運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-11-10 第33回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十日(火曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 飯塚 定輔君 理事 田中 榮一君    理事 渡海元三郎君 理事 吉田 重延君    理事 阪上安太郎君 理事 安井 吉典君       加藤 精三君    金子 岩三君       亀山 孝一君    鈴木 善幸君       津島 文治君    中島 茂喜君       山崎  巖君    太田 一夫君       川村 継義君    佐野 憲治君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     原田  章君         国家消防本部長 鈴木 琢二君         自治政務次官  丹羽喬四郎君         総理府事務官         (自治庁財務局         長)      奧野 誠亮君  委員外出席者         専  門  員 圓地與四松君 十一月六日  新市町村育成強化に関する請願亀山孝一君紹  介)(第五号)  同外二件(小島徹三紹介)(第六号)  同外一件(小林絹治紹介)(第七号)  同外一件(田中武夫紹介)(第五〇号)  同(小枝一雄紹介)(第八一号)  同(堀昌雄紹介)(第一一一号)  同(山下榮二紹介)(第一一二号)  遊興飲食税減免に関する請願亀山孝一君紹  介)(第八号)  同(中島茂喜紹介)(第九号)  同(山崎巖紹介)(第一〇号)  同(川村継義紹介)(第一一三号)  新町村建設に関する請願池田清志紹介)(  第七九号)  町村税財政制度確立等に関する請願池田清  志君紹介)(第八〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月七日  中央集権化傾向の排除に関する陳情書  (第四二号)  道州制実施に関する陳情書  (第四七号)  昭和三十四年度地方交付税に関する陳情書  (第四八号)  地方交付税率引上げ等に関する陳情書  (第四九号)  同(第五〇号)  地方税制公正合理化に関する陳情書  (第五一号)  地方公募債わく外措置に関する陳情書  (第五二号)  交付公債制度廃止に関する陳情書  (第五三号)  同(第五四号)  地方行財政確立強化に関する陳情書  (第五五号)  地方財政再建等のための公共事業に係る国庫  負担等臨時特例に関する法律廃止に伴う地  方財政財源措置に関する陳情書  (第五六号)  同(第五七  号)  同(第五  八号)  国税の減税に伴う減収額補てん財政措置に関  する陳情書(第  五九号)  同(第六〇号)  同(第六一号)  同(第六二号)  同(第六三号)  昭和三十五年度地方財政対策に関する陳情書  (第六四号)  新市町村建設促進法有効期限延長等に関する  陳情書  (第六六号)  新市町村育成強化に関する陳情書  (第六七号)  新町村育成強化等に関する陳情書  (第六八号)  同(第六  九号)  地方税財政制度確立に関する陳情書  (第七〇号)  固定資産税制限税率の引下げに伴う財源補て  ん措置に関する陳情書  (第七一号)  同  (第一八一号)  地方行政制度確立に関する陳情書  (第七二号)  町村行政水準向上施策に関する陳情書  (第七三号)  町村議会機能の高揚に関する陳情書  (第七四号)  地方議会政治確立等に関する陳情書  (第七五号)  地方財政確立に関する陳情書  (第七六号)  地方自治法の一部改正に関する陳情書  (第七七号)  起債及び補助事業の決定及び地方債許可制度廃  止に関する陳情書  (第八〇号)  市町村議会に対する官報等の送付に関する陳情  書(第八一号)  地方公務員停年制実施に関する陳情書  (第八二号)  府県制度改正に関する陳情書  (第八三号)  地方議会議員退職年金制度に関する陳情書  (第八四  号)  市町村消防力基準等に関する陳情書  (第八六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治に関する件  地方財政に関する件  警察に関する件  消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 吉田重延

    吉田(重)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は濱地委員長にはお差しつかえがございますので、委員長がお見えになりますまで、私が委員長の職務を行ないます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますから順次これを許します。渡海元三郎君。
  3. 渡海元三郎

    渡海委員 さきの当委員会におきまして、災害に対する各所管の事項について、これまで行なわれました状況につきまして報告を聞きました。今次の災害は広範かつ非常に激甚な災害でございまして、被災者一同は、災害にもめげず一意復興に努力しておられ、また政府におかれましても、これに対して適時の処置と、あわせて急速に今復旧か進んでおることは同慶にたえない次第でございます。なお、この機会に先般の報告にかんがみまして若干の質疑を行ないたいと思います。  災害復旧は、もちろん政府地方住民一体となって行なわなければならないのでございますが、特にこれを行ないます中心になりますものは、何と申しましても県並びに市町村地方団体でございます。この地方団体災害復旧するにあたりまして一番心配しておりますのは、財政の問題でなかろうかと存じます。国におきましては、建設省、農林省それぞれ所管の部門に分かれておりますが、県並びに市町村という地方団体が一手にこれを引き受けて復興に当たらなければならない。このためには十分なる財政の裏づけが行なわれなければ、この復興もおぼつかないという状態でありまして、特にこの点に関しまして、自治庁は、全般の問題に注意を払ってもらわなければならない、かように私は存ずるのでありますが、振り返って昭和二十八年のときの災害をながめますると、今日とは地方団体財政状況におきましては若干の相違があると申しましても、あの二十八年度災害地方団体に深刻な打撃を与え、これがひいては未曽有地方団体赤字財政に陥れ、または昭和三十年に行なわれたような再建措置をもって進めなければならないというまでの赤字状態に陥れた一つの大きな原因であったと考えるのでございますが、今回のこの大きな災害が、再びこのような事態に地方財政を陥れないためには、十分なる措置がなされなければならない、かように考えるのでありますが、この点に関しましていかなるような措置をなされ、またこのようなおそれが再び起きないか、この点一を局長より御答弁願いたいと思います。
  4. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘のように、今度のような大災害になりますと、地方負担が、現在の地方財政制度のもとにおいて予定をいたしております地方負担可能額をはるかに凌駕するわけでございます。そこで基本的には、災害復旧事業費に要します経費に対します国庫負担の率を通常の場合よりも引き上げてもらわなければならないということになって参ります。幸いにしてそういう諸措置がとられることになりまして、現に御審議をお願い申し上げているわけでございます。なお、個々の団体につきましては、そのような措置がとられましても、さしあたりの負担借金でまかなっておかなければならないわけでございます。従いまして、その借金を将来返していく場合に、その団体が返せるような措置をとって参らなければなりません。そういう意味におきまして元利償還額基準財政需要額に算入することによって、将来その償還が可能なように制度づけるということにいたしておるわけでございます。その範囲も従来よりも若干引き上げて、たとえば緊急砂防というような仕事につきましての地方債元利償還額の一部を、将来は基準財政需要額に算入して参りたいという考え方を持っておるわけでございます。なおさしあたってのことしの問題といたしましては、従来予定しておりました借金分量では足りないわけでございますので、地方債発行額を大幅に増額しなければならないと考えております。そういう措置もすでにとったわけでございます。なおまた事業費とは言いがたいような問題、たとえば減免によります減収額でありますとか、災害救助費地方負担額でありますとか、そういうような諸対策の雑費的なもの、そういうものをまかないますためにはやはり一般財源がそれだけふえて参らなければなりません。そういう意味で、従来とも被災団体に対しましては特別交付税増額して参ったわけでございます。従来の特別交付税の額では不十分でございますが、幸いにして今回の補正予算によりまして四十一億円の特別交付税増額を行なうことができるようになったわけでございますので、今までございました百四十九億円の特別交付税と四十一億円の追加額合計百九十億円の特別交付税交付ができるわけでございます。従いまして災害団体に重点的に持っていきまして、同時にまた他の地方団体に特に御迷惑をかけるということもないように、ことしは措置できるのじゃないだろうか、かように考えておるわけでございます。なお地方債の一部につきましては、土木小災害等につきましては別途国庫元利補給をするというような制度もあわせてとることにしておるわけでございます。
  5. 渡海元三郎

    渡海委員 種々の措置によりまして将来の赤字を防ぐという応急対策があると思いますが、大体本災害におきまして地方負担が急激に増加したと予想される額を一つお示し願いたいと思います。
  6. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今回の災害に伴いまして、災害復旧事業でありますとか、あるいはまた緊急砂防でありますとか、そういうような国庫負担を伴いますところの事業についての地方負担額が三百四十億円前後になるのではないだろうか、こう予想いたしております。もとよりこれは高率国庫負担をした上でのことでございます。そのほかに災害復旧事業単独で行なわなければならないものがあるわけでございまして、大ざっぱに申し上げまして二百億円前後になるのではないだろうか、こう思っております。そのほかに災害救助その他の諸対策の費用とか、あるいは減免になる減収額でありますとかいうようなものが、やはり百億円内外に上るだろう、こういうように存じておるわけでございます。
  7. 渡海元三郎

    渡海委員 単独事業に二百億、それから救助その他減免による措置によって百億というお答えでございましたが、この百億の減免その他のうち本年度地方税収減免として予定されておる額並びに次年度、当然復興がおくれますために、被害地におきましては地方税収減収が予想されると思うのですが、本年度減免による税収の減並びに昭和三十五年度に及ぼす税収の減の予想額をお知らせ願いたいと思います。
  8. 奧野誠亮

    奧野政府委員 本年度減免による減収額は私たちのところで大体二十億円ぐらいじゃないだろうか、こういうように予想いたしております。しかしことしの経済界状況からいたしますと、相当な自然増収があるだろう、こう思っております。被災団体でありましても、やはり法人事業税その他におきまして若干の自然増収があるのじゃないだろうか、こう思っておるわけでございまして、特に被災団体自然増収というものを、一応ペーパー・プランでございますが、いろいろな角度から推定いたしましても四十億円ぐらいはあるのじゃないだろうか、こういうような見方をいたしております。しかし、まだこれは将来のことに属しますので的確には申し上げられないわけでございます。従いまして今の経済情勢のもとにありますと、被災団体全体を考えました場合には、特に減収額が来年度以降続いて憂慮すべき状態だということにはならないのじゃないか、こう思っております。ただ特定の市町村などにおきましては悲惨な状態になることは言うまでもないと思います。
  9. 渡海元三郎

