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1959-12-09 第33回国会 衆議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月九日(水曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 植木庚子郎君    理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君    理事 坊  秀男君 理事 山下 春江君    理事 山中 貞則君 理事 佐藤觀次郎君    理事 廣瀬 勝邦君       鴨田 宗一君    進藤 一馬君       田邉 國男君    竹下  登君       西村 英一君    古川 丈吉君       細田 義安君    毛利 松平君       山本 勝市君    大貫 大八君       山下 榮二君    山花 秀雄君       横路 節雄君    横山 利秋君       北條 秀一君  出席政府委員         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    志場喜徳郎君         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      白石 正雄君         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      泉 美之松君     ――――――――――――― 十二月四日  委員横路節雄辞任につき、その補欠として山  崎始男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山崎始男辞任につき、その補欠として横  路節雄君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員進藤一馬君及び横路節雄辞任につき、そ  の補欠として田邉國男君及び山崎始男君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月七日  たばこ販売手数料引上げに関する請願(大久保  武雄君紹介)(第一二二二号)  同(太田一夫紹介)(第一二二三号)  同(久野忠治紹介)(第一二二四号)  同外三件(倉成正紹介)(第一二二五号)  同(椎熊三郎紹介)(第一二二六号)  同(園田直紹介)(第一二二七号)  同(中馬辰猪紹介)(第一二二八号)  同(中垣國男紹介)(第一二二九号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第一二三〇号)  同(濱田幸雄紹介)(第一二三一号)  同(平野三郎紹介)(第一二三二号)  同(岡部得三紹介)(第一二五六号)  同(砂原格紹介)(第一二五七号)  同(高橋等紹介)(第一二五八号)  同外二件(竹下登紹介)(第一二五九号)  同(竹山祐太郎紹介)(第一二六〇号)  同(永山忠則紹介)(第一二六一号)  同(灘尾弘吉紹介)(第一二六二号)  同外一件(松本俊一紹介)(第一二六三号)  同外三件(三池信紹介)(第一二六四号)  同(山崎巖紹介)(第一二六五号)  同(山本勝市君紹介)(第一二六六号)  同(井手以誠君紹介)(第一二八四号)  同(大平正芳紹介)(第一二八五号)  同(菊池義郎紹介)(第一二八六号)  同(椎名悦三郎紹介)(第一二八七号)  同(高橋禎一紹介)(第一二八八号)  同(野田武夫紹介)(第一二八九号)  同(平井義一紹介)(第一二九〇号)  同(竹谷源太郎紹介)(第一三三〇号)  同(廣瀬勝邦紹介)(第一三三一号)  同(松尾トシ子紹介)(第一三三二号)  同(石山權作君紹介)(第一三六三号)  同(岩本信行紹介)(第一三六四号)  同外一件(遠藤三郎紹介)(第一三六五号)  同(簡牛凡夫君紹介)(第一三六六号)  同(小平久雄紹介)(第一三六七号)  同(田中龍夫紹介)(第一三六八号)  同(藤本捨助君紹介)(第一三六九号)  同(吉川兼光紹介)(第一三七〇号)  同(小澤佐重喜紹介)(第一三九五号)  同(佐藤虎次郎紹介)(第一三九六号)  同(竹下登紹介)(第一三九七号)  同(山村新治郎君紹介)(第一三九八号)  積雪寒冷地帯における所得税寒冷控除実施に  関する請願坂田英一紹介)(第一二五五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月八日  在外資産の補償に関する陳情書  (第七七九号)  金融及び経済政策に関する陳情書  (第七八一号)  たばこ販売手数料引上げに関する陳情書  (第七八二号)  国庫支出金早期交付に関する陳情書  (第七八三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一  部を改正する法律案(第三十一回国会内閣提出  第一七八号)  (参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 植木庚子郎

    植木委員長 これより会議を開きます。  参考人出席要求の件についてお諮りいたします。  金融に関する件について、来たる十一日、日本銀行総裁山際正道君を参考人として委員会出席を求め、意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 植木庚子郎

    植木委員長 酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。
  5. 横山利秋

    横山委員 最初に、この間本委員会で御質問いたしまして保留になっております点について、確かめたいと思います。  その第一点は、青色取り消しを受けて再審査請求をした場合に、個人法人との間に区別があって、個人はその期間中は税務署といえども差し押え、公売ができないということになっておるのに反して、法人はそれができるようになっておる。どうしてかかる不均衡な事態が生ずるのかという質問であります。それについて政府側としては答弁がいたしかねたのでありますが、その結果について、簡単にしかも筋を順序立てて御説明願いたいと思います。
  6. 白石正雄

    白石説明員 青色取り消しに関しまする再調査請求に関しまして、法人税法規定所得税法規定が異なっているがどうか、こういう御質問でございますが、結論から申し上げますと、規定形式は若干異なっておるようでございますが、規定内容につきましては同一でございます。  まず、法人税法の問題からお話を申し上げますと、再調査請求に関する規定法人税法の三十四条でありますが、この第一項は、再調査請求処分のあったときから一ヵ月以内になすことができる、こういう規定であります。第二項には、交通、通信その他やむことを得ない事情がある場合におきましては、一ヵ月という期間を延長することができるという規定準用いたしております。第三項におきまして、再調査請求処分青色更生決定に関する処分であったような場合におきましては、一定条件のもとにおいて督促または滞納処分に付することができないという規定に相なっております。そうしまして、第四項で、青色取り消しの場合につきまして第一項を準用いたしておりまして、第三項の今の滞納処分督促をなすことができないという規定準用いたしておりません。従いまして、法人税法の場合におきましては、青色取り消しに関する再調査請求に関しましては、督促滞納処分をなすことができないという問題は生じないわけでございます。  これに反しまして、同様の規定所得税法の四十八条にあるわけでございますが、所得税法の四十八条の第一項は、法人税法の三十四条第一項と同様の規定でございます。第二項におきまして、法人税法の第二項と第三項に該当する規定が包含されております。法人税法では項を別にいたしまして二項と三項に相なっておりますが、所得税法規定では二項の本文に法人税法二項に該当する条項がありまして、法人税法第三項に該当する条文所得説法第二項のただし書きに書かれております。そういたしまして、所得税法第三項におきまして、青色取り消しに関する再調査請求に関しまして、一定準用規定がなされているわけでございますが、これを準用いたします場合におきまして、第二項をそのまま準用いたしているわけであります。従いまして、規定形式から読みますと、第二項のただし書き準用されたことになっております。従いまして、この点が御質問の問題になるわけでございますが、しかしながら、所得税法の第二項のただし書き内容につきましてこれを検討いたしてみますと、「当該調査請求の目的となっている処分が、青色申告書に係る第四十四条の規定による更正又は当該更正に係る過少申告加算税額、無申告加算税額若しくは重加算税額の賦課に関する処分である場合においては」云々となっておりまして、青色申告に関する更生決定に関する処分である場合に限定して、規定がなされているわけでございます。従いまして、第三項において述べられております青色申告取り消しに関する処分である場合におきましては、準用が実質的になし得ないわけであります。従いまして、問題はおのずから別個の問題になるわけでございます。かようなわけでございますので、規定形式に若干見方によりましては不備の面もあろうかと思うわけでありますが、所得税法法人税法とは規定内容においては同一である、従いまして、取り扱いにおきましても同一である、かように考えている次第でございます。
  7. 横山利秋

    横山委員 あまり複雑な問題でありますから、同僚諸君はだれも聞いていないのでありますが、私は今の答弁というものはきわめて詭弁な点があると思う。私は、同僚委員が聞いていないので、同僚委員に話したいと思うが、(笑声)それというのは、私は、この間やりましてから名古屋に帰りまして、名古屋国税局専門家にいろいろ確かめた。そうしたら、国税局専門家の言いますのには、それは、横山先生の言う通り、そういう法律解釈適法だ、こう言う。適法だけれども、今国税局はこういう態度をとっております。それは、そういう解釈適法ではあるけれども、別な解釈をとって、三十一年の熊本国税局長からの照会に対して、それを退けて、そういう二説ある一説を退けて、両方ともこれは再審査請求中は差し押え、公売税務署はできるのだけれども——ここからがあいまいですが、再審査請求中は待ってやれという態度をとっております、この通牒があります、こう言うのです。そうしますと、結論から言うと、私と国税庁との間の論争は実害も実益もないけれども、法益というものが蹂躪されているわけです。国税庁は、納税者の法によって許された権限を剥奪して、そのかわりに恩恵的に待ってやれという態度をとっている。その通達を出している。これは言語道断だと思う。これは今白石部長が第何条の第何項云々という言い方をしたために、皆さんはそんなことはおれは知らないという顔をしてしまって、だれも聞かなかったが、要すれば白石部長の言うことはこういうことである。どういうことかと言いますと、青色取り消し争いになっていることだ、これは青色取り消し争いであって、税の更正が問題ではない、だから、税の更正については別問題だから、やりたいことはみなやるんだ、そういうことは差しつかえないんだ、青色取り消しの問題だけに限定するならば別だと言う。私らはそれは詭弁だというふうに考える。それだったら、なぜ、所得税法法人税法は、条文組み立て方を違えて、そういうふうに受け取れるような条文の書き方をしたかということなんです。この論争同僚諸君に聞いていただいたと思うのですけれども、大いに尾を引く問題です。私と白石部長だけの論争ではもったいないから、私は、この議事録を、大いに、税理士会なり、あるいは、名古屋のあなたがかつて使っておった部下諸君に、上官がこう言っておるが、お前はどうだと言って、さらに発展をさせて、理非曲直を明らかにしたいと考える。しかし、私が言いっぱなしでは、あなたも気詰まりなことがあるだろうから、もし言うことがあったら、あなた何かおっしゃって、一応論争をお預けにしたいと思います。
  8. 白石正雄

    白石説明員 この内容につきましては、ただいま申し上げましたことが正しいと考えております。もし名古屋国税局においてこれと異なるような意見を表明したということが事実であるといたしますれば、それは間違いでございますので、さよう御了承願いたいと思います。
  9. 横山利秋

    横山委員 第二番目の問題で、きょうは長官はおりませんけれども、この間悪徳税理士を私は糾弾いたしました。そうしたら、何ということでしょうか。次の日から私のところに情報、陳情引きも切らないのであります。ここにもう一人の悪徳税理士について、私は名前はあげません。この間もわざと名前をあげませんでしたが、きょうもあげませんが、事例を引いて次から次へと私の方に提供して下さるのですから、御披露をしておきたいと思うのです。やはり東京税理士でありますが、これが昭和二十九年から三十二年までに税理士報酬を受けておる。その報酬を受けるときは、御存じのように源泉でございますから、税を引いて税理士報酬を受けるのが当然でありましょう。それにもかかわらず、源泉はおれのところで納めるんでいいと、全部税込みでもらって、源泉を納めない。それが、あろうことかあるまいことか、東京国税局は知っておるわけです。知っておるけれども、相手が税理士さんだから、まあまあということになっておるのです。こういうようなことはまだ二件ありますが、この間あなた方がお約束をなさって、悪徳税理士については措置をとりましょう、税理士会においても自粛をさせましょうとおっしゃっている様子を私は見ておりますから、その判断がつくまで、毎大蔵委員会悪徳税理士を一人ずつ事例をあげて糾弾をいたしたいと思います。あなた方がおやめになるまでは続けますから、一つほんとうに誠意を持って実現をするかどうか。この人は、そのほかに、税務署名前を使って納税者からお金を数万円いただいたという問題も、また明らかになっておるわけであります。一体お伺いいたしますが、この間ああいうお約束をなさってから、具体的にどういう措置をおとりになりましたか。それをお伺いいたしたいと思います。
  10. 白石正雄

    白石説明員 前回御質問がありました件につきましては、目下取り調べております。ただいま御指摘になりました事件につきましても、よく調査いたしまして、善処いたしたいと考えております。
  11. 横山利秋

    横山委員 そういうことをお伺いしているのではない。この間、長官皆さんが、税理士あり方——私は単に税理士ばかりを言っているのではない。その背後におけるあなた方の部下の問題も実は含んで言っているのですよ。そういう問題についてどういう措置をおとりになったかと言って、聞いているのです。何もしないならばしないでけっこうです。
  12. 白石正雄

    白石説明員 一般に悪い税理士につきましては、徴戒処分なり、その他の適当な処分をとっている次第でございまするが、御指摘になりました事件につきましては、よく実情調査中でございます。
  13. 横山利秋

