  38. 富永誠美

    富永説明員 はい、わかりました。
  39. 内海倫

    内海説明員 ただいまの損害賠償保険の問題につきましては、運輸省、大蔵省及び私どものところで展示会いたしまして、特に加入あるいは期限の切れるというふうな問題については情報を交換し合っております。私どもとしましては、法律上、警察官が損害賠償保険の加入状況を調査するという権限を持っておりませんので、当然の権限としてそういう調査をいたす場合には、運輸省の方でおやりになって、それに対する協力はいたしております。また協力するようにと全国に指示をいたしておりますが、任意であればもとより当然可能な点もございます。またその影響するところも大きいと思いますので、今後は本人が何ら拒否することなく、任意で示すという状態であれば、そういう調査はなし得ると思いますが、それ以上に運輸省側と協力いたしまして、当該管理者としての運輸省の職員の補佐をいたしまして、協力一致した形で損害賠償保険の加入目的が達せられるような指示はいたしておるわけであります。
  40. 田中榮一

    田中(榮)委員 それでは、今後警察庁もできるだけ一つ運輸省、大蔵省と御協議の上で、こうした点につきましても協力をお願いしたいと思います。私は、これが事故防止並びに被害者の保護のためになるという観点から申し上げておるわけであります。それから次に、これは個々の取り締まりになってはなはだ恐縮でありますが、最近におきまする昨三十三年度、三十四年度において警察官が増員された、これは何名増員されて、そのうち全国の交通警察に何名配置になっておるか、その数字を承りたいと思います。
  41. 内海倫

    内海説明員 全国の増員状況につきましては、三十四年度予算で認められましたものが二千五百名でございまして、部内でいろいろ調整して要求したわけでありますが、交通関係には、二千五百名のうち千四十名を全国の交通充員として私ども計算を立てております。
  42. 田中榮一

    田中(榮)委員 そのうち警視庁に増員された分は何名でありましょうか。
  43. 内海倫

    内海説明員 警視庁は、二千五百名のうち六百九十名が警視庁割当人員となっております。
  44. 田中榮一

    田中(榮)委員 私がかようなことを質問いたしましたのは、この交通警察に配置せられた警察官がほんとうに第一線において働いておるかどうかということであります。私は、交通警察というものはやはり街頭における取り締まり重点であると思うのであります。第一線にできるだけ多数出させることが必要ではないかと思っておりますが、富永部長にお伺いいたしますが、六百九十名のうちで第一線に配置せられた警察官は何名であるか、それをお聞きしたい。
  45. 富永誠美

    富永説明員 警視庁に割り当てられた増員の数は六百九十名でございますが、この六百九十名はまだ警察学校で例の一年間の初任教養を今実施中でございますので、そのうち交通警察に何名ということは具体的には実現いたしておりません。一年の初任教養が終りましたならばこれが配置になると思います。しかしながら、こういった首都の交通情勢が非常に緊急を要しますので、やりくりと申しますか、それからもう一つは例の有料駐車場の関係東京だけ、これは部費でありますが、二百六十六名ございますので、そのやりくりで、現在実質的には本部が百二十八名、これは白バイを含んでおりますが、それから警察署が九十四名合計二百二十二名をふやしております。結論を申し上げますと、六百九十名のうちの、そのうち交通警察に何名ということは内部的にまだきまっておりません。
  46. 田中榮一

    田中(榮)委員 妙なことをお伺いいたしますが、富永部長は、今白バイの冬の服装は何を着ておられるか、御存じですか。あのジャンバーみたいなものは何で作られておるのですか。——私が何でこんなことをお聞きするかと申しますと、やはり交通部長でも課長でも、白バイの着ている服装がどういうものであるかぐらいは、私は御存じでなくちゃいかぬと思う。現在ビニールです。あれはビニールで、風を切って歩くものだからカンカンになってしまう。なぜ皮を着せないかと交通の白バイに聞いてみると、予算がないから買ってもらえないという。それでハンドルを握っているところの手袋、白い八十円の手袋を持ってやっておる。これは君が買ったのかと言いますと、私が買いました。なぜ皮の手袋をやらぬか、皮はございません。ビニールが配給になったはずだと言うと、配給になりました。ところがビニールだと、ハンドルを持っていますと破れてしまう。穴があいてしまって、とめるときに、おいとまれというときに、穴のあいたビニールの手袋でやるとみっともない。私どもは、穴のあいた手袋でもってストップの指図をすることができませんから、自分で私費で白い手袋を買って使っていますということなんです。私は交通部長に申し上げるのではないのですが、多数の白バイを使い、街頭に立ってあの吹きさらし、寒風の中において手旗信号をやっているあの警察官の服装くらいは、交通部長が当然知っていなければならぬ。そこまでやらなければ血の通った取り締まりはできませんよ。警視庁の幹部と一線の巡査が血の通った関係がなければ、何で交通取り締まりができますか。今日の交通混乱をごらん下さい。私は交通部長に申し上げますが、少なくともたくさんの部下を握ったときには、その部下の着ている着物のすみからすみまで気を配ってやらなければ、あたたかい血の通った上下の関係というものはできない。ただ命令で、通報で、通達でやったって、それはできませんよ。私は、そのためにあなたに交通警察官の冬着ている服装は皮ですか、ビニールですかと聞いたのです。それもお答えできないじゃないですか。そんなことで一体交通取り締まりができますか。最近いろいろ交通関係におきまして、たとえばお祭りのちょうちんが、赤がある。これは交通信号にまぎらわしいから、このちょうちんの赤はどけろということなんです。それから大売り出しがある。大売り出しは交通に支障を来たすから、これはやめろ。たとえば車馬の制限をされた人だけが通うところの商店街、今小売商は非常に不景気です。中小企業は不況に悩んでおります。そのために小売商が何とかして景気をつけるために、せめて大売り出しくらいはやりたいというのは、小売商みんなの気持なんです。しかるに大売り出しをやると交通に支障を来たすから、あるいはちょうちんの赤が信号にまぎらわしいからやめてくれ、祭礼のちょうちんの色まで交通が干渉する必要は何らないのじゃないかと私は思う。なるほど公安委員会規則というものがあります。それにはそういうことが載っおりますが、これは常識をもってやるべきだ。国民の税金で警察官二千五百名をふやして、そうして警視庁に六百九十名の警察官をふやしている。これをそんなつまらない事務に重点を置くからこそ、今日の交通混乱が起こる。私はこんなつまらない——つまらないと言っては皆さん方に差しさわりがあるかもしれぬが、この中小企業の実態についてもう少し考えてやって、常識をもって取り締まっていただきたい。私は、今後交通警察というものはもっともっと、来たるべきオリンピックの大会を控えまして東京都内交通の調整というものは大きな問題であると思う。これにつきまして小さな重箱のすみをほじくるようなことでなくして、もっと大きな東京都内交通調整をどうするか、事故防止をどうするか、大きなところに目をつけて十分やっていただきたい。この点について富永君の御意見を承りたい。
  47. 富永誠美