    渡海委員 このたびの財源措置といたしまして高率補助が適用されるようになり、この一環といたしましてまた自治庁関係におきましては地方債特例発行をされたのでございますが、ただいま言われました地方債発行、手元へ配られました法律案要綱によって見ますと、昭和二十八年はいわゆる歳入欠陥債に対しましては国が全額元利を補給した、このように記憶いたしておるのですが、この法律案要綱によりますと全額元利補給ということでなくして、その地方団体、しかも災害を受けた地方団体がみずからの財政のもとに将来長い間にわたって支払っていかなければならない、こういうように変えられておると思うのですが、この点何ゆえに昭和二十八年当時の措置がとられなかったか、この点を一つ明らかにしていただきたい。
  10. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘のように昭和二十八年災害の際には全額元利補給国庫でするということで五十億円の地方債増額いたしております。その全額元利補給付地方債を五十億円発行いたしました事由の一番おもなものは、当時は地方財政平衡交付金制度をとつておつた時代でございます。現在の地方交付税制度の場合と同じように、普通交付金特別交付金とに分けて配分をいたしておりました。災害によりまして減免による減収額その他諸対策の雑費的なものが莫大な金額に上ってくる。それを補てんするために、この地方財政平衡交付金のうちの特別交付金を何十億円か増額しなければならないじゃないかという議論が起こって参ったわけであります。現在でありますと、国税一定割合地方交付税ということになっておりますので、交付税増収に伴いまして地方交付税増額になるわけでございますが、当時の地方財政平衡交付金制度は、団体ごと財源不足額を積み上げていってその総額を国の予算に計上する、こういう建前になっておったわけでございます。従いまして、幾ら財源不足額があるかということを金額を算出して、それを予算化しない限りは地方財政平衡交付金増額にならないわけであります。この特別交付金増額の問題をめぐりましてかなりやかましい議論があったわけでございます。そこでそういうような要望にこたえる意味において、さしあたりは地方債増額しよう、そのかわりその地方債元利償還額は将来全額国庫めんどうを見よう、こういうことになったわけでございます。  なお、その後に地方債の中に、公共土木災害国庫負担の一カ所当たりの工事費限度額、現在で言いますと、市町村工事は十万円以上、府県工事は十五万円以上ということになっておるわけであります。この限度額を引き下げるべきだという話があったわけでございます。その引き下げを行なわないかわりに、それに要する経費もこの五十億円の地方債の中でめんどうを見よ問うじゃないか、そのかわりその部分元利償還を全額国庫負担する、こういうことになったわけでございます。大体この二つの事由から今申し上げる地方債増額ということになったのでございます。  ところが、今次の災害に際しましては、すでに申し上げましたように、四十一億円の特別交付税増額措置がとられたわけでございまして、その意味においては二十八年災当時の地方債は必要としないわけでございます。その上に今度の地方債におきましては現年の単独災について五十九億円増額をいたしております。そのうち十九億円は一部を国庫元利補給することにいたしておるわけでございます。従いまして、その意味からも二十八年災のような措置は要らない、こう申し上げることができると思うのでございまして、これらの面におきましては、二十八年災害当時よりも手厚い措置が今次の災害においてはとられているということを申し上げて差しつかえないと考えております。
  11. 渡海元三郎

    渡海委員 大体了承いたしましたが、このたび出されました起債のこの特例法律案とともに、予算面におきましては百四十億、それから公営企業債として二十億、合計百六十億の起債が組まれたのでございますが、これに使われますほぼの内訳と申しますか、この一、二、三、四に割り当てられます額、並びに今申されたようにこの起債元利補給的なものも相当ございまして、元利補給的なものでございましたなれば、補助と同じに扱うべきじゃないか。その意味におきましては、従来の査定によって起債を七〇%とかあるいは八〇%とかいうふうに査定することによって、非常に大きな違いが各地方団体に出てくるのではないか。査定を削られましたところの残りの二〇%ないし三〇%は補助金をもらわれないのと同じ効果だ。そういう意味におきましては、当然行なうべきものは一〇〇%行なわるべきが当然じゃなかったかと思うのでございます。この意味におきまして、このたび予算措置をされました起債のワクというものは、一〇〇%に配分し得る額でなければならないと思うのでございますが、この点、総額におきまして十分であるのかどうかという点とあわせてお答え願いたいと思います。
  12. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今度の地方債増額にあたりましては、ただいま先生から御指摘のありましたような考え方で計画を作ったわけでございます。まだ災害の実態というものが計数的に確定を見ておりませんので、多少動くかもしれませんけれども、大体において今お述べになりました御意見に沿っているものだ、こう私たちは思っているわけでございます。またそういうつもりで運用して参りたいと考えております。その内容は、現年災に対します地方債のうち、国債補助負担金を伴う残り地方負担分に対応いたしますものが五十五億円でございます。それから国庫補助負担金を受けませんで、地方団体単独で行ないます地方債に対応いたしますものが七十六億円でございます。七十六億円のうちの一部国が元利補給をいたします部分が、土木や学校の災害分が十九億円、農地、農林業施設に伴いますものが十七億、合計三十六億円でございます。従いまして、元利補給いたしません単独災害債が四十億円ということになります。それから歳入欠陥補てん等のための地方債を二十億円と予定をいたしております。そのほか伊勢湾高潮対策であるとか、いわゆる災害関連緊急治山緊急砂防というような工事分量が今度の補正予算追加されております。これに対応いたします地方債が二十四億円でございます。それから公営企業災害復旧に要します地方債が二十億円、合計いたしまして百九十五億円ということになるのでございます。そのうち既定の災害のための地方債として三十五億円ございましたので、御指摘通り百六十億円の追加を行なったわけでございます。
  13. 渡海元三郎

    渡海委員 大体わかりましたが、ただいま言われました中に、その他緊急砂防あるいは伊勢湾台風におけるところの港湾施設というものに対して二十四億円の起債が出されるのですが、今回の災害のときに特に叫ばれましたのは、災害国の日本といたしまして、災害のたびに単に原形復旧にとどめておいてはならない。改良復旧を加えることによって、将来災害を二度と起こさない、こういうふうにされなければならないということを強く要望され、政府におきましても、あとう限りの改良復旧を行なうのだということを原則とせられておるというふうに聞いておるのでございますが、その場合、改良復旧に要しますもの並びに関連事業に要しますものに対します補助並びに起債が、従来の改修工事等々と同じような補助率または起債査定方針でしたら、いかにこれを行なうにしても、三重県、愛知県等のような相当額大きな被害を受けておりますところはとても県財政におきましてこれらの負担を見ることができない。従って、この関連事業に対しましては、補助額あるいは起債につきましても、特別の措置が当然行われなければならないと思うのでございますが、この二十四億という額にあわせまして、これらに対してどのような措置を講じられる考えであるか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  14. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘災害復旧工事にあたっては、原形復旧にとどまらないで、むしろ改良復旧建前とすべきだという意見は、与党の中でも相当強かったわけでございますから、与党中心として大蔵省や私たちが話し合いをいたしました際におきましても、この意見が強く持ち出されておったわけでございます。また大蔵省の方におきましても、そういう考え方を大幅に取り入れているものだと私たちは考えておりました。そういたしますと、災害復旧事業費の中にそれがそのまま災害復旧事業費として入ってくるわけでございます。従いまして、それに伴います地方負担分については、地方債を当然見ていくわけでございまして、私が先ほど申し上げました現年災のうちで、国庫補助を伴います分に対応する地方債五十五億円ということを申し上げましたが、それは改良復旧地方負担分をそのまま含んでいるのだ、こうお考えいただいて差しつかえないと思うのであります。災害関連工事などにつきましても、本年度地方負担分につきましては原則として一〇〇%の地方債を認めていきたい、こういう考え方でおるわけでございます。
  15. 渡海元三郎

    渡海委員 大体災害の現年度改良復旧地方負担は、現年度は一〇〇%認められますが、次年度におきましてはこの充当率のパーセントが減っていくというところに改良復旧を行ない得ないという地方の実情があるんじゃないか、かように考えるのでございますが、特に被害の集中いたしました三重県あるいは愛知県等の海岸堤防における姿は、改良復旧で当然行なわれておるのでございますが、これらの改良工事が何%かという査定によって地方債が落とされるというようなことになりましたら、地方負担のできないために、かえって工事ができないんじゃないか、改良復旧も行なわれないんじゃないか、こういうふうに思いますので次年度にも引き続いて一〇〇%の、本年度年債に対すると同じようなものが行なわれなければならない、かように考えるのですが、いかがでございますか。
  16. 奧野誠亮

    奧野政府委員 改良復旧という言葉をどの範囲において用いるかということによって、多少話の行き違いが起こるんじゃないかと思いますので、断わっておきたいと思うのでありますが、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法等において取り上げております原形復旧が不適当であったような場合には改良復旧災害復旧工事とみなしていくという規定がございます。そういうものに入る改良復旧工事は即災害復旧事業でございます。従いまして、地方債の面におきましても災害債として扱って参るわけでございます。しかし、伊勢湾高潮対策などのように、どちらかといいますと関連工事、こういうものにつきましては、そのまま復旧工事としては扱われていないだろう、こう思うのでございます。しかし今回の災害から考えて参りますと、三重県その他におきます海岸堤防かさ上げの問題というものは莫大な経費を要するのでございまして、普通の公共事業費についての国庫負担率ではとてもまかない切れないと思います。そういう意味で、今回のそれらのものにつきましては特に国庫負担率を引き上げるというような措置が別途とられておるわけでございますので、その面においてはある程度地方負担も緩和されていると思います。で、緊急治山緊急砂防災害関連等の問題につきましては、初年度地方債を全額つけるわけでございますけれども、次年度につきましては一般公共事業に対しまする地方債と同じような扱い方しかいたさないわけであります。なお、緊急治山緊急砂防などのような、どちらかといいますと実質的な災害復旧と目されるようなものにつきましては、将来は地方債充当率を高めていきたい。地方債の九〇%を目途に地方債をつけていきたい、こういうふうに考えております。しかし一般災害関連工事につきましては、やはり従来通り一般公共事業費地方負担に対応する地方債充当の仕方を続けていくよりいたし方がないんじゃないか、こう思っておるのでございます。しかしながら、御指摘のような伊勢湾高潮対策等の問題につきましては、とてもそういうことでは地元がやっていけないわけでございます。これは地方債の問題ではなしに国庫負担の仕方の問題だ、こう私たちは考えておるわけでございます。そういう点につきましては、国庫負担率が大幅に引き上げられることになっておりますので、ある程度解決を見ているんじゃないか、こう考えるわけでございます。
  17. 渡海元三郎