    横山委員 私の言う意味がまだ十分わかっていないのでありますが、「御指摘になりました事件」ならば、私は毎大蔵委員会指摘すると言っている。しかしそういうことは本質ではない。今もわれわれ委員会満場一致税理士法強制加入をきめましたところの附帯条件が守られていないということが、私が追及している焦点なのですから、あのときに税理士強制加入を許して、しかも税理士諸君の切磋琢磨を要望した。そして、もし万一のことがあったら、みずからの手で十分に税理士会が粛正をしていただくようにということを要望し、そのほか二、三件お願いしている。そのことが守られていないではないか。従って、守られないようならば、もう少し税理士法を改正すべきではないかと私は論及をいたしておった。この点については了承いたしましたという話であるから、私が提起する具体的な事案、これは当然なことだけれども、事案が問題ではなくして、税理士会のより向上をする方法についてどういう措置をおとりになりましたか。またおとりになろうとしているか。まだきまっていないならば、きまっていないでけっこうでございますし、きまっているならば、その実情をお伺いいたしたいのであります。
  14. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 現行の税理士法国会を通過いたしますときに、今御指摘のように、大蔵委員会において附帯決議がつけられまして、税理士がすべて強制加入されるのはいいが、税理士会において、切磋琢磨して税理士の全体が向上するように、十分指導しろというお説でありまして、特にただいま御指摘のような悪徳税理士がほかにあるとするならば、この際、政府としても、その附帯決議の精神に沿いまして、一段と税理士向上をはかるために、適切な施策をとらなければならぬと存じます。  つきましては、それではどういう処置をとったのか、とろうとするのかというお尋ねでありますが、これは言いわけにはなりませんが、ただいまは来年度予算編成のさなかで、しかも臨時国会ということで、私自身、前大蔵委員会において横山委員が御指摘になりました例の悪徳税理士の問題について、まだ実情を聞くひまがなく、そのままになっている次第で、この点は申しわけないと思っておりますが、しかし、事務当局の方も、問題が問題でありますから、なかなか結論を得るまでに時間がかかる、かようなことであります。従いまして、実情がわかり次第、私もよく事情を聞きまして、長官とも相談の上で善処いたしたい。具体的にどうするかということは、そういう悪徳税理士がどういうことでどういうようなことをやったのか、税理士については御承知の通り一応公認された報酬もあるわけで、その報酬の範囲内で報酬として請求したのであるか、あるいは悪質なやり方をしたのであるかということを十分調べなければなりませんので、それには多少時間もかかりまして、本日明確な御答弁ができないことはまことに遺憾でありますが、早急に調べて善処いたしたいと存ずる次第であります。
  15. 横山利秋

    横山委員 それでは、その明確な答弁が出るまで、私は毎大蔵委員会で一人ずつ悪徳税理士の点を応酬をいたしましょう。私は認識が少し足りないのではないかと思う。税理士監督指導国税庁側と記憶しておりますから、次官に申し上げても恐縮でございます。しかし、国税庁側としてきょうは長官もお見えにならぬので、白石さんは担当外だとも思いますので、多くは申しませんけれども、私のお願いをしております問題について、少し認識国税庁側に足らざるところがあるような気がいたしますから、どうぞその点は長官に十分にお話し下さって、早急に具体的な手段、実行に入られるように要望いたしたいと思うのであります。  それでは、主題の酒団法につきまして御質問をいたしたいと思います。私は、そちらの専門家と違いまして、ほんとにお酒についてはしろうとでございますから、その点お許しを願って、しろうとが納得できますように御説明を願いたいと思います。やぶから棒の質問で恐縮でございますが、そういう意味でしらふで聞きます。  今、タクシーが、白タクが大問題になっていますね。タクシーでは名義貸しはいかぬということになっております。あらゆるものが権利をもらって、それを売却したり名義を貸したりすることはいかぬのに、お酒の醸造だけは権利をもらって、自分は何もせずに人に作らして、そうしてもうけだけは自分がもうけるということは、一体いかなる法律的基礎によって許されるのか、伺いたいのであります。
  16. 原純夫

    原政府委員 酒の製造は、御存じ通り酒税法免許を受けたものでなければ、してはいけないということになっております。この制度から派生します現象のあるものを、ただいまあげられたわけです。酒がなぜ免許制度になっているかということは、御案内の通り酒財政物資として非常に重い酒税を負担して、生産され、流通され、消費されるということであります以上、この免許というような制度をとって製造販売を規制いたしませんと、そこに乱れが起きて、乱れが起きますと非常に多額の租税収入の減を来たすというようなことでありますので、免許制度をとっておるわけであります。その免許制度をとっております結果、免許を受けたものだけが製造権利を持つというところから、ただいまお話しのような、権利を貸す、ないしはできたお酒をそのまま他の製造者に売って、そうして悪く言いますれば権利の上に眠るというような事態が出てきておる。免許制度はただいま申しましたような事情によってとっておる制度でありますが、御指摘のような事態は決して健康な事態ではない。従って、そういう事態が当然なのだということはいけないので、そういうような事態の裏にあります免許制度の行き過ぎといいますか、そういうものはなるべく規制して、そうして自由な競争のよさというものを確保することが、この制度の運用においても必要だと私どもは思っておりますけれども、しかし、そうだからといって、免許制度をやめてしまうというわけにはいかない。ありますと、やはり末梢的にはそういうような現象も起こる。御指摘のお気持はよくわかるわけでありますが、それは免許制度をはずすというまでにはいきかねる。御指摘のような事情をなるべく規制しながらやって参ることだと考えておるわけであります。
  17. 横山利秋

    横山委員 私の質問にあなたはすなおに答えていない。いかなる法律的根拠で、製造免許を得たものが、自分製造しないで人に製造させるということを大蔵省は許すのか、ということの法律的基礎を問うておる。たばこ販売免許を受けたものが、他人に販売委託をするということは許されない。タクシー免許を受けたものが他に名義貸しすることは許されない。いかなる今日の状況のもとといえども、それは酒以外は許されていないでありましょう。なぜ酒だけが委託醸造が許されるのかという法律的な根拠を私は問うておる。
  18. 原純夫

    原政府委員 ただいま申し上げましたようなことで、酒の製造免許制度になっております。そうして、これは酒の種類によっても違いますけれども、清酒におきましては原料自体が割当になっておる。それから、蒸留酒あたりは自由な原料をほとんど大部分使っておりますが、組合製造数量移出数量を規制しております。そういうようないわば権利というものが、反射的にといいますか、できておるということであります。そういうものにかかわらず、自由に伸びるものは伸びるということがいいではないかという御議論かと思いますが、そういう御意見もごもっともだと思います。しかしながら、なかなかそう全部それ一本ではいきかねる。やはり免許、かつ、製造数量にいたしましても、従来の状況はあまり動かさないということを前提としてやっていきませんと、非常に競争による混乱を来たしますので、万々そういうふうに配慮をいたしておる。配慮いたしておる結果、そういう権利というものが反射的にできてくる。できてきますれば、それが委託とか売買とかの対象になるということでありまして、私タクシーのことはよく知りませんが、タクシー業界でも一台の権利が幾らというようなことを聞いたことがありますが、そういうような事情があるのではないでしょうか。決して全部が健康な事象とは私申しておりませんけれども、ただいま申し上げましたような事情で、この業界を安定、発展させていくためには、こういうこともやむを得ない反射的な現象であるというふうに考えておるわけであります。
  19. 横山利秋

    横山委員 どうしても私は納得できない。あなた自身も、法律の第何条の何項でこれが許されるという、法律的根拠をもう少し明らかにしなければいかぬですよ。あなたは何となくという話のようです。タクシーが裏口がありはせねかとおっしゃるけれども、いかぬことはいかぬのです。それは名義貸しをやっておるところはあります。それが法律的にいかぬということがわかれば、処分されることになっておる。それを堂々と、醸造の方は法律上差しつかえないのだ、やむを得ないのだという立場に立っておることは、私は理論的に納得できない。あなたは、横山さんはこういう意見かという推定をなさっておるようでありますが、その推定は少し私には迷惑千万であります。私は委託醸造法律的な根拠しろうとして伺っておるのでありますから、この点だけに限定して、委託醸造が許される法律的根拠は左のことしという話をしていただきたいのであります。自余の問題はあとで論議いたします。こういう点については、もう原さんのお答えは同じようなことでありますので、一つ権威者である政務次官にお伺いをいたします。
  20. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 酒の醸造につきましては御承知の通り醸造場ごとに免許があるわけであります。そこで、その個個の醸造場における醸造石数というものは、おのずから原料米の使用によってきまるわけです。その原料米というのは、御承知の通り食管の法律によって規制されておる。その食管法に基いた原料米をいかに個々の製造場に割り当てるかという場合、その個々の製造場の能力に応じて割り当てる。これはおわかりでしょう。その個々の能力というものはどう判定するかということになりますと、過去の数十年間、いわゆる前年度の実績によって割り当てておるということであります。これも一応妥当としなければならぬと私は考えております。何も酒類だけでなくて、通産関係のたとえば紡績工場などの原綿の割当などにおいても、やはり能力によって原綿を割り当てる、こういうやり方をやっておるわけであります。そこで、これが基本的なやり方でありますが、その割り当てられた原料米をほかの工場へいわゆる委託醸造として移すことは、法律上どういう根拠に基づくのか。これは、つまり、権利を譲るというよりも、一工場では十分合理化して経営がやっていけない、いろいろな事情でことしは醸造を休むという場合には、隣の工場なりあるいは優秀な工場なりと共同経営する。こういう意味合いにおいて、一時的に割り当てられた原料米を他の工場へ移して共同経営するということは認めてもいいじゃないか、そして一部利益の配分として多少の報酬を受けるということで、現在まで参ったわけであります。しかし、このあり方は、非常に原料米も窮屈でなくなった、しかも、酒類業団体法が改正されて、もしこの酒団法が議決になりまして、近いうちマル公もはずすという事態になりますと、そういう事態においては、こういう健康でない状態は、なおあらためて再検討すべきでなかろうか、こういうことであります。
  21. 横山利秋

    横山委員 きわめて重要なお話でございますが、酒団法が通過すればこういうやり方は改めるという言明をなさったことは、将来非常に影響があろうと思います。今、同僚委員から、奥村次官の御説明は食管法違反を言明をしていらっしゃるという御注意もあるようでありますが、私はあなたのおっしゃっておることはやはり論拠薄弱だと思う。それで、同時に、論拠薄弱ということよりも、しろうとたる私どもが納得し得ないことは、何といっても、先ほど原さんも言うように、権利だけもらって、自分は働かずによそへ流して、それで利益をもらっておるという実態は、何としても正常ではないのです。私は、裏の話は、なんぼいかぬと言ったって、あることはあると認めるが、国家がそれに免許を与えておる。またそれを認めておるというこの矛盾を——この酒についてだけは国税庁なり大蔵省が認めておる。そこにやはり暗いものを感ずるのです。理論的にも納得し得ないものを感ずるわけですが、次官のその最後のお話を一応了といたしまして、次の問題に移りたいと思います。  次は、この間の復習のようなことで恐縮でございますが、特級酒が製造原価二百四十九円九十四銭、一級が二百三十二円二十二銭、二級酒が二百二円十二銭、特級と二級との間はわずか五十円ぐらいしか違わない。それにもかかわらず、小売価格になりますと、特級が千七十五円、一級が八百三十五円、二級が四百九十円で、約五百円違う。製造原価で一升五十円しか違わないものが、小売価格で一升五百円の違いになる。これは一体どういうことであろうか。二級酒と一級酒の間の三十円の違いが三百四十五円の違いになっている。そこで、消費者のために準一級酒はどうかとかいう議論がまた出てくるでありましょう。こういう製造原価と小売価格との間における矛盾を最近指摘をせられておるわけでありますが、これについて政府側のお考えと今後の方向を伺いたいのです。
  22. 原純夫

    原政府委員 先般も申し上げました通り、間接税におきまして消費の度合いの高級であるかどうかによって税負担を変えるということは、きわめて一般的な原則としてあり得ることであります。この方式が根本的に間違っているというふうには考えておらないというのが第一点であります。しかしながら、現状の税の開きというものは、ただいまも由しましたような高級、下級といいますか、そういう消費の性質に加えて、戦中、戦後の酒の供給が少なかったという時代、そうして財政需要が非常に大きかったという時代に、これだけ開いたという沿革を持っておる。その後需給の状況が変わったのに従って、特級、一級の売れ行きが落ちておるということは事実であり、従いまして、この大きな値差はいつまでも維持できない趨勢にあるように思いますということを、先般お答えいたしました。これが第二点でございます。われわれといたしましては、根本的にはこういう方式はあってしかるべきものである、しかしながら値差はだんだん縮めていかなければいけないだろう、というふうに思っておる次第であります。
  23. 横山利秋

    横山委員 そこで、その製造原価と小売価格の中に含まれておるいろいろな要素の中で、最近問題になっていますのがマージンの問題であります。私どもはこの間たばこの小売屋さんの陳情を互いに聞いたのでありますが、たばこの小売屋さんのマージンは八%、それを一割にしてくれというお話で、政府側においても善処なさるということになって、十四億円ですか、来年度の予算に計上するという話の雲行きがあるようであります。たばこ屋さんとかりに小売の酒屋さんと比べてみましょうか。小売のマージンは私の承知いたしておるところでは大体一割見当でございましょうか。そういたしますと、たばこ屋さんが一割にしてくれという前に、酒屋さんは一割である。ところが、経費並びに損失、貸し倒れ等の営業経費から考えますと、そう言ってはなんですが、たばこ屋さんと小売屋さんとはおのずから違うことは、だれしも明瞭なものがある。私は、質問いたします前に、いささか各業界の御意見を伺ったのであります。私も、伺う以上は、小売屋さんが一割五分にしてくれという意見が妥当であろうかどうかというわけで、質問の側に立っていろいろと話を聞きました。私もかつて化粧品屋の小僧をやっておったこともございますし、小売屋には近づきがございますから、小売のマージンについては大体のことは承知いたしておるわけでありますが、この小売のマージンの一割というのは、やはり少額に失するような気がいたすのであります。今回の酒団法の通過によりまして、再販価格から価格がずっと規定されてしまって、マージンも政府の統制下に置かれるわけでありまして、この機会にこの卸なり小売なりのマージンについて再検討をする必要がありはせぬかという気が私はするのでありますが、いかがでございましょうか。
  24. 原純夫