    富永説明員 いろいろお話が出ましたが、交通の個々的な、たとえばちょうちんの色とか、あるいはこういった問題は、これは私の方で調べることにしておりますが、これはそういうことはないと思うのでありまして、問題はたとえば私どもが今一生懸命やっておりますのは、一つ交通環境と申しますか、交通の環境をよくするという意味から、いろいろな技術面のこともやっておるわけであります。そのうちで色につきましては、信号機にとってネオンの色が非常に信号にまぎらわしい、特に赤です。これを何とかしなければならないというふうなことでやっておるわけで、おそらくはちょうちんまでのことは私どもはないと思っております。それからいろいろな道路を使用する場合におきましても、方針としましては、今までの道路が結局はほとんど私用といいますか、というふうに使われておる。あるいは道路は公共物といいますか、公有でありますが、どうも長い慣習で自分のものとして使われておるというふうな傾向が強いために、道路を本来の通行のために持っていくという意味から、たとえば道路を使用する場合に、商品台とか商品だなを出すというふうなことについて規制いたしておるわけでございます。これは昨年の十月から強化しておるわけでございまして、場所によりましては、これくらいいいじゃないかというふうなことも言われますが、これは一般の人々の協力を得なければなりませんが、そこだけは認めるということは、やはりほかとの響きもありますから、これはやむを得ずにそういった方針で全面的にいこうと、こういうことでやっておるわけでございまして、今お話しの大売り出しのような場合におきましても、おそらくそんな問題じゃなかろうかと思うのでございます。もちろん私どもは、警察だけがひとりでやろうということではないわけでありまして、地元の方々とよく話し合いをしまして、道路に対する考え方なりあるいは見方というものも変えていっていただきたいということで臨んでおるわけでございます。それから交通調整の問題につきましては、これは私どもも一等頭を痛めておるところでございます。時間がかかりますから簡単に申し上げますと、これはわが方でやりますことと、それから他の機関にやっていただかなければならないこと、他の機関にお願いいたすことと、それから総合的に考えていく必要があるもの、というふうに分かれるものでございます。もちろんわが方でやれることは、たとえば交通規制でございます。駐停車禁止とか、あるいは一方交通とか、これは銀座から京橋、日本橋、これはほとんど一方通行にいたしたわけでございます。そのほか右折の禁止とか、あるいは全部のいろいろな車種が一つ道路を走っておる、これを分離していきたい、将来は空からも交通整理をやりたいということでございます。それから他の機関でやっていただきたいことは、たとえば都電の安全地帯を向こう側に移していただきたいという場所が十五カ所ございます。例をあげますといろいろございますが、そのほかバス路線につきましても、これを場所によっては変えていただきたい。あるいはまたグリーン・ベルトを移してもらいたいというふうなことがあります。総合的に考えられることとしましては、先ほどお話の出ました車庫の問題、場所によりましては交差点の立体交差ということが必要であると思いますし、また特にこれは建築行政との関係でございますが、こういった点に交通の意見が入っておらないという面もかなりあるわけでございます。こういった面、総合的の交通調整というものも進めているわけでございまして、現在の交通警察官は、ほとんど御存じの通り交通事故の処理に追われておりますが、こういった末端のことまでこまかく見て、大きいことを忘れているというふうなことは、これはそうじゃないのでございます。
  48. 田中榮一

