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秋山説明員 工場の
火薬庫には実際は二種類ございまして、ただいまお話のございました二百トンというのは、実はだいぶ離れましたところに山に横穴を掘って、これは軍が昔掘ったものでございますが、そこに納めておりますもので、これは確かに二百トン現に貯蔵をされておるのでございます。先日
工場のわきで山が山火事になって、延焼のおそれがあると申しますのは、実はその二百トンの
火薬庫ではございませんで、一時置場といっておりますが、すなわち小規模の
火薬庫でございます。十五、六トンぐらい、あるいはものによっては三トン前後というように大小ございましたが、四カ所ほどございました一時置場にもし火が入ると非常な大へんなことになるということであったわけでございます。
消防署の犠牲的な活動によりまして、その
災害が防止されましたことは、非常に感謝いたしておる次第でございます。
人家と
火薬工場との
関係につきましては、保安距離というものがもちろん
法律にきめてございます。従って、
工場を作りました当時におきましては、当然その保安距離は守られておった。またその保安距離と
工場内で扱ってよろしい
火薬の量
——停滞量と申しておりますが、これは各
工室ごとに人員と量を定めてございますが、その停滞量と保安距離との
関係は、理論的に計算ができる
爆発力というものから計算をいたしまして、この
程度離れておれば安全だという距離が定められておりまして、離れておるわけでございます。ただ、実際問題といたしましては、
工場が作られて以後次第に人家が接近してくる。これも保安距離以内であれば建築
基準法で許可をいたしませんから、保安距離が守られていないというところはないのでございますけれ
ども、いわば心理的にと申しますか、あるいはガラス一枚割ってもならないというような
意味の
被害を及ぼさないということになって参りますと、これは地形のいかんにもよります。現に今回の
事故の
現場は非常に複雑な地形と、
爆発の波を描いて、
相当高い山でございますが、山を
一つ越した反対のふもとの方に、大きな
被害を与えたということもございまして、これらは実は理論的だけでは解決のできない問題でございますので、これも実は今回初めてそういう複雑な地形下における大規模の
爆発を経験したわけでありますが、非常にいい
資料を得たわけでありますので、今後の
取り締まりにはこの経験を十分生かしていかなければならないと思うわけであります。いずれにいたしましても、従来の
処置としては、保安距離が守られておっても、人家が接近してくれば、いわゆる停滞量の方は減らしていく、つまり
作業量を落とすということによって安全を保っていくというやり方をしてきておったわけでございます。それがいよいよ人家が非常に稠密になったということになれば、単に停滞量を落とすだけでは安全が保てなくなるということも当然考えられますので、この場合にはあらためて他の安全なところに
工場を移すというようなことになるわけでありますが、どうもそこまでの
規定が実は従来の取締法には
規定されておりません。すなわち、強制移転、これは場合によっては憲法上にも
関係があろうかと思います。そういう
規定が実は取締法には現在は入っておりませんが、今回の
事故にかんがみまして、われわれも十分に
検討してみたいと思っております。