    原政府委員 確かに問題の点でありまして、再検討の必要があると思います。大体申しまして戦前は一三、四%だったと思いまするが、酒も種類によって若干の違いがあったと思います。それが統制時代に相当押えられて、それが戦後だんだん戦前の率に戻って参りまして、ただいま一割とおっしゃいましたが、一割はまず最低のマージン率でありまして、しょうちゅうあたりになりますと一割三分、みりんでも一割二分、それから、雑酒あたりにいきますと相当高い、一割五分をこえるようなマージン率になっております。もっとも雑酒はマル公がないことは御存じ通りで、実際上の価格でとっておりますが、まず戦前にかなり近づいてはきておる。しかし、まだもう一歩というところであります。ところで、戦前復帰が至上命令か、それが一番正しいことかという問題は、戦後の小売市場の状況を考えて判断しなければいけないので、他の食料品等のマージンとの比較、その他十分な検討が要るわけであります。寄り寄り前から私ども検討いたしております。そういう角度からいいますと、今の清酒は非常に不利で、この酒を扱ってはつまらぬということにはなっておらないと思いますけれども、何分そういう戦前率までまだ復帰してないという点を中軸として、いろいろ御要望も聞き、私どもとしても、何が正しいマージン率かということを検討することはぜひ必要だと思って、重要な再検討事項に考えておる次第であります。
  25. 横山利秋

    横山委員 そこで、私、この法律についてまだ詳しい御説明を受けていないので、この機会に伺いたいと思うのですが、小売のマージンなり卸売のマージンを大蔵省で考えるとするならば、この法律によってどういう価格で承認をされていって、どういう方法になるのですか。その点、今度の法律のどこをどういうふうに運用して改正されていくか。そのコースを明らかにしていただきたい。
  26. 原純夫

    原政府委員 お手元の法律案の第八十六条でございます。「基準販売価格」というのが入ります。これは酒の新しい価格体系における中軸的なものであります。今までのマル公を上回ってはいけないという意味ではなくて、これを基準に販売するという基準であります。ごく雑に言いますれば定価的な概念、そうしてこの基準販売価格は製造者、卸売業者、小売業者、三層についてきめることになるわけでありますから、この基準販売価格の卸売業者販売価格と小売業者販売価格の差額が小売マージンということになるのだと思います。その他制限販売価格、再販売価格維持契約あたりでもありますけれども、準じておると考えていきたいと思います。
  27. 横山利秋

    横山委員 一般的にいわれますことは、語弊があるかもしれませんが、酒の行政についてはメーカーが一番勢力を持っておるといわれておる。それから、卸売、小売がその次に影響力を持っておるといわれておる。しかし、消費者は何ら酒の行政、酒の価格等について発言権を持っていないということが、一般世論から指摘されておるわけであります。この点は、私も、大蔵委員の一人として、そういう気持がいたします。  今回の法律はマル公を廃止するという大原則にあるわけでありますから、一般の消費者は、マル公が廃止されたら酒が安くなると考えておるわけです。ところが、本法の趣旨とするものは、読んでみると、酒税収入の確保であり、業界の安定ということがうたい文句になっておるようでありまして、消費者の保護という点は、根底にはなっておるかもしれませんが、実際的な保護という点については非常に影を薄くしておる。この法律によって、どういう得が消費者にあるか、率直に伺います。
  28. 原純夫

    原政府委員 この改正によりまして消費者にどういう利益があるかというお話でありますが、それは、この改正の骨幹をなしておりますただいまのマル公制度の撤廃と、そして、今申しました基準販売価格を中軸とする、新たな、若干弾力的な価格体系に移るということ自体が、消費者の利益を大きく考える転換であるというふうに申し上げてよろしいと思います。御存じ通り、マル公といいますものは、戦中、戦後供給の少なかったときに、これ以上高く売っては消費者が困るからという制度で、もともと非常に消費者のための制度であったわけであります。ところが、御案内の通りに、ただいまにおいては酒の供給の方がむしろだぶついておるというような傾きもある事態になって、むしろ、競争の結果、ある程度値が下がるとか、あるいは品質が向上するというようなことがあり得るのが、戦中、戦後のマル公が、逆にこれ以上下げまいということで運用されてきておる。マル公は、かつて消費者保護のためであったものが、変じて消費者に対してバリケードを築いておるじゃないかという御批判は、当委員会においても何回となく繰り返されたことであり、私ども顧みてじくじたるものがあるわけであります。また、酒類の製造販売業界を通じまして、先にお尋ねの権利というようなものの行き過ぎから、合理的な競争というものが行なわれがたいという傾きがないでもないというような欠陥を認めておりましたので、ここに思い切って価格体系を一新する、そして競争の精神を持ち込むということに転換しようというわけでありますので、改正全般がそういう意味で消費者に対して大きな利益をもたらすものであるというふうに考えております。なお、条文のところどころにおきましても、各種価格の決定にあたりまして、消費者の利益を害してはいけないというようなことも出てくるところもございます。要は、ただいま申し上げました全般の体系の転換というものは、まさに消費者の利益を大きく見たものである、むしろ消費者の利益が主となって、新しい酒の需給の状態におけるすっきりした体系を作ろうということでありますので、さよう御了承願いたいのであります。
  29. 横山利秋

    横山委員 あなたがおっしゃることが真実そうであるならば、新しくきめられる基準販売価格なり、制限販売価格なり、再販売価格というものは、現行の価格と比べて、消費者の利益、つまりもっと安くなるというところにおのずから帰着するわけですが、一体そういうふうに考えてよろしいのですか。
  30. 原純夫

    原政府委員 なるべく安くしたいとは思っておりますが、今申しましたように、従来のマル公というものを非弾力的なバリケードとして、これ以下に一文も下げないで売るということを理念としておったのを、若干弾力性を持たせた意味で基準価格と言っているわけであります。そういたしますと、価格のレベル自体は、ただいま申したように、なるべく下げたいという気持を持っておりましても、従来のマル公自体が、先ほど横山委員自体が御指摘通り、小売マージンが少ない少ないとおっしゃる向きがありますから、なかなか基準価格がマル公を割るということはたやすくはできないと思います。しかしながら、先ほど来申しております若干の弾力性があるというようなこと、そういう底に流れる精神というようなところから、やはり酒の価格を通じてある程度の競争が行なわれるというような事態が出てくるだろうと、私は考えています。
  31. 横山利秋

    横山委員 私はしろうとですから、わかりやすく言っていただかなければ困ります。小売価格は安くする。マージンは上げたい。一体どうしてそういうつじつまの合わねことが実現できるでありましょう。少なくともこの法律によって消費者の飲むお酒の値段は安くなりますよとあなたはおっしゃる。その中に含まれる卸なり小売なりのマージンは、少なくとも戦前までは上げなければならぬと思っておりますというと、私は、第三の問題として、それじゃ現行の小売価格の中に含まれておる酒税の問題に言及せざるを得ぬのでありますが、あなたは矛盾ある問題を解決するためにどういう手段を持とうとなさるのですか。
  32. 原純夫

    原政府委員 私は基準価格はマル公よりもおそらく大して安くはならぬだろうということを今申し上げたわけです。ただし、それは基準価格であるから、従来のようにマル公があって、これをもう一銭でも割ってはいかぬというようなことではない、やはり若干の競争はあった方がいいんだという態勢であるから、品物によっては、うちは若干下げて売りましょうというのも出てくるだろう、そういう競争が出てくるというところに、消費者の利益が反映される場が広くなるだろう、こういうことを申し上げたわけであります。
  33. 横山利秋

    横山委員 そうしますと、あなたの論理の矛盾は、大体マル公と基準価格とは一緒だと考えてくれ、しかし、基準であるから、安く競争させるというならば、あなたが高くしたいと言っておる小売マージンの中から削って消費者に奉仕しろということを言っているのと違いますか。
  34. 原純夫

    原政府委員 私は小売マージンを高くしようとは申しませんでした。要望はあるし、戦前への復帰はまだできてないから、なお検討しなければならぬ。しかし、戦前復帰が至上命令ではあるまい。新しい需給の情勢における最もよいマージンは何かということを考えなければならぬということを申したわけで、私は小売マージンを引き上げなければいかぬということは申しておりません。
  35. 横山利秋

    横山委員 そうすると、だんだん話が現状に落ちついてしまうわけであります。しかも、現状どころではなくして、あなたは、小売マージンを今高くしようとは思いません。けれども、その小売マージンの中から競争させて消費者に奉仕させるというのですから、結局小売マージンは現行よりも実質減少するという結果になるのではないですか。違いますか。あなたのお答えを八方から追い詰めていくと、結局消費者は小売屋さんなりあるいは卸屋さんのマージンを少し奉仕をしてもらって、その分だけが安くなるのですよ、卸屋、小売屋等はマージンを現行よりも一つ削ってサービスをしなさいということをあなたは言っているのと違うのですか。
  36. 原純夫

    原政府委員 私は小売マージンを現在のまま全然変えないと言っているのでもないのです。これは再検討事項であります。再検討を要する。再検討がまだ結論に達しておりませんということを申しておるわけです。従いまして、今後十分検討いたします。なお、かりに末端価格は変わらないといいますか、基準価格が変わらない、それで若干競争して安いものも出てくるだろう、その分は小売がマージンを減らすのかというお尋ねに対しては、それはそういう品物の銘柄、品質あるいは当該地域における需給の状況によって出てくる価格であって、その価格の形成に対しては小売マージンだけがファクターではないので、製造者、卸業者、小売業者、この三つが寄って小売価格になるものを作っているわけでありますから、製造者も負担することがあるでしょうし、卸売業者も負担することがあるでしょうし、そういう場合は三者の間でそういう負担を分け合うというようなことになると思います。
  37. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 ちょっと補足して申し上げますが、横山委員のお尋ねは、この改正案で消費者の立場をいかに擁護しておるか、こういうお言葉でありまして、これを裏返して言えば、この法律で酒の値段を維持するというか、あるいはつり上げるとか、そういうことで消費者が高いものを買わされるじゃないか、こういう御懸念でなかろうかと思います。しかし、この法律案の根本精神は全然そうじゃない。逆なんです。というのは、この酒類の供給がだんだんふえて参りまして、清酒などの  一部はもうダブついて参りまして値下がりがひどい。そこで、ほうっておけば、まだまだ値が下がって、業界が不安定に陥る。そこで、もう今のマル公制度というものは意味がなくなったから、非常に値下がりがひどくなる場合には、一体どのようにして業界を安定し、また酒税を確保するかということから、この改正案のいろんな問題の規定が出てくるわけであります。従って、マル公は最高販売価格といいますものの、つい最近までの政府の指導では、マル公は最高であり最低である。従って、マル公でもって実は価格を維持してきたものですが、これを廃止して、今度は基準販売価格、これは法的罰則はない、従って、これは一応のめどであって、下がっていく価格を維持する方法というものは、いわゆる協定価格あるいは再販売維持価格、こういうことでありますから、つまり値が下がって、消費者がそれだけサービスを受け、安いものが供給されるということが土台であって、それではしかしあんまりほうっておけば業界が不安定に陥るから、下でささえよう、こういうことですから、基本には消費者をまず守っておるということに御了解をいただけると思います。
  38. 横山利秋

    横山委員 また御注意がありまして、コンニャク問答をするな、もっとはっきりしろという御注意がありますが、私は、何も高くなることを心配しておるのじゃない。安くならぬことを心配しておるのです。これは安くならぬ。しかし、安くなるとおっしゃる。安くなるのは、どうして安くなるかというと、私が言い残したから訂正なさったのですが、卸屋、メーカー、小売屋がマージンを奉仕して、消費者の価格を下げるように競争しろ、こういう意味らしいのです。それでまた、そういう平板な横すべりでなくて、伸びるものと衰えるものと、こういうことから、またあれもあるだろうという意味らしい。しかし、それでは、私が第一段として申し上げた、たとえば卸、小売のマージンに例を一応引いたわけですけれども、それでは実情に合わぬじゃないか。たばこやそのほか政府免許事業の実績、マージンの状況からいっても、酒屋さんが今日のマージンでそれで妥当だというふうなことは考えられぬじゃないか。原さんは再検討するとおっしゃる。再検討するということは、マージンをもっと低くするというふうには考えられぬのですから、これは言葉のあやで高くするんだと思っておるのだけれども、そうすると、一体どこで勝負をなさるつもりかというふうに聞いておる。私の誘導尋問の仕方が悪ければ、はっきり申すのですけれども、これは酒税に検討を加えるより方法がないのではなかろうかと言いたいのです。  それで、酒税に少し言及をいたしたいと思いますが、この間、増税はしない、こういうようにおっしゃった。今度はそれじゃ減税はしないのかという問題になるわけですが、われわれ大蔵委員としては、酒税が約二千億、少なくとも国家の税収の大きな柱でありますから、この点については、減税であるとか、酒類の減税であるとかいうことは、私ども野党であれ軽々に申しはいたしません。しかしながら、今日の酒税をもう一ぺん酒団法によって再検討しておるこの段階、そうして酒税だけをよくながめてみて、小売価格はいかにあるべきか、その中に含まれる各種のコストはいかにあるべきかということを検討いたしますならば、いささかこの酒税について再検討を政府としてもなさるべき時期ではなかろうか、こういうように考えるのです。一応目を税収全体の構想の中からはずして、この酒税及びそれに含まれる諸問題というふうに限定してお考えになってみられたら、また別のお考えがここにはっきり申し上げられるのではないかと思うのですが、この点政府側の御見解を伺いたいと思います。
  39. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 酒税が非常に過重であるということについては、政府としてもかねてから認めておるところであります。特に横山委員も御承知の通り、たびたびの税制調査会などの答申におきましても、特に酒税は重過ぎる、これを減税すべしという意見が答申に出されておりますので、政府といたしましては、ぜひそのようにいたしたいと考えております。ただいまお尋ねになりました——先ほどの特級酒と一級酒と二級酒と、税を抜いての原価と比べると、あまりに値段が違い過ぎるじゃないかということについては、これはたばこと一緒です。たばこの原価というのは、ピースも光もそんなには変わらぬが、高率な税相当分を負担するから、値段が非常に階段的に差がついておる、こういうわけです。この酒団法でも、今度の改正案について再販売維持価格なんという制度は、自由な競争の建前である今日の経済において、少しこれは無理な規定とは思いますけれども、これほどの高率な酒税を負担していただき、これを確保するためにはやむを得ない、こういうことで政府はお願いしておる次第でありますから、御趣旨の通り、まず酒税を減税いたしたいことはやまやまでありますが、御承知の通り、国家財政の非常な苦しい立場から、減税にはいまだ踏み切れないという政府の苦衷のほどをお察し賜わりたいと思う次第であります。
  40. 横山利秋