    田中(榮)委員 よく了解いたしましたが、私の言わんとするところは、交通警察は非常に言うべくしてなかなか実施がむずかしい、よくわかります。ただ多数の警察官を増員しておる。われわれは、ほかはともかくも交通警察だけは充実してほしいという同僚議員の要望もあり、また現に二千五百名のうちでその四分の一以上を警視庁に増員するわけであります。たとえば今お答えによりますと、警察学校に入っているから配置ができぬというのですが、これは内部的の調整で、現在ほかの要員を振り向けて、警察学校を出たらそれを差し房すという手もあるのじゃないかと思うのです。要はわれわれがこうやって努力して増員した交通警察官が、重箱のすみをつつくようなつまらない事務に従事しておって、それがためにいたずらに中小企業者が困り、また一般の者が困るようなことであってはならぬのであります。小旗を出したくらいで、私は交通の支障になるとは思っておりません。また、多少ちょうちんの色がはでであっても、交通信号と間違えるようなやぶにらみの運転手は、免許許可になっていないはずであります。運転手は横を向いて運転はしないはずであります。そういう点は常識をもって一つやっていただきたい。赤のネオン云々と言われましたが、日劇の上にああしたりっぱなネオンがある。カフェ、バーでも盛んに使っておる。そういうものをなぜ取り締まらないか、そういうことを言いたくなる。しかし、私はここで議論を展開する意思は毛頭ございません。要は、交通事故というものができるだけなくなって、国民が安んじて道路を通行できるという状態一つ作っていただきたいというのが、私の念願でございます。いろいろ申し上げましたが、今後交通問題として考えなくてはならぬ問題、道路の拡張、あるいは地下鉄を完成さして交通を緩和するとか、あるいは踏み切り法を作って踏み切り事故防止をはかるとか、高速道路を重視して交通の調整をはかる、あるいは路面電車、ハス運輸の合理化をはかって、将来これをどの程度に統合していくかという問題、それから地下鉄と郊外電車の直通運輸という問題、あるいは駐車場をできるだけ設置して交通の緩和をはかるというようなこと、バス・ターミナル、トラック・ターミナル、タクシー・ターミナルというようなものを設置して車両の混乱を防ぎ、それからタクシーに弾力性ある許可を与えて一般の利用者の利便をはかる。また現在の問題ではありませんが、将来の問題としては、都の交通局、高速度営団あるいは乗り入れバス、郊外電車というものを、どういうように統合して交通調整をはかるかというような大きな問題が堆積しておるわけであります。こういう問題につきまして、一つ関係官庁の当局の方々が腹を割って、いわゆる積極的な権限相違、消極的な権限相違を除いて、できるだけ円満に協調を遂げられまして、この首都の交通の調整緩和に御努力を願い、よってもって交通事故を防いで、われわれの生活の安定をはかっていただきたい。これが私の念願でございます。最後に私一言申し上げたいと思うのでありますが、最近の自動車の激増は目ざましいものがある。祝田橋で一秒間に四十一台走るということが新聞に書いてあります。時計がカチカチッという間に、祝田橋の交通面におきましては四十一台強の自動車が走っておる、こういうようなすごい勢いでございます。そこでその激増された自動車の数はどうかと申しますと、大体において自家用車でございます。統計を申し上げますと、登録自動車の中で全乗用車が大体四十三万ほどございますが、そのうちの約八割程度までが自家用車だと聞いております。自動車の数が毎月六千五百台ふえておる。そのうちで約七、八割までが自家用車でございますが、私は、この自家用車に交通道徳を普及させ、交通規則を十分にのみ込んでもらう必要があると思うのであります。それがために、現在自家用車だけの団体ができておるわけでありますが、これに対しまして警視庁警察庁当局として、自家用車団体を今後いかに利用されるお腹でございますか、それを承りたい。
  49. 内海倫

    内海説明員 自動車の増加状況はお説の通りでございます。ことに現在私どもの非常に問題としておりますのは、やはりせっかく免許を取りながら、相当部分の運転者諸君の中には、法律を正しく守らないという実態が非常に多いわけであります。従いまして、そういう法の趣旨を徹底し、いわゆる交通安全を実現していく場を求めておるわけであります。そういう意味におきましては、何らかの形で自家用自動車に乗る人たちに対して私どもが呼びかけ得る、そういう組織、基盤というものが非常にほしいわけであります。しかし、今法律上それを結成させる、あるいはそういうものを育成していくというふうな根拠を持ちませんので、いわば任意的に作られておるものに対して、私どもも呼びかけておるわけでございますけれども、もし可能であるならば、そういうものがさらにしっかりした形で交通安全に協力できる組織体になるということを非常に期待いたしておるわけであります。しかし私どもとしましては、あるいは安全協会を通じ、その他いろいろな経路を通じまして、積極的な働きかけをするような指導はいたしております。
  50. 田中榮一

    田中(榮)委員 交通事故防止交通道徳の普及、交通関係法令の趣旨の徹底ということは、私は、取り締まり当局が非常に全力を尽くされてやっていただくその努力に対しましては十分に敬意を払っております。しかしながら、やはりこうしたものは民間団体を十分に利用、活用することによって、その目的が達成できるものと思うのであります。現在警視庁の例をとっていいますと、交通安全協会というものがあって、民間団体としていろいろ活躍されております。交通道徳の普及、交通法令の趣旨徹底について非常に努力しておりますが、これは業者も入っており、それから学識経験者も入っておる。自家用車を持っておる人だけの団体というものがあるのでありますから、そうしたものを一つ警視庁側においても、警察庁においても、十分に利用、活用するというお気持を持ってこれを取り扱っていただきたい。この点につきまして富永交通部長の御意見を承ります。
  51. 富永誠美

    富永説明員 もちろん交通の問題は、安全教育と、それから技術と取り締まり、いろいろな問題がミックスしていかなければならないわけで、とりわけ私どもとしましては、教育の面に非常に大きい問題があると思います。お話しの通りに私は、技術もさることながら、むしろ技術以前の問題もあると思うのでございます。従ってこの面をどう持っていくか、特に今後日本の車を運転する人々の欠陥としまして、歩行者の保護という面をうんと強化していかなければならないということを痛感するのでございます。従って、方法としましてはいろいろあるわけでございますが、今お話しの通りに、民間の団体にお願いするということも非常に大きなウエートを持っておると思うのでございます。ただ現実問題としましては、一応やはり交通安全協会というものがあるわけでございまして、最近は、管内運転者さんがどういうふうになっておるかという登録関係のこともやっておるわけでございます。従って、今お話しの自家用自動車組合の目的からしましても、よく交通安全協会とも連携してやりたいということを私どもも念願いたしておるわけでございます。
  52. 田中榮一

    田中(榮)委員 以上、いろいろの点につきまして、交通事故防止を中心として当局に質問いたしたのでありますが、今後自動車数の増加というものはますます激しくなって参ると思っております。つきましては、先ほど内閣の佐藤交通事故防止対策副本部長にもお願いをしたのでございますが、一つ陸運行政と交通警察というものができるだけ円満なる協調を遂げられまして、円満なる行政のもとにおいてこの交通行政というものがうまくいき、そしてまたできるだけ国民の身体、財産の安全を期するということに重点を置きまして、今後御努力をお願いいたしたいと思います。以上をもって私の質問を終りたいと思います。
  53. 濱地文平