    渡海委員 ただいまの答弁で了解申したのですが、ただ一点、災害国庫負担法によって原形復旧が適当でないという場合には災害復旧と同じようにみなされる、この場合においては、起債におきましても災害復旧と同じように扱われて、一〇〇%次年度に対しても行なわれ、またこれに対する償還も需要額の中に算定されて認められるというようなことがありますが、伊勢湾のあの対策に対しまして、これが原形復旧が適当でないという査定を行政措置で行うのでございますか、それとも法律措置高率補助が行われるのと同じように、関連事業についても適当でないものとしてみなされるという規定が入れられてこそ、初めて次年度に対する県当局の地元負担に対する確信もできると思うのでございますが、このような措置は行なわれないのでございましょうか、どうでしょうか。
  18. 奧野誠亮

    奧野政府委員 災害復旧工事として扱うかどうかということは法律の規定に該当するとして災害復旧工事を施行するかどうかということにかかってくる問題だと思います。伊勢湾高潮対策高潮対策工事として別途に予算計上され、高率国庫負担がなされることになっておるわけでございます。もとより海岸堤防の中にも災害復旧工事もございましょうし、改良復旧建前工事の行なわれる部分もあと思うのでございます。それ以外の分につきましては、今申し上げましような別途な措置で国が負担して工事をやるということになっているわけでございます。     〔吉田(重)委員長代理退席、委員長着席〕
  19. 渡海元三郎

    渡海委員 地方単独起債に対しまして四十億が予定されておるということを聞いたのでございますが、大今回の措置によりまして、被害激甚として政令によって定められる地区対しましては、県におきましては十円まで、市町村におきましては五万までというように災害対象の金額が下げられましたので、小災害も相当救われると思いますが、この額に入らなようなものも相当ございまして、これらが四十億の起債によってまかなわると思うのでございますが、これら県並びに市町村、この四十億で十分ある、この積算の基礎はどのようにいておられるか、一応御説明賜わりいと思います。
  20. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話しのように補助限度額を引き下げる措置にかわる一つ元利補給付の地方債、それに属さない単独地方債が四十億円でございます。こういう数字をはじき出しましのは、公共災害復旧費の査定額、それの一六・四%を地方団体単独で行なわなければならない災害復旧事業分量だ、こう考えているわけでございます。そういう計算をいたしまし需要額を算出したわけでございます、
  21. 渡海元三郎

    渡海委員 最後に、ただいま手元へ配られましたこの起債に対する特例につきましては、災害対策の特別委員会におきましては相当審議が行なわれておることと思いますが、本委員会も関係がございますので、指定されてあります、この法律に掲げてあります、いわゆる政令というものにゆだねてある地区が大きいのでございますが、政令は、他の建設関係あるいは農林関係等の関係もございますから、まだ確定に至っていないではあろうと存じますが、一応自治庁として本政令をいかにきめられるような御所存であるか、その点に対する概要を御説明賜わりたいと存じます。
  22. 奧野誠亮

    奧野政府委員 三つに分けて申し上げたいと思います。その一つは、公共土木小災害等につきまして元利償還金の一部を国庫から補給するその地域の問題でございます。これは土木災害、農林災害等の国庫負担を伴います復旧事業費、その事業費がその団体の標準税収入を越えている団体、そういう団体につきましてはこれを認めていきたい、こう考えております。その場合の元利補給の率は三八・二%でございます。しかしさらに被害の激甚な地域につきましては三分の二まで国が元利補給をすることにいたしております。その地域は現在問題になっております公共土木費につきましての高率国庫負担をする地域にかかる事業費にいたしたい、かように存じております。その二は、農林災害につきまして国が地方債元利補給をする地域でございます。これは町村ごとに農地及び農林漁業施設の災害額が八百万円をこえ、いるような市町村につきまして、元利補給づきの地方債を認めたい、かよりに考えておるわけであります。これも農地は五割、農林漁業施設につきましては六割五分の資金について地方債を認め、全額を国庫元利補給するわけでございます。しかし激甚地につきましては九割まで地方債の資金を認め、全額を元利補給することになっております。この激甚地は、公共農林災害につきまして激甚地として九割の国庫負担をしていく地域における事業について、地方債につきましても九割まで認めるようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。  その三は歳入欠陥等の地方債を認める地域でございます。これはやはり土木、農林等の公共災害査定額がその団体の標準税収入を越えているような団体及び災害救助費がその市町村の標準税収入の百分の一をこえているような団体、そういう団体について認めたい、かように考えているわけでございます。
  23. 渡海元三郎

    渡海委員 今次の災害が、今申しましたように本年度に対する措置は、起債その他国庫補助率の引き上げ等におきまして、地方財政に及ぼす影響に対する措置はわかりましたが、昭和三十五年度に対しましても、われわれが予想しておりました地方財政計画に相当額負担を与えるということはこれはやむを得ないだろうと思いますが、大体今回の災害におきまして、三十五年度に本災害が行なわれなかった場合に予定しておりましたよりも、どの程度の額の財政的な負担地方財政に与えるものであるか、一応予測でさましたらお知らせ願いたいと思います。
  24. 奧野誠亮

    奧野政府委員 来年度工事分量につきましては、先ほど改良復旧のことをおっしゃっておりました。また災害関連工事もございます。一体どの程度まで取り上げられるのかということが明確でございませんので、はっきり計数的に申し上げることはむずかしいと思います。ただ今年度もそうでございましたし、昨年度もそうでございましたが、現年災害国庫補助事業の規模というものを当初は二百五十億円と予定をいたしまして、国の予算も作り、財政計画も作っておるわけでございます。その二百五十億円の災害復旧事業費の規模というものが手数百億円にふくれ上がっている、こういうことでございます。従いまして、それだけをとって考えますならば、二百五十億円の工事の五割を翌年度でやる、千数百億円の工事の五割を翌年度でやるという比較になってくるのじゃないか、こう思うわけであります。ただ、今申し上げましたような事情がございますので、ここですぐ計数的にはっきりしたことをお答えすることは、なおちょっと差し控えさせていただいた方がよろしいのではないかと思うわけでございます。
  25. 渡海元三郎

    渡海委員 政務次官がお見えになりましたので一言お聞きいたしたいと思うのでございますが、今次の災害は未曽有の大災害で、相当広範にもわたっておりますが、国の方におきましては、それぞれの所管の省がありまして、復旧に全力をあげておられるのでございますが、地方におきましてこれをほんとうに実行に移し、ほんとうに責任をもって復旧に当たる中心となるのは、何と申しましても当該県であり、市町村である。当該県並びに市町村がその精神的な復興よりも、一番力強く実行に立ち上がるのは、財政的な裏づけをやっておるところに、初めて当該の責任者も力をもって復興に立ち上がるのではなかろうかと考えるのであります。この点から考えまして、自治庁というものは、この災害復旧に全責任をもってあとを見てやるのだという強い信念をもってこれらをバックアップしてやるところに、初めて復興がスムーズにいくのじゃなかろうか、かように考えますので、自治庁長官が災害対策の本部長代理となられまして現地へ行かれて、特に被害激甚な中京地区において直接指揮に当たられたのも、こういう意味から出たのではなかろうか、かように思いますが、この点について自治庁当局とされまして、いかなる決心をもって本災害のあった各地方の実態に対して遺憾なからしめて担当させるという点について努力されておりましたか。その決心のほどを、この機会を通じましてお開かせ賜わりたい、かように存じます。
  26. 丹羽喬四郎

    ○丹羽政府委員 ただいま渡海委員から御懇切な御指摘がございましたけれども、渡海先生の仰せの通りでございまして、今回はまことに未曽有災害でございまして、私ども自治庁の方といたしましては、被害地の罹災者の皆様に深甚な御同情を申し上げますとともに、その復旧の一日も早からんことを希求しておる次第でございます。しかも、その実際の担当をしていただきますところの府県あるいは市町村の御労苦に対しましては、私ども全力をあげまして、微力ではございますけれども、あらゆる点に力を総動員をいたしまして、そのあと押しと申しますか、その施行が円満に参りますように努力を続けて参りたいと思っておる次第でございまして、さきに災害地の対策本部ができまして、私どもの長官が本部長代理になりましたのも、そうして現地にすでに三回も参りまして実情を十分調べ、そのつど私どもの担当官を派遣いたしまして地方の実情把握に努めましたのも、その一つの表われでございます。今回議会に提出いたしました交付税増額の点にいたしましても、あるいはまた起債を百九十五億増額をいたしまして、委員の皆様の御協賛を願おうと思っておりますのも、その一つの表われでございます。要は私どもといたしましては、これは単に本年度だけに限りません。明年度にもわたりますけれども、災害地の自治体の財政というものは、一面において歳入の減収は予想されるところでございますし、しかもまた支出方面は増高することは当然予期されるところでございますので、先生方の御協力を得まして、できるだけ国庫負担を大にいたしまして、地方負担はできるだけ軽からしめまして、そうして早い復旧をさせたいという念願で進んでおるつもりでございます。
  27. 渡海元三郎