    横山委員 政府の苦衷のほどか奥村んの苦衷のほどか、その辺がどうもよくわからないのでありますけれども、私はこういうふうに考えるのです。私ども野党であっても、二段構えで考えて、まずその税として適正であるかどうかということを考える。それから、第二番目に、国家の収入としてやむを得ざる事情があるかどうかということを考えるのが、大蔵委員としての順序でございますから、まず第一段の酒税としてこれが適当であろうか、戦前戦後を通じ、あるいは内外諸国の酒税としては適当であろうかということを考える。     〔委員長退席、山下(春)委員長代理着席〕 その考えについていろいろ議論をして参りました。小売価格あるいはマージンあるいは製造者の利益等、全体を通じてみて、根本的に酒の体系について考えるべきときは、今をおいてはあなた方も議論がしにくいのではなかろうか。相気負っているのに今が一番絶好の機会ではなかろうかという気がいたすのであります。その意味では、政務次官はやまやまではあるけれどもとおっしゃいましたけれども、しかし、来年度の予算なりあるいはその次の予算なり、酒税の方向ということについては、やはりお考えのあるところだと私は考えます。ほかからの財源がなければ、おい酒税だ、おいたばこだというふうに、簡単にあちらこちらから話が出るわけでありますが、大蔵省としての酒税についての一定の方向というものは、そう軽々にあるべきではないと思うのであります。原則的に酒税はいかにあるべきか、それはいかなるタイムを持って、いかなる条件を持って振興をはかるかという大原則をお伺いしたいのであります。
  41. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 横山委員の御意見は、私個人としては大賛成です。この酒団法改正の際に、本来酒税の負担すべき国家財政の割合を再検討して出直すべきではなかろうか、この御意見には賛成であります。しかし、そこまで参りますと、この大蔵委員会におかれまして税体系全体をこの際再検討していただかなければ、酒税の問題に入れない、私はかように思うのであります。すなわち、近ごろ、一部の議論に、直接税よりももう少し間接税に比重を置いたらどうか、こういう意見がある。しかし、それは現実論であって、もともと十年前シャウプ勧告に基づいた現行税制のもとを作ったときに、これは御承知の通り総合累進の所得税及び法人税のそういう直接税重点主義であった。これは何としても理想的な税制としてはこれがよかろうと思う。所得の多いところへ累進して課税をする。ところが、十年間実施してみて、今日だんだん直接税が後退してきた。そこで、やむを得ず間接税で——ということは、率直にいえば間接税は取りやすいということからこういうことに至ったので、酒税をこの際出直すということは、それじゃもう少し合理的に重点を直接税に置かなければならぬ、それには、直接税の課税のやり方、あるいは税の制度というものをこの際再検討すべきである、こういうことになりますので、政府としてはそこまではなかなか踏み切れない。税制調査会においてもそういう基本的な面から今検討をいたしておる、かような事情でありますから、御了承願いたいと思います。
  42. 横山利秋

    横山委員 次官がどういうことをおっしゃっているか私よくわからない。私の質問は、酒税を今後どういう方向に持っていこうとなさるのか、増税の方向であるか、減税の方向であるか、あなたとしては大体減税の方向だということは言っておられるようだけれども、その条件、その時期は一体どういうふうにお考えですか、そのことを端的に伺っておるのであります。
  43. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 率直に申し上げますと、酒税は相当大幅に減税したい。しかし、減税の財源をどこから埋め合わすか。それは結局物品税かその他の間接税ということでありますが、これがなかなか困難であるとすれば、直接税に財源を見つけなければならぬ。それも五十億や百億ならけっこうですが、少なくとも相当思い切った酒税の妥当な課税ということであれば、数百億の財源を見つけなければならぬ。そうすると、直接税の制度を根本的に見直さなければならぬ。こういうことでありますので、今早急に踏み切ることはできない、かような事情であります。
  44. 横山利秋

    横山委員 少し事務的に原さんにお伺いしたいのでありますが、本年度の酒税の年度当初の予算、それから補正によってどのくらいになるか、来年度の見込み、それから来年度は四百三万石ですか、五十万石ぐらいお増しになるそうでありますが、ビールその他を含めて増収は来年度はどのくらいになる見通しであるか。それからさらに、今次官から話がございました臨時税制調査会の審議過程において、酒税はどういうふうに審議がなされているか等の諸点について、事務的に少しお伺いしたい。
  45. 原純夫

    原政府委員 昭和三十四年度の当初予算における酒税の収入見込額は二千九十億円余りであります。その後先般の補正予算において三十億円を追加見込みまして、二千百二十億円というのが本年度の補正後の予算額になっております。来年度の見込額については目下鋭意最終的な詰めを行なっておりますので、具体的な数字並びに中身はなおしばらく待っていただきたいと思いますが、酒税収入の大体の動きを察知する方法といたしましては、従来相当期間の実績から見て参りまして、個人消費支出の伸びる割合とほぼ並行した伸びを示しておるということを申し上げたいと思います。個人消費支出の伸びは年々大体五%から六%、年によって六%をある程度上回ることになっております。年から年にかけて若干の移動はありますが、ほぼこの線にぴったりした伸びを示しておるということでありまするから、大体来年度の見込みというものもその線を大きくははずれないだろうというふうに、御了解を願いたいと思います。  第三点の、ただいまの税制調査会におきまする審議において、酒税の問題はどういうふうな扱いを受けておるかということでありまするが、ただいまの税制調査会は、御案内の通り、従来年々の調査会でやっておりました態勢では踏み切れないような大きな問題に取り組もうということで、いわゆる企業課税の問題、また中央、地方——地方におきましても、都道府県と市町村との間における税源の配分の問題、その他税法の通則規定ないし簡素化の問題等等、従来問題があるとは自覚しながら、時間的な不足のために十分四つに組めなかったものに組もうということでやっておりますので、審議の重点も、まず第一に、国民の租税負担がどうかというようなことをずっと当たりつつ、ただいま申しましたような各般の根本問題に入っておるという状態であります。その中に、もちろん間接税の体系的な問題、間接税対直接税の問題、間接税内部における国税のバランスの問題というものも入って参りますが、ただいま申しました企業課税の問題、税源配分問題というものの審議に相当時間をさかれておりますので、間接税についてはあまり具体的な論議が出てないというのが実情でございまするが、いずれそのうちにこれに取り組まれることになるだろうと思っております。
  46. 横山利秋

    横山委員 そういたしますと、かりに個人消費支出五%ないし六%の伸びを見る。さらに約五十万石くらい増石数を見る。そう考えますと、来年度の酒税というものは相当の自然増収があるものと考えられるわけであります。私は、先般来この関係の諸君意見をいろいろ聞いて参りますと、私どもは申すに及ばぬところではございますが、与党の諸兄におかれましても、政府の高官におかれましても、酒税についての公約をなさっておるようであります。それは、少なくとも、酒税の大減税はでき得ないにしても、自然増収分については何とか考えようというような公約をなさっておられるようであります。この点についてはいささか考えてやるべき点があるのではなかろうか。政治に対する一つの信頼感を確保しておくためにも、来年この個人消費支出の伸展あるいは大へんな増石によって上がる自然増収について、酒税の減税をする方法が考えられるのじゃないか。そういうお約束をなさったそうでありますから、なぜそれが実行をされないのであるか。ほんとうならば、ここにおられる自由民主党の財政部長にお伺いした方がよさそうでございますけれども、ここから御答弁が願いないようでありますから、かわって政務次官からお伺いいたしたいと思います。
  47. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 だんだんと御意見がありまして、この際酒税を相当程度減税すべきでないか。そこで、なお一歩進んで、来年度に見込まれる自然増収の分だけでも減税に回すべきでないか。まことに貴重な御意見と存じます。まことにその通りいたしたいと思いますが、御承知の通り災害復旧や国土建設のための非常な財政需要がありまして、一部には高級酒類や高級たばこには増税しろとすら、これはごく一部の意見ですが、そういう声すら出るような事態でありますので、自然増収を減税に充てるということにはなかなか困難かと考えております。
  48. 横山利秋

    横山委員 では、今まであなた方が言っていらっしゃった点は、関係の諸君からいわせれば、もうまるっきりそれはうそであったということになってしまうのであります。こんなことだったら、ああいうことはおっしゃらぬ方がいい。また期待を持たすべきではないと私は思うわけであります。私どもとしましては、少なくとも今日の状況からいって、来年度大増収が見込まれるのであるから、また今日酒団法の大改正が行なわれるこの機会でもあるから、酒税について再検討なさるべきであるということを、重ねて申し上げておきたいと思うのであります。  一つ方向を変えて、この法律が制定公布され、そうして現実にこの新価格制度が設定される条件と時期について質問をいたしたいと思うのでありますが、少なくとも、この基準販売価格、制限販売価格、再販売価格等の新しい施策が突如として——突如としてでもないでしょうけれども、公布と同時に行われるといたしましたならば、相当の影響を業界なりあるいは関係のところへ与えるものと思われるのであります。一番議論になりますのは、やっぱり銘柄の弱い中小企業、あるいは卸屋にしても小売屋にしても、あなた方は競争しろとおっしゃっているのですけれども、競争力の弱い企業等にやはり問題が集中するものと思わなければなりません。今日まで、国税庁においては、酒造業界なり卸小売業界に対する指導というものについては、なかなか行き届いてはおるようでありますけれども、しかし、中小企業政策という観点から見ますと、一つの問題に集中して行なわれておるように思うわけでありますが、今回は必ずしもそういうわけには参らぬので、この動揺を防止をして、そうして、私は率直に申しますが、権力の上にあぐらをかいておっては困るのであります。額に汗して一生懸命働いておられる人にこの法律が与える影響については、できるだけ緩和をして、そうして円滑に進行させるべきだと思いますが、その点について具体的にどういうようなことをお考えでありますか。また、その実施をする時期というものは、いつごろと推定をいたしておりますか。移行の具体的措置についてお伺いいたします。
  49. 原純夫

    原政府委員 この法律が成立公布になりました暁は、先ほど来申しておりますような、いろいろの情勢に対応する新しい精神を持った価格改訂になるべく早く移行したいという気持でありますが、御指摘通り製造業者あるいは販売業者、非常に多数にわたるわけでありますから、それらに十分趣旨を徹底させ、そうして新しい制度における運用に遺憾のないようにということを、事前の準備として行なわなければなりません。そういう準備をぜひいたしたいと思っております。従いまして、実際にマル公を廃止いたします時期にいたしましても、やはり公布後ある程度の期間を要するのではないか。そういう準備がどのくらいの期間にできるかということは、実際にやってみないとわかりませんので、確たることはまだ申し上げられません。しかし、大体の感じで申し上げますれば、やはり公布後半年やそこいらは必要じゃないかというように考えております。それではといって、公布後何年も発動もしないでマル公制度でいくということもあり得ない。感覚的に申せば、やはり一年たつくらいのころまでにはいくというような気持で、若干の前後があるというようなところではなかろうか。これは私の個人的な感じでありますが、そういうふうに感じておる次第でございます。
  50. 横山利秋

    横山委員 半年以上一年以内という点は、しかと政府の考えはわかりました。しかし、私が質問をいたしておりましたのは、第一の点に重点があるわけです。移行に伴なって、業界にどういう具体的な措置をして、その波動をなるべく少なくしていくのでありますか。ただPRをして、それだけだ、こうおっしゃって、全部が全部関係の業界自分措置しろとおっしゃるのか。何かそのほかに円滑に前進をさせるような具体的な措置をお考えになっていないのか。私は党において中小企業政策を担当いたしておる者でありますが、少なくともその政策上の問題というものは多岐にわたる面がありまして、今日まで国税庁が酒屋さんなりあるいは小売屋さんに対して、酒税の確保ということだけで、ある意味ではおどすだけで仕事をしていたのとは違って、いま少しこの機会に多角的に波及を円滑に移動をさせるような各般の措置をお考えになったらどうかと言っておるのでありますが、いかがでございましょう。
  51. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 あとから間税部長からもお答えがあると思いますが、ただいまの御心配の点は、実は、私も、今春この委員会で、政府委員に対して、そのような不安からいろいろ質問をしておりました。そこで、まず一番大切なことは、酒類業団体がこの法律の趣旨をよく自覚していただいて、価格を維持するのに協定価格あるいは出荷の制限、そういうことをみな協定でもって酒類業団体がみずから自主的になさるべきことだ。これに対して大蔵大臣が認可するだけであります。主として行なうのは酒類業団体である。こういうことを特に自覚していただかなければ、法律の精神がそこにあるのであります。従って、卸、小売、生産者のマージン等の問題についても、マル公制度の場合はもう一銭一厘変わらぬようにきちっときめてありますけれども、今度は基準価格で一応はきめますものの、それは何も拘束力がないということですから、一応基準をきめながら、しかもなおかつその間の調整というものはなるべく団体間の話し合いでついた価格でやってほしい。このように、あまり権力をもって天下り式にやっていくのじゃなしに、自主的に協定でやっていこうというのが、今度の法律改正の趣旨です。としたならば、酒類業団体は、まずこの趣旨を自覚して、この法律に即応するようにやっていただきたい。これがまず第一点。また、政府、大蔵省においてもそのような指導をしなければならぬ、かように考える次第で、そういうことからいたしますと、この酒団法の審議というものは、十分時間をかけて八団体にも徹底するようにやらなければならぬ、かように私も心得て今日に参りました次第でありますので、なお足らざる点は国税庁当局から御答弁申し上げますが、その点を御了解願いたいと思います。
  52. 泉美之松