    濱地委員長 門司君。
  54. 門司亮

    ○門司委員 私、今の田中さんの質疑応答を聞いておりまして、これは警視庁交通部長さんにただすことは少し無理だと思いますけれども、もしお考えがあるなら御答弁を願いたいと思います。私の聞きたいのは、交通行政と都市計画との関係、それから道路の構造というか、そういうものとの関係について、部内で何か協議をされるような機関がございますか。
  55. 富永誠美

    富永説明員 一線の交通警察を担当いたしておる私の方といたしましては、そういったことを非常に要望しておるわけであります。具体的に申し上げますと、たとえば渋谷駅前の区画整理の問題も、できましてからいろいろ交通上の問題ができておるわけでございます。それから道路にしましても、現在の交通情勢から見まして、そう歩道を広くとる必要がないのじゃないかというふうなところが、歩道を多くとられておる。場所を申し上げますと、恵比寿の駅前が、区画整理で歩道が六メートル、車道が六メートル、それから電車の軌道が二線ありまして、これが十二メートル、それから車道が六メートル、歩道が六メートル、歩道をもう少し狭める必要があるのじゃないか。それで私どもとしては、歩道をもう少し狭くしてもらえぬだろうかという申し入れをいたしたのでありますが、最近渋谷から並木橋の間も同様歩道が六メートルでございます。それでこういうのは事前に打ち合わせをしていただきたいということを希望しておるのでございますが、最近は新宿の例の南口でございますか、京王線が今度は地下に入ってきますが、あそこの橋のところを道路を広げるわけであります。それにつきましては、交通規制をやらなければならぬ関係もありまして、私どもの方にも意見が参っておりましたので、歩道を狭くしてもらいたい、車道の車線を広くしてもらいたいというふうなことをお願いいたしたわけでございます。最近はそういった協議会というものができておりますが、今まではそういったことになっておりません。こういった問題は、いろいろほかの面にも私どもとしてもあるので、いろいろ不便を感じております。     〔濱地委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕
  56. 門司亮

    ○門司委員 私の聞きたいのはそういうことなんですが、取り締まり道路行政と都市計画が全部ばらばらになっておって、事件ができて、取り締まりが幾ら追っかけたって追っかけ切れないのです、品物がちゃんと事故ができるようにできているんだから。だからまず事故が起こらぬようにものを作っておいた方が私はよろしいと思う。そうするには、今申し上げましたことで立法の必要があるというなら、やはりこれは立法化しなければならぬと思います。具体的にいえば、今のお話のように、どうも日本の道の悪いくせで、車の通るところだけしか舗装してない。そして自転車の通る場所あるいはその他の車の通るような場所についてはいつまでたっても舗装しない。さらにその次には、人間の歩く道路にはなお舗装しない。だから、人間も自転車も歩きいいところを通る。事故をこしらえるようなものです。それで事故が起こらなければ起こらぬ方が悪いと思う。行政上の一つの欠陥なんです。これは直せば直るのです。今日の交通事故の大きな原因の一つはこういうところにある。これはあなたの方でどうしてもやかましくやらないかということなんです。人間ですから、まん中がきれいに舗装してあれば自転車も通りますよ、片方はでこぼこで通ろうたって通れないのですから。さらに歩道なんというのは、区画はあってもろくに舗装もしていない。いやがおうでも車の事故を起こすような事態になっている。これはどこでも見られることなのです。だから立法処置が必要というなら、立法処置をする必要がある。また立法処置でなくても、たとえば建設省、地方の土木課とか、あるいは道路をやっている諸君とか、取り締まりをしている警察との間に協議を行なうということが、ほかの方法でできるならばこれをやっていってもらいたい。そしてこれらの道路関係の諸君すべてが集まって協議して事故をどうしてなくするかということに結論を持っていかなければ、あなた方がどんなに取り締まりをやったって、事故は絶えません、事故の発生の要素があるのですから。これは車の運転手の教養も必要でしょう、あるいはいろいろな問題もあるかもしれませんが、それは末梢的な一つの現象であって、交通事故の原因はこういうところにある。それからもう一つの問題は、たとえば道路にいたしましても、話し合ってもう少し規制ができないかということ、道の幅をどうするかということ、悪くいえば道の幅よりも広いバスの通っているところはたくさんあると思う。これは人間は実に迷惑している。あるいはああいう大型のバスでなければ営利が伴わないかもしれない。しかし人間の考え方からいけば、もう少し小さい、バスが通ってもどうにか人間が通れるか、あるいは横に寄らないでもいいくらいのことの規制ができないかどうか。これはあなた方の方で車の大きさをきめて許可するわけではございますまいから、運輸省がむろんやるのでしょう。あるいは通産省が車をこしらえさせるのでしょうから、こういう基本的な問題の解決について、一体交通取り締まりをしようとする側の意見というものを、もう少し強く反映させるような機会を、私どもこしらえてもらったらどうかと考えるのです。こういうものについて、今のお話で大体わかったようなことになりますが、もう少し強い意思表示が必要じゃないかと思う。従って何か立法する必要があるとか、あるいは、その他の方法があるとかいうことにお気づきであるなら、この際知らしておいていただきたいと思います。
  57. 内海倫