    渡海委員 今次の災害におきまして最も遺憾なのは、多数の人命を失ったということでございます。資材その他は復旧することによりましてまた補うことができますが、一度失われた人命というものはかえすことができない。この意味からいいまして、多数の人命が失われるということは返す返すも残念だと思うのでございますが、聞くところによりますと、気象通報等が迅速に伝達され、適宜な措置が行われた地方におきましては同じ災害を受けておりましても、それらの被害が僅少の数にとまったということを新聞紙上その他で伝え聞いておるのでございます。今回の災害は特に災害常襲地帯、台風常襲地帯というっ地帯に来なかったために、住民一般の台風に対する知識その他が不足しておったということも、これらの被害を大きくした一つの原因でなかろうかと思いますが、それと同時に、現在のこういった災害対策というものが、地方におきましては、各市町村の自治団体が最高の責任者であらねばならないのでございますが、中央におきましては、これが各個ばらばらの官庁に分かれており、それらの指揮命令系統が分派されておるために、こういった被害対策についての万全なる措置が行われなかったのじゃないか。この点、地方自治体の責任を担当されるところの自治庁におきまして、常にこれらの地方団体に、これらに対する対策を責任をもって常備させるという意味におきましても、災害に対するところの局等を設けられ、現在の消防本部を少なくとも自治庁の中に包含されまして、災害対策の万全を期せられることが、これらの被害を最も僅少に防ぐ道でなかろうか、かように考えるのでございますが、この点に対する政務次官の御意見を一伺いたいと思います。
  28. 丹羽喬四郎

    ○丹羽政府委員 ただいまの渡海委員からの御発言は全く同感でございまして、さきの台風発生直後におきましても、益谷本部長を主といたしまして、私どもの長官が本部長代理といたしまして現地に参りましたときも、各省の官房長あるいは主管局長を帯同して参りまして、各省間におきまする事務連絡上にそごなきよう期した次第でございますが、これは事後のことでございまして、事前におきまして、あるいは災害を予知いたしまして、これを各方面に通報する、あるいは緊急避難を発する、その他につきましては、いまだ法制上からいたしましても、あらゆる制度上の方面からいたしましても、非常な不備な点が多々あるわけでございます。そういう点につきましては、政府におきましても、災害基本法というような法律をただいま考慮中でございまして、これらによりまして一般的の災害予防に対する制度の確立、予防措置の確立ということをはかるつもりでおりますけれども、実施面におきましては、やはり消防というものは、災害予防の直接の責任、消火、消防ということが第一の任務になっておりまして、これらの消防庁というものがわれわれと別個の機関におりますことは、万事につきまして不便であることは申すまでもないことでございます。私どもといたしましては、適当な機会にこの消防庁をわれわれの外局にしていただきまして、一本化した連絡をとっていただきたいというふうに考えている次第でございます。
  29. 渡海元三郎

    渡海委員 この際、消防本部長に一言聞きたいのでございますが、今次の災害におきましては、消防団員並びにその協力者に非常なる御活躍を願ったことはまことに敬意を表する次第でございますが、このために犠牲となられた方が七十人あまり出ており、深く哀悼の意を表する次第でございます。これに対しますものは、先般作られましたる共済基金の中から丁重な弔慰金が送られると思うのでありますが、先般の御報告にありましたのによりますと、本年度予想されますところのこれらの基金の支出と、この未曽有災害によりますところの基金の支出とで、ほとんど基金は全額消費されるというような御報告でございました。この災害は突発的なものでございますので、これらの基金の穴埋めは、このたびの災害補正予算においてなされるべきが当然であった、かように存じますのですが、聞くところによりますと、この補てんがなされていない。しかしながら、来年度の通常国会にかけられる予算におきまして、必ずこのしりぬぐいをされるというふうに大蔵省と連絡をとっておられる。こういうふうな先般の御報告でございましたが、私がただいま申しましたこの点は、大蔵省の方も十分認めて、次の通常予算の編成期に考慮していただける、かように了承してよいのでございますか、この点あらためて念のためにお聞きしたい。     「委員長退席、吉田(重)委員長代理着席」
  30. 鈴木琢二

    鈴木政府委員 今回の伊勢湾台風による消防関係の公務災害状況は、前回もお話し申し上げましたように、十月二十八日言現在で、非常勤消防団員の殉職者五十八名、協力者十四名という数字に上っております。何と申しましても消防団員の活躍は、災害発生直後から引き続き今日でもまだ復旧作業に協力し努力いたしておるわけでございまして、この消防団員の公務災害状況等も、中央に対する報告がどうしてもおくれまして、だんだんと日がたつに従って数が多くなる。当初私ども、従来の経験から予想いたしました公務災害の死亡者は、大体三十名くらいという見当でおったのでございますが、だんだんと報告が来るに従って増加いたしまして、十月二十八日現在で五十八名の非常勤消防団員の殉職者、それに協力者が十四名ということになったわけでございます。今後も、あるいは少しこの関係で報告漏れがあって、その後の調査で、公務によって殉職あるいは負傷した者の数が出てくるのじゃないかと思っておりますが、そういう次第で非常に報告がおくれておりますために、これに対する処置が十分にとられなかった遺憾はあるわけでございますが、しかし先般も御説明申し上げましたように、今日までに報告の来ております公務災害の死亡者並びに負傷者等に対する損害補償の総額を概算いたしますと、大体三千五、六百万と予想いたされます。これは死亡者に対する補償費、遺族に対する補償費一人当たり平均四十五万円程度になります。そのほか葬祭費とか、あるいは協力者に対する補償費等一切を入れまして、大体三千四、五百万と見当をつけております。現在、基金の預貯金として残っておりますのが七千二百八十万ございます。このうちの二千九百万は、従来からの積立金で繰り越してきたものでございますが、このうちから今回の臨時の補償費を出しますと、残りが三千五、六百万になります。これを今後十月から来年の三月までの災害補償に充てる費用を概算いたしますと、大体年度末にとんとんになるのじゃないかというふうに予想いたしております。もしどうしても、今後予想できない災害があって、その額で間に合わない場合には、場合によりますと、最後に借入金等によって一時補っていくという方法を講じなければならないと存ずるのでございます。いずれにいたしましても、大体今年度一ぱいは現在持っております預貯金でまかない得るのではないかというふうに予想いたしております。そういうことで、当初今回の災害による補正予算を組む段階で折衝をいたしました時期には、はっきりした計数が出ておりませんでしたが、大体を予想いたしまして、二千万円程度の補正予算を組んでもらいたいということを、大ざっぱな資料によって大蔵省と折衝いたしたのでございますが、相当な死傷者が出たにしても、大体現在の保有の基金でまかなえるのじゃないか。そうすれば、今回の災害では、国の財政を洗いざらい出して、速急に救済なり復旧作業をする時期であるから、一応間に合うのであればこれで間に合わせておいてもらいたいということで、ついに補正予算に組むことができなかったわけでございます。それは一つは今の理由と、確実な資料がまだ十分集まっておらなかったという二つの理由によりまして、補正予算はついに組まれなかったのでございます。  ただそういう関係で、大体今年度一ぱいで従来の積立金もすっかり使い果たすということが予想されましたので、その補正予算は組まないけれども、来年度予算の際には、現在出しております四千万円の補助金の要求はぜひともいれてもらわないと困るということで、事務的にも折衝いたしましたし、また私も直接大蔵事務次官と話をいたしまして、とにかくその問題は来年度予算のときに十分考慮するからということになっておる次第であります。四千万円要求いたしておりますが、ぜひともこの要求額は全額二十五年度予算補助金として組んでもらいたいと、私どもは強く希望いたしておるわけでございますが、これが折衝は今後に残されておるわけであります。
  31. 渡海元三郎

    渡海委員 このたびの補正予算に組まれなかった事情は了承いたします。また組まれなくても、どうにか本年度はやっていけるということで安心をいたしております。なお、ただいま説明されました来年度に対する分は、このたびの補正予算に出されなかったかわりにぜひ獲得していただきたい、かように考える次第であります。  最後に警察に一点だけお聞きしたいのでございますが、このたびの災害で自衛隊並びに警察の活動につきましては、非常に大なるものがありまして被災地の方々もみな非常に感謝をしておられる様子を新聞その他で拝見して、まことにうれしく存ずるのでございます。このようなときには、他地区から応援も相当行かれただろうと存ずるのでございますが、自衛隊でございましたら、本来の予算は国家が持っておりますから、出動その他に対して何ら支障なくこれが行われる。しかしながら警察は、御承知の通り地方警察と分かれております関係で、これが出動、応援ということには当然経費も伴うので、道義的な問題だけでは解決されないし、しかもあらかじめ予想できないような経費が相当要っただろうと思います。これらの経費がこのような場合十分支給されてこそ、初めて次の活動に対しても十二分に全国の警察力を一手に集中し得るという、活動力の根源になろうと思うのでございますが、今回の補正予算によって、これらの応援その他に使われた経費が支障なく支給できるだけの裏づけがなされたかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思います。  もう一点は、警察施設もこのたびの災害に相当あっておりまして、これに対する予算も前の委員会で御説明願ったのでございますが、その補助率でございます。本来警察施設は国の補助が一定の査定のもとに行われ、しかもそれが実際行われる建築に対して十分でないというのが往々でございまして、この不足分はとかく地方団体またはその地方の住民に地元負担という形で出させているのが通例でございます。もちろん一般のときにはこれもやむを得ないことであろうと思いますが、特に被害をこうむりました地方でございますので、これらの地元負担、特に住民負担のごときは、これを行ない得ないというのが現状ではないかと思うのでございます。従って今回の施設の復旧に対しては、災害の他の施設に対すると同様に、当然高率補助が行なわれて初めて円滑に復旧がなされるのではないかと思います。この点特に警察関係には法令が出ていないのでございますが、行政的な運用の面において高率補助を行なうことによって、早急に復旧事業が行なわれるかどうか。以上二点だけお答え願いたいと思います。
  32. 原田章