    ○泉説明員 政務次官の御答弁を補足して申し上げます。お話のように、酒類関係には八団体の生産販売のそれぞれの団体がございまして、今後価格制度が、新しく体系が移り変わるにつきましては、この八団体のそれぞれの団体が中心になってやっていかなければならないことになるわけであります。従いまして、まず私どもといたしましては、その八団体の間でそれぞれ円満な協調を保って、この新しい制度に乗りかえていくについて、それぞれの業界が態勢を整えていくようにしなくてはいかぬ。従って、八団体の間でそれぞれ打ち合わせて、自分業界はこういうふうにやっていく、自分業界はこういうふうにやっていくということをお互いに検討し合っていく、そういう機関を設けておる次第でございますが、さらにそのそれぞれの団体内部におきまして制度が移り変わりますと、何と申しましても不安を感ずることになりますのは中小業者でありますので、そういう中小業者について経営の合理化、指導についてどういうふうにやっていくべきかということにつきまして、それぞれの業界委員会を設けまして、対策を考究していただくというふうにいたしております。それぞれの委員会につきまして国税庁の方から出席いたしまして、各委員意見を聞くと同時に、役所といたしましても指導して参るという態勢を整えておるわけであります。それぞれ問題は多方面にわたりますので、必ずしも早急に結論が出ておるわけではございませんが、今後一層ひんぱんにそういう委員会を開催いたしまして、業界の態勢が新しい制度へ移行するように整えて参りたい、かように考えておるわけでございます。
  53. 横山利秋

    横山委員 その点については、今まで国税庁の方針というものは、私なりに感じたことは、今政務次官がちょっとおっしゃったように、上からの仕事である。今回この動揺を与えるのですから、指導をし援助をするという方向で各般の対策をとっていただくように、特に要望をいたしておきたいのであります。  一つ、先ほどマージンの点で忘れましたから、ここであらためて質問いたしますが、マージンの点で今日非常に各方面から指摘をされていますのが、ビールの問題であります。ビールは小売のマージンの中でも一番少い。卸のマージンに至ればなおさらのことである。ところが、ビール業者は市場を四社、ほとんど三社といっても差しつかえないのでありますけれども、そこでも独占をしておる。この点は、もう私が申し上げるまでもなく、奥村次官が春の国会でたしかおっしゃっておったような記憶がいたすのでありますが、その後何ら変化がないようであります。あなたが政務次官におなりになって、今お得意の酒団法をやっておるのでありますが、ビール業者のあり方、ビールのマージンについて改正をすべきであるということは、もうお答えをなさる必要がないのでありますが、具体的な方向について何か御意見がございますか。また進行をしておりますか。少くとも今日のビール・メーカーのあり方についてはお考え直しを各方面に願って、改正を具体的にすべきだと思うのでありますが、いかがでありますか。
  54. 泉美之松

    ○泉説明員 ビールの卸並びに小売のマージンにつきましては、横山委員の御指摘のようにいろいろ問題があるわけでございますが、まず第一は、ビールの卸売及び小売のマージンは昔から非常に少なかったというのも一つの事実でございます。と申しますのは、特に大都市におきましては、生産者が小売のところまで運んで参りますので、卸売業者と申しましても、自分から運んでいくということはしない。もちろん小売店から注文をとるし、代金の回収には働くわけでありますけれども、運搬自身は生産者の方で行なうといったような点もあります。それからさらに、ビールは比較的酒類のうちでは回転の早い商品でございますので、そういう意味におきましては、他の酒類と同じマージンでなくてもけっこうやっていけるというようないろいろな要素が入りまして、従来比較的マージンが少ないのであります。しかしながら、最近の販売業界を見ておりますと、ビールの量が非常に大きくなりました関係上、昔は、そういう低いマージンでも、いわば副業的にやっておれたわけでありますけれども、最近のようにビールの取り扱い量が酒類のうちで一番大きくなるというふうになって参りますと、従来のままでいいというわけにも参りかねますので、それらの点につきましては十分検討いたさなければならぬというふうに考えて、目下いろいろと検討をいたしておるわけでございますが、その際に一つ問題になりますのは、ビンでございます。他の酒類につきましては現在すべてビン付販売になっておりまして、あとビンを買い戻すかどうかということは自由になっておるのでございますが、ビールの場合におきましては、消費者があきビンを持ってくれば、大ビンにつきましては十二円で引きかえなければならないというふうな規定になっておりまして、ビン付販売になっておらないのであります。そこで、そういう問題をどういうふうに直すか、他の酒類と同じように直すかどうかというような問題につきまして、目下検討をいたしておる次第でございます。
  55. 横山利秋

    横山委員 どうしてもビールの状況については、私はメーカー、小売を通じて一貫した改善を一つしてもらいたい。社会党はかつてビールの減税を含めて百円ビールを主張したことがございますけれども、そのあり方についても、ずいぶん当時問題を投げかけ、検討を願ったところでありますが、この機会にビールのあり方について検討をわずらわしたいと思います。  それから、時間もあまりございませんので、あと二、三点でありますけれども、このお酒を論じ酒税を改善するにあたって、どうしても切っても切れない問題に密造酒の問題があるわけであります。今回、この酒団法の改正と同時に、政府が具体的に消費者の利益、それから業界状況の改善を根本的にお考えになるならば、百尺竿頭一歩を進めて、密造酒の対策をあわせて提案なさるべきだと私は確信をいたします。その理由はもはや言うまでもないのでありますが、言うならば、これは、政府側がその必要をたびたび認めながらも、しかもそれを実行に移し得ない理由は一体どういうものであろうか。要するに、池の中へゴボウを突っ込むようなものだから、やっても何もならぬというのか。それとも、ほどほどにしておけば、世の中が平穏になってきたら密造酒はなくなっていくだろうというような感覚を持っていらっしゃるのか。もう予算がないから、この辺でしようがありませんというのか。この辺で密造酒の問題について根本的に検討をして、少なくとも今年こうでしかいかぬならば、来年はこうこうというような根本的な方向をはっきり打ち出し、またその絶好の機会であると思うのでありますが、密造酒対策についての政府側の見解を伺いたい。今別に取り立ててこれという対策はないということであるならば、それはまたけっこうです。紛飾をなさらずに、今回の酒団法の経緯の中で密造酒対策についての政府のお考えはあるのかないのか、それをお伺いいたします。
  56. 泉美之松

    ○泉説明員 密造酒の問題につきましては、国税庁といたしましては非常に頭を悩ましまして、毎年予算を獲得して取り締まりの励行に当たり、その間毎年警察官の多大の援助をいただいてやっておるのでございます。ただ、密造酒の問題はかなり広範な問題でございまして、単に取り締まりの励行ということだけではなかなかなくならない問題がございます。これは、私どもの過去の経験からいたしまして、酒の税率が下がりますと、密造ということについての魅力が少なくなりますので、非常にいいわけでありますが、これは、先ほど来の問答でおわかりのように、現在のところなかなか困難であります。それから、いま一つは、密造取り締まりを励行いたす予算の問題でございますが、予算につきましても必ずしも十分ではございませんが、私どもといたしましては与えられた予算を十分活用してやっておるつもりでおります。それからさらに、密造は、いわゆる農村密造と申しまして、自家用を主とした密造と、そうでなくて、集団密造と申しますか、販売を目的とした密造と、その形態が違っております。集団密造といわれる販売を目的とした密造は、取り締まりの結果、近年相当減少いたしております。年々減少いたしまして、本年度の推計見込みからいきますと、かつて三百万石をこえると予想されておった密造が、百万石を割り、九十七万石程度と推定されるわけでありますが、そのように減って参りましたことについては、相当の成果を上げたものと思っておるのでございますが、なお、しかし、九十万石と申しますのは正規の酒類の約一割近い数字でございますので、そのようなものの密造の取り締まりにつきましては、今後一段と努力いたして参りたいと思っておる次第でございます。それから、密造の取り締まりにつきましては、今申し上げましたように、集団密造といわゆる農民密造とは密造の形態が違いますので、それぞれに応じた態勢を整えていかなければならないと思っております。ことに、集団密造の場合におきましては、いわゆる生業対策と申しまして、他に適切な職業がないために密造に走るという傾向がありますので、生業対策と並行して進めて参らなければならないのであります。そういういろいろの広範な問題に今後ますます熱意を持って取り組んで参りたいと思っておるような次第でございますが、何分いろいろな要因がありまして、急激に減少いたさないのは遺憾でございますが、年々確実に減少しておるということにつきましては、私どもといたしましては、努力の結果が多少現われているというふうに考えおる次第であります。
  57. 横山利秋

    横山委員 御答弁はきわめて根本的な現状に対する対策としては不満でありますが、あとで結論を申し上げたいと思いますから、次に移ります。  参議院でこの間質問があって、原さんが調査ができてないからといって保留をなさったと聞いておるのですが、輸入の自由化とお酒の関係はどういうふうに把握をしたらよろしいかということと、それから、駐留軍の無税の持ち込み酒類はどのくらいあって、どういう影響を与えておるかという二点についてお伺いをいたします。
  58. 原純夫

    原政府委員 輸入全般に自由化の趨勢があるのに応じまして、酒についても、特定国からの輸入に対して外貨を割り当てておった態勢が、どこからでもよろしいというような態勢にだんだん切りかわりつつあるというのが、第一点についてのお答えであります。第二点につきましては、ただいま手元に資料を持っておりませんので、後ほど調べて申し上げます。参議院でも持ってなかったのでありますが、御要求で資料として出してありますので、こちらにも回るのではないかと思いますが、後ほどそれに基づいて別途申し上げます。
  59. 横山利秋

    横山委員 ちょっと第一点を聞き漏らしましたので、もう一ぺん願います。
  60. 原純夫

    原政府委員 第一点は、だんだん自由になるという動向に即応しまして、酒の輸入は、従来は特定の国との貿易協定上の一つの手段として、たとえば、イギリスとの間では、何万ドルをイギリスからの酒の輸入に割り当てましょうというようなことをやって参ったのが、従来の例でありますが、そういう特定国相手の取引協定というようなことから、だんだん自由な方向に移していくという趨勢に若干向かいつつあります。その一つとして、外貨の割当について、その外貨によって輸入される酒の原産地を問わない、どこからでもよろしいというようなことに、為替上の言葉でいいますと、グローバルの割当というようなものに移行するというようなことが、近ごろ酒についてもだんだん行なわれてきておる。全般の自由化に応じて、酒についてもそういうような考慮が必要であろう。ただ、酒はやはり国内の製造販売の市場の安定というようなことがありますから、必ずしも無制限にいくとは思っておりませんけれども、自由化の態勢に即応しての動きは、ただいま申し上げましたような動きがございます。
  61. 横山利秋

    横山委員 ここで一つまたしろうと質問をいたします。全然私はしろうとですから、間違っておったら、考え方が違うと指摘していただけばけっこうです。酒造米の中央保有制度と対価の問題でありますが、私の承知をしますしろうと的な感じでは、先ほど委託醸造についていろいろ私が追及したわけでありますが、そういうものをカバーする手段として中央保有米制度があって、割当をする。それはよろしいのですけれども、割当を受けたところは、それに応じて対価を出す。出したお金は、酒造の中央会ですか、組合でそれを何かに使うということは、どうも筋が通っていないような気がするわけでありますが、そういうことはお感じになっておりませんか。どうも、私は、このお酒の問題については、従来からの経緯、歴史的な条件というものがあるようでありまして、その歴史的な条件、渦の中に入っておられる人は、そのいいことと悪いこととの判別もややさだかでないような点が、ときどきしろうとには感じられるわけであります。政府が割当をする。割当を受けたものは銭を出す。出した銭は、政府にいかないでほかのところにいって、ほかに使われる。そうであるならば、もし政府がそれを認めて、そういうことが必要であるとするならば、普通の価格ではいかぬというならば、中央保有米制度における価格については、それだけ高くして政府がとったらどうだ、それが何でいけないのかという感じがいたすのであります。その点中央保有米制度と対価の理論的な関係を一つ御説明願いたいのであります。
  62. 泉美之松

    ○泉説明員 清酒の原料用米の配分につきまして、昨三十三酒造年度から中央保有米制度というものを採用いたしたわけでございますが、その中央保有米制度によって、中央に留保されました米の配分を受けるものに対しましては、酒造組合中央会におきまして、定款の規定に基づきまして特別賦課金を徴収いたしております。この特別賦課金が、先ほどお話しの対価とお考えになっておられるものと存ずるのでございますが、これは、特別賦課金の徴収基準につきまして、その中央保有米によってできる酒の石当たりについて幾らという特別賦課金の基準をきめておるわけでございます。     〔山下(春)委員長代理退席、委員   長着席〕現在まで、酒造組合におきましては、賦課金のきめ方に、場数当たりのきめ方と製成石数当たりのきめ方と二通りございます。そのうち一般賦課金の方は場数割りと石数割りとを併用いたしております。御質問の保有米についての特別賦課金と申しますのは、石数割りで出しておるのでございます。これは定款によってそういうことができるようになっております。ただ、お話のように、その賦課金が高くなりますと、先ほどの権利の上に眠るというか、権利が財産的に扱われ、不当なことが起きるというようなことにも関連いたしますので、私どもといたしましては、その特別賦課金の額はできるだけ少額にしていかなければ、われわれがせっかく中央保有米制度を採用した趣旨からいたしまして適当でないというふうに感じて、できるだけ賦課金は少なくしてもらうように申し入ればいたしておりますが、中央会の定款で行なうことでございますので、別に違法な問題ではございません。
  63. 横山利秋