    内海説明員 ただいまの門司委員お話は、私どももかねてからずっと考え続け、しかもそういう点における欠陥が今日の交通事故に結びついていることをしばしば指摘いたしております。そのために建設省なり、あるいは運輸省なりとも、私ども中央官庁としましては、しばしば話し合いをいしたまして、またその話し合いに基づきまして、各下級機関の方にそれぞれ通達をいたしておるわけでございますけれども、実態はただいま警視庁交通部長も申しましたように、なかなか完全な意見の一致のもとにそういう行政が展開せられておらないのでございます。そういう意味におきましては、私どももしばしば実情を申しまして対策方を要望いたしておりますけれども、しかもまた決して対立することなく極力話し合いを遂げておりますけれども、実施段階の問題になって参りますと、必ずしも中央で話し合ったような形で実現しない場合があるわけでございます。その辺につきましては、ある程度やはり法的な制約をかけなければならない部面もあるのではなかろうか、こういうふうに私ども考えております。
  58. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 阪上安太郎君。
  59. 阪上安太郎

    ○阪上委員 僕は簡単に一つだけ聞いておきたいと思いますが、路面でもって交通取り締まりをやっている巡査の相互間の連絡はどういう方法でおやりになっておるのですか。単独にそれぞれの場所で独自の立場から取り締まりをやっておるのか、路面に点々と配置されているところの交通取り締まり警察官は瞬間的に直ちに連絡がとれるという装置ができておるのか。西ドイツあたりのアウトバーンその他を見ても、きわめて的確にこのことが行なわれているのですが、わが国の、市内ばかりでなく国道なんかを見ても、どうもそういう点で非常に欠けておるような気がする。そんなことをやって、はたして取り締まりができるのかどうか、こういうふうに考えるのですが、どうですか。
  60. 内海倫

    内海説明員 ごく一般的に申し上げます。具体的な点につきましては警視庁交通部長からお答えがあると思いますが、もとより個々ばらばらでやるということは、道路交通の実態から考えましても適切でございませんので、取り締まりにつきましては、一応緻密な取り締まり計画を立てまして、それに基づいてそこに出ていく警察官を教養するとともに、それぞれの本日における具体的な取り締まり方針あるいはその場所における交通規制の実態なり、十分指示いたしました上で配置についておりますわけですから、実際の個々の警察官の不手ぎわは別といたしまして、総合的な取り締まり態勢におきましては、相互の有機的な関連を持たせた形においてやっておるわけであります。ただ一つの問題は、それぞれの警察官の立っております場所で突然に起ってくるいろいろな事象という問題があるわけでありますので、こういうものにつきましては、その与えられておる権限の範囲内において臨機応変の措置をとらざるを得ない、こういうことでございます。
  61. 富永誠美

    富永説明員 第一線の状況をちょっと申し上げます。  街頭に立っております警察官は、一つ交通整理、それからもう一つは車を流すこと、それから交通違反が起こりました場合の取り締まり、こういうことをやっておりますが、大体こういうところには立つべきであるという場所を指定いたしております。しかし、現実には人手が足りませんし、あるいは交通事故が起こりました場合に処理に追われまして、必ずしもそのように立っておらないので、今後としましては、少なくともラッシュならラッシュのある時間、交通の流れをうまく持っていくために、その流れに反するものをさばくという意味で、ここはどうしても何名必ず立たなければならないというふうな形で持っていきたいと思っておるわけでございます。それから相互間の連絡は、主要なところには最近沿道電話というものを設けまして、交番から交番にすぐ電話がいくというふうなことも有機的にやっておるわけであります。それから総合的には、車の流れを調整する必要もありますので、私の方に交通情報センターを設けまして、どこが込んでおる、どうすべきであるというふうなことをやらしておるわけでございます。将来は空からヘリコプターで連絡する、そういうふうに持っていって機動的にやっていきたいと思いますが、さらにこのセンターをもう少し強化していかなければならない。一般に状況を車の方にもお知らせするというふうな形をとっていきたいと思います。
  62. 阪上安太郎

    ○阪上委員 その点なんですが、無電等を使ってもう少し科学的に交通取り締まりをやらぬと、臨時にそういう無電装置を使って、隠れておって車がスピード違反をやるのをちょっとつかまえてみたりする。あんなことをやっていたのでは小手先であって、それを常設的にやらなければ、とてもでないができない。もちろん基本的な道路行政その他の問題がありますけれども取り締まりの面から見ても、今のような程度では、今センターを作って、交番から交番へ有線でやっておるということですが、そんなことでは間に合わないんじゃないか。不当な追い越しをしょっちゅうやっているのを、適時的確にその場でつかまえて直ちに処理していくということでなければ、とてもでないができない相談じゃないかと思う。そういう意味で、もう少し科学的に連絡をとってやらなければ、車は御承知のように今交通信号その他によって自然に流れていくのです。その流れていく中で不法な追い越しなどをやって、それが事故の原因になっておるということが間々あるのです。ことに信号なんか、わずか三十秒か四十五秒が待ち切れないで、人も飛び出してくれば車も飛び出してくるというような状態にある。そんなのを的確につかまえることができない。そういったことを見のがしておるから交通事故をどんどん作っていくようなことになっておる。諸外国の例なんか見ても、こういうような非科学的な取り締まりをやっておるところは少ないように思う。予算が足りないのですか、着意がないのですか、どうなんですか。
  63. 富永誠美

    富永説明員 交通警察は今まで長い期間がありましたが、ほんとうに問題になりましたのは、率直に申しまして去年の初冬くらいから大きな問題になってきたわけです。従って今私どもが最も困っておりますのは、お話しの通り予算の面、それから人員の面、それから装備の面、いろんな問題を解決しなければならないという現状に現在逢着いたしております。予算は確かに足りません。
  64. 阪上安太郎

    ○阪上委員 よくわが国の取り締まりを見ておりますと、先ほど出ておりましたが、白バイが追っかけ回しておる。あんなものは全く時代おくれだと思う。あんなもので車のあとを追っかけ回しておるようなことでは、とてもだめです。あのことも必要でしょう。必要な面も多分にあるでしょうが、もう少し何とかならないかと思うのです。予算が足りないということならば、これはもう少しあなた方も強く要求されて、そうしたものを実現するようにしないとだめだと思うのです。
  65. 富永誠美