    ○原田(章)政府委員 今回の災害はきわめて大規模な災害でございますので、国家的な見地からして警察官の応援あるいは通信、装備、資器材の動員をいたしてつぎ込んだわけでございます。この経費につきましては、一般災害の場合には、若干の国庫補助によって地方費が組まれておりますが、このたびのような大規模の災害につきましては、国家でめんどうを見なければいかぬじゃないかということで、このたび初めて国費をもって警備活動に要する経費負担することにいたしまして、活動関係については五千五百七十万、装備関係についても、通信関係についても相当額経費負担することにいたしました。他の方面から応援した警察官、あるいは他の地区から応援した通信、装備、資器材の手当につきましては、大体これで間に合うのではないかと思いますし、また地元の各府県において警備活動に要した経費、資材等につきましても、大体これで手当することができるのではないかというふうに考えております。もちろん一部既定経費等もこれに充てるということも考慮に入れてのことでありますが、今回提案されております補正予算と一部既定経費をこれに充当することによって、これが必要な経費を満たして参りたいと思っております。  第二番目の警察施設に関しまする補助金の問題でございますが、地方団体財政現状に対しまして、非常な御理解をいただきまして、われわれもその御趣旨に沿いまして国庫補助率の増額、あるいはその他の方法による手当につきまして考慮しなければならぬということで参ったのでございますが、今回の災害に伴います官公諸施設の復旧費に対します補助金補助率につきましては、基本方針として特に補助率の引き上げは行なわないこととなりましたので、警察以外のあるいは保健所とか、あるいは公立病院等の施設と同様に、警察施設につきましても補助率の引き上げを行なわないで、普通の補助率の十分の五で参ることになったのであります。この点につきましては、昭和二十八年災につきましても同様な取り扱いになっております。私どもとしても、やむを得ないと思うのでありますが、しかしながら、災害府県におきましては、何としましても財政需要が非常に大きくなっておりますので、自治庁その他関係方面と協議いたしまして、起債あるいは特別交付税等の一般財源措置に努力しておる次第でございます。また、こういう災害によって損壊しました警察施設の復旧につきまして、地元に負担をさせることについて注意しなければならぬというお話がございましたが、非常にごもっともな御意見でございますし、また私どもも平素からさような点を注意して参っておるのでありますが、今回の災害につきましては特にその点を重々留意いたしまして、遺憾のないようにいたしたいと思っております。
  33. 吉田重延

  34. 阪上安太郎

    ○阪上委員 災害関係につきまして、渡海委員から今までいろいろと質問がありましたが、私の質問しようと思っておりました点について相当な質疑が行われましたので、重複を避けまして簡単に一、二質問してみたいと思います。  最初に政務次官にお伺いしたいのですが、先ほどちょっと触れられました災害救助の欠陥というような問題でございますが、いろいろな問題点があろうかと思います。私ども実際に過去において何回か経験したその経験によりますと、災害救助法が適確にそれ自体適用されていないということが一つの問題点ではなかろうかと思うのであります。そうしてその原因はどこにあるかということを探っていきますと、一つ災害救助法の発令の問題いま一つは救援実施の問題、こういうふうに思うのであります。現行法によりますと、これは厚生関係だということでありますけれども、しかし地方自治体の発展を担当しておられる自治庁として当然考えていただかなければならぬと思うのであります。救助の発令が知事には委任されるのでありますども、市町村長にはその発令権が委任されていない、こういうことが一点であります。でありますから、今回の災害をながめておりましても、先ほどのようなほんとうに悲しむべき人命の損耗というものがあったのでありますが、その最大の原因は、やはり市町村長が直接災害地にあって府県とも連絡がとれない、府県からは何らの連絡もやってこないという状態において、独自の立場で災害救助法を適用して、それを実施していくという法的措置がとられていないために、非常に大きな損耗を来たしておるということは事実であると私は思うのであります。それからまた現行法によりますと、知事は市町村長に救援の仕事の一部を委任することができるようになっておりますが、現地を回ってみまして、実際問題として委任の状態をとっておるという姿はほとんどない。そのために災害発生瞬間時におけるところの措置も十分でない。と同時に、発生後におきますところのほんとうに応急対策としてのいろいろな仕事が、相当長時日をかけてみましても、一々府県知事と相談しなければはかどらないというような状態で、そのことのために市町村長はぼう然として災害状態をながめているにすぎないというような状態が各所に発生しておる。  こういう状態をながめてみますと、もう何はさておいても当面のこの問題を取り上げて、先ほどからいろいろな救助法関係等について再検討を加えると言っておられるが、自治庁としては、将来強く市町村長にも都道府県知事と同様に救助法の発令権と救援実施権というものを与えてやらなければ、何回やっても同じことを繰り返しておることになる、こういうふうに思うのであります。内容等についてはいろいろございますが、こういう点について政府当局並びに政務次官は一体どういうようにお考えになっておるか。またそうついうことをやることのために多くの経費が乱費されはしないだろうかというようなおそれがあることはありますけれども、非常災害の場合に、しかも今回のように現行法律が予想しておるところの災害を上回った災害が出てきて、それを現行法律でもって処理していかなければならないということは、結局救助ができないということを明らかにしておることになる。そのために今日こうして特例法を出さなければならないというようなぶざまな状態が出てきておる。こういう点を考えましたときに、一番取り上げていただかなければならないのは、ほんとうに現地の事情を瞬間にして知っておるところの地方自治体の一番末端である市町村長に、そういう救助権を与えていくということが第一じゃないかと思います。この点についてどういうふうにお考えになっておりますか、一つ伺っておきたいと思います。
  35. 丹羽喬四郎

    ○丹羽政府委員 ただいまの阪上委員からのお話でございますが、今回の災害の実情に照らしましても、早急に処置すべきときが少しおくれたというような非難のございましたことはまことに仰せの通りでございまして、遺憾に思っておる次第でございます。しかしながら、災害救助法は、災害によりまして救助を要する事態が発生したときに、これに対処するために規定されたものでございまして、あらかじめ避難等をするのには、水防法その他の規定によりまして避難命令を出すとかその他のことをすることになっておりまして、この水防法の管理者は市町村長になっておりますので、その権限を発動いたしますれば、事前の緊急避難等はあるいはできるのじゃないかと思っておる次第でございます。災害救助法に対しましても、これは府県知事が直ちに発動できることとなっておると存ずる次第でございますが、一部を市町村長に委任することができる規定になっておると存ずる次第でございます。この場合、いかなる場合に一々委任をするかという点につきましては、やはり負担の均衡その他のこともございますので、広域自治体であります府県知事が全面的にその権限を持ちまして、その事情によりまして委任する方が適当と思うわけでございますが、これも事前におきまして、このくらいの災害が起った場合にはすぐに委任ができる、あるいはその委任が事後承諾でよいとかいうような点につきましては、まだよほど研究をし、あるいは事前に連絡をとる正妻も相当あろうかと思う次第でございまして、私ども御意見を尊重いたしますとともに、将来災害救助法の改正の問題その他につきましても、十分自治庁といたしましても研究して参りたい、こう思う次第でございます。
  36. 阪上安太郎

    ○阪上委員 たとえば応急住宅等にいたしましても、災害が発生してから二十日もしてまだ建たないような場所がある。こんなぶざまなことはおそらくないだろうと私は思うのであります。その原因を追及していきますと、厚生省がこれを管理しておるというが、そういうことのために、将来において生ずるであろう財政負担を顧慮して全然手が出ない。これは市町村長としてはたまったものじゃない。現地住民の姿を見ておっても、そういったわずかな財政の問題で全然手がつかないで放置しておる。こういうばかげたことが行われておるということなんであります。その他いろいろな問題点があろうかと思います。そうしてこの場合、もっと自治庁も積極的に動いていただいて、大体こういうような災害救助法というのは、総括的な救助法です。しかも実施するのは地方自治体であるという場合に、こんなものを厚生省の所管にまかしておくという手はない。なぜこんなものを自治庁でおやりにならぬのですか。当然やるべき性格のものじゃないかと私は思う。そういうことをやっておるものですから、災害救助なんというのは非常に間が抜けてくる。厚生省に行かなければならぬ、農林省に行かなければならぬ、運輸省に行かなければならぬ、自治庁にも行かなければならぬ、こんなことでもって適時的確な応急対策なんというものはできるものじゃないと思うのです。この点につきましてはなかなかむずかしい問題もありましょうけれども、やはり筋を立てたところの格好で僕は明らかに自治庁で統括すべきものだと思いますので、この点は一つ真剣に考えていただきたいと思います。これだけお願いしておきます。  続きまして、これは小さな問題ではありますが、一つ財政当局にお伺いしたいのですが、先ほど渡海さんからもお話がありましたごとく、今回の起債特例に関する法案要綱等を見ますと、二十八年災のときと違ったような形式で出てきておる、こういうことなんであります。そこでこの特例の第一項のいわゆる歳入欠陥債でありますけれども、先ほど局長さんのお話では、二十八年の場合と異なって、今回は特別交付税で見ることができるようになっておるので、二十八年以上の手厚い措置になっておる、こういう御説明だったのであります。そこでこの場合、全額この地方債をお認めになりますかどうか、この点を一つ。それから財政需要額に合算するんだという話でありましたが、その場合にやはり全額これを見ていただくのか、こういうことを一つお伺いしたいと思います。
  37. 奧野誠亮