    横山委員 私は、まだこの中央保有米の特別賦課金の実態についてはよくは承知しておりませんから、深くは申しませんけれども、中央保有米というものがあって、それが政府の割当によってそれぞれの関係のところに割り当てられる。割当を受けたものは特別に銭を出せ。出した銭は、政府にいくのでなくて中央会がとる。それは、一般の賦課金よりもたくさん出せという点に、納得のいかないものを感ずるのであります。今日、酒造米の割当をめぐって、私ども国政調査に参りましたときも、いろいろ各地によって意見が違うことは私よく承知はいたしております。しかし、私は私なりの意見ではありますけれども、やはりお酒屋さんも近代的な経営に移ってもらわなければならぬ。これは、私どもやはり中小企業の発展をこいねがうわけではありますけれども、お酒屋さんだけは、何か私ども先ほどからメーカーだけに強く当たっているような気がして恐縮なのですが、しかし、どうも古い経営、非近代的な感覚というものが残っておるような気がして仕方がないのであります。従いまして、この中央保有米制度を作られた趣旨には私は賛成をいたすわけでありますが、それをめぐって、そういう特別賦課金という点については納得をいたしかねるし、蔵米の配給について、さらに根本的な改善をすることによって、お酒屋さんの経営の近代化をはかるというふうな前進をしませんと、より問題が残るというふうに感じておるところでありますが、これは重ねて強く要求をいたしておきたいと思う。  最後に、参議院での附帯決議と、参議院で修正になった点について少し敷衍して質問をいたします。参議院の修正点についてはだれも答弁をしてくれるものはないのでありますが、次官がこの間かわって説明をされましたから、お伺いをいたします。聞くところによりますと、この参議院修正の、酒類業組合が、この協定価格等を実施した場合において、協定を守らない組合員があるために協定の実効を上げ得ない場合には、大蔵大臣が、当該組合員に対して、その協定に従うべき旨を勧告することができる、というところで、組合の申し入れによるということが原案にあったそうであります。なぜそれが取られたのかということを、私は参議院の諸君に聞く機会がございませんでしたので、かわって説明された政務次官の奥村さんにお伺いをいたしたいのであります。先ほど奥村さんもおっしゃったように、また、泉さんでありましたか、この種の問題については、業界の自主的な努力、自主的な調整に期待するところが多いという話であります。もしそうであるならば、この大臣の勧告権に対しては、やはりチェックをしていくべきであって、大臣が、勝手に、自分の判断に基いて、協定を守らない組合員があったということだけで勧告をするというのはいかがなものであろうか。やはりそれぞれの業界の申し入れによってなされるという当初の原案が適当であると思うのでありますが、その点についての見解を伺いたい。  それから、第二番目には、やはり参議院で問題の焦点になったところだそうでありますが、審議会を作れということであります。政府側としては、一貫して、法律上の審議会を作らないでも、実際上意見を聞くからということに固執をされておったようでありますが、一体法律上の審議会を作ったらまずいという積極的な理由があるのか、その辺を明らかになさっていないのであります。私はきょうあらゆる各般の点から質問をいたしましたが、この際一つ、酒団法の通過を契機といたしまして、もう少し、酒類行政に対して、消費者やあるいは小売屋さん、あるいはそのほかの方も、近代的な感覚をすなおに取り入れるという御用意があってしかるべきではないかという感じがいたすのであります。いわんや、立法上の問題としては、過ぐる通常国会におきまして、大体政府の手前みその審議会は作るべきでない、作るとするならば法律上の審議会をきちんと作るべきだという点は、内閣組織法の観点からいって通説になっておるわけです。それにもかかわらず、適当に意見だけは聞きますから、審議会は作りますからということは、法律論からいっても私は詭弁にすぎぬと思うのですが、法律論はさておくといたしましても、この際一つ近代的な感覚、あらゆる方面の御意見を取り入れるために、法律上の審議会を作ったらどうなんだ、なぜそれがまずいのかと、私は痛感をするわけであります。いかがでございますか。
  64. 原純夫

    原政府委員 最初に、忘れないうちに、先ほどの数字が手元に見つかりましたので、簡単に申し上げます。米駐留軍の関係で免税輸入されました酒類の量並びに金額を申し上げます。昭和三十三年度中に輸入されましたもの、ビールが約六千七百キロリットル、その価格六億一千八百万円。それから、ウイスキーが約千九百キロリットル、その価格十三億八千二百万円、こういう数字になっております。  ただいまお尋ねの第一点、大蔵大臣が勧告するについて、組合の申し出によりというのが当初の案であったのに、それがなくなったということについてでありますが、これは、私どもが了解しております限りでは、こういうようなことであったと思います。本来、組合が協定を設けてお互いに守ろうといっているのに守らないというのは、組合だの事柄であって、大蔵大臣が出ていくというのはおかしいという意見があったようであります。しかし、酒税をうんと持ってもらうんだから、大蔵大臣が出たらいいだろう、その場合に、組合の申し出によりというのは——実際の気持は、大蔵大臣が出たいと思っても、組合がいやだ、出ちゃいけないというのでなくて、出てくれといったら大蔵大臣は何をおいても出てこい、こういうようなお気持のようである。そうすると、先ほど申した、そもそも組合の中の約束を守らぬ者を、よその人に文句を言ってもらうのはあまりにおかしいじゃないかという感じがあって、落ちたんだというように聞いております。もちろん、大蔵大臣として、今後出ます場合に、組合事情も聞かずにやるというようなことはあり得ないことで、当然組合事情は聞いて出るのですが、これはもう常識的に当然なことだろう。申し出によりというようなことを書きますと、いかにも大蔵大臣が組合の機関になったようなことになるおそれがあるということであったと、私は了解いたしております。  それから、第二の審議会、新しい価格体系における価格をきめるについて審議会を設けたらどうかというお話、参議院でもいろいろございましたが、なぜこれを法律上のものとしないかということを、ここであらためて申し上げます。本来、こういう価格は、ただいまの経済体制においては自由競争によってきまるべきものであって、政府が介入してきめるというのは異例なところであります。その異例なことをやる体制が、戦中戦後を通じて、物価統制令によって相当幅広く行なわれましたが、特に戦後の価格統制——戦後御案内のように非常に民主的に物事を運ぶという中にありましても、マル公の決定については政府の責任でやるということで、一切協議会といいますか、審議会的なものは設けておりません。私思いますのに、なぜそうであるかというと、審議会を設けて、それに生産者、販売業者、消費者も入れるとしましても、そのそれぞれが言うところは、それぞれの立場における主張、要求でありまして、円満妥結というようなことはなかなかむずかしいものです。そこでは個の立場がそれぞれ主張されるというようなことになるので、合議体によるところの統一せる結論を願うということは、そもそも非常にむずかしいことであって、まかり間違うと、幾つかの個のうち特に強いものの声が大きく通るというようなことにもなる。やはり、問題は、それをほんとうに公正にきめる一つの方法は、もう一切自由だから、競争でやりなさいというのが自由なわけでありますが、事情があって自由な競争だけじゃいけないと  いう場合には、それぞれの個の要求を政府としても十分聞いた上で、決定は政府が責任を持ってやる。従って、合議体を作りましても、それはある時の統一的な意思を決定するというものではあり得ない。あり得ないというと強過ぎるかもしれませんが、事柄の性質上非常にむずかしい。無理にやらせようとすると、ただいま申しましたような勢力関係にたよるというようなことがありそうだというような考えから、通常法律を作って統一的な意思、判断というものをお求めするものとしては向かないというふうに考えましたがゆえに、法律的には規定しない。しかし、それぞれの立場、特に消費者の立場まで含めて十分に聞くように、という御要望が強いということは十分くみとれますし、われわれも前もって考えておりましたので、実際上それぞれの意見を一堂に会して伺うというような形の運営をいたしたいということを申し上げたわけであります。そのために、ただいまあります酒類行政懇談会というものの構成も十分調整いたしまして、できる限り各方面の意見なり事情なりを聞いて、適正な価格決定を行ないたいというふうに考えておるわけであります。
  65. 横山利秋

    横山委員 私は今の点について見解を異にいたします。これは物事すべて各種委員会に人を構成員として、要するならば、同意見の人を集めるのではなく、各界の意見のある人をそれぞれ集めるのでありますから、究極するところ対立するのは当然のことなんです。その対立を緩和し、その対立の中から調和を求めるのが政治でございますから、今各界の人をその審議会の中に集めるからといって、それが結論が出そうもないからといって、政府の一存で最終的な権限でやれるようにしたいというのは、少し安易な考え方であり、言うならば独善的な考え方ではなかろうかと私は思うのです。この辺のところは各種委員会に本質的に存するものでありますから、この際それほど強い要望があるものでありますならば、消費者なりあるいはほかの関係の構成員を含めて、そうして十分に論議を尽くさせて、一定の方向に調和を求めるべきであるというように私は考えるわけであります。これはいささか大蔵省がいろいろな問題についてやや独善的な点がある一つの証左でもあるというふうに考えまして、御反省を願いたいと思うのです。  長時間いろいろと質問をして参りまして、その質問の中で私はいろいろと要望して参りました。たとえば、本法が消費者に対していかなる利益を与えるものであるかという点、あるいはまたマージンについて改善をなすべしという点、消費者の利益を擁護し、卸、小売等のマージンの改善をいたすためには、これは減税が一つの方向であろうという点、それから、本法が影響するところの経過措置について、いま少し各般の点から考慮すべきであるという点、それから、委託醸造やあるいは中央保有米を通じ、この酒造米の配分についてさらに大きな観点から改善を進めるべき時期ではないかという点、それから本法をやるならば当然密造酒についてあわせて何かの対策をすべきではないかという点、ビールについて前からの懸案をこの際思い切って改善をすべきではないかという点等々、いろいろと私の意見を含めて質問をして参ったわけでありますが、率直に申しまして、政府側答弁としてはきわめて不満足な点を感ずるわけであります。私が野党であるからして、問題を理詰めあるいは思い切って言う点があるかもしれませんけれども、これほど長期間にわたって酒団法の審議を衆参両院で重ねてきたにしては、いささか政府側としては本法の実施に伴う諸問題についての検討と準備が足りないのではないか、という点が痛感をされてならぬわけであります。このほかまだこまかい問題としましては、新清酒の問題とか、あるいはしょうちゅうに含まれるお米の問題とか、いろいろ当面の問題がありますけれども、それらを含めて、いま一歩政府側に酒類行政に関する諸問題について検討と勇気を私はわずらわしたいと考えるわけであります。しかも、本法については、政務次官はもとより、与党の中には権威者も非常に多いのでありますが、どうも権威というものが私どもから見ると少し片寄り過ぎた権威ではなかろうか、もう少し広範な基礎の上に立つ権威というものをやってもらわないと、工合悪いのではないかという感じがいたしました。  どうぞ、造詣の深い諸公がおられるのでありますから、この辺は、たとえば今申しましたような審議会に、広範な人たちに公式に集まってもらって、式の議論をして、それが近代的な酒類行政と酒類業界の発展に貢献し得るように私は要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  66. 植木庚子郎

  67. 田邉國男

    田邉委員 それでは、酒団法の改正につきまして若干の質問をいたしまして、政府の所信を伺いたいと思います。  まず第一に、次官にお伺いしたのでありますが、次官は、前回の国会におきましてのこの委員会で、この酒団法というものは公取に違反するものであると政府に痛烈な反撃をなさいまして、政府答弁もしどろもどろであったと私ども伺っております。そこで、今回奥村先生が次官におなりになって、まだ私は御本人からの意見を承っておらないのでございますが、私は大蔵省へお嫁に行ったようなものだ、だから大蔵省の方針に従っていくのだ、やはり家風を尊重していくのだというようなお話を承っているのでございます。私ども、奥村次官は、理論において、また政治家として非常に筋を通す人でございまして、尊敬しておるのでございますが、その公取違反という問題について、次官は現在もその心境に何ら変わりはないと私どもは信じておるのでございますが、その点を一つ伺いたいと思います。
  68. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 お答え申し上げます。大蔵政務次官に就任いたしましてから、大蔵省へお嫁にもらわれた以上は、大蔵省の家風に従わなければならぬという、これは私の実の信念であります。前国会において、私が、当委員会において、政府委員に対して酒団法に関連して質問をいたしましたときは、酒類業八団体の円満ということを主にいたしまして、主として業者の要望と申しますか、考え方というものに重点を置いて酒団法質問したつもりでございます。しかし、政府委員になりましてから、政府の立場で、この酒団法改正案、またこれを提案せざるを得ないいろんな事情を考えてみますと、特に高率な酒税を確保するという立場からいきますと、そう業者の御要望だけをうのみに承るというわけにもいきませんので、その点は、実は、この高率な酒税を確保するという政府の立場というものは大蔵省へ入ってから大へん痛感しておるので、その点多少変わっております。しかし法律内容は変わっておりません。これに対して特に公取の独禁法との関係についてお尋ねがありましたが、私は委員として独禁法に抵触するのではなかろうかという質問をいたしました。これに対して、公正取引委員会委員長は、事前に協議をし、つまり公取の委員会法律に基づいて了解してこの法律案を提案したのだ、こういうことであります。議論はそれはいろいろ出ますが、特にこの中で焦点となりましたのは、酒類の中でたとえば特級酒や一級酒だけは再販売維持価格を認めるとか、あるいはビール、洋酒だけは認めるんだ、ほかのものは認めぬのだ、こういうことになると、これは独禁法の違反ではないか、こう言ったわけです。なぜかと申しますと、この独禁法に対しては非常な例外規定です。再販売維持価格というのは、なぜこのような例外規定を入れるのか、その理由は何かと言ったところが、これは、高率な酒税を負担していただくためには、独禁法の非常な除外規定であるが、やむを得ず公取が認めたのだ。高率な酒税ということなら何も特級酒、一級酒だけではないが、酒類全体が高率な酒税をかけているのじゃないかということを言いましたときに、そのときの政府答弁では、特級、一級だけなんだ、あるいはビール、雑酒だけなんだ、こう言われたから、私は違反じゃないかと言った。ところが、現在部内の解釈は統一いたしました。酒類全体がそのときの事情に応じて再販売維持価格の認可を受けることができる、このように解釈が統一できましたので、その当時私の最も疑念とする点が明確になった次第で、独禁法違反でない、かように今私は確信しております。
  69. 田邉國男