    富永説明員 交通取り締まりは白バイはだめだというようにおっしゃいましたが、これはやはり相手が動いておるのですから、こちらも動くものでなければならない。街頭に配置いたしておりますだけでは、非常に多い車に対して、一々それを追うというのはなかなかむずかしい面がかなりあるわけです。従って私どもとしては白バイ、それから夜間なり雨天の場合には白バイは危険でありますので、いわゆる四つ車といいますか、これをうんとふやして、やはりある程度こっちも動かなければならないわけです。現場に立っておる警察官は、こう車が多くなると、なかなか無理な面があるわけです。いろいろ指導いたしておりますが、現実的には何とか手を打たなければならないというふうに考えております。
  66. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 安井吉典君。
  67. 安井吉典

    ○安井委員 先ほど門司委員の御質問の中で、道路交通の危険防止の問題についてのお話がありましたけれども道路法第四十七条第一項の道路交通との関係制限に関する基準ですが、これは今どうなっておりますか。
  68. 内海倫

    内海説明員 今御指摘になりました道路法の規定は、道路の幅とそこを通過する車両の幅、あるいは重量との相関関係で、道路管理者が通行を制限することに関する規定でございますけれども、その基準はすべて政令に譲られておりまして、その政令案は建設省の方で起草したことがあるのですが、いまだその政令は出ておりません。
  69. 安井吉典

    ○安井委員 道路法ができましたのは、施行が昭和二十七年十二月五日、今は昭和三十四年なんです。この間において自動車は膨大なふえ方をしておる。先ほど指摘されましたように、道路の幅よりも大きい自動車が通っているというふうな、そういうふうな段階にどんどん進んでおる際に、いまだにこういったような政令ができないということは、一つの政府の非常に大きな怠慢だと思います。どうでしょう。これは建設省かもしれませんが……。
  70. 内海倫

    内海説明員 政府全般としましては大へん大きな失態と思います。所管省は建設省でございますが、私どもとしましては、極力早くその政令を出されるように要望はいたしておる次第でございます。
  71. 安井吉典

    ○安井委員 政府の中で、建設省にも、運輸省にも、それから警察庁にも、交通取り締まり交通安全といったような問題は全部関連があるわけで、それらの中がお互いになわ張り争いをしているというふうな格好では、これは国民の交通の安全というものが期せられないと思います。いろいろな施設的な問題もありますけれども、これはもう政府部内でのお話し合いの中から当然できるわけです。国会は、そういうことができるように政令にゆだねて道路法をきめてあるはずです。ぜひこれは一日も早く——先ほどもお話がありましたように、オリンピックが近づいてくるという際です。これは建設省の方、きょうおられませんけれども一つ政府部内の中におきまして急速にお進めをいただきますことを、この際お願いをしたいわけです。  それから先ほど来田中委員の方からも交通事故の全体的なとらえ方におきまして対策をお述べになりましたけれども、私は労働問題という側面から、この交通事故の問題を十分に考えていかなければいけない、そういう側面を見落としてはいけないと思うわけです。例の神風タクシーに対しましても、いろいろな措置がとられておりますけれども、しかしまだ現在におきましても、三百六十五キロの走行制限がはたして守られているかどうか。あるいはまた運転手に対する水揚げの強制といったような措置があるんじゃないか、あるいはまた労働超過や時間外営業、そういったものからいわゆる居眠り運転といったような結果が現われているのではないか。運転手だけの居眠り運転が責められる前に、そうならざるを得ない背景をやはりもっと突きとめてみなければいけないと思うのです。あるいはまた例の定期トラックの問題なんかも、たとえば最近一カ月のうちで家で落ちついたのがわずか十八時間だったといったような運転手の話があったり、東京と大阪間六百六十二キロの弾丸便、これを十五時間で飛ばす、そういったような過労の重なり、そういうものがやはり事故という面に結びついてくるのではないかと思います。だから運転手の組合の方からも、週給制の実施だとか、能率給、歩合給を廃止せよといったような問題、あるいはまた目的地に着くとすぐ引き返すトンボ返り運転はやめなければいけないとか、最低賃金制の要求だとか、こういうようなきわめて無理からぬ要求がなされておるわけでありますけれども、これらの労務管理の問題が交通事故に対する影響がきわめて大きいという面から考えまして、現在それらの問題について、当局でどのような措置をされているか、これを一つ伺いたい。
  72. 内海倫

    内海説明員 大部分につきましては運輸省の方からお答えになると思いますけれども交通取り締まり観点から見ておりまして、今御指摘になりましたような労働条件の不備ということが直接または間接に影響しまして、事故に結びついておる例は決して少なくございません。いわゆるタクシー問題につきましては、御承知のような経緯を経まして、運輸省の大へんな努力によりまして、全国的に見ますと、少なくともタクシーにおける事故、あるいは以前に見るようなはなはだしい運送状況というものは相当改善されてきている、こういうふうに考えられます。またトラック類につきましても、営業用の路線トラック等につきましては、運輸省あるいは業界等の非常な努力がある程度その成果を上げつつあるのではないかというふうに取り締まり面では見受けておりますけれども、最近非常に顕著になっておりますのは、いわゆる自家用トラックというものが非常に劣悪な労働条件のもとに運行をさせられておりまして、その面における事故が非常に大幅な形に増加しつつあります。営業自動車の場合におきましても、比較の問題でありまして、基本的にそれがなくなったというものではもとよりないわけでございます。事故の面にもやはりそういうことを原因とした事故が決して少なくないわけでございますが、それ以上に今後において問題になりますのは、自家用のトラックにむしろ大きな問題が所在しているのではないか。  いずれにいたしましても、日本における非常に大きな特徴は、運転者が法令を守らないむちゃくちゃな運転が行なわれることと、他の面におきましては、労働条件の劣悪に基づくそういう問題のあるということは、日本における交通問題の一つの特徴ではないか、こういうふうに考えます。
  73. 梶本保邦