    奧野政府委員 被災地方団体が被災者の税金を減免いたしましたり、あるいは災害救助のためにいろいろな費用を支弁いたしましたりする場合には、あとへ起債を残しませんで、できる限り一般財源で片をつけさせたい、こういう考え方を基本的には持っているわけでございます。そういう意味特別交付税交付するわけでございまして、そういうような費用を充足できるという予定のもとに、災害査定額の二%程度のものを交付する、こういうことにいたして参っておるわけでございます。今度の災害に対しまして、大体特別交付税を六十億円から七十億円ぐらい被災一地方団体に振り向けたい、こう考えておるわけでございます。この金額というものは、私たちはかなり大きな金額だと思っております。災害によります税の減免額、これは二十億円くらいでございますから、それをはるかにこえる大きな金額でございます。しかしながら団体によりましては、特別交付税で補てんをいたしますことを必ずしも客観的に見て穏当としないというようなものも中にはあるわけでございます。相当な不交付団体でありましたりいたしました場合には、さしあたっての負担は重いけれども、後年について考えれば大したものではないというところもあるわけでございますので、そういうことも考えまして、あわせて地方債による補てん措置も講ずることにいたしておるのでございます。その額を一応二十億円と予定をいたしております。この部分につきましては、将来特別交付税の計算をいたします場合には、単独災害債と同じように元利償還額の二八・五%を交付していきたい、かように考えておるわけでございまして、昨年の歳入欠陥債につきましても同じようなことを考えたわけでございます。数年来そのような措置をとって参ってきております。  もう一つ指摘のございました小規模の単独災害災の問題でございます。これは先ほど渡海さんからの御質問に対してお答えをいたしました通りに、数年来公共災害査定額の一六・四%というもので大体地方債をまかなえるのではないかという考えで措置いたして参っておるわけでありますが、同じような措置を今回もとるわけであります。このような地方団体単独で行ないます災害復旧事業費にかかる地方債元利償還額は、その二八・五%を基準財政需要額に算入するという現在の制度になっているわけでございます。従いまして、その部分は将来被災地方団体財源措置がなされるということになります。それに加えまして、災害のきつい地方団体のこの種の地方債につきましては、国が別途に三八・二%の元利補給をしたい、こういうことになっているわけでございます。そうしますと三八・二%の国庫からの元利補給基準財政需要額に算入いたします二八・五%、これを加えますと、三分の二に相当する額は、形は元利補給基準財政需要額への算入と三つの方法をとるわけでありますけれども、国において補償されるということになるわけでございます。ちょうど公共土木施設費国庫負担法の基本的な国庫負担率が三分の二でございますので、それに合わせているわけでございます。さらに被害の激甚な地域でございますと、元利補給の率を三八・二%から三分の二に引き上げます。同時に基準財政需要額に二八・五%が算入されるわけでございますので、三分の二と二八・五%を加えますと、たしか九五%くらいになるのではないかと思っておりますが、元利償還額の九五%が国において財源補償をされる、こういうことになるわけでございます。いろいろな意味におきまして、今回はかなり行き届いた措置がとられているのではないか、こういうふうに私たちは考えている次第でございます。
  38. 阪上安太郎

    ○阪上委員 大体わかって参りましたが、そうすると第一項の歳入欠陥債の場合には二八・五%が算入されているということになると、二十八年のときの全額元利補給をする場合よりこの場合は低いのではないか、この点はどうなんですか。
  39. 奧野誠亮

    奧野政府委員 二十八年災害のときに五十億円の元利補給地方債発行しております。そのうち先ほどちょっと申し上げましたように、公共土木施設災害復旧事業費について国が負担をするその場合の一カ所当たりの工事費限度額、これを引き下げなかったわけであります。引き下げるかわりに、今申し上げた地方債発行する。その額が、正確に覚えておりませんが、たしか十六億円前後ではなかったかと思っております。そうしますと、特別交付金に相当するものが三十数億円でありますが、今回はそれをこえる四十 一億円の特別交付税増額を行なっているわけでございます。従いまして、それだけですでに二十八年災を上回る措置をとっておるのではないか、それに加えて歳入欠陥債等の発行予定しておる。こうなっておるわけでございます。
  40. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこで特別交付税に繰り入れられた部分なんですが、これはたしか八十五億でございますね、そうしてそのうち四十一億を災害に回されるということなんですが、その根拠は一体どういうところから出ておりますか。
  41. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御承知のように、地方交付税総額のうち九四%が普通交付税、六%が特別交付税ということになっております。従いまして、八十五億円の六%は特別交付税で、九四%が普通交付税でございます。ところが九四%を普通交付税として配分いたします場合には、計算上出て参っております財源不足額を完全に補てんをいたしまして三十何億円かのおつりが出るわけでございます。この財源不足額を完全に補てんをしてなおおつりの出ました部分は、自動的に特別交付税に算入するという現在の制度になっているわけでございます。その結果、本来の六%に当たる特別交付税と自動的に特別交付税に回ってくる部分とを合算しますと、四十一億円になる、こういうことでございます。
  42. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それでは次に、この二項の起債元利補給、この二項の方は元利補給というもので起債を縛っている。それから三項の方は、逆に起債充当率でもって、それに付随して元利補給がついてきておる、こういう格好になっておりますね。激甚地の場合、百分の九十の額の範囲内で発行が許可された地方債については、国がその元利償還金について元利補給を行うものとする、こうなっておる。それから第二項の方は全額起債を認められて、そうして元利補給がこの率でやられる、こういうことになっておりますね。こういうように区別された行き方というものはどこから出てきたのですか。
  43. 奧野誠亮

    奧野政府委員 ちょっと念のためにお伺いしておきたいと思うのですが、二項とおっしゃいますのは公共土木災害の問題、三項が農林水産施設の小災害の問題でございますね。
  44. 阪上安太郎

    ○阪上委員 はあ。
  45. 奧野誠亮

    奧野政府委員 これは農林漁業施設災害復旧事業費に関する暫定措置法と言いましたでしょうか、その法律に基きまして、農林災害について国が補助をいたしますのは、一カ所当たりの工事費が十万円以上の分でなければならない、こうなっておるわけでございます。それを三万円まで引き上げたと大体似たような措置をとりたいというのが、今回の特例法の農林小災害に関する趣旨でございます。しかし、農地はもちろんでございますが、農林漁業施設の大部分も個人または組合の所有に属するものでございまして、復旧につきましては、個人なり組合なりがその事業を担当しなければならないわけでございます。そこで、農地の復旧でありましても、個人に補助金を渡しますかわりに、市町村が仕事を代行する。そのかわり補助金部分だけを地方団体が自分のふところから出しまして、個人負担に属するものは個人から市町村に金を納めてもらう。両方の金で仕事をするわけでございます。地方団体は、補助金相当分を自分のふところから出すわけでございますが、その金を地方債の形で認めまして、その地方債元利償還額の全額は、補助金がわりでありますから国庫で補給をする、こういたすわけでございます。  これに反しまして、二項の方の土木災害の方は、元来が府県なり市町村なりが自分でやらなければならない仕事でございます。国庫補助金相当部分は国が元利補給をいたしまして、元来自分で負担しなければならない部分については元利補給はしないが、その部分について借金だけは認める、こういう筋合いのものでございます。従いまして、土木災害の場合について全額元利補給をしない、地方団体負担分が残るということは、即農林災害の場合には農地の所有者等が市町村に金を払い込まなければならない金額に相当するわけでございます。
  46. 阪上安太郎

    ○阪上委員 次に、災害積立金というのを地方団体財政措置としていたしておると思うのでありますが、これは一体今総額どのくらいになっておりますか、伺ってみたいと思います。
  47. 奧野誠亮

    奧野政府委員 罹災救助基金ですか、そういう意味の積立金でありますとごく少額でございます。しかし、財政調整の積立金という金額になって参りますと、二百億円内外ではなかったかと思っております。ちょっと今正確に覚えておりませんが、二百億円内外という数字に違いがありましたら、この次の機会に訂正させていただきたいと思います。
  48. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この災害救助積立金とか、そういったものにつきまして、自治庁としてはどういうふうに考えておられるのですか。非常に奨励して、災害に応じてこういうものはもっと必要であるというふうに、さらに必要性をお考えになっておるか、あるいはこんなものは大したものではないのだというふうにお考えになっておるか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  49. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方団体が、その財政の基盤を弾力あるものにしていくという意味も兼ねまして、治山治水等のために植林の仕事を大いにやる、そして将来その立木を資産として運用していくということは、しごくけっこうなことだと思っております。しかし、従来からとられておりましたいわゆる罹災救助のための積立金というような純粋な金銭の積み立てというものは、今日のように金融制度が発達して参り、しかもまた地方団体財源補償の制度も現実に設けられてくるような時代になって参りますと、あまり必要性はないといっていいんじゃないだろうか、こういう考え方で私はおるわけであります。むちゃなことをいたしません限りは、災害に要します通常の所要資金は、やはり国でめんどうを見ていかなければならないだろう、こう思っておるわけでございます。大規模な事業を別途に実施して発展策を講じていくという意味合いにおきまして、あるいはまた年度間の財源調整を円滑にやっていくという意味におきまして、積立金制度をとることは、これはけっこうなことだと思います。ただ、罹災救助という意味だけでの積み立てでありますと、今申し上げますような意味から、さほど重要視する必要はないのじゃないか、こう思っております。
  50. 阪上安太郎

    ○阪上委員 大へんくどいようですが、もう少し理解のいかぬ点がありますので、最後にお伺いしておきたいと思います。今回の地方団体災害に伴う所要新規財源として、こういうふうに理解していいんじゃないかと思うのですが、百六十億の起債、それから四十一億の特交、これを合算したものでもって救済していこうという考え方にこれは立っておるのだ、こういうように解釈していいのでありますか。
  51. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方債について今回新たに追加いたしましたのは百六十億円でございますけれども、既定の現年災害に対する地方債が別途三十五億円ございますから、百九十五億円とお考えいただいていいと思います。なお特別交付税も今回追加いたしましたのは四十一億円でございますけれども、従来からございます百四十九億円と合算して運用して参るわけであります。また被災地の被災対策として配分いたします特別交付税も四十一億円じゃございませんで、六十億ないし七十億ぐらいに持っていけるのではなかろうか、また持っていきたいという考え方をしておるわけであります。なおそれ以外に、別途に国が高率負担をする制度をとった、あるいはまた地方債について元利償還額の一部を国庫負担する制度をとつたというようなことも、あわせて措置として掲げられるのではないだろうか、こう考えております。同時にまた将来に対しては、その元利償還額を、ものによっては基準財政需要額に算入して、将来の不安を今から排除していくというようなこともあり得る。なお先ほどございました災害救助基金の現在は、三十三年度の決算においては五億八千四百万円という数字になっております。ごくわずかなものでございます。
  52. 阪上安太郎