    田邉委員 そうしますと、次官のお考えというものは、高率の酒税確保ということがこの法律を貫く大事な問題であるので、これについて説得をされたように私は聞き取った。もう一つは、今高率の酒類販売について各酒類にわたって再販売価格のそれを認めるという解釈になったので、意見統一がされたというお話でございますが、そうしますと、この法案というものは、当時においてはそういう解釈はなかったのだけれども、現段階においては、同じ条文でありながら、そういう拡大解釈をしていく、こういうようにわれわれは理解するのでございます。そうしますと、われわれの方から考えて、この法律というものは、大蔵省に都合よく、場合によってつかれると、こういう拡大解釈をする。われわれがこの点がはっきりしないと言うと、大蔵省に都合の悪いことは縮小解釈をするというようにとれるのでございますが、この法案というものは、ほんとうにあなたがお考えになって今のような御解釈をなさるならば、これは完全なものであると信じられて、これをお通しになろうというお考えでございますか。
  70. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 実は最初から政府の見解は変わっていないので、多少表現が、その当時率直に言いますと私の質問にひっかかったようなところがありましたので、基本的には変わっておらぬのです。というのは、酒類の中の二級酒でも再販売維持価格が認められるか、こう言ったときに、その当時再販売維持価格に認められるような事例がはたして見当たるかどうかということについては、それは個々の判断でありますから、十分統一ができなかった。しかし、御承知の通り「沖正宗」とかその他「あけごころ」とか「黄桜」とか、こういうものは、二級酒であっても、相当銘柄でもって販路を手広く持っておる。こういうふうなものであれば、これは何も特級酒や一級酒と区別して、これは再販売維持価格は認められるという筋合いのものでない、こういうふうに見解が統一されております。かようなわけであります。
  71. 田邉國男

    田邉委員 大蔵省へお嫁にいかれたので、御主人の顔をうかがいながら答弁をなさっておるようにわれわれは解釈するのでありますが、これ以上いたしましても同じことと思いますから、この程度でやめておきます。  次に、酒団法の八十四条の六項でございますが、この中に「酒税保全のため必要があると認められるときは、大蔵大臣は、」云々とあって、最後に「勧告することができる。」ということが第六項にうたってある。これは先ほどもちょっと御質問があったと思うのでございますが、これは当該業界意見を十分聴取して勧告するということでございますが、どうもその点私政府答弁をよく聞いておらなかったので、その点はっきり伺っておきたいのでございます。
  72. 原純夫

    原政府委員 ただいまお話がありました八十四条の第六項は「酒類製造業者が、事業経営の著しい不健全のため、酒税を滞納し、又は滞納するおそれがある場合において」云々、その六項の酒税の勧告でありましたならば、先ほど横山委員にお答えしました通り、大蔵大臣が勧告をいたします場合に、組合意見を全然聞かずに別途やるということはあり得ない。要するに人のうちというとなんですが、組合という団体のことなんですね。本来大蔵大臣が口を出すのがどうかというのでありますが、せっかく出してほしいということでありますので、だから私のところは出しましょう。出す場合には、もちろん、組合意見を聞くというよりも、組合が言うてくるということが実際上は多いかと思いますが、組合が言うたら大蔵大臣は組合に勧告をしろというのはいかにもひどい話だという意見が、参議院の審議の際においてあったわけです。そもそも組合というものは、お互いに約束をして、お互いに規制をとるというのが本来じゃないか、それを監督官庁に言っていって、お前勧告しろ、おれの組合員であるあの男に勧告しろというように、いかにも申し出があったら調べるというようなにおいが出たらおかしいということで、決してそれは申し出がないのにやらせようという意味でなく、申し出で必ずやるというような線が割合にありましたので、それと同じだというので削られたように私ども了承いたします。大蔵省としては、これを発動するという場合に、組合員の意見を聞かぬなんというようなことは当然ない。組合意見を聞いてやる。むしろ協定の実施の状況について大蔵省も一緒に関心を持っておるから、常時いろいろ組合理事者あるいは組合員というような人たちの意見を聞いておると思いますが、特に勧告の際には慎重に意見を聞いてからいくということは、当然のことと考えております。修正に入らなかった事情は、ただいま申し上げましたような事情であるように私は伺っております。
  73. 田邉國男

    田邉委員 今のお話ですと、協定違反と認められた場合、業界から一つあれを勧告してもらいたいという注意があった場合には、そういうことはなかなかむずかしいことであるけれども、そういう場合にはやはり勧告をするということでありました。そこで、そういう場合に、当局は、その事実の調査をなさって、それに基づいて勧告に踏み切るのか、その点を一つ伺いたい。
  74. 原純夫

    原政府委員 組合から、どうもあの組合員は協定違反をやるから一つ勧告してくれと言うてきましても、政府はすぐに出動するとは限りません。組合自体の組織を通してどういう規制をやっているか。たとえば過怠金というようなものがありまするし、その他万般のいろいろな規制があるはずです。それを十分やるということは私ども当然のことだと思いますので、先ほど来申し上げましたところは、率直に申しますと、そういうことを考えられた向きには、組合自体ではかなりやってみても大へんだから、大蔵大臣が言うてくれれば、大蔵省のことだから組合員は聞くだろう、その方が都合がいいからというような気分がおありのように私どもは伺い、また参議院での審議でもそういうような点が問題になったようであります。それはいかにもおかしい。やはり組合としてやるべき点はやる。大蔵大臣は、自分の見るところに従って、もちろんただいまの後段のお尋ねの調査あたりは自分でするのが当然で、自分の判断に基づいて勧告するならする。ただし、その際、組合という団体の中のことであるから、組合意見を聞かないで出るのはおかしいからというだけのことでありまして、実際には、組合乱れて困るから、これだけ手を尽くしたけれども、うまくいかぬから勧告してほしいということはあるだろうと思います。それについては、政府としては、できるだけその趣旨をくんで運用することはもちろんでありますけれども、ただいまのお尋ねが、いかにも参議院で議論のありました焦点、つまり、組合が言えば、大蔵大臣は組合の言いなりになっていいかどうかということは、そういうことは組合がイージーゴーイングになってもいかぬし、政府としての権威もない。それで、組合政府と一体となって、十分合致した格好でこの問題を処理するということは、政府組合の機関としてやるということではないというふうに申し上げているわけであります。
  75. 田邉國男

    田邉委員 重ねてお伺いするのでございますが、今のお話を伺っておりますと、政府はみずからの判断によってこれをやろう、勧告をしよう、また業界の要請を受けてやる、こういう二つの場合があり得るというように解釈してよろしいですか。
  76. 原純夫

    原政府委員 業界の要請は政府がこの勧告をいたす一つの動機となり得ることで、要請があれば必ずやるということではありません。勧告するかしないかは、すべて政府自分の判断に基づいていたしますということであります、改まって申しますと。
  77. 田邉國男

    田邉委員 大体その点はわかりましたから、次に移ります。  第八十六条の基準販売価格の問題でございますけれども、この基準販売価格というものは、この新価格制度において政府がマル公に準ずるものとしておやりになる決意のようでございますので、私どもの考え方では、これは非常に強い性格のものと考えられますが、その点そのように解釈してよろしいか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  78. 原純夫

    原政府委員 先ほど横山委員との質疑応答で申し上げましたように、従来のマル公というものが、本来の性質を離れて、それよりも下がっちゃいかぬというようなことになっておるという意味のマル公と対比いたしますれば、新しい基準価格は精神が違います。やはり酒税保全業界の安定のために、定価売りが望ましい価格ではありますけれども、それを一歩も破っちゃいかぬというようなことでなく、やはりある程度競争を考えるというものでありますから、マル公と同じだとは言えない。ただ、今申しましたように、酒税を確保し、また業界の安定をはかりますためには、これが幅広く実際に変動があるといいますか、実際の価格が、うんと高いのから、特に安いのがよけいできるということは望ましくないという気持は持っております。従いまして、基準販売価格に対しまして、ある程度銘柄その他によって幅が出てくることはありますけれども、政府といたしましてもその幅は決して大きいのがよろしいとは思わない。率直な気持を言えば、なるべく小幅でありたいという気持は持っておりますが、その辺は、先ほど来お話のありました消費者保護の思想とも関連がありますので、ぐっさり従来通り一本というわけにはいかぬ。なるべく狭くというところで、今後適正な運用をはかっていきたいと思います。
  79. 田邉國男

    田邉委員 それでは、次に酒類の販売代金の決済期限ですが、これについて何かお考えを持っておられるか、政府の御意見を伺っておきたいと思います。
  80. 泉美之松

    ○泉説明員 酒類の販売代金の決済期限につきましては、現在のところ調査いたしておる資料によりますと、生産者と卸売業者の間、それから卸売業者と小売業者の間で違っておりますけれども、大体清酒につきましては四十五日ないし五十日、蒸留酒につきましては、やや長引きまして七十日前後というようなものもあるようでございます。もちろん業者の中にはもっと短い期限のものもございますが、平均いたしますと今申し上げたようなところになっております。ただ、酒の不足しております当時におきましては、現金販売というような線が主張されておりまして、その当時の決済期限はもっと短かったのではないかと思いますが、現在の程度ですとまあまあ非常に不当とも言えません。さりとてこれをそう縮めることもなかなか困難ではないかとも思いますが、酒税保全の見地からいたしますと、現在より決済期限が延びないようには少なくともいたさなければならない、そうして、できるならばもっと短くなるような方策を講ずることが望ましい、かように考えておる次第でございます。
  81. 田邉國男

    田邉委員 今大蔵省のお話を伺っておりますと、済度が延びるようなことはないと思う、こういう御見解のようでございますけれども、私どもは、この制度がしかれて新価格制度に移行した場合には、どうしても済度が延びるような状態が起きるのではないかというように考える。そうしますと、この酒団法の改正がそもそも業界の安定と酒税保全ということが建前になっておるときに、済度が延びるということは実質的な値引きになるわけでございます。政府の考えておる改正の趣旨に反するわけなのであります。これについて、政府の見解は、ただいま延びるようなことはないだろうという推定をおっしゃっておるのですが、そこにはっきりと自信を持った答弁を伺いたいと思うのです。
  82. 泉美之松

    ○泉説明員 決済の済度が延びることはないだろうということを申し上げたのではないのでありまして、延びることがないようにいたさなければならないという決意を持っておるということを申し上げたのであります。それでは、これ以上長引くことのないようにするにはどうすればいいかと申しますと、八十四条の第一項四号と申しますか、さらにさかのぼって、四十二条に酒類協同組合が協定をもってそれぞれの規制を行なうことになっておるわけでございますが、その規制の内容に「販売方法」というのが入っておりまして、その販売方法の中には、今お話しのように決済期限をきめるということも入るわけであります。従って、もし今後各酒類協同組合におきまして協定を設ける際におきましては、お話のように決済の済度を延ばすことは値引きをすることと経済的に同一の行為になりますので、やはり協定価格を守るという上からいきましては、その済度につきましても限度をきめるということになるわけでありまして、またそれを守ることによって値くずれが防止されるというふうに考えておるわけであります。
  83. 田邉國男

    田邉委員 そうしますと、業界でお互いに話し合って決済の協定案というものを作ってもらいたいというのが、政府の考え方なのでございますか。
  84. 泉美之松

    ○泉説明員 もちろん、法律的には、先ほどちょっと申し上げましたように、八十四条にただいま申し上げました四十二条の規定同一規定がございまして、大蔵大臣は、酒類の販売競争が正常の程度を越えて行なわれ、その販売価格が基準価格を著しく下回る等の事態が生じたことによって酒税の滞納または脱税が行なわれ、または行なわれるおそれがあると認められる場合におきましては、そういう販売方法についての規制を行なうように勧告をする、あるいはその勧告によって事態が解消しないというふうに認められる場合には、命令を行なうというような規定も背後にございますので、そういうバックを持ちながら、まず第一におきましては、業界におきまして、お互いに済度を延ばし、実質的に値引きをすることのないような協定を結んでいただきたい、背後には政府のそういう命令、勧告の措置を伴って、業界自身にお願いしたい、かように考えておるわけでございます。
  85. 田邉國男

    田邉委員 今のお話はわかるようなわからないような感じがするのですが、それは生産者と販売、いわゆる問屋それから小売屋、この三層の協議というものは、今日までいろいろの問題について話し合っても、利害が相反することが非常に多いので、どうも協定しにくい問題が今日まで非常にあったということは、大蔵当局もよく御存じだと思う。そこで、お互いに三層がよく打ち合わせをして、具体案を出して、その上に立ってそれがどうしてもできない場合には政府が勧告をするのだ、ここにそういう条文が入っているのだ、こういう話でございますが、それでは、一体話し合いができないときにどういう勧告をするのか、そうしてどういうような規則でこれをやるのか、そこの具体的な、しかも根本的な案が政府にあるのだ、ところがまだここで出すべき段階ではないと思うので、これが施行されてから、いよいよ当面の問題にぶっつかってから出そうという腹なのか。現在、私は、これだけのものをお出しになったのだから、やはり大蔵当局は一つの具体案をお持ちになっていると思いますので、その点について一つ承りたい。
  86. 泉美之松