    ○梶本説明員 お話しの通り、神風というありがたくない名称がトラックなりタクシーなりに冠せられましたことは、われわれ関係者といたしましてはほんとうに残念なことでございます。このトラック問題にしてもタクシー問題にしても、やはりわれわれとしては社会問題として考えなければならぬ、かように考えております。従って、法律的な面からだけの処置、これは当然われわれとしては何をおいてもやらなければならないのでございますが、なぜそういうふうな現象が起こってきたかという根底を十分つかなければ、行政としては完璧を期し得ない、かように考えております。  従って昨年問題になりまして以来、さっそく運輸規則の改正等を行ないましたが、その後は行政措置によりまして、それがはたして守られておるかどうか。固定給と歩合給との関係あるいは休憩時間が十分あるかどうか、トンボ返りが行なわれていないかどうか、業務の適正が期せられておるかどうか、そういったいろいろな観点から、われわれとしては随時監査を行なっておるわけでございます。ごく最近にも、この夏の六月、七月の二カ月を費やしまして路線トラックについて大々的な監査をいたしました。そうして個個の会社について、この会社についてはこういうところがまずかった、この点が守られていないというふうなことで、具体的な通牒を出しております。それによりますと、概括的に申しますと、従前に比べてだんだんよくなってきつつあることだけははっきり申し上げられるのではないかと思います。  先生のお話しになりました固定給と歩合給との関係でございますが、大体三割四分の固定給に対して六割六分の歩合給、これがわれわれの監査の結果得た数字でございまして、一人の一カ月の収入は三万一千円強になっております。この点は前回の本委員会におきまして、私から詳細に申し上げましたので、繰り返して申し述べることは避けたいと思いますが、トラック運転手の一カ月の実働時間は大体三百十時間、その他の産業が二百七時間ということになっておりますので、一時間当りの賃金で見ますと、大体一時間百円、こういうことになるわけでございまして、この点は全産業の大体中間に位いたしておると思っております。ただ、一時間当りの賃金はなるほど中間に位しておりますけれども、この実働時間というものはやはり他の産業に比べて上回っておる。こういったことがやはり過労に陥る原因の一つではないかというふうにも考えられますので、その点についてはさらに行政指導を強化していかなければならない、かように考えております。  それから走行キロの問題についても先生からお話しがございましたが、この点につきましては十分守られておると考えております。東京で申しますと、東京陸運局がタクシー会社の監査をいたしておりますが、この最高三百六十五キロということが運転手の諸君の一人心々に至るまで周知徹底いたしております。従って、われわれの監査と相待って、それらの運転手諸君の力と申しますか、組合の力と申しますか、そういうふうな運転手諸君が労働者としての自覚を持ってきたということが、三百六十五キロをきめたという一つの大きな効果ではないかと考えております。従ってわれわれの監査と相待って、これら運転手の諸君の自覚によって三百六十五キロというものが現在は守られておる、かように私ども考えておる次第でございまして、タクシー会社のその後の状況を見ましても、休憩施設がよくなったり、あるいは乗務交番の適正が期せられたり、おいおいと成果が上がっておることを私どもは喜んでおる次第でございます。
  74. 安井吉典

    ○安井委員 今の労働条件の問題を突っ込んでいきますと、ずいぶん時間がかかりますし、たしか国会のほかの委員会でも特別な委員会も持ったりして、問題の解決に進んでいるそうでございますので、私もきょうは深入りはいたしませんけれども、ただ労働条件を、そういったような監査なんか行なわれた場合に、それをもっと強く営業者に対しまして、それがきわめて劣悪なものは営業免許を取り消すとか、あるいは一定期間停止をするとか、あるいは新たに免許申請する人については、その労働条件の問題を十分に解明して、満足がいく段階に至らなければ免許をしないとか、そういったような配慮が今なされておるか、今後どういうふうなお考えか、それを一つお伺いしたい。
  75. 梶本保邦

    ○梶本説明員 道路運送法によります免許基準の中に、適切なる事業計画という一項目がございまして、私どもは、ただいま先生のお話しになりました労働条件ということは、この適切な事業計画という中に含まれる、かように解釈をいたしており、また事実本省におきましても、あるいは地方陸運局長にまかせられておる免許、認可等の事案におきましても、その方針でただいま処理をいたしておるわけでございます。
  76. 安井吉典

    ○安井委員 その問題は今後とも積極的にそういった配慮をもってお進みいただきたいと思うわけであります。  この前の委員会のあった先週の木曜日に、あの日の夜、私はちょっと本郷の方に用があって行きまして、帰りに、家を出まして、すぐに通ってきたタクシーを拾ったわけです。それが百メートルか二百メートル行ったときに、前のトラックにぶつかりまして、フロント・グラスがめちゃくちゃになってしまいました。その日の昼間、この委員会で皆さん方とこうやって交通事故についての質疑応答をしておったその夜に、私の乗ったタクシーがぶつかっておるわけです。おかげで命には別条なくて、こうやってきょうも質問を続けられるわけですが、とにかくそういったような事態にあるということをつくつく身にしみて感じたわけであります。  先ほどの部長の御説明の中で、タクシーにしろ、トラックにしろ、固定給の要素がだんだん高まってきているというお話がございましたけれども、タクシーの運転手の中では、一〇〇%固定給というような人たちがだいぶいるということです。それは何かということでありますが、聞くところによりますと、本採用と、試用者やあるいは臨時の運転手というのがだいぶ使われているということです。特に労務管理が悪いことで、その試用の運転手や、あるいはまた臨時の運転手であるとか、そういったような立場の人の事故というものが相当あるというふうに聞いておるわけでありますが、現在東京のタクシーの中で、本採用と臨時が一体どのような割合になっているか、それとの事故関係等について、何か資料があったらお話し願いたいと思います。
  77. 梶本保邦