    ○阪上委員 なお一点伺っておきたいのですが、先ほど百六十億円の内訳を御説明願ったのです。この特例災の法律でずっと見ていった場合に、一項の歳入欠陥債として必要なのは二十億、こうおっしゃったと思うのですが、二項の分は、これは単独災害ですか、そのうち元利補給するもので公共土木関係のやつが十九億でありますか、それからその次の三項のやつが十七億に該当するのですか、そういうことになっておりますか。こんなわずかな額なんですか。こんなわずかな額で見込んでおられるのですか。これは下から積み上げられたものですか。上から大体ワクをきめられて、それに合わすためにこういうふうに持ってこられたのですか。その点一つ伺っておきたいと思います。
  53. 奧野誠亮

    奧野政府委員 下から積み上げて計算をしたものでございます。ただ、誤解をお持ちいただきませんように念のために申し上げておきたいと思いますが、これは本年度の所要額でございます。府県の行ないまする土木単独災害復旧事業は、今来年にわたって行なわれる、こら考えております。国庫補助事業でありますと、三カ年という計算をいたします。しかし単独事業でありますと、二カ年という計算をいたしておりまして、ことし四割施行し、来年六割施行する、こう考えておりますので、御指摘になりました十九億円のほかに、十八億円というものを来年度元利補給付の地方債を認めたい、かように考えておるのであります。なお、これらのほかに、元利補給をいたしません単独災害復旧についての地方債があるわけでございます。     〔吉田(重)委員長代理退席、渡海委員長代理着席〕
  54. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 太田委員。
  55. 太田一夫

    ○太田委員 十二時三十分を目途にしてやりますから、簡単にお答えいただくことをお願いいたしたいと思います。  激甚地の問題が先ほどちょっと話に出ておりましたが、この基準ですね。先ほどの話から考えまして、自治庁としての御意見は、標準税収入と公共土木施設、それには農地、学校等が入っていますね。その他公共的なものを入れたものとの被害額を比べて、これが被害が一〇〇%以上あるならば激甚地になるのだ、こういう御説明でしたが、そう理解してよろしいのですか。
  56. 奧野誠亮

    奧野政府委員 歳入欠陥債でありますとか、あるいは土木災害につきまして、三八・二%の元利補給をいたします地方債でありますが、そういうものの地域は御指摘通りでございます。
  57. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、学校の場合、三分の二の補助をするのが激甚地ですね。三八・二というのは普通でしょう。三分の二が激甚地でしょう。そうすると、どうなんですか、今のはちょっと違いますが……。
  58. 奧野誠亮

    奧野政府委員 本来の土木災害については、別途国が元利補給をするということはないわけでございます。しかし地方債は認めます。そういう地域がまず一つございます。その次に三八・二%の特別な元利補給付の地方債を出す地域がございます。第三に、三八・二%を三分の二まで上げる最も激しいいわゆる激甚地がございます。三段階になっておるわけでございます。
  59. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、最も激しい激甚地というのはどういうことですか。
  60. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先ほど申し上げましたように、公共土木施設災害復旧事業費について高率負担をする地域にかかる単独災害、それについては三分の二の国庫負担をいたしたい、かように考えております。
  61. 太田一夫

    ○太田委員 標準税収入を上回っておる災害があればその激甚地だ、こういうのですか。
  62. 奧野誠亮

    奧野政府委員 それは建設省を中心にしまして、なお検討されている地域でございまして、まだ確定をいたしておりません。
  63. 太田一夫

    ○太田委員 まだきまらないだろうと思うのです、けさの新聞に載っておらなかったから……。  そこで学校のことをちょつとお尋ねをして、今の問題をもう少し突っ込んでお答えをいただきたいと思うのですが、一校十万円をこえる被害国庫負担の対象にならないものに地方債を認める——十万円をこえていて国庫負担の対象にならないというのは、どういうものがあるでしょうね。普通はないような気がするのですが……。
  64. 奧野誠亮

    奧野政府委員 現在の公立学校の災害復旧国庫負担法におきましては、一学校ごとに、しかもその対象を四つに分けております。土地、建物、建物以外の工作物、設備、その四つのそれぞれが十万円をこえていなければ国庫負担の対象にならないわけでございます。府県の場合には十五万円でございます。そこで一つ一つの種類を取り上げれば十万円はこえないけれども、全部合わせれば十万円をこえているというようなものも救いたいというのが今回提案をいたしております私たちの方の特例法案でございます。
  65. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、国庫負担の方は種目別ごとに十万円以上であるということを変えないという前提ですね。そのままですね。みんな合わせて一校十万円以上になったならば、それ以上のものは、たとえば土地も建物も設備も一緒にして、合わせて十万円以上になったならば、それは地方債発行することを認めて、激甚地においては三分の二の補助をしょう、こういうことですね。十万円以下のものが対象にならなかった理由はどういうわけですか。
  66. 奧野誠亮

    奧野政府委員 全部合わせまして十万円以上のものでございまして、十万円以下ということになりますと、いわゆる修繕などにつきましても、それくらいの金はかかって参るものだろうと思います。そういうものは元来一般財源でやってもらいたいわけでありますし、地方財政法におきましても、維持修繕費的なものを起債の対象にずることは穏当でないということで、元来起債ができないことに制度化されておるわけでございます。そういうような趣旨でございます。
  67. 太田一夫

    ○太田委員 実際の被害地の教育関係の方の意見を聞いてみますと、十万円というものについては、国庫の方が種目別に十万円にしたことにも文句を言っておりますよ。合わせて十万円にすればいいのではないかと、自治庁の方と同じことを言っている。ところが、自治庁の方は少し物わかりがいいから相当御親切なものを出していただけるだろうと思っていたら、やはり合わせて十万円でなければならないということ、これは五万円だと言っている。この声はあなたの方に達していませんかということをちょっと聞いておきます。
  68. 奧野誠亮

    奧野政府委員 ちょっと私のお答えが食い違っておったようでありますが、補助金の対象にしないということを少し強調し過ぎたようでございます。地方債の場合には、別に何万円でなければならないということはないわけでございまして、地方団体がほんとうにやらなければならない災害復旧事業費でありまする以上は、一学校について五万円でありましょうと、三万円でありましょうと、みなそれらを合わせまして起債は承認するわけでございます。ただ、元利補給をいたします場合には、一学校ごとに十万円以上の部分だけでなければならないということでございます。
  69. 太田一夫

    ○太田委員 そうだろうと思うのです。ところが、地方の教育の関係にある方、地方自治体の方は何と言っているかというと、十万円以上ならば、元利補給をかりに激甚地三分の二にいたしましても、五万円くらいのところからやってもらわなければたまらないということを言っているのです。これは地方の声です。これをよく考えていただきたいと思うのです。これは法案の出たときに説明を受けたことだから、とにかくあなたの方は考え方はきまったでしょうけれども、一般の声はそうなんだ。そこでそういうことになると、あなたの方は相当地方財政に思いやりがあるようですが、激甚地で九五・%でありますから、残りが約五%ですね。三分の二が六六・六%でしょうね。それに一般的なもので二八・五%基準財政需要額に組み入れるパーセンテージがあるとすると、合わせて九五%ほどだ。この九五%の補助があれば、あと残ったものが地方自治体の負担分だから、地方財政の方では、自分のふところから出すのは五%だ、こういう御説明だと思います。そこで激甚地においては、あらゆるものを、災害関係を含めて五%負担すればいいということにはならないですね。ある種目だけでしょう。そこで激甚地の学校は九五%ぐらいの国庫負担になるのだが、全体から考えて、今度の災害の公共予算は、一万円、二万円の小さいものを入れて、地方の自治体の負担というものは、総額国庫補助地方債で見てもらえるものを除いて、何%ぐらい込みにして負担になると考えていらっしゃるか、概算でいいですから伺いたい。おか目八目と言ってはちょっと失礼ですけれども、大ざっぱな観測を伺いたい。
  70. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御質問の趣旨を取り違えておるかもしれませんが、いろいろな諸措置で、地方負担に属しまするものについては、一応ことしはまかなえるのじゃないだろうか、こう思っているわけでございます。その場合に、財源としましては、国庫補助金でありますとか、地方債でありますとか、地方交付税でありますとか、本来の地方税の増収分でありますとかいうようなものでございます。大ざっぱに申し上げまして、補助事業については百億円くらい、単独事業についてほこれも百億円くらい、あと災害対策の費用が相当金額に上るだろうと思うのであります。それに対しまして財源としては、地方債で、公営企業関係の二十億円を一除きましても百七十五億円くらい残っております。それから公共事業費の節約などもございますので、大体二百億円くらいの財源があるのじゃないかと思っております。そのほかに特別交付税が六十億ないし七十億円くらい被災団体に向いていくわけでございますが、そういう金額があとの諸対策地方負担に属するものじゃなかろうか、こういうような考えでおるわけでございまして、大体財源としてはそういう格好でまかなえるだろう、こう現在としては見ているわけであります。
  71. 太田一夫