    ○泉説明員 お話のように、協定価格の制度を設けようといたしますと、生産、卸、小売の三業界にわたりましてそれぞれの主張がございますので、簡単に協定がまとまらないということは、もうお話の通りでございます。従いまして、私どもといたしましては、業界の話し合いの際に役所の方も加わりまして、それぞれの業界と話し合って、円満に業界間に話し合いができるような雰囲気を作ると同時に、そのように指導いたして参りたい、かように思っている次第でございます。ただ、協定価格自身は、現在の酒団法のままでもできることはできるのでございますが、各業界の大勢というものが、まあどちらかと申しますと、いわゆる保守的な傾向がございまして、酒類業組合法が通過しないと、現在できる問題についてもなかなか話し合いに入りにくいというような事情がございます。私どもとしましては、現在もすでに話し合いにつきましてはいろいろあっせんはいたしておりますけれども、なかなか円満な話し合いに進んでおりません。これははなはだ遺憾に思っております。酒団法が通過いたしましたならば、各業界の話し合いに相当積極的に乗り出したい、かように思っている次第でございます。
  87. 田邉國男

    田邉委員 さらにその点をお伺いしたいのでございますが、非常に積極的に話し合いを進めるように要請する。しかしそれがなかなかうまくいかない場合には、そのときはどういうふうになさるのか、その点を伺いたい。
  88. 泉美之松

    ○泉説明員 仮定の問題になりますので、なかなかお答えしにくいのでございますが、私どもといたしましては、役所がそれぞれの業界を指導いたしまして話し合いをお願いいたしますれば、それぞれの業界の間で話し合いがつかないことはないだろうと信じておりますが、もしつかないというような事態で、しかも、そういう事態を解消しないと、酒税保全に支障があるということになりますれば、あるいは勧告を発動しなければならぬような事態が起きるかもしれませんけれども、現在のところ、私どもは、各業界の間を役所の方であっせん調停することによって、話し合いは円満につくものと確信いたしております。
  89. 田邉國男

    田邉委員 それでは、その問題はそのくらいにしまして、次に新価格制度への移行の時期でございます。これは先ほど横山委員からも御質問でお答えは大体得ておるのですが、その時期が六カ月から大体一年以内だ、そういう話でございますが、ただ、私がこの点ちょっと伺いたいことは、この新価格制度というものに移行する場合に、協定価格というものが成立しない場合には、この新価格制度に移行しないと解釈してよろしいのですか。
  90. 泉美之松

    ○泉説明員 私どもといたしましては、新しい価格体系の基本になりますのは基準販売価格、かように考えておりますので、協定価格が成立しなくても、基準販売価格、マル公をやめまして基準販売価格に移り変わるというふうに考えております。
  91. 田邉國男

    田邉委員 そうしますと、新価格制度というものは、基準価格さえきめれば、協定価格の方はできなくても移行していく、こういうことに解釈してよろしいのですか。
  92. 泉美之松

    ○泉説明員 法律的にはさようでございますが、実際問題といたしますと、基準販売価格だけきめてあって、協定などについての話し合いが一向に進んでおらぬということになりますと、取引の乱れということも考えられますので、基準販売価格を制定するまでの段階におきまして、協定価格、これは必ずしも全国的な協定価格はできないにいたしましても、酒類の取引の乱れのおそれのある地域におきましては、協定価格の設定ということにつきまして話し合いを進めていくというつもりでおります。ただ、移行の時期がいつになるか、そのときに協定価格ができておるかどうかということになりますと、その両方の仕事を進めていきますので、必ずしも協定価格ができておらなければ新価格、基準価格は出さないというような筋合いのものではなかろうと存じますが、しかし、基準価格さえ出せば、あとはどうなろうといいんだというようなつもりでももちろんないのであります。両方の話し合いを進めていくということになると存じます。
  93. 田邉國男

    田邉委員 今のお話どうもわかったようなわからぬような感じがするのですが、基準販売価格というものがきまれば、大体それによって新価格制度に移行するということになるのだ、しかし、業界の協定価格というものを無視してやるというわけにもいかない、そこで協定価格も早くできるように慫慂したい、そこでそれもにらみ合わせて考えるのだというように私は受け取ったのですが、そうしますと、結局、基準価格もできるけれども、協定価格というものもやはりそこに成立しなければ、新価格制度へ移行したことに実質的にはならないのじゃないか。そして、基準価格だけをきめて、その業界が安定していくならいいけれども、協定価格というものがどうしてもこの際新価格制度に移行する場合に必要な大事な制度なんだから、この問題は、政府当局がこれをどういうように扱うかということは、私は非常に業界が不安を持っておるところだと思うのです。この点をもう少し明確に一つお答えをいただきたいと思います。
  94. 泉美之松

    ○泉説明員 新価格制度へ移行いたしますまでには、まだいろいろの準備をいたさなければならないのでございます。ただ法律的に申し上げますと、先ほども繰り返して申し上げるようで恐縮でございますが、協定価格がなくても基準販売価格へは移れる。しかしながら、実際問題といたしまして、基準販売価格だけではたしてうまく新しい体系ができるかどうかということになりますと、やはり少なくとも取引の乱れのおそれのある地域におきましては協定価格ができるような態勢にないと適当でなかろう、というふうな感じを、持っておるわけであります。しかし、協定価格ができなければ基準販売価格には移らないのだということは、私はなかなか言えないのではないか。しかしながら、両者を並行して進めていくのでございまして、まあ将来の時期のことでございますので、今仮定の問題としてなかなかお答えしにくい事情は御了承いただきたいと思うのであります。
  95. 田邉國男

    田邉委員 この酒団法は、前国会大蔵委員会で採決した場合に附帯決議を付しております。これについては、大蔵省の方からこの附帯決議を大いに尊重するということが出ておるのですが、この一条にも、その条文の中に、マル公は撤廃して新価格へ移行した場合においては、相当長期の期間を置いて、この間政府業界の体制の整備をするように努力するということが書いてある。私は、この体制の整備をするよう努力するということは、すなわちこの協定価格という問題が当面に問題になっておるということだと思うのです。仮定の問題だから答えられない、こういうような表現でどうも言葉を濁しておられるのですが、しかし、業界にとっては、これは、仮定の問題でなくして、現実にこの法案が通れば一年以内にやるのでございますから、やはり政府の確たる方針というものが示されて、そして協定価格というものはどういう条件でどういう状態でやるのだ、そして基準価格とはこういう関係で置かれておるのだというところをもう少しはっきり伺いませんと、私、さっきから答弁を伺っておると、どうしても答弁に納得がいかないのでございます。大蔵省の方はみんな頭脳が明断でおられるので、御自身はよくおわかりになっておると思うのですが、もう少しはっきり一つ伺いたい。
  96. 泉美之松

    ○泉説明員 衆議院におきまする附帯決議内容につきましては、私どもは協定価格の問題だけとは思っておらないのであります。業界全体が新しい価格制度へ移行するということにつきまして非常な不安を持っております。そこで、その不安をなくするようないろいろな各般の措置を講じて、業界の受け入れ態勢を整備する、こういう意味に解しておるのでございます。もちろん、そのいろいろの措置の中に、一つとして協定価格があることはお話の通りでございます。しかし、それ以外にも、先ほど横山委員にも申し上げましたように、中小業者が新しい価格制度に移る場合に不利になるのではないかといったような不安がございます。それらにつきましても、いわゆる中小企業の合理化方策を講ずるというような方向におきまして、その不安が解消するようにいたさなければならないと考えております。また、今お話しの協定価格というものを、各業界の間でどういうふうに話し合って、どういうふうにきめていくかということについて、いろいろ指導いたしまして、その不安が解消するように持っていかなければならないと思っております。従って、基準販売価格の徹底につきましていろいろ準備を行ないますと同時に、協定価格につきましても業界間の話し合いを進め、話し合いのまとまるような方向に持っていきたい、かように考えておるわけでありますが、協定価格ができ上がらぬと、マル公をやめて基準販売価格には移らないんだとは申し上げ切れないということを申しておるのであります。しかしながら、マル公をやめて基準販売価格を出しました後におきましては、すみやかに協定価格が締結できるような態勢に持っていくようにいたしておきたい、かように考えておるわけでございます。
  97. 田邉國男

    田邉委員 あまりこれをやっておってもしようがないのですが、私が大蔵当局にお願いしたいのは、おそらく、小さい業者の人たちが、この協定価格に対して相当な関心を持っておるし、またそれによって業界の安定をはかってもらいたいという気持が強いと思います。そこで、協定価格の性格と申しますか、これを成立させる時期について、もう少し具体的なものをお考えおきいただきたいと思います。  それはそれとして、次に、最後の質問は第八十四条の六項でございますが、これは、酒類の製造業者に対して、「事業経営の著しい不健全のため、酒税を滞納し」云々、そうした場合に勧告をすることができるという文章が書いてありますが、これは非常に酒類業者に対する思いやりがよく出ておると私は思います。しかし、私は、この法案を見まして、販売業者が不振の場合には一体これをどういうように考えるのだ。この法案には販売業者の不振の場合のことは触れておらぬように思うのでございますが、この点について大蔵省の方はどういう対策をお持ちになっておるか、その点について一つ同いたい。
  98. 泉美之松

    ○泉説明員 お話のように、従来の酒団法八十四条第六項は、今度参議院で修正を加えましたので、新しく第七項となるわけでございますが、その規定におきましては、酒類の製造業者に対して一定の要件がある場合に、大蔵大臣が適正な減価償却、経費の節約その他経理に関する改善を勧告することができるという規定がございますが、販売業者については規定がございません。その販売業者について規定がありませんのは、先ほど申し上げました一定の要件がある場合というその要件は、「酒税を滞納し、又は滞納するおそれがある場合において、」という前提要件が加わっておるのであります。現在は御承知のように酒類の製造業者が納税義務者になっておりますので、滞納のおそれがあるというのは、結局酒類の製造業者ということになりますので、従って、販売業者についてこの規定を設けるということは、前提条件との関係から適当でないということになっておるわけでございます。ただ、お話のように、なるほど納税義務者は酒類の製造業者でございますが、それが消費者にまで完全に販売されることによって、初めて対価の中に含まれておるところの酒税の転嫁ということが実現するわけでございますので、その転嫁が完全に行なわれないと、製造業者が納税しようと思っても、なかなか納税しにくくなる。その点はお話の通りでございます。私どもといたしましては、販売業者につきましても、減価償却、経費の節約その他経理について新しい合理的なやり方をやっていただきたいという気持は持っておりますが、法文といたしまして、ここの六項に販売業者を入れるということは、前提条件との関係上むずかしいように考えております。しかしながら、販売業者について新しい規定を設けるかどうかということは、また別の立法問題であろうと存じております。
  99. 田邉國男

    田邉委員 この点大蔵省も非常に考慮されているようでございますが、どうも酒類の製造業者は非常に心配しております。なぜかといいますと、最近の酒類というものはほとんど問屋を通す。先般九州において有名な大きい問屋さんが倒れました。これは名前を言わない方がいいのですが、それによって酒類業者というものが大へんな損害をこうむった。これはかなり大きな製造業者であるけれども、とにかく今にも倒産寸前のところまで追い込まれた。こういうことを考えましたときに、これは、終戦直後から、たびたび東京都内にも有名な問屋さんが多くの不渡りを出して、酒類業者の倒れたところもあるし、また倒産寸前の場面に到達したところもある。そういうことを大蔵省はよく御認識なさっておるのでございますから、どうしても販売業者の何らかの規制の条文というものをお入れにならないと、この法律の趣旨である酒税保全ということに対して欠くるところがあるんじゃないか。このところをさらに措置をお考えいただいて、片手落ちでないような、ほかの生産業者と販売業者との均衡のとれた条文を考え出したらどうかと思うのです。
  100. 原純夫

    原政府委員 お気持はよくわかるのであります。ただいま泉間税部長から申し上げましたように、そこまでを法律で縛るかという段になると、いささかどうか。販売業者に対しましても免許をつけてやっておるわけでありますから、いろいろな関係で大蔵省としてものを言える基礎はあるわけです。こういう規定販売業者にも並んで置くかということになると、いささかどうか。御要望のようなことは、大蔵省が被免許者と免許官庁という関係で持っておる地位に基づいて、相当なことができるんじゃないかというふうに私は考えておる次第でございます。お気持のことはよくわかりますのですが、そういう気持でおります。
  101. 田邉國男

    田邉委員 大体これで私の質問を終わりますが、酒団法の改正案が通過した場合には、ぜひ一つ、酒類業界の安定と酒税保全のために、先ほど私の質問いたしましたように、慎重に運用なさっていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わります。
  102. 原純夫

    原政府委員 だんだんお話を伺いました点、いずれもお気持はわれわれのきわめて同感なものがほとんどなので、それぞれ申し上げましたような気持でやって参りたいと思います。  なお、本日の御質問の中で、基準販売価格と幅の問題についてお答えしました点、私が申し上げましたのは、基準販売価格自体は一本のものである、ただ、それはそれ一本で売らなければいかぬというものではなくて、実際上ある程度の高下はできるだろうというふうに申したわけでありますから、それをちょっと補足しておきます。  その他お気持の点は十分今後行政をやる場合に参考にしたいと思います。
  103. 植木庚子郎

    植木委員長 次会は明十日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時四十一分散会