    ○梶本説明員 東京におけるタクシーの本採用と臨時との職員の比率は、残念ながらただいま手元に持ち合わしておりません。
  78. 富永誠美

    富永説明員 私どもから見ておりますのは、試採用者が推定二〇%あると見ております。それから事故状況でございますが、昭和三十三年八月から昭和三十四年三月まで、八カ月でございますが、タクシーの事故が七百二十二件起こっております。そのうちの本採用は四百六十一件、試採用が二百六十一件でございまして、これをパーセンテージにしますと、本採用は六三・九%、試採用が三六・一%でありますので、大体推定二〇%が試採用者であるとしますれば、試採用の事故がはるかに高率であるということがいえると思います。
  79. 安井吉典

    ○安井委員 今の事故の中における比率、こういうことからいいましても、やはり臨時やあるいはまた試採用者の人たちが相当多く使われており、そういう車が相当多く走っているというところに、今後いろいろな問題がたくさん出てくるのではないかと思うわけです。特に試採用の人たちは、おそらく本採用の人よりも固定給は低いでしょうし、能率給も歩合は低いと思います。特に臨時の人なんかは、全然歩合制で走っている、そういったようなことではないかと思います。だから、試採用の人は一日も早く本採用になりたいし、臨時の人も一日も早くそういった落ちついた段階に入りたいということからすれば、やはり成績を上げたさに無理をした走り方をする、これは当然のことではないかと思います。運輸省の方では、そういったような資料をお持ちにならないということでありますけれども、これはやはり十分にその点お調べをいただかなければいけないと思います。事業者にいたしますれば、臨時の人や試用の人は安くて使えるわけですし、しかも、しりをたたいて幾らでも追いたくっていける。そういった言い方は悪いかもしれませんけれども、そういったことにならないとも限らないわけです。そういうことから事故を起こしているというふうな問題があるのではないかというふうな気がするわけです。ですから、当然本採用にする人たちを、臨時なり試用なりという形で長らく置くことによって、労働の搾取をし、それによって事故を多くしている。こういった事態、これは私実際当たってみたわけではありませんけれども、そういったような面からこの問題の解決を見出すことに、運輸省の方でも、もっと御努力を願わなければいけない。そういうような事業内部に対する監査なり、単に本採用の人だけに重点を置いた見方じゃなしに、一つ総合的な見方をやっていただかなければいけないと思うのですが、今後のお考え一つお聞かせいただきたい。
  80. 梶本保邦

    ○梶本説明員 少し私の説明に行き届かない点がございましたことはおわびいたしますが、自動車運送事業等運輸規則の二十五条の二の条文の中で、運転者の選任ということに触れられておるわけでございますが、要するにただいま先生のおっしゃたように「日日雇い入れられる者、二月以内の期間を定めて使用される者又は試の使用期間中の者であってはならない。」というふうな条文でございます。運輸省としては、臨時に、随時その日その日の日雇い労務者を雇うような格好で雇うというふうなことは、厳に戒めておるところでございます。大体自動車一台に対して二・二人くらいの運転手の比率になっておると私は考えておりますが、その日に十六時間勤務で三百六十五キロ走るというもとに、乗務員というものの数が算定をされておるわけでございます。そして十分に運転手を雇い入れておる範囲内において、今申し上げましたような規定によって、日々雇い入れる者なり、あるいは二カ月以内だけしか雇わぬというふうに、期間をきめて採用するというふうな不安定な労働関係に置かれておることは許されないのでございます。その十分な運転手以外の別ワクとして、これらのタクシー会社が雇うということについては、ただいまのところ運輸省としては、別にそれを阻止する規定もございませんし、またそういたったことは本採用の以外の人でございますので、まあやむを得ないことではないかというふうに考えておるわけでございます。
  81. 富永誠美

    富永説明員 日雇い運転手は、昨年の神風タクシー等について、内閣の事故防止対策本部できめました要項の中にも、これはいけないというふうになっておりますが、最近の事例を見ますると、運転手が全部レクリエーションに行きまして、そして日雇い運転者を雇って、その人が事故を起こしたというのが最近起こっております。これは私の方も陸運局には通報いたして、厳重に警告いたしております。それから試採用者につきましては、今お話しのような、たとえば六カ月というのが多いのでございますが、六カ月間ある程度の成績があれば本採用になる。その成績が、かせぎでございますか、水揚げと申しますか、それも考慮されるという傾向が、私どもないとは言えないと思いまして、試採用者に対する対策というものはまだ残されておるというふうに考えております。
  82. 安井吉典

    ○安井委員 警察の方のお話によりますと、現実に試採用者なり臨時の人たちが走っておるし、実際において現実に事故を起こしているし、私のこの間乗ったのもそれなんですけれども運輸省の方では、法規上そういうふうなことはできるわけがないというふうなお答えですが、どうもおかしいと思うのです。その辺警察の方のお調べが陸運局に行って、運輸省のはっきりした政策の面でも現われてくるということでなければ、これはいつまでたっても堂々めぐりで問題の解決にならないと思います。ですから、私は就労条件の問題の一例として、今、試用、臨時の問題を取り上げて申し上げたわけでありますけれども、広く交通事故全般についてもっと御検討いただかなければいけない問題じゃないかと思います。そういうものはあり得ないといったって、現に町の中を走っておるわけです。今後におきまして、道路の方ももちろんそうですけれども、特に運輸省の方と警察の方とが緊密な連絡のもとに問題の解決に積極的に当たっていただきますことを最後に要望いたしまして、これで終わります。
  83. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 それでは、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十五分散会