    ○太田委員 具体的に一つお尋ねしますが、名古屋市の公共的な施設被害というものは、これは正確じゃありませんけれども、およそ七十億です。その中で文教関係のものが約十億あるのです。激甚地に指定されて三分の二、小さい災害でも三分の二の国庫補助元利補給をいただけるものとすると、あるいは学校の建物には国庫補助分が四分の三でございますね、従って四分の一は地方債でまかなうより仕方がありませんね。そうすると名古屋市の文教関係の十億の被害に対して、四分の一、二割五分というのは地方債になる。二億五千万円はもうこれは自力でやらなければいけないでしょう。それに対して国庫補助の対象にならないから、あなたの方は全額起債を認めて、あと三分の二の元利補給をする、こういうことでしょう。こういうふうに考えていくと、七十億の被害に対して、国庫補助が大ざっぽにいって三分の二かそこらあるということ、六割か七割あるとして、あとの三割幾ら、二十億というものは全部起債に待つのだ、大ざっぱに考えてそういう計画になるのでしょうか。
  72. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘になりました問題について考えていきますと、今年度事業分なのか、全体の事業分なのかという疑問が一つあろうかと思います。今年度事業分になりますと、その市の負担に属するものについては地方債を認めます。同時にその地方債元利償還額の九五%は基準財政需要額に算入して参ります。今後名古屋市の財政状態がどういう推移をたどるかわかりませんが、とにかく地方債の九五%までは元利償還額基準財政需要額に算入して参りますから、支払う能力はあるということになってくるのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  73. 太田一夫

    ○太田委員 それから下水道の関係ですね。どのくらい認識してらっしやるでしょうか。たとえば名古屋の例をとってみますと、土管を掘り起こしてみると泥が一ぱい詰まっている。これを掃除してやるのに二億四千五百万円くらいかかるというのです。この下水道の復旧、これはあなたの方の財政的な手当ではどういうふうになるのですか。
  74. 奧野誠亮

    奧野政府委員 国庫負担残り地方負担額については地方債を承認いたしたい、かように考えております。そういう意味地方債を別途公営企業、準公営企業等について二十億円程度予定をいたしておるわけでございます。名古屋市がそのうちの相当な部分を占めるだろうというふうに私たちの方では予想いたしております。
  75. 太田一夫

    ○太田委員 元利補給は。
  76. 奧野誠亮

    奧野政府委員 公営企業、準公営企業に関するものにつきましては、元利補給は考えておりません。
  77. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、今までの既定債の借りかえというものは、今度の場合認められますか。
  78. 奧野誠亮

    奧野政府委員 資金の当局との間で、償還を延ばしたりすることはできるわけであります。できるわけでありますが、できる限りそういう措置をとりませんで、ことし起こったものについてできる限りの措置を講じたい。そうすればそういうことはむしろ不必要になるのじゃないか、こう思っておるわけでございます。不必要にできるような援助の措置を考えていきたいというのが私たちの心がまえでございます。
  79. 太田一夫

    ○太田委員 今年のものが十分の十、国庫補助なりあるいは地方債で認められ、元利補給が認められていけばこれはいいのですが、やはり地方が自力でやらなければならないものが相当ある。たとえば下水の土管を掘り起こして泥が詰まったのを直すだけでも二億四千五百万円かかるのだが、それに対して足らない分は幾らですか、今度の法案では何。パーセントの補助でしたかね、三分の二でしたか、そんな程度でしょう。その残り地方債で、金は貸してやるが返しなさい、金利もつけますよ、してみると相当えらいわけです。  それからもう一つは、災害救助でいろいろ出したものがある。各水没地における災害救助法以上のプラス・アルファをやらなければ気の毒でおさまりませんよ。そのプラス・アルファをやったものは災害救助法でなかなか見てくれません。これは地方災害復旧対策費ということになるのでしょうね、あなたの方の起債の対象になる。そういうことを考えると、ずいぶんえらいのです。ですから既定債の借りかえは当然だと思いますが、できなければできるまで待っていただくより仕方がありません。待つというようなお含みがあったものとして理解しておきます。たとえばこれはあなたの方はどう考えられますか。激甚地におきまして水を一升ビンに入れて運んで、困った人にただでやった。それでたしか名古屋だけで三億七千万円の水道料金の徴収不能の分があるそうです。そういうものを一切起債の対象にする、上水道の損害、これはよろしいですね。
  80. 奧野誠亮

    奧野政府委員 下水の復旧などにつきましては、今申し上げましたように地方債の対象にいたします。それについての元利補給は考えておりません。  それから歳入欠陥債等の対象にいたしますものは、減免による減収でありますとか、国庫補助を伴います事業の裏になっており地方負担額でございます。災害救助法の国庫負担の対象にならないようなような分量を名古屋市がたくさんやっているという御指摘が今ございました。どうしてもやらなければならぬことをやっているわけでございましょうから、私たちはできる限り災害救助法の国庫負担の対象にするように持っていきたいものだと考えているわけでございます。またそういう意味で、たとえば給食費でありますとか、あるいは応急住宅の費用でありますとか、それらのものにつきまして従来の限度額をかなり引き上げてもらっております。そうすることによって、名古屋市の行ないましたことが、そっくりそのまま国庫負担の対象になっていくようにいたしておるわけであります。もちろん災害救助費愛知県の負担になって参ります。ただ国庫負担の対象になりませんものになると、それは実施した団体がしょい込まなければならないということになってくるわけであります。しかしそういうものをただむちゃくちゃにやられては困るわけでございますが、どうしてもやらなければならないような性格の救助事業、しかもいろいろな事由国庫負担の対象にならないのだ、こういうものはやはり災害が起りますと、必ず幾らかずつあるわけでございます。そういうことから、そういう団体減免による減収額以上に特別交付税を実は交付いたしているわけでございます。名古屋市に起こりました実情も、もう少し落ちつきませんと、こまかな調査は私たちできないと思っております。今、私たちは膨大な数字をもらっておりますが、これをそのままに受け取れないという感じを持っております。従いまして、落ちつきましてからよく調査いたしまして、どうしてもやらなければならない仕事だ、しかもそれが国庫負担もの対象にどうしてもしてもらえないというようなものにつきましては、親切なめんどうを私たちとしては見ていきたい、こういう考え方でおるわけでございますので、御了承願っておきたいと思います。
  81. 太田一夫

    ○太田委員 従って一升びんに入れて持って行った、ドラムカンに入れて運んだ水というものは、災害救助の具体的の使い道だった、自治庁においてはかくお考えになるだろろうと思いますが、そういう点、よろしいですね。
  82. 奧野誠亮

    奧野政府委員 実際の問題につきましては、できるだけ私たち災害救助法の対象に入れてらうように厚生省等との間で努力をして参りたいと考えております。
  83. 太田一夫

    ○太田委員 権威ある局長の御答弁に信頼をいたしまして、そういうものは災害救助の内容であったという点につきまして、ぜひ地方自治体のために強力に実行をされますようにお願いをいたします。  なお最後に、警察当局にお尋ねします。水防関係と消防関係のつなぎ合わせの問題ですが、大水が出るまでは、一堤防はほとんど水防団員の行動範囲に属していた。いざ危険になってから消防団員が出てくる。こういう手順になると思うのですが、そういうことですか。
  84. 鈴木琢二

    鈴木政府委員 水防と消防の関係、今日の法制上は必ずしもしっくりと組み合わされていないようなうらみがあるのでございます。水防計画その他水防のための諸準備、資材等につきましては、これは御承知のように水防法によりまして建設大臣が責任を持ちまして計画を立てておるわけであります。ところが、実際に水害の切迫した状態になり、または水害が起きて、これに対処して堤防の決壊を防ぐとか、あるいは決壊した個所を修理するために実際に働く人間は主として消防団員、水防団員もございますが、大体において消防団員でございます。それはあらかじめきめられた水防計画に基づいて水防管理者がきめ、建設大臣の許可を得た水防計画に基づいてやるわけでございまして、またふだんの訓練もその水防計画に基づいて訓練をされるわけであります。ですから、今日の制度におきましては、消防団員はいわば第一線の働く面だけをやるというような形になっております。先ほど来もお話がありましたように、水防ばかりでございませんが、災害対策について総合的な何か方法を制度上も講じなければいけないということが、水防法と消防の関係についてもいつも論議されておる問題でございますが、現状は遺憾ながらそういうことでございます。
  85. 太田一夫

    ○太田委員 現実は、実は水防活動は、端的に言えば非常に微弱でありまして、ほとんど消防団の活動に待つのです。今度の場合も人命救助は多数あったと思いますし、それから避難命令を出す、あるいは堤防の決壊を防ぐというようなことは、もうほとんど消防でやったのです。消防団の活動が中心にやられておるのが多かったので、水防活動の関係は、もうちょっとうまく建設省と自治庁警察当局で話し合ってもらいたいと思うのです。  それからそれに関連をいたしますが、特に消防団並びにそれを指揮した警察の働きは地区によりましては非常にうまかった。実に勇ましかった、あるいは勇敢であった。そこである地区においては当然何百人も死者が出るはずなのに、それが一人も出なかった実例もあるのであります。そういうみごとなる人命救助、避難行為をやったところは報告が来ておりますか、おりませんか。
  86. 原田章

    ○原田(章)政府委員 報告をもらっております。また地元の方におきましては、新聞等におきましてそういうことが賞揚されております。
  87. 太田一夫

    ○太田委員 どこが来ておりますか。そうたくさんはないでしょう。
  88. 原田章

    ○原田(章)政府委員 私の記憶にございますのは、碧南とか、蟹江も来ておりましたか、南署の一部ということでございます。
  89. 太田一夫

    ○太田委員 従ってそういう場合、警察活動、消防団活動に対しまして表彰される意思はあるのですね。地方の新聞に出ました、それだけで終わりだとすると、ちょっと一般の第一線で働きました警察官の諸君並びに消防団の方方がお気の毒だと思う。この場合、大いに表彰していただきたいと思います。だからといって、死んだところの人を懲罰するというわけではありません。被害の多かったところはやむを得ない。非常によかったところはぜひ表彰してもらいたいと思います。一つ御明確なる御答弁を願いたい。
  90. 原田章

    ○原田(章)政府委員 御趣旨に十分沿いたいと思います。
  91. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十七分散会